(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096837
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】NRにおけるマルチTRP送信における複数のPUCCHを用いたHARQ-ACK処理
(51)【国際特許分類】
H04L 1/1607 20230101AFI20240709BHJP
【FI】
H04L1/1607
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024062946
(22)【出願日】2024-04-09
(62)【分割の表示】P 2020571453の分割
【原出願日】2019-10-23
(31)【優先権主張番号】18203856.2
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バムリ アンキット
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】リ ホンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】グプタ マーダブ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数のダウンリンク共有チャネルでデータを受信する送受信機の処理を制御する方法及び装置を提供する。
【解決手段】方法は、それぞれ同じデータである複数のダウンリンク共有チャネルで受信するデータを復号することと、データが複数のダウンリンク共有チャネルを用いて正常に復号されたかどうかを示すインジケータを生成することと、複数のダウンリンク共有チャネルにそれぞれ関連する複数のアップリンク制御チャネルのうちの少なくとも1つでインジケータを送信することと、複数のダウンリンク共有チャネルにそれぞれ関連する複数のアップリンク制御チャネルの各々でインジケータを送信することと、を含む。インジケータは、のダウンリンク共有チャネルの中の少なくとも2つのダウンリンク共有チャネルを用いた復号の共通結果を示す共通インジケータであり、1ビットのインジケータである。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のダウンリンク共有チャネルでデータを受信する送受信機の処理を制御する集積回路であって、前記複数のダウンリンク共有チャネルで受信される前記データがそれぞれ同じデータであり、前記処理は、
前記データを復号し、前記データが前記複数のダウンリンク共有チャネルを用いて正常に復号されたかどうかを示すインジケータを生成し、
前記複数のダウンリンク共有チャネルにそれぞれ関連する複数のアップリンク制御チャネルのうちの少なくとも1つで前記インジケータを送信し、
前記複数のダウンリンク共有チャネルにそれぞれ関連する前記複数のアップリンク制御チャネルの各々で前記インジケータを送信し、
前記インジケータは、前記複数のダウンリンク共有チャネルの中の少なくとも2つのダウンリンク共有チャネルを用いた復号の共通結果を示す共通インジケータであり、前記共通インジケータは、1ビットのインジケータであり、
前記複数のダウンリンク共有チャネルの各々に対して、前記データがそれぞれのダウンリンク共有チャネルを用いて正常に復号されたかどうかを示すそれぞれのインジケータを生成し、
前記複数のアップリンク制御チャネルの各々で、前記共通インジケータおよび前記アップリンク制御チャネルにそれぞれ関連する前記ダウンリンク共有チャネルを復号した結果を示す前記それぞれのインジケータを送信することを含む、
集積回路。
【請求項2】
前記処理は、複数の送受信ポイント(TRP)からそれぞれ前記複数のダウンリンク共有チャネルを受信し、前記複数のTRPにそれぞれ前記複数のアップリンク制御チャネルで前記インジケータを送信することを含む、請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記処理は、前記複数のダウンリンク共有チャネルをそれぞれ復号して、前記複数のダウンリンク共有チャネルの復号の各結果に対して論理「OR」演算を実行することを含み、前記共通インジケータは、前記論理「OR」演算の結果を示す、請求項1に記載の集積回路。
【請求項4】
前記処理は、前記複数のアップリンク制御チャネルの各々で、前記共通インジケータおよび前記各インジケータを含むACK/NACK(応答確認/否定応答確認)信号をそれぞれ送信することを含む、請求項1に記載の集積回路。
【請求項5】
前記処理は、論理「OR」演算を実行する前に、前記複数のアップリンク制御チャネルの各々で前記各インジケータを送信することを含む、請求項1に記載の集積回路。
【請求項6】
前記処理は、前記複数のダウンリンク共有チャネルをそれぞれ復号することを含み、前記インジケータは、前記複数のダウンリンク共有チャネルのそれぞれ1つを用いて前記データが正常に復号されたかどうかをそれぞれ示す複数のビットを含む、請求項1に記載の集積回路。
【請求項7】
前記処理は、前記複数のダウンリンク共有チャネルで受信されたデータに対してソフト合成を実行し、前記ソフト合成によって得られた合成データを復号し、前記合成データの復号結果に基づいて前記インジケータを生成することを含む、請求項1に記載の集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信システムにおける信号の送受信に関する。特に、本開示は、そのような送受信のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))は、100GHzまでの周波数範囲で動作する「新しい無線」(NR)の無線アクセス技術(RAT)を含む第5世代(5G)とも呼ばれる次世代セルラー技術のための技術仕様に取り組んでいる。NRは、LTE(Long Term Evolution)およびLTE-A(LTE Advanced)に代表される技術のフォロワーである。NRでは、例えば、拡張モバイルブロードバンド(eMBB:enhanced mobile broadband)や超高信頼低遅延通信(URLLC:ultra-reliable low-latency communications)、大量マシン型通信(mMTC:massive machine type communications)などを含む、いくつかの定義された使用シナリオ、要求事項、および展開シナリオに対処する単一の技術的枠組みを提供することを容易にすることが計画されている。例えば、eMBB展開シナリオは、室内ホットスポット、密集した都市、地方、都市マクロ、および高速を含むことができる。URLLC展開シナリオは、産業制御システム、モバイルヘルスケア(リモート監視/診断/処置)、車両のリアルタイム制御、スマートグリッドのための広域監視/制御システムを含むことができる。mMTCは、スマートウェアラブルやセンサネットワークなど、非タイムクリティカルなデータ転送を伴う多数の装置を有するシナリオを含むことができる。eMBBとURLLCのサービスは、両方とも非常に広い帯域幅を要求する点で類似しているが、URLLCサービスが超低遅延を必要とする点で相違している。NRでは、物理レイヤは、時間-周波数リソース(LTEにおける直交周波数分割多重(OFDM)など)に基づいており、マルチアンテナ動作をサポートすることができる。
【0003】
LTEやNRのようなシステムでは、さらなる改良や選択肢により、通信システムに関連する特定の装置だけでなく当該通信システムについてもその効率的な運用が容易になる可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TR 36.932 V15.0.0(2018-06)
【非特許文献2】3GPP TS 38.211 V15.0.0(2017-12)
【発明の概要】
【0005】
1つの非限定的かつ例示的な実施形態は、多数の送受信ポイントを用いる通信において、ロバストで迅速なシグナリングを提供することを容易にする。
【0006】
本発明の主たる一態様は、複数のダウンリンク共有チャネルでデータを受信する送受信機の処理を制御する集積回路であって、前記複数のダウンリンク共有チャネルで受信される前記データがそれぞれ同じデータであり、前記処理は、前記データを復号し、前記データが前記複数のダウンリンク共有チャネルを用いて正常に復号されたかどうかを示すインジケータを生成し、前記複数のダウンリンク共有チャネルにそれぞれ関連する複数のアップリンク制御チャネルのうちの少なくとも1つで前記インジケータを送信し、前記複数のダウンリンク共有チャネルにそれぞれ関連する前記複数のアップリンク制御チャネルの各々で前記インジケータを送信することを含む。前記インジケータは、前記複数のダウンリンク共有チャネルの中の少なくとも2つのダウンリンク共有チャネルを用いた復号の共通結果を示す共通インジケータであり、前記共通インジケータは、1ビットのインジケータである。前記処理は、さらに、前記複数のダウンリンク共有チャネルの各々に対して、前記データがそれぞれのダウンリンク共有チャネルを用いて正常に復号されたかどうかを示すそれぞれのインジケータを生成し、前記複数のアップリンク制御チャネルの各々で、前記共通インジケータおよび前記アップリンク制御チャネルにそれぞれ関連する前記ダウンリンク共有チャネルを復号した結果を示す前記それぞれのインジケータを送信することを含む。
【0007】
1つの一般的な態様では、本明細書で開示される技術は、ユーザ機器であって、動作中、複数のダウンリンク共有チャネルでデータを受信する送受信機であって、前記複数のダウンリンク共有チャネルで受信される前記データはそれぞれ同じデータである、送受信機と、動作中、前記データを復号し、前記データが前記複数のダウンリンク共有チャネルを用いて正常に復号されたかどうかを示すインジケータを生成する回路と、を有し、前記送受信機は、動作中、前記複数のダウンリンク共有チャネルにそれぞれ関連する複数のアップリンク制御チャネルのうちの少なくとも1つで前記インジケータを送信する、ユーザ機器を特徴とする。
【0008】
一般的または具体的な実施形態は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、記憶媒体、またはこれらの任意の選択的な組合せとして実現できることに留意されたい。
【0009】
開示された実施形態のさらなる利益および利点は、本明細書および図面から明らかになるであろう。これらの利益および/または利点は、いくつかの実施形態ならびに明細書および図面に記載された特徴によって個々に得ることができるが、これらは、そのような利益および/または利点の1つ以上を得るためにすべてが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下、例示的な実施形態について添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【0011】
【
図1】LTE eNB、gNB、およびUEに対する例示的なユーザプレーンおよび制御プレーンのアーキテクチャを含む、3GPP NRシステムの例示的なアーキテクチャを示す図
【
図2】複数の送受信ポイントからのユーザ機器によるPDSCH(physical downlink shared channel)データ受信の一例を示す概略図
【
図3】複数のTRPの配置におけるユーザ機器によるPUCCH(physical uplink control channel)ACK(応答確認)送信の一例を示す概略図
【
図4】複数のTRPの配置におけるユーザ機器によるPUCCH(physical uplink control channel)ACK(応答確認)送信の他の一例を示す概略図
【
図5】複数のTRPの配置におけるユーザ機器によるPUCCH(physical uplink control channel)ACK(応答確認)送信のさらなる一例を示す概略図
【
図6】ユーザ機器およびネットワークノードの一構成例を示すブロック図
【
図7】ユーザ機器の回路の一構成例を示すブロック図
【
図9】例示的な一実施形態によるPDSCHおよびPUCCHの送信、受信、および処理を概略的に示すグラフ
【
図10】gNB通信方法の例示的な一実施形態を示すフローチャート
【
図11】例示的な一実施形態によるPDSCHおよびPUCCHの送信、受信、および処理を概略的に示すグラフ
【
図12】gNB通信方法の例示的な一実施形態を示すフローチャート
【
図13】例示的な一実施形態によるPDSCHおよびPUCCHの送信、受信、および処理を概略的に示すグラフ
【
図14】gNB通信方法の例示的な一実施形態を示すフローチャート
【
図15】例示的な一実施形態によるPDSCHおよびPUCCHの送信、受信、および処理を概略的に示すグラフ
【
図16】gNB通信方法の例示的な一実施形態を示すフローチャート
【
図17】例示的な一実施形態によるPDSCHおよびPUCCHの送信、受信、および処理を概略的に示すグラフ
【
図18】gNB通信方法の例示的な一実施形態を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、基地局、端末、およびコアネットワークを含む通信システムの例示的な一例を示す。このような通信システムは、NRおよび/またはLTEおよび/またはUMTSのような3GPPシステムであってもよい。例えば、
図1に示すように、基地局(BS)は、gNB(gNodeB、例えば、NR gNB)またはeNB(eNodeB、例えば、LTE gNB)であってもよい。しかし、本開示は、これらの3GPPシステムまたは他のいかなるシステムにも限定されない。実施形態および例示的な実装は、3GPPシステムのいくつかの用語を用いて説明されているものの、本開示は、他のいかなる通信システム、特に、いかなるセルラーシステム、無線システム、および/または移動システムにも適用可能である。
【0013】
端末は、LTEおよびNRにおいて、ユーザ機器(UE)と呼ばれる。これは、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、またはユーザ機器の機能を備えたUSB(ユニバーサルシリアルバス)スティックなどのモバイル機器であってもよい。しかし、モバイル機器という用語は、これに限定されず、一般に、リレーは、そのようなモバイル機器の機能を有することもでき、モバイル機器は、リレーとして機能することもできる。
【0014】
基地局は、例えば、端末にサービスを提供するためのネットワークの一部を形成するネットワークノードである。基地局は、端末への無線接続を提供するネットワークノードである。
【0015】
NRにおける物理レイヤは、例えば、複数または多数の送受信ポイント(マルチTRP)の使用を含むことができるMIMO(多入力多出力)のようなマルチアンテナ動作を提供することができる。例えば、ユーザ機器は、複数のTRP(送受信ポイント)からデータを受信することができ、複数のTRPは、同じまたは異なるネットワークノードによって制御されることができる。マルチポイント送信または協調マルチポイント送信(CoMP)という用語は、マルチTRP通信または送信にも使用することができる。
【0016】
本開示に記載された技術は、TRPの特定の配置、またはTRPとgNBの特定の関係に限定されない。したがって、例えば、マルチTRP動作は、TRPに対応する異なるアンテナパネルまたは無線ヘッドと、各アンテナで動作する異なる無線周波数ユニットと、を有するgNBによって実行されてもよい。
【0017】
さらに、マルチTRPでは、TRP間の位置関係に関していくつかの選択肢が考えられ、2つのTRP間の距離が異なる場合がある。例えば、TRPは、接近していてもよく、この場合、UEは、同じような角度からこれらのTRPからの信号を受信する。しかし、TRPは、互いにかなり遠い距離に、例えば、ネットワークセルの遠く離れた場所にあってもよい。2つのTRPによってサービスされているUEは、無相関チャネルで、各TRPからシグナリングを受信したり各TRPにシグナリングを送信したりすることができる。したがって、チャネルダイバーシチの利得を最適に利用することができる。
【0018】
例えば、マルチTRPは、2つの高レベルのカテゴリに分類することができる。すなわち、カテゴリ間の区別は、2つの所定のTRP間のバックホールリンクのバックホールタイプに関して行うことができる。一方で、理想的なバックホールは、例えば光ファイバを用いた専用のポイントツーポイント接続のような、スループットが非常に高くて遅延が非常に低いバックホールである。理想的なバックホールは、約0ミリ秒またはほぼ0ミリ秒の遅延でTRP間の通信を可能にすると仮定される(例えば、LTE-Aの場合、テクニカルレポートである非特許文献1は、6.1.3節で、2.5マイクロ秒未満の一方向レイテンシに言及しているが、ファイバ/ケーブルにおける伝播遅延は含まれていない)。一方、非理想的なバックホールは、DSLやマイクロ波、中継のような他のバックホールなどのバックホールであり、例えば、上記2つの所定のTRP間の通信に対して2ミリ秒または5ミリ秒の範囲の有限の(一方向)遅延を含むことがある。
【0019】
理想的バックホールと非理想的バックホールへのカテゴリ化とは別に、ベースバンドユニットがTRP間でどのように共有されるかに関して、マルチTRP MIMO技術においてさらなるカテゴリ化を行うことができる。例えば、2つの所定のTRPのそれぞれに対して異なるRF(無線周波数)ブロック/ユニットがある一方で、これらのTRPは、同じベースバンドユニットを共有することができる。この場合、RFユニット間のリンクおよびベースバンドユニットは、理想的なものであっても非理想的なものであってもよい。あるいは、各TRPに対してベースバンドもRFブロックも両方とも異なっていてもよい。この場合、ベースバンドユニットとRFユニットの間の各リンクだけでなく、異なるベースバンドユニット間のリンクも、理想的なものであっても非理想的なものであってもよい。
【0020】
本開示は、マルチTRP動作を容易にすることができ、特に信頼性およびロバスト性の達成を容易にすることができる手法を提供する。開示された技術は、例えば、マルチTRP通信を利用することによってURLLCの要求事項を満たすことを容易にすることができるが、URLLCの使用事例には限定されない。例えば、開示された技術は、eMBBおよびmMTCの使用事例にも適用することができる。本開示は、理想的なバックホールおよび非理想的なバックホールの一方または両方を含むシナリオに適用可能である。
【0021】
上記のように、複数の遠く離れたTRPは、空間ダイバーシチ利得の提供を可能にすることができる。特に、この空間ダイバーシチ利得を利用することによって、TRPとUEの間のリンクまたは無線通信チャネルのいずれかに対する遮断がとりわけ可能である高周波の範囲での送受信を容易にすることができる。この観点から、本明細書に開示された技術は、制御チャネルおよび/またはデータチャネルをスケジュールするためにTRPなどの複数のポイント間の調整を容易にすることができる。
【0022】
マルチTRP協調の例示的な使用事例を
図2に示す。複数のTRPは、それぞれの物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)で同じデータをUEに送信する。
図2には、それぞれの物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH1およびPDSCH2)で同じデータをそれぞれ送信する2つのTRP(TRP1およびTRP2)が示されている。しかし、本開示は、2つのTRPが同じデータをUEに送信するシナリオに限定されない。同じデータを送信する複数のTRPは、2つのTRPだけでなく、それぞれのPDSCHを送信する3つ以上のTRPも含むことができる。したがって、本開示は、各TRPがそれぞれ自己のPDSCHを送信し、これら各PDSCHに対して同じデータストリームが使用される使用事例に適用されてもよい。
【0023】
また、複数のTRPにそれぞれ属する複数のPDSCHのうちの2つの所定のPDSCHは、同じまたはそれぞれ異なるMCS(変調・符号化方式)を有していてもよい。また、複数のPDSCHのうちの2つの所定のPDSCHは、同じ冗長バージョンを有していてもよいし、異なる冗長バージョンを有していてもよい。
【0024】
マルチTRP通信において各TRPがそれぞれ別々のPDSCHを有するもののこれら別々のPDSCHがすべて同じデータストリームを使用して同じデータを伝達する場合、HARQ-ACK(Hybrid Automatic Repeat Request-Acknowlegement)フィードバックの処理方法に問題が発生する。
【0025】
HARQ-ACK処理のいくつかの例示的なスキームを
図3~5に示す。ここで、PUCCH1は、UEがHARQ-ACKフィードバックなどの制御データをTRP1に送信するアップリンク制御チャネルであり、PUCCH2は、UEからTRP2へのアップリンク制御送信のための制御チャネルである。HARQ-ACK1は、
図2に示すPDSCH1に対するHARQ-ACKフィードバックであり、HARQ-ACK2は、PDSCH2に対するHARQ-ACKフィードバックである。
【0026】
しかし、以下に説明するように、
図3~5によって例示されるような、物理制御チャネル(PDCCH/PUCCH)に対する送信/受信スキームは、マルチTRP送信の利点を最適に利用・活用していない可能性がある。
【0027】
図3および
図4において、単一のPUCCH(
図3のPUCCH1および
図2のPUCCH2)は、両方のフィードバック信号(HARQ-ACK1およびHARQ-ACK2)を搬送する。このような単一PUCCH送信は、使用したリンク(
図3におけるUEからTRP1へのリンク、および、
図4におけるUEからTRP2へのリンク)がブロックされている可能性があるため、ロバスト性の問題に直面する可能性がある。さらに、サービスされていないTRP(
図3のTRP2および
図4のTRP1)は、その各PDSCHに対するHARQ-ACKについて通知される必要があるため、特にTRP1とTRP2の間のバックホールが理想的でない場合には、レイテンシの増加につながる可能性がある。
【0028】
また、UEは、それぞれのHARQ-ACK信号を有するそれぞれのPUCCHを複数のTRPに送信することができる。例えば、
図5において、UEは、PUCCH1をTRP1に送信し、PUCCH2をTRP2にそれぞれ送信する。しかし、UEが正常にデータを受信および/または復号できなかったそれぞれのPDSCHに応答してPUCCHで送信するNACK(否定応答確認)の場合には、NACKを受信するTRPのうちの一方からの不必要な再送信が起こる可能性がある。このような可能性があるのは、他方のTRP(または3つ以上のTRPの場合には他のTRPのうちの少なくとも1つ)が、そのそれぞれのPDSCHでのデータが正常に受信および復号されたことを示す肯定的なACKを受信した場合である。データストリームは両方の(またはすべての)PDSCHについて同じであり、同じデータがPDSCHで伝達されるため、複数のPDSCHのうちの1つがそれぞれの複数のTRPのうちの1つから正しく受信および復号すれば十分である。特に、NACKを受信したTRPは、ACKを受信した別のTRPから、バックホール制御シグナリングを受信しなかったり、あるいは、非理想的バックホールの場合は多少の遅延を伴ってバックホール制御シグナリングを受信したりする可能性がある。受信が遅延したりあるいは他のTRPからACKを受信しなかったりすると、不要な再送信が生じる可能性がある。
【0029】
本開示は、送受信機620(送信機/受信機)および回路630を有するユーザ機器(UE)610を提供する。
図6には、本本開示による例示的なUEが示されている。
【0030】
図6から分かるように、本開示は、さらに後述するネットワークノード660も提供する。UEとネットワークノードは、通信システムのチャネル、例えばワイヤレスチャネルを介して互いに接続され、互いに通信できる状態にある。さらに、UEは、それぞれの無線チャネルを介して1つ以上のネットワークノードに接続されていてもよい。この場合、2つ以上のネットワークノードの場合には、ネットワークノードが(非理想的または理想的)バックホールリンクを介してさらに互いに接続されている。
【0031】
UE610によって構成される送受信機620および回路630を、ネットワークノードによって構成される送受信機670および回路680と区別するために、本明細書では、「UE送受信機」、「UE回路」、「ネットワークノード送受信機」、および「ネットワークノード回路」という用語もそれぞれ使用されている。
【0032】
UE送受信機620は、動作中、複数のダウンリンク共有チャネルでデータを受信する。複数のダウンリンク共有チャネルでそれぞれ受信されたデータ(例えば、ユーザデータまたは物理レイヤよりも上位のレイヤからの上位レイヤデータ)は、同じデータである。かかるデータは、例えば、同じデータストリームを用いて生成されている。
【0033】
UE回路630は、動作中、前記データを復号し、前記データが複数のダウンリンク共有チャネルを用いて正常に復号されたかどうかを示すインジケータを生成する処理回路である。例えば、UE回路630は、マルチチャネル処理回路635(または複数チャネル処理回路)を有する。例えば、
図7によって例示されるマルチチャネル処理回路635は、マルチチャネルデータ復号回路736(例えば、マルチPDSCHデータ復号回路)および復号結果インジケータ生成回路737(例えば、共通ACK/NACK生成回路)を有する。
【0034】
UE送受信機620は、動作中、複数のアップリンク制御チャネルのうちの少なくとも1つで、UE回路630によって生成されたインジケータを送信する。ここで、複数のアップリンク制御チャネルは、複数のダウンリンク共有チャネルにそれぞれ関連付けられている。
【0035】
例えば、複数のダウンリンクチャネルおよびそれぞれ対応する複数のアップリンク制御チャネルは、LTE、LTE-A、またはNRで使用されるようなPDSCHおよびPUCCHであり、最初の送信および必要であれば1つ以上の再送信をそれぞれ含む場合がある複数のHARQプロセスを使用して同じデータを送信するのに用いられる。各PDSCHに関連付けられたPUCCHは、データが正常に復号されたかどうかを示すHARQ-ACK信号(ACKまたはNACK)を搬送する。PUCCHは、各PDSCH(例えば、PDSCH1に関連するPUCCH1、PDSCH2に関連するPUCCH2など)に応答するが、HARQ-ACK信号に含まれるインジケータは、単に各PDSCHのみを用いて得られた結果を示すというよりはむしろ、複数のPDSCHを用いて正常に復号されたことを示す。
【0036】
複数のPDSCHは、同じ送信時間間隔(TTI:transmission time interval)で1つ以上のネットワークノードによって送信されてもよく、また、さらに、同じ1つの周波数、複数の周波数、または帯域幅部分を用いて受信されてもよい。また、複数のPUCCHは、同じTTIで送信されてもよい。したがって、複数のPDSCH/PUCCHに言及する場合、本開示は、1つのHARQプロセス内の複数の(再)伝送に言及するのではなく、同じデータの送信を行う複数のHARQプロセスについて説明する。以下でさらに説明するように、同じデータを送信する複数の相互に関連する、またはリンクされたHARQプロセスは、マルチTRP HARQプロセスを構成すると見なすことができる。
【0037】
しかし、複数のPDSCHは、それらがUEに送信される/UEによって受信される空間方向、および/または、それらが送信されるそれぞれのビームが異なる場合がある。さらに、実施形態に応じて、以下でさらに説明するように、複数のHARQプロセスのうちの2つの所定のHARQプロセスにおいてデータを符号化し送信するのに用いられるMCSおよび/または冗長バージョンは、同じであっても異なっていてもよい。
【0038】
上記のUEおよびネットワークノードに対応して、本願は、さらに、UEのための通信方法およびネットワークノードのための通信方法を提供する。
【0039】
UEのための通信方法は、
図8に示されるように、複数のダウンリンク共有チャネルでデータを受信するステップS810を有する。ここで、複数のダウンリンク共有チャネルで受信される前記データは、それぞれ同じデータである。本方法は、さらに、前記データを復号するステップS820と、前記データが複数のダウンリンク共有チャネルを用いて正常に復号されたかどうかを示すインジケータを生成するステップS830とを有する。さらに、本方法は、複数のダウンリンク共有チャネルにそれぞれ関連する複数のアップリンク制御チャネルのうちの少なくとも1つで前記インジケータを送信するステップS840を有する。
【0040】
装置(UEおよびネットワークノード)および対応する方法についての上記説明に従って、UE610が複数のTRPの各々から複数のPDSCHの中から別々のPDSCH(例えば、TRP1からのPDSCH1およびTRP2からのPDSCH2)を受信すると、UEは、(TRP1に対する)PUCCH1および(TRP2に対する)PUCCH2など、1つ以上の別々のPUCCHをそれぞれ用いて、複数のTRPの中から1つのTRP、複数のTRP、または各TRPに共通の(例えば、合成された)HARQ-ACK結果(例えば、共通のまたは合成されたHARQ-ACK結果ビット)を返送する。
【0041】
したがって、本明細書に開示された技術は、少なくとも1つのTRPによって受信されるHARQ-ACK情報を、残りのTRPの1つ以上がブロックされている間、提供するため、ロバスト性の提供を容易にすることができる。さらに、本発明は、複数のTRPが同じ(つまり、共通のACK/NACK)情報を受信するため、複数のTRP間のHARQ-ACK情報のやりとりにおけるバックホールレイテンシの低減を容易にすることができる。
【0042】
以下では、本開示のいくつかの例示的な実施形態について説明する。
【0043】
例えば、UE送受信機620は、動作中、複数のアップリンク制御チャネルにそれぞれ関連する複数のアップリンク制御チャネルの各々でインジケータを送信する。第1の例を
図9に示す。
【0044】
図9(および
図11、
図13、
図15、
図17)では、各ダウンリンク共有チャネルおよび各アップリンク制御チャネルが、長方形に埋め込まれた斜線部分として示されている。長方形は、各物理チャネルが送信されるTTIなどの時間単位、例えば、スロットベースの通信が実行されるかまたは非スロットベースの通信が実行されるかに応じて、ならびに、物理リソース、特に時間(シンボル)および周波数リソース、のサブキャリア間隔を定義する特定のニューメロロジーに応じて、スロットレベル未満のスロットまたは時間単位を表している。しかし、長方形内の斜線部分の図示された配置は、単に概略的なものであり、本開示をTTI内の特定の物理リソースへの物理チャネルの任意の特定の割り当てに限定することを意図していない。さらに、長方形は、複数のTTIを含む時間リソースを表すこともできる。また、読みやすさを向上させるために、斜線部分に隣接してそれぞれのチャンネル名が再現されている。
【0045】
一般に、TTIは、スケジューリングの割り当てに対するタイミングの粒度(granularity)を決定する。1つのTTIは、所定の信号が物理レイヤにマッピングされる時間間隔である。例えば、従来、TTI長は、14シンボル(スロットベースのスケジューリング)から2シンボル(非スロットベースのスケジューリング)まで変化することができる。ダウンリンク送信およびアップリンク送信は、10サブフレーム(1ミリ秒の持続時間)からなるフレーム(10ミリ秒の持続時間)に編成されるように指定される。スロットベースの送信では、代わりにサブフレームがスロットに分割される。スロットの個数は、ニューメロロジー/サブキャリア間隔によって定義される。定義される値の範囲は、15kHzのサブキャリア間隔に対する10スロットから、240kHzのサブキャリア間隔に対する320スロットまでの間である。1スロット当たりのOFDMシンボルの個数は、通常サイクリックプレフィックスでは14個、拡張サイクリックプレフィックスでは12個である(非特許文献2の4.1節(一般的フレーム構成)、4.2節(ニューメロロジー)、4.3.1節(フレームおよびサブフレーム)、ならびに4.3.2節(スロット)参照)。しかし、送信のための時間リソースの割り当ては、非スロットベースであってもよい。特に、非スロットベースの割り当てにおけるTTIは、スロットではなくミニスロットに対応するものであってもよい。すなわち、1つ以上のミニスロットを、データ/制御シグナリングの要求された送信に割り当ててもよい。非スロットベースの割り当てにおいて、TTIの最小長は、従来、2OFDMシンボルであってもよい。
【0046】
いくつかの例示的な実施形態において、UE送受信機620は、動作中、
図2に示すTRP1およびTRP2のような複数(2つ以上)のTRPからそれぞれ複数のダウンリンク共有チャネルを受信する。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、UE送受信機620は、複数のアップリンク制御チャネルの各々でインジケータを複数のTRPにそれぞれ送信する。したがって、ダウンリンク共有チャネルおよび対応するアップリンク制御チャネルは、同じTRPに対して受信/送信される。このような場合、アップリンクチャネルおよび当該アップリンクチャネルに関連するダウンリンクチャネルは、UEと同じTRPとの間のリンクである。
【0047】
なお、本開示は、2つのTRPを有するシナリオのいくつかの例を提供するが、上記および下記の実施形態は、3つ以上のTRPを使用するマルチTRPシナリオに直接的かつ類似的に適用可能であることに留意されたい。
【0048】
さらに、上述したように、各ダウンリンク共有チャネル(例えば、PDSCH)は、同じデータストリームを使用して同じデータを送信する。したがって、この同じデータが、複数のTRPの各々に利用可能であること、例えば、バックホールリンクによってTRP間で利用可能にされていることが必要である。例示的で非限定的なシナリオにおいて、各TRPは、同じベースバンドユニットを有する反面、複数のTRPの各々に対してそれぞれ異なるRFブロックを有する。このシナリオにおいて、複数のRFユニット間の、ベースバンドユニットへのリンクは、理想的でなくてもよい。しかし、この例示的なシナリオは非限定的であるため、前述の実施形態および後述の実施形態は、反対の指摘がなければ、および/または、文脈が反対のことを示していなければ、理想的または非理想的なバックホールリンクによって互いに接続されたおよびそれぞれのRFユニットに接続された単一および複数のベースバンドユニットの他の任意の組み合わせにも適用することができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、UEによって生成され送信されるインジケータは、複数のダウンリンク共有チャネルの中の少なくとも2つのダウンリンク共有チャネルを用いた復号の共通結果を示す共通インジケータまたは合成インジケータである。特に、共通インジケータは、1ビットのインジケータである。さらに、共通結果は、複数のダウンリンク共有チャネルの各々に基づく結果であってもよい。
【0050】
したがって、単一のHARQ-ACKビット(つまり、共通インジケータまたは合成インジケータ)は、複数のダウンリンク共有チャネルにそれぞれ含まれる同じデータの複数のインスタンス上でUE回路630によって実行される処理に基づいて正常に復号されたことを示す。例えば、複数のダウンリンク共有チャネルからのデータは、復号が実行される前に、単一のコードワードを生成するために合成されてもよい。あるいは、各PDSCHからのデータの複数のインスタンスをまず別々に処理した後、複数の復号結果に基づいて単一の合成HARQ-ACKビットを生成するようにしてもよい。
【0051】
復号結果の合成
【0052】
いくつかの実施形態では、
図9に示すように、UE回路630は、動作中、複数のPDSCHにそれぞれ含まれる同じデータに対応しかつ当該データを表すコードワードをそれぞれ(個別に)復号し、複数のPDSCHからの各コードワードの復号がそれぞれ成功したかどうかを判定する。例えば、UE回路は、復号が成功したかどうかを判定するために、復号されたデータに対してそれぞれCRC(巡回冗長検査)を実行する。それぞれのチェックの結果に基づいて、UE回路630は、CRCの各結果を示すインジケータ(例えば、1ビットのインジケータ)をそれぞれ生成する。各インジケータに基づいて、または、各PDSCHをチェックすることを利用した復号およびCRCの個々の結果に基づいて、UE回路は、共通インジケータを生成する。
【0053】
例えば、処理回路は、複数のダウンリンク共有チャネルをそれぞれ復号し、複数のダウンリンク共有チャネルの復号の各結果に対して論理(またはバイナリ)「OR」演算を実行する。共通インジケータは、論理「OR」演算の各結果を示す1ビットインジケータである。(複数のTRPからそれぞれ送信された)複数のPDSCHの中の各PDSCHは、UE回路630によって個別に復号され、それぞれ実行されたCRCからの個々のHARQ-ACKの結果またはビットは、共通インジケータを単一ビットとして生成するために、各ビットに対して論理「OR」関数を適用することによって合成される。単一ビット(つまり、論理「OR」演算の結果を示す値)は、複数のPUCCHの各々で複数のTRPの中の各TRPに送信されてもよい。
【0054】
本開示は、論理「OR」関数/演算の特定の実装に限定されない。複数のPDSCHのうちの少なくとも1つからのデータの個別処理(復号およびCRC)によってデータが正常に受信され復号されたかどうかを判定する動作が実行されれば足りる。(肯定的な)ACK値を有する合成HARQ-ACKビットは、個々の復号プロセスのうちの少なくとも1つが成功した場合に生成され、NACKを表す値を有する合成HARQ-ACKビットは、各PDSCHを用いた個々の復号プロセスのいずれも成功しなかった場合に生成される。
【0055】
例えば、
図9に示す2つのPDSCHの場合、合成HARQ-ACK結果ビットは、対応するダウンリンク共有チャネル(PDSCH1およびPDSCH2)に対して個々のHARQ-ACKビット(それぞれHARQ-ACK1およびHARQ-ACK2)の間で論理「OR」関数を実行することによって生成される。
【0056】
図10は、論理「OR」関数が実行されるいくつかの実施形態によるUEのための通信方法の例示的な一実施形態を示している。受信ステップS1010において、UEは、PDSCH1およびPDSCH2における同じデータを受信する。ステップS1020は、各PDSCHを用いて個々に復号し、それぞれCRCを実行し、複数のPDSCHにそれぞれ対応する各HARQ-ACKインジケータ(HARQ-ACK1およびHARQ-ACK2)を生成することを含む。ステップS1030では、複数のPDSCHを用いてデータを復号した共通の結果を表す合成HARQ-ACKビット(例えば、「HARQ-ACK_comb」と名付けることができる)を生成するために、「OR」関数が実行される。
図10に示す方法は、さらに、送信ステップS1040として、「OR」関数の適用の結果を合成HARQ-ACKビットとして各PDSCHに関連する各PUCCHでそれぞれ送信することを含む。
【0057】
複数のPDSCHの個々の復号結果に対して論理「OR」演算を適用する本開示の実施形態は、複数のPDSCHの中の1つのPDSCHが正しく復号された場合でも、複数のTRPのいずれからも再送信を実行する必要がないため、伝送効率の提供を容易にすることができる。また、これらの実施形態は、異なるPDSCHに対して異なるMCS(または異なる冗長バージョン)がそれぞれ利用される場合に利用することができる。
【0058】
本開示は、複数のTRPからの各ダウンリンク共有チャネルを使用し、且つ、同じ共通インジケータを各PDSCHに対応する複数のアップリンク制御チャネルで送信することによって、空間ダイバーシチの利用を容易にすることができる。しかし、場合によっては、合成インジケータが1つのPUCCHで複数のTRPのうちの1つに送信されれば足りることもある。なお、上記の
図9および
図10に示すように、各TRPからの複数のPDSCHは各々UEで個々に復号され、複数のPDSCHの各復号結果に対して実行された各CRCのHARQ-ACK結果は、上記の論理「OR」関数を用いて合成される。しかし、
図11に示すように、論理「OR」演算S1030から生じる単一ビットは、PUCCH1のみで送信される。
【0059】
例えば、
図12に示すように、ステップS1010からステップS1030は、
図10に示す方法と同じである。しかし、送信ステップS1240において、UEは、論理「OR」演算から生じる合成HARQ-ACKビットをPUCCH1のみで送信する。
【0060】
特に、UEとTRP2の間のアップリンクチャネル品質が、UEとTRP1の間のアップリンクのチャネル品質に比べて悪い場合には、共通インジケータをTRP2に送信する必要がない場合がある。さらに、各TRP間の理想的なバックホールリンクは、TRP2への省略されたPUCCH送信の補償を容易にすることができる。また、ワイドビームおよび互いに比較的近くにある2つのTRPの場合には、単一のPUCCH送信でも両方のTRPで受信されるのに十分な場合がある。
【0061】
さらに、合成インジケータが複数のアップリンク制御チャネルの各々で送信されるいくつかの例示的な実施形態では、それぞれのインジケータも、対応するアップリンク制御チャネルの各々で送信されてもよい。
【0062】
例えば、UE回路630は、動作中、複数のダウンリンク共有チャネルの各々に対して、データがそれぞれのダウンリンク共有チャネルを用いて正常に復号されたかどうかを示すそれぞれのインジケータを生成する。UE送受信機620は、動作中、複数のアップリンク制御チャネルの各々で、共通インジケータ(上記の合成HARQ-ACKビット)およびアップリンク制御チャネルにそれぞれ関連するダウンリンク共有チャネルを復号した結果を示すそれぞれのインジケータを送信する。したがって、合成された1ビットのHARQ-ACKインジケータに加えて、それぞれの単一チャネルまたは個別のHARQ-ACKインジケータ(例えば、それぞれのビットHARQ-ACK1およびHARQ-ACK2)が、複数のアップリンク制御チャネル(例えば、PUCCH1およびPUCCH2)の各々でそれぞれのTRPに送信される。
【0063】
各PUCCHでの複数の個々のHARQ-ACKビットの送信は、チャネル品質表示ならびにリンクアダプテーションおよび/またはダイナミックポイント選択の観点から有益な場合がある。例えば、個別のHARQ-ACKインジケータによって示されたNACKが複数のTRPのうちの1つによって受信された場合、NACKを受信した当該TRPとは異なるTRPを、次のPDSCH送信を実行するために、その後のTTIにおいてNACKを受信したTRPに代わる複数のTRPのうちの1つとして選択することができる。
【0064】
いくつかの例示的な実施形態において、UE送受信機は、動作中、論理「OR」演算に基づいて生成された共通(合成)インジケータと、各TRPから各PDSCHで送信されたデータの復号が成功したか失敗したかを示すそれぞれの個別インジケータとを含むACK/NACK信号を、複数のアップリンク制御チャネルの各々で送信する。したがって、複数のPUCCHでそれぞれ送信される複数のACK/NACK信号は各々、2つのHARQ-ACKビット、つまり、共通インジケータ(1ビットのインジケータ)と、それぞれのインジケータ(同じく1ビットのインジケータであってもよい)とを含む。
【0065】
図13に、単一の合成HARQ-ACKビットに加えて個別のそれぞれのインジケータを生成し送信することが、
図9に対してそれぞれのPDSCHとPUCCHの間に矢印を追加することによって、概略的に示されている。共通インジケータに加えて複数のそれぞれの個別インジケータを送信するUEの通信方法を
図14に示す。この方法では、送信ステップ1440が、UEが、合成インジケータのみを両方のPUCCHで送信するのではなく、合成インジケータおよび個別インジケータHARQ-ACK1をPUCCH1で送信し、合成ビットおよび個別のHARQ-ACK2インジケータをPUCCH2で送信する点で、
図10に示すステップ1040と異なっている。
【0066】
しかし、共通の1ビットのインジケータに加えて、複数のPUCCHの各々でそれぞれのビットが提供される場合、本開示は、それぞれのインジケータおよび共通のインジケータが単一の信号(HARQ-ACK信号)内でシグナリングされたりまたは同じ送信インスタンスで同時にシグナリングされたりする場合に限定されない。特に、それぞれのインジケータは、共通インジケータの生成が完了する前に、すでにシグナリングされていてもよい。
【0067】
したがって、いくつかの実施形態において、UE送受信機620は、動作中、UE回路が論理「OR」演算または共通インジケータの生成を実行しまたはその実行を完了する前に、それぞれのインジケータを複数のアップリンク制御チャネルの各々で送信する。
【0068】
これは、
図15に示され、同図には、2つのダウンリンク共有チャネル(PDSCH1およびPDSCH2)ならびにそれぞれ対応するアップリンク制御チャネル(PUCCH1およびPUCCH2)の例が示されている。同図からわかるように、2つのアップリンク制御チャネルの各々には2つのインスタンスがある。同じアップリンク制御チャネルのこれら2つのインスタンスは、個別の(それぞれの)HARQ-ACKインジケータが共通のHARQ-ACKインジケータとは異なる時間インスタンスまたは送信インスタンスでシグナリングされることを表している。例えば、複数のPUCCHの各々で、共通インジケータは、個別のHARQ-ACKインジケータが送信されるTTIのすぐ後のTTIでシグナリングされてもよい。しかし、特定の使用事例のレイテンシ要件に応じて、個別のそれぞれのインジケータが送信されるTTIと共通インジケータが送信されるTTIとの間に1つ以上のTTIが存在してもよい。他の例として、それぞれのインジケータおよび共通インジケータは、同じTTIで送信される。この場合、それらは、各PDSCHに共に関連するそれぞれ異なるPUCCHで送信されてもよい。さらに、
図15の図面は単に概略的なものであり、本開示は、同じPUCCH内の個別インジケータおよび共通インジケータが同じ周波数/帯域幅を用いて送信されるかまたは異なる周波数/帯域幅を用いて送信されるかに関して限定するものではない。
【0069】
まず、複数のPDSCHのうちの1つにそれぞれ対応する個別のそれぞれのインジケータまたはHARQ-ACKインジケータが、複数のPUCCHでそれぞれ送信される。
【0070】
次に、合成HARQ-ACKビット(例えば、論理「OR」演算の結果)が、各PUCCHで送信される。
【0071】
個別HARQ-ACKインジケータおよび合成HARQ-ACKインジケータを別々に送信するUEの通信方法の例示的な一実施形態が
図16に示されている。前の実施形態の通信方法とは対照的に、HARQ-ACK1およびHARQ-ACK2(それぞれのインジケータ)が初回インスタンスにそれぞれPUCCH1およびPUCCH2で送信される送信ステップS1625が含まれている。さらなる送信ステップS1640では、共通インジケータ(合成HARQ-ACKビット)が、2回目送信インスタンスにPUCCH1およびPUCCH2の両方(または、より一般的に、複数のPUCCHの各々)で送信される。
【0072】
図14および
図15に関する上記の実施形態に関して示されるように、個別のHARQ-ACKビットは、チャネル品質の表示/推定、無線リンクアダプテーション、および/またはダイナミックポイント(TRP)の選択を容易にすることができる。しかし、現在説明されている実施形態において、合成HARQ-ACKビットは、その生成が個々のそれぞれの復号およびCRCプロセスに関して遅延する可能性があるため、それぞれの個別HARQ-ACKビットよりも後に送信される。さらには、個別HARQ-ACKビットをより速くまたはよりタイムリーに送信することを容易にすることができる。
【0073】
上記の実施形態において、共通インジケータは、PDSCHデータのそれぞれの復号/CRC結果に対して論理「OR」などの演算を実行することによって生成される1ビットのインジケータである。しかし、このような共通インジケータを生成する代わりに、本願は、共通インジケータが複数のPDSCHの復号に成功したことをそれぞれ表す複数のビットを含む実施形態も提供する。
【0074】
したがって、いくつかの実施形態において、共通インジケータは、データが複数のダウンリンク共有チャネルのそれぞれ1つを用いて正常に復号されたかどうかを各々示す複数のビットを含む。
【0075】
例えば、2つのTRPがそれぞれPDSCHを送信するシナリオにおいて、値「10」は、データがPDSCH1からは正常に復号され、PDSCH2からは正常に復号されなかったことを示すことができる。
【0076】
複数のビットを含む共通インジケータを有する本実施形態は、共通インジケータを生成するためにバイナリ「OR」関数などの論理演算を実行する必要がないため、UEによって実行される処理の低減を容易にすることができる。特に、そのような実施形態は、TRP(PUCCH)の数が大きすぎない場合、例えば、データを能動的に送信する2つのTRPが存在する場合、HARQ-ACKプロセスを容易にすることができる。しかし、多数のTRPが同じデータをUEに各PDSCHで送信する場合には、1ビットのインジケータを使用する上記の実施形態はいずれもシグナリングオーバーヘッドをより小さく維持することを容易にすることができる。
【0077】
受信データの合成
【0078】
上記のいくつかの実施形態によれば、復号(およびCRC)は、複数のPDSCHを用いて別々に実行され、共通の1ビットのインジケータは、個々の復号結果に対する処理(例えば、論理「OR」演算)に基づいている。
【0079】
しかし、各PDSCHで受信されたデータは、復号結果というよりは(例えば、ソフト合成を適用することによって)合成されてもよく、復号およびCRCは、合成データ/コードワードに対して実行される。合成HARQ-ACKビット/共通インジケータは、各TRPからそれぞれ受信した信号をソフト合成し、単一のCRC検査を実行することによって生成される。
【0080】
いくつかの実施形態によれば、UE回路630は、動作中、複数のダウンリンク共有チャネルで受信されたデータに対してソフト合成を実行し、当該ソフト合成によって得られた合成データを復号し、当該合成データの復号の結果に基づいてインジケータを生成する。
【0081】
ソフト合成が適用される場合、複数のPDSCHからの同じデータの各インスタンス(例えば、複数のコードワードまたはデータパケット)は、例えば、ビット単位または(OFDM)シンボル単位のいずれかで合成することができる。ソフト合成が適用されるために、複数のPDSCHで受信される各データパケットは、同じビット/シンボル数を有する。したがって、ソフト合成を使用する実施形態は、複数のPDSCH(例えば、PDSCH1およびPDSCH2)に対して同じMCSが使用される場合に用いられる。
【0082】
複数のTRPから複数のPDSCHでそれぞれ受信されたデータはUEによってソフト合成され、合成CRCが生成され、合成CRCの結果が複数のPDSCHの各々に送信される。したがって、
図17に示すように、単一の合成HARQ-ACKビット(いくつかの上記実施形態と同様に1ビットのインジケータである共通インジケータ)は、ソフト合成データのCRCを実行することによって生成される。
【0083】
いくつかの実施形態による通信方法が
図18に示されており、同図は、複数のPDSCH(例えば、PDSCH1およびPDSCH2)で受信されたデータをソフト合成するソフト合成ステップS1815を含む。復号ステップS1825において、UE回路630は、合成データを復号し、復号データに対してCRCを実行し、合成データが正常に復号されたかどうかを示す共通インジケータを生成する。
【0084】
複数のPDSCHからのデータをソフト合成することに加えて、送信が複数のHARQ-ACKプロセスの再送信である場合には、合成コードワードを、さらに、1つ以上の前の送信で得られたコードワードとソフト合成してもよい。
【0085】
ソフト合成を適用する実施形態は、あらかじめ各HARQ-ACKビットを生成しておくことなく、単一ビットのHARQ-ACK情報を提供する。このような実施形態は、理想的なバックホールを必要とせずに、複数のPDSCHを送信する複数のTRPの各々で利用可能なHARQ-ACK情報の作成を容易にすることができる。
【0086】
上記のように
図6に示すように、上記実施形態のいずれかに関して、本開示は、送受信機670および回路680を有するネットワークノード660(例えば、NR基地局/gNB)を提供する。ネットワークノード送受信機670は、動作中、複数のダウンリンク共有チャネルの中のダウンリンク共有チャネルでデータを送信する。複数のダウンリンク共有チャネルで送信されるデータは、それぞれ同じデータである(例えば、同じデータストリームが使用される)。ダウンリンク共有チャネルに関連するアップリンク制御チャネルで、ネットワークノード送受信機670は、動作中、送信されたデータが複数のダウンリンク共有チャネルを用いて正常に受信され復号されたかどうかを示すインジケータを受信する。ネットワークノード回路680は、動作中、そのインジケータに基づいて、データが正常に受信され復号されたかどうかを判定する。例えば、ネットワークノード回路680は、動作中、データが複数のダウンリンク共有チャネルのうちの少なくとも1つを用いて正常に復号されたかどうかを判定するマルチチャネル処理回路685を有する。
【0087】
ネットワークノード660に対応して、本開示は、さらに、ネットワークノードのための通信方法を提供する。このネットワークノード通信方法は、複数のダウンリンク共有チャネルの中のダウンリンク共有チャネルでデータを送信するステップを有する。複数のダウンリンク共有チャネルで送信されるデータは、それぞれ同じデータである。この方法は、ダウンリンク共有チャネルに関連するアップリンク制御チャネルで、送信されたデータが複数のダウンリンク共有チャネルを用いて正常に受信され復号されたかどうかを示すインジケータを受信する受信ステップと、受信されたインジケータに基づいて、データが正常に受信され復号されたかどうかを判定するステップと、をさらに有する。
【0088】
例えば、ネットワークノードは、データをPDSCHでUEに送信し、そのPDSCHは、UEが複数のTRPから受信した複数のPDSCHのうちの1つである。複数のPDSCHおよび対応する複数のPUCCHの各々に対して、それぞれのHARQ-ACKプロセスを実行してもよい。
【0089】
複数のPDSCHを受信したUEによってデータが正常に復号されたかどうかを示すインジケータを用いた判定に基づいて、ネットワークノードは、HARQプロセスを継続または終了する。共通インジケータが(肯定的な)ACKの値を示す場合、HARQプロセスは終了し、さらなる再送信は行われない。したがって、データが、ソフト合成の結果に基づいて、または、少なくとも1つのPUSCHの送信成功復号に基づいて、正常に復号できた場合、複数のTRPからそれぞれ送信されたPDSCHおよび複数のPDSCHのいずれにおいても、それ以上の繰り返しは実行されない。少なくとも1つのPUSCHまたは任意のPUSCHにおける再送信は、任意のPDSCHを用いたデータの復号プロセスのいずれも成功しなかった場合にのみ行われる必要がある。
【0090】
したがって、複数のHARQ-ACKプロセスは、例えばマルチTRP通信で、同じデータの送信を実行する。複数のPUCCHは各々、PUCCHが関連するPDSCHが送信された同じTRPによってそれぞれ受信される。
【0091】
上記のように、1つ以上の基地局と複数のTRPとの間の異なる関連付けも可能である。
【0092】
いくつかの例示的な実施形態において、ネットワークノードによる送信で使用されるPDSCHは、複数のダウンリンク共有チャネルの中の第1のダウンリンク共有チャネルであってもよい。ネットワークノード送受信機670は、第1のTRPを有し、動作中、第1のTRPを使用してデータを第1のダウンリンク共有チャネルで送信し、第1のTRPを使用して第1のダウンリンク共有チャネルに関連するアップリンク制御チャネルでインジケータを受信する。このネットワークノードは、さらに、バックホールインタフェースを有し、バックホールインタフェースを介して、データの送信をスケジューリングするためのスケジューリング情報を、第2のTRPによって複数のダウンリンク共有チャネルの中の第2のダウンリンク共有チャネルで送信する。
【0093】
例えば、バックホールインタフェースは、gNBのベースバンドユニットから第2のTRPのRF動作を制御するRFユニットへのバックホールリンクへのインタフェースであってもよい。ここで、第2のTRPおよびRFユニットは、ネットワークノードに含まれていてもよいしまたは関連していてもよい。
【0094】
あるいは、バックホールインタフェースは、ネットワークノード(またはそのベースバンドユニット)から別の(リモートネットワーク)ネットワークノードに関連しおよび/または含まれていてもよいベースバンドユニットへのバックホールリンクへのインタフェースであってもよい。
【0095】
バックホールリンクは、各HARQ-ACKプロセスにおいて各TRPを使用してデータを送信する2つ以上の所定のネットワークノードとの間でデータおよび/または制御情報を送受信するために、または、各HARQプロセスでの送受信をスケジューリングするためのスケジューリングデータを送受信するために、使用されてもよい。
【0096】
複数のTRPを使用して実行される各HARQ-ACKプロセスは、複数のPUSCHおよび対応するPUCCHを使用する送信を含む単一のマルチTRP HARQプロセスと見なすことができる。特に、HARQプロセスが終了すると、正常に復号できた特定のPDSCH(単数または複数)に関係なくデータが正常に復号された場合には、それ以上の再送信は行われない。
【0097】
完全なマルチTRP HARQ-ACKプロセスは、各送信において同じ複数のTRPを使用することができる。しかし、TRPまたしたがってPDCCHは、所定のUEのためのHARQ-ACKプロセスの間かまたはマルチTRP HARQ-ACKプロセスの次の送信との間のいずれかで切り替えられてもよい。(少なくとも部分的に)異なるTRPをそれぞれ有する複数のTRPセットの間での切り替えは、PDCCHを使用してスケジュールすることができる。さらに、調整情報は、どのTRPが次の送信に使用されるかの指示を含むこともできるが、バックホールを使用して、ネットワークノードから別のネットワークノードおよび/または1つ以上のTRPに送信されることができる。
【0098】
いくつかの実施形態において、データは、それぞれ異なる変調・符号化方式(MCS)を用いて、2つの所定のPDSCHで送信される。例えば、ネットワークノード回路は、複数のダウンリンク共有チャネルの中の第2のダウンリンク共有チャネルでデータを送信するのに用いられる第2のMCSとは異なる第1のMCSを用いて複数のダウンリンクチャネルの中の第1のダウンリンク共有チャネルで送信すべきデータを符号化する。上記のように、第2のダウンリンク共有チャネルは、第1のダウンリンク共有チャネルの送信に用いられるTRPとは異なるTRPから送信される。上記のように、UEが各PDSCHからのデータを別々に実行し、復号し、CRCチェックする場合、それぞれ異なるMCSを使用することができる。
【0099】
本開示は、ソフトウエア、ハードウエア、またはハードウエアと連携したソフトウエアで実現することができる。上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的または全体的に、集積回路などのLSIによって実現可能であり、また、各実施形態で説明した各処理は、部分的または全体的に、同じLSIまたはLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは、チップとして個別に形成されてもよいし、または、機能ブロックの一部または全部を含むように1つのチップが形成されてもよい。LSIは、データ入力とこれに接続されたデータ出力を含んでもよい。ここで、LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることがある。しかし、集積回路を実現する技術は、LSIに限られるものではなく、専用回路、汎用プロセッサ、または専用プロセッサを用いて実現されてもよい。また、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、または、LSI内部に配置された回路セルの接続および設定を再構成可能なリコンフィギャラブル・プロセッサを使用してもよい。本開示は、デジタル処理またはアナログ処理として実現することができる。半導体技術または他の派生技術の進歩の結果として将来の集積回路技術がLSIに取って代わる場合には、その将来の集積回路技術を用いて機能ブロックを集積化することができる。バイオテクノロジーも適用可能である。
【0100】
本開示は、通信装置と呼ばれる、通信機能を有するあらゆる種類の装置、デバイス、またはシステムによって実現することができる。
【0101】
そのような通信装置のいくつかの非限定的な例は、電話機(例えば、携帯電話、スマートフォン)、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)(例えば、ラップトップ、デスクトップ、ノートブック)、カメラ(例えば、デジタル・スチル/ビデオ・カメラ)、デジタルプレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー)、着用可能なデバイス(例えば、ウェアラブルカメラ、スマートウォッチ、トラッキングデバイス)、ゲームコンソール、デジタルブックリーダー、テレヘルス/テレメディシン(遠隔ヘルスおよびメディシン)デバイス、通信機能を提供する車両(例えば、自動車、飛行機、船舶)、ならびにそれらのさまざまな組み合わせを含む。
【0102】
通信装置は、持ち運び可能または移動可能なものに限定されず、例えば、スマートホームデバイス(例えば、家電、照明、スマートメーター、コントロールパネル)、自動販売機、その他「IoT(Internet of Things)」のネットワークにおけるあらゆる「物(things)」など、持ち運びできないまたは固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、またはシステムを含むこともできる。
【0103】
通信は、例えば、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システムなどによるデータのやりとり、およびそれらのさまざまな組み合せによるデータのやりとりを含むことができる。
【0104】
通信装置は、本開示に記載された通信機能を実行する通信デバイスに接続される、コントローラやセンサなどのデバイスを有することができる。例えば、通信装置は、当該通信装置の通信機能を実行する通信装置によって使用される制御信号またはデータ信号を生成するコントローラまたはセンサを有することができる。
【0105】
また、通信装置は、上記の非限定的な例における装置と通信しまたはこれを制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、もしくはシステムを含むこともできる。
【0106】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、動作中、複数のダウンリンク共有チャネルでデータを受信する送受信機であって、前記複数のダウンリンク共有チャネルで受信される前記データがそれぞれ同じデータである、送受信機と、動作中、前記データを復号し、前記データが前記複数のダウンリンク共有チャネルを用いて正常に復号されたかどうかを示すインジケータを生成する回路と、を有し、送受信機は、動作中、前記複数のダウンリンク共有チャネルにそれぞれ関連する複数のアップリンク制御チャネルのうちの少なくとも1つで前記インジケータを送信する、ユーザ機器を提供する。
【0107】
いくつかの実施形態において、前記送受信機は、動作中、前記複数のダウンリンク共有チャネルにそれぞれ関連する前記複数のアップリンク制御チャネルの各々で前記インジケータを送信する。
【0108】
例えば、前記送受信機は、動作中、複数の送受信ポイント(TRP)からそれぞれ前記複数のダウンリンク共有チャネルを受信し、前記複数のTRPにそれぞれ前記複数のアップリンク制御チャネルで前記インジケータを送信する。
【0109】
いくつかの実施形態によれば、前記インジケータは、前記複数のダウンリンク共有チャネルの中の少なくとも2つのダウンリンク共有チャネルを用いた復号の共通結果を示す共通インジケータであり、前記共通インジケータは、1ビットのインジケータである。
【0110】
例えば、前記回路は、動作中、前記複数のダウンリンク共有チャネルをそれぞれ復号して、前記複数のダウンリンク共有チャネルの復号の各結果に対して論理「OR」演算を実行し、前記共通インジケータは、前記論理「OR」演算の結果を示す。
【0111】
いくつかの例示的な実施形態において、前記回路は、動作中、前記複数のダウンリンク共有チャネルの各々に対して、前記データがそれぞれのダウンリンク共有チャネルを用いて正常に復号されたかどうかを示すそれぞれのインジケータを生成し、前記送受信機は、動作中、前記複数のアップリンク制御チャネルの各々で、前記共通インジケータおよび前記アップリンク制御チャネルにそれぞれ関連する前記ダウンリンク共有チャネルを復号した結果を示す前記それぞれのインジケータを送信する。
【0112】
例えば、前記送受信機は、動作中、前記複数のアップリンク制御チャネルの各々で、前記共通インジケータおよび前記各インジケータを含むACK/NACK(応答確認/否定応答確認)信号をそれぞれ送信する。
【0113】
いくつかの実施形態において、前記送受信機は、動作中、前記回路が論理「OR」演算を実行する前に、前記複数のアップリンク制御チャネルの各々で前記各インジケータを送信する。
【0114】
いくつかの実施形態において、前記回路は、動作中、前記複数のダウンリンク共有チャネルをそれぞれ復号し、前記インジケータは、前記複数のダウンリンク共有チャネルのそれぞれ1つを用いて前記データが正常に復号されたかどうかをそれぞれ示す複数のビットを含む。
【0115】
例えば、前記複数のダウンリンク共有チャネルの中の第1のダウンリンク共有チャネルで受信されたデータは、前記複数のダウンリンク共有チャネルの中の第2のダウンリンク共有チャネルでデータを送信するのに用いられる第2の変調・符号化方式(MCS)とは異なる第1のMCSを用いて符号化されている。
【0116】
いくつかの例示的な実施形態において、前記回路は、動作中、前記複数のダウンリンク共有チャネルで受信されたデータに対してソフト合成を実行し、前記ソフト合成によって得られた合成データを復号し、前記合成データの復号結果に基づいて前記インジケータを生成する。
【0117】
さらなる実施形態は、動作中、複数のダウンリンク共有チャネルの中のダウンリンク共有チャネルでデータを送信し、前記複数のダウンリンク共有チャネルで送信される前記データはそれぞれ同じデータであり、また、前記ダウンリンク共有チャネルに関連するアップリンク制御チャネルで、前記送信されたデータが前記複数のダウンリンク共有チャネルを用いて正常に受信され復号されたかどうかを示すインジケータを受信する送受信機と、動作中、前記インジケータに基づいて、前記データが正常に受信され復号されたかどうかを判定する回路と、を有する、ネットワークノードを提供する。
【0118】
例えば、前記複数のダウンリンク共有チャネルの中の前記ダウンリンク共有チャネルは、第1のダウンリンク共有チャネルであり、前記送受信機は、第1のTRP(送受信ポイント)を有し、動作中、前記第1のTRPを用いて前記第1のダウンリンク共有チャネルで前記データを送信し、前記第1のTRPを用いて前記第1のダウンリンク共有チャネルに関連する前記アップリンク制御チャネルで前記インジケータを受信し、前記ネットワークノードは、バックホールインタフェースをさらに有し、前記バックホールインタフェースを通じて、前記データの送信をスケジューリングするためのスケジューリング情報を、第2のTRPによって前記複数のダウンリンク共有チャネルの中の第2のダウンリンク共有チャネルで送信する。
【0119】
いくつかの実施形態によれば、前記複数のダウンリンク共有チャネルの中の前記ダウンリンク共有チャネルは、第1のダウンリンク共有チャネルであり、前記回路は、動作中、前記複数のダウンリンク共有チャネルの中の第2のダウンリンク共有チャネルで前記データを送信するのに用いられる第2の変調・符号化方式(MCS)とは異なる第1のMCSを用いて前記第1のダウンリンク共有チャネルで送信すべき前記データを符号化する。
【0120】
いくつかの実施形態において、前記インジケータは、前記複数のダウンリンク共有チャネルの中の少なくとも2つのダウンリンク共有チャネルを用いた復号の共通結果を示す共通インジケータであり、前記共通インジケータは、1ビットのインジケータである。
【0121】
例えば、前記共通インジケータは、前記複数のダウンリンク共有チャネルの復号の各結果に対して実行された論理「OR」演算の結果を示す。
【0122】
例えば、前記送受信機は、動作中、前記共通インジケータと、前記ネットワークノードによって送信されたそれぞれのダウンリンク共有チャンネルを用いて前記データが正常に復号されたかどうかを示すそれぞれのインジケータと、を受信する。
【0123】
例えば、送受信機は、動作中、前記共通インジケータおよび前記それぞれのインジケータを含むACK/NACK(応答確認/否定応答確認)信号を受信する。
【0124】
例えば、前記回路は、動作中、前記共通インジケータの前に前記それぞれのインジケータを受信し、前記それぞれのインジケータおよび前記共通インジケータは、別々のACK/NACK信号で受信される。
【0125】
例えば、前記インジケータは、前記複数のダウンリンク共有チャネルのそれぞれ1つを用いて前記データが正常に復号されたかどうかをそれぞれ示す複数のビットを含む。
【0126】
いくつかの実施形態において、前記インジケータは、前記複数のダウンリンク共有チャネルからの前記データをソフト合成して得られた前記合成データの前記復号の結果を示す。
【0127】
複数のダウンリンク共有チャネルでデータを受信するステップであって、前記複数のダウンリンク共有チャネルで受信された前記データがそれぞれ同じデータである、ステップと、前記データを復号するステップと、前記データが前記複数のダウンリンク共有チャネルを用いて正常に復号されたかどうかを示すインジケータを生成するステップと、前記複数のダウンリンク共有チャネルにそれぞれ関連する複数のアップリンク制御チャネルのうちの少なくとも1つで前記インジケータを送信するステップと、を有する、ユーザ機器のための通信方法がさらに提供される。
【0128】
いくつかの実施形態において、前記インジケータは、前記複数のダウンリンク共有チャネルにそれぞれ関連する前記複数のアップリンク制御チャネルの各々で送信される。
【0129】
例えば、前記複数のダウンリンク共有チャネルは、複数の送受信ポイント(TRP)からそれぞれ受信され、前記インジケータは、前記複数のアップリンク制御チャネルで前記複数のTRPにそれぞれ送信される。
【0130】
いくつかの実施形態によれば、前記インジケータは、前記複数のダウンリンク共有チャネルの中の少なくとも2つのダウンリンク共有チャネルを用いた復号の共通結果を示す共通インジケータであり、前記共通インジケータは、1ビットのインジケータである。
【0131】
例えば、前記複数のダウンリンク共有チャネルはそれぞれ復号され、当該方法は、前記複数のダウンリンク共有チャネルの復号の各結果に対して論理「OR」演算を実行することを含み、前記共通インジケータは、前記論理「OR」演算の結果を示す。
【0132】
例えば、当該方法は、前記複数のダウンリンク共有チャネルの各々に対して、前記データがそれぞれのダウンリンク共有チャネルを用いて正常に復号されたかどうかを示すそれぞれのインジケータを生成することを含み、前記共通インジケータおよび前記アップリンク制御チャネルにそれぞれ関連する前記ダウンリンク共有チャネルを復号した結果を示す前記それぞれのインジケータが、前記複数のダウンリンク共有チャネルの各々でそれぞれ送信される。
【0133】
例えば、前記複数のアップリンク制御チャネルの各々で、前記共通インジケータおよび前記それぞれのインジケータを含むACK/NACK(応答確認/否定応答確認)信号がそれぞれ送信される。
【0134】
いくつかの実施形態において、前記複数のアップリンク制御チャネルの各々で送信される前記各インジケータは、前記論理「OR」演算を実行する前に送信される。
【0135】
例えば、前記複数のダウンリンク共有チャネルはそれぞれ復号され、前記インジケータは、前記複数のダウンリンク共有チャネルのそれぞれ1つを用いて前記データが正常に復号されたかどうかをそれぞれ示す複数のビットを含む。
【0136】
例えば、前記複数のダウンリンク共有チャネルの中の第1のダウンリンク共有チャネルで受信されたデータは、前記複数のダウンリンク共有チャネルの中の第2のダウンリンク共有チャネルで前記データを送信するのに用いられる第2の変調・符号化方式(MCS)とは異なる第1のMCSを用いて符号化されている。
【0137】
いくつかの実施形態において、当該方法は、前記複数のダウンリンク共有チャネルで受信されたデータに対してソフト合成を実行すること、前記ソフト合成によって得られた合成データを復号すること、および前記合成データの復号結果に基づいて前記インジケータを生成することを含む。
【0138】
本開示は、複数のダウンリンク共有チャネルの中のダウンリンク共有チャネルでデータを送信するステップであって、前記複数のダウンリンク共有チャネルで送信される前記データがそれぞれ同じデータである、ステップと、前記ダウンリンク共有チャネルに関連するアップリンク制御チャネルで、前記送信されたデータが前記複数のダウンリンク共有チャネルを用いて正常に受信され復号されたかどうかを示すインジケータを受信するステップと、前記インジケータに基づいて、前記データが正常に受信され復号されたかどうかを判定するステップと、を有する、ネットワークノードのための通信方法をさらに提供する。
【0139】
例えば、前記複数のダウンリンク共有チャネルの中の前記ダウンリンク共有チャネルは、第1のダウンリンク共有チャネルであり、当該方法は、第1のTRPを用いて前記第1のダウンリンク共有チャネルで前記データを送信すること、前記第1のTRPを用いて前記第1のダウンリンク共有チャネルに関連する前記アップリンク制御チャネルで前記インジケータを受信すること、および、バックホールインタフェースを通じて、前記データの送信をスケジューリングするためのスケジューリング情報を、第2のTRPによって前記複数のダウンリンク共有チャネルの中の第2のダウンリンク共有チャネルで送信すること、を有する。
【0140】
いくつかの実施形態によれば、前記複数のダウンリンク共有チャネルの中の前記ダウンリンク共有チャネルは、第1のダウンリンク共有チャネルであり、当該方法は、前記複数のダウンリンク共有チャネルの中の第2のダウンリンク共有チャネルで前記データを送信するのに用いられる第2の変調・符号化方式(MCS)とは異なる第1のMCSを用いて前記第1のダウンリンク共有チャネルで送信すべき前記データを符号化することを有する。
【0141】
いくつかの実施形態において、前記インジケータは、前記複数のダウンリンク共有チャネルの中の少なくとも2つのダウンリンク共有チャネルを用いた復号の共通結果を示す共通インジケータであり、前記共通インジケータは、1ビットのインジケータである。
【0142】
例えば、前記共通インジケータは、前記複数のダウンリンク共有チャネルの復号の各結果に対して実行された論理「OR」演算の結果を示す。
【0143】
いくつかの実施形態において、前記共通インジケータと、前記ネットワークノードによって送信されたそれぞれのダウンリンク共有チャンネルを用いて前記データが正常に復号されたかどうかを示すそれぞれのインジケータとが受信される。
【0144】
例えば、前記共通インジケータおよび前記それぞれのインジケータを含むACK/NACK(応答確認/否定応答確認)信号が受信される。
【0145】
いくつかの実施形態において、前記それぞれのインジケータは、前記共通インジケータを受信する前に受信され、前記それぞれのインジケータおよび前記共通インジケータは、別々のACK/NACK信号で受信される。
【0146】
例えば、前記インジケータは、前記複数のダウンリンク共有チャネルのそれぞれ1つを用いて前記データが正常に復号されたかどうかをそれぞれ示す複数のビットを含む。
【0147】
いくつかの実施形態において、前記インジケータは、前記複数のダウンリンク共有チャネルからの前記データのソフト合成によって得られた合成データの復号の結果を示す。
【0148】
要約すると、本開示は、ユーザ機器、ネットワークノード、ならびにユーザ機器およびネットワークノードのための各通信方法に関する。いくつかの実施形態によれば、ユーザ機器は、動作中、複数のダウンリンク共有チャネルでデータを受信する送受信機であって、前記複数のダウンリンク共有チャネルで受信される前記データがそれぞれ同じデータである、送受信機と、動作中、データを復号し、前記データが前記複数のダウンリンク共有チャネルを用いて正常に復号されたかどうかを示すインジケータを生成する回路と、を有する。前記送受信機は、動作中、前記複数のダウンリンク共有チャネルにそれぞれ関連する複数のアップリンク制御チャネルのうちの少なくとも1つで前記インジケータを送信する。