(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096867
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ナノダイヤモンド粒子及び関連する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 49/00 20060101AFI20240709BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240709BHJP
C07K 14/46 20060101ALN20240709BHJP
【FI】
A61K49/00
G01N21/64 F
C07K14/46
【審査請求】有
【請求項の数】49
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024064643
(22)【出願日】2024-04-12
(62)【分割の表示】P 2022016647の分割
【原出願日】2017-09-06
(31)【優先権主張番号】62/383,657
(32)【優先日】2016-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/522,036
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】519077610
【氏名又は名称】デビナ・ダイアグノスティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Debina Diagnostics, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【弁理士】
【氏名又は名称】西下 正石
(74)【代理人】
【識別番号】100156122
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】ジョーラ・ゼット・フォイアースタイン
(72)【発明者】
【氏名】マーク・イー・スターンバーグ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】血小板及び血栓の検出に特有の診断薬、ツールおよびシステムを提供する。
【解決手段】ヒトまたはヒト以外の動物における検体を検出するための診断薬であって、ポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドと化学的に結合した蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含み、前記被験者において検体が存在する場合、前記検体に結合し、前記蛍光性ナノダイヤモンド粒子が200nm~1μmの平均断面寸法を有する診断薬とし、キットは前記診断薬の分配、運搬、及び/又は貯蔵に適した材料をさらに含む。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者における検体を検出するための診断薬であって、ポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドと化学的に結合した蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含み、前記被験者において検体が存在する場合、前記検体に結合し、前記蛍光性ナノダイヤモンド粒子が200nm~1μmの平均断面寸法を有し、前記被験者はヒトまたはヒト以外の動物である、診断薬。
【請求項2】
前記ポリペプチドが、ディスインテグリンである、請求項1に記載の診断薬。
【請求項3】
前記ナノダイヤモンド粒子本来の性質の結果として、蛍光性である、請求項1に記載の診断薬。
【請求項4】
電磁気源により励起された際、検出可能な電磁気的シグナルを放出する、請求項1に記載の診断薬。
【請求項5】
前記蛍光性ナノダイヤモンド粒子及び前記ポリペプチドが、共有結合している、請求項1に記載の診断薬。
【請求項6】
前記ディスインテグリンが、ビチスタチンである、請求項2に記載の診断薬。
【請求項7】
血栓塞栓事象の診断又は予後診断の方法であって、
血栓塞栓事象を罹患していた又はそのリスクにある疑いがある被験者に、診断薬を診断に効的な量、投与する工程、
該診断薬が十分な時間、血栓部位に局在化させる工程、及び
該診断薬の蛍光放出を検出することで該診断薬を検出する工程
を含む方法に使用する、請求項1~6のいずれかに記載の診断薬。
【請求項8】
前記方法が活性血小板の検出方法である、請求項7に記載の診断薬。
【請求項9】
前記方法が、血栓塞栓事象を罹患していた又はそのリスクにある疑いがある被験者における血栓又は血栓の形成の検出方法である、請求項7に記載の診断薬。
【請求項10】
血栓の検出についての診断方法における使用のための、分配、運搬、及び/又は貯蔵に適した詰め合わせの形の、請求項7~9のいずれかに記載の診断薬
を含むキット。
【請求項11】
前記診断薬の分配、運搬、及び/又は貯蔵に適した材料をさらに含む、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
詰め合わせの組み合わせで、1つ以上の、血栓塞栓事象を罹患していた又はそのリスクにある疑いがある被験者への前記診断薬の投与のための試薬又は装置をさらに含む、請求項10に記載のキット。
【請求項13】
前記診断薬へ励起エネルギーを放出する装置をさらに含む、請求項10に記載のキット。
【請求項14】
前記励起エネルギーを放出する装置が、前記診断薬由来の放出応答を検出するための検出器をさらに含む、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記装置が、手持ち式装置である、請求項13又は14に記載のキット。
【請求項16】
ヒト又はヒト以外の動物における血栓塞栓事象の検出のための診断薬であって、ビチスタチンと化学的に結合した蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含み、前記蛍光性ナノダイヤモンド粒子が200nm~1μmの平均断面寸法を有する、ヒトまたはヒト以外の動物における検体を分析するための診断薬。
【請求項17】
前記ダイヤモンド粒子の本来的な性質の結果として蛍光性である、請求項16に記載の診断薬。
【請求項18】
電磁気源により励起された際、検出可能な電磁気的シグナルを放出する、請求項16に記載の診断薬。
【請求項19】
前記蛍光性ナノダイヤモンド粒子、及び前記ビチスタチンが共有結合している、請求項16に記載の診断薬。
【請求項20】
血栓塞栓事象の診断又は予後診断のための方法であって、該方法が、
血栓塞栓事象を罹患していた又はその疑いのある被験者に、診断薬を診断的に効果のある量、投与する工程、
該診断薬を十分な時間、血栓部位に局在化させる工程、及び
該診断薬の蛍光放出を検出することで診断薬を検出する工程
を含む方法に使用する、請求項16~19のいずれかに記載の診断薬。
【請求項21】
前記方法が血小板の検出方法である、請求項20に記載の診断薬。
【請求項22】
前記方法が被験者における血栓又は血栓の形成を検出する方法である、請求項20に記載の診断薬。
【請求項23】
血栓及び/又は活性血小板の検出のための診断法における使用のための分配、運搬、及び/又は貯蔵に適した詰め合わせの形の請求項16に記載の診断薬を含む、キット。
【請求項24】
前記診断薬の分配、運搬、及び/又は貯蔵に適した材料をさらに含む、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
詰め合わせの組み合わせで、被験者への前記診断薬の投与のための1つ以上の試薬又は装置をさらに含む、請求項23に記載のキット。
【請求項26】
前記診断薬に対し、励起エネルギーを放出する装置を含む、請求項23に記載のキット。
【請求項27】
励起エネルギーを放出する前記装置が、前記診断薬からの放出応答を検出する検出器をさらに含む、請求項26に記載のキット。
【請求項28】
前記装置が手持ち式装置である、請求項26又は27に記載のキット。
【請求項29】
サンプル注入口、
該サンプル注入口と流体的に連通している容器であって、複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含む容器、
該複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子と結合した複数の第1の化学種、及び
該容器と流体的に連通している検出領域であって、該検出領域と結合した複数の第2の化学種を含む検出領域
を含み、前記蛍光性ナノダイヤモンド粒子が200nm~1μmの平均断面寸法を有し、
該複数の第1の化学種がディスインテグリンである、
流体装置。
【請求項30】
前記検出領域と流体的に連通している制御領域であって、該制御領域が、該制御領域と結合した複数の第3の化学種をさらに含む、請求項29に記載の流体装置。
【請求項31】
複数の第1の化学種及び複数の第2の化学種が、各々、検体と結合するよう配置されている、請求項29に記載の流体装置。
【請求項32】
前記第3の化学種が、前記第1の化学種と結合することが可能である、請求項30に記載の流体装置。
【請求項33】
前記蛍光性ナノダイヤモンド粒子が、250nmより大きい又は等しい及び1000nmより小さい又は等しい波長の放出を有する、請求項29~32のいずれかに記載の流体装置。
【請求項34】
前記制御領域と流体的に連通している吸収領域をさらに含む、請求項29~33のいずれかに記載の流体装置。
【請求項35】
前記流体装置が、フローアッセイ装置である、請求項29~34のいずれかに記載の流体装置。
【請求項36】
前記ディスインテグリンが、アルボラブリン、アップラジン、バーブーリン、バトロキソスタチン、ビチスタチン、オブツスタチン、チスタチン、エチスタチン、エレガンチン、エリスチコフィン、フラボリジン、ハリシン、キストリン、モジャスチン、ルビスタチン、テルゲミニン、サルモシン又はトリフラビンである、請求項29に記載の流体装置。
【請求項37】
請求項29に記載の2つ以上の流体装置を含むシステム。
【請求項38】
サンプル注入口、
該注入口と流体的に連通している容器であって、複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含む容器、
該複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子と結合した複数の第1の化学種、
該容器と流体的に連通している検出領域であって、該検出領域と結合した複数の第2の化学種を含む検出領域、及び
該検出領域で蛍光放出を定量するよう配置されている検出器
を含み、前記蛍光性ナノダイヤモンド粒子が200nm~1μmの平均断面寸法を有し、
該複数の第1の化学種がディスインテグリンである、
システム。
【請求項39】
前記ディスインテグリンが、アルボラブリン、アップラジン、バーブーリン、バトロキソスタチン、ビチスタチン、オブツスタチン、チスタチン、エチスタチン、エレガンチン、エリスチコフィン、フラボリジン、ハリシン、キストリン、モジャスチン、ルビスタチン、テルゲミニン、サルモシン又はトリフラビンである、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
サンプル注入口、
該注入口と流体的に連通している容器であって、複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含む容器、
該複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子と結合した複数の第1の化学種、
該容器と流体的に連通している検出領域であって、該検出領域と結合した複数の第2の化学種を含む検出領域、及び
該検出領域で赤外シグナルを定量するよう配置されている検出器
を含み、前記蛍光性ナノダイヤモンド粒子が200nm~1μmの平均断面寸法を有し、
該複数の第1の化学種がディスインテグリンである、
システム。
【請求項41】
前記ディスインテグリンが、アルボラブリン、アップラジン、バーブーリン、バトロキソスタチン、ビチスタチン、オブツスタチン、チスタチン、エチスタチン、エレガンチン、エリスチコフィン、フラボリジン、ハリシン、キストリン、モジャスチン、ルビスタチン、テルゲミニン、サルモシン又はトリフラビンである、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
検体を含む疑いのあるサンプルを流体装置の流体チャネルへ導入すること、
該検体が存在する場合、複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子と結合した化学種の少なくとも一部分と結合するよう、該サンプルを複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子と結合した化学種に曝露すること、
該検体と結合していないすべての蛍光性ナノダイヤモンド粒子及び化学種を除くこと、及び
該検体と結合した複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子の蛍光放出を定量すること、
を含み、前記蛍光性ナノダイヤモンド粒子が200nm~1μmの平均断面寸法を有し、
該複数の第1の化学種がディスインテグリンである、
方法。
【請求項43】
サンプル中に存在する検体の量が、蛍光放出の強度が関係している、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ディスインテグリンが、アルボラブリン、アップラジン、バーブーリン、バトロキソスタチン、ビチスタチン、オブツスタチン、チスタチン、エチスタチン、エレガンチン、エリスチコフィン、フラボリジン、ハリシン、キストリン、モジャスチン、ルビスタチン、テルゲミニン、サルモシン又はトリフラビンである、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
被験者において検体を検出するための、化学種に結合した複数のナノダイヤモンド粒子であって、
検体が存在する場合、前記化学種が該検体と結合し得るよう、化学種と結合した複数のナノダイヤモンド粒子を前記被験者に投与する工程、及び
存在する場合、該検体と結合した化学種を含む、複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子の蛍光放出を検出する工程
を含む方法に使用し、200nm~1μmの平均断面寸法を有する、複数のナノダイヤモンド粒子。
【請求項46】
前記方法が、蛍光放出の強度の定量を含む、請求項45に記載のナノダイヤモンド粒子。
【請求項47】
前記特定の検体が血栓に関連する標識または抗原であって、蛍光放出を検出することが、被験者における血栓の存在を示唆する、請求項45に記載のナノダイヤモンド粒子。
【請求項48】
前記特定の検体がウイルスであって、蛍光放出を検出することが、被験者におけるウイルスの存在を示唆する、請求項45に記載のナノダイヤモンド粒子。
【請求項49】
前記化学種が、エボラウィルスと結合することが可能である、請求項45~48のいずれかに記載のナノダイヤモンド粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
検体の検出及び/又は定量のためのナノダイヤモンド粒子といった、ナノダイヤモンド粒子及び関連する装置及び方法が、一般的に述べられる。さらに、本発明は、医学及び獣医学的診断及び処置の分野に関する。より具体的には、本発明は、血小板及び血栓の検出に特有の診断薬、ツール、及びシステムに関する。さらに、本発明は、種々の病気及び外傷性条件における体内の出血部位の検出に関する。
【0002】
本出願は、米国特許法第119条の下、2016年9月6日に出願された、『ヒト及び動物用薬における血栓の診断及び処置のための蛍光性ナノダイヤモンド粒子(F-NDP)のエンジニアリング及び有用性』という表題の米国特許仮出願第62/383,0657号、及び2017年6月19日に出願された、『ナノダイヤモンド粒子及び関連する装置及び方法』という表題の米国特許仮出願第62/522,036号に対する優先権を主張し、それらはすべての目的に関し、参照によりこの本文にそのまま組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
脳卒中及び心臓発作といった心臓血管の病気は、先進国において主たる致死の原因である。脳卒中及び心臓発作に由来する死は、専ら、脳及び心臓血管に形成された血栓(blood clots)(thrombi)又は離れた血管(例えば、末梢静脈システム、心房付随物)中に形成された血栓と関連する血栓塞栓事象(TEE)の結果である。致命的なTEE(例えば、アテローム性動脈硬化血管病)に寄与するいくつかの因子がよく知られているが、TEEの前兆として未だ入念に検査が行われていない因子はもちろんのこと、特定の評価における明確な『診断及び予後診断ギャップ』、及び既知のリスク因子を有する個人に『全血栓負荷』が存在する。相変わらず、脳卒中又は心臓発作につながる血流閉塞の結果の臨床的説明では、TEEの原因を捜索する医学的調査が正確に要求される。そうした調査は大部分、血管造影法、CATスキャン、MRI及び超音波といった、病院ベースのイメージング試験である。現在の技術は、脳卒中及び心臓発作の時宜にかなった、上手な管理にとって重要であるが、いくつかの重要な限定する要因が対処されるべきである。第1に、一般の人々、特に心臓血管のリスクを有している年配の人々は、しばしば血管中の血栓を評価する病院ベースの技術の利用が限られている。第2に、病院においてさえも、これらのイメージング技術の利用は、試験及び専門家による評価と関連した、ある時間的要求を有する。事件の発生から処置ウィンドウが3~4.5時間に限られている脳卒中の場合において、しばしば処置のための重要なウィンドウを失う程度にまで、多くの時間が、血栓溶解処置に関する患者の適格性を確立するのに費やされる。
【0004】
他方の端において、心房微細化(慢性、再発性)といった心臓不整脈の診断がなされると、心室において血栓が未知であっても、TEEのリスクにより抗凝固剤での長期的な処置が命じられる。TEEリスクの主要な診断ギャップを提示する例がほとんどなく、それらは早期の診断及び予防的尺度がないためにしばしば致命的な結果となる。容易かつ広く利用でき、手頃な料金の、外来治療での全身の血栓負荷又はTEEリスクの早期の評価が必要とされている。
【0005】
さらに、ラテラルフローアッセイといった免疫クロマトグラフィーアッセイが、一般的に、サンプル中の抗原といった検体の存在又は非存在を検出するのに使用される。しかしながら、そのような分析法は、一般的に、自動化処理、正確な定量法を欠いており、ある場合においては、主観的解釈が要求される可能性があり、偽陽性及び/又は偽陰性という結果につながる。
【0006】
したがって、改善された装置及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
ナノダイヤモンド粒子、及び検体の検出及び/又は定量のためのナノダイヤモンド粒子(例えば、蛍光性ナノダイヤモンド粒子)のような関連する装置及び方法が、一般的に述べられる。本発明の主題は、ある場合において、相互に関連する製品、特定の問題に対する代替解決策、及び/又は1つ以上のシステム及び/又は物品の複数の異なる使用を含む。
【0008】
1つの態様において、診断薬が提供される。ある実施形態において、該診断薬は、ポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドと化学的に結合した蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含む。
【0009】
別の態様において、流体装置が提供される。ある実施形態において、該流体装置は、サンプル注入口、該サンプル注入口と流体的に連通している容器であって、複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含む容器、該複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子と結合した複数の第1の化学種、該容器と流体的に連通している検出領域であって、該検出領域と結合した複数の第2の化学種を含む検出領域、及び該検出領域と流体的に連通している制御領域であって、該制御領域と結合した複数の第3の化学種を含む制御領域を含む。
【0010】
さらに別の態様において、システムが提供される。ある実施形態において、該システムは、サンプル注入口、該注入口と流体的に連通している容器であって、複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含む容器、該複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子と結合した複数の第1の化学種、該容器と流体的に連通している検出領域であって、該検出領域と結合した複数の第2の化学種を含む検出領域、及び該検出領域で蛍光放出を定量するよう配置された検出器を含む。
【0011】
ある実施形態において、該システムは、サンプル注入口、該注入口と流体的に連通している容器であって、複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含む容器、該複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子と結合した複数の第1の化学種、該容器と流体的に連通している検出領域であって、該検出領域と結合した複数の第2の化学種を含む検出領域、及び該検出領域で赤外シグナルを定量するよう配置されている検出器を含む。
【0012】
さらに別の態様において、方法が提供される。ある実施形態において、該方法は、流体装置の流体チャネルへ検体を含む疑いのあるサンプルを導入すること、該サンプルを、検体が存在した場合、複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子と結合した化学種の少なくとも一部と結合するよう、複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子と結合した化学種に曝露すること、該検体と結合していないいかなる蛍光性ナノダイヤモンド粒子及び化学種を除くこと、及び該検体と結合した複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子の蛍光放出を定量すること、を含む。
【0013】
ある実施形態において、該方法は、特定の検体を含む疑いのある被験者(例えば、ヒト、ほ乳類)に、検体が存在した場合、化学種が検体と結合し得るよう、化学種と結合した複数のナノダイヤモンド粒子を投与する工程、及び、存在した場合、検体と結合した化学種を含む複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子の蛍光放出を検出する工程を含む。
【0014】
本発明の他の利点及び新規特徴は、添付の図と併せて考慮した際、以降の本発明の種々の限定されない実施形態の詳細な説明より明らかとなる。本明細書及び参照により組み入れられる文書が、競合する及び/又は矛盾する開示を含む場合には、本明細書が支配するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の限定されない実施形態は、添付の図を参照して、実施例により示されることとなるが、それらは概要的なもので、基準に描かれることは意図していない。図において、示されているのと同一又はほぼ同一の各要素は、典型的には、単独の数字で表される。明確のため、図ごとに要素ごとにラベルしてはおらず、本発明の各実施形態の要素ごとにも、当業者に発明を理解させるために図が必要ない箇所においては、示していない。図において、
【
図1A】
図1Aは、実施形態の1つのセットによる、蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含むシステムの略図である。
【
図1B】
図1Bは、実施形態の1つのセットによる、蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含むシステムの略図である。
【
図2A】
図2Aは、実施形態の1つのセットによる、検体の検出のための蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含むシステムの略図である。
【
図2B】
図2Bは、実施形態の1つのセットによる、検体を含む疑いのあるサンプルの導入する上での、検体の検出のための蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含むシステムの略図である。
【
図2C】
図2Cは、実施形態の1つのセットによる、検体を含む疑いのあるサンプルの導入した上後の、検体の検出のための蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含むシステムの略図である。
【
図3】
図3は、実施形態の1つのセットによる、ヒトIgGのような化学種で機能化された、例となる蛍光性ナノダイヤモンド粒子の略図である。
【
図4】
図4は、実施形態の1つのセットによる、複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含む容器を含む、例となるシステムの写真である。
【
図5】
図5は、実施形態の1つのセットによる、種々の濃度での蛍光性ナノダイヤモンド粒子と結合したヒトIgGの検出の、対対照(牛血清アルブミン(BSA))の、半ELISAのプロットである。
【
図6】
図6は、実施形態の1つのセットによる、頸動脈血栓中、ビチスタチンで機能化された蛍光性ナノダイヤモンド粒子の定量の、対ラット中の対照血管の、プロットである。
【
図7A】
図7Aは、実施形態の1つのセットによる、蛍光性ナノダイヤモンド粒子が導入された発生した血栓を伴うラット(複数)由来の頸動脈の、走査型共焦点顕微鏡画像を示す。
【
図7B】
図7Bは、実施形態の1つのセットによる、蛍光性ナノダイヤモンド粒子が導入された発生した血栓を伴うラット由来の頸動脈の、走査型共焦点顕微鏡画像を示す。
【
図8】
図8は、実施形態の1つのセットによる、頸動脈中に発生した血栓近傍の大腿動脈に組織的に注入した蛍光性ナノダイヤモンド粒子で処置した、又は処置していない、血栓の組織懸濁液の画像を示す。
【
図9】
図9は、例となる実施形態において使用したNDP-Fsの蛍光を最適化する、励起対放出波長の2次元的スクリーニングを示す蛍光スクリーニングの結果である。図は、NDP-Fsのための最大の蛍光の最適化を示す。ヒートマップは、励起対放出波長の全スペクトルにおける蛍光スクリーニングの結果を表す。実験は、Tecanプレートリーダーを使用して行った。NDP-FsをPBS中、懸濁液として96ウェルプレート(0.3mg/0.1ml)上に適用した。ブランク、又は負の対照は、PBS単独で使用して確立した。
【
図10】
図10は、『半ELISAアッセイ』におけるNDP-Fs上でのBtの検出を示す折れ線グラフである。NDPsは、Bt又はBSAと結合しており,X軸に示されているようにNDP-Fs1mgの当たりの濃度で使用した。3つの複製において、0.2mgの各NDPサンプルを半ELISAに使用した。実験は、培養の間の緩やかな回転とともに96ウェルプレート(U型底)上で行った。NDPsは、Btに対して第1抗体を加える前に10%ヤギ血清でブロックした。NDPサンプルは、37°Cで1時間、抗Bt抗体で培養し、プレートは、室温での遠心分離(1,000xg)により、PBSTで3回洗浄した。ヤギ抗ウサギIgGAP複合体(Sigma Inc。)を1:2000に希釈して加え、前記のように1時間、培養した。最終洗浄を前記のように行い、基質(pNPP)をAPに加えた。30分間発色させ、NDPサンプルを遠心分離した。上澄みを96ウェルプレートに移し、405nm波長の下、ELISAプレートリーダーを使用して読み取った。エラーバーは、半ELISA法に適用した、3つの独立したサンプル由来の標準偏差(SD)を表す。
【
図11】
図11は、半ELISAでの、純粋なインテグリンとNDPsとの相互作用を示す、折れ線グラフである。実験は、U型底96ウェルプレートを使用して行った。プレート を5%BSAで一晩ブロックし、一方NDPsは、プレート上で適用する前に、37℃で1時間の培養することにより、3%BSAでブロックした。ブロックしたNDPsをウェルに加え(ウェル当たり0.2mg)、プレートを室温で遠心分離した(10,000xg)。指示濃度で血小板フィブリノゲン受容体(PFR)を0.1mLの、生理学的濃度でCa
2+(CaCl
2として)及びMg
2+(MgCl
2として)を含むHanksの平衡塩溶液(HBSS)に各ウェルに対し加え、37℃で1時間培養した。NDPsは、室温でのプレートの遠心分離(1,000xg)により3回洗浄し、フィブリノゲン受容体に対し、第1ポリクローナル抗体を加えた(2μg/ml)。37°Cで1時間、培養を行い、サンプルを前記のように3回洗浄した。ヤギ抗ウサギIgGAP複合体(Sigma Inc。)を1:3000に希釈し、加えて前記同様1時間培養した。最終的な洗浄を前記のように行い、基質(pNPP)をAPに加えた。30分間発色させ、プレート上のNDPサンプルを室温で遠心分離(10,000xg)し、NDPをペレットとして集めた。上澄みを平底96ウェル(0.1ml)プレートに移し、405nm波長でELISAプレートリーダーを使用して読み取った。
【
図12】
図12は、固定したPFRに対する、NDP-F-Bt及びNDP-BSAの接着を示す、折れ線グラフである。PFRは、PBS中、4°Cで一晩培養して96ウェルプレート上に固定した。プレート及びNDPsは、3%BSAでブロックした。1mgのタンパク質(Bt又はBSA)と結合したNDPsを実験に使用した。NDPs(300mg)をウェルに加えた。カルシウム及びマグネシウムを生理学的濃度で含むHBSS緩衝液中で、37°Cで1時間、培養を行った。結合していないNDPsを真空吸引とともに、同一の緩衝液を使用して、6回集中的に洗浄した。最後に、HBSS(100μl)をウェルに加え、485nm(励起)及び530(放出)波長で、蛍光プレートリーダーを使用して蛍光を読み取った。
【
図13】
図13は、固定したフィブリノゲン受容体に対する、NDP-F-Bt及びNDP-BSAの接着の定量を示す、折れ線グラフである。フィブリノゲン受容体は、4°Cで一晩培養し、8ウェルガラスチャンバースライド上に固定した。ウェルを3%BSAでブロックし、前にまた3%BSAでブロックしたNDPsを、カルシウム及びマグネシウムを生理学的濃度で含むHBSSに加えた(200ml当たりウェル当たり50mg)。接着プロシージャを、
図12当たりに行った。最終工程において、スライドを据え付けの緩衝液(Vector Lab)で調製した。画像は、油レンズを使用して蛍光顕微鏡(400×)の下、解析した。NDPsの数は、ImageJソフトウェアを使用して計算した。エラーバーは、各濃度のフィブリノゲン受容体に対して撮られた3つの独立した画像に対するSDを表す。
【
図14】
図14は、固定したPFRに接着したNDP-F-Btの代表的な画像を表す。PFR(指示濃度)を8ウェルチャンバースライド上に固定し、
図13に示すように実験を行った。凡例において、バーは20μmを表す。
【
図15】
図15は、外頸動脈注入を経由して、FNDPで処置した後の頸動脈血栓のIVIS及び共焦点顕微鏡で撮られた蛍光画像の写真を示す。
図15Aは、頸動脈分岐部領域の露光の後、IVISイメージングを経由して、可視処理した後の頸動脈血栓の蛍光を示す、in situでの頸動脈分岐部領域画像を示す。
図15B及び15Cは、血栓におけるFNDPの蓄積を示唆する、in vivoでの頸動脈分岐部から発散される蛍光の高拡大画像である。
図15Dは、頸動脈分岐部での血栓局所化に相当する蛍光を示す1つの枝を表す、ex vivoでの頸動脈分岐部の蛍光を示す。
図15E及び15Fは、Olympus IX83で撮影した共焦点画像であり、FNDP蛍光は、543nmの励起、655-755nmの放出で検出されることを示す。
【
図16】
図16は、FNDPで静脈を処置した後、IVIS及び共焦点顕微鏡で撮影された頸動脈血栓の蛍光画像を示す。
図16Aは、生理食塩水で処置した対照由来のex vivoでの蛍光画像を示す。
図16Bは、血栓を有する枝に局所化した蛍光を示すIV FNDPで処置した動物由来の頸動脈のex vivoでの蛍光画像を示す。
図16C-Fは、Olympus IX83で撮影した共焦点画像を示す。
図16Gは、生理食塩水で処置した対照と比較して、外頸動脈を経由して又は静脈に局所的に処置された動物由来の頸動脈血栓溶解物中に存在するFNDPsの数を示す、グラフである。
【
図17A】
図17A-17Bは、トロンビン(1U/ml)によるラットの血液血漿由来の血栓の生成に関する、F-NDP-Bt相互作用の特異性の蛍光顕微鏡検査を示す。
図17Aは、蛍光顕微鏡Olympus IX81解析により得られる、血漿血栓の100倍拡大の下での画像を示す。測定に使用された波長:励起 Cy5.5BkG(580-610nm)、放出 Cy5.5(695-770nm)。バックグラウンドの控除について:励起 GFP(445-490nm)、放出 Cy5.5(695-770nm)。露光時間:1分である。矢印は血栓の局所化を指す。
【
図17B】
図17A-17Bは、トロンビン(1U/ml)によるラットの血液血漿由来の血栓の生成に関する、F-NDP-Bt相互作用の特異性の蛍光顕微鏡検査を示す。
図17Bは、IVIS 50 イメージングシステムにおいて得られた血漿血栓の画像を示す。測定に使用された波長:励起 Cy5.5BkG(580-610nm)、放出 Cy5.5(695-770nm)。バックグラウンドの控除について:励起 GFP(445-490nm)、放出 Cy5.5(695-770nm)。露光時間:1分である。矢印は血栓の局所化を指す。
【
図18A】
図18A-18Bは、ラット(検死)の皮下に移植された、F-NDP-Btで満たした血管の画像を示す。
図18Aは、F-NDP-Bt(4mg/ml)又はPBS(対照)で満たした移植したガラスキャピラリーの画像を示す。露光時間は、5秒間であった。
【
図18B】
図18Bは、F-NDP-Btで満たしたラットの大動脈の画像を示す。ラットの大動脈は、安楽死させた雌のラットから切断し,PBSで洗浄して凝固した血液の残りを除き、PBS中、300μlのF-NDP-Bt懸濁液(2mg/ml)で満たした。
【
図18C】
図18Cは、トロンビン誘起PRP血栓におけるF-NDP-Bt、F-NDP-Bt+ロトラフィバン(lt)、及びF-NDP-BSAに関する平均蛍光強度のプロットを示す。
【
図19】
図19A-19Cは、プロテナーゼ-活性受容体4(PAR4 AP、
図19A)、アデノシン二リン酸(ADP、
図19B)、及びアラキドン酸(AA、
図19C)についての平均最高血小板凝集+/-標準偏差回帰直線に関する、ビチスタチン(すなわち、プローブ)で機能化された、700nm直径の蛍光性ナノダイヤモンド粒子を有する及び有さない、用量反応曲線を示す。
【
図20】
図20A-20Cは、種々の濃度での、血小板個数と結びついた700nm及び200nm直径のプローブのボックスプロットを示す。
図20Aは、全血小板のパーセンテージを示し、
図20Bは、CD62+ve血小板のパーセンテージを示し、及び
図20Cは、種々の濃度での700nm及び200nmプローブと結合したGPIIb/IIIa+ve血小板のパーセンテージを示す。示されているデータは、平均(+)であり、ボックス内の線は中間を表し、ボックスの上端及び下端は、75番目の及び25番目のパーセンタイルを表し、及び上部及び下部のひげは95番目の及び5番目のパーセンタイルを表す。
【
図21】
図21は、刺激対刺激なしの血小板個数についての、700nm直径のプローブと結合した血小板のパーセンテージのプロットを示す。示されているデータは、350mcg/mLのプローブの濃度での、刺激対刺激なし血小板における、プローブと結合した全血小板の平均のパーセンテージ(+/-標準偏差)である。
【
図22】
図22は、刺激対刺激なしの血小板個数についての、200nm直径のプローブと結合した血小板のパーセンテージのプロットを示す。示されているデータは、350mcg/mLのプローブ濃度での、刺激対刺激なしの血小板における、プローブと結合した全血小板の平均のパーセンテージ(+/-標準偏差)である。
【
図23】
図23A-23Dは、刺激なし及び刺激ありの細胞及び血小板の個数についてのフローサイトメトリーの点プロットを示す。
【
図24】
図24A-24Dは、刺激なし及び刺激ありの細胞及び血小板の個数についてのフローサイトメトリーの点プロットを示す。
【
図26】
図26A-26Cは、懸濁液中のF-NDP(NV)及びF-NDP(NVN)のNIR蛍光強度の比較を示す。(
図26A)F-NDP懸濁液は、蛍光のため、励起及び放出の範囲で蛍光プレートリーダーにおいてスキャンした。蛍光は、ブランクのウェルを差し引き、log10処理をすることで標準化されている。(
図26B)キャピラリーは、PBS中、指示密度のF-NDPで満たし、5秒の露光を使用して、IVISイメージングにより解析した。挿絵は、キャピラリーの代表画像を示す。平均蛍光はプロットで表されている。(
図26C)露光時間の関数として異なるF-NDP(NV)濃度に関する蛍光強度の比較。エラーバーは、3~5の独立した実験のSDを表す。*F-NDP(NV)及びF-NDP(NVN)間の差(P<0.01)
【
図27】
図27A-27Dは、IVISにおいての異なる露光時間下での、異なるサイズのF-NDP(NV)の蛍光強度の比較を示す。左のペインは、F-NDP(NV)の代表的な画像であり、プロットされた濃度で表される。粒子のサイズは、(上から):各々、100、700、及び10,000nmである。エラーバーは、3つの独立した実験に関してのSDを示す。
【
図28】
図28A-28Hは、異なる生体バリアを通じてのF-NDP NIR蛍光の検出能の、IVISを使用する、比較を示す(
図28A)。F-NDP、F-NDP(NVN)(4mg/ml)、又はPBSで満たしたキャピラリー(NV)(4mg/ml)は、安楽死させたラットの腹部の皮膚パッチのもとに置いた。キャピラリーの位置を矢印で示す(
図28B)。2mm(側面)から5.9mm(中央)に及ぶラットの大腿四頭筋筋肉覆われたF-NDP(NV)で満たしたキャピラリー。(
図28C)F-NDP(4mg/ml)又はPBSで満たしたキャピラリー(4mg/ml)を豚の腋の下の静脈に挿した。(
図28D)F-NDP(4mg/ml)又はPBSで満たしたキャピラリーを副真皮がない豚の皮膚(2.5mm)で覆った。(
図28E)副真皮がない2.5mmの豚の皮膚を通しての、異なる濃度のF-NDP(NV)の蛍光強度。(
図28F)F-NDP(NV)(2mg/ml)又はPBSで満たし及び真皮及び副真皮を含む8mmの豚の皮膚で覆われた豚の腋の下の静脈(
図28G)F-NDP(NV)(20mg/ml)、F-NDP(NVN)(20mg/ml)及びPBS(同一体積)で満たされ、厚さが増加した脂肪組織(挿し絵に示されている)を含む豚の皮膚で覆われたキャピラリー。(
図28H)表面から11.89mm下の動脈を示す、ヒト頸動脈の代表的な超音波。
【
図29】
図29A-29Nは、外頸動脈を経由してのF-NDP(NV)-Bitの注入を示す。頸動脈血栓はin situで画像化され、さらに直接的なイメージング及び解析のために動物から分離される。(
図29A-29F)2秒の露光で、580-610nmの励起及び695-770nmの放出通過域を使用して、全動物イメージングのために設計されたIVISスキャナーで記録された画像。自動蛍光は、445-490nmでの励起に基づき、差し引いた(
図29A、
図29B)複製動物の処理後の、IVISによる、頸動脈血栓のin situでの蛍光イメージング(切断による首粒子の分離後)スケールバー=1cm。(
図29C-29F)F-NDP(NV)-Bit処理(
図29C,
図29D)又は展色剤対照で処理(
図29E,
図29F)した後の、分離した頸動脈のEx-vivoでの蛍光。スケールバー=1mm。(
図29G-29J)共焦点画像の山はOlympus FV 1000で撮影した。F-NDP(NV)-Bit蛍光が、543nmの励起及び655-755nmの放出で検出された。バックグラウンドの蛍光は、555-625nmの放出を伴う、同一の励起から集め、及びフォアグラウンドから差し引いた。スケールバー=1mm。F-NDP(NV)-Bit処理(
図29G、
図29H)又は生理食塩水処理(
図29I、
図29J)した後の頸動脈の蛍光。(
図29K)未処理の対側の動脈と比較する、FeCl
3で発生させた血栓頸動脈のIn situでの画像。(
図29L-29N)RIPA溶解緩衝液で溶解させた血栓及び複製物をともに合わせ、溶解物を形成させる。一定量の溶解物をカバーガラス上に落とし(10μL)、20倍対象物で撮影した。スケールバー=100 m。(
図29K)多くのF-NDP(NV)-Bitが視認できる。(
図29L)低用量(1mg)でのIV処置の後、F-NDP(NV)-Bitが、血栓形成部分での溶解物中においてが見つかる。(
図29N)生理食塩水対照においては、ほとんどまったく蛍光性粒子は検出されない。
【
図30】
図30A-30Sは、F-NDP(NV)-Bitの静脈注入を示す。(
図30A-30J)蛍光画像は、2秒の露光で、580-610nm励起及び695-770nm放出通過域を使用して、全動物イメージングのために設計されたIVISスキャンで行った。自動蛍光は445-490nmでの励起に基づき、差し引いた。(
図30A-30C)3連の複製動物を処理した後の、頸動脈血栓の蛍光を示す全体画像は、動脈の露光の後、IVISイメージングを経由して見ることができる。スケールバー=1cm。(
図30D-30I)F-NDP(NV)-Bit処理(
図30D-30F)又は生理食塩水処理(
図30G-30I)した後のEx-vivoでの頸動脈の蛍光。スケールバー=1mm。(
図30J-30O)Olympus FV 1000で撮影された共焦点画像の山。F-NDP(NV)-Bit蛍光は、543nmの励起及び655-755nmの放出で検出される。スケールバー=1mm。F-NDP(NV)-Bit処理(
図30J-30L)又は生理食塩水処理(
図30M-30O)した後の頸動脈の蛍光。(
図30P)可溶化した頸動脈由来の溶解物を画像化し、F-NDP(NV)-Bitを血球計で計数する。対側の未処理の対照を、挿入図に表す。スケールバー=100μm(
図30Q)血球計により計数される、対側の対照と比較する、血栓側の頸動脈分岐部当たり検出される-NDP(NV)-Bitの総数。(
図30R、
図30S)処理済み及び対側の未処理の頸動脈分岐部のIVIS(
図30D-30I)及びLSCM(
図30J-30O)イメージングを経由してのバックグラウンドを差し引いた後の明るさ。エラーバーは、標準偏差を表す。*=p<0.05、**=p<0.01対対照(t-testによる)
【発明を実施するための形態】
【0016】
ナノダイヤモンド粒子、及び検体の検出及び/又は定量のためのナノダイヤモンド粒子といった関連する装置及び方法について、一般的に述べる。ある実施形態において、本発明は、動物血栓塞栓事象(TEE)のリスクという点で、ヒト及びヒト以外の動物のいずれも含む被験者のリスク評価のための診断薬及び方法を提供する。TEEとは、脳卒中及び心臓発作由来の心臓血管の死の主たる要因である。本発明の診断薬及び方法により、非放射線(例えば、X線)、非MRI、及び非超音波技術を使用して、血管内の血栓の全身負荷の評価、及び血栓形成の一般的な好発部位での発生期の血栓の検出が可能となる。本技術は、一般的に、速い及び手頃な料金の外来環境での使用に適した、非侵襲的な遠隔ベースでの蛍光性記録システムを含む。本発明は、複数の革新的科学的及び工学的ブレークスルーを含む。
【0017】
本発明は、少なくとも一部分においては、化学種(例えば、ディスインテグリンビチスタチン(Bt)といったポリペプチド、IgG及び/又はウシ血清アルブミン(BSA)といった免疫グロブリン)に機能化された蛍光性ナノダイヤモンド粒子(NDP-F)は、活性血小板フィブリノゲン受容体(PFR)に熱心に結合する能力が備わり得るという認識に基づいている。例えば、この本文で示されるデータにより、うまいBtのNDP-Fへの結合、及びBt生物活性の保持が示される。本発明を達成するのに使用された方法、試薬、及びde novoプロトコルは、他の人に前に報告されてきた発明者には知られていない。
【0018】
ある実施形態において、前記装置は、ナノダイヤモンド粒子と結合した複数のナノダイヤモンド粒子及び化学種(例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド)を含む。ある実施形態において、複数のナノダイヤモンド粒子は、検体を含む疑いのあるサンプルに曝露され得る。ある場合において、サンプル中の検体の存在が検出され得るよう、化学種と結合し得る。ある実施形態において、この本文で述べられる、装置、システム、及び方法は、例えば、診断目的で、被験者より得られるサンプル中の検体の検出に有用である。ある場合において、この本文で述べられるシステム、装置、及び方法は、病気又は体調の診断、予防、処置及び/又は管理に有用であり得る。例となる実施形態において、そのようなこの本文で述べられるシステム、装置、及び方法は、被験者中の及び/又は被験者から得られるサンプル中のウィルス(例えば、エボラ)の存在の検出及び/又は定量に有用であり得る。
【0019】
好都合なことに、被験者からのサンプル中の検体(例えば、ウィルス、バクテリア、毒、環境汚染物質、など)を定量するための従来のシステムと比較して、この本文で述べられるシステム及び方法は、サンプル中に存在する検体の量の定量を含み得る。
【0020】
本発明は、脳卒中及び心臓発作を超えて、多くの医療救急及び生命を脅かす条件に適用可能であり得る、広範なスケールのTEEリスクの調査をまた可能とする。本技術は、TEEについてのリスクにあると疑われる個人に使用可能であるだけでなく、プライマリヘルスケアオフィスアセスメントの一部として、年1回のマンモグラフィー、脂肪テスト、又は身体検査で使用することも可能である.例えば、ある実施形態において、本発明は、蛍光放射をモニターし、非常に手頃な料金で、最小限侵襲的(安全な用量のナノ粒子の単独での注入のみ要求)で、及び、外来環境で、ECGモニタリングと同様、訓練された救急医療技術者又はプライマリケア医師によって行われ、解釈され得ることが期待される。
【0021】
本発明の1つの一般的な態様は、被験者中の血栓の検出のための造影剤である。該薬剤は、例となる実施形態において、3つの要素から成り、次の通りである。:i)a蛍光性ナノダイヤモンド粒子(NDP-F)、ii)-COOH、-OH、-NH2、又は-C=O部位といった、NDP-Fを機能化する配位子、及びiii)配位子に取り付けられたタンパク質。該3要素は、ともに任意の順序で及び任意の化学結合のタイプで結合することが可能であるが、典型的には、述べた順序で共有結合している。造影剤の目的は、該薬剤とヒト又はヒト以外の動物の体内の個別の生物学的ターゲットとを明確に結合することである。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、活性血小板の検出のための診断方法である。ある場合において、該診断方法は、大部分、ポリペプチド(例えば、ビチスタチン、BSA、ヒトIgG)といった化学種の、特定の抗原(例えば、PFR)に高い親和性をもって及び/又は熱心に、結合する能力に基づく。ある実施形態において、該ポリペプチド(例えば、ビチスタチン)は、前記NDP-Fを、例えば、活性血小板及び血栓形成部位に絞るように配置されている。ある実施形態において、NDP-Fの蛍光により、血栓又は多重血栓の位置及びサイズの非侵襲的、及び比較的無害なイメージングが可能となる。ある実施形態において、該診断方法は、定量的であり、他の実施形態においては、半定量的又は定量的である。ある実施形態において、該方法は、i)1つ以上の血栓部位を有する又は潜在的に有する疑いのある被験者に、本発明の診断薬を検出可能な量で投与する工程、ii)該診断薬を血栓の部位(複数有り)に十分な時間局在化させる工程、及びiii)適切な電磁気的刺激での励起の後、蛍光放出(例えば、手持ち式装置由来の放出といった、励起光)を検出することで該診断薬を検出する工程、を含む。ある実施形態において、工程iii)での励起の活動は、蛍光タグが、被験者の体内で、生来蛍光性である場合には、省略することが可能であると解される。投与の工程は、造影剤の被験者の全血流への導入ということになる、何らかの活動であり得る。それゆえ、例えば及び制限なしで、静脈注射又は注入経由であり得る。
【0023】
さらにさらに、及びすぐ上で述べられている方法に従って、本発明は、被験者中の血栓又は血栓形成の検出方法を含む。前記方法に関し、この方法は、血栓、血栓形成、血小板活性化、又はアテローム性血管硬化班又は炎症といった、血栓形成に関するリスクを形成する病変域を検出又はイメージングする方法とみなされ得る。該方法工程は、前記のとおりである。例えば、ある実施形態において、被験者中の血栓は、少なくとも一部の血栓と結合し得る化学種(例えば、ビチスタチンといったポリペプチド)で機能化された複数のナノダイヤモンド粒子を投与により検出され得る。
【0024】
当業者であればすぐにわかるように、本発明の診断及びイメージング方法は、非天然生物活性物質を被験者の体内に導入するため、生物学的事象に関するデータの収集にもっぱら関連しないが、その代わりに被験者の体に対しての物理的及び生理学的変化に関連する。例えば、自然発生的でない造影剤を被験者の血流へ物理的に導入することで、血流の性質が変化する。さらに、造影剤が活性血小板に結合することで、活性血小板と相互作用する体の自然の力が変化し、血栓が滝のように流れる。本発明の造影剤を投与する上での他の物理的及び生理学的変化は、熟練した職人にとっては明らかであろう。
【0025】
本発明は、また本発明の方法を実行するキットを含む。広く言えば、本発明によるキットは、本発明の方法においての使用のための分配、運搬、及び/又は貯蔵に適切な、詰め合わせの形の本発明の造影剤を含む。従来の方式では、該詰め合わせは、段ボール又はプラスチックボックスなど、金属容器など、又はホイルポーチ又は同様のものといった、しかしこれらに限定されない適切な材料から成る。ある実施形態において、該キットは、容器に単独の投与に十分な造影剤を含み、一方、他の実施形態において、該キットは、2つ以上の投与のために十分な造影剤を含む。キットが、2つ以上の投与ために十分な造影剤を含む実施形態において、造影剤は、多重使用のための単一の容器又は2つ以上の容器に提供されることが可能であり、各々は、単一使用のために十分な造影剤を含む。ある場合において、単一使用及び多重使用の容器の組み合わせが、キット内に含まれ得る。ある実施形態において、キット(キットにどれくらい多くの造影剤の容器が提供されるかにかかわらず)は、1つ以上の試薬又は被験者へ造影剤を投与するための装置の詰め合わせの組み合わせで提供され得る。そういうものとして、及び無制限に、本発明のキットは、詰め合わせの形で、消毒剤(例えば、エタノール消毒綿又はパッド、又はヨウ素消毒綿又はパッド)、1つ以上のシリンジ、シリンジと接続するのに適合した1つ以上の針、及び/又は1つ以上のガーゼ片及び/又は縫合及び投与部位の回復を促す接着剤を伴う造影剤を含み得る。
【0026】
ある実施形態においてポリペプチド又はポリヌクレオチドといった化学種と結合した複数のナノダイヤモンド粒子(例えばNDP-F)は、検体を含む疑いのあるサンプルに導入され得る。ある実施形態において、該ポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドは、存在する場合、ポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドが検体と結合するように選択され得る。
【0027】
ある実施形態において、検体がサンプル中に存在する場合、該検体、化学種、及び/又はナノダイヤモンド粒子は、検体の存在が検出され得るよう、結合され得る。ある場合において、該検体の検出は、前記ナノダイヤモンド粒子による放出(例えば、蛍光放出、近赤外放出)の定量を含む。ある実施形態において、放出の定量は、相対強度の定量、及び/又は放出波長の定量を含む。理論に縛られることを望むことなしに、ある場合において、放出の強度は、サンプル中に存在する検体の量に比例的(例えば、直接的に比例的、指数関数的に比例的、対数的に比例的)であり得る。
【0028】
ある実施形態において、複数の(蛍光性)ナノダイヤモンド粒子を被験者に投与する。ある実施形態において、複数のナノダイヤモンド粒子は、経口的に、直腸に、経膣的に、経鼻的に、又は尿道に、被験者に投与され得る。ある場合において、複数のナノダイヤモンド粒子は、外科的に投与され(例えば、移植)及び/又は注射され得る(例えば、全身循環に、眼球内に、脊柱システムに、例えば、シリンジ経由で)。
【0029】
他の例となる実施形態において、複数のナノダイヤモンド粒子(例えば、該ナノダイヤモンド粒子と結合した化学種を含む複数のナノダイヤモンド粒子)が、被験者に投与され得る(例えば、被験者中に存在することが疑われる検体の検出目的で)。例えば、ある場合において、化学種を含む複数のナノダイヤモンド粒子は、被験者に投与され、ナノダイヤモンド粒子の放出(例えば、蛍光放出、近赤外放出)を検出した上で、被験者中の検体の存在を示す。ある場合において、該検体は、ナノダイヤモンド粒子と結合することが可能な、(血液)血栓の少なくとも一部であり得る。ある実施形態において、蛍光放出及び/又は近赤外放出を計測及び/又は検出するよう配置されている検出装置は、検体が存在する場合、放出が検出され、及び/又は定量されるよう、被験者に(例えば、皮膚の上又は皮膚近く、被験者内部の場所で)適用され得る。
【0030】
すでに述べたように、この本文で述べられる方法、装置、及びシステムは、サンプル中に存在する検体の量の決定及び/又は定量に有用であり得る。ある実施形態において、該サンプルは流体である。ある実施形態において、該サンプルは全血である。ある実施形態において、該サンプルは、全血、血漿、尿、唾液、汗、及び/又は他の生体流体といった題材から得られる。そのようなサンプルを収集するための方法は、公知技術において知られている。ある実施形態において、該サンプルは、流体装置(例えば、複数のナノダイヤモンド粒子を含む容器を含む、流体装置)に導入される。
【0031】
ある実施形態において、前記サンプルは(例えば、サンプル中に存在する検体の量の決定及び/又は定量に先立ち)希釈され得る。例えば、ある実施形態において、緩衝溶液が、サンプルが希釈されるよう、流体装置へサンプルを導入する前、間、及び/又は後に、複数のナノダイヤモンド粒子を含む流体装置に添加され得る。ある実施形態において、該緩衝溶液は、流体装置の1つ以上の構成要素と流体的に連通している容器に含まれる。サンプルは、複数のナノダイヤモンド粒子のサンプルへの導入に先立ち、又は間に、緩衝溶液に希釈され得る。ある実施形態において、サンプル中の検体は、次のいかなる方法段階なしに、容易に決定することが可能である。ある場合において、該検体は、被験者中に存在し、及びナノダイヤモンド粒子が、すでに述べたように、被験者に投与され得る。
【0032】
『ナノダイヤモンド粒子』という用語は、一般的に、1マイクロメータより小さい平均断面寸法を有するダイヤモンド粒子を指す(例えば、900ナノメータより小さいか等しい、800ナノメータより小さいか等しい、700ナノメータより小さいか等しい、600ナノメータより小さいか等しい、500ナノメータより小さいか等しい、400ナノメータより小さいか等しい、300ナノメータより小さいか等しい、200ナノメータより小さいか等しい、100ナノメータより小さいか等しい、90ナノメータより小さいか等しい、80ナノメータより小さいか等しい、70ナノメータより小さいか等しい、60ナノメータより小さいか等しい、50ナノメータより小さいか等しい、40ナノメータより小さいか等しい、30ナノメータより小さいか等しい、20ナノメータより小さいか等しい、又は10ナノメータより小さいか等しい)。ある場合において、ナノダイヤモンド粒子は、5ナノメータより大きいか等しい、10ナノメータより大きいか等しい、20ナノメータより大きいか等しい、30ナノメータより大きいか等しい、40ナノメータより大きいか等しい、50ナノメータより大きいか等しい、60ナノメータより大きいか等しい、70ナノメータより大きいか等しい、80ナノメータより大きいか等しい、90ナノメータより大きいか等しい、100ナノメータより大きいか等しい、200ナノメータより大きいか等しい、300ナノメータより大きいか等しい、400ナノメータより大きいか等しい、500ナノメータより大きいか等しい、600ナノメータより大きいか等しい、700ナノメータより大きいか等しい、800ナノメータより大きいか等しい、又は900ナノメータより大きいか等しい、平均断面寸法を有し得る。前記参照した範囲の組み合わせがまた可能である(例えば、1マイクロメータより小さい及び5ナノメータより大きいか等しい、700ナノメータより小さいか等しい及び100ナノメータより大きいか等しい)。他の範囲がまた可能である。当業者は、本明細書の教示に基づくナノダイヤモンドの平均断面寸法を決定するための適切な方法を選択することができよう。
【0033】
理論に縛られることを望むことなしに、ある場合において、この本文で述べられるナノダイヤモンド粒子は、自動蛍光性であり得る(ナノダイヤモンド粒子は、例えば、電磁気的放射線の吸収の後、蛍光を放出する)。ある場合において、ナノダイヤモンド粒子は、1つ以上の原子型欠陥(例えば、窒素-空孔(NV)中心といった点欠陥、窒素-空孔-窒素(NVN)欠陥といった点欠陥、それらの組み合わせ)を含んでいてよく、それが検出され、及び/又は定量され得る、近赤外蛍光及び/又はフォトルミネッセンスという結果になる。他の欠陥もまた可能である(例えば、Si-空孔欠陥)。ある実施形態において、ナノダイヤモンド粒子は、適用した電磁気的放射線に反応して蛍光を発する。
【0034】
例えば、ある実施形態において、ナノダイヤモンド粒子は、(例えば、第1の波長を有する電磁気的放射線を適用することで)検出可能な放出(例えば、第1の波長とは異なる、第2の波長を有する電磁気的放射線)を放出するよう、励起され得る。実施形態の具体的なセットにおいて、検体がサンプル中に存在する場合、検体は、ナノダイヤモンド粒子からの放出が、検出及び/又は定量され得るよう、ナノダイヤモンド粒子と結合する(例えば、ナノダイヤモンド粒子と結合した化学種と結合する)。ある場合において、被験者中のナノダイヤモンド粒子の放出の検出は、ナノダイヤモンド粒子が、疑いある検体と結合していることを示唆し得る。あるそうした場合において、該放出が、定量され得る(例えば、被験者中に存在する検体の相対的な量を決定するために)。
【0035】
実施形態の別のセットにおいて、検体を含む疑いのあるサンプルは、存在する場合、検体が、ナノダイヤモンド粒子と(例えば、ナノダイヤモンド粒子と結合した化学種に)結合するよう、流体装置、及び流体装置内の検出領域に添加され得る。あるそうした実施形態において、放出の存在は、サンプル中の検体の存在を示唆する。ある場合において、放出の強度及び/又は波長が、定量され得る。
【0036】
この本文で述べられているように、ある実施形態において、前記システム、装置、及び方法は、複数のナノダイヤモンド粒子と結合した、複数のナノダイヤモンド粒子及び化学種を含む。好都合なことに、この本文で述べられる装置及び方法は、ある実施形態において、さらなるろ過又は分離工程を必要とすることなく全血から検体を分析することが可能であり得、あるすでに存在する検体の定量方法と比較して、比較的高い感度を有し得る。
【0037】
図1Aに示すように、ある実施形態において、装置100は、化学種120と結合した複数のナノダイヤモンド粒子110を含む(例えば、存在する場合、検体と結合し得る化学種)。ある実施形態において、該ナノダイヤモンド粒子は、ナノダイヤモンド粒子の機能化を経由して化学種と結合(associated)(例えば、結合(bound))している。例えば、ある実施形態において、ナノダイヤモンド粒子は、イオン結合、共有結合、水素結合、ファンデルワールス相互作用、などといった結合の形成を経由して、化学種と結合している。共有結合は、例えば、炭素-炭素、炭素-酸素、酸素-ケイ素、硫黄-硫黄、リン-窒素、炭素-窒素、金属-酸素、又は他の共有結合であり得る。水素結合は、例えば、ヒドロキシル、アミン、カルボキシル、チオール、及び/又は同様の官能基間であり得る。例えば、化学種は、官能基、チオール、アルデヒド、エステル、カルボン酸、ヒドロキシル、など、といった官能基を含んでいてよく、該官能基はナノダイヤモンド粒子と結合を形成する。ある場合において、化学種は、電子豊富又は電子不足部位であってよく、ナノダイヤモンド粒子及び化学種間の相互作用は、静電相互作用を含み得る。
【0038】
例えば、機能化されたナノダイヤモンド粒子及び化学種を架橋剤の存在下、反応させることで、前記化学種は、-COOH、-OH、-NH2、-SH、又は-C=O官能基を含む、-COOH、-OH、-NH2、-SH、又は-C=O官能基を含む機能化されたナノダイヤモンド粒子と結合し得る。適切な架橋剤の限定されない例は、1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)といったカルボジイミド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、イミドエステル及びヒドロメチルホスフィンといったアミン反応性化合物、マレイミド、ピリジルジスルフィド、及びヨードアセチルといったスルフヒドリル反応性化合物、ヒドラジド及びアルコキシアミンといったアルデヒド反応性化合物、及びアリールアジド及びジアジリジンといった光反応性架橋剤を含む。他の架橋剤もまた可能である。当業者は、選択した化学種のタイプ及び本明細書の教示に基づき、適切な架橋剤を選択することができよう。
【0039】
ある実施形態において、前記化学種は、標的の検体と結合し得る。ある場合において、化学種は、サンプル中の他の生体又は非生体(化学)分子(例えば、検体上に存在する生体又は化学分子)と結合することが可能な生体又は非生体(化学)の基を含み得る。例えば、化学種は、チオール、アルデヒド、エステル、カルボン酸、ヒドロキシル、アミン、ポリエチレングリコールなどといった官能基を含んでいてよく、該官能基は検体と結合を形成する。ある場合において、化学種は、検体及び化学種間での相互作用が、静電相互作用を含む、電子豊富な又は電子不足な部位であり得る。
【0040】
ある実施形態において、前記化学種及び検体は、タンパク質、核酸、糖タンパク質、炭水化物、ホルモン、などを含む生体分子の対間の結合事象を経由して相互作用する。具体的な例は、抗体/ペプチド対、抗体/抗原対、抗体フラグメント/抗原対、抗体/抗原フラグメント対、抗体フラグメント/抗原フラグメント対、抗体/ハプテン対、酵素/基質対、酵素/阻害剤対、酵素/共同因子対、タンパク質/基質対、核酸/核酸対、タンパク質/核酸対、ペプチド/ペプチド対、タンパク質/タンパク質対、タンパク質/受容体対、小分子/タンパク質対、グルタチオン/GST対、抗GFP/GFP融合タンパク質対、Myc/Max対、マルトース/タンパク質対結合しているマルトース、炭水化物/タンパク質対、炭水化物誘導体/タンパク質対、タグ/金属/キレートと結合している金属、ペプチドタグ/金属イオン-金属キレート対、ペプチド/NT対、レクチン/炭水化物対、受容体/ホルモン対、受容体/作動体又は対、相補的核酸/核酸対、配位子/細胞表面受容体対、ウィルス/配位子対、タンパク質A/抗体対、タンパク質G/抗体対、タンパク質L/抗体対、Fc受容体/抗体対、ビオチン/アビジン対、ビオチン/ストレプトアビジン対、ドラッグ/ターゲット対、ジンクフィンガー/核酸対、小分子/ペプチド対、小分子/タンパク質対、小分子/ターゲット対、マルトース/MBP(タンパク質と結合しているマルトース)といった炭水化物/タンパク質対、小分子/ターゲット対、及び金属イオン/キレート剤対を含む。具体的な限定されない化学種の例は、ペプチド、タンパク質、DNA、RNA、及びPNAを含む。他の化学種及び結合対がまた可能である。例となる実施形態において、化学種は、抗体(例えば、標的検体に対する抗体)である。
【0041】
例となる実施形態において、前記化学種及び検体は、抗体/抗原対結合事象を経由して相互作用する。
【0042】
他の例となる実施形態において、前記化学種及び検体は、タンパク質/受容体対結合事象経由して相互作用する。例えば、化学種は、ディスインテグリン(例えば、ビチスタチン)といったタンパク質を含んでいてよく、検体は、フィブリノゲン受容体といった受容体分子を含み得る。
【0043】
ある実施形態において、前記化学種及び検体は、タンパク質、核酸、糖タンパク質、炭水化物、ホルモン、又は同種のものを含む生体分子の対間での結合事象を経由して相互作用する。
【0044】
ある実施形態において、前記化学種は、(ポリ)ペプチド、(ポリ)ヌクレオチド、及び配位子から成る群から選択される。例となる実施形態において、化学種は、タンパク質、抗体、及び/又は抗原といったポリペプチドである。例えば、ある実施形態において、該抗体は、Ig、IgG、IgM、IgE、又は同種のものといった免疫グロブリンである。他の例となる実施形態において、化学種は、DN又はRNAといった(ポリ)ヌクレオチド(例えば、オリゴヌクレオチド)である。さらに他の例となる実施形態において、化学種は、アルボラブリン、アップラジン、バーブーリン、バトロキソスタチン、ビチスタチン、オブツスタチン、チスタチン(schisttin)、エチスタチン、エレガンチン、エリスチコフィン、フラボリジン、ハリシン、キストリン、モジャスチン、ルビスタチン、テルゲミニン、サルモシン又はトリフラビンといったディスインテグリンである。ある実施形態において、化学種は、血清アルブミン(例えば、牛血清アルブミン)といったタンパク質を含み得る。
【0045】
化学種(例えば、ビチスタチン)で機能化された適切なナノダイヤモンド粒子の例は、2016年9月6日に出願され、『ヒト及び動物用薬における血栓の診断及び処置のための蛍光性ナノダイヤモンド粒子(F-NDP)の工学及び有用性』という表題の、米国特許仮出願第62/383,0657号においてより詳細に議論されており、参照によりこの本文にそのまま組み入れられる。他の機能化の方法が、また可能である。
【0046】
検出され及び/又は定量され得る検体の限定されない例は、生体化合物、ドラッグ、超分子、塩、電解質、酵素、核酸(例えば、(ポリ)ヌクレオチド)、炭水化物、(ポリ)ペプチド、タンパク質、脂質、リン酸塩、スルホン酸塩、ウィルス、病原体、細菌、真菌、酸化剤、還元剤、毒、界面活性剤、及びそれらの組み合わせを含む。
【0047】
例となる実施形態のセットにおいて、前記検体はウィルスである(例えば、エボラ、マールブルグ、ブンディブギョ、スーダン、フニン、ラッサ熱ウイルス、MERS、天然痘、ジカ熱、百日咳、風疹、はしか)。ある実施形態において、検体は細菌毒である(例えば、炭疽菌)。ある実施形態において、検体は、特定の寄生虫及び/又は真菌と関連した生物学的エンティティである。好都合なことに、この本文で述べられるシステム及び方法は、エボラといったウィルスの検出及び/又は定量に有用であり得る。
【0048】
さらに別の例となる実施形態のセットにおいて、前記検体は、受容体分子である(例えば、フィブリノゲン受容体)。好都合なことに、この本文で述べられるシステム及び方法は、血栓の検出に有用であり得る。
【0049】
ある場合において、前記検体は、特定の病気又は状態の標識/抗原を含み得る。例えば、ある場合において、検体は、血栓、外傷性脳負傷、骨の病気(例えば、骨粗しょう症、変形性関節症)、炎症及び/又は(自動)免疫病(例えば、クローン病、乾癬)潰瘍、心虚血及び脳卒中、アテローム性動脈硬化、筋肉の病気、アルツハイマー/パーキンソン、腫瘍及び腫瘍転移ガン、又は他のものと関連した標識/抗原であり得る。例えば、この本文で述べられるシステム及び方法は、血栓、外傷性脳負傷、炎症及び/又は(自動)免疫病(例えば、クローン病、乾癬)、潰瘍、心虚血及び脳卒中、アテローム性動脈硬化、筋肉の病気、アルツハイマー/パーキンソン、腫瘍及び腫瘍転移ガン、又は他のものの被験者における検出及び/又は診断に有用であり得る。
【0050】
ある実施形態において、複数のナノダイヤモンド粒子及び該ナノダイヤモンド粒子と結合した化学種が存在し(例えば、容器中に)及び/又は流体装置に導入される。例えば、
図1Bに示すように、流体装置102は、サンプル注入口130及びサンプル注入口130と流体的に連通している容器140を含む。ある実施形態において、容器140は、複数の(蛍光性)ナノダイヤモンド粒子110(及びナノダイヤモンド粒子110と結合した化学種120)を含む。
【0051】
ある実施形態において、サンプルは、サンプルが容器に流れ及びサンプルが複数のナノダイヤモンド粒子及び化学種と相互作用するよう、サンプル注入口に導入され得る。ある実施形態において、検体は、サンプル中に存在する場合、化学種と結合する。
【0052】
ある場合において,検出領域150は、容器140の下流に置かれ、及び/又は、容器140と流体的に連通している。
【0053】
ある実施形態において、検出器160は、検出領域150の近傍に置かれる。検出器は、ある場合において、検出領域で放出(例えば、放出の強度、放出の波長)を定量するよう、配置され得る。ある場合において、該放出は、蛍光性及び/又は近赤外であり得る。例えば、検体は、存在する場合、化学種と結合し得る。あるそうした場合、検体は、検出領域と結合(associated)(例えば、結合(bound))した、第2の化学種(例えば、抗体)と結合し得る。ある実施形態において、該第2の化学種及び第1の化学種と結合した(ナノダイヤモンド粒子と結合した)検体は、ナノダイヤモンド粒子の放出を測定(例えば、検出器を経由して)することにより、検出及び/又は定量され得る。
【0054】
ある実施形態において、検出器は、検体及び/又は血栓を含む疑いのある被験者の領域の近傍に置かれ得る。例えば、化学種で機能化された複数の(蛍光性)ナノダイヤモンド粒子は、被験者に投与されてよく、該検出器は、検体及び/又は血栓と結合した任意のナノダイヤモンド粒子が検出(例えば、ナノダイヤモンド粒子の放出を経由して)され得るよう、被験者の近傍に置かれ得る。
【0055】
任意の適切な検出器が、この本文で述べられている装置及び方法とともに使用され得る。例えば、ある実施形態において、該検出器は光学検出器(例えば、蛍光検出器、可視光及び/又はUV検出器、近赤外検出器、顕微鏡)であり得る。
【0056】
ある実施形態において、前記放出は、蛍光放出である。ある実施形態において、放出の波長は、250nmより大きいか等しい、300nmより大きいか等しい、350nmより大きいか等しい、400nmより大きいか等しい、450nmより大きいか等しい、500nmより大きいか等しい、550nmより大きいか等しい、600nmより大きいか等しい、又は650nmより大きいか等しい。ある実施形態において、放出の波長は、700nmより小さいか等しい、650nmより小さいか等しい、600nmより小さいか等しい、550nmより小さいか等しい、500nmより小さいか等しい、450nmより小さいか等しい、400nmより小さいか等しい、350nmより小さいか等しい、又は300nmより小さいか等しい。前記参照した範囲の組み合わせが、また可能である(例えば、250nmより大きいか等しい及び700nmより小さいか等しい)。他の範囲がまた可能である。
【0057】
ある実施形態において、前記放出は、近赤外放出である。ある実施形態において、放出の波長は、700nmより大きいか等しい、750nmより大きいか等しい、800nmより大きいか等しい、850nmより大きいか等しい、900nmより大きいか等しい、又は950nmより大きいか等しい。ある実施形態において、放出の波長は、1000nmより小さいか等しい、950nmより小さいか等しい、900nmより小さいか等しい、850nmより小さいか等しい、800nmより小さいか等しい、又は750nmより小さいか等しい。前記参照した範囲の組み合わせが、また可能である(例えば、700nmより大きい及び1000nmより小さいか等しい)。他の範囲がまた可能である。
【0058】
ある実施形態において、前記ナノダイヤモンド粒子は、特定の波長を有する電磁気的放射線による励起で蛍光及び/又は近赤外放出を放出し得る。例えば、ある実施形態において、ナノダイヤモンド粒子は、250nmより大きいか等しい、300nmより大きいか等しい、350nmより大きいか等しい、400nmより大きいか等しい、450nmより大きいか等しい、500nmより大きいか等しい、550nmより大きいか等しい、600nmより大きいか等しい、650nmより大きいか等しい、700nmより大きいか等しい、750nmより大きいか等しい、800nmより大きいか等しい、850nmより大きいか等しい、900nmより大きいか等しい、又は950nmより大きいか等しい波長を有する電磁気的放射線に(例えば、ナノダイヤモンド粒子が、前記参照した範囲の1つにおいて、蛍光放出及び/又は近赤外放出を放出するよう)曝露され得る。ある実施形態において、ナノダイヤモンド粒子は、1000nmより小さいか等しい、950nmより小さいか等しい、900nmより小さいか等しい、850nmより小さいか等しい、800nmより小さいか等しい、又は750nmより小さいか等しい、700nmより小さいか等しい、650nmより小さいか等しい、600nmより小さいか等しい、550nmより小さいか等しい、500nmより小さいか等しい、450nmより小さいか等しい、400nmより小さいか等しい、350nmより小さいか等しい、又は300nmより小さいか等しい波長を有する電磁気的放射線に曝露され得る。前記参照した範囲の組み合わせがまた可能である(例えば、250nmより大きいか等しい及び1000nmより小さいか等しい、550nmより大きいか等しい及び650nmより小さいか等しい)。他の範囲がまた可能である。
【0059】
この本文での記述の多くが、(蛍光性)ナノダイヤモンド粒子の文脈にあるが、当業者は、本明細書の教示に基づき、他の粒子もまた可能であると理解するであろう。例えば、ある実施形態において、前記装置は、前記参照した範囲の1つにおける放出を有する、化学種(例えば、1つ以上の標的となる検体と結合することが可能な化学種)と結合した、ナノ粒子(例えば、シリカナノ粒子、サファイヤナノ粒子、ガーネットナノ粒子、ルビーナノ粒子)といった粒子を含み得る。ある場合において、粒子は、自動蛍光性であり得る。他の場合において、粒子は、蛍光性分子で機能化(例えば、結合)され得る。
【0060】
ある実施形態において、前記流体装置(例えば、サンプル注入口及び複数のナノダイヤモンド粒子及びナノダイヤモンド粒子と結合した化学種を含む容器を含む)は、ラテラルフローアッセイの構成(例えば、ラテラルフロー装置において)を含む。当業者は、本明細書の教示に基づき、複数のナノダイヤモンド粒子及びナノダイヤモンド粒子に結合(associated)(例えば、結合(bound))した化学種をラテラルフローアッセイ装置に組み込む方法を理解するであろう。例えば、
図2Aに概略的に示すように、例となる実施形態において、システム200は、ラテラルフローアッセイの構成を含む。ある実施形態において、システム200は、第1の化学種と結合した複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子220を含む容器210を含む。容器210の下流には、ある実施形態においては、第2の化学種(例えば、標的検体に対する第1の抗体)を含む第2の容器230、及び第3の化学種(例えば、標的検体に対する抗体と結合することが可能な第2の抗体)を含む第3の容器240がある。ある実施形態において、第1の化学種及び第2の化学種は、同一である。
【0061】
いま
図2Bについて述べると、検体250を含む疑いのあるサンプルは、システム200に導入され得る(例えば、サンプルが流れ及び容器210と相互作用するよう)。ある実施形態において、検体250の少なくとも一部は、複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子220上で化学種と結合する。
図2Cに示すように、検体250を含む疑いのあるサンプルがシステムに沿って流れるにつれ、検体250の少なくとも一部(例えば、今、化学種及び/又は複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子220と結合している)は、容器230中で第2の化学種と結合する。ある場合において、検体と結合していない複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子220の少なくとも一部は容器240(例えば、そこでは第3の化学種が、第1の化学種と結合することが可能である)で捕捉され得る。
【0062】
ある場合において、この本文での装置及びシステムは、多重式であり得るすなわち、ある実施形態において、該装置は複数のナノダイヤモンド粒子を含む2つ以上の、3つ以上の、4つ以上の、又は5つ以上の流体成分及び/又は容器を含み得る。あるそうした実施形態において、1つより多くの検体が、サンプル中に存在する場合、単一の装置において検出され得る。ある実施形態において、1つ以上の検体が、複数のナノダイヤモンド粒子を含む複数の流体成分及び/又は容器を含む装置において検出され得る。
【0063】
例となる実施形態において、検体を含む疑いのあるサンプルは、検体が存在する場合、複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子と結合した少なくとも一部の化学種と結合するよう、サンプルを複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子と結合した化学種に曝露しながら、流体装置の流路に導入され得る。ある実施形態において、検体と結合していない任意の蛍光性ナノダイヤモンド粒子及び化学種は除かれ、検体と結合した複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子の蛍光放出が定量され得る。この本文で述べられているように、ある場合において、サンプル中に存在する検体の量は、蛍光放出の強度に関連し得る。
【0064】
他の例となる実施形態において、システムは、サンプル注入口、該サンプル注入口と流体的に連通している容器であって、複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含む容器、複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子と結合した複数の第1の化学種、及び該容器と流体的に連通している検出領域であって、該検出領域と結合した複数の第2の化学種を含む検出領域を含む。ある場合において、該検出器は、検出領域で蛍光放出を定量するよう配置されていてよく、及び/又は検出領域で赤外シグナルを検出するよう配置されていてよい。
【0065】
さらに他の例となる実施形態において、流体装置は、サンプル注入口、該サンプル注入口と流体的に連通している容器であって、複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含む容器、複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子と結合した複数の第1の化学種、及び該容器と流体的に連通している検出領域であって、該検出領域と結合した複数の第2の化学種を含む検出領域を含む。ある実施形態において、流体装置は、さらに検出領域と流体的に連通している制御領域であって、該制御領域と結合した複数の第3の化学種を含む制御領域を含む。あるそうした実施形態において、第3の化学種は、第1の化学種及び/又は第2の化学種と同一又は異なるものであり得る。例えば、複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子と結合した第1の化学種は、第1の抗体(例えば、標的検体と選択的に結合することが可能な)であり得、第2の化学種は、第1の抗体、又は第1の抗体(例えば、標的検体と選択的に結合することが可能な)とは異なる第2の抗体であり得、及び第3の化学種は、第1の抗体に対する抗抗体であり得る。前記制御領域は、放出が存在する場合、前記システムは適切に作動しているという示唆を提供する(例えば、複数のナノダイヤモンド粒子が適切に機能し、サンプル中に導入されている)。
【0066】
ある実施形態において、前記流体装置は吸収剤を含む。ある実施形態において、吸収材を含む吸収領域は、検出領域及び/又は制御領域の下流に置かれ、及び検出領域及び/又は制御領域と流体的に連通している。ある場合において、吸収材は流体装置の1つ以上の成分(例えば、容器、検出領域)と結合している。ある場合において、吸収材は、少なくとも部分的に流体装置内でサンプルの流れ(例えば、ウィッキング)を駆動する。他の実施形態において、毛細管現象により、少なくとも部分的に流体装置内でサンプルの流れが引き起こされる。
【0067】
適切な吸収材の限定されない例は、固体材料、孔質材料、粒子、粉末、及びゲルを含む。ある実施形態において、吸収材は、建材、セルロース、コットン、及び/又はポリマーを含み得る。当業者は、本明細書の教示に基づき、適切な吸収材を選択することができるであろう。
【0068】
他の例となる実施形態において、この本文で述べられる方法は、特定の検体を有する(例えば、血流中に存在する)疑いがある被験者に、化学種が、存在する場合、検体と結合し得るよう、化学種と結合した複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子を投与する工程、及び、存在する場合、検体と結合した化学種を含む複数の蛍光性ナノダイヤモンド粒子の蛍光及び/又は近赤外放出を検出する工程を含む。ある場合において、蛍光放出の検出は、被験者中に血栓が存在することを示唆する。ある実施形態において、蛍光放出の検出は、被験者中にウィルス(例えば、エボラ、マールブルグ、ブンディブギョ、スーダン、フニン、ラッサ熱、MERS、など)が存在することを示唆する。
【0069】
明らかであるが、ある実施形態において、本発明は、またヒト又はヒト以外の動物における血栓事象の検出又はイメージングのための診断薬を提供し、該薬剤は、ディスインテグリンビチスタチン(Bt)と化学的に結合した蛍光性ナノダイヤモンド粒子を含む。ある実施形態において、蛍光性ナノダイヤモンド粒子及びBtは、共有結合している。診断薬は、ナノダイヤモンド粒子に元来備わった性質の結果として、蛍光性であり得る。ある実施形態において、診断薬は、電磁気的源で励起された際、検出可能な電磁気的シグナルを放出する。
【0070】
さらなる例となる実施形態は、血栓塞栓事象の診断又は予後診断のための方法に関する。これらの実施形態において、該方法は、血栓塞栓事象を罹患していた、又はそのリスクにある疑いのある被験者に、本発明の診断薬を診断的に十分な量、投与する工程、該診断薬を血栓部位(複数有り)に十分な時間局在化させる工程、及び該診断薬の蛍光放出を検出することで該診断薬を検出する工程を含む。該方法は、活性血小板の検出の方法、及び/又は被験者中の血栓又は血栓形成の検出の方法として実行することが可能である。
【0071】
本発明の他の例となる実施形態は、キットに関する。該キットは、診断方法(例えば、血栓の検出のための診断方法)における分配、運搬、及び/又は貯蔵に適切な詰め合わせの形で本発明の診断薬を含み得る。詰め合わせの形は、診断薬の分配、運搬、及び/又は貯蔵に適切な材料を含み得る。ある実施形態において、キットは、詰め合わせの組み合わせで、被験者に本発明の診断薬を投与するための1つ以上の試薬又は装置をさらに含む。キットは、診断薬のために励起エネルギーを放出する装置を含むことがまた可能であり、好ましくは診断薬からの放出反応の検出のための検出器をさらに含む。具体的な例となる実施形態において、該装置(例えば、励起エネルギーを放出する装置、放出反応の検出のための検出器)は、手持ち式装置である。
【0072】
本発明の範囲又は精神から離れることなく、種々の改変及び変形が、本発明の実践においてなすことができることは、当業者にとっては、明らかであろう。本明細書の考慮及び本発明の実践から、本発明の他の実施形態は、当業者にとっては明らかであろう。本明細書及び実施例は、例としてだけみなされることを意図しており、本発明の真の範囲及び精神は、以降の請求項により示される。
【0073】
『被験者』又は『患者』とは、例えば、病気又は体調を受け得るほ乳類のような任意のほ乳類(例えば、ヒト)を指す。被験者又は患者の例は、ヒト、ヒト以外の霊長類、牛、馬、豚、ヒツジ、ヤギ、イヌ、猫又はネズミ、ラット、ハムスター、又はモルモットといったげっ歯類を含む。一般的に、本発明は、ヒトの使用のためのものである。患者は、ある病気又は体調と診断された被験者であり得、又はそうでなければ病気又は体調を有していると知らされ得る。ある実施形態において、患者は、病気又は体調と診断され、又は病気又は体調を助長しているリスクにあると知らされ得る。他の実施形態において、患者は、例えば、種々の臨床的因要素及び/又は他のデータに基づき、病気又は体調を有している又は助長していると疑われ得る。ある場合において、患者は、患者から得られるサンプル中の検体(例えば、ウィルス、抗原、抗体)の検出及び/又は定量の後に、具体的な病気又は体調を有している又は助長していると診断され得る。ある実施形態において、被験者は、例えば、蛍光性ナノダイヤモンド粒子の投与で、健康的利益を示し得る。
【0074】
この本文で使用されているように、『流体』は、その通常の意味で与えられ、すなわち液体又は気体である。流体は決まった形を維持することができず、観測可能な時間枠の間、流れて据え置かれる容器を満たすこととなる。それゆえ、流体は、流れを許容する任意の適切な粘度を有し得る。2つ以上の流体が存在す場合には、各流体は、当業者により、原則的に何らかの流体(液体、気体、など)の間で独立して選択され得る。
【0075】
以降の実施例は、本発明のある実施形態を示すことを意図しているものであるが、本発明のすべての範囲を説明するものではない。
【実施例0076】
次の実施例は、例となる、化学種(例えば,抗ヒト IgG-APに結合するための)を有する機能化された蛍光性ナノダイヤモンド粒子を示す.
【0077】
図3は、カルボン酸基で機能化された、及び化学種(例えば、ビチスタチン)と結合した、蛍光性ナノダイヤモンド粒子の複合化を示す。そのような機能化されたF-NDPsは、例えば、外部スキャナー(例えば、UV及び/又はNIR放出のための検出器)を使用して、血栓の存在をイメージ化し及び検出するのに使用することができる。