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特開2024-96949ウルトラキャパシタのためのエネルギー貯蔵媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096949
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ウルトラキャパシタのためのエネルギー貯蔵媒体
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/36 20130101AFI20240709BHJP
   H01G 11/62 20130101ALI20240709BHJP
【FI】
H01G11/36
H01G11/62
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024067223
(22)【出願日】2024-04-18
(62)【分割の表示】P 2022017007の分割
【原出願日】2012-06-07
(31)【優先権主張番号】61/494,164
(32)【優先日】2011-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/524,071
(32)【優先日】2011-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/525,326
(32)【優先日】2011-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/568,450
(32)【優先日】2011-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/569,010
(32)【優先日】2011-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/570,587
(32)【優先日】2011-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/602,121
(32)【優先日】2012-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513295777
【氏名又は名称】ファーストキャップ・システムズ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】FastCAP SYSTEMS Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ニコロ・ミケーレ・ブランビッラ
(72)【発明者】
【氏名】カヴヤ・ラマチャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】リッカルド・シニョレッリ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ウルトラキャパシタのためのカーボンナノチューブをベースとする高出力の電極を提供する。
【解決手段】ウルトラキャパシタのための電極基部構造体26であって、マルチフォーム電極が集電体2の表面に配置されたカーボンナノチューブの集合体を含む接合層36および第1の接合層36の表面に配置されたナノフォームカーボンを含む少なくとも接着層34を含み、第1の接合層36および接着層34の少なくとも一方が圧縮された層を含むハウジングならびにウルトラキャパシタ内のイオン輸送をもたらす電解質を含み、少なくとも約12kW/kgの出力電力密度を有する。接合層36と接着層34はPVDなどの方法により金属薄膜を形成する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体の製造方法であって、
実質的に酸素のない環境中に基材を装着すること;
基材上に触媒を配置して基体を提供すること;
基体を原材料ガスに付し、基体上に集合体を成長させるために原材料ガスおよび基体の少なくとも一方を加熱すること;ならびに
実質的に酸素のない環境において集合体を冷却すること
を含む、方法。
【請求項2】
基材が、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウム、マンガン、コバルト、銅、銀、金、白金、ニオブ、タンタル、鉛、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、インジウム、蛍光物質およびアンチモン;前記の合金、前記の酸化物、シリコン、石英、ガラス、雲母、黒鉛、ダイヤモンドならびにセラミックの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
触媒を配置することが、スパッタリング蒸発、カソードアーク蒸着、スパッタ蒸着、イオンビーム支援蒸着、イオンビーム誘起蒸着、およびエレクトロスプレーイオン化の少なくとも1つを用いることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
触媒を配置することが、約0.1nm~約100nm、約0.5nm~約5nmおよび約0.8nm~約2nmのいずれか1つの厚さを配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
触媒をパターニングして集合体の成形を制御することを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
触媒を配置することが、非連続および実質的に連続のいずれか一方である層を配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
集合体の成長の間に、基体を触媒活性化材料に付すことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
触媒活性化材料を原材料ガスに加えることを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
原材料ガスが、メタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンプロピレンおよびアセチレンの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
原材料ガスが、メタノールおよびエタノール、アセトン、一酸化炭素、ならびに低炭素の酸素含有化合物の少なくとも1つを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
汚染物質の蓄積を制限するように処理される構成要素を備える製造装置を選択することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
構成要素の処理が、少なくとも1つの不動態化材料で構成要素を不動態化することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
不動態化材料がシリコン含有材料を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
一旦成長すると、集合体は約300m/g~約2,200m/gの比表面積SAを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
一旦成長すると、集合体は約0.002g/cm~約0.2g/cmの重量密度(ρ)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
一旦成長すると、集合体は約50μm~約5mmの高さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
一旦成長すると、集合体中のカーボンナノチューブは約1~10個の壁を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
一旦成長すると、集合体中のカーボンナノチューブは約0.7nm~約10nmの直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
一旦成長すると、集合体は約10CNT/cm~約1012CNT/cmの密度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
触媒が、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、それらの塩化物、それらの合金、それらとアルミニウム、アルミナ、チタニア、窒化チタンおよび酸化ケイ素の少なくとも1つとの複合体;鉄-モリブデンフィルム、アルミナ-鉄フィルム、アルミナ-コバルトフィルム、アルミナ-鉄-モリブデンフィルム、アルミニウム-鉄フィルムおよびアルミニウム-鉄-モリブデンフィルムの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
触媒が複数の層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
基材および触媒の少なくとも一方に浸炭防止層を配置することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
浸炭防止層が、金属およびセラミック材料の少なくとも一方を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
浸炭防止層が、約1nm~約500nmの厚さである、請求項22に記載の方法。
請求項1に記載の方法。
【請求項25】
浸炭防止層が、銅、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化クロム、酸化ホウ素、酸化カルシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウムおよび窒化ケイ素の少なくとも1つを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体を製造する装置であって、
実質的に酸素のない環境中に基材を装着するためのローダー部:
基材上に触媒を配置して基体を提供するためのスパッタリング部;
基体を原材料ガスに付し、基体上に集合体を成長させるために原材料ガスおよび基体の少なくとも一方を加熱するための炭素沈積部;ならびに
実質的に酸素のない環境において集合体を冷却するための冷却部
を含む、装置。
【請求項27】
ローダー部が、実質的に酸素のない環境を提供するための制御装置を含む、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
スパッタリング部が、スパッタリング蒸発、カソードアーク蒸着、スパッタ蒸着、イオンビーム支援蒸着、イオンビーム誘起蒸着、およびエレクトロスプレーイオン化の少なくとも1つのための装置を含む、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
触媒の形態を調節するようになっている触媒の仕上げ加工部を更に含む、請求項26に記載の装置。
【請求項30】
触媒の仕上げ加工部がグロー放電ユニットを含む、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
炭素沈積部が化学蒸着装置を含む、請求項26に記載の装置。
【請求項32】
炭素沈積部がガス注入器を含む、請求項26に記載の装置。
【請求項33】
装置の少なくとも1つの構成要素が不動態化された、請求項26に記載の装置。
【請求項34】
ウルトラキャパシタの電極の製造方法であって、電極は、垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体を含み、前記方法は:
実質的に酸素のない環境中に基材を装着すること;基材上に触媒を配置して基体を提供すること;基体を原材料ガスに付し、原材料ガスおよび基体の少なくとも一方を加熱して基体上に集合体を成長させること;ならびに実質的に酸素のない環境において集合体を冷却することによって製造された集合体を選択することと、
集合体を集電体と接合すること、集合体を基体から取り外して集電体を集合体上に配置すること、および集合体を他の炭素質材料と組み合わせてその組み合わせを集電体と接合することの1つと
を含む、方法。
【請求項35】
追加の集合体および追加の炭素質材料の少なくとも一方を電極に加えることを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
移動させることが、集合体の表面に結合層を形成すること、および集合体を集電体に結合することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
取り外すことが、製造後プロセスにおいて集合体を処理して基体からの集合体の分離を促進することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
集電体を配置することが、層を集合体に沈積させることを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
組み合わせることが、集合体のもう1つの層の表面に集合体を配置することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
組み合わせることが、他の炭素質材料の層の表面に集合体を配置することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
他の炭素質材料が、活性炭、炭素繊維、レーヨン、グラフェン、エアロゲル、炭素布および複数の形態のカーボンナノチューブの少なくとも1つを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
集合体を処理してカーボンナノチューブの表面積SAを増加させることを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
処理することが、集合体を酸化させることを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
エネルギー貯蔵システムのための電極の製造方法であって、
上に配置された一の厚さの垂直に配列されたカーボンナノチューブ(CNT)を含む基体を選択すること;
前記厚さのCNT上に結合層を配置すること;
結合層を集電体と結合させて、前記厚さのCNTを圧縮すること;および
CNTから基体を除去して電極を提供すること
を含む、方法。
【請求項45】
圧縮されたCNTが周期的変形を示す、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
CNTの少なくとももう1つの層を電極上に配置することを更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記CNTの少なくとももう1つの層を圧縮することを更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
選択することが、基体からのCNTの分離を促進するように処理された基体を選択することを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
処理が、基体およびCNTを加熱することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
エネルギー貯蔵システムのための電極であって、
上に配置された結合層を含む集電体;
上に配置された結合層を含む圧縮された垂直に配列されたカーボンナノチューブ(CNT)の少なくとも1つの層;
を含み、
集電体の結合層が、圧縮されたCNTの層の結合層に結合される、電極。
【請求項51】
上に配置された結合層を含む集電体と、上に配置された結合層を含む圧縮された垂直に配列されたカーボンナノチューブ(CNT)の少なくとも1つの層とを含む少なくとも1つの電極であって、集電体の結合層が、圧縮されたCNTの層の結合層に結合される、電極;および
少なくとも1つの電極を濡らす電解質
を含む、ウルトラキャパシタ。
【請求項52】
ウルトラキャパシタのハウジングが、角柱形および円筒形の一方である、請求項51に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項53】
ウルトラキャパシタの製造方法であって、ウルトラキャパシタは、垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体を含む少なくとも1つの電極を含み、前記方法は:
実質的に酸素のない環境中に基材を装着すること;基材上に触媒を配置して基体を提供すること;基体を原材料ガスに付し、原材料ガスおよび基体の少なくとも一方を加熱して基体上に集合体を成長させること;ならびに実質的に酸素のない環境において集合体を冷却することによって製造された集合体を選択することと、集合体を集電体上に移動させること、基体から集合体を取り外して集合体上に集電体を配置すること、および集合体を集電体上で他の炭素質材料と組み合わせて電極を提供することの1つとによって製造された電極を選択すること;ならびに
電極をウルトラキャパシタに組み込むこと
を含む、方法。
【請求項54】
電解質およびセパレータの少なくとも一方をウルトラキャパシタに組み込むことを更に含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
ウルトラキャパシタを密封することを更に含む、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
エネルギー貯蔵システムのための電極の製造方法であって、
集電体と、集電体の表面に配置された第1の接合層とを含む基部を選択すること;および
第2の接合層を第1の接合層と接合することであって、第2の接合層はその上に配置された炭素質層を含み、炭素質層は電荷を貯蔵するための材料を含む、こと
を含む、方法。
【請求項57】
接合することが、接合層を加熱すること及び接合層を一緒に加圧することの少なくとも一方を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
加熱の温度範囲が約150℃~約600℃である、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
炭素質層から基体層を除去して炭素質層を露出させることを更に含む、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
基部を製造するときに集電体から酸化物を除去することを更に含む、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
炭素質層が、化学蒸着(CVD)によって沈積される、請求項56に記載の方法。
【請求項62】
接合層の少なくとも1つが、マグネトロンスパッタリングおよび熱蒸発の一方によって沈積される、請求項56に記載の方法。
【請求項63】
集電体と、集電体の表面に配置された第1の接合層とを含む基部;および
第1の接合層と接合された第2の接合層であって、第2の接合層は、その上に配置された炭素質層を含み、炭素質層は電荷を貯蔵するための材料を含む、第2の接合層
を含む、電極。
【請求項64】
炭素質層が、活性炭、炭素繊維、レーヨン、グラフェン、エアロゲル、炭素布、カーボンナノホーン、エッチングされたアルミニウム、カーボンナノチューブ(CNT)およびそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項63に記載の電極。
【請求項65】
集電体が、アルミニウム、銅、ステンレススチール、ニッケル、鉄、タンタル、導電性酸化物およびそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項63に記載の電極。
【請求項66】
集電体が、キャパシタの電解質との低い反応速度を示す、請求項63に記載の電極。
【請求項67】
集電体が実質的に酸化物を含まない、請求項63に記載の電極。
【請求項68】
集電体と第1の接合層との間に配置される接着層、炭素質層と第2の接合層との間に配置されるオーミック層、および炭素質層が上に配置された基体層の少なくとも1つを更に含む、請求項63に記載の電極。
【請求項69】
接着層は、集電体と第1の接合層との間の接着性を向上させるようになっている、請求項68に記載の電極。
【請求項70】
接着層が、チタン、タングステン、クロムおよびそれらの組み合わせの1つを含む、請求項68に記載の電極。
【請求項71】
オーミック層が、キャパシタの電解質との低い反応速度を示す、請求項68に記載の電極。
【請求項72】
オーミック層が、アルミニウム、タンタルおよび白金の少なくとも1つを含む、請求項68に記載の電極。
【請求項73】
基体層が、炭素質層中の材料に対するホストとして選択され、かつ機械的可とう性で選択される、請求項68に記載の電極。
【請求項74】
第1の接合層および第2の接合層の一方が、白金、金、銀、パラジウム、スズ、ニッケル、銅およびそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項63に記載の電極。
【請求項75】
集電体および集電体の表面に配置された第1の接合層を含む基部と、第1の接合層に接合された第2の接合層であって、その上に配置された炭素質層を含み、炭素質層はウルトラキャパシタの電荷を貯蔵するための材料を含む、第2の接合層とを含む少なくとも1つの電極を備えるハウジング;ならびに
ハウジングの中に配置される電解質および誘電材料の少なくとも一方を含み、少なくとも1つの電極はハウジングの出力電極に連結される、ウルトラキャパシタ。
【請求項76】
ウルトラキャパシタのハウジングが、角柱形および円筒形の一方である、請求項75に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項77】
エネルギー貯蔵デバイスのためのマルチフォーム電極を提供する方法であって、
集電体と電気的に接触するカーボンナノチューブの集合体を含む電極を選択すること;
キャリア材料中に分散した少なくとも1つのナノフォームカーボンを集合体の上に配置すること;および
キャリア材料を放出してマルチフォーム電極を提供すること
を含む、方法。
【請求項78】
集合体が、垂直に配列されたカーボンナノチューブを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
集電体が、アルミニウムおよびアルミニウム合金の少なくとも1つを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
配置することが、ナノフォームカーボンを含む浴に電極を浸漬することを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
浴から電極を回収することを更に含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記放出のために浴を蒸発させることを更に含む、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
配置することが、アプリケータを用いてナノフォームカーボンを適用することを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項84】
放出することが、上に配置されたナノフォームカーボンを含む電極を加熱することを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項85】
配置することが、単層ナノチューブ、多層ナノチューブ、ナノホーン、ナノオニオン、カーボンブラック、フラーレン、グラフェン、酸化グラフェン、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、導電性ポリマーの少なくとも1つの形態、および上述のものの処理された形態の少なくとも1つをキャリア材料に混入することを含む、請求項77に記載の方法。
請求項77に記載の方法。
【請求項86】
配置することを制御して、マルチフォーム電極におけるエネルギー貯蔵媒体の所望の特性を達成することを更に含む、請求項77に記載の方法。
【請求項87】
特性が、エネルギー貯蔵媒体の密度を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
エネルギー貯蔵デバイスのためのマルチフォーム電極であって、
集電体の表面に配置されたカーボンナノチューブの集合体であって、集合体は、キャリア材料中に分配されたナノフォームカーボンを含む溶液として集合体の上に配置されたナノフォームカーボンの少なくとも1つの追加の層を更に含む、集合体
を含む、マルチフォーム電極。
【請求項89】
集合体が、垂直に配列されたカーボンナノチューブを含む、請求項88に記載のマルチフォーム電極。
【請求項90】
集電体が、アルミニウムおよびアルミニウム合金の少なくとも一方を含む、請求項89に記載のマルチフォーム電極。
【請求項91】
中に配置されたマルチフォーム電極を少なくとも含むハウジング;
集電体の表面に配置されたカーボンナノチューブの集合体を含むマルチフォーム電極であって、集合体は、キャリア材料中に分配されたナノフォームカーボンを含む溶液として集合体の上に配置されたナノフォームカーボンの少なくとも1つの追加の層を更に含む、マルチフォーム電極;および
ウルトラキャパシタ内のイオン輸送をもたらす電解質
を含む、ウルトラキャパシタ。
【請求項92】
ウルトラキャパシタのハウジングが、角柱形および円筒形の一方である、請求項91に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項93】
電解質が、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウム、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム、1,3-ビス(3-シアノプロピル)イミダゾリウム、1,3-ジエトキシイミダゾリウム、1-ブチル-1-メチルピペリジニウム、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-4-メチルピリジニウム、1-ブチルピリジニウム、1-デシル-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、3-メチル-1-プロピルピリジニウムおよびこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項91に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項94】
電解質が、ビス(トリフルオロメタンスルホナート)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホナート)メチド、ジシアナミド、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメタンスルホナート、ビス(ペンタフルオロエタンスルホナート)イミド、チオシアナート、トリフルオロ(トリフルオロメチル)ボレートおよびこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項91に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項95】
ナノフォームカーボンが、単層ナノチューブ、多層ナノチューブ、ナノホーン、ナノオニオン、カーボンブラック、フラーレン、グラフェン、酸化グラフェン、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、導電性ポリマーの少なくとも1つの形態、および上述のものの処理された形態の少なくとも1つを含む、請求項91に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項96】
電解質が、アセトニトリル、アミド、ベンゾニトリル、ブチロラクトン、環状エーテル、ジブチルカーボナート、ジエチルカーボナート、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジメチルカーボナート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホン、ジオキサン、ジオキソラン、ギ酸エチル、エチレンカーボナート,エチルメチルカーボナート、ラクトン、直鎖状エーテル、ギ酸メチル、メチルプロピオナート、メチルテトラヒドロフラン、ニトリル、ニトロベンゼン、ニトロメタン、n-メチルピロリドン、プロピレンカーボナート、スルホラン、スルホン、テトラヒドロフラン、テトラメチレンスルホン、チオフェン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、炭酸エステル、γ-ブチロラクトン、ニトリル、トリシアノヘキサン、これらのいずれかの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項91に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項97】
炭素質集合体を提供する方法であって、
配列されたカーボンナノチューブの集合体を第1の溶液中に分散させること;
炭素添加物を第2の溶液中に分散させること;
第1の溶液および第2の溶液を超音波混合すること;
混合された第1の溶液と混合された第2の溶液とを混合して混合溶液を提供すること;
混合溶液を超音波混合すること;
混合された混合溶液から炭素質集合体を得ること
を含む、方法。
【請求項98】
炭素質集合体を、エネルギー貯蔵媒体としてウルトラキャパシタの電極に組み込むことを更に含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
炭素質集合体を、エネルギー貯蔵媒体としてエネルギー貯蔵セルの電極に組み込むことを更に含む、請求項97に記載の方法。
【請求項100】
組み込むことが、エネルギー貯蔵媒体の密度、厚さおよび面積の少なくとも1つを制御することを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項101】
炭素添加物を分散させることが、活性炭、炭素粉末、炭素繊維、レーヨン、グラフェン、エアロゲル、ナノホーンおよびカーボンナノチューブの少なくとも1つを分散させることを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項102】
溶液を超音波混合することが、溶液中の炭素を引き出すこと、膨らませること及び分解することの少なくとも1つに対して十分な時間、炭素を混合することを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項103】
炭素質集合体を乾燥させること、平らにすること、圧縮すること、加熱すること、処理すること、および成形することの少なくとも1つを更に含む、請求項97に記載の方法。
【請求項104】
炭素質集合体を含むエネルギー貯蔵媒体を備える電極であって、
上に配置された炭素質集合体を含む集電体であって、集合体は、超音波処理したカーボンナノフォームの組み合わせを含む、集電体
を含む、電極。
【請求項105】
カーボンナノフォームの少なくとも1つが、活性炭、炭素粉末、炭素繊維、レーヨン、グラフェン、エアロゲル、ナノホーンおよびカーボンナノチューブを含む、請求項104に記載の電極。
【請求項106】
炭素質集合体を含むエネルギー貯蔵媒体を備える少なくとも1つの電極であって、電極は、上に配置された炭素質集合体を含む集電体を含み、集合体は、超音波処理したカーボンナノフォームの組み合わせを含む、電極
を含む、ウルトラキャパシタ。
【請求項107】
電解質を更に含む、請求項106に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項108】
電極の構成要素の製造方法であって、
上に配置されたカーボンナノチューブの集合体を含む基体を選択すること;
導電性材料の層を集合体の上に沈積させること;および
基体から集合体および導電性材料を取り外すこと
を含む、方法。
【請求項109】
集合体を処理して、集合体と基体との結合を弱めることを更に含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
処理することが、結合を酸化させることを含む、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
処理することが、集合体および基体の少なくとも一方を加熱することを含む、請求項109に記載の方法。
【請求項112】
取り外すことが、移動器具を導電性材料に適用し、基体から集合体を持ち上げることを含む、請求項108に記載の方法。
【請求項113】
移動器具が、熱剥離テープおよび空気動力工具の一方を含む、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
リード線を電気的接続として導電性材料に連結することを更に含む、請求項108に記載の方法。
【請求項115】
連結をもたらすために酸化物層を除去することを更に含む、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
連結することが、超音波溶接することを含む、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
電極を提供するために一緒に連結される複数の構成要素を更に含む、請求項108に記載の方法。
【請求項118】
複数の電極構成要素であって、各構成要素は、カーボンナノチューブの集合体と、その上に配置された導電性材料の層とを含む、電極構成要素
を含む電極であって、
構成要素の各々は構成要素の別の1つと連結され、少なくとも1つの連結は、構成要素の導電性材料との結合を含む、電極。
【請求項119】
連結の少なくとも1つが接合部を含む、請求項118に記載の電極。
【請求項120】
カーボンナノチューブが、垂直に配列されたカーボンナノチューブを含む、請求項118に記載の電極。
【請求項121】
導電性材料が、アルミニウムおよびアルミニウム合金の一方を含む、請求項118に記載の電極。
【請求項122】
複数の電極構成要素を含む少なくとも1つの電極であって、各々の構成要素はカーボンナノチューブの集合体と、その上に配置された導電性材料の層とを含み;構成要素の各々は構成要素の別の1つと連結され、少なくとも1つの連結は、構成要素の導電性材料との結合を含む、電極;
少なくとも1つの電極を収容するハウジング;および
ウルトラキャパシタ内のイオンの輸送をもたらす電解質
を含むウルトラキャパシタ。
【請求項123】
電極の製造方法であって、
カーボンナノチューブ(CNT)の層状の積層体を得ること;
層状の積層体を溶液で濡らすこと;
層状の積層体を圧縮すること;
圧縮された層状の積層体を乾燥させること;および
圧縮された層状の積層体に集電体を適用すること
を含む、方法。
【請求項124】
濡らすことが、溶液の浴および噴霧の少なくとも一方を用いることを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
圧縮することが、カレンダー機を用いて圧力をかけることを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項126】
乾燥させることが、溶液を蒸発させること、圧縮された層状の積層体に真空を適用すること、および圧縮された層状の積層体を加熱することの少なくとも1つを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項127】
層状の積層体中のCNTの層の少なくとも2つの間に、溶媒および炭素のナノフォームの溶液を配置することを更に含む、請求項123に記載の方法。
【請求項128】
溶液が、エタノール、イソプロピルアルコール、脱イオン水、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)およびジメチルスルホキシド(DMSO)の少なくとも1つを含む、請求項123に記載の方法。
【請求項129】
エネルギー貯蔵のための電極であって、
垂直に配列されたカーボンナノチューブ(CNT)の圧縮された層状の積層体および該積層体の上に配置された集電体
を含む、電極。
【請求項130】
集電体が、化学蒸着(CVD)、スパッタリング蒸発、カソードアーク蒸着、スパッタ蒸着、イオンビーム支援蒸着、イオンビーム誘起蒸着、およびエレクトロスプレーイオン化の少なくとも1つによってCNTの上に配置される、請求項129に記載の電極。
【請求項131】
カーボンナノチューブ(CNT)の圧縮された層状の積層体と、該積層体の上に配置された集電体とを含む少なくとも1つの電極;および
電極に貯蔵されたエネルギーをウルトラキャパシタの少なくとも1つの端子に輸送するための電解質
を含むウルトラキャパシタ。
【請求項132】
ウルトラキャパシタの使用方法であって、
電解質および2つの電極を含むウルトラキャパシタであって、電極の各々は、集電体と電気的に連通し且つセパレータによって他方の電極から離隔される、ウルトラキャパシタを得ること;ならびに
ウルトラキャパシタを二者択一的に充電および放電することによりウルトラキャパシタをサイクルさせることであって、ウルトラキャパシタの出力される電力密度が、各サイクルについて少なくとも12kW/kgであり、最大で約250kW/kgであること
を含む、方法。
【請求項133】
ウルトラキャパシタは、約1000万回サイクルするようになっている、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
ウルトラキャパシタの使用方法であって、
電解質および2つの電極を含むウルトラキャパシタであって、電極の各々は、集電体と電気的に連通し且つセパレータによって他方の電極から離隔される、ウルトラキャパシタを得ること;ならびに
ウルトラキャパシタを二者択一的に充電および放電することによりウルトラキャパシタをサイクルさせることであって、ウルトラキャパシタの出力されるエネルギー密度が、各サイクルについて少なくとも1Wh/kgであり、最大で約35Wh/kgであること
を含む、方法。
【請求項135】
ウルトラキャパシタは、約1000万回サイクルするようになっている、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
ウルトラキャパシタの使用方法であって、
電解質および2つの電極を含むウルトラキャパシタであって、電極の各々は、集電体と電気的に連通し且つセパレータによって他方の電極から離隔される、ウルトラキャパシタを得ること;ならびに
ウルトラキャパシタを横切る電圧を最大電圧と最大電圧の約半分との間に保持しながら、ウルトラキャパシタを二者択一的に充電および放電することによりウルトラキャパシタをサイクルさせることであって、充電および放電が、ウルトラキャパシタからの出力をもたらし、1回の充電または放電において少なくとも3.75Wh/kgのエネルギーであること
を含む、方法。
【請求項137】
ウルトラキャパシタは、約1000万回サイクルするようになっている、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
最大電圧が約4ボルトである、請求項136に記載の方法。
【請求項139】
ウルトラキャパシタの使用方法であって、前記方法は、
電解質および2つの電極を含むウルトラキャパシタであって、電極の各々は、集電体と電気的に連通し且つセパレータによって他方の電極から離隔される、ウルトラキャパシタを得ること
を含み、
ウルトラキャパシタの充電および放電の一方が、約7Wh-kW/kg~約250Wh-kW/kgの範囲の電力およびエネルギーの組み合わせをもたらし、電力の積は、ウルトラキャパシタの質量で除され、エネルギーはウルトラキャパシタの質量で除される、方法。
【請求項140】
範囲が、約25Wh-kW/kg~約250Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
範囲が、約50Wh-kW/kg~約250Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項142】
範囲が、約100Wh-kW/kg~約250Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項143】
範囲が、約150Wh-kW/kg~約250Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項144】
範囲が、約200Wh-kW/kg~約250Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項145】
範囲が、約7Wh-kW/kg~約200Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項146】
範囲が、約25Wh-kW/kg~約200Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項147】
範囲が、約50Wh-kW/kg~約200Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項148】
範囲が、約100Wh-kW/kg~約200Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項149】
範囲が、約150Wh-kW/kg~約200Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項150】
範囲が、約7Wh-kW/kg~約150Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項151】
範囲が、約25Wh-kW/kg~約150Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項152】
範囲が、約50Wh-kW/kg~約150Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項153】
範囲が、約100Wh-kW/kg~約150Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項154】
範囲が、約7Wh-kW/kg~約100Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項155】
範囲が、約25Wh-kW/kg~約100Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項156】
範囲が、約50Wh-kW/kg~約100Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項157】
範囲が、約7Wh-kW/kg~約50Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項158】
範囲が、約25Wh-kW/kg~約50Wh-kW/kgの範囲である、請求項139に記載の方法。
【請求項159】
ウルトラキャパシタの使用方法であって、前記方法は、
電解質および2つの電極を含むウルトラキャパシタであって、電極の各々は集電体と電気的に連通し且つセパレータによって他方の電極から離隔される、ウルトラキャパシタを得ること
を含み、
ウルトラキャパシタを横切る電圧を最大電圧と最大電圧の約半分との間に保持している間の、ウルトラキャパシタの充電および放電の一方が、約7Wh-kW/kg~約250Wh-kW/kgの範囲の電力およびエネルギーの組み合わせをもたらし、電力の積は、ウルトラキャパシタの質量で除され、エネルギーはウルトラキャパシタの質量で除される、方法。
【請求項160】
範囲が、約5Wh-kW/kg~約190Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
範囲が、約19Wh-kW/kg~約190Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項162】
範囲が、約38Wh-kW/kg~約190Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項163】
範囲が、約75Wh-kW/kg~約190Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項164】
範囲が、約112Wh-kW/kg~約190Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項165】
範囲が、約150Wh-kW/kg~約190Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項166】
範囲が、約5Wh-kW/kg~約150Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項167】
範囲が、約19Wh-kW/kg~約150Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項168】
範囲が、約38Wh-kW/kg~約150Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項169】
範囲が、約75Wh-kW/kg~約150Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項170】
範囲が、約112Wh-kW/kg~約150Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項171】
範囲が、約5Wh-kW/kg~約112Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項172】
範囲が、約19Wh-kW/kg~約112Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項173】
範囲が、約38Wh-kW/kg~約112Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項174】
範囲が、約75Wh-kW/kg~約112Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項175】
範囲が、約5Wh-kW/kg~約75Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項176】
範囲が、約19Wh-kW/kg~約75Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項177】
範囲が、約38Wh-kW/kg~約75Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項178】
範囲が、約5Wh-kW/kg~約38Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【請求項179】
範囲が、約19Wh-kW/kg~約38Wh-kW/kgの範囲である、請求項159に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[連邦政府支援による研究の申告]
本発明は、米国エネルギー省によって授与された認可DE-AR0000035/0001の下で政府の援助によってなされた(ARPA-E)。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
本発明は概括的にはキャパシタに関し、より具体的にはキャパシタに用いられるカーボンナノチューブに関する。
【0003】
カーボンナノチューブ(以下、「CNT」ともよぶ)は、種々の特性を示す炭素構造体である。多数の特性が種々の科学技術における改良の機会を示唆している。例えば、強度、伝導度または静電容量(キャパシタンス)の増大から利益を得る技術は、CNTの使用から利益を得るだろう。従って、CNT技術における進歩は、キャパシタを扱う仕事に従事している人々にとって非常に興味深い。
【0004】
キャパシタは、種々の電気システムにおいて重要な構成要素の1つである。機能としては、電力の緩衝(またはバッファリング)、エネルギーの貯蔵および電圧の平滑化(またはスムージング)が挙げられる。種々の産業がキャパシタに対して厳しい要求を示している。
【0005】
例えば、自動車、製造業、航空宇宙産業、航空機産業、医療および軍事等の産業は、電気駆動、パルス電力またはプロセス作動にエネルギーまたは電力支援を提供するためにキャパシタを必要とするいくつかの用途を有することを考える。エネルギー容量および電力の能力は、それらの産業における代表的な用途において重要な要件である。電気駆動系(またはドライブトレイン)におけるトルクアシスト(またはトルク補助)、製造プラントにおけるモーター駆動のためのパワーアシスト(または動力補助)または高出力負荷需要の間の電圧サポート(または電圧補助)の提供等の用途は、かなりのエネルギーおよび電力を必要とする。いくつかの用途は制限された物理的スペースまたは重量の上限を示す。いくつかの用途は長いサイクル寿命を必要とする。
【0006】
従って、産業環境において用いられるキャパシタは、物理的制約を満たしつつ性能に関する要件を満たさなければならない。ウルトラキャパシタの設計者および製造者にとって、付随する課題の1つは所望の出力で機能する電極を得ることである。
【0007】
従って、カーボンナノチューブをベースとする高出力の電極を製造するための方法および装置が必要とされる。好ましくは、方法および装置は実行が簡単であり、従って製造コストの低減および生産率(または工率)の向上を提供する。好ましくは、方法および装置は、要求が多い状況において十分に機能するウルトラキャパシタのための電極を提供する。好ましくは、電極は、広い温度範囲にわたって安定な伝導度および低い内部抵抗をもたらす。
【発明の概要】
【0008】
カーボンナノチューブを製造するための方法および装置が提供される。方法および装置は、優れた特性、従って種々の用途において用いる際の優れた性能を示すカーボンナノチューブを提供する。電極およびウルトラキャパシタの種々の形態が結果として理解され得る。
【0009】
一の実施形態において、垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体の製造方法が提供される。方法は、実質的に酸素のない環境中に基材を装着すること;基材上に触媒を配置して基体を提供すること;基体を原材料ガスに付し、基体上に集合体を成長させるために原材料ガスおよび基体の少なくとも一方を加熱すること;ならびに実質的に酸素のない環境において集合体を冷却することを含む。
【0010】
もう1つの実施形態において、垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体を製造する装置が提供される。この装置は、実質的に酸素のない環境中に基材を装着するためのローダー部:基材上に触媒を配置して基体を提供するためのスパッタリング部;基体を原材料ガスに付し、基体上に集合体を成長させるために原材料ガスおよび基体の少なくとも一方を加熱するための炭素沈積部;ならびに実質的に酸素のない環境において集合体を冷却するための冷却部を含む。
【0011】
もう1つの実施形態において、ウルトラキャパシタの電極の製造方法であって、電極が垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体を含む、方法が提供される。方法は、実質的に酸素のない環境中に基材を装着すること;基材上に触媒を配置して基体を提供すること;基体を原材料ガスに付し、原材料ガスおよび基体の少なくとも一方を加熱して基体上に集合体を成長させること;ならびに実質的に酸素のない環境において集合体を冷却することによって製造された集合体を選択することと、集合体を集電体と接合すること、集合体を基体から取り外して集電体を集合体上に配置すること、および集合体を他の炭素質材料と組み合わせてその組み合わせを集電体と接合することの1つとを含む。
【0012】
もう1つの実施形態において、エネルギー貯蔵システムのための電極の製造方法が提供される。方法は、上に配置された一の厚さの垂直に配列されたカーボンナノチューブ(CNT)を含む基体を選択すること;前記厚さのCNT上に結合層を配置すること;結合層を集電体と結合させること;およびCNTから基体を除去して電極を提供することを含む。
【0013】
もう1つの実施形態において、ウルトラキャパシタの製造方法であって、ウルトラキャパシタは、垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体を含む少なくとも1つの電極を含む、方法が提供される。方法は、実質的に酸素のない環境中に基材を装着すること;基材上に触媒を配置して基体を提供すること;基体を原材料ガスに付し、原材料ガスおよび基体の少なくとも一方を加熱して基体上に集合体を成長させること;ならびに実質的に酸素のない環境において集合体を冷却することによって製造された集合体を選択することと、集合体を集電体上に移動させること、基体から集合体を取り外して集合体上に集電体を配置すること、および集合体を集電体上で他の炭素質材料と組み合わせて電極を提供することの1つとによって製造された電極を選択すること;ならびに電極をウルトラキャパシタに組み込むことを含む。
【0014】
もう1つの実施形態において、エネルギー貯蔵システムのための電極の製造方法が提供される。方法は、集電体と、集電体の表面に配置された第1の接合層とを含む基部を選択すること;および第2の接合層を第1の接合層と接合することであって、第2の接合層はその上に配置された炭素質層を含み、炭素質層は電荷を貯蔵するための材料を含む、ことを含む。
【0015】
もう1つの実施形態において、電極が提供される。電極は、集電体と、集電体の表面に配置された第1の接合層とを含む基部;および第1の接合層と接合された第2の接合層であって、第2の接合層は、その上に配置された炭素質層を含み、炭素質層は電荷を貯蔵するための材料を含む、第2の接合層を含む。
【0016】
もう1つの実施形態において、キャパシタが提供される。キャパシタは、集電体および集電体の表面に配置された第1の接合層を含む基部と、第1の接合層に接合された第2の接合層であって、その上に配置された炭素質層を含み、炭素質層はキャパシタの電荷を貯蔵するための材料を含む、第2の接合層とを含む少なくとも1つの電極を備えるハウジング;ならびにハウジングの中に配置される電解質および誘電材料の少なくとも一方を含み、少なくとも1つの電極はハウジングの出力電極に連結される。
【0017】
もう1つの実施形態において、エネルギー貯蔵デバイスのためのマルチフォーム電極を提供する方法が提供される。方法は、集電体と電気的に接触するカーボンナノチューブの集合体を含む電極を選択すること;キャリア材料中に分散した少なくとも1つのナノフォームカーボンを集合体の上に配置すること;およびキャリア材料を放出してマルチフォーム電極を提供することを含む。
【0018】
もう1つの実施形態において、エネルギー貯蔵デバイスのためのマルチフォーム電極である、マルチフォーム電極が提供される。電極は、集電体の表面に配置されたカーボンナノチューブの集合体を含み、集合体は、キャリア材料中に分配されたナノフォームカーボンを含む溶液として集合体の上に配置されたナノフォームカーボンの少なくとも1つの追加の層を更に含む。
【0019】
もう1つの実施形態において、ウルトラキャパシタが提供される。ウルトラキャパシタは、中に配置されたマルチフォーム電極を少なくとも含むハウジング;集電体の表面に配置されたカーボンナノチューブの集合体を含むマルチフォーム電極であって、集合体は、キャリア材料中に分配されたナノフォームカーボンを含む溶液として集合体の上に配置されたナノフォームカーボンの少なくとも1つの追加の層を更に含む、マルチフォーム電極;およびウルトラキャパシタ内のイオン輸送をもたらす電解質を含む。
【0020】
もう1つの実施形態において、炭素質集合体を提供する方法が提供される。方法は、配列されたカーボンナノチューブの集合体を第1の溶液中に分散させること;炭素添加物を第2の溶液中に分散させること;第1の溶液および第2の溶液を超音波混合すること;混合された第1の溶液と混合された第2の溶液とを混合して混合溶液を提供すること;混合溶液を超音波混合すること;混合された混合溶液から炭素質集合体を得ることを含む。
【0021】
もう1つの実施形態において、炭素質集合体を含むエネルギー貯蔵媒体を備える電極が提供される。電極は、上に配置された炭素質集合体を含む集電体を含み、集合体は、超音波処理したカーボンナノフォームの組み合わせを含む。
【0022】
もう1つの実施形態において、ウルトラキャパシタが提供される。ウルトラキャパシタは、炭素質集合体を含むエネルギー貯蔵媒体を備える少なくとも1つの電極を含み、電極は、上に配置された炭素質集合体を含む集電体を含み、集合体は、超音波処理したカーボンナノフォームの組み合わせを含む。
【0023】
もう1つの実施形態において、電極の構成要素の製造方法が提供される。方法は、上に配置されたカーボンナノチューブの集合体を含む基体を選択すること;導電性材料の層を集合体の上に沈積させること;および基体から集合体および導電性材料を取り外すことを含む。
【0024】
もう1つの実施形態において、電極が提供される。電極は、複数の電極構成要素を含み、各構成要素は、カーボンナノチューブの集合体と、その上に配置された導電性材料の層とを含み、構成要素の各々は構成要素の別の1つと連結され、少なくとも1つの連結は、構成要素の導電性材料との結合を含む。
【0025】
もう1つの実施形態において、ウルトラキャパシタが提供される。ウルトラキャパシタは、複数の電極構成要素を含む少なくとも1つの電極であって、各々の構成要素はカーボンナノチューブの集合体と、その上に配置された導電性材料の層とを含み、構成要素の各々は構成要素の別の1つと連結され、少なくとも1つの連結は、構成要素の導電性材料との結合を含む、電極;少なくとも1つの電極を収容するハウジング;およびウルトラキャパシタ内のイオンの輸送をもたらす電解質を含む。
【0026】
もう1つの実施形態において、電極の製造方法が提供される。方法は、カーボンナノチューブ(CNT)の層状の積層体を得ること;層状の積層体を溶液で濡らすこと;層状の積層体を圧縮すること;圧縮された層状の積層体を乾燥させること;および圧縮された層状の積層体に集電体を適用することを含む。
【0027】
もう1つの実施形態において、ウルトラキャパシタが提供される。ウルトラキャパシタは、カーボンナノチューブ(CNT)の圧縮された層状の積層体と、積層体の上に配置された集電体とを含む少なくとも1つの電極;および電極に貯蔵されたエネルギーをウルトラキャパシタの少なくとも1つの端子に輸送するための電解質を含む。
【0028】
もう1つの実施形態において、ウルトラキャパシタの使用方法が提供される。方法は、電解質および2つの電極を含むウルトラキャパシタであって、電極の各々は、集電体と電気的に連通し且つセパレータによって他方の電極から離隔される、ウルトラキャパシタを得ること;ならびにウルトラキャパシタを二者択一的に充電および放電することによりウルトラキャパシタをサイクルさせることであって、ウルトラキャパシタの出力される電力密度が、各サイクルについて少なくとも12kW/kgであり、最大で約250kW/kgであることを含む。
【0029】
もう1つの実施形態において、ウルトラキャパシタの使用方法が提供される。方法は、電解質および2つの電極を含むウルトラキャパシタであって、電極の各々は、集電体と電気的に連通し且つセパレータによって他方の電極から離隔される、ウルトラキャパシタを得ること;ならびにウルトラキャパシタを二者択一的に充電および放電することによりウルトラキャパシタをサイクルさせることであって、ウルトラキャパシタの出力されるエネルギー密度が、各サイクルについて少なくとも1Wh/kgであり、最大で約35Wh/kgであることを含む。
【0030】
もう1つの実施形態において、ウルトラキャパシタの使用方法が提供される。方法は、電解質および2つの電極を含むウルトラキャパシタであって、電極の各々は、集電体と電気的に連通し且つセパレータによって他方の電極から離隔される、ウルトラキャパシタを得ること;ならびにウルトラキャパシタを横切る電圧を最大電圧と最大電圧の約半分との間に保持しながら、ウルトラキャパシタを二者択一的に少なくとも3回充電および放電することによりウルトラキャパシタをサイクルさせることであって、充電および放電が、1回の充電または放電において少なくとも3.75Wh/kgのエネルギーのウルトラキャパシタからの出力をもたらすことを含む。
【0031】
追加の実施形態は、以下に提示する説明を踏まえて明らかになるだろう。
【0032】
本発明は、以下の図面と共に詳細な説明を参照することによってより十分に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、ウルトラキャパシタの概略図である。
図2図2は、製造装置の機能的構成の一の実施形態を概略的に示すブロック図である。
図3図3は、製造装置の機能的構成のもう1つの実施形態を概略的に示すブロック図である。
図4図4は、製造装置の態様のブロック図である。
図5図5は、製造装置の制御システムの態様を表すブロック図である。
図6図6は、集電体と、複数のカーボンナノチューブ(CNT)が上に形成された基体とを表すブロック図である。
図7図7は、集電体の上に図6のCNTを載せることを表すブロック図である。
図8図8は、図7の積載された集電体と、積載された集電体の上に追加のCNTを移動させるために製造されたもう一つの基体とを表すブロック図である。
図9図9は、積載された集電体に追加のCNTを積載することを表すブロック図である。
図10図10は、図6の集電体の上にCNTを複数回移動させることにより得られる高出力電極を表すブロック図である。
図11図11Aおよび11B(本明細書においてまとめて図11とよぶ)は、圧縮されていないカーボンナノチューブおよび圧縮されたカーボンナノチューブの各々の透過電子顕微鏡写真を表す。
図12図12Aおよび12B(本明細書においてまとめて図12とよぶ)は、活性炭をベースとするウルトラキャパシタおよびカーボンナノチューブをベースとするウルトラキャパシタの各々の比較性能を表す。
図13図13Aおよび13B(まとめて図13とよぶ)は、電極基部構造体および電極プロセス構造体の実施形態の態様を表すブロック図である。
図14図14は、機能的に積層された電極の一の実施形態を表すブロック図である。
図15図15は、集電体の上に配置された炭素基層を有する電極を表すブロック図である。
図16図16は、図15の電極の上に追加のカーボンナノフォームを沈積させるための装置を表すブロック図である。
図17図17は、マルチフォーム電極を表すブロック図である。
図18図18は、図15の電極の上に追加のカーボンナノフォームを沈積させるためのもう1つの装置を表すブロック図である。
図19図19は、マルチフォーム電極を提供するための例示的方法を提示するフローチャートである。
図20図20Aおよび20B(本明細書においてまとめて図20とよぶ)は、溶媒中に分散された、垂直に配列されたカーボンナノチューブおよび炭素添加物の各々の断片を表す図である。
図21図21は、図20に表わされる溶液の超音波処理を表す図である。
図22図22は、図21において表される処理により生じる炭素質集合体を表す。
図23図23は、図22において表される炭素質集合体の処理の一の実施形態を表す。
図24図24は、図1のウルトラキャパシタにおいて用いるのに適した電極に配置される図23の処理された炭素質集合体を表す。
図25図25は、基体上で成長した複数のカーボンナノチューブ(CNT)を表すブロック図である。
図26図26は、図25のCNTの上に集電体を沈積させて電極構成要素をもたらすことを表すブロック図である。
図27図27は、図25の電極構成要素に移動テープを加えることを表すブロック図である。
図28図28は、移動プロセスの間の電極構成要素を表すブロック図である。
図29図29は、移動後の電極構成要素を表すブロック図である。
図30図30は、複数の電極構成要素から製造される例示的電極を表すブロック図である。
図31図31は、複数の電極構成要素から電極を製造するための例示的プロセスを表すフローチャートである。
図32図32Aおよび32B(本明細書においてまとめて図32とよぶ)は、本明細書の教示事項に従って製造された電極を含むウルトラキャパシタの一の例示的実施形態に関する、周波数応答の関数としての電力密度を表すグラフである。図32B図32Aに提示される曲線の初期部分の拡大図を提示する。
図33図33は、例示的ウルトラキャパシタに関する放電サイクルの電圧応答を表すグラフである。
図34図34は、例示的ウルトラキャパシタの充放電サイクルに対する電圧応答を表すグラフである。
図35図35は、一連の例示的ウルトラキャパシタに関する組み合わされた電力およびエネルギー性能を表す。
図36図36は、一連の例示的ウルトラキャパシタに関する組み合わされた電力およびエネルギー性能を表す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書において、カーボンナノチューブ(CNT)を提供する方法および装置が開示される。カーボンナノチューブ(CNT)は、ウルトラキャパシタにおいて使用するのに特に良好に適している。ウルトラキャパシタにおいて用いられる場合、本明細書において開示されるカーボンナノチューブ(CNT)は、高電力の出力および信頼性のある操作を提供する。カーボンナノチューブ(CNT)の態様を提示する前に、いくつかの背景をまず提示する。
【0035】
図1に示すように、「ウルトラキャパシタ10」の一の例示的実施形態を示す。この場合において、ウルトラキャパシタ10は、電気二重層キャパシタ(EDLC)である。EDLCは少なくとも1つの電極3を含む(2つの電極3が存在する場合等、いくつかの場合において、電極は、負極3および正極3とよんでよい)。ウルトラキャパシタ10内に取り付けるとき、各々の電極3は、電解質界面において電荷の二重層を提供する。いくつかの実施形態において、複数の電極3が含まれる。尤も、議論の目的のため、2つの電極3のみを示す。慣例通り、本明細書において電極3の少なくとも1つは、エネルギー貯蔵を提供するために炭素ベースのエネルギー貯蔵媒体1(本明細書において更に論じる)を使用する。
【0036】
電極3の各々はそれぞれ、集電体2(「電荷収集体(charge collector)」ともよぶ)を含む。電極3は、セパレータ5によって離隔される。一般に、セパレータ5は、電極3を2以上の区画に離隔するのに用いられる薄型構造材料(通常はシート(または薄板))である。
【0037】
電解質6の少なくとも1つの形態は、電極3およびセパレータ5における空隙(void space)ならびに電極3とセパレータ5との間の空隙に含まれ、かつそれを満たす。一般に、電解質6は、電荷を帯びたイオンへと分離する物質である。いくつかの実施形態において、その物質を溶解する溶媒が含まれてよい。結果として得られる電解液は、イオン輸送により電気を通す。
【0038】
一般に、(1または複数の)電極3およびセパレータ5の組み合わせは、その後、巻かれた形状または角柱形の一方に成形され、次いで、円筒形または角柱形のハウジング7に詰められる。電解質6が加えられると、ハウジング7は密封される。種々の例において、パッケージは、レーザー、超音波および/または溶接技術を用いた技術によって密封される。ハウジング7(「封入体(enclosing body)」または「容器(またはケース、case)」または他の同様の用語でよぶ)は、少なくとも1つの端子8を含む。各端子8は、通常はエネルギー貯蔵媒体1に連結された導線(図示せず)を通じて、エネルギー貯蔵媒体1に貯蔵されるエネルギーへの電気的アクセスを提供する。
【0039】
即ち、いくつかの実施形態において、複数のリード線(図示せず)が、集電体2の各々に電気的に連結される。複数のリード線の各々は、(従ってウルトラキャパシタ10の極性に対して)まとめられてハウジング7の各々の端子8に連結される。
【0040】
例示的EDLCにおいて、エネルギー貯蔵媒体1はカーボンナノチューブから形成される。エネルギー貯蔵媒体1は、例えば活性炭、炭素繊維(またはカーボンファイバー)、レーヨン、グラフェン、エアロゲル、炭素布およびカーボンナノチューブの複数の形態を含む他の炭素質材料を含んでよい。活性炭電極は、例えば、炭素化合物の炭化により得られる炭素材料に第1の活性化処理を行うことにより炭素基材(base material)を製造し、炭素基材にバインダー(または結合剤)を加えることにより成形体を製造し、成形体を炭化し、最後に炭化した成形体に第2の活性化処理を行うことにより活性炭電極を製造することにより製造することができる。炭素繊維電極は、例えば、表面積の大きい炭素繊維を備える紙または布状の母材(またはプレフォーム)を用いることにより製造することができる。カーボンナノチューブの製造およびウルトラキャパシタ10におけるナノチューブの適用は、本明細書において更に詳細に論じられる。
【0041】
従って、いくつかの実施形態において、エネルギー貯蔵媒体1を形成するのに用いられる材料は、純炭素(および現在存在し得る又は後に考案され得る炭素の種々の形態)以外の材料を含んでよい。即ち、他の材料の種々の配合がエネルギー貯蔵媒体1に含まれてよい。より具体的には、かつ限定的でない例において、少なくとも1つのバインダー材料をエネルギー貯蔵媒体1において用いてよいが、(バインダー材料等の)他の材料の添加を勧める又は必要とするものではない。尤も、一般に、エネルギー貯蔵媒体1は実質的に炭素から形成され、従って、本明細書において「炭素質材料」、「炭素質層」および他の同様の用語でよんでよい。手短に言えば、エネルギー貯蔵媒体1は、主に炭素から形成されるが、エネルギー貯蔵媒体1として所望の機能性を提供するために、任意の形態の炭素(および適切である又は許容可能であると見なされる任意の添加剤または不純物)を含んでよい。
【0042】
エネルギー貯蔵媒体1において用いるのに適した炭素質材料の種々の形態のいくつかの実施形態が、本明細書において例として提示される。以下に論じるこれらの実施形態はロバスト性のエネルギー貯蔵をもたらし、電極3において用いるのによく適している。これらの例は説明のためのものであり、エネルギー貯蔵媒体1において用いるのに適した炭素質材料の実施形態に限定されないことに留意すべきである。
【0043】
電解質6は、カチオン9およびアニオン11のペアを含み、溶媒を含んでよい。各々の種々の組み合わせを用いてよい。例示的EDLCにおいて、カチオン9は、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウム、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム、1,3-ビス(3-シアノプロピル)イミダゾリウム、1,3-ジエトキシイミダゾリウム、1-ブチル-1-メチルピペリジニウム、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-4-メチルピリジニウム、1-ブチルピリジニウム、1-デシル-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、3-メチル-1-プロピルピリジニウムおよびこれらの組み合わせ並びに適切であると見なされる他の同等物の少なくとも1つを含んでよい。
【0044】
追加の例示的カチオン9は、イミダゾリウム、ピラジニウム、ピペリジニウム、ピリジニウム、ピリミジニウムおよびピロリジニウムを含む。概括的に、これらのカチオン9は、高い熱安定性、低いガラス転移温度(Tg)および高い伝導率を示すものとして選択され、広い温度範囲にわたって良好な電気的性能を示した。従って、所望の特性を示すカチオン9の他の実施形態を同様に使用してよく、または上述のいずれかと併せて使用してよい。
【0045】
例示的EDLCにおいて、アニオン11は、ビス(トリフルオロメタンスルホナート)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホナート)メチド、ジシアナミド、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメタンスルホナート、ビス(ペンタフルオロエタンスルホナート)イミド、チオシアナート、トリフルオロ(トリフルオロメチル)ボレートおよびこれらの組み合わせ並びに適切であると見なされる他の同等物の少なくとも1つを含んでよい。
【0046】
溶媒は、アセトニトリル、アミド、ベンゾニトリル、ブチロラクトン、環状エーテル、ジブチルカーボナート、ジエチルカーボナート、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジメチルカーボナート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホン、ジオキサン、ジオキソラン、ギ酸エチル、エチレンカーボナート、エチルメチルカーボナート、ラクトン、直鎖状エーテル、ギ酸メチル、メチルプロピオナート、メチルテトラヒドロフラン、ニトリル、ニトロベンゼン、ニトロメタン、n-メチルピロリドン、プロピレンカーボナート、スルホラン、スルホン、テトラヒドロフラン、テトラメチレンスルホン、チオフェン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、炭酸エステル、γ-ブチロラクトン、ニトリル、トリシアノヘキサン、これらのいずれかの組み合わせ、または適切な性能特性を示す他の(1または複数の)材料を含んでよい。
【0047】
セパレータ5は不織ガラスから作製してよい。セパレータ5は、ガラス繊維、セラミック、およびDuPont Chemicals(デラウェア州ウィルミントン)によってTEFLON(登録商標)として一般に市販されているポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素ポリマーから作製してもよい。例えば、不織ガラスを用いることにより、セパレータ5は、主繊維(main fiber)およびバインダー繊維を含み得、バインダー繊維の各々は主繊維の各々の繊維径より小さい繊維径を有し、主繊維が一緒に結合するのを可能にする。
【0048】
一般に、用語「電極」は、電気回路に組み込んでよいデバイスにおいて、多くの場合非金属である別の材料と接触させるのに用いられる電気伝導体を指す。エネルギー貯蔵媒体における例示的な第2の材料は、固体、液体および気体を含む種々の形態であってよい。エネルギー貯蔵媒体1の材料は、導電性材料、半導体、電解質等を含んでよい。一般に、用語「電極」は、本明細書において用いる場合、エネルギー貯蔵媒体1、および所望の機能性をもたらすためにエネルギー貯蔵媒体1に伴われてよい追加の構成要素(例えばエネルギー貯蔵媒体1と一体になる集電体2)に関する。
【0049】
ここで図2~5を参照して、カーボンナノチューブ(CNT)を製造するための方法および装置の態様を示す。開示される技術は、製造プロセスにわたって高度な制御を提供し、それにより、ウルトラキャパシタ10における使用等の特定の用途に十分に適合され得る(即ち特定の用途のために設計され得る)CNTがもたらされる。概要としては、基材が提供される。次いで、触媒材料を基材上に配置し、炭素質材料を触媒の上に沈積させる。実質的に酸素のない環境において製造を行う場合、酸化に伴う問題および還元の必要性が回避される。技術の種々の態様を実施する場合、CNTの製造者は、高品質のCNTを製造するための効果的な方法を理解するだろう。
【0050】
本明細書に開示される技術は、所望の特性を有するCNTを提供するために必要に応じて調節されてよい。即ち、方法は、例えば密度、表面積、長さ、壁の数、組成(即ち金属または非金属)、端部の特性(即ち開放端(またはオープンエンド)または閉端(またはクローズドエンド))等の好都合な特性を考慮して制御してよい。
【0051】
例示的実施形態の概説のために図2を参照してよい。図2において、CNTの製造120のための方法の限定的でない態様が提示される。この実施形態において、製造120のための方法は、基材が製作機(「製造装置」および他の同様の用語でもよぶ)の中に装着される第1の工程(基材の装着121)を含む。第2の工程において、触媒の層が基材に適用される(触媒の適用122)。第3の工程において、炭素質材料が触媒の上に徐々に沈積してCNTが成長する(炭素の沈積123、「沈積工程」、「成長工程」または他の同様の用語でもよばれる)。第4の工程において、取り外し及び後続の使用のためにCNTを冷却する(CNT冷却124)。いくつかの実施形態において、本明細書において更に論じるように、緩衝(またはバッファ、buffer)工程125が同様に含まれる。
【0052】
CNTの大量生産のための例示的装置の態様が提供される。種々の実施形態において、装置は、厳密な環境制御(例えば温度、雰囲気の含有量(atmospheric content)および/または圧力等の制御)をもたらすように配置(または構成)される。いくつかの実施形態において、CNT製品は、継続的(即ち中断のない又は連続的)プロセスにおいて製造される。プロセス全体にわたって製造環境を制御することにより、また、プロセスの間に必要に応じて製造環境の態様を変化させることにより、所望の特性を示すCNTを製造することが可能である。
【0053】
想像されるように、方法は多数の機器および制御を必要とし、従って、これらの4つの工程の説明は過度に単純化されている。製造120のための方法における各工程をより十分に説明するためのいくつかの状況(または前後関係)および追加の実施形態を提示するために、いくつかの定義、パラメータ、特性等を示す。
【0054】
「製造装置」、「製作機」または他の同様の(1または複数の)用語のいずれかでよばれる機械は通常、必要に応じて、またはCNTの作製の要求に従って構成要素(または部品)を含む。製造装置に含まれる例示的構成要素は、記載される機能を必要に応じて果たす構成要素を含む。含まれてよい例示的かつ限定的でない例としては、少なくとも1つのポンプ、バルブ、電線管、ガス管、電力供給装置(または電源)、ガス供給装置(不活性ガス、炭素質ガス等の供給装置を含む)、水供給装置、ノズル、取り入れ口、出口、通気孔(vent)、排気装置(exhaust)、ファン、材料移動装置(例えばコンベヤベルト、駆動システム等)、加熱要素(抵抗加熱要素等)、熱交換器(または他の形態の冷却)、シャッター、ドア、サーボモーター(または自動制御装置、servo)、モーター、センサー(電気、温度、圧力、ガス、光学等)、変換器(またはトランスデューサ)、制御装置(またはコントローラ)、ヒューマンインターフェース、コンピュータインターフェース、処理装置(またはプロセッサ)、データ記憶装置、メモリー、バス、機械の操作を管理するためのコンピュータ実行可能コード、および機械のオペレータ、製造者または設計者により必要とされ得る他の構成要素が挙げられる。手短に言えば、本明細書に記載の方法を支援し且つ可能にする種々の科学技術が周知であると考えられ、概括的には本明細書に開示される発明の一部ではない。従って、本明細書における教示事項を実施するための機器の種々の実施形態および変形を考えると、そのような機器の議論は、概括的にはCNT集合体の発生に影響を及ぼし得るいくつかの態様に限定される。
【0055】
本明細書において用いられる場合、「配列されたCNT集合体」、「CNT集合体」、「垂直に配列されたカーボンナノチューブ、VCNT」および同様の用語は通常、多数のCNTが共通の方法で配列または配向している構造体を指す。いくつかの実施形態において、配列されたCNT集合体の比表面積SAは300m/g以上である(例えばCNTの大部分が閉じている場合)。他の実施形態において、表面積SAは1,300m/g以上である(例えばCNTの大部分が開いている場合)。「CNTの集合体」は通常、複数の垂直に配列されたCNT構造体を指す。いくつかの実施形態において、重量密度(ρ)は0.002g/cm~0.2g/cmの範囲である。一般に、本明細書において論じられるCNTの実施形態は、垂直に配列されたカーボンナノチューブ、VCNTに関する。尤も、CNTが炭素の他のナノフォームと混合される実施形態等のいくつかの実施形態において、このことは必要条件ではなく、あるいは事実ですらない。
【0056】
ナノチューブおよび他のナノ構造体に関する用語「垂直に配列された」は一般に、製造時におけるナノチューブの配向に関することを認識すべきである。尤も、この専門用語は限定的であることを意味しない。即ち、「垂直に配列されたナノチューブ」の集合体を考える場合、用語「垂直」は重要でないことがあり、あるいは誤解を招くおそれがあり得ることを認識すべきである。従って、本明細書において論じられるように、「垂直に配列されたナノチューブ」の集合体および他の形態は一般に、実質的に平行な、繰り返しの又は組織的な構造を含む集合体を指すことを認識すべきである。
【0057】
CNT集合体が共通の配向および大きい比表面積SAを示すためには、CNT集合体の高さは、10μm以上1cm以下の範囲であってよい。一般に、高さが10μm以上であることにより、配向が向上する。別法として、高さが1cm以下であると、そのような高さは急速な成長を可能にし、従って炭素質不純物の付着が制御されるので、比表面積SAを向上させることができる。
【0058】
種々の実施形態において、カーボンナノチューブは通常、特定の特性を示す。とりわけ、いくつかの実施形態において、製造されるカーボンナノチューブは、約50μm~約5mmの長さ(またはそれより長い長さ)を示す。いくつかの実施形態において、カーボンナノチューブは約200μm~約2mmである。いくつかの実施形態において、カーボンナノチューブは、例えば1~10の壁を含んでよい。いくつかの実施形態において、例えば1~5の壁を含んでよい。カーボンナノチューブは、例えば約0.7nm~10nmの径を有してよい。垂直に配列されたカーボンナノチューブのアレイ(または配列、array)として考えた場合、密度は約103CNT/cm~約1013CNT/cmであってよい。いくつかの実施形態において、密度は約1011CNT/cm~約1012CNT/cmであってよい。
【0059】
電極3において用いられるカーボンナノチューブは、特定の特性が実現されるように処理してよく、さもなければ加工してよい。電極に含まれる場合におけるカーボンナノチューブの例示的特性および物理的特性としては、約30μm~500μm、いくつかの場合において約100μm~約200μmの活物質の厚さ;約0.3g/cm~約0.8g/cm、いくつかの場合において約0.5g/cm~約0.6g/cmの体積密度が挙げられる。一般に、カーボンナノチューブはいずれの種類のバインダーも含まない。エネルギー貯蔵媒体は、垂直に配列されたカーボンナノチューブ、もつれた(entangled)カーボンナノチューブ、他の形態の炭素、および適切であると見なされる材料のいずれかの組み合わせを含んでよい。一般に、カーボンナノチューブは、約500m/g~約2,200m/gの表面積SAを示す(これは、CNTの壁に穴(hole)および/または細孔(pore)が形成された結果としての、処理されていないCNTの表面積の増大であってよい)。エネルギー貯蔵媒体として成形した場合、カーボンナノチューブは、約10:1~約100:1の圧縮率(垂直に配列された場合)を有してよい。
【0060】
従って、ウルトラキャパシタ10において用いられる場合、本明細書に記載のカーボンナノチューブを用いた電極3は特定の好都合な特性も示してよい。例えば、ウルトラキャパシタ10の性能は、(最大作動電圧において)約100F/g~約200F/gの質量比容量;(最大作動電圧において)約50F/cc~約100F/ccの体積比容量;約3V~4.5Vの最大作動電圧を含んでよい。例えば、ウルトラキャパシタ10は、約0.5Ω/cm~約1Ω/cmの等価直列抵抗(ESR)を示してよい。
【0061】
用語「基材」は一般に、カーボンナノチューブのための触媒を表面に担持することができる部材であって、高温(例えば400℃以上の温度)であってもその形状を保持し得る部材を指す。CNTの製造に使用可能であることが証明されている任意の種類の基材を用いてよい。材料の限定的でない例としては、以下のものを含む:鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウム、マンガン、コバルト、銅、銀、金、白金、ニオブ、タンタル、鉛、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、インジウム、蛍光物質(phosphor)およびアンチモン等の金属;これらの材料または他の適切な材料を含む合金および酸化物;シリコン、石英、ガラス、雲母、黒鉛およびダイヤモンド等の非金属;ならびにセラミック。一般に、一般に、金属材料は、シリコンおよびセラミックよりもコストが低い。特に、Fe-Cr(鉄-クロム)合金、Fe-Ni(鉄-ニッケル)合金、Fe-Cr-Ni(鉄-クロム-ニッケル)合金等が適している。基材は、薄膜、ブロック(または塊)または粉末および平板の形状をとってよい。尤も、特に、基材がその体積に対して大きい表面積を有するような形状が大量生産に好都合である。
【0062】
用語「浸炭防止層」は一般に、基材上の層を指す。基材は、その前面または裏面のいずれかに形成された浸炭防止層を有してよい。いくつかの実施形態において、基材は、その前面および裏面の各々に形成された浸炭防止層を含む。形成は、例えばスパッタリング等の技術によって実現されてよい。浸炭防止層は一般に、基材が浸炭して、それによりカーボンナノチューブを発生させる工程において変形するのを防止するための保護層である。浸炭防止層は厚さが様々であってよい。種々の実施形態において、浸炭防止層の厚さは約1nm~約500nmであり、いくつかの場合において約5nm~約100nmである。
【0063】
いくつかの実施形態において、浸炭防止層は金属またはセラミック材料から構成される(セラミック材料は浸炭を防止するのに効果的である)。適切な金属の例として、銅およびアルミニウムが挙げられる。適切なセラミック材料の例としては、以下のものが挙げられる:酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化クロム、酸化ホウ素、酸化カルシウムおよび酸化亜鉛等の酸化物;ならびに窒化アルミニウムおよび窒化ケイ素等の窒化物。なお、酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素は共に、浸炭を防止するのに非常に効果的である。
【0064】
本明細書において用いられる場合、「触媒」は、基材または浸炭防止層に設けられてよい。CNT製造において使用可能であることが証明されている任意の種類の触媒を用いることができる。触媒の限定的でない例としては、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、これらの塩化物、これらの合金、ならびにこれらとアルミニウム、アルミナ、チタニア、窒化チタンまたは酸化ケイ素との複合体または層が挙げられる。他の限定的でない例としては、鉄-モリブデン薄膜、アルミナ-鉄薄膜、アルミナ-コバルト薄膜、アルミナ-鉄-モリブデン薄膜、アルミニウム-鉄薄膜およびアルミニウム-鉄-モリブデン薄膜が挙げられる。触媒は、CNT製造に使用可能であることが証明されている量の範囲において用いることができる。例えば、鉄を用いるいくつかの実施形態において、形成される薄膜(またはフィルム)の厚さは0.1nm以上~100nm以下の範囲であってよい。いくつかの他の実施形態において、鉄の厚さは0.5nm以上~5nm以下であってよい。いくつかの更なる実施形態において、鉄の厚さは0.8nm~2nm以下であってよい。
【0065】
触媒は複数の層を含んでよい。触媒は、基材の層または浸炭防止層等のもう1つの(または別の)層にわたって連続的であってよく、あるいは少なくとも部分的に非連続的であってよい。いくつかの実施形態において、追加の浸炭防止層等のもう1つの層は、触媒の表面に配置されてよい。いくつかの実施形態において、触媒は、酸化物等の別の材料の表面に沈積した金属を含んでよい。沈積は、「クラスター」または非連続な層をもたらす。本明細書において用いられる場合、用語「連続的」は一般に、下層の材料の「濡れ」または実質的に全面的な被覆を指す。
【0066】
基材の表面への触媒の形成に乾式法を適用することが可能である。例えば、スパッタリング蒸発(sputtering evaporation)法を用いてよい。カソードアーク(cathodic arc)蒸着、スパッタ蒸着、イオンビーム支援蒸着、イオンビーム誘起蒸着およびエレクトロスプレーイオン化のいずれかの1以上等の他の技術を必要に応じて用いてよい。更に、周知のフォトリソグラフィ、ナノプリント(nanoprinting)等の適用により得られるパターニングを併用して触媒を任意の形状に成形することが可能である。
【0067】
一の実施形態において、配列されたCNT集合体の形状を適宜制御することが可能である。このことは、例えば、基体に形成された触媒のパターニングおよびCNTの成長時間の制御に応じて達成され得る。その結果、配列されたCNT集合体は、薄膜形状、円筒形、角柱形または他の複雑な形状のいずれかをとる。特に、薄膜の形状において、配列されたCNT集合体は、その長さ及び幅と比較して非常に小さい厚さ(高さ)を有する;尤も、長さ及び幅は、触媒のパターニングに応じて適宜制御することができ、配列されたCNT集合体を構成するCNTの成長時間に応じて適宜制御することができる。いくつかの実施形態において、触媒の形態は、例えば、触媒における粒子サイズを変化または制御し、それにより触媒上に成長するCNTの径の調節をもたらすことにより適合される。
【0068】
一般に、「還元ガス」は本明細書の教示事項により必要とされていない。還元ガスは、触媒の還元をもたらすのに従来技術において通常用いられる。還元ガスは、成長温度において気体状態である任意の材料を含んでよい。還元ガスは、CNTの成長に適した微粒子になるため及び触媒の活性を向上させるために触媒を刺激するのに用いてもよい。還元ガスの一例は、水素ガス、アンモニウム、水蒸気またはそれらの混合物等の還元能力を有するガスである。還元ガスは一般に酸化を克服するのに用いられるが、本明細書において開示される方法は、実質的に酸化がない(または酸化を含まない)。
【0069】
「原材料ガス」は一般に、CNTを発生させるために原材料(即ち炭素質材料)を供給するのに用いられる。CNT製造に使用可能であることが証明されている任意の種類の原材料を用いることができる。一般に、成長温度において気体状である原料炭素源が使用可能である。中でも、メタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンプロピレンおよびアセチレン等の炭化水素が適している。加えて、メタノールおよびエタノール等の低級アルコール、アセトン、一酸化炭素等の低炭素の酸素含有化合物、ならびにこれらの混合物が使用可能である。更に、原材料ガスは不活性ガスで希釈してよい。
【0070】
一般に、「不活性ガス」は、製造プロセスにおいて含まれてよいガスであり、CNTが成長する温度において不活性であるガスであることのみが必要とされる。一般に、「不活性」は、CNTの成長と実質的に反応しないガスの特性であると考えられる。CNT製造に使用可能であることが証明されている任意の種類の不活性ガスを使用することができる。不活性ガスの限定的でない例は、ヘリウム、アルゴン、水素、窒素、ネオン、クリプトン、二酸化炭素、塩素およびこれらの混合物である。
【0071】
「触媒活性化材料」を種々の実施形態において用いてよい。触媒活性化材料の添加により、カーボンナノチューブ製造における効率およびカーボンナノチューブの純度を向上させることができる。一般に、触媒活性化材料は、CNTを成長温度において実質的に損傷しない酸素含有物質として特徴付けられてよい。従って、いくつかの点において、この実施形態は「実質的に酸素のない環境」であると考えてよい。水以外の有効な例として以下のものが挙げられる:硫化水素、酸素、オゾン、酸性ガス、窒素酸化物、一酸化炭素および二酸化炭素等の低炭素の酸素含有化合物;エタノールおよびメタノール等のアルコール;テトラヒドロフラン等のエーテル;アセトン等のケトン;アルデヒド;エステル;窒素酸化物;およびこれらの混合物。
【0072】
一般に、触媒活性化材料は少量加えることのみが必要とされるが、加えるべき量に特定の限定は存在しない。一例として、いくつかの実施形態において、触媒活性化材料が水である場合、触媒活性化材料は、約10ppmから約10,000ppm以下の範囲、これらの実施形態のいくつかにおいて50ppm以上1,000ppm以下の量、およびこれらの実施形態のいくつかにおいて100ppm以上700ppm以下の量が加えられる。
【0073】
触媒活性化材料を加えることにより、触媒の活性が強化され、触媒の寿命が延びる。触媒活性化材料を加える場合、CNTの成長はより長時間継続し、成長速度が同様に増大する。結果として、高さが著しく増大したCNT集合体が得られる。
【0074】
「高炭素濃度の環境」は、全流量(または流れ)に対する原料ガスの割合が約2%~約20%である成長雰囲気を指す。これは一般に、過剰の炭素が存在する環境を指し、この環境はCNT集合体の効率の低い成長をもたらし得る。即ち、例えば、高炭素濃度の環境は、触媒の失活を含み得る。
【0075】
触媒の活性は触媒活性化材料によって向上するので、触媒の活性は、炭素濃度が高いいくつかの環境においてさえ持続するだろう。従って、CNTの成長速度はかなり向上し得る。
【0076】
炉内圧力に関しては、種々の実施形態において、炉内圧力は10Pa以上であり且つ10Pa以下(100気圧)である。いくつかの実施形態において、炉内圧力は10Pa以上であり且つ3×10Pa以下(3気圧)である。
【0077】
CNTが合成される反応温度は、金属触媒の特性、原料の炭素源および炉内圧力等の種々のパラメータを考慮して決定してよい。触媒活性化材料を使用する実施形態において、反応温度は一般に、触媒活性化材料が適切にはたらくような温度範囲に設定される。
【0078】
特に、触媒活性化材料として水を使用する場合において、反応温度は400℃~1,000℃であることが好ましい。400℃以下において、触媒活性化材料はその効果を発現しない。1,000℃以上において、触媒活性化材料はCNTと反応し得る。
【0079】
別法として、触媒活性化材料として二酸化炭素を用いる場合、反応温度は約400℃~約1,100℃であることが好ましい。一般に、400℃以下の温度において、触媒活性化材料はその効果を発現しない。1,100℃以上において、触媒活性化材料はCNTと反応する。
【0080】
本明細書において用いられる場合、用語「成長工程」、「沈積工程」および他の同様の用語は、CNT集合体の合成プロセスを指す。この工程は一般に、原材料ガス等の炭素質成分を含む、触媒の周りの環境を提供すること、ならびに環境、原材料ガスおよび触媒の少なくとも1つを加熱することを含む。これによりCNT集合体がもたらされる。
【0081】
本明細書において用いられる場合、「冷却工程」(「CNTの冷却124」および他の同様の用語でもよぶ)は一般に、CNT集合体、触媒および基材を冷却する工程を指す。いくつかの実施形態において、冷却工程は不活性ガスの存在下で行われる。即ち、成長工程の後、CNT集合体、触媒および基材は高温であり、酸素の存在下におかれるとそれ自体が酸化されるだろう。酸化は、酸化プロセスが実質的に制限される温度にCNT集合体、触媒および基材を冷却することにより実質的に防止される。いくつかの例において、冷却の停止は約200℃以下の温度である。
【0082】
「装着部」は一般に、外気が製造装置に流れ込むのを防止するための一連のデバイスを含む。即ち、操作において、装着部は、基材を装着するための構成要素を備える。一般に、基材は搬送デバイスに装着される。一旦装着されると、酸素が(負圧排気および不活性ガスによる加圧の少なくとも一方により)装着部から放出される。いくつかの実施形態において、装着部は、ガスカーテン、ドア、シャッターまたは他のそのようなデバイスの少なくとも1つによって隔離される。
【0083】
環境制御が装着部において確立されると(即ち、装着部が実質的に又は十分に酸素のない状態になると)、基材は、触媒の適用122を完了させるために触媒適用部へと進められる。装着部と同様に、製造装置の触媒適用部は環境制御に付される(即ち、実質的に又は十分に酸素のない状態である)。基材が触媒適用部に配置されると、触媒が基材に適用される。触媒を適用するための一の実施形態は、基材に触媒をスパッタリングすることを含む。
【0084】
本明細書において用いられる場合、用語「実質的に酸素のない」は、酸素が意図される機能性を撹乱しない環境に関する。例えば、実質的に酸素のない環境の装着部において、基材は無視できる量の酸化のみを経験するだろう。
【0085】
適切な触媒の層が(上に配置される浸炭防止層を含んでよい)基材に適用されると、CNT基体が実現される。基体は、上に配置された触媒材料の層を有する基材として特徴付けられてよい。好都合なことに、基体は実質的に又は十分に酸素のない環境において製造されたので、触媒は有意な酸化に付されていない。このようにして、CNTの成長のために基体を調製する。
【0086】
基体が調製されると、いくつかの実施形態において、基体は、緩衝工程125を完了させるために緩衝(またはバッファ)部の中に移動させられる。種々の実施形態において、緩衝部は、基体の周りの環境における圧力、温度およびガスの少なくとも1つの調節および変更の少なくとも一方を提供する。緩衝部は、基体の装着または再配置等の他の機能性を備えてもよい。
【0087】
次いで、基体は、炭素の沈積123を完了させるために炭素沈積部に移動させてよい。沈積部は、触媒の周りの環境を原材料ガスの環境にすることにより、および触媒および原材料ガスの少なくとも一方を加熱することにより、CNT集合体を合成する機能を有する。沈積部の特定の例として、原材料ガスの環境が保持される炉、原材料ガスを注入するための原材料ガス注入部、および触媒および原材料ガスの少なくとも一方を加熱するための加熱器が挙げられる。加熱器は、適切に加熱することが可能な任意の種類の加熱器であってよい。いくつかの実施形態において、加熱器は、約400℃~約1,100℃の範囲の温度に加熱する。加熱器の限定的でない例として、抵抗加熱器、赤外線加熱器および電磁誘導加熱器が挙げられる。
【0088】
いくつかの実施形態において、沈積部は触媒活性化材料を添加するためのサブセクションも含む。一般に、触媒活性化材料を添加するためのサブセクションは、原材料ガスに活性化材料を直接供給するため、または沈積部の内部における触媒の周りの環境に触媒活性化材料を直接添加するために設置される。触媒活性化材料は、種々の方法で供給してよく、バブラー(または気泡管、bubbler)による触媒活性化材料の供給、触媒活性化材料を含有する溶液の気化による触媒活性化材料の供給、触媒活性化材料の気体の状態そのままでの供給、および固体の触媒活性化材料の液化または気化による触媒活性化材料の供給による方法が挙げられる。サブセクションは、気化器、混合器、撹拌機、希釈器、ポンプおよび圧縮器の少なくとも1つ等の種々の装置を用いた供給システムを含んでよい。いくつかの実施形態は、サブセクションにおける触媒活性化材料の濃度を測定するためのデバイスを含む。フィードバックおよびエンジニアリング制御により、触媒活性化材料の安定供給を確保することができる。
【0089】
CNTの成長後、およびCNT集合体が製造に用いられる温度範囲またはその温度範囲付近である温度範囲のままである間、CNT集合体の酸化が懸案事項のままである。従って、CNT集合体は沈積部から冷却部に移動させられる。
【0090】
冷却部は、CNT集合体と、CNT集合体が上に成長した基体とを冷却するために設けられる。冷却部は、酸化防止剤を機能させる機能、ならびに沈積が完了した後のCNT集合体、触媒および基材における冷却効果を有する。冷却部のための例示的装置は、基体およびCNT集合体を受け入れるための受け入れ領域を含み、受け入れ領域は、不活性ガスが保持される体積内に配置される。体積は、例えば、より低温の不活性ガスの流れを供給するための入口(および出口)、体積内に配置される少なくとも1つの冷却管であって、冷却液(水等)を運ぶための冷却管、および冷媒を運搬するのに適した他の同様の装置を含んでよい。追加の装置が冷却部の外部に含まれてよく、そのような追加の装置として、例えば、冷却ユニットから運ばれる熱を放散することができる少なくとも1つの熱交換器が挙げられる。
【0091】
このように製造装置の種々の構成要素を導入することにより、特定の追加の態様をここで論じる。
【0092】
本明細書に開示される製造技術は一般に、還元ガスの使用を必要としない。即ち、製造技術により、実質的に酸化されることなく調製された触媒材料がもたらされる。従って、製造装置の操作は通常、製造領域内への(周囲空気の形態等の)酸素の侵入を制限する方法で実施される。従って、本明細書において論じられる種々の工程は、少なくとも不活性ガス(とりわけ酸素を置換するために供給される)の存在下で実施してよい。
【0093】
従って、製造装置は比較的酸素のない環境を確保するように構成されてよい。即ち、種々のエンジニアリング制御(その多くは上記において紹介される)は、所望の環境の維持を確保するように配置(または構成)されてよい。図2と同様に、図3の議論は機能的構成におけるものである。
【0094】
ここで図3を参照して、製造装置の一の追加の実施形態の態様を示す。この実施形態において、中間工程が含まれる。即ち、触媒を基材の上に配置した(触媒の適用122)後、かつ炭素の沈積123の前に、もう1つの工程を実施する。もう1つの工程のいくつかの実施形態において、プラズマが提供される。より具体的には、基体(即ち、触媒が上に配置された基材)は、例えばプラズマ処理による触媒の仕上げ加工126に付される。触媒の適用と同様に、触媒の仕上げ加工126は、還元ガスの添加等による還元雰囲気の形成を必要とすることなく実施される。プラズマの時間および出力を制御することにより、触媒の形態を調節してよい。特に、この工程において、プラズマは、触媒に所望の変化をもたらすように制御してよい。例示的変化として、触媒における粒子サイズおよび粒子の密度の変更が挙げられる。触媒の表面処理が実施される触媒の仕上げ加工126の後、基体は炭素の沈積123へと進められる。図3に表されていないが、いくつかの実施形態は、緩衝工程125を提供するために少なくとも1つの緩衝部を含んでもよい。
【0095】
一般に、図2および3に示す実施形態において、方法は、人間の相互作用(例えば、基材の装着、完成した製品の取り外し)により開始し且つ終了する。尤も、他の実施形態において、追加の自動化された工程または機能が行われてよい。
【0096】
図4は製造装置40の一の実施形態の態様を表す。この例において、製造装置40は、ローダー部41、スパッタリング(sputterer)部42、プラズマ部43、炭素沈積部44および冷却(cooler)部45を含む。操作の間、基材49はローダー部41を介して製造装置に装着される。基材49は、コンベヤベルト上でスパッタリング部42、プラズマ部43、炭素沈積部44および冷却部45を経て進み、完成した製品が現れる。即ち、基材49は、触媒層46がその上に配置され、かつカーボンナノチューブ集合体47が触媒層46の上に配置されて、製造装置40から現れる。これらの実施形態のいくつかにおいて、コンベヤベルト(図示せず)は実際には複数のコンベヤベルトであり、それにより、製造装置40の各部(または各セクション)を通って基材49が運ばれる速度の微調整が可能となる。
【0097】
製造装置40の上述の各部は、適切であると見なされる特定の種類の機器のいずれかが用いられてよく、昇温(または高温)で作動する能力等の実用上考慮すべき事項によってのみ限定される。例えば、炭素質材料の均一な分散をもたらすために、炭素沈積部44において「ガスシャワー」を用いてよい。
【0098】
一般に、用語「ガスシャワー」は、ガス注入等により少なくとも1つの気体状材料が導入される体積を指す。一般に、ガスシャワーは、例えば、製造装置40における第1の体積を製造装置40における第2の体積から隔離する等の目的の達成をもたらす。ガスシャワーは「排出装置(または排出管、drain)」(即ち排気装置)を含んでよい。排出装置は負圧であってよく、少なくとも1つの気体状材料をガスシャワーの体積から実質的に引き出すようになっていてよい。ガスシャワーは、設計者、製造者および使用者のいずれか1者により決定される意図される設計および/または機能性を達成するために公知の構成要素を用いてよい。
【0099】
カーボンナノチューブ集合体47は、種々の方法(そのいくつかは本明細書において示される)で回収してよい。回収後、いくつかの実施形態において、エッチングまたは他の方法を用いて基材49から触媒層46を除去してよい。その後、基材49を適切に調製して製造にリサイクルしてよい。
【0100】
ここで図5を参照して、製造装置の例示的制御システム50の態様を示す。この例において、制御システム50は複数のセンサー58を含む。センサー58は、温度、ガス、供給量(または供給速度)、光学的特性等の測定装置を含んでよい。手短に言えば、製造プロセスを制御するのに有用な任意のプロセス動力(process dynamic)である。センサー58は、通信リンク56を通じて少なくとも1つの処理装置53と通信する。有線および無線リンクを含む任意の種類の通信リンク56を用いてよい。少なくとも1つの処理装置53は同様に、演算要素(computing component)54(メモリー、データ記憶装置、電力供給装置、時計、ソフトウェアの形態で機械可読媒体に格納された機械が実行可能なプログラム指示、および他のそのような構成要素等)および少なくとも1つのインターフェース55と通信する。少なくとも1つのインターフェース55は、キーボード、ビデオディスプレイ、マウス、ネットワークアダプター、プリンターおよび他の同様のインターフェース要素を含んでよい。制御システム50のこれらの構成要素は、製造プロセスを変更するための制御装置52(サーボモーター、モーター、バルブ、加熱器(またはヒーター)、ガス供給装置、オペレータおよび他のいずれかの種類のプロセス制御装置等)への入力を提供する。
【0101】
制御システム50は、本明細書に記載の実施形態の装置および他の製造装置等の製造装置40を管理(または制御)するのに用いてよい。例えば、制御システム50は、形成ユニットおよび別個の成長ユニットならびに移動機構を含むシステムと共に用いてよい。手短に言えば、制御システム50はカスタマイズ可能であり、カーボンナノチューブ集合体の製造のために設計されたいずれのシステムをも実質的に制御するのに用いてよい。制御システム50によって制御され得る態様は、温度、流速、コンベヤ速度、積層に関連するプロセス(層の厚さ、材料(例えばガス等)の組み合わせの制御等)等を含むが、これらに限定されない。
【0102】
実施可能であるように、制御システム50は、インライン(即ちリアルタイム)品質管理(または品質制御)を提供する。例として、制御システム50は、触媒層46およびカーボンナノチューブ集合体47の少なくとも一方の少なくとも1つの特性を測定する光学的計測システムを含んでよい。例示的特性として、厚さ、密度、外観(または表面状態)等が挙げられる。製造装置40に含まれる場合、光学的計測システムは、材料の適切な積層、欠陥のある材料の早期排除等を確保するために、使用者に対する情報または他の同様の出力を提供してよい。
【0103】
製造装置40の構成要素の材料の例として、石英、耐熱セラミック、耐熱性合金等の高温に耐えることができる材料が挙げられる。尤も、処理の正確性、処理の自由度およびコストの観点からは、耐熱性合金が好ましい。耐熱性合金の例として、耐熱スチール、ステンレススチールおよびニッケル系合金が挙げられる。一般に、用語「耐熱スチール」は、主な割合においてFeを含有し且つ50パーセント以下の濃度で他の合金を含むスチールを指し、「ステンレススチール」は、約12パーセント以上のCrを含有するスチールを指す。更に、ニッケル系合金の例として、NiにMo、Cr、Fe等を加えることにより得られる合金が挙げられる。特に、耐熱性、機械的強度、化学安定性および低コストを考慮すると、SUS 310、Inconel(登録商標)600、Inconel(登録商標)601、Inconel(登録商標)625、Incoloy(登録商標)800、MC合金、Haynes(登録商標)230合金が有用であり得る。
【0104】
CNTを合成する際に製造装置40の壁面および他の構成要素に付着する炭素汚染物質の存在は、種々の技術により低減することができる。即ち、例として、炉の内壁等の内部に面している構成要素および/または炉において用いられる構成要素は、金属(例えば、耐熱性合金、および内部に面している表面等の表面処理により仕上げ加工されたもの)から作製してよい。これにより、とりわけ、得られる配列されたCNT集合体の質における劣化を制限しながら、継続した生産量がもたらされる。
【0105】
慣例として、かつ明確さのために、製造装置の構成要素は処理工程(「不動態化」とよぶ)によって仕上げ加工されてよい。不動態化によって仕上げ加工されてよい製造装置の構成要素は、概括的に「物品(item)」とよぶ。議論の目的のため、「物品」は少なくとも1つの表面を有してよい構成要素を含むと考えられるがこれに限定されず、物品の表面は、滑らか、粗面、不規則および非連続の少なくとも1つであってよい。物品は、内面および外面または外側の面を有してよい。各物品の不動態化は、真空に付される物品の内部にコーティングを適用することにより、水素の浸透に対する耐性または水素の浸透の防止を与えてもよい。不動態化は、物品の内部が真空に付される物品の外側にコーティングを適用することにより、水素の浸透に対する耐性または水素の浸透の防止を与えてもよい。別法として、例えば、物品の内面および外面に不動態化を提供してよい。不動態化は、物品の表面に向上した特性を与えるのに有用であってよい。加えて、不動態化は、炭素質材料(原材料ガスの分解によりもたらされる炭素質材料等)の、製造装置40の構成要素への浸透(または侵入)の制限、従って製造装置40の劣化の制限、およびそれによる製造装置40の寿命の延長において重要な役割を果たし得る。
【0106】
表面における汚染物質の蓄積の制限は、製造装置に組み込まれる物品の不動態化によって達成してよい。一の限定的でない例として、特定の物品の表面を不動態化する方法を用いて、腐食、真空環境における表面の影響またはその両方から物品の少なくとも1つの表面を保護することが挙げられる。一般に、不動態化すべき各物品を処理環境に置き、まず脱水し、次いで環境を排気する。水素化ケイ素ガスを処理環境に導入するが、処理環境はガスの導入前に加熱してよい。ガスの導入前に既に処理環境を加熱していなかった場合、物品およびそのなかに含まれる水素化ケイ素ガスを加熱し、加圧してガスを分解する。シリコンの層が物品の表面に沈積する。シリコン沈積工程の継続時間を制御して、処理環境におけるシリコンダスト(またはシリコン塵、silicon dust)の形成を防止する。次いで、物品を冷却し、冷却温度に保持して後続の沈積のための表面状態を準備し、処理環境を不活性ガスでパージして水素化ケイ素ガスを除去する。物品の表面がシリコンの層で被覆されるまで、シリコン沈積工程に物品を循環させる。その後、処理環境を排気し、物品を室温に冷却する。
【0107】
もう1つの例において、腐食、真空環境における望ましくない影響またはその両方から物品の表面を保護するために、物品の表面の不動態化が行われる。化学蒸着法を実施することにより、物品をシリコンでコーティングして、腐食環境および/または真空環境に適用するための特性を与える。プロセス温度、圧力および時間を中間で変化させながら単層~多層の沈積層を用いることにより、処理される物品に強化された特性(抵抗性の向上のために腐食環境に適用すること、ならびに物品のオフガス、アウトガスおよび水素浸透を低減するために真空環境に適用することが含まれるがこれらに限定されない)をもたらすコーティングが与えられることがわかった。物品は、例えば低真空(10~3.3×10Pa)、中真空(3.3×10~10-1Pa)、高真空(10-1~10-4Pa)、非常に高度の(very high)真空(10-4~10-7Pa)、超高真空(10-7~10-10Pa)および極超高真空(10-10Pa未満)等の真空環境に対して強化された特性を有してよい。
【0108】
コーティングしてよい表面は、内面および/または別法として物品の任意の他の表面を含み得る。これらの技術により不動態化された接触面を有する物品は一般に、腐食に対する耐性の向上のための特性を示し、真空環境に付される気体分子の放出が低減される。
【0109】
もう1つの例において、物品は、例えば処理チャンバー等の環境に置かれ、その環境は、不動態化のための工程を実施するために制御されてよい。不動態化は、物品自体を用いて、または処理チャンバーに収容される物品で実施してよい。いくつかの実施形態において、各々の物品の表面はまず、物品の表面を脱水することにより前処理される。脱水工程において、物品は、約10~240分の継続時間にわたって約20℃~600℃の範囲の温度に加熱される。物品は、不活性ガス中で又は真空において加熱してよい。
【0110】
この例において、物品の表面を脱水した後、物品の表面の周りの環境または処理チャンバーを排気する。水素化ケイ素ガスを、物品の周りの環境または処理チャンバーに導入してよい。物品およびガスを加熱および加圧して、処理チャンバー内の水素化ケイ素ガスを分解する。水素化ケイ素ガスの加熱は、処理チャンバーへのガスの導入前、導入中または導入後に行ってよい。処理チャンバーを加熱し、その後水素化ケイ素ガスを導入してよい。ガスが分解するに従って、シリコンの層が物品の表面に沈積する。
【0111】
シリコン沈積工程の継続時間およびガスの圧力は、物品上または処理チャンバー内にシリコンダストが生成するのを防止するように制御される。シリコン沈積の終了時において、環境または処理チャンバーを冷却し、一の温度において一定時間保持し、不活性ガスでパージして水素化ケイ素ガスを除去する。パージは、物品を冷却する前、冷却した後または冷却している間に行ってよい。いくつかの実施形態において、パージは物品が冷却されている際に行われる。シリコン層が物品の表面を完全に被覆している場合、物品を取り出して室温に冷却する。シリコン層が物品の表面を完全に被覆していない場合、表面が完全に被覆され、それにより不動態化されるまで、シリコン沈積工程を繰り返してよい。
【0112】
いくつかの実施形態において、水素化ケイ素ガスは、SiHおよびSin+2を含む群から選択される。水素化ケイ素ガスは、ガスの分解温度にほぼ等しい温度、約300℃~約600℃の範囲の温度等に加熱してよい。いくつかの実施形態において、水素化ケイ素ガスは、約1×10-7トル(Torr)~2500トルの範囲、特に約100トル~250トルの範囲の圧力に加圧してよい。
【0113】
技術は、不動態化された表面を有する耐食性基体または構成要素も提供する。例えば、基体は、(鉄および非鉄)金属、ガラス、炭素、銅、石英、ニッケル含有鉄合金、チタン、アルミニウムおよびセラミックを含んでよい。慣例として、基体の表面は平均表面粗度(または粗さ)RAを有する。シリコン層は、基体表面の上に形成されてその表面を不動態化する。シリコン層は、シリコンの複数の層から形成されてよく、シリコンダストを実質的に含まない。いくつかの実施形態において、シリコンの1~10層を適用してよい。
【0114】
不動態化のための技術は、構成要素または特定の物品、および特に真空条件、腐食性物質、炭素に富むガスにさらした場合に望ましくない特性を示し、またはさもなければ不動態化から利益を得るであろう物品の表面を不動態化するのに用いてよいことを理解するべきである。例えば、技術は、金属(鉄および非鉄)、ガラス、炭素、銅、石英、ニッケル含有鉄合金、チタン、アルミニウムおよびセラミックで構成される基体の表面を不動態化するのに用いてよい。例えば有機硫黄、硫化水素、アルコール、アセテート、金属水素化物、塩酸、硝酸または硫酸および水性塩類(aqueous salts)等の腐食性物質または分子にさらされるであろう表面の不動態化は、表面を腐食から保護するはたらきをする。表面の不動態化はまた、各々の表面におけるオフガス、アウトガス、水素の浸透、および特に腐食または汚染物質の凝集を含む望ましくない影響を低減するために、真空環境における基体に利益をもたらす。
【0115】
ここで、不動態化のための技術をより詳細に提示する。
【0116】
初めに、不動態化すべき表面を前処理する。次いで、連続する沈積層の間に表面が冷却され、一の温度において一定時間保持される制御された条件の下で、シリコンの連続層を表面に適用する。いくつかの実施形態において、シリコン沈積層は、シリコン層が物品の表面積全体を被覆するまで適用される。方法は、物品自体の上もしくは内部において、または物品を例えば処理チャンバー等の制御された環境に置くことにより実施してよい。
【0117】
不動態化のための各表面はまず、表面に吸着した水を除去することにより前処理される。脱水工程において、容器を、約10分~240分(4時間)の継続時間の間、約20℃~約600℃の範囲の温度に加熱する。脱水工程の間、不動態化すべき基体が入っている処理チャンバーは排気され又は不活性ガス(希ガスまたは窒素)で満たされる。脱水プロセスの最後において、処理チャンバーを排気して気化した水を除去する。
【0118】
処理チャンバーを脱水および排気した後、SiHまたはSin+2等の水素化ケイ素ガスを、表面、または物品の入っている処理チャンバーに導入する。いくつかの実施形態において、水素化ケイ素ガスの圧力は、約1×10-7トル~2500トルの範囲内、特に約100トル~250トルの範囲内である。脱水工程の結果として未だガスの分解温度ではない場合、物品および処理チャンバーに含まれるガスは、ガスの分解温度にほぼ等しい温度に加熱される。いくつかの実施形態において、物品およびガスは、約300℃~約600℃の範囲の温度に加熱される。水素化ケイ素ガスは、熱の下で導入してよく、または室温において導入してその後加熱してよい。これらの圧力および温度において、水素化ケイ素ガスは、表面または表面付近においてケイ素と水素ガスとに分解する。分解プロセスの間に形成されたケイ素は処理される物品の表面に付着する。
【0119】
一般に、シリコン沈積プロセスの継続時間は制御される。上述の条件の下で、処理チャンバーにおける水素化ケイ素ガスの分解は、圧力、時間および温度の結果として、最終的に、本明細書においてシリコンダストとよぶ望ましくない副生成物も形成し得る。シリコンダストは、水素化ケイ素ガスがそれ自体と反応してシリコンおよび水素ガスを生成した結果である。この気相核形成は、重力により物品の表面または処理チャンバーに沈着するであろうシリコンダストを形成し、表面に形成されるシリコン層の完成度(integrity)を低下させ得る。シリコンダストは、不導態層におけるシリコンの連続層の間の物理的障壁も形成し得る。
【0120】
シリコンダストの形成は、沈積プロセスの継続時間、ガスの圧力および基体の表面における汚染物質の存在、またはこれらのいずれか若しくは全ての組み合わせによって影響を受け得る。シリコンダストの形成の防止を促進するためには、シリコン沈積プロセスの継続時間を制御して約1分から最大で約480分(8時間)の範囲の時間に制限する。シリコン沈積プロセスは、シリコンダストの形成を防止する方法の1つとして省略してよい。尤も、シリコンの層は、1回のシリコン沈積サイクルの後に表面全体を完全に被覆しなくてよい。従って、シリコン沈積サイクルは、シリコンの不導態層を所望の厚さに積層するために複数回繰り返してよい。尤も、不動態化の有効性は、1層の沈積層により得ることができる。いくつかの実施形態において、有効性は、表面粗度(または粗さ)RAとは無関係に、1層~10層のシリコンを表面に沈積させることにより向上させることができる。いくつかの場合において、表面に沈積した6層のシリコン層を有することにより性能を向上させることが特に好ましいことがある。
【0121】
第1のシリコン沈積サイクルの後、物品を収容する処理チャンバーを不活性ガスでパージして水素化ケイ素ガスを除去してよい。シリコンの層が物品の表面を完全に被覆していない場合、シリコン沈積サイクルを繰り返してよい。次のシリコン層を沈積させる前に、物品の表面を冷却し、低温のままにして次のシリコン層の沈積の形成における表面特性を確立する。いくつかの実施形態において、表面は約50℃~約400℃の範囲に冷却し、約5分~約100分の間、冷却温度のままにする。
【0122】
一例として、約20マイクロインチより小さい表面粗度RAを有する粗面または(電解研磨または研磨した)平滑面は、1回の沈積サイクルにより、本明細書において記載される不動態化の利益を得ることができる。不動態化の有効性を増大させるために選択される層の数は、表面粗度RAとは無関係に選択してよい。腐食に対する耐性を向上させるための層の数は、表面粗度RAとは無関係に選択してよい。
【0123】
シリコンの不導態層を形成した後、物品が入っている処理チャンバーを約50℃~約400℃の範囲に冷却し、約5分~約100分の継続時間保持し、不活性ガスでパージして反応性の水素化ケイ素ガスを除去する。この不活性ガスによるパージにより、水素化ケイ素の分解反応が停止して、水素化ケイ素成分と、物品の表面または処理チャンバーではなく水素化ケイ素成分自体との反応に起因して起こる不要な気相核形成の問題が低減されることが確保される。最後のパージ工程の後に、物品の入っている処理チャンバーを排気して室温に冷却してよい。
【0124】
いくつかの実施形態において、表面に沈積した不動態化されたシリコン層は、約100Å~50,000Åの厚さであってよい。
【0125】
不動態化のための上述の技術は、製造装置40内に含まれるであろう物品であって、腐食性成分および気体環境(原材料ガスの環境等)の少なくとも一方に付してよい物品を不動態化するための特定の用途を有する。より具体的には、本明細書において示される不動態化の技術は、表面における炭素質材料および炭素の形態の蓄積が実質的に制限されるという、結果としてもたらされる効果と共に、物品の表面処理をもたらす。このことにより、製造衛生を確保するために少なくとも1つの設計要素を包含する製造装置40が効果的にもたらされる。
【0126】
不動態化は、とりわけ、各々の表面に抵抗特性を与えて、それにより例えば他の分子の化学吸着;他の分子の可逆的および不可逆的物理吸着、他の分子との触媒活性;無関係な種から攻撃されて、表面および/またはバルクの分子の破壊、構造的破壊および/または表面的な破壊がもたらされること;または上述のいずれかの組み合わせ等の、腐食性物質の望ましくない影響を最小限にするのに用いられてよい。加えて、提示される技術は、真空または低圧環境において用いてよい物品を不動態化するのに特に有用である。不動態化のための技術は、例えば化学的抵抗性を与えること、材料のガス発生の影響を制限すること、洗浄を簡略化すること等の種々の他の利益も同様に提示し得る。
【0127】
方法は、化学的抵抗特性を基体に与えて、真空環境における基板上の望ましくない表面の影響、例えば目的とする真空に達するのに必要な時間の延長をもたらし且つ/又は目的とする真空に達するのを不可能にし且つ/又は目的とする真空を保持するのを不可能にする真空環境下における基体からの揮発性材料(例えば水蒸気および有機物)のオフガスまたはアウトガス;内側部分が真空に付されるのに対する、内側および/または外側におけるコーティングを通じた真空環境下における基体の水素浸透;または上述のいずれかの組み合わせ等を最小限にするのに用いてよい。
【0128】
方法は、処理工程の間に各物品を収容するように構成された処理チャンバーを用いて実施してよいが、物品自体が、その構造に応じて、それ自体の処理チャンバーとして機能してよく、物品の内部で方法が実施されてよいことが理解されるだろう。例えば、不動態化プロセスは、いくつかの実施形態において炉(または乾燥器)において実施してよく、炉の内部における表面処理(即ち不動態化)がもたらされてよい。
【0129】
手短に言えば、(1または複数の)炉の構成要素は、製造に先立って不動態化されてよく、またはさもなければ適切に処理してよい。提示される例において、用語「不動態化」は概括的に、製造プロセスの間の汚染物質(即ちトランプ(tramp)炭素または炭素質残余)の蓄積およびそれに付随する原材料ガスの分圧の低下を制限するのに適した処理方法を指すと考えてよい。紹介される方法はケイ素およびケイ素含有材料を含むが、用語「不動態化材料」は、これらの材料および炭素質残余の蓄積を制限するのに適した材料の他のいずれかの実施形態を包含すると考えてよい。
【0130】
構成要素は、汚染物質の蓄積を制限する能力のために定期的に評価されてよい。必要に応じて、使用者は、継続的な性能を確保するために構成要素を新しいものにしてよく、または構成要素を交換してよい。
【0131】
このように、優れた特性を示す集合体を製造するための技術を説明してきたが、炭素質材料の集合体および他の形態を(単独で又は集合体と共に)用いるための追加の技術がここで提示される。一般に、これらの追加の技術は、ウルトラキャパシタ10において用いるための優れた電極3を提供することを対象としているが、電極3は、必要に応じて他のエネルギー貯蔵デバイスに組み込まれてよい。
【0132】
好都合なことに、電極3は大量生産されたCNT47から作製してよく、とりわけ、従来達成可能であったものよりも高い質量電力密度(重量の関数としての電力)および体積電力密度(体積の関数としての電力)を示す。更に、高出力の電極3は低い内部抵抗を示し、高電圧(約4ボルト以上等)をもたらすように構成され得る。
【0133】
高電力の電極を提供するための例示的方法および装置のいくつかの実施形態において、電極3は、炭素ベースのエネルギー貯蔵媒体1の少なくとも1層を含み、追加の1~多数の層を含んでよい。
【0134】
ここで、炭素質材料の製造技術および炭素質材料から作成される電極の種々の例示的実施形態が提示される。例示的実施形態として、圧縮されたカーボンナノチューブの少なくとも1層から作製される高電力(または高出力)電極;機能的に積層された電極;マルチフォーム電極;成形炭素質集合体から作製される電極;複数の電極構成要素から作製される電極;および高密度化された(densified)電極が挙げられる。例示的実施形態は、エネルギー貯蔵媒体1において用いられる炭素質材料を操作する技術の複数の実施形態を提供する。例は、限定的なものであると考えるべきでない。例えば、一の実施形態の態様は、種々の実施形態の別の1つと共に、少なくとも一部分において用いてよい。更なる技術は、種々の実施形態を精査することにより明らかになるだろう。
【0135】
電極3の一の実施形態において、圧縮されたカーボンナノチューブの少なくとも1つの層がエネルギー貯蔵媒体として用いられる。ここで、電極3のこの実施形態の態様を導入するために、図6~10を参照する。この例において、提示される電極3は、圧縮されたカーボンナノチューブおよび/または炭素の他の形態の複数の層を含んでよい。電極3の組み立てが集電体2および炭素質材料の沈積で始まる図6を参照する。図6~10を参照して論じられる実施形態において、炭素質材料はCNT47の集合体である。尤も、図6~10を参照して論じられる実施形態は、CNT47の使用に限定されず、炭素質材料は、本明細書の他の箇所に示される形態等の他の形態を想定してよい。
【0136】
図6において集電体2の実施形態を示す。一般に、集電体2は導体層61を含み、結合層62を含んでよい。導体層61は、目的とする用途において電荷を伝導するのに適した任意の材料から作製してよい。例示的材料としてアルミニウムが挙げられる。導体層61は、ホイル(または箔)、メッシュ、複数のワイヤまたは他の形態で示されてよい。一般に、導体層61は伝導度および電気的に不活性であること等の特性で選択される。いくつかの実施形態において、導体層61は、酸化物層を導体層61から除去することにより作製される。酸化物は、例えば導体層61をKOHでエッチングすることにより除去してよい。
【0137】
いくつかの実施形態において、結合層62は導体層61に配置される。結合層62は、スパッタリング、e-ビームまたは別の適切な技術によって適用される層等の薄層として現れてよい。種々の実施形態において、結合層62は約10nm~約500nmの厚さである。一般に、結合層62は、伝導度、電気的に不活性であること、および導体層61の材料との適合性等の結合層62の特性で選択される。いくつかの例示的材料として、アルミニウム、金、銀、パラジウム、スズおよび白金、ならびにFe-Cr-Ni等の材料の合金または組み合わせが挙げられる。
【0138】
第2の構成要素は、カーボンナノチューブ集合体(CNT)47に対するホスト(host)である基体65を含む。図6に示す実施形態において、基体65は、上に配置された触媒46の薄層を備える基材49を含む。一般に、基体65は少なくとも幾分かは可とう性であり(即ち、基体65は脆性でなく)、CNT47を沈積させるための環境(例えば約400℃~約1,100℃の高温環境)に耐え得る構成要素から作製される。
【0139】
CNT47が作製されると、もう1つの結合層62がその上に配置される。いくつかの実施形態において、もう1つの結合層62は約10nm~約500nmの厚さである。その後、図7に示すように、集電体2の結合層62をCNT47の上に配置されたもう1つの結合層62と組み合わせる。
【0140】
図7は、CNT47を集電体2と組み合わせる態様を説明している。下向きの矢印で示すように、基材49に圧力がかけられる。CNT47の適用は、構成要素の加熱を伴ってよい。一例として、結合層62において白金が用いられる場合、約200℃~約250℃に加熱することが通常は適切である。次いで、CNT47と触媒46とは分離され、集電体2に配置されたCNT47の層が得られる。
【0141】
触媒46からのCNT47の分離を促進するために種々の製造後プロセスを完了してよい。例えば、沈積を完了させた後、CNT47を上に含む基体65を室内空気、二酸化炭素の環境または別の適切な環境にさらしてよい(例えば上述の環境で加熱してよい)。一般に、CNT47の製造後処理は、CNT47を高温へと徐々に傾斜させ、次いで減圧(即ち約1気圧より低い圧力)の下で一の温度にて数時間CNT47を保持することを含む。
【0142】
図8に示すように、圧力を加えることによりCNT47を集電体2の上に移動させる工程は、圧縮されたCNT81の層をもたらす。圧縮されたCNT81は今や、窓(window)および割れ目等の物理的欠陥を含み得、一般に圧縮されていないCNT47より大きい電荷貯蔵のための表面積がもたらされ、一方、圧縮されていないCNT47より小さい体積を占める。CNT47のもう1つの層の追加も図8において示される。
【0143】
図9に示すように、CNT47のもう1つの層を圧縮されたCNT81の上に適用してよい。いくつかの実施形態において、この工程は、わずかな(nominal)量の圧力を(例えば手によって)かけることを含む。一般に、CNT47のもう1つの層は、カーボンナノチューブ間のファンデルワールス力によって圧縮されたCNT81に移動(即ち接着)されると考えられる。これにより、好都合なことに、図10に示すように圧縮されたCNT81のもう1つの層(即ち、別の厚さの圧縮されたCNT81)が集電体2の上にもたらされる。高出力かつ高エネルギーの電極3は、圧縮されたCNT81の複数の層を適用することにより実現される。
【0144】
この方法を繰り返して、複数の厚さの圧縮されたCNT81を集電体2上にもたらしてよい。尤も、一般に、特定の実用上の限定が認識されるであろうことが予測される、即ち、例えば、各層の移動における複合的欠陥により、電荷の貯蔵について所望の性能を示さない圧縮されたCNT81の層がもたらされ得る。尤も、移動プロトコルが向上し続けるにつれて、より一層多くの数の層の追加が可能になるであろうことも予測される。
【0145】
従って、上に配置された少なくとも1層の圧縮されたCNT81~複数の層の圧縮されたCNT81を備える集電体2を、電荷貯蔵デバイス(即ち、電極3の実施形態)として用いてよい。一般に、電極3のそのような実施形態は、ウルトラキャパシタ10において用いるのに特によく適している。上述のいくつかの利点(より高い質量電力密度および体積電力密度、低い内部抵抗および高い電圧の提供ならびにより高いエネルギー密度)に加えて、必要とされる電解質6がより少ない。従って、使用者は、エネルギー貯蔵のいくつかの同様の実施形態よりも製造に費用がかからない性能の向上したエネルギー貯蔵が提供される。
【0146】
CNT47および圧縮されたCNT81の比較例を図11に提示する。即ち、図11Aおよび11B(本明細書においてまとめて図11とよぶ)は、圧縮されていないCNT47および圧縮されたCNT81の各々の透過電子顕微鏡写真を表す。
【0147】
図11Aに示すように、CNT47は比較的直線状であり、Y方向に沿って平行である。図11Bに示すように、圧縮されたCNT81は、(「波」のような)周期的変形(または歪み)を示す。即ち、圧縮されたCNT81は概して互いに平行のままである一方、圧縮されたCNT81は(圧縮されていないCNT47と比較して)直線状でない。即ち、いくつかの実施形態において、圧縮されたCNT81の形状は、シヌソイド(または正弦状)関数等の関数によって表されてよい。他の実施形態において、波形の周期性は、他の方法で表現または定量化されてよい。いくつかの更なる実施形態において、圧縮されたCNT81は繰り返しの形態(または変形(deformation))を示さない。手短に言えば、圧縮されたCNT81は、CNT47の特定の特性が向上または強化されるような、CNT47(圧縮されていないCNT)の圧縮の結果であってよい。強化は、例えば密度の増加、欠陥の増加等の特定の現象のいずれか1つ以上の結果であってよい。
【0148】
本明細書において教示されるカーボンナノチューブの利点の実証として比較評価を行った。この評価において、2つのウルトラキャパシタ10を組み立てた。ウルトラキャパシタ10の1つ目は、活性炭から作製された電極3を含んだ。ウルトラキャパシタ10の2つ目は、本明細書の教示事項によるカーボンナノチューブをベースとする電極3を含んだ。結果を図12に示す。他の部分において、ウルトラキャパシタ10は全ての観点において同一であった。
【0149】
図12Aおよび12B(本明細書においてまとめて図12とよぶ)において、比較性能を示すナイキスト線図が提示される。図12Aは、活性炭電極を用いた(従来技術の)キャパシタを表し、一方、図12Bは、カーボンナノチューブをベースとする電極を用いたウルトラキャパシタ10を表す。電極抵抗の伝統的な評価は、ナイキスト線図における3dBの点における抵抗である。図12Aは、従来技術のキャパシタのセル全体の抵抗が約4Ω/cmを示し、一方、図12Bは、カーボンナノチューブをベースとするキャパシタのセル全体の抵抗が約1Ω/cmであることを示す。更に、活性炭の実施形態における電極の接触抵抗(図12A)は(ナイキスト線図において半円形で示されるように)実質的であるが、一方、CNTの実施形態においては実質的に存在しない(図12B)ことが理解され得る。
【0150】
いくつかの実施形態において、基材49、触媒46、導体層61および結合層62の特定の特性を考慮してよい。即ち、例えば上述の作製が実質的に酸素のない環境において完了する場合、圧縮されたCNT81の少なくとも1層~圧縮されたCNT81の複数の層を備える集電体2を提供するために他の材料およびプロセスが用いられてよい(または省略されてよい)ことが予測される。従って、これらの及び他の実施形態は、当業者によって考案され得るように本発明および本明細書における教示事項の範囲内である。
【0151】
ここで電極3の追加の実施形態を考えるが、この電極3は一般に「機能的に積層された電極」とよばれる。
【0152】
ここで図13を参照して、機能的に積層された電極3の例示的実施形態の態様を示す。一般に、機能的に積層された電極3は、2つの別個の構造(即ち、電極基部構造体(electrode base structure)26および電極プロセス構造体(electrode process structure)28)から作製してよい。図13Aに示す例において、電極基部構造体26(作製された電極が上に存在するであろう構造を提供してよい)は、例えばアルミニウム(Al)箔(またはホイル)または銅(Cu)箔から作製された一の実施形態の集電体2を含んでよい。図13Bに示す例示的電極プロセス構造体28は、(例えばタングステン(W)またはステンレススチール(SS)またはアルミニウム(Al)ホイルを含む)プロセス基体層35、およびエネルギー貯蔵媒体1において用いてよい炭素質材料から形成される炭素質層32を含む。一般に、電極プロセス構造体28は、炭素質材料が上に形成される構造を提供する。
【0153】
目標の1つはプロセス基体層35の上に炭素質層32を形成することであるが、炭素質層32を、例えば中間材料を介して連結されるように集電体2へと効果的に移動させることである。プロセス基体層35を構成する材料と、集電体2を構成する材料とは異なっていてよい。材料は、炭素材料の製造要件および集電体2の有効性等の態様を考慮して選択してよい。プロセス基体層35および集電体2の材料の選択の間の設計上の制約を切り離すことは、性能、コスト、信頼性等における著しい利点を有する。
【0154】
いくつかの実施形態において、電極基部構造体26は3つの層を含んでよい。例えば、3つの層の第1の層として集電体2が提供されてよい。集電体2は最終的に作動電流をキャパシタの端子から炭素質材料に伝達するので、使用される材料は良好な伝導度で選択するべきである。集電体2は、電極が最終的に浸漬される電解質にさらされるので、集電体2の材料は、良好な電気化学的適合性、所定の電解質との通常は適切に低い反応速度(または反応率)で選択されるべきである。機械的圧縮の下での熱結合し易さ等の実用上の理由で、集電体2における材料および材料の厚さは、機械的可とう性で選択するべきである。集電体2に含まれてよい材料の例としては、アルミニウム(Al)、ステンレススチール、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、タンタル(Ta)、導電性酸化物(例えば、インジウム-スズ-酸化物(ITO))またはこれらの材料の組み合わせが挙げられる。一般に、集電体2の厚さは、約1マイクロメートル(μm)~100μmの間で様々であってよい。
【0155】
集電体2は、必要に応じて、まず水酸化カリウム(KOH、アルミニウムを含む電極の実施形態に有用であり得る)等の塩基性のエッチング液に浸漬してよく、かつ/またはバックスパッタリングを行って酸化物フィルム(例えば酸化アルミニウム(Al))を除去してよい。電極基部構造体26の製造方法がマグネトロンスパッタリングにおいて必要とされるような低酸素環境で行われる場合、エッチング、バックスパッタリングまたは他の方法による酸化物層の除去を同じチャンバーにおいて行ってよい。第2および第3の層は、同じチャンバーにおいて沈積される場合、その後、電極基部構造体26が低酸素環境から取り出された時に更に酸化されるのを防ぐのに有用な保護障壁を形成する。
【0156】
第2の層(「接着層34」とよぶ)は、集電体2と第3の層(「第1の接合層36」とよぶ)との接着を向上させるために用いてよい。接着層34はマグネトロンスパッタリングまたは同様の方法を用いて集電体2の上に沈積させてよい。接着層34に含まれる代表的な材料は、チタン(Ti)、クロム(Cr)、チタン-タングステン(Ti-W)またはこれらの材料の組み合わせである。接着層34を構成する材料の伝導度が比較的低い場合、その厚さは、適切な電流処理性能を達成するように限定されるべきである。一般に、この接着層34の厚さは約1ナノメートル(nm)~約100(nm)の間で様々である。
【0157】
第1の接合層36は、電極基部構造体26を電極プロセス構造体28に接合するのに有用である。電極基部構造体26と電極プロセス構造体28とを、中程度の温度(または中温)および機械的圧力を用いて熱結合すべきである場合、軟質金属が第1の接合層36に最も有用であり得る。第1の接合層36は、マグネトロンスパッタリングまたは同様の方法を用いて接着層34の上に沈積されてよい。第1の接合層36の材料の伝導度が比較的低い場合、第1の接合層36の厚さは、適切な電流処理性能を達成するように限定されるべきである。第1の接合層36に用いられる例示的材料として、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)またはこれらの材料の組み合わせが挙げられる。一般に、この第1の接合層36の厚さは約1nm~約10μmの間で様々である。
【0158】
いくつかの実施形態において、電極プロセス構造体28は4つの層を含む。電極プロセス構造体28の第1の層は、活性電極材料が上に形成されてよいプロセス基体層35である。例示的プロセス基体層35は、タングステン(W)ホイル、鉄(Fe)(粒子)およびアルミニウム(Al)の中間層を含む下部構造である。この例示的プロセス基体層35における層の厚さは、3つの副層(またはサブレイヤー)についてそれぞれ、約5μm~1mm、0.5nm~5nmおよび2nm~100nmの範囲で様々であってよい。この例示的プロセス基体層は、化学蒸着法による垂直に配列されたカーボンナノチューブ(VACNT)を含む特定の炭素電極材料を製造するのに有用である。機械的圧縮の下での熱結合し易さ等の実用上の理由で、プロセス基体材料および厚さは機械的可とう性で選択するべきである。他の代表的なプロセス基体材料として、ステンレススチール、ニッケル(Ni)またはこれらの材料の組み合わせが挙げられる。
【0159】
電極プロセス構造体28の炭素質層32は、製造されるキャパシタにおける電荷の貯蔵に対する最終的な原因となる材料を含む。炭素質層32において用いるのに適した例示的材料として、活性炭、炭素繊維、レーヨン、グラフェン、エアロゲル、炭素布、カーボンナノホーン、カーボンナノチューブ(CNT)およびこれらの材料の組み合わせが挙げられる。本明細書において開示される他の炭素質材料を炭素質層32において用いてよい。炭素質層32において用いられる材料はとりわけ、化学蒸着(CVD)によって製造されてよく、プロセス基体層35の上に沈積されてよく、またはプレスしてよい。一般に、炭素質層32の厚さは約1μm~約10mmの範囲で様々であってよい。
【0160】
オーミックコンタクト層30は、電極プロセス構造体28に含まれてよく、炭素質層32とのオーミックコンタクトを達成するのに有用である。オーミックコンタクト層30が多孔性の炭素質層32を通じて電極が最終的に浸漬される電解質にさらされる場合、オーミックコンタクト層30の材料は、良好な電気的適合性、その特定の実施形態の電解質との通常は適切に低い反応速度で選択されるべきである。オーミックコンタクト層30は、マグネトロンスパッタリング、熱蒸発または同様の方法を用いて炭素質層32の上に沈積されてよい。オーミックコンタクト層30において用いてよい例示的材料は、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)およびパラジウム(Pt)である。一般に、オーミックコンタクト層30の厚さは、約1nm~約10μmの範囲で様々である。
【0161】
電極プロセス構造体28は第2の接合層38も含む。第2の接合層38は、電極基部構造体26を電極プロセス構造体28と接合するのに有用である。電極基部構造体26と電極プロセス構造体28とを、中程度の温度(または中温)および機械的圧力を用いて熱結合すべきである場合、軟質金属が第2の接合層38に有用である。第2の接合層38は、マグネトロンスパッタリング、熱蒸発または同様のプロセスを用いてオーミックコンタクト層30の上に沈積されてよい。第2の接合層38の材料の伝導度が比較的低い場合、その厚さは適切な電流処理性能を達成するように限定されるべきである。第2の接合層38に有用な例示的材料は、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)またはこれらの材料の組み合わせを含む。一般に、この第2の接合層38の厚さは約1nm~約10μmの間で様々である。
【0162】
電極基部構造体26と電極プロセス構造体28とは、第1の接合層36と第2の接合層38との間の界面においてあらゆる方法により接合してよい。一の例示的方法は、2つの構造体が同時に加熱されて一緒に加圧される熱結合である。白金(Pt)接合層の材料について、熱結合に有用な温度範囲は約150℃~約600℃で様々である。
【0163】
電極基部構造体26と電極プロセス構造体28とが接合されると、プロセス基体層35は、単に剥くことにより又は他の方法により除去されて炭素質層32の表面が露出してよい。
【0164】
図14に示すように、例示的な機能的に積層された電極3は、集電体2、接着層34、第1の接合層36、第2の接合層38、オーミックコンタクト層30および炭素質層32を含む。
【0165】
更なる実施形態において、少なくとも1つの他の層を含んでよい。例えば、オーミックコンタクト層が含まれてよく、もう1つの結合層62、圧縮されたCNT81(「エネルギー貯蔵層」、「活性層」および他の同様の用語でよんでよい)または別の層の間のオーミックコンタクトを増大させるために設けられてよい。もう1つの例において、接着層が含まれてよく、もう1つの結合層62と圧縮されたCNT81または別の層との間の接着を強化するために設けられてよい。追加の層またはオプションの層における材料は、例えば電気伝導度、適合性等の少なくとも1つの特性に従って選択してよい。
【0166】
機能的に積層された電極3は一般に層状形状である。本明細書において示される層は、電極3を限定するものではなく、単に説明するためのものである。他の組み合わせを実施してよい。そのような他の組み合わせは、例えば一の層の態様ともう1つの層の態様との組み合わせを考慮してよい。他の態様を考慮してよく、いくつかの態様は全く含めなくてよい。手短に言えば、設計者、製造者、使用者および/もしくはオペレータの要求、ならびに材料および製造プロセスの機能的制約のいずれか、または他の同様の(1または複数の)パラメータのいずれかを考慮する場合、電極3の特定の構成を決定してよい。
【0167】
電極3の更なる実施形態は「マルチフォーム」電極3として提示され、これは図15から始まる製造方法として導入される。
【0168】
ここで図15を参照して、基部(basic)電極3の実施形態を示す。この限定的でない例において、電極3は、基層15を担持(または支持)する集電体2を含む。いくつかの実施形態において、集電体2は約0.5マイクロメートル(μm)~約25マイクロメートル(μm)の厚さである。集電体2は、化学蒸着(CVD)、スパッタリング、e-ビーム(または電子ビーム)、熱蒸発または別の適切な技術によって適用される層等の、薄層として現れてよい。一般に、集電体2は、伝導度、電気的に不活性であること、および基層15と適合すること等の集電体2の特性で選択される。いくつかの例示的材料は、アルミニウム、白金、金、タンタル、チタンを含み、他の材料および種々の合金を含んでよい。
【0169】
例示的実施形態において、基層15は、垂直に配列されたカーボンナノチューブ(VACNT)47から形成される。基層15に含まれてよい炭素のナノフォームの限定的でない例として、単層ナノチューブおよび多層ナノチューブが挙げられるが、これに限定されない。
【0170】
ここで図16を参照して、ナノフォームカーボン16を基層15に加える一の実施形態の態様を示す。この例において、電極3はキャリア材料の浴17に浸漬される。いくつかの実施形態において、浴17は溶媒を含む。ナノフォームカーボン16の添加は、浴17において提供され、通常は浴17において懸濁される。一般に、ナノフォームカーボン16は、ナノチューブ、ナノホーン、ナノオニオン、カーボンブラック、フラーレン、グラフェン、酸化グラフェンの少なくとも1つを含む。添加が完了すると、浴17は、蒸気19及び/又はキャリア材料の排出によって除去される。これにより、図17に示すようにマルチフォーム電極3がもたらされる。即ち、得られる電極は、炭素のナノフォームを多数含むので、「マルチフォーム」電極3とよぶ。
【0171】
即ち、浴17を除去する工程により、基層15の上に配置されるナノフォームカーボン16のもう1つの層がもたらされる。従って、マルチフォーム電極3は種々の段階で製造されてよい。
【0172】
基層15の上にナノフォームカーボン16を適用するもう1つの実施形態を図18に示す。図18において、複数のアプリケータ(または塗布装置もしくは散布装置)13が、各電極3の基層15にナノフォームカーボン16を適用する。各々のアプリケータ13は、ナノフォームカーボン16の多数の供給の1つからナノフォームカーボン16が供給されてよい。従って、種々の形態のナノフォームカーボン16を供給してよい。この例において、アプリケータ13の各々は、基層15の上へのナノフォームカーボン16の適切な噴霧を提供する装置を含む。従って、ナノフォームカーボン16は、溶媒または他のキャリア材料と混合してよい。キャリア材料は、基層15の上へのナノフォームカーボン16の分配(または分散)をもたらす。いくつかの実施形態において、キャリア材料は高い蒸気圧を示す。従って、ナノフォームカーボン16は素早く凝固してマルチフォーム(multiform)電極3をもたらすだろう。
【0173】
一般に、ナノフォームカーボン16はもう1つの層として基層15上に分配(または分散)されると考えてよい。キャリア材料中のナノフォームカーボン16の混合物または溶液としてもう1つの層を適用することにより、特定の利点が実現され得る。例えば、ナノフォームカーボン16の全体的な配置が少なくともある程度制御され得る。例えば、複数の積層を行ってよい。ナノフォームカーボン16の濃度は、用いられるナノフォームカーボン16の組み合わせと同様に制御してよい。従って、マルチフォーム電極3の特定の態様は概括的に制御されてよい(エネルギー貯蔵媒体1の密度等)。顕微鏡レベルにおいて、このことは、もつれ(または絡み合い)、空隙、充填された空間(packed space)等が組み込まれることの結果であり得る。
【0174】
基層15の上にナノフォームカーボン16を供給するための他の実施形態を用いてよい。例えば、紙の製造において用いられる技術を用いてよい。より具体的には、ナノフォームカーボン16はキャリア材料と混合してよく、パルプを配置する方法と同様の方法で基層15の上に適用してよい。
【0175】
例示的キャリア材料は、エタノール、イソプロピルアルコール、脱イオン水、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)および他の同様の材料を含む。
【0176】
オプションで、製造後の処理を行ってよい。製造後の処理における例示的方法として、マルチフォーム電極3の加熱が挙げられる。例えば、マルチフォーム電極3を適切に加熱して、残っているキャリア材料をナノフォームカーボン16から実質的に放出してよい。方法(加熱等)は、実質的に酸素のない環境等の制御された環境で行ってよい。
【0177】
ここで図19を参照して、マルチフォーム電極3を提供する例示的方法190を提示する。第1段階において、基部電極3を選択して供給する(電極の選択191)。第2段階において、ナノフォームカーボン16を基部電極3に適用する(ナノフォームの適用192)。第3段階において、マルチフォーム電極3が浴17等から回収される(電極の回収193)。オプションの第4段階において、マルチフォーム電極3の後処理が実施される(電極後処理194)。
【0178】
電極3の更なる実施形態が、成形炭素質集合体を含む電極3として提供され、図20から始まる製造プロセスとして導入される。電極3のこの実施形態は、「超音波処理された」材料を含むものとよんでよく、従って、「超音波処理された」電極3または他の同様の用語でよんでよい。
【0179】
ここで図20Aおよび20B(本明細書においてまとめて図20とよぶ)を参照して、溶液の実施形態を示す。図20Aにおいて、第1の溶液66は、溶媒68および垂直に配列されたカーボンナノチューブ(VCNT)47の集合体の分散物を含む。図20Bにおいて、第2の溶液67は、溶媒68および溶媒に分散される炭素添加物27を含む。炭素添加物27は、実質的に炭素から構成される材料の少なくとも1つの形態を含む。炭素添加物27の例示的形態は、例えば、活性炭、炭素粉末、炭素繊維、レーヨン、グラフェン、エアロゲル、ナノホーン、カーボンナノチューブ等の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において炭素添加物27が実質的に炭素から形成されるが、炭素添加物27は、少なくともいくらかの不純物を故意に又は意図的に含んでよいことが理解される。手短に言えば、炭素添加物27のために選択される(1または複数の)材料は、設計者、製造者または他の同様の状態にある者により適切であると見なされる場合、本明細書の教示事項の実施に適した任意の材料を含んでよい。
【0180】
一般に、溶媒68は無水溶媒であるが、このことは必要条件ではない。例えば、溶媒68は、エタノール、メタノール、DMSO、DMF、アセトン等の少なくとも1つを含んでよい。一般に、垂直に配列されたカーボンナノチューブ47の集合体の分散物は、製造サイクルによって製造された垂直に配列されたカーボンナノチューブ47の断片(またはフラグメント)を含む。即ち、垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体47は、基体65から回収した際に断片(またはフラグメント)へと分割してよい。
【0181】
ここで、第1の溶液66および第2の溶液67の各々が「超音波処理」(例えば超音波装置78によってもたらされる、超音波場において実現される物理的効果)に付されることを示す図21を参照する。第1の溶液66に関しては、超音波処理は一般に、カーボンナノチューブを引き出す(tease out)、膨らませる(または毛羽立てる、fluff)またはさもなければ分解(parse)するのに十分な時間行われる。第2の溶液67に関しては、超音波処理は一般に、溶媒68内の炭素添加物の良好な分散または混合を確保するのに十分な時間行われる。
【0182】
第1の溶液66および第2の溶液67を適切に超音波処理したら、第1の溶液66および第2の溶液67を一緒に混合して混合溶液69を得(図22を参照のこと)、再び超音波処理する。通常、第1の溶液66および第2の溶液67の混合物は、垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体(VCNT)47と炭素添加物27との良好な混合を確実にするのに十分な時間、超音波処理する。この第2の混合により炭素質集合体51がもたらされる。
【0183】
次いで、炭素質集合体51を混合溶液69から取り出して処理する。図23に示すように、炭素質集合体51を成形して成形炭素質集合体51をもたらしてよい。この工程は、炭素質集合体51を適切な表面48に配置することにより補助してよい。適切であると見なされる任意の材料を表面48に用いてよいが、後続の表面からの除去がその表面の特性によって促進されるので、例示的材料としてはPTFEが挙げられる。
【0184】
いくつかの実施形態において、炭素質集合体51はプレス機(press)において成形されて、所望の厚さ、面積および密度を示す成形炭素質集合体51がもたらされる。これらの実施形態は、とりわけ、ウルトラキャパシタ10のための電極3の実施形態の場合において有用である。
【0185】
電極3の一の実施形態を示す図24を参照する。この例において、電極3は、成形炭素質集合体51から作製されたエネルギー貯蔵媒体1を含む。示される集電体2は、例えば成形炭素質集合体51の上に集電体2を沈積させることによる技術を含む種々の技術によって、成形炭素質集合体51に連結されてよい。
【0186】
成形炭素質集合体51の態様をこのように開示してきたが、追加の態様を提示する。要約すれば、各事例のエネルギー貯蔵媒体1の製造は一般に、溶媒68中の垂直に配列されたカーボンナノチューブ(VCNT)47の断片(またはフラグメント)の懸濁液から開始される。次いで、懸濁液は、例えば常套的な超音波装置78を用いて「超音波処理」され又は穏やかに混合される。いくつかの実施形態において、他の形態の炭素が別々に溶媒68において超音波処理され、一方、他の実施形態において、他の形態の炭素が、その後、VCNT47を含む溶液に加えられる。これらの後者の実施形態は、制限された量の溶媒68が用いられ得るという利点を提供する。
【0187】
VCNT47および追加の炭素の形態は超音波場によって混合される。適切な時間間隔の後、懸濁液中のVCNT47および種々の形態の炭素は、泡状の炭素質材料へと集合する。その後、泡を溶媒68から取り出し、次いで、乾燥し、平らにし、圧縮し、加熱し、処理し、または種々の方法のいずれか1つ以上で成形して、エネルギー貯蔵媒体1をもたらしてよい。
【0188】
一般に、VCNT47は比較的長い(例えば、約300μmより長い)ナノチューブを含む。炭素添加物の種々の形態は、活性炭、炭素繊維、レーヨン、グラフェン、エアロゲル、ナノホーン、カーボンナノチューブ等の少なくとも1つを含んでよい。カーボンナノチューブの添加物は、多層カーボンナノチューブ(MWNT)および単層カーボンナノチューブ(SWNT)を含んでよい。一般に、炭素添加物に含まれるナノチューブは、VCNT47におけるナノチューブよりも比較的短い。
【0189】
電極3の更なる実施形態は、複数の電極構成要素を組み立ててより大きい電極3とする技術を含む。導入として、図25から開始される技術の説明が提示される。図25~31に関して開示される実施形態は、複数の電極構成要素を組み立ててより大きい電極3とする技術を含むが、追加の態様が含まれることに留意するべきである。
【0190】
ここで図25を参照して、カーボンナノチューブ集合体(VCNT)47に対するホストである基体65を示す。図25に示す実施形態において、基体65は、上に配置された触媒46の薄層を備える基材49を含む。
【0191】
一般に、基体65は少なくとも幾分かは可とう性であり(即ち、基体65は脆性でない)、エネルギー貯蔵媒体1(例えばVCNT)を沈積させるための環境(例えば約400℃~約1,100℃の高温環境)に耐え得る構成要素から作製される。尤も、適切に決定される場合、種々の材料を基体65に用いてよい。
【0192】
ここで図26を参照する。エネルギー貯蔵媒体1(例えばCNT)が基体65上に作製されると、集電体2がその上に配置される。いくつかの実施形態において、集電体2は約0.5マイクロメートル(μm)~約25マイクロメートル(μm)の厚さである。集電体2は、化学蒸着(CVD)、スパッタリング、e-ビーム、熱蒸発または別の適切な技術によって適用される層等の薄層として現れてよい。一般に、集電体2は、伝導度、電気的に不活性であること、およびエネルギー貯蔵媒体1(例えばCNT47)に適合すること等のその特性で選択される。いくつかの例示的材料は、アルミニウム、白金、金、タンタル、チタンを含み、かつ他の材料および種々の合金を含んでよい。
【0193】
集電体2がエネルギー貯蔵媒体1(例えばCNT)の上に配置されると電極構成要素20が実現される。各々の電極構成要素20は個別に電極3として用いてよく、または少なくとももう1つの電極構成要素20と連結(即ち接合)して電極3を提供してよい。
【0194】
オプションで、望ましい基準に従って集電体2が作製される前に、作製後の処理が行われる。例示的後処理としては、わずかに酸化性の環境におけるエネルギー貯蔵媒体1(例えばCNT)の加熱および冷却が挙げられる。作製(およびオプションの後処理)の後、移動器具(transfer tool)が集電体2に適用される。図27を参照してよい。
【0195】
図27は、移動器具63の集電体2への適用を図示する。この例において、移動器具63は、「乾式」移動法において用いられる熱剥離(または熱脱着)テープである。例示的熱剥離テープは、NITTO DENKO CORPORATION(カリフォルニア州フリーモントおよび日本国大阪)により製造される。一の適切な移動テープはREVALPHA(登録商標)として市販されている。この剥離テープは、室温においてしっかりと接着し且つ加熱により剥がすことが可能である接着テープとして特徴付けられてよい。このテープおよび熱剥離テープの他の適切な実施形態は、所定の温度で剥離するだろう。好都合なことに、剥離テープは、電極構成要素20において化学的活性残余を残さない。
【0196】
「湿式」移動法とよばれるもう1つのプロセスにおいて、化学的剥離(または脱着)のために設計されたテープを用いてよい。一旦適用されると、テープは溶媒に浸漬することにより除去される。溶媒は、接着剤を溶解するように設計される。
【0197】
移動器具63の他の実施形態において、吸引を集電体2に適用してよい。吸引は、例えば、吸引を分配する(または分布させる)ための複数の穿孔を有するわずかにオーバーサイズのパドル(paddle)を介して適用してよい。もう1つの例において、吸引は、吸引を分配するための複数の穿孔を有するローラーを介して適用される。吸引により駆動される実施形態(即ち空気動力工具)は、電気的に制御されるという利点、および移動プロセスの一部として消耗材が用いられていないので経済的であるという利点を提供する。移動器具63の他の実施形態を用いてよい。
【0198】
移動器具63を一時的に集電体2と連結させた時点で、電極構成要素20を基体65から徐々に取り外す(図27および28を参照のこと)。取り外しは通常、エネルギー貯蔵媒体1(例えばCNT47)を基体65から剥がすことを伴い、これは基体65およびエネルギー貯蔵媒体1(例えばCNT47)の一の端部において開始される。
【0199】
その後、移動器具63を電極構成要素20から分離してよい(図29を参照のこと)。いくつかの実施形態において、移動器具63は、電極構成要素20を取り付けるのに用いられる。例えば、移動器具63は、電極構成要素20をセパレータ5の上に直接置くのに用いてよい。一般に、一旦基体65から取り外されると、電極構成要素20は使用可能である。
【0200】
大型の電極3が望まれる場合において、複数の電極構成要素20を一緒に接合してよい。図30を参照してよい。図30に示すように、複数の電極構成要素20を、例えば、連結59を複数の電極構成要素20の各電極構成要素20と連結させることにより接合してよい。組み合わされた電極構成要素20は、電極3のもう1つの実施形態を提示する。
【0201】
いくつかの実施形態において、連結59は、接合部57において電極構成要素20の各々と連結される。接合部57の各々は超音波溶接57によりもたらされる。超音波溶接技術は、各接合部57をもたらすのに特によく適していることがわかった。即ち、一般に、エネルギー貯蔵媒体1(例えばCNT47)の集合体は溶接に適合せず、本明細書において開示されている集電体等のわずかな(nominal)集電体2のみが利用される。結果として、電極構成要素20を接合するための多数の技術が破壊的であり、構成要素20荷損傷を与える。尤も、他の実施形態において、他の連結の形態が用いられ、連結59は、結合、圧着(crimp)または他のそのような種類の接続を含む。
【0202】
連結59は、ホイル、メッシュ、複数のワイヤであってよく、または他の形態で実現されてよい。一般に、連結59は、伝導度および電気化学的に不活性であること等の特性で選択される。いくつかの実施形態において、連結59は、集電体2において存在する材料と同じ(1または複数の)材料から作製される。
【0203】
いくつかの実施形態において、連結59は、上に存在する酸化物層を除去することにより調製される。酸化物は、例えば接合部57を設ける前に連結59をエッチングすることにより除去してよい。エッチングは、例えばKOHを用いて達成してよい。
【0204】
電極3は種々の用途に用いてよい。例えば、電極3は、巻き上げて「ゼリーロール(jelly roll)」型のエネルギー貯蔵体としてよい。
【0205】
ここで図31を参照して、電極を製造するための例示的方法170が提示される。この例示的方法170において、第1の工程はCNTの成長171を指示する。第2の工程は、配列されたCNT集合体の上に集電体を沈積させること172を伴う。第3のオプションの工程は、基体からの取り外しを促進するためのCNT後処理173を伴う。第4の工程は移動器具を集電体の上に設置し(174)、第5の工程において、基体から電極構成要素を回収する(175)。第6の工程において、電極構成要素からの移動器具の取り外し176が行われる。第7の工程において、電極構成要素を一緒に接合してより大きい高出力の電極を提供する(177)。
【0206】
電極3の更なる実施形態は、電極3を組み立て、種々の組み立て後処理を行って「高密度化された(densified)」電極3、または「高密度化(または緻密化)」を示す電極3をもたらすための技術を含む。高密度化された電極3を提供するための技術に関して、概括的には技術の理解を確実にするために前図を参照してよい。
【0207】
電極3を高密度化するための技術は、上述のいくつかの実施形態の態様を含む。高密度化の一例において、CNT47の複数の層は、それらの各々の基体65から取り外される。CNT47の層の各々は、例えば上述の技術等の技術によって(例えば、熱剥離テープ、ブレード(blade)、空気動力工具および他のそのような技術を用いることにより)取り外される。
【0208】
次いで、CNT47の層の各々を積層させてCNT47の層状の積層体(layered stack)をもたらす。図9およびそれに関連して論じられる技術を参照してよい。CNT47の層状の積層体が組み立てられると、その後、CNT47の層状の積層体は濡らされる。濡らすことは、例えば溶媒等の溶液と共に提供されてよい。溶媒の例示的実施形態として、イソプロピルアルコール、脱イオン水、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、適切な組み合わせ、および他の適切な又は同様の材料のいずれかが挙げられる。
【0209】
濡らすことは、適切な噴霧、浴、または適切であると見なされる他の同様の技術によって達成されてよい。
【0210】
CNT47の層状の積層体を適切に濡らし、次いで、CNT47の層状の積層体を圧縮する。適切な圧縮をもたらすための一の例示的器具は「カレンダー」機(即ち対向するローラーを備える機械)である。その後、CNT47の層状の積層体中に残っている溶媒を、蒸発、真空における排出または他の同様の技術によって除去する。CNT47の層状の積層体の加熱を用いて溶媒の排除を促進してよい。
【0211】
乾燥させると、得られるCNT47の圧縮された層状の積層体は通常、可とう性であり、機械的に耐久性(またはロバスト性)がある。一般に、集電体2は、プロセスのこの時点においてCNT47の圧縮された層状の積層体に適用される(尤も、集電体2は例えば積層の間に適用してよいので、このことは必要ではない)。いくつかの実施形態において、集電体2は、化学蒸着(CVD)、スパッタリング、e-ビーム、熱蒸発または別の適切な技術を用いて、圧縮されたCNT47の層状の積層体の上に沈積される。
【0212】
もう1つの実施形態において、溶媒および炭素のナノフォームの溶液はCNT47の層の間に分散している。
【0213】
得られる電極3は高いエネルギー密度を示す。一般に、CNT47の層の数が増加すると、エネルギー密度の増加がもたらされる。得られる電極3は、(得られる電極3が組み込まれるウルトラキャパシタ10において)イオン液体が用いられる場合であっても、高い電力密度も示す。
【0214】
例示的ウルトラキャパシタの性能の態様をここで提示する。いくつかの実施形態において、ウルトラキャパシタの総重量は2.25mgであり、ウルトラキャパシタの総体積は2ccであった。質量ピーク電力密度は、下記式(1)および(2)に従って計算した:

Vm/(4*R*W) 式(1);および
Vm/(4*R*V) 式(2);

式中、Vm=定格電圧、R=等価直列抵抗(ESR)、W=総重量、V=総体積である。
【0215】
要約すれば、開示される技術は、ロバスト性のエネルギー貯蔵システムをもたらす。ウルトラキャパシタ10の例示的実施形態の電力密度を表す性能データを表1に提示し、図32にも表す。
【0216】
【表1】
【0217】
図32Aおよび32B(本明細書においてまとめて図32とよぶ)は、本明細書の教示事項に従って製造された電極を含むウルトラキャパシタの一の実施形態の周波数応答の関数としての電力密度を表すグラフである。図32B図32Aに提示される曲線の初期部分の拡大図を提示する。
【0218】
図33は、例示的ウルトラキャパシタの放電に対する電圧応答を表す。放電曲線は、0.5Aの電流で評価した。放電の評価の更なる態様は表2に提示される。
【0219】
【表2】
【0220】
図34は、例示的ウルトラキャパシタの充放電サイクルに対する電圧応答を表す。放電の評価の更なる態様は表3に提示される。
【0221】
【表3】
【0222】
このように種々の実施形態を開示してきたが、エネルギー貯蔵媒体の充填量(即ち、集電体に配置される炭素質材料の重量)を変化させることにより、ウルトラキャパシタ10の電力密度およびエネルギー密度を制御し得ることが理解されるはずである。
【0223】
即ち、(ウルトラキャパシタ)の総重量に対するエネルギー貯蔵媒体の重量比が高いほど、エネルギー密度が高くなる。対照的に、電力密度は、電極のユークリッド表面積に実質的に依存する。従って、(電極の総表面積が変化しないのに対し、ウルトラキャパシタの総重量は低くなるので)(ウルトラキャパシタ)の総重量に対するエネルギー貯蔵媒体の重量比が低いほど、電力密度が高くなる。
【0224】
いくつかの実施形態において、エネルギー貯蔵媒体の充填は0.1mg/cm~30mg/cmの範囲であり得る。エネルギー貯蔵媒体の充填が0.1mg/cmである場合、ウルトラキャパシタは、約250kW/kgを超える等の非常に高い電力密度を示し、この場合においてエネルギー密度は約1Wh/kgだろう。エネルギー貯蔵媒体の充填が30mg/cmである場合、デバイスは、30Wh/kgを超える等の非常に高いエネルギー密度を示し、この場合において電力密度は約12kW/kgだろう。
【0225】
電力およびエネルギー出力の組み合わせの観点におけるウルトラキャパシタの性能は、図35および36に提示される。
【0226】
慣例として、本明細書において用いられる用語「…であってよい」は、オプション(または任意)であると解釈するべきであること;「含む」は他のオプション(即ち、工程、材料、構成要素(または部品もしくは成分)、組成等)を除外しないと解釈するべきであること;および「…べきである」は必要条件を意味せず、むしろ単に場合による又は状況による好ましい事項を意味することを考慮するべきである。他の類似の専門用語は一般に、常套的な方法で同様に用いられる。
【0227】
一般に、電力出力およびエネルギー出力は、本明細書において種々の形式で表してよい。例えば、電力密度をkW/kgで表してよい。同様に、エネルギー密度をWh/kgで表してよい。両方の場合において、出力を正規化するのに用いられる質量は、評価されるエネルギー貯蔵体(例えばウルトラキャパシタ)の質量である。電力密度およびエネルギー密度の別の表現として、例えば、エネルギー貯蔵体の体積を使用してよく、かつ考慮してよい。
【0228】
例示的実施形態を参照して本発明を説明してきたが、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更を行ってよく、かつ本発明の構成要素を均等物で置き換えてよいことを理解するだろう。本発明の本質的な範囲から逸脱することなく特定の配置または材料を本発明の教示事項に適合するための多数の変形が当業者に理解されるだろう。
【0229】
本明細書における教示事項は単に説明のためのものであり、本発明を限定するものでないことが認識されるべきである。更に、当業者は、追加の構成要素、構成、配置等が本発明の範囲内のままでありながら理解されてよいことを認識するだろう。例えば、層の構成、層の含有量等が、本明細書に開示される実施形態から変化してよい。層が追加されてよく、追加の機能性が与えられてよく、機能性が低減されてよく、いくつかの層を省略してよい。一般に、電極および電極を使用するウルトラキャパシタの設計および/または用途は、システム設計者、製造者、オペレータおよび/または使用者のニーズならびに任意の特定の状況に存在する要求によってのみ限定される。
【0230】
更に、種々の他の構成要素が含まれてよく、かつ本明細書における教示事項の態様を提供するために求められる。例えば、追加の材料、材料の組み合わせ及び/又は材料の省略を、本明細書における教示事項の範囲内である追加された実施形態を提供するために用いてよい。
【0231】
本発明の構成要素または本発明の(1または複数の)実施形態を導入する場合、冠詞「a」、「an」および「the」は、1以上の構成要素が存在することを意味することが意図される。同様に、形容詞「もう1つの(または別の)」は、構成要素を導入するのに用いられる場合、1以上の構成要素を意味することが意図される。用語「含む」および「有する」は、列挙された構成要素以外に追加の構成要素が存在してよいように包含的であることが意図される。
【0232】
本願において、構成要素(例えば電極材料、電解質等)、状態(または条件)(例えば温度、種々のレベルにおける種々の不純物が存在しないこと)および性能特性(例えば初期サイクルと比較したサイクル後の容量、低リーク電流等)を含む種々の可変物(または変数)が記載されているが、これらに限定されない。これらの可変物のいずれかの任意の組み合わせが本発明の一の実施形態を定義し得ることが理解されるべきである。例えば、特定の温度範囲の下における、特定の値のサイクル後容量及びリーク電流で作動する、特定の量より少ない不純物を含む、特定の電極材料の特定の電解質との組み合わせ(これらの可変物は可能性として含まれるが特定の組み合わせは明確に提示されてないかも知れない)は、本発明の一の実施形態である。当業者に明らかであるように、物品、構成要素、状態および/または方法の他の組み合わせもまた、他の実施形態を定義するために、本明細書に列挙される可変物の中から具体的に選択され得る。
【0233】
種々の構成要素または技術が特定の必要な又は有益な機能性または特徴を提供してよいことが認識されるだろう。従って、これらの機能および特徴は、添付の特許請求の範囲およびその変形の裏付けに必要であり得、本明細書における教示事項の一部および開示される発明の一部として本質的に含まれるものと理解される。
【0234】
例示的実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更を行ってよく、かつ本発明の構成要素を均等物で置き換えてよいことが理解されるだろう。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく特定の機器、状態または材料を本発明の教示事項に適合するための多数の変形が理解されるだろう。従って、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良の形態として開示される特定の実施形態に限定されず、本明細書に添付の特許請求の範囲によって理解されるべきであることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
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図27
図28
図29
図30
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図33
図34
図35
図36
【手続補正書】
【提出日】2024-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中に配置された少なくとも1つのマルチフォーム電極を含むハウジングであって、
前記少なくとも1つのマルチフォーム電極が、集電体の表面に配置されたカーボンナノチューブの集合体を含む第1の結合層、および前記第1の結合層の表面に配置されたナノフォームカーボンを含む少なくとも第2の層を含み、前記第1の結合層および前記第2の層の少なくとも一方が圧縮された層を含む、ハウジング;ならびに
ウルトラキャパシタ内のイオン輸送をもたらす電解質
を含む、ウルトラキャパシタであって、
ウルトラキャパシタが、複数の充放電サイクルについて少なくとも約12kW/kgの質量出力電力密度を有するように構成される、ウルトラキャパシタ。
【請求項2】
ウルトラキャパシタのハウジングが、角柱形および円筒形の一方である、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項3】
電解質が、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウム、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム、1,3-ビス(3-シアノプロピル)イミダゾリウム、1,3-ジエトキシイミダゾリウム、1-ブチル-1-メチルピペリジニウム、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-4-メチルピリジニウム、1-ブチルピリジニウム、1-デシル-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、3-メチル-1-プロピルピリジニウムおよびこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項4】
電解質が、ビス(トリフルオロメタンスルホナート)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホナート)メチド、ジシアナミド、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメタンスルホナート、ビス(ペンタフルオロエタンスルホナート)イミド、チオシアナート、トリフルオロ(トリフルオロメチル)ボレートおよびこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項5】
ナノフォームカーボンが、単層ナノチューブ、多層ナノチューブ、ナノホーン、ナノオニオン、カーボンブラック、フラーレン、グラフェン、酸化グラフェン、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、導電性ポリマーの少なくとも1つの形態、および上述のものの処理された形態の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項6】
電解質が、アセトニトリル、アミド、ベンゾニトリル、ブチロラクトン、環状エーテル、ジブチルカーボナート、ジエチルカーボナート、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジメチルカーボナート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホン、ジオキサン、ジオキソラン、ギ酸エチル、エチレンカーボナート,エチルメチルカーボナート、ラクトン、直鎖状エーテル、ギ酸メチル、メチルプロピオナート、メチルテトラヒドロフラン、ニトリル、ニトロベンゼン、ニトロメタン、n-メチルピロリドン、プロピレンカーボナート、スルホラン、スルホン、テトラヒドロフラン、テトラメチレンスルホン、チオフェン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、炭酸エステル、γ-ブチロラクトン、ニトリル、トリシアノヘキサン、これらのいずれかの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項7】
細長ナノフォーム材料が、カーボンナノチューブを含む、請求項1に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項8】
ウルトラキャパシタが、複数の充放電サイクルについて少なくとも約250kWh/kgの質量出力電力密度を有するように構成される、請求項7に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項9】
ウルトラキャパシタが、複数の充放電サイクルについて少なくとも約1Wh/kgの質量出力電力密度を有するように構成される、請求項8に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項10】
複数の充放電サイクルが、少なくとも1,000サイクルを有する、請求項9に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項11】
複数の充放電サイクルが、少なくとも2,000サイクルを有する、請求項9に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項12】
ウルトラキャパシタが、少なくとも19Wh-kW/kgに等しい積を有する質量出力電力密度で最大定格電圧の少なくとも半分の電圧にて作動されるように構成される、請求項7に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項13】
最大定格電圧が少なくとも約4Vである、請求項12に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項14】
ウルトラキャパシタが、少なくとも38Wh-kW/kgに等しい積を有する質量出力電力密度で最大定格電圧の少なくとも半分の電圧にて作動されるように構成される、請求項7に記載のウルトラキャパシタ。
【請求項15】
最大定格電圧が少なくとも約4Vである、請求項14に記載のウルトラキャパシタ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[連邦政府支援による研究の申告]
本発明は、米国エネルギー省によって授与された認可DE-AR0000035/0001の下で政府の援助によってなされた(ARPA-E)。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
本発明は概括的にはキャパシタに関し、より具体的にはキャパシタに用いられるカーボンナノチューブに関する。
【0003】
カーボンナノチューブ(以下、「CNT」ともよぶ)は、種々の特性を示す炭素構造体である。多数の特性が種々の科学技術における改良の機会を示唆している。例えば、強度、伝導度または静電容量(キャパシタンス)の増大から利益を得る技術は、CNTの使用から利益を得るだろう。従って、CNT技術における進歩は、キャパシタを扱う仕事に従事している人々にとって非常に興味深い。
【0004】
キャパシタは、種々の電気システムにおいて重要な構成要素の1つである。機能としては、電力の緩衝(またはバッファリング)、エネルギーの貯蔵および電圧の平滑化(またはスムージング)が挙げられる。種々の産業がキャパシタに対して厳しい要求を示している。
【0005】
例えば、自動車、製造業、航空宇宙産業、航空機産業、医療および軍事等の産業は、電気駆動、パルス電力またはプロセス作動にエネルギーまたは電力支援を提供するためにキャパシタを必要とするいくつかの用途を有することを考える。エネルギー容量および電力の能力は、それらの産業における代表的な用途において重要な要件である。電気駆動系(またはドライブトレイン)におけるトルクアシスト(またはトルク補助)、製造プラントにおけるモーター駆動のためのパワーアシスト(または動力補助)または高出力負荷需要の間の電圧サポート(または電圧補助)の提供等の用途は、かなりのエネルギーおよび電力を必要とする。いくつかの用途は制限された物理的スペースまたは重量の上限を示す。いくつかの用途は長いサイクル寿命を必要とする。
【0006】
従って、産業環境において用いられるキャパシタは、物理的制約を満たしつつ性能に関する要件を満たさなければならない。ウルトラキャパシタの設計者および製造者にとって、付随する課題の1つは所望の出力で機能する電極を得ることである。
【0007】
従って、カーボンナノチューブをベースとする高出力の電極を製造するための方法および装置が必要とされる。好ましくは、方法および装置は実行が簡単であり、従って製造コストの低減および生産率(または工率)の向上を提供する。好ましくは、方法および装置は、要求が多い状況において十分に機能するウルトラキャパシタのための電極を提供する。好ましくは、電極は、広い温度範囲にわたって安定な伝導度および低い内部抵抗をもたらす。
【発明の概要】
【0008】
カーボンナノチューブを製造するための方法および装置が提供される。方法および装置は、優れた特性、従って種々の用途において用いる際の優れた性能を示すカーボンナノチューブを提供する。電極およびウルトラキャパシタの種々の形態が結果として理解され得る。
【0009】
一の実施形態において、垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体の製造方法が提供される。方法は、実質的に酸素のない環境中に基材を装着すること;基材上に触媒を配置して基体を提供すること;基体を原材料ガスに付し、基体上に集合体を成長させるために原材料ガスおよび基体の少なくとも一方を加熱すること;ならびに実質的に酸素のない環境において集合体を冷却することを含む。
【0010】
もう1つの実施形態において、垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体を製造する装置が提供される。この装置は、実質的に酸素のない環境中に基材を装着するためのローダー部:基材上に触媒を配置して基体を提供するためのスパッタリング部;基体を原材料ガスに付し、基体上に集合体を成長させるために原材料ガスおよび基体の少なくとも一方を加熱するための炭素沈積部;ならびに実質的に酸素のない環境において集合体を冷却するための冷却部を含む。
【0011】
もう1つの実施形態において、ウルトラキャパシタの電極の製造方法であって、電極が垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体を含む、方法が提供される。方法は、実質的に酸素のない環境中に基材を装着すること;基材上に触媒を配置して基体を提供すること;基体を原材料ガスに付し、原材料ガスおよび基体の少なくとも一方を加熱して基体上に集合体を成長させること;ならびに実質的に酸素のない環境において集合体を冷却することによって製造された集合体を選択することと、集合体を集電体と接合すること、集合体を基体から取り外して集電体を集合体上に配置すること、および集合体を他の炭素質材料と組み合わせてその組み合わせを集電体と接合することの1つとを含む。
【0012】
もう1つの実施形態において、エネルギー貯蔵システムのための電極の製造方法が提供される。方法は、上に配置された一の厚さの垂直に配列されたカーボンナノチューブ(CNT)を含む基体を選択すること;前記厚さのCNT上に結合層を配置すること;結合層を集電体と結合させること;およびCNTから基体を除去して電極を提供することを含む。
【0013】
もう1つの実施形態において、ウルトラキャパシタの製造方法であって、ウルトラキャパシタは、垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体を含む少なくとも1つの電極を含む、方法が提供される。方法は、実質的に酸素のない環境中に基材を装着すること;基材上に触媒を配置して基体を提供すること;基体を原材料ガスに付し、原材料ガスおよび基体の少なくとも一方を加熱して基体上に集合体を成長させること;ならびに実質的に酸素のない環境において集合体を冷却することによって製造された集合体を選択することと、集合体を集電体上に移動させること、基体から集合体を取り外して集合体上に集電体を配置すること、および集合体を集電体上で他の炭素質材料と組み合わせて電極を提供することの1つとによって製造された電極を選択すること;ならびに電極をウルトラキャパシタに組み込むことを含む。
【0014】
もう1つの実施形態において、エネルギー貯蔵システムのための電極の製造方法が提供される。方法は、集電体と、集電体の表面に配置された第1の接合層とを含む基部を選択すること;および第2の接合層を第1の接合層と接合することであって、第2の接合層はその上に配置された炭素質層を含み、炭素質層は電荷を貯蔵するための材料を含む、ことを含む。
【0015】
もう1つの実施形態において、電極が提供される。電極は、集電体と、集電体の表面に配置された第1の接合層とを含む基部;および第1の接合層と接合された第2の接合層であって、第2の接合層は、その上に配置された炭素質層を含み、炭素質層は電荷を貯蔵するための材料を含む、第2の接合層を含む。
【0016】
もう1つの実施形態において、キャパシタが提供される。キャパシタは、集電体および集電体の表面に配置された第1の接合層を含む基部と、第1の接合層に接合された第2の接合層であって、その上に配置された炭素質層を含み、炭素質層はキャパシタの電荷を貯蔵するための材料を含む、第2の接合層とを含む少なくとも1つの電極を備えるハウジング;ならびにハウジングの中に配置される電解質および誘電材料の少なくとも一方を含み、少なくとも1つの電極はハウジングの出力電極に連結される。
【0017】
もう1つの実施形態において、エネルギー貯蔵デバイスのためのマルチフォーム電極を提供する方法が提供される。方法は、集電体と電気的に接触するカーボンナノチューブの集合体を含む電極を選択すること;キャリア材料中に分散した少なくとも1つのナノフォームカーボンを集合体の上に配置すること;およびキャリア材料を放出してマルチフォーム電極を提供することを含む。
【0018】
もう1つの実施形態において、エネルギー貯蔵デバイスのためのマルチフォーム電極である、マルチフォーム電極が提供される。電極は、集電体の表面に配置されたカーボンナノチューブの集合体を含み、集合体は、キャリア材料中に分配されたナノフォームカーボンを含む溶液として集合体の上に配置されたナノフォームカーボンの少なくとも1つの追加の層を更に含む。
【0019】
もう1つの実施形態において、ウルトラキャパシタが提供される。ウルトラキャパシタは、中に配置されたマルチフォーム電極を少なくとも含むハウジング;集電体の表面に配置されたカーボンナノチューブの集合体を含むマルチフォーム電極であって、集合体は、キャリア材料中に分配されたナノフォームカーボンを含む溶液として集合体の上に配置されたナノフォームカーボンの少なくとも1つの追加の層を更に含む、マルチフォーム電極;およびウルトラキャパシタ内のイオン輸送をもたらす電解質を含む。
【0020】
もう1つの実施形態において、炭素質集合体を提供する方法が提供される。方法は、配列されたカーボンナノチューブの集合体を第1の溶液中に分散させること;炭素添加物を第2の溶液中に分散させること;第1の溶液および第2の溶液を超音波混合すること;混合された第1の溶液と混合された第2の溶液とを混合して混合溶液を提供すること;混合溶液を超音波混合すること;混合された混合溶液から炭素質集合体を得ることを含む。
【0021】
もう1つの実施形態において、炭素質集合体を含むエネルギー貯蔵媒体を備える電極が提供される。電極は、上に配置された炭素質集合体を含む集電体を含み、集合体は、超音波処理したカーボンナノフォームの組み合わせを含む。
【0022】
もう1つの実施形態において、ウルトラキャパシタが提供される。ウルトラキャパシタは、炭素質集合体を含むエネルギー貯蔵媒体を備える少なくとも1つの電極を含み、電極は、上に配置された炭素質集合体を含む集電体を含み、集合体は、超音波処理したカーボンナノフォームの組み合わせを含む。
【0023】
もう1つの実施形態において、電極の構成要素の製造方法が提供される。方法は、上に配置されたカーボンナノチューブの集合体を含む基体を選択すること;導電性材料の層を集合体の上に沈積させること;および基体から集合体および導電性材料を取り外すことを含む。
【0024】
もう1つの実施形態において、電極が提供される。電極は、複数の電極構成要素を含み、各構成要素は、カーボンナノチューブの集合体と、その上に配置された導電性材料の層とを含み、構成要素の各々は構成要素の別の1つと連結され、少なくとも1つの連結は、構成要素の導電性材料との結合を含む。
【0025】
もう1つの実施形態において、ウルトラキャパシタが提供される。ウルトラキャパシタは、複数の電極構成要素を含む少なくとも1つの電極であって、各々の構成要素はカーボンナノチューブの集合体と、その上に配置された導電性材料の層とを含み、構成要素の各々は構成要素の別の1つと連結され、少なくとも1つの連結は、構成要素の導電性材料との結合を含む、電極;少なくとも1つの電極を収容するハウジング;およびウルトラキャパシタ内のイオンの輸送をもたらす電解質を含む。
【0026】
もう1つの実施形態において、電極の製造方法が提供される。方法は、カーボンナノチューブ(CNT)の層状の積層体を得ること;層状の積層体を溶液で濡らすこと;層状の積層体を圧縮すること;圧縮された層状の積層体を乾燥させること;および圧縮された層状の積層体に集電体を適用することを含む。
【0027】
もう1つの実施形態において、ウルトラキャパシタが提供される。ウルトラキャパシタは、カーボンナノチューブ(CNT)の圧縮された層状の積層体と、積層体の上に配置された集電体とを含む少なくとも1つの電極;および電極に貯蔵されたエネルギーをウルトラキャパシタの少なくとも1つの端子に輸送するための電解質を含む。
【0028】
もう1つの実施形態において、ウルトラキャパシタの使用方法が提供される。方法は、電解質および2つの電極を含むウルトラキャパシタであって、電極の各々は、集電体と電気的に連通し且つセパレータによって他方の電極から離隔される、ウルトラキャパシタを得ること;ならびにウルトラキャパシタを二者択一的に充電および放電することによりウルトラキャパシタをサイクルさせることであって、ウルトラキャパシタの出力される電力密度が、各サイクルについて少なくとも12kW/kgであり、最大で約250kW/kgであることを含む。
【0029】
もう1つの実施形態において、ウルトラキャパシタの使用方法が提供される。方法は、電解質および2つの電極を含むウルトラキャパシタであって、電極の各々は、集電体と電気的に連通し且つセパレータによって他方の電極から離隔される、ウルトラキャパシタを得ること;ならびにウルトラキャパシタを二者択一的に充電および放電することによりウルトラキャパシタをサイクルさせることであって、ウルトラキャパシタの出力されるエネルギー密度が、各サイクルについて少なくとも1Wh/kgであり、最大で約35Wh/kgであることを含む。
【0030】
もう1つの実施形態において、ウルトラキャパシタの使用方法が提供される。方法は、電解質および2つの電極を含むウルトラキャパシタであって、電極の各々は、集電体と電気的に連通し且つセパレータによって他方の電極から離隔される、ウルトラキャパシタを得ること;ならびにウルトラキャパシタを横切る電圧を最大電圧と最大電圧の約半分との間に保持しながら、ウルトラキャパシタを二者択一的に少なくとも3回充電および放電することによりウルトラキャパシタをサイクルさせることであって、充電および放電が、1回の充電または放電において少なくとも3.75Wh/kgのエネルギーのウルトラキャパシタからの出力をもたらすことを含む。
【0031】
追加の実施形態は、以下に提示する説明を踏まえて明らかになるだろう。
【0032】
本発明は、以下の図面と共に詳細な説明を参照することによってより十分に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、ウルトラキャパシタの概略図である。
図2図2は、製造装置の機能的構成の一の実施形態を概略的に示すブロック図である。
図3図3は、製造装置の機能的構成のもう1つの実施形態を概略的に示すブロック図である。
図4図4は、製造装置の態様のブロック図である。
図5図5は、製造装置の制御システムの態様を表すブロック図である。
図6図6は、集電体と、複数のカーボンナノチューブ(CNT)が上に形成された基体とを表すブロック図である。
図7図7は、集電体の上に図6のCNTを載せることを表すブロック図である。
図8図8は、図7の積載された集電体と、積載された集電体の上に追加のCNTを移動させるために製造されたもう一つの基体とを表すブロック図である。
図9図9は、積載された集電体に追加のCNTを積載することを表すブロック図である。
図10図10は、図6の集電体の上にCNTを複数回移動させることにより得られる高出力電極を表すブロック図である。
図11図11Aおよび11B(本明細書においてまとめて図11とよぶ)は、圧縮されていないカーボンナノチューブおよび圧縮されたカーボンナノチューブの各々の透過電子顕微鏡写真を表す。
図12図12Aおよび12B(本明細書においてまとめて図12とよぶ)は、活性炭をベースとするウルトラキャパシタおよびカーボンナノチューブをベースとするウルトラキャパシタの各々の比較性能を表す。
図13図13Aおよび13B(まとめて図13とよぶ)は、電極基部構造体および電極プロセス構造体の実施形態の態様を表すブロック図である。
図14図14は、機能的に積層された電極の一の実施形態を表すブロック図である。
図15図15は、集電体の上に配置された炭素基層を有する電極を表すブロック図である。
図16図16は、図15の電極の上に追加のカーボンナノフォームを沈積させるための装置を表すブロック図である。
図17図17は、マルチフォーム電極を表すブロック図である。
図18図18は、図15の電極の上に追加のカーボンナノフォームを沈積させるためのもう1つの装置を表すブロック図である。
図19図19は、マルチフォーム電極を提供するための例示的方法を提示するフローチャートである。
図20図20Aおよび20B(本明細書においてまとめて図20とよぶ)は、溶媒中に分散された、垂直に配列されたカーボンナノチューブおよび炭素添加物の各々の断片を表す図である。
図21図21は、図20に表わされる溶液の超音波処理を表す図である。
図22図22は、図21において表される処理により生じる炭素質集合体を表す。
図23図23は、図22において表される炭素質集合体の処理の一の実施形態を表す。
図24図24は、図1のウルトラキャパシタにおいて用いるのに適した電極に配置される図23の処理された炭素質集合体を表す。
図25図25は、基体上で成長した複数のカーボンナノチューブ(CNT)を表すブロック図である。
図26図26は、図25のCNTの上に集電体を沈積させて電極構成要素をもたらすことを表すブロック図である。
図27図27は、図25の電極構成要素に移動テープを加えることを表すブロック図である。
図28図28は、移動プロセスの間の電極構成要素を表すブロック図である。
図29図29は、移動後の電極構成要素を表すブロック図である。
図30図30は、複数の電極構成要素から製造される例示的電極を表すブロック図である。
図31図31は、複数の電極構成要素から電極を製造するための例示的プロセスを表すフローチャートである。
図32図32Aおよび32B(本明細書においてまとめて図32とよぶ)は、本明細書の教示事項に従って製造された電極を含むウルトラキャパシタの一の例示的実施形態に関する、周波数応答の関数としての電力密度を表すグラフである。図32B図32Aに提示される曲線の初期部分の拡大図を提示する。
図33図33は、例示的ウルトラキャパシタに関する放電サイクルの電圧応答を表すグラフである。
図34図34は、例示的ウルトラキャパシタの充放電サイクルに対する電圧応答を表すグラフである。
図35図35は、一連の例示的ウルトラキャパシタに関する組み合わされた電力およびエネルギー性能を表す。
図36図36は、一連の例示的ウルトラキャパシタに関する組み合わされた電力およびエネルギー性能を表す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書において、カーボンナノチューブ(CNT)を提供する方法および装置が開示される。カーボンナノチューブ(CNT)は、ウルトラキャパシタにおいて使用するのに特に良好に適している。ウルトラキャパシタにおいて用いられる場合、本明細書において開示されるカーボンナノチューブ(CNT)は、高電力の出力および信頼性のある操作を提供する。カーボンナノチューブ(CNT)の態様を提示する前に、いくつかの背景をまず提示する。
【0035】
図1に示すように、「ウルトラキャパシタ10」の一の例示的実施形態を示す。この場合において、ウルトラキャパシタ10は、電気二重層キャパシタ(EDLC)である。EDLCは少なくとも1つの電極3を含む(2つの電極3が存在する場合等、いくつかの場合において、電極は、負極3および正極3とよんでよい)。ウルトラキャパシタ10内に取り付けるとき、各々の電極3は、電解質界面において電荷の二重層を提供する。いくつかの実施形態において、複数の電極3が含まれる。尤も、議論の目的のため、2つの電極3のみを示す。慣例通り、本明細書において電極3の少なくとも1つは、エネルギー貯蔵を提供するために炭素ベースのエネルギー貯蔵媒体1(本明細書において更に論じる)を使用する。
【0036】
電極3の各々はそれぞれ、集電体2(「電荷収集体(charge collector)」ともよぶ)を含む。電極3は、セパレータ5によって離隔される。一般に、セパレータ5は、電極3を2以上の区画に離隔するのに用いられる薄型構造材料(通常はシート(または薄板))である。
【0037】
電解質6の少なくとも1つの形態は、電極3およびセパレータ5における空隙(void space)ならびに電極3とセパレータ5との間の空隙に含まれ、かつそれを満たす。一般に、電解質6は、電荷を帯びたイオンへと分離する物質である。いくつかの実施形態において、その物質を溶解する溶媒が含まれてよい。結果として得られる電解液は、イオン輸送により電気を通す。
【0038】
一般に、(1または複数の)電極3およびセパレータ5の組み合わせは、その後、巻かれた形状または角柱形の一方に成形され、次いで、円筒形または角柱形のハウジング7に詰められる。電解質6が加えられると、ハウジング7は密封される。種々の例において、パッケージは、レーザー、超音波および/または溶接技術を用いた技術によって密封される。ハウジング7(「封入体(enclosing body)」または「容器(またはケース、case)」または他の同様の用語でよぶ)は、少なくとも1つの端子8を含む。各端子8は、通常はエネルギー貯蔵媒体1に連結された導線(図示せず)を通じて、エネルギー貯蔵媒体1に貯蔵されるエネルギーへの電気的アクセスを提供する。
【0039】
即ち、いくつかの実施形態において、複数のリード線(図示せず)が、集電体2の各々に電気的に連結される。複数のリード線の各々は、(従ってウルトラキャパシタ10の極性に対して)まとめられてハウジング7の各々の端子8に連結される。
【0040】
例示的EDLCにおいて、エネルギー貯蔵媒体1はカーボンナノチューブから形成される。エネルギー貯蔵媒体1は、例えば活性炭、炭素繊維(またはカーボンファイバー)、レーヨン、グラフェン、エアロゲル、炭素布およびカーボンナノチューブの複数の形態を含む他の炭素質材料を含んでよい。活性炭電極は、例えば、炭素化合物の炭化により得られる炭素材料に第1の活性化処理を行うことにより炭素基材(base material)を製造し、炭素基材にバインダー(または結合剤)を加えることにより成形体を製造し、成形体を炭化し、最後に炭化した成形体に第2の活性化処理を行うことにより活性炭電極を製造することにより製造することができる。炭素繊維電極は、例えば、表面積の大きい炭素繊維を備える紙または布状の母材(またはプレフォーム)を用いることにより製造することができる。カーボンナノチューブの製造およびウルトラキャパシタ10におけるナノチューブの適用は、本明細書において更に詳細に論じられる。
【0041】
従って、いくつかの実施形態において、エネルギー貯蔵媒体1を形成するのに用いられる材料は、純炭素(および現在存在し得る又は後に考案され得る炭素の種々の形態)以外の材料を含んでよい。即ち、他の材料の種々の配合がエネルギー貯蔵媒体1に含まれてよい。より具体的には、かつ限定的でない例において、少なくとも1つのバインダー材料をエネルギー貯蔵媒体1において用いてよいが、(バインダー材料等の)他の材料の添加を勧める又は必要とするものではない。尤も、一般に、エネルギー貯蔵媒体1は実質的に炭素から形成され、従って、本明細書において「炭素質材料」、「炭素質層」および他の同様の用語でよんでよい。手短に言えば、エネルギー貯蔵媒体1は、主に炭素から形成されるが、エネルギー貯蔵媒体1として所望の機能性を提供するために、任意の形態の炭素(および適切である又は許容可能であると見なされる任意の添加剤または不純物)を含んでよい。
【0042】
エネルギー貯蔵媒体1において用いるのに適した炭素質材料の種々の形態のいくつかの実施形態が、本明細書において例として提示される。以下に論じるこれらの実施形態はロバスト性のエネルギー貯蔵をもたらし、電極3において用いるのによく適している。これらの例は説明のためのものであり、エネルギー貯蔵媒体1において用いるのに適した炭素質材料の実施形態に限定されないことに留意すべきである。
【0043】
電解質6は、カチオン9およびアニオン11のペアを含み、溶媒を含んでよい。各々の種々の組み合わせを用いてよい。例示的EDLCにおいて、カチオン9は、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウム、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム、1,3-ビス(3-シアノプロピル)イミダゾリウム、1,3-ジエトキシイミダゾリウム、1-ブチル-1-メチルピペリジニウム、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-4-メチルピリジニウム、1-ブチルピリジニウム、1-デシル-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、3-メチル-1-プロピルピリジニウムおよびこれらの組み合わせ並びに適切であると見なされる他の同等物の少なくとも1つを含んでよい。
【0044】
追加の例示的カチオン9は、イミダゾリウム、ピラジニウム、ピペリジニウム、ピリジニウム、ピリミジニウムおよびピロリジニウムを含む。概括的に、これらのカチオン9は、高い熱安定性、低いガラス転移温度(Tg)および高い伝導率を示すものとして選択され、広い温度範囲にわたって良好な電気的性能を示した。従って、所望の特性を示すカチオン9の他の実施形態を同様に使用してよく、または上述のいずれかと併せて使用してよい。
【0045】
例示的EDLCにおいて、アニオン11は、ビス(トリフルオロメタンスルホナート)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホナート)メチド、ジシアナミド、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメタンスルホナート、ビス(ペンタフルオロエタンスルホナート)イミド、チオシアナート、トリフルオロ(トリフルオロメチル)ボレートおよびこれらの組み合わせ並びに適切であると見なされる他の同等物の少なくとも1つを含んでよい。
【0046】
溶媒は、アセトニトリル、アミド、ベンゾニトリル、ブチロラクトン、環状エーテル、ジブチルカーボナート、ジエチルカーボナート、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジメチルカーボナート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホン、ジオキサン、ジオキソラン、ギ酸エチル、エチレンカーボナート、エチルメチルカーボナート、ラクトン、直鎖状エーテル、ギ酸メチル、メチルプロピオナート、メチルテトラヒドロフラン、ニトリル、ニトロベンゼン、ニトロメタン、n-メチルピロリドン、プロピレンカーボナート、スルホラン、スルホン、テトラヒドロフラン、テトラメチレンスルホン、チオフェン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、炭酸エステル、γ-ブチロラクトン、ニトリル、トリシアノヘキサン、これらのいずれかの組み合わせ、または適切な性能特性を示す他の(1または複数の)材料を含んでよい。
【0047】
セパレータ5は不織ガラスから作製してよい。セパレータ5は、ガラス繊維、セラミック、およびDuPont Chemicals(デラウェア州ウィルミントン)によってTEFLON(登録商標)として一般に市販されているポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素ポリマーから作製してもよい。例えば、不織ガラスを用いることにより、セパレータ5は、主繊維(main fiber)およびバインダー繊維を含み得、バインダー繊維の各々は主繊維の各々の繊維径より小さい繊維径を有し、主繊維が一緒に結合するのを可能にする。
【0048】
一般に、用語「電極」は、電気回路に組み込んでよいデバイスにおいて、多くの場合非金属である別の材料と接触させるのに用いられる電気伝導体を指す。エネルギー貯蔵媒体における例示的な第2の材料は、固体、液体および気体を含む種々の形態であってよい。エネルギー貯蔵媒体1の材料は、導電性材料、半導体、電解質等を含んでよい。一般に、用語「電極」は、本明細書において用いる場合、エネルギー貯蔵媒体1、および所望の機能性をもたらすためにエネルギー貯蔵媒体1に伴われてよい追加の構成要素(例えばエネルギー貯蔵媒体1と一体になる集電体2)に関する。
【0049】
ここで図2~5を参照して、カーボンナノチューブ(CNT)を製造するための方法および装置の態様を示す。開示される技術は、製造プロセスにわたって高度な制御を提供し、それにより、ウルトラキャパシタ10における使用等の特定の用途に十分に適合され得る(即ち特定の用途のために設計され得る)CNTがもたらされる。概要としては、基材が提供される。次いで、触媒材料を基材上に配置し、炭素質材料を触媒の上に沈積させる。実質的に酸素のない環境において製造を行う場合、酸化に伴う問題および還元の必要性が回避される。技術の種々の態様を実施する場合、CNTの製造者は、高品質のCNTを製造するための効果的な方法を理解するだろう。
【0050】
本明細書に開示される技術は、所望の特性を有するCNTを提供するために必要に応じて調節されてよい。即ち、方法は、例えば密度、表面積、長さ、壁の数、組成(即ち金属または非金属)、端部の特性(即ち開放端(またはオープンエンド)または閉端(またはクローズドエンド))等の好都合な特性を考慮して制御してよい。
【0051】
例示的実施形態の概説のために図2を参照してよい。図2において、CNTの製造120のための方法の限定的でない態様が提示される。この実施形態において、製造120のための方法は、基材が製作機(「製造装置」および他の同様の用語でもよぶ)の中に装着される第1の工程(基材の装着121)を含む。第2の工程において、触媒の層が基材に適用される(触媒の適用122)。第3の工程において、炭素質材料が触媒の上に徐々に沈積してCNTが成長する(炭素の沈積123、「沈積工程」、「成長工程」または他の同様の用語でもよばれる)。第4の工程において、取り外し及び後続の使用のためにCNTを冷却する(CNT冷却124)。いくつかの実施形態において、本明細書において更に論じるように、緩衝(またはバッファ、buffer)工程125が同様に含まれる。
【0052】
CNTの大量生産のための例示的装置の態様が提供される。種々の実施形態において、装置は、厳密な環境制御(例えば温度、雰囲気の含有量(atmospheric content)および/または圧力等の制御)をもたらすように配置(または構成)される。いくつかの実施形態において、CNT製品は、継続的(即ち中断のない又は連続的)プロセスにおいて製造される。プロセス全体にわたって製造環境を制御することにより、また、プロセスの間に必要に応じて製造環境の態様を変化させることにより、所望の特性を示すCNTを製造することが可能である。
【0053】
想像されるように、方法は多数の機器および制御を必要とし、従って、これらの4つの工程の説明は過度に単純化されている。製造120のための方法における各工程をより十分に説明するためのいくつかの状況(または前後関係)および追加の実施形態を提示するために、いくつかの定義、パラメータ、特性等を示す。
【0054】
「製造装置」、「製作機」または他の同様の(1または複数の)用語のいずれかでよばれる機械は通常、必要に応じて、またはCNTの作製の要求に従って構成要素(または部品)を含む。製造装置に含まれる例示的構成要素は、記載される機能を必要に応じて果たす構成要素を含む。含まれてよい例示的かつ限定的でない例としては、少なくとも1つのポンプ、バルブ、電線管、ガス管、電力供給装置(または電源)、ガス供給装置(不活性ガス、炭素質ガス等の供給装置を含む)、水供給装置、ノズル、取り入れ口、出口、通気孔(vent)、排気装置(exhaust)、ファン、材料移動装置(例えばコンベヤベルト、駆動システム等)、加熱要素(抵抗加熱要素等)、熱交換器(または他の形態の冷却)、シャッター、ドア、サーボモーター(または自動制御装置、servo)、モーター、センサー(電気、温度、圧力、ガス、光学等)、変換器(またはトランスデューサ)、制御装置(またはコントローラ)、ヒューマンインターフェース、コンピュータインターフェース、処理装置(またはプロセッサ)、データ記憶装置、メモリー、バス、機械の操作を管理するためのコンピュータ実行可能コード、および機械のオペレータ、製造者または設計者により必要とされ得る他の構成要素が挙げられる。手短に言えば、本明細書に記載の方法を支援し且つ可能にする種々の科学技術が周知であると考えられ、概括的には本明細書に開示される発明の一部ではない。従って、本明細書における教示事項を実施するための機器の種々の実施形態および変形を考えると、そのような機器の議論は、概括的にはCNT集合体の発生に影響を及ぼし得るいくつかの態様に限定される。
【0055】
本明細書において用いられる場合、「配列されたCNT集合体」、「CNT集合体」、「垂直に配列されたカーボンナノチューブ、VCNT」および同様の用語は通常、多数のCNTが共通の方法で配列または配向している構造体を指す。いくつかの実施形態において、配列されたCNT集合体の比表面積SAは300m/g以上である(例えばCNTの大部分が閉じている場合)。他の実施形態において、表面積SAは1,300m/g以上である(例えばCNTの大部分が開いている場合)。「CNTの集合体」は通常、複数の垂直に配列されたCNT構造体を指す。いくつかの実施形態において、重量密度(ρ)は0.002g/cm~0.2g/cmの範囲である。一般に、本明細書において論じられるCNTの実施形態は、垂直に配列されたカーボンナノチューブ、VCNTに関する。尤も、CNTが炭素の他のナノフォームと混合される実施形態等のいくつかの実施形態において、このことは必要条件ではなく、あるいは事実ですらない。
【0056】
ナノチューブおよび他のナノ構造体に関する用語「垂直に配列された」は一般に、製造時におけるナノチューブの配向に関することを認識すべきである。尤も、この専門用語は限定的であることを意味しない。即ち、「垂直に配列されたナノチューブ」の集合体を考える場合、用語「垂直」は重要でないことがあり、あるいは誤解を招くおそれがあり得ることを認識すべきである。従って、本明細書において論じられるように、「垂直に配列されたナノチューブ」の集合体および他の形態は一般に、実質的に平行な、繰り返しの又は組織的な構造を含む集合体を指すことを認識すべきである。
【0057】
CNT集合体が共通の配向および大きい比表面積SAを示すためには、CNT集合体の高さは、10μm以上1cm以下の範囲であってよい。一般に、高さが10μm以上であることにより、配向が向上する。別法として、高さが1cm以下であると、そのような高さは急速な成長を可能にし、従って炭素質不純物の付着が制御されるので、比表面積SAを向上させることができる。
【0058】
種々の実施形態において、カーボンナノチューブは通常、特定の特性を示す。とりわけ、いくつかの実施形態において、製造されるカーボンナノチューブは、約50μm~約5mmの長さ(またはそれより長い長さ)を示す。いくつかの実施形態において、カーボンナノチューブは約200μm~約2mmである。いくつかの実施形態において、カーボンナノチューブは、例えば1~10の壁を含んでよい。いくつかの実施形態において、例えば1~5の壁を含んでよい。カーボンナノチューブは、例えば約0.7nm~10nmの径を有してよい。垂直に配列されたカーボンナノチューブのアレイ(または配列、array)として考えた場合、密度は約103CNT/cm~約1013CNT/cmであってよい。いくつかの実施形態において、密度は約1011CNT/cm~約1012CNT/cmであってよい。
【0059】
電極3において用いられるカーボンナノチューブは、特定の特性が実現されるように処理してよく、さもなければ加工してよい。電極に含まれる場合におけるカーボンナノチューブの例示的特性および物理的特性としては、約30μm~500μm、いくつかの場合において約100μm~約200μmの活物質の厚さ;約0.3g/cm~約0.8g/cm、いくつかの場合において約0.5g/cm~約0.6g/cmの体積密度が挙げられる。一般に、カーボンナノチューブはいずれの種類のバインダーも含まない。エネルギー貯蔵媒体は、垂直に配列されたカーボンナノチューブ、もつれた(entangled)カーボンナノチューブ、他の形態の炭素、および適切であると見なされる材料のいずれかの組み合わせを含んでよい。一般に、カーボンナノチューブは、約500m/g~約2,200m/gの表面積SAを示す(これは、CNTの壁に穴(hole)および/または細孔(pore)が形成された結果としての、処理されていないCNTの表面積の増大であってよい)。エネルギー貯蔵媒体として成形した場合、カーボンナノチューブは、約10:1~約100:1の圧縮率(垂直に配列された場合)を有してよい。
【0060】
従って、ウルトラキャパシタ10において用いられる場合、本明細書に記載のカーボンナノチューブを用いた電極3は特定の好都合な特性も示してよい。例えば、ウルトラキャパシタ10の性能は、(最大作動電圧において)約100F/g~約200F/gの質量比容量;(最大作動電圧において)約50F/cc~約100F/ccの体積比容量;約3V~4.5Vの最大作動電圧を含んでよい。例えば、ウルトラキャパシタ10は、約0.5Ω/cm~約1Ω/cmの等価直列抵抗(ESR)を示してよい。
【0061】
用語「基材」は一般に、カーボンナノチューブのための触媒を表面に担持することができる部材であって、高温(例えば400℃以上の温度)であってもその形状を保持し得る部材を指す。CNTの製造に使用可能であることが証明されている任意の種類の基材を用いてよい。材料の限定的でない例としては、以下のものを含む:鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウム、マンガン、コバルト、銅、銀、金、白金、ニオブ、タンタル、鉛、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、インジウム、蛍光物質(phosphor)およびアンチモン等の金属;これらの材料または他の適切な材料を含む合金および酸化物;シリコン、石英、ガラス、雲母、黒鉛およびダイヤモンド等の非金属;ならびにセラミック。一般に、一般に、金属材料は、シリコンおよびセラミックよりもコストが低い。特に、Fe-Cr(鉄-クロム)合金、Fe-Ni(鉄-ニッケル)合金、Fe-Cr-Ni(鉄-クロム-ニッケル)合金等が適している。基材は、薄膜、ブロック(または塊)または粉末および平板の形状をとってよい。尤も、特に、基材がその体積に対して大きい表面積を有するような形状が大量生産に好都合である。
【0062】
用語「浸炭防止層」は一般に、基材上の層を指す。基材は、その前面または裏面のいずれかに形成された浸炭防止層を有してよい。いくつかの実施形態において、基材は、その前面および裏面の各々に形成された浸炭防止層を含む。形成は、例えばスパッタリング等の技術によって実現されてよい。浸炭防止層は一般に、基材が浸炭して、それによりカーボンナノチューブを発生させる工程において変形するのを防止するための保護層である。浸炭防止層は厚さが様々であってよい。種々の実施形態において、浸炭防止層の厚さは約1nm~約500nmであり、いくつかの場合において約5nm~約100nmである。
【0063】
いくつかの実施形態において、浸炭防止層は金属またはセラミック材料から構成される(セラミック材料は浸炭を防止するのに効果的である)。適切な金属の例として、銅およびアルミニウムが挙げられる。適切なセラミック材料の例としては、以下のものが挙げられる:酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化クロム、酸化ホウ素、酸化カルシウムおよび酸化亜鉛等の酸化物;ならびに窒化アルミニウムおよび窒化ケイ素等の窒化物。なお、酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素は共に、浸炭を防止するのに非常に効果的である。
【0064】
本明細書において用いられる場合、「触媒」は、基材または浸炭防止層に設けられてよい。CNT製造において使用可能であることが証明されている任意の種類の触媒を用いることができる。触媒の限定的でない例としては、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、これらの塩化物、これらの合金、ならびにこれらとアルミニウム、アルミナ、チタニア、窒化チタンまたは酸化ケイ素との複合体または層が挙げられる。他の限定的でない例としては、鉄-モリブデン薄膜、アルミナ-鉄薄膜、アルミナ-コバルト薄膜、アルミナ-鉄-モリブデン薄膜、アルミニウム-鉄薄膜およびアルミニウム-鉄-モリブデン薄膜が挙げられる。触媒は、CNT製造に使用可能であることが証明されている量の範囲において用いることができる。例えば、鉄を用いるいくつかの実施形態において、形成される薄膜(またはフィルム)の厚さは0.1nm以上~100nm以下の範囲であってよい。いくつかの他の実施形態において、鉄の厚さは0.5nm以上~5nm以下であってよい。いくつかの更なる実施形態において、鉄の厚さは0.8nm~2nm以下であってよい。
【0065】
触媒は複数の層を含んでよい。触媒は、基材の層または浸炭防止層等のもう1つの(または別の)層にわたって連続的であってよく、あるいは少なくとも部分的に非連続的であってよい。いくつかの実施形態において、追加の浸炭防止層等のもう1つの層は、触媒の表面に配置されてよい。いくつかの実施形態において、触媒は、酸化物等の別の材料の表面に沈積した金属を含んでよい。沈積は、「クラスター」または非連続な層をもたらす。本明細書において用いられる場合、用語「連続的」は一般に、下層の材料の「濡れ」または実質的に全面的な被覆を指す。
【0066】
基材の表面への触媒の形成に乾式法を適用することが可能である。例えば、スパッタリング蒸発(sputtering evaporation)法を用いてよい。カソードアーク(cathodic arc)蒸着、スパッタ蒸着、イオンビーム支援蒸着、イオンビーム誘起蒸着およびエレクトロスプレーイオン化のいずれかの1以上等の他の技術を必要に応じて用いてよい。更に、周知のフォトリソグラフィ、ナノプリント(nanoprinting)等の適用により得られるパターニングを併用して触媒を任意の形状に成形することが可能である。
【0067】
一の実施形態において、配列されたCNT集合体の形状を適宜制御することが可能である。このことは、例えば、基体に形成された触媒のパターニングおよびCNTの成長時間の制御に応じて達成され得る。その結果、配列されたCNT集合体は、薄膜形状、円筒形、角柱形または他の複雑な形状のいずれかをとる。特に、薄膜の形状において、配列されたCNT集合体は、その長さ及び幅と比較して非常に小さい厚さ(高さ)を有する;尤も、長さ及び幅は、触媒のパターニングに応じて適宜制御することができ、配列されたCNT集合体を構成するCNTの成長時間に応じて適宜制御することができる。いくつかの実施形態において、触媒の形態は、例えば、触媒における粒子サイズを変化または制御し、それにより触媒上に成長するCNTの径の調節をもたらすことにより適合される。
【0068】
一般に、「還元ガス」は本明細書の教示事項により必要とされていない。還元ガスは、触媒の還元をもたらすのに従来技術において通常用いられる。還元ガスは、成長温度において気体状態である任意の材料を含んでよい。還元ガスは、CNTの成長に適した微粒子になるため及び触媒の活性を向上させるために触媒を刺激するのに用いてもよい。還元ガスの一例は、水素ガス、アンモニウム、水蒸気またはそれらの混合物等の還元能力を有するガスである。還元ガスは一般に酸化を克服するのに用いられるが、本明細書において開示される方法は、実質的に酸化がない(または酸化を含まない)。
【0069】
「原材料ガス」は一般に、CNTを発生させるために原材料(即ち炭素質材料)を供給するのに用いられる。CNT製造に使用可能であることが証明されている任意の種類の原材料を用いることができる。一般に、成長温度において気体状である原料炭素源が使用可能である。中でも、メタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンプロピレンおよびアセチレン等の炭化水素が適している。加えて、メタノールおよびエタノール等の低級アルコール、アセトン、一酸化炭素等の低炭素の酸素含有化合物、ならびにこれらの混合物が使用可能である。更に、原材料ガスは不活性ガスで希釈してよい。
【0070】
一般に、「不活性ガス」は、製造プロセスにおいて含まれてよいガスであり、CNTが成長する温度において不活性であるガスであることのみが必要とされる。一般に、「不活性」は、CNTの成長と実質的に反応しないガスの特性であると考えられる。CNT製造に使用可能であることが証明されている任意の種類の不活性ガスを使用することができる。不活性ガスの限定的でない例は、ヘリウム、アルゴン、水素、窒素、ネオン、クリプトン、二酸化炭素、塩素およびこれらの混合物である。
【0071】
「触媒活性化材料」を種々の実施形態において用いてよい。触媒活性化材料の添加により、カーボンナノチューブ製造における効率およびカーボンナノチューブの純度を向上させることができる。一般に、触媒活性化材料は、CNTを成長温度において実質的に損傷しない酸素含有物質として特徴付けられてよい。従って、いくつかの点において、この実施形態は「実質的に酸素のない環境」であると考えてよい。水以外の有効な例として以下のものが挙げられる:硫化水素、酸素、オゾン、酸性ガス、窒素酸化物、一酸化炭素および二酸化炭素等の低炭素の酸素含有化合物;エタノールおよびメタノール等のアルコール;テトラヒドロフラン等のエーテル;アセトン等のケトン;アルデヒド;エステル;窒素酸化物;およびこれらの混合物。
【0072】
一般に、触媒活性化材料は少量加えることのみが必要とされるが、加えるべき量に特定の限定は存在しない。一例として、いくつかの実施形態において、触媒活性化材料が水である場合、触媒活性化材料は、約10ppmから約10,000ppm以下の範囲、これらの実施形態のいくつかにおいて50ppm以上1,000ppm以下の量、およびこれらの実施形態のいくつかにおいて100ppm以上700ppm以下の量が加えられる。
【0073】
触媒活性化材料を加えることにより、触媒の活性が強化され、触媒の寿命が延びる。触媒活性化材料を加える場合、CNTの成長はより長時間継続し、成長速度が同様に増大する。結果として、高さが著しく増大したCNT集合体が得られる。
【0074】
「高炭素濃度の環境」は、全流量(または流れ)に対する原料ガスの割合が約2%~約20%である成長雰囲気を指す。これは一般に、過剰の炭素が存在する環境を指し、この環境はCNT集合体の効率の低い成長をもたらし得る。即ち、例えば、高炭素濃度の環境は、触媒の失活を含み得る。
【0075】
触媒の活性は触媒活性化材料によって向上するので、触媒の活性は、炭素濃度が高いいくつかの環境においてさえ持続するだろう。従って、CNTの成長速度はかなり向上し得る。
【0076】
炉内圧力に関しては、種々の実施形態において、炉内圧力は10Pa以上であり且つ10Pa以下(100気圧)である。いくつかの実施形態において、炉内圧力は10Pa以上であり且つ3×10Pa以下(3気圧)である。
【0077】
CNTが合成される反応温度は、金属触媒の特性、原料の炭素源および炉内圧力等の種々のパラメータを考慮して決定してよい。触媒活性化材料を使用する実施形態において、反応温度は一般に、触媒活性化材料が適切にはたらくような温度範囲に設定される。
【0078】
特に、触媒活性化材料として水を使用する場合において、反応温度は400℃~1,000℃であることが好ましい。400℃以下において、触媒活性化材料はその効果を発現しない。1,000℃以上において、触媒活性化材料はCNTと反応し得る。
【0079】
別法として、触媒活性化材料として二酸化炭素を用いる場合、反応温度は約400℃~約1,100℃であることが好ましい。一般に、400℃以下の温度において、触媒活性化材料はその効果を発現しない。1,100℃以上において、触媒活性化材料はCNTと反応する。
【0080】
本明細書において用いられる場合、用語「成長工程」、「沈積工程」および他の同様の用語は、CNT集合体の合成プロセスを指す。この工程は一般に、原材料ガス等の炭素質成分を含む、触媒の周りの環境を提供すること、ならびに環境、原材料ガスおよび触媒の少なくとも1つを加熱することを含む。これによりCNT集合体がもたらされる。
【0081】
本明細書において用いられる場合、「冷却工程」(「CNTの冷却124」および他の同様の用語でもよぶ)は一般に、CNT集合体、触媒および基材を冷却する工程を指す。いくつかの実施形態において、冷却工程は不活性ガスの存在下で行われる。即ち、成長工程の後、CNT集合体、触媒および基材は高温であり、酸素の存在下におかれるとそれ自体が酸化されるだろう。酸化は、酸化プロセスが実質的に制限される温度にCNT集合体、触媒および基材を冷却することにより実質的に防止される。いくつかの例において、冷却の停止は約200℃以下の温度である。
【0082】
「装着部」は一般に、外気が製造装置に流れ込むのを防止するための一連のデバイスを含む。即ち、操作において、装着部は、基材を装着するための構成要素を備える。一般に、基材は搬送デバイスに装着される。一旦装着されると、酸素が(負圧排気および不活性ガスによる加圧の少なくとも一方により)装着部から放出される。いくつかの実施形態において、装着部は、ガスカーテン、ドア、シャッターまたは他のそのようなデバイスの少なくとも1つによって隔離される。
【0083】
環境制御が装着部において確立されると(即ち、装着部が実質的に又は十分に酸素のない状態になると)、基材は、触媒の適用122を完了させるために触媒適用部へと進められる。装着部と同様に、製造装置の触媒適用部は環境制御に付される(即ち、実質的に又は十分に酸素のない状態である)。基材が触媒適用部に配置されると、触媒が基材に適用される。触媒を適用するための一の実施形態は、基材に触媒をスパッタリングすることを含む。
【0084】
本明細書において用いられる場合、用語「実質的に酸素のない」は、酸素が意図される機能性を撹乱しない環境に関する。例えば、実質的に酸素のない環境の装着部において、基材は無視できる量の酸化のみを経験するだろう。
【0085】
適切な触媒の層が(上に配置される浸炭防止層を含んでよい)基材に適用されると、CNT基体が実現される。基体は、上に配置された触媒材料の層を有する基材として特徴付けられてよい。好都合なことに、基体は実質的に又は十分に酸素のない環境において製造されたので、触媒は有意な酸化に付されていない。このようにして、CNTの成長のために基体を調製する。
【0086】
基体が調製されると、いくつかの実施形態において、基体は、緩衝工程125を完了させるために緩衝(またはバッファ)部の中に移動させられる。種々の実施形態において、緩衝部は、基体の周りの環境における圧力、温度およびガスの少なくとも1つの調節および変更の少なくとも一方を提供する。緩衝部は、基体の装着または再配置等の他の機能性を備えてもよい。
【0087】
次いで、基体は、炭素の沈積123を完了させるために炭素沈積部に移動させてよい。沈積部は、触媒の周りの環境を原材料ガスの環境にすることにより、および触媒および原材料ガスの少なくとも一方を加熱することにより、CNT集合体を合成する機能を有する。沈積部の特定の例として、原材料ガスの環境が保持される炉、原材料ガスを注入するための原材料ガス注入部、および触媒および原材料ガスの少なくとも一方を加熱するための加熱器が挙げられる。加熱器は、適切に加熱することが可能な任意の種類の加熱器であってよい。いくつかの実施形態において、加熱器は、約400℃~約1,100℃の範囲の温度に加熱する。加熱器の限定的でない例として、抵抗加熱器、赤外線加熱器および電磁誘導加熱器が挙げられる。
【0088】
いくつかの実施形態において、沈積部は触媒活性化材料を添加するためのサブセクションも含む。一般に、触媒活性化材料を添加するためのサブセクションは、原材料ガスに活性化材料を直接供給するため、または沈積部の内部における触媒の周りの環境に触媒活性化材料を直接添加するために設置される。触媒活性化材料は、種々の方法で供給してよく、バブラー(または気泡管、bubbler)による触媒活性化材料の供給、触媒活性化材料を含有する溶液の気化による触媒活性化材料の供給、触媒活性化材料の気体の状態そのままでの供給、および固体の触媒活性化材料の液化または気化による触媒活性化材料の供給による方法が挙げられる。サブセクションは、気化器、混合器、撹拌機、希釈器、ポンプおよび圧縮器の少なくとも1つ等の種々の装置を用いた供給システムを含んでよい。いくつかの実施形態は、サブセクションにおける触媒活性化材料の濃度を測定するためのデバイスを含む。フィードバックおよびエンジニアリング制御により、触媒活性化材料の安定供給を確保することができる。
【0089】
CNTの成長後、およびCNT集合体が製造に用いられる温度範囲またはその温度範囲付近である温度範囲のままである間、CNT集合体の酸化が懸案事項のままである。従って、CNT集合体は沈積部から冷却部に移動させられる。
【0090】
冷却部は、CNT集合体と、CNT集合体が上に成長した基体とを冷却するために設けられる。冷却部は、酸化防止剤を機能させる機能、ならびに沈積が完了した後のCNT集合体、触媒および基材における冷却効果を有する。冷却部のための例示的装置は、基体およびCNT集合体を受け入れるための受け入れ領域を含み、受け入れ領域は、不活性ガスが保持される体積内に配置される。体積は、例えば、より低温の不活性ガスの流れを供給するための入口(および出口)、体積内に配置される少なくとも1つの冷却管であって、冷却液(水等)を運ぶための冷却管、および冷媒を運搬するのに適した他の同様の装置を含んでよい。追加の装置が冷却部の外部に含まれてよく、そのような追加の装置として、例えば、冷却ユニットから運ばれる熱を放散することができる少なくとも1つの熱交換器が挙げられる。
【0091】
このように製造装置の種々の構成要素を導入することにより、特定の追加の態様をここで論じる。
【0092】
本明細書に開示される製造技術は一般に、還元ガスの使用を必要としない。即ち、製造技術により、実質的に酸化されることなく調製された触媒材料がもたらされる。従って、製造装置の操作は通常、製造領域内への(周囲空気の形態等の)酸素の侵入を制限する方法で実施される。従って、本明細書において論じられる種々の工程は、少なくとも不活性ガス(とりわけ酸素を置換するために供給される)の存在下で実施してよい。
【0093】
従って、製造装置は比較的酸素のない環境を確保するように構成されてよい。即ち、種々のエンジニアリング制御(その多くは上記において紹介される)は、所望の環境の維持を確保するように配置(または構成)されてよい。図2と同様に、図3の議論は機能的構成におけるものである。
【0094】
ここで図3を参照して、製造装置の一の追加の実施形態の態様を示す。この実施形態において、中間工程が含まれる。即ち、触媒を基材の上に配置した(触媒の適用122)後、かつ炭素の沈積123の前に、もう1つの工程を実施する。もう1つの工程のいくつかの実施形態において、プラズマが提供される。より具体的には、基体(即ち、触媒が上に配置された基材)は、例えばプラズマ処理による触媒の仕上げ加工126に付される。触媒の適用と同様に、触媒の仕上げ加工126は、還元ガスの添加等による還元雰囲気の形成を必要とすることなく実施される。プラズマの時間および出力を制御することにより、触媒の形態を調節してよい。特に、この工程において、プラズマは、触媒に所望の変化をもたらすように制御してよい。例示的変化として、触媒における粒子サイズおよび粒子の密度の変更が挙げられる。触媒の表面処理が実施される触媒の仕上げ加工126の後、基体は炭素の沈積123へと進められる。図3に表されていないが、いくつかの実施形態は、緩衝工程125を提供するために少なくとも1つの緩衝部を含んでもよい。
【0095】
一般に、図2および3に示す実施形態において、方法は、人間の相互作用(例えば、基材の装着、完成した製品の取り外し)により開始し且つ終了する。尤も、他の実施形態において、追加の自動化された工程または機能が行われてよい。
【0096】
図4は製造装置40の一の実施形態の態様を表す。この例において、製造装置40は、ローダー部41、スパッタリング(sputterer)部42、プラズマ部43、炭素沈積部44および冷却(cooler)部45を含む。操作の間、基材49はローダー部41を介して製造装置に装着される。基材49は、コンベヤベルト上でスパッタリング部42、プラズマ部43、炭素沈積部44および冷却部45を経て進み、完成した製品が現れる。即ち、基材49は、触媒層46がその上に配置され、かつカーボンナノチューブ集合体47が触媒層46の上に配置されて、製造装置40から現れる。これらの実施形態のいくつかにおいて、コンベヤベルト(図示せず)は実際には複数のコンベヤベルトであり、それにより、製造装置40の各部(または各セクション)を通って基材49が運ばれる速度の微調整が可能となる。
【0097】
製造装置40の上述の各部は、適切であると見なされる特定の種類の機器のいずれかが用いられてよく、昇温(または高温)で作動する能力等の実用上考慮すべき事項によってのみ限定される。例えば、炭素質材料の均一な分散をもたらすために、炭素沈積部44において「ガスシャワー」を用いてよい。
【0098】
一般に、用語「ガスシャワー」は、ガス注入等により少なくとも1つの気体状材料が導入される体積を指す。一般に、ガスシャワーは、例えば、製造装置40における第1の体積を製造装置40における第2の体積から隔離する等の目的の達成をもたらす。ガスシャワーは「排出装置(または排出管、drain)」(即ち排気装置)を含んでよい。排出装置は負圧であってよく、少なくとも1つの気体状材料をガスシャワーの体積から実質的に引き出すようになっていてよい。ガスシャワーは、設計者、製造者および使用者のいずれか1者により決定される意図される設計および/または機能性を達成するために公知の構成要素を用いてよい。
【0099】
カーボンナノチューブ集合体47は、種々の方法(そのいくつかは本明細書において示される)で回収してよい。回収後、いくつかの実施形態において、エッチングまたは他の方法を用いて基材49から触媒層46を除去してよい。その後、基材49を適切に調製して製造にリサイクルしてよい。
【0100】
ここで図5を参照して、製造装置の例示的制御システム50の態様を示す。この例において、制御システム50は複数のセンサー58を含む。センサー58は、温度、ガス、供給量(または供給速度)、光学的特性等の測定装置を含んでよい。手短に言えば、製造プロセスを制御するのに有用な任意のプロセス動力(process dynamic)である。センサー58は、通信リンク56を通じて少なくとも1つの処理装置53と通信する。有線および無線リンクを含む任意の種類の通信リンク56を用いてよい。少なくとも1つの処理装置53は同様に、演算要素(computing component)54(メモリー、データ記憶装置、電力供給装置、時計、ソフトウェアの形態で機械可読媒体に格納された機械が実行可能なプログラム指示、および他のそのような構成要素等)および少なくとも1つのインターフェース55と通信する。少なくとも1つのインターフェース55は、キーボード、ビデオディスプレイ、マウス、ネットワークアダプター、プリンターおよび他の同様のインターフェース要素を含んでよい。制御システム50のこれらの構成要素は、製造プロセスを変更するための制御装置52(サーボモーター、モーター、バルブ、加熱器(またはヒーター)、ガス供給装置、オペレータおよび他のいずれかの種類のプロセス制御装置等)への入力を提供する。
【0101】
制御システム50は、本明細書に記載の実施形態の装置および他の製造装置等の製造装置40を管理(または制御)するのに用いてよい。例えば、制御システム50は、形成ユニットおよび別個の成長ユニットならびに移動機構を含むシステムと共に用いてよい。手短に言えば、制御システム50はカスタマイズ可能であり、カーボンナノチューブ集合体の製造のために設計されたいずれのシステムをも実質的に制御するのに用いてよい。制御システム50によって制御され得る態様は、温度、流速、コンベヤ速度、積層に関連するプロセス(層の厚さ、材料(例えばガス等)の組み合わせの制御等)等を含むが、これらに限定されない。
【0102】
実施可能であるように、制御システム50は、インライン(即ちリアルタイム)品質管理(または品質制御)を提供する。例として、制御システム50は、触媒層46およびカーボンナノチューブ集合体47の少なくとも一方の少なくとも1つの特性を測定する光学的計測システムを含んでよい。例示的特性として、厚さ、密度、外観(または表面状態)等が挙げられる。製造装置40に含まれる場合、光学的計測システムは、材料の適切な積層、欠陥のある材料の早期排除等を確保するために、使用者に対する情報または他の同様の出力を提供してよい。
【0103】
製造装置40の構成要素の材料の例として、石英、耐熱セラミック、耐熱性合金等の高温に耐えることができる材料が挙げられる。尤も、処理の正確性、処理の自由度およびコストの観点からは、耐熱性合金が好ましい。耐熱性合金の例として、耐熱スチール、ステンレススチールおよびニッケル系合金が挙げられる。一般に、用語「耐熱スチール」は、主な割合においてFeを含有し且つ50パーセント以下の濃度で他の合金を含むスチールを指し、「ステンレススチール」は、約12パーセント以上のCrを含有するスチールを指す。更に、ニッケル系合金の例として、NiにMo、Cr、Fe等を加えることにより得られる合金が挙げられる。特に、耐熱性、機械的強度、化学安定性および低コストを考慮すると、SUS 310、Inconel(登録商標)600、Inconel(登録商標)601、Inconel(登録商標)625、Incoloy(登録商標)800、MC合金、Haynes(登録商標)230合金が有用であり得る。
【0104】
CNTを合成する際に製造装置40の壁面および他の構成要素に付着する炭素汚染物質の存在は、種々の技術により低減することができる。即ち、例として、炉の内壁等の内部に面している構成要素および/または炉において用いられる構成要素は、金属(例えば、耐熱性合金、および内部に面している表面等の表面処理により仕上げ加工されたもの)から作製してよい。これにより、とりわけ、得られる配列されたCNT集合体の質における劣化を制限しながら、継続した生産量がもたらされる。
【0105】
慣例として、かつ明確さのために、製造装置の構成要素は処理工程(「不動態化」とよぶ)によって仕上げ加工されてよい。不動態化によって仕上げ加工されてよい製造装置の構成要素は、概括的に「物品(item)」とよぶ。議論の目的のため、「物品」は少なくとも1つの表面を有してよい構成要素を含むと考えられるがこれに限定されず、物品の表面は、滑らか、粗面、不規則および非連続の少なくとも1つであってよい。物品は、内面および外面または外側の面を有してよい。各物品の不動態化は、真空に付される物品の内部にコーティングを適用することにより、水素の浸透に対する耐性または水素の浸透の防止を与えてもよい。不動態化は、物品の内部が真空に付される物品の外側にコーティングを適用することにより、水素の浸透に対する耐性または水素の浸透の防止を与えてもよい。別法として、例えば、物品の内面および外面に不動態化を提供してよい。不動態化は、物品の表面に向上した特性を与えるのに有用であってよい。加えて、不動態化は、炭素質材料(原材料ガスの分解によりもたらされる炭素質材料等)の、製造装置40の構成要素への浸透(または侵入)の制限、従って製造装置40の劣化の制限、およびそれによる製造装置40の寿命の延長において重要な役割を果たし得る。
【0106】
表面における汚染物質の蓄積の制限は、製造装置に組み込まれる物品の不動態化によって達成してよい。一の限定的でない例として、特定の物品の表面を不動態化する方法を用いて、腐食、真空環境における表面の影響またはその両方から物品の少なくとも1つの表面を保護することが挙げられる。一般に、不動態化すべき各物品を処理環境に置き、まず脱水し、次いで環境を排気する。水素化ケイ素ガスを処理環境に導入するが、処理環境はガスの導入前に加熱してよい。ガスの導入前に既に処理環境を加熱していなかった場合、物品およびそのなかに含まれる水素化ケイ素ガスを加熱し、加圧してガスを分解する。シリコンの層が物品の表面に沈積する。シリコン沈積工程の継続時間を制御して、処理環境におけるシリコンダスト(またはシリコン塵、silicon dust)の形成を防止する。次いで、物品を冷却し、冷却温度に保持して後続の沈積のための表面状態を準備し、処理環境を不活性ガスでパージして水素化ケイ素ガスを除去する。物品の表面がシリコンの層で被覆されるまで、シリコン沈積工程に物品を循環させる。その後、処理環境を排気し、物品を室温に冷却する。
【0107】
もう1つの例において、腐食、真空環境における望ましくない影響またはその両方から物品の表面を保護するために、物品の表面の不動態化が行われる。化学蒸着法を実施することにより、物品をシリコンでコーティングして、腐食環境および/または真空環境に適用するための特性を与える。プロセス温度、圧力および時間を中間で変化させながら単層~多層の沈積層を用いることにより、処理される物品に強化された特性(抵抗性の向上のために腐食環境に適用すること、ならびに物品のオフガス、アウトガスおよび水素浸透を低減するために真空環境に適用することが含まれるがこれらに限定されない)をもたらすコーティングが与えられることがわかった。物品は、例えば低真空(10~3.3×10Pa)、中真空(3.3×10~10-1Pa)、高真空(10-1~10-4Pa)、非常に高度の(very high)真空(10-4~10-7Pa)、超高真空(10-7~10-10Pa)および極超高真空(10-10Pa未満)等の真空環境に対して強化された特性を有してよい。
【0108】
コーティングしてよい表面は、内面および/または別法として物品の任意の他の表面を含み得る。これらの技術により不動態化された接触面を有する物品は一般に、腐食に対する耐性の向上のための特性を示し、真空環境に付される気体分子の放出が低減される。
【0109】
もう1つの例において、物品は、例えば処理チャンバー等の環境に置かれ、その環境は、不動態化のための工程を実施するために制御されてよい。不動態化は、物品自体を用いて、または処理チャンバーに収容される物品で実施してよい。いくつかの実施形態において、各々の物品の表面はまず、物品の表面を脱水することにより前処理される。脱水工程において、物品は、約10~240分の継続時間にわたって約20℃~600℃の範囲の温度に加熱される。物品は、不活性ガス中で又は真空において加熱してよい。
【0110】
この例において、物品の表面を脱水した後、物品の表面の周りの環境または処理チャンバーを排気する。水素化ケイ素ガスを、物品の周りの環境または処理チャンバーに導入してよい。物品およびガスを加熱および加圧して、処理チャンバー内の水素化ケイ素ガスを分解する。水素化ケイ素ガスの加熱は、処理チャンバーへのガスの導入前、導入中または導入後に行ってよい。処理チャンバーを加熱し、その後水素化ケイ素ガスを導入してよい。ガスが分解するに従って、シリコンの層が物品の表面に沈積する。
【0111】
シリコン沈積工程の継続時間およびガスの圧力は、物品上または処理チャンバー内にシリコンダストが生成するのを防止するように制御される。シリコン沈積の終了時において、環境または処理チャンバーを冷却し、一の温度において一定時間保持し、不活性ガスでパージして水素化ケイ素ガスを除去する。パージは、物品を冷却する前、冷却した後または冷却している間に行ってよい。いくつかの実施形態において、パージは物品が冷却されている際に行われる。シリコン層が物品の表面を完全に被覆している場合、物品を取り出して室温に冷却する。シリコン層が物品の表面を完全に被覆していない場合、表面が完全に被覆され、それにより不動態化されるまで、シリコン沈積工程を繰り返してよい。
【0112】
いくつかの実施形態において、水素化ケイ素ガスは、SiHおよびSin+2を含む群から選択される。水素化ケイ素ガスは、ガスの分解温度にほぼ等しい温度、約300℃~約600℃の範囲の温度等に加熱してよい。いくつかの実施形態において、水素化ケイ素ガスは、約1×10-7トル(Torr)~2500トルの範囲、特に約100トル~250トルの範囲の圧力に加圧してよい。
【0113】
技術は、不動態化された表面を有する耐食性基体または構成要素も提供する。例えば、基体は、(鉄および非鉄)金属、ガラス、炭素、銅、石英、ニッケル含有鉄合金、チタン、アルミニウムおよびセラミックを含んでよい。慣例として、基体の表面は平均表面粗度(または粗さ)RAを有する。シリコン層は、基体表面の上に形成されてその表面を不動態化する。シリコン層は、シリコンの複数の層から形成されてよく、シリコンダストを実質的に含まない。いくつかの実施形態において、シリコンの1~10層を適用してよい。
【0114】
不動態化のための技術は、構成要素または特定の物品、および特に真空条件、腐食性物質、炭素に富むガスにさらした場合に望ましくない特性を示し、またはさもなければ不動態化から利益を得るであろう物品の表面を不動態化するのに用いてよいことを理解するべきである。例えば、技術は、金属(鉄および非鉄)、ガラス、炭素、銅、石英、ニッケル含有鉄合金、チタン、アルミニウムおよびセラミックで構成される基体の表面を不動態化するのに用いてよい。例えば有機硫黄、硫化水素、アルコール、アセテート、金属水素化物、塩酸、硝酸または硫酸および水性塩類(aqueous salts)等の腐食性物質または分子にさらされるであろう表面の不動態化は、表面を腐食から保護するはたらきをする。表面の不動態化はまた、各々の表面におけるオフガス、アウトガス、水素の浸透、および特に腐食または汚染物質の凝集を含む望ましくない影響を低減するために、真空環境における基体に利益をもたらす。
【0115】
ここで、不動態化のための技術をより詳細に提示する。
【0116】
初めに、不動態化すべき表面を前処理する。次いで、連続する沈積層の間に表面が冷却され、一の温度において一定時間保持される制御された条件の下で、シリコンの連続層を表面に適用する。いくつかの実施形態において、シリコン沈積層は、シリコン層が物品の表面積全体を被覆するまで適用される。方法は、物品自体の上もしくは内部において、または物品を例えば処理チャンバー等の制御された環境に置くことにより実施してよい。
【0117】
不動態化のための各表面はまず、表面に吸着した水を除去することにより前処理される。脱水工程において、容器を、約10分~240分(4時間)の継続時間の間、約20℃~約600℃の範囲の温度に加熱する。脱水工程の間、不動態化すべき基体が入っている処理チャンバーは排気され又は不活性ガス(希ガスまたは窒素)で満たされる。脱水プロセスの最後において、処理チャンバーを排気して気化した水を除去する。
【0118】
処理チャンバーを脱水および排気した後、SiHまたはSin+2等の水素化ケイ素ガスを、表面、または物品の入っている処理チャンバーに導入する。いくつかの実施形態において、水素化ケイ素ガスの圧力は、約1×10-7トル~2500トルの範囲内、特に約100トル~250トルの範囲内である。脱水工程の結果として未だガスの分解温度ではない場合、物品および処理チャンバーに含まれるガスは、ガスの分解温度にほぼ等しい温度に加熱される。いくつかの実施形態において、物品およびガスは、約300℃~約600℃の範囲の温度に加熱される。水素化ケイ素ガスは、熱の下で導入してよく、または室温において導入してその後加熱してよい。これらの圧力および温度において、水素化ケイ素ガスは、表面または表面付近においてケイ素と水素ガスとに分解する。分解プロセスの間に形成されたケイ素は処理される物品の表面に付着する。
【0119】
一般に、シリコン沈積プロセスの継続時間は制御される。上述の条件の下で、処理チャンバーにおける水素化ケイ素ガスの分解は、圧力、時間および温度の結果として、最終的に、本明細書においてシリコンダストとよぶ望ましくない副生成物も形成し得る。シリコンダストは、水素化ケイ素ガスがそれ自体と反応してシリコンおよび水素ガスを生成した結果である。この気相核形成は、重力により物品の表面または処理チャンバーに沈着するであろうシリコンダストを形成し、表面に形成されるシリコン層の完成度(integrity)を低下させ得る。シリコンダストは、不導態層におけるシリコンの連続層の間の物理的障壁も形成し得る。
【0120】
シリコンダストの形成は、沈積プロセスの継続時間、ガスの圧力および基体の表面における汚染物質の存在、またはこれらのいずれか若しくは全ての組み合わせによって影響を受け得る。シリコンダストの形成の防止を促進するためには、シリコン沈積プロセスの継続時間を制御して約1分から最大で約480分(8時間)の範囲の時間に制限する。シリコン沈積プロセスは、シリコンダストの形成を防止する方法の1つとして省略してよい。尤も、シリコンの層は、1回のシリコン沈積サイクルの後に表面全体を完全に被覆しなくてよい。従って、シリコン沈積サイクルは、シリコンの不導態層を所望の厚さに積層するために複数回繰り返してよい。尤も、不動態化の有効性は、1層の沈積層により得ることができる。いくつかの実施形態において、有効性は、表面粗度(または粗さ)RAとは無関係に、1層~10層のシリコンを表面に沈積させることにより向上させることができる。いくつかの場合において、表面に沈積した6層のシリコン層を有することにより性能を向上させることが特に好ましいことがある。
【0121】
第1のシリコン沈積サイクルの後、物品を収容する処理チャンバーを不活性ガスでパージして水素化ケイ素ガスを除去してよい。シリコンの層が物品の表面を完全に被覆していない場合、シリコン沈積サイクルを繰り返してよい。次のシリコン層を沈積させる前に、物品の表面を冷却し、低温のままにして次のシリコン層の沈積の形成における表面特性を確立する。いくつかの実施形態において、表面は約50℃~約400℃の範囲に冷却し、約5分~約100分の間、冷却温度のままにする。
【0122】
一例として、約20マイクロインチより小さい表面粗度RAを有する粗面または(電解研磨または研磨した)平滑面は、1回の沈積サイクルにより、本明細書において記載される不動態化の利益を得ることができる。不動態化の有効性を増大させるために選択される層の数は、表面粗度RAとは無関係に選択してよい。腐食に対する耐性を向上させるための層の数は、表面粗度RAとは無関係に選択してよい。
【0123】
シリコンの不導態層を形成した後、物品が入っている処理チャンバーを約50℃~約400℃の範囲に冷却し、約5分~約100分の継続時間保持し、不活性ガスでパージして反応性の水素化ケイ素ガスを除去する。この不活性ガスによるパージにより、水素化ケイ素の分解反応が停止して、水素化ケイ素成分と、物品の表面または処理チャンバーではなく水素化ケイ素成分自体との反応に起因して起こる不要な気相核形成の問題が低減されることが確保される。最後のパージ工程の後に、物品の入っている処理チャンバーを排気して室温に冷却してよい。
【0124】
いくつかの実施形態において、表面に沈積した不動態化されたシリコン層は、約100Å~50,000Åの厚さであってよい。
【0125】
不動態化のための上述の技術は、製造装置40内に含まれるであろう物品であって、腐食性成分および気体環境(原材料ガスの環境等)の少なくとも一方に付してよい物品を不動態化するための特定の用途を有する。より具体的には、本明細書において示される不動態化の技術は、表面における炭素質材料および炭素の形態の蓄積が実質的に制限されるという、結果としてもたらされる効果と共に、物品の表面処理をもたらす。このことにより、製造衛生を確保するために少なくとも1つの設計要素を包含する製造装置40が効果的にもたらされる。
【0126】
不動態化は、とりわけ、各々の表面に抵抗特性を与えて、それにより例えば他の分子の化学吸着;他の分子の可逆的および不可逆的物理吸着、他の分子との触媒活性;無関係な種から攻撃されて、表面および/またはバルクの分子の破壊、構造的破壊および/または表面的な破壊がもたらされること;または上述のいずれかの組み合わせ等の、腐食性物質の望ましくない影響を最小限にするのに用いられてよい。加えて、提示される技術は、真空または低圧環境において用いてよい物品を不動態化するのに特に有用である。不動態化のための技術は、例えば化学的抵抗性を与えること、材料のガス発生の影響を制限すること、洗浄を簡略化すること等の種々の他の利益も同様に提示し得る。
【0127】
方法は、化学的抵抗特性を基体に与えて、真空環境における基板上の望ましくない表面の影響、例えば目的とする真空に達するのに必要な時間の延長をもたらし且つ/又は目的とする真空に達するのを不可能にし且つ/又は目的とする真空を保持するのを不可能にする真空環境下における基体からの揮発性材料(例えば水蒸気および有機物)のオフガスまたはアウトガス;内側部分が真空に付されるのに対する、内側および/または外側におけるコーティングを通じた真空環境下における基体の水素浸透;または上述のいずれかの組み合わせ等を最小限にするのに用いてよい。
【0128】
方法は、処理工程の間に各物品を収容するように構成された処理チャンバーを用いて実施してよいが、物品自体が、その構造に応じて、それ自体の処理チャンバーとして機能してよく、物品の内部で方法が実施されてよいことが理解されるだろう。例えば、不動態化プロセスは、いくつかの実施形態において炉(または乾燥器)において実施してよく、炉の内部における表面処理(即ち不動態化)がもたらされてよい。
【0129】
手短に言えば、(1または複数の)炉の構成要素は、製造に先立って不動態化されてよく、またはさもなければ適切に処理してよい。提示される例において、用語「不動態化」は概括的に、製造プロセスの間の汚染物質(即ちトランプ(tramp)炭素または炭素質残余)の蓄積およびそれに付随する原材料ガスの分圧の低下を制限するのに適した処理方法を指すと考えてよい。紹介される方法はケイ素およびケイ素含有材料を含むが、用語「不動態化材料」は、これらの材料および炭素質残余の蓄積を制限するのに適した材料の他のいずれかの実施形態を包含すると考えてよい。
【0130】
構成要素は、汚染物質の蓄積を制限する能力のために定期的に評価されてよい。必要に応じて、使用者は、継続的な性能を確保するために構成要素を新しいものにしてよく、または構成要素を交換してよい。
【0131】
このように、優れた特性を示す集合体を製造するための技術を説明してきたが、炭素質材料の集合体および他の形態を(単独で又は集合体と共に)用いるための追加の技術がここで提示される。一般に、これらの追加の技術は、ウルトラキャパシタ10において用いるための優れた電極3を提供することを対象としているが、電極3は、必要に応じて他のエネルギー貯蔵デバイスに組み込まれてよい。
【0132】
好都合なことに、電極3は大量生産されたCNT47から作製してよく、とりわけ、従来達成可能であったものよりも高い質量電力密度(重量の関数としての電力)および体積電力密度(体積の関数としての電力)を示す。更に、高出力の電極3は低い内部抵抗を示し、高電圧(約4ボルト以上等)をもたらすように構成され得る。
【0133】
高電力の電極を提供するための例示的方法および装置のいくつかの実施形態において、電極3は、炭素ベースのエネルギー貯蔵媒体1の少なくとも1層を含み、追加の1~多数の層を含んでよい。
【0134】
ここで、炭素質材料の製造技術および炭素質材料から作成される電極の種々の例示的実施形態が提示される。例示的実施形態として、圧縮されたカーボンナノチューブの少なくとも1層から作製される高電力(または高出力)電極;機能的に積層された電極;マルチフォーム電極;成形炭素質集合体から作製される電極;複数の電極構成要素から作製される電極;および高密度化された(densified)電極が挙げられる。例示的実施形態は、エネルギー貯蔵媒体1において用いられる炭素質材料を操作する技術の複数の実施形態を提供する。例は、限定的なものであると考えるべきでない。例えば、一の実施形態の態様は、種々の実施形態の別の1つと共に、少なくとも一部分において用いてよい。更なる技術は、種々の実施形態を精査することにより明らかになるだろう。
【0135】
電極3の一の実施形態において、圧縮されたカーボンナノチューブの少なくとも1つの層がエネルギー貯蔵媒体として用いられる。ここで、電極3のこの実施形態の態様を導入するために、図6~10を参照する。この例において、提示される電極3は、圧縮されたカーボンナノチューブおよび/または炭素の他の形態の複数の層を含んでよい。電極3の組み立てが集電体2および炭素質材料の沈積で始まる図6を参照する。図6~10を参照して論じられる実施形態において、炭素質材料はCNT47の集合体である。尤も、図6~10を参照して論じられる実施形態は、CNT47の使用に限定されず、炭素質材料は、本明細書の他の箇所に示される形態等の他の形態を想定してよい。
【0136】
図6において集電体2の実施形態を示す。一般に、集電体2は導体層61を含み、結合層62を含んでよい。導体層61は、目的とする用途において電荷を伝導するのに適した任意の材料から作製してよい。例示的材料としてアルミニウムが挙げられる。導体層61は、ホイル(または箔)、メッシュ、複数のワイヤまたは他の形態で示されてよい。一般に、導体層61は伝導度および電気的に不活性であること等の特性で選択される。いくつかの実施形態において、導体層61は、酸化物層を導体層61から除去することにより作製される。酸化物は、例えば導体層61をKOHでエッチングすることにより除去してよい。
【0137】
いくつかの実施形態において、結合層62は導体層61に配置される。結合層62は、スパッタリング、e-ビームまたは別の適切な技術によって適用される層等の薄層として現れてよい。種々の実施形態において、結合層62は約10nm~約500nmの厚さである。一般に、結合層62は、伝導度、電気的に不活性であること、および導体層61の材料との適合性等の結合層62の特性で選択される。いくつかの例示的材料として、アルミニウム、金、銀、パラジウム、スズおよび白金、ならびにFe-Cr-Ni等の材料の合金または組み合わせが挙げられる。
【0138】
第2の構成要素は、カーボンナノチューブ集合体(CNT)47に対するホスト(host)である基体65を含む。図6に示す実施形態において、基体65は、上に配置された触媒46の薄層を備える基材49を含む。一般に、基体65は少なくとも幾分かは可とう性であり(即ち、基体65は脆性でなく)、CNT47を沈積させるための環境(例えば約400℃~約1,100℃の高温環境)に耐え得る構成要素から作製される。
【0139】
CNT47が作製されると、もう1つの結合層62がその上に配置される。いくつかの実施形態において、もう1つの結合層62は約10nm~約500nmの厚さである。その後、図7に示すように、集電体2の結合層62をCNT47の上に配置されたもう1つの結合層62と組み合わせる。
【0140】
図7は、CNT47を集電体2と組み合わせる態様を説明している。下向きの矢印で示すように、基材49に圧力がかけられる。CNT47の適用は、構成要素の加熱を伴ってよい。一例として、結合層62において白金が用いられる場合、約200℃~約250℃に加熱することが通常は適切である。次いで、CNT47と触媒46とは分離され、集電体2に配置されたCNT47の層が得られる。
【0141】
触媒46からのCNT47の分離を促進するために種々の製造後プロセスを完了してよい。例えば、沈積を完了させた後、CNT47を上に含む基体65を室内空気、二酸化炭素の環境または別の適切な環境にさらしてよい(例えば上述の環境で加熱してよい)。一般に、CNT47の製造後処理は、CNT47を高温へと徐々に傾斜させ、次いで減圧(即ち約1気圧より低い圧力)の下で一の温度にて数時間CNT47を保持することを含む。
【0142】
図8に示すように、圧力を加えることによりCNT47を集電体2の上に移動させる工程は、圧縮されたCNT81の層をもたらす。圧縮されたCNT81は今や、窓(window)および割れ目等の物理的欠陥を含み得、一般に圧縮されていないCNT47より大きい電荷貯蔵のための表面積がもたらされ、一方、圧縮されていないCNT47より小さい体積を占める。CNT47のもう1つの層の追加も図8において示される。
【0143】
図9に示すように、CNT47のもう1つの層を圧縮されたCNT81の上に適用してよい。いくつかの実施形態において、この工程は、わずかな(nominal)量の圧力を(例えば手によって)かけることを含む。一般に、CNT47のもう1つの層は、カーボンナノチューブ間のファンデルワールス力によって圧縮されたCNT81に移動(即ち接着)されると考えられる。これにより、好都合なことに、図10に示すように圧縮されたCNT81のもう1つの層(即ち、別の厚さの圧縮されたCNT81)が集電体2の上にもたらされる。高出力かつ高エネルギーの電極3は、圧縮されたCNT81の複数の層を適用することにより実現される。
【0144】
この方法を繰り返して、複数の厚さの圧縮されたCNT81を集電体2上にもたらしてよい。尤も、一般に、特定の実用上の限定が認識されるであろうことが予測される、即ち、例えば、各層の移動における複合的欠陥により、電荷の貯蔵について所望の性能を示さない圧縮されたCNT81の層がもたらされ得る。尤も、移動プロトコルが向上し続けるにつれて、より一層多くの数の層の追加が可能になるであろうことも予測される。
【0145】
従って、上に配置された少なくとも1層の圧縮されたCNT81~複数の層の圧縮されたCNT81を備える集電体2を、電荷貯蔵デバイス(即ち、電極3の実施形態)として用いてよい。一般に、電極3のそのような実施形態は、ウルトラキャパシタ10において用いるのに特によく適している。上述のいくつかの利点(より高い質量電力密度および体積電力密度、低い内部抵抗および高い電圧の提供ならびにより高いエネルギー密度)に加えて、必要とされる電解質6がより少ない。従って、使用者は、エネルギー貯蔵のいくつかの同様の実施形態よりも製造に費用がかからない性能の向上したエネルギー貯蔵が提供される。
【0146】
CNT47および圧縮されたCNT81の比較例を図11に提示する。即ち、図11Aおよび11B(本明細書においてまとめて図11とよぶ)は、圧縮されていないCNT47および圧縮されたCNT81の各々の透過電子顕微鏡写真を表す。
【0147】
図11Aに示すように、CNT47は比較的直線状であり、Y方向に沿って平行である。図11Bに示すように、圧縮されたCNT81は、(「波」のような)周期的変形(または歪み)を示す。即ち、圧縮されたCNT81は概して互いに平行のままである一方、圧縮されたCNT81は(圧縮されていないCNT47と比較して)直線状でない。即ち、いくつかの実施形態において、圧縮されたCNT81の形状は、シヌソイド(または正弦状)関数等の関数によって表されてよい。他の実施形態において、波形の周期性は、他の方法で表現または定量化されてよい。いくつかの更なる実施形態において、圧縮されたCNT81は繰り返しの形態(または変形(deformation))を示さない。手短に言えば、圧縮されたCNT81は、CNT47の特定の特性が向上または強化されるような、CNT47(圧縮されていないCNT)の圧縮の結果であってよい。強化は、例えば密度の増加、欠陥の増加等の特定の現象のいずれか1つ以上の結果であってよい。
【0148】
本明細書において教示されるカーボンナノチューブの利点の実証として比較評価を行った。この評価において、2つのウルトラキャパシタ10を組み立てた。ウルトラキャパシタ10の1つ目は、活性炭から作製された電極3を含んだ。ウルトラキャパシタ10の2つ目は、本明細書の教示事項によるカーボンナノチューブをベースとする電極3を含んだ。結果を図12に示す。他の部分において、ウルトラキャパシタ10は全ての観点において同一であった。
【0149】
図12Aおよび12B(本明細書においてまとめて図12とよぶ)において、比較性能を示すナイキスト線図が提示される。図12Aは、活性炭電極を用いた(従来技術の)キャパシタを表し、一方、図12Bは、カーボンナノチューブをベースとする電極を用いたウルトラキャパシタ10を表す。電極抵抗の伝統的な評価は、ナイキスト線図における3dBの点における抵抗である。図12Aは、従来技術のキャパシタのセル全体の抵抗が約4Ω/cmを示し、一方、図12Bは、カーボンナノチューブをベースとするキャパシタのセル全体の抵抗が約1Ω/cmであることを示す。更に、活性炭の実施形態における電極の接触抵抗(図12A)は(ナイキスト線図において半円形で示されるように)実質的であるが、一方、CNTの実施形態においては実質的に存在しない(図12B)ことが理解され得る。
【0150】
いくつかの実施形態において、基材49、触媒46、導体層61および結合層62の特定の特性を考慮してよい。即ち、例えば上述の作製が実質的に酸素のない環境において完了する場合、圧縮されたCNT81の少なくとも1層~圧縮されたCNT81の複数の層を備える集電体2を提供するために他の材料およびプロセスが用いられてよい(または省略されてよい)ことが予測される。従って、これらの及び他の実施形態は、当業者によって考案され得るように本発明および本明細書における教示事項の範囲内である。
【0151】
ここで電極3の追加の実施形態を考えるが、この電極3は一般に「機能的に積層された電極」とよばれる。
【0152】
ここで図13を参照して、機能的に積層された電極3の例示的実施形態の態様を示す。一般に、機能的に積層された電極3は、2つの別個の構造(即ち、電極基部構造体(electrode base structure)26および電極プロセス構造体(electrode process structure)28)から作製してよい。図13Aに示す例において、電極基部構造体26(作製された電極が上に存在するであろう構造を提供してよい)は、例えばアルミニウム(Al)箔(またはホイル)または銅(Cu)箔から作製された一の実施形態の集電体2を含んでよい。図13Bに示す例示的電極プロセス構造体28は、(例えばタングステン(W)またはステンレススチール(SS)またはアルミニウム(Al)ホイルを含む)プロセス基体層35、およびエネルギー貯蔵媒体1において用いてよい炭素質材料から形成される炭素質層32を含む。一般に、電極プロセス構造体28は、炭素質材料が上に形成される構造を提供する。
【0153】
目標の1つはプロセス基体層35の上に炭素質層32を形成することであるが、炭素質層32を、例えば中間材料を介して連結されるように集電体2へと効果的に移動させることである。プロセス基体層35を構成する材料と、集電体2を構成する材料とは異なっていてよい。材料は、炭素材料の製造要件および集電体2の有効性等の態様を考慮して選択してよい。プロセス基体層35および集電体2の材料の選択の間の設計上の制約を切り離すことは、性能、コスト、信頼性等における著しい利点を有する。
【0154】
いくつかの実施形態において、電極基部構造体26は3つの層を含んでよい。例えば、3つの層の第1の層として集電体2が提供されてよい。集電体2は最終的に作動電流をキャパシタの端子から炭素質材料に伝達するので、使用される材料は良好な伝導度で選択するべきである。集電体2は、電極が最終的に浸漬される電解質にさらされるので、集電体2の材料は、良好な電気化学的適合性、所定の電解質との通常は適切に低い反応速度(または反応率)で選択されるべきである。機械的圧縮の下での熱結合し易さ等の実用上の理由で、集電体2における材料および材料の厚さは、機械的可とう性で選択するべきである。集電体2に含まれてよい材料の例としては、アルミニウム(Al)、ステンレススチール、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、タンタル(Ta)、導電性酸化物(例えば、インジウム-スズ-酸化物(ITO))またはこれらの材料の組み合わせが挙げられる。一般に、集電体2の厚さは、約1マイクロメートル(μm)~100μmの間で様々であってよい。
【0155】
集電体2は、必要に応じて、まず水酸化カリウム(KOH、アルミニウムを含む電極の実施形態に有用であり得る)等の塩基性のエッチング液に浸漬してよく、かつ/またはバックスパッタリングを行って酸化物フィルム(例えば酸化アルミニウム(Al))を除去してよい。電極基部構造体26の製造方法がマグネトロンスパッタリングにおいて必要とされるような低酸素環境で行われる場合、エッチング、バックスパッタリングまたは他の方法による酸化物層の除去を同じチャンバーにおいて行ってよい。第2および第3の層は、同じチャンバーにおいて沈積される場合、その後、電極基部構造体26が低酸素環境から取り出された時に更に酸化されるのを防ぐのに有用な保護障壁を形成する。
【0156】
第2の層(「接着層34」とよぶ)は、集電体2と第3の層(「第1の接合層36」とよぶ)との接着を向上させるために用いてよい。接着層34はマグネトロンスパッタリングまたは同様の方法を用いて集電体2の上に沈積させてよい。接着層34に含まれる代表的な材料は、チタン(Ti)、クロム(Cr)、チタン-タングステン(Ti-W)またはこれらの材料の組み合わせである。接着層34を構成する材料の伝導度が比較的低い場合、その厚さは、適切な電流処理性能を達成するように限定されるべきである。一般に、この接着層34の厚さは約1ナノメートル(nm)~約100(nm)の間で様々である。
【0157】
第1の接合層36は、電極基部構造体26を電極プロセス構造体28に接合するのに有用である。電極基部構造体26と電極プロセス構造体28とを、中程度の温度(または中温)および機械的圧力を用いて熱結合すべきである場合、軟質金属が第1の接合層36に最も有用であり得る。第1の接合層36は、マグネトロンスパッタリングまたは同様の方法を用いて接着層34の上に沈積されてよい。第1の接合層36の材料の伝導度が比較的低い場合、第1の接合層36の厚さは、適切な電流処理性能を達成するように限定されるべきである。第1の接合層36に用いられる例示的材料として、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)またはこれらの材料の組み合わせが挙げられる。一般に、この第1の接合層36の厚さは約1nm~約10μmの間で様々である。
【0158】
いくつかの実施形態において、電極プロセス構造体28は4つの層を含む。電極プロセス構造体28の第1の層は、活性電極材料が上に形成されてよいプロセス基体層35である。例示的プロセス基体層35は、タングステン(W)ホイル、鉄(Fe)(粒子)およびアルミニウム(Al)の中間層を含む下部構造である。この例示的プロセス基体層35における層の厚さは、3つの副層(またはサブレイヤー)についてそれぞれ、約5μm~1mm、0.5nm~5nmおよび2nm~100nmの範囲で様々であってよい。この例示的プロセス基体層は、化学蒸着法による垂直に配列されたカーボンナノチューブ(VACNT)を含む特定の炭素電極材料を製造するのに有用である。機械的圧縮の下での熱結合し易さ等の実用上の理由で、プロセス基体材料および厚さは機械的可とう性で選択するべきである。他の代表的なプロセス基体材料として、ステンレススチール、ニッケル(Ni)またはこれらの材料の組み合わせが挙げられる。
【0159】
電極プロセス構造体28の炭素質層32は、製造されるキャパシタにおける電荷の貯蔵に対する最終的な原因となる材料を含む。炭素質層32において用いるのに適した例示的材料として、活性炭、炭素繊維、レーヨン、グラフェン、エアロゲル、炭素布、カーボンナノホーン、カーボンナノチューブ(CNT)およびこれらの材料の組み合わせが挙げられる。本明細書において開示される他の炭素質材料を炭素質層32において用いてよい。炭素質層32において用いられる材料はとりわけ、化学蒸着(CVD)によって製造されてよく、プロセス基体層35の上に沈積されてよく、またはプレスしてよい。一般に、炭素質層32の厚さは約1μm~約10mmの範囲で様々であってよい。
【0160】
オーミックコンタクト層30は、電極プロセス構造体28に含まれてよく、炭素質層32とのオーミックコンタクトを達成するのに有用である。オーミックコンタクト層30が多孔性の炭素質層32を通じて電極が最終的に浸漬される電解質にさらされる場合、オーミックコンタクト層30の材料は、良好な電気的適合性、その特定の実施形態の電解質との通常は適切に低い反応速度で選択されるべきである。オーミックコンタクト層30は、マグネトロンスパッタリング、熱蒸発または同様の方法を用いて炭素質層32の上に沈積されてよい。オーミックコンタクト層30において用いてよい例示的材料は、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)およびパラジウム(Pt)である。一般に、オーミックコンタクト層30の厚さは、約1nm~約10μmの範囲で様々である。
【0161】
電極プロセス構造体28は第2の接合層38も含む。第2の接合層38は、電極基部構造体26を電極プロセス構造体28と接合するのに有用である。電極基部構造体26と電極プロセス構造体28とを、中程度の温度(または中温)および機械的圧力を用いて熱結合すべきである場合、軟質金属が第2の接合層38に有用である。第2の接合層38は、マグネトロンスパッタリング、熱蒸発または同様のプロセスを用いてオーミックコンタクト層30の上に沈積されてよい。第2の接合層38の材料の伝導度が比較的低い場合、その厚さは適切な電流処理性能を達成するように限定されるべきである。第2の接合層38に有用な例示的材料は、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)またはこれらの材料の組み合わせを含む。一般に、この第2の接合層38の厚さは約1nm~約10μmの間で様々である。
【0162】
電極基部構造体26と電極プロセス構造体28とは、第1の接合層36と第2の接合層38との間の界面においてあらゆる方法により接合してよい。一の例示的方法は、2つの構造体が同時に加熱されて一緒に加圧される熱結合である。白金(Pt)接合層の材料について、熱結合に有用な温度範囲は約150℃~約600℃で様々である。
【0163】
電極基部構造体26と電極プロセス構造体28とが接合されると、プロセス基体層35は、単に剥くことにより又は他の方法により除去されて炭素質層32の表面が露出してよい。
【0164】
図14に示すように、例示的な機能的に積層された電極3は、集電体2、接着層34、第1の接合層36、第2の接合層38、オーミックコンタクト層30および炭素質層32を含む。
【0165】
更なる実施形態において、少なくとも1つの他の層を含んでよい。例えば、オーミックコンタクト層が含まれてよく、もう1つの結合層62、圧縮されたCNT81(「エネルギー貯蔵層」、「活性層」および他の同様の用語でよんでよい)または別の層の間のオーミックコンタクトを増大させるために設けられてよい。もう1つの例において、接着層が含まれてよく、もう1つの結合層62と圧縮されたCNT81または別の層との間の接着を強化するために設けられてよい。追加の層またはオプションの層における材料は、例えば電気伝導度、適合性等の少なくとも1つの特性に従って選択してよい。
【0166】
機能的に積層された電極3は一般に層状形状である。本明細書において示される層は、電極3を限定するものではなく、単に説明するためのものである。他の組み合わせを実施してよい。そのような他の組み合わせは、例えば一の層の態様ともう1つの層の態様との組み合わせを考慮してよい。他の態様を考慮してよく、いくつかの態様は全く含めなくてよい。手短に言えば、設計者、製造者、使用者および/もしくはオペレータの要求、ならびに材料および製造プロセスの機能的制約のいずれか、または他の同様の(1または複数の)パラメータのいずれかを考慮する場合、電極3の特定の構成を決定してよい。
【0167】
電極3の更なる実施形態は「マルチフォーム」電極3として提示され、これは図15から始まる製造方法として導入される。
【0168】
ここで図15を参照して、基部(basic)電極3の実施形態を示す。この限定的でない例において、電極3は、基層15を担持(または支持)する集電体2を含む。いくつかの実施形態において、集電体2は約0.5マイクロメートル(μm)~約25マイクロメートル(μm)の厚さである。集電体2は、化学蒸着(CVD)、スパッタリング、e-ビーム(または電子ビーム)、熱蒸発または別の適切な技術によって適用される層等の、薄層として現れてよい。一般に、集電体2は、伝導度、電気的に不活性であること、および基層15と適合すること等の集電体2の特性で選択される。いくつかの例示的材料は、アルミニウム、白金、金、タンタル、チタンを含み、他の材料および種々の合金を含んでよい。
【0169】
例示的実施形態において、基層15は、垂直に配列されたカーボンナノチューブ(VACNT)47から形成される。基層15に含まれてよい炭素のナノフォームの限定的でない例として、単層ナノチューブおよび多層ナノチューブが挙げられるが、これに限定されない。
【0170】
ここで図16を参照して、ナノフォームカーボン16を基層15に加える一の実施形態の態様を示す。この例において、電極3はキャリア材料の浴17に浸漬される。いくつかの実施形態において、浴17は溶媒を含む。ナノフォームカーボン16の添加は、浴17において提供され、通常は浴17において懸濁される。一般に、ナノフォームカーボン16は、ナノチューブ、ナノホーン、ナノオニオン、カーボンブラック、フラーレン、グラフェン、酸化グラフェンの少なくとも1つを含む。添加が完了すると、浴17は、蒸気19及び/又はキャリア材料の排出によって除去される。これにより、図17に示すようにマルチフォーム電極3がもたらされる。即ち、得られる電極は、炭素のナノフォームを多数含むので、「マルチフォーム」電極3とよぶ。
【0171】
即ち、浴17を除去する工程により、基層15の上に配置されるナノフォームカーボン16のもう1つの層がもたらされる。従って、マルチフォーム電極3は種々の段階で製造されてよい。
【0172】
基層15の上にナノフォームカーボン16を適用するもう1つの実施形態を図18に示す。図18において、複数のアプリケータ(または塗布装置もしくは散布装置)13が、各電極3の基層15にナノフォームカーボン16を適用する。各々のアプリケータ13は、ナノフォームカーボン16の多数の供給の1つからナノフォームカーボン16が供給されてよい。従って、種々の形態のナノフォームカーボン16を供給してよい。この例において、アプリケータ13の各々は、基層15の上へのナノフォームカーボン16の適切な噴霧を提供する装置を含む。従って、ナノフォームカーボン16は、溶媒または他のキャリア材料と混合してよい。キャリア材料は、基層15の上へのナノフォームカーボン16の分配(または分散)をもたらす。いくつかの実施形態において、キャリア材料は高い蒸気圧を示す。従って、ナノフォームカーボン16は素早く凝固してマルチフォーム(multiform)電極3をもたらすだろう。
【0173】
一般に、ナノフォームカーボン16はもう1つの層として基層15上に分配(または分散)されると考えてよい。キャリア材料中のナノフォームカーボン16の混合物または溶液としてもう1つの層を適用することにより、特定の利点が実現され得る。例えば、ナノフォームカーボン16の全体的な配置が少なくともある程度制御され得る。例えば、複数の積層を行ってよい。ナノフォームカーボン16の濃度は、用いられるナノフォームカーボン16の組み合わせと同様に制御してよい。従って、マルチフォーム電極3の特定の態様は概括的に制御されてよい(エネルギー貯蔵媒体1の密度等)。顕微鏡レベルにおいて、このことは、もつれ(または絡み合い)、空隙、充填された空間(packed space)等が組み込まれることの結果であり得る。
【0174】
基層15の上にナノフォームカーボン16を供給するための他の実施形態を用いてよい。例えば、紙の製造において用いられる技術を用いてよい。より具体的には、ナノフォームカーボン16はキャリア材料と混合してよく、パルプを配置する方法と同様の方法で基層15の上に適用してよい。
【0175】
例示的キャリア材料は、エタノール、イソプロピルアルコール、脱イオン水、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)および他の同様の材料を含む。
【0176】
オプションで、製造後の処理を行ってよい。製造後の処理における例示的方法として、マルチフォーム電極3の加熱が挙げられる。例えば、マルチフォーム電極3を適切に加熱して、残っているキャリア材料をナノフォームカーボン16から実質的に放出してよい。方法(加熱等)は、実質的に酸素のない環境等の制御された環境で行ってよい。
【0177】
ここで図19を参照して、マルチフォーム電極3を提供する例示的方法190を提示する。第1段階において、基部電極3を選択して供給する(電極の選択191)。第2段階において、ナノフォームカーボン16を基部電極3に適用する(ナノフォームの適用192)。第3段階において、マルチフォーム電極3が浴17等から回収される(電極の回収193)。オプションの第4段階において、マルチフォーム電極3の後処理が実施される(電極後処理194)。
【0178】
電極3の更なる実施形態が、成形炭素質集合体を含む電極3として提供され、図20から始まる製造プロセスとして導入される。電極3のこの実施形態は、「超音波処理された」材料を含むものとよんでよく、従って、「超音波処理された」電極3または他の同様の用語でよんでよい。
【0179】
ここで図20Aおよび20B(本明細書においてまとめて図20とよぶ)を参照して、溶液の実施形態を示す。図20Aにおいて、第1の溶液66は、溶媒68および垂直に配列されたカーボンナノチューブ(VCNT)47の集合体の分散物を含む。図20Bにおいて、第2の溶液67は、溶媒68および溶媒に分散される炭素添加物27を含む。炭素添加物27は、実質的に炭素から構成される材料の少なくとも1つの形態を含む。炭素添加物27の例示的形態は、例えば、活性炭、炭素粉末、炭素繊維、レーヨン、グラフェン、エアロゲル、ナノホーン、カーボンナノチューブ等の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において炭素添加物27が実質的に炭素から形成されるが、炭素添加物27は、少なくともいくらかの不純物を故意に又は意図的に含んでよいことが理解される。手短に言えば、炭素添加物27のために選択される(1または複数の)材料は、設計者、製造者または他の同様の状態にある者により適切であると見なされる場合、本明細書の教示事項の実施に適した任意の材料を含んでよい。
【0180】
一般に、溶媒68は無水溶媒であるが、このことは必要条件ではない。例えば、溶媒68は、エタノール、メタノール、DMSO、DMF、アセトン等の少なくとも1つを含んでよい。一般に、垂直に配列されたカーボンナノチューブ47の集合体の分散物は、製造サイクルによって製造された垂直に配列されたカーボンナノチューブ47の断片(またはフラグメント)を含む。即ち、垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体47は、基体65から回収した際に断片(またはフラグメント)へと分割してよい。
【0181】
ここで、第1の溶液66および第2の溶液67の各々が「超音波処理」(例えば超音波装置78によってもたらされる、超音波場において実現される物理的効果)に付されることを示す図21を参照する。第1の溶液66に関しては、超音波処理は一般に、カーボンナノチューブを引き出す(tease out)、膨らませる(または毛羽立てる、fluff)またはさもなければ分解(parse)するのに十分な時間行われる。第2の溶液67に関しては、超音波処理は一般に、溶媒68内の炭素添加物の良好な分散または混合を確保するのに十分な時間行われる。
【0182】
第1の溶液66および第2の溶液67を適切に超音波処理したら、第1の溶液66および第2の溶液67を一緒に混合して混合溶液69を得(図22を参照のこと)、再び超音波処理する。通常、第1の溶液66および第2の溶液67の混合物は、垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体(VCNT)47と炭素添加物27との良好な混合を確実にするのに十分な時間、超音波処理する。この第2の混合により炭素質集合体51がもたらされる。
【0183】
次いで、炭素質集合体51を混合溶液69から取り出して処理する。図23に示すように、炭素質集合体51を成形して成形炭素質集合体51をもたらしてよい。この工程は、炭素質集合体51を適切な表面48に配置することにより補助してよい。適切であると見なされる任意の材料を表面48に用いてよいが、後続の表面からの除去がその表面の特性によって促進されるので、例示的材料としてはPTFEが挙げられる。
【0184】
いくつかの実施形態において、炭素質集合体51はプレス機(press)において成形されて、所望の厚さ、面積および密度を示す成形炭素質集合体51がもたらされる。これらの実施形態は、とりわけ、ウルトラキャパシタ10のための電極3の実施形態の場合において有用である。
【0185】
電極3の一の実施形態を示す図24を参照する。この例において、電極3は、成形炭素質集合体51から作製されたエネルギー貯蔵媒体1を含む。示される集電体2は、例えば成形炭素質集合体51の上に集電体2を沈積させることによる技術を含む種々の技術によって、成形炭素質集合体51に連結されてよい。
【0186】
成形炭素質集合体51の態様をこのように開示してきたが、追加の態様を提示する。要約すれば、各事例のエネルギー貯蔵媒体1の製造は一般に、溶媒68中の垂直に配列されたカーボンナノチューブ(VCNT)47の断片(またはフラグメント)の懸濁液から開始される。次いで、懸濁液は、例えば常套的な超音波装置78を用いて「超音波処理」され又は穏やかに混合される。いくつかの実施形態において、他の形態の炭素が別々に溶媒68において超音波処理され、一方、他の実施形態において、他の形態の炭素が、その後、VCNT47を含む溶液に加えられる。これらの後者の実施形態は、制限された量の溶媒68が用いられ得るという利点を提供する。
【0187】
VCNT47および追加の炭素の形態は超音波場によって混合される。適切な時間間隔の後、懸濁液中のVCNT47および種々の形態の炭素は、泡状の炭素質材料へと集合する。その後、泡を溶媒68から取り出し、次いで、乾燥し、平らにし、圧縮し、加熱し、処理し、または種々の方法のいずれか1つ以上で成形して、エネルギー貯蔵媒体1をもたらしてよい。
【0188】
一般に、VCNT47は比較的長い(例えば、約300μmより長い)ナノチューブを含む。炭素添加物の種々の形態は、活性炭、炭素繊維、レーヨン、グラフェン、エアロゲル、ナノホーン、カーボンナノチューブ等の少なくとも1つを含んでよい。カーボンナノチューブの添加物は、多層カーボンナノチューブ(MWNT)および単層カーボンナノチューブ(SWNT)を含んでよい。一般に、炭素添加物に含まれるナノチューブは、VCNT47におけるナノチューブよりも比較的短い。
【0189】
電極3の更なる実施形態は、複数の電極構成要素を組み立ててより大きい電極3とする技術を含む。導入として、図25から開始される技術の説明が提示される。図25~31に関して開示される実施形態は、複数の電極構成要素を組み立ててより大きい電極3とする技術を含むが、追加の態様が含まれることに留意するべきである。
【0190】
ここで図25を参照して、カーボンナノチューブ集合体(VCNT)47に対するホストである基体65を示す。図25に示す実施形態において、基体65は、上に配置された触媒46の薄層を備える基材49を含む。
【0191】
一般に、基体65は少なくとも幾分かは可とう性であり(即ち、基体65は脆性でない)、エネルギー貯蔵媒体1(例えばVCNT)を沈積させるための環境(例えば約400℃~約1,100℃の高温環境)に耐え得る構成要素から作製される。尤も、適切に決定される場合、種々の材料を基体65に用いてよい。
【0192】
ここで図26を参照する。エネルギー貯蔵媒体1(例えばCNT)が基体65上に作製されると、集電体2がその上に配置される。いくつかの実施形態において、集電体2は約0.5マイクロメートル(μm)~約25マイクロメートル(μm)の厚さである。集電体2は、化学蒸着(CVD)、スパッタリング、e-ビーム、熱蒸発または別の適切な技術によって適用される層等の薄層として現れてよい。一般に、集電体2は、伝導度、電気的に不活性であること、およびエネルギー貯蔵媒体1(例えばCNT47)に適合すること等のその特性で選択される。いくつかの例示的材料は、アルミニウム、白金、金、タンタル、チタンを含み、かつ他の材料および種々の合金を含んでよい。
【0193】
集電体2がエネルギー貯蔵媒体1(例えばCNT)の上に配置されると電極構成要素20が実現される。各々の電極構成要素20は個別に電極3として用いてよく、または少なくとももう1つの電極構成要素20と連結(即ち接合)して電極3を提供してよい。
【0194】
オプションで、望ましい基準に従って集電体2が作製される前に、作製後の処理が行われる。例示的後処理としては、わずかに酸化性の環境におけるエネルギー貯蔵媒体1(例えばCNT)の加熱および冷却が挙げられる。作製(およびオプションの後処理)の後、移動器具(transfer tool)が集電体2に適用される。図27を参照してよい。
【0195】
図27は、移動器具63の集電体2への適用を図示する。この例において、移動器具63は、「乾式」移動法において用いられる熱剥離(または熱脱着)テープである。例示的熱剥離テープは、NITTO DENKO CORPORATION(カリフォルニア州フリーモントおよび日本国大阪)により製造される。一の適切な移動テープはREVALPHA(登録商標)として市販されている。この剥離テープは、室温においてしっかりと接着し且つ加熱により剥がすことが可能である接着テープとして特徴付けられてよい。このテープおよび熱剥離テープの他の適切な実施形態は、所定の温度で剥離するだろう。好都合なことに、剥離テープは、電極構成要素20において化学的活性残余を残さない。
【0196】
「湿式」移動法とよばれるもう1つのプロセスにおいて、化学的剥離(または脱着)のために設計されたテープを用いてよい。一旦適用されると、テープは溶媒に浸漬することにより除去される。溶媒は、接着剤を溶解するように設計される。
【0197】
移動器具63の他の実施形態において、吸引を集電体2に適用してよい。吸引は、例えば、吸引を分配する(または分布させる)ための複数の穿孔を有するわずかにオーバーサイズのパドル(paddle)を介して適用してよい。もう1つの例において、吸引は、吸引を分配するための複数の穿孔を有するローラーを介して適用される。吸引により駆動される実施形態(即ち空気動力工具)は、電気的に制御されるという利点、および移動プロセスの一部として消耗材が用いられていないので経済的であるという利点を提供する。移動器具63の他の実施形態を用いてよい。
【0198】
移動器具63を一時的に集電体2と連結させた時点で、電極構成要素20を基体65から徐々に取り外す(図27および28を参照のこと)。取り外しは通常、エネルギー貯蔵媒体1(例えばCNT47)を基体65から剥がすことを伴い、これは基体65およびエネルギー貯蔵媒体1(例えばCNT47)の一の端部において開始される。
【0199】
その後、移動器具63を電極構成要素20から分離してよい(図29を参照のこと)。いくつかの実施形態において、移動器具63は、電極構成要素20を取り付けるのに用いられる。例えば、移動器具63は、電極構成要素20をセパレータ5の上に直接置くのに用いてよい。一般に、一旦基体65から取り外されると、電極構成要素20は使用可能である。
【0200】
大型の電極3が望まれる場合において、複数の電極構成要素20を一緒に接合してよい。図30を参照してよい。図30に示すように、複数の電極構成要素20を、例えば、連結59を複数の電極構成要素20の各電極構成要素20と連結させることにより接合してよい。組み合わされた電極構成要素20は、電極3のもう1つの実施形態を提示する。
【0201】
いくつかの実施形態において、連結59は、接合部57において電極構成要素20の各々と連結される。接合部57の各々は超音波溶接57によりもたらされる。超音波溶接技術は、各接合部57をもたらすのに特によく適していることがわかった。即ち、一般に、エネルギー貯蔵媒体1(例えばCNT47)の集合体は溶接に適合せず、本明細書において開示されている集電体等のわずかな(nominal)集電体2のみが利用される。結果として、電極構成要素20を接合するための多数の技術が破壊的であり、構成要素20荷損傷を与える。尤も、他の実施形態において、他の連結の形態が用いられ、連結59は、結合、圧着(crimp)または他のそのような種類の接続を含む。
【0202】
連結59は、ホイル、メッシュ、複数のワイヤであってよく、または他の形態で実現されてよい。一般に、連結59は、伝導度および電気化学的に不活性であること等の特性で選択される。いくつかの実施形態において、連結59は、集電体2において存在する材料と同じ(1または複数の)材料から作製される。
【0203】
いくつかの実施形態において、連結59は、上に存在する酸化物層を除去することにより調製される。酸化物は、例えば接合部57を設ける前に連結59をエッチングすることにより除去してよい。エッチングは、例えばKOHを用いて達成してよい。
【0204】
電極3は種々の用途に用いてよい。例えば、電極3は、巻き上げて「ゼリーロール(jelly roll)」型のエネルギー貯蔵体としてよい。
【0205】
ここで図31を参照して、電極を製造するための例示的方法170が提示される。この例示的方法170において、第1の工程はCNTの成長171を指示する。第2の工程は、配列されたCNT集合体の上に集電体を沈積させること172を伴う。第3のオプションの工程は、基体からの取り外しを促進するためのCNT後処理173を伴う。第4の工程は移動器具を集電体の上に設置し(174)、第5の工程において、基体から電極構成要素を回収する(175)。第6の工程において、電極構成要素からの移動器具の取り外し176が行われる。第7の工程において、電極構成要素を一緒に接合してより大きい高出力の電極を提供する(177)。
【0206】
電極3の更なる実施形態は、電極3を組み立て、種々の組み立て後処理を行って「高密度化された(densified)」電極3、または「高密度化(または緻密化)」を示す電極3をもたらすための技術を含む。高密度化された電極3を提供するための技術に関して、概括的には技術の理解を確実にするために前図を参照してよい。
【0207】
電極3を高密度化するための技術は、上述のいくつかの実施形態の態様を含む。高密度化の一例において、CNT47の複数の層は、それらの各々の基体65から取り外される。CNT47の層の各々は、例えば上述の技術等の技術によって(例えば、熱剥離テープ、ブレード(blade)、空気動力工具および他のそのような技術を用いることにより)取り外される。
【0208】
次いで、CNT47の層の各々を積層させてCNT47の層状の積層体(layered stack)をもたらす。図9およびそれに関連して論じられる技術を参照してよい。CNT47の層状の積層体が組み立てられると、その後、CNT47の層状の積層体は濡らされる。濡らすことは、例えば溶媒等の溶液と共に提供されてよい。溶媒の例示的実施形態として、イソプロピルアルコール、脱イオン水、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、適切な組み合わせ、および他の適切な又は同様の材料のいずれかが挙げられる。
【0209】
濡らすことは、適切な噴霧、浴、または適切であると見なされる他の同様の技術によって達成されてよい。
【0210】
CNT47の層状の積層体を適切に濡らし、次いで、CNT47の層状の積層体を圧縮する。適切な圧縮をもたらすための一の例示的器具は「カレンダー」機(即ち対向するローラーを備える機械)である。その後、CNT47の層状の積層体中に残っている溶媒を、蒸発、真空における排出または他の同様の技術によって除去する。CNT47の層状の積層体の加熱を用いて溶媒の排除を促進してよい。
【0211】
乾燥させると、得られるCNT47の圧縮された層状の積層体は通常、可とう性であり、機械的に耐久性(またはロバスト性)がある。一般に、集電体2は、プロセスのこの時点においてCNT47の圧縮された層状の積層体に適用される(尤も、集電体2は例えば積層の間に適用してよいので、このことは必要ではない)。いくつかの実施形態において、集電体2は、化学蒸着(CVD)、スパッタリング、e-ビーム、熱蒸発または別の適切な技術を用いて、圧縮されたCNT47の層状の積層体の上に沈積される。
【0212】
もう1つの実施形態において、溶媒および炭素のナノフォームの溶液はCNT47の層の間に分散している。
【0213】
得られる電極3は高いエネルギー密度を示す。一般に、CNT47の層の数が増加すると、エネルギー密度の増加がもたらされる。得られる電極3は、(得られる電極3が組み込まれるウルトラキャパシタ10において)イオン液体が用いられる場合であっても、高い電力密度も示す。
【0214】
例示的ウルトラキャパシタの性能の態様をここで提示する。いくつかの実施形態において、ウルトラキャパシタの総重量は2.25mgであり、ウルトラキャパシタの総体積は2ccであった。質量ピーク電力密度は、下記式(1)および(2)に従って計算した:

Vm/(4*R*W) 式(1);および
Vm/(4*R*V) 式(2);

式中、Vm=定格電圧、R=等価直列抵抗(ESR)、W=総重量、V=総体積である。
【0215】
要約すれば、開示される技術は、ロバスト性のエネルギー貯蔵システムをもたらす。ウルトラキャパシタ10の例示的実施形態の電力密度を表す性能データを表1に提示し、図32にも表す。
【0216】
【表1】
【0217】
図32Aおよび32B(本明細書においてまとめて図32とよぶ)は、本明細書の教示事項に従って製造された電極を含むウルトラキャパシタの一の実施形態の周波数応答の関数としての電力密度を表すグラフである。図32B図32Aに提示される曲線の初期部分の拡大図を提示する。
【0218】
図33は、例示的ウルトラキャパシタの放電に対する電圧応答を表す。放電曲線は、0.5Aの電流で評価した。放電の評価の更なる態様は表2に提示される。
【0219】
【表2】
【0220】
図34は、例示的ウルトラキャパシタの充放電サイクルに対する電圧応答を表す。放電の評価の更なる態様は表3に提示される。
【0221】
【表3】
【0222】
このように種々の実施形態を開示してきたが、エネルギー貯蔵媒体の充填量(即ち、集電体に配置される炭素質材料の重量)を変化させることにより、ウルトラキャパシタ10の電力密度およびエネルギー密度を制御し得ることが理解されるはずである。
【0223】
即ち、(ウルトラキャパシタ)の総重量に対するエネルギー貯蔵媒体の重量比が高いほど、エネルギー密度が高くなる。対照的に、電力密度は、電極のユークリッド表面積に実質的に依存する。従って、(電極の総表面積が変化しないのに対し、ウルトラキャパシタの総重量は低くなるので)(ウルトラキャパシタ)の総重量に対するエネルギー貯蔵媒体の重量比が低いほど、電力密度が高くなる。
【0224】
いくつかの実施形態において、エネルギー貯蔵媒体の充填は0.1mg/cm~30mg/cmの範囲であり得る。エネルギー貯蔵媒体の充填が0.1mg/cmである場合、ウルトラキャパシタは、約250kW/kgを超える等の非常に高い電力密度を示し、この場合においてエネルギー密度は約1Wh/kgだろう。エネルギー貯蔵媒体の充填が30mg/cmである場合、デバイスは、30Wh/kgを超える等の非常に高いエネルギー密度を示し、この場合において電力密度は約12kW/kgだろう。
【0225】
電力およびエネルギー出力の組み合わせの観点におけるウルトラキャパシタの性能は、図35および36に提示される。
【0226】
慣例として、本明細書において用いられる用語「…であってよい」は、オプション(または任意)であると解釈するべきであること;「含む」は他のオプション(即ち、工程、材料、構成要素(または部品もしくは成分)、組成等)を除外しないと解釈するべきであること;および「…べきである」は必要条件を意味せず、むしろ単に場合による又は状況による好ましい事項を意味することを考慮するべきである。他の類似の専門用語は一般に、常套的な方法で同様に用いられる。
【0227】
一般に、電力出力およびエネルギー出力は、本明細書において種々の形式で表してよい。例えば、電力密度をkW/kgで表してよい。同様に、エネルギー密度をWh/kgで表してよい。両方の場合において、出力を正規化するのに用いられる質量は、評価されるエネルギー貯蔵体(例えばウルトラキャパシタ)の質量である。電力密度およびエネルギー密度の別の表現として、例えば、エネルギー貯蔵体の体積を使用してよく、かつ考慮してよい。
【0228】
例示的実施形態を参照して本発明を説明してきたが、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更を行ってよく、かつ本発明の構成要素を均等物で置き換えてよいことを理解するだろう。本発明の本質的な範囲から逸脱することなく特定の配置または材料を本発明の教示事項に適合するための多数の変形が当業者に理解されるだろう。
【0229】
本明細書における教示事項は単に説明のためのものであり、本発明を限定するものでないことが認識されるべきである。更に、当業者は、追加の構成要素、構成、配置等が本発明の範囲内のままでありながら理解されてよいことを認識するだろう。例えば、層の構成、層の含有量等が、本明細書に開示される実施形態から変化してよい。層が追加されてよく、追加の機能性が与えられてよく、機能性が低減されてよく、いくつかの層を省略してよい。一般に、電極および電極を使用するウルトラキャパシタの設計および/または用途は、システム設計者、製造者、オペレータおよび/または使用者のニーズならびに任意の特定の状況に存在する要求によってのみ限定される。
【0230】
更に、種々の他の構成要素が含まれてよく、かつ本明細書における教示事項の態様を提供するために求められる。例えば、追加の材料、材料の組み合わせ及び/又は材料の省略を、本明細書における教示事項の範囲内である追加された実施形態を提供するために用いてよい。
【0231】
本発明の構成要素または本発明の(1または複数の)実施形態を導入する場合、冠詞「a」、「an」および「the」は、1以上の構成要素が存在することを意味することが意図される。同様に、形容詞「もう1つの(または別の)」は、構成要素を導入するのに用いられる場合、1以上の構成要素を意味することが意図される。用語「含む」および「有する」は、列挙された構成要素以外に追加の構成要素が存在してよいように包含的であることが意図される。
【0232】
本願において、構成要素(例えば電極材料、電解質等)、状態(または条件)(例えば温度、種々のレベルにおける種々の不純物が存在しないこと)および性能特性(例えば初期サイクルと比較したサイクル後の容量、低リーク電流等)を含む種々の可変物(または変数)が記載されているが、これらに限定されない。これらの可変物のいずれかの任意の組み合わせが本発明の一の実施形態を定義し得ることが理解されるべきである。例えば、特定の温度範囲の下における、特定の値のサイクル後容量及びリーク電流で作動する、特定の量より少ない不純物を含む、特定の電極材料の特定の電解質との組み合わせ(これらの可変物は可能性として含まれるが特定の組み合わせは明確に提示されてないかも知れない)は、本発明の一の実施形態である。当業者に明らかであるように、物品、構成要素、状態および/または方法の他の組み合わせもまた、他の実施形態を定義するために、本明細書に列挙される可変物の中から具体的に選択され得る。
【0233】
種々の構成要素または技術が特定の必要な又は有益な機能性または特徴を提供してよいことが認識されるだろう。従って、これらの機能および特徴は、添付の特許請求の範囲およびその変形の裏付けに必要であり得、本明細書における教示事項の一部および開示される発明の一部として本質的に含まれるものと理解される。
【0234】
例示的実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更を行ってよく、かつ本発明の構成要素を均等物で置き換えてよいことが理解されるだろう。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく特定の機器、状態または材料を本発明の教示事項に適合するための多数の変形が理解されるだろう。従って、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良の形態として開示される特定の実施形態に限定されず、本明細書に添付の特許請求の範囲によって理解されるべきであることが意図される。
本願発明は以下の態様を含む。
(態様1)
垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体の製造方法であって、
実質的に酸素のない環境中に基材を装着すること;
基材上に触媒を配置して基体を提供すること;
基体を原材料ガスに付し、基体上に集合体を成長させるために原材料ガスおよび基体の少なくとも一方を加熱すること;ならびに
実質的に酸素のない環境において集合体を冷却すること
を含む、方法。
(態様2)
基材が、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウム、マンガン、コバルト、銅、銀、金、白金、ニオブ、タンタル、鉛、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、インジウム、蛍光物質およびアンチモン;前記の合金、前記の酸化物、シリコン、石英、ガラス、雲母、黒鉛、ダイヤモンドならびにセラミックの少なくとも1つを含む、態様1に記載の方法。
(態様3)
触媒を配置することが、スパッタリング蒸発、カソードアーク蒸着、スパッタ蒸着、イオンビーム支援蒸着、イオンビーム誘起蒸着、およびエレクトロスプレーイオン化の少なくとも1つを用いることを含む、態様1に記載の方法。
(態様4)
触媒を配置することが、約0.1nm~約100nm、約0.5nm~約5nmおよび約0.8nm~約2nmのいずれか1つの厚さを配置することを含む、態様1に記載の方法。
(態様5)
触媒をパターニングして集合体の成形を制御することを更に含む、態様3に記載の方法。
(態様6)
触媒を配置することが、非連続および実質的に連続のいずれか一方である層を配置することを含む、態様1に記載の方法。
(態様7)
集合体の成長の間に、基体を触媒活性化材料に付すことを更に含む、態様1に記載の方法。
(態様8)
触媒活性化材料を原材料ガスに加えることを更に含む、態様7に記載の方法。
(態様9)
原材料ガスが、メタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンプロピレンおよびアセチレンの少なくとも1つを含む、態様1に記載の方法。
(態様10)
原材料ガスが、メタノールおよびエタノール、アセトン、一酸化炭素、ならびに低炭素の酸素含有化合物の少なくとも1つを更に含む、態様9に記載の方法。
(態様11)
汚染物質の蓄積を制限するように処理される構成要素を備える製造装置を選択することを更に含む、態様1に記載の方法。
(態様12)
構成要素の処理が、少なくとも1つの不動態化材料で構成要素を不動態化することを含む、態様11に記載の方法。
(態様13)
不動態化材料がシリコン含有材料を含む、態様12に記載の方法。
(態様14)
一旦成長すると、集合体は約300m /g~約2,200m /gの比表面積SAを有する、態様1に記載の方法。
(態様15)
一旦成長すると、集合体は約0.002g/cm ~約0.2g/cm の重量密度(ρ )を有する、態様1に記載の方法。
(態様16)
一旦成長すると、集合体は約50μm~約5mmの高さを有する、態様1に記載の方法。
(態様17)
一旦成長すると、集合体中のカーボンナノチューブは約1~10個の壁を含む、態様1に記載の方法。
(態様18)
一旦成長すると、集合体中のカーボンナノチューブは約0.7nm~約10nmの直径を有する、態様1に記載の方法。
(態様19)
一旦成長すると、集合体は約10 CNT/cm ~約10 12 CNT/cm の密度を有する、態様1に記載の方法。
(態様20)
触媒が、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、それらの塩化物、それらの合金、それらとアルミニウム、アルミナ、チタニア、窒化チタンおよび酸化ケイ素の少なくとも1つとの複合体;鉄-モリブデンフィルム、アルミナ-鉄フィルム、アルミナ-コバルトフィルム、アルミナ-鉄-モリブデンフィルム、アルミニウム-鉄フィルムおよびアルミニウム-鉄-モリブデンフィルムの少なくとも1つを含む、態様1に記載の方法。
(態様21)
触媒が複数の層を含む、態様1に記載の方法。
(態様22)
基材および触媒の少なくとも一方に浸炭防止層を配置することを更に含む、態様1に記載の方法。
(態様23)
浸炭防止層が、金属およびセラミック材料の少なくとも一方を含む、態様22に記載の方法。
(態様24)
浸炭防止層が、約1nm~約500nmの厚さである、態様22に記載の方法。
態様1に記載の方法。
(態様25)
浸炭防止層が、銅、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化クロム、酸化ホウ素、酸化カルシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウムおよび窒化ケイ素の少なくとも1つを含む、態様22に記載の方法。
(態様26)
垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体を製造する装置であって、
実質的に酸素のない環境中に基材を装着するためのローダー部:
基材上に触媒を配置して基体を提供するためのスパッタリング部;
基体を原材料ガスに付し、基体上に集合体を成長させるために原材料ガスおよび基体の少なくとも一方を加熱するための炭素沈積部;ならびに
実質的に酸素のない環境において集合体を冷却するための冷却部
を含む、装置。
(態様27)
ローダー部が、実質的に酸素のない環境を提供するための制御装置を含む、態様26に記載の装置。
(態様28)
スパッタリング部が、スパッタリング蒸発、カソードアーク蒸着、スパッタ蒸着、イオンビーム支援蒸着、イオンビーム誘起蒸着、およびエレクトロスプレーイオン化の少なくとも1つのための装置を含む、態様26に記載の装置。
(態様29)
触媒の形態を調節するようになっている触媒の仕上げ加工部を更に含む、態様26に記載の装置。
(態様30)
触媒の仕上げ加工部がグロー放電ユニットを含む、態様29に記載の装置。
(態様31)
炭素沈積部が化学蒸着装置を含む、態様26に記載の装置。
(態様32)
炭素沈積部がガス注入器を含む、態様26に記載の装置。
(態様33)
装置の少なくとも1つの構成要素が不動態化された、態様26に記載の装置。
(態様34)
ウルトラキャパシタの電極の製造方法であって、電極は、垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体を含み、前記方法は:
実質的に酸素のない環境中に基材を装着すること;基材上に触媒を配置して基体を提供すること;基体を原材料ガスに付し、原材料ガスおよび基体の少なくとも一方を加熱して基体上に集合体を成長させること;ならびに実質的に酸素のない環境において集合体を冷却することによって製造された集合体を選択することと、
集合体を集電体と接合すること、集合体を基体から取り外して集電体を集合体上に配置すること、および集合体を他の炭素質材料と組み合わせてその組み合わせを集電体と接合することの1つと
を含む、方法。
(態様35)
追加の集合体および追加の炭素質材料の少なくとも一方を電極に加えることを更に含む、態様34に記載の方法。
(態様36)
移動させることが、集合体の表面に結合層を形成すること、および集合体を集電体に結合することを含む、態様34に記載の方法。
(態様37)
取り外すことが、製造後プロセスにおいて集合体を処理して基体からの集合体の分離を促進することを含む、態様34に記載の方法。
(態様38)
集電体を配置することが、層を集合体に沈積させることを含む、態様37に記載の方法。
(態様39)
組み合わせることが、集合体のもう1つの層の表面に集合体を配置することを含む、態様34に記載の方法。
(態様40)
組み合わせることが、他の炭素質材料の層の表面に集合体を配置することを含む、態様34に記載の方法。
(態様41)
他の炭素質材料が、活性炭、炭素繊維、レーヨン、グラフェン、エアロゲル、炭素布および複数の形態のカーボンナノチューブの少なくとも1つを含む、態様34に記載の方法。
(態様42)
集合体を処理してカーボンナノチューブの表面積SAを増加させることを更に含む、態様34に記載の方法。
(態様43)
処理することが、集合体を酸化させることを含む、態様42に記載の方法。
(態様44)
エネルギー貯蔵システムのための電極の製造方法であって、
上に配置された一の厚さの垂直に配列されたカーボンナノチューブ(CNT)を含む基体を選択すること;
前記厚さのCNT上に結合層を配置すること;
結合層を集電体と結合させて、前記厚さのCNTを圧縮すること;および
CNTから基体を除去して電極を提供すること
を含む、方法。
(態様45)
圧縮されたCNTが周期的変形を示す、態様44に記載の方法。
(態様46)
CNTの少なくとももう1つの層を電極上に配置することを更に含む、態様44に記載の方法。
(態様47)
前記CNTの少なくとももう1つの層を圧縮することを更に含む、態様46に記載の方法。
(態様48)
選択することが、基体からのCNTの分離を促進するように処理された基体を選択することを含む、態様44に記載の方法。
(態様49)
処理が、基体およびCNTを加熱することを含む、態様48に記載の方法。
(態様50)
エネルギー貯蔵システムのための電極であって、
上に配置された結合層を含む集電体;
上に配置された結合層を含む圧縮された垂直に配列されたカーボンナノチューブ(CNT)の少なくとも1つの層;
を含み、
集電体の結合層が、圧縮されたCNTの層の結合層に結合される、電極。
(態様51)
上に配置された結合層を含む集電体と、上に配置された結合層を含む圧縮された垂直に配列されたカーボンナノチューブ(CNT)の少なくとも1つの層とを含む少なくとも1つの電極であって、集電体の結合層が、圧縮されたCNTの層の結合層に結合される、電極;および
少なくとも1つの電極を濡らす電解質
を含む、ウルトラキャパシタ。
(態様52)
ウルトラキャパシタのハウジングが、角柱形および円筒形の一方である、態様51に記載のウルトラキャパシタ。
(態様53)
ウルトラキャパシタの製造方法であって、ウルトラキャパシタは、垂直に配列されたカーボンナノチューブの集合体を含む少なくとも1つの電極を含み、前記方法は:
実質的に酸素のない環境中に基材を装着すること;基材上に触媒を配置して基体を提供すること;基体を原材料ガスに付し、原材料ガスおよび基体の少なくとも一方を加熱して基体上に集合体を成長させること;ならびに実質的に酸素のない環境において集合体を冷却することによって製造された集合体を選択することと、集合体を集電体上に移動させること、基体から集合体を取り外して集合体上に集電体を配置すること、および集合体を集電体上で他の炭素質材料と組み合わせて電極を提供することの1つとによって製造された電極を選択すること;ならびに
電極をウルトラキャパシタに組み込むこと
を含む、方法。
(態様54)
電解質およびセパレータの少なくとも一方をウルトラキャパシタに組み込むことを更に含む、態様53に記載の方法。
(態様55)
ウルトラキャパシタを密封することを更に含む、態様53に記載の方法。
(態様56)
エネルギー貯蔵システムのための電極の製造方法であって、
集電体と、集電体の表面に配置された第1の接合層とを含む基部を選択すること;および
第2の接合層を第1の接合層と接合することであって、第2の接合層はその上に配置された炭素質層を含み、炭素質層は電荷を貯蔵するための材料を含む、こと
を含む、方法。
(態様57)
接合することが、接合層を加熱すること及び接合層を一緒に加圧することの少なくとも一方を含む、態様56に記載の方法。
(態様58)
加熱の温度範囲が約150℃~約600℃である、態様54に記載の方法。
(態様59)
炭素質層から基体層を除去して炭素質層を露出させることを更に含む、態様56に記載の方法。
(態様60)
基部を製造するときに集電体から酸化物を除去することを更に含む、態様56に記載の方法。
(態様61)
炭素質層が、化学蒸着(CVD)によって沈積される、態様56に記載の方法。
(態様62)
接合層の少なくとも1つが、マグネトロンスパッタリングおよび熱蒸発の一方によって沈積される、態様56に記載の方法。
(態様63)
集電体と、集電体の表面に配置された第1の接合層とを含む基部;および
第1の接合層と接合された第2の接合層であって、第2の接合層は、その上に配置された炭素質層を含み、炭素質層は電荷を貯蔵するための材料を含む、第2の接合層
を含む、電極。
(態様64)
炭素質層が、活性炭、炭素繊維、レーヨン、グラフェン、エアロゲル、炭素布、カーボンナノホーン、エッチングされたアルミニウム、カーボンナノチューブ(CNT)およびそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、態様63に記載の電極。
(態様65)
集電体が、アルミニウム、銅、ステンレススチール、ニッケル、鉄、タンタル、導電性酸化物およびそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、態様63に記載の電極。
(態様66)
集電体が、キャパシタの電解質との低い反応速度を示す、態様63に記載の電極。
(態様67)
集電体が実質的に酸化物を含まない、態様63に記載の電極。
(態様68)
集電体と第1の接合層との間に配置される接着層、炭素質層と第2の接合層との間に配置されるオーミック層、および炭素質層が上に配置された基体層の少なくとも1つを更に含む、態様63に記載の電極。
(態様69)
接着層は、集電体と第1の接合層との間の接着性を向上させるようになっている、態様68に記載の電極。
(態様70)
接着層が、チタン、タングステン、クロムおよびそれらの組み合わせの1つを含む、態様68に記載の電極。
(態様71)
オーミック層が、キャパシタの電解質との低い反応速度を示す、態様68に記載の電極。
(態様72)
オーミック層が、アルミニウム、タンタルおよび白金の少なくとも1つを含む、態様68に記載の電極。
(態様73)
基体層が、炭素質層中の材料に対するホストとして選択され、かつ機械的可とう性で選択される、態様68に記載の電極。
(態様74)
第1の接合層および第2の接合層の一方が、白金、金、銀、パラジウム、スズ、ニッケル、銅およびそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、態様63に記載の電極。
(態様75)
集電体および集電体の表面に配置された第1の接合層を含む基部と、第1の接合層に接合された第2の接合層であって、その上に配置された炭素質層を含み、炭素質層はウルトラキャパシタの電荷を貯蔵するための材料を含む、第2の接合層とを含む少なくとも1つの電極を備えるハウジング;ならびに
ハウジングの中に配置される電解質および誘電材料の少なくとも一方を含み、少なくとも1つの電極はハウジングの出力電極に連結される、ウルトラキャパシタ。
(態様76)
ウルトラキャパシタのハウジングが、角柱形および円筒形の一方である、態様75に記載のウルトラキャパシタ。
(態様77)
エネルギー貯蔵デバイスのためのマルチフォーム電極を提供する方法であって、
集電体と電気的に接触するカーボンナノチューブの集合体を含む電極を選択すること;
キャリア材料中に分散した少なくとも1つのナノフォームカーボンを集合体の上に配置すること;および
キャリア材料を放出してマルチフォーム電極を提供すること
を含む、方法。
(態様78)
集合体が、垂直に配列されたカーボンナノチューブを含む、態様77に記載の方法。
(態様79)
集電体が、アルミニウムおよびアルミニウム合金の少なくとも1つを含む、態様77に記載の方法。
(態様80)
配置することが、ナノフォームカーボンを含む浴に電極を浸漬することを含む、態様77に記載の方法。
(態様81)
浴から電極を回収することを更に含む、態様80に記載の方法。
(態様82)
前記放出のために浴を蒸発させることを更に含む、態様80に記載の方法。
(態様83)
配置することが、アプリケータを用いてナノフォームカーボンを適用することを含む、態様77に記載の方法。
(態様84)
放出することが、上に配置されたナノフォームカーボンを含む電極を加熱することを含む、態様77に記載の方法。
(態様85)
配置することが、単層ナノチューブ、多層ナノチューブ、ナノホーン、ナノオニオン、カーボンブラック、フラーレン、グラフェン、酸化グラフェン、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、導電性ポリマーの少なくとも1つの形態、および上述のものの処理された形態の少なくとも1つをキャリア材料に混入することを含む、態様77に記載の方法。
態様77に記載の方法。
(態様86)
配置することを制御して、マルチフォーム電極におけるエネルギー貯蔵媒体の所望の特性を達成することを更に含む、態様77に記載の方法。
(態様87)
特性が、エネルギー貯蔵媒体の密度を含む、態様86に記載の方法。
(態様88)
エネルギー貯蔵デバイスのためのマルチフォーム電極であって、
集電体の表面に配置されたカーボンナノチューブの集合体であって、集合体は、キャリア材料中に分配されたナノフォームカーボンを含む溶液として集合体の上に配置されたナノフォームカーボンの少なくとも1つの追加の層を更に含む、集合体
を含む、マルチフォーム電極。
(態様89)
集合体が、垂直に配列されたカーボンナノチューブを含む、態様88に記載のマルチフォーム電極。
(態様90)
集電体が、アルミニウムおよびアルミニウム合金の少なくとも一方を含む、態様89に記載のマルチフォーム電極。
(態様91)
中に配置されたマルチフォーム電極を少なくとも含むハウジング;
集電体の表面に配置されたカーボンナノチューブの集合体を含むマルチフォーム電極であって、集合体は、キャリア材料中に分配されたナノフォームカーボンを含む溶液として集合体の上に配置されたナノフォームカーボンの少なくとも1つの追加の層を更に含む、マルチフォーム電極;および
ウルトラキャパシタ内のイオン輸送をもたらす電解質
を含む、ウルトラキャパシタ。
(態様92)
ウルトラキャパシタのハウジングが、角柱形および円筒形の一方である、態様91に記載のウルトラキャパシタ。
(態様93)
電解質が、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウム、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム、1,3-ビス(3-シアノプロピル)イミダゾリウム、1,3-ジエトキシイミダゾリウム、1-ブチル-1-メチルピペリジニウム、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-4-メチルピリジニウム、1-ブチルピリジニウム、1-デシル-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、3-メチル-1-プロピルピリジニウムおよびこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、態様91に記載のウルトラキャパシタ。
(態様94)
電解質が、ビス(トリフルオロメタンスルホナート)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホナート)メチド、ジシアナミド、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスフェート、トリフルオロメタンスルホナート、ビス(ペンタフルオロエタンスルホナート)イミド、チオシアナート、トリフルオロ(トリフルオロメチル)ボレートおよびこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、態様91に記載のウルトラキャパシタ。
(態様95)
ナノフォームカーボンが、単層ナノチューブ、多層ナノチューブ、ナノホーン、ナノオニオン、カーボンブラック、フラーレン、グラフェン、酸化グラフェン、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、導電性ポリマーの少なくとも1つの形態、および上述のものの処理された形態の少なくとも1つを含む、態様91に記載のウルトラキャパシタ。
(態様96)
電解質が、アセトニトリル、アミド、ベンゾニトリル、ブチロラクトン、環状エーテル、ジブチルカーボナート、ジエチルカーボナート、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジメチルカーボナート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホン、ジオキサン、ジオキソラン、ギ酸エチル、エチレンカーボナート,エチルメチルカーボナート、ラクトン、直鎖状エーテル、ギ酸メチル、メチルプロピオナート、メチルテトラヒドロフラン、ニトリル、ニトロベンゼン、ニトロメタン、n-メチルピロリドン、プロピレンカーボナート、スルホラン、スルホン、テトラヒドロフラン、テトラメチレンスルホン、チオフェン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、炭酸エステル、γ-ブチロラクトン、ニトリル、トリシアノヘキサン、これらのいずれかの組み合わせの少なくとも1つを含む、態様91に記載のウルトラキャパシタ。
(態様97)
炭素質集合体を提供する方法であって、
配列されたカーボンナノチューブの集合体を第1の溶液中に分散させること;
炭素添加物を第2の溶液中に分散させること;
第1の溶液および第2の溶液を超音波混合すること;
混合された第1の溶液と混合された第2の溶液とを混合して混合溶液を提供すること;
混合溶液を超音波混合すること;
混合された混合溶液から炭素質集合体を得ること
を含む、方法。
(態様98)
炭素質集合体を、エネルギー貯蔵媒体としてウルトラキャパシタの電極に組み込むことを更に含む、態様97に記載の方法。
(態様99)
炭素質集合体を、エネルギー貯蔵媒体としてエネルギー貯蔵セルの電極に組み込むことを更に含む、態様97に記載の方法。
(態様100)
組み込むことが、エネルギー貯蔵媒体の密度、厚さおよび面積の少なくとも1つを制御することを含む、態様97に記載の方法。
(態様101)
炭素添加物を分散させることが、活性炭、炭素粉末、炭素繊維、レーヨン、グラフェン、エアロゲル、ナノホーンおよびカーボンナノチューブの少なくとも1つを分散させることを含む、態様97に記載の方法。
(態様102)
溶液を超音波混合することが、溶液中の炭素を引き出すこと、膨らませること及び分解することの少なくとも1つに対して十分な時間、炭素を混合することを含む、態様97に記載の方法。
(態様103)
炭素質集合体を乾燥させること、平らにすること、圧縮すること、加熱すること、処理すること、および成形することの少なくとも1つを更に含む、態様97に記載の方法。
(態様104)
炭素質集合体を含むエネルギー貯蔵媒体を備える電極であって、
上に配置された炭素質集合体を含む集電体であって、集合体は、超音波処理したカーボンナノフォームの組み合わせを含む、集電体
を含む、電極。
(態様105)
カーボンナノフォームの少なくとも1つが、活性炭、炭素粉末、炭素繊維、レーヨン、グラフェン、エアロゲル、ナノホーンおよびカーボンナノチューブを含む、態様104に記載の電極。
(態様106)
炭素質集合体を含むエネルギー貯蔵媒体を備える少なくとも1つの電極であって、電極は、上に配置された炭素質集合体を含む集電体を含み、集合体は、超音波処理したカーボンナノフォームの組み合わせを含む、電極
を含む、ウルトラキャパシタ。
(態様107)
電解質を更に含む、態様106に記載のウルトラキャパシタ。
(態様108)
電極の構成要素の製造方法であって、
上に配置されたカーボンナノチューブの集合体を含む基体を選択すること;
導電性材料の層を集合体の上に沈積させること;および
基体から集合体および導電性材料を取り外すこと
を含む、方法。
(態様109)
集合体を処理して、集合体と基体との結合を弱めることを更に含む、態様108に記載の方法。
(態様110)
処理することが、結合を酸化させることを含む、態様109に記載の方法。
(態様111)
処理することが、集合体および基体の少なくとも一方を加熱することを含む、態様109に記載の方法。
(態様112)
取り外すことが、移動器具を導電性材料に適用し、基体から集合体を持ち上げることを含む、態様108に記載の方法。
(態様113)
移動器具が、熱剥離テープおよび空気動力工具の一方を含む、態様112に記載の方法。
(態様114)
リード線を電気的接続として導電性材料に連結することを更に含む、態様108に記載の方法。
(態様115)
連結をもたらすために酸化物層を除去することを更に含む、態様114に記載の方法。
(態様116)
連結することが、超音波溶接することを含む、態様115に記載の方法。
(態様117)
電極を提供するために一緒に連結される複数の構成要素を更に含む、態様108に記載の方法。
(態様118)
複数の電極構成要素であって、各構成要素は、カーボンナノチューブの集合体と、その上に配置された導電性材料の層とを含む、電極構成要素
を含む電極であって、
構成要素の各々は構成要素の別の1つと連結され、少なくとも1つの連結は、構成要素の導電性材料との結合を含む、電極。
(態様119)
連結の少なくとも1つが接合部を含む、態様118に記載の電極。
(態様120)
カーボンナノチューブが、垂直に配列されたカーボンナノチューブを含む、態様118に記載の電極。
(態様121)
導電性材料が、アルミニウムおよびアルミニウム合金の一方を含む、態様118に記載の電極。
(態様122)
複数の電極構成要素を含む少なくとも1つの電極であって、各々の構成要素はカーボンナノチューブの集合体と、その上に配置された導電性材料の層とを含み;構成要素の各々は構成要素の別の1つと連結され、少なくとも1つの連結は、構成要素の導電性材料との結合を含む、電極;
少なくとも1つの電極を収容するハウジング;および
ウルトラキャパシタ内のイオンの輸送をもたらす電解質
を含むウルトラキャパシタ。
(態様123)
電極の製造方法であって、
カーボンナノチューブ(CNT)の層状の積層体を得ること;
層状の積層体を溶液で濡らすこと;
層状の積層体を圧縮すること;
圧縮された層状の積層体を乾燥させること;および
圧縮された層状の積層体に集電体を適用すること
を含む、方法。
(態様124)
濡らすことが、溶液の浴および噴霧の少なくとも一方を用いることを含む、態様123に記載の方法。
(態様125)
圧縮することが、カレンダー機を用いて圧力をかけることを含む、態様123に記載の方法。
(態様126)
乾燥させることが、溶液を蒸発させること、圧縮された層状の積層体に真空を適用すること、および圧縮された層状の積層体を加熱することの少なくとも1つを含む、態様123に記載の方法。
(態様127)
層状の積層体中のCNTの層の少なくとも2つの間に、溶媒および炭素のナノフォームの溶液を配置することを更に含む、態様123に記載の方法。
(態様128)
溶液が、エタノール、イソプロピルアルコール、脱イオン水、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)およびジメチルスルホキシド(DMSO)の少なくとも1つを含む、態様123に記載の方法。
(態様129)
エネルギー貯蔵のための電極であって、
垂直に配列されたカーボンナノチューブ(CNT)の圧縮された層状の積層体および該積層体の上に配置された集電体
を含む、電極。
(態様130)
集電体が、化学蒸着(CVD)、スパッタリング蒸発、カソードアーク蒸着、スパッタ蒸着、イオンビーム支援蒸着、イオンビーム誘起蒸着、およびエレクトロスプレーイオン化の少なくとも1つによってCNTの上に配置される、態様129に記載の電極。
(態様131)
カーボンナノチューブ(CNT)の圧縮された層状の積層体と、該積層体の上に配置された集電体とを含む少なくとも1つの電極;および
電極に貯蔵されたエネルギーをウルトラキャパシタの少なくとも1つの端子に輸送するための電解質
を含むウルトラキャパシタ。
(態様132)
ウルトラキャパシタの使用方法であって、
電解質および2つの電極を含むウルトラキャパシタであって、電極の各々は、集電体と電気的に連通し且つセパレータによって他方の電極から離隔される、ウルトラキャパシタを得ること;ならびに
ウルトラキャパシタを二者択一的に充電および放電することによりウルトラキャパシタをサイクルさせることであって、ウルトラキャパシタの出力される電力密度が、各サイクルについて少なくとも12kW/kgであり、最大で約250kW/kgであること
を含む、方法。
(態様133)
ウルトラキャパシタは、約1000万回サイクルするようになっている、態様132に記載の方法。
(態様134)
ウルトラキャパシタの使用方法であって、
電解質および2つの電極を含むウルトラキャパシタであって、電極の各々は、集電体と電気的に連通し且つセパレータによって他方の電極から離隔される、ウルトラキャパシタを得ること;ならびに
ウルトラキャパシタを二者択一的に充電および放電することによりウルトラキャパシタをサイクルさせることであって、ウルトラキャパシタの出力されるエネルギー密度が、各サイクルについて少なくとも1Wh/kgであり、最大で約35Wh/kgであること
を含む、方法。
(態様135)
ウルトラキャパシタは、約1000万回サイクルするようになっている、態様134に記載の方法。
(態様136)
ウルトラキャパシタの使用方法であって、
電解質および2つの電極を含むウルトラキャパシタであって、電極の各々は、集電体と電気的に連通し且つセパレータによって他方の電極から離隔される、ウルトラキャパシタを得ること;ならびに
ウルトラキャパシタを横切る電圧を最大電圧と最大電圧の約半分との間に保持しながら、ウルトラキャパシタを二者択一的に充電および放電することによりウルトラキャパシタをサイクルさせることであって、充電および放電が、ウルトラキャパシタからの出力をもたらし、1回の充電または放電において少なくとも3.75Wh/kgのエネルギーであること
を含む、方法。
(態様137)
ウルトラキャパシタは、約1000万回サイクルするようになっている、態様136に記載の方法。
(態様138)
最大電圧が約4ボルトである、態様136に記載の方法。
(態様139)
ウルトラキャパシタの使用方法であって、前記方法は、
電解質および2つの電極を含むウルトラキャパシタであって、電極の各々は、集電体と電気的に連通し且つセパレータによって他方の電極から離隔される、ウルトラキャパシタを得ること
を含み、
ウルトラキャパシタの充電および放電の一方が、約7Wh-kW/kg ~約250Wh-kW/kg の範囲の電力およびエネルギーの組み合わせをもたらし、電力の積は、ウルトラキャパシタの質量で除され、エネルギーはウルトラキャパシタの質量で除される、方法。
(態様140)
範囲が、約25Wh-kW/kg ~約250Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様141)
範囲が、約50Wh-kW/kg ~約250Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様142)
範囲が、約100Wh-kW/kg ~約250Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様143)
範囲が、約150Wh-kW/kg ~約250Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様144)
範囲が、約200Wh-kW/kg ~約250Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様145)
範囲が、約7Wh-kW/kg ~約200Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様146)
範囲が、約25Wh-kW/kg ~約200Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様147)
範囲が、約50Wh-kW/kg ~約200Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様148)
範囲が、約100Wh-kW/kg ~約200Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様149)
範囲が、約150Wh-kW/kg ~約200Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様150)
範囲が、約7Wh-kW/kg ~約150Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様151)
範囲が、約25Wh-kW/kg ~約150Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様152)
範囲が、約50Wh-kW/kg ~約150Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様153)
範囲が、約100Wh-kW/kg ~約150Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様154)
範囲が、約7Wh-kW/kg ~約100Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様155)
範囲が、約25Wh-kW/kg ~約100Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様156)
範囲が、約50Wh-kW/kg ~約100Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様157)
範囲が、約7Wh-kW/kg ~約50Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様158)
範囲が、約25Wh-kW/kg ~約50Wh-kW/kg の範囲である、態様139に記載の方法。
(態様159)
ウルトラキャパシタの使用方法であって、前記方法は、
電解質および2つの電極を含むウルトラキャパシタであって、電極の各々は集電体と電気的に連通し且つセパレータによって他方の電極から離隔される、ウルトラキャパシタを得ること
を含み、
ウルトラキャパシタを横切る電圧を最大電圧と最大電圧の約半分との間に保持している間の、ウルトラキャパシタの充電および放電の一方が、約7Wh-kW/kg ~約250Wh-kW/kg の範囲の電力およびエネルギーの組み合わせをもたらし、電力の積は、ウルトラキャパシタの質量で除され、エネルギーはウルトラキャパシタの質量で除される、方法。
(態様160)
範囲が、約5Wh-kW/kg ~約190Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様161)
範囲が、約19Wh-kW/kg ~約190Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様162)
範囲が、約38Wh-kW/kg ~約190Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様163)
範囲が、約75Wh-kW/kg ~約190Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様164)
範囲が、約112Wh-kW/kg ~約190Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様165)
範囲が、約150Wh-kW/kg ~約190Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様166)
範囲が、約5Wh-kW/kg ~約150Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様167)
範囲が、約19Wh-kW/kg ~約150Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様168)
範囲が、約38Wh-kW/kg ~約150Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様169)
範囲が、約75Wh-kW/kg ~約150Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様170)
範囲が、約112Wh-kW/kg ~約150Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様171)
範囲が、約5Wh-kW/kg ~約112Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様172)
範囲が、約19Wh-kW/kg ~約112Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様173)
範囲が、約38Wh-kW/kg ~約112Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様174)
範囲が、約75Wh-kW/kg ~約112Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様175)
範囲が、約5Wh-kW/kg ~約75Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様176)
範囲が、約19Wh-kW/kg ~約75Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様177)
範囲が、約38Wh-kW/kg ~約75Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様178)
範囲が、約5Wh-kW/kg ~約38Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
(態様179)
範囲が、約19Wh-kW/kg ~約38Wh-kW/kg の範囲である、態様159に記載の方法。
【外国語明細書】