(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096930
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】アンテナ素子モジュール
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/40 20060101AFI20240709BHJP
H01Q 23/00 20060101ALI20240709BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20240709BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20240709BHJP
H01P 11/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H01Q1/40
H01Q23/00
H01Q21/06
H01Q13/08
H01P11/00 100
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066617
(22)【出願日】2024-04-17
(62)【分割の表示】P 2021504812の分割
【原出願日】2019-07-31
(31)【優先権主張番号】62/713,871
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513180451
【氏名又は名称】ヴィアサット,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViaSat,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マシューズ、ダグラス、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィットワー、デヴィッド、シー.
(72)【発明者】
【氏名】ランダース、ジェームズ、エフ.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高い利得を達成し、特定の方向からの干渉を相殺し、無線方向探知のために異なる方向を指すように無線ビームを電子的に誘導するアンテナ素子モジュール及びその形成方法を提供する。
【解決手段】アンテナ素子モジュール8は、給電部20及び放射素子26と、上面16及び下面14を有する誘電体基板12と、を含み、誘電体基板は、誘電体基板内にアンテナ素子の給電部2を備える。アンテナ素子モジュールはまた、誘電体基板の下面に接着され、アンテナ素子の給電部に結合された集積回路(IC)チップ18を含み、ICチップは、給電部と通信する信号を調整する回路を有する。アンテナ素子モジュールはさらに、誘電体基板の上面に接着されたプラスチックアンテナ支持体24を含み、プラスチックアンテナ支持体は、アンテナ素子の放射素子のための空洞を含む本体部分を有し、放射素子は、プラスチックアンテナ支持体の本体部分の空洞内に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電部及び放射素子を含むアンテナ素子と、
第1の表面及び第2の表面を有する誘電体基板であって、前記誘電体基板内に前記アンテナ素子の前記給電部を備える誘電体基板と、
前記誘電体基板の前記第1の表面に接着され、かつ前記アンテナ素子の前記給電部に結合されたIC(集積回路)チップであって、前記給電部と通信される信号を調整するための回路を含むICチップと、
前記誘電体基板の前記第2の表面に接着されたプラスチックアンテナ支持体と、を備えるアンテナ素子モジュールであって、
前記プラスチックアンテナ支持体は、前記アンテナ素子の前記放射素子のための空洞を含む本体部分を備えており、前記放射素子は、前記プラスチックアンテナ支持体の前記本体部分の前記空洞内に配置されている、アンテナ素子モジュール。
【請求項2】
前記空洞は、前記本体部分の上面上に形成された第1の空洞であり、
前記アンテナ素子モジュールは、
前記プラスチックアンテナ支持体の前記本体部分の下面上に形成された第2の空洞と、
前記本体部分の前記第2の空洞内に配置された前記アンテナ素子の寄生素子と、を更に備え、
前記寄生素子は、前記放射素子の下方にある、請求項1に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項3】
前記プラスチックアンテナ支持体は、第1のポリマーから形成されており、
前記放射素子は、第2のポリマーから形成されている、請求項1に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項4】
前記アンテナ素子は、複数のアンテナ素子の第1のアンテナ素子であり、
前記複数のアンテナ素子の各アンテナ素子は、複数の給電部のそれぞれの給電部、及び前記複数の放射素子のそれぞれの放射素子を含み、
前記空洞は、前記本体部分の上面に形成された複数の空洞を含み、
各放射素子は、前記複数の空洞のそれぞれの空洞内に配置されている、請求項1に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項5】
前記プラスチックアンテナ支持体は、前記複数のアンテナ素子の各々を分離する1つ以上の凹溝を更に備える、請求項4に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項6】
前記アンテナ素子は、複数のアンテナ素子の第1のアンテナ素子であり、前記複数のアンテナ素子の各アンテナ素子は、
複数の放射素子のうちの1つの放射素子と、
複数の給電部のうちの1つの給電部と、
複数の寄生素子のうちの1つの寄生素子と、を備えており、
前記空洞は、前記本体部分の上面上に形成された第1の組の空洞を含み、
前記プラスチックアンテナ支持体の前記本体部分は、前記本体部分の下面上に形成された第2の組の空洞を含み、
前記複数の放射素子の各放射素子は、前記第1の組の空洞のそれぞれの空洞内に配置されており、
前記複数の寄生素子の各寄生素子は、前記第2の組の空洞のそれぞれの空洞内に配置されており、
前記複数の放射素子の各放射素子は、前記複数の寄生素子のうちの対応する寄生素子の上方に置かれており、かつ前記複数の寄生素子のうちの前記対応する寄生素子から離間されている、請求項1に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項7】
前記プラスチックアンテナ支持体の前記本体部分は、前記複数のアンテナ素子の各々を分離するための、前記本体部分の前記上面に形成された1つ以上の凹溝を更に備える、請求項6に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項8】
前記放射素子は、パッチアンテナである、請求項1に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項9】
前記誘電体基板の前記第1の表面は、回路ボードに取り付けるためのはんだボールのアレイを含む、請求項1に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項10】
前記プラスチックアンテナ支持体は、前記本体部分から前記誘電体基板の前記第1の表面まで延在している1つ以上の特徴部を更に備え、前記1つ以上の特徴部は、前記本体部分を前記誘電体基板の前記第1の表面から離間させる、請求項1に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項11】
前記プラスチックアンテナ支持体の前記1つ以上の特徴部は、前記本体部分から抜き勾配で延在している、請求項10に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項12】
前記プラスチックアンテナ支持体の前記1つ以上の特徴部は、前記プラスチックアンテナ支持体の前記本体部分を前記給電部から分離する、請求項10に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項13】
前記アンテナ素子の前記給電部は、前記誘電体基板の前記第1の表面に直交するように配設された一対のスロットを含む、請求項1に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項14】
アンテナ素子モジュールのアレイと、前記アンテナ素子モジュールのアレイの下方にある多層基板と、を備えるフェーズドアレイアンテナであって、
前記アンテナ素子モジュールのアレイの各々は、
給電部及び放射素子を含むアンテナ素子と、
第1の表面及び第2の表面を有する誘電体基板であって、前記誘電体基板内に前記アンテナ素子の前記給電部を備える誘電体基板と、
前記誘電体基板の前記第1の表面に接着され、かつ前記アンテナ素子の前記給電部に結合されたIC(集積回路)チップであって、前記給電部と通信される信号を調整するための回路を含むICチップと、
前記誘電体基板の前記第1の表面に接着されており、かつ本体部分を含むプラスチックアンテナ支持体であって、前記本体部分は、前記アンテナ素子の前記放射素子のための空洞を含み、前記放射素子が前記プラスチックアンテナ支持体の前記本体部分の前記空洞内に配置されている、プラスチックアンテナ支持体と、を備えており
前記多層基板は、前記多層基板の層上に形成されたBFN(ビーム形成ネットワーク)回路を含み、前記BFN回路は、前記アンテナ素子モジュールのアレイの各々の前記ICチップと電気的に通信する、フェーズドアレイアンテナ。
【請求項15】
前記アンテナ素子モジュールのアレイの各アンテナ素子モジュールの前記空洞は、前記それぞれの本体部分の上面に形成された第1の空洞であり、前記複数のアンテナ素子モジュールの各アンテナ素子モジュールは、
前記それぞれのプラスチックアンテナ支持体の前記本体部分の下面上に形成された第2の空洞と、
前記それぞれのプラスチックアンテナ支持体の前記本体部分の前記第2の空洞内に配置されたそれぞれのアンテナ素子の寄生素子と、を更に備えており、
前記寄生素子は、前記それぞれの放射素子の下にある、請求項14に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項16】
複数のアンテナ素子モジュールを形成するための方法であって、
複数のIC(集積回路)チップを誘電体基板の第1の表面に接着する工程と、ただし前記誘電体基板は、前記誘電体基板内に複数のアンテナ素子の複数の給電部を備えており、
アンテナ素子モジュールのアレイを形成するために、アンテナパッケージのアレイを前記誘電体基板の第2の表面に接着する工程と、ただし各アンテナパッケージは、
放射素子のための空洞を含む本体部分を含むプラスチックアンテナ支持体と、
前記プラスチックアンテナ支持体の前記本体部分の前記空洞内に配置された前記複数のアンテナ素子のそれぞれのアンテナ素子の放射素子と、を備えており、
前記複数のアンテナ素子モジュールを形成するために、前記アンテナ素子モジュールのアレイを個片化する工程と、を含む方法。
【請求項17】
第1のポリマーを型内に注入して、プラスチックアンテナ支持体のアレイを形成することと、
第2のポリマーを前記プラスチックアンテナ支持体のアレイ内の空洞内に注入して、前記複数のプラスチックアンテナ支持体の各々に前記放射素子を形成し、前記アンテナパッケージのアレイを形成することと、更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アンテナパッケージのアレイ内の各アンテナパッケージの前記空洞は、前記それぞれのプラスチックアンテナ支持体の前記本体部分の上面に形成された第1の空洞であり、前記放射素子は、放射素子であり、各アンテナパッケージは、
前記それぞれのプラスチックアンテナ支持体の前記本体部分の下面に形成された第2の空洞と、
前記本体部分の前記第2の空洞内に配置された寄生素子であって、前記それぞれのアンテナパッケージの前記放射素子の下方にある寄生素子と、を更に備える、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
各アンテナモジュールは、規則的なタイルベース形状を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のアンテナ素子モジュールの各個片化されたアンテナ素子モジュールは、2つ以上のアンテナ素子を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
各プラスチックアンテナ支持体の本体部分は、前記本体部分から前記誘電体基板の前記第1の表面まで延在している1つ以上の特徴部を含み、前記1つ以上の特徴部は、前記本体部分を前記誘電体基板の前記第1の表面から離間させる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
各プラスチックアンテナ支持体の前記1つ以上の特徴部は、それぞれの本体部分から抜き勾配をもって延在する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記誘電体の前記表面は、回路ボード上に取り付けるためのはんだボールのアレイを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記複数のアンテナパッケージの各々の前記放射素子は、パッチアンテナである、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記誘電体基板の前記複数の給電部の各給電部は、前記誘電体基板の前記第1の表面内に直交するように配設された一対のスロットを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本特許出願は、「Phased Array Antenna」と題する、2018年8月2日に出願された米国特許仮出願第62/713,871号に対する優先権の利益を主張し、該特許仮出願の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、概してアンテナ素子モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
アンテナアレイ(又はアレイアンテナ)は、複数のアンテナ素子が接続された組である。これらのアンテナ素子は、電波を送信又は受信するために単一のアンテナとして協働する。個々のアンテナ素子(単に「素子」と呼ばれることが多い)は、特定の位相関係で素子に電力を供給する給電線路によって、受信器又は送信器に接続することができる。各個別のアンテナ素子によって放射された電波は、互いに合成及び重畳され、所望の方向に放射される電力を増強するために加算(建設的に干渉)され、他の方向に放射された電力を低減するために相殺(破壊的に干渉)される。同様に、受信のために使用される場合、個々のアンテナ素子からの別個の無線周波数電流が、所望の方向から受信した信号を増強するように正しい位相関係で受信器内で合成され、所望しない方向からの信号は相殺される。
【0004】
アンテナアレイは、単一のアンテナにより達成できるものよりも、電波の狭いビームで高い利得(方向性)を達成することができる。一般に、使用される個々のアンテナ素子の数が多いほど、利得が高くなり、ビームが狭くなる。一部のアンテナアレイ(フェーズドアレイレーダなど)は、数千個の個別アンテナで構成することができる。アレイを使用して、より高い利得を達成し(これは通信信頼性を高める)、特定の方向からの干渉を相殺し、無線方向探知(radio direction finding、RDF)のために異なる方向を指すように無線ビームを電子的に誘導することができる。
【発明の概要】
【0005】
一実施例は、給電部及び放射素子を含むアンテナ素子と、第1の表面及び第2の表面を有する誘電体基板と、を含むことができるアンテナ素子モジュールに関する。この誘電体基板は、誘電体基板内にアンテナ素子の給電部を備える。アンテナ素子モジュールはまた、誘電体基板の第1の表面に接着され、アンテナ素子の給電部に結合されたIC(集積回路(integrated circuit))チップも含むことができる。ICチップは、給電部と通信される信号を調整するための回路を含むことができる。アンテナ素子モジュールは、誘電体基板の第2の表面に接着されたプラスチックアンテナ支持体を更に含むことができる。プラスチックアンテナ支持体は、アンテナ素子の放射素子のための空洞を含む本体部分を含むことができ、この放射素子は、プラスチックアンテ支持体の本体部分の空洞内に配置されている。
【0006】
別の実施例は、フェーズドアレイアンテナに関する。フェーズドアレイアンテナは、アンテナ素子モジュールのアレイを含むことができる。アンテナ素子モジュールのアレイの各々は、給電部及び放射素子を含むアンテナ素子と、第1の表面及び第2の表面を有する誘電体基板とを含むアンテナ素子を含むことができ、誘電体基板は、誘電体基板内にアンテナ素子の給電部を備える。アンテナ素子モジュールのアレイの各々はまた、誘電体基板の第1の表面に接着され、アンテナ素子の給電部に結合されたICチップも含むことができ、ICチップは、給電部と通信される信号を調整する回路、及び誘電体基板の第1の表面に接着されたプラスチックアンテナ支持体を含む。プラスチックアンテナ支持体は、アンテナ素子の放射素子のための空洞を含む本体部分を含むことができ、放射素子は、プラスチックアンテナ支持体の本体部分の空洞内に配置されている。フェーズドアレイアンテナは、アンテナ素子モジュールのアレイの下方にある多層基板を更に含むことができ、多層基板は、多層基板の層上に形成されたBFN(ビーム形成ネットワーク(beam forming network))回路を含み、BFN回路は、アンテナ素子モジュールのアレイの各々のICチップと電気的に通信する。
【0007】
別の実施例は、複数のアンテナ素子モジュールを形成するための方法に関する。本方法は、複数のICチップを誘電体基板の第1の表面に接着することを含むことができ、誘電体基板は、誘電体基板内に複数の給電部を備える。本方法はまた、アンテナ素子モジュールのアレイを形成するために、アンテナパッケージのアレイを誘電体基板の第2の表面に接着することも含むことができる。各アンテナパッケージは、プラスチックアンテナ支持体を含むことができ、プラスチックアンテナ支持体は、放射素子のための空洞を備える本体部分を含むことができる。各アンテナパッケージはまた、プラスチックアンテナ支持体の本体部分の空洞内に配置された放射アンテナの放射素子も含むことができる。本方法は、複数のアンテナ素子モジュールを形成するために、アンテナ素子モジュールのアレイを個片化することを更に含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】分割レベルのアーキテクチャを有する、例示的なフェーズドアレイアンテナのブロック図を示す。
【0009】
【
図2】分割レベルのアーキテクチャを有する、例示的なフェーズドアレイアンテナの斜視図を示す。
【0010】
【
図3】
図2の例示的なフェーズドアレイアンテナの分解図を示す。
【0011】
【
図4】第1のアーキテクチャを有する、例示的なフェーズドアレイアンテナの一部分を示す。
【0012】
【
図5】第2のアーキテクチャを有する、例示的なフェーズドアレイアンテナの一部分を示す。
【0013】
【
図6】アンテナ素子モジュールのための誘電体基板の側断面図を示す。
【0014】
【
図7】
図6の誘電体基板の集積回路(IC)チップ層の一例の平面図を示す。
【0015】
【
図8A】
図6の誘電体基板のビア層250の一例を示す。
【0016】
【
図8B】
図6の誘電体基板の信号層の一例の平面図を示す。
【0017】
【
図9】
図6の誘電体基板の給電層の一例の平面図を示す。
【0018】
【
図10】第1のアーキテクチャを有するアンテナパッケージの一例の斜視図を示す。
【0019】
【0020】
【
図12】第2のアーキテクチャを有するアンテナパッケージの一例の斜視図を示す。
【0021】
【0022】
【
図14】第3のアーキテクチャを有するアンテナパッケージの一例の斜視図を示す。
【0023】
【0024】
【
図16】第4のアーキテクチャを有するアンテナパッケージの一例の斜視図を示す。
【0025】
【0026】
【
図18】第5のアーキテクチャを有するアンテナパッケージの一例の斜視図を示す。
【0027】
【0028】
【
図20】第6のアーキテクチャを有するアンテナパッケージの一例の斜視図を示す。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【
図24】誘電体基板上に取り付けられた複数のICチップのアレイの一例を示す。
【0033】
【
図25】
図24の誘電体基板上に取り付けられた複数のアンテナパッケージのアレイの一例を示す。
【0034】
【
図26】受信モードで動作する、例示的なフェーズドアレイアンテナのブロック図を示す。
【0035】
【
図27】送信モードで動作する、例示的なフェーズドアレイアンテナのブロック図を示す。
【0036】
【
図28】半二重モードで動作する、例示的なフェーズドアレイアンテナのブロック図を示す。
【0037】
【
図29】周波数分割二重モードで動作する、例示的なフェーズドアレイアンテナのブロック図を示す。
【0038】
【
図30】偏波二重モードで動作する、例示的なフェーズドアレイアンテナのブロック図を示す。
【0039】
【
図31】アンテナ素子モジュールを製造するための例示的な方法のフローチャートを示す。
【0040】
【
図32】アンテナパッケージを製造するための例示的な方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本開示は、フェーズドアレイアンテナを説明する。ここでは、複数のアンテナ素子モジュールを分割レベルのアーキテクチャで多層基板上に取り付けることができる。アンテナ素子モジュールの各々は、誘電体基板と一体化された、又は誘電体基板の上側に配置された給電部(例えば、スロット又は直交するように配設された一対のスロット)を有する誘電体基板を含むことができる。アンテナ素子モジュールの各々は、誘電体基板の下側に取り付けられた埋込型集積回路(IC)チップを含むことができる。各ICチップは、多層基板内の給電素子と電気回路構成要素との間で通信される信号の調整(例えば、増幅、フィルタリング、及び/又は位相シフト)のための電気回路構成要素を含むことができる。ICチップは、誘電体基板を介して、対応する給電部に接続することができる。アンテナパッケージは、誘電体基板の上面に接着することができる。アンテナパッケージは、プラスチックアンテナ支持体、及びプラスチックアンテナ支持体内に埋め込まれた放射素子(例えば、寄生素子)を含むことができる。プラスチックアンテナ支持体は、誘電体基板と一体化された、又は誘電体基板の上面に埋め込まれた給電部から放射素子を離間させる脚部を含むことができる。このようにして、放射素子が給電部の上に重なり、その結果、放射素子及び給電部は連携して動作し、フェーズドアレイアンテナのためのアンテナ素子を提供する。
【0042】
多層基板は、アンテナ素子モジュールのアレイの下方にある。多層基板は、多層基板の層上に形成されたBFN(ビーム形成ネットワーク)回路を含むことができる。BFN回路は、アンテナ素子モジュールのアレイの各々のICチップと電気的に通信することができる。
【0043】
本明細書に記載のフェーズドアレイアンテナは、モジュール式の設計及び製造を可能にする。具体的には、アンテナ素子モジュールの各々は、多層基板とは別の時間及び/又は設備で設計及び/又は製造することができる。このモジュール式の設計及び/又は製造により、結果として得られるフェーズドアレイアンテナの低コスト化及び高性能化を可能にすることができる。例えば、コストを削減するために、アンテナパッケージは、射出成形及び/又は熱成形技術を用いて形成することができる。同様に、各アンテナ素子モジュールは、フリップチップ技術を用いてパッケージ化することができる。
【0044】
図1は、例示的なフェーズドアレイアンテナ2のブロック図である。フェーズドアレイアンテナ2は、ローカルシステム4とリモートシステム6との間の無線通信を容易にする。ローカルシステム4は、フェーズドアレイアンテナ2に有線接続することができる。いくつかの実施例として、ローカルシステム4は、地上局又は空中局(例えば、航空機又は衛星)上に実現することができる。更に、フェーズドアレイアンテナ2は、リモートシステム6と無線通信することができる。リモートシステム6は、空中局(例えば、航空機又は衛星)であってもよい。代替的に、リモートシステム6は、地上局であってもよい。ローカルシステム4及びリモートシステム6は、データを処理、送信、及び受信することができるコンピューティングシステム(例えば、サーバ)及び/又はルータを代表することができる。
【0045】
フェーズドアレイアンテナ2は、分割レベルのアーキテクチャを有することができる。具体的には、フェーズドアレイアンテナ2は、多層基板10上に取り付けることができる複数のアンテナ素子モジュール8を含むことができる。多層基板10は、例えば、複数層の回路ボード材料(例えば、誘電材料、導電性材料など)を有する多層回路ボードとして実現することができる。
【0046】
各アンテナ素子モジュール8は、誘電体基板12を含むことができる。誘電体基板12は、単一又は多層回路ボード、広角インピーダンス整合メタマテリアル(wide-angle impedance matching metamaterial、WAIM)などとして実現することができる。誘電体基板12は、下面14及び上面16を含むことができる。各アンテナ素子モジュール8は、誘電体基板12の下面14に接着されたICチップ18を含むことができる。更に、給電部20は、誘電体基板12の上面16上に配置されるか、又は上面と一体化されてもよい。各アンテナ素子モジュール8は、アンテナパッケージ22を更に含むことができる。アンテナパッケージ22は、放射素子26を有するプラスチックアンテナ支持体24を含むことができ、放射素子26は、プラスチックアンテナ支持体上に配置されているか、又はプラスチックアンテナ支持体24の空洞内に埋め込まれている。いくつかの実施例では、プラスチックアンテナ支持体24は、誘電体基板12の上面16に延在している1つ以上の特徴部を含むことができる。これらの1つ以上の特徴部は、プラスチックアンテナ支持体の本体部分を誘電体基板12の上面16から離間させることができる。いくつかの実施例では、これらの1つ以上の特徴部は、脚部28として実現してもよい。これらの1つ以上の特徴部は、放射素子26を給電部20から分離するエアギャップ30(又は空隙)を画定することができる。他の実施例では、プラスチックアンテナ支持体24の本体部分が誘電体基板12の上面16に接触するように、1つ以上の特徴部(例えば、脚部28)を省略することができる。
【0047】
いくつかの実施例では、各給電部20は、最上層上に形成された、又は誘電体基板12内に埋め込まれたマイクロストリップ素子の形式(例えば、スロット又は直交するように配設された一対のスロット)で実装することができる。各放射素子26は、パッチアンテナ(例えば、丸い又は矩形のパッチアンテナ素子)として実装することができる。各アンテナ素子モジュール8は、多層基板10の最上面34上に接着する(取り付ける)ことができる。いくつかの実施例では、各アンテナ素子モジュール8は、ICチップ18を給電部20に結合する(例えば、直接接続、受動的結合など)誘電体基板12を通って延在する給電線路を含むことができる。更に、
図1の各給電部20は、フェーズドアレイアンテナ2内のICチップ18及び給電部20の数が均等になるように、単一の給電部であってもよい。代替的に、
図1の各給電部20は、直交するように配設された一対のスロットなどの複数の給電部であってもよく、各ICチップ18は、給電部20とICチップ18との間で通信される信号を個々に調整するための複数の回路を含むことができる。
【0048】
説明を簡潔にする目的で、「最上部」及び「最下部」という用語は、本開示全体を通して、選択された向きの反対側の表面を示すために用いられる。同様に、「上部」及び「下部」という用語は、選択された向きにおける相対位置を示すために用いられる。更に、「下方にある」及び「上方に置く」(並びにそれらの派生語)という用語は、選択された向きにおける2つの隣接する表面又は素子の相対位置を示すために用いられる。実際に、本開示全体を通して使用される実施例では、選択された1つの向きを示す。しかしながら、記載された実施例では、選択された向きは任意であり、本開示の範囲内で他の向き(例えば、逆さまにする、90度回転させるなど)が可能である。
【0049】
多層基板10は、BFN(ビーム形成ネットワーク)回路40を含むことができる。BFN回路40は、多層基板10の層(又は複数の層)上に形成することができる。いくつかの実施例では、BFN回路40は、多層基板10の内部層上に形成することができる。他の実施例では、BFN回路40は、最上層又は最下層などの外部層上に形成することができる。本明細書に記載されるように、BFN回路40は、信号を同位相で合成及び/又は分割する合成回路及び/又は分割回路として動作する。いくつかの実施例では、BFN回路40は、受動回路であってもよい。本明細書で使用するとき、「受動回路」という用語は、BFN回路40が、電源から電力を供給されない回路構成要素(例えば、抵抗トレース、コンデンサ、及び/又はインダクタ)を含むことができることを示す。BFN回路40は、各アンテナ素子モジュール8のICチップ14と電気的に通信することができる。
【0050】
ローカルシステム4は、フェーズドアレイアンテナ2の動作モードを制御することができるコントローラ38を含むことができる。一実施例として、コントローラ38は、埋め込まれた命令を有するマイクロコントローラとして実装してもよい。別の実施例では、コントローラ38は、非一過性メモリに記憶されたマシンコードを実行する処理ユニット(例えば、1つ以上のプロセッサコア)を有するコンピューティングデバイスとして実装してもよい。いくつかの実施例では、コントローラ38は、制御線(図示せず)を介してICチップ18に制御信号を提供することができる。そのような制御信号は、ICチップ18に、BFN回路40とアンテナ素子モジュール8の給電部20との間で通信される信号の振幅及び/又は位相調整レベルを設定させる。すなわち、コントローラ38は、ICチップ18の信号調整を制御することができる。追加的に又は代替的に、いくつかの実施例では、コントローラ38は、フェーズドアレイアンテナ2を受信モード又は送信モードで動作させる制御信号をICチップ18に提供することができる。追加的に、説明を簡潔にする目的で、本明細書に記載される例では、コントローラ38はまた、アンテナ素子モジュール8のICチップ18に電力信号を提供する。しかしながら、他の実施例では、他の供給源がICチップ14に電力を提供することができる。
【0051】
動作中、いくつかの実施例では、フェーズドアレイアンテナ2のアーキテクチャは、受信モード又は送信モードでのみ動作するように設計することができる。他の実施例では、本明細書に記載されるように、フェーズドアレイアンテナ2のアーキテクチャは、半二重モード又は偏波二重モードで動作するように設計することができ、フェーズドアレイアンテナ2は、受信モードと送信モードとの間で切り替わる。更に他の実施例では、フェーズドアレイアンテナ2のアーキテクチャは、フェーズドアレイアンテナ2が受信モード及び送信モードで同時に動作することができるように、周波数分割多重モードで動作するように設計することができる。
【0052】
受信モードでは、EM(電磁(electromagnetic))信号を、複数のアンテナ素子モジュール8の各々の放射素子26、又はそれらのいくつかのサブセットによってリモートシステム6から受信することができる。放射素子26は、受信したEM信号をエアギャップ30及び対応する給電部20に結合することができる。対応する給電部20は、受信したEM信号を電気信号に変換し、この電気信号をそれぞれのアンテナ素子モジュール8の対応するICチップ18に提供することができる。対応するICチップ18のそれぞれは、受信した電気信号を調整して素子信号を出力することができる電気回路構成要素を含むことができる。具体的には、各ICチップ14は、受信した電気信号を増幅、フィルタリング、かつ/又は位相シフトさせて、素子信号を形成することができる。
【0053】
更に、種々異なるICチップ18は、異なるレベル及び種類の調整を提供することができる。例えば、第1のアンテナ素子モジュール8の第1のICチップ18は、受信した信号を第1の利得で増幅させ、かつ/又は受信した電気信号を第1の位相シフトによって移相させることができる。追加的に、第2のアンテナ素子モジュール8の第2のICチップ14が、受信した電気信号を第2の利得で増幅させ、かつ/又は受信した電気信号を第2の位相シフトによって移相させることができる。このようにして、ICチップ18によって出力された複数の素子信号は、BFN回路40による合成を容易にするために特定の特性を有することができる。
【0054】
ICチップ18によって出力された素子信号の各々は、BFN回路40に提供することができる。BFN回路40は、素子信号を合成して、受信ビーム信号を形成することができる。受信ビーム信号は、多層基板10の最下面41又は他の位置に配置することができる接続ポートを介してローカルシステム4に提供することができる。ローカルシステム4は、受信ビーム信号を処理(例えば、復調)し、復号されたデータを消費することができる。
【0055】
BFN回路40は、
図1に破線で示す合成/分割回路42の段として実装することができる。
図1に示す実施例では、このような段が3つ存在するが、他の実施例では、合成/分割回路42の段は、より多くの段で存在してもよいし、又はより少ない段(わずか1つの段)が存在してもよい。各合成/分割回路42は、ウィルキンソン電力分割器、ハイブリッド結合器、方向性結合器、又は信号を合成及び/又は分割することができる任意の他の回路などの電力合成/分割回路として実装することができる。各合成/分割回路42は、BFN回路40を通過する信号を合成又は分割することができる。例えば、受信に使用されるとき、ICチップ14とローカルシステム4との間で通信される信号は、合成/分割回路42の各段によって合成することができる。追加的に又は代替的に、送信に使用されるとき、ローカルシステム4からICチップ14に伝達された信号は、BFN回路40の合成/分割回路42の各段によって分割することができる。いくつかの例として、BFN回路40は、素子信号を同位相で、又は異位相で合成することができる。追加的に又は代替的に、BFN回路40は、素子信号を均等に又は不均等に合成することができる。一般的に、BFN回路40のアーキテクチャは、ほとんどの形態の信号を合成及び/又は分割するように設計することができる。
【0056】
送信モードではローカルシステム4は、BFN回路40に、リモートシステム6に送信されることを意図した送信ビーム信号を提供することができる。BFN回路40は、送信ビーム信号を分割して、素子信号と呼ばれる複数の分割信号を形成する。素子信号を、アンテナ素子モジュール8のICチップ18に提供することができる。各ICチップ18は、受信した素子信号を調整する(例えば、増幅、フィルタリング、かつ/又は位相シフトさせる)ことができ、対応する給電部20に対して調整された信号を出力する。送信モードでは、各ICチップ18は、受信モードの調整とは異なるレベルの調整を提供するように構成することができ、これは、フェーズドアレイアンテナ2が受信モード及び送信モードで同時に動作する例を含む。例えば、所定のICチップ18は、送信モードにおいて受信モードとは異なるレベルの利得、異なる位相シフト、及び/又は異なる通過帯域を提供することができる。
【0057】
各アンテナ素子モジュール8の給電部20は、対応するICチップ14によって提供された調整された素子信号を、対応する放射素子26に向けてエアギャップ30を介して提供されるEM信号に変換することができる。各放射素子26は、送信されたEM信号を自由空間に結合することができ、その結果、送信されたEM信号は、他のアンテナ素子モジュール8の送信と重畳され、矢印44が示すように、自由空間を通ってリモートシステム6に伝搬する送信ビーム信号のビームを形成する。リモートシステム6は、受信した送信ビーム信号を復調し、結果として得られたデータを処理することができる。フェーズドアレイアンテナ2は、所望の特性(例えば、最大利得の所望の方向、及び/又は偏波)を備える放射パターンを有する送信ビーム信号のビームを形成するために、送信信号が建設的及び破壊的に干渉し合うように設計することができる。更に、いくつかの実施例では、各アンテナ素子モジュール8の複数のICチップ18による調整(例えば、増幅及び/又は位相シフト)は、コントローラ38によって制御可能であり、所望の方向の送信ビーム信号のビームに結合することができる。フェーズドアレイアンテナ2が受信モード及び送信モードで動作するように設計された実施例では、リモートシステム6とローカルシステム4との間の双方向無線通信を確立することができる。代替的に、フェーズドアレイアンテナ2が受信モードでのみ、又は送信モードでのみ動作する例では、リモートシステム6とローカルシステム4との間の単方向無線通信を確立することができる。
【0058】
図1のフェーズドアレイアンテナ2を実現することにより、比較的単純で低コストのフェーズドアレイアンテナを製造することができる。具体的には、アンテナ素子モジュール8は、多層基板10とは別個に製造され、多層基板10上に取り付けることができる。更に、本明細書で詳細に説明するように、アンテナ素子モジュール8は、多層基板10の最上面34に個片化して接着することができるアンテナ素子モジュールのアレイとして製造することができる。
【0059】
更に、アンテナ素子モジュール8は、比較的単純かつ低コストのプロセスで製造することができる。例えば、アンテナパッケージ22は、射出成形又は熱成形方法で形成することができる。アンテナパッケージ22を射出成形で形成することができる例では、所定のアンテナパッケージ22のプラスチックアンテナ支持体24は、第1のポリマー(例えば、第1の種類のプラスチック)を、放射素子26のために成形された空洞を含むことができる型枠に注入することによって形成することができる。その後、第2のポリマー(例えば、第2の種類のプラスチック)をプラスチックアンテナ支持体24の空洞に注入して、アンテナパッケージ22を形成することができる。追加的に、ICチップ18は、誘電体基板12の下面14に装着することができる。その後、アンテナパッケージ22は、誘電体基板12の最上面に接着することができる。
【0060】
追加的に、アンテナ素子モジュール8にICチップ18を実装することにより、BFN回路40及び/又は多層基板10の最下面41にICチップが不要になり、これにより、BFN回路40の複雑性が低減される。例えば、アンテナ素子モジュール8にICチップ18を含めることにより、受信信号を、多層基板10を介して、反対側(最下部)の表面上に取り付けられたICチップへと、次いでBFN回路40へと合成のためにルーティングすることから生じるプリント配線基板(printed circuit board、PCB)の複雑性が回避される。また更に、給電部20及び放射素子26の両方を含むことにより、フェーズドアレイアンテナ2の方向性及び利得が増加する。
【0061】
図2は、RF信号などのEM信号を送信及び/又は受信するための分割レベルのアーキテクチャを有する、例示的なフェーズドアレイアンテナ50の斜視図である。
図3は、フェーズドアレイアンテナ50の分解図である。
図2及び
図3は、同じ構造を示すために同じ参照番号を用いる。更に、特に断りがない限り、フェーズドアレイアンテナ50の素子への参照は、
図2及び
図3の両方に該当する。
図1のフェーズドアレイアンテナ2を実現するために、
図2及び
図3のフェーズドアレイアンテナ50を用いることができる。
【0062】
いくつかの実施例では、フェーズドアレイアンテナ50は、モジュールとして製造され、組み立てることができる。具体的には、フェーズドアレイアンテナ50は、多層基板54上に取り付けられているN個のアンテナ素子モジュール52(そのいくつかのみが
図1及び
図2に詳細に表示されている)を含むことができる。各アンテナ素子モジュール52は、上面58及び下面60を有する誘電体基板56を含むことができる。誘電体基板56は、1つ以上の層を含むことができ、例えば、回路ボード又はWAIMとして実装することができる。
【0063】
フェーズドアレイアンテナ50に埋め込まれた複数のICチップ62は、フェーズドアレイアンテナ50の中間層上に配置することができる。複数のICチップ62のICチップ62は、アンテナ素子モジュール52の各々に接着する(取り付ける)ことができる。具体的には、ICチップ62は、各誘電体基板56の下面60に接着することができる。各ICチップ62は、フリップチップはんだ付け技術、熱イオンボンディングなどのワイヤボンディング、又は他の技術を使用して、対応するアンテナ素子モジュール52の誘電体基板56上に接着することができる。
【0064】
追加的に、各アンテナ素子モジュール52は、給電部64を含むことができる。いくつかの実施例では、給電部64は、誘電体基板56の上面58に配置することができる。他の実施例では、給電部64は、誘電体基板56と一体化することができる。いくつかの実施例では、誘電体基板56を貫通して延在する埋込型給電線路(又は複数の給電線路)は、給電部64とICチップ62とを相互接続することができる。いくつかの実施例では、給電部64は、金属化により誘電体基板56に製造されたスロットなどのマイクロストリップ素子として実装することができる。追加的に、いくつかの実施例では、給電部64は、複数のマイクロストリップ素子を代表することができる。例えば、給電部64は、直交するように配設された一対のスロットを代表することができる。このような状況では、対応するICチップ62は、対応する複数の給電部64の各々と通信される信号を個々に調整するために、(複数の回路素子を有する)複数の回路経路を含むことができる。代替的に、いくつかの実施例では、給電部64は、単一の放射素子を代表することができる。この状況では、ICチップ62と給電部64との間に1対1の対応が存在する。
【0065】
追加的に、各アンテナ素子モジュール52は、誘電体基板56の上面58に接着されたアンテナパッケージ70を含むことができる。より具体的には、アンテナパッケージ70は、プラスチックアンテナ支持体72を含むことができる。プラスチックアンテナ支持体72は、本体部分、及び本体部分から延在している脚部(例えば、3つ以上の脚部)を含むことができる。本明細書で使用するとき、「プラスチック」という用語は、大部分が高分子量の熱可塑性又は熱硬化性ポリマーであり、物体、フィルム、又はフィラメントに作製することができる多数の有機合成材料又は加工材料のいずれかを指す。プラスチックアンテナ支持体72の本体部分は、空洞内に配置された放射素子74を有する空洞を含むことができる。空洞は、プラスチックアンテナ支持体72内の凹部又は穴であってもよい。放射素子74は、丸いパッチアンテナ又は多角形パッチアンテナ(例えば、矩形パッチアンテナ又は六角形パッチアンテナ)などのパッチアンテナとして実装することができる。
【0066】
いくつかの実施例では、放射素子74は、プラスチックアンテナ支持体72の下面上に配置されるか、又はそれと一体化された寄生素子76に結合することができる。
【0067】
プラスチックアンテナ支持体72の脚部は、プラスチックアンテナ支持体72の本体部分内の空洞を誘電体基板56の上面58から離間させている。より具体的には、プラスチックアンテナ支持体72の脚部は、給電部64を放射素子74から離間させるエアギャップ76(又は空隙)を確立する。このようにして、給電部64及び放射素子74は、連携して動作し、アンテナ素子を形成する。
【0068】
多層基板54は、例えば、多層回路ボードとして(例えば、下部回路ボードとして)実現することができる。いくつかの実施例では、多層基板54は、多層基板54の最下部(又は最下層)に位置するベース導電層80(例えば、グラウンドプレーン)を含むことができる。ベース導電層80は、多層基板54が、コントローラ及び/又は電源を有するローカルシステムなどの外部構成要素と通信することを可能にするエッチング及び/又はトレースを含むことができる。下部誘電体層82は、ベース導電層80の上方に置かれている。BFN(ビーム形成ネットワーク)回路84は、多層基板54の層(又は複数の層)上に形成することができる。いくつかの実施例では、BFN回路84は、多層基板54の内部層上に形成することができる。BFN回路84が内部層上に形成されている実施例では、BFN回路84は、下部誘電体層82の上方に置くことができる。更に、上部誘電体層86は、BFN回路84の上方に置くことができる。このようにして、BFN回路84は、BFN回路84が電磁干渉(electromagnetic interference、EMI)から電気的に遮蔽され得るように、下部誘電体層82と上部誘電体層86との間に挟むことができる。最上部導電層90は、上部誘電体層86の上方に置くことができる。他の実施例では、BFN回路84は、多層基板54の上部誘電体層86に又はその付近に形成することができる。このような状況では、BFN回路84は、最上部導電層90にパターン化することができる。
【0069】
最上部導電層90は、N個のアンテナ素子モジュール52の各々を受け入れるために、パターン化された取り付け境界面(例えば、エッチング及び/又は導電性パッド)を含むことができる。追加的に、最上部導電層90は、BFN回路84と、ICチップ62及び/又はN個のアンテナ素子モジュール52の誘電体基板56との間の信号の通過を可能にするビアを有するパターン化された導電性境界面を含むことができる。N個のアンテナ素子モジュール52は、最上部導電層90のパターン取り付け境界面において、最上部導電層90上に取り付けることができる。いくつかの実施例では、N個のアンテナ素子モジュール52は、フェーズドアレイアンテナ50の格子などに、秩序あるアレイで配設することができる。いくつかの実施例では、本明細書で詳細に説明されるように、各ICチップ62は、電気接合材(例えば、はんだ)を用いて、最上部導電層90上に取り付けることができる。他の実施例では、各誘電体基板56の下面60は、電気接合材を用いて最上部導電層90上に取り付けることができ、各誘電体基板56内のトレース及び/又はビアは、対応するICチップ62を最上部導電層90上の接続パッドに結合することができる。
【0070】
多層基板54は、多層基板54の種々異なる層に構成要素を接続するために、貫通して延在するビアを含むことができる。例えば、多層基板54の内部層上にBFN回路84を形成することができる場合、多層基板54は、BFN回路84をアンテナ素子モジュール52に電気的に接続するためのビアを含むことができる。このようなビアは、アンテナ素子モジュール52をBFN回路84に結合するために、信号境界面でBFN回路84に結合することができる。
【0071】
いくつかの実施例では、BFN回路84は、受動回路であってもよい。BFN回路84は、N個のアンテナ素子モジュール52とローカルシステムの外部構成要素との間で通信することができる信号を分割/合成するように構成することができる。
【0072】
更に、各アンテナ素子モジュール52の各ICチップ62は、給電部64とBFN回路84との間で通信される信号を調整するための回路構成要素を含むことができる。具体的には、各アンテナ素子モジュール52は、給電部64とBFN回路84との間で通信される信号をフィルタリング、増幅かつ/又は位相シフトさせることができる。更に、いくつかの実施例では、各ICチップ62は、特定の対応する給電部64に整合させることができる。すなわち、第1のICチップ62は、第2のICチップ62とは異なる利得及び/又は位相シフトを信号に適用するように構成することができる。追加的に又は代替的に、各ICチップ62の調整パラメータ(例えば、バンドパス、利得、及び/又は位相シフト)は、ローカルシステムで動作するコントローラによって設定することができる。
【0073】
図1のフェーズドアレイアンテナ2に関して説明したように、一例では、フェーズドアレイアンテナ50は、送信モードで動作することができる。追加的に又は代替的に、フェーズドアレイアンテナ50は、受信モードで動作することができる。いくつかの実施例では、フェーズドアレイアンテナ50は、受信モード又は送信モードだけで動作するように構成することができる。他の実施例では、フェーズドアレイアンテナ50は、半二重モード又は偏波モードで動作することができ、受信モードと送信モードとの間で切り替わる。更に他の実施例では、フェーズドアレイアンテナ50は、周波数分割二重モードで動作することができ、フェーズドアレイアンテナ50は、送信モード及び受信モードで同時に動作することができる。
【0074】
フェーズドアレイアンテナ50を実装することにより、比較的単純で低コストのフェーズドアレイアンテナを提供することができる。具体的には、フェーズドアレイアンテナ50の分割レベルのアーキテクチャは、多層基板54を実装するために必要とされる層の数を低減する。フェーズドアレイアンテナ50の分割レベルのアーキテクチャは、各誘電体基板56及び多層基板54の複雑性を比較的に低くすることを可能にし(例えば、ブラインドビアを回避することができる)、したがって、フェーズドアレイアンテナ50全体のコストを、単一の回路ボードの使用と比較してより低くすることができる。追加的に、ICチップ62とアンテナ素子モジュール52とを統合すれば、ICチップ62は給電部64に相対的に近接して配置される。したがって、ICチップ62と給電部64との間のビアの長さを短くすることができる。
【0075】
追加的に、多層基板54の複雑性を低減することにより、アンテナ素子モジュール52を製造するために、単純で安価な技術を採用することができる。具体的には、アンテナ素子モジュール52の各々は、射出成形、熱成形、及びフリップチップ加工などの標準的な処理及びパッケージング技術で製造することができる。
【0076】
追加的に、ICチップ62を多層基板54から分離して配設することにより、フェーズドアレイアンテナ50を実装するために必要とされるビアの数を削減することができ、その結果、多層基板54内のビアの密度を低減することができる。したがって、これにより、深さの制御された掘削技術を用いて、(比較的複雑で高価な)ビアをバックドリルする必要性が低減され、かつ/又は排除される。更に、上述したように、各アンテナ素子モジュール52は、多層基板54の最上部導電層90のパターン化された導電性境界面上に取り付けることができる。最上部導電層90のパターンは、N個のアンテナ素子モジュール52の位置を画定する。したがって、N個のアンテナ素子モジュール52は、多層基板54とは異なる時及び/又は設備で製造することができる。
【0077】
更に、多層基板54の最上部導電層90上にアンテナ素子モジュール52を配設する際には、アンテナ素子モジュール52の各々は、自由空間(例えば、空気又は空隙)で分離することができ、これにより、給電部64同士間に連続した誘電材料が存在することが回避される。このようにして、信号の望ましくない表面波の伝播が抑制/低減され(低減及び/又は排除され)、これにより、フェーズドアレイアンテナ50の性能(信号対雑音比)が向上する。例えば、連続した誘電材料が存在したならば誘電材料の連続した表面と平行に伝搬するはずの表面波を抑制/低減することができる。具体的には、最上部導電層90のパターンは、自由空間のギャップが各ICチップ62を分離することを確実にする。これらの自由空間のギャップは、ICチップ62間の最上部導電層90に屈折率不連続性を導入する。これらの屈折率不連続性は、最上部導電層90全体にわたる表面波の伝播を低減する。
【0078】
図4は、多層基板104上に複数のアンテナ素子モジュール102を取り付けるための例示的なアーキテクチャを有する、例示的なフェーズドアレイアンテナ100の一部分を示す。フェーズドアレイアンテナ100は、
図1のフェーズドアレイアンテナ2、並びに/又は
図2及び
図3のフェーズドアレイアンテナ50を実現するために用いることができる。各アンテナ素子モジュール102は、誘電体基板106を含むことができる。この誘電体基板106は、誘電体基板106の最上面110上に配置された給電部108、又は最上面と一体化された給電部108を有する。各給電部108は、例えば、スロットとして、又は直交するように配設された一対のスロットとして実装することができる。
【0079】
一例として、ICチップ112を誘電体基板106の下面114に接着する(取り付ける)ことができる。他の実施例では、ICチップ112を誘電体基板106の異なる表面に接着することができる。各ICチップ112はまた、多層基板104の最上面116(例えば、導電層)に接着することができる。各ICチップ112は、電気接合材113(例えば、はんだボール)を介して、多層基板104の最上面116に接着することができる。多層基板104は、BFN回路などの回路を含むことができる。追加的に、多層基板104は、ICチップ112に信号を提供することができる電力回路及び/又はコントローラに結合することができる。いくつかの実施例では、各ICチップ112は、誘電体基板106とICチップ112との間に信号境界面を提供することができる、118に示すICチップ上部境界面を含むことができる。追加的に、各ICチップ112は、ICチップ112と多層基板104との間に信号境界面を提供することができるICチップ下部境界面120を含むことができる。
【0080】
ICチップ112は、両方の境界面118、120に導電性境界面を提供するために、ICチップ112を完全に貫通する1つ以上のチップ貫通ビア(例えば、シリコン貫通ビア(through-silicon via、TSV))を含むことができる。いくつかの実施例では、ICチップ下部境界面120は、ビアを介して、多層基板104にある回路(BFN回路など)に結合することができる。例えば、多層基板104の最上面116上のはんだパッドと、各ICチップ112との間のはんだ接合により、直接的な電気接続を提供することができる。このようにして、各ICチップ112を多層基板104に直接的に結合することができる。動作中、各ICチップ112は、対応する給電部108と多層基板(BFN回路を含む)104との間で通信される信号を介在させる。具体的には、各ICチップ112と多層基板104との間で通信される信号は、ICチップ下部境界面120を通過することができる。追加的に、ICチップ112と給電部108との間で通信される信号は、ICチップ上部境界面118を通過することができる。各ICチップ112は、多層基板104と誘電体基板106との間で通信される信号を調整する(例えば、増幅、フィルタリング、かつ/又は位相シフトさせる)ことができる。
【0081】
更に、各アンテナ素子モジュール102は、アンテナパッケージ130を含むことができる。各アンテナパッケージ130は、プラスチックアンテナ支持体132及び放射素子134を含むことができる。プラスチックアンテナ支持体132は、脚部136及び本体部分138などの1つ以上の特徴部を含むことができる。放射素子134は、プラスチックアンテナ支持体132の本体部分138内に形成された空洞内に配置することができる。いくつかの実施例では、放射素子134は、パッチアンテナなどの単一のアンテナ素子であってもよい。他の実施例では、図示するような放射素子134は、プラスチックアンテナ支持体132の本体部分138の反対側に配置された一対のパッチアンテナなどの複数の放射素子と共に実装することができる。
【0082】
プラスチックアンテナ支持体132の脚部136は、誘電体基板106の最上面110を、放射素子134が存在する空洞から離間させる。更に、いくつかの実施例では、プラスチックアンテナ支持体の本体部分138が誘電体基板の最上面110と接触するように、脚部136(又は他の特徴部)を省略することができる。脚部136が含まれる場合、脚部136は、例えば、長さ約0.25ミリメートル(mm)~長さ約2mmであってもよい。しかしながら、他の実施例では、脚部136は、この範囲よりも長くても短くてもよい。したがって、脚部136は、給電部108と放射素子134との間にエアギャップ140(又は空隙)を形成する。このようにして、給電部108及び放射素子134は、アンテナ素子の構成部品として連携して動作することができる。具体的には、給電部108と通信される信号は、放射素子134によって結合することができる。例えば、受信モードでは、外部ソースから受信したEM信号は、給電部108に向けて放射素子134によって結合することができ、ICチップ112と通信するために給電部108によって電気信号に変換される。逆に、送信モードでは、ICチップ112から給電部108に通信された信号は、給電部108によってEM信号に変換することができ、放射素子134によって自由空間に伝播される。
【0083】
図4のフェーズドアレイアンテナ100に示すアーキテクチャを用いることにより、多層基板104とICチップ112との間の直接的な電気接続を実現することができる。このようにして、アンテナ素子モジュール102のICチップ112は、BFN回路及び/又は多層基板104の電力システム及び制御システムに接続されたビア及び/又はトレースに直接的に結合することができる。
図4のフェーズドアレイアンテナ100のアーキテクチャは、各ICチップ112を給電部158及び放射素子172に相対的に近接させて配置することによって、損失を削減する。更に、いくつかの実施例では、多層基板104とICチップ112との間に直接的な電気接続を提供することにより、このような損失を更に低減することができる。
【0084】
図5は、多層基板154上に複数のアンテナ素子モジュール152を取り付けるための例示的な別のアーキテクチャを有する、例示的なフェーズドアレイアンテナ150の一部分を示す。フェーズドアレイアンテナ150は、
図1のフェーズドアレイアンテナ2、並びに/又は
図2及び
図3のフェーズドアレイアンテナ50を実現するために用いることができる。各アンテナ素子モジュール152は、誘電体基板156を含むことができる。この誘電体基板は、誘電体基板156の最上面159上に配置された給電部158、又は最上面と一体化された給電部158を有する。各給電部158は、例えば、スロットとして、又は直交するように配設された一対のスロットとして実装することができる。
【0085】
いくつかの実施例では、ICチップ160を誘電体基板156の下面162に取り付けることができる。他の実施例では、ICチップ160を誘電体基板156の異なる表面に接着することができる。各誘電体基板156は、はんだボール又はピラーなどの導電性接合材166を介して、多層基板154の最上面164(例えば、導電層)に取り付けることができる。各ICチップ160は、多層基板154の最上面164から離間させることができる。換言すれば、自由空間ギャップ(例えば、空気又は空隙)は、各ICチップ160の表面を多層基板154の最上面164から分離させることができる。追加的に、導電性接合材166(例えば、はんだボール)の量は、ICチップ160と多層基板154との間に所望の空間(例えば、自由空間ギャップの大きさ)を提供することができるようにする。いくつかの実施例では、各ICチップ160は、対応する誘電体基板156と外接することができる。このような状況では、導電性接合材166によって形成された電気接続は、対応する誘電体基板156の周辺部付近に形成することができる。
【0086】
多層基板154は、BFN回路などの回路を含むことができる。追加的に、多層基板154は、ICチップ160に信号を提供することができる電力回路及び/又はコントローラに結合することができる。動作中、各ICチップ160は、多層基板154と給電部158との間で通信される信号を調整する(例えば、増幅、フィルタリング、かつ/又は位相シフトさせる)ことができる。
【0087】
いくつかの実施例では、各ICチップ160は、誘電体基板156とICチップ160との間に導電性境界面を提供することができるICチップ境界面168を含むことができる。いくつかの実施例では、各ICチップ160を反転させて誘電体基板156の下面162に装着することができる。このアーキテクチャは、ICチップ160を給電部158に対して相対的に近接させて配置することによって、損失を削減する。追加的に、誘電体基板156は、多層基板154とICチップ160との間に電気経路を提供するビア及び/又はトレースを含むことができる。このようにして、多層基板154からICチップ160に提供された信号は、誘電体基板156を通ってルーティングすることができる。具体的には、多層基板154とICチップ160との間で通信された信号は、導電性接合材166を通過し、誘電体基板156のビア及び/又はトレースを通過し、ICチップ境界面168を通過することができる。追加的に、ICチップ160と給電部158との間で通信された信号は、ICチップ境界面168を通過し、誘電体基板156を通過することができる。
【0088】
アンテナパッケージ170は、誘電体基板156の最上面159に接着することができる。アンテナパッケージ170は、
図4のアンテナパッケージ130により実現することができる。したがって、アンテナパッケージ170は、プラスチックアンテナ支持体174の空洞内に配置された放射素子172を含むことができる。放射素子172は、プラスチックアンテナ支持体174によって形成されたエアギャップ又は空隙176によって給電部158から離間させることができる。このようにして、給電部158及び放射素子172は、アンテナ素子の構成部品として連携して動作することができる。具体的には、給電部158と通信される信号は、放射素子172によって結合することができる。
【0089】
図5のフェーズドアレイアンテナ150に示すアーキテクチャを用いることにより、多層基板154とICチップ160との間の電気経路を、ICチップ160の片側で単一のIC境界面168を用いて実現することができる。
図5のフェーズドアレイアンテナ150に示すアーキテクチャを用いることにより、各アンテナ素子モジュール102のICチップ160は、BFN回路及び/又は多層基板154の電力システム及び制御システムに接続されたビア及び/又はトレースに間接的に結合することができる。
【0090】
図6は、
図4及び
図5の誘電体基板106などの誘電体基板200の側断面図を示す。誘電体基板200は、
図5のフェーズドアレイアンテナ150のアンテナ素子モジュール152などのアンテナ素子モジュールで用いることができる。誘電体基板200は、複数の積層体を含む。誘電体基板200の最下層は、ICチップ層201として実装することができる。誘電体基板200は、ビア層250及び信号層280などの内部層を含んでもよい。誘電体基板200は、給電層300として実装されている最上層を更に含むことができる。
図6に列挙されている層は、網羅的であることを意味するものではない。例えば、このような絶縁(誘電体)層及び/又はグラウンドプレーン層のいくつかの層は、説明を簡潔にする目的で図示されていない。
【0091】
図7は、
図5のフェーズドアレイアンテナ150のアンテナ素子モジュール152など、アンテナ素子モジュールの
図1のICチップ層201の平面図を示す。ICチップ層201は、誘電体基板200の下面を代表することができる。図示の例では、誘電体基板200の下面と多層基板(
図6には示されておらず、
図5の参照番号154を参照されたい)との間の導電性接合材202(例えば、はんだボール、ピラーなど)の様々な群を含むことができる。
【0092】
導電性接合材202は、ボールグリッドアレイ(ball grid array、BGA)に配設することができる。具体的には、図示の例では、導電性接合材202bは、誘電体基板200の下面の周辺に沿って配設されている。導電性接合材206bは、
図5を参照して上述したように、ICチップ208と多層基板との間に所望の空間を提供することができる。導電性接合材206bのいくつか又は全部は、外部の電磁波源からICチップ208を遮蔽するためのグラウンドに接続することができる。別の例として、導電性接合材206bの1つ以上は、ICチップ208の対応するポートに結合された1つ以上の導電性トレース(図示せず)を介して、ICチップ208に電力を供給するために使用される供給電圧(又は複数の供給電圧)に接続してもよい。更に別の例として、導電性接合材202bの1つ以上は、ICチップの対応するポートに結合された導電性トレース(図示せず)を介してICチップ208に制御信号を提供するために、多層基板内の制御線に接続してもよい。図示の例では、導電性接合材202bは、周辺部に沿って配設されているものとして示しているが、他の実施例では、異なる様式で配設してもよい。
【0093】
図示の例では、多層基板とICチップ208上のポート(例えば、パッド、リードなど)との間で信号を通信するための電気経路は、導電性接合材202a、導電性トレース210、及び導電性接合材(例えば、はんだなど)212aによって提供される。したがって、導電性接合材202aは、多層基板の最上面から、誘電体基板200の最下面上の導電性トレース210(例えば、パターン化された金属材料)まで延在している。導電性トレース210は、導電性接合材202aと、ICチップ208上のポートに接着された導電性接合材212aとの間に延在している。代替的に、電気経路が確立される様式は、異なっていてもよい。
【0094】
図示の例では、ICチップ208の1つ以上のポートと給電部(図示せず)との間で信号を通信するための電気経路は、誘電体基板2200の最下面とICチップ208の上面との間に延在している導電性接合材(例えば、はんだ)によって提供される。図示の例では、給電部は、2つのポートを有する、直交するように配設されたスロットとして実現することができ、したがって、(例えば、水平偏波に対応する)第1の信号は、ICチップ208の第1のポートと、導電性接合材214b-1を通る給電部の第1のポート216との間で通信され、(例えば、垂直偏波に対応する)第2の信号は、ICチップ208の第2のポートと、導電性接合材214b-2を通る給電部の第2のポート218との間で通信される。代替的に、電気経路がICチップと給電部との間で確立される様式は、異なっていてもよい。
【0095】
図示の例では、追加の導電性接合材が、ICチップ208の周辺に沿って配設されており、上述のように導電性接合材202b及び導電性トレース(図示せず)によってグラウンド、直流電源電圧(複数可)などを提供するように、ICチップ208上の他のポートと多層基板との間に追加の電気経路を提供する。
【0096】
図8Aは、
図6に示す誘電体基板200のビア層250(内部層)の一例の上面図を示す。このビア層は、第1のビア252及び第2のビア254を含むことができ、これらのビアは、誘電体基板200のそれぞれのICチップ層201の、
図7の第1のポート216及び第2のポート218に結合することができる。ビア層250は、
図7のICチップ層201の上方に置くことができる。第1のビア252及び第2のビア254の各々は、非導電性材料から形成された遮蔽領域256によって包囲することができる。
【0097】
図8Bは、
図8Aのビア層250及び
図7のICチップ層201の上方に置くことができる、
図6の誘電体基板200の信号層280(別の内部層)の一例を示す。信号層280は、エッチング領域282を含むことができる。信号層280は、第1のビア284の終端部及び第2のビア286の終端部を含む。第1のビア284の終端部は、
図8Aの第1のビア252及び
図7の第1のポート216に結合することができる。第2のビア286の終端部は、
図7の第2のビア254及び
図7の第2のポート218に結合することができる。追加的に、第1のビア284の終端部及び第2のビア286の終端部は、非導電性材料から形成された遮蔽領域288によって部分的に包囲することができる。
【0098】
エッチング領域282は、非導電性材料から形成することができる。追加的に、エッチング領域282は、導電性材料(例えば、金属)からそれぞれ形成することができる第1のマイクロストリップ線290及び第2のマイクロストリップ線292を含むことができる。第1のマイクロストリップ線290及び第2のマイクロストリップ線292は、それぞれのスロットの下方になるように成形することができる。
【0099】
図9は、
図8Bの信号層280、
図8Aのビア層250、及び
図7のICチップ層201の上方に置くことができる、
図6に示す誘電体基板200の給電層300の平面図の一例を示す。給電層300は、誘電体基板200の最上面上に配置されるか、又は最上面と一体化してもよい。給電層300は、信号層280、
図8Aのビア層250、及び
図7のICチップ層201の上方に置くことができる。給電層300は、導電性材料(例えば、金属)にそれぞれ形成することができる第1のスロット302及び第2のスロット304を含むことができる。第1のスロット302及び第2のスロット304は、アンテナ素子のための給電部の構成要素として各々実装することができる。したがって、第1のスロット302及び第2のスロット304は、互いに対して直交するように配設することができる。追加的に、2つのスロットが
図9に示されているが、他の実施例では、より多くの又はより少ないスロットが存在してもよい。
【0100】
図10~
図19では、アンテナパッケージの例を示す。更に、
図10~
図19では、同じ構造を示すために同じ参照番号を用いる。更に、説明を簡潔にする目的で、いくつかの参照番号は、各図に対して含まれない、かつ/又は再導入されていない。
【0101】
図10は、アンテナパッケージ400の一例の斜視図を示し、
図11は、アンテナパッケージ400の側面図を示す。
図10及び
図11は、同じ構造を示すために同じ参照番号を用いる。更に、特に断りがない限り、アンテナパッケージ400の素子への参照は、
図10及び
図11の両方に適用される。アンテナパッケージ400は、
図1のアンテナパッケージ22、
図2のアンテナパッケージ70、及び/又は
図3のアンテナパッケージ130を実現するために用いることができる。
【0102】
アンテナパッケージ400は、射出成形又は熱成形(熱形成とも呼ばれる)技術によって形成することができる。アンテナパッケージ400は、プラスチックアンテナ支持体402を含むことができる。プラスチックアンテナ支持体402は、本体部分404、及び本体部分404から延在している複数の脚部406を含むことができる。本実施例では、本体部分404は、矩形のベース形状を有することができる。しかしながら、他の実施例では、他のベース形状が可能である。より具体的には、本体部分404は、規則的なタイルベース形状(例えば、三角形、矩形、六角形など)を有することができる。
【0103】
脚部406は、プラスチックアンテナ支持体402の各頂点(例えば、角部)に配置することができる。脚部406は、長さ約0.25mm~約2mmを有することができる。各脚部は、少なくとも1つの抜き勾配410を含むことができ、この抜き勾配は、鈍角である抜き勾配の箇所において本体部分から離れるように延在する。いくつかの実施例では、抜き勾配410は、90度未満の角度であってもよい。抜き勾配410により、アンテナパッケージ400を製造するために用いられる射出成形又は熱成形技術を容易にすることができる。
【0104】
本体部分404は、放射素子414のために成形された空洞412を含むことができる。したがって、空洞412は、本体部分404の最上面の凹部として実装することができる。いくつかの実施例では、空洞412内の縁部表面418は、本体部分404の最上面416に対して抜き勾配(例えば、90度未満の角度)をもって形成することができる。放射素子414は、パッチアンテナとして実装することができる。本明細書で使用するとき、「パッチアンテナ」という用語は、平坦な(又はほぼ平坦な)表面上に取り付けられた、薄型のアンテナを指す。パッチアンテナは、大きな平坦な(又はほぼ平坦な)表面上に取り付けられた平坦なシート又はパッチを含む。放射素子414は、空洞412内に配置することができる。したがって、空洞412は、放射素子414を包み込んで最上面416と同一平面を形成するように成形することができる。他の実施例では、放射素子414は、本体部分404の最上面416を越えて延在することができる。更に他の実施例では、放射素子414は、本体部分404の最上面416よりも下の高さまで延在してもよい。
【0105】
いくつかの実施例では、放射素子414は、電気めっき又はインサート成形方法により、空洞412内に形成又は配置することができる。放射素子414は、プラスチックなどの低損失誘電材料により実装することができる。しかしながら、プラスチックアンテナ支持体402を製造するために用いられるプラスチックは、放射素子414を製造するために用いられるプラスチックとは異なる種類のプラスチックである。
【0106】
上述したように、アンテナパッケージ400は、給電部(例えば、
図9に示す第1のスロット302及び第2のスロット304)を含むことができる誘電体(例えば、
図9の給電層300)の最上面に接着させるように設計することができる。したがって、プラスチックアンテナ支持体402は、脚部406が放射素子414を給電部から離間させ、それにより、放射素子414と給電部との間にエアギャップ又は空隙を形成するように構成することができる。動作中、放射素子414は、自由空間と給電部との間にEM波を結合する。
【0107】
図12は、アンテナパッケージ500の一例の斜視図を示し、
図13は、アンテナパッケージ500の側面図を示す。更に、特に断りがない限り、アンテナパッケージ500の素子への参照は、
図12及び
図13のいずれか、又は両方に適用することができる。
【0108】
アンテナパッケージ500は、
図10~
図11に示すアンテナパッケージ400と同様である。更に、アンテナパッケージ500は、放射素子504のために成形された第1の空洞502、及びアンテナ素子の寄生素子508のために成形された第2の空洞506を含むことができる。第1の空洞502は、プラスチックアンテナ支持体402の本体部分404の最上面416上に形成することができる。第2の空洞506は、プラスチックアンテナ支持体402の本体部分404の最下面510上に形成することができる。いくつかの実施例では、図示のように、空隙又はエアギャップ512は、第1の空洞502を第2の空洞506から分離する。他の実施例では、本体部分404の固体材料(例えば、プラスチック)が第1の空洞502と第2の空洞506との間に介在するように、空隙又はエアギャップ512を省略することができる。
【0109】
空隙又はエアギャップ512は、第1の空洞502及び第2の空洞506よりも小さい直径を有することができる。空隙又はエアギャップ512が含まれる実施例では、放射素子504は、放射素子504の周囲の周りにプラスチックリングを形成するようにインサート成形することができる。このような状況では、プラスチックリングは、放射素子504の縁部にわたって延在することができる。更に、寄生素子508は、放射素子504と同様のやり方で作製することができる。放射素子504及び寄生素子508を形成する際、プラスチックアンテナ支持体402は、第1の空洞502、第2の空洞506、及び第1の空洞502と第2の空洞506との間の空隙又はエアギャップ512と共に形成することができる。第1の空洞502、第2の空洞506、及び空隙又はエアギャップ512の組み合わせは、組み合わされたた空洞509と呼ぶことができる。したがって、空隙又はエアギャップ512に対応する、組み合わされた空洞509の中央部は、成形された放射素子504及び寄生素子508を挿入する幅よりも狭くすることができる。追加的に、組み合わされた空洞509は、放射素子504及び寄生素子508が配置された場所、すなわち、第1の空洞502及び第2の空洞506の領域をより広くすることができる。したがって、組み合わされた空洞509によりプラスチックアンテナ支持体402を形成する際、放射素子504及び寄生素子508は、組み合わされた空洞509内の広い領域、すなわち、第1の空洞502及び第2の空洞506内にそれぞれ(例えば、合成された空洞509の広い部分)に配設することができる。したがって、放射素子504及び寄生素子508のプラスチックリングは、プラスチックアンテナ支持体402の材料上に載置され、それによって支持することができる。
【0110】
第1の空洞502は、第2の空洞506の上方に置くことができる。放射素子504は、第1の空洞502内に配置することができ、寄生素子508は第2の空洞506内に配置することができる。
【0111】
放射素子504及び寄生素子508は、パッチアンテナとして実装することができる。追加的に、放射素子504及び寄生素子508は、丸い形状(例えば、円形)であるように図示されているが、他の実施例では、放射素子504及び寄生素子508は、多角形(例えば、矩形)であってもよい。したがって、放射素子504は、寄生素子508の上方に置くことができる。寄生素子508を含むことにより、給電部と自由空間との間で通信される電磁波に更なる方向性が付加される。
【0112】
図14は、アンテナパッケージ550の一例の斜視図を示し、
図15は、アンテナパッケージ550の側面図を示す。更に、特に断りがない限り、アンテナパッケージ550の素子への参照は、
図14及び
図15のいずれか、又は両方に適用することができる。
【0113】
アンテナパッケージ550は、
図10~
図11に示すアンテナパッケージ400、及び
図11~
図12に示すアンテナパッケージ500と同様である。更に、アンテナパッケージ550は、4つの異なるアンテナ素子554の一組の放射素子554のための第1の組の空洞552を含むことができる。アンテナパッケージ550はまた、4つの異なるアンテナ素子554の一組の寄生素子558のための第2の組の空洞556を含むことができる。
【0114】
第1の組の空洞552内の各空洞552は、本体部分404の最上面416に形成又はこれと一体化することができる。追加的に、第2の組の空洞556内の各空洞556は、本体部分404の最下面510上に形成されるか、又はそれと一体化することができる。追加的に、第1の組の空洞552内の各空洞552は、第2の組の空洞556内のそれぞれの空洞556の上方に置くことができる。したがって、一組の放射素子554内の各放射素子554は、第2の組の寄生素子558内のそれぞれの寄生素子558の上方に置くことができる。
【0115】
一組の放射素子554内の各放射素子554及び一組の寄生素子558内の各寄生素子558は、パッチアンテナとして実装することができる。追加的に、一組の放射素子554内の各放射素子554及び一組の寄生素子558内の各寄生素子558は、丸い形状(例えば、円形)であるように図示されているが、他の実施例では、放射素子504及び寄生素子508は、多角形(例えば、矩形)であってもよい。一組の放射素子554内の各放射素子554及び一組の寄生素子558内の各放射素子554は、フェーズドアレイアンテナの格子内に配置することができる。本実施例では、一組の放射素子554に4つの放射素子554、及び一組の寄生素子558に4つの寄生素子558が存在する。しかしながら、他の実施例では、一組の放射素子554の放射素子554及び一組の寄生素子558の寄生素子558が、より多い又は少ない実例で存在してもよい。
【0116】
更に、本体部分404の最上面416は、プラスチックアンテナ支持体402の本体部分404を横断する第1の凹溝570及び第2の凹溝572を含むことができる。第1の凹溝570及び第2の凹溝572は、プラスチックアンテナ支持体402の本体部分404の一方の縁部から反対側の縁部まで延在している溝(例えば、正方形の溝など)として各々実現することができる。第1の凹溝570及び第2の凹溝572は、本体部分404の中間部574付近で交差することができる。このようにして、第1の組の放射素子554の各放射素子554は、第1の凹溝570又は第2の凹溝572によって互いに分離することができる。
【0117】
各放射素子554は、特定のアンテナ素子内で下方にある寄生素子558と群化することができる。したがって、図示の例では、アンテナパッケージ400は、4つのアンテナ素子、すなわち、第1のアンテナ素子580、第2のアンテナ素子582、第3のアンテナ素子584、及び第4のアンテナ素子586のための構成要素を含む。本明細書に説明するように、アンテナパッケージ550は、連続した材料(例えば、ポリマー)から形成されたプラスチックアンテナ支持体402を含む(単一の)アンテナ素子モジュールの誘電体基板上に取り付けることができる。このような状況では、結果として得られるアンテナ素子モジュールは、第1の凹溝570及び第2の凹溝572によって分離された4つのアンテナ素子を収容することができる。
【0118】
動作中、一組の放射素子554の放射素子554と通信されるEM波は、表面波を本体部分404の最上面416にわたって伝搬させることができる。第1の凹溝570及び第2の凹溝572は、プラスチックアンテナ支持体402に屈折率不連続性を提供し、この不連続性は、このような表面波の流れを中断させ、かつ/又は妨害する。
【0119】
図16は、アンテナパッケージ700の一例の斜視図を示し、
図17は、アンテナパッケージ700の側面図を示す。更に、特に断りがない限り、アンテナパッケージ700の素子への参照は、
図16及び
図17のいずれか、又は両方に適用することができる。
【0120】
アンテナパッケージ700は、単一のアンテナパッケージに一体化することができる、
図14及び
図15のアンテナパッケージ550の4つの実例を代表する。したがって、アンテナパッケージ700は、一組の放射素子554の16個の放射素子554、及び一組の寄生素子558の16個の寄生要素558を含むことができる。
図14~
図15のアンテナパッケージ550と同様に、アンテナパッケージ700は、16個のアンテナ素子のための構成要素を収容する(単一の)アンテナ素子モジュールに実装することができる。
【0121】
更に、アンテナパッケージ700に使用可能なアンテナ素子の数は制限されない。例えば、いくつかの実施例では、フェーズドアレイアンテナ全体に対して十分な数(例えば、数百又は数千)の組の放射素子554及び寄生素子558が存在してもよい。
【0122】
図18は、アンテナパッケージ750の一例の斜視図を示し、
図19は、アンテナパッケージ750の側面図を示す。アンテナパッケージ750は、
図12及び
図13のアンテナパッケージ500と同様である。アンテナパッケージ750は、プラスチックアンテナ支持体402の本体部分404の最上面416内に配置されたアンテナ素子の放射素子754のための第1の空洞752を含むことができる。更に、アンテナパッケージ750は、本体部分404の最下面510内のアンテナ素子の寄生素子758のための第2の空洞756を含むことができる。第1のアンテナ素子754は、寄生素子758の上方に置かれている。
【0123】
放射素子754及び寄生素子758は、パッチアンテナとして実装することができる。放射素子754及び寄生素子758は、多角形(例えば、矩形)形状を各々有することができる。
【0124】
図20は、アンテナパッケージ800の一例の斜視図を示し、
図21は、アンテナパッケージ800の側面図を示す。
図20及び
図21は、同じ構造を示すために同じ参照番号を用いる。更に、特に断りがない限り、アンテナパッケージ800の素子への参照は、
図10及び
図11の両方に適用される。アンテナパッケージ800は、
図1のアンテナパッケージ22、
図2のアンテナパッケージ70、及び/又は
図3のアンテナパッケージ130を実現するために用いることができる。
【0125】
アンテナパッケージ800は、本体部分804及び脚部806を有するプラスチックアンテナ支持体802を含むことができる。アンテナパッケージ800は、
図10のアンテナパッケージ400と同様である。本体部分804は、
図10~
図19の本体部分404の矩形ベース形状ではなく、六角形のベース形状を有することができる。各脚部806は、本体部分804の頂点に配置することができる。追加的に、いくつかの実施例では、各脚部806は、長さ約0.25mm~約2mmを有することができる。更に、アンテナパッケージ800は、プラスチックアンテナ支持体802の本体部分804の最上面810により形成又はこれと一体化された空洞808を含むことができる。放射素子812は、空洞808内に配置することができる。
【0126】
アンテナパッケージ800は、
図12~
図17に関連して図示及び説明するように、複数組の空洞及び複数組の放射素子を含むように適合することができる。追加的に、放射素子812は、丸い形状であるように図示しているが、他の実施例では、放射素子812は、
図18及び
図19に示す放射素子754のような多角形形状を有することができる。
【0127】
図22は、アンテナ素子モジュール8及び/又は
図2のアンテナ素子モジュール52を実現するために用いることができるアンテナ素子モジュール900の平面図を示す。
図23は、アンテナ素子モジュール900の側面図を示す。
図22及び23は、同じ構造を示すために同じ参照番号を用いる。アンテナ素子モジュール900は、
図1の多層基板10及び/又は
図2及び
図3の多層基板54などの多層基板上に取り付けることができる。アンテナ素子モジュール900は、アンテナパッケージ902を含むことができる。アンテナパッケージ902は、例えば、
図14及び
図15のアンテナパッケージ550によって実現することができる。
【0128】
アンテナ素子モジュール900は、第1の誘電体基板906の最上面909上に配置された給電部908、又は最上面と一体化された給電部908を有する第1の誘電体基板906を含むことができる。各給電部908は、例えば、スロットとして、又は直交するように配設された一対のスロットとして実装することができる。図示の実施例では、このような給電部の4つの実例(例えば、直交するように配設された4対のスロット)が存在する。
【0129】
第1の誘電体基板906は、第1の誘電体基板906の最下面914上のBGA(ボールグリッドアレイ)として配設することができるはんだボール912の第1の層を介して、第2の誘電体基板910(例えば、回路ボード)に取り付けることができる。第1のICチップ916は、第2の誘電体基板910の最上面917に接着する(取り付ける)ことができる。第2のICチップ918及び第3のICチップ920は、第2の誘電体基板910の最下面921上に接着する(取り付ける)ことができる。第2の誘電体基板910の最下面921は、多層基板上にアンテナ素子モジュール900を取り付けるためにBGAに配設されたはんだボール922を含むことができる。いくつかの実施例では、第2のICチップ918及び第3のICチップ920は、第1の誘電体基板906のビア、第2の誘電体基板910のはんだボール912及びビアを介して、それぞれの給電部と通信することができる。同様に、第2のICチップ918及び第3のICチップ920は、第2の誘電体基板910のビアを介して第1のICチップ916と通信することができる。追加的に、多層基板は、第1のICチップ916、第2のICチップ918に信号を提供することができる電力回路及び/又はコントローラに結合することができる。このようにして、第2の誘電体基板のビア及びはんだボール922は、第1のICチップ916と多層基板との間の通信を可能にすることができる。
【0130】
動作の一例では、第2のICチップ918及び第3のICチップ920は、対応する給電部908と第1のICチップ916との間で通信される信号を介在する。更に、第1のICチップ916、第2のICチップ918、及び第3のICチップ920は、給電部908と多層基板との間で通信される信号を調整する(例えば、増幅、フィルタリング、かつ/又は位相シフトさせる)ことができる。
【0131】
更に、アンテナパッケージ902は、第1の誘電体基板906の最上面909に接着することができる。本明細書に記載されるように、アンテナパッケージ902のプラスチックアンテナ支持体932の脚部930は、給電部908と放射素子926との間のギャップ934(例えば、エアギャップ又は空隙)を維持する。更に、給電部908と通信される信号は、放射素子926によって結合することができる。例えば、受信モードでは、外部ソースからのEM信号を放射素子926によって受信することができ、このEM信号は、それぞれの給電部908に結合され、第1のICチップ916、第2のICチップ918、及び/又は第3のICチップ920と通信するために給電部908によって電気信号に変換される。逆に、送信モードでは、信号は、第2のICチップ918及び/又は第3のICチップ920から給電部908に通信される。給電部908は、このような信号を、放射素子926によって自由空間内に伝播させることができるEM信号に変換する。
【0132】
図示のように、アンテナ素子モジュール900は、4つのアンテナ素子、すなわち、第1のアンテナ素子940、第2のアンテナ素子942、第3のアンテナ素子944、及び第4のアンテナ素子946を含む。各アンテナ素子は、給電部908の上方に置かれた放射素子925を含む。更に、上述したように、いくつかの実施例では、寄生素子は、放射素子926と給電部908との間に介在することができる。プラスチックアンテナ支持体932は、連続したプラスチック材料から形成することができる。第1のアンテナ素子940、第2のアンテナ素子942、第3のアンテナ素子944、及び第4のアンテナ素子946の各々は、アンテナ素子間の望ましくない表面波伝搬を防止する第1の凹溝948及び第2の凹溝950によって分離することができる。
【0133】
図24及び
図25は、
図1のアンテナ素子モジュール8、
図2~
図3のアンテナ素子モジュール52、
図3のアンテナ素子モジュール102、
図4のアンテナ素子モジュール152、及び/又は
図21並びに
図22のアンテナ素子モジュール900などのアンテナ素子モジュールを製造するためのパッケージングプロセスを示す。
図24及び25は、同じ構造を示すために同じ参照番号を用いる。追加的に、特に断りがない限り、素子への参照は、
図24及び
図25のいずれか、又は両方に適用される。
【0134】
図24は、ICチップの4つのアレイ1002を誘電体基板1000上に取り付けることができる誘電体基板1000を示す。他の実施例では、より多い又は少ないICチップ1004のアレイが存在してもよい。ICチップの各アレイ1002は、誘電体基板1000上に取り付けられた16個のICチップ1004(例えば、4行及び4列のICチップ1004)を含むことができ、ICチップ1004のうちのいくつかのみが図示されている。ICチップ1004は、フリップチップパッケージングプロセスで誘電体基板1000の最下面1006上に取り付けることができる。別の言い方をすれば、ICチップ1004の各々を、誘電体基板1000の露出面(例えば、最下面1006)上に取り付け、誘電体基板1000を反転させることができる。
【0135】
最上面1010が露出されるように誘電体基板1000を反転させると、アンテナパッケージの4つのアレイ1008を、
図25に示すように、誘電体基板1000の最上面1010に接着することができる。例示される実施例では、アンテナパッケージの各アレイ1008は、16個のアンテナパッケージ1014(例えば、4行及び4列のアンテナパッケージ1014)を含むことができ、アンテナパッケージ1014のうちのいくつかのみが図示されている。しかしながら、他の実施例では、より多い又は少ないアンテナパッケージ1014が存在してもよい。各アンテナパッケージ1014は、対応するICチップ1004の上に置くことができる。アンテナパッケージのアレイ1008を誘電体基板1000に接着した後、誘電体基板1000は、個片化プロセスにおいてレーザ又は鋸で切断され、アンテナ素子モジュールを提供することができる。より具体的には、誘電体基板1000をレーザ又は鋸で切断して、任意の数のICチップ1004及びアンテナパッケージ1008を有するセットアンテナ素子モジュールを提供することができる。結果として得られるアンテナ素子モジュールは、本明細書に記載されるやり方で、多層基板(例えば、
図1の多層基板10、
図2の多層基板54、
図4の多層基板104、及び/又は
図5の多層基板154)上に取り付けることができる。
【0136】
図26は、
図1のフェーズドアレイアンテナ2、及び/又は受信モードで動作する
図2及び
図3のフェーズドアレイアンテナ50の論理的相互接続を図示する、例示的なフェーズドアレイアンテナ1200のブロック図を示す。更に、
図4のフェーズドアレイアンテナ100のアーキテクチャ、又は
図5のフェーズドアレイアンテナ150のアーキテクチャを用いて、
図26のフェーズドアレイアンテナ1200を実現することができる。図示の例では、N個のアンテナ素子モジュール1202は、受信(RX)BFN回路1204と通信する。
【0137】
N個のアンテナ素子モジュール1202の各々は、誘電体基板1206上に配置された、又は誘電体基板1206と一体化された給電部1208(例えば、スロット又は直交するように配設された一対のスロット)を有する誘電体基板1206を含むことができる。N個のアンテナ素子モジュール1202の各々はまた、誘電体基板1206上に取り付けられたICチップ1210を含むことができる。図示の例では、各ICチップ1210は、増幅器1212及び位相シフタ1214を含むことができる。ICチップ1210は、外部システム(例えば、ローカルシステム)に実装することができるコントローラ1216から制御信号を受信することができる。いくつかの実施例では、制御信号は、各増幅器1212の利得、及び/又は各位相シフタ1214によって適用される位相シフトを制御することができる。したがって、いくつかの実施例では、各増幅器1212は、可変利得増幅器、交換アッテネータ回路などとして実現することができる。
【0138】
N個のアンテナ素子モジュール1202の各々は、誘電体基板1206に接着されたアンテナパッケージ1220を更に含むことができる。アンテナパッケージ1220は、エアギャップを介して給電部1208から離間された放射素子1222を含むことができる。
【0139】
動作中、N個の放射素子1222(又はそのいくつかのサブセット)の各々が受信したEM信号は、誘電体基板1206の対応する給電部1208に向けて結合することができる。N個の給電部1208の各々は、EM信号を、対応するICチップ1210に調整のために提供され得る電気信号に変換することができる。ICチップ1210の各増幅器1212は、提供された電気信号を増幅することができ、各位相シフタ1214は、N個の素子信号を出力するために位相シフトを適用することができ、これを代替的に調整された信号と呼ぶことができる。
図26のフェーズドアレイアンテナ1200のいくつかの実施例では、位相シフタ1214は、コントローラ1216から提供された制御信号に応じて位相調整可変量を適用することができる。追加的に又は代替的に、増幅器1212は、コントローラ1216から提供された制御信号に応じて振幅調整可変量を提供することができる。N個の素子信号を、RX BFN回路1204に提供することができる。RX BFN回路1204は、N個の素子信号を合成して、復調及び処理のためにローカルシステムに提供され得る受信ビーム信号を形成することができる。
【0140】
図27は、
図1のフェーズドアレイアンテナ2、及び/又は送信モードで動作する
図2及び
図3のフェーズドアレイアンテナ50の論理的相互接続を図示する、フェーズドアレイアンテナ1300のブロック図を示す。更に、
図4のフェーズドアレイアンテナ100のアーキテクチャ、又は
図5のフェーズドアレイアンテナ150のアーキテクチャを用いて、
図27のフェーズドアレイアンテナ1300を実現することができる。図示の例では、N個のアンテナ素子モジュール1302は、送信(TX)BFN回路1304と通信する。
【0141】
N個のアンテナ素子モジュール1302の各々は、誘電体基板1306上に配置された、又は誘電体基板1306と一体化された給電部1308(例えば、スロット又は直交するように配設された一対のスロット)を有する誘電体基板1306を含むことができる。N個のアンテナ素子モジュール1302の各々はまた、ICチップ1310を含むことができる。図示の例では、各ICチップ1310は、増幅器1312及び位相シフタ1314を含むことができる。ICチップ1310は、外部システム(例えば、ローカルシステム)に実装することができるコントローラ1316から制御信号を受信することができる。いくつかの実施例では、制御信号は、各増幅器1312によって適用される振幅調整可変量、及び/又は各位相シフタ1314によって適用される位相調整可変量を制御することができる。したがって、いくつかの実施例では、各増幅器1312は、可変利得増幅器、交換アッテネータ回路などとして実現することができる。
【0142】
N個のアンテナ素子モジュール1302の各々は、誘電体基板1306に接着されたアンテナパッケージ1320を更に含むことができる。アンテナパッケージ1320は、エアギャップを介して給電部1308から離間された放射素子1322を含むことができる。放射素子1322は、パッチアンテナ又は複数のパッチアンテナとして実現することができる。
【0143】
動作中、送信ビーム信号を、ローカルシステムからTX BFN回路1304に提供することができる。TX BFN回路1304は、送信ビーム信号を、N個のアンテナ素子モジュール1302に提供することができるN個の素子信号に分割する。N個のアンテナ素子モジュール1302の各ICチップ1310は、対応する素子信号を調整して、調整された信号を生成することができ、調整された信号は、対応する給電部1308に提供することができる。N個の給電部1308の各々は、対応する調整された信号を、アンテナパッケージ1320の対応する放射素子1322に向けて伝搬されるEM信号に変換することができる。図示の例では、調整することは、素子信号を位相シフトさせる位相シフタ1314、及び素子信号を増幅する増幅器1312を含むことができる。各放射素子1322は、EM信号として相応に調整された信号を自由空間に結合することができる。
【0144】
図28は、
図1のフェーズドアレイアンテナ2、及び/又は半二重モードで動作する
図2及び
図3のフェーズドアレイアンテナ50の論理的相互接続を図示する、フェーズドアレイアンテナ1400のブロック図を示す。更に、
図4のフェーズドアレイアンテナ100のアーキテクチャ、又は
図5のフェーズドアレイアンテナ150のアーキテクチャを用いて、
図28のフェーズドアレイアンテナ1400を実現することができる。半二重モードでは、フェーズドアレイアンテナ1400は、受信モードと送信モードとの間で切り替わる。図示の例では、N個のアンテナ素子モジュール1402は、BFN回路1404と通信する。
【0145】
N個のアンテナ素子モジュール1402の各々は、誘電体基板上に配置された、又は誘電体基板と一体化され得る給電部1408(例えば、スロット又は直交するように配設された一対のスロット)を有する誘電体基板1406を含むことができる。N個のアンテナ素子モジュール1402の各々はまた、ICチップ1410を含むことができる。図示の例では、各ICチップ1410は、受信経路1412及び送信経路1414を含むことができる。受信経路1412は、対応する給電部1408から受信した信号を調整するための受信増幅器1416及び受信位相シフタ1418を含むことができる。同様に、送信経路1414は、BFN回路1404から提供された、対応する素子信号を調整するための送信増幅器1420及び送信位相シフタ1422を含むことができる。
【0146】
各ICチップ1410はまた、受信モードと送信モードとの間を切り替えるためのスイッチ1424(例えば、トランジスタスイッチ)を含むことができる。ICチップ1410は、外部システム(例えば、ローカルシステム)に実装することコントローラ1430から制御信号を受信することができる。制御信号は、スイッチ1424の状態を制御して、フェーズドアレイアンテナ1400を受信モードから送信モードに切り替えるか、又はその逆に切り替えることができる。追加的に、いくつかの実施例では、コントローラ1430から提供された制御信号は、各受信増幅器1416及び各送信増幅器1420によって適用される振幅調整可変量を制御することができる。したがって、いくつかの実施例では、各受信増幅器1416及び各送信増幅器1420は、可変利得増幅器、交換アッテネータ回路などとして実現することができる。同様に、いくつかの実施例では、コントローラ1430から提供された制御信号は、各受信位相シフタ1418及び各送信位相シフタ1422によって適用される位相調整可変量を制御することができる。
【0147】
N個のアンテナ素子モジュール1402の各々は、誘電体基板1406に接着されたアンテナパッケージ1440を更に含むことができる。アンテナパッケージ1440は、エアギャップを介して給電部1408から離間された放射素子1442を含むことができる。放射素子1442は、パッチアンテナ又は複数のパッチアンテナとして実現することができる。
【0148】
受信モードでの動作中、コントローラ1430は、受信経路1412を通して信号をルーティングするようにICチップ1410のスイッチ1424を設定する。また、受信モードでは、N個の放射素子1442(又はそのいくつかのサブセット)の各々が受信したEM信号は、対応する給電部1408に向けて結合することができ、この信号は、調整のために対応するICチップ1410に提供される。ICチップ1410の各受信増幅器1416は、提供された信号を増幅し、各受信位相シフタ1418は、N個の素子信号を出力するために位相シフトを適用し、これを代替的に調整信号と呼ぶことができる。N個の素子信号は、BFN回路1404に提供することができる。BFN回路1404は、N個の素子信号を合成して受信ビーム信号を形成することができ、この受信ビーム信号は、復調及び処理のためにローカルシステムに提供することができる。
【0149】
送信モードでの動作中、コントローラ1430は、ローカルシステムからBFN回路1404に提供することができるビーム信号を送信するようにスイッチ1424を送信経路1414に設定する。BFN回路1404は、送信ビーム信号を、N個の素子信号に分割し、これら素子信号は、N個のアンテナ素子モジュール1402に提供することができる。N個のアンテナ素子モジュール1402の各ICチップ1410は、対応する素子信号を調整して、調整された信号を生成することができ、この調整された信号は、対応する給電部1408に提供することができる。図示の例では、調整することは、素子信号を位相シフトさせる送信位相シフタ1422、及び素子信号を増幅する送信増幅器1420を含むことができる。各給電部1408は、対応する調整された信号をEM信号として、対応する放射素子1442に向けて伝搬する。更に、放射素子1442は、EM信号を自由空間に結合することができる。
【0150】
半二重モードでは、フェーズドアレイアンテナ1400は、受信モードと送信モードとの間で切り替わる。このようにして、同じアンテナ素子モジュール1402を、RF信号の送信及び受信の両方に用いることができる。
【0151】
図29は、
図1のフェーズドアレイアンテナ2、及び/又は周波数分割二重モードで動作する
図2及び
図3のフェーズドアレイアンテナ50の論理的相互接続を図示する、フェーズドアレイアンテナ1500のブロック図を示す。更に、
図4のフェーズドアレイアンテナ100のアーキテクチャ、又は
図5のフェーズドアレイアンテナ150のアーキテクチャを用いて、
図29のフェーズドアレイアンテナ1500を実現することができる。周波数分割二重モードでは、フェーズドアレイアンテナ1500は、受信帯域で受信されたRF信号を処理し、送信帯域のRF信号を伝搬するための電気回路構成要素を含むことができる。
【0152】
図示の例では、N個のアンテナ素子モジュール1502は、BFN回路1504と通信する。N個のアンテナ素子モジュール1502の各々は、誘電体基板1506上に配置された、又は誘電体基板1506と一体化された給電部1508(例えば、スロット又は直交するように配設された一対のスロット)を有する誘電体基板1506を含むことができる。N個のアンテナ素子モジュール1502の各々はまた、ICチップ1510を含むことができる。図示の例では、各ICチップ1510は、受信経路1512及び送信経路1514を含むことができる。受信経路1512は、対応する給電部1508から受信した信号を調整するための受信増幅器1516及び受信位相シフタ1518を含むことができる。追加的に、受信経路1512は、入力受信フィルタ1520及び出力受信フィルタ1522を含むことができる。入力受信フィルタ1520及び出力受信フィルタ1522は、受信帯域外の周波数の信号を除去する、比較的狭い帯域通過フィルタとして実現することができる。したがって、入力受信フィルタ1520及び出力受信フィルタ1522は、阻止帯域が設定された通過帯域を有することができる。
【0153】
同様に、送信経路1514は、BFN回路1504から提供された、対応する素子信号を調整するための送信増幅器1524及び送信位相シフタ1526を含むことができる。追加的に、送信経路1514は、入力送信フィルタ1528及び出力受信フィルタ1522を含むことができる。入力送信フィルタ1528及び出力送信フィルタ1530は、送信帯域外の周波数の信号を除去する、比較的狭い帯域通過フィルタとして実現することができる。したがって、入力送信フィルタ1528及び出力送信フィルタ1530は、送信帯域に設定された通過帯域を有することができる。
【0154】
ICチップ1510は、外部システム(例えば、ローカルシステム)に実装することコントローラ1540から制御信号を受信することができる。いくつかの実施例では、制御信号は、入力受信フィルタ1520及び出力受信フィルタ1522の通過帯域及び/又は帯域幅を制御する。同様に、いくつかの実施例では、コントローラ1540から提供された制御信号は、入力送信フィルタ1528及び出力送信フィルタ1530の通過帯域及び/又は帯域幅を制御する。追加的に又は代替的に、コントローラ1540から提供された制御信号は、各受信増幅器1516及び各送信増幅器1524によって適用される振幅調整可変量を制御することができる。したがって、いくつかの実施例では、各受信増幅器1516及び各送信増幅器1524は、可変利得増幅器、交換アッテネータ回路などとして実現することができる。同様に、いくつかの実施例では、コントローラ1540から提供された制御信号は、各受信位相シフタ1518及び各送信位相シフタ1526によって適用される位相調整可変量を制御することができる。
【0155】
N個のアンテナ素子モジュール1502の各々は、誘電体基板1506に接着されたアンテナパッケージ1550を更に含むことができる。アンテナパッケージ1550は、空隙又はエアギャップを介して給電部1508から離間された放射素子1552を含むことができる。放射素子1552は、パッチアンテナ又は複数のパッチアンテナとして実現することができる。
【0156】
動作中、フェーズドアレイアンテナ1500は、フェーズドアレイアンテナ1500を横断する信号の周波数に基づいて、受信モード及び送信モードで同時に動作することができる。より具体的には、EM信号は、N個の放射素子1552(又はそれらのいくつかのサブセット)の各々によって受信することができ、これらの信号は、対応する給電部1508に結合することができる。このような給電部1508のそれぞれは、EM信号を電気信号に変換することができ、この電気信号は、調整のために対応するICチップ1510に提供される。入力受信フィルタ1520の通過帯域(受信帯域)内の信号は、対応するICチップ1510の受信経路によって調整(例えば、増幅及び位相シフト)することができる。調整された信号は、出力受信フィルタ1522によってフィルタリングすることができ、BFN回路1504に素子信号として提供される。このようにして、BFN回路1504は、N個のアンテナ素子モジュール1502からN個の素子信号を受信し、受信したN個の素子信号の各々は、受信帯域内にすることができる。
【0157】
追加的に、RF信号の受信と同時に、送信ビーム信号をローカルシステムからBFN回路1504に提供することができる。BFN回路1504は、送信ビーム信号を、N個のアンテナ素子モジュール1502に提供することができるN個の素子信号に分割する。N個のアンテナ素子モジュール1502の各ICチップ1510の入力送信フィルタ1528は、通過帯域(送信帯域)外の信号を除去する。追加的に、送信経路1514は、対応する素子信号を調整(位相シフト及び増幅)して調整された信号を生成することができ、この調整された信号は、出力送信フィルタ1530を通して対応する給電部1508に提供することができる。各給電部1508は、対応する調整された信号をEM信号に変換することができ、このEM信号は、対応する放射素子1552に向けて伝搬される。追加的に、それぞれの対応する放射素子1552は、EM信号を自由空間に結合することができる。
【0158】
フェーズドアレイアンテナ1500では、横断する信号の周波数は、フェーズドアレイアンテナ1500を通る信号のルーティングを制御する。このようにして、同じアンテナ素子モジュール1502を、RF信号の送信及び受信の両方に用いることができる。追加的に、いくつかの実施例では、フェーズドアレイアンテナ1500は、半二重化を提供するために送信モードと受信モードとの間で断続的に切り替わるアーキテクチャを有することができる。
【0159】
図30は、
図1のフェーズドアレイアンテナ2、及び/又は半二重モードの特定の構成であり得る偏波二重モードで動作する
図2並びに
図3のフェーズドアレイアンテナ50の論理的相互接続を図示する、フェーズドアレイアンテナ1600のブロック図を示す。偏波二重モードでは、フェーズドアレイアンテナ1600は、第1の偏波で受信されたRF信号を処理し、第1の偏波に直交する第2の偏波でRF信号を伝搬するための電気回路構成要素を含むことができる。
【0160】
図示の実施例では、N個のアンテナ素子モジュール1602は、BFN回路1604と通信する。N個のアンテナ素子モジュール1602の各々は、誘電体基板1606上に配置された、又は誘電体基板1606と一体化された給電部1608(例えば、スロット又は直交するように配設された一対のスロット)を有する誘電体基板1606を含むことができる。N個のアンテナ素子モジュール1602の各々はまた、ICチップ1610を含むことができる。図示の例では、各ICチップ1610は、受信経路1612及び送信経路1614を含むことができる。受信経路1612は、対応する給電部1608から受信した信号を調整するための受信増幅器1616及び受信位相シフタ1618を含むことができる。同様に、送信経路1614は、BFN回路1604から提供された、対応する素子信号を調整するための送信増幅器1620及び送信位相シフタ1622を含むことができる。
【0161】
受信経路1612は、給電部1608の第1のポート1624に結合することができ、送信経路1614は、給電部1608の第2のポート1626に結合することができる。給電部1608の第1のポート1624は、給電部1608で受信された、第1の偏波のEM信号から変換された電気信号を出力するように構成することができ、給電部1608の第2のポート1626は、電気信号を、給電部1608で受信された、第1の偏波に直交する第2の偏波のEM信号に変換するように構成することができる。例えば、第1の偏波は、垂直偏波であってもよく、第2の偏波は、水平偏波であってもよく、逆もまた同様である。代替的に、第1の偏波は、右旋円偏波(right hand circular polarization、RHCP)であってもよく、第2の偏波は、左旋円偏波(left hand circular polarization、LHCP)であってもよく、逆もまた同様である。
【0162】
各ICチップ1610はまた、受信モードと送信モードとの間で切り替わるためのスイッチ1628(例えば、トランジスタスイッチ)を含むことができる。ICチップ1610は、外部システム(例えば、ローカルシステム)に実装することのできるコントローラ1630から制御信号を受信することができる。制御信号は、スイッチ1628の状態を制御して、フェーズドアレイアンテナ1600を受信モードから送信モードに切り替えるか、又はその逆に切り替えることができる。追加的に、いくつかの実施例では、コントローラ1630から提供された制御信号は、各受信増幅器1616及び各送信増幅器1620によって適用される振幅調整可変量を制御することができる。したがって、いくつかの実施例では、各受信増幅器1616及び各送信増幅器1620は、可変利得増幅器、交換アッテネータ回路などとして実現することができる。同様に、いくつかの実施例では、コントローラ1630から提供された制御信号は、各受信位相シフタ1618及び各送信位相シフタ1622によって適用される位相調整可変量を制御することができる。
【0163】
N個のアンテナ素子モジュール1602の各々は、誘電体基板1606に接着されたアンテナパッケージ1640を更に含むことができる。アンテナパッケージ1640は、エアギャップを介して給電部1408から離間された放射素子1642を含むことができる。放射素子1642は、パッチアンテナ又は複数のパッチアンテナとして実現することができる。
【0164】
受信モードでの動作中、コントローラ1630は、受信経路1612を通して信号をルーティングするようにICチップ1610のスイッチ1628を設定する。更に、受信モードでは、N個の放射素子1642(又はそれらのいくつかのサブセット)の各々によって受信された第1の偏波二重モードにおけるEM信号は、対応する給電部1608に向けて結合することができる。給電部1608は、EM信号を電気信号に変換することができ、この電気信号は、調整のために対応するICチップ1610に提供することができる。ICチップ1610の各受信増幅器1616は、提供された信号を増幅することができ、各受信位相シフタ1618は、N個の素子信号を出力するために位相シフトを適用することができ、これを代替的に調整信号と呼ぶことができる。N個の素子信号を、BFN回路1604に提供することができる。BFN回路1604は、N個の素子信号を合成して受信ビーム信号を形成することができ、この受信ビーム信号は、復調及び処理のためにローカルシステムに提供することができる。
【0165】
送信モードでの動作中、コントローラ1630は、ビーム信号を送信するようにスイッチ1628を送信経路1614に設定し、このビーム信号は、ローカルシステムからBFN回路1604に提供することができる。BFN回路1604は、送信ビーム信号を、N個のアンテナ素子モジュール1602に提供することができるN個の素子信号に分割する。N個のアンテナ素子モジュール1602の各ICチップ1610は、対応する素子信号を調整して調整された信号を生成することができ、この調整された信号は、対応する給電部1608に提供することができる。図示の例では、調整することは、素子信号を位相シフトさせる送信位相シフタ1622、及び素子信号を増幅する送信増幅器1620を含むことができる。各給電部1608は、調整された信号をEM信号に変換することができ、このEM信号をアンテナパッケージ1640の対応する放射素子1642に向けて伝搬する。放射素子1642は、EM信号を自由空間に結合することができる。
【0166】
偏波二重モードでは、フェーズドアレイアンテナ1600は、受信モードと送信モードとの間で切り替わる。しかしながら、放射素子1608の第1のポート1624における信号と第2のポート1626における信号の直交関係を利用することにより、各アンテナ素子モジュール1602は、損失を低減するために単一のスイッチ1628を用いて実現することができる。追加的に、同じアンテナ素子モジュール1602を、RF信号の送信及び受信の両方に用いることができる。
【0167】
前述の構造及び上で説明した特徴の観点から、例示的な方法は、
図31及び
図32を参照してより良好に認識されるであろう。説明を簡潔にする目的で、
図31及び
図32の例示的な方法は、順次に実行するものとして示し、説明しているが、本実施例は、示した順序に限定されず、他の実施例では、本明細書に示し、説明するものとは異なる順序で、複数回、及び/又は同時に作用動作が生じ得る。更に、記載した全ての作用動作を行って、方法を実施する必要はない。
【0168】
図31は、
図1のアンテナ素子モジュール8、
図2及び
図3のアンテナ素子モジュール52、
図4のアンテナ素子モジュール102、
図5のアンテナ素子モジュール152、及び/又は
図22及び
図23のアンテナ素子モジュール900などの複数のアンテナ素子モジュールを形成するための例示的方法1700のフローチャートを示す。方法1700は、フリップチップパッケージング技術を用いて実現することができる。1710において、複数のICチップ(例えば、
図24のICチップ1004)を、誘電体基板(例えば、
図24の誘電体基板1000)の下面に接着する(取り付ける)ことができる。誘電体基板は、誘電体基板内に複数の給電部を含むことができる。1720において、アンテナパッケージ(例えば、
図25のアンテナパッケージ1008)のアレイを誘電体基板の上面に接着させて、アンテナ素子モジュールのアレイを形成することができる。各アンテナパッケージは、プラスチックアンテナ支持体を含むことができる。プラスチックアンテナ支持体は、放射素子のための空洞を有する本体部分、及び本体部分から誘電体基板まで延在している複数の脚部を含むことができる。プラスチックアンテナ支持体はまた、プラスチックアンテナ支持体の本体部分の空洞内に配置された放射アンテナの放射素子を含むことができる。複数の脚部は、各放射素子を誘電体基板内の給電部から離間させることができる。1730において、アンテナ素子モジュールのアレイを個片化して、複数のアンテナ素子モジュールを形成することができる。
【0169】
図32は、方法1700で用いられるアンテナパッケージなどのアンテナパッケージを形成するための例示的方法1800のフローチャートを示す。いくつかの実施例として、結果として得られるアンテナパッケージを用いて、
図1のアンテナパッケージ22、
図2のアンテナパッケージ70、及び/又は
図3のアンテナパッケージ130を実現することができる。1810において、アンテナパッケージのプラスチックアンテナ支持体(例えば、
図10~
図19のプラスチックアンテナ支持体402又は
図20及び
図21のプラスチックアンテナ支持体802)を形成することができる。プラスチックアンテナ支持体は、例えば、射出成形方法によりアンテナ支持体のアレイプラスチックを形成するために、型枠内に第1のポリマーを注入することによって形成することができる。代替的に、プラスチックアンテナ支持体は、熱成形方法で、第1のポリマーのシートを加熱し、加熱された第1のポリマーのシートを型枠に成形することによって形成することができる。結果として得られるプラスチックアンテナ支持体は、放射素子のための空洞(例えば、
図10及び
図11の空洞412)を含むことができる。1820において、放射素子(例えば、
図10及び
図11の放射素子414)は、アンテナパッケージを形成するためにプラスチックアンテナ支持体の空洞内に形成することができる。放射素子は、第2のポリマーを各プラスチックアンテナ支持体の空洞に注入することによって形成することができる。代替的に、放射素子は、第2のポリマーを取り付けるために、各プラスチックアンテナ支持体の空洞に電気めっきを用いることによって形成することができる。
【0170】
上で説明してきたものは、実施例である。当然ながら、構成要素又は方法論のあらゆる考えられる組み合わせを説明することはできないが、当業者は、多くの更なる組み合わせ及び順列が可能であることを認識するであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲を含む、本出願の範囲内に入る全てのそのような代替例、修正例、及び変形例を包含することを意図している。本明細書で使用するとき、「含む(includes)」という用語は、含むがそれらに限定されないことを意味し、「含んでいる(including)」という用語は、含んでいるがそれらに限定されないことを意味する。「~に基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。加えて、本開示又は特許請求の範囲が、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「第1の(a first)」、又は「別の(another)」の要素又はその等価物を列挙する場合、「第1の」又は「別の」要素(又はその等価物)は、1つ又は1つを超えるそのような要素を含み、2つ以上のそのような要素を必要とすることも、除外することもないと解釈されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電部及び放射素子を含むアンテナ素子と、
第1の表面を有する誘電体基板であって、前記アンテナ素子の前記給電部を備える誘電体基板と、
前記誘電体基板の前記第1の表面に接着されたプラスチックアンテナ支持体と、を備えるアンテナ素子モジュールであって、
前記プラスチックアンテナ支持体は、
前記アンテナ素子の前記放射素子のための空洞を含む本体部分を備えており、
前記空洞は、前記本体部分の第1の表面に開口を備え、前記本体部分の前記第1の表面と、前記第1の表面に対向する前記本体部分の第2の表面との間に存在する、前記本体部分の凹部であり、
前記放射素子は、前記本体部分の前記空洞内の前記開口に配置されていることにより、前記空洞内に配置されたとき、前記本体部分の前記第1の表面と前記第2の表面との間に少なくとも部分的に位置し、
前記プラスチックアンテナ支持体は、前記開口に対向する前記本体部分の第2の表面から前記誘電体基板の前記第1の表面にかけて延在する1つ以上の脚を備え、前記放射素子と前記給電部との間に空隙を導入する脚部を備える、アンテナ素子モジュール。
【請求項2】
前記空洞は、第1の空洞であり、
前記本体部分は、前記本体部分の前記第2の表面に開口を有し、前記本体部分の前記第1の表面と前記第2の表面との間で前記本体部分に形成された凹部である、第2の空洞を更に備え、
前記アンテナ素子は、前記本体部分の前記第2の空洞内の前記開口に配置されていることにより、前記第2の空洞内に配置された時、前記本体部分の前記第1の表面と前記第2の表面との間に少なくとも部分的に位置する、寄生素子を更に備え、
前記寄生素子は、前記放射素子の下方にある、請求項1に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項3】
前記プラスチックアンテナ支持体は、第1のポリマーから形成されており、
前記放射素子は、第2のポリマーから形成されている、請求項1に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項4】
前記アンテナ素子は、複数のアンテナ素子の第1のアンテナ素子であり、
前記複数のアンテナ素子の各アンテナ素子は、複数の給電部のそれぞれの給電部、及び前記複数の放射素子のそれぞれの放射素子を含み、
各放射素子は前記複数の放射素子の第1放射素子であり、各給電部は、前記複数の給電部の第1給電部であり、
前記空洞は、それぞれが前記本体部分の第1の表面に開口を有し、前記本体部分の前記第1の表面と前記第2の表面との間で、前記本体部分に形成された凹部である、複数の空洞の第1の空洞であり、
各放射素子は、前記複数の空洞のそれぞれの空洞内に配置されている、請求項1に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項5】
前記プラスチックアンテナ支持体は、前記複数のアンテナ素子の各々を分離する1つ以上の凹溝を更に備える、請求項4に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項6】
前記アンテナ素子は、複数のアンテナ素子の第1のアンテナ素子であり、前記複数のアンテナ素子の各アンテナ素子は、
複数の放射素子のうちの1つの放射素子である第1の放射素子と、
複数の給電部のうちの1つの給電部である第1の給電部と、
複数の寄生素子のうちの1つの寄生素子と、を備えており、
前記空洞は、前記本体部分の前記第1の表面上に形成された開口を有する第1の組の空洞の第1の空洞であり、
前記プラスチックアンテナ支持体の前記本体部分は、前記本体部分の前記第2の表面上に形成された開口を有する第2の組の空洞を含み、
前記複数の放射素子の各放射素子は、前記第1の組の空洞のそれぞれの空洞内に配置されており、
前記複数の寄生素子の各寄生素子は、前記第2の組の空洞のそれぞれの空洞内に配置されており、
前記複数の放射素子の各放射素子は、前記複数の寄生素子のうちの対応する寄生素子の上方に置かれており、かつ前記複数の寄生素子のうちの前記対応する寄生素子から離間されている、請求項1に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項7】
前記プラスチックアンテナ支持体の前記本体部分は、前記複数のアンテナ素子の各々を分離するための、前記本体部分の前記第1の表面に形成された1つ以上の凹溝を更に備える、請求項6に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項8】
前記放射素子は、パッチアンテナである、請求項1に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項9】
前記1つ以上の脚は、前記プラスチックアンテナ支持体の1つ以上の頂点に位置している、請求項1に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項10】
前記プラスチックアンテナ支持体の前記1つ以上の脚は、前記本体部分の前記
第2の表面から抜き勾配で延在している、請求項1に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項11】
前記アンテナ素子の前記給電部は、前記誘電体基板の前記第1の表面に直交するように配設された一対のスロットを含む、請求項1に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項12】
前記1つ以上の脚の長さは0.25mmから2mmの間である、請求項1に記載のアンテナ素子モジュール。
【請求項13】
アンテナ素子モジュールのアレイを備えるフェーズドアレイアンテナであって、
前記アンテナ素子モジュールのアレイの各々は、
給電部及び放射素子を含むアンテナ素子と、
第1の表面を有する誘電体基板であって、前記アンテナ素子の前記給電部を備える誘電体基板と、
前記誘電体基板の前記第1の表面に接着されており、かつ本体部分を含むプラスチックアンテナ支持体と、を備え、
前記プラスチックアンテナ支持体において、
前記本体部分は、前記アンテナ素子の前記放射素子のための空洞を含み、
前記空洞は前記本体部分の第1の表面に開口を備え、前記本体部分の前記第1の表面と、前記第1の表面に対向する前記本体部分の第2の表面との間に存在する、前記本体部分の凹部であり、
前記放射素子は、前記本体部分の前記空洞内の前記開口に配置されていることにより、前記空洞内に配置されたとき、前記本体部分の前記第1の表面と前記第2の表面との間に少なくとも部分的に位置し、
前記プラスチックアンテナ支持体は、前記開口に対向する前記本体部分の第2の表面から前記誘電体基板の前記第1の表面にかけて延在する1つ以上の脚を備え、前記放射素子と前記給電部との間に空隙を導入する脚部を備えており、
フェーズドアレイアンテナは、前記アンテナ素子モジュールのアレイの下方に位置する多層基板を備え、前記多層基板は、前記多層基板の層上に形成されたBFN(ビーム形成ネットワーク)回路を含み、前記BFN回路は、前記アンテナ素子モジュールのアレイの各々の前記ICチップと電気的に通信する、フェーズドアレイアンテナ。
【請求項14】
前記アンテナ素子モジュールのアレイの各アンテナ素子モジュールの前記空洞は、前記それぞれの本体部分の上面に形成された第1の空洞であり、前記アンテナ素子モジュールのアレイの各アンテナ素子モジュールは、
前記第2の表面に形成され、前記本体部分の第1の表面と前記本体部分の第2の表面との間に位置することにより、前記それぞれのプラスチックアンテナ支持体の本体部分の前記第1の表面と前記第2の表面との間に位置する、第2の空洞と、
前記それぞれのプラスチックアンテナ支持体の前記本体部分の前記第2の空洞内に配置されたそれぞれのアンテナ素子の寄生素子と、を更に備えており、
前記寄生素子は、前記それぞれの放射素子の下にある、請求項13に記載のフェーズドアレイアンテナ。
【請求項15】
複数のアンテナ素子モジュールを形成するための方法であって、
アンテナ素子モジュールのアレイを形成するために、アンテナパッケージのアレイを誘電体基板の表面に接着する工程と、ただし各アンテナパッケージは、
給電部と放射素子とを備えるアンテナ素子と、
放射素子のための空洞を含む本体部分を含むプラスチックアンテナ支持体と、を備えており、
前記空洞は、前記本体部分の第1の表面に開口を備え、前記本体部分の前記第1の表面と、前記第1の表面に対向する前記本体部分の第2の表面との間に存在する、前記本体部分の凹部であり、
前記放射素子は、前記本体部分の前記空洞内の前記開口に配置されていることにより、前記空洞内に配置されたとき、前記本体部分の前記第1の表面と前記第2の表面との間に少なくとも部分的に位置し、
前記プラスチックアンテナ支持体は、前記開口に対向する前記本体部分の前記第2の表面から前記誘電体基板の前記第1の表面にかけて延在する1つ以上の脚を備え、前記放射素子と前記給電部との間に空隙を導入する脚部を備え、
前記複数のアンテナ素子モジュールを形成するために、前記アンテナ素子モジュールのアレイを個片化する工程と、を含む方法。
【請求項16】
第1のポリマーを型内に注入して、プラスチックアンテナ支持体のアレイを形成することと、
第2のポリマーを前記プラスチックアンテナ支持体のアレイ内の空洞内に注入して、前記複数のプラスチックアンテナ支持体の各々に前記放射素子を形成し、前記アンテナパッケージのアレイを形成することと、更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アンテナパッケージのアレイ内の各アンテナパッケージの前記空洞は、前記それぞれのプラスチックアンテナ支持体の前記本体部分の上面に形成された第1の空洞であり、前記放射素子は、放射素子であり、各アンテナパッケージは、
前記それぞれのプラスチックアンテナ支持体の前記本体部分の下面に形成された第2の空洞と、
前記本体部分の前記第2の空洞内に配置された寄生素子であって、前記それぞれのアンテナパッケージの前記放射素子の下方にある寄生素子と、を更に備える、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
各アンテナモジュールは、規則的なタイルベース形状を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のアンテナ素子モジュールの各個片化されたアンテナ素子モジュールは、2つ以上のアンテナ素子を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
各プラスチックアンテナ支持体の前記1つ以上の脚は、それぞれの本体部分から抜き勾配をもって延在する、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記複数のアンテナパッケージの各々の前記放射素子は、パッチアンテナである、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記誘電体基板の前記複数の給電部の各給電部は、前記誘電体基板の前記第1の表面内に直交するように配設された一対のスロットを含む、請求項15に記載の方法。