(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096864
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ヘルスケア管理方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20240709BHJP
G16H 50/00 20180101ALI20240709BHJP
【FI】
G01N33/68
G16H50/00
【審査請求】有
【請求項の数】34
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024064483
(22)【出願日】2024-04-12
(62)【分割の表示】P 2020530228の分割
【原出願日】2019-07-10
(31)【優先権主張番号】P 2018131293
(32)【優先日】2018-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】516089522
【氏名又は名称】株式会社PROVIGATE
(74)【代理人】
【識別番号】100174252
【弁理士】
【氏名又は名称】赤津 豪
(72)【発明者】
【氏名】関水 康伸
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 成史
(72)【発明者】
【氏名】片山憲和
(57)【要約】 (修正有)
【課題】血糖値に関連するヘルスケア管理方法/ヘルスケア情報提供方法/糖尿病リスク管理方法/糖尿病患者の合併症対策方法などを提供する。
【解決手段】ヘルスケア管理方法であって、被検者の体液中のグリコアルブミン濃度とアルブミン濃度とを含む第一データを取得することと、第一データに基づいてGA値に関連する出力情報を生成することと、生成された出力情報をユーザに提供すること、を備える方法が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルスケア管理方法であって、
被検者の体液中のグリコアルブミン濃度とアルブミン濃度とを含む第一データを取得することと、
前記第一データに基づいてGA値に関連する出力情報を生成することと、
前記生成された出力情報をユーザに提供すること、
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はヘルスケア管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血糖値のコントロール状態を示す指標として複数のマーカが用いられている。例えば病院では、糖尿病患者に対してグリコヘモグロビン(HbA1c)が測定されている。グリコヘモグロビン(HbA1c)値は、赤血球のヘモグロビンの糖化割合を示す指標である。糖尿病患者の通院間隔は、通常1~3か月である。赤血球の半減期が約36日であることから、このマーカは、1~2か月の期間の血糖値の指標である。HbA1c値は、糖尿病患者では通院毎の1~3か月に1回測定、健康な人でも健康診断などで1年に1回測定されている。次に、血糖コントロール指標であるグリコアルブミン(GA)は、血中のアルブミンの糖化度を示すマーカである。アルブミンは半減期が約17日であり、2週間程度の血糖値の状態を示す。その他、1,5-アンヒドロ-D-グルシトール(1,5-AG)は、数日の血糖値の状態を示すマーカである。
【発明の概要】
【0003】
本開示では、血糖値に関連するヘルスケア管理方法/ヘルスケア情報提供方法/糖尿病リスク管理方法/糖尿病患者の合併症対策方法などが提供される。更なる実施形態では、被検者の体液(涙液、唾液、血液など)中のグリコアルブミン濃度とアルブミン濃度とを含む第一データを取得してもよい。更なる実施形態では、前記第一データに基づいてGA値に関連する出力情報を生成してもよい。更なるの実施形態では、前記生成された出力情報をユーザに提供してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図3】本開示の一実施形態に係るヘルス管理などの方法のフローチャート
【
図4】本開示の一実施形態に係るヘルス管理などの方法のフローチャート
【
図5】1週間毎の75%タイル血糖値と血液GA値の推移を示す図
【
図6】1週間毎の90%タイル血糖値と血液GA値の推移を示す図
【
図7】1週間毎の血糖値の中央値と血液GA値の推移を示す図
【
図8】被検者ごとにおける1週間毎の75%タイル血糖値と血液GA値の関係を示す図
【
図9】1週間毎の75%タイル血糖値と血液GA値の相対値の関係を示す図
【
図12】被検者2名における1週間毎の75%タイル血糖値と血液GA値の関係を示す図
【
図13】尿酸値で補正した血液GA値と75%タイル血糖値の関係を示す図
【
図14】被検者2名における25%から75%タイル血糖値内の総面積と血液GA値の関係を示す図
【
図15】尿酸値で補正した血液GA値と25―75%タイル血糖値内の総面積の比較を示す図
【
図16】1週間毎の体重と血液GA値の推移を示す図
【
図17】1週間毎の体重と75%タイル血糖値との推移を示す図
【
図18】本開示の一実施形態に係るヘルス管理システムのブロック図
【
図19】本開示の一実施形態に係るGA測定器のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0005】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0006】
ある範囲の値が提供される場合、文脈上明らかに別段の指示がない限り、その範囲の上限と下限との単位の10分の1およびその表示された範囲内の介在値又は他の任意の記載された値は、本発明の範囲内に包含される。これらのより小さな範囲の上限および下限は独立してより小さな範囲に含まれてもよく、記載された範囲内の任意の具体的に除外された制限を条件として、本発明の範囲内にも含まれる。記載された範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかを除外した範囲も本発明に含まれる。当然のことながら、すべての数値指定の前に用語「約」があることを明示的に述べているわけではない。範囲を含む全ての数値表示、例えば長さ、体積、pH、温度、時間、濃度、および分子量は、最小桁の数値から上(+)または下(-)に変化する近似値である。「約」という用語はまた、「X+0.1」または「X-0.1」などの「X」のわずかな増分に加えて正確な値「X」も含む。本明細書に記載の試薬は単なる例示であり、その同等物は当技術分野において公知である。
【0007】
以下の説明では、本発明のより完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細が述べられている。しかしながら、本発明がこれらの具体的な詳細のうちの1つまたは複数で実施され得ることは当業者には明らかであろう。他の例では、本発明を曖昧にすることを避けるために、当業者によく知られている特徴および手順は説明されていない。
【0008】
本明細書で使用されるとき、用語「含む」及び「備える」は、構成および方法が列挙された要素を含むが他を除外しないことを意味することを意図している。これらの移行用語のそれぞれによって定義される実施形態は、本発明の範囲内にある。したがって、方法および組成物、構成は、追加の工程および構成要素を「含む」こと ができる。
【0009】
本開示は、非限定的に、GA値又は血糖値に関連するヘルスケア管理、ヘルスケア情報提供、糖尿病リスク管理、糖尿病患者の合併症対策、糖尿病の診断などの方法、それらを行うプログラム、プログラムを格納する記憶媒体、それらに関するデータ構造を提供する。
【0010】
本開示は、非限定的に以下を含む:
GA値に基づく、糖尿病の診断方法。
糖尿病診断に使用される、涙液、唾液、血液などの体液中GA値を含む第一データ。
糖尿病の診断のための、体液中GA値を含む第一データの使用。
糖尿病の診断には、血糖値とHbA1c、糖尿病型、症状、糖尿病網膜症の状態などの糖尿病の症状、反復検査の内容、医師のカルテの内容などの第二データを参照して、総合的な判断をしてもよい。
【0011】
アルブミンは、主に肝臓で産生され、血液を介して全身に供給される。そのアルブミンは、腺から他の体液として分泌される。アルブミンは、例えば、血液から涙腺や唾液腺を介して分泌され、涙液や唾液中にも存在する。
【0012】
発明者らは、体液中のアルブミンの糖化度を表すGA値、すなわちグリコアルブミン濃度/アルブミン濃度は、血液中のGA値と相関していることを見出した。以下に見出した、涙液と血液とのGA値における相関と唾液と血液とのGA値における相関の相関性を示す。
【0013】
実施例1
<涙液GA値と血液GA値の比較>
涙液のGA値(涙液GA値)と血液のGA値(血液GA値)を測定した。サンプル溶液として、インフォームドコンセントを得た41名の糖尿病ボランティアから採取された涙液と血液を用いた。血液中のGA値は、市販のキット、ルシカ(登録商標)GAーL(旭化成ファーマ株式会社)を使用し、酵素法により測定した。涙液に関しては、まず採取した涙液を還元・アルキル化処理した後、それを37℃で一晩トリプシン消化処理した。処理後に、涙液中のGA値は、液体クロマトグラフィー質量分析法(LCーMS/MS)により測定した。
図1に、血液GA値と涙液GA値のプロットを示す。一つの点が、各サンプルの値を示している。
【0014】
発明者らは、血液のGA値の求め方として、酵素法とLCーMS/MS分析法とを比較し、互いに非常に強い正の相関があることを確認した(不図示)。したがって、
図1と
図2のプロットには、酵素法による測定値に基づいて求めた血液GA値と、LCーMS/MS分析法による測定値に基づいて求めた、涙液GA値と唾液GA値とをそれぞれ用いている。
【0015】
図1に、血液GA値(X軸)と涙液GA値(Y軸)との関係を表すグラフを示す。相関は、相関係数r=0.891、p<0.01となっていることが分かった。すなわち、涙液GA値と血液GA値との間には、非常に強い正の相関関係(相関性)があることを発明者らは突き止めた。この結果は、涙液GA値が、血液GA値の代わりとして、1~2週間の平均血糖値を示すバイオマーカになりうることを示唆している。
【0016】
実施例2
<唾液GA値と血液GA値の比較>
唾液のGA値(涙液GA値)と血液のGA値(血液GA値)を測定した。サンプル溶液として、実施例1と同じインフォームドコンセントを得た41名の糖尿病ボランティアから採取された涙液と血液を用いた。血液中のGA値は、市販のキット、ルシカGAーL(旭化成ファーマ株式会社)を使用し、酵素法により測定した。唾液に関しては、まず採取した唾液を還元・アルキル化処理した後、それを37℃で一晩トリプシン消化処理した。処理後に、唾液中のGA値は、液体クロマトグラフィー質量分析法(LCーMS/MS)により測定した。
図2に、血液GA値と唾液GA値のプロットを示す。一つの点が、各サンプルの値を示している。
【0017】
図2に、血液GA値(X軸)と唾液GA値(Y軸)との関係を表すグラフを示す。相関は、相関係数r=0.927、p<0.01となっていることが分かった。すなわち、唾液GA値と血液GA値との間には、非常に強い正の相関関係があることを発明者らは突き止めた。この結果は、唾液GA値が、血液GA値の代わりとして、1~2週間の平均血糖値を示すバイオマーカになりうることを示唆している。
【0018】
本開示で血液GA値をもとに示した実施形態、態様、実施例、数値などはすべて、体液(例えば涙液、涙を含む)について得られたGA値に置き換えることができる。本開示で血液GA値とのみ記載されていても、体液(例えば涙液、涙を含む)GA値に読み替えた実施形態等も当然本開示に含まれる。
【0019】
図3に示す本開示の一実施形態によれば、ヘルスケア管理方法は、
ステップS101において、被検者の体液中のグリコアルブミン濃度を含む第一データを取得又は収集する。ステップにS102において、第一データに基づいてGA値に関連する出力情報を生成する。ステップS103において、生成された出力情報をユーザに提供する。
【0020】
「被検者」は、ヒトであってもよく、陸生動物であってもよい。陸生動物は、哺乳類であてもよい。陸生動物は、愛玩動物であってもよく、家畜であってもよく、飼育動物であってもよく、野生動物であってもよい。被検者は、1体(一人、一匹、一頭など)の被検者であってもよく、複数の被検者であってもよく、少なくとも1体の被検者であってもよく、1体又は複数の被検者であってもよい。
【0021】
被検試料は、溶液であってもよい。溶液は、体液でもよく、体液由来の溶液でもよく、体液の希釈液であってもよい。溶液は、体液でない(非体液由来)溶液でもよく、体液又は体液由来の溶液と非体液由来の溶液の混合液であってもよい。溶液は、サンプル測定に使用される溶液であってもよく、校正用の測定に使用される溶液であってもよい。例えば、溶液は、標準液や校正液であってもよい。
【0022】
「体液」は、血液、血清、血漿、リンパ液であってもよく、組織間液、細胞間液、間質液などの組織液であってもよく、体腔液、漿膜腔液、胸水、腹水、心嚢液、脳脊髄液(髄液)、関節液(滑液)、眼房水(房水)であってもよい。体液は、唾液、胃液、胆汁、膵液、腸液などの消化液であってもよく、汗、涙、鼻水、尿、精液、膣液、羊水、乳汁であってもよい。体液は、動物の体液であってもよく、ヒトの体液であってもよい。「体液」は、動物由来のタンパク質を含む食品中の液体(牛乳、乳製品など)であってもよい。体液は、植物の体液、植物生体液、又は植物由来の液体であってもよい。例えば、体液は植物の果汁、密、樹液であってもよい。「体液」は溶液であってもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、溶液は生理緩衝液を含んでいてもよい。溶液は、測定対象物を含んでいてもよい。緩衝液は、いわゆるグッドバッファと呼ばれる緩衝液であってもよい。緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)やN-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸緩衝液(TES)を含んでいてもよい。緩衝液は、2-モルホリノエタンスルホン酸(MES)、3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、2-ヒドロキシ-3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPSO)、ピペラジン-1,4-ビス(2-ヒドロキシ-3-プロパンスルホン酸)二水和物(POPSO)、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、ピペラジン―1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)一ナトリウム(PIPES)、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、コラミン塩酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)―2-アミノエタンスルホン酸(BES)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸(TES)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]エタンスルホン酸ナトリウム(HEPES-Na)、アセトアミドグリシン、トリシン、グリシンアミド、ビシン、ビス(2-ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis-Tris)、N-シクロヘキシル-3-アミノプロパンスルホン酸(CAPS)、N-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ―3-アミノプロパンスルホン酸(CAPSO)、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸(CHES)、3-[N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]―2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸(HEPPS)、2-ヒドロキシ-3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル] プロパンスルホン酸一水和物(HEPPSO)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、及び2-ヒドロキシ-N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPSO)のいずれか一つ又は混合液を含んでいてもよい。
【0024】
「グリコアルブミン濃度」又は「アルブミン濃度」を取得又は収集することは、センサの出力、「グリコアルブミン濃度」又は「アルブミン濃度」自体、あるいはそれらに関連する値等を取得又は収集することであってもよい。「グリコアルブミン濃度」又は「アルブミン濃度」を収集することは、それぞれの濃度を測定することを含んでいてもよい。取得又は収集することは、被検者の体液中の測定により、アルブミン濃度とグリコアルブミン濃度を得ることを含んでいてもよい。取得又は収集することは、アルブミン濃度とグリコアルブミン濃度とを含む第一データを取得又は収集することを含んでいてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、取得又は収集することは、アルブミン濃度とグリコアルブミン濃度の測定の時間情報又は測定の対象である体液(涙液、唾液、血液など)を採取した時間あるいは関連する時間情報を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、取得又は収集することは、アルブミン濃度とグリコアルブミン濃度とその測定の時間情報を含む第一データを収集することを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、測定の対象である被検者の体液の分泌、採取又は測定に関する時間情報として取得してもよい。いくつかの実施形態では、時間情報として、測定時の時刻をセンサ又は測定器で記録してもよい。採取から測定まで時間がある場合などでは、採取の時刻、測定の時刻又は両方の時刻を時間情報として取得してもよい。
【0026】
「取得又は収集すること」は、被検者から体液を採取することを含んでもよい。一態様では、被検者から涙液や唾液を採取してもよい。一態様では、被検者から血液を採取してもよい。いくつかの実施形態では、検体を、非侵襲的に採取してもよい。いくつかの実施形態では、検体を侵襲的に採取してもよい。
【0027】
検体としての涙液は、被検者の目の表面、瞼、角膜、結膜あるいはそれらの近傍から採取されてもよい。涙液は、涙点、涙小管、涙嚢などの涙道から採取されてもよく、鼻から採取されてもよい。検体としての唾液は、被検者の唾や涎から採取されてもよく、口腔内から採取されてもよい。血液は、通常の採血法で採取してもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、被検者から体液が採取されて実質的に直ちに測定が行われてもよい。例えば、センサ等を目等に近接し瞬時に測定を行ってもよい。いくつかの実施形態では、収容器又はセンサに一旦採取し、その後測定を行ってもよい。いくつかの実施形態では、採取後ある時間経過後に測定が行われてもよい。いくつかの実施形態では、採取後測定までの間、体液は保存されてもよい。保存形式は、冷凍保存であってもよい。例えば、複数回に亘り体液が採取され、それらをある期間保存し、まとめて測定が行われてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、実質的に同一時に採取された、又は実質的に同一時に分泌又は採取された体液(涙液、唾液、血液など)について、アルブミン濃度とグリコアルブミン濃度の測定が行われてもよい。いくつかの実施形態では、測定は検体の採取と同時又は別のタイミングで行われてもよい。いくつかの実施形態では、同測定は、同一センサ又は複数のセンサを用いて行われてもよい。アルブミン濃度とグリコアルブミン濃度とは、別のタイミングで測定されてもよく、別のタイミングで採取され又は分泌された体液(涙液、又は唾液、血液など)で測定されてもよく、あるいは、別の体液中で測定されてもよい。
【0030】
「グリコアルブミン濃度」又は「アルブミン濃度」は、採取した又は対象とする検体(涙液又は唾液)中のグリコアルブミン又はアルブミンそれぞれの濃度である。センサを用いる場合には、「グリコアルブミン濃度」又は「アルブミン濃度」と対応しあるいは関連性のある出力(電流、電圧、光信号など)を得て、その出力から関連性に基づいて換算して各濃度を求めてもよい。取得又は収集するデータは、直接「グリコアルブミン濃度」又は「アルブミン濃度」であってもよく、それらに対応するセンサの出力値であってもよく、あるいはその換算中の途中の値、つまりセンサの出力に基づいて「グリコアルブミン濃度」又は「アルブミン濃度」に対応する何かしらの値、信号、情報、データであってもよい。
【0031】
GA値の測定方法として、酵素法、高速液体クロマトグラフィー法、質量分析法、同位体希釈質量分析法などがある。臨床検査法としては、主に酵素法が用いられている。酵素法は、グリコアルブミンをプロテアーゼでアミノ酸に分解し、そのうち糖化したアミノ酸のみに反応するケトアミンオキシダーゼを作用させ、その作用で発生するH2O2を測定してグリコアルブミン濃度を測定する。アルブミンは、ブロモクレゾールパープル(BCP)試薬に反応させて、青色結合体の吸光度変化からアルブミン濃度を測定してもよい。GA値は、[グリコアルブミン濃度/アルブミン濃度]×100(%)として計算することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、固定化されたプロテアーゼと固定化されたケトアミンオキシダーゼと過酸化水素検出部とを備える糖化タンパク質センサを用いて、グリコアルブミンの濃度を測定してもよい。
【0033】
例えばこのようなセンサを用いることで、涙液又は唾液中のグリコアルブミンの濃度を非侵襲的に測定することができる。したがって、被検者に対して肉体的又は精神的なストレスを掛けることなく又はそのようなストレスの被検者への負荷を最小限に抑えて、GA値を測定することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、体液(涙液、又は唾液、血液など)のアルブミン濃度とグリコアルブミン濃度を取得又は収集することは、複数回、体液中のアルブミン濃度とグリコアルブミン濃度を取得又は収集することを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、取得又は収集することは、時系列に複数の体液中のアルブミン濃度とグリコアルブミン濃度を収集することを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、グリコアルブミン濃度の測定に該当する時刻又は時間情報を有するデータ列を生成してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、複数回体液中のアルブミン濃度とグリコアルブミン濃度を取得又は収集することとは、2回涙中のグリコアルブミン量を収集することでもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、複数回体液中のアルブミン濃度とグリコアルブミン濃度を取得又は収集することとは、3回以上涙中のアルブミン濃度とグリコアルブミン濃度を収集することでもよい。その際、ある一定又は変動する時間間隔を置いて3回以上涙中のグリコアルブミン量を収集することでもよい。複数のアルブミン濃度とグリコアルブミン濃度を収集する際に、測定間の間隔あるいは測定対象となる涙を採取した時点の間隔は、一定でもよく変動してもよい。アルブミン濃度とグリコアルブミン濃度の取得又は収集の時間間隔は、毎回変動してもよく、数回間隔があった場合にその一部だけが変動してもよい。
【0037】
検体の取得、収集又は測定の頻度は、実質的に1回/月、2回/月又はそれらの値より高くてもよい。同頻度は、20回/月、10回/月、8回/月、1回/月などの値以下でも、その値より低くてもよい。同頻度は、実質的に2回/月、3回/月、4回/月であってもよく、0.5回/週、1回/週であってもよい。
【0038】
取得、収集又は測定の頻度は、いくつかの実施形態では実質的に17日に1回でもよく、またいくつかの実施形態では2週間に1回程度であってもよい。
【0039】
取得、収集又は測定の頻度の値は、収集間隔に変換して用いてもよい。
【0040】
取得や収集(以下、収集という。)の期間、収集頻度やその他収集特性の計算の対象となる期間は、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、1か月、2か月、3か月などであってもよい。
【0041】
収集又は測定は、平均7日、平均10日、平均14日あるいはそれら以上の間隔で測定を行ってもよい。収集又は測定は、平均21日、平均24日、平均28日あるいはそれら以下の間隔で測定を行ってもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、第一データは、コンピュータ、コンピュータシステムにより、収集されてもよい。いくつかの実施形態では、収集された位置データは、コンピュータ、コンピュータシステム、メモリ又は記憶媒体に入力されてもよく、さらに保存又は格納されてもよい。
【0043】
出力情報は、第一データに基づいて生成される。いくつかの実施形態では、出力情報は、コンピュータ又はコンピュータシステムにより、第一データに基づいて生成されてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、出力情報はGA値に関連している。いくつかの実施形態では、出力情報は、GA値であってもよい。一般にGA値は、グリコアルブミン濃度(mg/dL)/アルブミン濃度(mg/dL)として計算することができる。
GA値(%)=グリコアルブミン(mg/dL)/アルブミン濃度(mg/dL)×100
【0045】
涙液又は唾液中のグリコアルブミンの濃度から得られたGA値は、涙液GA値又は唾液GA値と呼んでもよい。非侵襲的に採取された体液中のグリコアルブミンの濃度から得られたGA値は、非侵襲的GA値と呼んでもよい。血液中のグリコアルブミンの濃度から得られたGA値は、血液GA値と呼んでもよい。侵襲的に採取された体液中のグリコアルブミンの濃度から得られたGA値は、侵襲的GA値と呼んでもよい。
【0046】
生成され、ユーザに提供される「出力情報」は、各測定時のGA値であってもよく、直近のGA値であってもよく、過去のGA値のトレンドであってもよく、一つ又は複数のGA値であってもよい。
【0047】
さらには、GA値に関連した出力情報として、非限定的に以下のものが挙げられる。
・前回値との差=前回GA値-今回GA値
・換算HbA1c値(%)=GA値×0.245+1.73(他の換算式でもよい)
・推定平均血糖値(HbA1c換算:過去36日間平均)=28.7×換算HbA1c-46.7
・推定平均血糖値(GA換算:過去17日間平均)は、GA値と平均血糖値のデータテーブル
【0048】
GA値の半減期は17日と言われている。実際の検体の採取又は測定の間隔が正確に半減期でない場合がある。いくつかの実施形態では、測定間隔と半減期とのずれを考慮し又は補正して、平均血糖値を計算してもよい。いくつかの実施形態では、平均血糖値をその減衰曲線(負の指数曲線)を用いて、測定間隔から半減期に対応する平均血糖値を求めてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、n-1回の測定からn回の測定までの期間での平均GA値又は血糖値を換算して求めてもよい。いくつかの実施形態では、連続する2回の測定から求めたGA値から、該当する期間の平均GA値又は血糖値を換算して求めてもよい。いくつかの実施形態では、複数回の測定から得られたGA値から該当する期間の平均GA値又は血糖値を求めてもよい。いくつかの実施形態では、平均GA値又は血糖値は、複数回の測定から得られたGA値の和を当該回数で割ることで求めてもよい。いくつかの実施形態では、平均血糖値は、各回で得られた当該比率について重み付けを施した関数として求めてもよく、その関数は一例として、重み付けは、より新しい測定回で得られた当該比率についてより大きく設定された関数として求めてもよい。
【0050】
出力情報を生成することは、第一データ以外のデータ(第二データ、二次データ)を用いてもよい。第二データは、非被検者に関するデータを含む。いくつかの実施形態では、第二データは、個々の非被検者に関するデータ(個別特有データ)の集合であってもよい。いくつかの実施形態では、第二データは、複数の被検者に関するデータから抽出され又は加工されたデータであってもよい。いくつかの実施形態では、第二データは被検者の特定の集団に関する傾向、性質、特性などを含むデータ(集団特有データ)であってもよい。
【0051】
第二データは、例示的にしかし非限定的に、個人データ、健康関連データ、生活習慣データ、集団データなどのデータ群に分類されてもよい。以下、例示的に、第二データのデータ群と各第二データ項目を挙げる:
・個人データ:個人ID(マイナンバー)、年齢、性別、配偶者有無、子供人数、住所、住居タイプ、自動車有無、オートバイ有無、自転車有無、職業、職種、職位、年収、ゲノム情報、信仰、健康保険番号、指紋、声紋、顔認識情報、虹彩認識情報、時間変化する個人の考え方・感情・欲求・要望、スマートデバイスへの入力や使用情報、など
・集団データ:人種、国籍、地方、地域エリア、地域の季節変動ファクター(季節での温度湿度変化など)、休暇期間(年末年始、春休み、夏休み、などを含む)、通勤手段、宗教、など
・健康関連データ:体重、身長、体脂肪、最大血圧、最小血圧、心拍数、歩数、活動量、血中酸素飽和度、体温、室温、日射量、UV照射量、連続血糖値測定(Continuous Glucose Monitoring(CGM)、Flash Glucose Monioring(FGM))装置から得られる平均血糖値、標準偏差やAGP、健康診断データ(HbAlc値を含んでいてもよい。)、病歴、処方薬、投薬情報、医療機関からのデータ、食物その他のアレルギー、家族親戚の病歴や健康関連データ、など
・生活習慣データ:食事習慣(肉食好み、ベジタリアンなどを含む)、嗜好品、食事メニュー、食事写真、間食写真、運動習慣、起床時間、就寝時間、睡眠時間、睡眠深度、睡眠点数、積極的又は消極的休息時間、食事の速さ、咀嚼・回数・速度・特性、食物アレルギー、宗教信仰関連の食事規則(ラマダンなどを含む)、運動の有無、運動種目、運動時間、運動頻度、運動消費カロリー、趣味、など
【0052】
第二データの項目、データ群の規定、各第二データ項目のデータ群への振り分け方などは、上記に限られない。いくつかの実施形態では、コンピュータ等あるいは人工知能等を用いて、既存の第二データ内で発見された特性等によりデータ群を作成してもよく、新たなデータ群に既存第二データを分類してもよい。いくつかの実施形態では、既存の第二データ内で相関性や関連性についての情報又はデータを、第二データとして分類し、保存し又は利用してもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、第二データは時間関連の情報を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、第二データは、食事の際の食べる順番、運動と食事のタイミングに関する情報を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、第二データは、薬の服用のタイミングを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、インスリンの即効性・遅効性などの効能に応じて、インスリンの服用のタイミングや、更には食事や運動のタイミングや時間関連の情報を含んでいてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、第二データは、被検者、採取者又はユーザから取得してもよい。いくつかの実施形態では、それ以外の個人、組織等から取得してもよい。いくつかの実施形態では、第二データ提供者に対してオプトイン(個人データの利用許諾)の有無の意思表示を求めてもよい。いくつかの実施形態では、第二データは、アプリケーションを用いて被検者、採取者又はユーザあるいはこれらに関連する者から取得収集してもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、被検者、ユーザその他の個人、企業組織体などに対して、第二データ又は第二データに関する情報の提供を促し、問合せ、質問等してもよい。
【0056】
図4に、いくつかの実施形態における、第一データに加え第二データをも用いて、GA値関する出力情報を生成し、提供する方法を示す。いくつかの実施形態では、これらのステップはコンピュータシステムを用いて行われる。
【0057】
まず、ステップS201において、採取者に被検者の体液を採取し測定する旨を報知する。
【0058】
次に、ステップS202において、採取された体液中のGA値に関する第一データを取得又は収集する。例えば、体液中のグリコアルブミン(GA)の濃度を測定し、その濃度を第一データとして収集する。いくつかの実施形態では、同じ体液中のアルブミンの濃度を測定してもよい。グリコアルブミンの濃度と、アルブミンの濃度の比からGA値を求めることができる。
【0059】
ステップS203において、上記収集された第一データと第二データとを参照し、これらのデータについて解析を行う。いくつかの実施形態では、第一データと第二データに加えそれ以外のデータを用いてもよい。
【0060】
ステップS207において、被検者から同被検者に関する第二データを取得してもよい。すなわち、被検者に関するデータを第二データとして取り扱ってもよい。あるいは、第二データは、ステップS208において、被検者以外、すなわち非被検者から取得してもよい。
【0061】
続いて、ステップS204において、ステップS203における解析から、第一データと第二データとの間の関連性又は相関性を探索する。いくつかの実施形態では、何かしらの関連性が見つかればそれを第三データ(三次データ)として生成し保存してもよい。いくつかの実施形態では、明らかな関連性が見つからなくても、関連性の可能性を示唆する事象が発見されれば、あるいは、全く関連性がなくても、何かしらのデータが生成されれば、それをその他データとして保存してもよい。これらのデータは、有用である場合あるいはルーティンとして、ステップS203に戻して、更なる解析を繰り返し行うこともできる。
【0062】
次にステップS205において、ユーザに提供すべき出力情報を生成する。
【0063】
そして、ステップS206において、ユーザに出力情報を提供する。ユーザが採取者である場合には、採取者に提供する。採取者への出力情報の提供は、採取者への測定すべき旨の報知と同時に行われてもよく、報知のタイミングと関連性のある時刻に行われてもよく、報知と関係のないタイミングで行われてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、GA測定時の又はGA測定と関連する血糖値のコントロール状態の情報を第二データに含め、機械学習や深層学習を含む人工知能を用いた解析を行ってもよい。いくつかの実施形態では、解析により、将来発生する糖尿病またはその合併症、その他疾患の発症リスクの予測を行ってもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、第二データの内、被検者の健康データを用いて、測定で求められたGA値が偽高値や偽低値であるかの誤診断チェックや判定を行ってもよい。いくつかの実施形態では、これらの誤診断チェックや判定に基づいて、ユーザに対して注意喚起情報の提供などを行ってもよい。以下、いくつかの例について説明する。
【0066】
・GA偽高値チェック
いくつかの実施形態では、第二データに肝硬変、甲状腺機能低下、甲状腺ホルモン合成抑制剤の服用の情報が含まれている場合に、取得されたGA値が偽高値である可能性がある旨の注意を出力情報として生成してもよい。測定により得られたGA値が、疾患や治療薬投与又は服用の影響で真値に対して高くなる場合がある。例えば、肝硬変や甲状腺機能低下の場合や甲状腺ホルモン合成抑制薬(メルカゾール(登録商標)など)を服用している場合などには、蛋白の合成が遅くなる。すなわち、アルブミンの生成や代謝が遅延し、アルブミンの半減期が伸長する。その結果、GA値が高くなる。
【0067】
・GA偽低値チェック
いくつかの実施形態では、第二データにネフローゼ症候群、蛋白漏出性胃腸症、甲状腺機能亢進症、甲状腺ホルモン治療薬の情報が含まれている場合に、取得されたGA値が偽低値である可能性がある旨の注意を出力情報として生成してもよい。測定により得られたGA値が、疾患や治療薬投与又は服用の影響で真値に対して低くなる場合がある。例えば、ネフローゼ症候群、蛋白漏出性胃腸症などの場合が挙げられる。このような場合に、蛋白が体外へ排出されると、アルブミン不足を補うために生合成が亢進し、その結果アルブミンの半減期が短縮する。すなわち、GA値の分母が高くなり、GA値が低くなる。また例えば、甲状腺機能亢進症の場合や、甲状腺ホルモン(チラージンS(登録商標)など)を服用している場合には、代謝が上がるため、アルブミンの半減期が短縮する。その結果、GA値が低くなる。
【0068】
・GA換算HbA1c値のチェック
いくつかの実施形態では、第二データに医療機関等での実測HbA1c値が含まれている場合には、直近の第一データのGA換算HbA1c値と比較し、
実測HbA1c値≧GA換算HbA1c値の時は、平均血糖値が改善していることを出力情報として生成してもよい。
いくつかの実施形態では、第二データに医療機関等での実測HbA1c値が含まれている場合には、直近の第一データのGA換算HbA1c値と比較し、
実測HbA1c値<GA換算HbA1c値の時は、平均血糖値が悪化していることを出力情報として生成してもよい。
【0069】
・GA値と持続・連続血糖値測定のチェック、相関性
いくつかの実施形態では、第二データに含まれる持続血糖測定装置のデータと測定GA値とを比較して、それらの間の相関性を生成してもよい。いくつかの実施形態では、持続血糖測定は、数日間持続的に測定された血液又は間質液中のグルコース濃度(グルコース値)から血糖値トレンドを推定する方法を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、第二データとして、持続血糖測定に基づくAmbulatory Glucose Profile(AGP))を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、測定GA値とCGMによる平均グルコース値との間の相関性又は換算式を求めてもよい。ある測定期間の日数分の測定により得られたCGMのデータは、0時から24時までの1日のプロファイルを、その日数分重ねわせた形でグラフ化されてもよい。いくつかの実施形態では、ある期間例えば2週間に亘って行われた持続グルコース測定から得られたグルコース値の変動データ又は統計値(平均値、変動幅、標準偏差(SD)など)を求めてよい。変動幅は、例えば1日のプロファイルとして重ねたデータにおいて、各時刻でのグルコース値の平均値(メディアンその他の中心を示す統計値又は数学的な値であってもよい。)からのずれの値であってもよい。変動幅は、各時刻でのグルコース値の平均値等からの最大値と最小値あるいはそれのいずれか、あるいは全変動の10~90%の値、25~75%の値(25~75%タイル)、あるいは標準偏差(SD)であってもよい。いくつかの実施形態では、直近で測定されたGA値、又は持続血糖測定の期間と関連した時点で測定されたGA値との関係を求めてよい。
【0070】
実施例3
<血糖値と血液GA値の比較>
血糖値と血液GA値の関係について検討した。インフォームドコンセントを得た4名の健常者ボランティアにフリースタイル リブレ(登録商標、アボットジャパン株式会社)を装着し、3か月間、間質液糖値を連続測定した。フリースタイル リブレは、約2週間ごとにあらたに装着しなおした。フリースタイル リブレでの測定値は、絶対値が真の値に対して上下に変動することが知られている。そこで、その際、測定装着期間中、ある程度の頻度でリブレの測定と同時に、グルテストアイ(登録商標、株式会社 三和化学研究所、株式会社アークレイファクトリー)を用いてSMBGによる血糖値の測定を行った。SMBGによる血糖値の測定をもとにリブレの示す間質液糖値を補正し、血糖値(CGM補正血糖値ともいう。)に換算した。また、1週間毎に採血を行い、血液GA値を測定した。
【0071】
連続モニタリングの期間中において、健常者ボランティアには、測定の3か月間4週間ごとに、通常の食生活、低血糖食、再び通常の食生活となるよう協力させ、CGM補正血糖値を収集した。
【0072】
図5に、ある1名の健常者ボランティアにおいて得られた、1週間毎の血液GA値とCGM補正血糖値の75%タイル値との推移をそれぞれ示す。血液GA値の推移と75%タイル血糖値の推移とは、かなり一致しており、両者の間には非常に強い正の相関関係があることが明らかとなった(相関係数r=0.749)。他の健常者ボランティアでも強い正の相関関係が確認された。
【0073】
図6に、1週間毎の血液GA値とCGM補正血糖値の90%タイル値の推移を示す。75%タイル血糖値の結果と同様に、血液GA値と90%タイル血糖値の3か月間の推移は、かなり一致しており、両者の間には非常に強い正の相関関係がみられた(相関係数r=0.786)。
【0074】
図7に、1週間毎の血液GA値とCGM補正血糖値の中央値の推移を示す。75%タイル血糖値や90%タイル血糖値の結果と同様に、血液GA値と血糖値の中央値の間には、非常に強い正の相関関係があることが明らかとなった(相関係数r=0.801)。
【0075】
以上の結果から分かるように、1週間単位における血糖値の推移は、CGMなどを用いた連続モニタリングをしなくとも、1週間毎の血液GA値から推測することが可能である。
【0076】
図8に、健常者ボラインティア4人(ID:001からID:004)について12週間にわたって得られたデータに基づき、1週間毎の血液GA値とCGM補正血糖値の75%タイル値のプロットを被検者ごとに示す。
【0077】
1週間毎の血液GA値と75%タイル値との関係は被検者ごとで異なることが分かった。いくつかの実施形態では、その血液GA値と75%タイル値の相関式の係数(例えば、1次関数で近似した場合、y=ax+bでのaとb、など)は被検者ごとで設定してもよい。いくつかの態様では、二次データに含まれる一部又はすべての情報を参照して、被検者ごとの設定を行ってもよい。
【0078】
図9に、健常者ボラインティア4人分について、被検者ごとの1週間毎の血液GA値とCGM補正血糖値の75%タイル値をそれぞれ12週間の平均値で割り、相対値に変換した(正規化した)プロットを示す。相関は、相関係数r=0.711、p<0.01となっていることが分かった。すなわち、相対化又は正規化することで、血液GA値の変動と75%タイル値の変動の間に非常に強い正の相関関係があることを発明者らは突き止めた。
【0079】
いくつかの実施形態では、ある期間(例えば1週間)でのGA値に基づいて、CGMでの75%タイル値又はそれに関連する値を推定又は計算してもよい。
【0080】
実施例4
<食後高血糖ピーク頻度値と血液GA値の比較>
実施例3と同様に、インフォームドコンセントを得た4名の健常者ボランティアから、3か月間にわたり、血液GA値とCGM補正血糖値を収集した。
【0081】
血液GA値と1日あたりにおける閾値以上の血糖値の回数とを1週間毎の推移で比較した。表1に、各健常者ボランティア(ID:0001からID:0004)から得られた血液GA値と、CGM補正血糖値が各閾値を超えた回数との相関係数を、閾値(単位mg/dL)ごとに示す。
【0082】
【表1】
1日あたりにおける閾値以上の血糖値の出現回数と血液GA値との推移を比較した際の相関係数を示す表
【0083】
ID:001の健常者ボランティアでは、血糖値110mg/dL以上では相関係数が0.481を超え、血糖値120mg/dL以上では0.628を超え、強い正の相関関係を示した。血糖値130mg/dL以上では相関係数が0.738を超え、更に強い正の相関関係を示した(表1)。
【0084】
ID:004の健常者ボランティアでは、血糖値80mg/dL以上の場合から、血糖値140mg/dL以上の場合まで相関では0.600を超え、強い正の相関関係を示した。一方、血糖値150mg/dL以上では相関係数が低下し、正の相関関係が弱いことを示唆している(表1)。
【0085】
このように、高血糖ピークの値と出現回数や頻度との関係は個人で異なり得る。いくつかの実施形態では、個人毎に、高血糖ピーク(非限定的に例えば食後高血糖ピーク)の血糖値範囲を測定により調べてもよく、それを適切に設定してもよい。いくつかの実施形態では、高血糖ピークの頻度とGA値との関係のデータを蓄積してもよい。一態様では、1週間より短い時間範囲、例えば3日間のデータから、1週間後のGA値を予測してもよい。いくつかの実施形態では、測定したGA値から高血糖(例えば食後高血糖ピーク)の頻度を予測してもよい。一態様では、それらをもとにヘルスフォーキャストを生成してもよく、食事、食生活、生活習慣に関するアドバイスを提供してもよい。上記に関連する解析は、AIを用いて行ってもよい。
【0086】
実施例5
<血糖値と血液GA値の比較3>
実施例3と同様に、インフォームドコンセントを得た4名の健常者ボランティアから、3か月間にわたり、血液GA値とCGM補正血糖値を収集した。
【0087】
表2に、各健常者ボランティア(ID:0001からID:0004)から得られた血液GA値と、CGM補正血糖値の1週間分、全データから算出したデータに基づき、各閾値を超えた部分の積算面積(単位[mg/dL]*時間)との間の相関係数を、各閾値ごとに示す。
【0088】
【表2】
1日あたりにおける閾値以上の血糖値の曲線下面積と血液GA値との推移を比較した際の相関係数を示す表
【0089】
ID:001の健常者ボランティアでは、相関係数は、血糖値50mg/dL以上では0.400を超え、血糖値110mg/dL以上ではほぼ0.500になり、血糖値120mg/dL以上では0.600を超えた。それ以上の閾値でも、強い正の相関関係が見られた。このように、血糖値の積算面積は、血液GA値との間で、どの閾値以上でも強い正の相関関係があることが明らかとなった(表2)。
【0090】
ID:004の健常者ボランティアでは、相関係数は、血糖値50mg/dL以上では0.750を超え、血糖値110mg/dL以上まで0.700を超えた。相関係数は、血糖値130mg/dL以上でも0.500を超えた。これらの閾値では、強い正の相関関係が見られた。一方、閾値が140mg/dL及びそれ以上の場合では、強い正の相関関係は見られなかった(表2)。
【0091】
このように、血液GA値と1日当たりの血糖値の積算面積との関係は個人で異なり得る。いくつかの実施形態では、個人毎に、高血糖ピーク(非限定的に例えば食後高血糖ピーク)の血糖値範囲を測定により調べてもよく、それを適切に設定してもよい。いくつかの実施形態では、積算面積とGA値との関係のデータを蓄積してもよい。一態様では、1週間より短い時間範囲、例えば3日間の積算面積に関連するデータから、1週間後のGA値を予測してもよい。いくつかの実施形態では、測定したGA値から血糖値の積算面積を予測してもよい。一態様では、それらをもとにヘルスフォーキャストを生成してもよく、食事、食生活、生活習慣に関するアドバイスを提供してもよい。上記に関連する解析は、AIを用いて行ってもよい。
【0092】
実施例6
<血糖値AGPと血液GA値の比較>
実施例3と同様に、インフォームドコンセントを得た4名の健常者ボランティアから、3か月間にわたり、血液GA値とCGM補正血糖値を収集した。
【0093】
1週間毎の連続モニタリングした血糖値を用いてAGPを作成した。
図10に通常食生活期間のAGPの代表例を、
図11に低糖質食生活期間のAGPの代表例をそれぞれ示す。グラフ中の2つの各ラインで挟まれた内側の面積(曲線間面積)を計算した。表3に、この面積と血液GA値との相関係数を示す。1週間毎の各%タイル内の面積の推移とは、血液GA値の推移と多くの箇所でよく一致していることが分かった。非限定的に例えば、特に、25%タイルと75%タイル内の面積や10%タイルと75%タイル内の面積、2%タイルと75%タイル内の面積などは、健常者ボランティアの4人全員とも強い正の相関関係があることが明らかになった。
【0094】
【表3】
AGPを基に各%タイル血糖値の曲線間面積と血液GA値との推移を比較した際の相関係数を示す表
【0095】
一方で、2%タイルと10%タイル内の面積や2%タイルと25%タイル内の面積、90%タイルと98%タイル内の面積など、ある箇所では、強い正の相関関係が見られなかった。
【0096】
AGPを作成した際にできる各%タイル内の面積の推移は、1週間毎の血液GA値から推測することができることを示唆している。いくつかの実施形態では、血液GAから、その血液採取までの前後いずれか又は両方のAGPを作成した際にできる各%タイル内の面積を推測又は計算してもよい。いくつかの態様では、個人毎に採用すべき%タイル又はその範囲を設定してもよい。
【0097】
実施例7
<尿酸値で補正した血液GA値と血糖値の比較>
実施例3と同様に、インフォームドコンセントを得た4名の健常者ボランティアから、3か月間にわたり、血液GA値とCGM補正血糖値を収集した。
【0098】
いくつかの実施形態では、GA値と血糖値の相関性は、補正により高めることができる。一態様として、尿酸値を用いて血液GA値を補正することにより、GA値と血糖値の相関性を高めることができる。
【0099】
<例:尿酸値で補正した血液GA値とCGM補正血糖値の75%タイル値との相関性>
図12に、各健常者ボランティアの1週間毎の血液GA値とCGM補正血糖値の75%タイル値との関係を示す。
【0100】
図12に示すデータでは、健常者ボランティア間では、1週間毎の血液GA値の変動とCGM補正血糖値の75%血糖値との間の相関は、相関係数r=0.343、p=0.101であった。
【0101】
図13に、各健常者ボランティアの尿酸値で補正した血液GA値とCGM補正血糖値の75%タイル血糖値との関係を示す。相関は、相関係数r=0.823、p<0.01となっていることが分かった。すなわち、尿酸値でGA値を補正することにより、血液GA値とCGM補正血糖値の間の相関性が複数の被検者に亘って強くなることを発明者らは突き止めた。
【0102】
<例:尿酸値で補正した血液GA値と25%から75%タイル内の面積との相関性>
図14に、各健常者ボランティアの1週間毎の血液GA値とAGPを基にCGM補正血糖値の25%タイル値から75%タイル値で挟まれた内側の総面積との関係を示す。相関は、相関係数r=0.319、p=0.129であった。
【0103】
図15に、各健常者ボランティアの尿酸値で補正した1週間毎の血液GA値とAGPを基にCGM補正血糖値の25%タイル値から75%タイル値で挟まれた内側の総面積との関係を示す。相関は、相関係数r=0.771、p<0.01となっていることが分かった。すなわち、尿酸値で補正することにより、血液GA値とAGPより算出した血糖値積算面積との間の正の相関性が複数の被検者に亘って強くなることを発明者らは突き止めた。
【0104】
以上の結果から、血液GA値の変動と血糖値の変動は、血液GA値を尿酸値で補正することによって、相関性を強めることができることが分かった。一態様では、尿酸値の補正は、尿酸値の関数であってもよい。尿酸値での補正の関数は、糖尿病患者であるかないか、糖尿病の型、食後高血糖の値、血糖値の変動の仕方、腎機能の状態、肝機能の状態、代謝機能、インスリン抵抗性、肥満度などに応じて設定されてもよい。さらなる一態様では、血液GA値に尿酸値を乗じて係数を掛ける補正を行ってもよい。ある二次データの一部を用いて選択された集団の被検者に対して、尿酸値を補正に使用してもよい。補正は、尿酸値の使用又は尿酸値に限られない。補正は、他の化学物質、生物学的物質、又はそれらに関連する値又は関数を用いて行ってもよい。いくつかの実施形態では、補正により、複数の被検者に亘る、血液GA値の変動と血糖値の変動の間の相関性を強めることができる。いくつかの態様では、補正は、同一の被検者に対して行われる異なる測定で行われてもよい。一態様で、同一時間に行われた複数個所、複数測定に亘って補正を行ってもよい。一態様で、異なる時に行われた複数測定に亘って補正を行ってもよい。一例で、ある日の測定値がこの相関関係から外れた結果を示した際は、尿酸値の異常を呈している場合があることを示唆していると判定してもよい。補正には、尿酸値などの生理学的あるいは数学的な値又は関数を用いてもよい。
【0105】
実施例8
<体重と血液GA値、もしくは血糖値の比較>
実施例3と同様に、インフォームドコンセントを得た4名の健常者ボランティアから、3か月間にわたり、血液GA値とCGM補正血糖値を収集した。
【0106】
いくつかの実施形態では、GA値又はGA値の変動から体重の変動を推定してもよい。いくつかの実施形態では、GA値と体重の関係をデータに蓄積してもよい。GA値の変動と体重の変動との間のタイムラグを含めて、将来の体重変動を推定してもよい。一態様では、そのタイムラグをデータとして蓄積してもよい。GA値又はGA値の変動から体重の変動との関係は、被検者個人の特性に応じて設定されてもよい。
【0107】
図16に、ある1名の健常者ボランティアにおいて得られた、1週間毎の血液GA値と体重との推移をそれぞれ示す。血液GA値の推移と体重の推移とは、やや血液GA値が先行して推移していくように見られるものの、両者の間には強い正の相関関係があることが明らかとなった(相関係数r=0.568)。他の健常者ボランティアでも強い正の相関関係が確認された。
【0108】
いくつかの実施形態では、血糖値あるいは血糖値に関連する統計値の変動から体重の変動を推定してもよい。いくつかの実施形態では、血糖値等と体重の関係をデータに蓄積してもよい。血糖値等の変動と体重の変動との間のタイムラグを含めて、将来の体重変動を推定してもよい。一態様では、そのタイムラグをデータとして蓄積してもよい。血糖値等の変動から体重の変動との関係は、被検者個人の特性に応じて設定されてもよい。
【0109】
図17に、ある健常者ボランティアにおいて得られた、1週間毎のCGM補正血糖値の25%タイル値と体重との推移をそれぞれ示す。25%タイル血糖値の推移と体重の推移とは、非常に強い正の相関関係があることが明らかとなった(相関係数r=0.782)。他の健常者ボランティアでも非常に強い正の相関関係が確認された。
【0110】
以上の結果が示すように、血液GA値や血糖値などの値の変動(推移)から、体重の増減を推測することができる。体重コントロールを必要としている対象者に対して、GA値、血糖値、それらに関する値をモニタし、生活習慣を維持又は向上するための、モチベーション喚起に利用してもよい。
【0111】
いくつかの実施形態では、ある期間に亘りGA値の取得(侵襲的又は非侵襲的なグリコアルブミン測定)を継続的又は非継続的に複数回行い、GA値の取得回数より少ない回数又は頻度で、持続血糖測定を行ってもよい。例えば、10年間に亘り2週間毎にGA値を測定し、一方1年毎に2週間のCGM測定からAGPを取得し、GA値から10年間分のグルコース値の変動データや統計値を求めてもよい。いくつかの実施形態では、GA値をある期間に亘って複数回取得し、これらのGA値と、各GA値に対応又は関連するAGPでの平均グルコース値や変動幅などの統計値との関係を示す関係表又は相関性を作成してもよい。いくつかの実施形態では、連続血糖測定を行うことを繰り返し、AGPの平均グルコース値や変動幅などの統計値と、連続血糖測定期間に対応又は関連して取得されたGA値との関係を示す関係表又は相関性を作成してもよい。いくつかの実施形態では、GA値とAGPによるグルコース値の統計値(例えば、平均値グルコース値)との相関性に基づき、持続血糖測定が実際に行われた期間以外の期間、又は持続血糖測定が実際に行われていない期間について、GA値を取得し、この取得したGA値から平均グルコース値を求める換算式を作成してもよい。
【0112】
いくつかの実施形態では、GA値(第一データ)や連続血糖測定(CGM)における統計値(例えば変動幅)などと、被検者の過去の第一データや生活習慣等に係る第二データの全て又は一部を参照して、機械学習又は深層学習を用いて、それらの間の関連性を探索し又は見つけてもよい。例えば、あるGA値やCGMの変動幅の値又は挙動や変化に対して、個人データ、健康関連データ、生活習慣データ(本明細書では、単に生活習慣データ等などと呼ぶ場合がある。)の特定のファクター又は項目との関連性の有無や関連性の強弱などを見つけてもよい。
【0113】
いくつかの実施形態では、システム又は電子機器が、GA値に対応する又はGA値から換算された、グルコース値の変動データや統計値を記憶してもよい。いくつかの実施形態では、GA値に基づき得られた又は推定により得られたグルコース値の変動幅などの変動データ又は統計値やその統計値の変化と、他の第二データとの関連性(関係性)を求め又は生成してもよい。いくつかの実施形態では、測定GA値から推定により得られたグルコース値の変動データ又は統計値及びそれらの値の変化と他の第二データとの関連性を第三データとして保存してもよい。
【0114】
GA値とCGMの変動幅と、その他の生活習慣データ等との関連性の探索は、同一被検者で行われてもよく、異なる被検者の間で行われてもよく、複数又は多数の被検者について行われてもよい。これらの探索等は、人工知能を用いてもよい。例えば、個人の体質や食習慣、属する集団が同じでも、GA値又は平均グルコース値は同じだが、CGMによるグルコース値の変動幅が大きい人と小さい人があり得る。変動幅の大きい被検者では、血管の硬化が速く生じ、合併症になるリスクが高いなどの関連性又は法則性を見つけることができると期待される。大規模なゲノム解析により、糖尿病に関係する人種ごとの遺伝子が同定されてきており、日本人特有のGLP-1Rに変異がある等、ゲノム検査によって、目標としてのGA値やHbA1c値、BMI、血圧などを設定しても良いし、種々の合併症リスクや平均寿命の計算のパラメータとしても良い。
【0115】
いくつかの実施形態では、機械学習等により既に見つけられた関連性を用いて、新たに測定で取得されたGA値や連続血糖測定(CGM)のグルコース値や変動幅などの統計値から、健康ポイントや合併症リスクなどのリスクファクターやリスク度などを求めてもよい。いくつかの実施形態では、GA値と連続血糖測定における変動幅とを参照して、合併症その他疾患の発症リスク%やヘルスフォーキャストを生成してもよい。いくつかの実施形態では、更に他の第二データを参照してもよい。連続血糖測定は、例えば1年に1回または複数回行ってもよい。連続血糖測定は、季節ごとや正月、クリスマス、連休などの生活上のイベントに関連して行ってもよい。GA値の取得又はグリコアルブミン濃度の侵襲的又は非侵襲的測定は、持続血糖測定などのよりも高い頻度で行ってもよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、時系列的に複数回取得された測定GA値の全期間に亘って、それらの測定GA値に基づいて推定されたグルコース値の変動データ又は統計値(例えば変動幅)及びそれらの値の変化と、動脈硬化などの医学的兆候や疾病を含む各合併症のリスク%や合併症になるまでの推定期間といったヘルスフォーキャストに関するパラメータとの間の関係表を作成してもよく、それらの関連性を生成してもよい。いくつかの実施形態では、合併症になってから平均寿命までの生涯損出金額を算出してもよい。
【0117】
いくつかの実施形態では、新たに取得していくGA値やCGMでのグルコース値と、生活習慣等の更新情報などを既存の第一データ、第二データに追加し、人工知能により解析を続け、これにより関連性の情報(第三データ)の精度を上げたりアップデートしてもよい。
【0118】
ある実施例では、連続血糖測定(CGM)を行い、そのAGPに基づいて又はAGPのデータ(例えばグルコース値の平均値又は平均値の変化と変動幅又は変動幅の変化)と第一データとを参照して、ユーザ(糖尿病予備軍、健常者など)に対して、糖尿病リスク%や糖尿病になるまでの推定期間を提示してもよい。糖尿病予備軍、健常者は、被検者である自己の生活習慣の改善のために行う行動が、いくつかの実施形態では、連続血糖測定(CGM)を行い、そのAGPに基づいて又はAGPのデータ(例えばグルコース値の平均値又は平均値の変化と変動幅又は変動幅の変化など)と第一データとを参照して、生活習慣、治療、疾患リスク%やある病気に罹るまでの推定期間などを含むヘルスフォーキャストやそれらに基づく健康ポイントを出力情報として生成してもよい。ユーザ(糖尿病患者、糖尿病予備軍又は健常者)に対して、そのような出力情報を提供してもよい。いくつかの実施形態では、疾患リスク%に関する疾患又は疾病は、糖尿病患者でない人が罹る糖尿病であってもよい。いくつかの実施形態では、糖尿病に罹るまでの期間を推定してもよい。いくつかの実施形態では、疾患リスク%に関する疾患又は疾病は、糖尿病患者の合併症であってもよく、糖尿病と同時期に罹る疾患等であってもよい。本開示でいう合併症とは、実際に医療的に合併症の診断結果が出ていることを含むが、その診断結果の有無に関らず、糖尿病に加えて新たに又は再び罹る疾患を広義に含む。そのような合併症に罹る又は合併症が発症するリスクを合併症リスク%と呼ぶ。いくつかの実施形態では、合併症に罹るまでの期間を推定してもよい。これにより例えば、糖尿病リスク%や健康ポイントに与える影響を被検者やユーザが実感することができる。生活習慣の改善など自分自身の行動の結果として糖尿病リスク%、糖尿病になるまでの推定期間や健康ポイントが上下することを実感することができる。糖尿病患者は、同様に自己の行動が糖尿病の進展に与える影響を実感し、状態の悪化を回避又は低減し、更には改善するという動機づけを維持し又は高めることができる。本開示は例示的に、健康や病気の状況に関する意識付け、次に取るべき行動や継続又は非継続的に取るべき行動の動機づけを維持又は高める手助けをすることができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、連続血糖測定又はSAP(Sensor Augmented Pump)での測定に基づいて、被検者の薬に対する反応性や生理作用を求めてもよく、薬の処方箋や薬の投与提案を行ってもよい。いくつかの実施形態では、連続血糖測定と実質的に同時にGA測定を行ってもよい。いくつかの実施形態では、連続血糖測定からGA測定を実質的に継続的に又は非継続的に行ってもよい。いくつかの実施形態では、連続血糖測定時のGA値(初期GA値)、その後のGA値又はその変化や変動特性(簡略に「GA値の変化」と呼んでもよい。)に基づいて、生活習慣又は治療に関する提案を行ってもよい。
【0120】
いくつかの実施形態では、第二データの内の投薬情報を参照し、GA値、GA値の動向、それらに関連する値、又はそれらの組み合わせなどに応じて、次の投薬や処方薬を提案してもよい。
【0121】
いくつかの実施形態では、第二データの内の2型糖尿病の投薬情報を参照してもよい。いくつかの態様では、第二データ内の病歴を参照してもよい。
【0122】
いくつかの態様では、2型糖尿病患者の第二データの投薬情報が経口血糖降下薬の一種であるスルホニル尿素薬が投与された履歴を含む場合、同患者のGA値が制限値を超え、かつ食後血糖値が高いと判定されたときに、α-GI、DPP-4阻害薬(低血糖に注意を喚起)、SGLT2阻害薬の順に候補を提案してもよい。
【0123】
本開示において、順に提案するとは、一例では、低血糖が起こりにくい安全な順やその他の副作用を起こしにくい順に候補の薬を提案することを含んでいてもよい。
【0124】
いくつかの例では、GA値の制限値は、年齢、性別、糖尿病罹病歴、合併症、ゲノム情報、HbA1c値、換算HbA1c値、CGMデータ、空腹時血糖値、食後血糖値、インスリン抵抗性(HOMA-R)、インスリン分泌能、体調などの状態から決定されてもよい。
【0125】
いくつかの態様では、2型糖尿病患者の第二データの投薬情報が経口血糖降下薬の一種であるうちスルホニル尿素薬が投与された履歴を含む場合には、同患者のGA値が制限値を超え、かつ空腹時血糖値が高いときに、ビグアナイト薬、DPP-4阻害薬(低血糖に注意を喚起)の順に、安全かつ安価に追加する処方薬を提案してもよい。
【0126】
いくつかの態様では、2型糖尿病患者の第二データの投薬情報がビグアナイト薬が投与された履歴を含む場合には、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ食後血糖値が高いときに、α-GI、グリニド薬、DPP-4阻害薬(低血糖に注意を喚起)、SGLT2阻害薬の順に、空腹時血糖値が高い場合はチアゾリン薬、DPP-4阻害薬(低血糖に注意を喚起)、SGLT2阻害薬の順に、追加薬を提案してもよい。
【0127】
いくつかの態様では、2型糖尿病患者の第二データの投薬情報がチアゾリン薬が投与された履歴を含む場合には、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ食後血糖値が高いときに、α-GI、グリニド薬の順に、投与することを提案してもよい。
【0128】
いくつかの態様では、2型糖尿病患者の第二データの投薬情報がチアゾリン薬が投与された履歴を含む場合には、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ空腹時血糖値が高いときに、ビグアナイド薬を追加薬として投与することを提案してもよい。
【0129】
いくつかの態様では、2型糖尿病患者の第二データの投薬情報がDPP-4阻害薬が投与された履歴を含む場合には、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ食後血糖値が高いときに、α-GI、グリニド薬の順に、投与することを提案してもよい。
【0130】
いくつかの態様では、2型糖尿病患者の第二データの投薬情報がDPP-4阻害薬が投与された履歴を含む場合には、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ空腹時血糖値が高いときに、ビグアナイド薬、チアゾリン薬、SGLT2阻害薬の順に追加薬を投与することを提案してもよい。
【0131】
いくつかの態様では、2型糖尿病患者の第二データの投薬情報がSGLT2阻害薬が投与された履歴を含む場合には、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ食後血糖値が高いときに、α-GIを投与することを提案してもよい。
【0132】
いくつかの態様では、2型糖尿病患者の第二データの投薬情報がSGLT2阻害薬が投与された履歴を含む場合には、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ空腹時血糖値が高いときに、ビグアナイド薬、DPP-4阻害薬(低血糖に注意を喚起)の順に追加薬を投与することを提案してもよい。
【0133】
いくつかの態様では、2型糖尿病患者の第二データの投薬情報がGLP-1受容体作動薬が投与された履歴を含む場合には、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ食後血糖値が高いときに、α-GIを投与することを提案してもよい。
【0134】
いくつかの態様では、2型糖尿病患者の第二データの投薬情報がGLP-1受容体作動薬が投与された履歴を含む場合には、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ空腹時血糖値が高いときに、ビグアナイド薬、SGLT2阻害薬の順に追加薬を投与することを提案してもよい。
【0135】
いくつかのある実施形態では、第2データの内1型糖尿病または2型糖尿病の場合の投薬情報を参照してもよい。
【0136】
いくつかの態様では、1型または2型糖尿病患者の場合、経口血糖降下薬に加えて、持続性溶解インスリン(グラルギンもしくはデテミル)を夕食時あるいは就寝前に1日1回注射をしている患者に対して、GA値が、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ食後血糖値が高いときに、
α-GI、グリニド薬を投与することを提案してもよい。
【0137】
いくつかの態様では、1型または2型糖尿病患者の場合、経口血糖降下薬に加えて、持続性溶解インスリン(グラルギンもしくはデテミル)を夕食時あるいは就寝前に1日1回注射をしている患者に対して、GA値が、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ空腹時血糖値が高いときに、ビグアナイド薬、DPP-4阻害薬の順に追加薬を投与することを提案してもよい。一例で、この場合は夜間の低血糖の注意喚起も合わせて行ってもよい。
【0138】
いくつかの態様では、1型または2型糖尿病患者の場合、経口血糖降下薬に加えて、持続性溶解インスリン(グラルギンもしくはデテミル)を朝に1日1回注射をしている患者に対して、GA値が第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ食後血糖値が高いときに、α-GI、グリニド薬を投与することを提案してもよい。
【0139】
いくつかの態様では、1型または2型糖尿病患者の場合、経口血糖降下薬に加えて、持続性溶解インスリン(グラルギンもしくはデテミル)を朝に1日1回注射をしている患者に対して、GA値が第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ空腹時血糖値が高いときに、ビグアナイド薬、DPP-4阻害薬の順に、投与することを提案してもよい。
【0140】
いくつかの態様では、1型または2型糖尿病患者の場合、経口血糖降下薬に加えて、持続性溶解インスリン(グラルギンもしくはデテミル)を朝に1日1回注射をしている患者に対して、GA値が第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ空腹時・食後血糖値ともに高いときに、DPP-4阻害薬を追加薬として投与することを提案してもよい。一例として、患者がSU薬を併用している場合には、低血糖の注意喚起も合わせて行ってもよい。
【0141】
糖尿病に関与する80程度の遺伝子変異のゲノム情報が人種により異なることや個人間でも異なることが解明されてきている。このようなゲノム情報の差異が、特に作用機序の異なる各種糖尿病薬の効果における、個人差を生じさせる原因となっていると一説では考えられている。
【0142】
一方、糖尿病の状態を示す各種指標(インスリン分泌能やインスリン抵抗性、HbA1c値など)、運動療法と食事療法の順守状況、シックディなどの体調などのファクターが、互いに絡み合って、血糖値の変動幅に影響を及ぼすと一説では考えられている。毎日の血糖値及びその変動は、CGMによって測定することで、その変動をモニタすることができる。これにより、今般CGMから得られる各種指標(AGPや血糖曲線下面積、食後高血糖頻度など)とGA値が相関していることを発明者らが突き止めた。上記GA値の制限値は、15.6~25.0%の範囲にあり、CGMから得られた血糖コントロールの状態により、25.0%、22.5%、18.3%、16.5%、15.6%などの値が選択される。
【0143】
上記のように、医師や医療関係者に対し血糖降下薬の提案と注意を喚起することで、例示的に、安全にGA値を健常者の正常範囲(15.6%未満)に近づけること、又は近づけることを助けることが可能になる。
【0144】
いくつかの実施形態では、連続血糖測定時のGA値又はその変化あるいは変動特性が所定の範囲又は適正範囲にある場合には、良好であること、次の持続血糖測定(CGM)測定はまだしなくてもよいことを出力情報として生成又はユーザに対して報知してもよく、あるいは次の持続血糖測定の必要性に関して全く報知しなくてもよい。いくつかの実施形態では、連続血糖測定後のGA値又はその変化あるいは変動特性が所定の範囲又は適正範囲にない場合には、被検者における持続血糖測定を再度行うべき旨の出力情報を生成し、又はユーザに対して報知をしてもよい。いくつかの実施形態では、持続血糖測定後に急速なGA値の低下などの変化が認められた場合には、平均血糖値が急激に変化している可能性がある旨、低血糖時の血糖値が極めて低くなっている可能性がある旨などの注意をユーザに対して報知してもよく、次の持続血糖測定を行ってAGPを取得し、再度血糖変化を調べるべき旨の報知をしてもよい。いくつかの実施形態では、GA値が低下するなど急激に変化した場合には、体重の低下・変化が追随して起きる可能性や、体重の低下と関連して起きうる筋肉量の減少、ロコモーティブシンドロームや怪我や病気に対する注意など、健康や生活習慣に関する注意や提案をユーザに連絡してもよい。
【0145】
連続・持続血糖測定又はそれによるAGPは、侵襲的手法であり被検者にとって精神的かつ経済的に負担が大きく、長期間にわたり継続することは困難である。一方で、非侵襲的なGA測定から、グルコース値の統計値(平均値や標準偏差など)を求めることができれば、被検者への負担を軽減することができる。
【0146】
いくつかの実施形態では、被検者に関する第二データに、妊娠、人工透析、貧血、エリスロポエチン投与下、貧血治療中、腎機能障害、尿素高値、鉄欠乏、ビタミンB12欠乏、葉酸欠乏、ヘモグロビン異常症、輸血、代謝性アシドーシス、実測HbA1c測定の際のサンプルの溶血などに関する情報がある場合は、HbA1c値が異常値の可能性があるため、誤診断チェック、(判定、注意喚起情報の提供出力情報など)などの出力情報に注意マークを付けてもよい。
【0147】
いくつかの実施形態では、出力情報は、被検者又はユーザの行動又は行動変容に影響を与えうる情報であってもよい。GA値は、半減期が平均17日であり、特にヒトの動機維持や行動変容に影響を与えやすい指標である。
【0148】
いくつかの実施形態では、第一データと第二データとを用いて、血糖値に関する病気の診断を行ってもよい。いくつかの実施形態では、第一データと第二データとを用いて、血糖値に関する病気や健康状態に関するアドバイス情報を生成してもよい。いくつかの実施形態では、病気の診断や、病気や健康状態に関するアドバイス情報の生成には、医師が行う又は行うであろう診断アルゴリズムを用いてもよい。いくつかの実施形態では、病気の診断結果や、病気や健康状態に関するアドバイス情報を出力情報として生成し、又はさらにユーザに提供してもよい。
【0149】
いくつかの実施形態では、出力情報は、GA値とGA値の変化グラフ、GA換算HbA1c値、前回値との差、平均血糖値、食事情報、ヘルスフォーキャスト、対策案、健康ポイント、などを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、これらはコンピュータシステムが、AI(人工知能)を用いて、第一データと第二データとを解析して、あるいは更に第三データをも解析して生成してもよい。
【0150】
食事情報は、摂取栄養バランス、摂取カロリー、摂取糖質量、グリセミックインデックス(GI値)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、被検者の第二データとして、食事メニューや、撮影した食事写真をコンピュータシステムに送信してもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータシステムがこれらの入力をもとに、分析して食事の栄養バランス、摂取カロリー、糖質量、GI値を生成してもよい。
【0151】
ヘルスフォーキャストは、糖尿病になるリスク%、糖尿病合併症リスク%(心血管イベントリスク%、腎症罹病リスク%、神経症罹病リスク%、失明リスク%)、がんになるリスク%、認知症になるリスク%、およびなるまでの推定期間、生涯損出金額などを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、これらは、コンピュータシステムがAIを用いて、被検者から収集された第一データと第二データとを解析して、あるいは更に第三データをも解析して生成してもよい。
【0152】
いくつかの実施形態では、対策案は、コンピュータシステムがAIなどを用いて、GA値の過去の変化、食事情報、季節等を解析して生成されてもよい。いくつかの実施形態では、対策案は、被検者の健康維持や改善、GA値測定の継続のためのモチベーションを向上や維持のために用いられてもよい。いくつかの実施形態では、GA値が上昇傾向にある状態では、その被検者の生活習慣に合わせて、GA値が改善する方向へ導く、食後高血糖を防ぐ方策を提供してもよい。
【0153】
健康ポイントは、被検者の健康向上や維持を図るために出力情報として生成されてよい。いくつかの実施形態では、健康ポイントは、被検者や、介護者や家族などの被検者に関連する者に対して、アプリケーションの操作、GA値の測定、健康診断データの入力、食事写真の入力、病気や健康に関連するアクションなどに応じて付与されるポイントであってもよい。例えば、最小は本アプリを起動させて見ることで1点、最大はGA値を測定すると50点付与されるように設定されてもよい。他には、GA値が0.1低下すると10点付与され、上記対策案を順守した確認、例えばウォーキング8000歩が確認出来ると2点、12000歩で4点、食事単位80kcal低減で1点等、GA値が下がる行為の大小に対して点数が付与又は加算されてもよい。
【0154】
出力情報の提供を受ける「ユーザ」は、被検者であってもよく、被検者でなくてもよく、被検者と非被検者とを含んでいてもよい。「ユーザ」は、実際にセンサを使用する者であってもよく、自己又は他人のセンサの測定をしている者、測定を予定している者、測定を義務付けられ又は推奨されている者などでもよい。「ユーザ」は、医師、医療機関、薬剤師、薬局、自治体、政府、勤務先企業、サービス提供者、保険事業者、家族、他の体液の提供者(被検者)、その他健康データを必要とし、共有し或いは購入する、個人又は法人、企業、組織体などであってもよく、一人又は一つのエンティティでもよく、複数人又は複数のエンティティでもよい。
【0155】
出力情報は、ユーザの五感やセンサ、コンピュータにより認識され得る情報形態に生成されてもよい。出力情報は、例えば、数値、文、グラフ、画像などの視覚情報、音、音楽、音声、ヴォイスメッセージなどの聴覚情報、点字や点字ディプレイなどの触覚情報、臭覚情報、味覚情報、それらの混合などの情報形態であってもよい。出力情報は、電子的、光的、電磁的情報あるいはそれらの混合情報であってもよい。
【0156】
いくつかの実施形態では、視覚的出力情報として、測定毎に上記のGA値、前回値との差、換算HbA1c値、換算平均血糖値(HbA1c換算:36日間平均)、推定平均血糖値(GA換算:過去17日間平均)のうちユーザが選択した項目を数値とキャラクターなどで表示してもよい。
【0157】
例えば、スマートフォンなどのディスプレー上には、各種表示項目(アイコン)が用意されてもよい。ユーザが収集する第一データや第二データに関連する出力情報に応じた項目を表示可能に設定し、ユーザがその範囲で任意に好きな項目を選択して表示させることができる。例えば、アプリケーションを使って出力情報を提供してもよい。
【0158】
いくつかの実施形態では、出力情報は、ユーザの意思表示に基づいてユーザに提供されてもよい。いくつかの実施形態では、出力情報は、ユーザが、端末や電子デバイスを介して、あるいはサーバを介して、アクセスでき、取得又は閲覧できるように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、出力情報は、その提供の際に、毎回ユーザが意思表示をしなくてもよい。いくつかの実施形態では、出力情報は、ユーザが予め設定されていた、又は合意した時間や条件などに基づいて、提供されてもよい。いくつかの実施形態では、出力情報は、ユーザの意思に依存せずに提供されてもよく、提供者の判断に基づいて提供されてもよい。いくつかの実施形態では、提供者は、出力情報の提供を判断する際に、人間が判断してもよく、コンピュータを用いて判断してもよい。いくつかの実施形態では、ユーザの意思と提供者の判断とを総合的に用いて、出力情報の提供を判断してもよい。
【0159】
いくつかの実施形態では、グリコアルブミンを測定すべき旨の注意喚起などをユーザに対して報知してもよい。
【0160】
報知は、所定あるいは適切なタイミングで行われてもよい。1回目以降の測定については、一定又は不定の間隔で報知が行われてもよい。任意の二つの測定の間隔は、3日、4日、5日、6日、7日、10日、15日、20日、30日、40日、50日、60日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月であってもよく、その他の期間であってもよい。糖化アルブミンの測定には、7日、10日、15日、20日、1週間、2週間、3週間などの期間で報知されてもよい。
【0161】
ある実施例では、体液を採取すべきタイミングが近づいている旨、同タイミングである旨、同タイミングが過ぎている旨などを報知してもよい。体液を採取すべきタイミングが近づいていること、例えば、測定すべき時点の1日前、2日前、あるいは、被検者、採取者、ユーザが予め設定した日時時刻を、被検者、採取者又はユーザに報知してもよい。体液を採取すべきタイミングが過ぎているにも関わらず、採取測定がされていない場合には、その旨を連絡してもよい。
【0162】
いくつかの実施形態では、コンピュータを用いて、関連性又は相関性を探索し、発見し、計算し、第三データ又は情報として生成してもよい。
【0163】
図18に、いくつかの実施形態に係る、GA値に関連する医療情報又はヘルスケア管理システム100のブロック図を示す。
図18に示すシステム100では、各機器がコミュニケーションネットワーク110で繋がっている。情報の伝達や演算を行うコンピュータは、1つのCPUで行われてもよいが、
図18では、複数のCPUが各機器に配置され、これらが協働してデータを収集、管理、保管、演算等を行う。
【0164】
被検者121,122は、それぞれGA測定器131,132を用いて自己の体液を測定する。
図18の被検者121,122は、スマートデバイス141,142を表示機器又は通信機器として使用している。このスマートデバイス141,142は、GA測定器131,132と直接、すなわちコミュニケーションネットワークを介さず無線又は有線で接続されている。したがって、被検者121,122は、測定結果としてのGA値やGA値の変移傾向などを直接スマートデバイス141,142を介して知ることができる。
【0165】
被検者121,122の測定により得られたGA値とその測定時刻の時間情報は、第一データとして、GA測定器131,132又はスマートデバイス141,142から、コミュニケーションネットワーク110を通じて、メモリ150に伝達され保管される。メモリ150には、第二データも保管されている。
【0166】
図18のシステムの各構成は、コミュニケーションネットワーク110を介して、AI解析センター(又は単に、解析センター)160に接続されている。AI解析センター160は、メモリ150に保存された第一データと第二データを収集し、機械学習によるAI解析を行う機能を持つ。AI解析センター160は、メモリ150にアクセスして、第一データと第二データを解析し、解析結果を出力情報として生成する。この出力情報は、コミュニケーションネットワーク110を介して、各被検者121,122のスマートデバイス141,142に送信する。これにより、被検者121,122に出力情報が提供される。
【0167】
AI解析センター160の人工知能は、膨大な第一データと第二データを人工知能や機械学習や深層学習を用いて計算することができる。AI解析センター160は、当該管理システム・ネットワーク以外のメモリ(不図示)にも合法的にアクセスし、そこに保管されている第二データを参照することができる。
【0168】
AI解析センター160は、第一データと第二データの関連性や相関性を探索、発見することができる。見つけられた相関性に関する情報又はデータは、第三データとして、メモリ150に保管する。第三データは、出力情報に利用される。
【0169】
第一データ、第二データ、第三データを含む出力情報は、医療機関、公的機関、患者組織、保険企業、データ企業といった、被検者でないユーザ171,172に対してもコミュニケーションネットワーク110を介して伝達され得る。出力情報や、出力情報を生成するにあたり生成された情報又はデータは、メモリ150に保管される。
【0170】
図19に、GA測定器230のブロック図を示す。
図19に示すGA測定器230では、本体231内にプロセス(演算)部232、メモリ233、電源234、表示部235、通信部236が配置され互いに接続されている。センサ237は、GA測定器本体に対して交換可能又は着脱可能に取り付けられている。プロセス部232は、センサ237を制御し、センサ237からの出力信号を受け取る。プロセス部232は、センサ237からの信号に対して演算を行い、演算結果を表示部235、通信部236、メモリ233に送る。表示部235は受信した信号を、GA測定器230のユーザに対して表示する。通信部236は、プロセス部232から受信した信号を無線(
図19)又は有線(図示せず)にて外部に送信する。さらに通信部236は外部から受信した信号をプロセス部232に送信する。メモリ233は、信号又はデータを電気的、光電子的、電磁気的などの形式で保管する。メモリ233は、プロセス部232から受信した信号を保管し、またプロセス部232の指令に応じてデータ等をプロセス部232に対して提供する。プロセス部232の指令に応じて、メモリ233内のデータは追加、削除、変更等される。電源234は、充電式又は交換式の電池であってもよく(
図19)、外部電源からの電源入力素子であってもよい(図示せず)。電源234は、プロセス部232に対して電力を提供する。さらに電源234は、プロセス部232を介して(
図19)又は直接(図示せず)、表示部235、通信部236、センサ237、メモリ233に対して電力を供給する。
【0171】
センサ237は、グリコアルブミン濃度の測定又はアルブミン濃度の測定の他にも、体液の採取又は測定の時間情報も取得する。使用するあるいは使用したセンサを管理する機能も有している。GA測定器230は、例えば、測定又は涙を採取した年月日時分などの時間情報、グリコアルブミン濃度とアルブミン濃度を含む測定値などのイベント情報や管理データを取得する。
【0172】
図20に、GA測定器で収集されるデータ(第一データ、一次データ)の構造又は構成、あるいは第一データの構造を模式的に示す。第一データはデータ配列として格納されている。GA測定器で収集されるデータ(第一データ、一次データ)は、被検者を特定する情報310と測定に関する情報320を含んでいる。被検者を特定する情報310として、例えば被検者名311や被検者のID312を含んでいる。測定に関する情報320として、測定時間情報(測定時刻)323、グリコアルブミン濃度325、アルブミン濃度326を含んでいる。これの他に、第一データは、測定番号321、センサ番号(センサ管理情報)322、測定が有効であったかエラーかの別(測定有効無効情報)324、やその他測定関連の情報327などの情報が含まれていてもよい。第一データは、被検者ごとにあるいは被検者に結びついた形式で、収集される。
【0173】
図19に示すGA測定器230は、本体内部のメモリ233に、これらのデータを一時的に記録することができる。
【0174】
時間情報やイベント情報は、データ列又はデータマトリックスとして保存、格納又は記録されてもよい。
【0175】
図19のGA測定器230は、その他にも管理データを管理、記録することができる。管理データは、測定器本体ID、測定器本体製造番号、センサ製造番号、センサロット番号、センサ製造日、センサ校正値、センサ使用期限、センサの測定残回数、測定時温度、エラー履歴、電池残寿命、通信コード等を非限定的に含んでいてもよい。
【0176】
図19に示すようなGA測定器は、演算解析ブロック(プロセス部)232を有して、演算解析を行うことができる。GA測定器131,132,230又はスマートデバイス141,142は、比較的簡単な演算解析を行い、AI解析センター160が、より高度な演算解析例えばビッグデータに対して人工知能や機械学習を用いる演算解析を行ってもよい。
図19に示すようなGA測定器における演算解析ブロック232では、例えば、GA値、換算HbA1c値、前回値と比較、平均血糖値の算出を以下の式で計算することができる。
・GA値(%)=グリコアルブミン濃度(mg/dL)/アルブミン濃度(mg/dL)×100(%)
・涙中GA値(%)に推定血中GA値(%)=a×[涙中GA値(%)]α+b
・前回値との差=前回GA値-今回GA値
・換算HbA1c値(%)=GA値×0.245+1.73
・推定平均血糖値(HbA1c換算:過去36日間平均)=28.7×換算HbA1c-46.7
・推定平均血糖値(GA換算:過去17日間平均)は、GA値と平均血糖値のデータテーブルから表示
上記演算式は例示的であり、それぞれのパラメータ間の相関関係が規定される他の関数を用いてもよく、他の値の算出を行ってもよい。
【0177】
また、演算解析ブロック232は、GA値から、過去2週間分の平均血糖値を計算することができる。このような演算解析は、スマートデバイス141,142やAI解析センター160で行うこともできる。
【0178】
図19に示すようなGA測定器230は、上記のデータを、必要に応じて定期または任意にコミュニケーションネットワーク110)やスマートデバイス141,142など(
図18を参照)と通信する手段(通信部)236を備えている。送信したデータは、パーソナルコンピュータやスマートデバイス141,142などの表示機能を有する電子機器端末に表示してもよい(
図18を参照)。測定結果は、GA測定器本体231の表示部235に表示してもよい。
【0179】
例えば、スマートデバイスなどから入手する、リアルタイム又は時間変動する個人の考え方、感情や欲求に応じて、出力情報を生成してもよい。例えば、被検者がどうしてもラーメンを食べたいときに、スマートデバイスを使用すると、食べる前に、ラーメンを食べると健康状況にネガティブな影響を与え得ることを注意喚起することができる。あるいはラーメンを食べなくすべきである、あるいはラーメンを完食しないようにすべきである、などの情報を提供することができる。さらには、使用者の好みに応じて、情報の提供の仕方も、直接的であったり、優しい伝え方であったり、適宜調整を行ってもよい。また、第一データ、あるいは第一データと第二データとに基づいて、今後の健康状態の変移、つまりヘルスフォーキャストを提供することができる。あるいは、生活習慣についてコーチングをしたり、モチベーションを上げたり維持するための報知、連絡、情報提供を行うことができる。あるいは、病院への通院を促してもよい。
【0180】
本システムは、上記第二データを収集し、第一データと整合して、GA測定時の血糖値のコントロール状態から機械学習にて解析し、将来発生する糖尿病またはその合併症、その他疾患の発症リスクを予測することができる。第二データとして、特に健康データを参照してもよい。
【0181】
本開示に含まれる操作、動作、計算、解析、情報伝達などは、コンピュータ又はコンピュータシステムにより実行されてもよい。コンピュータ等は、入力手段と、プロセッサと、データベースを格納するメモリ手段と、表示手段とを備えていてもよい。コンピュータ自体や、プロセッサやメモリ又は記憶媒体などは、それぞれ一つの部品として配置されていてもよく、複数の部品を有して構成されてもよく、1か所に設置されていてもよく、複数個所に分けて設置されネットワークなど通信手段を介して接続され又は必要に応じて接続されるように構成されていてもよい。
【0182】
システムは、採取者に対して、体液の収集または測定に関してすべき行為を報知してもよい。報知の際に、用いるべきセンサの番号、センサの使用方法、測定時の際の注意事項、測定後に測定データの伝達保存方法など、体液の収集または測定に関してすべき行為を報知してもよい。
【0183】
被検者は、自己の体液に関するGA値の測定を行う。システムは、センサ又はGA測定器から測定値をその測定時間情報とともに取得する。このGA値測定を1回又は複数回行うことで、グリコアルブミン濃度とアルブミン濃度(GA関連情報)と時間関連情報を含む第一データを収集することができる。第一データは、コンピュータシステムにより、メモリに保管される。
【0184】
第二データは、被検者からも提供されうるが、被検者以外(非被検者)からも第二データを収集することができる。「非被検者」とは、糖尿病患者、糖尿病予備軍、糖尿病合併症患者、被検者、ユーザ、それらの家族その他の関係者又は代理権を有する者、医療機関、薬局、その他の個人、会社を含む団体、組織であってもよい。第二データは、非被検者から収集されてもよく、被検者から収集されてもよく、被検者と非被検者とから収集されてもよい。
【0185】
システムは、第一データと第二データとを参照してもよい。システムは、対象となる第一データに関連する第二データ項目について参照してもよい。いくつかの実施形態では、誤診断チェックのために第二データを参照し第一データ又は測定GA値を評価してもよい。いくつかの実施形態では、AI解析の際に第二データを参照してもよい。解析の際にシステムは、第一データ第二データ以外にも、後に説明する第一データ、第二データの関連性を示す第三データや、その他のデータを参照することもできる。第三データはメモリに保管されてもよい。
【0186】
システムは、第一データと第二データとに基づいて出力情報を生成してもよい。いくつかの実施形態では、第一データと第二データの間の関連性や相関関係を探索してもよい。いくつかの実施形態では、この関連性を第三データとして、メモリに保管し、出力情報としてユーザに提供してもよい。
【0187】
いくつかの実施形態では、出力情報をユーザに提供する際、あるいはその前後に、測定又は検体の報知や新たな第二データの提出要求をしてもよい。
【0188】
いくつかの実施形態では、第二データの取得や出力情報の提供は、必ずしも第一データの取得とリンクせずに行われてもよい。
【0189】
第二データは、システムからの報知や要求などに対する応答として取得されてもよく、被検者、採取者、ユーザその他の個人又は組織から自発的あるいは自動的に収集されてもよい。いくつかの実施形態では、被検者の食事や運動などの生活中のイベントを第二データとして取得してもよい。いくつかの実施形態では、被検者が自発的にスマートデバイスに第二データを入力してもよい。いくつかの実施形態では、被検者がスマートデバイスなどの使用やその際のコミュニケーションのイベント発生時に、システムが反応して、被検者、採取者又はユーザに対して、適切或いは有用でありうる情報や提案を提供してもよい。いくつかの実施形態では、システムが、被検者のスマートデバイス等に保管又は接続されているヘルスケアデータを参照して取得してもよい。いくつかの実施形態では、被検者等に対して、システムがそのデータへアクセスを要求し又は同意を求めてもよい。いくつかの実施形態では、食事情報は、被検者がスマートデバイス等を用いて食事写真を取得し、写真から栄養、糖分、カロリー等を計算することで生成されてもよい。いくつかの実施形態では、被検者が、スマートデバイス等を通じて運動状況をシステムが取得してもよい。いくつかの実施形態では、ジムやプールなどスポーツクラブでの運動関連情報をシステムが取得してもよい。
【0190】
いくつかの実施形態では、システムは、5段階のヘルスフォーキャスト、糖尿病リスク%、心血管イベントリスク%、腎症罹病リスク%、神経症罹病リスク%、失明リスク%、生涯損出金額換算、等を出力情報として生成し、ユーザに対して報知してもよい。
【0191】
本システムは、またそれらのリスクをサービス受給者の個人特性、集団特性、個人の生活習慣に合わせて効率よく低減する方法を提案してもよい。たとえば、食後30分以内に5000歩のゆっくりウォーキングするなどの食事と関連した運動の提案をしてもよい。あるいは例えば、次の食事は、〇〇野菜100gを先に食べてからごはん80gをゆっくり10分で食べる、など、食事の提案をしてもよい。
【0192】
いくつかの実施形態では、次のGA測定時に効果があった場合は、表示されたリスクが改善するとともに、健康ポイントが付与される。GA値の変移などを考慮しつつ、生活習慣などの項目に対応して、健康ポイントを算出してもよい。例えば、生活習慣の項目を硬直的に健康ポイントに反映するだけでなく、実際にGA値でモニタしつつ、各個人にあった体質や習慣に応じて、生活習慣の各項目の影響の度合いを見つけることができる。
【0193】
いくつかの実施形態では、健康ポイント、その他の医療データ、あるいは第一データ、第二データ、第三データなどは、全体又は部分的に、保険会社、地方自治体や医療機関、調剤薬局などの期間とコンピュータシステムを介して共有されてもよい。
【0194】
サービス受給者に機械学習の解析結果を表示することで、疾病を予防もしくは進展を阻止するモチベーションを喚起する様々なサービスを提供できる。
【0195】
本開示のいくつかの実施形態に係るプログラム又はコンピュータプログラムは、本出願に記載の測定方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させてもよく、コンピュータに読み出して実行させてもよい。本開示のいくつかの実施形態に係るコンピュータ可読記憶媒体は、本出願に記載の測定方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行さるためのプログラム又はコンピュータプログラムを記憶していてもよい。
【0196】
本開示のいくつかの実施形態は、GA値に関連するデータ又はそのデータの配列を備えるデータ構造である。データ構造は、コンピュータ又はコンピュータシステムが、第一データと第二データとを参照し、出力情報を生成して、ユーザに対して提供できるように備えていてもよい。
【0197】
いくつかの実施形態では、第一データは、複数の体液中のグリコアルブミン濃度及びアルブミン濃度とそれらの測定時刻又は体液の採取時刻とを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、第一データは、グリコアルブミン又はGA値の測定毎に測定値を追加できるように構成されていてもよい。
【0198】
いくつかの実施形態では、データ構造は、コンピュータ等が、第一データと第二データとを参照して、
GA値、換算HbA1c値、前回値と比較、平均血糖値;
過去のある一つ又は複数の測定期間中の、それらの値の推定値;
将来のある一つ又は複数の測定期間中の、それらの値の予測値;
過去の生活習慣のトレンド情報;
将来発生する糖尿病またはその合併症、その他疾患の発症リスク;
生活習慣に関する提言;
の少なくとも一つを含む出力情報を生成して、
ユーザに対して前記出力情報を提供できる、
ように構成されていてもよい。
【0199】
いくつかの実施形態では、データ構造は、第三データをその生成ごとに追加できるように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、第三データは、コンピュータ等がアクセスし、参照して、それも基づいて出力情報を生成し、ユーザに対して提供できるように構成されていてもよい。
【0200】
本開示のいくつかの実施形態によれば、潜在的に、非侵襲的に得られたGAに関するデータを用いるため、侵襲的な手法に比べて、被検者への負担が軽減される。したがって、中長期に亘り、より多量のデータを取得し解析し、単発的でなくより長い期間、ユーザに有益な情報提供をすることができる。
【0201】
本開示のいくつかの実施形態は、GA値に基づくデータは被検者等の健康管理のモチベーションを維持や向上に寄与しやすい。血糖値のコントロール状態を示す他の指標(マーカ)と比較すると分かりやすい。
【0202】
例えば病院では、糖尿病患者に対して、又は健康診断時の血液検査の一環として、採血によりグリコヘモグロビン(HbA1c)が測定されている。グリコヘモグロビン(HbA1c)値は、赤血球のヘモグロビンの糖化割合を示す指標である。糖尿病患者の通院間隔は、通常1~3か月である。赤血球の半減期が約36日であることから、このマーカは、1~2か月の期間の血糖値の指標である。HbA1c値は、糖尿病患者では通院毎の1~3か月に1回測定、健康な人でも健康診断などで1年に1回測定されている。このように、HbA1cの測定は侵襲的であるうえ、測定間隔が数か月となるため、例えば通院から通院の間の被検者のモチベーション維持には、生理的心理的に不向きといえる。
【0203】
本開示の方法、システムやデータ構造等は、非侵襲的測定により得られるGA値に基づくため、被検者等の生理的心理的負担が極限に軽減され、中長期的な測定も継続するのが容易である。また、GAは2週間程度の半減期を有するため、中長期的に亘る変動を観察又は追跡するマーカとして最適である。したがって、本開示により、被検者等の生理的心理的負が極限に軽減され、かつ被検者等の健康維持や改善へのモチベーションを維持し向上させることができる。
【0204】
本開示のいくつかの実施形態によれば、潜在的又は例示的に、サービス受給者個人の生活習慣に関連する疾患の状況を把握するとともに、その個人の時間的な変動特性、国や地方などの特性、その個人に類似した集団特性、その個人の家族歴、遺伝情報の背景を持つ集団などの特性から、疾病リスクを提示するとともに、対応策の最適解を提示することにより、血糖値のコントロール状態を改善するモチベーションを向上するサービスを提供出来る。
【0205】
本開示のいくつかの実施形態によれば、潜在的又は例示的に、非侵襲に採取できる涙液や唾液中のGA測定値の時系列の第一データに基づいて、血糖コントロール状態をユーザに提供することができ、また、第一データをその他収集可能な健康関連情報と統合してAIなどを用いて解析し、糖尿病予防方法、糖尿病の進展状況や改善方法、及び合併症の予防方法、ヘルスケアに関する有益情報や示唆などを含むサービスを提供することが可能になる。
【0206】
本開示は以下の実施形態も含む。
A01a
血糖値に関連するヘルスケア管理方法/ヘルスケア情報提供方法/糖尿病リスク管理方法/糖尿病患者の合併症対策方法であって、
少なくとも一人のヒト又は少なくとも一匹の哺乳動物から、体液中のアルブミン濃度とグリコアルブミン濃度を含む第一データを収集することと、
前記収集された第一データに関連する出力情報を生成することと、
前記生成された出力情報をユーザに提供すること、
を備える方法。
A01b
血糖値に関連するヘルスケア管理方法/ヘルスケア情報提供方法/糖尿病リスク管理方法/糖尿病患者の合併症対策方法であって、
被検者の体液中の測定により得られたアルブミン濃度とグリコアルブミン濃度とその測定の時間情報を含む第一データを収集して、前記第一データをコンピュータシステムに入力することと、
前記コンピュータシステムを用いて、前記第一データに基づいてGA値に関連する出力情報を生成することと、
前記コンピュータシステムから前記生成された出力情報をユーザに提供すること、
を備える方法。
A01c
血糖値に関連するヘルスケア管理方法/ヘルスケア情報提供方法/糖尿病リスク管理方法/糖尿病患者の合併症対策方法であって、
被検者の体液中のグリコアルブミン濃度を含む第一データを収集して、前記第一データをコンピュータシステムに入力することと、
前記コンピュータシステムを用いて、前記第一データに基づいてGA値に関連する出力情報を生成することと、
前記コンピュータシステムから前記生成された出力情報をユーザに提供すること、
を備える方法。
A01又はA01d
血糖値に関連するヘルスケア管理方法/ヘルスケア情報提供方法/糖尿病リスク管理方法/糖尿病患者の合併症対策方法であって、
被検者の体液中のグリコアルブミン濃度とアルブミン濃度とを含む第一データを取得することと、
前記第一データに基づいてGA値に関連する出力情報を生成することと、
前記生成された出力情報をユーザに提供すること、
を備える方法。
A02
前記第一データを取得することは、前記被検者の体液中のグリコアルブミンの濃度を測定することを含む、
請求項A01に記載の方法。
A03
前記第一データを取得することは、前記被検者の体液中を採取することを含む、
実施形態A01又はA02に記載の方法。
A03b
前記体液は、血液、涙液及び唾液の少なくとも一つを含む、
請求項A01aからA03のいずれか一項に記載の方法。
A03c
前記被検者の体液中を採取することは、涙液又は唾液を非侵襲的に採取することを含む、
実施形態A03に記載の方法。
A04
前記第一データを取得することは、前記被検者の体液中のアルブミンの濃度を取得すること含む、
実施形態A01からA03cのいずれか一項に記載の方法。
A05
前記第一データを取得することは、測定の対象である前記被検者の体液の分泌、採取又は測定に関する時間情報を取得することを含む、
実施形態A01からA04のいずれか一項に記載の方法。
A11
前記第一データを取得することは、複数回の涙中又は唾液中のグリコアルブミン濃度とアルブミン濃度の測定を行うことを含む、
実施形態A01からA05のいずれか一項に記載の方法。
A12
前記第一データを取得することは、2週間から6か月にわたる期間において、複数回の涙中又は唾液中のグリコアルブミン濃度の測定を行うことを含む、
実施形態A01からA11のいずれか一項に記載の方法。
A13
前記第一データを収集することは、平均7日から28日間隔で、複数回の涙中又は唾液中のグリコアルブミン濃度の測定を行うことを含む、
実施形態A01からA11のいずれか一項に記載の方法。
A21
前記第一データを取得することは、平均7日から28日間隔で、複数回涙中又は唾液中のグリコアルブミン濃度とアルブミン濃度の測定を行うことを含み、
前記出力情報を生成することは、前記複数回の測定のうちの一部又はすべての測定に関する、GA値、GA値の変化グラフ、換算HbA1c値、前回値と比較、平均血糖値、平均血糖値の変動、ヘルスフォーキャスト、対応案、健康ポイント、の少なくとも一つを示す情報を生成することを含む、
実施形態A01からA13のいずれか一項に記載の方法。
A22
前記出力情報は、
前記測定が行われた期間中の一部又はすべてに関する、GA値、換算HbA1c値、前回値と比較、平均血糖値の推定値;
将来のある一つ又は複数の期間又は時点に関する、GA値、換算HbA1c値、前回値と比較、平均血糖値の予測値;
過去の生活習慣のトレンド情報;
将来発生する糖尿病またはその合併症、その他疾患の発症リスク;
生活習慣に関する提言;
薬の服用に関する提言;
の少なくとも一つを含む
実施形態A01からA21のいずれか一項に記載の方法。
A31
第二データを収集することを更に備える、
実施形態A01からA22のいずれか一項に記載の方法。
A39
前記第二データは、非被検者に関するデータを含む、
実施形態A31に記載の方法。
A401
前記グリコアルブミン量に関連する出力情報を生成することは、
個人データ、健康関連データ、生活習慣データ、集団データの少なくとも一つを含む第二データを参照することと、
前記第一データと第二データとに基づいて、コンピュータを用いて出力情報を生成することと、を含む、
実施形態A01からA31のいずれか一項に記載の方法。
A402
前記第二データは、
個人ID(マイナンバー)、年齢、性別、配偶者有無、子供人数、住所、住居タイプ、自動車有無、オートバイ有無、自転車有無、職業、職種、職位、年収、ゲノム情報、信仰、健康保険番号、指紋、声紋、顔認識情報、虹彩認識情報、時間変化する個人の考え方・感情・欲求・要望、スマートデバイスへの入力や使用情報、
人種、国籍、地方、地域エリア、地域の季節変動ファクター(季節での温度湿度変化など)、休暇期間(年末年始、春休み、夏休み、などを含む)、通勤手段、宗教、
体重、身長、体脂肪、最大血圧、最小血圧、心拍数、歩数、活動量、血中酸素飽和度、体温、室温、日射量、UV照射量、連続・持続血糖値測定(CGM、FGM)装置から得られる平均血糖値、標準偏差やAGP、健康診断データ(HbAlc値を含む)、病歴、処方薬、投薬情報、医療機関からのデータ、食物その他のアレルギー、家族親戚の病歴や健康関連データ、
食事習慣(肉食好み、ベジタリアンなどを含む)、嗜好品、食事メニュー、食事写真、間食写真、運動習慣、起床時間、就寝時間、睡眠時間、睡眠深度、睡眠点数、積極的又は消極的休息時間、食事の速さ、咀嚼・回数・速度・特性、食物アレルギー、宗教信仰関連の食事規則(ラマダンなどを含む)、運動の有無、運動種目、運動時間、運動頻度、運動消費カロリー、趣味、
の少なくとも一つを含む、
実施形態A01からA401のいずれか一項に記載の方法。
A403
前記コンピュータを用いて出力情報を生成することは、人工知能を用いて第一データと第二データとを含むデータについて機械学習又は深層学習をさせることを含む、
実施形態A401又はA402のいずれか一項に記載の方法。
A404
前記第二データは、前記被検者に関するデータを含む、
実施形態A401からA403のいずれか一項に記載の方法。
A405
前記出力情報を生成することは、
前記被検者に関する第二データが、肝硬変、甲状腺機能低下、甲状腺ホルモン合成抑制剤の服用の情報を含む場合に、偽高値である可能性がある旨の注意を出力情報として生成することを含む、
実施形態A401からA404のいずれか一項に記載の方法。
A406
前記出力情報を生成することは、
前記被検者に関する第二データが、ネフローゼ症候群、蛋白漏出性胃腸症、甲状腺機能亢進症、甲状腺ホルモン治療薬の情報を含む場合に、偽低値である可能性がある旨の注意を出力情報として生成することを含む、
実施形態A401からA405のいずれか一項に記載の方法。
A407
前記出力情報を生成することは、
前記被検者に関する第二データにおいて、
医療機関等での実測HbA1c値があった場合には、直近の第一データのGA換算HbA1c値と比較し、
実測HbA1c値≧GA換算HbA1c値の時は、平均血糖値が改善していることを出力情報として生成し、
実測HbA1c値<GA換算HbA1c値の時は、平均血糖値が悪化していることを出力情報として生成することと、
前記被検者に関する第二データにおいて、妊娠、人工透析、貧血、エリスロポエチン投与下、貧血治療中、腎機能障害、尿素高値、鉄欠乏、ビタミンB12欠乏、葉酸欠乏、ヘモグロビン異常症、輸血、代謝性アシドーシス、実測HbA1c測定の際のサンプルの溶血の少なくとも一つに関する情報があった場合は、前記出力情報に注意マークを付することと、
を含む、
実施形態A401からA406のいずれか一項に記載の方法。
A408
前記第二データは、連続血糖測定により得られたグルコース値の変動データを含む、
実施形態A31からA407のいずれか一項に記載の方法。
A409
前記第二データは、連続血糖測定により得られたAGPを含む、
請求項A31からA407のいずれか一項に記載の方法。
A410
前記第一データとして、ある期間に亘り実質的に継続的に複数回、GA値を取得することと、
前記第二データとして、前記GA値の取得回数より少ない回数で連続血糖測定を行い、グルコース値の変動データを取得することと、
を更に備える、
実施形態A31からA407のいずれか一項に記載の方法。
A411
前記連続血糖測定により取得したグルコース値の変動データの平均値と前記GA値との相関性を求めることを更に備える、
実施形態A410に記載の方法。
A412
前記相関性を求めることは、前記被検者に関する第二データの全て又は一部を参照し、機械学習又は深層学習を用いて、前記相関性を最適化することを含む、
実施形態A411に記載の方法。
A413
前記相関性に基づき、前記GA値から、前記連続血糖測定が実際に行われた期間以外の期間についてのグルコース値の平均値を推定することを更に備える、
実施形態A411又はA412に記載の方法。
A409b
前記連続血糖測定により得られたグルコース値の変動データと、GA値との間の相関性を求めることを更に備える
実施形態A408に記載の方法。
A409c
前記連続血糖測定により得られたグルコース値の変動データと、GA値との間の相関性は、
前記連続血糖測定のグルコース値の75%タイル値と変動データとGA値との間の相関性を含む、
実施形態A409bに記載の方法。
A409c
前記連続血糖測定により得られたグルコース値の変動データと、GA値との間の相関性は、
前記連続血糖測定のグルコース値の90%タイル値と変動データとGA値との間の相関性を含む、
実施形態A409bに記載の方法。
A409d
前記連続血糖測定により得られたグルコース値の変動データと、GA値との間の相関性は、
前記連続血糖測定のグルコース値の中央値と変動データとGA値との間の相関性を含む、
実施形態A409bに記載の方法。
A409e
前記連続血糖測定により得られたグルコース値の変動データと、GA値との間の相関性は、
前記食後高血糖の頻度と変動データとGA値との間の相関性を含む、
実施形態A409bに記載の方法。
A409f
前記連続血糖測定により得られたグルコース値の変動データと、GA値との間の相関性は、
前記連続血糖測定により得られたグルコース値の曲線下面積とGA値との間の相関性を含む、
実施形態A409bに記載の方法。
A409g
前記連続血糖測定により得られたグルコース値の変動データと、GA値との間の相関性は、
前記連続血糖測定により得られたグルコース値の曲線間面積とGA値との間の相関性を含む、
実施形態A409bに記載の方法。
A409h
前記連続血糖測定により得られたグルコース値の曲線間面積は、
25%タイル曲線と75%タイル曲線の間の面積、
10%タイル曲線と75%タイル曲線の間の面積、又は
2%タイル曲線と75%タイル曲線の間の面積
である、
実施形態A409gに記載の方法。
A409i
前記連続血糖測定により得られたグルコース値の変動データと、GA値との間の相関性を求めることは、
前記連続血糖測定により得られたグルコース値を尿酸値の関数で補正すること、
を備える、
実施形態A409bからA409gのいずれか一項に記載の方法。
A409j
前記連続血糖測定により得られたグルコース値の変動データと、GA値との間の相関性を求めることは、
前記尿酸値によるグルコース補正値と前記GA値との間の相関性を求めること、
を更に備える、
実施形態A409iに記載の方法。
A409k
前記相関性を、第二データとして取得する、
実施形態A409bからA409iのいずれか一項に記載の方法。
A409A
体重とGA値との相関性を求めることを更に備える、
実施形態A402に記載の方法
A409B
GA値又はGA値の変動から体重の変動を推定する、
実施形態A402又はA409Bに記載の方法A414
前記相関性を第三データとして保存することを更に備える、
実施形態A411からA413のいずれか一項に記載の方法。
A415
前記相関性は、グルコース値の平均値及び変動幅の少なくとも一つを含む、
実施形態A411からA414のいずれか一項に記載の方法。
A416
前記連続血糖測定後に取得したGA値の変化に基づいて、次の連続血糖測定を行うべきか否かを判断し、前記判断を含む前記出力情報を生成する、
実施形態A411からA415のいずれか一項に記載の方法。
A417
前記連続血糖測定と実質的に同時に取得されたGA値を考慮して、次の連続血糖測定を行うべきか否かを判断する、
実施形態A416に記載の方法。
A418
前記連続血糖測定後に取得したGA値の変化率が所定の値より大きい場合に、次の連続血糖測定を行うべき旨の出力情報を生成する、
実施形態A417に記載の方法。
A419
前記連続血糖測定後にAGPに応じて薬の処方箋を生成又は投与に関する提案を出力情報として生成することを更に備える、
実施形態A416からA418のいずれか一項に記載の方法。
A419b
前記第二データ内の処方薬及び/又は投薬情報を参照し、GA値又はGA値の動向、それらに関連する値又はそれらの組み合わせに応じて、次の処方薬及び/又は投薬に関する提案を出力情報として生成することを更に備える、
実施形態A01aからA419のいずれか一項に記載の方法。
A420
前記第一データと前記連続血糖測定のグルコース値の平均値と変動幅とを参照して、生活習慣又は治療に関する提案を出力情報として生成する、
実施形態A409又はA10に記載の方法。
A421
前記生活習慣又は治療に関する提案を含む出力情報を、糖尿病患者、糖尿病予備軍又は健常者に対して提供することを更に備える、
実施形態A420に記載の方法。
A422
前記第一データと前記連続血糖測定のグルコース値の平均値と変動幅とを参照して、糖尿病リスク%又は糖尿病に罹るまでの推定期間を出力情報として生成する、
実施形態A409又はA10に記載の方法。
A423
前記糖尿病リスク%又は糖尿病に罹るまでの推定期間を含む出力情報を、糖尿病予備軍又は健常者に対して提供することを更に備える、
実施形態A422に記載の方法。
A424
前記第一データと前記連続血糖測定のグルコース値の平均値と変動幅とを参照して、糖尿病の合併症リスク%又は合併症に罹るまでの推定期間を出力情報として生成する、
実施形態A409又はA10に記載の方法。
A425
前記糖尿病の合併症リスク%又は合併症に罹るまでの推定期間を含む出力情報を、糖尿病患者に対して提供することを更に備える、
実施形態A424に記載の方法。
A51
体液の採取者に対して、採取すべきことを報知することを更に備える、
実施形態A31からA419のいずれか一項に記載の方法。
A52
前記報知することは、実質的に17日又は2週間に1度の頻度で体液を採取すべきことを報知することを含む、
実施形態A51に記載の方法。
A53
前記報知することは、体液を採取すべきタイミングが近づいている旨、同タイミングである旨又は同タイミングが過ぎている旨を報知することを含む、
実施形態A51又はA52に記載の方法。
A54
前記報知することは、体液の収集または測定に関してすべき行為を報知することを含む、
実施形態A51からA53のいずれか一項に記載の方法。
A61
前記第一データと前記第二データとの相関性を探索し、前記相関性を属性として備える第三データを生成することを更に備える、
実施形態A31からA54のいずれか一項に記載の方法。
A62
前記出力情報は、前記第三データを含む、
実施形態A61に記載の方法。
A71
第二データ内の投薬情報
B01
実施形態A01からA62に記載の方法を行うソフトウェア。
C01
実施形態A01からA62に記載の方法を行うソフトウェアが記録された記憶媒体。
D01
体液中のGA値を測定するセンサと接続されるように構成され、
メモリであって、前記センサで測定された複数の体液中のグリコアルブミン濃度及びアルブミン濃度とそれらの測定時刻とを含む第一データと、個人データ、健康関連データ、生活習慣データ、集団データの少なくとも一つを含む第二データとを保管するように構成されたメモリと、
前記第一データと前記第二データを解析する構成された解析センターと、
前記解析センターによる解析結果に基づいて、ユーザに対して有益なヘルスケア関連情報を提供するように構成されたコンピュータと、
を備えるヘルスケア管理システム。
E01
グリコアルブミンセンサにより測定された体液中のグリコアルブミン濃度及びアルブミン濃度とそれらの測定時刻とを含む第一データを測定毎に追加できるように構成された第一データ配列と、
個人データ、健康関連データ、生活習慣データ、集団データの少なくとも一つを含む第二データを含む第二データ配列と、
を備え、
コンピュータにより、
前記第一データと前記第二データとを参照して、
GA値、換算HbA1c値、前回値と比較、平均血糖値;
過去のある一つ又は複数の測定期間中の、それらの値の推定値;
将来のある一つ又は複数の測定期間中の、それらの値の予測値;
過去の生活習慣のトレンド情報;
将来発生する糖尿病またはその合併症、その他疾患の発症リスク;
生活習慣に関する提言;
の少なくとも一つを含む出力情報を生成して、
ユーザに対して前記出力情報を提供できる、
ように構成された、ヘルスケア管理用データ構造。
E02
前記第一データと前記第二データとの関連性情報を含む第三データを含む第三データ配列を更に備える、
E01に記載のヘルスケア管理用データ構造。
【0207】
以上、本開示の幾つかの実施形態及び実施例について説明したが、これらの実施形態及び実施例は、本開示を例示的に説明するものである。例えば、上記各実施形態は本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必要に応じて寸法、構成、材質、回路を追加変更してもよい。なお、上記に挙げた本開示の一または複数の特徴を任意に組み合わせた実施形態も本開示の範囲に含まれる。特許請求の範囲は、本開示の技術的思想から逸脱することのない範囲で、実施形態に対する多数の変形形態を包括するものである。したがって、本明細書に開示された実施形態及び実施例は、例示のために示されたものであり、本開示の範囲を限定するものと考えるべきではない。
【符号の説明】
【0208】
100 医療情報又はヘルスケア管理システム
110 コミュニケーションネットワーク
121,122 被検者
131,132 GA測定器
141,142 スマートデバイス
171,172 被検者でないユーザ
150 メモリ
160 AI解析センター
230 GA測定器
231 GA測定器本体
232 プロセス部/演算回路ブロック
233 メモリ
234 電源
235 表示部
236 通信部
237 センサ
300 第一データ構造
310 被検者特定情報
311 被検者名
312 被検者ID
320 測定関連情報
321 測定番号
322 センサ番号(センサ管理情報)
323 測定時刻(測定時間情報)
324 測定有効無効情報
325 グリコアルブミン濃度
326 アルブミン濃度
327 その他関連情報
【手続補正書】
【提出日】2024-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルスケア管理方法であって、
数日間の連続血糖測定により得られた被検者のグルコース値の変動データを取得すること;
前記変動データを取得した前記数日間と、前記数日間以外の期間とで、前記被検者の体液のGA値を取得すること;
前記数日間の前記連続血糖測定により得られた前記グルコース値の前記変動データと前記GA値との相関性を求めること;
前記連続血糖測定が実際に行われた前記数日間以外の期間のGA値から、前記数日間以外の期間の前記グルコース値の平均値を推定すること;
前記GA値と、前記GA値から推定された前記数日間以外の期間の前記グルコース値の前記平均値と、前記数日間の前記連続血糖測定の前記グルコース値の前記変動データのAGPとのいずれかでリスクを検出すること;及び
リスクが検出されたらば、前記リスクがある旨をユーザに報知すること;
を備える方法。
【請求項2】
前記変動データの前記AGPは、前記変動データの変動幅を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被検者に関する前記連続血糖測定の前記グルコース値の前記変動データの全て又は一部を参照し、機械学習又は深層学習を用いて、前記相関性を最適化することを更に備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記連続血糖測定により得られた前記グルコース値の前記変動データと、前記GA値との間の相関性を求めることは、
前記連続血糖測定により得られた前記グルコース値を尿酸値の関数で補正し、
前記尿酸値によるグルコース補正値と前記GA値との間の相関性を求めることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記連続血糖測定後に取得したGA値の変化に基づいて、次の連続血糖測定を行うべきか否かを判断し、前記判断を出力することを更に備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記連続血糖測定と実質的に同時に取得されたGA値を考慮して、次の連続血糖測定を行うべきか否かを判断することを更に備える、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記連続血糖測定後に取得したGA値の変化率が所定の値より大きい場合に、次の連続血糖測定を行うべき旨を出力することを更に備える、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記連続血糖測定後に前記AGPに応じて薬の処方箋又は投与に関する提案を生成し出力することを更に備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記GA値と前記連続血糖測定の前記グルコース値の平均値と変動幅とを参照して、生活習慣又は治療に関する提案を生成することを更に備える、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記生活習慣又は治療に関する前記提案を前記ユーザに提供するすることを更に備える、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記被検者は、糖尿病患者、糖尿病予備軍又は健常者であり、
前記ユーザは、前記被検者、医師、医療機関、薬剤師、薬局、自治体、政府、保険事業者、家族、勤務先企業、又はサービス提供者である、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記リスクは、糖尿病リスクを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記糖尿病リスク又は糖尿病に罹るまでの推定期間を、前記ユーザに対して提供することを更に備える、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記リスクは、糖尿病の合併症リスクを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記糖尿病の合併症リスク又は合併症に罹るまでの推定期間を、前記ユーザに対して提供することを更に備える、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記被検者の前記体液の前記GA値は、2週間から6か月にわたる期間において、複数回測定された涙液又は唾液のGA値を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記被検者の前記体液の前記GA値は、平均7日から28日間隔で、複数回測定された涙液又は唾液のGA値を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記複数回の測定のうちの一部又はすべての測定に関する、GA値、GA値の変化グラフ、換算HbA1c値、前回値と比較、平均血糖値、平均血糖値の変動、ヘルスフォーキャスト、対応案、健康ポイント、の少なくとも一つを示す情報を生成すること、及び
前記情報を前記ユーザに報知すること、
を更に備える、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記測定が行われた期間中の一部又はすべてに関する、GA値、換算HbA1c値、前回値と比較、平均血糖値の推定値;
将来のある一つ又は複数の期間又は時点に関する、GA値、換算HbA1c値、前回値と比較、平均血糖値の予測値;
過去の生活習慣のトレンド情報;
将来発生する糖尿病またはその合併症、その他疾患の発症リスク;
生活習慣に関する提言;及び
薬の服用に関する提言;
の少なくとも一つを前記ユーザに対して提供することを更に備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記被検者が、肝硬変、甲状腺機能低下、甲状腺ホルモン合成抑制剤の服用に該当する場合に、前記GA値が偽高値である可能性がある旨の注意を前記ユーザに報知することを更に備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記被検者が、ネフローゼ症候群、蛋白漏出性胃腸症、甲状腺機能亢進症、甲状腺ホルモン治療薬の服用に該当する場合に、前記GA値が偽低値である可能性がある旨の注意を前記ユーザに報知することを更に備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記被検者に関して、医療機関での実測HbA1c値があった場合には、直近のGA換算HbA1c値と比較すること、
実測HbA1c値≧GA換算HbA1c値の時は、平均血糖値が改善していること、
実測HbA1c値<GA換算HbA1c値の時は、平均血糖値が悪化していること、
又は、
前記被検者が、妊娠、人工透析、貧血、エリスロポエチン投与下、貧血治療中、腎機能障害、尿素高値、鉄欠乏、ビタミンB12欠乏、葉酸欠乏、ヘモグロビン異常症、輸血、代謝性アシドーシス、実測HbA1c測定の際のサンプルの溶血の少なくとも一つに該当する場合は、それに応じた項目に対する注意喚起を前記ユーザに報知すること、
を更に備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項23】
体重とGA値との相関性を求めることを更に備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項24】
GA値又はGA値の変動から体重の変動を推定することを更に備える、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記被検者の処方薬及び/又は投薬情報を参照し、GA値又はGA値の動向、それらに関連する値又はそれらの組み合わせに応じて、次の処方薬及び/又は投薬に関する提案を前記ユーザに出力することを更に備える、
請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記被検者の病歴と投薬情報を更に参照することを更に備える、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記提案は、
前記被検者が2型糖尿病患者であって、その投薬情報が経口血糖降下薬の一種であるスルホニル尿素薬の投与履歴を含む場合、同患者のGA値が制限値を超え、かつ食後血糖値が高いと判定されたときに、α-GI、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬の順に候補を提案すること;
前記被検者が2型糖尿病患者であって、その投薬情報が経口血糖降下薬の一種であるうちスルホニル尿素薬の投与履歴を含む場合には、同患者のGA値が制限値を超え、かつ空腹時血糖値が高いときに、ビグアナイト薬、DPP-4阻害薬の順に、安全かつ安価に追加する処方薬を提案すること;
前記被検者が2型糖尿病患者であって、その投薬情報がビグアナイト薬の投与履歴を含む場合には、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ食後血糖値が高いときに、α-GI、グリニド薬、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬の順に、空腹時血糖値が高い場合はチアゾリン薬、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬の順に、追加薬を提案すること;
前記被検者が2型糖尿病患者であって、その投薬情報がチアゾリン薬の投与履歴を含む場合には、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ食後血糖値が高いときに、α-GI、グリニド薬の順に、投与することを提案すること;
前記被検者が2型糖尿病患者であって、その投薬情報がチアゾリン薬の投与履歴を含む場合には、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ空腹時血糖値が高いときに、ビグアナイド薬を追加薬として投与することを提案すること;
前記被検者が2型糖尿病患者であって、その投薬情報がDPP-4阻害薬の投与履歴を含む場合には、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ食後血糖値が高いときに、α-GI、グリニド薬の順に、投与することを提案すること;
前記被検者が2型糖尿病患者であって、その投薬情報がDPP-4阻害薬の投与履歴を含む場合には、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ空腹時血糖値が高いときに、ビグアナイド薬、チアゾリン薬、SGLT2阻害薬の順に追加薬を投与することを提案すること;
前記被検者が2型糖尿病患者であって、その投薬情報がSGLT2阻害薬の投与履歴を含む場合には、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ食後血糖値が高いときに、α-GIを投与することを提案すること;
前記被検者が2型糖尿病患者であって、その投薬情報がSGLT2阻害薬の投与履歴を含む場合には、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ空腹時血糖値が高いときに、ビグアナイド薬、DPP-4阻害薬の順に追加薬を投与することを提案すること;
前記被検者が2型糖尿病患者であって、その投薬情報がGLP-1受容体作動薬の投与履歴を含む場合には、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ食後血糖値が高いときに、α-GIを投与することを提案すること;及び
前記被検者が2型糖尿病患者であって、その投薬情報がGLP-1受容体作動薬の投与履歴を含む場合には、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ空腹時血糖値が高いときに、ビグアナイド薬、SGLT2阻害薬の順に追加薬を投与することを提案すること;
の少なくとも一つを備える、
請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記提案は、
前記被検者が1型または2型糖尿病患者の場合、経口血糖降下薬に加えて、
持続性溶解インスリンを夕食時あるいは就寝前に1日1回注射をしている患者に対して、GA値が、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ食後血糖値が高いときに、α-GI、グリニド薬を投与することを提案すること;
経口血糖降下薬に加えて、持続性溶解インスリンを夕食時あるいは就寝前に1日1回注射をしている患者に対して、GA値が、第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ空腹時血糖値が高いときに、ビグアナイド薬、DPP-4阻害薬の順に追加薬を投与することを提案すること;
経口血糖降下薬に加えて、持続性溶解インスリンを朝に1日1回注射をしている患者に対して、GA値が第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ食後血糖値が高いときに、α-GI、グリニド薬を投与することを提案すること;
経口血糖降下薬に加えて、持続性溶解インスリンを朝に1日1回注射をしている患者に対して、GA値が第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ空腹時血糖値が高いときに、ビグアナイド薬、DPP-4阻害薬の順に、投与することを提案すること;及び
経口血糖降下薬に加えて、持続性溶解インスリンを朝に1日1回注射をしている患者に対して、GA値が第二データを参照して決定したGA制限値を上回り、かつ空腹時及び食後の両方で血糖値が高いときに、DPP-4阻害薬を追加薬として投与することを提案すること;
の少なくとも一つを備える、
請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記被検者に対して、体液を採取すべきことを報知することを更に備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記体液を採取すべきことを報知することは、実質的に17日又は2週間に1度の頻度で体液を採取すべきことを報知することを含む、
請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記体液を採取すべきことを報知することは、体液を採取すべきタイミングが近づいている旨、同タイミングである旨又は同タイミングが過ぎている旨を報知することを含む、
請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記体液は、血液、涙液又は唾液である、
請求項1に記載の方法。
【請求項33】
ヘルスケア管理システムであって、
被検者の体液のGA値、及び数日間の連続血糖測定により得られた前記被検者のグルコース値の変動データを取得するコンピュータと、
前記取得されたGA値及び前記グルコース値の前記変動データとを保管するメモリと、
前記変動データを取得した前記数日間と、前記数日間以外の期間とで、前記被検者の前記体液のGA値を求め、
前記数日間の連続血糖測定により取得された前記グルコース値の前記変動データと、前記GA値との相関性を求め、
前記数日間以外の期間のGA値から、前記数日間以外の期間のグルコース値の平均値を推定し、
前記GA値と、前記数日間以外の期間の前記グルコース値の前記平均値と、前記数日間の連続血糖測定の前記グルコース値の前記変動データのAGPとのいずれかでリスクを検出し、
リスクが検出されたらば、前記リスクがある旨を含む出力情報を生成する解析センターと、を備え、
前記コンピュータは、前記出力情報をユーザに報知するように構成された、
を備えるシステム。
【請求項34】
前記被検者の前記体液の前記GA値を測定するセンサと接続されるように構成され、
前記センサで測定された前記GA値を取得して、前記メモリに保管し、
前記GA値の測定時刻を更に取得して、前期メモリに保管する、
ように構成された、
請求項33に記載のヘルスケア管理システム。