(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096835
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】データセンター、データセンターの水素ガス在庫量管理方法、及び水素ガス在庫量管理システム
(51)【国際特許分類】
F17C 13/02 20060101AFI20240709BHJP
F17C 5/06 20060101ALI20240709BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240709BHJP
【FI】
F17C13/02 301A
F17C5/06
H01M8/04 J
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024062935
(22)【出願日】2024-04-09
(62)【分割の表示】P 2021509540の分割
【原出願日】2020-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2019061870
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(72)【発明者】
【氏名】浅井 茂
(72)【発明者】
【氏名】清家 匡
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 修一
(72)【発明者】
【氏名】小畠 菜々子
(72)【発明者】
【氏名】板橋 貴之
(72)【発明者】
【氏名】前田 征児
(57)【要約】 (修正有)
【課題】各オフサイトSTの水素ガスの在庫量を高精度に取得可能な方法、装置およびシステムを提供する。
【解決手段】各水素ステーションに対して設定された個別サンプリングタイミングでサンプリングされた各パラメータデータを各水素ステーションの識別情報とともに記録したログデータを作成するログデータ作成装置と、前記ログデータを用いて、当該各水素ステーションに対して設定された個別演算タイミングでの水素ガスの在庫量を演算する在庫量演算装置と、設定した時間帯ごとに、前記在庫量演算装置から各水素ステーションにおける水素ガスの在庫量データを取得し、前記在庫量を用いて前記識別情報をソート処理するソート処理装置と、前記ソート処理装置から前記ソート処理済みの前記識別情報および前記在庫量データを含むソートデータを出力するソートデータ出力装置と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガスを貯蔵する複数の水素タンクの水素ガス在庫量を管理するデータセンターであって、
各水素タンクに配置された複数の計器により計測される複数のパラメータデータおよび当該各水素タンクの識別情報を含むログデータを受信するログデータ受信部と、
前記ログデータを用いて、当該各水素タンクに対して個別に設定された個別演算タイミングで前記水素ガス在庫量を演算する在庫量演算部と、
を備えるデータセンター。
【請求項2】
前記各水素タンクは、複数のグループのうちいずれかのグループに所属し、前記グループごとに、当該グループに所属する各水素タンクの前記水素ガス在庫量を集計してグループ別在庫量データを作成するグループ別在庫量データ作成部を更に備える、
請求項1に記載のデータセンター。
【請求項3】
前記グループ別在庫量データを前記各水素タンクのクライアント端末へ送信するグループ別在庫量データ送信部を更に備える、
請求項2に記載のデータセンター。
【請求項4】
前記ログデータ受信部は、前記複数のパラメータデータとして、前記水素タンク内の水素ガスの圧力データと、前記水素タンク内の水素ガスの温度データとを受信する、
請求項1に記載のデータセンター。
【請求項5】
前記個別演算タイミングは、前記各水素タンクに供給するために水素ガスを圧縮する圧縮機の運転停止時刻とする、
請求項1に記載のデータセンター。
【請求項6】
前記個別演算タイミングは、水素ガスの供給先への水素ガスの供給を終了した時刻とする、
請求項1に記載のデータセンター。
【請求項7】
前記各水素タンクは、水素ガスを輸送するトレーラーから荷下ろしされた水素ガスを蓄圧する中間水素タンクと、前記中間水素タンクよりも高圧に圧縮された水素ガスを蓄圧する高圧水素タンクと、を有し、
前記個別演算タイミングは、前記中間水素タンクへと前記トレーラーから前記水素ガスが荷下ろしされる終了時刻が用いられる、
請求項1に記載のデータセンター。
【請求項8】
前記在庫量演算部から各水素タンクにおける水素ガスの在庫量データを取得し、前記在庫量を用いて前記識別情報をソート処理するソート処理部をさらに備える、
請求項1に記載のデータセンター。
【請求項9】
前記ソート処理装置からソート処理済みの前記識別情報および前記在庫量データを含むソートデータをサーバ端末に送信するソートデータ送信部をさらに備える、
請求項8に記載のデータセンター。
【請求項10】
前記ソート処理部は、前記各水素タンクの水素ガス在庫量に基づいて前記識別情報をソート処理する、
請求項9に記載のデータセンター。
【請求項11】
前記ソート処理部は、水素ガスを積載するトレーラーの水素ガスを製造する出荷場所と各水素タンクとの距離、移動所要時間、水素ガスの積載量のうち、少なくともいずれかに基づいて、配送ルート順に前記識別情報をソート処理する、
請求項10に記載のデータセンター。
【請求項12】
前記各水素タンクは、地域ごとにグループ化された複数の地域のうち、いずれかの地域に所属し、前記地域ごとに、当該地域に所属する各水素タンクの前記水素ガス在庫量を集計して地域別在庫量データを作成する地域別在庫量データ作成部と、
前記地域別在庫量データを前記各水素タンクのクライアント端末およびサーバ端末に送信する地域別在庫量データ送信部と、
を更に備える、請求項1に記載のデータセンター。
【請求項13】
水素ガスを貯蔵する複数の水素タンクの水素ガス在庫量を管理するデータセンターであって、
各水素タンクに配置された複数の計器により計測される複数のパラメータデータおよび当該各水素タンクの識別情報を含むログデータを受信するログデータ受信部と、
前記ログデータを用いて、当該各水素タンクに対して設定された演算タイミングで前記水素ガス在庫量を演算する在庫量演算部と、
前記各水素タンクは、複数のグループのうちいずれかのグループに所属し、前記グループごとに、当該グループに所属する各水素タンクの前記水素ガス在庫量を集計してグループ別在庫量データを作成するグループ別在庫量データ作成部と、
を備えるデータセンター。
【請求項14】
水素ガスを貯蔵する複数の水素タンクの水素ガス在庫量を管理するデータセンターの水素ガス在庫量管理方法であって、
各水素タンクに配置された複数の計器により計測される複数のパラメータデータおよび当該各水素タンクの識別情報を含むログデータを受信する工程と、
前記ログデータを用いて、当該各水素タンクに対して個別に設定された個別演算タイミングで前記水素ガス在庫量を演算し、出力する工程と、
を備えるデータセンターの水素ガス在庫量管理方法。
【請求項15】
水素ガスを貯蔵する複数の水素タンクと、
各水素タンクに配置された複数の計器により計測される複数のパラメータデータおよび当該各水素タンクの識別情報を含むログデータを受信するログデータ受信部と、
前記ログデータを用いて、当該各水素タンクに対して個別に設定された個別演算タイミングで前記水素ガス在庫量を演算する在庫量演算部と、
を備える水素ガス在庫量管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年3月27日に日本国に出願されたJP2019-061870(出願番号)を基礎出願とする優先権を主張する出願である。JP2019-061870に記載された内容は、本出願にインコーポレートされる。
【0002】
本発明は、水素ガス在庫量取得方法、水素ガス在庫量取得装置、及び水素ガス在庫量取得システムに関し、例えば、オフサイト水素ステーションに配置される水素ガスの在庫量を取得する手法に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車の燃料として、従来のガソリンを始めとした燃料油の他に、近年、クリーンなエネルギー源として水素燃料が注目を浴びている。これに伴い、水素燃料を動力源とする燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)の開発が進められている。FCV用の水素ステーションには、水素製造拠点となる水素出荷センターやオンサイト式の水素ステーション(以下オンサイトST)と、水素製造拠点(水素出荷センターやオンサイトST等)より水素を受入れて販売するオフサイト式の水素ステーション(以下オフサイトST)がある。水素ステーションには、水素ガスを急速にFCVに充填するために、水素ガスを高圧に圧縮する圧縮機と、この圧縮機により高圧に圧縮された水素ガスを蓄圧する複数の蓄圧器(多段蓄圧器)を配置する。このような水素ステーションは、蓄圧器内の圧力とFCVの燃料タンクの圧力との差圧を大きく保つように、使用する蓄圧器を適宜切り替えながら充填することで、蓄圧器から燃料タンクへ水素ガスを急速充填する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、従来、各オフサイトSTでは、作業員がオフサイトST内に配置される蓄圧器等の設備の各種情報(例えば圧力や温度)を手作業で各計器(例えば圧力計や温度計)から読み取り、データシートに記入し、本社の管理機関に送っていた。そのため、作業員による読み取り誤差が生じていた。特にアナログ計器から数値を読み取る場合には誤差が大きく発生し得る。また、オフサイトST毎に、設置される計器が異なっている他、読み取るタイミングが異なっている。そのため、得られたデータから各オフサイトSTに在庫される水素ガスのリアルタイムな在庫量を正確に把握することが困難であるといった問題があった。その結果、どのオフサイトSTにどれだけの水素ガスをいつ輸送すればよいのか、経験則に頼らざるを得ない状況となっていた。そのため、各オフサイトSTの水素ガスの在庫量を高精度に把握することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の一態様は、各オフサイトSTの水素ガスの在庫量を高精度に取得可能な方法、装置およびシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の水素ガス在庫量取得システムは、
複数の水素ステーションにおける水素ガスの在庫量を取得する水素ガス在庫量取得システムであって、
各水素ステーションにおける水素ガスの在庫量を演算するために当該各水素ステーションに配置された複数の計器により計測される複数のパラメータデータから、当該各水素ステーションに対して設定された個別サンプリングタイミングでサンプリングされた当該各パラメータデータを当該各水素ステーションの識別情報とともに記録したログデータを作成するログデータ作成装置と、
前記ログデータを用いて、当該各水素ステーションに対して個別に設定された個別演算タイミングでの水素ガスの在庫量を演算する在庫量演算装置と、
を備える。
また、設定した時間帯ごとに、前記在庫量演算装置から各水素ステーションにおける水素ガスの在庫量データを取得し、前記在庫量を用いて前記識別情報をソート処理するソート処理装置と、
前記ソート処理装置から前記ソート処理済みの前記識別情報および前記在庫量データを含むソートデータを出力するソートデータ出力装置と、
をさらに備えると好適である。
【0008】
また、前記各水素ステーションは、複数のグループのうちのいずれかのグループに所属し、
前記グループごとに、当該グループに所属する各水素ステーションの前記在庫量を集計してグループ別在庫量データを作成するグループ別在庫量作成装置と、
前記グループ別在庫量データを各水素ステーションに送信するグループ別在庫量データ送信装置と、
を更に備えると好適である。
【0009】
また、前記各水素ステーションは、水素ガスを蓄圧する蓄圧器を有し、
前記複数のパラメータデータは、前記蓄圧器内の水素ガスの圧力データと、前記蓄圧器内の水素ガスの温度と推定できる温度データと、を含むと好適である。
【0010】
また、前記各水素ステーションは、水素ガスを圧縮する圧縮機を有し、
前記個別演算タイミングは、前記圧縮機の運転停止時刻とすると好適である。
【0011】
また、前記個別演算タイミングは、燃料電池自動車への水素ガスの供給終了した時刻とすると好適である。
【0012】
また、前記各水素ステーションは、水素ガスを輸送するトレーラーから荷下ろしされた水素ガスを蓄圧する中間蓄圧器と、前記中間蓄圧器よりも高圧に圧縮された水素ガスを蓄圧する高圧蓄圧器と、を有し、
前記個別演算タイミングは、前記中間蓄圧器へと前記トレーラーから前記水素ガスが荷下ろしされる終了時刻が用いられると好適である。
【0013】
また、前記ログデータ作成装置は前記各水素ステーションに配置され、前記在庫量演算装置は、前記各水素ステーションとは異なるデータセンターに配置され、前記ログデータ作成装置と前記在庫量演算装置は、ネットワークを介して接続されていると好適である。
【0014】
また、前記ログデータ作成装置および前記在庫量演算装置は、前記各水素ステーションに配置されていると好適である。
【0015】
本発明の一態様の水素ガス在庫量取得方法は、
複数の水素ステーションにおける水素ガスの在庫量を取得する水素ガス在庫量取得方法であって、
各水素ステーションにおける水素ガスの在庫量を演算するために当該各水素ステーションに配置された複数の計器により計測される複数のパラメータデータから、当該各水素ステーションに対して設定された個別サンプリングタイミングでサンプリングされた当該各パラメータデータを当該各水素ステーションの識別情報とともに記録したログデータを作成するログデータ作成工程と、
前記ログデータを用いて、各水素ステーションに対して個別に設定された個別演算タイミングでの水素ガスの在庫量を演算する在庫量演算工程と、
を備える。
また、設定した時間帯ごとに、前記在庫量演算工程で演算された在庫量に基づき、各水素ステーションにおける水素ガスの在庫量データを取得し、前記在庫量を用いて前記識別情報をソート処理するソート処理工程と、
前記ソート処理済みの前記識別情報および前記在庫量データを含むソートデータを出力するソートデータ出力工程と、
をさらに備えると好適である。
【0016】
本発明の一態様の水素ガス在庫量取得装置は、
複数の水素ステーションにおける水素ガスの在庫量を取得する水素ガス在庫量取得装置であって、
各水素ステーションにおける水素ガスの在庫量を演算するために当該各水素ステーションに配置された複数の計器により計測される複数のパラメータデータから、当該各水素ステーションに対して設定された個別サンプリングタイミングでサンプリングされた当該各パラメータデータを当該各水素ステーションの識別情報とともに記録したログデータを作成するログデータ作成部と、
前記ログデータを用いて、当該各水素ステーションに対して個別に設定された個別演算タイミングでの水素ガスの在庫量を演算する在庫量演算部と、
を備える。
また、設定した時間帯ごとに、前記在庫量演算装置から各水素ステーションにおける水素ガスの在庫量データを取得し、前記在庫量を用いて前記識別情報をソート処理するソート処理部と、
前記ソート処理装置から前記ソート処理済みの前記識別情報および前記在庫量データを含むソートデータを出力するソートデータ出力部と、
をさらに備えると好適である。
【0017】
本発明の一態様の水素ガス在庫量管理システムは、
複数のオフサイト式水素ステーションにおける水素ガスの在庫量を管理する水素ガス在庫量管理システムであって、
各水素ステーションに配置された圧力計により計測される圧力値から当該各水素ステーションに対して設定された個別サンプリングタイミングでサンプリングされた当該圧力値を当該各水素ステーションの識別情報とともに記録したログデータを作成するログデータ作成装置と、
設定した時間帯ごとに、前記ログデータ作成部から各水素ステーションにおける水素ガスの圧力値を取得し、前記圧力値を用いて前記識別情報をソート処理するソート処理装置と、
前記ソート処理部から前記ソート処理済みの前記識別情報および前記圧力値を含むソートデータを出力するソートデータ出力装置と、
を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の他の態様の水素ガス在庫量取得方法は、
燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)に水素ガスを供給するオフサイト式の複数の水素ステーションの水素ステーション毎に、複数の水素ステーション内の複数の端末に予め設定された複数の第1の個別タイミングのうち、当該水素ステーション内の端末に予め設定された第1の個別タイミングにて当該水素ステーションに配置された複数の計器が計測する複数のパラメータのデータからサンプリングされた複数のパラメータのログデータを当該水素ステーションの識別情報と共に、当該水素ステーション内の端末を介してネットワークを通じて、入力する工程と、
水素ステーション毎に、入力された複数のパラメータのログデータを用いて、複数の水素ステーションに個別に予め設定された複数の第2の個別タイミングのうち、当該水素ステーションに予め設定された第2の個別タイミングでの水素ガスの在庫量を演算する工程と、
予め設定された時間帯ごとに当該時間帯に第2の個別タイミングが含まれる水素ステーションにおける水素ガスの在庫量を入力し、時間帯ごとに、当該時間帯において在庫量の少ない順に複数の水素ステーションの識別情報をソート処理する工程と、
時間帯ごとにソート処理された複数の水素ステーションの識別情報を在庫量に関連させて出力する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0019】
本発明の他の態様の水素ガス在庫量取得装置は、
燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)に水素ガスを供給するオフサイト式の複数の水素ステーションの水素ステーション毎に、複数の水素ステーション内の複数の端末に予め設定された複数の第1の個別タイミングのうち、当該水素ステーション内の端末に予め設定された第1の個別タイミングにて当該水素ステーションに配置された複数の計器が計測する複数のパラメータのデータからサンプリングされた複数のパラメータのログデータを当該水素ステーションの識別情報と共に、当該水素ステーション内の端末を介してネットワークを通じて、入力するデータ入力部と、
水素ステーション毎に、入力された複数のパラメータのログデータを用いて、複数の水素ステーションに個別に予め設定された複数の第2の個別タイミングのうち、当該水素ステーションに予め設定された第2の個別タイミングでの水素ガスの在庫量を演算する在庫量演算部と、
予め設定された時間帯ごとに当該時間帯に第2の個別タイミングが含まれる水素ステーションにおける水素ガスの在庫量を入力し、時間帯ごとに、当該時間帯において在庫量の少ない順に複数の水素ステーションの識別情報をソート処理するソート処理部と、
時間帯ごとにソート処理された複数の水素ステーションの識別情報と各水素ステーションの在庫量のデータを出力する出力部と、
を備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明の他の態様の水素ガス在庫量取得システムは、
燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)に水素ガスを供給するオフサイト式の複数の水素ステーションにそれぞれ少なくとも1つずつ配置され、複数の水素ステーションに1つずつ予め設定された複数の第1の個別タイミングのうち当該水素ステーションに設定された第1の個別タイミングにて当該水素ステーションに配置された複数の計器が計測する複数のパラメータのデータから複数のパラメータをサンプリングし、サンプリングされた複数のパラメータのログデータを作成する、ネットワークに接続可能な複数のクライアント端末と、
データセンター内に配置され、複数のクライアント端末から、各水素ステーションにおいてそれぞれ第1の個別タイミングにて複数の計器からサンプリングされた複数のパラメータのログデータを当該水素ステーションの識別情報と共に、ネットワークを介して、入力するデータ入力部と、
データセンター内に配置され、水素ステーション毎に、入力された複数のパラメータのログデータを用いて、複数の水素ステーションに個別に1つずつ予め設定された複数の第2の個別タイミングのうち、当該水素ステーションに予め設定された第2の個別タイミングでの水素ガスの在庫量を演算する在庫量演算部と、
データセンター内に配置され、予め設定された時間帯ごとに当該時間帯に第2の個別タイミングが含まれる水素ステーションにおける水素ガスの在庫量を入力し、時間帯ごとに、当該時間帯において在庫量の少ない順に複数の水素ステーションの識別情報をソート処理するソート処理部と、
データセンターからネットワークを介して時間帯ごとにソート処理された複数の水素ステーションの識別情報と各水素ステーションの在庫量のデータとを入力し、時間帯ごとにソート処理された複数の水素ステーションの識別情報を在庫量に関連させて出力するサーバ装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、各オフサイトSTの水素ガスの在庫量を高精度に取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施の形態1における水素ガス在庫量取得システムの構成を示す構成図の一例である。
【
図2】実施の形態1におけるクライアント端末の内部構成の一例を示す構成図である。
【
図3】実施の形態1におけるデータセンターの内部構成の一例を示す構成図である。
【
図4】実施の形態1における多段蓄圧器を用いて水素燃料の差圧充填を行う場合の充填の仕方を説明するための図である。
【
図5】実施の形態1における水素ガス在庫量取得方法の要部工程を示すフローチャート図の一例である。
【
図6】実施の形態1におけるログデータの一例を示す図である。
【
図7】実施の形態1におけるログデータの他の一例を示す図である。
【
図8】実施の形態1におけるログデータの他の一例を示す図である。
【
図9】実施の形態1におけるソートデータの一例を示す図である。
【
図10】実施の形態1における地域別在庫量データの一例を示す図である。
【
図11】実施の形態2における水素ガス在庫量取得システムの構成を示す構成図の一例である。
【
図12】実施の形態2におけるクライアント端末の内部構成の一例を示す構成図である。
【
図13】実施の形態2におけるデータセンターの内部構成の一例を示す構成図である。
【
図14】実施の形態2におけるソートデータの一例を示す図である。
【
図15】実施の形態3におけるソートデータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における水素ガス在庫量取得システムの構成を示す構成図の一例である。
図1において、水素ガス在庫量取得システム500は、複数のクライアント端末100a,100b,100c,100d,・・・,100k,・・・(以下複数のクライアント端末を総称して「クライアント端末100」と示す場合がある。)と、データセンター200と、サーバ端末300と、を備えている。各クライアント端末100と、データセンター200と、サーバ端末300とは、ネットワーク2を介して通信可能に接続される。ネットワーク2としては、インターネットが挙げられるがこれには限られず、例えば電話回線網や本システムの専用回線網等の使用する内容が限定されたネットワークであっても構わない。
【0024】
クライアント端末100は、燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)に水素ガスを供給する各オフサイト式水素ステーション102(以下「オフサイトST」と示す場合がある。)に少なくとも1つずつ配置される。本実施形態では、各オフサイトSTに少なくとも一つのクライアント端末が配置されているが、複数のオフサイトSTを一つのクライアント端末により管理する構成であってもよい。また、本実施形態においては、グループ(例えば地域)毎に、少なくとも1か所の水素ステーション102が配置される。そして、各水素ステーション102は、いずれかのグループに所属する。本実施形態においてグループは、地域を例として説明するが、グループの整理としてはこれには限られない。グループを地域とする場合、例えば、日本国内では、北海道地域グループ、東北地域グループ、関東地域グループ、甲信越地域グループ、東海地域グループ、北陸地域グループ、西日本地域グループ、九州地域グループ、及び沖縄地域グループといった形で分けることもできるし、水素製造拠点をベースにした配送エリアごとに地域分けすることもできる。なお、
図1の例では、地域1としてオフサイトST(A)、オフサイトST(B)、及びオフサイトST(C)の3つが配置され、地域2としてオフサイトST(D)を含む少なくとも1つが配置され、地域3としてオフサイトST(K)を含む少なくとも1つが配置される場合を示している。
【0025】
水素ステーション102には、クライアント端末100と、トレーラー10と、圧縮機20と、中間蓄圧器(荷卸し蓄圧器)30と、高圧蓄圧器40と、ディスペンサ50と、水素ステーション102における各設備を制御する制御回路104とが配置される。トレーラー10は、水素製造拠点(水素出荷センターやオンサイト式水素ステーション等)にて製造された水素ガスが低圧(例えば20MPa)の状態で蓄圧された蓄圧器を備えている。トレーラー10は、牽引車によって当該水素製造拠点から搬送され、水素ステーション102に配置される。このようにして配置されたトレーラー10は、水素ステーション102内の圧縮機20等に配管接続される。圧縮機20は、制御回路104による制御のもと、水素ガスを所定圧力(例えば45MPaや82MPa)に圧縮する。中間蓄圧器30は、トレーラー10から供給され、圧縮機20により圧縮された中圧(例えば45MPa)の水素ガスが蓄圧される。高圧蓄圧器40には、トレーラー10または中間蓄圧器30から供給され、圧縮機20により圧縮された高圧(例えば82MPa)の水素ガスが蓄圧される。
図1の例では、1段の高圧蓄圧器40が示されているが、これに限るものではない。高圧蓄圧器40は、急速充填の観点から、複数の高圧蓄圧器による多段蓄圧器であると好適である。多段蓄圧器は、例えば、使用下限圧力が低い1stバンクとして作用する高圧蓄圧器と、使用下限圧力が中間の2ndバンクとして作用する高圧蓄圧器と、使用下限圧力が高い3rdバンクとして作用する高圧蓄圧器との3段蓄圧器を用いることができる。1stバンクから3rdバンクに使用する各蓄圧器は、必要に応じて入れ替えても構わない。ディスペンサ50は、高圧蓄圧器40からFCV60へ水素ガスを供給(充填)する。
【0026】
また、
図1において、圧縮機20の吸込側は、バルブ14を介してトレーラー10の吐出側と配管により接続される。また、圧縮機20の吸込側は、バルブ36を介して中間蓄圧器30のガス入口と配管により接続される。また、圧縮機20の吐出側は、バルブ34を介して中間蓄圧器30のガス出口と配管により接続される。また、圧縮機20の吐出側は、バルブ46を介して高圧蓄圧器40のガス入口と配管により接続される。また、高圧蓄圧器40のガス出口は、バルブ44を介してディスペンサ50と配管により接続される。各バルブの開閉は制御回路104によって制御される。
【0027】
また、トレーラー10の吐出圧は、圧力計12によって計測される。また、中間蓄圧器30内の圧力は、圧力計32によって計測される。高圧蓄圧器40内の圧力は、圧力計42によって計測される。高圧蓄圧器40が多段蓄圧器で構成される場合には、各段の蓄圧器内の圧力を計測する圧力計と入口の開閉を行うバルブと出口の開閉を行うバルブとがそれぞれ配置される。また、中間蓄圧器30の温度は、温度計33によって計測される。高圧蓄圧器40の温度は、温度計43によって計測される。また、水素ステーション102の敷地内の外気温度が温度計48によって計測される。各圧力計12,32,42および各温度計33,43,48と制御回路104とは、有線或いはWiFi等の無線で接続される。各圧力計12,32,42および各温度計33,43,48において所定のサンプリング周期(例えば、数10ms~数秒程度)で計測される圧力および温度のデータはで制御回路104に出力される。
【0028】
また、ディスペンサ50内には、図示しない流量調整弁、流量計、冷却器(プレクーラー)、及び圧力計等が配置される。高圧蓄圧器40或いは圧縮機20から供給される水素ガスは、流量計によって流量(充填量)が計測されると共に、流量調整弁によって流量が調整される。そして、水素ガスは、冷却器によって、所定の温度(例えば-40℃)に冷却される。ディスペンサ50は、冷却された水素ガスをFCV60に搭載された図示しない燃料タンクに、例えば差圧を利用して充填する。また、ディスペンサ50からFCV60へ充填される水素ガスのディスペンサ50の出口圧力は、圧力計によって計測される。また、ディスペンサ50内或いは近辺には、制御回路が配置され、水素ステーション102に到来したFCV60内の車載器と通信可能に構成される。例えば、赤外線を用いて無線通信可能に構成される。
【0029】
FCV60には、ディスペンサ50からノズル51を介して供給された燃料としての水素ガスが、受け口(レセプタクル)から燃料通路を介して燃料タンクに注入される。燃料タンク内の圧力と温度が燃料タンク内、或いは燃料通路に設けた図示しない圧力計及び温度計によって計測される。
【0030】
高圧蓄圧器40に蓄圧された水素ガスは、ディスペンサ50内の冷却器によって冷却され、ディスペンサ50から水素ステーション102内に到来したFCV60に供給される。なお、差圧充填ではFCV60への水素充填が十分に行うことができないと判断される場合、圧縮機20は、制御回路104による制御のもと、低圧で供給される水素ガスを圧縮しながらディスペンサ50を介して直接FCV60へ水素ガスを供給してもよい。
【0031】
図2は、実施の形態1におけるクライアント端末の内部構成の一例を示す構成図である。
図2において、各水素ステーション102のクライアント端末100内には、通信制御回路150、メモリ151、データ受信部152、サンプリング処理部155、ログデータ作成部156、ログデータ送信部159、及び磁気ディスク装置等の記憶装置154,158が配置される。データ受信部152、サンプリング処理部155、ログデータ作成部156、及びログデータ送信部159といった各部は、処理回路を含み、その処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、或いは、半導体装置等が含まれる。例えば、処理回路として、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、または、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を用いてもよい。また、各部は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよいし、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。データ受信部152、サンプリング処理部155、ログデータ作成部156、及びログデータ送信部159内に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度メモリ151に記憶される。また、各水素ステーション102のクライアント端末100と制御回路104は、有線或いはWiFi等の無線で通信可能に接続されるが、クライアント端末100の可搬性の観点から、無線接続が好適である。
【0032】
各水素ステーション102内のクライアント端末100には、個別サンプリングタイミングが設定されている。各水素ステーション102内の各圧力計および温度計からは所定のサンプリング周期で計測情報(例えば圧力又は温度)が計測されている。クライアント端末100は、個別サンプリングタイミングで各圧力計および温度計で計測された計測情報をデータセンター200に送信する。個別サンプリングタイミングは、例えばクライアント端末100の外部から入力され、記憶装置154に格納される。
【0033】
図3は、実施の形態1におけるデータセンターの内部構成の一例を示す構成図である。
図3において、データセンター200内には、通信制御回路250、メモリ251、データログ受信部252、ログデータ解析部254、データ抽出部257、在庫量演算部260、ソート処理部264、ソートデータ送信部268、地域別在庫量データ作成部270、地域別在庫量データ送信部274、及び磁気ディスク装置等の記憶装置256,258,262,266,272が配置される。データログ受信部252、ログデータ解析部254、データ抽出部257、在庫量演算部260、ソート処理部264、ソートデータ送信部268、地域別在庫量データ作成部270、及び地域別在庫量データ送信部274、といった各部は、処理回路を含み、その処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各部は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。例えば、処理回路として、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、または、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を用いてもよい。データログ受信部252、ログデータ解析部254、データ抽出部257、在庫量演算部260、ソート処理部264、ソートデータ送信部268、地域別在庫量データ作成部270、及び地域別在庫量データ送信部274内に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度メモリ251に記憶される。
【0034】
また、データセンター200には、後述するように、水素ステーション102毎に異なるフォーマットで作成されたログデータが各水素ステーション102のクライアント端末100から送信されてくる。そのため、記憶装置256内には、各水素ステーション102と、当該各水素ステーション102において作成されるログデータのフォーマットとの相関関係を示すログフォーマットテーブル273が格納される。また、各水素ステーション102には、在庫量を演算するタイミングとなる複数の個別演算タイミングが設定されている。そのため、記憶装置256内には、各水素ステーション102と、当該各水素ステーション102における在庫量の演算タイミング及び演算方法との相関関係を示すタイミングテーブル271が格納される。
【0035】
各水素ステーション102では、営業時間前、或いは営業開始後直ちに高圧蓄圧器40に、所定の圧力(例えば82MPa)の水素ガスが蓄圧されているかどうかを確認する。蓄圧が十分でない場合には、制御回路104による制御のもと、圧縮機20を運転して、バルブ34,44を閉にした状態でバルブ46を開にして、所定の圧力(例えば82MPa)になるまで、高圧蓄圧器40に高圧の水素ガスを蓄圧する。その際、通常、制御回路104による制御のもと、バルブ36を閉にした状態でバルブ14を開にしてトレーラー10に蓄圧されている水素ガスを圧縮機20の吸い込み口に供給し、圧縮して高圧蓄圧器40を復圧する。これでも水素ガスが不足する場合、バルブ14を閉にした状態でバルブ36を開にして中間蓄圧器30に蓄圧されている水素ガスを圧縮機20の吸い込み口に供給し、圧縮して高圧蓄圧器40を復圧してもよい。これにより、FCV車両60の受け入れ準備ができる。上述の制御以外の方法として、中間蓄圧器30を主に使用して高圧蓄圧器40を復圧してもよい。制御回路104による制御のもと、バルブ14を閉にした状態でバルブ36を開にして中間蓄圧器30に蓄圧されている水素ガスを圧縮機20の吸い込み口に供給し、圧縮して高圧蓄圧器40を復圧する。これでは水素ガスが不足する場合、制御回路104による制御のもと、バルブ36を閉にした状態でバルブ14を開にしてトレーラー10に蓄圧されている水素ガスを圧縮機20の吸い込み口に供給し、圧縮して高圧蓄圧器40を復圧してもよい。これにより、FCV車両60の受け入れ準備ができる。高圧蓄圧器40の復圧によって、中間蓄圧器30の圧力が低下する。その場合には、制御回路104による制御のもと、バルブ36,46を閉にした状態でバルブ14,34を開にしてトレーラー10の蓄圧器に蓄圧されている水素ガスを圧縮器20で圧縮して中間蓄圧器30が所定の圧力(例えば、45MPa)になるまで復圧する。圧縮機20は、中間蓄圧器30および高圧蓄圧器40がそれぞれの規定の圧力になったら運転を停止する。そして、中間蓄圧器30或いは高圧蓄圧器40の圧力が基準値より低下した場合に、圧縮機は運転を開始し、中間蓄圧器30および高圧蓄圧器40がそれぞれの規定の圧力になったら圧縮機は運転を停止する。かかる動作を繰り返す。圧縮機20が運転していない状態では、通常、バルブ14,36,34,46は閉に制御される。
【0036】
FCV60が水素ステーション102に到来すると、水素ステーション102の作業員或いはFCV60のユーザが、ディスペンサ50のノズル51を、FCV60の燃料タンクの受け口(レセプタクル)に接続(嵌合)し、固定する。FCV60が水素ステーション102内に到来し、ユーザ或いは水素ステーション102の作業員によってディスペンサ50のノズル51がFCV60の燃料タンクの受け口(レセプタクル)に接続、固定されると、FCV60の車載器とディスペンサ50の制御回路(中継器)との通信が確立される。
【0037】
次に、FCV60の車載器とディスペンサ50の制御回路との通信が確立されると、FCV60の車載器からは、FCV60の燃料タンクの現在の圧力、温度、及び燃料タンクの容積といったFCV情報が、リアルタイムで出力(発信)される。FCV情報は、ディスペンサ50の制御回路を中継して、制御回路104に送信される。制御回路104内では、FCV情報を受信する。制御回路104は、FCV60の車載器とディスペンサ50の制御回路との通信が確立されている間、常時或いは所定のサンプリング間隔(例えば、10m秒~数秒)で、FCV情報を取得する。
【0038】
制御回路104内では、受信された燃料タンクの受信初期時の圧力Pa、温度Ti、燃料タンクの容積V、及び外気温度Tに対応する最終圧PFを演算し、予測する。
【0039】
次に、制御回路104は、高圧蓄圧器40を用いてFCV60の燃料タンクに水素ガスを差圧供給(充填)するための充填制御フロー計画を作成する。高圧蓄圧器40が多段蓄圧器で構成される場合、燃料タンクの圧力が最終圧PFになるための多段蓄圧器の各蓄圧器の選択と多段蓄圧器の切り換えタイミングとを含む充填制御フローの計画を作成する。充填制御フローの計画を行う場合に、制御回路104は、水素ステーション102の外気温度に応じて、圧力上昇率を設定し、かかる圧力上昇率に対応する充填速度を演算する。さらに、急激な温度上昇を抑えるために、充填途中からFCV60の燃料タンクの温度に水素ステーション102の外気温度に応じて決まる圧力上昇率に対応する充填速度を演算する。これらの条件で充填制御フローが計画され、充填開始から最終圧PFに到達するまでの時間T3(到達時間)が得られる。なお、本実施の形態では、水素ステーション102の外気温度を用いて充填速度を決定しているが、直接測定された水素温度を用いて充填速度を決定してもよいし、外気温度と水素温度の双方を用いて充填速度を決定してもよい。
【0040】
次に、バルブ44を開に制御して、作成された充填制御フロー計画に沿って、高圧蓄圧器40からディスペンサ50(計量機)を介してFCV60に搭載された燃料タンクに水素ガスを差圧充填する。高圧蓄圧器40として多段蓄圧器を用いる場合、具体的には、以下のように動作する。多段蓄圧器を用いることで、充填時間を短縮できる。
【0041】
図4は、多段蓄圧器を用いて水素燃料の差圧充填を行う場合の充填の仕方を説明するための図である。
図4において縦軸は圧力を示し、横軸は時間を示す。FCV60に水素燃料の差圧充填を行う場合、通常、予め、多段蓄圧器の各蓄圧器は、同じ圧力P
0(例えば、82MPa)に蓄圧されている。一方、水素ステーション102に到来したFCV60の燃料タンクは圧力P
aになっている。かかる状態からFCV60の燃料タンクに充填を開始する場合について説明する。
【0042】
まず、多段蓄圧器のうち1stバンクとなる蓄圧器から燃料タンクに充填を開始する。これにより、1stバンクの蓄圧器から燃料タンクに水素燃料が供給される。蓄圧器と燃料タンクとの差圧によって蓄圧器内に蓄圧された水素燃料は燃料タンク側へと調整された充填速度で移動し、燃料タンクの圧力は点線Ptに示すように徐々に上昇していく。それに伴い、1stバンクの蓄圧器の圧力(「1st」で示すグラフ)は徐々に減少する。そして、1stバンクの使用下限圧力に到達した、充填開始から時間T1が経過した時点で、1stバンクの蓄圧器から2ndバンクの蓄圧器に切り替えられる。これにより、時間T1まで使用した1stバンクの蓄圧器より2ndバンクの蓄圧器の方が残圧が大きい(燃料タンクとの間の差圧が大きい)ため、充填速度が速い状態を維持できる。
【0043】
そして、2ndバンクの蓄圧器と燃料タンクとの差圧によって2ndバンクの蓄圧器内に蓄圧された水素燃料は燃料タンク側へと調整された充填速度で移動し、燃料タンクの圧力は点線Ptに示すようにさらに上昇していく。それに伴い、2ndバンクの蓄圧器の圧力(「2nd」で示すグラフ)は徐々に減少する。そして、2ndバンクの使用下限圧力に到達した、充填開始から時間T2が経過した時点で、2ndバンクの蓄圧器から3rdバンクとなる蓄圧器に使用する蓄圧器が切り替えられる。これにより、時間T2まで使用した2ndバンクの蓄圧器より3rdバンクの蓄圧器の方が残圧の大きい(燃料タンクとの間の差圧が大きい)ため、充填速度が速い状態を維持できる。
【0044】
そして、3rdバンクの蓄圧器と燃料タンクとの差圧によって3rdバンクの蓄圧器内に蓄圧された水素燃料は燃料タンク側へと調整された充填速度で移動し、燃料タンクの圧力は点線Ptに示すようにさらに上昇していく。それに伴い、3rdバンクの蓄圧器の圧力(「3rd」で示すグラフ)は徐々に減少する。そして、3rdバンクの蓄圧器によって燃料タンクの圧力が最終圧PF(例えば65~81MPa)になるまで充填する。
【0045】
以上のように、1stバンクから順に水素ガスを燃料タンクに充填していくことになる。上述した例では、水素ステーション102に到来するFCV60の燃料タンクの圧力P1が予め設定された1stバンクの蓄圧器の使用下限圧力程度よりも十分に低い圧力であった場合を示している。一例としては、満充填(満タン)時の例えば1/2以下といった十分に低い状態の場合を示している。かかる場合には、FCV60の燃料タンクの圧力を最終圧力PFに急速充填するためには、例えば3本の蓄圧器があると好適である。但し、水素ステーション102に到来するFCV60は、燃料タンクの圧力が十分に低い場合に限るものではない。燃料タンクの圧力が満充填時の例えば1/2より高い場合、例えば2本の蓄圧器でも十分足りる場合もあり得る。さらに、燃料タンクの圧力が高い場合、例えば1本の蓄圧器で足りる場合もあり得る。
【0046】
FCV60の燃料タンクへの水素ガスの充填(供給)が終了すると、ディスペンサ50のノズル51をFCV60の燃料タンクの受け口(レセプタクル)から外し、ユーザは、計量された充填量に応じた料金を支払って、水素ステーション102から退場することになる。
【0047】
高圧蓄圧器40によりFCV60への水素充填が行われ、高圧蓄圧器40内の圧力が低下した場合、及び/或いは高圧蓄圧器40からの水素供給ではFCV60への充填量が不足している場合、制御回路104の制御のもと、圧縮機20の運転を開始して、例えば中間蓄圧器30に蓄圧されている水素ガスを圧縮して、高圧蓄圧器40を所定の圧力(例えば82MPa)になるまで復圧する。
【0048】
各水素ステーション102では、営業時間中、以上の動作を繰り返し行っている。これにより、各水素ステーショ ン102における水素ガスの在庫量が刻々と変化していく。各水素ステーション102では、水素ガスがトレーラー10、中間蓄圧器30、及び高圧蓄圧器40に蓄圧されている。よって、各水素ステーション102における水素ガスの在庫量は、これらに蓄圧された水素ガスの合計量(kg)となる。それぞれの蓄圧量(水素ガスの重量)は、蓄圧容器の容量(容積)Vと、圧力Pと、温度Tとを用いて、PVT法(体積法)により求めることができる。ここで、従来、各オフサイトSTでは、作業員がオフサイトST内に配置される蓄圧器等の各設備の情報を取得し、手作業で記録等の対応を行っていた。具体的には、作業員が各設備の状態を示す各計器(例えば圧力計、温度計)から情報(例えば圧力、温度)を読み取り、当該情報(データ)をデータシートに記入し、本社の管理機関に送っていた。そのため、各作業員による読み取り誤差が生じていた。特にアナログ計器から数値を読み取る場合には誤差が大きく発生し得る。また、各オフサイトSTに、設置される各計器が異なっていたり、各計器から情報を読み取るタイミングが異なっていたりするケースがある。そのため、得られたデータ(各計器からの読み取り情報)から各オフサイトSTにおける水素ガスの在庫量を正確に把握することが困難であるといった問題があった。その結果、どのオフサイトSTにどれだけの水素ガスをいつ輸送すればよいのか、経験則に頼らざるを得ない状況となっていた。そこで、実施の形態1では、各オフサイトSTの水素ガスの在庫量をより高精度に把握するために、各水素ステーション102において設定された個別サンプリングタイミングで、例えばトレーラー10の蓄圧器、中間蓄圧器30、及び高圧蓄圧器40の圧力Pと温度Tを自動的にサンプリングして、ログデータを作成し、データセンター200に自動送信する。そして、データセンター200にてログデータに適合した当該各水素ステーション102の個別演算タイミングで在庫量を演算する。
【0049】
図5は、実施の形態1における水素ガス在庫量取得方法の要部工程を示すフローチャート図の一例である。
図5の例では、各水素ステーション102で実施される各工程のうち、3つのオフサイトST(A)、オフサイトST(B)、及びオフサイトST(C)で実施される各工程を示すが、その他の水素ステーション102についても同様の工程が実施される。
図5において、実施の形態1における水素ガス在庫量取得方法は、オフサイトST(A)にて実施される、データサンプリング工程(S102)と、ログデータA作成工程(S104)と、ログデータA送信工程(S106)と、オフサイトST(B)にて実施される、データサンプリング工程(S112)と、ログデータB作成工程(S114)と、ログデータB送信工程(S116)と、オフサイトST(C)にて実施される、データサンプリング工程(S122)と、ログデータC作成工程(S124)と、ログデータC送信工程(S126)と、ログデータ入力工程(S130)と、ログデータ解析工程(S132)と、データ抽出工程(S140)と、在庫量A演算工程(S142)と、データ抽出工程(S150)と、在庫量B演算工程(S152)と、データ抽出工程(S160)と、在庫量C演算工程(S162)と、ソート処理工程(S170)と、ソートデータ送信工程(S172)と、地域別在庫データ作成工程(S174)と、地域別在庫データ出力工程(S176)と、表示工程(S180)と、いう一連の工程を実施する。データサンプリング工程は、情報取得工程と読み替えても好適である。
【0050】
ログデータ入力工程(S130)と、ログデータ解析工程(S132)と、データ抽出工程(S140)と、在庫量A演算工程(S142)と、データ抽出工程(S150)と、在庫量B演算工程(S152)と、データ抽出工程(S160)と、在庫量C演算工程(S162)と、ソート処理工程(S170)と、ソートデータ送信工程(S172)と、地域別在庫データ作成工程(S174)と、地域別在庫データ出力工程(S176)と、はデータセンター200内で実施される。
図5の例では、3つのオフサイトST(A)、オフサイトST(B)、及びオフサイトST(C)について示しているので、オフサイトST(A)用のデータ抽出工程(S140)と在庫量A演算工程(S142)が実施され、オフサイトST(B)用のデータ抽出工程(S150)と在庫量B演算工程(S152)が実施され、オフサイトST(C)用のデータ抽出工程(S160)と在庫量C演算工程(S162)が実施される場合を示している。データ抽出工程と在庫量演算工程の組は、水素ステーション102の数だけ存在する。また、表示工程(S180)はサーバ端末300で実施される。
【0051】
まず、各水素ステーション102内のクライアント端末100内では、データ受信部152が、通信制御回路150を介して、制御回路104から、所定のサンプリング周期で圧力を計測している各圧力計12,32,42にて計測された圧力データと、温度計33,43,48にて計測された温度データとを受信し、記憶装置154にデータの取得時刻と共に格納する。これにより、記憶装置154内には、トレーラー10についての圧力データであるトレーラーデータ、中間蓄圧器30についての圧力データ及び温度データである中間蓄圧器データ、高圧蓄圧器40についての圧力データ及び温度データである高圧蓄圧器データ、および水素ステーション102の敷地内の外気温度データである外気温データが格納される。本実施の形態では、水素ステーション102の敷地内の外気温度をトレーラー10の蓄圧器の温度として代替利用しているが、トレーラー10の蓄圧器の温度を直接取得できる場合は、外気温度ではなく蓄圧器の温度を記憶装置154に記憶してもよい。
【0052】
データサンプリング工程(S102)として、クライアント端末100a内のサンプリング処理部155は、予め設定された個別サンプリングタイミングにて当該水素ステーション102に配置された各計器(例えば圧力計、温度計)からパラメータデータ(例えば圧力、温度)をサンプリングにより取得する。具体的には、サンプリング処理部155は、記憶装置154に格納されているオフサイトST(A)内でのトレーラーデータ、中間蓄圧器データ、高圧蓄圧器データ、および外気温度データを参照し、オフサイトST(A)用にクライアント端末100aに予め設定された個別サンプリングタイミングで各圧力、各蓄圧器温度および外気温度を情報としてサンプリングする。例えば、オフサイトST(A)では、オフサイトST(A)内のクライアント端末100aに予め設定された個別サンプリングタイミングとして、圧縮機20の運転開始時刻から運転停止時刻までの期間継続する所定のサンプリング周期が用いられる。所定のサンプリング周期としては、例えば数10msec~数secの周期が挙げられるが、中でも情報精度および情報処理負荷の観点から0.1sec~2secが好適である。
【0053】
ログデータA作成工程(S104)として、クライアント端末100a内のログデータ作成部156は、オフサイトST(A)において各計器から取得されたパラメータのログデータを作成する。ログデータ作成部156におけるログデータの作成タイミングとしては、特に制限はないが、圧縮機20が運転停止する毎に行うと好適である。圧縮機20が継続して停止しているとき、または、圧縮機20を運転しているときは、圧力計により蓄圧器の圧力を正確に取得できないことがある。それに対して、圧縮機停止直後は、各蓄圧器の圧力がより正確になるまた、記憶装置158におけるログデータの更新は、過去のログデータに追加或いは上書きするようにして行うと好適である。
【0054】
図6は、実施の形態1におけるログデータの一例を示す図である。
図6の例では、オフサイトST(A)におけるログデータAの一例を示している。
図6に示すログデータAでは、例えば、ヘッダに、どの水素ステーション102であるかを識別するための水素ステーション識別子として、例えば「ログデータA」と記録される。加えて、ログデータAには、例えば、パラメータデータの取得時刻、トレーラー10の圧力P1、中間蓄圧器30の圧力P2と温度T2、高圧蓄圧器40の圧力P3と温度T3、オフサイトST(A)の敷地内の外気温度T、及び圧縮機20のON/OFF識別子が記録される。作成されたログデータAは、記憶装置158に格納される。
【0055】
ログデータA送信工程(S106)として、クライアント端末100a内のログデータ送信部159は、通信制御回路150およびネットワーク2を介して、ログデータAをデータセンター200に送信する。このログデータ送信部159は、例えば、ログデータAを更新する毎に送信すると好適である。
【0056】
データサンプリング工程(S112)として、クライアント端末100b内のサンプリング処理部155は、予め設定された個別サンプリングタイミング(第1の個別タイミング)にて当該水素ステーション102に配置された複数の計器が計測する複数のパラメータのデータから、かかる複数のパラメータをサンプリングにより取得する。具体的には、サンプリング処理部155は、記憶装置154に格納されているオフサイトST(B)内でのトレーラーデータ、中間蓄圧器データ、高圧蓄圧器データ、および外気温データを参照し、オフサイトST(B)用にクライアント端末100bに予め設定された個別サンプリングタイミングで各圧力および外気温度を複数のパラメータとしてサンプリングする。例えば、オフサイトST(B)では、オフサイトST(B)内のクライアント端末100bに予め設定された個別サンプリングタイミングとして、高圧蓄圧器40から計量機50を介してFCV車両60へ水素ガスを供給開始した時刻から供給終了した時刻までの期間継続する所定のサンプリング周期が用いられる。所定のサンプリング周期として、例えば、数10ms~数sの周期(例えば1秒)が用いられると好適である。サンプリング処理部155は、FCV車両60への水素ガスの供給が終了する毎に、データのサンプリングを実施すると好適である。
【0057】
ログデータB作成工程(S114)として、クライアント端末100b内のログデータ作成部156は、オフサイトST(B)においてサンプリングされた複数のパラメータのログデータを作成する。ログデータ作成部156は、FCV車両60への水素ガスの供給が終了する毎に、ログデータを作成し、過去のログデータに追加或いは上書きするログデータの更新を行うと好適である。
【0058】
図7は、実施の形態1におけるログデータの他の一例を示す図である。
図7の例では、オフサイトST(B)におけるログデータの一例を示している。
図7に示すログデータでは、例えば、ヘッダに、水素ステーション102を識別する識別子(B)が付いた「ログデータB」が定義される。続いて、例えば、時刻、外気温度T、中間蓄圧器30の圧力P2と温度T2、高圧蓄圧器40の圧力P3と温度T3、トレーラー10の圧力P1、充填開始/終了の識別子、及び充填量Qの順で定義される。作成されたログデータは、記憶装置158に一時的に格納される。充填量Qは、ディスペンサ50で計量された充填量が定義される。
【0059】
ログデータB送信工程(S116)として、クライアント端末100b内のログデータ送信部159は、通信制御回路150を介して、ログデータを当該水素ステーション102の識別情報と共に、ネットワーク2を通じてデータセンター200に送信する。
図7の例では、ログデータのヘッダにオフサイトST(B)識別する識別子(B)が当該水素ステーション102の識別情報として定義される。ログデータ送信部159は、例えば、ログデータを更新する毎に送信すると好適である。
【0060】
データサンプリング工程(S122)として、クライアント端末100c内のサンプリング処理部155は、予め設定された個別サンプリングタイミング(第1の個別タイミング)にて当該水素ステーション102に配置された複数の計器が計測する複数のパラメータのデータから、かかる複数のパラメータをサンプリングにより取得する。具体的には、サンプリング処理部155は、記憶装置154に格納されているオフサイトST(C)内でのトレーラーデータ、中間蓄圧器データ、高圧蓄圧器データ、および外気温データを参照し、オフサイトST(C)用にクライアント端末100cに予め設定された個別サンプリングタイミングで各圧力および外気温度を複数のパラメータとしてサンプリングする。例えば、オフサイトST(C)では、オフサイトST(C)内のクライアント端末100cに予め設定された個別サンプリングタイミングとして、水素ステーション102の営業時間の間継続する所定のサンプリング周期が用いられる。所定のサンプリング周期として、例えば、数10ms~数sの周期(例えば1秒)が用いられると好適である。サンプリング処理部155は、例えば、30分~1時間毎に、データのサンプリングを実施すると好適である。
【0061】
ログデータC作成工程(S124)として、クライアント端末100c内のログデータ作成部156は、オフサイトST(C)においてサンプリングされた複数のパラメータのログデータを作成する。ログデータ作成部156は、例えば、30分~1時間毎に、ログデータを作成し、過去のログデータに追加或いは上書きするログデータの更新を行うと好適である。
【0062】
図8は、実施の形態1におけるログデータの他の一例を示す図である。
図8の例では、オフサイトST(C)におけるログデータの一例を示している。
図8に示すログデータでは、例えば、ヘッダに、水素ステーション102を識別する識別子(C)が付いた「ログデータC」が定義される。続いて、例えば、時刻、トレーラー10の圧力P1、中間蓄圧器30の圧力P2と温度T2、中間蓄圧器の蓄圧回数、高圧蓄圧器40の圧力P3と温度T3、及び外気温度Tの順で定義される。作成されたログデータは、記憶装置158に一時的に格納される。
【0063】
ログデータC送信工程(S126)として、クライアント端末100c内のログデータ送信部159は、通信制御回路150を介して、ログデータを当該水素ステーション102の識別情報と共に、ネットワーク2を通じてデータセンター200に送信する。
図8の例では、ログデータのヘッダにオフサイトST(C)識別する識別子(C)が当該水素ステーション102の識別情報として定義される。ログデータ送信部159は、例えば、ログデータを更新する毎に送信すると好適である。
【0064】
ここで、上述した例では、クライアント端末100内に、所定のサンプリング周期で圧力を計測している各圧力計12,32,42にて計測された圧力データと、温度計33,43,48にて計測された温度データとを一旦受信した後に、データ全体から設定された個別サンプリングタイミングでサンプリングしているが、これに限るものではない。各圧力計12,32,42および温度計33,43,48から、或いは制御回路104から、設定された個別サンプリングタイミングでサンプリングしたデータだけをデータ受信部152が受信するようにしてもよい。
【0065】
図6~
図8に示したように、各水素ステーション102のクライアント端末100で作成されるログデータは、そのサンプリングタイミングが異なる。また、作成されるフォーマットも異なる。なお、2か所以上の水素ステーション102にて、同じサンプリングタイミング或いは/及び同じフォーマットでログデータが作成されても構わないことは言うまでもない。
【0066】
ログデータ入力工程(S130)として、データセンター200内のデータログ受信部252(データ入力部)は、通信制御回路150を介してネットワーク2を通じて、各水素ステーション102のクライアント端末100で作成されるログデータを順次受信する。例えば、オフサイトST(A)のクライアント端末100aからは、
図6に示したログデータAのファイルが受信される。例えば、オフサイトST(B)のクライアント端末100bからは、
図7に示したログデータBのファイルが受信される。例えば、オフサイトST(C)のクライアント端末100cからは、
図8に示したログデータCのファイルが受信される。
【0067】
ログデータ解析工程(S132)として、データセンター200内のログデータ解析部254は、記憶装置256に格納されたログフォーマットテーブルを参照して、受信されたログデータを解析する。具体的には以下のように動作する。ログデータ解析部254は、まず、受信されたログデータから水素ステーション102の識別子(識別情報)を認識して、当該水素ステーション102を特定する。次に、ログデータ解析部254は、ログフォーマットテーブルを参照して、特定された水素ステーション102用のログフォーマットを取得する。取得されたログフォーマットには、どの位置(アドレス)に何のデータが定義されているかが示される。また、ログフォーマットには、各蓄圧器の容積が含まれている。例えば、トレーラー10の蓄圧器の容積、中間蓄圧器30の容積、及び高圧蓄圧器40の容積をログフォーマットから取得できる。このように、ログデータを解析することにより、異なるフォーマットの複数のログデータが混在する場合でも、ログデータ毎のフォーマットを特定できると共に、各ログデータにおける各位置(アドレス)のデータの意味を把握でき、蓄圧器等の容積を取得できる。
【0068】
データ抽出工程(S140)として、データセンター200内のデータ抽出部257は、ログデータ解析部254によりログデータを解析した情報から水素ステーション102の水素ガスの在庫量を演算するために必要なデータを抽出する。ここではログデータAから水素ステーション102の水素ガスの在庫量を演算するために必要なデータを抽出する。具体的には以下のように動作する。データ抽出部257は、まず、受信されたログデータから水素ステーション102の識別子(識別情報)を認識して、当該水素ステーション102を特定する。次に、データ抽出部257は、記憶装置256に格納されたタイミングテーブル271を参照し、特定された水素ステーション102用の在庫量を演算するタイミングとなる個別タイミング情報を取得する。取得された個別タイミング情報には、在庫量を演算する個別タイミング(時期)と、在庫量を演算するために必要なデータとが定義される。データ抽出部257は、個別タイミングでの水素ガスの在庫量を演算するために必要なデータをログデータ解析部254における解析情報から抽出する。ログデータ毎に抽出された抽出データは、水素ステーション102の識別子に関連させて、それぞれ記憶装置258に格納される。
【0069】
例えば、オフサイトST(A)では、
図6に示すように、圧縮機20の運転停止(OFF)時刻が在庫量を演算する個別タイミング(時期)となる。そして、データ抽出部257は、ログデータAのログフォーマットに基づいて、個別タイミングでの水素ガスの在庫量を演算するために必要な抽出データとして、圧縮機20の運転停止(OFF)時刻におけるトレーラー10の蓄圧器の圧力P1と容積V1、中間蓄圧器30の圧力P2と温度T2と容積V2、高圧蓄圧器40の圧力P3と温度T3と容積V3、及び外気温度Tの各データを抽出する。
【0070】
在庫量A演算工程(S142)として、データセンター200内の在庫量演算部260は、記憶装置258に格納された抽出データを用いて、水素ガスの在庫量Aを演算する。具体的には以下のように動作する。在庫量演算部260は、記憶装置258からオフサイトST(A)の識別子に関連させて格納された抽出データを読み出す。これにより、かかる抽出データとして、圧縮機20の運転停止(OFF)時刻におけるトレーラー10の圧力P1、中間蓄圧器30の圧力P2と温度T2、高圧蓄圧器40の圧力P3と温度T3、及び外気温度Tの各データを取得する。また、在庫量演算部260は、ログデータAのログフォーマットから、トレーラー10の蓄圧器の容積V1、中間蓄圧器30の容積V2、及び高圧蓄圧器40の容積V3を取得する。そして、在庫量演算部260は、抽出データおよび各蓄圧容器の容積を使って、圧縮機20の運転停止(OFF)時刻でのオフサイトST(A)の水素ガスの在庫量を演算する。具体的には、トレーラー10、中間蓄圧器30、及び高圧蓄圧器40といった蓄圧器の蓄圧量(水素ガスの重量)は、蓄圧器の容積Vと、圧力Pと、温度Tとを用いて、PVT法(体積法)により求めることができる。具体的には、トレーラー10、中間蓄圧器30、及び高圧蓄圧器40といった蓄圧容器の圧力Pと温度Tとを用いて、水素固有の圧縮率から蓄圧容器の水素ガスの密度ρ(P,T)が演算できる。中間蓄圧器30及び高圧蓄圧器40の温度については、自身の温度T2,T3を用いればよい。トレーラー10の蓄圧器の温度については、外気温度Tを用いればよい。外気温度Tではなく、トレーラー10の蓄圧器の温度を直接取得して用いてもよい。かかる蓄圧容器の水素ガスの密度ρ(P,T)に蓄圧容器の容積Vを乗じることで、蓄圧容器の水素ガスの重量(kg)を演算できる。そして、在庫量演算部260は、圧縮機20の運転停止(OFF)時刻でのトレーラー10に蓄圧されている水素ガスの重量W1(kg)と、中間蓄圧器30に蓄圧されている水素ガスの重量W2(kg)と、高圧蓄圧器40に蓄圧されている水素ガスの重量W3(kg)と、を合算して、圧縮機20の運転停止(OFF)時刻でのオフサイトST(A)の水素ガスの在庫量A(kg)を演算する。中間蓄圧器30の圧力P2は、バルブ34が閉である状態では、誤差が生じる場合がある。そのため、バルブ34が開の状態で計測された圧力データを用いることが望ましい。同様に、高圧蓄圧器40の圧力P3は、バルブ46が閉である状態では、誤差が生じる場合がある。そのため、バルブ46が開の状態で計測された圧力データを用いることが望ましい。圧縮機20の運転停止(OFF)時刻は、バルブ34或いはバルブ46がそれまで開の状態に制御されている。そのため、オフサイトST(A)では、圧縮機20の運転停止(OFF)時刻での中間蓄圧器30の圧力P2および高圧蓄圧器40の圧力P3を在庫量演算に用いることで、少なくとも中間蓄圧器30の圧力P2或いは高圧蓄圧器40の圧力P3を高精度に計測できる。演算された在庫量Aは、記憶装置262に格納される。
【0071】
データ抽出工程(S150)として、データセンター200内のデータ抽出部257は、受信されたログデータBから当該ログデータBの基になる水素ステーション102の水素ガスの在庫量を演算するために必要なデータを抽出する。具体的な動作はデータ抽出工程(S140)と同様である。抽出された抽出データは、水素ステーション102の識別子に関連させて、それぞれ記憶装置258に格納される。
【0072】
例えば、オフサイトST(B)では、
図7に示すように、FCV車両60へ水素ガスを供給終了(充填終了)した時刻が在庫量を演算する個別タイミング(時期)となる。そして、データ抽出部257は、ログデータBのログフォーマットに基づいて、個別タイミングでの水素ガスの在庫量を演算するために必要なデータとして、FCV車両60へ水素ガスを供給開始(充填開始)した時刻における外気温度T、中間蓄圧器30の圧力P2と温度T2、高圧蓄圧器40の圧力P3と温度T3、及びトレーラー10の圧力P1と、FCV車両60へ水素ガスを供給終了(充填終了)した時刻におけるFCV車両60への充填量Qと、の各データをログデータBから抽出する。
【0073】
在庫量B演算工程(S152)として、データセンター200内の在庫量演算部260は、水素ステーション102毎に、入力された複数のパラメータのログデータを用いて、複数の水素ステーション102に予め設定された複数の個別タイミングのうち、当該水素ステーション102に予め設定された個別タイミングでの水素ガスの在庫量を演算する。ここでは、ログデータBに基づいた水素ガスの在庫量Bを演算する。具体的には以下のように動作する。在庫量演算部260は、記憶装置258からオフサイトST(B)の識別子に関連させて格納された抽出データを読み出す。これにより、かかる抽出データとして、FCV車両60へ水素ガスを供給開始(充填開始)した時刻における外気温度T、中間蓄圧器30の圧力P2と温度T2、高圧蓄圧器40の圧力P3と温度T3、及びトレーラー10の圧力P1と、FCV車両60へ水素ガスを供給終了(充填終了)した時刻におけるFCV車両60への充填量Qと、の各データを取得する。また、在庫量演算部260は、ログデータBのログフォーマットから、トレーラー10の蓄圧容器の容積V1、中間蓄圧器30の容積V2、及び高圧蓄圧器40の容積V3を取得する。そして、在庫量演算部260は、抽出データおよび各蓄圧容器の容積を使って、FCV車両60へ水素ガスを供給終了(充填終了)した時刻でのオフサイトST(B)の水素ガスの在庫量を演算する。ログデータBでは、FCV車両60へ水素ガスを供給開始(充填開始)した時刻におけるオフサイトST(B)の在庫量から、FCV車両60へ水素ガスを供給終了(充填終了)した時刻におけるFCV車両60への充填量Qを差し引いた値を、FCV車両60へ水素ガスを供給終了(充填終了)した時刻におけるオフサイトST(B)の在庫量として演算する。ここでも各蓄圧容器の水素ガスの重量(kg)をPVT法(体積法)により求めることができる。具体的には、トレーラー10、中間蓄圧器30、及び高圧蓄圧器40といった蓄圧容器の圧力Pと温度Tとを用いて、水素固有の圧縮率から蓄圧容器の水素ガスの密度ρ(P,T)が演算できる。かかる蓄圧容器の水素ガスの密度ρ(P,T)に蓄圧容器の容積Vを乗じることで、蓄圧容器の水素ガスの重量(kg)を演算できる。中間蓄圧器30、及び高圧蓄圧器40の温度については、自身の温度T2,T3を用いればよい。トレーラー10の温度については、外気温度Tを用いればよい。そして、在庫量演算部260は、FCV車両60へ水素ガスを供給開始(充填開始)した時刻でのトレーラー10に蓄圧されている水素ガスの重量1(kg)と、中間蓄圧器30に蓄圧されている水素ガスの重量2(kg)と、高圧蓄圧器40に蓄圧されている水素ガスの重量3(kg)と、を合算して、FCV車両60へ水素ガスを供給開始(充填開始)した時刻でのオフサイトST(B)の水素ガスの在庫量b(kg)を演算する。そして、在庫量演算部260は、FCV車両60へ水素ガスを供給開始(充填開始)した時刻でのオフサイトST(B)の水素ガスの在庫量bからFCV車両60へ水素ガスを供給終了(充填終了)した時刻におけるFCV車両60への充填量Qを差し引く。これにより、在庫量演算部260は、FCV車両60へ水素ガスを供給終了(充填終了)した時刻でのオフサイトST(B)の水素ガスの在庫量B(kg)を演算する。高圧蓄圧器40の圧力P3は、バルブ44が閉である状態では、誤差が生じる場合がある。そのため、バルブ44が開の状態で計測された圧力データを用いることが望ましい。FCV車両60へ水素ガスを供給開始(充填開始)した時刻は、高圧蓄圧器40からFCV車両60へ水素ガスを供給するのでバルブ44が開の状態に制御されている。そのため、オフサイトST(B)では、FCV車両60へ水素ガスを供給開始(充填開始)した時刻での高圧蓄圧器40の圧力P3を在庫量演算に用いることで、高圧蓄圧器40の圧力P3を高精度に計測できる。演算された在庫量Bは、記憶装置262に格納される。
【0074】
データ抽出工程(S160)として、データセンター200内のデータ抽出部257は、受信されたログデータCから当該ログデータCの基になる水素ステーション102の水素ガスの在庫量を演算するために必要なデータを抽出する。具体的な動作はデータ抽出工程(S140)と同様である。抽出された抽出データは、水素ステーション102の識別子に関連させて、それぞれ記憶装置258に格納される。
【0075】
例えば、オフサイトST(C)では、
図8に示すように、中間蓄圧器30へとトレーラー10から水素ガスが荷下ろしされている間の時刻が在庫量を演算する個別タイミング(時期)となる。
図8の例では、荷下ろしされている間の時刻として、中間蓄圧器30への蓄圧回数が切り替わった時刻、例えば、ゼロから1に切り替わった時刻、及び1から2に切り替わった時刻が在庫量を演算する個別タイミング(時期)としている。そして、データ抽出部257は、ログデータCのログフォーマットに基づいて、個別タイミングでの水素ガスの在庫量を演算するために必要なデータとして、中間蓄圧器30への蓄圧回数が切り替わった時刻におけるトレーラー10の圧力P1、中間蓄圧器30の圧力P2と温度T2、高圧蓄圧器40の圧力P3と温度T3、及び外気温度Tの各データをログデータCから抽出する。
【0076】
在庫量C演算工程(S162)として、データセンター200内の在庫量演算部260は、水素ステーション102毎に、入力された複数のパラメータのログデータを用いて、複数の水素ステーション102に予め設定された複数の個別タイミングのうち、当該水素ステーション102に予め設定された個別タイミングでの水素ガスの在庫量を演算する。ここでは、ログデータCに基づいた水素ガスの在庫量Cを演算する。具体的には以下のように動作する。在庫量演算部260は、記憶装置258からオフサイトST(C)の識別子に関連させて格納された抽出データを読み出す。これにより、かかる抽出データとして、中間蓄圧器30への蓄圧回数が切り替わった時刻におけるトレーラー10の圧力P1、中間蓄圧器30の圧力P2と温度T2、高圧蓄圧器40の圧力P3と温度T3、及び外気温度Tの各データを取得する。また、在庫量演算部260は、ログデータCのログフォーマットから、トレーラー10の蓄圧容器の容積V1、中間蓄圧器30の容積V2、及び高圧蓄圧器40の容積V3を取得する。そして、在庫量演算部260は、抽出データおよび各蓄圧容器の容積を使って、中間蓄圧器30への蓄圧回数が切り替わった時刻でのオフサイトST(C)の水素ガスの在庫量を演算する。ここでも各蓄圧容器の水素ガスの重量(kg)をPVT法(体積法)により求めることができる。そして、在庫量演算部260は、中間蓄圧器30への蓄圧回数が切り替わった時刻でのトレーラー10に蓄圧されている水素ガスの重量1(kg)と、中間蓄圧器30に蓄圧されている水素ガスの重量2(kg)と、高圧蓄圧器40に蓄圧されている水素ガスの重量3(kg)と、を合算して、中間蓄圧器30への蓄圧回数が切り替わった時刻でのオフサイトST(C)の水素ガスの在庫量C(kg)を演算する。トレーラー10の圧力P1は、バルブ14が閉である状態では、誤差が生じる場合がある。そのため、バルブ14が開の状態で計測された圧力データを用いることが望ましい。中間蓄圧器30への蓄圧回数が切り替わった時刻は、中間蓄圧器30へとトレーラー10から水素ガスが荷下ろしされている期間なので、バルブ14が開の状態に制御されている。そのため、オフサイトST(C)では、中間蓄圧器30へとトレーラー10から水素ガスが荷下ろしされている時刻を個別タイミングに設定することで、トレーラー10の圧力P1を高精度に計測できる。演算された在庫量Cは、記憶装置262に格納される。
【0077】
ソート処理工程(S170)として、データセンター200内のソート処理部264は、予め設定された時間帯ごとに当該時間帯に個別演算タイミングが含まれる水素ステーション102における水素ガスの在庫量を入力し、時間帯ごとに、当該時間帯において在庫量の少ない順に複数の水素ステーションの識別情報をソート処理する。在庫量に基づいてソートするだけでなく、例えば更に、出荷場所と各オフサイトSTとの距離及び移動所要時間、並びに、トレーラーの積載量などを加味して、配送ルート順に識別情報をソートしてもよい。
【0078】
図9は、実施の形態1におけるソートデータの一例を示す図である。
図9の例では、ソートデータとして、時間帯、順位、オフサイトST識別子、及び在庫量(kg)の順で定義される。
図9の例では、例えば、0分から59分までの1時間毎に、水素ガスの在庫量の少ない順に複数の水素ステーション102を列記している。各時間帯の枠の中には、在庫量が演算されなかった水素ステーション102も存在し得る。かかる場合には、在庫量が演算されなかった水素ステーション102を省いて列記すればよい。
図9の例において、例えば、13:00~13:59までの時間帯において、在庫量M1のオフサイトST(C)、在庫量M2のオフサイトST(D)、在庫量M3のオフサイトST(A)、・・・、在庫量MnのオフサイトST(K)の順で水素ガスの在庫量の少ない場合を示している。また、例えば、14:00~14:59までの時間帯において、在庫量m1のオフサイトST(C)、在庫量m2のオフサイトST(A)、在庫量m3のオフサイトST(F)、・・・、在庫量mnのオフサイトST(G)の順で水素ガスの在庫量の少ない場合を示している。ソート処理されたソートデータは、記憶装置266に格納される。
【0079】
ソートデータ送信工程(S172)として、データセンター200内のソートデータ送信部268は、時間帯ごとにソート処理された複数の水素ステーション102の識別情報を在庫量に関連させて出力する。具体的には以下のように動作する。ソートデータ送信部268は、記憶装置266からソートデータを読み出し、通信制御回路250を介して、ソートデータを、ネットワーク2を通じてサーバ端末300に送信する。例えば、規定された時間帯毎に、ソートデータを送信すると好適である。
【0080】
地域別在庫データ作成工程(S174)として、データセンター200内の地域別在庫量データ作成部270は、地域毎に、当該地域のグループに所属する水素ステーション102の在庫量を集計する。
【0081】
図10は、実施の形態1における地域別在庫量データの一例を示す図である。
図10の例では、地域別在庫量データとして、時間帯、地域、オフサイトST識別子、及び合計在庫量(kg)の順で定義される。
図10の例では、例えば、0分から59分までの1時間毎に、各地域に所属する水素ステーション102と、当該地域の水素ステーション102の在庫量の合計在庫量を列記している。各時間帯の枠の中には、在庫量が演算されなかった水素ステーション102も存在し得る。かかる場合には、在庫量が演算されなかった水素ステーション102については前回演算した在庫量を用いてもよい。或いは、在庫量が演算されなかった水素ステーション102については省いて列記しても良い。
図10の例において、例えば、13:00~13:59までの時間帯において、地域1には、オフサイトST(A)、オフサイトST(B)、及びオフサイトST(C)が所属し、これらの水素ステーション102の在庫量の合計在庫量MM1が示されている。13:00~13:59までの時間帯において、地域2には、オフサイトST(D)、及びオフサイトST(E)が所属し、これらの水素ステーション102の在庫量の合計在庫量MM2が示されている。・・・13:00~13:59までの時間帯において、地域Nには、オフサイトST(O)、オフサイトST(P)、オフサイトST(Q)、及びオフサイトST(R)が所属し、これらの水素ステーション102の在庫量の合計在庫量MMnが示されている。作成された時間帯毎の地域別在庫量データは、記憶装置272に格納される。
【0082】
地域別在庫データ出力工程(S176)として、データセンター200内の地域別在庫量データ送信部274は、複数の水素ステーション102の複数のクライアント端末100へ、ネットワーク2を介して当該水素ステーション102が所属するグループの集計結果を出力する。具体的には以下のように動作する。地域別在庫量データ送信部274は、記憶装置272から時間帯毎の地域別在庫量データを読み出し、通信制御回路250を介して、時間帯毎の地域別在庫量データを、ネットワーク2を通じて各クライアント端末100およびサーバ端末300に送信する。例えば、規定された時間帯毎に、地域別在庫量データを送信すると好適である。なお、地域毎に地域別在庫量データを分割した分割データを送信しても良いし、すべての地域の情報が含まれた例えば
図10に示す地域別在庫量データをすべてのクライアント端末100およびサーバ端末300に送信しても良い。
【0083】
表示工程(S180)として、サーバ端末300は、データセンター200からネットワーク2を介して時間帯ごとにソート処理された複数の水素ステーション102の識別情報と各水素ステーション102の在庫量のデータとを受信(入力)する。そして、サーバ端末300は、時間帯ごとにソート処理された複数の水素ステーションの識別情報を在庫量に関連させて出力する。具体的には以下のように動作する。サーバ端末300は、データセンター200から受信したソートデータをモニタに表示する。これにより、各時間帯の在庫量がリアルタイムで取得できる。また、
図9に示すように、時間帯毎の水素ガスの在庫量の少ない順に各水素ステーション102が表示されるので、サーバ端末300を管理するユーザにおいて、どの水素ステーション102にいつごろ水素ガスを輸送すれば良いか判断できる。
【0084】
以上のように、実施の形態1によれば、自動計測された各パラメータのデータが、予め設定されたタイミングで自動的にサンプリングされ、予め設定されたタイミングで在庫量が自動演算される。よって、作業員による読み取り誤差が回避できる。また、異なるタイミングでサンプリングされたログデータ及び/又は異なるフォーマットで作成されたログデータであっても、時間帯毎に在庫量が列記されるので、各オフサイトSTに在庫される水素ガスの在庫量をより正確に把握できる。そして、在庫量が少ない順にソートされているので、どのオフサイトSTにどれだけの水素ガスをいつ輸送すればよいのか、その判断指標にできる。よって、経験則に頼るといった間違いを生み出し易い判断を回避できる。
【0085】
また、サーバ端末300は、データセンター200からネットワーク2を介して地域別在庫量データを受信(入力)する。そして、サーバ端末300は、時間帯毎の地域別在庫量データをモニタに表示する。これにより、サーバ端末300を管理するユーザにおいて、どの地域に優先して水素ガスを輸送すれば良いか判断できる。
【0086】
また、各クライアント端末100では、データセンター200からネットワーク2を介して地域別在庫量データを受信(入力)する。そして、各クライアント端末100では、時間帯毎の地域別在庫量データをモニタに表示する。これにより、自己の地域の合計在庫量を取得できる。よって、自己の水素ステーション102における在庫量が不足した場合、或いは不足しそうな場合に、次の水素ガスの搬入を待たずに、同じ地域内の別の水素ステーション102に行けば、水素ガスを充填できるかどうかの判断指標に用いることができる。その結果、到来するFCV60に対して、同じ地域内の別の水素ステーション102に行けば、水素ガスを充填できるとの情報を伝えることができると共に、同じ地域内の別の水素ステーション102に行くことを促すことができる。
【0087】
以上のように、実施の形態1によれば、各オフサイトSTの水素ガスの在庫量を高精度に取得できる。
【0088】
実施の形態2.
上述した実施の形態1では、各水素ステーション102での在庫量は、データセンター200で演算する構成について説明したが、これに限るものではない。実施の形態2では、各水素ステーション102で在庫量を演算した結果をデータセンター200へ送付する構成について説明する。
【0089】
図11は、実施の形態2における水素ガス在庫量取得システムの構成を示す構成図の一例である。
図11において、実施の形態2における水素ガス在庫量取得システム500では、各クライアント端末100a,100b,100cが、トレーラー在庫、高圧蓄圧器在庫、中間蓄圧器在庫、及び在庫の総量といった水素の各在庫量を演算する。
【0090】
図12は、実施の形態2におけるクライアント端末の内部構成の一例を示す構成図である。
図12において、各水素ステーション102のクライアント端末100内には、
図2の構成の他に、在庫量演算部260、及び記憶装置261が追加配置される。また、記憶装置261内には、在庫量を演算するためのステーション情報として、トレーラー、中間蓄圧器、及び高圧蓄圧器の容量と本数とが格納される。
【0091】
実施の形態2では、実施の形態1で説明したログデータが作成されると、在庫量演算部260が、ステーション情報を入力し、ログデータとステーション情報とにより、在庫量が演算され、在庫量ログデータとして記録される。在庫量ログデータは、記憶装置263に格納される。演算の仕方は、PVT法を用いる点で実施の形態1と同様である。なお、在庫量ログデータには、例えば、トレーラー10に残存する水素の在庫量であるトレーラー在庫量、高圧蓄圧器40に残存する水素の在庫量である高圧蓄圧器在庫量、中間蓄圧器30に残存する水素の在庫量である中間蓄圧器在庫量、及びこれらの在庫の総量である合計在庫量が含まれる。記憶装置263に格納された在庫量ログデータは、
図2のログデータ送信部159を読み替えた在庫量ログデータ送信部159によってデータセンター200へと送信される。
【0092】
図13は、実施の形態2におけるデータセンターの内部構成の一例を示す構成図である。
図13において、実施の形態2におけるデータセンター200内の構成は、
図3の構成からログデータ解析部254、データ抽出部257、在庫量演算部260、及び記憶装置258が省略された構成で良い。データセンター200では、
図3のデータログ受信部252を読み替えた在庫量データログ受信部252が、在庫量ログデータを受信する。受け取るタイミングは、タイミングテーブル271で調整する。そして、ログフォーマットテーブル273を参照して、在庫量ログデータに記録される各在庫量データが、トレーラー在庫量なのか、中間蓄圧器在庫量なのか、高圧蓄圧器在庫量なのかが定義付けられる。定義付けされたデータは、在庫量データとして記憶装置262に格納される。在庫量データは、ソート処理部264に出力される。データセンター200内での以降の処理は上述した通りである。
【0093】
図14は、実施の形態2におけるソートデータの一例を示す図である。
図14の例では、ソートデータとして、時間帯、順位、オフサイトST識別子、在庫の総量(kg)、トレーラー在庫量(kg)、中間蓄圧器在庫量(kg)、及び高圧蓄圧器在庫量(kg)の順で定義される。
図14の例では、例えば、0分から59分までの1時間毎に、水素ガスの在庫の総量の少ない順に複数の水素ステーション102を列記している。ソート処理されたソートデータは、記憶装置266に格納される。
【0094】
各水素ステーション102で在庫量を演算した結果をデータセンター200へ送付することで、フォーマット等が異なる各ログデータを送信する場合によりも、各水素ステーション102とデータセンター200との間でのシステムの複雑さが低減できる。さらに、各水素ステーション102からデータセンター200へ送信するデータ通信量を少なくできる。よって、データセンター200内では、受信データが減り、演算工程が少なくなるので計算に使用するメモリ量が少なくできる。そして、データセンター200では、在庫量をソート処理して表示するシンプルな構成にできる。演算のためのメモリ量の低減、及び回線の混雑回避ができるので、システムトラブルを低減できる。これにより、データセンター200の管理費やトラブルによるメンテナンス費を低減できる。
【0095】
実施の形態3.
実施の形態3では、水素ガスの在庫量を圧力で管理する構成について説明する。実施の形態3において、クライアント端末100の構成は、
図2と同様で構わない。データセンター200の構成は、
図13と同様で構わない。実施の形態3では、各クライアント端末100及びデータセンター200で構成される水素ガス在庫量管理装置について説明する。実施の形態3の水素ガス在庫量管理装置は、複数のオフサイト式水素ステーションにおける水素ガスの在庫量を管理する。
【0096】
各水素ステーション102のクライアント端末100内では、ログデータ作成部156が、自身の水素ステーションに配置された圧力計により計測される圧力値から当該水素ステーションに対して設定された個別サンプリングタイミングでサンプリングされた当該圧力値を当該各水素ステーションの識別情報とともに記録したログデータを作成する。ログデータの作成の仕方は、実施の形態1と同様である。但し、実施の形態3では、温度のデータは不要である。トレーラーの圧力、中間蓄圧器の圧力、及び高圧蓄圧器の圧力のデータが取得され、ログデータとして記録される。ログデータは、ログデータ送信部159によってデータセンター200へと送信される。
【0097】
データセンター200内では、データログ受信部252がデータログを受信する。受け取るタイミングは、タイミングテーブル271で調整する。そして、ログフォーマットテーブル273を参照して、ログデータに記録される各圧力データが、トレーラー圧力なのか、中間蓄圧器圧力なのか、高圧蓄圧器圧力なのかが定義づけられる。定義付けされたデータは、圧力データとして記憶装置262に格納される。在庫量データは、ソート処理部264に出力される。
【0098】
ソート処理部264は、設定した時間帯ごとに、ログデータ作成部から各水素ステーション102における水素ガスの圧力値を取得し、圧力値を用いて識別情報をソート処理する。
【0099】
図15は、実施の形態3におけるソートデータの一例を示す図である。
図15の例では、ソートデータとして、時間帯、順位、オフサイトST識別子、トレーラー圧力(MPa)、中間蓄圧器圧力(MPa)、及び高圧蓄圧器圧力(MPa)の順で定義される。
図15の例では、例えば、0分から59分までの1時間毎に、水素ガスの圧力の低い順に複数の水素ステーション102を列記している。トレーラー圧力、中間蓄圧器圧力、及び高圧蓄圧器圧力のうち、どの圧力を基に圧力の高低を判定するかは、予め設定しておけばよい。ソート処理されたソートデータは、記憶装置266に格納される。
【0100】
ソートデータ送信部268(ソートデータ出力部)は、ソート処理部264によりソート処理済みの識別情報および圧力値を含むソートデータを出力する。
【0101】
以上のように、水素ガスの在庫管理は、重量管理に限るものではなく、圧力管理を行っても構わない。これにより、データ数を低減できる。
【0102】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0103】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。
【0104】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての水素ガス在庫量取得方法、水素ガス在庫量取得装置、及び水素ガス在庫量取得システムは、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0105】
10 トレーラー
12,32,42 圧力計
14,34,36,44,46 バルブ
20 圧縮機
30 中間蓄圧器
33,43,48 温度計
40 高圧蓄圧器
50 ディスペンサ
60 FCV
100 クライアント端末
102 水素ステーション
104 制御回路
150 通信制御回路
151 メモリ
152 データ受信部
155 サンプリング処理部
154,158 記憶装置
156 ログデータ作成部
159 ログデータ送信部
200 データセンター
250 通信制御回路
251 メモリ
252 データログ受信部
254 ログデータ解析部
257 データ抽出部
260 在庫量演算部
264 ソート処理部
256,258,261,262,266,272 記憶装置
268 ソートデータ送信部
270 地域別在庫量データ作成部
271 タイミングテーブル
273 ログフォーマットテーブル
274 地域別在庫量データ送信部
300 サーバ端末
500 水素ガス在庫量取得システム
【手続補正書】
【提出日】2024-04-09
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の一態様のデータセンターは、
水素ガスを貯蔵する複数の水素タンクの水素ガス在庫量を管理するデータセンターであって、 各水素タンクに配置された複数の計器により計測される複数のパラメータデータおよび当該各水素タンクの識別情報を含むログデータを受信するログデータ受信部と、 前記ログデータを用いて、当該各水素タンクに対して個別に設定された個別演算タイミングで前記水素ガス在庫量を演算する在庫量演算部と、 を備える。 また、本発明の他の態様のデータセンターは、 水素ガスを貯蔵する複数の水素タンクの水素ガス在庫量を管理するデータセンターであって、 各水素タンクに配置された複数の計器により計測される複数のパラメータデータおよび当該各水素タンクの識別情報を含むログデータを受信するログデータ受信部と、 前記ログデータを用いて、当該各水素タンクに対して設定された演算タイミングで前記水素ガス在庫量を演算する在庫量演算部と、 前記各水素タンクは、複数のグループのうちいずれかのグループに所属し、前記グループごとに、当該グループに所属する各水素タンクの前記水素ガス在庫量を集計してグループ別在庫量データを作成するグループ別在庫量データ作成部と、 を備える。 また、本発明の一態様のデータセンターの水素ガス在庫量管理方法は、 水素ガスを貯蔵する複数の水素タンクの水素ガス在庫量を管理するデータセンターの水素ガス在庫量管理方法であって、 各水素タンクに配置された複数の計器により計測される複数のパラメータデータおよび当該各水素タンクの識別情報を含むログデータを受信する工程と、 前記ログデータを用いて、当該各水素タンクに対して個別に設定された個別演算タイミングで前記水素ガス在庫量を演算し、出力する工程と、 を備える。 また、本発明の一態様の水素ガス在庫量管理システムは、 水素ガスを貯蔵する複数の水素タンクと、 各水素タンクに配置された複数の計器により計測される複数のパラメータデータおよび当該各水素タンクの識別情報を含むログデータを受信するログデータ受信部と、 前記ログデータを用いて、当該各水素タンクに対して個別に設定された個別演算タイミングで前記水素ガス在庫量を演算する在庫量演算部と、 を備える。
本発明の一態様の水素ガス在庫量取得システムは、
複数の水素ステーションにおける水素ガスの在庫量を取得する水素ガス在庫量取得システムであって、
各水素ステーションにおける水素ガスの在庫量を演算するために当該各水素ステーションに配置された複数の計器により計測される複数のパラメータデータから、当該各水素ステーションに対して設定された個別サンプリングタイミングでサンプリングされた当該各パラメータデータを当該各水素ステーションの識別情報とともに記録したログデータを作成するログデータ作成装置と、
前記ログデータを用いて、当該各水素ステーションに対して個別に設定された個別演算タイミングでの水素ガスの在庫量を演算する在庫量演算装置と、
を備える。
また、設定した時間帯ごとに、前記在庫量演算装置から各水素ステーションにおける水素ガスの在庫量データを取得し、前記在庫量を用いて前記識別情報をソート処理するソート処理装置と、
前記ソート処理装置から前記ソート処理済みの前記識別情報および前記在庫量データを含むソートデータを出力するソートデータ出力装置と、
をさらに備えると好適である。