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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096942
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】害虫忌避組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/08 20060101AFI20240709BHJP
   A01P 17/00 20060101ALI20240709BHJP
   A01N 61/00 20060101ALI20240709BHJP
   A01N 63/10 20200101ALI20240709BHJP
   A01N 43/16 20060101ALI20240709BHJP
   A01N 43/22 20060101ALI20240709BHJP
   A01N 35/02 20060101ALI20240709BHJP
   A01N 31/04 20060101ALI20240709BHJP
   A01N 31/08 20060101ALI20240709BHJP
   A01N 37/02 20060101ALI20240709BHJP
   A01N 37/08 20060101ALI20240709BHJP
   A01N 43/78 20060101ALI20240709BHJP
   A01M 29/12 20110101ALI20240709BHJP
【FI】
A01N43/08 H
A01P17/00
A01N61/00 D
A01N63/10
A01N43/16 C
A01N43/16 B
A01N43/22
A01N35/02
A01N31/04
A01N31/08
A01N37/02
A01N37/08
A01N43/78 B
A01M29/12
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024067125
(22)【出願日】2024-04-18
(62)【分割の表示】P 2019228900の分割
【原出願日】2019-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2018248694
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 浩平
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 浩之
(57)【要約】
【課題】特に飛翔害虫に対する忌避持続効果に優れ、安全で、かつ忌避効果のある香料由来の強い臭気が抑えられ、皮膚への施用に適した害虫忌避組成物を提供する。
【解決手段】下記成分(A)及び(B)を含有する、害虫忌避組成物。
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油、エーテル油、炭化水素油、脂肪族アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上99.95質量%以下
(B)所定の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)及び(B)を含有する、害虫忌避組成物。
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油、エーテル油、炭化水素油、脂肪族アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上99.95質量%以下
(B)下記(B1)~(B9)からなる群から選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(B1)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、ガンマデカラクトン、デルタデカラクトン、デルタノナラクトン、及びガンマウンデカラクトンからなる群から選ばれる1種以上のラクトン類
(B2)9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、及びオクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オンからなる群から選ばれる1種以上のケトン類
(B3)7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、及びオクタヒドロ-5-メトキシ-4,7-メタノ-1H-インデン-2-カルボキシアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上のアルデヒド類
(B4)フェニルエチルメチルエチルカルビノール、シンナミックアルコール、及びオイゲノールからなる群から選ばれる1種以上の芳香族アルコール類
(B5)2-(4-メチル-2-チアゾリル)エタノール
(B6)エチル-2-フェニルアセテート
(B7)(3-ペンチルオキサン-4-イル)アセテート
(B8)フェニルエチルジメチルカルビニルアセテート
(B9)メチルアンスラニレート
【請求項2】
下記成分(A)及び(B)を含有する、害虫停留抑制組成物。
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油、エーテル油、炭化水素油、脂肪族アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上99.95質量%以下
(B)下記(B1)~(B9)からなる群から選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(B1)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、ガンマデカラクトン、デルタデカラクトン、デルタノナラクトン、及びガンマウンデカラクトンからなる群から選ばれる1種以上のラクトン類
(B2)9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、及びオクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オンからなる群から選ばれる1種以上のケトン類
(B3)7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、及びオクタヒドロ-5-メトキシ-4,7-メタノ-1H-インデン-2-カルボキシアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上のアルデヒド類
(B4)フェニルエチルメチルエチルカルビノール、シンナミックアルコール、及びオイゲノールからなる群から選ばれる1種以上の芳香族アルコール類
(B5)2-(4-メチル-2-チアゾリル)エタノール
(B6)エチル-2-フェニルアセテート
(B7)(3-ペンチルオキサン-4-イル)アセテート
(B8)フェニルエチルジメチルカルビニルアセテート
(B9)メチルアンスラニレート
【請求項3】
成分(A)がシリコーン油、エステル油、及び炭化水素油からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
成分(A)の含有量が13質量%以上75質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の組成物を人の皮膚表面に塗布する、害虫の忌避方法。
【請求項6】
請求項2に記載の組成物を害虫の肢に付着させることによって、害虫が人の皮膚に停留することを防ぐ、害虫の停留抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫忌避組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
害虫、例えば、蚊、ハエ等の飛翔害虫は、人等の動物に病原体を媒介して感染症を引き起こしたり、皮膚炎を引き起こしたりする要因となっている。特に、一部の蚊は、デング熱、ジカ熱、黄熱病、脳炎、マラリア等の病原体を媒介することから、衛生学的に非常に有害な昆虫である。
従来、このような飛翔害虫から身を守るために、殺虫剤を散布したり、皮膚表面に忌避剤を塗布する方法が汎用されており、代表的な忌避剤として、DEET(N,N-ジエチルトルアミド)が一般的に使用されている。
【0003】
蚊等の害虫は、動物の体温を感知する温熱受容体、体臭等の揮発性物質を感知する嗅覚受容体、二酸化炭素を感知する二酸化炭素受容体等の化学受容システムを保有しており、これにより動物を探知するが、DEETは、かかる害虫が有する化学受容システムに変調を与えて害虫の認知感覚を無力化することにより、害虫を忌避する。
しかし、DEETには不快臭があり、また、十分な忌避持続効果を発揮するためには一定量以上の配合が必要となる。さらに、人によってはアレルギーや肌荒れを引き起こすことが知られており、幼児や皮膚の敏感な人に対しては使用量や使用回数が制限されるという問題がある。
【0004】
そこで、忌避成分として天然精油の利用が検討されている。シトロネラ油、レモンユーカリ油、レモングラス油、オレンジ油、カシア油等の天然精油はキャンドルやアロマローションにも使用されており、人体への安全性は高い。しかし、それらの害虫に対する忌避効果は十分ではなく、その実用性に問題がある。
【0005】
その他、従来から、害虫用の忌避剤や忌避組成物については、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、フッ素・ポリエーテル共変性シリコーン及び紫外線防御成分を配合した皮膚保護剤に、DEET等の昆虫忌避剤を配合することが記載されている。
また、香料成分を忌避剤として用いる提案もなされており、特許文献2には、オクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オン等の香料成分が吸血性の昆虫の熱受容体に作用し、熱応答を抑制することを利用した昆虫忌避剤が開示されている。特許文献3には、2-メトキシ-4-プロピルフェノール等の香料成分が、昆虫の二酸化炭素刺激に対する神経応答を抑制し、昆虫忌避に用いられることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-59447号公報
【特許文献2】特開2016-172715号公報
【特許文献3】特開2016-164153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
害虫忌避剤のうち、皮膚に施用されるものについては、安全でかつ臭気が少ないこと、さらに初期の忌避効果のみならず、忌避効果の持続性にも優れることが望まれる。しかし、現在利用できる主要な害虫忌避剤は、これらの要望を十分に満たしていないのが現状である。
前述したように、特許文献1に記載されるDEET等の既存の害虫忌避剤には不快臭があり、また人体への安全性にも問題があることから、幼児や皮膚の敏感な人がより安心して使用できる忌避剤が求められている。
特許文献2、3に記載される、香料成分として知られている化合物を用いた忌避剤においては、香料成分の含有量を多くすれば忌避持続効果の向上が見込まれる一方、香料成分の含有量が多いと肌トラブルの原因になったり、香料成分由来の臭気が強すぎて実使用に耐えなくなったりするという問題が生じる。
現状では、害虫忌避持続効果に優れ、安全で、かつ忌避成分由来の強い臭気が抑えられ、皮膚への施用に適した組成物は見出されていなかった。
【0008】
本発明は、害虫、特に飛翔害虫に対する忌避持続効果に優れ、安全で、かつ忌避効果のある香料由来の強い臭気が抑えられ、皮膚への施用に適した害虫忌避組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の表面張力と粘度を有する不揮発性の液状油性成分に蚊などの害虫を忌避する効果が有ることを見出した。一方で、さらに特定の香料にも忌避効果が有ることを見出したが、忌避効果を持続させようとした場合には、強い臭気が課題となった。そこで、香料の含有量を臭気が課題にならない程度の含有量とし、かつ特定の表面張力と粘度を有する不揮発性の液状油性成分と組み合わせると、香料由来の強い臭気を抑えつつも、意外にも忌避持続効果も延長されることを見出した。つまり、特定の表面張力と粘度を有する不揮発性の液状油性成分、及び特定の香料成分を特定量含有する害虫忌避組成物が、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]~[7]を提供する。
[1]下記成分(A)及び(B)を含有する、害虫忌避組成物又は害虫停留抑制組成物。
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油、エーテル油、炭化水素油、脂肪族アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上99.95質量%以下
(B)下記(B1)~(B9)からなる群から選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(B1)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、ガンマデカラクトン、デルタデカラクトン、デルタノナラクトン、及びガンマウンデカラクトンからなる群から選ばれる1種以上のラクトン類
(B2)9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、及びオクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オンからなる群から選ばれる1種以上のケトン類
(B3)7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、及びオクタヒドロ-5-メトキシ-4,7-メタノ-1H-インデン-2-カルボキシアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上のアルデヒド類
(B4)フェニルエチルメチルエチルカルビノール、シンナミックアルコール、及びオイゲノールからなる群から選ばれる1種以上の芳香族アルコール類
(B5)2-(4-メチル-2-チアゾリル)エタノール
(B6)エチル-2-フェニルアセテート
(B7)(3-ペンチルオキサン-4-イル)アセテート
(B8)フェニルエチルジメチルカルビニルアセテート
(B9)メチルアンスラニレート
[2]下記成分(A)~(C)を含有し、成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤の含有量が15質量%以下である、水中油型の蚊忌避組成物又は蚊停留抑制組成物。
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油、エーテル油、炭化水素油、脂肪族アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上50質量%以下
(B)下記(B1)~(B9)からなる群から選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(B1)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、ガンマデカラクトン、デルタデカラクトン、デルタノナラクトン、及びガンマウンデカラクトンからなる群から選ばれる1種以上のラクトン類
(B2)9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、及びオクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オンからなる群から選ばれる1種以上のケトン類
(B3)7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、及びオクタヒドロ-5-メトキシ-4,7-メタノ-1H-インデン-2-カルボキシアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上のアルデヒド類
(B4)フェニルエチルメチルエチルカルビノール、シンナミックアルコール、及びオイゲノールからなる群から選ばれる1種以上の芳香族アルコール類
(B5)2-(4-メチル-2-チアゾリル)エタノール
(B6)エチル-2-フェニルアセテート
(B7)(3-ペンチルオキサン-4-イル)アセテート
(B8)フェニルエチルジメチルカルビニルアセテート
(B9)メチルアンスラニレート
(C)水:35質量%以上86.95質量%以下
[3]下記成分(A)~(C)を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が10以上400以下であり、成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤の含有量が15質量%以下である、水中油型の蚊忌避組成物又は蚊停留抑制組成物。
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油、エーテル油、炭化水素油、脂肪族アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上50質量%以下
(B)下記(B1)~(B9)からなる群から選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(B1)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、ガンマデカラクトン、デルタデカラクトン、デルタノナラクトン、及びガンマウンデカラクトンからなる群から選ばれる1種以上のラクトン類
(B2)9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、及びオクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オンからなる群から選ばれる1種以上のケトン類
(B3)7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、及びオクタヒドロ-5-メトキシ-4,7-メタノ-1H-インデン-2-カルボキシアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上のアルデヒド類
(B4)フェニルエチルメチルエチルカルビノール、シンナミックアルコール、及びオイゲノールからなる群から選ばれる1種以上の芳香族アルコール類
(B5)2-(4-メチル-2-チアゾリル)エタノール
(B6)エチル-2-フェニルアセテート
(B7)(3-ペンチルオキサン-4-イル)アセテート
(B8)フェニルエチルジメチルカルビニルアセテート
(B9)メチルアンスラニレート
(C)水:35質量%以上86.95質量%以下
[4]下記成分(A)~(C)を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が10以上400以下であり、成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤の含有量が15質量%以下である、水中油型の蚊忌避組成物又は蚊停留抑制組成物。
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油、エーテル油、炭化水素油、脂肪族アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上50質量%以下
(B)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン及び7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールから選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(C)水:35質量%以上86.95質量%以下
[5]下記成分(A)~(D)を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が10以上400以下であり、成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤の含有量が15質量%以下である、水中油型の蚊忌避組成物又は蚊停留抑制組成物。
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油及び炭化水素油からなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上50質量%以下
(B)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン及び7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールから選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(C)水:35質量%以上86.95質量%以下
(D)増粘剤:0.05質量%以上3質量%以下
[6][1]~[5]のいずれか1の組成物を人の皮膚表面に塗布する、害虫の忌避方法。
[7][1]~[5]のいずれか1の組成物を害虫の肢に付着させることによって、害虫が人の皮膚に停留することを防ぐ、害虫の停留抑制方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、害虫、特に飛翔害虫に対する忌避持続効果に優れ、安全で、かつ忌避効果のある香料由来の強い臭気が抑えられ、皮膚への施用に適した害虫忌避組成物、害虫停留抑制組成物、害虫の忌避方法、及び害虫の停留抑制方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[害虫忌避組成物、害虫停留抑制組成物]
本発明の害虫忌避組成物及び害虫停留抑制組成物(以下、これらを総称して「本発明の組成物」ともいう)は、下記成分(A)及び(B)を含有する組成物である。
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油、エーテル油、炭化水素油、脂肪族アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上99.95質量%以下
(B)下記(B1)~(B9)からなる群から選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(B1)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、ガンマデカラクトン、デルタデカラクトン、デルタノナラクトン、及びガンマウンデカラクトンからなる群から選ばれる1種以上のラクトン類
(B2)9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、及びオクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オンからなる群から選ばれる1種以上のケトン類
(B3)7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、及びオクタヒドロ-5-メトキシ-4,7-メタノ-1H-インデン-2-カルボキシアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上のアルデヒド類
(B4)フェニルエチルメチルエチルカルビノール、シンナミックアルコール、及びオイゲノールからなる群から選ばれる1種以上の芳香族アルコール類
(B5)2-(4-メチル-2-チアゾリル)エタノール
(B6)エチル-2-フェニルアセテート
(B7)(3-ペンチルオキサン-4-イル)アセテート
(B8)フェニルエチルジメチルカルビニルアセテート
(B9)メチルアンスラニレート
成分(B)として規定される上記(B1)~(B9)は香料として公知の化合物であり、一例として、印藤元一「合成香料 化学と商品知識<増補改訂版>」、化学工業日報社、2005年発行(ISBN4-87326-460-X)に全て香料として開示されている。
【0012】
本発明の組成物は特定量の成分(A)及び成分(B)を含有し、害虫、特に飛翔害虫に対する忌避持続効果に優れ、忌避効果のある香料由来の強い臭気が少なく、皮膚への施用に適した害虫忌避組成物、及び害虫停留抑制組成物である。本発明の組成物は、成分(A)に加え、さらに後述する成分(B)を特定量含有し、成分(A)とともに成分(B)を飛翔害虫の肢に適用させることで、成分(B)由来の強い臭気を低減しつつも、優れた忌避持続効果を実現することができたと考えられる。
【0013】
本発明において「害虫に対する忌避効果」とは、害虫が対象物へ接触しても停留せずに直ぐに離れていくことを意味し、本発明の組成物は接触忌避組成物に該当する。すなわち、本発明における害虫忌避効果は、害虫を対象物へ寄せ付けないもの、あるいは害虫が対象物へ寄り付かないもの等のように対象物へ非接触で忌避する忌避剤ないし防虫剤や、害虫に対して殺虫力を有し、害虫を駆除する殺虫剤とは異なる。
本発明の組成物は、それらが塗布又は付着された対象物に蚊等の害虫が降着しても、害虫がその場に停留せず、直ぐに立ち去ることにより、害虫を忌避する効果を奏するものである。具体的には、蚊等の害虫が人等の動物の皮膚に降着した後、刺針を差し込むほどの時間、具体的には1秒間以上、皮膚表面の所定領域内に停留させないという停留抑制効果を有する。かかる効果は、従来にない害虫忌避原理に基づくものであり、しかも肌荒れ等の副作用がなく安全である。したがって本発明の組成物は、害虫停留抑制組成物として用いることができる。
本発明において「害虫に対する忌避持続効果」とは、本発明の組成物を対象物に塗布後、時間が経過しても上記忌避効果が持続することを意味する。なお、以降の記載において、本発明における特に飛翔害虫に対する忌避持続効果を単に「忌避持続効果」と表記する。
【0014】
本発明の組成物は、成分(A)として25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、(a)シリコーン油、(b)エステル油、(c)エーテル油、(d)炭化水素油、(e)脂肪族アルコール、及び(f)多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分を含有する。成分(A)を含有することで、害虫、特に飛翔害虫に対する忌避持続効果に優れる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明者らは、蚊等の飛翔害虫は、肢に濡れが生じた際に、降着面から生じる引力を避けるため、肢が濡れる表面への停留を避ける性質を有することを見出した。蚊等の飛翔害虫の肢は疎水性であるため、25℃における表面張力が40mN/m以下の液状油性成分であると飛翔害虫の肢と親和性が高くなり、また、粘度が400mPa・s以下の液状油性成分であると、飛翔害虫の肢が液状油性成分と触れた際、短時間で液状油性成分と飛翔害虫の肢との接触面積が十分に大きくなる。そのため、成分(A)が塗布又は付着された表面に飛翔害虫が降着すると、肢に濡れが生じ、その際、降着面から生じる引力を避け、降着地点に停留せずに飛び去ると考えられる。
なお、本発明における降着とは、蚊等の飛翔害虫が対象物に1秒未満の時間接触することを指す。また、本発明における停留とは、蚊等の飛翔害虫が対象物に1秒以上の時間接触しつづけることを指す。
【0015】
また本発明の組成物は、成分(A)に加え、さらに後述する成分(B)を特定量含有し、成分(A)とともに成分(B)を飛翔害虫の肢に適用させることで、成分(B)由来の強い臭気を低減しつつも、優れた忌避持続効果を実現することができたと考えられる。
【0016】
<成分(A):不揮発性液状油性成分>
本発明の組成物が含有する成分(A)は、25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、(a)シリコーン油、(b)エステル油、(c)エーテル油、(d)炭化水素油、(e)脂肪族アルコール、及び(f)多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分である。本発明の組成物は、成分(A)に加え、さらに後述する成分(B)を組み合わせることで、成分(A)が有する基材臭を抑制し、成分(B)の必要以上の揮散を抑え、かつ成分(A)とともに成分(B)を飛翔害虫の肢に適用させることができ、優れた忌避持続時間を実現することができたと考えられる。
【0017】
成分(A)は、皮膚に施用し易くし、かつ、忌避持続効果を向上させる観点から、好ましくは20℃で液状であり、より好ましくは15℃で液状であり、さらに好ましくは10℃で液状である不揮発性油である。
なお、液状油性成分の「液状」とは、米国材料試験協会規格「ASTM D 4359-90:Standard Test Method for Determining Whether a Material is a Liquid or Solid」による液体-固体の判定試験で、液体に判定されるものを意味する。
成分(A)は、害虫に対する忌避持続効果を向上させる観点から、難水溶性又は非水溶性の成分であることが好ましく、具体的には、20℃における水100gに対する溶解量が、好ましくは1g以下、より好ましくは0.5g以下、さらに好ましくは0.1g以下であり、そして、よりさらに好ましくは実質0gである。
【0018】
本発明に用いる成分(A)の液状油性成分は、忌避持続効果を向上させる観点から、不揮発性の液状油性成分である。ここで、本発明における不揮発性液状油性成分とは、1気圧下、25℃、60分乾燥後の揮発率が、50%以下であるものをいい、好ましくは、1気圧下、25℃、120分乾燥後の揮発率が、50%以下であるものをいう。揮発性の評価は、ドイツ試験規格DIN53249に従って測定され、具体的には、下記の1~4の手順で行われる。
1.直径150mmの丸型ろ紙の重量(P(g))を測定する。
2.ピペットを用いて成分(A)0.3gのサンプルを丸型ろ紙に滴下し、直後にろ紙の重量(W(g))を測定する。
3.通気の無い中、25℃、5分間隔で、約0.001gの正確さによる重量測定で、ろ紙の重量を測定する。2を測定した後、60分経過後に測定したろ紙の重量をW60(g)とする。
4.計算式{((W-P)-(W60-P))/(W-P)}×100で導かれる値を揮発率(%)とする。
揮発率が低いほど、皮膚に塗布した際に、液状油性成分が長時間滞留するため、忌避持続効果が高いものとなる。
2種以上の液状油性成分を用いる場合、不揮発性液状油性成分の揮発率とは、2種以上の液状油性成分の混合物としての揮発率を意味する。したがって当該混合物の揮発率が前記範囲となる限り、1気圧下、25℃で60分乾燥後の揮発率が50%超の液状油性成分を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
成分(A)の25℃における表面張力は、入手性の観点から、好ましくは15mN/m以上、より好ましくは17mN/m以上であり、そして、忌避持続効果を向上させる観点から、40mN/m以下、好ましくは30mN/m以下、より好ましくは28mN/m以下、さらに好ましくは25mN/m以下、よりさらに好ましくは23mN/m以下、よりさらに好ましくは21mN/m以下である。また、それ自体では25℃における表面張力が40mN/m超のものであったとしても、他の液状油性成分との混合物とすることで、表面張力を下げれば忌避持続効果を発現する。
成分(A)のB形回転粘度計による23℃における粘度は、揮発性を抑え、忌避持続効果を向上させる観点から、好ましくは1mPa・s以上であり、忌避持続効果を向上させる観点から、400mPa・s以下であり、好ましくは300mPa・s以下、より好ましくは210mPa・s以下、さらに好ましくは100mPa・s以下、よりさらに好ましくは60mPa・s以下、よりさらに好ましくは40mPa・s以下、よりさらに好ましくは30mPa・s以下である。なお、粘度の異なる2種以上の液状油性成分を用いる場合は、これら液状油性成分の混合物としての粘度を意味する。
成分(A)の表面張力、粘度は、実施例に記載の方法により測定される。
【0020】
(a)シリコーン油
シリコーン油としては、忌避持続効果を向上させる観点から、ジメチルポリシロキサン、ジメチコノール(末端にヒドロキシ基を有するジメチルポリシロキサン)、メチルフェニルポリシロキサン、及び変性シリコーンからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
変性シリコーンとしては、アミノ変性シリコーン(アミノ基を有するジメチルポリシロキサン)、ポリエーテル変性シリコーン、グリセリル変性シリコーン、アミノ誘導体シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
【0021】
シリコーン油の中では、忌避持続効果を向上させる観点から、ジメチルポリシロキサン、ジメチコノール、メチルフェニルポリシロキサン、及び変性シリコーンからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、ジメチルポリシロキサン、ジメチコノール、及びポリエーテル変性シリコーンからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、ジメチルポリシロキサンがさらに好ましい。
【0022】
ジメチルポリシロキサンとしては、直鎖状ジメチルポリシロキサン及び環状ジメチルポリシロキサンからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中では、忌避持続効果を向上させる観点から、直鎖状ジメチルポリシロキサンがより好ましい。
直鎖状ジメチルポリシロキサンの市販品例としては、信越化学工業(株)のKF-96シリーズ、東レ・ダウコーニング(株)のSH200Cシリーズ、「2-1184 Fluid」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社の「Silsoft DML」、「Element14 PDMS 5-JC」、「Element14 PDMS 10-JC」、「Element14 PDMS 20-JC」等が挙げられる。
【0023】
(b)エステル油
エステル油としては、忌避持続効果を向上させる観点から、下記一般式(1)~(3)のいずれかで表されるエステル油、及び下記一般式(4)で表されるジアルキルカーボネート化合物が好ましい。
【0024】
1-COO-R2 (1)
一般式(1)において、R1は、水酸基が置換していてもよく、炭素数7以上23以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、又は炭素数6以上24以下の芳香族炭化水素基を示し、R2は炭素数1以上22以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。
1がアルキル基の場合、忌避持続効果を向上させる観点から、炭素数は好ましくは7以上、より好ましくは9以上であり、そして、皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、好ましくは21以下、より好ましくは17以下である。また、R1が芳香族炭化水素基の場合、忌避持続効果を向上させる観点から、炭素数は好ましくは8以上、より好ましくは10以上であり、そして、皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、好ましくは22以下、より好ましくは20以下である。
2は、皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、好ましくは炭素数が20以下、より好ましくは18以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基である。また、皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、R1又はR2の少なくとも一方が、分岐アルキル基であることが好ましい。
【0025】
一般式(1)で表されるエステル油としては、2-エチルヘキサン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、オクタン酸イソデシル、オクタン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸セテアリル、プロピルへプタン酸オクチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、オレイン酸メチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸イソブチル、エルカ酸オレイル、安息香酸アルキル(アルキルの炭素数12~15)、及びナフタレンジカルボン酸ジエチルヘキシル等からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0026】
(R3O)-CH2CH(OR4)-CH2(OR5) (2)
一般式(2)において、R3、R4及びR5は、各々独立に、水素原子、又は下記一般式(2-1)で示される基であって、全てが水素原子であることはない。
-CO-R6 (2-1)
(式中、R6は、水酸基が置換していてもよい炭素数7以上23以下、好ましくは17以下のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
一般式(2)で表されるエステル油としては、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリルからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。これらホホバ油、オリーブ油、ひまわり油、大豆油、落花生油、菜種油、アーモンド油、パーム油、ココヤシ油、ひまし油、小麦胚芽油、ぶどう種油、あざみ油、宵待草油、マカデミアナッツ油、とうもろこし胚芽油、及びアボカド油等の植物由来のエステル油であっても良い。
【0027】
7O-(AO)m-COR8 (3)
一般式(3)において、R7は炭素数6以上20以下の芳香族炭化水素基を示し、R8は炭素数1以上23以下のアルキル基又はアルケニル基を示す。AOは、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基を示し、mは1以上50以下の平均付加モル数を表す。
7は、忌避持続効果を向上させる観点から、好ましくは炭素数が6以上であり、そして、皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、好ましくは12以下、より好ましくは10以下の芳香族炭化水素基、より好ましくはベンジル基である。
8は、忌避持続効果を向上させる観点から、好ましくは炭素数が7以上、より好ましくは11以上であり、そして、皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、好ましくは21以下、より好ましくは15以下であるアルキル基である。
AO基は、忌避持続効果を向上させる観点から、好ましくはプロピレンオキシ基であり、忌避持続効果を向上させる観点、及び皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、mは好ましくは1以上10以下、より好ましくは1以上5以下である。
一般式(3)で表されるエステル油としては、ベンジルアルコールのプロピレンオキシド3モル付加体とミリスチン酸のエステル(クローダ社「クロダモルSTS」)、ベンジルアルコールのプロピレンオキシド3モル付加体と2-エチルヘキサン酸のエステル(クローダ社「クロダモルSFX」)からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0028】
9-O-(CH2CH2O)v-CO-(OCH2CH2)w-OR10 (4)
一般式(4)において、R9及びR10は、各々独立に、炭素数6以上22以下のアルキル基又はアルケニル基を示し、v及びwは、各々独立に、0又は1以上50以下の平均付加モル数を示す。
9及びR10は、忌避持続効果を向上させる観点から、好ましくは炭素数8以上であり、そして、皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、好ましくは18以下、より好ましくは12以下のアルキル基である。
v及びwは、皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、好ましくは0又は1以上5以下の数であり、より好ましくは0である。
一般式(4)で表されるジアルキルカーボネート化合物としては、ジオクチルカーボネート(コグニス社「セチオールCC」)等が挙げられる。
【0029】
上記以外のエステル油としては、多価カルボン酸とアルコールとのエステルや、グリセリンを除く多価アルコールと脂肪酸とのエステル等が挙げられる。
その具体例としては、ダイマー酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸2-エチルヘキシル、ジカプリン酸プロパンジオール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中では、忌避持続効果を向上させる観点から、ネオペンチルグリコールと脂肪酸とのエステルが好ましく、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール及びジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコールからなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。
上記の(b)エステル油の中では、一般式(1)で表されるエステル油、及びネオペンチルグリコールと脂肪酸とのエステルからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
【0030】
(c)エーテル油
エーテル油としては、忌避持続効果を向上させる観点から、下記一般式(5)で表されるジアルキルエーテル化合物、又は下記一般式(6)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物が好ましい。
【0031】
11-O-R12 (5)
一般式(5)において、R11及びR12は、各々独立に、炭素数6以上22以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、又は炭素数6以上24以下の芳香族炭化水素基を示す。
11及びR12は、忌避持続効果を向上させる観点から、好ましくはアルキル基であり、その炭素数は、忌避持続効果を向上させる観点から、好ましくは8以上であり、そして、皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、さらに好ましくは12以下である。
一般式(5)で表されるジアルキルエーテル化合物としては、ジヘキシルエーテル、ジオクチルエーテル(コグニス社「セチオールOE」)、ジカプリリルエーテル、セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル(花王(株)「ASE-166K」)等が挙げられる。
【0032】
13-O-(PO)r(EO)s-H (6)
一般式(6)において、R13は炭素数6以上22以下のアルキル基又はアルケニル基を示し、POはプロピレンオキシ基を示し、EOはエチレンオキシ基を示す。rは0.1以上15以下の平均付加モル数を示し、sは0以上10以下の平均付加モル数を示す。sが0でない場合、PO及びEOの付加形式は、ランダムであってもブロックであってもよい。
13の炭素数は、忌避持続効果を向上させる観点から、好ましくは8以上であり、そして、皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、さらに好ましくは12以下である。
平均付加モル数rは、忌避持続効果を向上させる観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上であり、そして、皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、好ましくは13以下、より好ましくは10以下であり、平均付加モル数sは、皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、好ましくは5以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくは0である。
一般式(6)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物としては、ポリプロピレングリコール、プロピレンオキシ基の平均付加モル数rが3以上10以下である、ポリオキシプロピレンオクチルエーテル、ポリオキシプロピレンデシルエーテル、及びポリオキシプロピレンラウリルエーテルからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
上記の(c)エーテル油の中では、忌避持続効果を向上させる観点から、一般式(5)で表されるエーテル油が好ましい。
【0033】
(d)炭化水素油
炭化水素油としては、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、イソヘキサデカン、イソエイコサン、水添ポリイソブテン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマー、及びシクロパラフィン等が挙げられる。
これらの中では、忌避持続効果を向上させる観点、及び皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、流動パラフィン、流動イソパラフィン、及びスクワランからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
【0034】
(e)脂肪族アルコール
脂肪族アルコールとしては、1価の鎖状又は環状脂肪族アルコールが挙げられ、1価の鎖状脂肪族アルコールが好ましい。脂肪族アルコールの炭素数は、忌避持続効果を向上させる観点から、炭素数が好ましくは14以上、より好ましくは18以上であり、そして、皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、好ましくは28以下、より好ましくは24以下、さらに好ましくは22以下の脂肪族アルコールである。
前記脂肪族アルコールは、直鎖及び分岐鎖のいずれであってもよく、飽和及び不飽和のいずれであってもよいが、忌避持続効果を向上させる観点、及び皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、分岐鎖の脂肪族飽和アルコールが好ましい。
直鎖脂肪族アルコールとしてはオレイルアルコール等が挙げられ、分岐鎖脂肪族飽和アルコールとしては、ブチルオクタノール、ブチルデカノール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
これらの中では、忌避持続効果を向上させる観点、及び皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、分岐鎖脂肪族飽和アルコールが好ましく、ヘキシルデカノール、ヘキシルドデカノール、及びオクチルドデカノールからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
【0035】
(f)多価アルコール
多価アルコールとしては、炭素数2以上の脂肪族アルコール、芳香族アルコール、炭素数4以上の糖アルコール等が挙げられ、飽和及び不飽和のいずれであってもよいが、皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、炭素数2以上10以下の脂肪族アルコール、芳香族アルコール、及び炭素数4以上10以下の糖アルコールからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
多価アルコールのうち、炭素数2以上の脂肪族アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール等の2価アルコール等が挙げられる。
また、前記糖アルコールとしては、ソルビトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトール、マンニトール等が挙げられる。
【0036】
前記の液状油性成分の中では、忌避持続効果を向上させる観点から、(a)シリコーン油、(b)エステル油、(c)エーテル油、及び(d)炭化水素油からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、(a)シリコーン油、(b)エステル油、及び(d)炭化水素油からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、(a)シリコーン油及び(b)エステル油からなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましく、(a)シリコーン油がよりさらに好ましい。(a)シリコーン油のうち、好ましくはジメチルポリシロキサン、ジメチコノール、メチルフェニルポリシロキサン、及び変性シリコーンからなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくはジメチルポリシロキサン、ジメチコノール、及びポリエーテル変性シリコーンからなる群から選ばれる1種以上であり、さらに好ましくはジメチルポリシロキサンであり、よりさらに好ましくは直鎖状ジメチルポリシロキサンである。
【0037】
(成分(A)の含有量)
本発明の組成物中の成分(A)の含有量は、忌避持続効果を向上させる観点から、13質量%以上であり、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上であり、忌避持続効果を向上させる観点、組成物の長期保存安定性を担保する観点、成分(A)由来の臭気を抑制する観点、及び組成物の使用感を向上する観点から、99.95質量%以下、好ましくは80質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下、よりさらに好ましくは35質量%以下である。そして、本発明の組成物中の成分(A)の含有量は、13~99.95質量%であり、好ましくは13~80質量%であり、より好ましくは13~50質量%であり、さらに好ましくは20~40質量%であり、よりさらに好ましくは25~35質量%である。
【0038】
<成分(B):香料>
本発明の組成物は、成分(B)として、下記(B1)~(B9)からなる群から選ばれる1種以上の香料を含有する。
(B1)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、ガンマデカラクトン、デルタデカラクトン、デルタノナラクトン、及びガンマウンデカラクトンからなる群から選ばれる1種以上のラクトン類
(B2)9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、及びオクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オンからなる群から選ばれる1種以上のケトン類
(B3)7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、及びオクタヒドロ-5-メトキシ-4,7-メタノ-1H-インデン-2-カルボキシアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上のアルデヒド類
(B4)フェニルエチルメチルエチルカルビノール、シンナミックアルコール、及びオイゲノールからなる群から選ばれる1種以上の芳香族アルコール類
(B5)2-(4-メチル-2-チアゾリル)エタノール
(B6)エチル-2-フェニルアセテート
(B7)(3-ペンチルオキサン-4-イル)アセテート
(B8)フェニルエチルジメチルカルビニルアセテート
(B9)メチルアンスラニレート
成分(B)の香料は、蚊等の飛翔害虫の化学受容システムに作用して忌避効果も有する物質として考えられている。成分(A)と成分(B)とを併用することにより、成分(A)又は成分(B)を単独で使用した場合と比較して、害虫忌避持続効果が相乗的に向上する。
【0039】
オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オンは、「オクタヒドロクマリン」とも称される化合物である。7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールは「ヒドロキシシトロネラール」、オクタヒドロ-5-メトキシ-4,7-メタノ-1H-インデン-2-カルボキシアルデヒドは「センテナール」、2-(4-メチル-2-チアゾリル)エタノールは「スルフロール」、(3-ペンチルオキサン-4-イル)アセテートは「ジャスモニル」とも称される。
【0040】
成分(B)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。成分(B)の中でも、強い臭気を抑制する観点、及び忌避持続効果を向上させる観点から、オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、ガンマデカラクトン、ガンマウンデカラクトン、9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、オクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オン、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、オクタヒドロ-5-メトキシ-4,7-メタノ-1H-インデン-2-カルボキシアルデヒド、フェニルエチルメチルエチルカルビノール、オイゲノール、2-(4-メチル-2-チアゾリル)エタノール、(3-ペンチルオキサン-4-イル)アセテート、及びメチルアンスラニレートからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、ガンマウンデカラクトン、9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、及び(3-ペンチルオキサン-4-イル)アセテートからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン及び7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールからなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましく、オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オンがよりさらに好ましい。
【0041】
(成分(B)の含有量)
また、本発明の組成物中の成分(B)の含有量は、成分(A)由来の臭気を抑制する観点、及び忌避持続効果を向上させる観点から、0.05質量%以上であり、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上である。また、本発明の組成物中の成分(B)の含有量は、成分(B)由来の強い臭気を抑制する観点から、3.5質量%以下であり、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下、よりさらに好ましくは0.7質量%以下である。そして、本発明の組成物中の成分(B)の含有量は、0.05~3.5質量%であり、好ましくは0.1~2.5質量%、より好ましくは0.2~2.0質量%、さらに好ましくは0.2~1.0質量%であり、よりさらに好ましくは0.3~0.7質量%である。
【0042】
本発明の組成物において、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]は、臭気を抑制する観点、及び組成物の長期保存安定性を確保する観点から、好ましくは10以上、より好ましくは15以上、さらに好ましくは30以上、よりさらに好ましくは40以上であり、害虫忌避持続効果を向上させる観点から、好ましくは400以下、より好ましくは300以下、さらに好ましくは150以下、よりさらに好ましくは120以下、よりさらに好ましくは100以下、よりさらに好ましくは70以下である。そして、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]は、好ましくは10~400、より好ましくは15~300、さらに好ましくは15~150、よりさらに好ましくは15~150、よりさらに好ましくは15~120、よりさらに好ましくは15~100、よりさらに好ましくは30~100であり、よりさらに好ましくは40~70である。
【0043】
<成分(C):水>
本発明の組成物は、忌避持続効果を向上させる観点、及び使用感のよい組成物とする観点から、成分(C)として水を含有することが好ましい。本発明の組成物中の成分(C)の含有量は、忌避持続効果を向上させる観点、及び使用感のよい組成物とする観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上、よりさらに好ましくは50質量%以上である。また、忌避持続効果を向上させる観点から、好ましくは86.95質量%以下であり、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、よりさらに好ましくは75質量%以下である。そして、本発明の組成物中の成分(C)の含有量は、好ましくは5~86.95質量%以下であり、より好ましくは5~85質量%、さらに好ましくは10~80質量%、よりさらに好ましくは35~75質量%、よりさらに好ましくは50~75質量%である。
【0044】
本発明は様々な組成物の形態に適用することができ、例えば、水分を含有しない非水系の組成物、油中水型の組成物、水中油型の組成物などに用いることができるが、成分(A)由来の臭気を抑制する観点から水中油型の組成物とするのが好ましい。なお、水中油型の組成物とした場合には、組成物中の成分(C)の含有量は、成分(A)由来の臭気を抑制する観点、及び組成物の長期保存安定性を確保する観点から、好ましくは35質量%以上であり、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。また、忌避持続効果を向上させる観点から、好ましくは86.95質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下である。
また、忌避持続効果を向上させる観点からは、油中水型の組成物とするのが好ましい。なお、油中水型の組成物とした場合には、組成物中の成分(C)の含有量は、皮膚に塗布した際の感触を良いものとする観点から、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。また、忌避持続効果を向上させる観点から、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。
【0045】
本発明の組成物が成分(C)を含有する場合、成分(A)と水の質量比[(A)/(C)]は、忌避持続効果を向上させる観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.15以上、よりさらに好ましくは0.3以上であり、組成物の長期保存安定性を確保する観点、及び使用感のよい組成物とする観点から、好ましくは10以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1以下、よりさらに好ましくは0.7以下である。
【0046】
<成分(D):増粘剤>
本発明の組成物は、さらに成分(D)として増粘剤を含有することができる。皮膚への塗布後の流動性を調整することにより忌避持続効果を向上させる観点、各成分を良好に分散又は溶解させて皮膚への優れた塗布性を確保できる観点、及び組成物の長期保存安定性を確保する観点から、当該増粘剤としては、適度な乳化能(すなわち、界面活性能)を有するものが好ましい。本発明において、乳化能及び増粘効果を有する剤は増粘剤とする。
成分(D)としては、水溶性のカチオン性高分子、アニオン性高分子、ノニオン性高分子、及び、両性高分子又は双極性高分子が挙げられる。
【0047】
カチオン性高分子としては、具体的には、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]基を有するヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム-10)、ビニルピロリドン-ジメチルアミノメチルエチルメタクリレート共重合体ジエチル硫酸塩(ポリクオタニウム-11)、塩化メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体等が挙げられる。
【0048】
アニオン性高分子としては、具体的には、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、カラゲーナン、キサンタンガム、ポリスチレンスルホネート、寒天、ガッチガム、カラヤガム、ペクチン、アルギネート塩、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ポリアクリルアミド、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-C30))クロスポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、ポリアクリレート-13、ポリアクリレートクロスポリマー-6、ポリ(アクリル酸)のアルカリ金属塩、ヒアルロン酸又はそのアルカリ金属塩が挙げられる。
【0049】
ノニオン性高分子としては、具体的には、セルロースエーテル(ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、プロピレングリコールアルギネート、ポリ(エチレンオキシド)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルグアーゴム、ローカストビーンゴム、アミロース、ヒドロキシエチルアミロース、澱粉及び澱粉誘導体並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0050】
両性高分子又は双極性高分子としては、具体的には、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-43等が挙げられる。
【0051】
成分(D)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。皮膚への塗布後の流動性を調整することにより害虫忌避効果の持続性を向上させる観点、各成分を良好に分散又は溶解させて皮膚への優れた塗布性を確保できる観点、及び組成物の長期保存安定性を確保する観点から、成分(D)としては、アニオン性高分子及びノニオン性高分子からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-C30))クロスポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー、及びセルロースエーテルからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-C30))クロスポリマー、及び(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマーからなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。
成分(D)の市販品としては、例えば、Lubrizol Advanced Materials社の「カーボポール(CARBOPOL)980」、「カーボポール981」、「カーボポール1342」、「カーボポールETD2020」、「ペムレン(PEMULEN)TR-1」、「ペムレン(PEMULEN)TR-2」、ダウ・ケミカル社の「アキュリン(Aculyn)22」、Clariant Iberica Production S.A.の「アリストフレックス(Aristoflex)AVC」、「アリストフレックス HMB」等を用いることができる。なお、増粘剤は分散媒に分散された分散液としても配合できる。
【0052】
本発明の組成物中の成分(D)の含有量は、忌避持続効果を向上させる観点、各成分を良好に分散又は溶解させて皮膚への優れた塗布性を確保できる観点、及び組成物の長期保存安定性を確保する観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、同様の観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。なお、本発明の組成物が界面活性能を有する増粘剤を含有する場合、それ以外の界面活性剤の含有量は、組成物中、好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。
【0053】
<その他の成分>
本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記以外の成分、例えば、界面活性剤、防腐剤、着色剤、保湿剤、成分(B)以外の香料、pH調整剤等を適宜含有することができる。また、ビタミン類、血行促進剤、活性酸素消去剤、抗炎症剤、美白剤、殺菌剤等の薬効成分や生理活性成分を含有することもできる。なお、例えば香料を殺菌剤として用いるなど、他の用途としても用いることができる。
【0054】
本発明の組成物は、害虫忌避に対して、成分(A)及び成分(B)を忌避成分として含有し、それ以外の害虫忌避剤を有効量含まないことが、使用者のアレルギーや肌荒れを防止するといった観点から好ましい。
本発明の組成物は、成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤を有効量含まなくても、忌避持続効果を有する。言い換えれば、本発明の組成物が、成分(A)及び成分(B)以外の既存の害虫忌避剤を有効量下限値未満で含有する場合であっても、害虫が、降着してもその場に停留しなければ、本発明の停留抑制効果が発現されていることになる。すなわち、本発明の組成物は、成分(A)及び成分(B)以外の既存の害虫忌避剤を実質的に含有しなくてもよい。
【0055】
ここで、成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤を「有効量含まない」とは、一般的には、成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤の含有量が、本発明の組成物中、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、よりさらに好ましくは4質量%以下、よりさらに好ましくは3質量%以下、よりさらに好ましくは1質量%以下であることを意味する。
既存の害虫忌避剤の有効量は、例えば、各忌避剤製品の製造会社等により公表されている最小有効量等を参考にすることができる。より具体的には、後述する既存の害虫忌避剤であるDEET:N,N-ジエチルトルアミドの有効量は、4質量%以上、好ましくは10質量%以上であり、イカリジン:1-メチルプロピル-2-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピぺリジンカルボキシレートの有効量は4質量%以上、IR3535:3-(アセチルブチル)アミノプロピオン酸エチルエステルの有効量は4質量%以上、シトロネラ油の有効量は10質量%以上である。
【0056】
また、既存の害虫忌避剤の有効量は、以下に記載する忌避評価試験で測定することもできる。
(忌避評価試験)
メッシュで囲われたプラスチックケージ(30×30×30cm:BugDorm-1ケージ)に、交尾済みのメス蚊(ヒトスジシマカ)100匹を入れる。クアラテックスーパーロング手袋(50cm)(アズワン(株)、Catalog number : 3-6432-02)の手首部分より約15cm肘側に縦5cm×横4cm長方形型の切り込みを入れたものに、腕を挿入する。切り込みからの露出部に何も塗布しない状態で、ケージに腕を挿入し、2分間以内に、肌露出部で2か所、蚊に降着された後、1秒間以上停留されることを確認する。1秒間以上停留されない場合は、新しく蚊を用意する。以下、1秒以上の停留を単に停留と表現する。
害虫忌避剤の溶液である評価サンプルの試験は、肌露出部(5cm×4cm)に、該評価サンプルを2mg/cmで塗布できるようにエタノールで濃度を調整して行う。
露出部にピペットマンを用いて、濃度を調整した液を乗せ、肌露出部全体に行き渡るように塗布する(必要溶液量:40~50μl)。その後3分間静置し、試験を開始する。
試験は、該評価サンプルを塗布した腕をケージに2分間挿入し、停留数をカウントすることで行う。トータルで2回停留された時点で試験を終了とし、試験終了まで30分間毎に2分間ずつ腕を挿入する試験を行う。30分目に2回目の停留がされた場合は、忌避効果持続時間を0分間と判定し、60分目で2回目の停留がされた場合は30分間の忌避効果持続時間と判定する。試験は3人の被験者にて行い、平均の忌避効果持続時間を算出する。
本試験において、平均2時間以上の忌避効果持続時間を示す、害虫忌避剤の濃度をその害虫忌避剤の有効濃度(有効量)とすることができる。
本発明の組成物は、成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤を有効量含まなくても忌避持続効果を有することから、むしろ、成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤を実質的に含有しないことが好ましい。本発明の組成物中、成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤の含有量は、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下、さらにより好ましくは実質0質量%である。
【0057】
成分(A)及び成分(B)以外の既存の害虫忌避剤としては、DEET、イカリジン、ジメチルフタレート、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、p-メンタン-3,8-ジオール、カラン-3,4-ジオール、ジ-n-ブチルサクシネート、ヒドロキシアニソール、ロテノン、3-(アセチルブチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、シトロネロール、ユーカリプトール、α-ピネン、ゲラニオール、シトロネラール、カンファー、リナロール、2-ウンデカノン等の公知の害虫忌避化合物の他、シトロネラ油、レモングラス油などの忌避精油等が挙げられる。「忌避精油」とは、植物に含まれる成分を抽出、蒸留、又は圧搾等により得られる精油(エッセンシャルオイル)のうち害虫忌避効果を有するものを意味する。
【0058】
本発明の組成物は、常法により製造できる。例えば、成分(A)、(B)及び必要に応じて用いられるその他の成分を配合し、公知の装置を用いて撹拌することにより製造することができる。
【0059】
本発明の組成物が忌避対象とする害虫に特に制限はないが、飛翔害虫に対してより効果的である。
「飛翔害虫」とは、飛行しながら人等の動物に近づき、その皮膚から吸血する害虫、吸血はしなくても飛翔しながら病原細菌等を媒介する害虫、飛行すること自体が人間に対し不快感を与える害虫等をいう。
飛翔害虫の具体例としては、アカイエカ、コガタアカイエカ、チカイエカ、ネッタイイエカ等のイエカ、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ、シナハマダラカ、トウゴウヤブカ、ガンビエハマダラカ、ステフェンスハマダラカ等の蚊;セスジユスリカ、アカムシユスリカ等のユスリカ;クロオオブユ、キアシオオブユ、アオキツメトゲブユ等のブユ;イエバエ、オオイエバエ、ヒメイエバエ、クロバエ、ニクバエ、タネバエ、タマネギバエ、ミバエ、ショウジョウバエ、チョウバエ、チェチェバエ、サシバエ等のハエ;シクロアブ、ウシアブ、メクラアブ、ゴマフアブ等のアブ;トクナガクロヌカカ、オオシマヌカカ、ニワトリヌカカ等のヌカカ;キイロスズメバチ、セグロアシナガバチ、ミツバチ等のハチ等が挙げられる。
本発明の組成物は、これらの中でも、特に蚊に対する忌避持続効果が優れている。前述した蚊の中でも、アカイエカ、コガタアカイエカ、チカイエカ、ネッタイイエカ、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカに対する忌避持続効果に優れる。
【0060】
[害虫の忌避方法、停留抑制方法]
本発明の害虫の忌避方法は、本発明の害虫忌避組成物を、人の皮膚表面に塗布することにより行われる。
また、本発明の害虫の停留抑制方法は、本発明の害虫停留抑制組成物を、害虫、特に飛翔害虫の肢に付着させることによって、害虫が人の皮膚に停留することを防ぐものである。以下、これらの方法を総称して「本発明の方法」ともいう。
【0061】
ここで、「皮膚表面に塗布する」とは、皮膚表面に手などで組成物を直接塗布することだけでなく、噴霧等により組成物を皮膚表面に付着させることを含む。
皮膚表面に塗布する組成物の量は、忌避持続効果を向上させる観点から、1cmあたり、好ましくは0.1mg以上であり、より好ましくは0.2mg以上、さらに好ましくは0.25mg以上である。また、塗布量の上限は、べたつき抑制及び経済性の観点から、1cmあたり、好ましくは10mg以下、より好ましくは8mg以下、さらに好ましくは5mg以下である。
【0062】
本発明の組成物は、蚊に対する忌避持続効果に優れ、安全で、かつ忌避成分由来の強い臭気を抑制し、使用感に優れる忌避組成物を提供する観点から、下記成分(A)~(C)を含有し、成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤の含有量が15質量%以下である、水中油型の蚊忌避組成物又は蚊停留抑制組成物であることが好ましい。
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油、エーテル油、炭化水素油、脂肪族アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上50質量%以下
(B)下記(B1)~(B9)からなる群から選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(B1)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、ガンマデカラクトン、デルタデカラクトン、デルタノナラクトン、及びガンマウンデカラクトンからなる群から選ばれる1種以上のラクトン類
(B2)9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、及びオクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オンからなる群から選ばれる1種以上のケトン類
(B3)7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、及びオクタヒドロ-5-メトキシ-4,7-メタノ-1H-インデン-2-カルボキシアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上のアルデヒド類
(B4)フェニルエチルメチルエチルカルビノール、シンナミックアルコール、及びオイゲノールからなる群から選ばれる1種以上の芳香族アルコール類
(B5)2-(4-メチル-2-チアゾリル)エタノール
(B6)エチル-2-フェニルアセテート
(B7)(3-ペンチルオキサン-4-イル)アセテート
(B8)フェニルエチルジメチルカルビニルアセテート
(B9)メチルアンスラニレート
(C)水:35質量%以上86.95質量%以下
【0063】
本発明の組成物は、蚊に対する忌避持続効果に優れ、安全で、かつ忌避成分由来の強い臭気を抑制し、使用感に優れる忌避組成物を提供する観点から、下記成分(A)~(C)を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が10以上400以下であり、成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤の含有量が15質量%以下である、水中油型の蚊忌避組成物又は蚊停留抑制組成物であることが好ましい。
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油、エーテル油、炭化水素油、脂肪族アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上50質量%以下
(B)下記(B1)~(B9)からなる群から選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(B1)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、ガンマデカラクトン、デルタデカラクトン、デルタノナラクトン、及びガンマウンデカラクトンからなる群から選ばれる1種以上のラクトン類
(B2)9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、及びオクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オンからなる群から選ばれる1種以上のケトン類
(B3)7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、及びオクタヒドロ-5-メトキシ-4,7-メタノ-1H-インデン-2-カルボキシアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上のアルデヒド類
(B4)フェニルエチルメチルエチルカルビノール、シンナミックアルコール、及びオイゲノールからなる群から選ばれる1種以上の芳香族アルコール類
(B5)2-(4-メチル-2-チアゾリル)エタノール
(B6)エチル-2-フェニルアセテート
(B7)(3-ペンチルオキサン-4-イル)アセテート
(B8)フェニルエチルジメチルカルビニルアセテート
(B9)メチルアンスラニレート
(C)水:35質量%以上86.95質量%以下
【0064】
本発明の組成物は、蚊に対する忌避持続効果に優れ、安全で、かつ忌避成分由来の強い臭気を抑制し、使用感に優れる忌避組成物を提供する観点から、下記成分(A)~(C)を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が10以上400以下であり、成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤の含有量が15質量%以下である、水中油型の蚊忌避組成物又は蚊停留抑制組成物であることが好ましい。
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油、エーテル油、炭化水素油、脂肪族アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上50質量%以下
(B)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン及び7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールから選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(C)水:35質量%以上86.95質量%以下
【0065】
本発明の組成物は、蚊に対する忌避持続効果に優れ、安全で、かつ忌避成分由来の強い臭気を抑制し、使用感に優れる忌避組成物を提供する観点から、下記成分(A)~(D)を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が10以上400以下であり、成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤の含有量が15質量%以下である、水中油型の蚊忌避組成物又は蚊停留抑制組成物であることが好ましい。
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油及び炭化水素油からなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上50質量%以下
(B)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン及び7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールから選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(C)水:35質量%以上86.95質量%以下
(D)増粘剤:0.05質量%以上3質量%以下
【0066】
本発明の害虫の忌避方法は、本発明の組成物が塗布又は付着された対象物に蚊等の害虫が降着しても、害虫がその場に停留しないことによって、害虫を忌避する方法であり、具体的には、蚊等の害虫が、人等の動物の皮膚に降着した後、刺針を差し込むことができる程度の時間、具体的には例えば1秒間以上、動物の皮膚表面に滞在させないという停留抑制効果を有する。かかる効果は、従来にない害虫忌避原理に基づくものであり、しかも肌荒れ等の副作用がなく安全である。
【0067】
上述の実施形態に関し、本発明はさらに以下の実施態様を開示する。
<1>
下記成分(A)及び(B)を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が10以上400以下である、害虫忌避組成物又は害虫停留抑制組成物。
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油、エーテル油、炭化水素油、脂肪族アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上99.95質量%以下
(B)下記(B1)~(B9)からなる群から選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(B1)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、ガンマデカラクトン、デルタデカラクトン、デルタノナラクトン、及びガンマウンデカラクトンからなる群から選ばれる1種以上のラクトン類
(B2)9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、及びオクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オンからなる群から選ばれる1種以上のケトン類
(B3)7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、及びオクタヒドロ-5-メトキシ-4,7-メタノ-1H-インデン-2-カルボキシアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上のアルデヒド類
(B4)フェニルエチルメチルエチルカルビノール、シンナミックアルコール、及びオイゲノールからなる群から選ばれる1種以上の芳香族アルコール類
(B5)2-(4-メチル-2-チアゾリル)エタノール
(B6)エチル-2-フェニルアセテート
(B7)(3-ペンチルオキサン-4-イル)アセテート
(B8)フェニルエチルジメチルカルビニルアセテート
(B9)メチルアンスラニレート
<2>
成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が好ましくは15以上、より好ましくは30以上、さらに好ましくは40以上であり、好ましくは300以下、より好ましくは150以下、さらに好ましくは120以下、よりさらに好ましくは100以下、よりさらに好ましくは70以下である、<1>に記載の組成物。
<3>
成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤の含有量が15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下、よりさらに好ましくは3質量%以下、よりさらに好ましくは1質量%以下である、<1>又は<2>に記載の組成物。
<4>
成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤がDEET、イカリジン、ジメチルフタレート、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、p-メンタン-3,8-ジオール、カラン-3,4-ジオール、ジ-n-ブチルサクシネート、ヒドロキシアニソール、ロテノン、3-(アセチルブチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、シトロネロール、ユーカリプトール、α-ピネン、ゲラニオール、シトロネラール、カンファー、リナロール、2-ウンデカノン、シトロネラ油、及びレモングラス油からなる群から選ばれる1種以上である、<3>に記載の組成物。
<5>
成分(A)の25℃における表面張力が15mN/m以上、好ましくは17mN/m以上であり、30mN/m以下、好ましくは28mN/m以下、より好ましくは25mN/m以下、さらに好ましくは23mN/m以下、よりさらに好ましくは21mN/m以下である、<1>~<4>のいずれか1に記載の組成物。
<6>
成分(A)のB形回転粘度計による23℃における粘度が、1mPa・s以上であり、300mPa・s以下、好ましくは210mPa・s以下、より好ましくは100mPa・s以下、さらに好ましくは60mPa・s以下、よりさらに好ましくは40mPa・s以下、よりさらに好ましくは30mPa・s以下である、<1>~<5>のいずれか1に記載の組成物。
<7>
成分(A)がシリコーン油、エステル油、エーテル油、及び炭化水素油からなる群から選ばれる1種以上、好ましくはシリコーン油、エステル油、及び炭化水素油からなる群から選ばれる1種以上、より好ましくはシリコーン油及びエステル油からなる群から選ばれる1種以上、さらに好ましくはシリコーン油である、<1>~<6>のいずれか1に記載の組成物。
<8>
成分(A)の含有量が好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、よりさらに好ましくは35質量%以下である、<1>~<7>のいずれか1に記載の組成物。
<9>
成分(B)が好ましくはオクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、ガンマデカラクトン、ガンマウンデカラクトン、9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、オクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オン、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、オクタヒドロ-5-メトキシ-4,7-メタノ-1H-インデン-2-カルボキシアルデヒド、フェニルエチルメチルエチルカルビノール、オイゲノール、2-(4-メチル-2-チアゾリル)エタノール、(3-ペンチルオキサン-4-イル)アセテート、及びメチルアンスラニレートからなる群から選ばれる1種以上、より好ましくはオクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン及び7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールからなる群から選ばれる1種以上、よりさらに好ましくはオクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オンである、<1>~<8>のいずれか1に記載の組成物。
<10>
組成物中の成分(B)の含有量が好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下、よりさらに好ましくは0.7質量%以下である、<1>~<9>のいずれか1に記載の組成物。
【0068】
<11>
成分(C)として水を含有する、<1>~<10>のいずれか1に記載の組成物。
<12>
成分(C)の含有量が5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、86.95質量%以下、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下である、<11>に記載の組成物。
<13>
水中油型の組成物であり、組成物中の成分(C)の含有量が好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、好ましくは86.95質量%以下、より好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下である、<11>又は<12>に記載の組成物。
<14>
油中水型の組成物であり、組成物中の成分(C)の含有量が好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である、<11>又は<12>に記載の組成物。
<15>
成分(A)と成分(C)との質量比[(A)/(C)]が好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.15以上、よりさらに好ましくは0.3以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1以下、よりさらに好ましくは0.7以下である、<11>~<14>のいずれか1に記載の組成物。
<16>
さらに成分(D)として増粘剤を、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下含有する、<1>~<15>のいずれか1に記載の組成物。
<17>
下記成分(A)~(C)を含有し、成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤の含有量が15質量%以下である、水中油型の蚊忌避組成物又は蚊停留抑制組成物。
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油、エーテル油、炭化水素油、脂肪族アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上50質量%以下
(B)下記(B1)~(B9)からなる群から選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(B1)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、ガンマデカラクトン、デルタデカラクトン、デルタノナラクトン、及びガンマウンデカラクトンからなる群から選ばれる1種以上のラクトン類
(B2)9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、及びオクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オンからなる群から選ばれる1種以上のケトン類
(B3)7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、及びオクタヒドロ-5-メトキシ-4,7-メタノ-1H-インデン-2-カルボキシアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上のアルデヒド類
(B4)フェニルエチルメチルエチルカルビノール、シンナミックアルコール、及びオイゲノールからなる群から選ばれる1種以上の芳香族アルコール類
(B5)2-(4-メチル-2-チアゾリル)エタノール
(B6)エチル-2-フェニルアセテート
(B7)(3-ペンチルオキサン-4-イル)アセテート
(B8)フェニルエチルジメチルカルビニルアセテート
(B9)メチルアンスラニレート
(C)水:35質量%以上86.95質量%以下
<18>
下記成分(A)~(C)を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が10以上400以下であり、成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤の含有量が15質量%以下である、水中油型の蚊忌避組成物又は蚊停留抑制組成物。
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油、エーテル油、炭化水素油、脂肪族アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上50質量%以下
(B)下記(B1)~(B9)からなる群から選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(B1)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、ガンマデカラクトン、デルタデカラクトン、デルタノナラクトン、及びガンマウンデカラクトンからなる群から選ばれる1種以上のラクトン類
(B2)9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、及びオクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オンからなる群から選ばれる1種以上のケトン類
(B3)7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、及びオクタヒドロ-5-メトキシ-4,7-メタノ-1H-インデン-2-カルボキシアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上のアルデヒド類
(B4)フェニルエチルメチルエチルカルビノール、シンナミックアルコール、及びオイゲノールからなる群から選ばれる1種以上の芳香族アルコール類
(B5)2-(4-メチル-2-チアゾリル)エタノール
(B6)エチル-2-フェニルアセテート
(B7)(3-ペンチルオキサン-4-イル)アセテート
(B8)フェニルエチルジメチルカルビニルアセテート
(B9)メチルアンスラニレート
(C)水:35質量%以上86.95質量%以下
【0069】
<19>
下記成分(A)~(C)を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が10以上400以下であり、成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤の含有量が15質量%以下である、水中油型の蚊忌避組成物又は蚊停留抑制組成物。
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油、エーテル油、炭化水素油、脂肪族アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上50質量%以下
(B)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン及び7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールから選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(C)水:35質量%以上86.95質量%以下
<20>
下記成分(A)~(D)を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比[(A)/(B)]が10以上400以下であり、成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤の含有量が15質量%以下である、水中油型の蚊忌避組成物又は蚊停留抑制組成物。
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油及び炭化水素油からなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上50質量%以下
(B)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン及び7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールから選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(C)水:35質量%以上86.95質量%以下
(D)増粘剤:0.05質量%以上3質量%以下
<21>
成分(A)及び成分(B)以外の害虫忌避剤がDEET、イカリジン、ジメチルフタレート、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、p-メンタン-3,8-ジオール、カラン-3,4-ジオール、ジ-n-ブチルサクシネート、ヒドロキシアニソール、ロテノン、3-(アセチルブチル)アミノプロピオン酸エチルエステル、シトロネロール、ユーカリプトール、α-ピネン、ゲラニオール、シトロネラール、カンファー、リナロール、2-ウンデカノン、シトロネラ油、及びレモングラス油からなる群から選ばれる1種以上である、<17>~<20>のいずれか1に記載の組成物。
<22>
<1>~<21>のいずれか1に記載の組成物を人の皮膚表面に塗布する、害虫の忌避方法。
<23>
<1>~<21>のいずれか1に記載の組成物を害虫の肢に付着させることによって、害虫が人の皮膚に停留することを防ぐ、害虫の停留抑制方法。
【実施例0070】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。なお本実施例において、各種測定及び評価は以下の方法により行った。
【0071】
(液状油性成分の表面張力)
液状油性成分の表面張力は、自動表面張力計「Tensiometer K100」(KRUSS社)を使用し、白金プレートを用いたウィルヘルミー法にて、25℃の環境下で測定される表面張力である。
【0072】
(液状油性成分の粘度)
JIS K7117-1:1999によるB形回転粘度計として、東機産業(株)「Viscometer TVB-10」を使用した。被測定成分は、それぞれの試料ごとに粘度の値が大きく異なるため、一つの測定条件で全てを正確に測定するのは困難である。そこで、2種類のローターを使用して測定した。粘度は、まず、ローターM2を使用して23℃環境下で、回転速度12rpmで測定した。このとき、2500mPa・s以上の粘度を持つ成分は回転速度6rpmで再度測定し、粘度の値を得た。
一方、20mPa・s以下の粘度を持つ成分は、低粘度用ローターであるLアダプターを使用して、23℃環境下で、回転速度を30rpmに設定して再度測定し、粘度の値を得た。
【0073】
(害虫に対する忌避持続効果の評価)
(I)ヒトスジシマカの準備
ヒトスジシマカは、住友テクノサービス(株)より提供されるヒトスジシマカ卵を27℃、相対湿度(RH)60%の条件下ケージ内で飼育し、成長させて成虫としたものを使用した。
透明なプラスチックパンに水を1cm程度張り、購入した卵が産み付けられているろ紙を入れ、蛹へと孵化させた。その後、孵化させた蛹に対して、日々、幼虫用餌として熱帯魚用エサ(テトラミン)を与えた。1週間後、蛹をスポイトで回収し、20mL用プラスチックカップに移し、網を張ったケージに移した。蛹に対して、成虫用の餌として、10質量%スクロースを25mLプラスチックチューブに入れたものを与えた。羽化後、5日間オスとメスを同じケージで飼育することで交尾を行わせた。飼育5日後、成虫を吸虫管を用いて集め、氷上で5分間麻酔後に目視下でオスとメスを分け、メスのみを回収し、評価に用いた。
【0074】
(II)忌避持続効果の測定(組成物の塗布3時間後の忌避率)
200匹のメスヒトスジシマカをメッシュケージ(30×30×30cm)に移し、27℃、60RH%下試験を実施した。忌避試験には肌の表面を再現したモデル皮膚Bio Skin Plate(BEAULAX社、4.5cm×4.5cm)をヒーターで40℃に加温したものを用い、メッシュゲージは4.5cm×4.5cmの開口部を設け、蚊がモデル皮膚に直接降着できるようにした。
蚊の忌避率は次のように算出した。
(1)コントロール降着数の計測
上記の加温したモデル皮膚(組成物未塗布)を蚊の入ったメッシュゲージにあてがい、5秒間呼気による活性化の後、2分間、10秒ごとにモデル皮膚に降着した蚊の数を計測し、その平均数を降着数1とした。
(2)組成物塗布3時間後の忌避率の算出
続いて、モデル皮膚に2mg/cmの試験対象の組成物を塗布し、3時間経過したものを同様にメッシュゲージにあてがい、5秒間呼気による活性化の後、2分間10秒ごとにモデル皮膚に降着した蚊の数を計測し、その平均数を降着数2とした。
各例の組成物の塗布3時間後の忌避率は上記降着数1,2の値を用い、「忌避率」=(降着数1-降着数2)/(降着数1)×100(%)として算出した。
【0075】
(におい強度の評価)
ヒト前腕内側部の4.5×4.5cm面に、各例の組成物を2mg/cmとなるように塗布し、3時間静置した。その後評価者3名による官能評価によってにおい強度を決定した。におい強度は6段階評価(5:強烈なにおい,4:強いにおい,3:容易に感知できるにおい,2:何のにおいであるかわかる弱いにおい,1:やっと感知できるにおい,0:無臭)で評価し、その評価者3名の評価の平均値をにおい強度とした。肌塗布に適したにおい強度として以下のように分類した。なお、数値が小さい方がにおいが少なく、優れた組成物であることを示す。
A:2.5以下
B:2.5超3.5以下
C:3.5超
【0076】
(長期保存安定性の評価)
100mLのガラス瓶に、各例の組成物80mLを入れ、密閉して、50℃で1か月間保存した後、組成物中の油相の分離の有無を、目視により確認し、下記基準で示した。
A:変化なし。
B:油相が合一し、乳化物から表面へのしみ出しが多少見られる。
C:油相の分離が見られる。
【0077】
実施例1~39、比較例1~24(組成物の製造及び評価)
表1に示す各成分を表2~7に示す配合量にて配合し、T.K.ロボミックス(特殊機化工業(株))の撹拌部をT.K.ホモミキサー MARKII2.5型に換えたものを用いて8,000rpmで2分撹拌する工程を経て、各例の水中油型の組成物を得た。表に記載した(A)~(D)の表記は、それぞれ本明細書における成分(A)~(D)に対応し、(a)の表記は、本明細書における成分(A)の範囲外の液状油性成分に対応する。また表2~7に記載した配合量は各成分の有効成分量(質量%)である。得られた組成物を用いて、前記方法により各種評価を行った。結果を表2~7に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
【表5】
【0083】
【表6】
【0084】
【表7】
【0085】
表2及び表4~7より、成分(A)及び(B)を所定量含有する本発明の組成物(実施例1~39)は、塗布3時間経過後の忌避率が高く忌避効果の持続性に優れ、におい強度が低く、忌避効果のある香料である成分(B)由来の臭気が抑制されていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明によれば、害虫、特に飛翔害虫に対する忌避持続効果に優れ、安全でかつ忌避効果のある香料由来の強い臭気が抑えられ、皮膚への施用に適した害虫忌避組成物、害虫停留抑制組成物、害虫の忌避方法、及び害虫の停留抑制方法を提供することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に塗布された、下記成分(A)及び(B)を含有する害虫忌避組成物が、対象物に降着した害虫の肢に付着される、害虫の忌避方法
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油、エーテル油、炭化水素油、脂肪族アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上99.95質量%以下
(B)下記(B1)~(B9)からなる群から選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(B1)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、ガンマデカラクトン、デルタデカラクトン、デルタノナラクトン、及びガンマウンデカラクトンからなる群から選ばれる1種以上のラクトン類
(B2)9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、及びオクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オンからなる群から選ばれる1種以上のケトン類
(B3)7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、及びオクタヒドロ-5-メトキシ-4,7-メタノ-1H-インデン-2-カルボキシアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上のアルデヒド類
(B4)フェニルエチルメチルエチルカルビノール、シンナミックアルコール、及びオイゲノールからなる群から選ばれる1種以上の芳香族アルコール類
(B5)2-(4-メチル-2-チアゾリル)エタノール
(B6)エチル-2-フェニルアセテート
(B7)(3-ペンチルオキサン-4-イル)アセテート
(B8)フェニルエチルジメチルカルビニルアセテート
(B9)メチルアンスラニレート
【請求項2】
下記成分(A)及び(B)を含有する、害虫停留抑制組成物を害虫の肢に付着させることによる、害虫の停留抑制方法
(A)25℃における表面張力が40mN/m以下、B形回転粘度計による23℃における粘度が400mPa・s以下である、シリコーン油、エステル油、エーテル油、炭化水素油、脂肪族アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種以上の不揮発性液状油性成分:13質量%以上99.95質量%以下
(B)下記(B1)~(B9)からなる群から選ばれる1種以上の香料:0.05質量%以上3.5質量%以下
(B1)オクタヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、ガンマデカラクトン、デルタデカラクトン、デルタノナラクトン、及びガンマウンデカラクトンからなる群から選ばれる1種以上のラクトン類
(B2)9-エチリデン-3-オキサトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、及びオクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オンからなる群から選ばれる1種以上のケトン類
(B3)7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、及びオクタヒドロ-5-メトキシ-4,7-メタノ-1H-インデン-2-カルボキシアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上のアルデヒド類
(B4)フェニルエチルメチルエチルカルビノール、シンナミックアルコール、及びオイゲノールからなる群から選ばれる1種以上の芳香族アルコール類
(B5)2-(4-メチル-2-チアゾリル)エタノール
(B6)エチル-2-フェニルアセテート
(B7)(3-ペンチルオキサン-4-イル)アセテート
(B8)フェニルエチルジメチルカルビニルアセテート
(B9)メチルアンスラニレート
【請求項3】
成分(A)がシリコーン油、エステル油、及び炭化水素油からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の方法
【請求項4】
成分(A)の含有量が13質量%以上75質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法
【請求項5】
ヒトに対する医療行為を除く、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法