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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096954
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】モーション検出器
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/13 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
G06F17/13
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024067329
(22)【出願日】2024-04-18
(62)【分割の表示】P 2023002793の分割
【原出願日】2018-05-08
(31)【優先権主張番号】1707247.1
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】521391243
【氏名又は名称】オプテラン テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】コープ,アレックス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】運動(モーション、動き)を検出する検出器を提供すること。
【解決手段】モーション検出器(角度検出器)100は、電磁波又は音波の変化等の環境変化に反応する複数のセンサ102から入力110、112を受ける入力インタフェースと、複数の入力のうちの選択された入力に反応するプロセッサ124、126と、を備える。プロセッサは、選択された入力のうちの定常状態入力に応じて、零出力を生成する第1のフィルタと、第1のフィルタの出力に応じて、定常状態における第1のフィルタの出力に等しい出力を生成する第2のフィルタと、第2のフィルタの選択された出力から時間的に重なり合う出力の指標を求める相関器回路と、相関器回路からの出力に応じて、相関器回路からの選択された出力の比を得る比取得回路と、を備える。比取得回路において、その比は少なくとも1つの運動方向に関連付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーションを検出する検出器であって、
電磁気波または音波といった環境の変化に反応する複数のセンサから入力を受ける入力インタフェース、および、
複数の前記入力のうち選択された入力に応じるプロセッサ回路であり、
複数の第1の出力を生成する第1のフィルタであり、
前記複数の第1の出力は、前記選択された入力の定常状態に応じて零であり、
前記選択された入力を使用して、第1の時定数を含む第1の微分方程式を解くための回路を備える、
第1のフィルタと、
前記第1のフィルタの前記複数の第1の出力に応じて、複数の第2の出力を生成する第2のフィルタであり、
前記複数の第2の出力の各出力は、前記定常状態における前記第1のフィルタの前記複数の第1の出力のうち対応する出力に等しく、
前記選択された入力を使用して、第2の時定数を含む第2の微分方程式を解くための回路を備える、
第2のフィルタと、
前記第2のフィルタの前記複数の第2の出力のうち選択された出力から時間的に重なり合う出力の指標を決定するように構成された、相関器回路と、
前記相関器回路からの出力に応じて、前記相関器回路から選択された出力の比を決定するための比決定回路であり、
前記比は、モーションの少なくとも1つの方向に関連付けられる、
比決定回路と、を含む、
プロセッサ回路、
を含む、検出器。
【請求項2】
前記第1のフィルタの前記複数の第1の出力に応じて、第2の微分方程式を解くための前記第2のフィルタは、
【数1】
を解くための回路を含み、
ここで、cは、ノードの活動度であり、各ノードからの出力aは、対応するノードの活動度であり、tは、時間であり、かつ、τ[f,s,n]は、時定数である、
請求項1に記載の検出器。
【請求項3】
前記時定数はτ[f,s,n]、τ<τ<τである、
請求項2に記載の検出器。
【請求項4】
前記時定数τ及びτは、既定の関係を有しており、
前記既定の関係は、既定の比を含む、
請求項2に記載の検出器。
【請求項5】
前記既定の比はτ:τ=3:1である、
請求項4に記載の検出器。
【請求項6】
前記相関器回路は、
前記第2のフィルタの前記複数の第2の出力のうち前記選択された出力からの遅延出力及び非遅延出力を処理して、時間的に重なり合う出力の前記指標を決定する、ように構成されている、
請求項1に記載の検出器。
【請求項7】
前記比決定回路は、前記相関器回路からの出力に応じて、前記相関器回路からの選択された出力の比を決定し、
モーションの少なくとも1つの方向に関連付けられている前記比は、前記相関器回路からの出力の総和の比を決定する回路を備える、
請求項6に記載の検出器。
【請求項8】
前記相関器回路からの出力の総和の比を決定する前記回路は、
【数2】
と、
【数3】
と、を評価する回路を備え、
ここで、前記センサから選択された点K=kaa,kbb,...,kzzの任意の組について、z={u,d,l,r}かつz’={d,u,r,l}であり、vは、倍率であり、Fmin及びSminは、センサ出力の選択数Nの下限である、
請求項7に記載の検出器。
【請求項9】
vは、既定の値を有する、
請求項8に記載の検出器。
【請求項10】
v>>1である、
請求項9に記載の検出器。
【請求項11】
min及びSminは、既定の関係を有する、
請求項10に記載の検出器。
【請求項12】
前記既定の関係は、前記センサによって検出される雑音の結果に影響を及ぼす、
請求項11に記載の検出器。
【請求項13】
前記既定の関係は、Fmin=αSminである、
請求項12に記載の検出器。
【請求項14】
α=0.1である、
請求項13に記載の検出器。
【請求項15】
モーションを検出する方法であって、
電磁波又は音波の変化に反応する複数のセンサからの入力を受けるステップと、
複数の前記入力のうちの入力を選択するステップと、
第1のフィルタを使用して、選択された入力をフィルタリングするステップであり、
複数の第1の出力を生成し、
前記複数の第1の出力は、前記選択された入力の定常状態に応じて零である、
ステップと、
第2のフィルタを使用して、前記第1のフィルタの前記複数の第1の出力に応じて、フィルタリングするステップであり、
複数の第2の出力を生成し、
前記複数の第2の出力の各出力は、前記定常状態における前記第1のフィルタの前記複数の第1の出力のうち対応する出力に等しい、
ステップと、
相関器回路を使用して、前記第2のフィルタの前記複数の第2の出力のうち選択された出力から時間的に重なり合う出力の指標を決定するステップと、
比決定回路を使用して、前記相関器回路から選択された出力の比を確立するステップであり、
前記比は、モーションの少なくとも1つの方向に関連付けられる、
ステップと、
前記比決定回路のサブレイヤを使用して、前記比から総和の比を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記総和の比を決定するステップは、
【数4】
と、
【数5】
と、を評価するステップを含み、
ここで、前記センサから選択された点K=kaa,kbb,...,kzzの任意の組について、z={u,d,l,r}かつz’={d,u,r,l}であり、vは、倍率であり、Fmin及びSminは、センサ出力の選択数Nの下限である、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記サブレイヤは、前記総和の比の計算においてReichardt-Hassenstein実施を適用することに関連付けられている、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
モーションを検出する検出器であって、
電磁気波または音波といった環境の変化に反応する複数のセンサから入力を受ける入力インタフェース、および、
複数の前記入力のうち選択された入力に応じるプロセッサ回路であり、
複数の第1の出力を生成する第1のフィルタであり、
前記複数の第1の出力は、前記選択された入力の定常状態に応じて零であり、
前記選択された入力を使用して、異なる相対値を伴う時定数を含む微分方程式を解くための回路を備える、
第1のフィルタと、
前記第1のフィルタの前記複数の第1の出力に応じて、複数の第2の出力を生成する第2のフィルタであり、
前記複数の第2の出力の各出力は、前記定常状態における前記第1のフィルタの前記複数の第1の出力のうち対応する出力に等しい、
第2のフィルタと、
前記第2のフィルタの前記複数の第2の出力のうち選択された出力から時間的に重なり合う出力の指標を決定するように構成された、相関器回路と、
前記相関器回路からの出力に応じて、前記相関器回路から選択された出力の比を決定するための比決定回路であり、
前記比は、モーションの少なくとも1つの方向に関連付けられる、
比決定回路と、を含む、
プロセッサ回路、
を含む、検出器。
【請求項19】
前記微分方程式は、
【数6】
であり、
ここで、aは、前記第1のフィルタにおけるノードの出力活動度であり、bは、前記ノードの適応活動度であり、xは、前記センサに入射する電磁波の変動又は音波の変動といった環境の変動に関連付けられる活動度であり、tは、時間であり、かつ、τ及びτは、時定数である、
請求項18に記載の検出器。
【請求項20】
τ> τである、請求項19に記載の検出器。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
種々の作業を行う際に、小型の無人車両又はドローンを利用することに対する関心が高まりつつある。かかる作業には、未知の環境を進むことが含まれうる。ある環境において、その環境内でドローンの位置を制御又は追跡するための、グローバルポジショニング信号(GPS:Global Positioning Signal)等の位置決め信号を利用できる場合もあれば、利用できない場合もある。位置決め信号又は他の参照信号がないエリアでは、ドローンは、所与の環境を構成する構造物又は所与の環境にある物体との衝突の回避を特に目的として、その環境内で自律的に動作できなければならない。同様に、共通の環境内で動作する複数のドローンは、集団として動作するにしても、独立して動作するにしても、衝突回避に関する同様の要件がある。このような衝突回避を実現するために、ドローンは、その環境を、詳細には、その環境における自らの運動(モーション、動き)を認識している必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1】モーション検出器の一例を示す図である。
図2】モーション検出のためのフローチャートの一例である。
図3】センサのアレイの一例を示す図である。
図4】いくつかの出力の例を示す図である。
図5】制御回路の一例を示す概略図である。
図6】プロセッサ及び機械実行可能命令又は回路の一例を示す図である。
図7】水平出力ユニット及び垂直出力ユニットの例を示す図である。
図8】水平出力ユニットの例を示す図である。
図9】垂直出力ユニットの例を示す図である。
図10】水平出力ユニット空間フィルタの例を示す図である。
図11】垂直出力ユニット空間フィルタの例を示す図である。
図12】性能グラフの例である。
図13】性能グラフの例である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
したがって、例示的な実施態様によれば、運動(モーション、動き)を検出する検出器を提供することができる。かかる検出器は、例えば、電磁波又は音波の変化等の環境変化に反応する複数のセンサから入力を受ける入力インタフェースと、複数の入力のうちの選択された入力に反応するプロセッサ回路とを備える。プロセッサ回路は、選択された入力のうちの定常状態入力に応じて、零出力を生成する第1のフィルタと、第1のフィルタの出力に応じて、定常状態における第1のフィルタの出力に等しい出力を生成する第2のフィルタと、第2のフィルタの選択された出力から時間的に重なり合う出力の指標を求める相関器回路と、相関器回路からの出力に応じて、相関器回路からの選択された出力の比を得る比取得回路であって、その比は少なくとも1つの運動方向に関連付けられる、比取得回路とを備える。
【0004】
選択された入力のうちの定常状態入力に応じて、零出力を生成する第1のフィルタが、選択された入力を用いて、異なる時定数を含む第1の微分方程式を解くか、又は実施する回路を備えることができる例示的な実施態様を実現することができる。
【0005】
定常状態における第1のフィルタの出力に応じて、定常状態における第1のフィルタの出力に等しい出力を生成するために、第1のフィルタの出力に反応する第2のフィルタが、定常状態における第1のフィルタの出力に等しい出力を生成するために、第2の微分方程式を解くか又は実施する回路を備えているという例示的な実施態様をとることができる。
【0006】
図1に、例示的な実施態様による、例えば、角速度検出器100等のモーション検出器(運動検出器)を示す。検出器100は、単数又は複数のそれぞれのセンサ102から、1つ又は2つ以上の入力を受信することができる。図示の例では、センサは、センサ上に入射する可視光を検出する感光センサである。図示の検出器100は、複数のそのようなセンサから入力を受信するように、すなわち、可視光、又は可視光に対応するもの以外の波長を有する電磁波を検出するように構成される。センサ102はいくつかの方法において構成することができる。例えば、センサ102は、図示のように、2Dアレイとして配列することができる。このようなアレイ内のセンサ102は、縦座標インデックス及び横座標インデックスとしてそれぞれi及びjを用いて、2つの直交する軸104を用いてインデックス付けすることができる。アレイはn×mアレイとして実現することができる。図示の例では、アレイは3×4アレイである。n及びmは任意の適切な値をとることができ、3及び4に限られないことは理解されよう。またさらに、図示されるアレイ102は略平面的である。しかし、アレイが、球面又は何らかの他の非直線若しくは非平面の表面等の非平面的である例示的な実施態様を実現することができる。さらに、アレイは、センサが互いに線形に配置されるように示されている。しかし、センサは、例えば、隣接する行が互いにオフセットされているオフセット方式等、他の何らかの方式により構成することができる。オフセットされたセンサ、又は少なくとも、同じ遷移等の同じ事象に対して同時には反応しないセンサを使用することは、共通の刺激に対応するシステムの応答を平滑化することができ、これは、突然の又は急激な光遷移等の突然の、又は急激な変化への応答が減衰するか、そうではなくても平滑化されるという利点を有する。
【0007】
センサ102の隣接する対からの出力は一緒に処理される。例えば、インデックスi,j及びi,j-1を有する第1の対のセンサ106及び108が、それぞれの出力110及び112を有するものとして示される。センサ114及び116という更に別の対の例も示している。更に別の対のセンサ114及び116はそれぞれの出力118及び120を有する。
【0008】
出力110、112、118、120は、バス又は他の通信手段により、それぞれのフィルタ136、138、136’、138’へと搬送又は伝達することができる。そのようなバス又は他の通信手段は、入力インタフェースを構成することができる。
【0009】
垂直に配置されたセンサの各隣接対からの出力はそれぞれ、プロセッサ124に入力される。水平に配置されたセンサの各隣接対からの出力はそれぞれ、プロセッサ126に入力される。それぞれのプロセッサ124及び126は、j軸及びi軸104に沿ってそれぞれの運動方向を特定する。図示の例において、運動方向はそれぞれ、左、右、上及び下を示す値、すなわち、Dl、Dr、Du及びDd(符号128~134)を用いて示される。
【0010】
垂直に配置される一対のセンサに対応する、プロセッサ124等のプロセッサは、いくつかのフィルタを備える。図示の例において、そのような2つのフィルタ136及び138が設けられる。フィルタ136及び138は、ノードに関連付けられる活動レベルaを特定するものである。ノードはセンサと同義である。活動レベルaは、入射光の変動に関連する。フィルタ136及び138は、一対の微分方程式に対する解を出力する。微分方程式が
【数1】

であるような例示的な実施態様をとることができる。ただし、aは、上記で示されたような、ノードの活動レベルであり、bはノードの適応活動度(adaptation activity)であり、xは入力点の活動度(activity)、すなわち、入射光又は他の放射の変動量であり、tは時間であり、τa及びτbは時定数である。これらの時定数は異なりうる。図示の例において、τb>τaであり、すなわち、適応値bは、活動レベルaより遅い時定数を有し、それは、入力の変化がaの変化を引き起こすことになるが、入力が変化しない場合には、bの値がaの値に接近し、aに関する微分方程式内の-b項に起因して、aが0になる傾向があることを意味する。フィルタ136及び138からの出力140及び142は、aに関するそれぞれの値を表す。さらに、aの正の値又は負の値、すなわち、オンセットエッジ(onset edges)又はオフセットエッジ(offset edges)、すなわち、それぞれ暗から明への遷移及び明から暗への遷移のみがレイヤ2に送られるか、正の値及び負の値の両方がレイヤ2に送られるように、レイヤ1(符号122)からの出力aをレイヤ2(符号148)に入力することができる例示的な実施態様を実現することができる。エッジは、第1の光レベルから第2の光レベルへの遷移を含むことができる。第2の光レベルは、第1の光レベルより高い強度、又は低い強度を有することができる。第1の光レベルからより高い第2の強度の光レベルへの遷移はオンセットエッジを構成することができる。第1の光レベルからより低い第2の強度の光レベルへの遷移はオフセットエッジを構成することができる。基本的には、式(1)は、絶対値とは異なり、光レベルの変化を検出する光レベル遷移検出器又はフィルタとして動作する。
【0011】
上記の微分方程式は、任意の時間的及び空間的なコントラスト入力変動に対して不変であることは理解されよう。例えば、定常状態の非零入力を考えると、レイヤ1(符号122)からの出力、すなわち、フィルタからのaは0になり、検出器100の出力も全体として0になり、それは、定常状態は運動がないことを表すため、予想通りである。適切には、適応がないことの結果として、レイヤ1の出力、すなわち、aが入力に等しくなる。
【0012】
プロセッサ124は、垂直な破線147によって表される左分岐144及び右分岐146を有する。右分岐144は、2つのフィルタ136及び138の出力からの入力を受信する。プロセッサ124は第2のレイヤ148を有する。第2のレイヤ148はいくつかのタイプのノードを有する。図示の例において、第2のレイヤは3つのタイプのノードを有する。図示の例において、右分岐144は、一対の高速ノード150-1及び150-2と、一対の中速ノード151-1及び151-2とを有する。左分岐146は、一対の低速ノード152-1及び152-2と、一対の中速ノード153-1及び153-2とを有する。ノード150~153は、以下の微分方程式に対する解を計算する。
【数2】

ただし、cはノードの活動度であり、各ノードからの出力aは、対応するレイヤ1のノードの活動度であり、tは時間であり、τ[fsn]は、τn<τf<τsであるような時定数である。微分方程式は、ローパスフィルタリングを実現し、定常状態は、出力が入力に等しいような状態であることは理解されたい。式(2)は、実際には、上付き文字、下付き文字の各々が順にn、f、sをとるときの3つの方程式であることは理解されよう。ローパスフィルタは、図4を参照しながら以下に説明するように、伸長(lengthen)された信号と元の信号との間の低速及び高速相関において利用できるように入力信号を伸長する。τs:τf=3:1である例示的な実施態様を実現することができる。例えば、τs=15及びτf=5である。さらに、τn=1である例示的な実施態様を実現することができる。τs又はτfの値を変更すると、入力の変化に対するプロセッサ124及び126の応答が変わる。例えば、τs又はτfの値が大きくなると、システム応答が遅くなり、及び/又は空間分解能、時間分解能の少なくとも一方の低下が生じ、その逆も同様である。各ノード150~153からの出力はcのそれぞれの値である。
【0013】
プロセッサ124は、いくつかのレイヤ3(符号154)のノード155-1~155-4を備える。右分岐ノード155-1及び155-2は、出力として以下、すなわち、ノード155-1に関して、
【数3】
、及び、ノード155-2に関して、
【数4】
を計算する。その一方で、左分岐ノードは、出力として以下、すなわち、ノード155-4に関して、
【数5】
、及び、ノード155-3に関して、
【数6】
を計算する。上付き文字nのレイヤ2のノードから、プロセッサごとに2つの方向、すなわち、プロセッサ124に関してu=上(正のj)、d=下(負のj)、代替的には、プロセッサ126に関してl=左(負のi)及びr=右(正のi)のそれぞれにおいて最も近いインデックスをとり、交差又は漏洩入力接続によって示されるように、cfノード出力をcnノード出力と乗算し、csノード出力をcnノード出力と乗算することは理解されよう。
【0014】
【数7】
の値は、時間的に重なり合う遅延信号と非遅延信号との積、すなわち、相関を表し、後者は、cのそれぞれの値によって表される。[...]は、個別に得られる角括弧内の上付き文字ごとのFi,jの値を表す。
【数8】
の値は、時間的に重なり合う遅延信号と非遅延信号との積を表し、後者は、cのそれぞれの値によって表される。[...]は、個別に得られる上付き文字ごとのSi,jの値を表す。かかる積は、時間的に重なり合う出力の指標(measure)
【数9】
及び
【数10】
を特定する相関器又は相関回路を用いて評価することができる。
【0015】
プロセッサ124は、第4のレイヤ157内に、入力のそれぞれの総和演算を行う複数のノード156-1~156-4を有する。第4のレイヤ157は、「総和」、「Reichardt-Hassenstein実施/検出器(RHD)」、「比」及び「減算RHD」と付された4つのサブレイヤを備えるものとして示される。レイヤ4(符号157)内のノードは、プロセッサ124及び126の両方において、以下の計算を行う。
【数11】
これは、Fzに関するRHD及びSzに関するRHDの2つのRHDの線形和に対応する。
【数12】
ただし、アレイ102から選択された任意の一組の点K=kaa,kbb,...,kzzに関して、z={u,d,l,r}及びz’={d,u,r,l}であり、vは倍率であり、Fmin及びSminは、センサ出力の選択される数Nに関する下限である。図3を参照しながら説明するように、センサ出力の選択される数は、センサのアレイを構成するセンサの任意のグループからとられる1つ以上のセンサに対応することができる。さらに、v≫1である例示的な実施態様を実現することができる。v=10である例示的な実施態様を実現することができる。しかしながら、v=0である例示的な実施態様を実現することができる。それに加えて、又はその代わりに、Fmin及びSminが、例えば、Fmin=0.1Smin等の所定の関係を有する例示的な実施態様を実現することができる。FminとSminとの間の関係の選択は、性能と雑音の影響との間のバランスであることは理解されよう。同様に、スカラ0.1が使用されているが、これに限られない。何らかの他の値を用いて、FminとSminとの間の関係を確立する例を実現することができる。Sminの係数を小さくすることは、雑音の影響を大きくすることであり、逆も同様である。さらに、Fz及びSzの比は方向性がないことは理解されよう。それゆえ、運動を検出するのが望ましい方向であり、逆方向の運動はその比から差し引かれる。
【0016】
詳細には、ノード156-1及び156-2がそれぞれ、出力
【数13】
及び
【数14】
を生成し、ノード156-3及び156-4がそれぞれ、出力
【数15】
及び
【数16】
を生成することは理解されたい。ノード158-1及び158-2がそれぞれ、出力
【数17】
及び
【数18】
を生成し、より一般的には、それぞれ
【数19】
及び
【数20】
を生成する。ノード159は、
【数21】
の全体を実現する。
【0017】
ノード160及び161は、それぞれの条件が満たされるのに応じて、
【数22】
の全体を実現する。プロセッサ124に関して、ノード160及び161が出力134及び132を生成し、それらの出力は、上方向及び下方向、すなわち、j方向における運動を示す。
【0018】
【数23】
という項又は
【数24】
という項を差し引くことにより、所定の、又は所望の方向を除いて、角速度への限られた応答を有する方向性出力を実現できるようになることは理解されたい。さらに、一組の点Kにわたる総和演算後にノード160を介して比を取り込む結果として、出力
【数25】
が移動刺激の大きさに対して不変となり、それゆえ、刺激の空間周波数に対して、すなわち、単位角度あたりのエッジの数に対して不変になる。これは、比をとった後に総和演算が行われる場合、出力が
【数26】
の形を有するために起こる。ただし、Cは収集されたRHD項である。一方、総和演算後に比がとられる場合には、出力は、
【数27】
の形を有する。ただし、Cは収集されたRHD項である。
【0019】
全てのFを等しくし、全てのSを等しくすると、式(6)から、個々の比と同じである比を与えるのに対して、式(5)は個々の比の3倍である和を与え、その結果として、運動推定値が3倍高くなるので、不正確であることは理解されたい。
【0020】
角速度が大きいほど、F及びSが0になる傾向があることがわかる。それゆえ、一定の比を有するFmin及びSminの形の下限を実現することは、非常に高速の運動、それゆえ、雑音への検出器の応答が抑制され、好ましくは最小化されるのを確実にする。適切には、上記の式(1)と全く同じ形を有する検出器出力128~134のうちの1つ又は2つ以上に作用する微分方程式を実現することによって、検出器内の雑音を少なくとも低減することができ、好ましくは最小化することができる。
【0021】
プロセッサ126を参照すると、プロセッサ126への入力が、水平に配置されたセンサから取り込まれることを除けば、プロセッサ126はプロセッサ124の構成及び動作と同じである。水平に配置されたセンサは、例えば、センサ114及び116等の隣接するセンサとすることができる。プロセッサ126の要素を参照しながら使用される参照番号は、ダッシュ又はプライム「’」を追加しただけで、プロセッサ124を参照しながら使用された参照番号と全く同じであり、詳細には説明しない。しかし、プロセッサ126は、レイヤ3(符号154)の複数のノード155-1’~155-4’を備えることは理解されたい。右分岐ノード155-1’及び155-2’は、出力として以下、すなわち、ノード155-1’に関して、
【数28】
、及び、ノード155-2’に関して、
【数29】
を計算する。他方、左分岐ノードは出力として以下、すなわち、ノード155-3’に関して、
【数30】
、及び、ノード155-4’に関して、
【数31】
を計算する。そして、ノード161’は、出力128及び130を生成するように構成され、その出力は、左右運動を示し、すなわち、i方向の運動を示す。
【0022】
図2に、上記を実施する、詳細には、レイヤ3からの出力を処理するフローチャート200を示す。運動出力128~134の方向を生成することで終了する。しかし、セクション202の前に、例えば、レイヤ1、2及び3等の他のレイヤをフローチャート内に同じく含めることもできることは理解されよう。ステージ202において、いくつかの変数又は計算が、必要に応じて、あらかじめ実行される。以下が確立されるか、又は確立できることを理解されたい。
【数32】
【0023】
符号204において、条件
【数33】
が満たされるか否かに関する判断が行われる。符号204における判断が正しい場合には、符号206において、以下
【数34】
が実行され、その後、制御は符号208における更なる判断に進む。符号204における判断が誤っている場合には、符号210において、
【数35】
が行われ、その後、制御は符号208における更なる判断に進む。
【0024】
符号208において、条件
【数36】
が満たされるか否かが判断される。符号208において、その条件が偽であると判断される場合には、処理が符号212に進み、
【数37】
が実行され、その後、処理は符号214に進む。符号208において、その条件が真であると判断される場合には、処理は符号214に進む。
【0025】
符号214において、条件
【数38】
が満たされるか否かに関する判断が行われる。その条件が満たされない場合には、制御は符号216に進み、
【数39】
が評価され、その後、制御は符号218に進む。符号214における判断が真である場合には、制御は符号218に進む。
【0026】
符号218において、運動方向が以下のように計算される。
【数40】
【0027】
その後、必要に応じて行われる更なる処理ステージは、出力Dzにおいて、雑音を低減するか、又は雑音の影響を軽減するために、運動方向に式(1)を適用することである。
【0028】
図3に、センサ102のアレイの図300を示す。アレイ内のセンサからの出力が、プロセッサ124及び126への入力を構成する。それらの出力は、アレイ内のセンサの全てから、又はアレイ内のセンサのサブセットから取り込むことができる。センサのサブセットは、センサの総数の連続したアレイ又はサブ領域を形成することができる。図3に示す例は、複数のサブ領域302~306を示す。サブ領域は特定の機能を有する場合があるか、又は特定の目的を有するプロセッサに関連付けられる場合がある。サブ領域は、所与の方向における運動を特定することに関連付けることができる。例えば、第1のサブ領域302は、第1の軸308又は異なる軸に沿ったそれぞれの方向における運動を特定することに関連付けることができる。第2のサブ領域304は、第1の軸308等のそれぞれの軸に沿ったそれぞれの方向における運動を特定することに関連付けることができる。第3のサブ領域306は、例えば、軸310等のそれぞれの軸に沿ったそれぞれの方向における運動を特定することに関連付けることができる。軸308及び310は互いに直交するものとすることができる。これよりも多くの、又は少ないサブ領域を設けることができる。単一のサブ領域を用いて、複数の方向における運動方向を特定することができる。例えば、アレイの単一のサブ領域、又は他の組のセンサを用いて、ありとあらゆる順列において合同で取得される、左方向、右方向、上方向又は下方向のうちの少なくとも1つにおける運動を特定することができる。プロセッサ124及び/又は126への入力として使用されるセンサは、連続して、又は不連続に配置することができる。
【0029】
図4に、図1を参照しながら説明した種々のレイヤに関連付けられる入力及び出力のいくつかの図400を示す。例えば、時点t1及びt2において2つのセンサ404及び406を通るエッジ等の事象を示す、例えば、ステップ入力402等の入力が示されることを理解されたい。レイヤ1のフィルタ136、138、136’、138’の応答403、すなわち、出力140、142及び140’及び142’が、やはり時点t1及びt2にあるそれぞれの曲線408及び410として示される。レイヤ2の出力412、すなわち、c[fs]及びcnの値はそれぞれ、曲線414及び416において示される。2つの曲線はレイヤ3において乗算され、結果として、出力418、すなわち、遅延c[fs]及び非遅延cn、すなわち、
【数41】
及び
【数42】
の重なりを表す曲線420を生成する。
【0030】
図5に、出力128~134のうちの1つ又は2つ以上に応答する制御システム500の実施態様を示す。制御システム500は、出力128~134を受信するいくつかの入力502を備える。制御システム500は、制御則504を実現する際に入力502を使用する。制御則504の結果として、1つ又は2つ以上の制御出力506を生成することができる。制御出力506は、単一の制御信号又は複数の制御信号を含むことができ、後者は斜線によって示される。制御則504は、例えば、1つの式又は一組の式の形をとる単一の制御則を含むことができるか、又は各々が、例えば、1つ又は2つ以上の入力502に応答する1つ又は2つ以上のそれぞれの式を含む複数の制御則を含むことができる。車両の運動を制御するそれぞれのアクチュエータを駆動又は制御するために、1つ以上の制御信号を出力することができる。
【0031】
例示的な実施態様を用いて、ありとあらゆる順列において一緒に取得される、無人車両等の車両の速度、方向又は姿勢制御システムのうちの少なくとも1つを実現することができる。そのような車両は無人車両に限定されない。有人車両も、本明細書において説明され、特許請求される例示的な実施態様を使用することができる。
【0032】
図6に、機械可読記憶装置又はコンピュータ可読媒体(例えば、機械可読記憶媒体)から命令を読み出し、本明細書において論じられる方法のうちのいずれか1つ以上を実行することができる、いくつかの例による、構成要素を示すブロック図を示す。機械可読記憶装置又はコンピュータ可読媒体は、非一時的なものとすることができる。具体的には、図6は、各々がバス640を介して通信可能に接続される、1つ以上のプロセッサ(又はプロセッサコア)610と、1つ以上のメモリ/記憶デバイス620と、任意選択で、1つ以上の通信リソース630とを備える、ハードウェアリソース600の概略図を示す。
【0033】
プロセッサ610(例えば、中央処理ユニット(CPU)、縮小命令セットコンピューティング(RICS)プロセッサ、複合命令セットコンピューティング(CISC)プロセッサ、グラフィックス処理ユニット(GPU)、ベースバンドプロセッサ等のデジタルシグナルプロセッサ(DSP),特定用途向け集積回路(ASIC)、別のタイプのプロセッサ、又はその任意の適切な組み合わせ)は、例えば、プロセッサ612及びプロセッサ614を備えることができ、それらのプロセッサは、プロセッサ124及び126の実施態様とすることができる。メモリ/記憶デバイス620は、メインメモリ、ディスク記憶装置、又はその任意の適切な組み合わせを含むことができる。
【0034】
通信リソース630は、1つ以上の周辺デバイス604と通信し、及び/又はネットワーク608を介して1つ以上のデータベース606と通信するために、相互接続及び/又はネットワークインタフェース構成要素又は任意の適切なデバイスを備えることができる。例えば、通信リソース630は、有線通信構成要素(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)を介して結合するもの)、セルラー通信構成要素、近距離通信(NFC)構成要素、Bluetooth(登録商標)構成要素(例えば、Bluetooth(登録商標)Low Energy)、Wi-Fi(登録商標)構成要素、及び他の通信構成要素を含むことができる。
【0035】
命令650は、プロセッサ610のうちの少なくともいずれかに本明細書において論じられる方法のうちの任意の1つ以上を実行させるための、例えば、ソフトウェア、プログラム、アプリケーション、アプレット、アプリ(app)又は他の実行可能コード等の機械実行可能命令を含むことができる。命令650は、プロセッサ610のうちの少なくとも1つのプロセッサ内(例えば、プロセッサのキャッシュメモリ内)に、メモリ/記憶デバイス620内に、又はその任意の適切な組み合わせ内に完全に、又は部分的に存在する場合がある。さらに、命令650の任意の部分を、周辺デバイス604及び/又はデータベース606の任意の組み合わせから、ハードウェアリソース600に転送することができる。したがって、プロセッサ610のメモリ、メモリ/記憶デバイス620、周辺デバイス604及びデータベース606は、コンピュータ可読及び機械可読媒体の例である。
【0036】
検出器の例示的な実施態様は、その運動方向が検出器アレイに対して垂直である移動エッジに関して、方向内の角速度を正確に測定することができる。エッジに対して平行になる方向に向かうにつれて運動を検出することが難しくなることは理解されたい。さらに、運動、それゆえ、モーション検出が2次元において要求される場合には、2つの検出器軸のうちの1つに位置合わせされないエッジに関する潜在的な問題がある。エッジが1つの軸に対して平行であるとき、エッジ上の全ての点が他方の軸を同時に横切ることは理解されよう。それゆえ、隣接点間に時間的な遅延はなく、それゆえ、検出器は応答しない。エッジが1つの軸に対する平行から回転するにつれて、他方の軸上の隣接点を横切るエッジ間に時間的な遅延が生じ、それは回転度又は角度とともに変化する。エッジが、その軸と平行になる方向に向かうにつれて、時間的な遅延は0になる傾向があることは理解されよう。遅延は運動として検出又は解釈することができ、受信された信号に関して正しい検出であるが、必ずしも、対応するエッジの運動に関する正しい検出であるか、又は対応するエッジの運動を示すとは限らない。しかしながら、運動が検出器の検出軸に対して所定の12角度に傾いていると仮定する例を実現することができ、詳細には、検出信号がエッジに対して垂直である運動に対応すると仮定される例を実現することができる。それゆえ、この仮定は、人間にとって回転らせん(rotating spiral)に関する運動錯覚を引き起こすことは理解されたい。これを本明細書において説明され、特許請求される例示的な実施態様に適用するとき、センサからの受信信号又は検出信号を重み付けする際にその情報を使用することとともに、エッジ角の検出が有用であることは理解されよう。
【0037】
そのため、図7に、水平出力ユニット702及び垂直出力ユニット704の図700を示す。出力ユニットはグループ化されるか、又は関連付けられるセンサである。グループ化されるか、又は関連付けられるセンサは、センサアレイ全体のうちの、又は全体から選択されたサブ領域を形成するか、又はサブ領域に対応する。その代わりに、又はそれに加えて、グループ化されるか、又は関連付けられるセンサは、アレイの全体を形成することができる。
【0038】
水平出力ユニット702は、所定の数のセンサ706~716を備える。所定の数のセンサ706~716は、所定の方式で並べることができる。所定の方式はm×nアレイを含むことができる。図示の例において、水平出力ユニットのセンサ706~716は、3×2アレイに配列されている。水平出力ユニット702は基準センサを備える。アレイ内の他のセンサの位置は、基準センサに対して決めることができる。例示される実施形態において、基準センサはセンサ714であるが、同じく任意の他のセンサとすることもできる。センサ706~716は、基準センサ714に対して測定される(i,j)座標を用いてインデックス付けされる。基準センサ714は、対応するインデックス又は座標(i,j)を有することは理解されたい。他のセンサ706~712及び716は、以下の対応するインデックス又は座標(i-1,j-1)、(i,j-1)、(i+1,j-1)、(i-1,j)及び(i+1,j)を有する。
【0039】
垂直出力ユニット704は、所定の数のセンサ706’~716’を備える。所定の数のセンサ706’~716’は、所定の方式で配列することができる。所定の方式はp×qアレイを含むことができる。図示の例において、垂直出力ユニットのセンサ706’~716’は2×3アレイに配列されている。垂直出力ユニット704は基準センサを備える。アレイ内の他のセンサの位置は、基準センサに対して決定することができる。例示される実施形態において、基準センサはセンサ714’であるが、同じく任意の他のセンサとすることもできる。センサ706’~716’は、基準センサ714’に対して測定される(i,j)座標を用いてインデックス付けされる。基準センサ714’は、対応するインデックス又は座標(i,j)を有することは理解されたい。他のセンサ706’~712’及び716’は、以下の対応するインデックス又は座標(i-1,j+1)、(i-1,j)、(i-1,j-1)、(i,j-1)及び(i,j+1)を有する。
【0040】
それゆえ、上記で説明され、図1図5に示した例は、任意の初期時間フィルタリングステージに先行して、空間フィルタを追加するように変更することができる。一実施態様において使用される軸ごとに単一の付加的な空間フィルタを使用することができる。それゆえ、図示される実施形態において、2つのそのような空間フィルタが使用される。一方は、第1の方向の運動又は第1の方向にある軸用であり、もう一方は、第2の方向の運動又は第2の方向にある軸用である。図示される例において、第1及び第2の方向又は軸は、水平及び垂直方向又は軸に対応することができるが、水平軸及び垂直軸がx及びy軸又は方向であると仮定して、z方向等の何らかの他の方向又は軸とすることができる。空間フィルタが、センサ出力の加重和を構成する畳み込みフィルタである例を実現することができる。それゆえ、図示される水平及び垂直出力ユニットに関して、空間フィルタは、所定の数のセンサ706~716及び/又は706’~716’の加重和を構成する。
【0041】
水平出力ユニットのための空間フィルタからの出力が、
【数43】
によって与えられる例示的な実施態様を実現することができる。ただし、(x_i,y_j)はインデックス(i,j)を有するセンサからの出力であり、(x_i-1,y_j)はインデックス(i-1,j)を有するセンサからの出力であり、(x_i+1,y_j)はインデックス(i+1,j)を有するセンサからの出力であり、(x_i,y_j-1)はインデックス(i,j-1)を有するセンサからの出力であり、(x_i-1,y_j-1)はインデックス(i-1,j-1)を有するセンサからの出力であり、(x_i+1,y_j-1)はインデックス(i+1,j-1)を有するセンサからの出力である。
【0042】
それに加えて、又はその代わりに、垂直出力ユニットのための空間フィルタからの出力が、
【数44】
によって与えられる例示的な実施態様を実現することができる。ただし、(x_i,y_i)はインデックス(i,j)を有するセンサからの出力であり、(x_i,y_i-1)はインデックス(i,j-1)を有するセンサからの出力であり、(x_i,y_i+1)はインデックス(i,j+1)を有するセンサからの出力であり、(x_i-1,y_i)はインデックス(i-1,j)を有するセンサからの出力であり、(x_i-1,y_i-1)はインデックス(i-1,j-1)を有するセンサからの出
力であり、(x_i-1,y_i+1)はインデックス(i+1,j+1)を有するセンサからの出力である。
【0043】
上記の例示的な実施態様は、式(7)及び(8)において示される特定の単一エッジ検出器を使用してきたが、例はそれらの検出器には限定されない。検出器の所与の軸に対して垂直な運動を検出するか、又は検出器の所与の軸に対して垂直である成分を有する運動を検出する何らかの他のタイプのエッジ検出器を使用する例示的な実施態様を実現することができる。
【0044】
式(7)及び(8)において使用される重み付け又は係数が、一般に、水平及び垂直空間フィルタ出力からの出力を
【数45】
及び
【数46】
とすることができるような他の値をとることができる例示的な実施態様を実現することができる。
【0045】
α、β、χ、δ、ε、φの値は、式(7)を参照しながら上記で与えられた値に対応することができるが、同じく他の値をとることもできる。α’、β’、χ’、δ’、ε’、φ’の値は、式(8)を参照しながら上記で与えられた値に対応することができるが、同じく他の値をとることもできる。
【0046】
水平出力ユニットはそれぞれの垂直検出器、すなわち、垂直プロセッサに出力を与えるように構成され、垂直出力ユニットは、それぞれの水平検出器、すなわち、水平プロセッサに出力を与えるように構成される。それゆえ、図1を参照すると、水平出力ユニットは、空間フィルタ136及び138を介して、垂直プロセッサ124等のそれぞれの垂直プロセッサに出力を与えるか、自らの信号を出力するように構成される。同様に、垂直出力ユニットは、空間フィルタ136’及び138’を介して、水平プロセッサ126等のそれぞれの水平プロセッサに出力を与えるか、又は自らの信号を出力するように構成される。水平出力ユニットがそれぞれの垂直検出器、すなわち、垂直プロセッサに出力を与えるように構成され、垂直出力ユニットがそれぞれの水平検出器、すなわち、水平プロセッサに出力を与えるように構成されるという構成は、例えば、各々が所与の検出器方向に対して垂直等の所与の角度にあるエッジに応答することになるので可能である。それらの例は上記の空間フィルタを参照しながら説明されてきたが、所与の方向又は軸に対して垂直な遷移又はエッジへの応答を与える他の空間フィルタを使用することができる。
【0047】
図1を参照すると、水平及び垂直出力ユニットは、センサから出力を取り込み、受信された信号を処理し、空間フィルタリングされた出力を、ありとあらゆる順列において連帯して取得される、フィルタ136、138、136’、138’の1つ又は2つ以上に転送することによって、垂直プロセッサ124及び水平プロセッサ126に出力を与えるか、又は出力するように動作することができる。
【0048】
図8を参照すると、センサ102のアレイとの関連において、上記の水平出力ユニット702等の水平出力ユニット802の図800が示される。センサ102のアレイは、センサ806~846のm×anアレイを構成し、m及びmは整数であることは理解されたい。水平出力ユニット802は、図7のセンサ706~716に対応する、6つのセンサ806~816を備える。アレイ802のセンサ806~816は(i,j)ではなく、インデックス(p,q)で表示されていることは理解されよう。
【0049】
センサ806~846の全て、又は少なくともそのサブセットが、6つのセンサのそれぞれの組を構成するそれぞれの水平出力ユニットにグループ分けされる。水平出力ユニットの各組のセンサは、図10を参照しながら説明されるように、それぞれの重みに出力信号を与える。
【0050】
図9を参照すると、センサ102のアレイとの関連において、上記の垂直出力ユニット702等の垂直出力ユニット902の図900が示される。センサ102のアレイは、センサ906~946のm×nアレイを構成し、m及びmは整数であることは理解されたい。垂直出力ユニット902は、図7のセンサ706’~716’に対応する、6つのセンサ906~916を備える。アレイ902のセンサ906~916は(i,j)ではなく、インデックス(p,q)で表示されていることは理解されよう。
【0051】
センサ906~946の全て、又は少なくともそのサブセットが、6つのセンサのそれぞれの組を構成するそれぞれの垂直出力ユニットにグループ分けされる。垂直出力ユニットの各組のセンサは、図11を参照しながら説明されるように、それぞれの重みに出力信号を与える。
【0052】
図10を参照すると、例えば、上記の水平出力ユニット802等の水平出力ユニット1002の図が示される。水平出力ユニットは6つのそれぞれのセンサ1006~1016を備える。各センサは、それぞれの重み付けユニット1030~1040にそれぞれの出力信号1018~1028を与える。重み付けユニット1030~1040は、上記の重みα、β、χ、δ、ε、φを用いてそれぞれの入力信号を重み付けし、それぞれの重み付けされた出力信号1042~1052を生成する。水平出力ユニット1002ごとに、それぞれの重み付けされた出力信号1042~1052が、例えば、それぞれの加算器1054等のそれぞれの加算器を用いて加算される。水平出力ユニットごとに加算器が設けられる。それゆえ、例示的な実施態様は、それぞれの加算器1054~1070のアレイを設ける。各加算器は、式(7)によって上記で説明された加重和を出力するそれぞれの出力信号1072を有する。例えば、センサ106及び108等の垂直に配置されるセンサの対に関して図1を参照しながら上記で説明されたように、加算器は同様に、垂直に配置される加算器対にグループ分けされる。垂直に配置される各加算器対は、垂直プロセッサ124に関連付けられるそれぞれの空間フィルタ136及び138にそれぞれの出力信号を出力するように構成される。それゆえ、例えば、加算器1060及び1064からの出力は、センサ106及び108が隣接するのと同じようにして加算器が隣接すると仮定して、それぞれの空間フィルタに送り込まれるそれぞれの出力信号を有し、すなわち、加算器出力信号は、図1を参照しながら上記で説明されたように、それぞれの空間フィルタ136及び1038への入力を与える信号110及び112を形成するか、又は信号110及び112に対応する。その後、出力信号140及び142は上記で説明されたように処理される。
【0053】
図11を参照すると、例えば、上記の垂直出力ユニット902等の垂直出力ユニット1102の図が示される。垂直出力ユニットは6つのそれぞれのセンサ1106~1116を備える。各センサは、それぞれの重み付けユニット1130~1140にそれぞれの出力信号1118~1128を与える。重み付けユニット1130~1140は、上記の重みα’、β’、χ’、δ’、ε’、φ’を用いてそれぞれの入力信号を重み付けし、それぞれの重み付けされた出力信号1142~1152を生成する。垂直出力ユニット1102ごとに、それぞれの重み付けされた出力信号1142~1152が、例えば、それぞれの加算器1154等のそれぞれの加算器を用いて加算される。水平出力ユニットごとに加算器が設けられる。それゆえ、例示的な実施態様は、それぞれの加算器1154~1170のアレイを設ける。各加算器は、式(7)によって上記で説明された加重和を出力するそれぞれの出力信号1172を有する。例えば、センサ116及び118等の水平に配置されるセンサの対に関して図1を参照しながら上記で説明されたように、加算器は同様に、垂直に配置される加算器対にグループ分けされる。水平に配置される各加算器対は、水平プロセッサ126に関連付けられるそれぞれの空間フィルタ136’及び138’にそれぞれの出力信号を出力するように構成される。それゆえ、例えば、加算器1158~1160からの出力は、センサ116及び118が隣接するのと同じようにして加算器が隣接すると仮定して、それぞれの空間フィルタに送り込まれるそれぞれの出力信号を有し、すなわち、加算器出力信号は、図1を参照しながら上記で説明されたように、それぞれの空間フィルタ136’及び138’への入力を与える信号118及び120を形成するか、又は信号118及び120に対応する。その後、出力信号140’及び142’は上記で説明されたように処理される。
【0054】
例示的な実施態様が、水平出力ユニットあたり一組の加算器及び垂直出力ユニットあたり一組の加算器を使用することは理解されよう。センサがm×nアレイを形成し、加算器がそれぞれのm×nアレイを形成する例示的な実施態様を実現することができる。
【0055】
一般に、センサアレイと加算器のアレイとの間のマッピングは、垂直出力ユニットに関して以下の通りである。 - 垂直出力ユニットが(1,1)の左下インデックス及び(2,3)の右上インデックスを有すると仮定すると、それらのインデックスによって規定されるセンサのサブアレイに対応する6つのセンサの出力がインデックス(1,2)を有するそれぞれの加算器にマッピングされることになる。
- 次の水平に配置される垂直出力ユニットが(2,1)の左下インデックス及び(3,3)の右上インデックスを有すると仮定すると、それらのインデックスによって規定されるセンサのサブアレイに対応する6つのセンサの出力がインデックス(2,2)を有するそれぞれの加算器にマッピングされることになる。
- 次の垂直に配置される垂直出力ユニットが(1,2)の左下インデックス及び(2,4)の右上インデックスを有すると仮定すると、それらのインデックスによって規定されるセンサのサブアレイに対応する6つのセンサの出力がインデックス(1,3)を有するそれぞれの加算器にマッピングされることになる。
【0056】
一般に、(i,j)の基準インデックスを有する垂直出力ユニットのマッピングは、(i-1,j)のインデックスを有する加算器にマッピングすることになる。
【0057】
一般に、センサアレイと加算器のアレイとの間のマッピングは、水平出力ユニットに関して以下の通りである。 - 水平出力ユニットが(1,1)の左下インデックス及び(3,2)の右上インデックスを有すると仮定すると、それらのインデックスによって規定されるセンサのサブアレイに対応する6つのセンサの出力がインデックス(2,2)を有するそれぞれの加算器にマッピングされることになる。
- 次の水平に配置される水平出力ユニットが(2,1)の左下インデックス及び(4,2)の右上インデックスを有すると仮定すると、それらのインデックスによって規定されるセンサのサブアレイに対応する6つのセンサの出力がインデックス(3,2)を有するそれぞれの加算器にマッピングされることになる。
- 次の垂直に配置される水平出力ユニットが(1,2)の左下インデックス及び(3,3)の右上インデックスを有すると仮定すると、それらのインデックスによって規定されるセンサのサブアレイに対応する6つのセンサの出力がインデックス(2,3)を有するそれぞれの加算器にマッピングされることになる。
【0058】
上記のことに加えて、又はその代わりに、式(7)~(10)によって記述されるフィルタが、例えば、正の軸方向等のそれぞれの方向における、例えば、オンセットエッジ等の所与の遷移が同じそれぞれの方向における、例えば、オフセットエッジ等の反対の、又は相補的な遷移への応答を生成することになるような方向性であることは理解されよう。
それゆえ、第1の時間フィルタリングレイヤ、すなわち、レイヤ1(符号122)は、遷移に応答して、正及び負両方の変化を出力することができる。しかしながら、これらが異なるように扱われることは理解されよう。インセクトにおいて、オンセット(正の変化)及びオフセット(負の変化)に関して別々の経路が存在する。これは、ニューロンが正及び負の両方の数を同時に表現することができないことに起因する。しかしながら、例示的な実施態様内で、正及び負両方の数を同時に表現することが可能である。それゆえ、角速度への、例えば、対数-線形応答等の、角速度への所定の応答の喪失又は所定の応答に関する悪影響を防ぐために、正の変化及び負の変化が、プロセッサ124/126の乗算ステージにおいて互いに影響し合うのを防ぐように処理される例示的な実施態様を実現することができる。例示的な実施態様において、乗算ステージは、乗算器155及び/又は155’のうちの1つ又は2つ以上を備えることができる。
【0059】
結果として、乗算ステージにおいて、乗算ステージへの両方の入力がいずれも正又はいずれも負である場合にのみ、乗算結果が出力され、それは、
【数47】
又は
【数48】
の一方又は両方として表すことができる。ただし、in_1は乗算器への第1の入力であり、in_2は乗算器への第2の入力であり、&&は論理「AND」演算子である。
【0060】
上記のことに加えて、又はその代わりに、高速及び低速Reichardt-Hassenstein検出器(RHD)の比を所定の比に修正する例示的な実施態様を実現することができる。所定の比は、クランプされた値及び雑音の少なくとも一方又は両方に影響を与えるように選択することができる。一般に、高速RHDと低速RHDとの所定の比が
【数49】
によって与えられる例示的な実施態様をとることができる。ただし、α’’は所定の値をとることができる。所定の値がα’’=0.1である例示的な実施態様を実現することができる。α’’のそのような値によって与えられる比は、クランプされた値の必要性を緩和又は除去することができ、雑音を低減又は除去することができる。α’’の値を導入することは、低速が0になる傾向があるときに、0による除算という異常を回避することは理解されよう。
【0061】
上記のことに加えて、又はその代わりに、上記の結果として、方向性がある、プロセッサ124及び126又は検出器100からの応答が生じる。しかしながら、例示的な実施態様の結果として、応答変動の大きさが、単数又は複数の所定の軸に対する遷移の運動の角度に大きく依存する可能性がある。それゆえ、上記のような例示的な実施態様は、運動の水平成分及び垂直成分が所定の方式において互いを抑制するように構成される運動抑制手段(motion inhibitors)で実現又は補完することができる。所定の態様が、例えば、以下のような除算を含む例を実現することができる。
【数50】
ただし、horizは水平運動の大きさであり、β’’は定数であり、δ’’は定数であり、vertは垂直運動の大きさであり、及び/又は、
【数51】
ただし、vertは水平運動の大きさであり、β’’は定数であり、δ’’は定数であり、vertは垂直運動の大きさである。
【0062】
β’’=1及び/又はδ’’=0.3である例示的な実施態様を実現することができる。例示的な実施態様は、β’’=1及び/又はδ’’=0.3を使用できるが、実施態様はそれらの値に限定されない。何らかの他の値を使用する例示的な実施態様を実現することができる。水平運動の大きさは、Dl128又はDr130の少なくとも一方又は両方とすることができ、及び/又は垂直運動の大きさは、Dd132又はDu134の少なくとも一方又は両方とすることができる。結果として、検出器100によって出力される最終的な方向インジケーションはhoriz_inh及びvert_inhである。さらに、horiz_inh及びvert_inhに関する上記の例示的な実施態様は、同じ値のβ’’及び/又はδ’’を使用できるが、それらの値はそれには限定されない。horiz_inh及びvert_inhがβ’’及び/又はδ’’のそれぞれの値を使用する例示的な実施態様を実現することができる。
【0063】
例えば、1つ又は2つの軸等の所定の数の軸上の前進運動及び後退運動に関する式(14)及び/又は(15)を実現することができる例示的な実施態様を実現することができ、それは4つの変形形態に向けられる。上記の変形形態の性能が図12及び図13に示される。
【0064】
図12を参照すると、例示的な実施態様による性能グラフ1200が示される。グラフ1200は、検出器の軸に対する遷移運動のそれぞれの角度1202~1214を与えられるときの検出器100の応答の大きさ1201の複数の事例を示す。例えば、使用された遷移が、0度、10度、22.5度、45度、67.5度、80度及び90度の、検出器の軸に対する運動方向を有したことを理解されたい。応答の大きさは実質的に同じであり、すなわち、所与の差内で類似であり、及び/又は遷移運動の方向と検出器の軸との間の角度に対して不変であることは理解されたい。
【0065】
図13を参照すると、検出器の軸に対する遷移運動のそれぞれの角度1302’~1314’を与えられるときの、推定される運動方向1302~1314のグラフ1300が示される。遷移の入力運動方向と、その遷移に関して推定される運動方向との間には良好な相関があることは理解されたい。
【0066】
本明細書における例は2軸アレイを使用するが、その代わりに、又はそれに加えて、n軸アレイ又はグリッドを使用する例を実現することができる。六角形に配列されるグリッド又はアレイで構成されるセンサを、i、j、kの3値の組を用いてインデックス付けすることができる。さらに、可視光を検出するセンサを参照しながら例が説明されてきたが、その代わりに、又はそれに加えて、電磁波の他の波長又は音波に反応するセンサを使用する例を実現することができる。
【0067】
本明細書において使用されるときに、「回路」という用語は、特定用途向け集積回路(ASIC)、集積回路、電子回路、1つ以上のソフトウェア又はファームウェアプログラムを実行する1つ又は2つ以上のプロセッサ(共有、専用又はグループ)及び/又はメモリ(共有、専用又はグループ)、組み合わせ論理回路、及び/又は説明された機能を与える他の適切なハードウェア構成要素を指す場合があるか、その一部である場合があるか、又はそれを含む場合がある。いくつかの例において、回路は、1つ以上のソフトウェア又はファームウェアモジュールにおいて実現される場合があるか、又はその回路に関連付けられる機能が、1つ以上のソフトウェア又はファームウェアモジュールによって実現される場合がある。いくつかの例において、回路は、少なくとも部分的にハードウェアにおいて動作可能なロジックを含むことができる。同様に、実行可能命令は、プロセッサによって実行可能な命令、又は、例えば、ASIC若しくは他のロジックを用いて実施される命令等のハードウェア又はソフトウェアの少なくとも一方において実施される命令を含むことができる。
【0068】
例えば、「処理する」、「コンピュータ処理する」、「計算する」、「特定する」、「確立する」、「解析する」、「チェックする」等の用語を利用する本明細書における検討は、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ内の物理(例えば、電子工学な)量として表されるデータを、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ、又は演算及び/又はプロセスを実行する命令を記憶することができる他の情報記憶媒体内の物理量として同様に表される他のデータに操作及び/又は変換する、プロセッサ、回路、ロジック、コンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム又は他の電子コンピューティングデバイスの演算(複数の場合もある)及び/又はプロセス(複数の場合もある)を指す場合がある。
【0069】
本明細書の説明及び特許請求の範囲全体を通して、「備える」及び「含む」という用語並びにそれらの語尾変化形は、「~を含むが~に限定されるものではない」ことを意味し、他の成分、付加物、構成要素、完全体又はステップを排除することを意図していない(排除しない)。本明細書の説明及び特許請求の範囲全体を通して、単数形のものは、文脈上別の解釈が必要とされていない限り、複数形のものを含む。特に、個数が指定されていない場合、本明細書は、文脈上別の解釈が必要とされていない限り、単数だけでなく複数も考慮されていると理解されるべきである。
【0070】
本発明の特定の態様、実施形態又は例とともに説明した特徴、完全体、特性、合成物、化学成分又はグループは、本明細書で説明した他の任意の態様、実施形態又は例と矛盾しない限り、それらに適用可能であると理解されるべきである。本明細書(任意の添付の請求項、要約書及び図面を含む)に開示された特徴の全て、及び/又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスのステップの全ては、そのような特徴及び/又はステップのうちの少なくともいくつかが互いに矛盾する組み合わせを除いて、任意の組み合わせに結合することができる。本発明は、上記のいずれの実施形態の詳細にも限定されるものではない。本発明は、本明細書(任意の添付の請求項、要約書及び図面を含む)に開示された特徴のうちの任意の新規の1つ若しくは任意の新規の組み合わせ、又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスのステップのうちの任意の新規の1つ若しくは任意の新規の組み合わせにも及ぶ。
【0071】
有利には、例示的な実施態様を用いて、視覚的合図から運動を特定する検出器を実現することができ、その特定は、その視覚的合図の時間的及び空間的な周波数の少なくとも一方の変化に対して不変である。
【0072】
以下の項による例示的な実施態様を実現することができる。
第1項:
1.運動を検出する検出器であって、検出器は、
a.環境変化に応答する複数のセンサから入力を受信する入力インタフェースと、
b.複数の入力のうちの選択された入力に応答するプロセッサ回路と、を備え、プロセッサ回路は、
i.選択された入力を用いて異なる時定数を含む第1の微分方程式を解くための第1のフィルタであって、選択された入力の定常状態入力に応答して零出力を生成する、第1のフィルタと、
ii.第1のフィルタの出力に応答して、第2の微分方程式を解く第2のフィルタであって、定常状態における第1のフィルタの出力に等しい出力を生成する、第2のフィルタと、
iii.第2のフィルタの選択された出力から時間的に重なり合う出力の指標を求めるように構成される相関器回路と、
iv.相関器回路からの出力に応答して、相関器回路からの選択される出力の比を得る比取得回路であって、上記比は少なくとも1つの運動方向に関連付けられる、比取得回路と、を備える、検出器。
【0073】
第2項:
2.選択された入力を用いて異なる時定数を含む第1の微分方程式を解くための第1のフィルタは、以下の微分方程式
a.
【数52】
を解く回路を備え、
b.ただし、aは第1のフィルタのノードの出力活動度であり、bはノードの適応活動度であり、xはセンサに入射する電磁波の変動又は音波の変動等の環境の変動に関連付けられる活動度であり、tは時間であり、τa及びτbは時定数である、項1の検出器。
【0074】
第3項:
3.τb>τaである、項2の検出器。
【0075】
第4項:
4.第1のフィルタの出力に応答して、第2の微分方程式を解く第2のフィルタは、以下の式 a.
【数53】
を解く回路を備え、
b.ただし、cはノードの活動度であり、各ノードからの出力aは、対応するノードの活動度であり、tは時間であり、τ[fsn]は時定数である、項1~3のいずれか1項の検出器。
【0076】
第5項:
5.τ[fsn]は、τn<τf<τsのような時定数である、項4の検出器。
【0077】
第6項:
6.時定数τs及びτfは所定の関係を有する、項4又は5の検出器。
【0078】
第7項:
7.所定の関係は所定の比を含む、項6の検出器。
【0079】
第8項:
8.所定の比はτs:τf=3:1である、項7の検出器。
【0080】
第9項:
9.第2のフィルタの選択された出力から時間的に重なり合う出力の指標を特定するように構成される相関器回路は、時間的に重なり合う出力の上記指標を特定するために、第2のフィルタからの遅延出力及び非遅延出力を処理することを含む、項1~8のいずれか1項の検出器。
【0081】
第10項:
10.相関器回路からの出力に応答して、相関器回路からの選択された出力の比を特定する比特定回路であって、上記比は少なくとも1つの運動方向に関連付けられ、比特定回路は、上記相関器回路からの出力の総和の比を特定する回路を備える、項9の検出器。
【0082】
第11項:
11.上記相関器からの出力の総和の比を特定する上記回路は、
【数54】
、及び、
【数55】
を評価する回路を備え、ただし、センサから選択された任意の一組の点K=kaa,kbb,...,kzzに関して、z={u,d,l,r}及びz’={d,u,r,l}であり、vは倍率であり、Fmin及びSminは、センサ出力の選択される数Nに関する下限である、項9の検出器。
【0083】
第12項:
12.vは所定の値を有する、項11の検出器。
【0084】
第13項:
13.v≫1である、項12の検出器。
【0085】
第14項:
14.Fmin及びSminは所定の関係を有する項11~14のいずれか1項の検出器。
【0086】
第15項:
15.所定の関係は、センサによって検出される雑音の影響に作用を及ぼす、項14の検出器。
【0087】
第16項:
16.所定の関係はFmin=αSminである、項14又は15の検出器。
【0088】
第17項:
17.α=0.1である、項16の検出器。
【0089】
第18項:
18.運動を検出する方法であって、方法は、
a.電磁波又は音波の変化に応答する複数のセンサから入力を受信することと、
b.複数の入力のうちの入力を選択することと、
c.選択された入力のうちの定常状態入力に応答して零出力を生成するために、第1のフィルタを用いて、異なる時定数を含む第1の微分方程式を解くために選択された入力をフィルタリングすることと、
d.定常状態における第1のフィルタの出力に等しい出力を生成するために、第2のフィルタを用いて、第2の微分方程式を解くために、第1のフィルタの出力を用いてフィルタリングすることと、
e.相関器回路を用いて、第2のフィルタの選択された出力から時間的に重なり合う出力の指標を特定することと、
f.比特定回路を用いて、相関器回路からの選択された出力の比を確立することであって、上記比は少なくとも1つの運動方向に関連付けられることと、を含む、方法。
【0090】
第19項:
19.第1のフィルタを用いて、フィルタリングすることは、以下の微分方程式
a.
【数56】
を解くことを含み、
b.ただし、aは第1のフィルタのノードの出力活動であり、bはノードの適応活動であり、xはセンサに入射する電磁波の変動に関連付けられる活動であり、tは時間であり、τa及びτbは時定数である、項18の方法。
【0091】
第20項:
20.τb>τaである、項18の方法。
【0092】
第21項:
21.第2のフィルタを用いて、フィルタリングすることは、第2の微分方程式
a.
【数57】
を解くことを含み、
b.ただし、cはノードの活動であり、各ノードからの出力aは、対応するノードの活動であり、tは時間であり、τ[fsn]は時定数である、項18~20の方法。
【0093】
第22項:
22.τ[fsn]は、τn<τf<τsのような時定数である、項21の方法。
【0094】
第23項:
23.時定数τs及びτfは所定の関係を有する、項21又は22の方法。
【0095】
第24項:
24.所定の関係は所定の比を含む、項23の方法。
【0096】
第25項:
25.所定の比はτs:τf=3:1である、項24の方法。
【0097】
第26項:
26.上記相関器回路、第2のフィルタの選択された出力から時間的に重なり合う出力の指標を特定することは、第2のフィルタからの遅延出力及び非遅延出力を処理し、時間的に重なり合う出力の上記指標を特定することを含む、項18~25のいずれか1項の方法。
【0098】
第27項:
27.比特定回路を用いて、相関器回路からの選択された出力の比を特定することであって、上記比は少なくとも1つの運動方向に関連付けられる、特定することは、上記相関器回路からの出力の総和の比を特定することを含む、項26の方法。
【0099】
第28項:
28.上記相関器からの出力の総和の比を上記特定することは、
【数58】
、及び、
【数59】
を評価することを含み、ただし、センサから選択された任意の一組の点K=kaa,kbb,...,kzzに関して、z={u,d,l,r}及びz’={d,u,r,l}であり、vは倍率であり、Fmin及びSminは、センサ出力の選択される数Nに関する下限である、項27の方法。
【0100】
第29項:
29.vは所定の値を有する、項28の方法。
【0101】
第30項:
30.V≫1である、項29の方法。
【0102】
第31項:
31.Fmin及びSminは所定の関係を有する、項28~30のいずれか1項の方法。
【0103】
第32項:
32.所定の関係は、センサによって検出される雑音の影響に作用を及ぼす、項31の方法。
【0104】
第33項:
33.所定の関係は、Fmin=αSminである、項31又は32の方法。
【0105】
第34項:
34.α=0.1である、項33の方法。
【0106】
第35項:
35.実行又は実施されるときに、項18~34の方法を実施するように構成される機械実行可能命令。
【0107】
第36項:
36.項35の機械実行可能命令を記憶する機械可読記憶装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【外国語明細書】