(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009687
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ウェハ容器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
H01L21/68 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111388
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(72)【発明者】
【氏名】楠田 将人
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131GA03
5F131GA33
(57)【要約】
【課題】ウェハを出し入れする際の接触による破損を防ぐことができるウェハ容器を提供する。
【解決手段】 一形態にかかるウェハ容器は、ウェハを複数列に収納するとともに前記ウェハを搬入する搬入口を有する筐体と、前記筐体内において所定の搬入方向に沿うとともに前記ウェハがそれぞれ配置される複数のベーススリットを形成する複数のベースガイドと、複数の前記ベースガイドの前記搬入口側に配置され前記スリットを前記搬入口側に延長する複数の延長ガイドと、を備え、前記搬入方向において、ベースガイドで形成されるベーススリットの長さは、前記ウェハの長さより小さく、前記ベースガイドと前記延長ガイドとによって形成されるガイドスリットの合計の長さは前記ウェハの長さより大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハを複数列に収納するとともに前記ウェハを搬入する搬入口を有する筐体と、
前記筐体内において所定の搬入方向に沿うとともに前記ウェハがそれぞれ配置される複数のベーススリットを形成する複数のベースガイドと、
複数の前記ベースガイドの前記搬入口側に配置され前記ベーススリットを前記搬入口側に延長する延長スリットを形成する複数の延長ガイドと、を備え、
前記搬入方向において、前記ベースガイドで形成される前記ベーススリットの長さは、前記ウェハの長さより小さく、前記ベースガイドと前記延長ガイドとによって形成されるガイドスリットの合計の長さは前記ウェハの長さより大きい、ウェハ容器。
【請求項2】
前記ベースガイドは、前記筐体の側部から前記筐体の内方に向かって突出し、先端側が細い突起状に構成される、請求項1に記載のウェハ容器。
【請求項3】
前記ガイドスリットの配列の並び順番または位置に対応する指標部を有する、請求項1に記載のウェハ容器。
【請求項4】
前記延長ガイドは、前記筐体の一方と他方の側部においてそれぞれ所定の間隔を空けて配列され、一方側の前記延長ガイドの列の間隔と、他方側の前記延長ガイドの列の間隔とが異なる、請求項1に記載のウェハ容器。
【請求項5】
複数の前記ベースガイドは、並列方向において位置調整可能である、請求項1に記載のウェハ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数枚のウェハを収容するウェハ容器として、例えば開口を有する筺体の内側面に、各ウェハの位置を規制する複数のガイドレールが設けられる構成が知られている。このようなウェハ容器において、手動でウェハを出し入れする際、他のウェハに接触するとウェハが破損する原因となる。したがって、挿入や取出の際の複数のウェハの位置や姿勢を正確に案内することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、ウェハを出し入れする際の接触による破損を防ぐことができるウェハ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一形態にかかるウェハ容器は、ウェハを複数列に収納するとともに前記ウェハを搬入する搬入口を有する筐体と、前記筐体内において所定の搬入方向に沿うとともに前記ウェハがそれぞれ配置される複数のベーススリットを形成する複数のベースガイドと、複数の前記ベースガイドの前記搬入口側に配置され前記スリットを前記搬入口側に延長する複数の延長ガイドと、を備え、前記搬入方向において、ベースガイドで形成されるベーススリットの長さは、前記ウェハの長さより小さく、前記ベースガイドと前記延長ガイドとによって形成されるガイドスリットの合計の長さは前記ウェハの長さより大きい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ウェハを出し入れする際の接触による破損を防ぐことができるウェハ容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかるウェハ容器の構成を示す断面図。
【
図5】他の実施形態にかかるウェハ容器のガイドレールの構成を示す断面図。
【
図6】他の実施形態にかかるウェハ容器の構成を示す正面図。
【
図8】他の実施形態にかかるウェハ容器の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施形態にかかるウェハ容器1について、
図1乃至
図4を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施形態にかかるウェハ容器の構成を示す断面図であり、
図2は同ウェハ容器のラックの構成を示す断面図である。
図3はウェハ容器の構成を示す断面図であり、
図4はウェハ容器のラックの構成を示す正面図である。各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。図中矢印X、Y,Zは、互いに直交する3方向を示している。本実施形態において一例として、搬入方向がZ方向、並列方向がY方向、幅方向がX方向に、それぞれ沿う姿勢で配置された例を示す。
【0009】
図1及び
図2に示すように、ウェハ容器1は、ウェハを搬入する搬入口12を有しシリコンウェハW(ウェハ)を複数列に収容するラック10と、ラック10の搬入口12を塞ぐカバー30と、を備える。
【0010】
ラック10は、例えば金属材料で構成される矩形の筺体であり、内部に直方体状の空間である収容部11を形成する。ラック10は、例えば正面に開口する搬入口12を有する。ラック10は、一対の第1側板13、14と、一対の第2側板15、16と、後板17と、フランジ18と、ガイド部20と、を備える。
【0011】
本実施形態において一例として例えばラック10が搬入口12を正面として配置した姿勢を例として説明するが、ラック10の姿勢はこれに限られるものではなく、他の姿勢に配置されてもよい。例えば搬入口12を上に向けて配置しても良い。
【0012】
一対の第1側板13、14は、並列方向において互いに対向配置される。例えば一対の第1側板13、14が上下にそれぞれ配置され、並列方向に直交する壁面を形成し、天井部と底部とを構成する。例えば一対の第1側板13、14は並列方向に所定の間隔を空けて対向配置される。
【0013】
一対の第2側板15、16は幅方向において互いに対向配置される。例えば一対の第2側板15、16は並列方向及び奥行き方向に沿う壁面を構成する。例えば一対の第2側板15、16は幅方向においてシリコンウェハWの直径よりも大きい所定の間隔を空けて対向配置される。
【0014】
後板17は搬入方向の後端部に配され、並列方向及び幅方向に沿う壁面を構成する。
【0015】
フランジ18は、搬入口12の開口縁に形成される。フランジ18の正面の幅方向両側の側部には、収容部11内に形成される複数段のガイドスリットSの配列の並び順番または位置に対応する指標部19が設けられる。指標部19は、色や形が異なる複数種類の表示であり、一例として偶数列に設けられる偶数用の第1表示部19aと、奇数列に設けられる奇数用の第2表示部19bと、を備える。第1表示部19aと第2表示部19bとは色や形が異なる記号や絵柄である。挿入時に作業者が両側部の指標部19を視認することにより、両側部の記号が揃うことを確認できる。なおフランジ18はカバー30に締結される締結部を有していても良い。
【0016】
ガイド部20は、一対の第2側板15、16の収容部11内側の面において並列方向にそれぞれ複数列に配列される複数のガイドレール21を備える。各ガイドレール21は、ベースガイドとしてのベースレール22と、延長ガイドとしての延長レール23と、を備える。一例として本実施形態において5段のガイドレール21が配置され、収容部11内において各ガイドレール21上にそれぞれ1枚ずつ、合計5枚のシリコンウェハWが収容可能に構成される。
図3及び
図4においては最上段以外の4段にそれぞれシリコンウェハWが配置された状態を示す。
【0017】
ガイドレール21は各段においてそれぞれ幅方向の両側に設けられる。一例として本実施形態においては両側部のガイドレール21は同じ高さ位置に配置される。
【0018】
ベースレール22は、両側の第2側板15、16に設けられ、収容部11の内方に向けて幅方向に突出する突起部材である。複数のベースレール22は、隣り合うベースレール22との間に、シリコンウェハWの外周縁の一部が配置される溝であるベーススリットS1を形成する。一例としてベーススリットS1の並列方向の寸法は7mm程度に構成される。ベースレール22は、搬入方向の少なくとも中央の領域に配置される。ベースレール22は、例えばシリコンウェハWが各段に挿入されて収納状態において、ベースレール22がシリコンウェハWの外周縁に係合してシリコンウェハWの位置を規制可能な位置に設けられ、少なくとも中央部の一定の領域に設けられている。なお、ベースレール22の後端部は後板17に至って形成されていてもよい。
【0019】
例えば、ベースレール22の搬入方向の寸法はシリコンウェハWの直径よりも短く構成される。
図1に示すように、シリコンウェハWが収納位置に配置された収納状態において、ベースレール22の搬入口12側の端部22aはシリコンウェハWの搬入口12側の端部Waよりも、搬入口12から離れた位置に配置される。なお、本実施形態では一例として収納位置はシリコンウェハWの後端部が後板17に接触する位置に設定された例を示すが、これに限られるものではなく、後板17よりも前方に離れた位置にシリコンウェハWの後端部が位置づけられる構成であってもよい。
【0020】
延長レール23は、両側の第2側板15、16の内側において、ベースレール22の搬入口12側の位置に設けられる。延長レール23は、例えばベースレール22の前端部から搬入口12に向けて、搬入方向に沿って延びる。延長レール23は、収容部11の内方に向けて幅方向に突出するレール状の突起部材である。例えば延長レール23は搬入方向に直交する断面形状が矩形状に構成される。なお、延長レール23は第2側板15、16に固定されていてもよく、ベースレール22に固定されていてもよい。複数の延長レール23は、並列方向に隣り合う延長レール23との間に、ベーススリットS1に連続する延長スリットS2を形成する。延長スリットS2は、シリコンウェハWの挿入時にシリコンウェハWの外周縁の一部が通る溝である。すなわち、延長レール23は、複数のベースレール22の搬入口12側に連続して配置され、ベーススリットS1を搬入口12側に延長する。延長スリットS2の並列方向の寸法は例えばベーススリットS1と同等であり、7mm程度に構成される。延長レール23の搬入口12側の端部は収納状態においてシリコンウェハWよりも搬入口12に近い位置に配される。例えば延長レール23は、搬入口12からの距離が15mm以内の位置まで延びている。
【0021】
例えばベースレール22と延長レール23とによって形成されるガイドレール21の搬入方向の合計長さは、シリコンウェハWの搬入方向の長さである直径より大きい。言い換えるとベーススリットS1と延長スリットS2とが連続して形成されるガイドスリットSの長さはシリコンウェハWの長さよりも大きい。
【0022】
以上のように構成されたウェハ容器1において、ラック10にシリコンウェハWを挿入する際、ユーザは、搬入口12近傍の両側部に形成される延長スリットS2にシリコンウェハWを位置づけて挿入する。このとき、搬入口12の近傍で延長レール23によってシリコンウェハWの位置が規制されることから、所定の収納位置に正確に案内できる。作業者がシリコンウェハWを後方に向けて挿入すると、シリコンウェハWは延長スリットS2からベーススリットS1に至り、後板17に当接する収納位置まで収納される。収納状態において、シリコンウェハWの外縁部は延長レール23を乗り越えて、延長レール23よりも後方に配置される。この収納状態において、シリコンウェハWはベースレール22に形成されたベーススリットS1に挿入され、ベースレール22上にそれぞれ支持される。
【0023】
本実施形態にかかるウェハ容器1によれば、搬入口12の近傍で延長レール23によってシリコンウェハWの位置が規制されることから、所定の収納位置に正確に案内できる。したがって、挿入時に、既にラック10内に収容された他のシリコンウェハWに当たって破損することが防止できる。このため作業性を向上し、処理効率を向上できる。
【0024】
また、上記実施形態において、ウェハ容器1は指標部19を有することにより、作業者が挿入時に奇数列と偶数列を区別できる。したがって、幅方向に離れた両側の延長スリットS2の対応関係を確認しやすく、シリコンウェハWの適正な挿入位置を確認できるため、挿入作業の作業性をより向上できる。
【0025】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0026】
例えば上記第1実施形態において、ガイド部20の延長レール23やベースレール22の搬入方向に直交する断面形状が矩形状である例を示したがこれに限られるものではない。他の実施形態として
図5に示すように、延長レール23は、先端側が細い突起状に構成されていてもよい。本実施形態において、延長レール23は先端側、すなわち幅方向において収容部11の中央側の、並列方向の寸法が小さい、テーパ状に構成される。例えば延長レール23の搬入方向に直交する断面形状は三角形状に構成される。したがって本実施形態において、搬入口12近傍の延長スリットS2の開口幅は内側に向けてテーパ状に拡大する。この他の構成は上記第1実施形態にかかるウェハ容器1と同様に構成されている。本実施形態によれば、延長スリットS2が内方側に拡大することから、シリコンウェハWの挿入作業が容易となる。なお、ベースレール22について、第1実施形態と同様に矩形状の断面としてもよく、本実施形態の延長レール23と同様に先細形状としてもよい。
【0027】
例えば上記第1実施形態において、両側の延長スリットS2の幅が同じである例を示したが、これに限られるものではなく、両側の延長スリットS2の幅を異ならせてもよい。例えば
図6及び
図7に示すウェハ容器1Aにおいて、一方側の延長レール23の列の間隔と、他方側の延長レール23の列の間隔とが異なる。具体的には幅方向一方側の側板15に設けられた延長レール23は、幅方向他方側の側板16に設けられた延長レール23よりも、並列方向の寸法が厚く構成されている。したがって、両側部に形成される延長スリットS2の幅寸法が異なり、一方側の延長スリットS2の溝幅が他方側の延長スリットS2の溝幅よりも幅が狭く構成されている。一例として、一方側の延長スリットS2の幅は3mm、他方側の延長スリットS2の幅は7mmに構成される。なお、ベースレール22及びベーススリットS1は両側が同じ位置及び同じ幅に構成されている。この他の構成は上記第1実施形態にかかるウェハ容器1と同様に構成されている。
【0028】
本実施形態に係るウェハ容器1Aによれば、片側の延長スリットS2の寸法を狭くすることで、シリコンウェハWの出し入れ時の位置を規制し、ガタを軽減することができる。
【0029】
また、他の実施形態として
図8、
図9に示すように、ガイドレール21を構成する延長レール23は位置調整可能に構成されていてもよい。例えば
図8及び
図9に示すウェハ容器1Bにおいて、延長レール23は並列方向に移動可能に取付けられる。この構成によれば、延長レール23の位置をずらすことで、延長スリットS2の隙間の幅を調整できる。したがって、例えば延長スリットS2の幅を狭めることで、挿入時のガタを軽減することができる。
【0030】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1、1A、1B…ウェハ容器、10…ラック、11…収容部、12…搬入口、13…第1側板、14…第1側板、15…第2側板、16…第2側板、17…後板、18…フランジ、19…指標部、19a…表示部、19b…表示部、20…ガイド部、21…ガイドレール、22…ベースレール、22a…端部、23…延長レール、30…カバー、S…ガイドスリット、S1…ベーススリット、S2…延長スリット。