(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096840
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ウェアラブル自動注射システムおよび器具
(51)【国際特許分類】
A61M 5/14 20060101AFI20240709BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20240709BHJP
A61M 5/42 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
A61M5/14 580
A61M5/142 520
A61M5/42 500
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024063189
(22)【出願日】2024-04-10
(62)【分割の表示】P 2021107324の分割
【原出願日】2015-10-16
(31)【優先権主張番号】62/065,647
(32)【優先日】2014-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボルフガング・フラウンホーファー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・キャメロン
(72)【発明者】
【氏名】リナス・ピー・ラウルソニス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】最終薬物を患者に投与するためのウェアラブル自動注射装置を提供する。
【解決手段】ウェアラブル自動注射装置は、ハウジングと、患者に最終薬物を注射するための注射アセンブリと、薬物を形成すべく混合されるバルクな中間薬物および希釈剤を保持する容器306と、前に最終薬物を形成するために容器においてバルクな中間薬物および希釈剤を混合するための混合機構とを備える。最終薬物を患者に投与するためのシステムも提供される。システムは、容器と、容器においてバルクな中間薬物および希釈剤を混合して最終薬物を形成するための混合機構と、容器を受け入れるように構成されたウェアラブル自動注射装置とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最終薬物を患者に投与するためのウェアラブル自動注射装置であって、
バルクな中間薬物を保持する中間容器と、
バルクな中間薬物と希釈剤とを混合して最終薬物を形成する1つ以上の混合機構を含む混合チャンバと
を含むハウジングを備えているウェアラブル自動注射装置。
【請求項2】
ハウジングが、最終薬物を患者に投与するために最終薬物の形成後に注射アセンブリを作動させるためのアクティベーション機構をさらに備える、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項3】
アクティベーション機構が、ユーザによる当該ウェアラブル自動注射装置上のボタンの操作にもとづいて混合機構を作動させる、請求項2に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項4】
ハウジングが、最終薬物を患者に注射するための針および流路を含む注射アセンブリをさらに備える、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項5】
中間容器が、希釈剤をさらに備える、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項6】
ハウジングが、希釈剤を保持する第2の容器をさらに備え、混合チャンバは、中間容器および第2の容器に流体連通する、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項7】
バルクな中間薬物と希釈剤との混合を自動的に検証するための濁度計をさらに備える、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項8】
ユーザが最終薬物を視覚的に検査するためのハウジングに配置された検査ウインドウをさらに備える、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項9】
中間容器が、バルクな中間薬物および希釈剤を別々に収容する、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項10】
バルクな中間薬物が、乾燥した形態であり、バルクな中間薬物は、凍結乾燥、噴霧フリーズドライ、または噴霧乾燥によって乾燥させられている、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項11】
バルクな中間薬物が、容器の内面を覆っている、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項12】
容器に結合させられ、混合機構が作動させられるときにアクティベーション機構によって作動させられる圧電要素、をさらに備え、圧電要素は、希釈剤のキャビテーション、あるいはバルクな中間薬物の砕けおよび容器表面からの希釈剤への放出を生じさせるように構成されている、請求項11に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項13】
中間容器が、容器内に軸方向に配置されたオリフィスを有するバリアを備える、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項14】
中間容器が、中間容器の近位端に配置されたバルクな中間薬物を内部に有する多孔質要素を備える、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項15】
中間容器が、中間容器内の希釈剤の振動を生じさせるためのインペラを備える、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項16】
混合チャンバが、混合チャンバ内の希釈剤の振動を生じさせるためのインペラを備える、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項17】
最終薬物を患者に投与するためのシステムであって、
バルクな中間薬物を保持する第1の容器と、
最終薬物を形成すべくバルクな中間薬物と混合される希釈剤を保持する第2の容器と、
混合容器を含んでおり、注射に先立って最終薬物を形成すべくバルクな中間薬物と希釈剤とを混合容器において混合するための混合機構と、
ウェアラブル自動注射装置と
を備えており、
ウェアラブル自動注射装置は、
ハウジングと、
最終薬物を収容している混合容器を受け入れるためのポートと、
最終薬物を患者に注射するための注射アセンブリと、
最終薬物を患者に投与すべく注射アセンブリを作動させるためのアクティベーション機構と
を備えている、システム。
【請求項18】
混合機構が、ユーザによる混合機構上のボタンの操作にもとづいて作動する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
混合機構が、ユーザによる混合機構と無線通信する無線リモートの操作にもとづいて作動する、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
バルクな中間薬物と希釈剤との混合を自動的に検証するために混合機構に配置された濁度計をさらに備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
ユーザが最終薬物を視覚的に検査するためのハウジングに配置された検査ウインドウをさらに備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項22】
混合容器が、バルクな中間薬物および希釈剤を別々に収容する、請求項17に記載のシステム。
【請求項23】
バルクな中間薬物が、乾燥した形態である、請求項17に記載のシステム。
【請求項24】
バルクな中間薬物が、粉末または複数の固体単位である、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
バルクな中間薬物が、凍結乾燥、噴霧フリーズドライ、または噴霧乾燥によって乾燥させられている、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
バルクな中間薬物が、液体の形態である、請求項17に記載のシステム。
【請求項27】
バルクな中間薬物が、混合容器の内面を覆っている、請求項17に記載のシステム。
【請求項28】
混合容器に結合させられ、混合機構が作動させられるときに混合機構によって作動させられる圧電要素、をさらに備え、圧電要素は、混合容器の表面から希釈剤への薬品の放出を生じさせるように構成されている、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
混合容器が、混合容器内に軸方向に配置されたオリフィスを有するバリアを備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項30】
混合容器が、バルクな中間薬物を内部に乾燥させた多孔質要素を備え、多孔質要素は、混合容器の近位端に配置されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項31】
混合容器が、バルクな中間薬物と希釈剤とを隔てる弁を備えており、弁は、最終薬物を形成するためにバルクな中間薬物と希釈剤との混合を可能にすべく開くように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項32】
混合容器が、内部に軸方向に配置された微小管を備えており、微小管は、バルクな中間薬物のコーティングを有している、請求項17に記載のシステム。
【請求項33】
混合容器が、注射の前に気体を逃がすことができるように構成された通気孔を備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項34】
混合機構が、バルクな中間薬物と希釈剤とを完全に混合すべく混合容器の攪拌を生じさせるように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項35】
最終薬物を患者に投与するためのシステムであって、
注射に先立ってバルクな中間薬物と希釈剤とを混合して最終薬物を形成するための混合機構と、
ウェアラブル自動注射装置と
を備えており、
ウェアラブル自動注射装置は、
ハウジングと、
最終薬物を保持するための主容器と、
患者に最終薬物を注射するための注射アセンブリと、
最終薬物を患者に投与するために注射アセンブリを作動させるためのアクティベーション機構と
を備える、システム。
【請求項36】
混合機構が、バルクな中間薬物と希釈剤とを別々に収容するように構成されている、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
混合機構が、バルクな中間薬物で内面が覆われた渦発生器を備え、渦発生器は、入り口から希釈剤を受け入れ、バルクな中間薬物と希釈剤とを混合して最終薬物を形成するために渦運動を生じさせるように構成されている、請求項35に記載のシステム。
【請求項38】
不活性な固体ビーズが、流体の渦に巻き込まれ、混合容器の壁に対するビーズの運動が、バルクな中間薬物を機械的に分散させ、削るように機能する、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
混合機構が、ベンチュリシステムを含んでおり、ベンチュリシステムは、当該システムにおける流体の圧力の低下を使用してバルクな中間薬物と希釈剤とを混合するように構成されている、請求項35に記載のシステム。
【請求項40】
最終薬物を患者に投与するためのウェアラブル自動注射装置であって、
バルクな中間薬物と希釈剤とを保持するためのチャンバと、
バルクな中間薬物と希釈剤とを混合するためにチャンバに動作可能に結合させられた混合機構と
を含むハウジングを備えているウェアラブル自動注射装置。
【請求項41】
チャンバが、バルクな中間薬物を保持するための第1の区画と、希釈剤を保持するための第2の区画とを含む、請求項38に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項42】
第1の区画および第2の区画が、当初は封じられて互いに隔てられている、請求項39に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項43】
第1の区画および第2の区画が、互いに流体連通している、請求項40に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項44】
最終薬物を患者に投与するためのウェアラブル自動注射装置であって、
バルクな中間薬物と希釈剤とを保持するためのチャンバと、
チャンバと送出カニューレとの間を延びる流路と、
流路を通って流れるバルクな中間薬物と希釈剤とを混合するために流路に動作可能に結合させられた混合機構と
を含むハウジングを備えているウェアラブル自動注射装置。
【請求項45】
チャンバが、バルクな中間薬物を保持するための第1の区画と、希釈剤を保持するための第2の区画とを含む、請求項44に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項46】
第1の区画および第2の区画が、当初は封じられて互いに隔てられている、請求項45に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項47】
第1の区画および第2の区画が、互いに流体連通している、請求項46に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項48】
ハウジングに結合させられ、作動時に、注射によって引き起こされる患者の苦痛を紛らわすために注射の際に患者の皮膚に対して当該ウェアラブル自動注射装置を振動させる振動機構をさらに備える、請求項1、17、35、40、または44のいずれか一項に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項49】
ハウジングに結合させられ、当該ウェアラブル注射装置と患者の皮膚との間の接触を検出する圧力センサをさらに備える、請求項44に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項50】
ハウジングに結合させられ、作動時に、注射によって引き起こされる患者の苦痛を紛らわすために注射の前に当該ウェアラブル自動注射装置を冷却する冷却機構をさらに備える、請求項1、17、35、40、または44のいずれか一項に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項51】
ハウジングに結合させられ、当該ウェアラブル注射装置と患者の皮膚との間の接触を検出する圧力センサをさらに備える、請求項50に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項52】
ハウジングに結合させられ、当該ウェアラブル注射装置の温度を検出する温度センサをさらに備える、請求項50に記載のウェアラブル自動注射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年10月18日に出願された米国特許仮出願第62/065,647号明細書に関係し、この米国特許仮出願の優先権の利益を主張し、2013年10月18日に出願された米国特許仮出願第61/893,123号明細書および2014年10月18日に出願されたPCT出願第PCT/US2014/061279号明細書に関係し、これらの各出願の全内容は、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
自動注射装置は、薬物を患者の体に投与し、患者が薬剤を自身に投与することを可能にするための手動操作のシリンジの代案を提供する。従来から、自動注射装置は、シリンジを収容しており、作動時に、シリンジに収容された薬物が患者の体に投与されるように、シリンジを前方に移動させるとともに、針をハウジングから突出させる。従来からの自動注射装置は、ハンドヘルド(hand-held)の自動注射装置および患者に取り付けられる自動注射器であるパッチポンプ(patch pump)を含む。使用時に、薬物を収容しているパッチポンプが、患者の体または衣類に取り付けられ、薬物を患者に投与すべく作動させられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態においては、最終薬物を患者に投与するためのウェアラブル自動注射装置が提供される。ウェアラブル自動注射装置は、バルクな中間薬物を保持する中間容器と、バルクな中間薬物と希釈剤とを混合して最終薬物を形成する1つ以上の混合機構を含む混合チャンバとを含むハウジングを備える。いくつかの実施形態において、ハウジングは、最終薬物を患者に投与するために最終薬物の形成後に注射アセンブリを作動させるためのアクティベーション機構を含むことができる。アクティベーション機構は、ユーザによるウェアラブル自動注射装置の操作にもとづいて混合機構を作動させる。ハウジングは、最終薬物を患者に注射するための針および流路を含む注射アセンブリを備えることができる。中間容器は、希釈剤を保持することができ、あるいは含むことができる。中間容器は、バルクな中間薬物および希釈剤を別々に収容することができる。ハウジングは、希釈剤を保持する第2の容器を含むことができ、混合チャンバは、中間容器および第2の容器に流体連通する。
【0004】
ウェアラブル自動注射装置は、バルクな中間薬物と希釈剤との混合を自動的に検証するための濁度計を含むことができる。ウェアラブル自動注射装置は、ユーザが最終薬物を視覚的に検査するためのハウジングに配置された検査ウインドウを含むことができる。
【0005】
バルクな中間薬物は、乾燥した形態である。いくつかの実施形態において、バルクな中間薬物は、凍結乾燥、噴霧フリーズドライ、または噴霧乾燥によって乾燥させられる。いくつかの実施形態において、バルクな中間薬物は、容器の内面を覆う。
【0006】
ウェアラブル自動注射装置は、容器に結合させられ、混合機構が作動させられるときにアクティベーション機構によって作動させられる圧電要素を含むことができる。圧電要素は、希釈剤のキャビテーション、あるいはバルクな中間薬物の砕けおよび容器表面からの希釈剤への放出を生じさせるように構成される。中間容器は、容器内に軸方向に配置されたオリフィスを有するバリアを含むことができる。中間容器は、中間容器の近位端に配置されたバルクな中間薬物を内部に有する多孔質要素を含むことができる。中間容器は、中間容器内の希釈剤の振動を生じさせるためのインペラを含むことができる。混合チャンバは、混合チャンバ内の希釈剤の振動を生じさせるためのインペラを含むことができる。
【0007】
別の実施形態においては、最終薬物を患者に投与するためのシステムが提供される。システムは、バルクな中間薬物を保持する第1の容器と、最終薬物を形成すべくバルクな中間薬物と混合される希釈剤を保持する第2の容器と、混合容器を含んでおり、注射に先立って最終薬物を形成すべく混合容器においてバルクな中間薬物と希釈剤とを混合するための混合機構と、ウェアラブル自動注射装置とを含む。ウェアラブル自動注射装置は、ハウジングと、最終薬物を収容している混合容器を受け入れるためのポートと、最終薬物を患者に注射するための注射アセンブリと、最終薬物を患者に投与すべく注射アセンブリを作動させるためのアクティベーション機構とを備える。混合機構は、ユーザによる混合機構の操作にもとづいて作動する。混合機構を、ユーザによる混合機構と無線通信する無線リモートの操作にもとづいて作動させることができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、システムは、バルクな中間薬物と希釈剤との混合を自動的に検証するために混合機構に配置された濁度計含むことができる。いくつかの実施形態において、システムは、ユーザが最終薬物を視覚的に検査するためのハウジングに配置された検査ウインドウを含むことができる。
【0009】
いくつかの実施形態において、混合容器は、バルクな中間薬物および希釈剤を別々に収容する。バルクな中間薬物は、乾燥した形態である。いくつかの実施形態において、バルクな中間薬物は、粉末または複数の固体単位(solid units)である。バルクな中間薬物は、凍結乾燥、噴霧フリーズドライ、または噴霧乾燥によって乾燥させられる。いくつかの実施形態において、バルクな中間薬物は、液体の形態である。いくつかの実施形態において、バルクな中間薬物は、混合容器の内面を覆う。
【0010】
システムは、混合容器に結合させられ、混合機構が作動させられるときに混合機構によって作動させられる圧電要素を含むことができる。圧電要素は、混合容器の表面から希釈剤への薬品の放出を生じさせるように構成される。混合容器は、混合容器内に軸方向に配置されたオリフィスを有するバリアを含むことができる。いくつかの実施形態において、混合容器は、バルクな中間薬物を内部に乾燥させた多孔質要素を含むことができ、多孔質要素は、混合容器の近位端に配置される。いくつかの実施形態において、混合容器は、バルクな中間薬物と希釈剤とを隔てる弁を含むことができる。弁は、最終薬物を形成するためにバルクな中間薬物と希釈剤との混合を可能にすべく開くように構成される。いくつかの実施形態において、混合容器は、内部に軸方向に配置された微小管を含むことができる。微小管は、バルクな中間薬物のコーティングを有する。いくつかの実施形態において、混合容器は、注射の前に気体を逃がすことができるように構成された通気孔を含むことができる。混合機構は、バルクな中間薬物と希釈剤とを完全に混合すべく混合容器の攪拌を生じさせるように構成される。
【0011】
別の実施形態においては、最終薬物を患者に投与するためのシステムが提供される。システムは、注射に先立ってバルクな中間薬物と希釈剤とを混合して最終薬物を形成するための混合機構と、ウェアラブル自動注射装置とを含む。ウェアラブル自動注射装置は、ハウジングと、最終薬物を保持するための主容器と、患者に最終薬物を注射するための注射アセンブリと、最終薬物を患者に投与するために注射アセンブリを作動させるためのアクティベーション機構とを含む。いくつかの実施形態において、混合機構は、バルクな中間薬物と希釈剤とを別々に収容するように構成される。混合機構は、バルクな中間薬物で内面が覆われた渦発生器を含むことができる。渦発生器は、入り口から希釈剤を受け入れ、バルクな中間薬物と希釈剤とを混合して最終薬物を形成するために渦運動を生じさせるように構成される。
【0012】
いくつかの実施形態においては、不活性な固体ビーズが、流体の渦に巻き込まれ、混合容器の壁に対するビーズの運動が、バルクな中間薬物を機械的に分散させ、削るように機能する。
【0013】
いくつかの実施形態において、混合機構は、ベンチュリシステムを含み、ベンチュリシステムは、システムにおける流体の圧力の低下を使用してバルクな中間薬物と希釈剤とを混合するように構成される。
【0014】
別の実施形態においては、最終薬物を患者に投与するためのウェアラブル自動注射装置が提供される。ウェアラブル自動注射装置は、バルクな中間薬物と希釈剤とを保持するためのチャンバと、バルクな中間薬物と希釈剤とを混合するためにチャンバに動作可能に結合させられた混合機構とを有するハウジングを含む。チャンバは、バルクな中間薬物を保持するための第1の区画と、希釈剤を保持するための第2の区画とを含む。第1の区画および第2の区画は、当初は封じられて互いに隔てられている。第1の区画および第2の区画は、互いに流体連通する。
【0015】
別の実施形態においては、最終薬物を患者に投与するためのウェアラブル自動注射装置が提供される。ウェアラブル自動注射装置は、バルクな中間薬物と希釈剤とを保持するためのチャンバと、チャンバと送出カニューレとの間を延びる流路と、流路を通って流れるバルクな中間薬物と希釈剤とを混合するために流路に動作可能に結合させられた混合機構とを有するハウジングを含む。チャンバは、バルクな中間薬物を保持するための第1の区画と、希釈剤を保持するための第2の区画とを含む。第1の区画および第2の区画は、当初は封じられて互いに隔てられている。第1の区画および第2の区画は、互いに流体連通する。
【0016】
いくつかの実施形態において、ウェアラブル自動注射装置は、ハウジングに結合させられた振動機構を含むことができる。振動機構は、作動時に、注射によって引き起こされる患者の苦痛を紛らわすために注射の前、最中、または後に患者の皮膚に当接したウェアラブル自動注射装置を振動させる。いくつかの実施形態において、ウェアラブル自動注射装置は、ハウジングに結合させられ、ウェアラブル注射装置と患者の皮膚との間の接触を検出する圧力センサを含むことができる。
【0017】
いくつかの実施形態において、ウェアラブル自動注射装置は、ハウジングに結合させられた冷却機構を含むことができる。冷却機構は、作動時に、注射によって引き起こされて患者によって知覚される苦痛を紛らわすために注射の前、最中、または後のウェアラブル自動注射装置の冷却を生じさせる。いくつかの実施形態において、ウェアラブル自動注射装置は、ハウジングに結合させられ、ウェアラブル注射装置と患者の皮膚との間の接触を検出する圧力センサを含むことができる。いくつかの実施形態において、ウェアラブル自動注射装置は、ハウジングに結合させられ、ウェアラブル注射装置の温度を検出する温度センサを含むことができる。
【0018】
典型的な実施形態の以上の目的、態様、特徴、および利点、ならびに他の目的、態様、特徴、および利点が、以下の説明を添付の図面と併せて参照することによって、さらに明らかになり、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】典型的な実施形態によるウェアラブル注射装置の構成要素のブロック図である。
【
図1B】典型的な実施形態によるウェアラブル注射装置の構成要素のブロック図である。
【
図1C】典型的な実施形態によるウェアラブル注射装置およびアクティベーション機構の構成要素のブロック図である。
【
図2A】典型的な実施形態による圧電要素を含む混合機構を示している。
【
図2B】典型的な実施形態による複数の圧電要素を含む混合機構を示している。
【
図3】典型的な実施形態による圧電要素を含む混合機構を示している。
【
図4】典型的な実施形態による圧電要素を含む混合機構を示している。
【
図5】典型的な実施形態による多孔質要素を含む混合機構を示している。
【
図6】典型的な実施形態による振動子を使用する混合機構を示している。
【
図7】典型的な実施形態による渦発生器システムを使用する混合機構を示している。
【
図8】典型的な実施形態によるベンチュリ効果システムを使用する混合機構を示している。
【
図9A】典型的な実施形態による容器内の弁を使用する混合機構を示している。
【
図9B】典型的な実施形態による容器内の弁を使用する混合機構を示している。
【
図9C】典型的な実施形態による容器内の弁を使用する混合機構を示している。
【
図9D】典型的な実施形態による容器内の弁を使用する混合機構を示している。
【
図10】典型的な実施形態による微小管を使用する混合機構を示している。
【
図11】典型的な実施形態による乱流表面を使用する混合機構を示している。
【
図12】典型的な実施形態によるイオン膜を使用する混合機構を示している。
【
図13】典型的な実施形態によるウェアラブル注射装置の典型的な実施形態のための容器を示している。
【
図14】典型的な実施形態によるウェアラブル注射装置の典型的な実施形態のための注射アセンブリを示している。
【
図15】典型的な実施形態による複数のカートリッジ、シリンジ、またはバイアルを含むウェアラブル注射装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
注射は、薬物の提供の主たる様態であり、薬物のボーラス(bolus)の患者への投与を含む。注射は、インスリン、ワクチン、および提供前の復元を必要とするかもしれない薬品などの種々の薬物の投与において、きわめて効果的である。いくつかの薬物は、製品の安定性を高めるために、例えば凍結乾燥させられるなど、乾燥させた形態で保存される。これらの薬品は、投与可能となる前に、復元または希釈剤と呼ばれる液体と混合されなければならない。
【0021】
本明細書において使用されるとき、用語「患者」または「ユーザ」は、典型的なウェアラブル注射装置を用いた薬物の投与を受けることができるあらゆる種類の動物、人間、または非人間を指す。
【0022】
本明細書において使用されるとき、用語「ウェアラブル自動注射装置」、「ウェアラブル自動注射器」、および「ウェアラブル注射装置」は、ウェアラブル装置を患者の皮膚に直接取り付け、ウェアラブル装置を患者の皮膚に患者自身による投与の際に手作業で配置し、あるいはウェアラブル装置を患者の体とのやり取りを可能にする衣料品に取り付けることによって、有効量の1つ以上の薬物を患者が自ら投与することを可能にする患者に装着される装置を指す。本明細書に説明されるいくつかの例において、ウェアラブル装置は、注射に先立って乾燥または液体の形態のバルク(bulk)な中間薬物を混合または復元するための1つ以上の機構を備えること、および皮下へのボーラス送入には大きすぎると考えられる体積(典型的には、>1.2mL)を送達することによって、従来からのシリンジから相違することができる。いくつかの実施形態において、混合機構は、機械的な機構、電気機械的な機構、電気化学的な機構、またはこれらの任意の組み合わせにより、1つ以上の乾燥させた薬物と1つ以上の希釈剤とを混合し、あるいは1つ以上の液体薬物を1つ以上の希釈剤と混合し、あるいは1つ以上の乾燥させた薬物と1つ以上の液体薬物とを混合する。いくつかの実施形態において、ウェアラブル注射装置は、薬物を患者に送達するために、注射針、トロカール、カニューレ、カテーテル、またはこれらの組み合わせを備える送入カニューレを含む。
【0023】
本明細書において使用されるとき、用語「薬物」は、医療の診断、治療、処置、または病気の予防に用いられるように意図された組成物を指す。薬物は、治療薬または治療薬の組み合わせであってよい。薬物は、ペプチドまたは抗体、あるいはその抗原結合部分など、治療用タンパク質を含むことができる。薬物は、例えばノボカイン、プロカイン、リドカイン、プリロカイン、などの麻酔薬を含むことができる。一実施形態において、薬物は、「バルクな中間薬物」である。別の実施形態において、薬物は、「最終薬物」である。さらに別の実施形態において、薬物は、2つ以上の薬理学的に有効な薬剤の混合物に相当する。
【0024】
本明細書において使用されるとき、用語「バルクな中間薬物」は、最終薬物における使用のために表される薬物を含んでおり、薬物の製造、処理、または梱包に使用されるときに最終薬物となる液体薬物、乾燥薬物(粉末、固体単位、凍結乾燥、噴霧フリーズドライ、噴霧乾燥、など)、または固体薬物(あるいは、複数のこれらまたはこれらの組み合わせ)を指す。乾燥または固体のバルクな中間薬物を、0.1μgから1グラム、あるいはそれ以上の量にてもたらすことができる。液体のバルクな中間薬物を、0.1μLから5mL、あるいはそれ以上の量にてもたらすことができる。
【0025】
本明細書において使用されるとき、用語「最終薬物」は、例えば人間である対象などのユーザまたは患者への医療の目的での投与に適した形態の組成物を指す。一実施形態において、最終薬物は、バルクな中間薬物(液体の形態、乾燥させた形態(粉末、固体単位、凍結乾燥、噴霧フリーズドライ、噴霧乾燥、など)、固体の形態、あるいはこれらの組み合わせである)と、希釈剤とを含む。一実施形態において、最終薬物は、人間である対象に投与することができる最終薬物をもたらす水と組み合わせられた治療用タンパク質/抗体を含む複数の固体単位を含む。別の実施形態において、最終薬物は、例えば人間である対象に投与することができる最終薬物をもたらす薬理学的に有効な薬剤の溶液と組み合わせられた治療用タンパク質/抗体を含む複数の固体単位など、中間薬物と希釈剤として機能する薬理学的に有効な薬剤の溶液とを含む。一実施形態において、最終薬物は、例えば水などの希釈剤中の固体単位を含んでいる復元された処方物である。別の実施形態において、最終薬物は、例えば、治療用タンパク質と、腸溶コーティングなどのポリマーとを含む固体単位である。別の実施形態において、最終薬物は、液体の形態のバルクな中間薬物と、液体の形態の希釈剤との組み合わせである。別の実施形態において、最終薬物は、液体の形態、乾燥させた形態(粉末、固体単位、凍結乾燥、噴霧フリーズドライ、噴霧乾燥、など)、固体の形態、あるいはこれらの組み合わせである2つ以上のバルクな中間薬物の組み合わせである。最終薬物は、0.1μLから5mL、あるいはそれ以上の量であってよい。
【0026】
本明細書において使用されるとき、用語「希釈剤」は、バルクな中間薬物と混合されて人間である対象に投与される最終薬物を形成する液体を指す。一実施形態において、希釈剤は、水であってよい。別の実施形態において、希釈剤は、第1のバルクな中間薬物と混合される第2のバルクな中間薬物であってよい。希釈剤を、0.1μLから5mL、あるいはそれ以上の量にてもたらすことができる。
【0027】
用語「主容器」は、本明細書において使用されるとき、最終薬物を収容し、あるいは収容するように意図された製造物であって、最終薬物の意図される使用に適した製造物を指す。いくつかの実施形態において、主容器は、シリンジ、カートリッジ、バイアル、またはこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、主容器は、複数の容器であってよい。一実施形態において、主容器は、液体の形態、乾燥させた形態(粉末、固体単位、凍結乾燥、噴霧フリーズドライ、噴霧乾燥、など)、固体の形態、あるいはこれらの組み合わせであるバルクな中間薬物を収容する二室シリンジである。一実施形態において、主容器は、例えば治療用タンパク質を含む複数の固体単位および水を収容する二室シリンジである。
【0028】
用語「中間容器」は、本明細書において使用されるとき、例えば治療用タンパク質などの有効成分の最終薬物となるさらなる処理の前のバルクな中間薬物を保持し、あるいは収容するように意図された物品を指す。いくつかの実施形態において、中間容器は、シリンジ、カートリッジ、バイアル、管、多孔質不活性固体マトリクス、またはこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、中間容器は、複数の容器であってよい。いくつかの実施形態は、主容器および中間容器、あるいは主容器、もしくは中間容器を含むことができる。
【0029】
用語「シリンジ」は、本明細書において使用されるとき、可動な栓を備えている薬物保持用の容器を指す。一実施形態において、シリンジは、プランジャおよび針を備える。別の実施形態において、シリンジは、針およびプランジャに取り付け可能であってよい。シリンジは、後述のように、主容器または中間容器であってよい。
【0030】
用語「カートリッジ」は、本明細書において使用されるとき、隔壁および栓を備えている薬物保持用の容器を指す。一実施形態において、カートリッジは、針およびプランジャに取り付け可能であってよい。カートリッジは、後述のように、主容器または中間容器であってよい。
【0031】
用語「バイアル」は、本明細書において使用されるとき、端部を覆うゴム製ストッパと、ゴム製ストッパにかしめられた金属キャップとを備える薬物保持用の容器を指す。一実施形態において、バイアルは、ユーザがバイアルの使用前に外す(flip off)ことができる押し上げ式の蓋(flip-top)またはスナップ式キャップ(snap-cap)を備える。別の実施形態において、バイアルは、コルク栓またはプラスチック栓を備える。
【0032】
本明細書において使用されるとき、用語「混合物」は、患者に投与されるべき最終薬物を形成するためのバルクな中間薬物と希釈剤との混合物を指す。一実施形態において、混合物は、希釈剤とバルクな中間薬物との半流動体混合物であるスラリであってよい。一実施形態において、混合物は、沈殿するほどに大きくてよい希釈剤中のバルクな中間薬物の固体粒子を含む異種混合物である懸濁液であってよい。別の実施形態において、混合物は、バルクな中間薬物の粒子のすべてが希釈剤に完全に、または部分的に溶解した均質な混合物である溶液を呈する。
【0033】
本明細書において使用されるとき、用語「混合」は、バルクな中間薬物と希釈剤とを組み合わせて混合物を生成することを指す。一実施形態において、混合物は、希釈剤を使用してバルクな中間薬物を復元し、復元された溶液などの混合物を生み出すことを指す。一実施形態において、混合は、混合を生じさせるためのバルクな中間薬物および希釈剤の攪拌を含む。別の実施形態において、混合は、例えばバルクな中間薬物および希釈剤の復元など、完全な混合を保証するために、バルクな中間薬物と希釈剤とを混合することによって形成された混合物を攪拌することを含む。
【0034】
典型的な実施形態は、患者の皮膚または衣類に付着させることができ、復元された薬物を注射によって患者に送達することができるウェアラブル自動注射装置を提供する。ウェアラブル自動注射装置を、ユーザのベルトに留めることができる。薬物を、流体の導管または管を介し、患者の皮膚に挿入された翼状針によって患者に送達することができる。注射は、これらに限られるわけではないが、皮下注射、筋肉注射、静脈注射、皮内注射、経皮注射、マイクロアレイ針注射、など、任意の種類の注射であってよい。典型的なウェアラブル注射装置は、投与前の薬物の復元または混合のための機構をさらに含む。典型的なウェアラブル注射装置は、再使用可能または使い捨てであってよい。典型的なウェアラブル注射装置は、電池動作式または電池レスであってよい。
【0035】
典型的な実施形態が、特定の例示の実施形態に関連して以下で説明される。典型的な実施形態が、或る量の最終薬物の注射を提供するためのウェアラブル自動注射装置の使用に関して説明されるが、典型的な実施形態が、例示の実施形態に限られず、典型的なウェアラブル自動注射装置は、希釈剤およびバルクな中間薬物を混合し、次いで混合物を患者に送達することを可能にするために使用できることを、当業者であれば理解できるであろう。加えて、典型的な自動注射装置の構成要素は、後述される例示の実施形態に限られない。
【0036】
混合機構またはチャンバの典型的な実施形態において、ユーザは、(ウェアラブル注射装置または混合システムに配置された)ボタンを操作し、あるいは(ウェアラブル注射装置または混合システム上の)レバーを切り替え、もしくはスライドさせることによって、混合プロセスを開始させることができる。いくつかの実施形態は、混合プロセスおよび注射プロセスを開始させ、あるいはウェアラブル注射装置および混合ユニットを管理するためのユーザからの入力を受け付けるためのタッチ画面インターフェイスを含むことができる。いくつかの実施形態は、混合プロセスおよび注射プロセスを開始させ、あるいはウェアラブル注射装置および混合ユニットを管理するためのユーザからの言葉による指示を受け付けることができるスピーチ認識モジュールを含むことができる。このユーザの行為が、アクティベーション機構を作動させることができ、アクティベーション機構が、希釈剤およびバルクな中間薬物の混合を可能にし、いくつかの実施形態においては希釈剤およびバルクな中間薬物の攪拌を生じさせることによって、混合プロセスを開始させることができる。攪拌を、容器を揺らすこと、容器を強く振り動かすこと、高周波の音波を使用すること、容器を回転させること、乱流の強せん断の流体流を生じさせること、ならびに/あるいは注射プロセスの直前または最中の溶解および混合のプロセスにおいて薬物と希釈剤との間の表面積を増加させる手段などの任意の他の適切な手段によって、実行することが可能である。
【0037】
いくつかの実施形態において、攪拌は、これらに限られるわけではないが、長手軸または緯度軸あるいは他の適切な手段に沿って回転する希釈剤および薬物を組み合わせるなど、混合を完了するためにウェアラブル注射装置によって実行される。他の実施形態においては、混合ユニットを、ウェアラブル注射装置とは別に提供することができる。混合ユニットを、1つ以上の容器(中間容器および混合容器)および(混合プロセスを開始させる)混合アクティベーション機構を受け入れることができるドッキングステーションまたはハブシステムの形態で、ウェアラブル注射装置の付属品としてユーザに提供することができる。ユーザは、バルクな中間薬物および希釈剤の混合を開始させ、完了させるために、ドッキングステーションまたはハブシステムに種々の構成要素を結合させ、あるいは設置することが可能であってよい。いくつかの実施形態において、(中間容器または混合容器を有する)ウェアラブル注射装置を、攪拌のために混合ユニットに設置することができる。
【0038】
典型的な実施形態において、混合ユニットは、混合プロセスを開始させるために希釈剤およびバルクな中間薬物の組み合わせを生じさせることができ、その後に必要であれば希釈剤とバルクな中間薬物との完全な混合を保証するための攪拌の実行を生じさせることができる。別の典型的な実施形態においては、ウェアラブル注射装置が、希釈剤およびバルクな中間薬物の組み合わせを生じさせることができ、混合ユニットが、必要であれば完全な混合を保証するために攪拌を実行する。さらに別の典型的な実施形態においては、ユーザが、混合プロセスを開始させるために希釈剤およびバルクな中間薬物の組み合わせを生じさせることができ、次いでウェアラブル注射装置または容器を攪拌のために混合ユニットに設置することができる。
【0039】
あるいは、ユーザは、希釈剤をバルクな中間薬物を保持している中間容器に移し、容器を混合および最終薬物の形成のために攪拌することにより、バルクな中間薬物を手作業で混合することができる。ユーザは、例えば緊急の状況において、混合ユニットをすぐには利用できない場合に、攪拌を手作業で実行することができる。
【0040】
ウェアラブル注射装置の典型的な実施形態は、薬物を検査するための構成要素を含む。例えば、注射装置のハウジングは、ユーザが注射装置の中身(薬物)を眺めることができる検査ウインドウを含むことができる。ユーザは、注射の実行前に、混合が生じたかどうかを判断するために薬物を視覚的に検査することができる。いくつかの実施形態においては、最終薬物の色が、ユーザが最終薬物と希釈剤との間の違いを視覚的に判断できるように、バルクな中間薬物および希釈剤の色とは異なることができる。いくつかの実施形態においては、希釈剤が透明である一方で、最終薬物が濁っていてよく、ユーザの視覚による検査を助ける。
【0041】
いくつかの実施形態において、ウェアラブル注射装置は、自動検査手段を含むことができる。例えば、装置は、最終薬物の曇りまたは濁りを測定する濁度計を含むことができる。濁度計は、設定可能なしきい値の測定にもとづいて、混合が完了したか否かを明らかにすることができる。しきい値の測定を、ウェアラブル注射装置によって注射される薬物の混合の要件にもとづいて、流通または販売に先立って製造者が設定することができる。典型的な実施形態において、濁度計は、最終薬物の曇りのしきい値の測定が満足できるものである場合に、例えばアクティベーション機構を介して、注射のプロセスを自動的に開始させることができる。
【0042】
ウェアラブル注射装置の典型的な実施形態は、最終薬物を種々の速度で投与することが可能であってよい。例えば、典型的な実施形態において、ウェアラブル注射装置は、最終薬物を、或る時間期間にわたって固定の注射速度で注射針を通って排出することによって投与することができる。別の典型的な実施形態においては、ウェアラブル注射装置が最終薬物を投与することができる注射の速度または注射の時間をユーザが選択することが可能であってよい。例えば、ユーザは、選択肢の選択または注射が投与されるべき時間期間の指定のいずれかによって、低、中、または高の注射速度の間で選択を行うことができる。別の実施形態において、ウェアラブル注射装置は、ユーザまたは製造者によって設定される可変の注射プロフィルにて最終薬物を投与することが可能であってよい。例えば、注射を、低い注射速度で開始させることができ、その後に注射の完了まで速度を高くすることができ、あるいは注射プロセスの中ほどに向かって速度を高め、注射プロセスの終わりにおいて速度を下げることができる。ウェアラブル注射装置の典型的な実施形態は、2秒から2時間あるいは72時間もの継続時間にわたって注射を投与することができる。注射プロフィルは、患者の年齢、体重、性別、疾病、治療プロトコル、薬物、および他の因子を考慮することができる。いくつかの実施形態においては、注射プロセスの最中に、少量の空気が最終薬物と一緒に患者に送達される。例えば、約100から200マイクロリットルの空気が、最終薬物と一緒に送入の際に患者の体内に注射され得る。
【0043】
典型的な実施形態は、ユーザまたは患者の体に付着するウェアラブル注射装置を提供する。典型的なウェアラブル注射装置は、これらに限られるわけではないが、腹部、太ももの上部、腕、などの患者の種々の部位に付着して注射を投与することができる。ウェアラブル注射装置は、ハウジングの表面上に含まれる接着層を介して皮膚に付着することができる。あるいは、ウェアラブル注射装置を、注射装置のハウジングに結合させられたストラップ、ベルト、または他の適切な機械的手段を使用して皮膚に固定することができる。別の典型的な実施形態においては、ウェアラブル注射装置を、吸着機構によって皮膚に固定することができる(吸着を助けるゲルまたは液体を使用しても、使用しなくてもよい)。さらに別の典型的な実施形態においては、ウェアラブル注射装置を、注射が完了するまでユーザが手で皮膚に固定することができる。
【0044】
典型的な実施形態において、ウェアラブル注射装置は、注射を患者に投与するためにカテーテルを含む。カテーテルは、埋め込み可能な皮下または筋肉内アクセスシステムの一部であってよい。カテーテルを、手動または自動で皮膚から取り除くことができ、注射プロセスの完了後にハウジングに自動的に引き込むことができる。
【0045】
ウェアラブル注射装置の典型的な実施形態は、注射の完了後または装置が皮膚との接触を喪失する場合における注射プロセスの最中のいずれかにおいて、注射装置が皮膚から取り除かれた後の注射針の自動的な引き込みを提供する。この機構は、意図せぬ針の突き刺しを防止する。いくつかの実施形態において、ウェアラブル注射装置は、患者などを針の突き刺しから保護するためにウェアラブル注射装置から延びている針スリーブを含む。
【0046】
ウェアラブル注射装置のいくつかの実施形態は、復元および注射のプロセスの種々の段階におけるユーザへの種々の知らせを含む。例えば、視覚、聴覚、および/または触覚による知らせなどの知らせを、注射装置の種々の段階および/または状態を示すためにウェアラブル注射装置によってもたらすことができる。知らせを、無線伝送を介してもたらすことができる。いくつかの実施形態において、知らせは、注射針が最終薬物を排出できる状態にある注射プロセスの開始、1回分の薬物が送達された注射プロセスの完了、バルクな中間薬物が希釈剤と混ざり始める混合プロセスの開始、最終薬物の混合が完了する混合プロセスの終了を示すことができる。
【0047】
ウェアラブル注射装置のいくつかの実施形態は、ハウジングの外面に結合させられた皮膚センサを含む。皮膚センサは、ウェアラブル注射装置がもはや患者の皮膚に接触していないと判断される場合に、注射針の引き込みを自動的に生じさせることができる。さらに、皮膚センサは、注射プロセスの始まりにおいてウェアラブル注射装置が注射装置によって必要とされるとおりに患者の皮膚に接触していると判断される場合に、注射針の前進を自動的に生じさせることができる。いくつかの実施形態において、皮膚センサは、適切な場合に操作機構による最終薬物の排出の開始を自動的に生じさせる。換言すると、皮膚センサは、注射装置が皮膚に接触する前および/または注射針が患者に挿入される前にウェアラブル注射装置が最終薬物を排出することを防止することができる。皮膚センサは、皮膚を検出するセンサであってよく、あるいは表面による抵抗を検出する表面センサであってよく、もしくは物理的な接触によって作動させられる機械的なインターロックまたはスイッチであってよい。
【0048】
ウェアラブル注射装置のいくつかの実施形態は、装置を振動させる振動機構または装置の表面を冷却する冷却機構あるいはこれらに組み合わせを含む。注射のプロセスの前または最中にウェアラブル注射装置を振動させ、かつ/または装置を冷却することで、ウェアラブル注射装置が患者の皮膚に配置されるときに注射のプロセスから患者を紛らわすことができる。例えば、ウェアラブル注射装置は、振動機構または冷却機構にフィードバックをもたらす温度センサまたは圧力センサあるいはこれらの組み合わせを含むことができる。このようにして、ウェアラブル注射装置が患者の皮膚に係合させられたときに、装置の振動、装置の表面の冷却、あるいは両方ゆえに、薬物が送達される際に知覚される痛みの感覚が軽くなり、あるいは皆無になる。さらに、ウェアラブル注射装置は、例えばユーザによって感知される可聴音または音波パルスを発する音源など、ユーザの感覚を惑わせ、あるいは紛らわすための任意の他の機構を含むことができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、ウェアラブル注射装置は、注射の完了、1回分の最終薬物の送達の終わり、または注射装置において最終薬物が実質的に空である旨を示すための聴覚または視覚インジケータをさらに含むことができる。
【0050】
典型的な実施形態において、主パッケージは、ウェアラブル自動注射装置、薬物を保持する容器、および/または無線周波数識別(RFID)タグを含む。RFIDタグは、主パッケージにて提供される薬物を識別することができる。また、RFIDタグは、パッケージの所在地を追跡し、正しい薬物が正しい患者または医療機関に届けられたかどうかを確認することもできる。同様に、例えば主パッケージ内の構成要素または主パッケージそのものがバーコード、2Dバーコード、QRコード(登録商標)、などを含むことができるなど、識別および追跡のための他の手段も、主パッケージに含まれることができる。いくつかの実施形態において、主パッケージを、例えば近距離無線通信(NFC)またはBluetooth(登録商標)を介して主パッケージを特定および追跡するためのコンピュータまたは携帯電話アプリケーション(すなわち、app)に結合させ、あるいは電子的にリンクさせることができる。
【0051】
さらなる典型的な実施形態において、ウェアラブル注射装置、主パッケージ、または両方は、インターネットまたはBluetooth接続を介したデータ通信の能力を含むことができる。注射装置は、注射プロセスに関するデータを集め、データをデータベースに伝えることが可能であってよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、本明細書に説明されるようにアクティベーション機構は、注射アセンブリを介して注射プロセスを開始させるように動作する。他の実施形態において、アクティベーション機構は、本明細書に説明される種々の混合機構および混合チャンバを介して混合プロセスを開始させるように動作する。さらに他の実施形態において、アクティベーション機構は、注射プロセスおよび混合プロセスを開始させるように動作する。アクティベーション機構を、典型的な実施形態において設けられるボタンを使用して作動させることができる。
【0053】
図1Aが、典型的なウェアラブル注射装置のブロック図である。ウェアラブル注射装置は、ハウジング105aを備える。いくつかの実施形態において、ハウジング105aは、アクティベーション機構110aと、バルクな中間薬物を保持する中間容器115aと、注射アセンブリ120aと、センサ145aと、センサ147aと、ディストラクション機構150aと、ディストラクション機構152aと、濁度計155aと、ウインドウ160aと、ボタン165aとを備える。いくつかの実施形態において、ハウジング105aは、希釈剤を保持する希釈剤容器125aをさらに備えることができる。いくつかの実施形態においては、アクティベーション機構110aの一部分が、ハウジングの外にあってよい。ボタン165aを、アクティベーション機構110aに組み合わせることができ、ボタン165aを操作して、アクティベーション機構110aの動作を生じさせることができる。典型的な実施形態において、中間容器115aは、混合の時点まで別々に保存されるバルクな中間薬物および希釈剤を収容することができる。いくつかの実施形態において、中間容器115aは、混合機構を備えることができ、希釈剤が中間容器115aに導入されるときに、混合機構が、バルクな中間薬物と希釈剤との混合を実行し、混合物(最終薬物)を生み出す。混合機構の種々の例が、後で詳しく論じられる。注射アセンブリ120aは、最終薬物を患者に送達するための注射針、トロカール、カニューレ、カテーテル、またはこれらの組み合わせを備える送入カニューレを備えることができる。注射アセンブリ120aを、注射針を介して患者に混合物を注射するために、中間容器115aおよびアクティベーション機構110aに流体的に連結させることができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、ハウジング105aは、複数のセンサ147aを備えることができる。センサ145aは、ハウジング105aの温度を検知し、あるいは患者の皮膚との係合を検知するための温度センサまたは圧力センサあるいはこれらの組み合わせであってよい。いくつかの実施形態において、センサ145aは、注射装置の最終薬物が実質的に空であるとき、または1回分の最終薬物が排出されたときを検知するためのセンサをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、ハウジング105aは、複数のディストラクション機構152aを備えることができる。ディストラクション機構150aは、注射針の苦痛に関して患者を紛らわすように、ハウジング105aの振動を生じさせるための機構、またはハウジング105aの冷却を生じさせるための機構であってよい。ディストラクション機構150aは、患者を注射の苦痛から紛らわすために可聴な音を発生させるための機構をさらに備えることができる。また、ディストラクション機構150aは、患者が注射の苦痛から自身を紛らわすように感じることができる音のパルスを発生させるための機構をさらに備えることができる。ディストラクション機構150aは、温度差を生じさせるための機構を備えることもできる。いくつかの実施形態においては、センサ145aまたはディストラクション機構150aを、ハウジング105aの外部に設けることができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、ハウジング105aは、ユーザがウェアラブル注射装置の中身を眺めることができる検査用のウインドウ160aを備える。ユーザは、注射の実行前に、中間容器115a内の最終薬物を視覚的に検査して、混合が生じたかどうかを判断することができる。いくつかの実施形態においては、最終薬物の色が、ユーザが最終薬物と希釈剤との間の違いを視覚的に判断できるように、バルクな中間薬物および希釈剤の色とは異なることができる。いくつかの実施形態においては、希釈剤が透明である一方で、最終薬物が濁っていてよく、ユーザの視覚による検査を助ける。いくつかの実施形態において、ウインドウ160aは、ユーザがウェアラブル注射装置の他の構成要素を眺めることができるようにハウジング105a上に位置する。
【0056】
いくつかの実施形態において、ウェアラブル注射装置は、自動検査手段のための濁度計155aを備える。濁度計155aは、中間容器115aに組み合わせられてよく、中間容器115a内の最終薬物の曇りまたは濁りを測定する。濁度計は、設定可能なしきい値の測定にもとづいて、混合が完了したか否かを明らかにすることができる。しきい値の測定を、ウェアラブル注射装置によって注射される薬物の混合の要件にもとづいて、流通または販売に先立って製造者が設定することができる。典型的な実施形態において、濁度計は、最終薬物の曇りのしきい値の測定が満足できるものである場合に、例えばアクティベーション機構110aを介して、注射のプロセスを自動的に開始させることができる。
【0057】
図1Bが、別の典型的なウェアラブル注射装置のブロック図である。この実施形態において、ウェアラブル注射装置のハウジング105bは、アクティベーション機構110bと、バルクな中間薬物を保持する中間容器115bと、注射アセンブリ120bと、希釈剤を保持するための希釈剤容器125bと、混合チャンバ130bと、センサ145bと、センサ147bと、ディストラクション機構150bと、ディストラクション機構152bと、濁度計155bと、ウインドウ160bと、ボタン160bとを備える。アクティベーション機構110bは、混合プロセスを開始させることができ、その時点において、中間容器115bからのバルクな中間薬物および希釈剤容器125bからの希釈剤が、混合チャンバ130bに導入される。ボタン165bを、アクティベーション機構110bに組み合わせることができ、ボタン165bを操作して、アクティベーション機構110bの動作を生じさせることができる。混合チャンバ130bは、バルクな中間薬物と希釈剤とを混合して、最終薬物として注射することができる混合物を生み出すための混合機構を備えることができる。混合機構の種々の例が、後で詳しく論じられる。注射アセンブリ120bは、最終薬物を患者に送達するための注射針、トロカール、カニューレ、カテーテル、またはこれらの組み合わせを備える送入カニューレを備えることができる。注射アセンブリ120bを、注射針を介して患者に混合物を排出するために、混合チャンバ130bおよびアクティベーション機構110bに流体的に結合させることができる。混合チャンバを、本明細書において使用されるとおり、主容器と称することもできる。
【0058】
いくつかの実施形態において、ハウジング105bは、複数のセンサ147bを備えることができる。センサ145bは、ハウジング105bの温度を検知し、あるいは患者の皮膚との係合を検知するための温度センサまたは圧力センサあるいはこれらの組み合わせであってよい。いくつかの実施形態において、センサ145aは、注射装置の最終薬物が実質的に空であるとき、または1回分の最終薬物が排出されたときを検知するためのセンサをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、ハウジング105bは、複数のディストラクション機構152bを備えることができる。ディストラクション機構150bは、注射針の苦痛に関して患者を紛らわすように、ハウジング105bの振動を生じさせるための機構、またはハウジング105bの冷却を生じさせるための機構であってよい。ディストラクション機構150aは、患者を注射の苦痛から紛らわすために可聴な音を発生させるための機構をさらに備えることができる。また、ディストラクション機構150aは、患者が注射の苦痛から自身を紛らわすように感じることができる音のパルスを発生させるための機構をさらに備えることができる。ディストラクション機構150aは、温度差を生じさせるための機構を備えることもできる。いくつかの実施形態においては、センサ145bまたはディストラクション機構150bを、ハウジング105bの外部に設けることができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、ハウジング105bは、ユーザがウェアラブル注射装置の中身を眺めることができる検査用のウインドウ160bを備える。ユーザは、注射の実行前に、混合チャンバ130b内の最終薬物を視覚的に検査して、混合が生じたかどうかを判断することができる。いくつかの実施形態においては、最終薬物の色が、ユーザが最終薬物と希釈剤との間の違いを視覚的に判断できるように、バルクな中間薬物および希釈剤の色とは異なることができる。いくつかの実施形態においては、希釈剤が透明である一方で、最終薬物が濁っていてよく、ユーザの視覚による検査を助ける。いくつかの実施形態において、ウインドウ160bは、ユーザがウェアラブル注射装置の他の構成要素を眺めることができるようにハウジング105b上に位置する。
【0060】
いくつかの実施形態において、ウェアラブル注射装置は、自動検査手段のための濁度計155bを備える。濁度計155bは、混合チャンバ130bに組み合わせられてよく、混合チャンバ130b内の最終薬物の曇りまたは濁りを測定する。濁度計は、設定可能なしきい値の測定にもとづいて、混合が完了したか否かを明らかにすることができる。しきい値の測定を、ウェアラブル注射装置によって注射される薬物の混合の要件にもとづいて、流通または販売に先立って製造者が設定することができる。典型的な実施形態において、濁度計は、最終薬物の曇りのしきい値の測定が満足できるものである場合に、例えばアクティベーション機構110aを介して、注射のプロセスを自動的に開始させることができる。
【0061】
図1Cが、別の典型的なウェアラブル注射装置のブロック図であり、混合機構が、ウェアラブル注射装置の外部に位置している。この実施形態において、ウェアラブル注射装置のハウジング105cは、最終薬物を保持するための主容器135cと、アクティベーション機構110cと、最終薬物を患者に注射するための注射アセンブリ120cと、センサ145cと、センサ147cと、ディストラクション機構150cと、ディストラクション機構152cと、アクティベーション機構110cに組み合わせられたボタン165cとを備える。注射アセンブリ120cは、最終薬物を患者に送達するための注射針、トロカール、カニューレ、カテーテル、またはこれらの組み合わせを備える送入カニューレを備えることができる。別個の混合機構140cが、ハウジング105cの外部に設けられる。混合機構140cは、バルクな中間薬物と希釈剤とを混合して患者に注射される混合物を生み出すための混合チャンバ130cを備える。いくつかの実施形態において、混合機構140cは、バルクな中間薬物を保持するための中間容器115cと、希釈剤を保持するための希釈剤容器125cとを備えることができる。いくつかの実施形態においては、中間容器115cを、混合機構140cとは別に設けることができる。いくつかの実施形態においては、希釈剤容器115を、混合機構140cとは別に設けることができる。混合機構140cは、ボタン166cをさらに備えることができ、ボタン116cを操作することで、混合機構140cにおける混合プロセスを開始させることができる。
【0062】
混合機構140cは、バルクな中間薬物と希釈剤とをウェアラブル注射装置の外部で混合することを可能にする。ひとたび混合されると、容器を混合機構140cから取り外し、最終薬物をユーザに注射するためにウェアラブル注射装置のハウジング105cに装てんすることができる。
【0063】
いくつかの実施形態において、ハウジング105cは、複数のセンサを備えることができる。センサ145cは、ハウジング105cの温度を検知し、あるいは患者の皮膚との係合を検知するための温度センサまたは圧力センサあるいはこれらの組み合わせであってよい。いくつかの実施形態において、センサ145aは、注射装置の最終薬物が実質的に空であるとき、または1回分の最終薬物が排出されたときを検知するためのセンサをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、ハウジング105cは、複数のディストラクション機構を備えることができる。ディストラクション機構150cは、注射針の苦痛に関して患者を紛らわすように、ハウジング105cの振動を生じさせるための機構、またはハウジング105cの冷却を生じさせるための機構であってよい。ディストラクション機構150aは、患者を注射の苦痛から紛らわすために可聴な音を発生させるための機構をさらに備えることができる。また、ディストラクション機構150aは、患者が注射の苦痛から自身を紛らわすように感じることができる音のパルスを発生させるための機構をさらに備えることができる。ディストラクション機構150aは、温度差を生じさせるための機構を備えることもできる。いくつかの実施形態においては、センサ145cまたはディストラクション機構150cを、ハウジング105cの外部に設けることができる。
【0064】
いくつかの実施形態において、ハウジング105cは、ユーザがウェアラブル注射装置の中身を眺めることができる検査用のウインドウ160cを備える。ユーザは、注射の実行前に、主容器135c内の最終薬物を視覚的に検査して、混合が生じたかどうかを判断することができる。いくつかの実施形態においては、最終薬物の色が、ユーザが最終薬物と希釈剤との間の違いを視覚的に判断できるように、バルクな中間薬物および希釈剤の色とは異なることができる。いくつかの実施形態においては、希釈剤が透明である一方で、最終薬物が濁っていてよく、ユーザの視覚による検査を助ける。いくつかの実施形態において、ウインドウ160cは、ユーザがウェアラブル注射装置の他の構成要素を眺めることができるようにハウジング105c上に位置する。
【0065】
いくつかの実施形態において、混合機構140cは、自動検査手段のための濁度計155cを備える。濁度計155cは、混合チャンバ130cに組み合わせられてよく、混合チャンバ130c内の最終薬物の曇りまたは濁りを測定する。濁度計は、設定可能なしきい値の測定にもとづいて、混合が完了したか否かを明らかにすることができる。しきい値の測定を、ウェアラブル注射装置によって注射される薬物の混合の要件にもとづいて、流通または販売に先立って製造者が設定することができる。
【0066】
混合機構140cは、混合プロセスを開始させることができ、その時点において、中間容器115cからのバルクな中間薬物および希釈剤容器125cからの希釈剤が、混合チャンバ130cに導入される。ひとたび混合物が形成されると、混合物は、ウェアラブル注射装置のハウジング105c内の主容器135cに導入される。主容器135cおよび注射アセンブリ120cを、注射プロセスにおいて混合物の排出のために流体的に結合させることができる。
【0067】
図1Aおよび
図1Bに示した典型的な実施形態においては、アクティベーション機構110aおよび110bが、注射装置内でバルクな中間薬物と希釈剤との混合を開始させるべく動作することができる。これらの実施形態において、アクティベーション機構110a、110bは、ハウジング105a、105bの外部の注射針の移動または前進、ウェアラブル注射装置の中身の送出、注射針による混合物の注射、あるいは注射針のハウジング105a、105bへの引き込みを含んでよい注射プロセスを開始させるようにも動作することができる。
【0068】
別個の混合機構140cがハウジング105cの外部に設けられる
図1Cに示した典型的な実施形態においては、アクティベーション機構110cが、ハウジングの外部の注射針の移動または前進、注射針による混合物の注射、あるいは注射針のハウジングへの引き込みを含んでよい注射プロセスを開始させるように動作することができる。
【0069】
図1A、
図1B、および
図1Cは、ハウジング105a、105b、105c、アクティベーション機構110a、110b、110c、中間容器115a、115b、115c、注射アセンブリ120a、120c、120b、希釈剤容器125a、125b、125c、混合チャンバ130b、130c、主容器135c、混合機構140c、センサ145a、145b、145c、センサ147a、147b、147c、ディストラクション機構150a、150b、150c、およびディストラクション機構152a、152b、152cを、矩形の形状にて示しているが、ウェアラブル注射装置の構成要素(ハウジング、アクティベーション機構、中間容器、注射アセンブリ)が、例えば円柱形、球形、ひし形、多面体、拘束された袋または拘束なしの袋、これらの任意の組み合わせ、あるいは任意の他の形状など、任意の形状またはサイズであってよいことを、理解すべきである。さらに、たとえ
図1A、
図1B、および
図1Cが、ハウジング105a、105b、105c、アクティベーション機構110a、110b、110c、中間容器115a、115b、115c、注射アセンブリ120a、120c、120b、希釈剤容器125a、125b、125c、混合チャンバ130b、130c、主容器135c、混合機構140c、センサ145a、145b、145c、センサ147a、147b、147c、ディストラクション機構150a、150b、150c、およびディストラクション機構152a、152b、152cを備えるウェアラブル注射装置を示しているとしても、典型的なウェアラブル注射装置が、示されているよりも多数または少数の構成要素を備えてよいことを、理解すべきである。
【0070】
典型的な実施形態において、アクティベーション機構110a、110b、110cは、機械的な原理にもとづく機械式の機構であり、電池または電力を使用することなく動作する。機械式のアクティベーション機構は、ばねにもとづく機構を備えることができる。典型的な実施形態において、アクティベーション機構110a、110b、110cは、1つ以上のばね(例えば、ねじりばね、板ばね、圧縮コイルばね)を備えることができる。アクティベーション機構110a、110b、110cは、混合物の投与前は引っ込められた状態であってよく、注射装置のハウジング105a、105b、105c内に配置された最終薬物を保持する容器(中間容器115a、混合チャンバ130b、または主容器135c)の胴部において栓またはプランジャを前方に動かすべく投与の際に放出されてよい。ウェアラブル注射装置は、例えばスイッチ、ボタン、レバー、など、混合および注射のプロセスを開始させるためにユーザが操作することができる機械式のアクティベーション機構を備えることができる。
【0071】
いくつかの実施形態において、ユーザは、アクティベーション機構を動作させるためにタッチ画面インターフェイスを使用することができる。アクティベーション機構110a、110b、110cは、例えばRFID近接スイッチ、Wi-Fi近接スイッチ(Wi-Fi場またはその付近にあるときに作動)、Wi-Fiを介して制御される近接スイッチ、あるいは注射のプロセスを開始させるための信号を無線で受信するための他の無線の受信器およびスイッチなど、注射のプロセスを開始させるためにユーザが操作することができる無線式のアクティベーション機構を含むことができる。混合および注射のプロセスは、自動的に希釈剤を中間容器115aまたは混合チャンバ130b、130cのバルクな中間薬物に導入し、希釈剤とバルクな中間薬物とを混合して混合物を形成し、混合物を患者に注射し、針を患者から引き戻すことができる。
【0072】
機械式のアクティベーション機構を備えるウェアラブル注射装置は、使い捨ての注射装置(1回だけ使用される装置)であってよい。使い捨てのウェアラブル注射装置に、バルクな中間薬物を保持する中間容器115をあらかじめ装てんでき、中間容器115をハウジング内に配置し、アクティベーション機構110に流体的に結合させることができる。他の実施形態においては、ユーザが、バルクな中間薬物を収容している中間容器115を使い捨ての注射装置に装てんすることができ、ユーザは、中間容器115をハウジング105の(容器を受け入れてアクティベーション機構に流体的に結合させることができる)開口部を介して注射装置に挿入することができる。同様に、別の実施形態においては、ユーザが、注射の目的のための最終薬物の混合物を含んでいる主容器135を使い捨ての注射装置に装てんすることができる。主容器135における混合の目的のために、いくつかの実施形態においては、主容器が、混合の時点まで別々に収容されるバルクな中間薬物および希釈剤を含むことができる。
【0073】
他の実施形態においては、中間容器115が、別々に収容されたバルクな中間薬物および希釈剤を含むことができ、バルクな中間薬物および希釈剤は、混合のために主容器130に導入される。さらに別の実施形態においては、中間容器115が、混合の時点まで別々に収容されたバルクな中間薬物および希釈剤を含むことができ、混合は中間容器115において生じる。次いで、形成された混合物を、注射のプロセスのために主容器130に導入することができる。他の実施形態においては、主容器130が希釈剤を含むことができ、中間容器115がバルクな中間薬物を含み、希釈剤およびバルクな中間薬物は、主容器130において混合される。バルクな中間薬物を、液体の薬物、乾燥させた薬物(粉末、固体単位、凍結乾燥、噴霧フリーズドライ、噴霧乾燥、など)、固体の薬物、あるいはこれらの任意の組み合わせの形態で収容することができる。いくつかの実施形態においては、ウェアラブル注射装置が、主容器130または中間容器115にバルクな中間薬物を収容できる一方で、ユーザが、希釈剤を収容している希釈剤容器125を装置に装てんすることができる。他の実施形態においては、ウェアラブル注射装置が、希釈剤を収容できる一方で、ユーザが、バルクな中間薬物を収容している中間容器115を装置に装てんすることができる。
【0074】
典型的な実施形態において、アクティベーション機構110は、機械的な構成要素および電気的な構成要素を備える電気機械式の機構である。電気機械式のアクティベーション機構は、例えば、詳しくは後述されるとおりの圧電式のシステムであってよい。電気機械式のアクティベーション機構を持つウェアラブル注射装置は、バルクな中間薬物を収容している中間容器115があらかじめ装てんされてよく、あるいはユーザがバルクな中間薬物を収容している中間容器115を装てんすることができる使い捨ての注射装置であってよい。上述のように、いくつかの実施形態において、中間容器115は、バルクな中間薬物および希釈剤を別々に収容することができる。あるいは、注射装置がバルクな中間薬物を収容できる一方で、ユーザが希釈剤を含んでいる容器を装置に装てんでき、あるいは注射装置が希釈剤を収容できる一方で、ユーザがバルクな中間薬物を収容している中間容器115を装置に装てんできる。
【0075】
いくつかの実施形態において、電気機械式のアクティベーション機構を持つウェアラブル注射装置は、再使用可能な注射装置であってよい。再使用可能な注射装置のハウジング105は、ユーザが注射装置の再使用のために古い(使用済みの)容器を取り出して新しい(未使用の)容器を装てんできるように、バルクな中間薬物を収容している中間容器115を受け入れることができる。再使用可能な注射装置のハウジング105は、容器の出し入れのためのアクセスを提供する開口部をハウジングの外面に有することができる。ユーザは、ハウジングへの容器の装てんおよびハウジング105からの容器の取り出しを、それぞれ容器を開口部に挿入し/押し込み、容器を開口から取り出す/引き出すことによって行うことができる。
【0076】
いくつかの実施形態において、中間容器115または主容器130は、流路および針を備えることができる。流路および針は、容器に一体化されてよい。あるいは、流路および針を、例えばルアー(luer)継手または穿刺される隔壁などの着脱可能な手段によって、別途の使い捨ての構成要素として設けてもよい。針を、堅固な流路あるいは適切なポリマーまたはエラストマ材料の可撓な管またはカテーテルを介して、容器に直接接続することができる。
【0077】
混合の目的のために、中間容器115は、混合の時点まで容器内に別々に収容されるバルクな中間薬物および希釈剤を含むことができる。混合のための中間容器の典型的な実施形態が、以下で説明される。
【0078】
いくつかの実施形態において、中間容器115は、再使用可能であってよく、したがってユーザが、容器を注射装置のハウジング105に挿入する前に、容器にバルクな中間薬物を装てんする。
【0079】
典型的な実施形態において、アクティベーション機構110は、電気的および化学的な構成要素からなる電気化学式のアクティベーション機構である。電気化学式のアクティベーション機構は、例えば膨張する発泡体など、薬物の投与前は膨張していない状態であり、投与の際にウェアラブル注射装置のハウジング105内に配置された容器(中間容器115または主容器130)の胴部において栓またはプランジャを前方に動かすように膨張する化学ガス発生器を備えることができる。他の典型的な実施形態において、アクティベーション機構110は、栓またはプランジャを動かすために、作動流体の水圧、圧縮された気体のガス圧、浸透圧、ヒドロゲルの膨張、電気化学反応による固体の膨張、などを利用することができる。
【0080】
典型的な電気化学式のアクティベーション機構は、電池を備える。電池は、マイクロプロセッサによって膨張を制御することができる電気化学セルであってよい。電池が活性化されて放電するとき、電池は膨張し、注射装置に備えられたプランジャを押して、最終薬物を患者への注射のためにハウジング105から針を通って押し出す。電池を、ハウジング105内に配置でき、電池の膨張によって容器またはハウジングが最終薬物を注射針を介して排出するように、主容器130または中間容器115あるいは混合チャンバ130に動作可能に接続することができる。いくつかの実施形態において、電気化学式のアクティベーション機構を持つウェアラブル注射装置は、電池の膨張によって容器が潰れて最終薬物が注射装置から押し出されるように、最終薬物を保持するための潰れることができる容器または変形可能な容器を備えることができる。
【0081】
別の典型的な化学式のアクティベーション機構は、薬物を排出すべくカートリッジまたはシリンジ内のストッパまたは栓を駆動するための相段階駆動による膨張を含む。ブタンまたはヘキサフルオロアセトン(HFA)などのガスを、この実施形態において使用することができる。ガスを、例えば患者から最も遠く離れた遠位端など、注射装置の一端に配置することができる。
【0082】
薬物容器
いくつかの実施形態において、ウェアラブル注射装置は、ハウジング内にバルクな中間薬物を保持する中間容器を備えることができる。他の実施形態において、ウェアラブル注射装置は、バルクな中間薬物を保持する中間容器または最終薬物を保持する主容器を受け入れるように構成される。
【0083】
中間容器および主容器の各々は、バルクな中間薬物または最終薬物を収容するために使用される胴部を含む。胴部を、バルクな中間薬物であらかじめ満たすことができる。胴部を、流通または販売に先立って製造者によってバルクな中間薬物であらかじめ満たすことができる。典型的な実施形態においては、中間容器を、中間容器内に別々に収容されてよいバルクな中間薬物および希釈剤であらかじめ満たすことができる。いくつかの実施形態においては、胴部を、ユーザによって満たすことができる。上述のように、中間容器および主容器は、カートリッジまたはシリンジであってよい。針を、カートリッジに結合させることができる。シリンジは、薬物(有効な薬品および希釈剤)であらかじめ満たされる二室または多室のシリンジであってよい。
【0084】
典型的な胴部は、これらに限られるわけではないがポリマー材料(例えば、医療品質のポリマー)、金属、ガラス、熱可塑性物質、エラストマ、シリコーン結晶、などの任意の適切な材料で形成されてよい。典型的な実施形態において、胴部は、剛直であってよく、あるいは最終薬物またはバルクな中間薬物を保持するための1つ以上の可撓袋の形態をとることができる。
【0085】
図15に示されるとおり、ウェアラブル注射装置のハウジングは、複数のカートリッジ1502、シリンジ1504、またはバイアル1506を、任意の組み合わせで備えることができる。あるいは、ウェアラブル注射装置は、複数のカートリッジ、シリンジ、バイアル、またはバイアルの中身を、任意の組み合わせにて受け入れることができる。
【0086】
シリンジに関して本明細書において説明される典型的な実施形態を、カートリッジまたはバイアルを使用して実行してもよい。同様に、カートリッジに関して本明細書において説明される典型的な実施形態を、シリンジまたはバイアルを使用して実行してもよい。
【0087】
いくつかの実施形態において、中間容器は、バルクな中間薬物および希釈剤を別々に収容し、それらを注射に先立って混合して混合物を形成するように構成される。典型的な容器は、0.1ミリリットルから10ミリリットルの範囲の量の混合物(例えば、最終薬物)を保持することができる。典型的なウェアラブル注射装置は、1センチポアズ(cP)から50センチポアズ(cP)の範囲の粘度を有する混合物/最終薬物を排出することができる。
【0088】
ウェアラブル注射装置の典型的な実施形態は、中間容器、主容器、希釈剤容器、バルクな中間容器、混合チャンバ、またはこれらの組み合わせを含み、説明する。いくつかの実施形態においては、容器および混合チャンバのすべてを、実施形態の説明において示されるとおり、単一の容器または分離できない容器として設けることができる。
図13に示されるとおり、単一の容器1300は、中間容器、主容器、バルクな中間薬物の容器、希釈剤容器、および混合チャンバを含む。
【0089】
図14が、
図1A、
図1B、および
図1Cに関して説明した注射アセンブリ120の典型的な実施形態を示している。注射アセンブリ120は、送入カニューレ1406を備え、プランジャ1402および栓1404を備えることができる。他の実施形態において、プランジャ1402および栓1404は、容器1408に備えられる。上述のように、送入カニューレ1406は、種々の実施形態において上述したように中間容器115、主容器135、または混合チャンバ130であってよい最終薬物を収容している容器1408に流体連通する。送入カニューレ1406および容器1408は、流路1410を介して流体連通する。流路1410を、流体の導管によって形成することができる。いくつかの実施形態において、注射アセンブリ120は、注射針を出し入れするための付勢機構を備える。
【0090】
混合機構/混合チャンバ
典型的なウェアラブル自動注射装置において使用することができる典型的な混合機構またはチャンバが、
図4から
図13を参照して説明される。典型的な実施形態のいくつかは、乾燥または液体の形態のバルクな中間薬物と液体の形態の希釈剤とを別々に収容するための機構をさらに含む。いくつかのバルクな中間薬物は、乾燥させた形態においてより安定であるため、粉末または固体単位の形態など、乾燥させた形態で収容される。投与のいくつかの方法において、そのようなバルクな中間薬物は、投与可能となる前に、液体または希釈剤との混合あるいは液体または希釈剤による復元を必要とするかもしれない。薬品の復元は、乾燥形態のバルクな中間薬物を希釈剤と混合し、患者に注射されるべき混合物を形成することを含む。例えばバルクな中間薬物を復元するための混合は、最終薬物を形成するための希釈剤およびバルクな中間薬物の厳格な混合または攪拌を必要とし得る。一部のバルクな中間薬物に関しては、完全な復元が不要であり、薬品粒子の液体との単なる/わずかな混合が、注射にとって充分である。この場合、液体は、バルクな中間薬物の粒子を注射針を通って患者の皮膚および血流へ運ぶことを担い、完全な復元は、患者の中で生じてよく、あるいは患者によって吸収されてよい。
【0091】
典型的な混合機構は、
図1Aに関して説明した中間容器115a、
図1Bに関して説明した混合チャンバ130b、および
図1Cに関して説明した混合チャンバ130cに含まれることができる。
【0092】
図2Aが、混合チャンバ130としても機能し、いくつかの実施形態においては主容器135としても機能する中間容器115の典型的な実施形態を示している。容器200は、圧電混合要素208を備える。この実施形態においては、バルクな中間薬物204が、容器の壁202の内面に適用され、希釈剤206が、容器内に配置されている。圧電要素208は、容器の壁202の外面に配置される。圧電要素208は、容器の外壁の周囲を完全に巡って広がっていてよく、あるいは例えば60°、90°、120°、など、容器の外壁の周囲の一部分を広がっていてもよい。いくつかの実施形態において、
図2Aに示されるように、複数の圧電要素208’が、容器250の外壁を巡って周方向に間隔を空けつつ配置される。いくつかの実施形態においては、複数の圧電要素208が互いに当接しており、いくつかの実施形態においては、間隔を空けて位置している。バルクな中間薬物204を、薬品の層が容器の壁202の内面に配置され、あるいは結合するように、容器の壁202の内面に適用することができる。いくつかの実施形態においては、バルクな中間薬物204に害を与えることがない接着剤が使用される。バルクな中間薬物204を、バルクな中間薬物204が容器200の輸送またはウェアラブル注射装置の輸送の間は壁上にとどまり、圧電要素208の作動時にバルクな中間薬物204が壁から放出されるように、壁に適用することができる。
【0093】
上述のように、容器200は、カートリッジまたはシリンジであってよい。容器200を、針にも結合させることができる。容器を、製造者または薬局によって、容器の壁202の内面にコートされたバルクな中間薬物および容器200内に配置された希釈剤であらかじめ満たすことができる。希釈剤206を、容器200の内面に位置するバルクな中間薬物のコーティングを乱すことがないように、任意の適切な方法を使用して容器200に入れることができる。希釈剤206は、バルクな中間薬物204の混合に必要な任意の液体または流体であってよい。希釈剤206の種類および量は、バルクな中間薬物204の種類および量によって決定されてよく、バルクな中間薬物204の種類および量は、ウェアラブル注射装置がもたらそうとする治療によって決定され得る。薬品の製造者は、バルクな中間薬物の復元に必要な希釈剤の量および種類を決定することもできる。
【0094】
圧電要素208を、例えば接着剤などの任意の適切な手段を使用して容器の壁202の外面に配置することができる。いくつかの実施形態において、圧電要素208は、容器の壁202に取り付けられ、あるいは結合させられる一方で、他の実施形態において、圧電要素208は、容器に隣接するが、壁に実際には触れていない。圧電要素208は、容器200において直線または回転運動を生じさせるための音響または超音波振動を生み出す圧電モータであってよい。圧電要素208を、動力源に接続することができ、いくつかの実施形態においてはドライバ機構または回路に接続することができる。いくつかの実施形態においては、バルクな中間薬物204を希釈剤206に分散または溶解させるために、キャビテーション用の超音波などの音響エネルギが容器200に適用される。上述のように、バルクな中間薬物204は、(粉末、フィルム、またはコーティングの形態で)容器の壁の内面に付着させられている。いくつかの実施形態においては、混合時に、容器の壁に超音波振動が引き起こされる。いくつかの実施形態においては、超音波エネルギが、希釈剤のキャビテーションを介してバルクな中間薬物204のコーティングに大きな局所的差圧を引き起こす。キャビテーションは、バルクな中間薬物を浸食し、バルクな中間薬物の希釈剤への溶解および分散を向上させる。
【0095】
圧電要素208は、動力源(図示されていない)による作動または通電時に、バルクな中間薬物204を容器の壁202から希釈剤206に放出する。圧電要素208は、バルクな中間薬物および希釈剤が充分に混合されて復元されるまで動作し続けてよい。上述した典型的なアクティベーション機構110の作動が、圧電要素208の作動および停止の引き金となってよい。圧電要素208を、製造者またはユーザによる設定が可能であってよい特定のあらかじめ定められる時間期間の後に停止させることができる。あるいは、圧電要素208の作動および停止は、ウェアラブル注射装置に設けられたアクティベーション機構110に組み合わせられた操作ボタン165を介してユーザによって制御されてもよい。例えば、ユーザは、注射に先立って混合プロセスを開始させるべく圧電要素208を始動させるために操作ボタン165を押すことができ、バルクな中間薬物204が混合されたとユーザが(例えば検査ウインドウ160を使用して)判断したときに圧電要素208を停止させるべく操作ボタン165を再び押すことができる。あるいは、圧電要素208は、ウェアラブル注射装置が混合が完了したと(例えば濁度計を使用して)判断したときに自動的に停止させられてもよい。圧電要素208は、容器200内にキャビテーションを生じさせることができる。いくつかの実施形態において、圧電要素208は、超音波処理(sonication)のための超音波を生み出すことができる。
【0096】
いくつかの実施形態においては、希釈剤206とバルクな中間薬物204との間においてバルクな中間薬物204の上に配置された材料の追加の層が存在してよい。追加の層は、圧電要素の作動時に薬品の通過を許すが、希釈剤の通過は阻止する材料で製作されてよい。
【0097】
典型的な実施形態においては、圧電混合要素の代わりに、容器200が、回転またはリニアモータあるいは電磁振動機構など、任意の他の電気式または機械式の変位アクチュエータを備えることができる。別の実施形態において、容器200は、圧電混合要素に加えて任意の他の電気式または機械式の変位アクチュエータを備えることができる。
【0098】
いくつかの実施形態において、
図2Aおよび
図2Bに示されるシステムは、ウェアラブル注射装置の外部に設けられる。この実施形態は、ユーザが最終薬物を外部で混合して、容器を注射装置に挿入することを可能にするため、ウェアラブル注射装置の再使用を可能にする。この場合、容器200は、圧電要素208が取り外し可能に配置された状態でユーザに提供される。容器200は、ウェアラブル注射装置とは別にユーザに提供される。これらの構成要素を、(
図1Cに混合機構140cとして示されているように、ウェアラブル注射装置とは別の)混合ハウジング内に設けることができる。ユーザは、圧電要素208を始動させるために混合ハウジング上の作動ボタン166cを操作することができる。圧電要素208からの振動が、バルクな中間薬物204を容器の壁202から希釈剤206に放出する。ひとたび復元または混合が完了すると、ユーザは、圧電要素208を停止させるために再び作動ボタン166cを操作することができる。次いで、ユーザは、容器200を混合ハウジングから取り外し、(
図1Cにおいてハウジング105cとして示されている)ウェアラブル注射装置に配置することができる。いくつかの実施形態において、圧電要素208は、容器200から取り外し可能である。取り外し可能な圧電要素において、ユーザは、それを(例えば引っ張ることによって)取り外し、その後に容器200をウェアラブル注射装置に挿入することができる。この実施形態において、混合ハウジングは、バルクな中間薬物の復元を自動または手動にて確かめるための機構をさらに含んでよい。例えば、ウェアラブル注射装置の混合ハウジングは、混合物の曇りを検知するための濁度計155cを備えることができ、ハウジング105cは、ユーザが混合物の曇りを視覚的に検査するための検査ウインドウ160cを備えることができる。
【0099】
混合プロセスの完了後に、容器200内の混合物は、注射のプロセスに向けて準備ができた状態である。容器200は、患者に最終薬物を注射するために、ウェアラブル注射装置のハウジング105内の(上述の)アクティベーション機構110および注射アセンブリ120に流体的に結合させられる。
【0100】
図2Bが、混合容器としても機能し、いくつかの実施形態においては主容器としても機能する中間容器の典型的な実施形態を示している。容器250は、複数の圧電要素208bを含んでいる。容器250は、
図2Aに関して説明した容器200と同様の構成要素を含み、やはり同様の動作および機能を実行する。
【0101】
図3が、圧電混合要素を含む混合機構の別の典型的な実施形態を示している。この実施形態においては、容器300が、容器の壁302の内面に適用されたバルクな中間薬物304を含んでおり、希釈剤307が、図示のとおりに容器の外側に別の希釈剤容器306にて用意されている。圧電要素308は、容器の壁302の外面に配置される。いくつかの実施形態においては、2つの圧電要素308が、容器の壁302の外面に配置される。圧電要素308は、容器の外壁の周囲を完全に巡って広がっていてよく、あるいは例えば60°、90°、120°、など、容器の外壁の周囲の一部分を広がっていてもよい。いくつかの実施形態においては、複数の圧電要素308が、容器300の外壁を巡って周方向に間隔を空けつつ配置される。いくつかの実施形態においては、複数の圧電要素308が互いに当接しており、いくつかの実施形態においては、間隔を空けて位置している。
【0102】
バルクな中間薬物304を、バルクな中間薬物の層が容器の壁302の内面に配置され、あるいは結合するように、容器の壁302に適用することができる。いくつかの実施形態においては、バルクな中間薬物304に害を与えることがない接着剤が使用される。バルクな中間薬物304を、バルクな中間薬物が容器300の輸送またはウェアラブル注射装置の輸送の間は壁上にとどまり、圧電要素308の作動時にバルクな中間薬物304が容器の壁302の内面から放出されるように、容器の壁302の内面に適用することができる。容器300を、針310にも結合させることができる。容器を、製造者または薬局によって、内面にコートされたバルクな中間薬物および別個の希釈剤容器306内に配置された希釈剤であらかじめ満たすことができる。
【0103】
この実施形態において、希釈剤307は、容器300とは別の希釈剤容器306に用意される。希釈剤307は、復元プロセスの際に容器を通過する。希釈剤307は、薬品の復元または混合に必要な任意の液体または流体であってよい。希釈剤307の種類および量は、バルクな中間薬物304の種類および量によって決定されてよく、バルクな中間薬物304の種類および量は、ウェアラブル注射装置がもたらそうとする治療によって決定され得る。薬品の製造者は、バルクな中間薬物の復元に必要な希釈剤の量および種類を決定することもできる。
【0104】
圧電要素308を、例えば接着剤などの任意の適切な手段を使用して容器の壁302の外面に配置することができる。いくつかの実施形態において、圧電要素308は、容器の壁302に取り外し可能に結合させられる。圧電要素308は、直線または回転運動を生じさせるための音響または超音波振動を生み出すフィルムであってよい。圧電要素308を、動力源に接続することができ、いくつかの実施形態においてはドライバ機構または回路に接続することができる。
【0105】
圧電要素308は、動力源(図示されていない)による作動または通電時に、バルクな中間薬物304を、容器の壁302から、希釈剤容器306から容器300に導入される希釈剤307に放出する。希釈剤307は、注射のプロセスの最中に容器300を通過することができ、したがって混合および注射のプロセスが同時に生じてよい。注射のプロセスにおいて、希釈剤307を、プランジャを使用して容器300に送ることができ、圧電要素308が、バルクな中間薬物304を希釈剤307に放出する。圧電要素308は、バルクな中間薬物304および希釈剤307が充分に混合されて復元されるまで動作し続けてよい。上述した典型的なアクティベーション機構の作動が、圧電要素308の作動および停止の引き金となってよい。圧電要素308を、製造者またはユーザによる設定が可能であってよい特定の時間期間の後に停止させることができる。あるいは、圧電要素308の作動および停止は、ウェアラブル注射装置に設けられたアクティベーション機構110に組み合わせられた操作ボタン165を介してユーザによって制御されてもよい。例えば、ユーザは、注射に先立って混合プロセスを開始させるべく圧電要素を始動させるために操作ボタン165を押すことができ、バルクな中間薬物が復元されたとユーザが(例えば検査ウインドウを使用して)判断したときに圧電要素を停止させるべく操作ボタン165を再び押すことができる。あるいは、圧電要素308は、ウェアラブル注射装置が復元が完了したと(例えば濁度計を使用して)判断したときに自動的に停止させられてもよい。圧電要素308は、容器300内にキャビテーションを生じさせることができる。いくつかの実施形態において、圧電要素308は、超音波処理のための超音波を生み出すことができる。
【0106】
いくつかの実施形態においては、バルクな中間薬物304を希釈剤307に分散または溶解させるために、キャビテーション用の超音波などの音響エネルギが適用される。上述のように、バルクな中間薬物304は、(粉末、フィルム、またはコーティングの形態で)容器の壁302の内面に付着させられている。いくつかの実施形態においては、希釈剤307の導入時に、容器の壁302に超音波によって振動が引き起こされる。いくつかの実施形態においては、超音波エネルギが、希釈剤のキャビテーションを介してバルクな中間薬物のコーティングに大きな局所的差圧を引き起こす。キャビテーションは、バルクな中間薬物304を浸食し、バルクな中間薬物304の希釈剤307への溶解および分散を向上させる。
【0107】
いくつかの実施形態においては、希釈剤307とバルクな中間薬物304との間においてバルクな中間薬物304の上に配置された材料の追加の層が存在してよい。追加の層は、圧電要素の作動時に薬品の通過を許すが、希釈剤の通過は阻止する材料で製作されてよい。
【0108】
典型的な実施形態においては、圧電混合要素の代わりに、容器300が、回転またはリニアモータあるいは電磁振動機構など、任意の他の電気式または機械式の変位アクチュエータを備えることができる。別の実施形態において、容器300は、圧電混合要素に加えて任意の他の電気式または機械式の変位アクチュエータを備えることができる。
【0109】
混合プロセスの完了後に、容器300内の混合物は、注射のプロセスに向けて準備ができた状態である。容器300は、患者に最終薬物を注射するために、ウェアラブル注射装置のハウジング105内の(上述の)アクティベーション機構110および注射アセンブリ120に流体的に結合させられる。
【0110】
図4が、圧電要素を含むチャンバ400の別の典型的な実施形態を示している。この実施形態においては、バルクな中間薬物404が、チャンバ400のチャンバ壁402の内面に適用される。圧電要素406が、チャンバ400のチャンバ壁402の外面に配置される。チャンバ400は、オリフィス408を有する膜407をさらに備える。バルクな中間薬物404を、バルクな中間薬物404の層がチャンバ壁402に配置され、あるいは結合するように、チャンバ壁402の内面に適用することができる。いくつかの実施形態においては、薬物に害を与えることがない接着剤が使用される。バルクな中間薬物404を、バルクな中間薬物がチャンバ400の輸送またはウェアラブル注射装置の輸送の間は表面にとどまり、圧電要素406の作動時にバルクな中間薬物404が表面から放出されるように、チャンバ壁402の内面に適用することができる。チャンバ400を、製造者または薬局によって、チャンバ壁402の内面にコートされたバルクな中間薬物404およびチャンバ400内に配置された希釈剤405であらかじめ満たすことができる。いくつかの実施形態においては、希釈剤405を、混合のプロセスの際にチャンバ400に導入することができる。
【0111】
圧電要素406は、オリフィス408を含む膜407を振動させる。いくつかの実施形態において、膜407は、2つ以上のオリフィスを備えてよい。膜407のオリフィス408は、圧電要素406および希釈剤405との協働においてシンセティックジェット流を形成する。シンセティックジェット流は、周囲の希釈剤405で構成され、小さなオリフィス408を通って往復移動する流れによって形成される。シンセティックジェットは、オリフィス408からの流体の周期的な排出および吸引によって生み出される。シンセティックジェット流は、チャンバ400のチャンバ壁402の内面から放出されるバルクな中間薬物404の混合を助ける。この実施形態におけるオリフィスの使用において、物質の移動は実質的に存在しない。
【0112】
圧電要素406を、例えば接着剤などの任意の適切な手段を使用してチャンバ400の外面に配置することができる。いくつかの実施形態において、圧電要素406は、チャンバ402に恒久的に取り付けられ、あるいは取り外し可能に結合させられる。圧電要素406は、直線または回転運動を生じさせるための音響または超音波振動を生み出す圧電モータであってよい。
【0113】
圧電要素406は、動力源(図示されていない)による作動または通電時に、単独または希釈剤405との組み合わせのいずれかにより、バルクな中間薬物404をチャンバ壁402から放出する。典型的な実施形態において、希釈剤405は、チャンバ400に導入され、オリフィス408を介してシンセティックジェット流を形成する。圧電要素406は、バルクな中間薬物404および希釈剤405が充分に混合されて復元されるまで動作し続けてよい。上述した典型的なアクティベーション機構のユーザによる作動が、圧電要素406の作動および停止の引き金となってよい。圧電要素406を、製造者またはユーザによる設定が可能であってよい特定の時間期間の後に停止させることができる。あるいは、圧電要素406の作動および停止は、ウェアラブル注射装置に設けられたアクティベーション機構110に組み合わせられた操作ボタン165を介してユーザによって制御されてもよい。例えば、ユーザは、注射に先立って復元プロセスを開始させるべく圧電要素を始動させるために操作ボタン165を押すことができ、バルクな中間薬物404が復元されたとユーザが(例えば検査ウインドウ160を使用して)判断したときに圧電要素を停止させるべく操作ボタン165を再び押すことができる。あるいは、圧電要素406は、ウェアラブル注射装置が復元が完了したと(例えば濁度計155を使用して)判断したときに自動的に停止させられてもよい。圧電要素406は、チャンバ400内にキャビテーションを生じさせることができる。いくつかの実施形態において、圧電要素406は、超音波処理のための超音波を生み出すことができる。
【0114】
いくつかの実施形態において、膜407は、当初は封じられているが、圧電要素406からの圧力の印加によって破れることができ、希釈剤405およびバルクな中間薬物404の混合を可能にすることができる。シンセティックジェット流は、区画間の混合を可能にするように双方向であってよい。
【0115】
いくつかの実施形態においては、チャンバ400のチャンバ壁402の内面のバルクな中間薬物404のコーティングの上に配置された材料の追加の層が存在してよい。追加の層は、圧電要素の作動時にバルクな中間薬物404の通過を許すが、希釈剤405の通過は阻止する材料で製作されてよい。
【0116】
典型的な実施形態においては、圧電混合要素の代わりに、容器400が、回転またはリニアモータあるいは電磁振動機構など、任意の他の電気式または機械式の変位アクチュエータを備えることができる。別の実施形態において、容器400は、圧電混合要素に加えて任意の他の電気式または機械式の変位アクチュエータを備えることができる。
【0117】
復元または混合プロセスの完了後に、チャンバ400内の混合物は、注射のプロセスに向けて準備ができた状態である。チャンバ400は、主容器130に流体的に結合させられ、あるいは患者に最終薬物を注射するために、ウェアラブル注射装置のハウジング105内の(上述の)アクティベーション機構110および注射アセンブリ120に直接流体的に結合させられる。
【0118】
図5が、多孔質要素を含む二室の容器502の典型的な実施形態を示している。この実施形態においては、多孔質要素506が、容器502の第1の端部(例えば、患者に最も近い近位端)に配置され、栓508が、容器502の遠位端に配置される。希釈剤504が、容器502内に配置される。容器502を、針510に結合させることができる。多孔質要素506は、バルクな中間薬物を含む。栓508は、希釈剤504を多孔質要素506を通って押し、希釈剤504とバルクな中間薬物との混合を生じさせて混合物を形成するために用いられる。例えばボタン165によるアクティベーション機構110の作動時に、栓508を、プランジャを使用して容器502内で移動させることができる。混合物を、針510を通って容器502から排出することができる。いくつかの実施形態において、容器502は、針510の代わりにオリフィス、ルアーロック、または隔壁を備え、混合物は、オリフィス、ルアーロック、または隔壁を通って排出される。
【0119】
多孔質要素506は、粉末または固体単位などの乾燥させた形態のバルクな中間薬物で満たすことができる多数のすき間を含むおおむね基質の形態にて製作される。いくつかの実施形態において、多孔質要素506は、粉末、固体、または液体の形態であってよいバルクな中間薬物でコートされ、次いで多孔質要素506は、バルクな中間薬物を多孔質要素506に取り入れるために乾燥させられる。多孔質要素506は、数ミリリットルまたは数ミリグラムのバルクな中間薬物を含むことができる。多孔質要素506を、セラミック、ポリマー、カーボン、ガラス、任意の他の適切な材料、またはこれらの任意の組み合わせで製作することができる。バルクな中間薬物は、乾燥させた薬物(粉末、固体単位、凍結乾燥、噴霧フリーズドライ、噴霧乾燥、など)であってよい。希釈剤504は、多孔質要素506を通って押され、多孔質要素506に含まれたバルクな中間薬物を希釈剤504に放出する。次いで、得られた混合物が患者に注射される。栓508を、希釈剤504を多孔質要素506を通って前進させるために使用することができる。別の実施形態においては、希釈剤504を多孔質要素506を通って押すために、任意の他の手段を使用することができる。
【0120】
いくつかの実施形態において、栓508は、針510を通って混合物を排出させ、混合物を患者に注射するためにも使用される。いくつかの実施形態において、栓508の移動は、希釈剤504が多孔質要素506を通過した後に停止する。典型的な実施形態においては、希釈剤を移動させるために特定の大きさの力が加えられるまでは希釈剤が多孔質要素を通過せず、容器またはウェアラブル注射装置の輸送にもとづくバルクな中間薬物との混合が生じないように、希釈剤504と多孔質要素506との間に設けられた層が存在する。
【0121】
復元または混合プロセスの完了後に、容器内の混合物は、注射のプロセスに向けて準備ができた状態である。容器は、患者に最終薬物を注射するために、ウェアラブル注射装置のハウジング105内の(上述の)アクティベーション機構110および注射アセンブリ120に流体的に結合させられる。
【0122】
図6が、らせん流を生じさせるインペラを備えている中間容器600の典型的な実施形態を示している。バルクな中間薬物604が、容器600の胴部602の第1の端部(例えば、患者に最も近い近位端)に配置される。インペラ608が、胴部602に配置され、あるいは胴部602に結合させられる。希釈剤606が、胴部602に導入される。針612を、胴部602に結合させることができる。バルクな中間薬物604を、乾燥させた形態(粉末、固体単位、凍結乾燥、噴霧フリーズドライ、噴霧乾燥、など)で近位端に配置することができ、バルクな中間薬物604が胴部602において動き回ることがないように近位端にまとめることができる。あるいは、バルクな中間薬物604を、胴部において動き回ることを防止する機構を備えることなく胴部に配置してもよい。容器600を、製造者または薬局がバルクな中間薬物604であらかじめ満たすことができ、希釈剤608を、別の容器にてもたらすことができる。あるいは、バルクな中間薬物604および希釈剤608を、ユーザが容器600の胴部602に装てんしてもよい。
【0123】
インペラ608は、希釈剤606が導入されたときに胴部602内にらせんまたは振動運動を生み出すことができる任意の機械式、電気式、電気機械式、化学式、および/または電気化学式の駆動であってよい。振動運動(矢印610によって示されている)は、混合物を生み出すための希釈剤606およびバルクな中間薬物604の混合を助ける胴部602における反復運動である。いくつかの実施形態において、容器600は、混合物が患者に排出される前に気体を逃がすことができる通気孔または弁を備える。インペラ608を、例えばボタン165の操作によって、アクティベーション機構110によって作動させることができる。
【0124】
容器600の胴部602を、製造者によって流通に先立ってウェアラブル注射装置に備えることができ、あるいは胴部602を、ウェアラブル注射装置とは別に提供して、ユーザが混合の完了後にウェアラブル注射装置に装てんすることができる。混合プロセスの完了後に、容器600内の混合物は、注射のプロセスに向けて準備ができた状態である。容器600は、患者に最終薬物を注射するために、ウェアラブル注射装置のハウジング105内の(上述の)アクティベーション機構110および注射アセンブリ120に流体的に接続させられる。
【0125】
図7が、渦発生システムとして構成された中間容器700の典型的な実施形態を示している。この実施形態において、攪拌機構は、バルクな中間薬物および希釈剤を混合するために、遠心分離機(CS)または渦発生器(VG)システムとして構成され、遠心分離機(CS)または渦発生器(VG)システムとして機能することができる。容器702は、例えば乾燥させた形態(粉末、固体単位、凍結乾燥、噴霧フリーズドライ、噴霧乾燥、など)のバルクな中間薬物704を収容する。バルクな中間薬物704は、容器702内に自由に配置されてよく、あるいはバルクな中間薬物704は、例えば適切な接着剤または他の手段を使用して容器702の内面に(層コーティングを介して)適用されてよい。バルクな中間薬物704は、製造者または薬局によってあらかじめ充てんされてよい。希釈剤は、入り口708を介して容器702に接線方向に導入される。希釈剤を、別の容器にて提供することができる。希釈剤は、例えばボタン165によるアクティベーション機構110の作動時に容器702に導入されてよい。容器702の全体的な形状が、容器702内で矢印706によって示されるように希釈剤712を加速させる。希釈剤の渦運動が、希釈剤およびバルクな中間薬物の混合を可能にする。希釈剤は、渦運動によってバルクな中間薬物を容器702の内面からこすり取り、あるいはこすり落とすことができる。
【0126】
渦は、最初に容器702の円錐形の末端に下方に向かう渦流パターンにて流れを加速させる。渦流パターンは、胴部の壁へのせん断勾配を大きくし、これが、バルクな中間薬物704の壁からの分離および放出を改善するとともに、大きな薬品粒子を希釈剤に溶解するまで遠心力によって壁に拘束し続ける。混合物は、出口710を通って軸方向に取り出される。出口710は、小さな粒子または微細な粒子を通過させるように設計される。容器702内の渦運動を、希釈剤712を回転の中心から外方向に加速させるように容器702の系を駆動する任意の種類のインペラロータを使用して生み出すことができる。いくつかの実施形態においては、インペラが不要であり、容器702の構造そのものが、希釈剤およびバルクな中間薬物の混合のための渦流パターンを生成する。この実施形態において、希釈剤712は、容器702への進入時に加圧される。容器702が満たされるとき、希釈剤712およびバルクな中間薬物704の混合が生じ、最終薬物が生み出される。典型的な実施形態においては、入り口708、出口710、および容器702の形状を、容器702内の流れおよび混合のパターンを支配するように設計することができる。
【0127】
ひとたびバルクな中間薬物704が希釈剤と混合されると、得られた混合物は、容器702から取り出される。典型的な実施形態において、混合物(最終薬物)は、ウェアラブル注射装置に配置された主容器またはウェアラブル注射装置に挿入される主容器に取り出される。典型的な実施形態において、CS/VGシステムは、ウェアラブル注射装置とは別に提供される。別の実施形態において、CS/VGシステムは、ウェアラブル注射装置内に設けられる。CS/VGシステムは、再使用可能であってよく、ユーザがバルクな中間薬物をCS/VGシステムに導入することができる。
【0128】
図8が、絞られた流路によって構成され、ベンチュリ効果を利用するように動作することができる混合チャンバ802の典型的な実施形態を示している。ベンチュリ効果は、流体が流路の絞られた部分またはより狭い部分を通って流れることで生じる流体の圧力の低下である。構造の断面が減少するにつれて、流体の速度が増加する。ベンチュリシステム800は、希釈剤804を収容している容器と、バルクな中間薬物806を収容している容器と、ベンチュリスロート(venturi throat)810を有する混合チャンバ802とを備える。混合チャンバ802は、ベンチュリスロート810を形成するための狭くされた断面の部位または絞られた部位を有している管状の構造を有することができる。流体(気体または液体)が、遠位端808から導入される。流体は、例えばボタン165の操作によるアクティベーション機構110の作動時に導入されてよい。流体は、いくつかの実施形態においては希釈剤であってよく、容器804は、復元されるべき第2のバルクな中間薬物を収容することができる。バルクな中間薬物は、乾燥させた形態(粉末、固体単位、凍結乾燥、噴霧フリーズドライ、噴霧乾燥、など)で収容されてよい。混合物は、第2の端部812にもたらされる。流体(希釈剤、気体、または液体)は、混合チャンバ802の第1の端部808においてベンチュリシステム800に導入される。低圧領域(ベンチュリスロート810の付近)において、希釈剤およびバルクな中間薬物が、流体の流れに引き込まれ、復元される。
【0129】
ひとたびバルクな中間薬物が混合されると、得られた最終薬物は、ベンチュリシステム800から取り出される。典型的な実施形態において、最終薬物は、ウェアラブル注射装置に配置された主容器またはウェアラブル注射装置に挿入される主容器に取り出される。典型的な実施形態において、ベンチュリシステム800は、ウェアラブル注射装置とは別に提供される。別の実施形態において、ベンチュリシステム800は、ウェアラブル注射装置内に設けられる。ベンチュリシステム800は、再使用可能であってよく、ユーザが、バルクな中間薬物および希釈剤あるいは一方または他方をベンチュリシステム800に装てんすることができる。
【0130】
図9Aが、希釈剤容器とバルクな中間薬物の容器とを隔てる弁906を備えている容器900の典型的な実施形態を示している。この実施形態において、バルクな中間薬物902、希釈剤904、および弁906は、容器壁908を有する容器900内に配置されている。容器900を、針910に結合させることができる。バルクな中間薬物902を、容器900の第1の端部に配置できる一方で、希釈剤904は、容器900の(第1の端部とは反対の)第2の端部に配置される。弁906を、バルクな中間薬物902と希釈剤904との間に配置して、容器900内に2つの容器または室を形成することができる。弁906は、一方の室をもう1つの室から隔てる任意の制御可能な機構である。
【0131】
バルクな中間薬物902を、バルクな中間薬物902の層が、いくつかの実施形態においてはバルクな中間薬物902に害を与えない接着剤を使用して、容器壁908の内面に配置され、あるいは結合させられるように、容器に適用することができる。バルクな中間薬物902を、バルクな中間薬物902が容器または注射装置の輸送の際に壁908上にとどまるように、容器壁908の内面に適用することができる。あるいは、バルクな中間薬物902を、近位端において容器内に自由に配置することができる。バルクな中間薬物902を、乾燥させた形態(粉末、固体単位、凍結乾燥、噴霧フリーズドライ、噴霧乾燥、など)でもたらすことができる。弁906を、容器900内に、内面を巡ってぴったりとはまり、バルクな中間薬物902を保持している室への希釈剤の通過を許さないように、配置することができる。
【0132】
ボタン165の操作によるアクティベーション機構110の作動によって弁906が作動させられるとき、弁のオリフィスが開かれる。希釈剤904が、容器900の遠位端から近位端に流れ、バルクな中間薬物902と混ざり合う。上述の典型的なアクティベーション機構110のユーザによる作動が、弁906による混合プロセスの開始の引き金となることができる。バルクな中間薬物902および希釈剤904は、製造者または薬局によって容器900にあらかじめ充てんされてよい。あるいは、バルクな中間薬物902および希釈剤904を、いくつかの実施形態においては弁906も含めて、ユーザが装てんしてもよい。混合プロセスの完了後に、容器900内の混合物は、注射のプロセスに向けて準備ができた状態である。容器900は、患者に最終薬物を注射するために、ウェアラブル注射装置のハウジング105内の(上述の)アクティベーション機構110および注射アセンブリ120に流体的に結合させられる。ユーザが、容器900をウェアラブル注射装置に挿入でき、あるいは容器は、ウェアラブル注射装置内に設けられる。
【0133】
いくつかの実施形態において、弁906は、破ることができる膜である。混合の際に、膜が破れ、希釈剤904のバルクな中間薬物902との混合を可能にする。典型的な実施形態においては、完全に壊れる代わりに、膜にバルクな中間薬物902と希釈剤との間の流体連通を可能にする1つ以上のオリフィスが発現してよい。容器900内の混合物を、バルクな中間薬物902および希釈剤904の徹底的な混合を可能にするために、近位端と遠位端との間を手動または自動で振動させることができる。
【0134】
典型的な実施形態において、弁906は、例えば所定の圧力差が存在するまでは封じられており、その後に完全に開く弾性弁など、双安定の機構であってよい。別の典型的な実施形態において、弁906は、所定の圧力差が存在するまでは封じられたままである
図9Bに示されるようなばねで付勢された逆止弁またはポペット弁であってよい。ポペット弁を、容器への液体の流れのタイミングおよび量を制御するために使用することができる。ポペット弁は、通常は円形または長円形の穴と、弁軸とも呼ばれる軸の端部に位置する通常はディスク状のテーパ付きの栓とを備える。穴のうちで、プラグと穴とが出会う部分が、座または弁座と称される。
図9Bに示される弁906は、ポペット930と、ばね932と、ばね943と、軸936とを備える。
【0135】
あるいは、弁906は、容器の外部の磁石が弁906に対して動かされるときに作動し、混合の目的で希釈剤またはバルクな中間薬物の流通を可能にする磁気駆動の弁であってよい。さらに別の実施形態において、弁906は、例えばスライダまたはボタンを動かし、あるいは切り替えることによって外部の締め付け力が取り除かれることで動作する弾性ピンチ弁であってよい。締め付け力は、内部管腔を圧迫して流体の流れを閉塞させる。スライダまたはボタンを、ユーザが弁を動作させるべくスライダまたはボタンを操作できるように容器900の外面に設けることができる。
【0136】
他の実施形態において、弁906は、容器またはウェアラブル注射装置のハウジングをねじることによって動作させることができる回転弁であってよい。あるいは、弁906は、スプールを軸方向に移動させることによって動作するスプール弁であってよい。別の典型的な実施形態においては、希釈剤を、割ることができる首部を有するアンプルに収容することができ、ハウジングまたは容器を操作することによって砕き、あるいは割ることで、希釈剤を混合チャンバまたはバルクな中間薬物を保持する中間容器に放出することができる。
【0137】
さらに別の例では、
図9Cに示されるように、弁906が、スナップ式のキャップまたは蓋952などの外部の保持部材を取り除くことによって放出される弾性シール950であってよい。バルクな中間薬物を、容器954内に用意することができ、希釈剤を、室956内に用意することができる。バルクな中間薬物および希釈剤の混合は、
図9Dに示されるように弾性シール952が放出されたときに室958において生じる。あるいは、弾性シールは、ひとたびキャップが取り除かれたならば弾性要素を押すことによって徹底的な混合を促進すべく混合物を往復させるダイアフラムポンプ要素を構成することもできる。ダイアフラムの振動が、混合物中に振動する流れを生み出し、混合を促進することができる。
【0138】
このやり方で、この典型的な実施形態は、バルクな中間薬物および希釈剤の別々の収容ならびに薬品および希釈剤の復元手段を提供する。この典型的な実施形態は、バルクな中間薬物の完全な復元を必要としないバルクな中間薬物と液体との混合にも使用することができる。
【0139】
図10が、微小管を有する混合容器1000の典型的な実施形態を示している。容器1000は、容器1000の内部を長手方向に延びる微小管1004を備える。いくつかの実施形態において、微小管1004は、250ミクロンから500ミクロンの間の内径を有することができる。いくつかの実施形態において、微小管1004は、1000ミクロンよりも小さい内径を有することができる。微小管1004の内面は、粉末などの乾燥させた形態のバルクな中間薬物1010で覆われる。容器1000は、希釈剤を保持する希釈剤容器1005に結合させられる。例えばボタン165によるアクティベーション機構110の作動時に、希釈剤は、表面を覆うバルクな中間薬物1010を溶解させるための大きな表面積が希釈剤にとってもたらされるように微小管を通って流れる。希釈剤は、微小管1004を通過し、微小管1004を通って流れるときにバルクな中間薬物1010を溶解させる。得られた混合物は、容器1000の内部に集められ、あるいはもたらされる。容器1000は、捕らえられた気体が存在するのであれば薬物の注射の前に放出/除去するための通気孔または弁1006をさらに備えることができる。最初に気体が弁または通気孔1006によって排出され、次いで弁が閉じられ、その後に混合物が注射される。
【0140】
混合プロセスの完了後に、容器1000内の混合物は、注射のプロセスに向けて準備ができた状態である。容器は、患者に薬物を注射するために、ウェアラブル注射装置のハウジング105内の(上述の)アクティベーション機構110および注射アセンブリ120に流体的に結合させられる。
【0141】
図11が、バルクな中間薬物1106および希釈剤1105の混合を生じさせるための乱流生成面1104を有している混合容器1100の典型的な実施形態を示している。容器1100は、乱流生成面1104およびバルクな中間薬物1106を含む。容器1100を、針1108にも結合させることができる。乱流生成面1104を、図示のように容器内壁1102に配置することができる。乱流生成面1104を、容器壁1102の内面の筋、隆起、溝、谷、刻み目、またはこれらの任意の組み合わせとして設けることができる。
【0142】
粉末などの乾燥させた形態のバルクな中間薬物1106を、乱流生成面1104の表面に適用することができる。例えばボタン165によるアクティベーション機構110の作動時に、希釈剤1105が容器1100に導入されてよい。容器1100を通る希釈剤1105の流れにより、バルクな中間薬物1106が乱流生成面1104の表面から放出される。さらに、乱流生成面1104は、希釈剤1105の流れに乱流を生じさせることで、バルクな中間薬物および希釈剤の混合を引き起こす。いくつかの実施形態において、ユーザは、希釈剤およびバルクな中間薬物の混合を生じさせて混合物を形成するために、容器1100を攪拌することができる。混合プロセスの完了後に、容器内の混合物は、注射のプロセスに向けて準備ができた状態である。容器を、患者に薬物を注射するために、ウェアラブル注射装置のハウジング105内の(上述の)アクティベーション機構110および注射アセンブリ120に流体的に結合させることができる。あるいは、混合物を、ウェアラブル注射装置のハウジング105内の主容器130に移すことができる。
【0143】
図12が、膜1206を横切るイオン溶液1204の移動を含む典型的な電気化学混合機構を示している。典型的なシステムは、浸透ミニポンプ1210を備えることができ、容器1200は、バルクな中間薬物1202と、イオン溶液の形態の希釈剤1204と、浸透膜1206とを含む。例えばボタン165によるアクティベーション機構110の作動時に、浸透ミニポンプが作動し、イオン溶液(希釈剤)1204を浸透膜1206を横切ってバルクな中間薬物1202に移動させ、注射の前に最終薬物を形成するための混合を可能にする。
【0144】
別の典型的な混合機構は、容器内にプランジャを備え、プランジャストッパまたはピストンが、流体がピストンの高圧側から低圧側に流れることを可能にするバイパス通路を有する。プランジャを、希釈剤およびバルクな中間薬物の徹底した混合を促進するために必要に応じて容器内で往復移動させることができる。
【0145】
混合機構またはチャンバの上述の典型的な実施形態のいずれにおいても、ユーザは、(ウェアラブル注射装置または混合システムに配置された)ボタンを操作すること、(ウェアラブル注射装置または混合システムに位置する)レバーを切り替え、もしくはスライドさせること、ユーザ入力用のタッチ画面インターフェイスを使用すること、あるいはRFID、Bluetooth、または任意の他の近接場通信機構を介してウェアラブル注射装置または混合ユニットと無線通信を行う無線リモート装置を使用することによって、混合プロセスを開始させることができる。このユーザの行為が、アクティベーション機構を作動させることができ、アクティベーション機構が、希釈剤およびバルクな中間薬物の混合を可能にし、いくつかの実施形態においては希釈剤およびバルクな中間薬物の攪拌を生じさせることによって、復元プロセスを開始させることができる。攪拌を、バルクな中間薬物および希釈剤を含んでいる容器を揺らすこと、容器を強く振り動かすこと、高周波の音波を使用すること(流体のキャビテーションを誘発させても、させなくてもよい)、容器を回転させること、ならびに/あるいは任意の他の適切な手段によって、実行することが可能である。
【0146】
上述の実施形態のいくつかにおいて、バルクな中間薬物は、固体単位または複数の固体単位であってよい。本明細書において使用されるとき、「固体単位」は、薬剤の投与に適しており、タンパク質などの薬物、例えば抗体またはペプチドと、安定剤、例えば糖とを含む組成物を指す。固体単位は、構造的な剛直性と、形状および/または体積の変化への抵抗とを有する。好ましい実施形態において、固体単位は、例えば治療用タンパク質などの薬物の製剤処方の凍結乾燥によって得られる。固体単位は、これらに限られるわけではないが、球、立方体、角錐、半球、円柱、涙滴、など、不規則な形状単位を含む任意の形状、例えば幾何学的形態であってよい。一実施形態において、固体単位は、約1μlから約20μlの範囲の体積を有する。一実施形態において、固体単位は、噴霧乾燥技術を用いて得られるのではなく、例えば固体単位は、粉末または顆粒でない。
【0147】
本明細書において使用されるとき、「複数の固体単位」という表現は、固体単位の集合または集団を指し、その集団は、例えば球などの実質的に一様な形状および/または体積分布を有する2つ以上の固体単位を含む。一実施形態において、複数の固体単位は、自由流動である。複数の固体単位は、本明細書において使用されるとき、粉末(揺動または傾斜時に自由に流れることができる多数のきわめて細かい粒子からなる乾燥したバルクな固体)ではない。
【0148】
本明細書において使用されるとき、用語「幾何学的に一様」は、実質的に一様な形状およびサイズを有する複数の凍結乾燥させた固体単位を指す。一実施形態において、幾何学的に一様な複数の固体単位は、球であり、実質的に同様の直径およびタンパク質濃度を有する。
【0149】
本明細書において使用されるとき、用語「自由流動」は、複数の固体単位が、希釈剤における復元の前に、流体と同様に、連続性を損なうことなく移動できる(例えば、複数の個体単位における個々の固体単位が互いに著しくは付着または粘着しない)ことを指す。
【0150】
用語「フリーズドライ」および「凍結乾燥」は、本明細書において入れ換え可能に使用され、例えば治療用タンパク質(例えば、ペプチド、DVD-Igタンパク質、あるいは抗体、またはその抗原結合部分)などの薬物を含む溶液を凍らせ、次いで真空昇華させるプロセスを指す。
【0151】
用語「核生成」は、例えば液体から固体への状態の変化が、核として知られる特定の焦点の周囲の物質において生じる物理過程を指す。「制御された核生成」は、状態の変化が生じる物理過程に曝される物質の集団の一様な核生成をもたらす条件下での物質の核生成を指す。例えば、制御された核生成を使用して複数の固体単位を冷凍することで、実質的に一様であり、例えば各々の固体単位内の類似の細孔径を有する固体単位の集団がもたらされる。制御された核生成を、溶液を瞬間的に凍らせることによって達成することができる。
【0152】
典型的な実施形態は、最も顕著には治療用タンパク質などの調合薬品であるが、任意の薬剤を送達するためのシステムを提供する。システムは、一様な自由流動固体単位を生成するために、制御された核生成を可能にする凍結乾燥プロセスを取り入れる。
【0153】
典型的な凍結乾燥法のもとでは、溶液が、凍結乾燥に先立って最終的な主容器に配置され、凍結乾燥されたケーキがもたらされる。伝統的な凍結乾燥が、凍結乾燥ケーキが貯蔵され、最終的には復元される容器において実行される一方で、いくつかの実施形態は、主容器から独立することができる凍結乾燥プロセスを提供する。実際に、典型的な実施形態は、特定のニーズに応じて製造し、次いで貯蔵し、後にさらに処理することができる安定な固体単位を提供する。自由流動固体単位は、一様な形状、体積、および組成であり、凍結乾燥プロセスのパラメータに影響を及ぼすことなく、大きなバルクの体積または主薬品容器内の1回分の量として、貯蔵および管理することができる。
【0154】
典型的な実施形態は、重要なプロセスパラメータの最小限の変更で、幅広い範囲の抗体、タンパク質にもとづく小分子、または医薬品の組み合わせに適用可能である。いくつかの実施形態は、経口および注射用の両方の剤形として使用することができる固体単位をもたらす。
【0155】
一実施形態において、バルクな中間薬物は、自由流動かつ幾何学的に一様な複数の凍結乾燥させた球状の固体単位を含む薬品であってよく、複数の固体単位は、治療用タンパク質および糖を含む。薬品における固体単位を、制御された核生成を使用して生成することができる。
【0156】
固体単位または複数の個体単位の利点は、別々の製剤安定性のニーズを有し、あるいは他のかたちで単一の製剤への組み合わせに関して不適合である別個の薬剤を、組み合わせる機会を提供することにある。生物医薬品が、例えば別個の抗原特異性を有する2つの抗体など、2つ以上の活性薬剤の組み合わせから作られる場合、薬剤を、1つの製品としてまとめて凍結乾燥させるために一緒に調合できなければならない。これは、両方の薬剤が安定かつ依然として生物学的に活性である共通の製剤を特定しなければならないことに鑑み、難問となり得る。典型的な実施形態は、1つの剤形で薬物の組み合わせを提供するために、共通の製剤を必要としない。例えば、2つの別個の抗体集団を含む複数の固体単位、すなわち抗原1への特異性を有する第1の抗体を含む固体単位および抗原2への特異性を有する第2の抗体を含む個体単位を、自由流動する球状の固体単位として組み合わせることができ、そのような固体単位は、得られる液体製剤が該当の対象への復元された製剤の投与のために充分な所与の時間期間にわたって安定であるように、水または緩衝液における復元時に組み合わせられてよい。このようにして、典型的なプロセスにおいては、各々の活性薬物を、その好ましい製剤にて凍結乾燥させることができ、次いで復元が保証されるまで複数の固体単位として組み合わせることができる。
【0157】
特定の典型的なプロセスは、ペプチド、DVD-Igタンパク質、ならびに抗体、またはその抗原結合部分を含むタンパク質に関する室温および/または加速された貯蔵条件における安定性など、多数の活性な調剤物質について安定な薬品の例を生み出す。
【0158】
このようにして、タンパク質(例えば、抗体、またはその抗原結合部分)などの薬物、および安定剤、例えばソルビトール、マンニトール、サッカロース、またはトレハロースなどの糖を含んでいる安定な固体単位(および、複数の固体単位)をもたらすことができる。典型的な実施形態は、薬剤投与に適した安定な固体単位に関し、固体単位は、これらに限られるわけではないがペプチド、抗体、またはその抗原結合部分、あるいはDVD-Igタンパク質などのタンパク質、ならびに凍結乾燥保護剤などの安定剤、例えば糖を含む。
【0159】
固体単位は、それらの安定性、ならびに類似のサイズおよび薬剤(例えば、タンパク質)含有量を有する固体単位の一様な集団を作る能力ゆえに、多数の利点をもたらす。固体単位は、全体として考えたとき、自由流動である。さらに、固体単位は、幾何学的に一様であってよい。固体単位は、噴霧乾燥または噴霧フリーズドライ技術を使用して生成されるのではない。そのような技術は、本明細書に説明されている固体単位と対照的に、例えば幾何学的一様性などの一貫した特徴を有する固体単位の集団をもたらさない。
【0160】
本明細書に説明されている固体単位は、例えばタンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合部分)などの薬物の安定性を、高温などにおいても、長い時間にわたって保つことができる点で、安定である。一実施形態において、安定な固体単位は、薬剤投与に好適に提供され、前記凍結乾燥させた固体単位は、抗ヒトTNFα抗体またはその抗原結合部分と安定剤とを含み、安定剤は、フリーズドライおよび後の貯蔵時の抗体またはその抗原結合部分の化学的または物理的な不安定を防止または軽減する。
【0161】
固体単位は、ポリマーを固体単位内に含むことができ、さらには/あるいは固体単位の外側のコーティングとして含むことができる。固体単位に組み合わせることができるポリマーとして、これらに限られるわけではないが、生体接着ポリマー、腸溶保護剤、非pH感受性ポリマー、および持続放出ポリマー(ならびに、これらの組み合わせ)が挙げられる。
【0162】
一実施形態において、固体単位は、無菌の条件下で作られる。
【0163】
固体単位は、約0.0005μlから約20μl、約0.005μlから約20μl、0.001μlから約20μl、0.05μlから約20μl、0.01μlから約20μl、0.0005μlから約10μl、約0.005μlから約10μl、0.001μlから約10μl、0.05μlから約10μl、0.01μlから約10μl、0.0005μlから約5μl、約0.005μlから約5μl、0.001μlから約5μl、0.05μlから約5μl、0.01μlから約5μl、0.0005μlから約1μl、約0.005μlから約1μl、0.001μlから約1μl、0.05μlから約1μl、0.01μlから約1μl、約0.1μlから約20μl、約0.5から約20、約1から約20、約1.5から約20、約2から約20、約2.5から約20、約3から約20、約3.5から約20、約4から約20、約4.5から約20、約5から約20、約5.5から約20、約6から約20、約6.5から約20、約7から約20、約7.5から約20、約8から約20、約8.5から約20、約9から約20、約9.5から約20、約10から約20、約15から約20、約12から約20、約13から約20、約14から約20、約15から約20、約16から約20、約17から約20、約18から約20、約19から約20、約0.5から約15、約1から約15、1.5から約15、約2から約15、約2.5から約15、約3から約15、約3.5から約15、約4から約15、約4.5から約15、約5から約15、約5.5から約15、約6から約15、約6.5から約15、約7から約15、約7.5から約15、約8から約15、約8.5から約15、約9から約15、約9.5から約15、または約10μlから約15μlの範囲の体積を有することができる。一実施形態において、固体単位は、約9μlから約15μlの間の体積を有する。上記の体積および範囲の中間の体積および範囲も、典型的な実施形態の一部となるように意図される(例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、52.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11.0、11.1、11.2、11.3、11.4、11.5、11.6、11.7、11.8、11.9、12.0、12.1、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6、12.7、12.8、12.9、13.0、13.1、13.2、13.3、13.4、13.5、13.6、13.7、13.8、13.9、14.0、14.1、14.2、14.3、14.4、14.5、14.6、14.7、14.8、14.9、15.0、15.1、15.2、15.3、15.4、15.5、15.6、15.7、15.8、15.9、16.0、16.1、16.2、16.3、16.4、16.5、16.6、16.7、16.8、16.9、17.0、17.1、17.2、17.3、17.4、17.5、17.6、17.7、17.8、17.9、18.0、18.1、18.2、18.3、18.4、18.5、18.6、18.7、18.8、18.9、19.0、19.1、19.2、19.3、19.4、19.5、19.6、19.7、19.8、19.9、または約20.0μl)。
【0164】
固体単位は、任意の適切な形状であってよい。一実施形態において、固体単位は、例えば球、立方体、円柱、または角錐など、幾何学的な形状である。一実施形態において、固体単位は、約0.1から約4mm、約0.1から約3.5mm、約0.1から3mm、約0.1から約2.5mm、約0.1から約2mm、約0.1から約1.5mm、約0.1から約1mm、または約0.1から約0.5mmの直径を有する球である。上記の直径および範囲の中間の直径および範囲も、典型的な実施形態の一部となるように意図される(例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、および4.0mm)。他の典型的な範囲として、約0.1から約4mm、約0.1から約3mm、約0.1から約2mm、約0.1から約1mm、および約0.1から約0.5mmが挙げられる。
【0165】
一実施形態において、固体単位は、球状である。球状の固体単位は、固体単位の外側のどの地点で算出されるかにかかわらずほぼ同じ直径を有する。したがって、球は、部分的な球、すなわち平坦な面を有する球を、含まない。
【0166】
一実施形態において、固体単位は、1mmよりも大きくて4mmよりも小さい直径を有する球である。
【0167】
一実施形態において、固体単位は、例えばペプチド、DVD-Igタンパク質、あるいは抗体またはその抗原結合部分などのタンパク質と、追加の薬物とを含む。
【0168】
固体単位は、タンパク質(例えば、抗体、その抗原結合部分、またはDVD-Igタンパク質)などの治療薬などの薬物の1回分を測定するための一貫的な手段の提供において、とくに有用である。複数の固体単位が実質的に同じ形状を有することができるため、結果として、固体単位は、実質的にほぼ同じ量の薬物、例えばタンパク質を有する。したがって、固体単位(球状の固体単位など)におけるタンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合部分)などの薬剤の量は、約0.02μgから6.0mg、約0.05μgから約6.0mg、約0.1μgから約6.0mg、約0.2μgから約6.0mg、約0.5μgから約6.0mg、約1μgから約6.0mg、約5μgから約6.0mg、約10μgから約6.0mg、約15μgから約6.0mg、0.02μgから4.0mg、約0.05μgから約4.0mg、約0.1μgから約4.0mg、約0.2μgから約4.0mg、約0.5μgから約4.0mg、約1μgから約4.0mg、約5μgから約4.0mg、約10μgから約4.0mg、約15μgから約4.0mg、0.02μgから2.0mg、約0.05μgから約2.0mg、約0.1μgから約2.0mg、約0.2μgから約2.0mg、約0.5μgから約2.0mg、約1μgから約2.0mg、約5μgから約2.0mg、約10μgから約2.0mg、約15μgから約2.0mg、約0.02μgから1.0mg、約0.05μgから約1.0mg、約0.02μgから1.0mg、約0.05μgから約1.0mg、約0.1μgから約1.0mg、約0.2μgから約1.0mg、約0.5μgから約1.0mg、約1μgから約1.0mg、約5μgから約1.0mg、約10μgから約1.0mg、約15μgから約1.0mg、約0.02μgから0.5mg、約0.05μgから約0.5mg、約0.1μgから約0.5mg、約0.2μgから約0.5mg、約0.5μgから約0.5mg、約1μgから約0.5mg、約5μgから約0.5mg、約10μgから約0.5mg、約15μgから約0.5mg、約0.02μgから0.25mg、約0.05μgから約0.25mg、約0.1μgから約0.25mg、約0.2μgから約0.25mg、約0.5μgから約0.25mg、約1μgから約0.52mg、約5μgから約0.25mg、約10μgから約0.25mg、約15μgから約0.25mg、約0.02μgから約0.1mg、約0.05μgから約0.1mg、約0.1μgから約0.1mg、約0.2μgから約0.1mg、約0.5μgから約0.1mg、約1μgから約0.1mg、約5μgから約0.1mg、約10μgから約0.1mg、約15μgから約0.1mg、約0.02μgから0.05mg、約0.05μgから約0.05mg、約0.1μgから約0.05mg、約0.2μgから約0.05mg、約0.5μgから約0.05mg、約1μgから約0.05mg、約5μgから約0.05mg、約10μgから約0.05mg、または約15μgから約0.05mgの間であってよい。上記の量および範囲の中間の量および範囲も、典型的な実施形態の一部となるように意図される。例えばタンパク質などの薬剤の他の典型的な範囲として、0.02μgから6.0mgまたは15μgから4.0mgの治療用タンパク質が挙げられる。
【0169】
特定の実施形態において、球状の固体単位などの固体単位内のタンパク質(例えば、抗体、またはその抗原結合部分、ペプチド、あるいはDVD-Igタンパク質)などの薬物の量は、約0.02μgから2.0mgの間であってよく、球の直径は、約0.1mmから約4mmの間であってよい。他の実施形態において、球状の固体単位などの固体単位内のタンパク質(例えば、抗体、またはその抗原結合部分、ペプチド、あるいはDVD-Igタンパク質)などの薬物の量は、約0.02μgから1.5mgの間であってよく、球の直径は、約0.1mmから約3mmの間であってよい。さらに他の実施形態において、球状の固体単位などの固体単位内のタンパク質(例えば、抗体、またはその抗原結合部分、ペプチド、あるいはDVD-Igタンパク質)などの薬物の量は、約0.02μgから500μgの間であってよく、球の直径は、約0.1mmから約2mmの間であってよい。いくつかの実施形態において、球状の固体単位などの固体単位内のタンパク質(例えば、抗体、またはその抗原結合部分、ペプチド、あるいはDVD-Igタンパク質)などの薬物の量は、約0.02μgから50μgの間であってよく、球の直径は、約0.1mmから約1mmの間であってよい。他の実施形態において、球状の固体単位などの固体単位内のタンパク質(例えば、抗体、またはその抗原結合部分、ペプチド、あるいはDVD-Igタンパク質)などの薬物の量は、約0.02μgから6μgの間であってよく、球の直径は、約0.1mmから約0.5mmの間であってよい。上記の量、直径、および範囲の中間の量、直径、および範囲も、典型的な実施形態の一部となるように意図される。
【0170】
一実施形態において、固体単位は、タンパク質(例えば、抗体、またはその抗原結合部分、ペプチド、あるいはDVD-Igタンパク質)などの薬物、ならびにソルビトール、サッカロース、またはトレハロースを含み、ソルビトール、サッカロース、またはトレハロースの量は、約25℃の貯蔵における少なくとも12ヵ月の貯蔵においてタンパク質(例えば、ペプチド、DVD-Igタンパク質、あるいは抗体、またはその抗原結合部分)などの薬物の安定性を維持するために充分である。あるいは、固体単位におけるソルビトール、サッカロース、またはトレハロースの量は、約40℃における少なくとも3ヵ月の貯蔵においてタンパク質(例えば、抗体、またはその抗原結合部分、ペプチド、あるいはDVD-Igタンパク質)などの薬物の安定性を維持するために充分である。
【0171】
一実施形態において、固体単位は、タンパク質(例えば、抗体、またはその抗原結合部分、ペプチド、あるいはDVD-Igタンパク質)などの薬物、およびマンニトールを含み、マンニトールの量は、約25℃における少なくとも12ヵ月の貯蔵においてタンパク質(例えば、抗体、またはその抗原結合部分、ペプチド、あるいはDVD-Igタンパク質)などの薬剤の安定性を維持するために充分である。あるいは、固体単位におけるマンニトールの量は、約40℃における少なくとも3ヵ月の貯蔵においてタンパク質(例えば、抗体、またはその抗原結合部分、ペプチド、あるいはDVD-Igタンパク質)などの薬剤の安定性を維持するために充分である。
【0172】
タンパク質(例えば、抗体、またはその抗原結合部分、ペプチド、あるいはDVD-Igタンパク質)などの薬物の安定性を、本明細書における例に説明されている方法など、技術的に公知の任意の方法に従って決定することができる。サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)を、固体単位における抗体などのタンパク質のフラグメントおよびモノマー(集合体)含有量を明らかにするために使用することができる。一実施形態において、タンパク質(例えば、抗体、ペプチド、またはDVD-Igタンパク質)などの薬物の安定性を、タンパク質(例えば、抗体またはその抗原結合部分、ペプチド、あるいはDVD-Igタンパク質)などの薬物を含む固体単位を貯蔵(例えば、約25℃の貯蔵での12ヵ月の貯蔵または約40℃での3ヵ月の貯蔵)後に水に溶解させ、SECを実行することによって明らかにすることができる。一実施形態において、固体単位の貯蔵は、閉じられた容器において55から65%の相対湿度のもとで25℃で実行される。あるいは、固体単位の貯蔵を、閉じられた容器において70から80%の相対湿度のもとで40℃で実行することができる。
【0173】
一実施形態においては、90%以上のモノマー抗体、またはその抗原結合部分を示すSEC結果が、固体単位ならびにそこに含まれる抗体またはその抗原結合部分が安定であることを示す。一実施形態においては、95%以上のモノマー抗体、またはその抗原結合部分を示すSEC結果が、固体単位ならびにそこに含まれる抗体またはその抗原結合部分が安定であることを示す。一実施形態においては、96%以上のモノマー抗体、またはその抗原結合部分を示すSEC結果が、固体単位ならびにそこに含まれる抗体またはその抗原結合部分が安定であることを示す。一実施形態においては、97%以上のモノマー抗体、またはその抗原結合部分を示すSEC結果が、固体単位ならびにそこに含まれる抗体またはその抗原結合部分が安定であることを示す。一実施形態においては、98%以上のモノマー抗体、またはその抗原結合部分を示すSEC結果が、固体単位ならびにそこに含まれる抗体またはその抗原結合部分が安定であることを示す。一実施形態においては、99%以上のモノマー抗体、またはその抗原結合部分を示すSEC結果が、固体単位ならびにそこに含まれる抗体またはその抗原結合部分が安定であることを示す。一実施形態においては、99.5%以上のモノマー抗体、またはその抗原結合部分を示すSEC結果が、固体単位ならびにそこに含まれる抗体またはその抗原結合部分が安定であることを示す。上述のモノマー割合は、DVD-Igタンパク質を含む固体単位にも関係する。
【0174】
モノマー割合を、パーセント(%)凝集に関して表すこともできる。例えば、一実施形態においては、SECによって決定される30%未満の凝集タンパク質(例えば、ペプチド、抗体、またはDVD-Igタンパク質)、SECによって決定される25%未満の凝集タンパク質(例えば、ペプチド、抗体、またはDVD-Igタンパク質)、SECによって決定される20%未満の凝集タンパク質(例えば、ペプチド、抗体、またはDVD-Igタンパク質)、SECによって決定される15%未満の凝集タンパク質(例えば、ペプチド、抗体、またはDVD-Igタンパク質)、SECによって決定される10%未満の凝集タンパク質(例えば、ペプチド、抗体、またはDVD-Igタンパク質)、SECによって決定される5%未満の凝集タンパク質(例えば、ペプチド、抗体、またはDVD-Igタンパク質)、SECによって決定される4%未満の凝集タンパク質(例えば、ペプチド、抗体、またはDVD-Igタンパク質)、SECによって決定される3%未満の凝集タンパク質(例えば、ペプチド、抗体、またはDVD-Igタンパク質)、SECによって決定される2%未満の凝集タンパク質(例えば、ペプチド、抗体、またはDVD-Igタンパク質)、SECによって決定される1%未満の凝集タンパク質(例えば、ペプチド、抗体、またはDVD-Igタンパク質)を有する複数の固体単位が提供される。
【0175】
固体単位は、約0.8から約3.5:1.0w/w、約0.8から約3.0:1.0w/w、約0.8から約2.5:1.0w/w、約0.8から約2.0:1.0w/w、約0.8から約1.5:1.0w/w、約0.9から約2.0:1w/w、約0.9から約1.5:1.0w/w、約0.1から3.5:1w/w、約0.1から10:1w/w、または約1.0:1.0w/wの範囲の安定剤:タンパク質比を有することができる。これらの典型的な安定剤:タンパク質比を有するタンパク質の例として、これらに限られるわけではないが、ペプチド、抗体、およびDVD-Igタンパク質が挙げられる。上記の値および比の中間の値および比も、典型的な実施形態の一部となるように意図される。
【0176】
一実施形態において、安定剤(糖):抗体のモル比の範囲は、284:1から638:1である。あるいは、安定剤(糖):抗体のモル比の範囲は、511:1から638:1、520:1から638:1、530:1から638:1、などである。
【0177】
例えばペプチド、DVD-Igタンパク質、あるいは抗体、またはその抗原結合部分などのタンパク質と、サッカロースとを含んでおり、サッカロース:ペプチド、DVD-Igタンパク質、あるいは抗体、またはその抗原結合部分の比が、約0.8から3.5:1重量/重量(w/w)、約0.8から約3.0:1.0w/w、約0.8から約2.5:1.0w/w、約0.8から約2.0:1.0w/w、約0.8から約1.5:1.0w/w、約0.9から約2.0:1w/w、約0.9から約1.5:1.0w/w、約0.1から約3.5:1w/w、約0.1から約10:1w/w、または約1.0:1.0w/wの範囲にある安定な固体単位も、薬剤投与に好適であり得る。上記の値および比の中間の値および比も、典型的な実施形態の一部となるように意図される。
【0178】
タンパク質(例えば、ペプチド、DVD-Igタンパク質、あるいは抗体、またはその抗原結合部分)と、ソルビトールとを含んでおり、ソルビトール:ペプチド、DVD-Igタンパク質、あるいは抗体、またはその抗原結合部分の比が、約0.8から3.5:1重量/重量(w/w)、約0.8から約3.0:1.0w/w、約0.8から約2.5:1.0w/w、約0.8から約2.0:1.0w/w、約0.8から約1.5:1.0w/w、約0.9から約2.0:1w/w、約0.9から約1.5:1.0w/w、約0.1から約3.5:1w/w、約0.1から約10:1w/w、または約1.0:1.0w/wの範囲にある安定な固体単位も、薬剤投与に好適であり得る。上記の値および比の中間の値および比も、典型的な実施形態の一部となるように意図される。
【0179】
薬剤投与に好適な安定な固体単位は、タンパク質(例えば、ペプチド、DVD-Igタンパク質、あるいは抗体、またはその抗原結合部分)と、トレハロースとを含み、トレハロース:ペプチド、DVD-Igタンパク質、あるいは抗体、またはその抗原結合部分の比が、約0.8から3.5:1重量/重量(w/w)、約0.8から約3.0:1.0w/w、約0.8から約2.5:1.0w/w、約0.8から約2.0:1.0w/w、約0.8から約1.5:1.0w/w、約0.9から約2.0:1w/w、約0.9から約1.5:1.0w/w、約0.1から約3.5:1w/w、約0.1から約10:1w/w、または約1.0:1.0w/wの範囲にある。上記の値および比の中間の値および比も、典型的な実施形態の一部となるように意図される。
【0180】
一実施形態において、固体単位の生成のための溶液におけるサッカロースの濃度は、約10mg/ml、約20mg/ml、約30mg/mlから約100mg/ml;約40mg/mlから約90mg/ml;約40mg/mlから約80mg/ml;約40mg/mlから約70mg/ml;約40mg/mlから約60mg/ml;および約40mg/mlから約50mg/mlで構成されるグループから選択される。一実施形態において、固体単位の生成のための溶液におけるサッカロースの濃度は、約10mg/mlから約200mg/mlである。
【0181】
一実施形態において、固体単位は、約10から約40mg/mLのマンニトールおよび約60mg/mLから約80mg/mLのサッカロースを含む溶液から生成される。
【0182】
一実施形態において、固体単位は、ポリソルベートなどの界面活性剤を含む。
【0183】
一実施形態において、固体単位は、タンパク質製剤のための伝統的な担体として知られる特定の薬剤を含まない。例えば、一実施形態において、固体単位は、ウシ血清アルブミン(BSA)などのアルブミンまたはミルクを含まない。例えば、アルブミンおよびミルクの両者は、タンパク質製剤に伝統的に用いられる担体であるが、治療用タンパク質(ペプチド、DVD-Igタンパク質、あるいは抗体、またはその抗原結合部分)を含む固体単位などの固体単位から好ましくは排除される。
【0184】
一実施形態において、固体単位は、トロメタミンを含まない。したがって、治療用タンパク質(例えば、ペプチド、DVD-Igタンパク質、あるいは抗体、またはその抗原結合部分)などの薬物を含み、トロメタミンを排除する固体単位(または、複数の固体単位)が、典型的な実施形態に含まれる。さらなる実施形態において、本明細書に説明されている固体単位(または、複数の固体単位)は、カゼインを含まない。さらなる実施形態において、本明細書に説明されている固体単位(または、複数の固体単位)は、アジ化ナトリウムなどの防腐剤を含まない。そのような固体単位は、自由流動かつ幾何学的一様性を有することもできる。
【0185】
一実施形態において、固体単位は、例えば異なるエピトープに結合する2つの抗体など、2種類以上のタンパク質を含む。
【0186】
固体単位は、自由流動であり、糖を含むにもかかわらず高湿度条件において貯蔵できる点で、さらに安定である。例えば、固体単位は、一実施形態において、例えば60%以上の湿度などの高湿度条件においてさえも、例えば2%未満の水分、1%未満の水分、0.9%未満の水分、0.8%未満の水分、0.7%未満の水分、0.6%未満の水分、0.5%未満の水分、0.4%未満の水分、0.3%未満の水分、0.1%から3%の水分、0.1%から2%の水分、または1%から2%の水分、などの少ない水分含有量を有する。
【0187】
一実施形態において、治療用タンパク質(例えば、ペプチド、抗体、またはDVD-Igタンパク質)を含む固体単位におけるタンパク質集団は、少なくとも90%の治療用タンパク質、少なくとも95%の治療用タンパク質、少なくとも96%の治療用タンパク質、少なくとも97%の治療用タンパク質、少なくとも98%の治療用タンパク質、または少なくとも99%の治療用タンパク質である。
【0188】
特定の実施形態において、固体単位は、本明細書に開示のとおり、抗体またはその抗原結合部分などの翻訳後修飾されたタンパク質を包含する。例えば、翻訳後処理において、タンパク質が、成熟製品を生成するために修飾(例えば、化学的修飾および折り畳み)される(Berkowitz et al.、Nat Rev Drug Discov.11(7):527-40、2012、およびそこでの引用文献を参照)。一般に、修飾は、生化学的官能基(例えば、酢酸塩、リン酸塩、脂質、および炭水化物)の付加、アミノ酸の化学的性質の変更(例えば、シトルリン化)、または構造変更(例えば、ジスルフィド架橋の形成)として広く特徴付けされる1つ以上の事象によって達成される。タンパク質の最も一般的な翻訳後修飾の1つは、例えばガラクトシル化、フコシル化、高マンノース誘導体、およびシアリル化、例えばN結合またはO結合炭水化物鎖、N末端またはC末端の処理を含むグリコシル化を伴う。いくつかの実施形態に包含されるさらなる翻訳後修飾として、例えば、酸化、リン酸化反応、硫酸化、脂質修飾、ジスルフィド結合の形成、および脱アミド、N末端グルタミン酸塩のピルグルタミン酸への変換、C末端アミノ酸(例えば、C末端リジン)の除去、アミノ酸主鎖への化学成分の結合、原核生物ホスト細胞の発現の結果としてのN末端メチオニン残基の付加または除去が挙げられる。タンパク質を、タンパク質の検出および単離を可能にするために、酵素、蛍光、同位体、または親和性標識などの検出可能なラベルで修飾することも可能である。
【0189】
一実施形態において、固体単位を、50mg/mlのタンパク質濃度または100mg/mlのタンパク質のいずれかを有する溶液から生成される球状の固体単位に関して予想されるタンパク質の量を示す下記の表に従って特徴付けることができる。このように、一実施形態において、固体単位は、0.1mmから3mmの範囲の直径を有し、0.00005mgから0.71mgのタンパク質含有量を有し、0.0005マイクロリットルから14.14マイクロリットルの体積を有する球状の固体単位である。
【0190】
タンパク質固体単位の特徴
【0191】
【0192】
一実施形態において、凍結乾燥させた固体単位は、抗体またはその抗原結合部分、ならびに凍結乾燥および後の貯蔵において抗体またはその抗原結合部分の化学的または物理的な不安定を防止または軽減する量のソルビトール、サッカロース、またはトレハロースを含む。
【0193】
一実施形態には、抗体またはその抗原結合部分、ならびに凍結乾燥および後の貯蔵において抗体またはその抗原結合部分の化学的または物理的な不安定を防止または軽減する量のソルビトール、サッカロース、またはトレハロースからなる凍結乾燥させた固体単位が含まれる。
【0194】
しかしながら、パラメータの値または値の範囲への言及が常に、言及された値の中間の値および範囲も典型的な実施形態の一部となるように意図されていることに、注意すべきである。
【0195】
一実施形態において、固体単位は、配列番号3として表されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号5として表されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号7として表されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む軽鎖可変領域、ならびに配列番号4として表されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、配列番号6として表されるアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、および配列番号8として表されるアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを含む重鎖可変領域を含む抗ヒト腫瘍壊死因子アルファ(hTNFα)抗体またはその抗原結合部分を含む。
【0196】
一実施形態において、固体単位は、配列番号1として表されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号2として表されるアミノ酸配列を含む抗体またはその抗原結合部分の重鎖可変領域とを含む抗ヒト腫瘍壊死因子アルファ(hTNFα)抗体またはその抗原結合部分を含む。
【0197】
一実施形態において、固体単位は、配列番号9として表されるアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号10として表されるアミノ酸配列を含む重鎖とを含む抗ヒト腫瘍壊死因子アルファ(hTNFα)抗体またはその抗原結合部分を含む。一実施形態において、抗体またはその抗原結合部分の酸性種は、AR1、AR2、あるいはAR1およびAR2の両方を含む。
【0198】
別の実施形態において、固体単位は、アダリムマブ(または、その抗原結合部分)またはそのバイオ類似品を含む。
【0199】
一実施形態において、固体単位は、15%未満の抗体またはその抗原結合部分の酸性種を含む。一実施形態において、抗体またはその抗原結合部分の酸性種は、AR1、AR2、あるいはAR1およびAR2の両方を含む。これに代え、あるいはこれに組み合わせて、固体単位は、抗体またはその抗原結合部分の2つのC末端リジン(Lys 2)を有する約70%の抗体またはその抗原結合部分の約70%のリジン変異種を含む。
【0200】
とりわけ、薬物が本明細書において説明されているが、本明細書に説明されているシステムを小分子を含む任意の薬剤に使用できることも、典型的な実施形態の特徴である。さらに、本明細書に説明されているシステムを、例えば試験管での分析など、非治療の用途に使用することができる。
【0201】
いくつかの典型的な実施形態は、本明細書に説明されている複数の固体単位を使用することができる。複数の固体単位は、いくつかの実施形態において、実質的に一様なサイズ分布および/または体積分布を有することができる。いくつかの場合に、複数の固体単位は、実質的に一様なサイズ分布および/または体積分布を有する固体単位の集団を含む。とりわけ、複数の固体単位は、粉末(粉末は、揺動または傾斜時に自由に流れることができる多数のきわめて細かい粒子からなる乾燥したバルクな固体)ではない。実際、本明細書に説明されている複数の固体単位は、例えば複数の固体単位のサイズおよび一様性における一貫性をもたらす点で、粉末を超える利点を提供する。
【0202】
一実施形態において、実質的に一様なサイズ分布は、固体単位の個々の形状および/または体積が実質的に同様であり、体積における標準偏差が20%以下であることを意味するように意図される。例えば、球形の複数の固体単位は、球の平均体積からの標準偏差が20%以下である固体単位の集合を含むと考えられる。あるいは、実質的に一様なサイズ分布は、集団における固体単位の個々の体積が、実質的に同様であり、体積における相対標準偏差が20%以下であることを示す。あるいは、実質的に一様なサイズ分布は、集団における固体単位の個々の体積が、実質的に同様であり、体積における標準偏差(または、相対標準偏差)が15%以下であり、体積における標準偏差(または、相対標準偏差)が10%以下であり、あるいは体積における標準偏差(または、相対標準偏差)が5%以下であることを示す。
【0203】
一実施形態において、複数の単位における個々の単位の各々は、固体単位は、約0.0005μlから約20μl、約0.005μlから約20μl、0.001μlから約20μl、0.05μlから約20μl、0.01μlから約20μl、0.0005μlから約10μl、約0.005μlから約10μl、0.001μlから約10μl、0.05μlから約10μl、0.01μlから約10μl、0.0005μlから約5μl、約0.005μlから約5μl、0.001μlから約5μl、0.05μlから約5μl、0.01μlから約5μl、0.0005μlから約1μl、約0.005μlから約1μl、0.001μlから約1μl、0.05μlから約1μl、0.01μlから約1μl、0.1μlから約20μl、約0.5μlから約10μl、約0.5から約20、約1から約20、約1.5から約20、約2から約20、約2.5から約20、約3から約20、約3.5から約20、約4から約20、約4.5から約20、約5から約20、約5.5から約20、約6から約20、約6.5から約20、約7から約20、約7.5から約20、約8から約20、約8.5から約20、約9から約20、約9.5から約20、約10から約20、約15から約20、約12から約20、約13から約20、約14から約20、約15から約20、約16から約20、約17から約20、約18から約20、約19から約20、約0.5から約15、約1から約15、1.5から約15、約2から約15、約2.5から約15、約3から約15、約3.5から約15、約4から約15、約4.5から約15、約5から約15、約5.5から約15、約6から約15、約6.5から約15、約7から約15、約7.5から約15、約8から約15、約8.5から約15、約9から約15、約9.5から約15、または約10μlから約15μlの範囲の実質的に一様な体積を有することができる。加えて、複数の固体単位は、実質的にすべて球であってよく、0.0005μlから約20μl、約0.005μlから約20μl、0.001μlから約20μl、0.05μlから約20μl、0.01μlから約20μl、0.0005μlから約10μl、約0.005μlから約10μl、0.001μlから約10μl、0.05μlから約10μl、0.01μlから約10μl、0.0005μlから約5μl、約0.005μlから約5μl、0.001μlから約5μl、0.05μlから約5μl、0.01μlから約5μl、0.0005μlから約1μl、約0.005μlから約1μl、0.001μlから約1μl、0.05μlから約1μl、0.01μlから約1μl、約0.1μlから約20μl、または約0.5μlから約10μlなど、上述の体積のいずれかの範囲の体積を有することができる。上記の体積および範囲の中間の体積および範囲も、典型的な実施形態の一部となるように意図される(例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0μl)。球状の固体単位において、体積は直径に関係する。例えば、約0.05μlの体積を有する球状の固体単位は、約0.2mmの直径を有し、約0.0005μlの体積を有する球状の固体単位は、約0.1mmの直径を有する。
【0204】
一実施形態において、複数の単位のうちの固体単位の各々は、実質的にすべて球であってよく、約0.1から約4mm、約0.1から約3mm、約0.1から約2mm、約0.1から約1mm、または約0.1から約0.5mmの直径を有することができる。上記の直径および範囲の中間の直径および範囲も、典型的な実施形態の一部となるように意図される(例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、および4.0mm)。
【0205】
一実施形態において、複数のサブ単位は、薬剤投与に好適である。複数のサブ単位は、無菌の条件下で製造されてよい。
【0206】
複数の固体単位の1つの利点は、それらが例えば約25℃において少なくとも12ヵ月など、部屋の温度および湿度において自由流動のままである点にある。一実施形態において、複数のサブ単位は、例えば1%以下の水分、0.9%以下の水分、0.8%以下の水分、0.7%以下の水分、0.6%以下の水分、0.5%以下の水分、0.4%以下の水分など、水分含有量の少ない固体単位で作られる。例えば密封された容器など、特定の条件下で、固体単位は、例えば60%以上の湿度などの湿った条件においても、低い水分含有量を維持することができる。
【0207】
いくつかの実施形態において、複数の固体単位は、殻またはカプセルに包まれ、例えば経口での摂取または座薬としての使用が可能にされる。適切なカプセルは、硬い殻のカプセルまたは柔らかい殻のカプセル、一体成形のカプセルまたは2つの部分からなるカプセルであってよい。固体単位を、一実施形態においては腸溶コーティングで覆われてもよい錠剤に圧縮形成することもできる。
【0208】
複数の固体単位の重要な特徴は、複数が、特定の実施形態において、固体単位の2つ以上の集団を含み得る点にある。例えば、典型的な実施形態の複数の固体単位は、異なる治療用タンパク質、異なるサイズを有する固体単位、GI管の異なる地点における放出を可能にする異なる腸溶保護剤または腸溶コーティングを有する固体単位、などの集団を含むことができる。複数の固体単位は、少なくとも2つの別個の分子標的に向けられた抗体またはその抗原結合部分を含んでいる固体単位を含むことができる。このように、複数の固体単位は、例えば異なる抗体を含んでいる複数のうちの固体単位など、固体単位の組み合わせを可能にする。
【0209】
一実施形態においては、固体ユニットの少なくとも2つの異なる集団からなる複数の固体単位を含む医薬組成物が提供される。集団は、例えばサイズ、薬物の量、薬物の種類、またはこれらの任意の組み合わせなど、任意のパラメータにもとづいて別個であり得る。とりわけ、固体単位は、異質の集団にて組み合わせられた場合でも安定かつ自由流動なままである。
【0210】
一実施形態においては、例えば少なくとも2つの別個の分子標的に結合するペプチドならびに/あるいは抗体またはその抗原結合部分など、異なる分子標的に特有の固体単位の少なくとも2つの集団を有する複数の固体単位が提供される。用語「別個の分子標的」は、集団の中で、2つ以上の結合タンパク質が、例えばTNFおよびEGFRなどの別個の分子に特有であり、あるいは例えばTNF上のエピトープ1および2などの1つの分子内の特定のエピトープに特有であることを表す。このように、典型的な実施形態の複数の固体単位は、第1のペプチドまたは第1の抗体もしくはその抗原結合部分を有する固体単位の1つの集団と、第2のペプチドまたは第2の抗体もしくはその抗原結合部分を有する固体単位の第2の集団とを含んでおり、第2のペプチドまたは第2の抗体もしくはその抗原結合部分は、第1のペプチドまたは第1の抗体もしくはその抗原結合部分とは異なる分子標的またはエピトープに向けられている固体単位の2つ以上の集団を含むことができる。
【0211】
一実施形態においては、実質的に同様の体積を有している固体単位の少なくとも2つの集団と、実質的に同様の体積を有している固体単位の第2の集団とを有しており、第1の集団と第2の集団とは異なる体積を有している複数の固体単位が提供される。
【0212】
一実施形態においては、第1のペプチドまたは抗体もしくはその第1の抗原結合部分を有している固体単位の1つの集団と、追加の薬物を含んでいる固体単位の第2の集団とを含む固体単位の2つ以上の集団を有する複数の固体単位が提供される。
【0213】
一実施形態において、複数のうちの固体単位の2つの集団は、複数のうちの少なくとも約70%、複数のうちの少なくとも約80%、複数のうちの少なくとも約90%、複数のうちの少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または固体単位の全体としての集団の少なくとも約99%を構成する。
【0214】
例えば各々の集団が集団内で実質的に同様である特有のサイズを有するとともに異なる分子標的への抗体またはペプチドを含んでいる複数のうちの固体単位の2つの集団など、上述の集団の組み合わせも、典型的な実施形態の範囲に含まれる。
【0215】
いくつかの実施形態においては、一様な自由流動の安定な固体単位を、非経口または経口投与のための多数のAPI最終薬品を生成するために組み合わせることができる異なる組成または分子の別の一様な自由流動の安定な固体単位と組み合わせることができる。
【0216】
一実施形態においては、タンパク質(例えば、ペプチド、抗体、またはDVD-Igタンパク質)などの薬物を含む複数の固体単位が、薬物を含む溶液の液滴を液体チッ素またはフレオン(もしくは、他の低温溶液)の槽に送り出すことによって作成される。液滴は、任意の適切な送出装置を使用して送達され、各々の液滴において実質的に同じ体積がもたらされるように測定される。液滴は、複数の固体単位が得られるように液体チッ素またはフレオンに次々に繰り返し配置される。ひとたび低温槽に配置されると、液滴は凝固し、凍結された固体単位となる。各々の液滴が凍結する他の液滴から隔てられるように、槽内にバリアを配置することができる。液滴の凍結は、瞬時であり、したがって作成される固体単位の集団における一貫性をもたらすために、制御された核生成を使用して実行される。液体チッ素が低温物質として使用される場合、ひとたび溶液の液滴が凍結すると、固体単位は、一般に、液体の表面から容器の底に落下する。次いで、固体単位の集団を集め、液体チッ素またはフレオンから分離することができる。次に、複数の固体単位に、残余の水を取り除くために真空昇華が施される。水の除去後に、複数の固体単位は、本質的に自由流動かつ幾何学的に一様である。このプロセスを、例えば異なるサイズであり、あるいは異なる薬物を含んでいるなど、異なる特性を有する複数の固体単位を得るために繰り返すことができ、固体ユニットの第1のバッチを第2のバッチに組み合わせ、別個の特徴を有しているが単位の自由流動の性質は維持されている複数の固体単位をもたらすことができる。さらに、上述のプロセスは、所望であれば、単一の固体単位を得るために使用することができる。このプロセスは、固体単位がプレートなどの硬い表面においてではなく、浮遊状態で形成される液体チッ素またはフレオンにおける凍結工程ゆえに、球である固体単位をもたらす。
【0217】
いくつかの実施形態において、本方法は、当業者にとって当たり前の方法を使用して固体単位を腸溶保護剤、徐放ポリマー、非pH感受性ポリマー、溶媒、生体接着ポリマー、またはこれらの任意の組み合わせなどのポリマーに接触させることをさらに含む。
【0218】
典型的な実施形態の説明において、具体的な用語が、分かりやすくするために使用されている。説明の目的のために、各々の具体的な用語は、同様のやり方で機能して同様の目的を達成するすべての技術的および機能的な同等物を少なくとも含むように意図されている。さらに、特定の典型的な実施形態が複数のシステム構成要素または方法の段階を含むいくつかの場合において、それらの構成要素または段階を、単一の構成要素または段階で置き換えることが可能である。同様に、単一の構成要素または段階を、同じ目的を果たす複数の構成要素または段階で置き換えることが可能である。さらに、種々の特性についてのパラメータが典型的な実施形態に関して本明細書において指定される場合、それらのパラメータは、とくに指定されない限り、20分の1、10分の1、5分の1、3分の1、2分の1、などによって上下に調節されてよく、あるいは丸めの近似によって上下に調節されてよい。さらに、典型的な実施形態を、それらの特定の実施形態を参照して図示および説明したが、それらにおいて、形態および細部における種々の置き換えおよび変更を、本発明の技術的範囲から離れることなく行うことができることを、当業者であれば理解できるであろう。またさらに、他の態様、機能、および利点も、本発明の技術的範囲に包含される。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最終薬物を患者に投与するためのウェアラブル自動注射装置であって、
前記ウェアラブル自動注射装置はハウジングを備え、前記ハウジングは、
前記最終薬物になるためにさらなる処理を受ける固体または液体薬物であるバルク品と呼ばれる中間薬物を保持する中間容器と、
希釈剤を保持する希釈剤容器と、
前記中間容器と前記希釈剤容器とに流体連通している混合チャンバであって、前記中間薬物と前記希釈剤とを混合して前記最終薬物を形成する1つ以上の混合機構を含む混合チャンバと、
を含む、ウェアラブル自動注射装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、1つ以上の前記混合機構による前記希釈剤および前記中間薬物の混合を開始するためのアクティベーション機構をさらに備える、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項3】
前記アクティベーション機構は、前記最終薬物を前記患者に投与するために前記最終薬物の形成後に、注射アセンブリをさらに作動させることができる、請求項2に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項4】
前記ハウジングはさらに、注射アセンブリを備えており、前記注射アセンブリは、前記患者に前記最終薬物を注入するための、針、カニューレ、マイクロアレイ針、カテーテル、および流路を含む、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項5】
前記混合容器が、前記中間容器内の前記希釈剤の振動を生じさせるためのインペラを備える、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項6】
前記混合容器が、前記中間薬物と前記希釈剤とを隔てる弁を備えており、前記弁は、前記最終薬物を形成するために前記中間薬物と前記希釈剤との混合を可能にすべく開くように構成されている、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項7】
前記混合機構が、渦発生器を備え、前記渦発生器は、入り口から前記希釈剤を受け入れ、前記中間薬物と前記希釈剤とを混合して前記最終薬物を形成するために渦運動を生じさせるように構成されている、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項8】
不活性な固体ビーズが、流体の渦に巻き込まれ、前記混合機構の壁に対する不活性な前記固体ビーズの運動が、前記中間薬物を機械的に分散させ、削るように機能する、請求項7に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項9】
前記混合機構は、ベンチュリシステムを含んでおり、前記ベンチュリシステムは、前記システムにおける流体の圧力の低下を使用して前記中間薬物と前記希釈剤とを混合するように構成されている、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項10】
前記混合機構が、圧電要素、多孔質要素、振動要素、微小管、乱流生成面、またはイオン膜を含む、請求項1に記載のウェアラブル自動注射装置。
【請求項11】
患者に最終薬物を投与するためのシステムであって、前記システムは、
バルク品と呼ばれる中間薬物を保持する第1の容器と、
前記最終薬物を形成すべく前記中間薬物と混合される希釈剤を保持する第2の容器と、
取り外し可能な混合容器を含んでおり、注射に先立って前記最終薬物を形成すべく前記中間薬物と前記希釈剤とを取り外し可能な前記混合容器において混合するための混合機構と、
前記第1の容器、前記第2の容器、および前記混合機構から隔てられているウェアラブル自動注射装置と、
を備えており、前記ウェアラブル自動注射装置は、
ハウジングと、
前記最終薬物を収容している取り外し可能な前記混合容器を受け入れるためのポートと、
前記最終薬物を前記患者に注射するための注射アセンブリと、
前記最終薬物を前記患者に投与すべく前記注射アセンブリを作動させるためのアクティベーション機構と、
を備えている、システム。
【請求項12】
前記ハウジングは、1つ以上の前記混合機構による前記希釈剤および前記中間薬物の混合を開始するためのアクティベーション機構をさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記アクティベーション機構は、前記最終薬物を前記患者に投与するために前記最終薬物の形成後に、前記注射アセンブリをさらに作動させることができる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ハウジングはさらに、注射アセンブリを備えており、前記注射アセンブリは、前記患者に前記最終薬物を注入するための、針、カニューレ、マイクロアレイ針、カテーテル、および流路を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
取り外し可能な前記混合容器は、前記混合容器内の前記希釈剤の振動を生じさせるためのインペラを備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
取り外し可能な前記混合容器は、前記中間薬物と前記希釈剤とを隔てる弁を備えており、前記弁は、前記最終薬物を形成するために前記中間薬物と前記希釈剤との混合を可能にすべく開くように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記混合機構が、渦発生器を備え、前記渦発生器は、入り口から前記希釈剤を受け入れ、前記中間薬物と前記希釈剤とを混合して前記最終薬物を形成するために渦運動を生じさせるように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
不活性な固体ビーズが、流体の渦に巻き込まれ、前記混合機構の壁に対する不活性な前記固体ビーズの運動が、前記中間薬物を機械的に分散させ、削るように機能する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記混合機構は、ベンチュリシステムを含んでおり、前記ベンチュリシステムは、前記システムにおける流体の圧力の低下を使用して前記中間薬物と前記希釈剤とを混合するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記混合機構が、圧電要素、多孔質要素、振動要素、微小管、乱流生成面、またはイオン膜を含む、請求項11に記載のシステム。