(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096858
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】偽造防止のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240709BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024064084
(22)【出願日】2024-04-11
(62)【分割の表示】P 2021505300の分割
【原出願日】2019-07-30
(31)【優先権主張番号】62/712,269
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516243711
【氏名又は名称】エイブリィ・デニソン・リテイル・インフォメーション・サービシズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】AVERY DENNISON RETAIL INFORMATION SERVICES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アイヤー,プラディープ・エス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】商業品、文書、包装等の商品の信頼性、責任性、真正性及び透明性を確立する物品を認証し追跡するシステム並びに方法を提供する。
【解決手段】物品を認証及び追跡する手段として一つ以上のアイデントロピーを含む方法であって、アイデントロピーを画像化し、画像を、ローカルでホストするか又はクラウドベースであるデータベース或いはブロックチェーンなどの分散型台帳に電子的に格納する。ブロックチェーンは、一緒にチェーンされ、ユーザー間で分散される一連のブロック又はトランザクションのグループであり、データの信頼性及び整合性を検証するために、外部の権限を必要としない変更不可能なトランザクションの記録として機能する。生成されたアイデントロピーの初期の画像は、アイテムを認証するために後続の画像と比較される参照画像として機能する。アイテムを認証する場合は、手持ちのアイテムの画像を、参照画像と比較して確認する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)一つ以上の材料を物品または物品に貼付けられたタグまたはラベルに適用して、一つ以上のエントロピー的に構成された別個の物理的特徴(アイデントロピー)を作成または生成するステップと、
(b)一つ以上のエントロピー的に構成された別個の物理的特徴を、データベース、メモリまたは分散型台帳に格納された一つまたは複数の参照と比較するステップとを含む、物品の認証方法。
【請求項2】
信頼指数を設定または計算するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物品が商業商品である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記商業商品は、高級品およびアパレル、アクセサリー、音楽、ソフトウェア、医薬品および医療装置、タバコ製品、大麻製品、ワインおよびスピリッツ、消費財、おもちゃ、新鮮な農産物、および電子機器からなる群より選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記一つ以上の材料は、インク、染料、顔料、接着剤、紙、フィルム、半導体チップ、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記アイデントロピーは、スキャッターパターンまたはスプラッターパターンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アイデントロピーが光学的に画像化される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アイデントロピーは、パーソナルデバイスに取付けられたマクロレンズを使用して画像化される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記パーソナルデバイスは、スマートフォン、タブレット、または他のハンドヘルドデバイスからなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アイデントロピーは、倉庫、飛行機、ボート、列車、トラック、輸送コンテナ、または小売店に設置されたデバイスを使用して画像化される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記アイデントロピーが吸光パターンである、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記アイデントロピーが光学的に画像化される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アイデントロピーは、パーソナルデバイスに取付けられたマクロレンズを使用して画像化される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記パーソナルデバイスは、スマートフォン、タブレット、または他のハンドヘルドデバイスからなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アイデントロピーは、倉庫、飛行機、ボート、列車、トラック、輸送コンテナ、または小売店に設置されたデバイスを使用して画像化される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記パターンが発光パターンである、請求項5に記載の方法。
【請求項17】
ランダムパターンが光学的に画像化される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ランダムパターンは、パーソナルデバイスに取付けられた顕微鏡を使用して画像化される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記パーソナルデバイスは、スマートフォン、タブレット、または他のハンドヘルドデバイスからなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記アイデントロピーは、倉庫、飛行機、ボート、列車、トラック、輸送コンテナ、または小売店に設置されたデバイスを使用して画像化される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
参照画像がデータベースに格納される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記データベースがローカルでホストされる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記データベースがクラウドベースである、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
参照画像が分散型台帳に格納される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記分散型台帳がブロックチェーンである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記画像化および格納は、ロールツーロール(巻き取りおよび/または巻き戻しの間)、枚葉モードまたは静的モードで行われる、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
一つ以上のさらなる偽造防止手段、追跡手段、改ざん防止ラベリングシステム、またはこれらの組み合わせを組み込んで複合システムを形成するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
一つ以上の追跡手段をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記一つ以上の追跡手段または偽造防止手段は、シリアル化を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記一つ以上の追跡手段または偽造防止手段は、トポグラフィーを含む、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記一つ以上の追跡手段または偽造防止手段は、繊維パターンを含む、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年7月31日に出願された米国仮特許出願第62/712,269号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、商業品、文書、包装などの商品の信頼性、責任性、真正性および透明性を確立するために、エントロピー的に構成された別個の物理的特徴(「アイデントロピー(IDENTROPY)」)を利用し、前記アイデントロピーをデジタルライフヒストリーのスレッド(「デジタルツイン」)に安全に関連付ける、またはテザリングするシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
偽造は、許可なしに他人の名前や他社のブランドで商品を製造および/または流通することを含む。偽造品(例えば、「偽物」または「模造品」)は、一般に、消費者が知っていて信頼しているブランド製のイミテーション商品を安価に販売するために、低品質の構成要素で製作されている。偽造品または海賊版は、高級品およびアパレル、アクセサリー、音楽、ソフトウェア、医薬品および医療装置、タバコ製品、大麻製品、ワインおよびスピリッツ、消費財、おもちゃ、新鮮な農産物、および電子機器を含む、複数の産業にまたがっている。
【0004】
偽造は、先進国及び発展途上国いずれにも重要な問題である。経済協力開発機構(OECD)及び欧州連合知的財産庁(EUIPO)では、偽造品および海賊版の貿易が2013年の国際貿易の2.5%、即ち、4,610億ドルに達すると報告している。ヨーロッパだけで2013年の輸入品が5%であり、これは1,160億ドルに相当する。2013年の会計年度に、米国国土安全保障省(DHS)は、米国の国境で17億ドル以上の価値の偽造品を押収した。
【0005】
偽造品は、販売者と消費者の両方を危険にさらす可能性がある。例えば、偽造品は、しばしば消費者の健康と安全を危険にさらす可能性がある、安価且つ標準以下で、および/または危険な構成要素を利用して製作される。偽造ウェブサイトから商品を購入すると、消費者が偽造販売者に個人情報または金融情報を提供する際に、個人情報の盗難および金融詐欺の危険にさらされる可能性がある。
【0006】
偽造品を故意に販売および購入することは違法である。米国では、故意に偽造品を販売および購入することは国家犯罪および連邦犯罪に相当し、個人は民事・刑事上の処罰の対象となり得る。偽造品の販売および購入は通常、偽造業者が手数料と税金を支払わないため、地方自治体のサービスを弱化させる可能性がある。偽造品は、適切な賃金および労働者の安全を規定する法律が提供されない場所で製造される場合があり、強制労働または児童労働を伴う場合がある。
【0007】
組織的な犯罪は、偽造品の製造および販売にますます関与している。さらに、これらの取引からの収益は、麻薬密売およびテロなどの組織的な犯罪並びに他の違法行為をサポートするために使用され得る。
【0008】
最後に、合法的な製造業者(例えば、ブランド)は、製品の研究開発にかなりの資源を投資して、消費者間での品質に対する評判を構築する。一方、偽造業者は、他社の名声から不当に利益を得ようとする。この不公正な競争のために引き起こされる売上および利益
の損失は、すぐに賃金下落と失業につながるのみならず、消費者の価格の上昇につながる。
【0009】
現在の偽造防止技術は、決定論的プロセスの結果であるタグまたはラベルを使用する。このようなタグは通常、それほど複雑ではなく、また予測可能性が高く、これは偽造者がタグを簡単にコピーできることを意味する。より複雑なタグが開発されたが、これらのタグは通常、多くのタイプの消費者製品に組み込むには、あまりにも高価である。
【0010】
製品や設備などの物理的アイテムの識別性、真正性、および安全性を、費用効率の高い方法で追跡するための改善されたシステムおよび方法の必要性が存在する。本明細書に記載のシステムおよび方法は、これらの目的のみならず、他の重要な目的に向けられている。
【発明の概要】
【0011】
本明細書に記載の方法およびシステムは、製品またはデバイス、特に商業製品および/またはデバイス、文書、包装などの物理的アイテムの固有の識別子として機能する、一つ以上のエントロピー的に構成された別個の物理的特徴(「アイデントロピー」)を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、アイデントロピーは、物品にラベル、テキスト、および/またはグラフィックを印刷して発生するスキャッターパターンまたはスプラッターパターン、物品に取付けられたタグまたはラベルにテキストおよび/またはグラフィックを印刷して発生するスキャッターパターンまたはスプラッターパターン、ラベルまたはタグ内における紙繊維の配向のユニークでランダムなパターン、および/または物品または物品上のラベルまたはタグの表面の固有のトポグラフィーのような、物品を製造する際に自然に(例えば、ランダムにまたはエントロピー的に)発生する物理的変形をベースとする。例えば、物品自体または物品に貼り付けられたラベルまたはタグ上に固有の印刷欠陥(例えば、インクジェットドロップスプラッター)は、適切な解像度で画像化されると、ドットサイズ、形状、および間隔の固有の分布を提供する。
【0013】
物品の表面、または物品に貼り付けられたタグまたはラベルの表面は、固有のトポグラフィーを有する。トポグラフィーは、基材自体(ラベル素材など)またはそれに適用される材料(パターン化された接着剤、インク、染料など)の場合がある。同様に、ラベルまたはタグ内における紙繊維の配向の固有のパターンは、データベースに格納されている情報を比較および分析するために使用し得る。
【0014】
これらの固有のパターンを記録し、既知の画像またはパターン(例えば、参照パターン)を有するデータベースと比較して、正確性、信頼スコアまたは信頼指数を設定することができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、アイデントロピーは、インク、染料、顔料、接着剤などの材料を、複製不可能な物品または物品に貼り付けられたラベルに適用することによって生成される任意のスキャッターパターンまたはスプラッターパターンを含むか、または備える。いくつかの実施形態において、物品または物品に貼り付けられたタグまたはラベル上にランダムなスキャッターパターンまたはスプラッターパターンを含むアイデントロピーは、マクロ範囲で肉眼で見ることができるが、ランダムなスキャッターパターンまたはスプラッターパターンを観察するためには、拡大する必要がある。これはスキャッターベースまたは吸光度ベースのアイデントロピーとも呼ばれる。いくつかの実施形態において、材料(例えば、インク、染料、顔料、接着剤など)は、ソース(例えば、外部励起ソース)による励起時に、電磁スペクトルの一つ以上の部分で電磁放射線を放出する一つ以上の添加剤を含む。放射線は、パターンを観察および記録するために適切な顕微鏡または他
のデバイスで検出できるスペクトルのUVまたはIR範囲、またはスペクトルの可視範囲(ただし、パターンを観察するために拡大する必要がある)で放出され得る。例示は、発光または燐光を含むが、これらに限定されない。
【0016】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、本明細書に記載のスキャッターパターンまたはスプラッターパターンを備えるか含むアイデントロピーの迅速な読み取りおよび格納を可能にするはずである。一実施形態において、本明細書に記載のアイデントロピーを読み取りまたは画像化するために使用されるデバイスは、パターンに対して、例えば、約5、約4、約3、約2、約1、約0.75、約0.5、約0.25、約0.1、約0.05、または0.025秒未満の迅速な読み取りを可能にする。他の実施形態において、パターンの読み取りまたは画像化およびその電子的格納は、約5、約4、約3、約2、約1、約0.75、約0.5、約0.25、約0.1、約0.05、または0.025秒未満で発生する。それぞれのシート/ラベルが十分なレベルの正確性で認証を行うために必要な品質を備えつつ、読み取り/書き込みを行うのに十分な時間静止している場合、情報の読み取りは、ロールツーロール(つまり、ラベルの製造/印刷時に通常行われる材料のロール巻取りおよび/または巻戻しの間)、静的モードまたは枚葉モード(物品がカットシートの形態で分配される)で行うことができる。
【0017】
いくつかの実施形態において、物品は、アイデントロピーがアクセス/画像化され得る位置を示すポインタを含まない(すなわち、このような実施形態において、アイデントロピーは、肉眼では見えないか、または「隠蔽」される)。
【0018】
上述のアイデントロピーは、スマートフォン、タブレット、または他のハンドヘルドデバイスなどのハンドヘルドデバイスや、または製造現場で、輸送コンテナまたは輸送ドックに、飛行機、列車、ボート、およびトラックなどの運搬用車両に、または小売店に設置できる、より恒久的に設置されたデバイスまたは機器、を含むがこれらに限定されない、当技術分野で知られている様々なデバイスによって読み取り、スキャン、または画像化することができる。スマートフォンなどのハンドヘルドデバイスには、スキャッターパターンまたはスプラッターパターンの読み取りや画像化を容易にするために、顕微鏡、またはマクロレンズなどの適切なレンズが取り付けられる。ハンドヘルドデバイスは、製造業者、荷送人/受取人、小売業者、および/または消費者によって使用され得る。
【0019】
一実施形態において、アイデントロピーは、物体に直接適用され、および/または物体に固定されたまたは貼り付けられたラベルまたはタグに適用される、インク、接着剤、またはこれらの組み合わせなどの一つ以上の材料のランダムなスキャッターパターンまたはスプラッターパターンである。ランダムなスキャッターパターンが生成される時に(またはその後のある時点で)、スキャッターパターンまたはスプラッターパターンが画像化され、データベースまたは分散型台帳(distributed ledger)に格納される。物体は、供給網の任意のポイントで物体を画像化し、物体または物体に固定されたまたは貼り付けられたラベル上のスキャッターパターンまたはスプラッターパターンを、データベースに格納されたスキャッターパターンまたはスプラッターパターンと比較することにより、製造から販売まで追跡できる。
【0020】
本明細書に記載のスキャッターまたはスプラッターパターンは、単独で、または他のアイデントロピーと組み合わせて使用され得る。さらなるアイデントロピーを提供するために使用できる技術には、ホログラム、光学可変インク(例えば、Tukan社(https://www.tukan.io)およびGE社から3Dプリンティング用に市販されているもの)、セキュリティスレッド、バーコード、QRコード(登録商標)、RFIDのシリアル化、NFC、無線周波数信号の固有のパターン、およびこれらの組み合わせなどが含まれる。
【0021】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、時間に敏感であり、特定の位置から制限される、および/または環境条件に敏感な物品にとって重要であり得る時空間データまたは環境データ(例えば、温度、湿度など)を測定または記録するセンサーをさらに含み得る。
【0022】
物体に直接適用される材料の例として、衣類(例えば、真正のスポーツジャージ、高級衣類など)、靴、アクセサリー(ハンドバッグなど)、文書、および包装上のプリント、テキスト、またはロゴが含まれるが、これらに限定されない。物体に固定されたまたは貼り付けられたラベルに適用される材料の例として、衣類、靴、アクセサリー、ワインおよびスピリッツ、タバコおよび大麻製品、医薬品および医療装置、果物および野菜、包装などに貼り付けられたラベルまたはタグが含まれる。このようなスキャッターパターンは、さらなるセキュリティ要素を導入するために、上述のような一つ以上の他のアイデントロピー、および/または改ざん防止システム(例えば、ラベル付け、包装など)と組み合わせて使用することができる。
【0023】
一つ以上のアイデントロピーは、一生の間、製品およびデバイスを識別、認証、および追跡可能にし、偽造の検出、身元の確認、ジオトラベル、構成要素/成分の情報、製造履歴の追跡、(購入後のユーザーに)「使用方法」情報の提供、資産の所有権/譲渡履歴の追跡、輸送条件の追跡(例えば、温度および湿度の追跡)、および信頼性、責任性、透明性の確立を含むが、これらに限定されない様々な用途で使用され得る。
【0024】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、大規模の同じ物体群の一部であり得る個々の物品または物体に対する追跡および認証/検証を可能にする。例えば、衣類などの高級品に固定されているタグまたはラベルに適用されたインクのスキャッターパターン、またはハンドバッグなどの物体に直接適用されたインクのスキャッターインクパターンは、そのライフサイクルおよび供給網全体を通じて、その単一物体を追跡可能にする。追跡および認証/検証は、上述のように携帯用品を使用するか、または倉庫内に、トラック、飛行機、列車、または船舶上に、または小売店に、より恒久的に設置されたデバイスまたは機器を使用して行うことができる。消費者自身も、同じシステムおよび方法を使用して購入品が本物であることを検証することができる。
【0025】
本明細書に記載のアイデントロピーは、さらなるセキュリティ要素を導入するために、他の偽造防止および/または改ざん防止システムと組み合わせて使用することができる。例えば、物品は、改ざん防止機能を有する一つ以上のラベルに適用され得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、システムは、
それぞれ一つ以上のエントロピー的に構成された別の物理的特徴(「アイデントロピー」)を有する複数の個々の物理的アイテムと、
個々の物理的アイテムを関連付けるためのクラウドベースの不変の共有台帳と、
前記個々の物理的アイテムの正確性スコアを生成するために、前記個々の物理的アイテムを少なくとも一つの既知のパラメータと比較するためのデータベースとを含む分散型システムである。
【0027】
いくつかの実施形態において、前記方法は、
インセプション(Inception)証明書を物理的アイテムに関連付けるステップと、
インセプション証明書を変更不可能な共有台帳に関連付けるステップと、
ユーザーからの質問や要求時に、アイテムの正確性スコアを提供するステップとを含む、物理的アイテムを識別する方法であって、
前記インセプション証明書は、物理的アイテムに関連付けられたエントロピー的な物理
的およびデジタルのランダム性から導出される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
I.規定
本明細書で使用される「ブロックチェーン」は、暗号化を使用してリンクされる、ブロックと呼ばれる記録の一覧リストを意味する。各ブロックには、前のブロックの暗号化ハッシュ、タイムスタンプ、およびトランザクションデータが含まれる。設計上、ブロックチェーンはデータの修正への耐性がある。
【0029】
本明細書で使用される「データベース」は、一般にコンピュータシステムから電子的に格納およびアクセスされる、組織化されたデータの収集を意味する。データベースは、ローカル(例えば、機械またはサーバー)でホストされることも、クラウドベースとすることもできる。
【0030】
本明細書で使用される「デジタルツイン」は、物理的な一つまたは複数の物品(例えば、製品、文書、包装など)のデジタルまたは仮想コピーを意味する。
【0031】
本明細書で使用される「分散型台帳」は、多数のサイト、国、または機関にわたって地理的に分散される、複製され、共有され、また、同期されたデジタルデータのコンセンサスを意味する。中央管理者または集中データストレージが存在しない。
【0032】
本明細書で使用される「アイデントロピー」は、物理的アイテムの固有の識別子として機能するエントロピー的に構成された別個の物理的特徴を意味する。
【0033】
本明細書で使用される「参照画像」は、物品が製造される(またはタグ付けまたはラベル付けされる)際に作成された画像を意味する。
【0034】
本明細書で使用される「スキャッターパターン」または「スプラッターパターン」は、物品、または物品に適用されるタグまたはラベルへの適用時に、インク、染料、顔料、接着剤などの一つ以上の材料のスパッター(spatter)から生じるランダムパターンを意味する。
【0035】
本明細書で使用される「信頼指数」は、物品が真正であるという信頼度を意味する。
II.物品の認証および追跡のシステムおよび方法
A.アイデントロピー
本明細書に記載のシステムおよび方法は、商業商品、文書、真正のブランド包装などの物品を認証および追跡するための手段として一つ以上のアイデントロピーを含む。いくつかの実施形態において、アイデントロピーは、物品を製造する際に生成されるランダムパターンである。いくつかの実施形態において、ランダムパターンは、製造時の物品に適用される、または物品に貼り付けられているタグまたはラベルに適用されるインクおよび/または別の材料(例えば、染料、顔料、接着剤など)のスプラッターパターンまたはスキャッターパターンであり、読み取りまたは画像化(例えば、光学的に)可能である。他の実施形態において、ランダムパターンは吸光パターンである。いくつかの実施形態において、一つ以上の添加剤は、可視範囲外のスペクトルの一部で電磁放射線(UV、IRなど)を放出する材料に組み込むことができる。いくつかの実施形態において、添加剤は、パターンが発光または燐光を発生させるようにする。このような適用例には、ブランド、サイズ、物品が製作された素材、物品に適用されるテキストまたはグラフィック(ロゴ、画像など)、またはこれらの組み合わせを印刷することが含まれる。他の実施形態において、上述のパターンは、物品に固定されるタグまたはラベルが製造される際に生成される。パターンの生成に使用できる材料は、すなわち、インク、染料、顔料、接着剤など、上記
と同様である。パターンが生成されると、画像化され、データベースまたは分散型台帳に参照画像として格納される。物品の真正性を確認するだけでなく、供給網の過程を追跡するために、この参照画像に対して後続のすべての画像が比較される。
【0036】
様々な従来のインクを使用することができる。例えば、インクジェット用途に有用な従来のインクを使用することができる。このようなインクには、染料ベースまたは顔料ベースのインクが含まれるが、これに限定されない。染料ベースのインクは、通常、水性キャリアなどのキャリアに溶解された染料を指す一方、顔料ベースのインクは、通常、キャリアに懸濁された顔料粒子を指す。従来のインクジェットインクの代わりに、またはそれに加えて、熱変色性および/または光変色性インクを使用することができる。熱変色性インクは、適用(または熱の除去)によって色が変化するインクの一種である。可逆熱変色性インクの場合、温度が元のレベルに回復すると色が元に戻る。不可逆熱変色性インクの場合、温度が変化した後、色が一定に保たれる。光変色性インクは、入射光の強度が変化するときに色が変化するインクの一種である。例えば、インクは、紫外線にさらされると無色から有色に変化し、次いで光源を取り除くと無色に戻り得る。このようなインクは、QRコードのような、上述の他のセキュリティ機能と組み合わせて使用することができる。QRコードと機能性インクの組み合わせは、グロリックら、センサース、19,586(2019年)に記載されている。
【0037】
他のアイデントロピーには、物品、文書、またはタグ若しくはラベルの基材のトポグラフィー、または物品、文書、またはタグ若しくはラベルに適用されたインク、染料、顔料、および/または接着剤などの材料のトポグラフィーが含まれる。例えば、不連続的な接着剤層のランダムパターンは、固有の識別機能であり得る。
【0038】
B.アイデントロピーの画像化手段
上述のアイデントロピーは、当技術分野で知られている様々な技術を使用して読み取りまたは画像化可能である。例えば、いくつかの実施形態において、アイデントロピーは、スキャッターパターンまたはスプラッターパターンの微細なディテールを捉えるためにマクロレンズまたは顕微鏡を使用して視覚的に画像化される、スキャッターパターンまたはスプラッターパターンである。いくつかの実施形態において、アイデントロピーは、電磁スペクトルの一つ以上の部分で電磁放射線を放出する一つ以上の添加剤を含む。例えば、いくつかの実施形態において、一つ以上の添加剤は、励起光源を使用して励起することができ、それによる放射線の放出(例えば、発光または燐光)は、蛍光顕微鏡などの適切なデバイスを使用して画像化することができる。
【0039】
画像化の方法が何であれ、効率的で使いやすいものでなければならない。例えば、いくつかの実施形態において、アイデントロピーを画像化するために、適切なレンズ(例えば、マクロレンズ)または顕微鏡が取り付けられたハンドヘルドデバイスを使用してアイデントロピーを画像化する。適切なハンドヘルドデバイスには、スマートフォン、タブレット、特殊用途のデバイス(例えば、アイデントロピーを画像化するために特別に設計および製造されるもの)が含まれるが、これらに限定されない。他の実施形態において、アイデントロピーは、倉庫、輸送コンテナ、輸送車両(列車、ボート、トラックなど)、小売店などの特定の場所に設置されたデバイスまたは機器を使用して画像化することができる。このようなデバイスまたは機器は、例えばコンベアーベルトに沿って移動する物品のアイデントロピーを画像化するように設計されており、多数の物品を画像化するように設定することができる。
【0040】
使いやすさに加えて、アイデントロピーを画像化する方法はまた、迅速でなければならない。アイデントロピーは、本明細書に記載のシステムおよび方法が効率的かつ経済的に実行可能なよう、約数秒以内に画像化して格納する必要がある。いくつかの実施形態にお
いて、アイデントロピーの画像化に必要な時間は5秒、4秒、3秒、2秒、1秒、0.75秒、0.5秒、0.25秒、0.1秒、0.05秒、0.025秒、0.01秒、0.005秒、0.0025秒、0.001秒未満である。いくつかの実施形態において、アイデントロピーを画像化し、画像をデータベースおよび/または分散型台帳に格納するのに必要な時間は、5秒、4秒、3秒、2秒、1秒、0.75秒、0.5秒、0.25秒、0.1秒、0.05秒、0.025秒、0.01秒、0.005秒、0.0025秒、0.001秒未満である。
【0041】
C.認証のシステムおよび方法
上述のように、アイデントロピーは、当技術分野で知られている様々な技術を使用して画像化することができる。アイデントロピーが画像化されると、前記画像は、ローカルでホストされるか、クラウドベースであるデータベース、またはブロックチェーンなどの分散型台帳に電子的に格納される。ブロックチェーンは、一緒に「チェーン」され、ユーザー間で分散される、一連のブロックまたはトランザクションのグループである。それは、データの信頼性及び整合性を検証するために、外部の権限を必要としない変更不可能なトランザクションの記録として機能する。生成されたアイデントロピーの初期の画像は、アイテムを認証するために後続の画像と比較される「参照画像」として機能する。例えば、高級品は、物品の内部または上に一つ以上の識別子が印刷またはスタンプされている場合がある。この印刷またはスタンプの際に、印刷またはスタンプによって生成されたランダムパターン(アイデントロピー)を各物品上に画像化し、将来比較するために、前記画像を電子的に格納することができる。アイテムを認証したい場合は、手持ちのアイテムから取得した画像をとり、それを参照画像の収集物と比較して、前記アイテムが本物であることを確認する。同様に、ランダムパターン(アイデントロピー)を生成するために印刷または処理されるタグまたはラベルは、画像化して格納され、上述のように比較に使用することができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、手持ちの物品から取られた画像と参照画像との比較は、統計的に使用して導出または計算することができる信頼指数を生成する。例えば、いくつかの実施形態において、システムおよび方法は、2つ以上のセキュリティまたは偽造防止手段(複合システム)を含む。例えば、いくつかの実施形態において、2つ以上の機能は、シリアル化(例えば、RFID)および一つ以上のアイデントロピー(例えば、インクスプラッター)である。一実施形態において、信頼指数(TQ)は、以下の式を用いて計算することができる。
【0043】
TQ=関数[(F_内的)、(F_外的)、(F_そのデジタルツインの時空間追跡)
、(F_改ざん追跡)]を[システムノイズ]で割る。
【0044】
ここで、
F_内的は、材料に内在するエントロピー的な特徴、例えば、複雑な表面トポグラフィー、紙繊維の配向などを指す。
【0045】
F_外的は、取り扱い、例えばインクジェットのドロップスプラッター、固有のトレーサー(Tukan/DUST)の追加等から導出された第1または第2の追加を指す。
【0046】
F_デジタルツインは、位置(空間)および時間(タイム)から導出されたテザリング
されたデジタル情報、またはこれらのデジタル情報の特徴的なトラックを記録することから発生する統合ソーシャルメディアソースも活用し、所定のアイテムレベルのシリアルを検証/拒否する能力を指す。
【0047】
前記の例示的な式は、物理的エンティティ上の空間的複雑度から導出された秩序変数か
らの尖度を測定する数学的手段を提供し(統計力学において「配置エントロピー」とも呼ばれる)、エンドユーザーに物品の真正性に関する信頼度を定量化する手段を提供する。当業者は、信頼指数を計算するために特定のシステムの変数を説明すべく、必要に応じて前記式を変更または修正できることを認識するであろう。
【0048】
信頼指数(TQ)は、物品がライフサイクル(製造、供給網、販売、および使用)を進むときに、エンドユーザーが「幾つかの異なる事実から結論を導き出す(connect
the dots)」のに役立つ総合的な正確さを反映する。この一例は、デジタルツインの概念である。デジタルツインは、一つまたは複数の物理的物品(例えば、製品、文書、包装など)のデジタルコピーまたは仮想コピーである。デジタルツインは、センサまたはセキュリティの機能からリアルタイムデータを収集して、現実世界と仮想世界とをつなげる。本明細書に記載のシステムおよび方法は、供給網内のさまざまなポイントで物品をスキャンすることにより、認証に加えて時空間データを提供することができる。これは、温度/湿度に敏感な物品にとって重要であり得る。本明細書に記載のように、データは、ローカルに分散するか、クラウドに一元的に格納するか、または分散型台帳(例えば、ブロックチェーン)に格納することができる。資産の仮想コピーでデータを評価およびシミュレートすることができる。シミュレーションから受け取ったデータは、実資産に適用され、実資産の供給網の最適化(例えば、高温および/または高湿への暴露、位置など)、および/または偽造防止手段の堅牢性の評価に役立つ。
【0049】
いくつかの実施形態において、信頼指数は、手持ちの物品が本物であるという確実性の程度またはレベル(例えば、確信レベル)を個人(例えば、小売業者、消費者等)に提供する。いくつかの実施形態において、信頼指数は、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、99.95%、99.99%以上である。
【0050】
上前のように、いくつかの実施形態において、アイデントロピーは、物品に貼付けられたタグまたはラベル上のスキャッターパターンまたはスプラッターパターンを備えるか、または含む。このような実施形態において、タグまたはラベルおよび/または物品は、物品を認証および追跡するためにタグまたはラベルが(意図的または非意図的に)除去された場合、さらなるセキュリティ機能を含み得る。これらは、複合システムと呼ばれることがある。
【0051】
いくつかの実施形態において、物品(またはパッケージまたは文書)自体、または物品に貼付けられたラベルまたはタグは、2つ以上のアイデントロピーを含む。いくつかの実施形態において、アイデントロピーの一つは、インクスプラッターパターンまたはトポグラフィーである。
【0052】
いくつかの実施形態において、ラベルまたはタグは、一つのアイデントロピーまたは他のセキュリティ機能を含み、物品は、別のアイデントロピーまたはセキュリティ機能を含む。これらの機能の相互間の空間的配置は、固有の特徴を生成し、この特徴は、タグまたはラベルが除去されるときに失われる。このようなシステムの例は、米国特許出願公開第2009/0218401に記載されている。
【0053】
別の実施形態において、物品、タグまたはラベルは、スキャッターパターン、スプラッターパターンまたはトポグラフィを含む一つのアイデントロピーを備え、物品およびタグまたはラベルは、異なる無線周波数を有するRFIDインレイを含む。異なる周波数によって生成される特定のパターンは、ラベルまたはタグおよび物品の固有のパターンの組み合わせである。ラベルまたはタグの除去または交換は、パターンの損傷または変化をもた
らす。別の実施形態において、機能部分は、タグまたはラベルと組み合わせて固有の参照パターンを生成するセキュリティ要素を含むか、またはセキュリティ要素である。タグまたはラベルの除去は、参照パターンを破壊または変化させる。このような変形した機能部分の例は、米国特許第9,996,996に記載されている。
【0054】
いくつかの実施形態において、複合システムは、RFIDなどのシリアル化機能、およびインクスプラッターパターンなどの本明細書に記載の一つ以上のアイデントロピーである。ますます多くの管轄権(jurisdictions)で、様々な商業商品を追跡するための手段としてシリアル化を要求している。しかし、上述のように、シリアル化は偽造される可能性がある。本明細書に記載の一つ以上のアイデントロピー(例えば、インクスプラッターパターン)とシリアル化を組み合わせることは、様々な法規の要件を満たしつつ、再現不可能な第2の機能を提供する。
【0055】
他の実施形態において、複合システムは、インクスプラッターパターンのような本明細書に記載の一つ以上のアイデントロピーと組み合わせて、物品または文書の表面またはラベル材料(表面材、トップコートなど)などの基材のトポグラフィーを含む。真正性を確認するために、トポグラフィー及びアイデントロピーを画像化して、参照との比較のために格納し得る。
【0056】
D.認証される物品
本明細書に記載のシステムおよび方法は、商業商品および文書を含むがこれらに限定されない様々な物品を認証/追跡するために使用することができる。物品の例として、衣類(例えば、真正のスポーツジャージ、高級衣類など)、靴、アクセサリー(例えば、ハンドバッグなど)、ワインおよびスピリッツ、タバコおよび大麻製品、医薬品および医療装置、化粧品、医療機器、果物および野菜などが含まれるが、これらに限定されない。
【0057】
文書の例として、信用状、保証書、バンカーおよびバイヤー間の受諾証明書、および検査証明書、アクセス証明書、パスポート、ビザ、運転免許証、遺言書、証書、債券、株券およびその他の同様の物品を含む、複雑な金融取引に関連する文書が含まれる。
【0058】
いくつかの実施形態において、本システムおよび方法は、真正品の包装を偽造品の包装に使用することを減少、最小化、または防止するために使用することができる。例えば、改ざん防止機能を提供する手段を使用してパッケージが改ざんされ、その結果、内部の物品が偽造品であることを示し得る。さらに、包装は、包装と内部の真正品とを関連付ける一つ以上の固有の識別子を含み得る。このような実施形態において、TQを計算するために使用される式は、以下に示すように改ざん/追跡に対する変数を含み得る。
【0059】
TQ=関数[(F_内的)、(F_外的)、(F_そのデジタルツインの時空間追跡)
、(F_改ざん追跡)]を[システムノイズ]で割る。
【0060】
F_内的は、材料に内在するエントロピー的な特徴、例えば、複雑な表面トポグラフィー、紙繊維の配向などを指す。
【0061】
F_外的は、取り扱い、例えばインクジェットのドロップスプラッター、固有のトレーサー(Tukan/DUST)の追加等から導出された第1または第2の追加を指す。
【0062】
F_デジタルツインは、位置(空間)および時間(タイム)から導出されたテザリングされたデジタル情報、またはこれらのデジタル情報の特徴的なトラックを記録することから発生する統合ソーシャルメディアソースも活用し、所定のアイテムレベルのシリアル番号または識別子を検証/拒否する能力を指す。
【0063】
前記方法は、関連データのハッシュチェーンを介して秘密鍵および/または公開鍵トークンを使用してアイテムの履歴および識別性を検査するステップをさらに含む。
【0064】
本文書に引用または記載されている各特許、特許出願、および公報の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0065】
当業者は、本発明の好ましい実施形態に対して多数の変更および修正を行うことができ、このような変更および修正は、本発明の思想から逸脱することなく行うことができることを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の思想および範囲内にあるすべての同等の変形を含むことを意図している。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上の材料を物品または物品にプリンタを用いて貼付けられたタグまたはラベルに適用して、前記物品の固有の識別子として機能し一つ以上のエントロピー的に構成された別個の物理的特徴(アイデントロピー)を作成または生成するステップを含み、
前記アイデントロピーは前記一つ以上の材料の適用時に自然に発生し、前記一つ以上のアイデントロピーは、発光または燐光可能なスキャッターパターンまたはスプラッターパターンを含み、さらに、
適用された一つ以上のエントロピー的に構成された別個の物理的特徴(アイデントロピー)の前記発光または燐光を、デバイスに設置されたアプリケーションを使用してスキャンするステップと、
前記物品を認証するために、前記デバイスに設置された前記アプリケーションを用いて、前記スキャンされた一つ以上のエントロピー的に構成された別個の物理的特徴を、データベース、メモリまたは分散型台帳の一つに格納された一つまたは複数の対応する参照と前記アイデントロピーと前記物品に貼付けられた前記タグまたは前記ラベルのRFIDインレイの周波数の両方の認識の組み合わせに基づいて比較するステップとを含む、物品の認証方法。
【請求項2】
前記物品が商業商品である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記商業商品は、高級品およびアパレル、アクセサリー、音楽、ソフトウェア、医薬品および医療装置、タバコ製品、大麻製品、ワインおよびスピリッツ、消費財、おもちゃ、新鮮な農産物、および電子機器からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記一つ以上の材料は、インク、染料、顔料、接着剤、紙、フィルム、半導体チップ、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アイデントロピーが光学的に画像化される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アイデントロピーは、パーソナルデバイスに取付けられたマクロレンズを使用して画像化される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記パーソナルデバイスは、スマートフォン、タブレット、または他のハンドヘルドデバイスからなる群より選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アイデントロピーは、倉庫、飛行機、ボート、列車、トラック、輸送コンテナ、または小売店に設置されたデバイスを使用して画像化される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記アイデントロピーが吸光パターンである、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記アイデントロピーが光学的に画像化される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アイデントロピーは、パーソナルデバイスに取付けられたマクロレンズを使用して画像化される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記パーソナルデバイスは、スマートフォン、タブレット、または他のハンドヘルドデバイスからなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アイデントロピーは、倉庫、飛行機、ボート、列車、トラック、輸送コンテナ、または小売店に設置されたデバイスを使用して画像化される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
ランダムパターンが光学的に画像化される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ランダムパターンは、パーソナルデバイスに取付けられた顕微鏡を使用して画像化される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記パーソナルデバイスは、スマートフォン、タブレット、または他のハンドヘルドデバイスからなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アイデントロピーは、倉庫、飛行機、ボート、列車、トラック、輸送コンテナ、または小売店に設置されたデバイスを使用して画像化される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
参照画像がデータベースに格納される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記データベースがローカルでホストされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記データベースがクラウドベースである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
参照画像が分散型台帳に格納される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記分散型台帳がブロックチェーンである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記画像化および格納は、ロールツーロール(巻き取りおよび/または巻き戻しの間)、枚葉モードまたは静的モードで行われる、請求項5または14に記載の方法。
【請求項24】
一つ以上のさらなる偽造防止手段、追跡手段、改ざん防止ラベリングシステム、またはこれらの組み合わせを組み込んで複合システムを形成するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
一つ以上の追跡手段をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記一つ以上の追跡手段または偽造防止手段は、シリアル化を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記一つ以上の追跡手段または偽造防止手段は、トポグラフィーを含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記一つ以上の追跡手段または偽造防止手段は、繊維パターンを含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【外国語明細書】