(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096887
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】人形マスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
B41J2/01 109
B41J2/01 305
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065572
(22)【出願日】2024-04-15
(62)【分割の表示】P 2022061933の分割
【原出願日】2018-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 信弘
(72)【発明者】
【氏名】菊地 すすむ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】任意の複数の印刷対象物に印刷を行う場合であっても、適切な印刷が可能となるように当該印刷対象物を保持可能とする技術を提供する。
【解決手段】印刷装置による印刷対象物を保持可能に構成された保持装置であって、保持基板と、前記保持基板上に配置された複数の保持部であって、それぞれの保持部は前記印刷対象物を着脱可能に構成され、かつ、取り付けられた前記印刷対象物の傾きを変更することが可能な保持手段を備える、複数の保持部と、前記複数の保持部の少なくとも2つ以上について、前記印刷対象物の傾きを第1の方向において同時に変更させるように前記保持手段を駆動する駆動部と、前記保持基板を前記保持基板と直交する方向に移動させるための昇降部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置による印刷対象物を保持可能に構成された保持装置であって、
保持基板と、
前記保持基板上に配置された複数の保持部であって、それぞれの保持部は前記印刷対象物を着脱可能に構成され、かつ、取り付けられた前記印刷対象物の傾きを変更することが可能な保持手段を備える、複数の保持部と、
前記複数の保持部の少なくとも2つ以上について、前記印刷対象物の傾きを第1の方向において同時に変更させるように前記保持手段を駆動する駆動部と、
前記保持基板を昇降するための昇降部と
を備え、
前記それぞれの保持部は、前記印刷対象物の傾きを前記第1の方向と直交する第2の方向に変更するように前記保持手段を駆動する駆動手段を含み、
前記保持手段において、前記印刷対象物の傾きを前記第1の方向に変更するための第1の回動軸と、前記印刷対象物の傾きを前記第2の方向に変更するための前記第1の回動軸と直交する第2の回動軸とは、前記印刷対象物に対して前記駆動手段より近接して配置されている
ことを特徴とする保持装置。
【請求項2】
前記第2の回動軸は、前記第1の回動軸より前記印刷対象物に近接して配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記保持部は台座を含み、
前記保持手段は、前記第1の回動軸を有する第1の保持部材と、前記第2の回動軸を有する第2の保持部材とを少なくとも含み、
前記第1の保持部材は、前記第1の回動軸により前記第1の方向に回動可能に前記台座に設置され、
前記第2の保持部材は、前記第2の回動軸により前記第2の方向に回動可能に前記第1の保持部材に設置される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記駆動手段は前記第1の保持部材の底部に配置されることを特徴とする請求項3に記載の保持装置。
【請求項5】
前記駆動部、前記駆動手段及び前記昇降部は、前記印刷対象物の印刷面と、印刷時における前記印刷装置のプリントヘッドとの距離が所定の範囲内に収まるように、前記印刷対象物の傾き及び高さを制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項6】
前記駆動部、前記駆動手段及び前記昇降部は、前記印刷対象物の印刷面における凹部と、印刷時における前記印刷装置のプリントヘッドとの距離が前記所定の範囲における最大距離よりも短くなるように、前記印刷対象物の傾き及び高さを制御することを特徴とする請求項5に記載の保持装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の保持装置を制御する制御装置であって、
印刷対象物に印刷する複数の印刷画像と、前記保持装置が有する前記駆動部、前記駆動手段及び前記昇降部を制御して前記印刷対象物を前記複数の印刷画像のそれぞれに対応した傾き及び高さとするための複数の制御情報とを関連付けて保持する保持手段と、
前記印刷対象物に印刷を行う場合に、前記複数の印刷画像のうち選択された印刷画像に対応する前記制御情報を前記保持装置に出力する出力手段と
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項8】
前記出力手段は、前記選択された印刷画像が切り替わる度に、前記駆動部、前記駆動手段及び前記昇降部の動作をリセットするためのリセット信号を出力することを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記出力手段は、前記選択された印刷画像が、前記印刷対象物の正面側に印刷される印刷画像に切り替わる場合に、前記駆動部、前記駆動手段及び前記昇降部の動作をリセットするためのリセット信号を出力することを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷対象物を保持するための保持装置、及び、当該保持装置の動作を制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元顔面成形体への印刷方法及び印刷用治具に関しインク噴射式印刷機を用いて立体的な三次元顔面成形体の表面に印刷を行う方法が提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、印刷を行う際の印刷対象物の傾きや高さが固定的なため、表面が一様ではない凹凸のある任意の印刷対象物の表面形状に対応することが困難である。
【0005】
本発明は、任意の印刷対象物に印刷を行う場合であっても、適切な印刷が可能となるように当該印刷対象物を保持可能とする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、印刷装置による印刷対象物を保持可能に構成された保持装置であって、
保持基板と、
前記保持基板上に配置された複数の保持部であって、それぞれの保持部は前記印刷対象物を着脱可能に構成され、かつ、取り付けられた前記印刷対象物の傾きを変更することが可能な保持手段を備える、複数の保持部と、
前記複数の保持部の少なくとも2つ以上について、前記印刷対象物の傾きを第1の方向において同時に変更させるように前記保持手段を駆動する駆動部と、
前記保持基板を前記保持基板と直交する方向に移動させるための昇降部と
を備え、
前記それぞれの保持部は、前記印刷対象物の傾きを前記第1の方向と直交する第2の方向に変更するように前記保持手段を駆動する駆動手段を含み、
前記保持手段において、前記印刷対象物の傾きを前記第1の方向に変更するための第1の回動軸と、前記印刷対象物の傾きを前記第2の方向に変更するための前記第1の回動軸と直交する第2の回動軸とは、前記印刷対象物に対して前記駆動手段より近接して配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、任意の印刷対象物に印刷を行う場合であっても、適切な印刷が可能となるように当該印刷対象物を保持可能とする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】発明の実施形態に対応する保持装置100の外観の一例を示す図。
【
図2】発明の実施形態に対応する保持装置100を側面から見た場合の部分的な外観の一例を示す側面図。
【
図3】発明の実施形態に対応する保持部104の外観の一例を示す斜視図。
【
図4】発明の実施形態に対応する保持部104の外観の一例を示す平面図及び側面図。
【
図5】発明の実施形態に対応する昇降装置105の外観の一例を示す図。
【
図6】発明の実施形態に対応する印刷システムの構成の一例を示すブロック図、及び、制御装置120のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【
図7】発明の実施形態に対応する印刷対象物と印刷用画像との対応関係を説明するための図。
【
図8】発明の実施形態に対応する保持装置100の動作を制御するための制御情報の一例を示すテーブル。
【
図9】発明の実施形態に対応する印刷システムにおける印刷処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同じ参照符号は、同じ要素を示している。また、各図において、紙面に対する上下左右方向を、本実施形態における部品(またはパーツ)の上下左右方向として、本文中の説明の際に用いることとする。
【0010】
まず、発明の実施形態に対応する印刷対象物を保持するための保持装置の構成について説明する。
図1は、保持装置の外観の一例を示す図である。
図1において、保持装置100は、支持台101上に保持基板102が設けられている。
図1では、XYZ軸が設定され、保持基板102の平面はXY平面と一致する。保持基板102上には、複数の駆動部103と、駆動部103と接続された複数の保持部104とが設けられている。保持部104は、マトリクス状に配置されており、
図1に示す例では行方向(X方向)に10個、列方向(Y方向)に7個の70個が配置されている。駆動部103は、マトリクス状に配置された保持部104に対して行ごとに1つ配置される。同一の行(X方向)に配置された保持部104はシャフトにより相互に接続され、駆動部103からの駆動力が伝達される。保持基板102は昇降装置105によりZ方向に上下させることができる。
【0011】
次に、
図2を参照して、駆動部103と保持部104との関係について説明する。
図2は、保持装置100を側面から見た場合の部分的な外観の一例を示す側面図である。
【0012】
図2に示すように、保持基板102上に複数の保持部104が配置されている。複数の保持部104は、互いにシャフト201で接続されており、当該シャフト201は駆動部103と接続されている。この構造により、駆動部103からシャフト201に対して回動力が伝達される。本実施形態では、シャフト201の回動は直交するシャフト203の回動に変換されるため、保持部104上で保持されている印刷対象物202を軸203周りにXZ平面で回動させることができる。また、保持部104は、外部制御に基づいて動作するモータ204を備えており、当該モータ204の回動力を伝達することにより、印刷対象物202を不図示の軸周りにYZ平面で回動させることができる。
【0013】
昇降装置105には、昇降ユニット206、メインプーリー207、ガイドプーリー208、ベルト209が含まれる。昇降装置105の下側には、制御ユニット205が接続されている。制御ユニット205には外部の制御装置から制御信号が入力され、当該制御信号に応じてメインプーリー207の回動を制御することができる。メインプーリー207の回動はベルト209及びガイドプーリー208を介して各昇降ユニット206に伝達される。昇降ユニット206は、プーリー206a、シャフト206b、ナット206cから構成される。プーリー206aが回動することにより、プーリー206aと接続しているシャフト206bがZ軸方向で上下に移動する。これに伴い、シャフト206bに固定されたナット206cがZ軸方向で移動する。ナット206cは、保持基板102と接続されているので、複数の昇降ユニット206を同時に上下させることにより、保持基板102のZ軸方向の位置を調節することができる。これにより、印刷対象物202の高さを調整することができる。
【0014】
また、制御ユニット205には、外部の制御装置から、駆動部103及びモータ204を制御するための制御信号が入力される。制御ユニット205は、当該制御信号に基づいて駆動部103の動作を制御してシャフト201を回動させると共に、モータ204を動作させることにより、保持部104における印刷対象物202の傾きを調整する。
【0015】
次に、
図3及び
図4(A)から(E)を参照して保持部104の構造を説明する。
図3は、保持部104の外観を示す斜視図である。
図4(A)は、保持部104を上側から見た平面図である。
図4(B)から(E)は、それぞれ保持部104を側面から見た側面図である。
【0016】
保持部104は、それぞれ台座301を備える。台座301の底面により、保持基板102上で保持部104それぞれが占める大きさを確定することができる。また、台座の底面には凹部301Aが形成され、保持基板102上に固定するために利用される。
【0017】
台座301は、シャフト201を保持するための部材301Bを含んでおり、部材301Bにはシャフト201のための貫通孔が設けられている。部材301は中空の構造となっており、当該中空の部分においてシャフト201には第1変換部材302が取り付けられている。第1変換部材302はシャフト201に固定され、シャフト201と共に回動する。第1変換部材302は、シャフト203に取り付けられた第2変換部材303と接触する。第2変換部材303は、シャフト203とともに回動するので、シャフト201の回動を、第1変換部材302及び第2変換部材303を介して直交するシャフト203に伝達することができる。第1変換部材302及び第2変換部材303はそれぞれギア(歯車)として構成することができる。
【0018】
このとき、シャフト201の回動はYZ平面で行われるが、第1変換部材302及び第2変換部材303を介することで、シャフト203のXZ平面の回動に変換することができる。そして、シャフト203は、印刷対象物202を保持する第1保持部材304と接続している。よって、シャフト201を回動させることにより、シャフト203を介して第1保持部材304をXZ平面で回動させることができる。第1保持部材304には第2保持部材305が接続され、第2保持部材305には第3保持部材306が接続されている。第3保持部材は、印刷対象物202の印刷面の裏側と係合可能な構造を有し、印刷対象物202を着脱可能に保持することができる。よって、第1保持部材304をシャフト203を軸として回動させることにより、印刷対象物202をXZ平面で回動させることができる。
【0019】
また、
図3では台座301の部材301Bにより隠れているが、
図4(B)に特に示されるように保持部104内にはモータ204が配置されており、シャフト307はモータ204のシャフトである。モータ307は支持板313により第1保持部材304に固定されている。したがって、シャフト203の回動により第1保持部材304が回動する場合、モータ204も一緒に回動する。このときに回動の支障とならないように台座301内には空間314が形成されている。
【0020】
シャフト307はモータの回動に応じてYZ平面で回動する。シャフト307には第1伝達部材308が接続されており、モータ204の回動を第1伝達部材308、第2伝達部材310及び第3伝達部材312を介して第2保持部材305に伝達することができる。ここで、変換部材308、310及び312のそれぞれはギア(歯車)として構成することができる。
【0021】
シャフト309は第1保持部材304に取り付けられ、第2伝達部材310の回動軸として機能し、第2伝達部材310と共に回動することはない。よって、第2伝達部材310の回動が、第1保持部材304に作用することはない。次に、シャフト311は、第1保持部材304の先端と第2保持部材305とを貫通するシャフトであって、第2保持部材305及び第3伝達部材312と接続されている。これにより、第1伝達部材308及び第2伝達部材310を介して第3伝達部材312に伝達されたモータ204の回動力が、シャフト311を介して第2保持部材305に伝達される。これにより、第2保持部材305はYZ平面で回動することになる。
【0022】
本実施形態では、シャフト203をX方向の回動軸とする一方、それに直交するシャフト311をY方向の回動軸としている。このときX、Yの回動軸をできるだけ第3保持部材306の近くに位置させることで、回動動作の精度を高めることができる。そこで本実施形態では、各回動軸の動力源よりも、回動軸を第3保持部材306、換言すれば印刷対象物202のより近い位置に配置するようにしている。このような構成を実現するに当たり、モータ204をシャフト203よりも下側で、第3保持部材306及び印刷対象物202からより離れた位置に設置している。これは、モータ204をより上側の位置に配置すると、モータ204は特定の空間を占拠しシャフトの貫通を妨げるので、シャフト203の位置が第3保持部材306等から離れてしまうためである。また、モータ204を第1保持部材304の下側に取り付けることにより、最も重量のあるものが一番下側に位置することになるので、重心位置が下がりシャフト203を軸とする第1保持部材304の回動を安定させることができる。さらに、シャフト203をシャフト311の下側に配置することにより、シャフト203の制約を受けなくなるので、シャフト311を軸とする第2保持部材305の回動範囲を広く確保することができる。
【0023】
次に、
図5を参照して、昇降装置105の構造を説明する。
図5は、発明の実施形態に対応する昇降装置105の外観の一例を示す図である。昇降装置105は、基板501上に、メインプーリー207、昇降ユニット206、ガイドプーリー208、ベルト209が配置されている。これらの動作については、
図2との関連で説明したとおりである。また、ケーブル502は、制御ユニット205から延びるケーブルであって、
図6を参照して後述するパソコン等の制御装置と接続される。
【0024】
次に、
図6を参照して、発明の実施形態に対応する印刷システムの構成を説明する。
図6(A)は、発明の実施形態に対応する印刷システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図6(A)に示すように、発明の実施形態に対応する印刷システムは、上述の保持装置100と、保持装置100に保持された印刷対象物202の表面に所定の画像情報を印刷する印刷装置であるインクジェット方式のプリンタ110と、保持装置100及びプリンタ110の動作を制御する制御装置120とで構成される。
【0026】
制御装置120は、例えばパーソナルコンピュータとして構成することができ、保持装置100の動作を制御して、印刷対象物202の傾き及び高さを決定するとともに、印刷対象物202の状態に応じた画像情報をプリンタ110に提供して印刷を行う。印刷は複数回に分けて実行することができ、印刷の度に印刷対象物202の傾き及び高さが変更される。複数回の印刷がすべて完了すると、印刷対象物202は初期位置に戻され、複数の印刷対象物202をセットトレイによりまとめて回収することができる。
【0027】
次に
図6(B)を参照して、発明の実施形態に対応する制御装置120のハードウェア構成を説明する。
図6(B)において、CPU600は、ハードディスク装置(以下、HDと呼ぶ)605に格納されているアプリケーションプログラム、オペレーティングシステム(OS)や制御プログラム等を実行し、RAM602にプログラムの実行に必要な情報、ファイル等を一時的に格納する制御を行う。インタフェース(I/F)608を介して保持装置100及びプリンタ110の動作を制御して、本実施形態に対応する印刷処理を実行する。後述する
図9における処理もCPU600が対応する処理プログラムを実行することにより装置全体を制御して実現される。
【0028】
ROM601は、内部に基本I/Oプログラムの他、所定の処理を実行するアプリケーションプログラム等の各種データを記憶する。RAM602は各種データを一時記憶し、CPU600の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
【0029】
外部記憶ドライブ603は、記録媒体へのアクセスを実現するための外部記憶ドライブであり、メディア(記録媒体)604に記憶されたプログラム等を本コンピュータシステムにロードすることができる。尚、メディア604は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、PCカード、DVD、Blu-ray(登録商標)、ICメモリカード、MO、メモリスティック等を利用することができる。外部記憶装置605は、本実施形態では大容量メモリとして機能するHD(ハードディスク)を用いている。HD605には、アプリケーションプログラム、OS、制御プログラム、関連プログラム等が格納される。なお、ハードディスクの代わりに、フラッシュ(登録商標)メモリ等の不揮発性記憶装置を用いても良い。
【0030】
指示入力装置606は、キーボードやポインティングデバイス(マウス等)、タッチパネル等がこれに相当する。出力装置607は、指示入力装置606から入力されたコマンドや、それに対する制御装置120の応答出力等を出力する。出力装置607にはディスプレイ、スピーカ、ヘッドフォン端子等を含むことができる。システムバス609は、制御装置120内のデータの流れを司る。インタフェース(以下、I/Fという)608は、保持装置100やプリンタ110とのデータのやり取りを仲介する役割を果たす。具体的に、I/F608は、制御装置120からの制御情報を保持装置100に送信するため、及び、プリンタ110へ印刷画像を送信するために利用される。I/F608は、無線通信モジュール及び有線通信モジュールのどちらも含むことができる。
【0031】
次に、
図7を参照して、印刷対象物と印刷用画像との対応関係を説明する。
図7(A)は、保持部104の印刷対象物202を左方向に傾けた様子を示している。
図7(B)は、保持部104の印刷対象物202を正面向きから唇部分が突き出るように上方向に傾けた様子を示している。
図7(C)は、保持部104の印刷対象物202を右方向に傾けた様子を示している。また、
図7(D)は、プリンタ110のプリントヘッドと印刷対象物202の印刷面との距離を説明するための図である。
【0032】
図7(A)に示す印刷対象物202の向きでは、印刷対象物である人形のマスクの左側面が上側に位置することになる。このとき、印刷対象物202上に印刷する画像は人形の顔の左側面に対応し、画像700に示すようになる。ここで、目701や眉毛702といった色の濃い部分が、印刷画像のほぼ中心(特に横方向)に位置するように配置される。
【0033】
図7(B)に示す印刷対象物202の向きでは、印刷対象物である人形のマスクの唇部分が上側に位置することになる。このとき、印刷対象物202上に印刷する画像は人形の唇に対応し、画像710に示すようになる。ここでは唇711が印刷画像のほぼ中心に位置するように配置される。画像710では、唇周辺の肌色を省略しているが、肌色部分を同時に印刷してもよい。
【0034】
図7(C)に示す印刷対象物202の向きでは、印刷対象物である人形のマスクの右側面が上側に位置することになる。このとき、印刷対象物202上に印刷する画像は人形の顔の右側面に対応し、画像720に示すようになる。ここで、目721や眉毛722といった色の濃い部分が、印刷画像のほぼ中心(特に横方向)に位置するように配置される。
【0035】
本実施形態に対応する保持装置100により保持される印刷対象物202は、所定の傾き及び高さで固定されたのち、プリンタ110によりその表面にインクジェット印刷が施される。
図7(D)に示すように、プリントヘッド730は矢印731で示す走査方向に走査されている間に、直下に位置する印刷対象物202に対してインクを吐出して印刷を行う。このとき、印刷対象物202の表面の凹凸により、プリントヘッド730と印刷対象物202との距離dは可変となる。
【0036】
本実施形態に対応する保持装置100は、各保持部104に保持された印刷対象物202の印刷面と、プリンタ110のプリントヘッド730との距離dが所定の範囲内に収まるように傾き及び高さを調整する。一般にインクジェット方式のプリンタには、インク滴を着弾させて画像を適切に再現することが可能となる距離範囲が存在する。当該距離をDとすると、Dの値は例えば0.1mmから3mmの範囲とすることができる。D=0.1mmの場合は、プリントヘッドと印刷対象物202の表面との最短距離を表しており、印刷時において印刷対象物の表面の最も突出した部分とプリントヘッドとの距離が0.1mmとなるように調整される。
【0037】
図7(A)のような顔画像を印刷対象物202である人形のマスクに印刷する場合、マスクの目や眉毛が印刷される面と、プリンタ110のプリントヘッド730との距離dが、上記Dの範囲内に位置するように印刷対象物202の傾き及び高さが調整される。このとき、眉毛は印刷対象物202の表面において突出している部分となり、目は窪んだ部分(凹部)となる。そこで、プリントヘッド730と目の窪んだ部分との距離dが3mm以内となるように、印刷対象物202の傾き及び高さを調整する。そのとき、眉毛の部分は0.1mmから3mmの範囲内に位置していればよい。その周辺の肌色領域については、顔特有の凹凸のためにプリントヘッドと3mmよりも遠い距離に位置する部分については、別画像に含めて傾き及び高さを変更した後に印刷してもよい。また、肌色領域がインク滴を着弾させられれば、ある程度のボケやずれは許容される場合には、距離dが5mm範囲までであればそのまま印刷領域に含めてもよい。
図7(C)も同様である。
図7(B)においては、唇部分を印刷するので印刷対象物202の唇部分の突出した部分とプリントヘッドとの距離dが0.1mmとなり、その他の部分が3mm以内の距離範囲に収まるように印刷対象物202の傾きと高さとが調整される。
【0038】
本実施形態では、制御装置120は、印刷対象物の種類ごとに、印刷画像と、印刷対象物の傾き及び高さを制御するための値とを関連付けて記憶装置に保持しておく。
図8は、そのような制御情報の一例を示すテーブルである。
【0039】
テーブル800には、ID801、印刷画像802、回動角度(X軸)803、回動角度(Y軸)804、昇降距離(Z軸)805が登録されている。ID801には、印刷対象物202をここに識別するための識別情報が登録される。制御装置120は、印刷対象物202が特定されると、特定された印刷対象物202に対応するIDの画像や制御情報を選択して、保持装置100及びプリンタ110の動作を制御することができる。
【0040】
印刷画像802には、印刷対象物202に印刷される画像が登録される。本実施形態では、1つの印刷対象物202について3通りの画像を用意して印刷を行う場合を想定しているため、テーブル800では、1つのIDに対して3つの画像が関連付けられて登録される。例えば、ID801が0001の印刷対象物202については、imageLeft0001、imageTop0001、imageRight0001の3つが関連付けられている。しかし、発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、より多いまたは少ない数の画像を割り当ててもよい。
【0041】
回動角度(X軸)803には、シャフト203の回動により、印刷対象物202をシャフト203周りにXZ平面で回動させる場合の制御情報が登録される。当該制御情報としては、例えばX軸方向について、リセット位置から所望の角度まで回動させるための情報を登録することができる。回動角度(X軸)803には、印刷画像802ごとに異なる値が登録される。当該制御情報に基づいて制御ユニット205は駆動部103を駆動して、シャフト203を回動させることができる。
【0042】
回動角度(Y軸)804には、シャフト311の回動により、印刷対象物202をシャフト311周りにYZ平面で回動させる場合の制御情報が登録される。当該制御情報としては、例えばY軸方向について、リセット位置から所望の角度まで回動させるための情報を登録することができる。回動角度(Y軸)804にも、印刷画像802ごとに異なる値が登録される。当該制御情報に基づいて制御ユニット205はモータ204を駆動して、シャフト311を回動させることができる。
【0043】
昇降距離(Z軸)805には、昇降装置105により、印刷対象物202の高さを調整するための制御情報が登録される。当該制御情報としては、例えばZ軸方向について、リセット位置から所望の位置まで上昇または下降させるための情報を登録することができる。昇降距離(Z軸)805にも、印刷画像802ごとに異なる値が登録される。当該制御情報に基づいて制御ユニット205はメインプーリー207を駆動して昇降ユニット206を上昇あるいは下降させることができる。
【0044】
次に
図9を参照して、発明の実施形態に対応する印刷システムにおける印刷処理の流れを説明する。
図9は、発明の実施形態に対応する処理の一例に対応するフローチャートである。当該処理は、制御装置120の処理部(CPU600等)において実行される。
【0045】
まず、S901において初期化動作を行う。初期化動作には、例えば保持装置100における保持部104の傾き、及び、保持基板102の高さを所定の初期値にリセットする動作が含まれる。また、プリンタ110の動作をリセットする動作を含むことができる。制御装置120は、当該初期化動作を行うためにリセット信号を保持装置100及びプリンタ110に送信する。
【0046】
次に、S902では、本印刷システムにおける印刷対象となる印刷対象物202を選択する。当該選択は、制御装置120においてユーザが印刷対象物202の種別を選択する動作を含み、選択動作に応じてID801の値が特定される。続くS903では、特定されたID801の値に基づき、対応する印刷画像及び制御情報(
図8の803から805の各登録情報)をテーブル800から取得する。
【0047】
続くS904では、取得した印刷画像のうちから1つを選択して、プリンタ110へ送信する。またS905では、選択画像に対応する制御情報を保持装置100に送信して動作させることにより、保持部104の傾き、及び、保持基板102の高さを、選択画像に対応する条件に一致させるように変更する。
【0048】
例えば、
図7(A)に示すような画像700が選択された場合には、画像700に対応する制御情報を選択して保持装置100の制御ユニット205を動作させることにより、印刷対象物202が
図7(A)に示すような状態となるように保持部104の傾き及び保持基板102の高さが調整される。
【0049】
続くS906では、プリンタ110を制御して選択画像の印刷を実行する。印刷が完了するとS907において、選択された印刷対象物について印刷すべき印刷画像をすべて印刷したか否かを判定する。すべての画像を印刷したと判定された場合(S907で「YES」)、本処理を終了する。一方、未印刷の画像が存在する場合(S907で「NO」)、S908に進んで初期化処理を行う。
【0050】
S908では、次の印刷画像に対応する傾き及び高さを有するように保持装置100を制御するのに先立って、保持装置100における保持部104の傾き、及び、保持基板102の高さを所定の初期値にリセットする動作を再度実行する。また、プリンタ110の動作をリセットする動作も実行する。S901の場合と同様に、制御装置120は、初期化動作を行うためにリセット信号を保持装置100及びプリンタ110に送信することができる。その後、処理はS904に戻って、未印刷の画像を選択して処理を継続する。このようにして、選択された印刷対象物とテーブル800において関連付けられている印刷画像をすべて印刷し終わるまで処理を繰り返す。
【0051】
上記の実施形態では、1つの印刷画像の印刷が完了するたびに、保持装置100における保持部104の傾き、及び、保持基板102の高さを所定の初期値にリセットするようにしていた。しかし、発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、第1の印刷画像を選択し、保持部104の傾き、及び、保持基板102の高さを対応する傾き及び高さに調整して印刷を行った後、リセットせずに、次の第2の印刷画像に対応する傾き及び高さに保持部104及び保持基板102を調整してもよい。
【0052】
この場合のテーブル800には、最初に印刷対象となる印刷画像802については、リセット位置からの回動角度803、804や昇降距離805が登録されるが、それ以降に印刷対象となる印刷画像802については、直前の印刷画像のための保持部104の傾き、及び、保持基板102の高さから、現印刷画像のための保持部104の傾き、及び、保持基板102の高さに調整するための回動角度803、804及び昇降距離805が登録される。例えば、リセット動作を間に介する場合のimageLeft0001の回動角度803のXL1の値プラス15度で、imageTop0001の回動角度803のXT1の値がマイナス1度であったとする。このとき、リセット動作を間に介しない場合には、imageLeft0001を印刷した後、imageTop0001を印刷するためにマイナス16度回動しなければならないので、XT1としてマイナス16度の値が登録される。このように、最初に印刷対象となる印刷画像802を除いて、直前の印刷画像の制御情報からの差分値をテーブルに登録しておくことで、印刷画像802を切り替えて印刷を行う場合でもリセット動作を省略することができる。
【0053】
また、上述の実施形態では、印刷の順序を特に記載していないが、例えば、印刷対象物202の側面を印刷してから、正面を印刷するように順番を選択してもよい。あるいは、先に印刷対象物202の正面を印刷してから、側面を印刷するように順番を選択してもよい。前者について
図7に示す例では、
図7(A)及び(C)に示す条件で先に印刷した後、最後に
図7(B)に示す条件での印刷を行なうことができる。このとき、
図7(A)に示すような印刷対象物202が左向きの状態から、
図7(C)に示す印刷対象物202が右向きの状態、さらには
図7C(B)に示す印刷対象物が正面上向きの状態に遷移させるのに、リセット動作を介してもよいし、リセット動作を介しなくてもよい。さらには、正面向きの状態に遷移させる場合に、その直前にのみリセット動作を介してもよい。これは、側面印刷から正面印刷へ遷移する際に特に保持部104の傾きの精度が低くなるおそれがある場合に有効である。この場合、正面印刷の前にリセット動作を介することにより、リセット位置からの微調整により正面印刷に対応した傾きに調整することができるので、精度をより向上させることが可能となる。
【0054】
以上のように、本実施形態によれば、凹凸のある印刷対象物の表面に対して適切に印刷を行うことができる。特に、上記の構成としたことで、表面が一様ではない凹凸のある複数の印刷対象物に対して一斉に印刷をしようとする場合に、プリントヘッドに対する距離の変化が一定の範囲に収まるような印刷対象物上の仮想平面がプリントヘッドにきちんと正対するように、複数の印刷対象の角度を一斉に精度よく調整することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人形マスクの製造方法であって、
印刷装置による印刷対象物を保持可能に構成された保持部材を有する保持装置に、前記印刷対象物として人形マスクが保持された状態において、
前記保持装置に保持された前記人形マスクが第1の方向を向いた状態において、前記印刷装置が前記人形マスクの第1の領域の印刷を行うことであって、前記第1の領域は、前記人形マスクにおける一方の目を含む領域であることと、
前記保持装置に保持された前記人形マスクが前記第1の方向とは異なる第2の方向を向いた状態において、前記印刷装置が前記人形マスクの第2の領域の印刷を行うことであって、前記第2の領域は、前記人形マスクにおける口を含む領域であることと、
前記保持装置に保持された前記人形マスクが前記第1の方向及び前記第2の方向とは異なる第3の方向を向いた状態において、前記印刷装置が前記人形マスクの第3の領域の印刷を行うことであって、前記第3の領域は、前記人形マスクにおける前記第1の領域及び前記第2の領域とは異なる領域であることと、
を含む人形マスクの製造方法。
【請求項2】
前記第1の領域の印刷は、前記第1の領域に対応する第1の印刷画像を用いて行われ、
前記第2の領域の印刷は、前記第2の領域に対応する第2の印刷画像を用いて行われ、
前記第3の領域の印刷は、前記第3の領域に対応する第3の印刷画像を用いて行われる、
請求項1に記載の人形マスクの製造方法。
【請求項3】
前記第3の領域は、他方の目を含む領域である、請求項2に記載の人形マスクの製造方法。
【請求項4】
前記第1の印刷画像は、前記一方の目の画像と、前記一方の目に隣接する眉毛の画像とを含み、
前記第2の印刷画像は、前記口に対応する唇の画像を含み、
前記第3の印刷画像は、前記他方の目の画像と、前記他方の目に隣接する眉毛の画像とを含む、請求項3に記載の人形マスクの製造方法。
【請求項5】
前記第1の方向は、前記人形マスクの前記一方の目の側の第1の側面が、前記印刷装置のプリントヘッドの側を向いている方向であり、
前記第2の方向は、前記人形マスクの正面が、前記印刷装置の前記プリントヘッドの側を向いている方向であり、
前記第3の方向は、前記人形マスクの前記第1の側面とは逆側の第2の側面が、前記印刷装置の前記プリントヘッドの側を向いている方向である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の人形マスクの製造方法。
【請求項6】
前記印刷装置が前記人形マスクの前記第1の領域の印刷を行う場合、前記人形マスクが前記第1の方向を向いた状態において、前記人形マスクの前記第1の領域と、前記印刷装置のプリントヘッドとの距離が所定距離の範囲内に収まり、
前記印刷装置が前記人形マスクの前記第2の領域の印刷を行う場合、前記人形マスクが前記第2の方向を向いた状態において、前記人形マスクの前記第2の領域と、前記印刷装置のプリントヘッドとの距離が前記所定距離の範囲内に収まり、
前記印刷装置が前記人形マスクの前記第3の領域の印刷を行う場合、前記人形マスクが前記第3の方向を向いた状態において、前記人形マスクの前記第3の領域と、前記印刷装置のプリントヘッドとの距離が前記所定距離の範囲内に収まる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の人形マスクの製造方法。
【請求項7】
前記人形マスクが前記第1の方向を向いた状態において、前記保持装置が、前記人形マスクの前記第1の領域と前記プリントヘッドとの距離が前記所定距離の範囲内となるように、前記人形マスクの高さを調整することと、
前記人形マスクが前記第2の方向を向いた状態において、前記保持装置が、前記人形マスクの前記第2の領域と前記プリントヘッドとの距離が前記所定距離の範囲内となるように、前記人形マスクの高さを調整することと、
前記人形マスクが前記第3の方向を向いた状態において、前記保持装置が、前記人形マスクの前記第3の領域と前記プリントヘッドとの距離が前記所定距離の範囲内となるように、前記人形マスクの高さを調整することと、
を更に含む、請求項6に記載の人形マスクの製造方法。
【請求項8】
前記人形マスクの前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域のそれぞれと、前記印刷装置の前記プリントヘッドとの距離が前記所定距離の範囲内に収まることは、前記人形マスクの前記第1の領域、前記第2の領域及び前記第3の領域のそれぞれを構成する表面のうち、突出している部分及び窪んでいる部分と、前記プリントヘッドとの距離が前記所定距離の範囲内に収まることである、請求項6又は7に記載の人形マスクの製造方法。
【請求項9】
前記人形マスクと前記プリントヘッドとの距離は、前記人形マスクが前記第1の方向、前記第2の方向及び前記第3の方向のそれぞれの方向を向いた状態において、それぞれの方向における前記人形マスクの表面の最も突出した部分が前記所定距離の範囲の最小値となり、かつ、それ以外の部分が前記所定距離の範囲の最大値より小さくなるように調整される、請求項6又は7に記載の人形マスクの製造方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、人形マスクの製造方法に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、印刷装置による印刷対象物を保持可能に構成された保持装置であって、
保持基板と、
前記保持基板上に配置された複数の保持部であって、それぞれの保持部は前記印刷対象物を着脱可能に構成され、かつ、取り付けられた前記印刷対象物の傾きを変更することが可能な保持手段を備える、複数の保持部と、
前記複数の保持部の少なくとも2つ以上について、前記印刷対象物の傾きを第1の方向において同時に変更させるように前記保持手段を駆動する駆動部と、
前記保持基板を前記保持基板と直交する方向に移動させるための昇降部と
を備え、
前記それぞれの保持部は、前記印刷対象物の傾きを前記第1の方向と直交する第2の方向に変更するように前記保持手段を駆動する駆動手段を含み、
前記保持手段において、前記印刷対象物の傾きを前記第1の方向に変更するための第1の回動軸と、前記印刷対象物の傾きを前記第2の方向に変更するための前記第1の回動軸と直交する第2の回動軸とは、前記印刷対象物に対して前記駆動手段より近接して配置されている。
また、人形マスクの製造方法であって、
印刷装置による印刷対象物を保持可能に構成された保持部材を有する保持装置に、前記印刷対象物として人形マスクが保持された状態において、
前記保持装置に保持された人形マスクが第1の方向を向いた状態において、前記印刷装置が前記人形マスクの第1の領域の印刷を行うことであって、前記第1の領域は、前記人形マスクにおける一方の目を含む領域であることと、
前記保持装置に保持された人形マスクが前記第1の方向とは異なる第2の方向を向いた状態において、前記印刷装置が前記人形マスクの第2の領域の印刷を行うことであって、前記第2の領域は、前記人形マスクにおける口を含む領域であることと、
前記保持装置に保持された人形マスクが前記第1の方向及び前記第2の方向とは異なる第3の方向を向いた状態において、前記印刷装置が前記人形マスクの第3の領域の印刷を行うことであって、前記第3の領域は、前記人形マスクにおける前記第1の領域及び前記第2の領域とは異なる領域であることと、を含む。