(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096919
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】血液学的障害を治療するための化合物および組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/5377 20060101AFI20240709BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/63 20060101ALI20240709BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240709BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
A61K31/5377
A61K45/00
A61K31/63
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066487
(22)【出願日】2024-04-17
(62)【分割の表示】P 2023034551の分割
【原出願日】2018-10-30
(31)【優先権主張番号】62/579,502
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】520135644
【氏名又は名称】キュリス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブーハー,ロバート
(57)【要約】 (修正有)
【課題】置換されたインダゾール化合物およびその薬学的に許容される塩を用いる、血液学的障害および固形悪性腫瘍を治療する方法を提供する。
【解決手段】B細胞リンパ腫2(BCL-2)阻害剤と共同して、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、対象において癌を治療するまたは予防する方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
B細胞リンパ腫2(BCL-2)阻害剤と共同して式(I)の化合物
【化1】
またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、対象において癌を治療するまたは予防する方法であって、
式中、
Z
1は、任意により置換されるヘテロアリールであり、
Z
2は、任意により置換されるヘテロシクロアルキル、任意により置換されるヘテロアリールであるかまたは直接結合であり、
R
1は、アルキル、シアノ、-NR
aR
bまたはシクロアルキル、アリールもしくはヘテロシクリルから選択される任意により置換される基であり、置換基は、各出現で、独立してアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、ニトロ、シアノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、-OCO-CH
2-O-アルキル、-OP(O)(O-アルキル)
2または-CH
2-OP(O)(O-アルキル)
2であり、
R
2は、各出現で、独立してアルキルまたはシクロアルキルから選択される任意により置換される基であり、前記置換基は、各出現で、独立してハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキルまたはハロアルコキシであり、
R
3は、各出現で、独立して水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、-NR
aR
b、ヒドロキシルまたはヒドロキシアルキルであり、
R
aは、水素またはアルキルであり、
R
bは、水素、アルキル、アシル、ヒドロキシアルキル、-SO
2-アルキルまたは任意により置換されるシクロアルキルであり、かつ
「m」および「n」は、独立して1または2である、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年10月31日に出願の米国仮特許出願番号第62/579,502号の優先権の利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(以下、「DLBCL」とも称する)は、消化管、精巣、甲状腺、皮膚、乳房、骨、または脳において、リンパ節またはリンパ系の外に生じ得る侵攻性のリンパ腫である。DLBCLは、抗体を産生する役割を有する白血球の一種であるB細胞の癌である。これは、成人の非ホジキンリンパ腫の中では最も多い癌腫であり、年間の発症率が、10万人あたり7~8例である。この癌は主に高齢の個体に発生し、診断年齢の中央値は約70歳であるが、稀な場合には、小児および若年成人にも発生し得る。DLBCLは侵攻性腫瘍であり、この疾患の最初の徴候は典型的には、急速に成長する腫瘤が観察されることである。5年生存率は、わずかに58%である。
【0003】
DLBCLは、発生源の細胞に応じて名前が付けられているサブタイプを有し、胚中心B細胞様(GCB)および活性化B細胞様(ABC)を含む。これらは、悪い予後を有する点で異なり、場合によっては、特化された治療へのアプローチを必要とする。
【0004】
また、原発性マクログロブリン血症(WM)は、リンパ球性細胞および形質細胞の2種類のB細胞に影響する非ホジキンリンパ腫である。WMは、高レベルの、疾患に関与する細胞によって産生され分泌される循環抗体である免疫グロブリンM(IgM)を有することを特徴とする。WMは、希少な疾患であり、米国では年間約1,500例のみである。この疾患の分子基盤の知識がないためWMに対し承認された治療法は一つもなく臨床転帰の顕著な変動もない。奏効率は高い(80%超)が、完全奏効率は低い(0~15%)。
【0005】
非ホジキンリンパ腫の他のタイプとしては、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、濾胞性リンパ腫(FL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、CNSリンパ腫、および精巣リンパ腫が挙げられる。非ホジキンリンパ腫は、感染症剤(エプスタインバーウイルス、C型肝炎ウイルスおよびヒトT細胞白血病ウイルス)、放射線および化学療法治療、ならびに自己免疫疾患などの様々な要因によって引き起こされ得る。まとめて、非ホジキンリンパ腫は、米国の人口の2.1%に生涯を通じて影響を及ぼす。診断後5年を超えて生存する人の割合は71%である。
【0006】
さらに、骨髄増殖性新生物(MPN)としては、骨髄異形成症候群(MDS)および急性骨髄性白血病(AML)が挙げられる。これらの癌は、骨髄中の骨髄系列の前駆体から発生する。さらなるタイプのMPNとしては、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、真性多血症、原発性骨髄線維症、本態性血小板血症、慢性好酸球性白血病、および肥満細胞症が挙げられる。治験薬治療法が開発されてはいるが、信頼できる治療法はない。
【0007】
固形腫瘍は、通常は嚢胞または液体領域を含まない異常な組織の塊である。固形腫瘍は、良性または悪性であり得る。固形腫瘍は典型的には、それらを形成する細胞の種類に応じて命名される。肉腫、癌腫、黒色腫、および膠芽腫は、固形悪性腫瘍の主なタイプである。肉腫は、血管、骨、脂肪組織、間膜、リンパ管、筋肉または腱の腫瘍である。癌腫は、上皮細胞内に形成される腫瘍である。上皮細胞は、皮膚、腺、および臓器の内層(膀胱、尿管、腎臓の一部など)で見られる。固形腫瘍は、癌の種類および患者の特性(例えば、年齢、性別、遺伝的要因、環境要因、他の疾患または障害など)に応じて、様々な治療法および予後を有する。
【0008】
したがって、癌の新しい治療法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書で提供されるのは、B細胞リンパ腫2(BCL-2)阻害剤と共同して式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、対象において癌を治療または予防する方法である;
【化1】
式中、
Z
1は、任意により置換されるヘテロアリールであり、
Z
2は、任意により置換されるヘテロシクロアルキル、任意により置換されるヘテロアリールであるか、または直接結合であり、
R
1は、アルキル、シアノ、-NR
aR
b、またはシクロアルキル、アリールもしくはヘテロシクリルから選択される任意により置換される基であり、置換基は、各出現で、独立してアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、ニトロ、シアノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、-OCO-CH
2-O-アルキル、-OP(O)(O-アルキル)
2または-CH
2-OP(O)(O-アルキル)
2であり、
R
2は、各出現で、独立してアルキルまたはシクロアルキルから選択される任意により置換される基であり、置換基は、各出現で、独立してハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキルまたはハロアルコキシであり、
R
3は、各出現で、独立して水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、-NR
aR
b、ヒドロキシルまたはヒドロキシアルキルであり、
R
aは、水素またはアルキルであり、
R
bは、水素、アルキル、アシル、ヒドロキシアルキル、-SO
2-アルキル、または任意により置換されるシクロアルキルであり、かつ
「m」および「n」は、独立して1または2である。
【0010】
本明細書で提供されるのは、B細胞リンパ腫2(BCL-2)阻害剤と共同して式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、対象において癌を治療または予防する方法である;
【化2】
式中、
X
1およびX
3は、独立してCHまたはNであり、X
2は、CR
2またはNであり、ただしX
1、X
2、またはX
3の1つおよび多くて1つがNであり、
Aは、OまたはSであり、
Yは、-CH
2-またはOであり、
Zは、アリールまたはヘテロシクリルであり、
R
1は、各出現で、独立してハロまたは任意により置換されるヘテロシクリルであり、置換基は、アルキル、アルコキシ、アミノアルキル、ハロ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキルまたは-NR
aR
bであり、
R
2は、水素、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリルまたは-NR
aRbであり、置換基は、アルキル、アミノ、ハロまたはヒドロキシルであり、
R
3は、各出現で、アルキルまたはヒドロキシルであり、
R
aおよびR
bは、独立して水素、アルキル、アシルまたはヘテロシクリルであり、
「m」および「n」は、独立して0、1または2であり、
「p」は、0または1である。
【0011】
本明細書で提供されるのは、B細胞リンパ腫2(BCL-2)阻害剤と共同して式(III)の化合物
【化3】
またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、対象において癌を治療または予防する方法である;
式中、
Z
1は、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリルであるか、または存在せず、
Z
2は、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリールまたは任意により置換されるヘテロシクリルであり、
R
1は、水素、任意により置換されるアルキル、アミノ、ハロ、シアノ、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリル、任意により置換されるアリールアルキルまたは任意により置換されるヘテロシクリルアルキルであり、
R
2は、各出現で、アミノ、任意により置換されるアルキル、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリル、任意により置換されるアリールアルキルまたは任意により置換されるヘテロシクリルアルキルであり、
R
3は、各出現で、ヒドロキシ、ハロ、任意により置換されるアルキル、任意により置換されるアルコキシ、任意により置換されるシクロアルキルまたは-NR
aR
bであり、
R
aおよびR
bは、独立して各出現で、水素、任意により置換されるアルキル、任意により置換されるアシル、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリル、任意により置換されるアリールアルキルまたは任意により置換されるヘテロシクリルアルキルであり、
mは、各出現で、0、1または2であり、
nは、各出現で、0、1または2である。
【0012】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、癌の治療および予防のためのBCL-2阻害剤と組み合わせた本明細書に開示される化合物またはその薬学的に許容される塩または立体異性体の使用である。
【0013】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、BCL-2阻害剤と共同して癌を治療するための医薬品としての、本明細書に開示される化合物またはその薬学的に許容される塩または立体異性体(あらゆる比率のそれらの混合物を含む)の使用である。
【0014】
いくつかの実施形態では、癌は、DLBCL、WM、MCL、MZL、FL、CLL、SLL、CNSリンパ腫および精巣リンパ腫から選択される非ホジキンリンパ腫である。いくつかの実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、DLBCLまたはWMである。
【0015】
他の実施形態では、癌は、MDS、AML、CML、CNL、真性多血症、原発性骨髄線維症、本態性血小板血症、慢性好酸球性白血病、および肥満細胞症から選択される骨髄増殖性新生物である。いくつかの実施形態では、骨髄増殖性新生物は、MDSまたはAMLである。
【0016】
いくつかの実施形態では、癌は、膵癌または乳癌などの固形悪性腫瘍である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】21日後の、化合物A、ベネトクラクスまたはそれらの組み合わせで治療された3つの群の担癌マウスにおける腫瘍成長応答を示す図である。
【
図2】
図1に描写される化合物A、ベネトクラクスまたはそれらの組み合わせで治療された3つの群の担癌マウスにおける体重変化を示す図である。
【
図3】19日間の休薬日後、およびその後の前治療の再開後の、
図1に描写した3つの群のマウスの腫瘍増殖応答を示す図である。
【
図4】27日間の治療後に、化合物A、ベネトクラクスまたはそれらの組み合わせで治療された3つの群の担癌マウスにおける腫瘍成長応答を示す図である。
【
図5】化合物A、ベネトクラクスまたはそれらの組み合わせで治療された3つの群の担癌マウスにおける体重変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本明細書の主題が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、反対に指定されない限り、以下の用語は、本発明の理解を容易にするために示される意味を有する。
【0019】
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形への言及を包含する。
【0020】
本明細書で使用されるとき、「任意」または「任意により」という用語は、以下に記載する事象または状況が発生し得るか、または発生し得ないことを意味し、かつ詳細な説明は、その事象または状況が発生する場合、およびその事象または状況が発生しない場合を含む。例えば、「任意により置換されるアルキル」は、アルキルが置換されてもよい場合、ならびにアルキルが置換されない場合を指す。
【0021】
本発明の化合物での置換基および置換パターンは、当業者によって選択されて、当技術分野で既知の技術ならびに以下に記載のこれらの方法によって、容易に入手可能な出発物質から容易に合成できる化学的に安定な化合物をもたらすことができると理解される。置換基自体が複数の基で置換される場合、これらの複数の基は、安定した構造が得られる限り、同じ炭素上または異なる炭素上にあり得ることが理解される。
【0022】
本明細書で使用されるとき、「任意により置換される」という用語は、所定の構造における1~6個の水素ラジカルの、これらに限定されないが以下などの特定の置換基のラジカルによる置換を指す:ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ハロゲン、アルキル、アリール、アリールオキシ、アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクリル、(ヘテロシクリル)アルキル、アミノ、アミノアルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシル、-C(O)2H、-O(アシル)、-NH(アシル)、-N(アルキル)(アシル)、シアノ、ホスフィネート、ホスフェート、ホスホネート、スルホネート、スルオナミド(sulonamido)、サルフェート、ハロアルキルまたはハロアルコキシ。好ましくは、「任意により置換される」は、所定の構造中の1~4個の水素ラジカルを上記の置換基で置換することを指す。より好ましくは、1~3個の水素ラジカルが上記の置換基で置換される。置換基は、さらに置換されてもよいことが理解される。
【0023】
「置換される」という用語は、主鎖の1つ以上の炭素上で水素を置換する置換基を有する部分を指す。「置換」または「により置換される」は、こうした置換が置換された原子および置換基の許容される原子価に従い、かつ置換が安定な化合物をもたらす、例えば、化合物が転位、環化、消去などの自発的な変換を受けないという暗黙の条件を含むことが理解される。本明細書で使用されるとき、「置換される」という用語は、有機化合物のすべての許容される置換基を含むことが企図される。広い態様において、許容される置換基としては、有機化合物の非環状および環状の、分岐および非分岐の、炭素環および複素環の、芳香族および非芳香族の置換基が挙げられる。許容される置換基は、1種または2種以上であり、適切な有機化合物について同じであるか、または異なっていてよい。本発明の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基、および/またはヘテロ原子の原子価を満たす本明細書に記載の有機化合物の任意の許容される置換基を有していてもよい。置換基は、本明細書に記載の、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、フォルミル、またはアシル)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、またはチオホルメートなど)、アルコキシル、ホスフォリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、サルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族の部分などの任意の置換基を含んでよい。当業者であれば、適切であれば、置換基自体が置換され得ることを理解するであろう。「非置換」として具体的に述べられていない限り、本明細書における化学部分への言及は、置換された多様体を含むと理解される。例えば、「アリール」基または「アリール」部分への言及は、暗黙的に置換および非置換多様体の両方を含む。
【0024】
本明細書で使用されるとき、「アルキル」という用語は、C1~C10直鎖アルキル基またはC1~C10分岐鎖アルキル基を含むがこれらに限定されない飽和脂肪族基を指す。好ましくは、「アルキル」基は、C1~C6直鎖アルキル基またはC1~C6分岐鎖アルキル基を指す。もっとも好ましくは、「アルキル」基は、C1~C4直鎖アルキル基またはC1~C4分岐鎖アルキル基を指す。「アルキル」の例としては、これらに限定されないが、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、neo-ペンチル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、1-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、4-ヘプチル、1-オクチル、2-オクチル、3-オクチル、または4-オクチルなどが挙げられる。「アルキル」基は、任意により置換され得る。
【0025】
用語「アシル」は、R-CO-基を指し、式中、Rは、上記で定義された任意により置換されるアルキル基である。「アシル」基の例としては、これらに限定されないが、CH3CO-、CH3CH2CO-、CH3CH2CH2CO-、または(CH3)2CHCO-が挙げられる。
【0026】
本明細書で使用されるとき、用語「アルコキシ」は、コア構造に付着される酸素原子に結合した直鎖状または分岐状の飽和脂肪族C1~C10炭化水素ラジカルを指す。好ましくは、アルコキシ基は1~6個の炭素原子を有する。アルコキシ基の例としては、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、3-メチルブトキシなどが挙げられる。
【0027】
本明細書で使用されるとき、用語「ハロアルキル」は、1つ以上のハロゲンで置換されたアルキル基(上記で定義されるとおり)を指す。モノハロアルキルラジカルは、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはフッ素原子を有し得る。ジハロラジカルおよびポリハロアルキルラジカルは、それぞれ同一のハロゲン原子または異なるハロゲン原子を2個以上有していてもよい。ハロアルキルの例としては、これらに限定されないが、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ジクロロエチル、ジクロロプロピル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピルなどが挙げられる。
【0028】
本明細書で使用されるとき、用語「ハロアルコキシ」は、アルコキシ基の水素原子の1つ以上が、1つ以上のハロゲンにより置換されるラジカルを指す。「ハロアルコキシ」基の代表的な例としては、これらに限定されないが、ジフルオロメトキシ(-OCHF2)、トリフルオロメトキシ(-OCF3)またはトリフルオロエトキシ(-OCH2CF3)が挙げられる。
【0029】
本明細書で使用されるとき、単独で、または他の用語(複数可)と組み合わせた「アリール」という用語は、1個または2個の環を含む6~10員のカルボシクリル芳香族系を意味し、ここでこれらの環が縮合され得る。用語「縮合」は、第2の環が、第1の環と共通の2つの隣接原子を有することにより、付着されるか、または形成されることを意味する。用語「縮合された」は、用語「凝縮された」に相当する。アリール基の例としては、これらに限定されないが、フェニル、ナフチルまたはインダニルが挙げられる。特に明記しない限り、本明細書に記載されているすべてのアリール基は、任意により置換されてもよい。
【0030】
「アミン」および「アミノ」という用語は、技術的に認識されており、非置換のおよび置換されるアミンおよびその塩の両方を指し、例えば、以下の式で表され得る部位を指す。
【化4】
式中、各R
10はそれぞれ独立して、水素またはヒドロカルビル基を表すか、または2つのR
10が、それらが付着されるN原子と一緒になり環構造中に4~8個の原子を有するヘテロサイクルを完成する。
【0031】
本明細書で使用されるとき、「アミノアルキル」は、上記で定義したアミノ基を指し、その中で1個または2個の水素原子がアルキル基により置換される。
【0032】
本明細書で使用されるとき、「ニトロ」は、-NO2基を指す。
【0033】
本明細書で使用されるとき、「アルキルアミノ」および「シクロアルキルアミノ」は、-N-基を指し、この基の窒素原子は、それぞれアルキルまたはシクロアルキルに付着される。「アルキルアミノ」基および「シクロアルキルアミノ」基の代表的例としては、これらに限定されないが、-NHCH3および-NH-シクロプロピルが挙げられる。アミノ基は、好適な基の1つ以上で任意により置換されてもよい。
【0034】
本明細書で使用されるとき、「シクロアルキル」という用語は、単独で、または他の用語(複数可)と組み合わせて、C3~C10の飽和環状炭化水素環を意味する。シクロアルキルは単環であってよく、典型的には3~7個の炭素環原子を含む。単環シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。シクロアルキルは、代替的に多環式であってもよく、または1個以上の環を含んでもよい。多環式シクロアルキルの例としては、架橋型、縮合型、およびスピロ環式カルボシクリル(carbocyclyl)が挙げられる。
【0035】
本明細書で使用されるとき、用語「シアノ」は、-CN基を指す。
【0036】
本明細書で使用されるとき、用語「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、-OH基を指す。
【0037】
本明細書で使用されるとき、用語「ヒドロキシアルキル」または「ヒドロキシルアルキル」は、1つ以上のヒドロキシル基で置換されたアルキルを意味し、ここで、アルキル基は上記で定義されるものである。「ヒドロキシアルキル」の例としては、これらに限定されないが、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、プロパン-2-オールなどが挙げられる。
【0038】
本明細書で使用されるとき、「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、単独で、または他の用語(複数可)と組み合わせて、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0039】
本明細書で使用されるとき、用語「ヘテロシクリル」は、「ヘテロシクロアルキル」および「ヘテロアリール」の定義を含む。
【0040】
本明細書で使用されるとき、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、O、N、S、S(O)、S(O)2、NHまたはC(O)から選択される少なくとも1つのヘテロ原子またはヘテロ基を有する3~15員の非芳香族の、飽和したまたは部分的に飽和した単環式または多環式の環系を指し、残りの環原子は独立して炭素、酸素、窒素および硫黄から選択される。「ヘテロシクロアルキル」の例としては、これらに限定されないが、アゼチジニル、オキセタニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,4-ジオキサニル、ジオキシドチオモルホリニル、オキサピペラジニル、オキサピペリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロピラニル、インドリニル、インドリニルメチル、2-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクタニル、アゾシニル、クロマニル、キサンテニルおよびそれらのN-オキシドが挙げられる。ヘテロシクロアルキル置換基の付着は、炭素原子またはヘテロ原子のいずれかを介して起こり得る。ヘテロシクロアルキル基は、1個以上の前述の基により1個以上の好適な基で任意により置換されてもよい。好ましくは、「ヘテロシクロアルキル」は、アゼチジニル、オキセタニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,4-ジオキサニルおよびN-オキシドから選択される5~6員環を指す。より好ましくは、「ヘテロシクロアルキル」は、アゼチジニル、ピロリジニル、モルホリニルおよびピペリジニルを含む。すべてのヘテロシクロアルキルは、1つ以上の上記の基により任意により置換される。
【0041】
本明細書で使用されるとき、用語「ヘテロアリール」は、5~20個の環原子、好適には5~10個の環原子を含む芳香族複素環系を指し、それは一緒に縮合されるかまたは共有結合により連結される単一の環(単環式)または複数の環(二環式、三環式または多環式)であってよい。好ましくは、「ヘテロアリール」は5~6員環である。環は、N、OおよびSから選択される1~4個のヘテロ原子を含んでよく、N原子またはS原子は任意により酸化されるか、またはN原子が任意により四級化される。ヘテロアリール部位の任意の好適な環位置は、定義された化学構造に共有結合により連結されてもよい。
【0042】
ヘテロアリールの例としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、シンノリニル(cinnolinyl)、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1H-テトラゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアジニル、フタラジニル、チアントレン、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、プリニル、プテリジニル、9H-カルバゾリル、α-カルボリン、インドリジニル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニルプリニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾトリアジアゾリル、カルバゾリル、ジベンゾチエニル、アクリジニルなど。好ましくは、「ヘテロアリール」は、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、シンノリニル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1H-テトラゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、およびピリダジニルから選択される5~6員環を指す。より好ましくは、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリルおよびフラニルである。すべてのヘテロアリールは、1つ以上の上記の基で任意により置換される。
【0043】
本明細書で使用されるとき、用語「化合物(複数可)」は、本発明で開示される化合物を含む。
【0044】
本明細書で使用されるとき、用語「comprise(含む)」または「comprising(含んでいる)」は一般的に、包含する(include)意味で使用され、すなわち1つ以上の特徴または構成要素の存在を容認する。
【0045】
本明細書で使用されるとき、「または(or)」という用語は、特に断りのない限り、「および/または(and/or)」を意味する。
【0046】
本明細書で使用されるとき、用語「含んでいる(including)」ならびに他の形態、例えば「含む(include)」、「含む(includes)」、「含まれる(included)」などは、限定的ではない。
【0047】
語句「薬学的に許容される」は、哺乳動物に投与した場合に生理学的に忍容性であり、かつアレルギーまたはこれらに限定されないが胃の不調またはめまいなどの類似の不都合な反応を典型的に引き起こさない、化合物または組成物を指す。
【0048】
用語「薬学的に許容される塩」は、本発明の化合物を好適な酸または塩基と反応させることによって得られる生成物を指す。本発明の化合物の薬学的に許容される塩としては、Li、Na、K、Ca、Mg、Fe、Cu、Al、ZnおよびMnの塩などの好適な無機塩基に由来するものが挙げられる。薬学的に許容される塩、非毒性酸付加塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、ビタル酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸、グルカロン酸、サッカレート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、4-メチルベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩の塩などの無機塩基で形成されたアミノ基の塩である。本発明の特定の化合物は、(リジン、アルギニン、グアニジン、ジエタノールアミンまたはメトホルミンなど、様々な有機塩基と薬学的に許容される塩を形成することができる。好適な塩基性塩としては、これらに限定されないが、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、または亜鉛の塩が挙げられる。
【0049】
本明細書で使用されるとき、用語「立体異性体」は、空間におけるそれらの原子の配向のみが異なる式(I)の化合物の個々の化合物のすべての異性体に使用される用語である。立体異性体という用語は、本発明の化合物の鏡像異性体(エナンチオマー)、本発明の化合物の鏡像異性体の混合物(ラセミ体、ラセミ混合物)、本発明の化合物の幾何学的(シス/トランスまたはE/Z、R/S)異性体、および互いに鏡像でない2つ以上のキラル中心を有する本発明の化合物の異性体(ジアステレオ異性体)を含む。
【0050】
ある実施形態では、本発明の化合物はまた、これらの化合物を構成する原子の1つ以上において、不自然な割合の原子同位体を含んでよい。例えば、本発明はまた、化合物の1つ以上の原子がその原子について通常自然界で見られる優勢な原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子により置換されるという事実のために、本明細書に引用されるものと同一である本発明の同位体標識された多様体を包含する。指定された任意の特定の原子または元素のすべての同位体は、本発明の化合物およびその用途の範囲内で企図される。本発明の化合物に組み込むことができる例示的な同位体としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素およびヨウ素の同位体が挙げられ、例えば2H(「D」)、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、32P、33P、35S、18F、36Cl、123Iおよび125Iが挙げられる。本発明の同位体標識化合物は一般に、非同位体標識試薬の代わりに同位体標識試薬を用いるなどの、当技術分野で公知の手順に従って調製され得る。
【0051】
本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される担体」という用語は、リン酸塩緩衝生理食塩水溶液、水、エマルジョン(例えば、油/水型または水/油型エマルジョンなど)、および様々な種類の湿潤剤などの標準的な薬学的担体のいずれかを指す。組成物はまた、安定剤および防腐剤を含んでよい。担体、安定剤およびアジュバントの例は、Martin,Remington’s Pharmaceutical Sciences,第15版、Mack Publ.Co.,Easton,PA[1975年]などの文献に記載されている。
【0052】
用語「治療(treatment)」/「治療している(treating)」は、哺乳動物における疾患のあらゆる治療を意味し:(a)疾患を阻害する、すなわち、臨床症状の発現を遅らせるかもしくは停止させる、および/または(b)疾患を緩和する、すなわち、臨床症状の退行を引き起こす、および/または(c)疾患および/もしくはそれに付随する症状を緩和するかまたは代替する、を含む。
【0053】
本明細書で使用されるとき、用語「予防する(prevent)」、「予防している(preventing)」および「予防(prevention)」は、疾患および/もしくはそれに付随する症状の発症を妨げるか、または対象者が疾患を獲得しないようにする方法を指す。本明細書で使用されるとき、「予防する(prevent)」、「予防している(preventing)」および「予防(prevention)」はまた、疾患および/またはそれに付随する症状の発症を遅らせること、ならびに対象者が疾患を獲得するリスクを低減させることを含む。
【0054】
本明細書で使用されるとき、用語「対象」は、動物、好ましくは哺乳動物、もっとも好ましくはヒトを指す。
【0055】
本明細書で使用されるとき、用語「治療有効量」は、AMLに罹患している特定の患者において所望の治療応答をもたらすのに有効な、本発明の化合物もしくはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体、または本発明の化合物もしくはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体を含む組成物の量を指す。特に、用語「治療有効量」は、投与された場合に、治療される疾患もしくは障害における正の改変を誘導するか対象者において治療されている疾患もしくは障害の症状の1つ以上の発生を防止するか、またはある程度緩和するのに十分である、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩または立体異性体の量を含む。本化合物の治療量については、対象の治療に使用される化合物の量が、不当な副作用または重篤な副作用を回避するために十分に少ない量であることも、健全な医学的判断の範囲内で検討されてよい。本化合物または組成物の治療有効量は、治療される特定の状態、治療または予防される状態の重症度、治療時間、同時治療の性質、最終使用者の年齢および身体状態、採用される特定の化合物または組成物、利用される特定の薬学的に許容される担体によって変化するであろう。
【0056】
ある実施形態では、本発明の化合物は、単独で、または別の種類の治療剤と共同して投与されてよい。本明細書で使用されるとき、「共同投与(conjoint administration)」という語句は、先に投与された治療用化合物がまだ身体内で有効である間に第2の化合物が投与されるなど、2つ以上の異なる治療用化合物の投与の任意の形態を指す(例えば、2つの化合物が対象において同時に有効であり、これは2つの化合物の相乗効果を含んでよい)。例えば、異なる治療用化合物は、同じ配合物または別の配合物でのいずれかで、同時にまたは順次にのいずれかで投与され得る。ある実施形態では、異なる治療用化合物は、互いに1時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、または1週間以内に投与されてよい。いくつかの実施形態では、追加の治療用化合物は、式Iの化合物、式IIの化合物、または式IIIの化合物の投与の前または後に、約5分~約168時間以内に投与される。したがって、このような治療を受ける対象は、異なる治療用化合物の複合効果から利益を得ることができる。
【0057】
ある実施形態では、本発明の化合物を1種以上の追加の治療剤(複数可)(例えば、1種以上の追加の化学療法剤(複数可))と共同投与することは、本発明の化合物または1種以上の追加の治療剤(複数可)の各個別での投与と比較して、改善された有効性をもたらす。こうした特定の実施形態では、共同投与は相加的効果をもたらし、ここで相加的効果は、本発明の化合物の個別投与の効果と1種以上の追加の治療剤(複数可)の効果のそれぞれの合計を指す。
【0058】
本明細書では、B細胞リンパ腫2(BCL-2)阻害剤と共同して式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、対象において癌を治療または予防する方法を提供する;
【化5】
式中、
Z
1は、任意により置換されるヘテロアリールであり、
Z
2は、任意により置換されるヘテロシクロアルキル、任意により置換されるヘテロアリールであるか、または直接結合であり、
R
1は、アルキル、シアノ、-NR
aR
b、またはシクロアルキル、アリールもしくはヘテロシクリルから選択される任意により置換される基であり、置換基は、各出現で、独立してアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、ニトロ、シアノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、-OCO-CH
2-O-アルキル、-OP(O)(O-アルキル)
2または-CH
2-OP(O)(O-アルキル)
2であり、
R
2は、各出現で、独立してアルキルまたはシクロアルキルから選択される任意により置換される基であり、置換基は、各出現で、独立してハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキルまたはハロアルコキシであり、
R
3は、各出現で、独立して水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、-NR
aR
b、ヒドロキシルまたはヒドロキシアルキルであり、
R
aは、水素またはアルキルであり、
R
bは、水素、アルキル、アシル、ヒドロキシアルキル、-SO
2-アルキル、または任意により置換されるシクロアルキルであり、かつ
「m」および「n」は、独立して1または2である。
【0059】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z1は、任意により置換される5員または6員のヘテロアリールである。
【0060】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z1は、任意により置換されるヘテロアリールであり、任意の置換基は、アルキルである。
【0061】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z1は、テトラゾリル、チエニル、トリアゾリル、ピロリル、ピリジル、ピラニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、フラニルおよびピラゾリルから選択される。
【0062】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z1は、ピリジル、オキサゾリルおよびフラニルから選択され、ピリジル基は、アルキルにより任意により置換され、特にアルキルは、メチルである。
【0063】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z2は、テトラゾリル、チエニル、トリアゾリル、ピロリル、ピリジル、ピラニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、フラニルまたはピラゾリルから選択される5員または6員のヘテロアリールである。
【0064】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z2は、アゼチジニル、オキセタニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニルまたは1,4-ジオキサニルからなる群から選択される5員または6員のヘテロシクロアルキルである。
【0065】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z2は、ピリジル、ピラゾリルまたはピロリジニルである。
【0066】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z2は、直接結合である。
【0067】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(IA)の化合物である式(I)の化合物
【化6】
またはその薬学的に許容される塩を含み;
式中、Z
2、R
1、R
2、R
3、「m」および「n」は、式(I)の化合物で定義されるものと同じである。
【0068】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(IB)の化合物である式(I)の化合物、
【化7】
またはその薬学的に許容される塩を含み、
式中、Z
2、R
1、R
2、R
3、「m」および「n」は、式(I)の化合物で定義されるものと同じである。
【0069】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(IC)の化合物である式(I)の化合物、
【化8】
またはその薬学的に許容される塩を含み、
式中、Z
2、R
1、R
2、R
3、「m」および「n」は、式(I)の化合物で定義されるものと同じである。
【0070】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物を含み、式中、
【化9】
式中、R
1、R
2および「m」は、式(I)の化合物で定義されるものと同じである。
【0071】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z2は、ピリジルである。
【0072】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z2は、ピラゾリルである。
【0073】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z2は、ピロリジニルである。
【0074】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R1は、任意により置換されるヘテロシクリルであり、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、-OCO-CH2-O-アルキル、-OP(O)(O-アルキル)2または-CH2-OP(O)(O-アルキル)2である。
【0075】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R1は、任意により置換されるアゼチジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニルまたはアゼパニルであり、置換基は、アミノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、-OCO-CH2-O-アルキル、-OP(O)(O-アルキl)2または-CH2-OP(O)(O-アルキ)2である。
【0076】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R1は、任意により置換されるピペリジニルであり、置換基は、ヒドロキシルである。
【0077】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R1は、任意により置換されるフェニルであり、置換基は、ハロゲンである。
【0078】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R1は、シクロアルキルである。
【0079】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R1は、シクロプロピルまたはシクロヘキシルである。
【0080】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R1は、-NRaRbであり、Raは、水素であり、Rbは、任意により置換されるシクロアルキルであり、置換基は、ヒドロキシルである。
【0081】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R1は、シアノである。
【0082】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R2は、任意により置換されるアルキルであり、置換基は、アルコキシである。
【0083】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R2は、シクロアルキルである。
【0084】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R3は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、-NRaRb、ヒドロキシルまたはヒドロキシアルキルであり、Raは、水素またはアルキルであり、Rbは、水素、アルキル、アシル、ヒドロキシアルキルまたは-SO2-アルキルである。
【0085】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z1は任意により置換されるピリジルであり、環Z2は、ピリジル、ピラゾリル、ピロリジニルまたは直接結合であり、R1は、シクロプロピル、ピペリジニル、モルホリニルまたはピロリジニルから選択される任意により置換される基であり、R2は、任意により置換されるアルキルまたはシクロアルキルであり、R3は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、-NRaRb、ヒドロキシルまたはヒドロキシアルキルであり、Raは、水素またはアルキルであり、Rbは、水素またはヒドロキシアルキルである。
【0086】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z1は、オキサゾリルであり、Z2は、ピリジル、ピラゾリルまたはピロリジニルであり、R1は、シアノ、-NRaRb、またはシクロプロピル、シクロヘキシル、フェニル、アゼチジニル、ピペリジニル、モルホリニルまたはピロリジニルから選択される任意により置換される基であり、R2は、任意により置換されるアルキルまたはシクロアルキルであり、R3は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、-NRaRb、ヒドロキシル、またはヒドロキシアルキルであり、Raは、水素またはアルキルであり、Rbは、水素、アルキル、アシル、ヒドロキシアルキル、-SO2-アルキルまたは任意により置換されるシクロアルキルである。
【0087】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R3は、-NRaRbであり、Raは、水素またはアルキルであり、Rbは、水素、アルキル、アシル、ヒドロキシアルキル、-SO2-アルキル、または任意により置換されるシクロアルキルであり、任意による置換基は、ヒドロキシルである。
【0088】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、「n」は、1である。
【0089】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、「n」は、2である。
【0090】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、「m」は、1である。
【0091】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、「m」は、2である。
【0092】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、以下から選択される式(I)の化合物:
【表1】
またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性を投与することを含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物は、化合物Aである。
【化10】
【0094】
いくつかの実施形態では、BCL-2阻害剤は、ベネトクラクスである。
【0095】
本明細書で提供されるのは、B細胞リンパ腫2(BCL-2)阻害剤と共同して式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、対象において癌を治療または予防する方法である;
【化11】
式中、
X
1およびX
3は、独立してCHまたはNであり、X
2は、CR
2またはNであり、ただしX
1、X
2、またはX
3のいずれか1つはNであり、
Aは、OまたはSであり、
Yは、-CH
2-またはOであり、
Zは、アリールまたはヘテロシクリルであり、
R
1は、各出現で、独立してハロまたは任意により置換されるヘテロシクリルであり、置換基は、アルキル、アルコキシ、アミノアルキル、ハロ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキルまたは-NR
aR
bであり、
R
2は、水素、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリルまたは-NR
aR
bであり、置換基は、アルキル、アミノ、ハロまたはヒドロキシルであり、
R
3は、各出現で、アルキルまたはヒドロキシルであり、
R
aおよびR
bは、独立して水素、アルキル、アシルまたはヘテロシクリルであり、
「m」および「n」は、独立して0、1または2であり、
「p」は、0または1である。
【0096】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、基
【化12】
であり、
式中、R
2は、式(II)の化合物において定義されるものである。
【0097】
いくつかの実施形態では、本発明は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Zは、アリールまたは5員または6員のヘテロシクリルである。
【0098】
いくつかの実施形態では、本発明は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Zは、フェニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1H-テトラゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、オキセタニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,4-ジオキサニル、ジオキシドチオモルホリニル、オキサピペラジニル、オキサピペリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニルまたはジヒドロピラニルであり、その各々は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキルまたは-NRaRbで任意により置換され、RaおよびRbは、独立して水素、アルキルまたはアシルである。
【0099】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Zは、フェニル、オキサゾリル、フラニル、チエニルまたはピリジルであり、その各々は、1つ以上のR1で任意により置換される。
【0100】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、
【化13】
R
3および「m」は、式(II)の化合物で定義される。
【0101】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(IIA)の化合物である式(II)の化合物:
【化14】
またはその薬学的に許容される塩を含み、
式中、A、Y、R
1、R
2、R
3、「m」、「p」および「n」は、式(II)の化合物で定義されたものと同じである。
【0102】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(IIB)の化合物である式(II)の化合物:
【化15】
またはその薬学的に許容される塩を含み、
式中、A、Y、R
1、R
2、および「n」は、式(II)の化合物で定義されたものと同じである。
【0103】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(IIC)の化合物である式(II)の化合物:
【化16】
またはその薬学的に許容される塩を含み、
式中、A、Y、R
1、R
2、R
3および「n」は、式(I)の化合物で定義されたものと同じである。
【0104】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(II)、式(IIA)、式(IIB)もしくは式(IIC)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Yは、OまたはCH2である。
【0105】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R1は、任意より置換されるヘテロシクリルであり、置換基は、アルキル、アルコキシ、アミノアルキル、ハロ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキルまたは-NRaRbであり、RaおよびRbは、独立して水素、アルキルまたはアシルである。
【0106】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R1は、ピリジル、ピラゾリル、ピロリジニルまたはピペリジニルであり、その各々は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキルまたは-NRaRbで任意により置換され、RaおよびRbは、独立して水素またはアシルである。
【0107】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R2は、水素である。
【0108】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R2は、任意により置換されるシクロアルキルである。
【0109】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R2は、シクロプロピルである。
【0110】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R2は、任意により置換されるヘテロシクリルであり、置換基は、アルキル、アミノ、ハロまたはヒドロキシルである。
【0111】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R2は、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、アゼチジニル、ピラゾリル、フラニル、ピリジル、アゼパニル、またはアザビシクロ[3.2.1]オクタニルであり、置換基は、アルキル、アミノ、ハロまたはヒドロキシルである。
【0112】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R2は、任意により置換されるアリールであり、置換基は、ハロである。
【0113】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R2は、任意により置換されるフェニルであり、置換基は、フルオロである。
【0114】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R2は、-NRaRbであり、RaおよびRbは、独立して水素またはヘテロシクリルである。
【0115】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R2は、-NRaRbであり、RaおよびRbは、独立して水素またはピロリジニルである。
【0116】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(IIA)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Aは、OまたはSであり、Yは、-CH2-またはOであり、R1は、ハロ、ピリジル、ピラゾリル、ピロリジニルであり、その各々は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキルまたは-NRaRbで任意により置換され、R2は、水素、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリルまたは-NRaRbであり、置換基は、アルキル、アミノ、ハロまたはヒドロキシルであり、RaおよびRbは、独立して水素またはアルキルである。
【0117】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(IIB)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Aは、OまたはSであり、Yは、-CH2-またはOであり、R1は、ピリジル、ピラゾリル、ピロリジニルであり、その各々は、アルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキルまたは-NRaRbで任意により置換され、RaおよびRbは、独立して水素であり、R2は、水素、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリルまたは-NRaRbであり、置換基は、アルキル、アミノ、ハロまたはヒドロキシルであり、RaおよびRbは、独立して水素、アルキル、アシルまたはヘテロシクリルである。
【0118】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(IIA)、式(IIB)もしくは式(IIC)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、「n」は、0、1、または2である。
【0119】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(IIA)もしくは式(IIB)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、「p」は、0または1である。
【0120】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(IIA)もしくは式(IIB)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、「m」は、0または2である。
【0121】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、以下から選択される式(II)の化合物:
【表2】
またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物は、化合物Aである。
【0123】
いくつかの実施形態では、BCL-2阻害剤は、ベネトクラクスである。
【0124】
本明細書に提供される方法は、B細胞リンパ腫2(BCL-2)阻害剤と共同して式(III)の化合物
【化17】
またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、対象の癌を治療または予防する方法である:
式中、
Z
1は、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリルを表すか、または存在せず、
Z
2は、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリールまたは任意により置換されるヘテロシクリルを表し、
R
1は、水素、任意により置換されるアルキル、アミノ、ハロ、シアノ、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリル、任意により置換されるアリールアルキル、または任意により置換されるヘテロシクリルアルキルであり、
R
2は各発現で、アミノ、任意により置換されるアルキル、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリル、任意により置換されるアリールアルキルまたは任意により置換されるヘテロシクリルアルキルであり、
R
3は各出現で、ヒドロキシ、ハロ、任意により置換されるアルキル、任意により置換されるアルコキシ、任意により置換されるシクロアルキルまたは-NR
aR
bであり、
R
aおよびR
bは、独立して各出現で、水素、任意により置換されるアルキル、任意により置換されるアシル、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリル、任意により置換されるアリールアルキルまたは任意により置換されるヘテロシクリルアルキルであり、
mは、各出現で、0、1または2であり、
nは、各出現で、0、1または2である。
【0125】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z1は、任意により置換されるヘテロシクリルである。
【0126】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z1は、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルでを表し、独立して各出現で、ヒドロキシ、ハロ、アルキル、シクロアルキルまたはNRaRbから選択される1つ以上の置換基で任意により置換される。
【0127】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z1は、任意により置換されるヘテロアリールであり、任意の置換基は、アルキルまたはシクロアルキルである。
【0128】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z1は、テトラゾリル、チエニル、トリアゾリル、ピロリル、ピリジル、ピラニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、フラニル、ピラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアジニル、フタルアジニル、チアントレン、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、プリニル、プテリジニル、9H-カルバゾリル、α-カルボリン、インドリジニル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピロロロピリジル、フロピリジニル、プリニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾトリアジアゾリル、カルバゾリル、ジベンゾチエニル、アクリジニルおよびピラゾロピリミジルであり、それらの各々は、任意により置換される。
【0129】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z1は、テトラゾリル、チエニル、トリアゾリル、ピロリル、ピリジル、ピラニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、フラニルまたはピラゾリルである。
【0130】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z1は、ピリジルまたはオキサゾリルであり、オキサゾリル基は、アルキルで任意により置換され、特にアルキルは、メチルである。
【0131】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される化合物を含み、式中、Z1は、存在しない。
【0132】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z2は、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルである。
【0133】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z2は、ヒドロキシ、ハロ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、-NRaRb、またはシクロアルコキシから選択される1つ以上の置換基で任意により置換される、シクロアルキル、アリール、またはヘテロシクリルを表す。
【0134】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z2は、ヘテロシクリルである。
【0135】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z2は、アゼチジニル、オキセタニル、フラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、チオモルホリニル、1,4-ジオキサニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピリジル、テトラゾリル、チエニル、トリアゾリル、ピロリル、ピリジル、ピラニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジル、イミダゾリジニル,イミダゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、ピロリジニル、オキサゾリジニル、ピラゾリジニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアジニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ピロロロピリジルまたはピラゾロピリミジルである。
【0136】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z2は、ピリジル、ピペラジニル、ピリミジル、ピロリジニル、1,2,3,4-テトラヒドロピリジル、ピペリジニル、ピラゾロピリミジルまたはピロロロピリジルである。
【0137】
ある実施形態では、式(III)の化合物は、式(IIIA)の化合物
【化18】
または薬学的に許容される塩であり、
式中、Z
2、R
1、R
2、R
3、「m」および「n」は、式(III)の化合物で定義されるものである。
【0138】
ある実施形態では、式(III)の化合物は、式(IIIB)の化合物、
【化19】
または薬学的に許容される塩であり、
式中、Z
2、R
1、R
2、R
3、「m」および「n」は、式(III)の化合物で定義されるものである。
【0139】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、基は、
【化20】
式中、R
1、R
2および「m」は、式(III)の化合物で定義されたものである。
【0140】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z2は、ピリジルである。
【0141】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z2は、ピロリジニルである。
【0142】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z2は、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピリジル、ピリミジルまたはピラゾロピリジルである。
【0143】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R1は、水素、任意により置換されるアルキル、アミノ、ハロ、シアノ、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリル、任意により置換されるアリールアルキルまたは任意により置換されるヘテロシクリルアルキルである。
【0144】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物または薬学的に許容される塩を含み、式中、R1は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アリールアルキルであり、ヒドロキシ、ハロ、アルキル、またはヒドロキシアルキルから、独立して各出現で、選択される1つ以上の置換基で任意により置換される。
【0145】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物または薬学的に許容される塩を含み、式中、R1は、ヘテロシクリルであり、ハロゲン、ヒドロキシルまたはヒドロキシアルキルで任意により置換される。
【0146】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R1は、アゼチジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニルまたはアゼパニルで任意により置換される。
【0147】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物または薬学的に許容される塩を含み、式中、R1は、ピペリジニルであり、ヒドロキシルで任意により置換される。
【0148】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R1はピロリジニルであり、ヒドロキシルで任意により置換される。
【0149】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R2は各出現で、アミノ、任意により置換されるアルキル、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリル、任意により置換されるアリールアルキル、または任意により置換されるヘテロシクリルアルキルである。
【0150】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物または薬学的に許容される塩を含み、式中、R2は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アリールアルキルまたはヘテロシクリルアルキルであり、独立して各出現で、アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルから選択される1つ以上の置換基で任意により置換される。
【0151】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R2は、任意により置換されるアルキル、好ましくはメチルである。
【0152】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R2は、任意により置換されるシクロアルキル、好ましくはシクロプロピルである。
【0153】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、R3は、各出現で、ヒドロキシ、ハロ、任意により置換されるアルキル、任意により置換されるアルコキシ、任意により置換されるシクロアルキルまたは-NRaRbであり、Raは、水素または任意により置換されるアルキルであり、Rbは、水素、任意により置換されるアルキル、任意により置換されるアシル、ヒドロキシアルキル、または-SO2-アルキルである。
【0154】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z1は、任意により置換されるピリジルであり、Z2は、ピロリジニルであり、R1は、ピペリジニルまたはピロリジニルから選択される任意により置換される基であり、R2は、任意により置換されるアルキルであり、R3は、ハロゲン、アルキル、-NRaRb、ヒドロキシル、またはヒドロキシアルキルであり、Raは、水素またはアルキルであり、Rbは、水素またはヒドロキシアルキルである。
【0155】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、Z1は、オキサゾリルであり、Z2は、ピリジル、ピリミジルまたはピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピリジル、ピペラジニル、ピロロロピリジルであり、R1は、ピペリジニルまたはピロリジニルから選択される任意により置換される基であり、R2は、任意により置換されるアルキルまたはシクロプロピルであり、R3は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、-NRaRb、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、任意により置換されるシクロプロピルであり、Raは、水素またはアルキルであり、Rbは、水素、アルキル、アシル、ヒドロキシアルキル、-SO2-アルキル、または任意により置換されるシクロアルキルである。
【0156】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、「m」は、0である。
【0157】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、「m」は、1である。
【0158】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、「m」は、2である。
【0159】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、「n」は、0である。
【0160】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、「n」は、1である。
【0161】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、式中、「n」は、2である。
【0162】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、以下から選択される式(III)の化合物を含む:
【表3】
【0163】
いくつかの実施形態では、式(III)の化合物は、化合物Aである。
【0164】
いくつかの実施形態では、BCL-2阻害剤は、ベネトクラクスである。
医薬組成物
【0165】
ある実施形態では、本発明の方法は、任意により薬学的に許容される担体または希釈剤と混合される、本明細書に開示される化合物を含む医薬組成物を含む。
【0166】
本明細書で使用されるとき、用語「組成物」は、指定された量で指定された成分を含む生成物、および指定された量で指定された成分の組み合わせから直接または間接的に得られるあらゆる生成物を包含することが意図される。
【0167】
本明細書で使用されるとき、用語「医薬組成物」は、少なくとも1つの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量、および従来の薬学的に許容される担体を含む組成物(複数可)を指す。
【0168】
本発明の医薬組成物(複数可)は、例えば、錠剤、被覆錠剤、丸薬、カプセル剤、顆粒剤またはエリキシル剤の形態で、経口投与することができる。しかし、投与は、直腸、例えば坐剤の形態で、または非経口、例えば静脈内、筋肉内もしくは皮下で、注射可能な滅菌溶液もしくは懸濁液の形態で、または局所的に、例えば軟膏もしくはクリームもしくは経皮剤の形態で、パッチの形態で、または他の方法で、例えばエアゾールもしくは鼻腔スプレーの形態で行うこともできる。
【0169】
医薬組成物(複数可)は通常、約1重量%~約99重量%、例えば約5重量%~約75重量%、または約10重量%~約30重量%の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。医薬組成物(複数可)中の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、約1mg~約1000mg、約2.5mg~約500mg、または約5mg~約250mgの範囲であってよく、または1mg~1000mgのまたは前述の範囲よりも高いか低いより広い範囲内にある任意の範囲であり得る。
【0170】
本発明はまた、開示された化合物を医薬投与用として配合するための方法を提供する。
【0171】
本発明の組成物および方法は、それを必要とする個体を治療するために利用できる。ある実施形態では、個体は、ヒトなどの哺乳動物、または非ヒト哺乳動物である。ヒトなどの動物に投与する場合、組成物または化合物は、好ましくは、例えば、本発明の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物として投与される。薬学的に許容される担体は、当技術分野で公知であり、例えば、水もしくは生理的に緩衝化された生理食塩水などの水溶液、またはグリコール、グリセロール、オリーブ油などの油、または注射可能な有機エステルなどの他の溶媒もしくはビヒクルが挙げられる。
【0172】
好ましい実施形態では、こうした医薬組成物がヒトへの投与のため、特に侵襲的な投与経路(すなわち、上皮バリアを介する輸送または拡散を回避する注射または移植などの経路)のためである場合、水溶液は、発熱物質を含まないか、または実質的に発熱物質を含まない。賦形剤は、例えば、剤の遅延放出をもたらすため、または1つ以上の細胞、組織もしくは臓器を選択的に標的とするように選択できる。医薬組成物は、錠剤、カプセル(スプリンクルカプセルおよびゼラチンカプセルなど)、顆粒、再構成用凍結乾燥物、粉末、溶液、シロップ、坐剤、注射剤などの投与単位の形態であってよい。組成物はまた、経皮送達システム、例えば皮膚パッチ中に存在し得る。また、組成物は、目薬などの局所投与に好適である溶液中に存在し得る。
【0173】
薬学的に許容される担体は、例えば、本発明の化合物などの化合物を安定化するか、その溶解性を増加させるか、またはその吸収性を増大させるために作用する、生理学的に許容される剤を含んでよい。こうした生理的に許容される剤としては、例えば、グルコース、スクロースまたはデキストランなどの炭水化物、アスコルビン酸またはグルタチオンなどの酸化防止剤、キレート剤、低分子量タンパク質、または他の安定化剤、または賦形剤などが挙げられる。生理的に許容される剤などの薬学的に許容される担体の選択は、例えば、組成物の投与経路に依存する。医薬組成物の調製は、自己乳化性薬物送達システムまたは自己微小乳化性薬物送達システムであり得る。医薬組成物(調製物)はまた、リポソームまたは他のポリマーマトリックスであってもよく、これは、例えば、本発明の化合物を内部に組み込むことができる。例えば、リン脂質または他の脂質を含むリポソームは、非毒性で、生理学的に許容され、代謝可能な担体であり、製造および投与が比較的簡素である。
【0174】
本明細書では、語句「薬学的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に見合った、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応、または他の問題または合併症なしにヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに好適である、それらの化合物、材料、組成物、および/または剤形を指すために使用される。
【0175】
本明細書で使用される語句「薬学的に許容される担体」は、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化材料などの、薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクルを意味する。各担体は、配合物の他の成分と適合し患者に有害でないという意味で「許容できる」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として機能し得る材料のいくつかの例としては、以下が挙げられる:(1)ラクトース、グルコース、スクロースなどの糖類、(2)コーンスターチ、ジャガイモスターチなどのスターチ類、(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体、(4)粉末トラガカンス、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)ココアバターおよび坐剤用ワックスなどの賦形剤、(9)落花生油、綿実油、サフラワー油、ごま油、オリーブ油、コーン油、大豆油などの油類、(10)プロピレングリコールなどのグリコール類、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール類、(12)オレイン酸エチル、ラウリン酸エチルなどのエステル類、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)発熱物質非含有水、(17)等張生理食塩水、(18)リンゲル溶液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝液、および(21)医薬配合物に使用される他の非毒性の適合性物質。
【0176】
医薬組成物(調製物)は、例えば、経口的(例えば、水性または非水性の溶液または懸濁液などでの点滴剤、錠剤、カプセル剤(スプリンクルカプセルおよびゼラチンカプセルを含む)、ボーラス、粉末、顆粒、舌への適用のためのペースト)、口腔粘膜を介する吸収(例えば、舌下)、肛門的、直腸的、または膣内(例えば、ペッサリー、クリームまたは発泡体として)、非経口的(例えば、滅菌溶液または懸濁液として、筋肉内、静脈内、皮下またはくも膜下を含む)、経鼻、腹腔内、皮下、経皮(例えば、皮膚に貼付するパッチとして)、および局所的(例えば、皮膚に適用されるクリーム、軟膏またはスプレーとして、または目薬として)を含む多数の投与経路のいずれかによって対象に投与できる。本発明の化合物はまた、吸入用に配合されてもよい。ある実施形態では、化合物は単に、無菌水に溶解または懸濁されてもよい。適切な投与経路およびそれに好適である組成物の詳細は、例えば、米国特許第6,110,973号、第5,763,493号、第5,731,000号、第5,541,231号、第5,427,798号、第5,358,970号および第4,172,896号ならびにそれらの明細書内で引用される特許において見出すことができる。
【0177】
配合物は、単位投与形態で便利に提示されてよく、薬学の分野で公知である任意の方法で調製されてよい。単一剤形を形成するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、治療される宿主、特定の投与様式に応じて変化する。単一剤形を形成するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は一般に、治療効果を生じる化合物の量である。一般に、この量は、100%のうち、約1%~約99%の活性成分、好ましくは約5%~約70%、最も好ましくは約10%~約30%の範囲である。
【0178】
これらの配合物または組成物を調製する方法は、本発明の化合物などの活性化合物を、担体、および任意により1種以上の補助成分と会合させるステップを含む。一般に、この配合物は、本発明の化合物を液体担体、または細分化した固体担体、またはその両方と均一かつ密接に会合させ、必要に応じてその生成物を成形することにより調製される。
【0179】
経口投与に好適な本発明の配合物は、カプセル(スプリンクルカプセルおよびゼラチンカプセルなど)、カシェ剤、丸剤、錠剤、トローチ剤(フレーバーベース、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカンスを使用)、凍結乾燥物、粉剤、顆粒の形態であってよく、または水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型もしくは油中水型の液体エマルジョンとして、またはエリキシルもしくはシロップとして、またはトローチ(pastilles)(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤を使用)としておよび/または洗口剤などとしてであってよく、それぞれが、活性成分として所定量の本発明の化合物を含有する。組成物または化合物はまた、ボーラス、練剤またはペーストとして投与され得る。
【0180】
経口投与用の固形剤形(カプセル剤(スプリンクルカプセルおよびゼラチンカプセルを含む)、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉剤、顆粒など)を調製するために、活性成分は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸第二カルシウムなどの1種以上の薬学的に許容される担体、および/または以下のいずれかの担体と混合される:(1)充填剤または拡張剤、例えば、スターチ、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸、(2)バインダー、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシアなど、(3)保湿剤、例えばグリセロール、(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモスターチまたはタピオカスターチ、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、(5)パラフィンなどの溶液遅延剤、(6)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、(7)セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、(8)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸着剤、(9)例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物などの滑沢剤、(10)修飾されたおよび未修飾のシクロデキストリンなどの錯化剤、ならびに(11)着色剤。カプセル(スプリンクルカプセルおよびゼラチンカプセルを含む)、錠剤、ならびに丸剤の場合、薬学的組成物はまた、緩衝剤を含み得る。同様のタイプの固体組成物もまた、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、柔ゼラチンカプセルおよび硬ゼラチンカプセルの中充填剤として使用され得る。
【0181】
錠剤は、任意により1種または2種以上の補助成分とともに、圧縮または成形により製造されてよい。圧縮錠剤は、バインダー(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤または分散剤を用いて調製できる。成形錠剤は、粉末状化合物を不活性液体希釈剤で湿らせた混合物を好適な機械で成形することにより製造され得る。
【0182】
錠剤、ならびに糖衣錠、カプセル(スプリンクルカプセルおよびゼラチンカプセルを含む)、丸剤および顆粒などの医薬組成物の他の固形剤形は任意により、コーティングおよびシェル、例えば腸溶性コーティングおよび医薬組成物の技術において公知である他のコーティングにより、割線を入れられるか、または調製されてよい。それらはまた、例えば、所望の放出プロファイルをもたらすために様々な割合でヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはマイクロスフェアを使用して、それらに含まれる活性成分の遅延放出性または徐放性放出を提供するように配合されてもよい。それらは、例えば、細菌保持フィルターを介する濾過によって、または使用直前に滅菌水、もしくは他のいくつかの滅菌注射可能な媒体に溶解できる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌されてよい。これらの組成物はまた、任意により不透明化剤を含んでもよく、活性成分(複数可)を胃腸管の特定の部分においてのみ、またはその部分で優先的に、任意により遅延された様式で、放出する組成物であってもよい。使用できる埋め込み型組成物の例としては、高分子物質およびワックスが挙げられる。また、活性成分は、適切な場合には、上述の賦形剤の1種以上と共にマイクロカプセル化された形態であってもよい。
【0183】
経口投与に有用な液体剤形としては、薬学的に許容されるエマルジョン、再構成のための凍結乾燥物、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。活性成分に加えて、液状剤形は、例えば、水または他の溶剤、シクロデキストリンおよびその誘導体、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、麦芽油、オリーブ油、ひまし油、ごま油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ソルビタンのポリエチレングリコールおよび脂肪酸エステル、およびその混合物など、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含んでもよい。
【0184】
不活性希釈剤の他に、口腔用組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、香料添加剤、着色料、香料、防腐剤などのアジュバントを含んでもよい。
【0185】
懸濁液は、活性化合物の他に、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカンス、およびその混合物などの懸濁剤を含んでもよい。
【0186】
直腸投与、膣投与、または尿道投与用の医薬組成物の配合物は、坐剤として提示され得る。これは、1種以上の活性化合物を、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックスまたはサリチル酸塩を含む1種以上の好適な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製でき、かつこれは室温で固体であるが、体温では液体であり、したがって、直腸または膣腔で溶融し、活性化合物を放出するであろう。
【0187】
口腔内へ投与するための医薬組成物の配合物は、口洗、口腔内スプレー、口腔内軟膏として提示され得る。
【0188】
代替的または追加的に、組成物は、カテーテル、ステント、ワイヤー、または他の体腔内デバイスを介して送達するために配合され得る。こうしたデバイスを介する送達は、膀胱、尿道、尿管、直腸、または腸への送達に特に有用であり得る。
【0189】
膣投与に好適である配合物はまた、適切であることが当技術分野で公知である担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体またはスプレー配合物を含む。
【0190】
局所または経皮投与のための投与形態としては、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチおよび吸入剤が挙げられる。活性化合物は無菌条件下で、薬学的に許容される担体と、および必要とされ得る任意の防腐剤、緩衝剤、または推進剤と混合されてよい。
【0191】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、活性化合物に加えて、賦形剤、例えば動物性および植物性の油脂、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカンス、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物を含んでもよい。
【0192】
粉末およびスプレーは、活性化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ポリアミド粉末などの賦形剤、またはこれらの混合物を含んでよい。スプレーはさらに、クロロフルオロ炭化水素などの慣用の推進剤、ならびにブタンおよびプロパンなどの揮発性の非置換炭化水素を含む。
【0193】
経皮パッチは、本発明の化合物の身体への制御された送達をもたらす付加的な利点を有する。こうした剤形は、活性化合物を適切な媒体に溶解または分散することにより作製され得る。吸収増強剤もまた、皮膚での化合物の融解を増加させるために使用できる。このような融解の速度は、速度制御膜を提供するか、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲル中に分散させることによって制御され得る。
【0194】
眼科用配合物、眼軟膏、粉末、溶液などもまた、本発明の範囲内であることが企図される。例示的な眼科用配合物は、米国公開第2005/0080056号、同2005/0059744号、および米国特許第6,583,124号に記載され、その内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。所望であれば、眼科用液状配合物は、涙液、水性液汁もしくは硝子体液汁に類似の特性を有するか、またはそれらの液汁と適合性を有する。好ましい投与経路は、局所投与(例えば、目薬などの局所投与、またはインプラントを介する投与)である。
【0195】
本明細書で使用される「非経口投与」および「非経口的に投与される」という語句は、経腸投与および局所投与以外の投与形態を意味し、通常は注射による投与であり、これらに限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下(intrathecal)、関節包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下(subarachnoid)、髄腔内、および胸骨内の注射および注入を含む。
【0196】
非経口投与に好適である医薬組成物は、1種以上の薬学的に許容される無菌等張性の水性もしくは非水性溶液、分散液、懸濁液もしくは乳剤、または使用直前に無菌の注射可能な溶液もしくは分散液に再構成され得る無菌粉末との組み合わせで1種以上の活性化合物を含み、これらは、抗酸化剤、緩衝剤、バクテリオスタット、配合物を意図されたレシピエントの血液と等張にする溶質、または懸濁剤もしくは増粘剤を含んでもよい。
【0197】
本発明の医薬組成物に採用され得る好適な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの好適な混合物、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティング材料の使用により、分散液の場合は必要な粒径の維持により、および界面活性剤の使用により維持され得る。
【0198】
これらの組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などのアジュバントを含んでもよい。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの含有により確実に行われ得る。また、糖類、塩化ナトリウムなどの等張化剤を組成物に含めることが好ましい場合もある。さらに、注射可能な剤型の延長された吸収が、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる剤の含有によりもたらされ得る。
【0199】
ある場合には、薬物の効果を持続させるために、皮下注射または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅延させることが望ましい。これは、不十分な水溶性を有する結晶性または非晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成され得る。薬物の吸収速度はその結果、その溶解速度に依存し、これは今度は、結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与された剤形の吸収遅延は、剤形を油性ビヒクルに溶解または懸濁させることによって達成される。
【0200】
注射可能なデポ剤形は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に対象化合物のマイクロカプセル化されたマトリックスを形成することにより作製される。薬物対ポリマーの比率、および採用された特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポ型注射可能配合物はまた、身体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬物を捕らえることによって調製される。
【0201】
本発明の方法における使用のために、活性化合物は、それ自体で、または薬学的に許容される担体と組み合わせて、例えば約0.1~約99.5%(より好ましくは約0.5~約90%)の活性成分を含む医薬組成物として与えられる。
【0202】
組み込みの方法は、再充填可能デバイスまたは生分解性デバイスによって提供されてもよい。様々な徐放性高分子デバイスが、タンパク質系バイオ医薬品を含む、薬物の制御された送達のために近年開発されin vivoで試験されている。生分解性ポリマーおよび非分解性ポリマーの両方を含む、様々な生体適合性ポリマー(ヒドロゲルなど)を、特定の標的部位における化合物の持続的放出のためのインプラントを形成するために使用できる。
【0203】
医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、患者に毒性を与えることなく、特定の患者、組成物、および投与様式に対して所望の治療応答を得るのに有効な活性成分の量を得るように変化させてもよい。
【0204】
選択される投薬量レベルは、使用される特定の化合物または化合物の組み合わせ、またはそのエステル、塩またはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用される特定の化合物(複数可)の排泄速度、治療期間、使用される特定の化合物(複数可)と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/または材料、年齢、性別、体重、状態、一般的な健康状態および治療される患者の過去の病歴、および医学分野で公知である要因を含む様々な要因に依存する。
【0205】
当技術において通常の技術を有する医師または獣医師は、必要とされる医薬組成物の治療有効量を容易に決定し、処方することができる。例えば、医師または獣医師は、所望の治療効果を得るために必要なレベルよりも低いレベルで医薬組成物または化合物の投与を開始し、所望の効果が達成されるまで徐々に投薬量を増加させることができる。「治療有効量」は、所望の治療効果を引き出すのに十分な化合物の濃度を意味する。化合物の有効量は、対象者の体重、性別、年齢、および病歴によって異なることが一般的に理解されている。有効量に影響を与える他の要因としては、これらに限定されないが、患者の状態の重症度、治療される障害、化合物の安定性、および所望により、本発明の化合物と共に投与される別の種類の治療剤を挙げることができる。本剤を複数回投与することにより、より多くの投薬量を送達させ得る。有効性および投薬量を決定する方法は、当業者において公知である(Isselbacherら、(1996年)Harrison’s Principles of Internal Medicine第13版、1814-1882年、参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0206】
一般に、本発明の組成物および方法において使用される活性化合物の好適な一日用量は、治療効果をもたらすために有効な最小用量である化合物の量である。このような有効量は、一般的に上記の要因に依存する。
【0207】
所望であれば、活性化合物の1日有効用量は、任意により、単位剤形で、1日を通して適切な間隔で別々に投与される1回、2回、3回、4回、5回、6回、またはそれを超えるサブ用量として投与され得る。本発明のある実施形態では、活性化合物は、1日に2回または3回投与され得る。好ましい実施形態では、活性化合物は、1日1回投与される。
【0208】
この治療を受ける患者は、霊長類、特にヒト、およびウマ、ウシ、ブタおよびヒツジなどの他の哺乳動物、および一般に家禽およびペットを含む、必要としている任意の動物である。
【0209】
ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳化剤および滑沢剤、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味料、香料添加剤および香料、防腐剤および酸化防止剤もまた、組成物中に存在してよい。
【0210】
薬学的に許容される酸化防止剤の例としては、(1)水溶性酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど、および(2)油溶性酸化防止剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、胆汁酸プロピル、α-トコフェロールなど、(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが挙げられる。
【0211】
本発明の化合物は、以下の目的のために、1種以上の他の薬物と組み合わせて投与され得る。(1)本発明の化合物の予防的薬物効果および/または治療的薬物効果の予防的有効性および/または治療的有効性を補完し、かつ/または増強する。(2)本発明の予防用および/または治療用の化合物の薬理作用を調節し、その吸収性の改善を向上するか、またはその投与量の減少を減少させる。かつ/または(3)本発明の予防用および/または治療用の化合物の副作用を軽減するかまたは改善する。本明細書で使用されるとき、「共同投与」という語句は、先に投与された治療用化合物がまだ身体で有効である間に第2の化合物が投与されるような、2つ以上の異なる治療用化合物の投与の任意の形態を指す(例えば、2つの化合物が同時に患者に有効であり、それは2つの化合物の相乗効果を含み得る)。例えば、異なる治療用化合物は、同じ配合物または別の配合物中のいずれかで、同時にまたは順次にのいずれかで投与され得る。ある実施形態では、異なる治療用化合物は、互いに1時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、または1週間以内に投与できる。したがって、このような治療を受ける個体は、異なる治療用化合物の複合効果から利益を得ることができる。それぞれの化合物は、同じまたは異なる経路、および同じまたは異なる方法で投与されてよい。
【0212】
本発明の化合物および他の薬物を含む共同医薬品は、両成分が単一の配合物中に含まれる併用調製物として投与されてよく、または別々の配合物として投与されてもよい。別々の配合物による投与としては、同時投与と、いくつかの時間間隔で分けられた配合物の投与とが挙げられる。ある時間間隔をあけて投与する場合、2つの化合物が共同療法の間の少なくとも一部の時間患者において同時に活性である限り、本発明の化合物を最初に投与し、次いで別の薬物を投与してよく、または別の薬物を最初に投与し、次いで本発明の化合物を投与してもよい。各薬物の投与方法は、同じ経路または異なる経路でかつ同じ方法または異なる方法で投与してよい。
【0213】
他方の薬物の投薬量は、臨床上使用されている投薬量に基づいて適宜選択でき、または本発明の化合物と組み合わせて投与される場合に有効である投薬量を減量させたものであってもよい。本発明の化合物と他の薬物との配合割合は、投与される対象の年齢および体重、投与方法、投与時間、投与される障害、症状、それらの組み合わせなどに応じて適切に選択できる。例えば、他の薬物は、本発明の化合物1質量部を基準として、約0.01~約100質量部の量で使用できる。他の薬物は、2種以上の任意の薬物を適切な割合で組み合わせたものであってもよい。本発明の化合物の予防的有効性および/または治療的有効性を補完し、かつ/または増強する他の薬物は、既に発見されているもののみでなく、上記のメカニズムに基づいて今後発見されるものも含む。
【0214】
ある実施形態では、本発明の化合物は、癌治療の非化学的方法と共同で投与されてよい。ある実施形態では、本発明の化合物は、放射線治療と共同で投与されてよい。ある実施形態では、本発明の化合物は、手術、サーモアブレーション、集束超音波療法、凍結療法、またはこれらの任意の組み合わせと共同で投与されてよい。
治療の方法
【0215】
DLBCLは、消化管、精巣、甲状腺、皮膚、乳房、骨、または脳において、リンパ節またはリンパ系の外で発生し得る侵攻性リンパ腫である。DLBCLは、抗体を産生する役割を有する白血球の一種であるB細胞の癌である。通常、DLBCLは正常なB細胞から生じるが、それは他の種類のリンパ腫または白血病の悪性転換を表すこともある。DLBCLには、由来細胞に応じて名前が付けられているサブタイプがあり、胚中心B細胞様(GCB)および活性化B細胞様(ABC)を含み、それぞれ異なる臨床症状および予後を有する。胚中心B細胞様サブグループの腫瘍細胞は、胚中心の正常B細胞に非常に類似しており、一般に良好な予後と関連している。活性化B細胞様腫瘍細胞は、より不良である予後と関連しており、その名前は、B細胞が抗原と相互作用する際に通常は活性化される特定の経路が継続的に活性化されることを示す研究に由来する。このような経路の一つの重要な例は、B細胞の形質細胞への変換に通常関与しているNF-κB経路である。
【0216】
IRAK-4キナーゼ活性は、様々な骨髄系細胞およびリンパ系細胞の種類において、toll様受容体(TLR)およびインターロイキン-1受容体(IL-1R)のシグナル伝達に必要とされる。これらの受容体へのIRAK4の動員およびその後の活性化は、DLBCL症例の約22%において変異されるMYD88アダプタータンパク質によって促進される。MYD88 L265P活性化突然変異は、DLBCLのABCサブタイプの約30%、GCBサブタイプの約6%に見られ、NF-κBシグナル伝達の構成的活性化を引き起こし、これは、予後の悪化と関連する。原発性マクログロブリン血症(WM)では、MYD88-L265P活性化突然変異は、90%を超える症例に存在する。
【0217】
本明細書に開示される化合物Aなどの特定のIRAK-4阻害剤は、細胞株OCI-LY3およびOCI-LY10を用いるABC-DLBCL MYD88-L265P異種移植腫瘍モデルにおいて、用量依存的有効性を呈する。化合物Aは、TLR/IL-1RおよびB細胞受容体(BCR)シグナル伝達経路の両方で活性化突然変異(MYD88およびCD79B二重突然変異体)を有するABC-DLBCL PDX腫瘍で有効である。BCR経路は、B細胞リンパ腫2(BCL-2)阻害剤などの非キナーゼ標的によって間接的に影響される。IRAK-4阻害剤単独での治療と、ベネトクラクスなどのBCL-2阻害剤単独での治療では、有意な腫瘍応答は得られなかった。しかし、IRAK-4阻害剤およびBCL-2阻害剤の両方を用いた治療では、相乗的な腫瘍成長阻害効果が実証されている。
【0218】
本明細書に開示されるのは、BCL-2阻害剤と共に開示される化合物を投与することを含む、びまん性大細胞B細胞リンパ腫または原発性マクログロブリン血症を治療または予防するための方法である。いくつかの実施形態では、DLBCLは、活性化B細胞様DLBCLである。いくつかの実施形態では、DLBCLは、MYD88におけるL265P突然変異および/またはBCL転座を特徴とする。いくつかの実施形態では、BCL-2阻害剤は、ベネトクラクス(ABT-199)である。
非ホジキンリンパ腫
【0219】
IRAK-4阻害剤とBCL-2阻害剤の組み合わせは、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、濾胞性リンパ腫(FL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、CNSリンパ腫、および精巣リンパ腫などの、他の非ホジキンリンパ腫の治療または予防に有利であり得る。非ホジキンリンパ腫は、リンパ球と呼ばれる白血球から始まる癌である。これらの癌は、B細胞またはT細胞に影響を及ぼし得、B細胞リンパ腫がより高頻度である。FLおよびMZLなどのインドレントリンパ腫はゆっくりと成長する。急速に成長するアグレッシブリンパ腫としては、DLBCLが挙げられる。
【0220】
MZLは、多くの場合、胃で発生する。粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫は、リンパ節の外側に発生する辺縁帯リンパ腫の最も一般的な形態である。他の型としては、リンパ節内に発生する結節性辺縁帯リンパ腫および脾臓内に発生する脾臓辺縁帯リンパ腫が挙げられる。
【0221】
FLは、濾胞中心B細胞(セントロサイトおよびセントロブラスト)のリンパ腫であり、少なくとも部分的に濾胞性パターンを有する。これは、14番染色体と18番染色体との間の転座により生じ、bcl-2遺伝子の過剰発現をもたらす。腫瘍は、セントロサイト(切断された濾胞中心細胞)およびセントロブラスト(切断されていない大きい濾胞中心細胞)の混合物を含む濾胞で構成される。これらの濾胞は、非悪性細胞、主にT細胞に取り囲まれている。濾胞では、セントロサイトが典型的には優勢であり、セントロブラストは、通常少ない。
【0222】
CLLは、白血病の最も多いタイプである。CLLは、B細胞リンパ球に影響を与える。B細胞リンパ球は、骨髄由来であり、リンパ節で発達し、抗体を産生することによって通常は感染症と闘う。CLLでは、B細胞は、制御されない様式で成長し、骨髄および血液中に蓄積し、そこで健康な血液細胞を押し出す。CLLは、主にリンパ節に現れるB細胞リンパ腫の一種である小細胞リンパ腫(SLL)の段階である。CLLおよびSLLは、異なる外観を有するのみで、同じ基礎疾患と考えられている。ほとんどの人は、高い白血球数を示すルーチンである血液検査の結果として症状なしに診断される。進行するとCLLは、リンパ節、脾臓、肝臓の腫脹、かつ最終的に貧血や感染症を引き起こす。
【0223】
CNSリンパ腫は、微小神経膠腫および原発性脳リンパ腫としても知られており、主に重度の免疫不全患者(典型的には、AIDS患者)に現われる原発性頭蓋内腫瘍である。CNSリンパ腫は、免疫不全患者(エイズ患者および免疫抑制患者など)では、エプスタインバーウイルス(EBV)感染との関連性が高い(90%超)。CNSリンパ腫は、DLBCLの一種である。
【0224】
精巣リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫の稀な節外症状である。精巣リンパ腫は、DLBCLの一種である。精巣リンパ腫は、バーキットNHLおよび非バーキット小細胞NHL、T-ALL、原発性精巣びまん性大細胞リンパ腫、HIV関連の侵襲性B細胞リンパ腫、およびHTLV-1関連リンパ腫と関連していることが多い。リンパ腫は、最も一般的な二次性精巣癌である。50歳以上の男性では、精巣リンパ腫が原発性精巣腫瘍よりも多い。
白血病
【0225】
IRAK-4阻害剤とBCL-2阻害剤の組み合わせは、これらに限定されないが、急性骨髄性白血病(AML)および骨髄異形成症候群(MDS)を含む白血病の治療または予防において有利であり得る。白血病は、通常は骨髄で始まり、異常な白血球を多く生じる癌の一種である。これらの白血球は完全には発達しておらず、芽球または白血病細胞と呼ばれる。白血病の正確な原因は不明である。
【0226】
急性リンパ芽球性白血病(ALL)およびAMLでは、未熟な血球数が急激に増加する。このような細胞が多く集まることで、骨髄が健康な血液細胞を生成できなくなる。急性白血病では早急な治療が必要とされ、なぜなら悪性細胞が急速に進行し蓄積し、これが血流にあふれ出、身体の他の臓器に広がるからである。慢性リンパ性白血病(CLL)および慢性骨髄性白血病(CML)では、比較的成熟しているがそれでも異常な白血球の過剰な蓄積が生じる。典型的には進行するのに数ヶ月~数年を要し、細胞が通常よりもはるかに速い速度で作られ、その結果、多くの異常白血球を生じる。急性白血病は直ちに治療されるが、慢性白血病は、治療の最大の有効性を確保するために、治療前にある程度の時間、観察されることがある。ALLおよびCLLでは、癌化が、感染症と闘う免疫系細胞であるリンパ球を通常は形成する、骨髄細胞の一種で生じる。ほとんどのリンパ球性白血病は、特定のサブタイプのリンパ球、B細胞を伴う。AMLおよびCMLでは、癌化は、赤血球、他のいくつかの型の白血球、血小板を通常は形成する、骨髄細胞の一種で生じる。
【0227】
骨髄異形成症候群は、骨髄内で未熟な血球が成熟しないため健康な血球にならない、癌の一群である。いくつかの型は、急性骨髄性白血病に発展し得る。世界保健機関(WHO)は、骨髄異形成症候群として、以下の分類を特定した:不応性貧血、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、移行期の芽球増加を伴う不応性貧血、慢性骨髄球性白血病。これらの症候群の1つを発症する危険因子としては、化学療法または放射線療法の既往、タバコの煙、殺虫剤、およびベンゼンなどの特定の化学物質への暴露、および水銀または鉛などの重金属への暴露が挙げられる。血球形成障害は、低赤血球、低血小板、低白血球のいくつかの組み合わせをもたらす。いくつかの種類は、骨髄または血液中に芽球と呼ばれる未熟な血球の増加を有する。MDSの種類は、血球および骨髄中の特異的な変化に基づく。診断後の典型的な生存率は2.5年である。
骨髄増殖性新生物
【0228】
骨髄増殖性新生物としては、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、真性多血症(PCV)、原発性骨髄線維症、本態性血小板血症、慢性好酸球性白血病、および肥満細胞症が挙げられる。CNLは、末梢血中の持続的な好中球増殖、骨髄中の骨髄性過形成、ならびに肝臓および脾臓の同時肥大を特徴とする稀な骨髄増殖性新生物である。CNLは、好中球が浸潤し得る血液、骨髄、脾臓、および肝臓、または他の組織に影響を与え得る。
【0229】
真性多血症(PCV)は、骨髄が非常に多くの赤血球を作り出す、一般的でない新生物である。それはまた、白血球および血小板の過剰産生をもたらし得る。真性一次性多血症である真性多血症は、新生物増殖および赤血球、巨核球、および顆粒球の成熟により引き起こされて、汎骨髄症と呼ばれるものを生じる。二次性多血症とは対照的に、PCVは、ホルモンであるエリスロポエチン(EPO)の血清レベルの低下と関連している。
【0230】
原発性骨髄線維症は、骨髄および他の部位での造血幹細胞の異常なクローンの増殖が線維化、または骨髄の瘢痕組織との置換をもたらす、比較的稀な骨髄癌である。骨髄線維症は、真性多血症または本態性血小板血症に次いで発症し得る。骨髄線維症は骨髄様化生の形態であり、それは骨髄の血液形成組織での細胞型の変化を指す。異常造血細胞クローン(特に巨核球)による線維芽細胞増殖因子などのサイトカインの産生は、コラーゲン線維化を介して結合組織による骨髄の造血組織の置換をもたらす。造血組織の減少は、患者の新しい血球を生成する能力を損ない、すべての血球の不足である進行性汎血球減少症をもたらす。骨髄の進行性瘢痕化(線維化)が起こり、造血細胞は他の領域、特に肝臓および脾臓への移動を強いられ、それは肥大化する。
【0231】
本態性血小板症は、骨髄中の巨核球による血小板の過剰産生を特徴とする稀な慢性血液状態である。それは、稀ではあるが、急性骨髄性白血病または骨髄線維症に発展し得る。巨核球は、成長因子に対してより感受性が高い。異常な巨核球に由来する血小板が活性化され、それは、血小板数の上昇とともに血栓症の可能性に寄与する。
【0232】
慢性好酸球性白血病は、骨髄、血液、および他の組織で見出される過剰の好酸球(白血球の一種)を特徴とする。慢性好酸球性白血病は、何年も同じ状態に留まる場合があり、または急性白血病へと急速に進行する場合がある。
【0233】
肥満細胞症は、肥満細胞(マストサイト)およびCD34+肥満細胞前駆体が非常に多く存在することによって引き起こされる、小児および成人の両方の稀な肥満細胞活性化障害である。肥満細胞は、皮膚および胃腸の内層、および他の部位を含む、結合組織に存在する。肥満細胞は、これらの組織を疾患から保護するのを助ける際に重要な役割を担っている。ヒスタミンなどの化学的な「アラーム」を放出することで、肥満細胞は、それらが必要とされる身体の領域に免疫防御系の他の重要なプレーヤーを引き寄せる。肥満細胞症に罹患した人は、肥満細胞からのヒスタミンの放出により、かゆみ、じんま疹、およびアナフィラキシーショックに敏感になる。最も一般的な皮膚肥満細胞症は、小児に多く見られる色素性じんま疹である。
固形悪性腫瘍
【0234】
肉腫、癌腫、黒色腫、および膠芽腫は、固形悪性腫瘍の主なタイプである。肉腫は、血管、骨、脂肪組織、間膜、リンパ管、筋肉または腱の腫瘍である。癌腫は、上皮細胞内に形成される腫瘍である。上皮細胞は、皮膚、腺、臓器の内層に見出される。黒色腫は、メラノサイトとして公知である色素を含む細胞に発生する腫瘍である。膠芽腫は、脳で発生する侵攻性癌である。それらは正常な脳細胞から始まる、または既存の低悪性度の星細胞腫から発症するかのいずれかであり得る。固形腫瘍は、血流外の解剖学的部位で成長し(例えば、白血病などの造血器由来の癌とは対照的である)、成長した腫瘍塊に栄養などを供給するために、小さい血管および毛細血管の形成を必要とする。
【0235】
固形悪性腫瘍の非限定例としては、胆道癌(例えば、胆管癌)、膀胱癌、乳癌(例えば、乳房の腺癌、乳房の乳頭癌、乳癌(mammary cancer)、乳房の髄様癌)、脳腫瘍(例えば、髄膜腫)、神経膠腫(例えば、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、膠芽腫、髄芽腫)、子宮頸癌(例えば、子宮頸部腺癌)、結腸直腸癌(例えば、大腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌)、胃癌(例えば、胃腺癌)、消化管間質腫瘍(GIST)、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、口腔癌(例えば、口腔扁平上皮癌(OSCC))、腎癌、腎芽腫(ウィルムス腫瘍としても公知である)、腎細胞癌)、肝癌(例えば、肝細胞癌(HCC)、悪性肝癌)、肺癌(例えば、気管支癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺腺癌)、神経芽細胞腫、神経線維腫(例えば、神経線維腫症(NF)1型または2型、神経鞘腫)、神経内分泌癌(例えば、胃腸膵神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍)、骨肉腫、卵巣癌(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎芽性癌、卵巣腺癌)、膵癌(例えば、膵腺癌、管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN))、前立腺癌(例えば、前立腺腺癌)、皮膚癌(例えば、扁平上皮癌(SCC)、角化棘細胞腫(A)、黒色腫、基底細胞癌(BCC))、軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、および骨肉腫)が挙げられる。
他の悪性腫瘍
【0236】
上述した癌の他に、開示される方法は、幅広い範囲の癌の治療において有用である。
【0237】
ある実施形態では、癌は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌、肛門癌、虫垂癌、異型奇形腫/ラブドイド腫瘍、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳腫瘍、星状細胞腫、脳脊髄腫瘍、脳幹神経膠腫、中枢神経系異型奇形腫/ラブドイド腫瘍、中枢神経系胚性腫瘍、乳癌、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、原発不明癌、中枢神経系癌、子宮頸癌、小児癌、脊索腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性疾患、大腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞性リンパ腫、非浸潤性乳管癌(DCIS)、胚性腫瘍、子宮内膜癌、上衣芽腫、上衣腫、食道癌、鼻腔神経芽細胞腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌、線維肉腫、骨の線維性組織球腫、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍、神経膠腫、有毛細胞白血病、頭頸部癌、心臓癌、肝細胞癌、組織球症、ランゲルハンス細胞癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎癌、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、白血病、口唇および口腔癌肝癌、非浸潤性小葉癌(LCIS)、肺癌、リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、マクログロブリン血症、男性乳癌、髄芽腫、髄上皮腫、黒色腫、メルケル細胞癌、悪性中皮腫、原発不明転移性扁平上皮性頸部癌、NUT遺伝子関与正中線癌、口腔癌、多発性内分泌腫瘍症多発性骨髄腫/プラズマ細胞腫瘍、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄腫、多発性骨髄腫、慢性骨髄増殖性疾患、鼻腔癌、副鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、口腔癌(Oral Cancer)、口腔癌(Oral Cavity Cancer)、唇癌、中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵癌、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔癌、鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、中間型松果体実質腫瘍、松果体腫、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍、胸膜肺芽腫、乳癌、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、明細胞腎細胞癌、腎盂癌、尿管癌、移行上皮癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部肉腫、扁平上皮癌、原発不明扁平上皮性頸部癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、胃癌、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣腫瘍、咽喉癌、胸腺腫、胸腺癌、甲状腺癌、腎盂および尿管の移行上皮癌、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、妊娠性絨毛性腫瘍、原発不明、珍しい小児癌、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、マクログロブリン血症、またはウィルムス腫瘍である。
【0238】
本発明のさらなる実施形態では、癌は、膀胱癌、乳癌、食道癌、胃癌、頭頸部癌、カポジ肉腫、肺癌(非小細胞肺癌、小細胞肺癌を含む)、黒色腫、卵巣癌、膵癌、陰茎ガン、前立腺癌、精巣生殖細胞癌、胸腺腫、胸腺癌から選択される。
【0239】
本明細書で開示されるのは、開示の化合物をBCL-2阻害剤と共に投与することを含む、他のB細胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)サブタイプ(これらに限定されないが、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、濾胞性リンパ腫(FL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、CNSリンパ腫および精巣リンパ腫を含む)を治療または予防するための方法である。
【0240】
本明細書で開示されるのは、BCL-2阻害剤と共に開示された化合物を投与することを含む、これらに限定されないが、急性骨髄性白血病(AML)などの白血病および骨髄異形成症候群(MDS)を治療または予防するための方法である。また、本明細書に開示されるのは、これらに限定されないが、膵癌および乳癌など、骨髄増殖性新生物および固形腫瘍癌を治療または予防するための方法である。
【0241】
いくつかの実施形態では、BCL-2阻害剤を共同投与することは、式(I)の化合物、式(II)の化合物、または式(III)の化合物およびBCL-2阻害剤を別々に投与する場合と比較して、改善された有効性をもたらす。ある実施形態では、BCL-2阻害剤を共同投与することは、相乗効果をもたらす。
【0242】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、式(II)の化合物、または式(III)の化合物、およびBCL-2阻害剤が、同時に投与される。他の実施形態では、BCL-2阻害剤は、式(I)の化合物、式(II)の化合物、または式(III)の化合物の投与の前または後の約5分~約168時間以内に投与される。
【0243】
ある実施形態では、本発明は、本明細書で論じるとおり、BCL-2阻害剤と共同してDLBCLまたはWMの治療または予防に使用するための、本明細書に開示の化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。ある実施形態では、本発明は、本明細書で論じるとおり、BCL-2阻害剤と共同してDLBCLまたはWMを治療または予防するための医薬品を調製するための本明細書に開示の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用に関する。
【0244】
本明細書に開示の組成物および方法に好適である化合物、特にIRAK-4阻害剤として開示される化合物は、国際公開第2015/104662号、国際公開第2015/104688号、および国際公開第2015/193846号に開示されており、これらの各々はその全体が参照により組み込まれている。
【化21】
ABC-DLBCL腫瘍モデルにおけるin vivo腫瘍成長抑制
【0245】
実施例1
雌SCID Beigeマウスに、TLR(MYD88-L265P)およびBCR(CD79A ITAM)経路活性化突然変異を保有するABC-DLBCL細胞株OCI-Ly10を移植した。マウスを化合物A(50mg/kg、qd、po、0.5%Tween 20および0.25%ヒドロキシエチルセルロース中の懸濁液)、ベネトクラクス(75mg/kg、qd、po、60%phosal 50PG、30%PEG 400および10%エタノール中の溶液)、またはその組み合わせにより21日間連続して治療した。化合物Aおよびベネトクラクスの単剤治療は、それぞれ63%および71%の中等度の腫瘍増殖抑制(TGI)を呈し、併用は、腫瘍の退縮(REG)を示した。
図1は、これらの腫瘍成長への影響を例解する。この組み合わせは、
図2に示すとおり、投与前の体重に対する体重減少を伴うことなく、治療の終了時に忍容性を示した。
【0246】
21日間の薬物治療期間後に、マウスに19日間の休薬期間を与えた。休薬期間5日以内に、急速な腫瘍の成長が以前に単剤治療を受けたマウスで生じ、この急速な成長は、
図3に示すように、休薬期間の残りの期間も継続した。対照的に、併用薬物で治療したマウスからの腫瘍は、休薬期間の10日目まで検出可能な再成長が始まらず、その後の9日間緩徐な成長速度で進行した。19日間の休薬後に、各コホートにそれぞれの薬物治療剤の投与を再開した。7日間の再投与後に、各コホートの腫瘍は、
図3に示すように、化合物Aおよびベネトクラクスの組み合わせによるそれぞれの薬物治療に対して抗腫瘍応答を呈し、再び腫瘍を退縮させた。
実施例2
ABC-DLBCL腫瘍モデルにおけるin vivo腫瘍成長抑制
雌SCID Beigeマウスに、MYD88-S222R経路活性化突然変異を有するSU-DHL-2細胞を移植した。マウスを化合物A(100mg/kg、qd、po、0.5%Tween 20および0.25%ヒドロキシエチルセルロース中の懸濁液)、ベネトクラクス(75mg/kg、qd、po、60%phosal 50PG、30%PEG 400および10%エタノール中の溶液)またはその組み合わせで27日間連続して治療した。
【0247】
体重、腫瘍の長さ、腫瘍径、腫瘍の潰瘍形成、臨床徴候、および動物の死亡率を含む、全生涯データの収集を、研究責任者において収集した。腫瘍の潰瘍化を、6段階で評価し、4以上の重症度が注意を必要とする。試験終了時(最後の投与から24時間後)に、生存しているすべての動物を、考えられる臨床的異常または有害な臨床徴候に関して外部から検査し、体重を測定し、腫瘍の測定を最後に行った。
【0248】
化合物Aによる単剤治療は、28日目に66%の中等度の腫瘍増殖抑制(TGI)を呈した。ベネトクラクスによる単剤治療では、腫瘍増殖に対する有意な効果は観察されなかった。化合物Aとベネトクラクスとの組み合わせによる治療は、28日目に24%のTGIを呈した(
図4)。
【表4】
【0249】
この組み合わせは、投与前体重に対する体重減少を伴うことなく、治療終了時に許容された(
図5)。
参照による組み込み
【0250】
本明細書に記載のすべての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許が参照により組み込まれることが具体的にまたは個々に示されているかのように、その全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合には、本出願(本明細書のあらゆる定義を含む)を優先する。
均等物
【0251】
本発明の特定の実施形態が論じられているが、上記の明細書は例示的なものであり、限定的なものではない。本発明の多くの変形例は、本明細書および以下の特許請求の範囲を検討するときに、当業者に明らかになるであろう。本発明の完全な範囲は、均等物の全範囲と共に特許請求の範囲、およびこうした変形例と共に本明細書を参照して決定されるべきである。
【0252】
いくつかの実施形態を以下に示す。
項1
B細胞リンパ腫2(BCL-2)阻害剤と共同して式(I)の化合物
【化22】
またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、対象において癌を治療するまたは予防する方法であって、
式中、
Z
1は、任意により置換されるヘテロアリールであり、
Z
2は、任意により置換されるヘテロシクロアルキル、任意により置換されるヘテロアリールであるかまたは直接結合であり、
R
1は、アルキル、シアノ、-NR
aR
bまたはシクロアルキル、アリールもしくはヘテロシクリルから選択される任意により置換される基であり、置換基は、各出現で、独立してアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、ニトロ、シアノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、-OCO-CH
2-O-アルキル、-OP(O)(O-アルキル)
2または-CH
2-OP(O)(O-アルキル)
2であり、
R
2は、各出現で、独立してアルキルまたはシクロアルキルから選択される任意により置換される基であり、前記置換基は、各出現で、独立してハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキルまたはハロアルコキシであり、
R
3は、各出現で、独立して水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、-NR
aR
b、ヒドロキシルまたはヒドロキシアルキルであり、
R
aは、水素またはアルキルであり、
R
bは、水素、アルキル、アシル、ヒドロキシアルキル、-SO
2-アルキルまたは任意により置換されるシクロアルキルであり、かつ
「m」および「n」は、独立して1または2である、
方法。
項2
Z
1は、5員または6員のヘテロアリールである、項1に記載の方法。
項3
Z
1は、任意により置換されるヘテロアリールであり、前記任意の置換基は、アルキルである、項1または2に記載の方法。
項4
Z
1は、テトラゾリル、チエニル、トリアゾリル、ピロリル、ピリジル、ピラニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、フラニルおよびピラゾリルである、項1~3のいずれか一項に記載の方法。
項5
Z
1は、ピリジルおよびオキサゾリルから選択される、項1~4のいずれか一項に記載の方法。
項6
前記化合物は、式(IA)、
【化23】
またはその薬学的に許容される塩によって表され、
式中、Z
2、R
1、R
2、R
3、「m」および「n」は、項1に定義されるものと同じである、項1に記載の方法。
項7
前記化合物は、式(IB)、
【化24】
またはその薬学的に許容される塩によって表され、
式中、Z
2、R
1、R
2、R
3、「m」および「n」は、項1に定義されるものと同じである、項1に記載の方法。
項8
前記化合物は、式(IC)、
【化25】
またはその薬学的に許容される塩によって表され、
式中、Z
2、R
1、R
2、R
3、「m」および「n」は、項1に定義されるものと同じである、項1に記載の方法。
項9
Z
2は、5員または6員のヘテロシクロアルキルまたは5員または6員のヘテロアリールである、項1~8のいずれか一項に記載の方法。
項10
Z
2は、ヘテロシクロアルキルまたは直接結合である、項1~8のいずれか一項に記載の方法。
項11
Z
2は、アゼチジニル、オキセタニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,4-ジオキサニル、テトラゾリル、チエニル、トリアゾリル、ピロリル、ピリジル、ピラニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジル、ピペラジニル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、フラニルおよびピラゾリルである、項1~9のいずれか一項に記載の方法。
項12
Z
2は、ピリジル、ピラゾリル、ピロリジニル、または直接結合である、項1~8のいずれか一項に記載の方法。
項13
Z
2は、直接結合である、項1~8のいずれか一項に記載の方法。
項14
mは、1でありかつnは、1または2である、項1~13のいずれか一項に記載の方法。
項15
mおよびnは、それぞれ1である、項1~14のいずれか一項に記載の方法。
項16
R
1は、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、-NR
aR
b、アリール、およびヘテロシクリルから選択される、項1~15のいずれか一項に記載の方法。
項17
R
1は、シアノ、シクロアルキル、アリール、およびヘテロシクリルから選択される、項1~16のいずれか一項に記載の方法。
項18
R
1は、シクロプロピル、シクロヘキシル、ピペリジニル、およびモルホリニルから選択される、項1~17のいずれか一項に記載の方法。
項19
R
1は、任意により置換されるヘテロシクリルであり、前記置換基は、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキルまたはアミノである、項1~17のいずれか一項に記載の方法。
項20
R
1は、任意により置換されるアゼチジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニルまたはアゼパニルである、項1~17のいずれか一項に記載の方法。
項21
R
1は、任意により置換されるピペリジニルまたはモルホリニルである、項1~20のいずれか一項に記載の方法。
項22
R
1は、任意により置換されるフェニルであり、前記置換基は、ハロゲンである、項1~17のいずれか一項に記載の方法。
項23
R
1は、シアノまたはシクロアルキルである、項1~17のいずれか一項に記載の方法。
項24
R
1は、シクロプロピルまたはシクロヘキシルである、項1~18のいずれか一項に記載の方法。
項25
R
1は、-NR
aR
bであり、R
aは、水素であり、R
bは、任意により置換されるシクロアルキルであり、前記置換基は、ヒドロキシルである、項1~16のいずれか一項に記載の方法。
項26
R
2は、任意により置換されるアルキルでありかつ前記置換基は、アルコキシである、項1~25のいずれか一項に記載の方法。
項27
R
2は、シクロプロピルまたはシクロペンチルである、項1~25のいずれか一項に記載の方法。
項28
R
3は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、-NR
aR
b、ヒドロキシルまたはヒドロキシアルキルであり、かつR
aおよびR
bは、項1に定義されるものである、項1~27のいずれか一項に記載の方法。
項29
R
3は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、およびヒドロキシルから選択される、項1~28のいずれか一項に記載の方法。
項30
R
3は、水素、アルキルおよび-NR
aR
bから選択される、項1~29のいずれか一項に記載の方法。
項31
R
3は、Hである、項1~30のいずれか一項に記載の方法。
項32
前記式(I)の化合物は、
【表5】
またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性から選択される、項1に記載の方法。 項33
前記化合物は、
N-(2-シクロペンチル-6-モルホリノ-2H-インダゾール-5-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)オキサゾール-4-カルボキシアミド;
(R)-6-(1-(2-ヒドロキシプロピル)-1H-ピラゾール-4-イル)-N-(2-メチル-6-(ピペリジン-1-イル)-2H-インダゾール-5-イル)ピコリンアミド;
N-(6-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-2,3-ジメチル-2H-インダゾール-5-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)オキサゾール-4-カルボキシアミド;および
N-(2-シクロペンチル-6-シクロプロピル-2H-インダゾール-5-イル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピコリンアミド
から選択される、項1に記載の方法。
項34
前記化合物は、
N-(6-(3-フルオロピペリジン-1-イル)-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)オキサゾール-4-カルボキシアミド;
2-(2-アミノピリジン-4-イル)-N-(6-(4-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-1-イル)-1,3-ジメチル-1H-インダゾール-5-イル)オキサゾール-4-カルボキシアミド;
N-(6-(4-(アミノメチル)ピペリジン-1-イル)-1-(2-メトキシエチル)-1H-インダゾール-5-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)オキサゾール-4-カルボキシアミド;および
(S)-N-(6-シクロプロピル-1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)-6-(3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)ピコリンアミド
から選択される、項1に記載の方法。
項35
B細胞リンパ腫2(BCL-2)阻害剤と共同して式(II)の化合物
【化26】
またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、対象の癌を治療または予防する方法であって、
式中、
X
1およびX
3は独立して、CHまたはNであり、X
2は、CR
2またはNであり、ただしX
1、X
2、またはX
3の1つまたは多くて1つはNであり、
Aは、OまたはSであり、
Yは、-CH
2-またはOであり、
Zは、アリールまたはヘテロシクリルであり、
R
1は、各出現で、独立してハロまたは任意により置換されるヘテロシクリルであり、前記置換基は、アルキル、アルコキシ、アミノアルキル、ハロ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキルまたは-NR
aR
bであり、
R
2は、水素、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリルまたは-NR
aR
bであり、前記置換基は、アルキル、アミノ、ハロまたはヒドロキシルであり、
R
3は、各出現で、アルキルまたはヒドロキシルであり、
R
aおよびR
bは、独立して水素、アルキル、アシルまたはヘテロシクリルであり、
「m」および「n」は、独立して0、1または2であり、
「p」は、0または1である、
方法。
項36
Aは、OまたはSであり、
Yは、-CH
2-またはOであり、
Zは、アリールまたはヘテロシクリルであり、
R
1は、各出現で、独立してハロ、または任意により置換されるヘテロシクリルであり、前記置換基は、アルキル、アミノアルキル、ハロ、または-NR
aR
bであり、R
aおよびR
bは、独立して水素、アルキル、またはヘテロシクリルであり、
R
2は、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたは-NR
aR
bであり、
「m」は、0であり、
「n」は、1である、
項35に記載の方法。
項37
Aは、OまたはSであり、
Yは、-CH
2-またはOであり、
Zは、アリールまたはヘテロシクリルであり、
R
1は、各出現で、独立してハロまたは任意により置換されるヘテロシクリルであり、前記置換基は、アルキル、アルコキシ、アミノアルキル、ハロ、ヒドロキシルまたは-NR
aR
bであり、R
aおよびR
bは、独立して水素、アルキルまたはヘテロシクリルであり、
R
2は、水素、シクロアルキル、任意により置換されるヘテロシクリルまたは-NR
aR
bであり、前記置換基は、アミノ、ハロまたはヒドロキシルから選択され、
「m」および「n」は、独立して0、1または2であり、
「p」は、0または1である、
項35に記載の方法。
項38
前記基
【化27】
であり、
式中、R
2は、項35に記載されたものである、項35に記載の方法、またはその薬学的に許容される塩。
項39
Zは、アリールまたは5または6員のヘテロシクリルである、項35~38のいずれか一項に記載の方法。
項40
Zは、フェニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1H-テトラゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、アゼチジニル、オキセタニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,4-ジオキサニル、ジオキシドチオモルホリニル、オキサピペラジニル、オキサピペリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロピラニルおよびアザビシクロ[3.2.1]オクタニルから選択される任意により置換されるヘテロシクリルであり、その各々は、アルキル、アルコキシ、ハロ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキルまたは-NR
aR
bで任意により置換され、かつR
aおよびR
bは、独立して水素、アルキルまたはアシルである、項35~38のいずれか一項に記載の方法。
項41
式(IIA):
【化28】
またはその薬学的に許容される塩によって表され、
式中、A、Y、R
1、R
2、R
3、「m」、「p」および「n」は、項35に記載されたものと同じである、項35に記載の方法。
項42
Aは、OまたはSであり、
Yは、-CH
2-またはOであり、
R
1は、各出現で、独立してハロ、または任意により置換されるヘテロシクリルであり、前記置換基は、アルキル、アミノアルキル、ハロ、または-NR
aR
bであり、R
aおよびR
bは、独立して水素、アルキル、またはヘテロシクリルであり、
R
2は、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたは-NR
aR
bであり、
「m」は、0であり、かつ
「n」は、1である、
項41に記載の方法。
項43
Aは、OまたはSであり、
Yは、-CH
2-またはOであり、
R
1は、各出現で、独立してハロまたは任意により置換されるヘテロシクリルであり、前記置換基は、アルキル、アルコキシ、アミノアルキル、ハロ、ヒドロキシルまたは-NR
aR
bであり、R
aおよびR
bは、独立して水素、アルキルまたはヘテロシクリルであり、
R
2は、水素、シクロアルキル、任意により置換されるヘテロシクリルまたは-NR
aR
bであり、前記置換基は、アミノ、ハロまたはヒドロキシルから選択され、かつ
「m」および「n」は、独立して0、1または2である、
項41に記載の方法。
項44
式(IIB):
【化29】
またはその薬学的に許容される塩によって表され、
式中、A、Y、R
1、R
2および「n」は、項35に定義されたものと同じである、項35に記載の方法。
項45
Aは、OまたはSであり、
Yは、-CH
2-またはOであり、
R
1は、各出現で、独立してハロ、または任意により置換されるヘテロシクリルであり、前記置換基は、アルキル、アミノアルキル、ハロ、または-NR
aR
bであり、R
aおよびR
bは、独立して水素、アルキル、またはヘテロシクリルであり、
R
2は、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたは-NR
aR
bであり、かつ
「n」は、1である、
項44に記載の方法。
項46
Aは、OまたはSであり、
Yは、-CH
2-またはOであり、
R
1は、各出現で、独立してハロまたは任意により置換されるヘテロシクリルであり、前記置換基は、アルキル、アルコキシ、アミノアルキル、ハロ、ヒドロキシルまたは-NR
aR
bであり、R
aおよびR
bは、独立して水素、アルキルまたはヘテロシクリルであり、
R
2は、水素、シクロアルキル、任意により置換されるヘテロシクリルまたは-NR
aR
bであり、前記置換基は、アミノ、ハロまたはヒドロキシルから選択され、かつ
「m」および「n」は、独立して0、1または2である、
項44に記載の方法。
項47
式(IIC)の化合物
【化30】
またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、A、Y、R
1、R
2および「n」は、項35に定義されたものと同じである、項35に記載の式(I)の方法。
項48
R
1は、任意より置換されるヘテロシクリルであり、前記置換基は、アルキル、アルコキシ、アミノアルキル、ハロ、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキルまたは-NR
aR
bであり、R
aおよびR
bは、独立して水素またはアシルである、項35~47のいずれか一項に記載の方法。
項49
R
1は、任意より置換されるヘテロシクリルであり、前記置換基は、アルキル、アミノアルキル、ハロ、または-NR
aR
bであり、R
aおよびR
bは、独立して水素またはアシルである、項36~47のいずれか一項に記載の方法。
項50
R
1は、任意より置換されるヘテロシクリルであり、前記置換基は、アルキル、アミノアルキル、ハロ、または-NR
aR
bであり、R
aおよびR
bは、独立して水素、アルキルまたはヘテロシクリルである、項35~47のいずれか一項に記載の方法。
項51
R
1は、任意より置換されるヘテロシクリルであり、前記置換基は、アルキル、アルコキシ、アミノアルキル、ハロ、ヒドロキシまたは-NR
aR
bであり、R
aおよびR
bは、独立して水素、アルキル、またはヘテロシクリルである、項35~47のいずれか一項に記載の方法。
項52
R
1は、ピリジル、ピラゾリル、ピロリジニルまたはピペリジニルである、項48~51のいずれか一項に記載の方法。
項53
R
1は、任意により置換されるピラゾリルであり、前記置換基は、アルキル、ヒドロキシルまたは-NR
aR
bである、項50に記載の方法。
項54
R
1は、ハロである、項35~47のいずれか一項に記載の方法。
項55
R
2は、水素、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたは-NR
aR
bである、項35~54のいずれか一項に記載の方法。
項56
R
2は、水素、シクロアルキル、任意により置換されるヘテロシクリルまたは-NR
aR
bであり、前記置換基は、アミノ、ハロまたはヒドロキシルから選択される、項35~54のいずれか一項に記載の方法。
項57
R
2は、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、アゼチジニル、ピラゾリル、フラニル、アザビシクロ[3.2.1]オクタニルから選択される任意により置換されるヘテロシクリルであり、前記置換基は、ヒドロキシル、ハロ、アルキルまたはアミノである、項35~54のいずれか一項に記載の方法。
項58
R
2は、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、またはピペラジニルである、項35~54のいずれか一項に記載の方法。
項59
R
2は、水素である、項35~54のいずれか一項に記載の方法。
項60
R
2は、シクロアルキルである、項35~54のいずれか一項に記載の方法。
項61
R
2は、シクロプロピルである、項60に記載の方法。
項62
R
3は、アルキルである、項35~61のいずれか一項に記載の方法。
項63
mは、0でありかつpは、1である、項35~62のいずれか一項に記載の方法。
項64
mは、0または2であり、かつpは、0または1である、項35~62のいずれか一項に記載の方法。
項65
前記式(II)の化合物は、
【表6】
またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性から選択される、項35に記載の方法。
項66
前記式(II)の化合物は、
6’-アミノ-N-(2-モルホリノオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-5-イル)-[2,3’-ビピリジン]-6-カルボキシアミド;
N-(5-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-2-モルホリノオキサゾロ[4,5-b]ピリジン-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキシアミド;
N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)オキサゾロ[4,5-b]ピリジン-6-イル)-6-(1H-ピラゾール-4-イル)ピコリンアミド塩酸塩;および
(R)-N-(5-(3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)-2-モルホリノオキサゾロ[4,5-b]ピリジン-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)オキサゾール-4-カルボキシアミド
から選択される、項35に記載の方法。
項67
前記式(II)の化合物は、
N-(5-(3-フルオロピペリジン-1-イル)-2-モルホリノチアゾロ[4,5-b]ピリジン-6-イル)-5-(2-メチルピリジン-4-イル)フラン-2-カルボキシアミド;
N-(5-(アゼパン-1-イル)-2-モルホリノチアゾロ[4,5-b]ピリジン-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)オキサゾール-4-カルボキシアミド;
(R)-N-(5-(3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)-2-モルホリノオキサゾロ[4,5-b]ピリジン-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)オキサゾール-4-カルボキシアミド;および
N-(2,5-ジ(ピペリジン-1-イル)チアゾロ[4,5-b]ピリジン-6-イル)-6-(1H-ピラゾール-4-イル)ピコリンアミド
から選択される、項35に記載の方法。
項68
B細胞リンパ腫2(BCL-2)阻害剤と共同して式(III)の化合物
【化31】
またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、対象において癌を治療するまたは予防する方法であって、
式中、
Z
1は、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリルであるかまたは存在せず、
Z
2は、任意により置換されるシクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり、R
1は、水素、任意により置換されるアルキル、アミノ、ハロゲン、シアノ、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリル、任意により置換されるアリールアルキルまたは任意により置換されるヘテロシクリルアルキルであり、
R
2は各出現で、水素、ハロゲン、アミノ、任意により置換されるアルキル、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリル、任意により置換されるアリールアルキルまたは任意により置換されるヘテロシクリルアルキルであり、
R
3は各発現で、ヒドロキシ、ハロゲン、任意により置換されるアルキル、任意により置換されるアルコキシ、任意により置換されるシクロアルキルまたは-NR
aR
bであり、R
aおよびR
bは独立して各出現で、水素、任意により置換されるアルキル、任意により置換されるアシル、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリル、任意により置換されるアリールアルキルまたは任意により置換されるヘテロシクリルアルキルであり、
mは、各出現で、0、1または2であり、かつ
nは、各出現で、0、1または2である、
方法。
項69
Z
1は、任意により置換されるヘテロシクリルである、項68に記載の方法。
項70
Z
1は、テトラゾリル、チエニル、トリアゾリル、ピロリル、ピリジル、ピラニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、フラニル、ピラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアジニル、フタルアジニル、チアントレン、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、プリニル、プテリジニル、9H-カルバゾリル、α-カルボリン、インドリジニル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピロロロピリジル、フロピリジニル、プリニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾトリアジアゾリル、カルバゾリル、ジベンゾチエニル、アクリジニルおよびピラゾロピリミジルから選択されるヘテロシクリルである、項68または70に記載の方法。
項71
式(IIIA)
【化32】
またはその薬学的に許容される塩で表され、
式中、Z
2、R
1、R
2、R
3、mおよびnは、項68に記載されたものである、項68~70のいずれか一項に記載の方法。
項72
式(IIIB)
【化33】
またはその薬学的に許容される塩で表され、
式中、Z
2、R
1、R
2、R
3、mおよびnは、項68に記載されたものである、項68~70のいずれか一項に記載の方法。
項73
Z
2は、ヘテロシクリルである、項68~72のいずれか一項に記載の方法。
項74
Z
2は、アゼチジニル、オキセタニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,4-ジオキサニル、テトラゾリル、チエニル、トリアゾリル、ピロリル、ピリジニル、テトラヒドロピリジジニル、ピラニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジル、ピペラジニル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、フラニル、ピラゾリル、インドリニル、インドリニルメチル、2-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクタニル、クロマニル、キサンテニルまたはピロロロピリジルから選択されるヘテロシクリルである、項68~73のいずれか一項に記載の方法。
項75
Z
2は、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリジニル、ピリミジル、テトラヒドロピリジニルまたはピロロロピリジルである、項68~74のいずれか一項に記載の方法。
項76
Z
2は、ピロリジニルまたはピリジニルである、項68~75のいずれか一項に記載の方法。
項77
R
1は、任意により置換されるヘテロシクリルである、項68~76のいずれか一項に記載の方法。
項78
R
1は、ハロゲン、ヒドロキシルまたはヒドロキシアルキルで任意により置換される、項68~77のいずれか一項に記載の方法。
項79
R
1は、任意により置換されるアゼチジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニルまたはアザビシクロオクタニルである、項68~78のいずれか一項に記載の方法。 項80
R
1は、ピペリジニルである、項68~79のいずれか一項に記載の方法。
項81
R
2は、任意により置換されるアルキルである、項68~80のいずれか一項に記載の方法。
項82
R
2は、アルキルであり、ヘテロシクリルで任意により置換される、項68~81のいずれか一項に記載の方法。
項83
R
2は、水素である、項68~80のいずれか一項に記載の方法。
項84
R
2は、シクロプロピルである、項68~80のいずれか一項に記載の方法。
項85
R
3は、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、-NR
aR
b、シクロアルキル、ヒドロキシルまたはヒドロキシアルキルであり、かつR
aおよびR
bは、項113に定義されるものである、項68~84のいずれか一項に記載の方法。
項86
R
3は、メチル、ヒドロキシルまたはアミノである、項68~85のいずれか一項に記載の方法。
項87
R
3は、ヒドロキシルまたはアミノである、項68~86のいずれか一項に記載の方法。
項88
Z
1は、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、または任意により置換されるヘテロシクリルであり、
Z
2は、任意により置換されるシクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり、R
1は、水素、アルキル、アミノ、ハロゲン、シアノ、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリル、アリールアルキルまたはヘテロシクリルアルキルであり、
R
2は、アミノ、アルキル、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリル、アリールアルキル、またはヘテロシクリルアルキルであり、
R
3は、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、または-NR
aR
bであり、
R
aおよびR
bは独立して各出現で、水素、アルキル、任意により置換されるシクロアルキル、任意により置換されるアリール、任意により置換されるヘテロシクリル、アリールアルキルまたはヘテロシクリルアルキルであり、
mは、1であり、かつ
nは、1である、
項68に記載の方法。
項89
Z
1は、ヘテロシクリルであり、
Z
2は、ヘテロシクリルであり、
R
1は、任意により置換されるヘテロシクリルであり、
R
2は、アルキルであり、
R
3は、ヒドロキシ、アルキル、またはアミノであり、
mは、1であり、かつ
nは、1である、
項68に記載の方法。
項90
前記式(III)の化合物は、
【表7】
またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性から選択される、項68に記載の方法。
項91
前記式(III)の化合物は、
(S)-2-(3-アミノピロリジン-1-イル)-N-(2-メチル-5-(ピペリジン-1-イル)-2H-インダゾール-6-イル)オキサゾール-4-カルボキシアミド;
6-((S)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)-N-(5-((S)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)-1-メチル-1H-インダゾール-6-イル)ピコリンアミド;
(S)-N-(1-エチル-5-(3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)オキサゾール-4-カルボキシアミド塩酸塩;および
(S)-N-(5-(3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)-1-メチル-1H-インダゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリミジン-4-イル)オキサゾール-4-カルボキシアミド塩酸塩
から選択される、項68に記載の方法。
項92
前記式(III)の化合物は、
(S)-2-(2-シクロプロピルピリジン-4-イル)-N-(5-(3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)-1-メチル-1H-インダゾール-6-イル)オキサゾール-4-カルボキシアミド塩酸塩;
(S)-N-(1-シクロプロピル-5-(3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)オキサゾール-4-カルボキシアミド塩酸塩;
N-(2-メチル-5-(ピペリジン-1-イル)-2H-インダゾール-6-イル)-2-(2-メチルピリジン-4-イル)オキサゾール-4-カルボキシアミド塩酸塩;および
(S)-6-(3-アミノピロリジン-1-イル)-N-(1-メチル-5-(ピペリジン-1-イル)-1H-インダゾール-6-イル)ピコリンアミド
から選択される、項68に記載の方法。
項93
前記癌は、びまん性大細胞B細胞リンパ腫(DLBCL)または原発性マクログロブリン血症(WM)である、項1~92のいずれか一項に記載の方法。
項94
前記DLBCLまたはWMは、MYD88でのL265P突然変異により特徴づけられる、項93に記載の方法。
項95
DLBCLを治療するまたは予防するためである、項93に記載の方法。
項96
前記DLBCLは、活性化B細胞サブタイプDLBCLである、項95に記載の方法。 項97
WMを治療するまたは予防するためである、項94に記載の方法。
項98
前記癌は、非ホジキンリンパ腫である、項1~92のいずれか一項に記載の方法。
項99
前記非ホジキンリンパ腫は、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、濾胞性リンパ腫(FL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、CNSリンパ腫、および精巣リンパ腫から選択される、項98に記載の方法。
項100
前記癌は、白血病である、項1~92のいずれか一項に記載の方法。
項101
前記白血病は、急性骨髄性白血病(AML)である、項100に記載の方法。
項102
前記白血病は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)である、項100に記載の方法。
項103
前記白血病は、慢性リンパ性白血病(CLL)である、項100に記載の方法。
項104
前記白血病は、慢性骨髄性白血病(CML)である、項100に記載の方法。
項105
前記癌は、骨髄異形成症候群である、項100に記載の方法。
項106
前記骨髄異形成症候群は、不応性貧血、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、移行期の過剰な芽球を伴う不応性貧血、慢性骨髄球性白血病から選択される、項105に記載の方法。
項107
前記癌は、骨髄増殖性新生物である、項1~92のいずれか一項に記載の方法。
項108
前記骨髄増殖性新生物は、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、真性多血症(PCV)、原発性骨髄線維症、本態性血小板血症、慢性好酸球性白血病、および肥満細胞症から選択される、項107に記載の方法。
項109
前記癌は、固形悪性腫瘍である、項1~92のいずれか一項に記載の方法。
項110
前記固形悪性腫瘍は、胆道癌、胆管癌、膀胱癌、乳癌、乳房の腺癌、乳房の乳頭癌、乳癌(mammary cancer)、乳房の髄様癌、脳腫瘍、髄膜腫、神経膠腫、星状細胞腫、乏突起神経膠腫、膠芽腫、髄芽腫、子宮頸癌、子宮頸部腺癌、結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌、胃癌、胃腺癌、消化管間質腫瘍(GIST)、頭頸部癌、頭頸部扁平上皮癌、口腔癌、口腔扁平上皮癌(OSCC)、腎癌、腎芽腫、ウィルムス腫瘍、腎細胞癌、肝癌、肝細胞癌(HCC)、悪性肝癌、肺癌、気管支癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺腺癌、神経芽細胞腫、神経線維腫、神経線維腫症(NF)1型または2型、神経鞘腫、神経内分泌癌、胃腸膵神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍、骨肉腫、卵巣癌、嚢胞腺癌、卵巣胎芽性癌、卵巣腺癌、膵癌、膵腺癌、管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、前立腺癌、前立腺腺癌、皮膚癌、扁平上皮癌(SCC)、角化棘細胞腫(A)、黒色腫、基底細胞癌(BCC)、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、および骨肉腫から選択される、項109に記載の方法。
項111
前記固形悪性腫瘍は、乳癌または膵癌である、項109に記載の方法。
項112
前記BCL-2阻害剤は、ベネトクラクスである、項1~111のいずれか一項に記載の方法。
項113
前記BCL-2阻害剤を共同投与することは、前記式(I)の化合物、前記式(II)の化合物、または前記式(III)の化合物、および前記BCL-2阻害剤を別々に投与することと比較して改善された有効性をもたらす、項1~112のいずれか一項に記載の方法。
項114
前記BCL-2阻害剤を共同投与することは、相乗効果をもたらす、項1~113のいずれか一項に記載の方法。
項115
前記式(I)の化合物、前記式(II)の化合物、または前記式(III)の化合物、および前記BCL-2阻害剤は、同時に投与される、項1~114のいずれか一項に記載の方法。
項116
前記BCL-2阻害剤は、前記式(I)の化合物、前記式(II)の化合物、または前記式(III)の化合物の投与の前または後の約5分以内~約168時間以内に投与される、項1~114のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。