(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096885
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20240709BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20240709BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06F3/0481
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065547
(22)【出願日】2024-04-15
(62)【分割の表示】P 2022536066の分割
【原出願日】2020-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】橋本 利紀
(72)【発明者】
【氏名】澤田 有佳
(57)【要約】 (修正有)
【課題】手続き書類の記入欄に情報を記入するための補助が可能な情報処理システム、情報処理方法及びプログラム記憶媒体を提供する。
【解決手段】情報処理システムにおいて、情報処理装置は、申請者が手続きを申請するために必要な申請書を記入する上で、申請者の記入の補助を可能にするために、ユーザの個人情報を取得する個人情報取得部と、取得した個人情報に基づき、ユーザに対しユーザー端末が認識した申請書への記入を促すガイドの内容又は種類を決定するガイド決定部と、申請書を示す画像上又は申請書上に、ガイドを重畳表示させるように制御するガイド制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの個人情報を取得する取得手段と、
前記個人情報に基づき、前記ユーザに対し申請書への記入を促すガイドの内容を決定する決定手段と、
前記申請書を示す画像上又は前記申請書上に、前記ガイドを重畳表示させるように制御するガイド制御手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記ガイド制御手段は、前記申請書を示す画像上に前記ガイドを重畳表示させるように制御する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記ガイド制御手段は、前記申請書の種類又は空欄項目に応じて前記ガイドを変える、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記ユーザのマイナンバー情報の入力を受け付ける入力手段を備え、
前記取得手段は、前記マイナンバー情報に関連付いた前記個人情報を取得する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
端末により撮像された撮像画像に映る前記申請書に描画されたマーカまたは前記申請書の外観に基づき前記申請書を認識する認識手段を備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記ガイド制御手段は、前記端末が備える表示部に対し前記ガイドを表示させるように制御する、
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記端末は前記ユーザが装着する装着体である、請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
ユーザの個人情報を取得し、
前記個人情報に基づき、前記ユーザに対し申請書への記入を促すガイドの内容を決定し、
前記申請書を示す画像上又は前記申請書上に、前記ガイドを重畳表示させるように制御する、
情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
ユーザの個人情報を取得する処理、
前記個人情報に基づき、前記ユーザに対し申請書への記入を促すガイドの内容を決定する処理、
前記申請書を示す画像上又は前記申請書上に、前記ガイドを重畳表示させるように制御する処理、
を実行させるためのプログラムを記憶するプログラム記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
住民が手続きを申請する場合、書類の記入欄に情報を記入する必要がある。特許文献1には、ユーザが書類へ記入する際の記入ミスを減らすために、記入欄を撮影した画像から記入欄に対応した参考情報を提示させる技術が開示されている。特許文献2には、提出書類に応じた提出先情報を案内するページを表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-011586号公報
【特許文献2】特開2018-147321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手続きを申請する場合、同一の申請書を記入する場合でも、個々の申請者に応じて記入するべき項目や情報が異なることがある。そのため手続に不慣れな申請者にとっては、申請書に対して、自身の場合は具体的に何を記入すべきか判断することが困難であった。この点に関し、特許文献1及び特許文献2に記載された技術は申請者に応じた柔軟な記入補助を行うことは考慮されていない。
【0005】
本発明によれば、上記の課題を鑑み、申請者が申請書に記入をするための補助が可能な情報処理システム、情報処理方法及びプログラム記憶媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、
ユーザの個人情報を取得する取得手段と、
前記個人情報に基づき、前記ユーザに対し申請書への記入を促すガイドの内容を決定する決定手段と、
前記申請書を示す画像上又は前記申請書上に、前記ガイドを重畳表示させるように制御するガイド制御手段と、
を備える情報処理システムが提供される。
【0007】
本発明の一観点によれば、
ユーザの個人情報を取得し、
前記個人情報に基づき、前記ユーザに対し申請書への記入を促すガイドの内容を決定し、
前記申請書を示す画像上又は前記申請書上に、前記ガイドを重畳表示させるように制御する、
情報処理方法が提供される。
【0008】
本発明の一観点によれば、
コンピュータに、
ユーザの個人情報を取得する処理、
前記個人情報に基づき、前記ユーザに対し申請書への記入を促すガイドの内容を決定する処理、
前記申請書を示す画像上又は前記申請書上に、前記ガイドを重畳表示させるように制御する処理、
を実行させるためのプログラムを記憶するプログラム記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、申請者が申請書に記入をするための補助が可能な情報処理システム、情報処理方法及びプログラム記憶媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態における情報処理システムの使用例を説明するための図である。
【
図2】本実施形態における情報処理システムの構成図を示した一例である。
【
図3】本実施形態において用いられる申請書の一例である。
【
図4】本実施形態におけるデータベースの構造を示した一例である。
【
図5】本実施形態において出力されるガイドの一例を示した図である。
【
図6】本実施形態において出力されるガイドの一例を示した図である。
【
図7】本実施形態の処理の流れを示したシーケンス図である。
【
図8】本実施形態の処理の流れを示したフローチャートである。
【
図9】本実施形態における情報処理システムの構成図の一例である。
【
図10】本実施形態における情報処理システムの構成図を示した一例である。
【
図11】本実施形態における情報処理システムの構成図を示した一例である。
【
図12】本実施形態の処理の流れを示したフローチャートである。
【
図13】本実施形態における情報処理システムのハードウェア構成の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施形態を説明する。図面において同様の要素又は対応する要素には同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化することがある。
【0012】
[機能の概要]
まず、
図1を用いて本発明が実現する機能の概要を説明する。
図1は申請書を記入するユーザがユーザ端末20を用いる状況の一例を説明する図である。ユーザがユーザ端末20に本人確認書類を提示すると、ユーザ端末20は本人確認書類から個人情報を読み取る。また、ユーザ端末20はユーザ操作によりユーザが記入する対象の申請書D1を撮像し、申請書D1の申請書種別を取得する。ユーザ端末20は、読み取った個人情報と、申請書種別を情報処理装置10に送信する。
【0013】
情報処理装置10はユーザ端末20から受信した個人情報と申請書種別に基づき、ユーザ端末20に表示させるガイド情報を選択する。ガイド情報は、ユーザに対し申請書の記入を促す情報であり、申請書種別やユーザの個人情報に応じて変化する。情報処理装置10は、選択したガイド情報をユーザ端末20に表示させる制御信号を送信する。
【0014】
ユーザ端末20の説明に戻り、ユーザ端末20は情報処理装置10から送信された制御信号を受信する。ユーザ端末20はユーザ操作により記入対象である申請書D1を撮像する。ユーザ端末20は、申請書D1を撮像した撮像画像を表示する。ユーザ端末20は受信した制御信号に基づき申請書D1の撮像画像上にガイド情報を重畳表示する。
【0015】
ユーザはユーザ端末20に表示されたガイド情報を見て、申請書D1の記入を行う。表示されるガイド情報は申請書の種別や記入するユーザ自身の個人情報に応じて異なる。これにより、ユーザ毎に要求される記入内容が変わる場合であっても、ユーザは記入内容を迷うことなく申請書を円滑に記入することができる。
【0016】
[第1実施形態]
次に本実施形態における情報処理システム1の構成について
図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態における情報処理システム1の全体構成例を示す図である。情報処理システム1は、情報処理装置10と、ユーザ端末20とを備える。情報処理装置10とユーザ端末20は、LAN(Local Area Network)やインターネット等に接続され、互いに通信可能である。情報処理装置10と接続されるユーザ端末20の数は少なくとも1以上である。情報処理システム1は外部の住民基本台帳ネットワークシステムNW(以下、「住基ネットNW」とも称す)と電気通信回線を介して通信可能に接続されている。
【0017】
情報処理装置10は、例えば役所や庁内において手続申請を行う住民(以降、ユーザまたは申請者とも称す)に対し、申請書への記入を円滑に促すためのガイドを生成する情報処理装置である。申請書とは、行政の手続き(住民記録業務、印鑑登録業務、税業務、国民健康保険業務、国民年金業務、介護保険業務、保健福祉業務、)において用いられる申請書や届出書等であり、住民異動届、婚姻届、離婚届等が例示される。申請書は、上記以外の行政手続き(各種公的施設利用関連、土木・道路維持占有業務、上下水道業務生活保護業務、後期高齢者医療制度業務、納税徴収業務等)において用いられるものであってもよい。申請書の他の例では、補償金や助成金の取得手続き、戸籍謄本や身分証明等の取得手続き、マイナンバーカードやパスポート、運転免許証、国民健康保険証等の発行、再発行、更新手続等に要する書類等も挙げられる。ガイドとは、例えば、申請書の各項目に対する記入内容や、記入要否に関する案内、個々の住民に応じて具体的な記入内容を示唆するものであるが、これに限定されない。
【0018】
ユーザ端末20は手続申請を行うユーザが操作可能な端末であり、ユーザに対し申請書への記入を促すガイドを表示する情報処理端末である。ユーザ端末20は、例えばスマートフォン、タブレットや、AR(Augmented Reality、拡張現実)ゴーグル型、コンタクトレンズ型、帽子型、サングラス型、メガネ型等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ等である。ユーザ端末20はユーザによる操作が可能であればよく、様態は限定されない。
【0019】
次に情報処理装置10とユーザ端末20の構成について
図2及び
図1を用いて説明する。情報処理装置10は、個人情報取得部110、ガイド決定部120、記憶部130、ガイド制御部140、通信部150から構成される。ユーザ端末20は、読取部210、撮像部220、認識部230、表示部240から構成される。
【0020】
読取部210は、ユーザの本人確認書類から識別番号等の個人情報を読み取る。本人確認書類は、例えばマイナンバーカード、運転免許証、健康保険証、旅券等である。読取部210が読み取る個人情報は識別番号に限定されず、氏名や性別、年齢等を含んでもよい。読取部210が本人確認書類から個人情報を取得する手段には、本人確認書類に内蔵されているIC(Integrated Circuit)チップを読み取る他、本人確認書類の券面に記載されている文字や数字をOCR(Optical Character Reader)等で読み取る手段が挙げられる。本人確認書類から個人情報を取得する手段は上記に限定されない。
【0021】
個人情報取得部110は、読取部210が読み取った個人情報を取得する。なお、個人情報取得部110は取得した個人情報を基に通信部150を介して、住基ネットNWから情報を取得し、当該個人情報を補完してもよい。
【0022】
撮像部220は、ユーザが記入する申請書を撮像する。例えば、撮像部220は所定のフレームレートに応じて撮像範囲を連続的に撮影することが想定される。
【0023】
認識部230は、撮像部220が撮像した申請書の種別及び、申請書が位置する空間座標を認識する。空間座標とは、現実に申請書が置かれている三次元座標を示し、撮像部220に対する申請書の向きや大きさ、距離等の要素を含み得る。認識部230が申請書の種別及び空間座標を認識する手段には、申請書自体の外観や後述するマーカMKを用いる方法等が挙げられるが、これに限定されない。
【0024】
図3を用いて、ユーザが記入する申請書の様式の一例を説明する。
図3は申請書の一例として住民異動届を例示したものである。申請書D1はユーザが記入する記入項目の一例であるP1~P5を含む。記入項目の位置や数、種類は申請書D1の種別に応じて異なる。また、認識部230が申請書の種別や空間座標を認識するために用いることが可能なマーカMKを記載するものであってもよい。
【0025】
次に
図4を用いて記憶部130が格納するデータベースの構造について説明する。
図4は記憶部130が記憶するデータベースのデータ構造の一例である。記憶部130は、検索条件とガイドを構成する各コンテンツとを関連付けたデータベースを記憶する。
図4はデータベースが申請書の種別毎に複数存在する一例である。データベースはガイド情報を構成する各コンテンツとコンテンツに関連付く申請書の項目と検索条件との組み合わせから構成される。コンテンツは関連付く項目に対する案内文やレイアウト、表示の様態などを包括した情報である。検索条件は個人情報に基づき決定される。記入項目P1~PNは申請書D1に含まれる各記入項目を示す。
【0026】
ガイド決定部120は、認識部230が認識した申請書種別及び個人情報取得部110が取得した個人情報を用いて記憶部130が記憶するデータベースから申請書の記入項目ごとに好適なコンテンツを検索する。またガイド決定部120は、検索したコンテンツの群を表示部240に表示するガイド情報に決定する。
【0027】
ガイド制御部140は、ガイド決定部120が選択したガイド情報を表示部240に表示させるための制御信号を送信する。
【0028】
表示部240は撮像部220が撮像範囲を連続的に撮影した画像を順次表示する。表示部240が表示する画像は、ユーザの記入対象である申請書を含み得る。表示部240は、ガイド制御部140が送信した制御信号を受信し、ガイド決定部120が選択したコンテンツを申請書の上に重畳表示させる。一例では、表示部240は、ユーザ操作により撮像部220が撮像した画像または映像を表示する。また、表示部240は、認識部230が取得した申請書D1が位置する空間座標を取得し、空間座標に基づきガイド情報を表示する位置を調整することが可能である。これにより、ユーザが現実空間において申請書を自由な位置に置いて記入を開始した場合であっても、ガイド情報を表示画面内(表示部240)の適切な位置に表示させることが可能であり、利便性を向上させることができる。
【0029】
図5及び
図6を用いて、表示部240が表示するガイド情報の様態を説明する。
図5及び
図6は申請書D1を示す画像上に表示されるガイド情報の様態を示す一例である。
図5及び
図6のコンテンツE1~E5はガイド情報を構成する各コンテンツを示す。各コンテンツはユーザの個人情報に基づき検索された様態で表示される。
【0030】
コンテンツの様態の一例を説明する。例えば、コンテンツE1は「氏名を記入の上、押印して下さい。あなたの場合、氏名「○○○○」を入力」と氏名の入力を促す内容が示されている。コンテンツE1を見たユーザは、自身の氏名を戸籍上の旧漢字等で記載すべきことを確認することができ、常用漢字で記載する誤記を防ぐことが可能である。また、コンテンツE2を参照すると「新しい住所を記入してください」と異動後の住所の記入を促す内容が表示されている。コンテンツE2を見たユーザは異動前の旧住所ではなく、移動後の新住所を記載すべきことを確認でき、住所に関し誤った記入を防ぐことができる。他のコンテンツの様態の一例を説明する。例えば、取得した個人情報に個人の所得を示す情報(個人所得情報)が含まれる場合、申請書上の所得情報を記入する項目に、ユーザの具体的な所得情報(金額情報)の記載を促すガイドを表示する。または、ユーザの所得要件に応じて記入すべき事項が変化する項目に対しては、個人所得情報に応じて記入の要否や記入すべき項目を異ならせるように促すガイドを表示してもよい。上記の一例を換言すると、ガイドの表示内容はユーザの個人所得情報に応じて変化する。他のコンテンツの様態の一例を説明する。取得した個人情報が、ユーザ及びユーザの家族に国民健康保険に加入する人物が存在するか否かを示す情報を含む例を想定する。ユーザが転入手続を行う際、ユーザとともに転入する人物の中に国民健康保険への加入者が存在する場合、国民健康保険に関する申請(例えば国民健康保険に係る住所変更登録など)が必要である旨をガイドとして表示してもよい。換言すると、ガイドの表示内容、表示の有無はユーザ及びユーザに関連付いた人物が所定の保険に加入しているか否かに応じて変化する。なお、当該ガイドは申請書上に重畳表示される様態に限らず、表示部240上に表示される等、ユーザに報知することができる様態であれば限定されない。
【0031】
次に、
図5及び
図6を用いて個人情報に応じて表示されるガイド情報が変化する例を説明する。
図5と
図6はそれぞれ異なるユーザに対して表示されたガイド情報を示すものである。
図5と
図6では記入項目P5に対して異なるコンテンツE4またはE5が表示されている。取得した個人情報の家族構成に基づき、ユーザに同居の家族が存在する場合、
図5のコンテンツE4には「旧住所から新住所に異動する人を全員分に記入してください。「○○△△さん」「○○××さん」が候補です」との案内が表示され、ユーザに記入を促す情報が記載されている。一方では、個人情報の家族構成に基づき、同居の家族が存在しない場合には、
図6のコンテンツE5には「記入不要です」との案内が表示され、ユーザに記入不要の旨を知らせている。つまり、
図5及び
図6の例では個人情報の一例である家族構成に基づき、ガイド情報を変化させることを示している。他には、個人情報から特定される家族構成を参照し、同居家族の人数に応じてガイドで記入を促す枠の数を変化させてもよい。具体的には、同居家族が5名の場合と3名の場合とでは、ユーザとともに異動する人を列挙する記入枠において、ガイドで記入を促す枠の数を異ならせるようにしてもよい。また、他の例では、性別や年齢、生年月日等の個人情報に応じて、記入すべき性別や年齢、生年月日をガイド上に明示してもよい。
【0032】
これにより、ユーザに応じて項目ごとに記入の要否を報知することができるため、ユーザの記入誤りを防ぐことができる。以上の通り、個人情報に応じてユーザに表示するガイド情報を変えることで、よりユーザの実態に則した記入の誘導が可能となる。
【0033】
次に、
図7及び
図8を用いて本実施形態における情報処理システム1の処理の流れを説明する。
図7は情報処理装置10及びユーザ端末20の間で行われる処理の流れを説明したシーケンス図である。
【0034】
まず、ユーザ端末20の読取部210は、ユーザの本人確認書類から識別番号等の個人情報を読み取る(S201)。次に、読取部210は読み取った個人情報を情報処理装置10に送信する(S202)。
【0035】
次に、情報処理装置10の個人情報取得部110は、読取部210が読み取った個人情報を取得する(S101)。なお、S101において、個人情報取得部110は取得した個人情報を基に通信部150を介して、住基ネットNWから情報を取得し、当該個人情報を補完してもよい。
【0036】
ステップS101と並行して、ユーザ端末20の撮像部220は、ユーザが記入する申請書を撮像する(S203)。例えば、撮像部220は所定のフレームレートに応じて撮像範囲に映る物体を連続的に撮影する。
【0037】
ユーザ端末20の認識部230は、撮像部220が撮像した申請書の種別及び、申請書が位置する空間座標を認識する(S204)。認識部230は、認識した申請書種別を情報処理装置10に送信する(S205)。
【0038】
情報処理装置10のガイド決定部120は、認識部230が認識した申請書種別及び個人情報取得部110が取得した個人情報を用いて記憶部130が記憶するデータベースから申請書の記入項目ごとに好適なコンテンツを検索する(S102)。またガイド決定部120は、検索したコンテンツの群を表示部240に表示するガイド情報に決定する(S103)。
【0039】
ガイド制御部140は、ガイド決定部120が選択したコンテンツを表示部240に表示させるための制御信号を送信する(S104)。
【0040】
表示部240は、ガイド制御部140が送信した制御信号を受信し、ガイド決定部120が選択したコンテンツを表示部に映る申請書の上に重畳表示させる(S205)。
【0041】
図8は情報処理システム1の処理の流れを示すフローチャートである。ステップS205の後、ユーザ端末20の撮像部220は申請書を再度撮像する(S206)。次にユーザ端末20の認識部230は、撮像部220が撮像した申請書においてユーザが記入を要求される項目のうち、空欄である項目を認識し(S207)、空欄の有無を判定する。ステップ207において空欄があると判定された場合(S208、YES)、ガイド決定部120は、記憶部130が記憶するデータベースを参照し、認識部230が認識した空欄項目に応じて、該当するコンテンツを項目ごとに選択する(S209)。例えば、認識部230が、
図3においてユーザが記入を要求されている項目のうち記入項目P3及び記入項目P4のみが空欄であると認識した場合は、記入項目P3及び記入項目P4に関するコンテンツのみを選択してもよい。ステップS208の後、再度ステップS206の処理に戻る。ステップ207において空欄が無いと判定された場合(S208、NO)、表示部240はガイドの表示を終了する(S210)。
【0042】
これにより、ユーザはユーザ端末20の表示部240上に表示されたガイド情報を見て、申請書D1の記入を行う。表示されるガイドは申請書の種別や記入するユーザ自身の個人情報に応じて異なるため、ユーザ毎に要求される記入内容が変わる場合であっても、ユーザは申請書を円滑に記入することができる。
【0043】
加えて、ユーザに対して記入のガイドを表示することにより、法的な制約上、申請者が直接記入する必要のある書類であっても、申請者の記入における判断を容易にし、申請手続を効率化させることができる。
【0044】
また、本発明の一側面によれば、ユーザが記入する申請書の種類や空欄状況に応じてガイドを変えることで、手続申請に不慣れなユーザであっても、ユーザ各々の状況に応じて柔軟に記入の誘導を行うことができる。これによりユーザ自身が申請書の記入に要する時間を短縮できる他、窓口職員が申請書の記入を補助する負荷を軽減することができる。これにより手続申請に係る工程全体の効率を改善することができる。
【0045】
また、本発明の一側面によれば、識別情報等に関連付いた個人情報を参照することで、ユーザ各々の属性や状況を詳細に把握することが可能になるため、ユーザに応じた柔軟な記入の誘導が可能になる。
【0046】
[第2実施形態]
次に第2実施形態におけるユーザ端末20の構成について
図9を用いて説明する。本実施形態におけるユーザ端末20は、ユーザが装着可能な装着体である点で、第1実施形態とは相違する。第1実施形態と共通する点は説明を省略する。
図9は、本実施形態におけるユーザ端末20の全体構成例を示す。
【0047】
本実施形態のユーザ端末20は、手続申請を行うユーザが操作可能な端末であり、ユーザに対し申請書への記入を促すガイドを表示する情報処理端末である。
図9はユーザ端末20の一例としてAR(Augmented Reality、拡張現実)ゴーグル型のデバイスを例示しているが、他にもコンタクトレンズ型、帽子型、サングラス型、メガネ型等のウェアラブルデバイスであってもよい。
【0048】
ユーザ端末20は、第1実施形態と同様に読取部210、撮像部220、認識部230、表示部240を有し、情報処理装置10と通信可能である。撮像部220の撮像方向は、ユーザがユーザ端末20を装着した場合の視線方向と近似する向きに調整される。換言すると、撮像部220はユーザの目線方向に映る被写体を撮影する。
【0049】
表示部240はユーザ端末20を装着したユーザの眼を覆うように設けられる。表示部240は撮像部220が撮影した画像を連続的に表示する。この場合、表示部240は撮像部220が撮影した周辺背景及び申請書を画像として表示し、申請書を示す画像上にガイドを重畳表示する。これにより、ユーザ端末20を装着したユーザからは、申請書上にガイドが重畳表示されるように見える。なお他の例では、表示部240は、ユーザの視線を完全に遮断しないように光を透過可能であってもよい。これにより、ユーザは表示部240越しに見た申請書に対して違和感なく記入を進めることができる。本実施形態によれば、ユーザはガイドの視認が容易となりユーザビリティが向上するという効果が得られる。
【0050】
[変形例]
次に上記の実施形態に適用可能な変形例を説明する。変形例におけるユーザ端末20の構成について
図10を用いて説明する。本実施形態におけるユーザ端末20は、ガイドを申請書上に投影表示する点で、上記の第1及び第2実施形態とは相違する。第1及び第2実施形態と共通する点は説明を省略する。
図10は、本実施形態におけるユーザ端末20の機能の一例を示す。
【0051】
図10の一例ではユーザ端末20はプロジェクタである。ユーザ端末20は申請書上に光線を照射することで、プロジェクションマッピング技術によりコンテンツE6を申請書上に重畳表示する。これによりユーザはコンテンツE6を参照しつつ申請書を記入することが可能である。なお、申請書は不図示の装置により表示され、ユーザの記入を受付することが可能であってもよい。本変形例によれば、ユーザがユーザ端末を用いた申請書の撮影等の作業が不要であるため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0052】
上記の実施形態に適用可能な他の変形例を説明する。読取部210が取得する識別情報の取得方法は限定されず、例えば、マイナンバーカードをARゴーグルと通信可能な機器にかざすことで取得してもよい。他にも、ARゴーグルが備えるカメラでマイナンバーカード券面上に記載されている識別番号を読み取ることでマイナンバーを取得してもよい。
【0053】
また、本明細書中で説明する申請書とは、紙媒体である他、表示装置の画面上に表示されたものであってもよい。
【0054】
また、通信部150は、撮像部220が撮影した画像を職員が操作する不図示の端末に送信してもよい。これにより、ユーザは自身の記入状況を職員と共有することが可能であるため、職員がその場に居なくとも申請書の記載不備等の指摘が可能であり、ユーザの補助をより柔軟に行うことができる。
【0055】
情報処理システム1が取得した個人情報に応じてガイドを変える変形例を説明する。ガイド決定部120は取得した個人情報に基づき表示するコンテンツを一に絞り込めない場合であっても、取得した個人情報に基づきユーザが所定の条件に該当する可能性があるか否かを判定し所定の条件に応じたコンテンツを選択してもよい。所定の条件とは、例えば「生活保護の有無」「介護認定の有無」「年金給付の有無」「助成を受けるべき所得状況か否か」等である。この変形例においてガイド決定部120が、個人情報に基づき表示するコンテンツを選択する例を説明する。例えば「助成金給付の対象か否か」を明確に判断するために必要な条件が「所得情報」及び「雇用形態情報(例えば、個人事業主、正規雇用、非正規雇用)」であることを想定する。ここで情報処理システム1が「雇用形態」を取得せずに「所得情報」を取得し「所得情報」が所定未満の所得を示す場合、ガイド決定部120は「雇用形態情報」に依らず「助成金給付の対象である」可能性が高いと判定する。そしてガイド決定部120は、ユーザに対し「助成金給付の対象である可能性がある」ことを示すコンテンツを選択する。つまり、ガイド決定部120は、取得した個人情報に不足があり、個人情報がコンテンツに対応する全ての条件を満たすと判断できない場合であっても、個人情報がコンテンツに対応する一部の条件を満たせば、当該コンテンツを選択してもよい。このように、ガイド決定部120は、ユーザが所定の条件に該当する可能性がある場合は、所定の条件に応じたコンテンツを選択する。これによれば、コンテンツ検索に用いる個人情報が十分に定まらない場合であっても、柔軟なガイドを行うことができる。
【0056】
他の変形例を説明する。情報処理装置10が備える機能の一部又は全てをユーザ端末20が備えるように設計してもよい。ユーザ端末20が備える機能の一部又は全てを情報処理装置10が備えるように設計してもよい。記憶部130は不図示の外部装置が備えるように設計してもよい。
【0057】
他の変形例を説明する。ユーザ端末20は撮像画像に代えて、申請書D1のフォーマットを示すテンプレート画像を表示してもよい。これにより、処理負荷が軽減する効果が得られる。
【0058】
[最小構成]
本発明における情報処理システムの最小構成について
図11を用いて説明する。
図11は、本実施形態における情報処理システム3の全体構成例を示す図である。情報処理システム3は個人情報取得部301とガイド決定部302とガイド制御部303を備える。
【0059】
個人情報取得部301は、ユーザの個人情報を取得する。ガイド決定部302は、個人情報取得部301が取得した個人情報に基づき、ユーザに対して、端末が認識した申請書への記入を促すガイドの内容または種類を決定する。ガイド制御部303は、申請書を示す画像上に、ガイドを重畳表示させるように制御する。
【0060】
次に
図12を用いて情報処理システムの最小構成に係る処理の流れを説明する。個人情報取得部301は、ユーザの個人情報を取得する(S301)。ガイド決定部302は、個人情報取得部301が取得した個人情報に基づき、ユーザに対して、端末が認識した申請書への記入を促すガイドの内容または種類を決定する(S302)。ガイド制御部303は、申請書を示す画像上に、ガイドを重畳表示させるように制御する(S303)。
【0061】
これにより、ユーザが申請書に記入をするための補助が可能である。加えて、法的制約上、申請者が直接記入する必要のある書類であっても、申請者の記入における判断を容易にし、申請手続を効率化させることができる。また、ユーザが記入する申請書の種類や空欄状況に応じてガイドを変えることで、手続申請に不慣れなユーザであっても、ユーザ各々の状況に応じて柔軟に記入の誘導を行うことができる。これによりユーザ自身が申請書の記入に要する時間を短縮できる他、窓口職員が申請書の記入を補助する負荷を軽減することができる。これにより手続申請に係る工程全体の効率を改善することができる。
【0062】
[ハードウェア構成例]
次に、上述した各実施形態における、情報処理装置(10)、ユーザ端末(20)、情報処理システム(1、3)を、一つ以上のコンピュータを用いて実現するハードウェア構成の一例について説明する。情報処理装置(10)、ユーザ端末(20)、情報処理システム(1、3)が備える各機能部は、任意のコンピュータの少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのメモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納する少なくとも1つのハードディスク等の記憶ユニット、ネットワーク接続用インターフェイス等を中心にハードウェアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。この実現方法、装置には種々の変形例があることは、当業者には理解されるところである。なお記憶ユニットは、装置の出荷以前から格納されているプログラムのほか、光ディスク、光磁気ディスク、半導体フラッシュメモリ等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納可能である。
【0063】
図13は、情報処理装置(10)、ユーザ端末(20)、情報処理システム(1、3)のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図13に示すように、情報処理装置(10)、ユーザ端末(20)、情報処理システム(1、3)は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、通信インターフェイス5A、バス6Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。情報処理装置(10)、ユーザ端末(20)、情報処理システム(1、3)は周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、情報処理装置(10)、ユーザ端末(20)、情報処理システム(1、3)は物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよい。この場合、複数の装置各々が上記のハードウェア構成を備えることができる。
【0064】
バス6Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、通信インターフェイス5Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)やマイクロプロセッサ等の演算処理装置である。プロセッサ1Aは、例えば、メモリ2Aに記憶された各種プログラムに従って処理を実行することが可能である。
【0065】
メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリであり、プログラムや各種データを記憶する。
【0066】
入出力インターフェイス3Aは、入力装置、外部装置、外部ストレージ部、外部センサ、カメラ等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部ストレージ部等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。入力装置は、例えばタッチパネル、キーボード、マウス、マイク、カメラ等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンタ、ランプ等である。
【0067】
プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0068】
通信インターフェイス5Aは情報処理装置(10)、ユーザ端末(20)、情報処理システム(1、3)が外部装置と相互に通信することを実現する他、情報処理装置(10)、ユーザ端末(20)、情報処理システム(1、3)が相互に通信することを実現する。なお、情報処理装置(10)、ユーザ端末(20)、情報処理システム(1、3)の一部の機能をコンピュータで構成してもよい。
【0069】
[付記事項]
なお、前述の実施形態の構成は、組み合わせたり或いは一部の構成部分を入れ替えたりしてもよい。また、本発明の構成は前述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、各実施形態や変形例に開示される構成や処理を互いに組み合わせてもよい。上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0070】
[付記1]
ユーザの個人情報を取得する取得手段と、
前記個人情報に基づき、前記ユーザに対し申請書への記入を促すガイドの内容を決定する決定手段と、
前記申請書を示す画像上又は前記申請書上に、前記ガイドを重畳表示させるように制御するガイド制御手段と、
を備える情報処理システム。
【0071】
[付記2]
前記ガイド制御手段は、前記申請書を示す画像上に前記ガイドを重畳表示させるように制御する、
付記1に記載の情報処理システム。
【0072】
[付記3]
前記ガイド制御手段は、前記申請書の種類または空欄項目に応じて前記ガイドを変える、
付記1または2に記載の情報処理システム。
【0073】
[付記4]
前記ユーザのマイナンバー情報の入力を受け付ける入力手段を備え、
前記取得手段は、前記マイナンバー情報に関連付いた個人情報を取得する、
付記1から3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【0074】
[付記5]
端末により撮像された撮像画像に映る前記申請書に描画されたマーカまたは前記申請書の外観に基づき前記申請書を認識する認識手段を備える、
付記1から4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【0075】
[付記6]
前記撮像画像は前記ユーザが操作する端末が備えるカメラにより撮像され、
前記ガイド制御手段は、前記端末が備える表示部に対しガイドを表示させるように制御する、
付記1から5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【0076】
[付記7]
前記端末は前記ユーザが装着する装着体である、付記6に記載の情報処理システム。
【0077】
[付記8]
ユーザの個人情報を取得し、
前記個人情報に基づき、前記ユーザに対し申請書への記入を促すガイドの内容を決定し、
前記申請書を示す画像上又は前記申請書上に、前記ガイドを重畳表示させるように制御するステップと、
を備える情報処理方法。
【0078】
[付記9]
コンピュータに、
ユーザの個人情報を取得する処理、
前記個人情報に基づき、前記ユーザに対し申請書への記入を促すガイドの内容を決定する処理、
前記申請書を示す画像上又は前記申請書上に、前記ガイドを重畳表示させるように制御する処理、
を実行させるためのプログラムを記憶するプログラム記憶媒体。
【符号の説明】
【0079】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
110 個人情報取得部
120 ガイド決定部
130 記憶部
140 ガイド制御部
150 通信部
20 ユーザ端末
210 読取部
220 撮像部
230 認識部
240 表示部
3 情報処理システム
301 個人情報取得部
302 ガイド決定部
303 ガイド制御部
NW 住基ネット
MK マーカ
P1、P2、P3、P4、P5 記入項目
D1 申請書
E1、E2、E3、E4、E5、E6 コンテンツ
1A プロセッサ
2A メモリ
3A 入出力インターフェイス
4A 周辺回路
5A 通信インターフェイス
6A バス