(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009698
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】電動弁、電動弁システム、電動弁モニタユニット、電動弁用端子台装置および電動弁モニタシステム
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20240116BHJP
F16K 37/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
F16K31/04 A
F16K37/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111403
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】591136838
【氏名又は名称】株式会社カワデン
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金高 浩春
(72)【発明者】
【氏名】田中 丈二
(72)【発明者】
【氏名】松永 均
(72)【発明者】
【氏名】松永 大
【テーマコード(参考)】
3H062
3H065
【Fターム(参考)】
3H062AA02
3H062BB05
3H062CC02
3H062FF01
3H062FF10
3H062FF11
3H062FF13
3H065BA06
3H065BB13
3H065BB15
3H065BC01
3H065BC02
3H065BC05
3H065CA01
(57)【要約】
【課題】作動不良の発生時にその原因を究明可能な電動弁を提供する。電動弁の使用状況の履歴をモニタ可能な電動弁システムおよび電動弁用端子台装置を提供する。電動弁の使用状況の履歴をモニタできる電動弁モニタユニットおよび電動弁モニタシステムを提供する。
【解決手段】電動弁1は、流路4を開閉する弁体2と、モータMの駆動力によって弁体2を駆動する電動アクチュエータ3と、電動アクチュエータ3を収容するハウジング15と、メモリ20と、電動弁1の履歴を表す履歴情報をメモリ20に蓄積するモニタ制御ユニット19とを含む。メモリ20に蓄積される履歴情報は、モータMの動作履歴を表すモータ動作履歴情報と、ハウジング15内の温度履歴を表す温度履歴情報とを含む。電動弁1は、電動弁用端子台16をさらに含む。メモリ20およびモニタ制御ユニット19は、電動弁用端子台16の配線基板17に実装されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を開閉する弁体と、
モータの駆動力によって前記弁体を駆動する電動アクチュエータと、
前記電動アクチュエータを収容するハウジングと、
メモリと、
前記モータの動作履歴を表すモータ動作履歴情報および前記ハウジング内の環境履歴を表す環境履歴情報の少なくとも一方を含む履歴情報を前記メモリに蓄積するモニタ制御ユニットと、
を含む、電動弁。
【請求項2】
前記モータが駆動していることを検出するモータ駆動検出ユニットをさらに含み、
前記モニタ制御ユニットが、前記モータ駆動検出ユニットによる前記モータの駆動の検出に基づいて、前記モータ動作履歴情報を前記メモリに蓄積する、請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記モータ駆動検出ユニットが、前記モータへの通電を検出するモータ通電検出回路を含む、請求項2に記載の電動弁。
【請求項4】
前記モータ動作履歴情報が、前記モータの動作回数を表すモータ動作回数情報を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項5】
前記モータ動作履歴情報が、前記モータの動作時間を表すモータ動作時間情報を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項6】
前記ハウジング内の環境状態を検出する環境センサをさらに含み、
前記モニタ制御ユニットが、前記環境センサによる前記ハウジング内の環境状態の検出に基づいて、前記環境履歴情報を前記メモリに蓄積する、請求項1~3のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項7】
前記環境センサが、前記ハウジング内の温度を検出する温度センサを含み、
前記環境履歴情報が、前記ハウジング内の温度の履歴を表す温度履歴情報を含む、請求項6に記載の電動弁。
【請求項8】
前記温度履歴情報が、所定期間における前記ハウジング内の最高温度の情報、および前記所定期間における前記ハウジング内の最低温度の情報の少なくとも一方を含む、請求項7に記載の電動弁。
【請求項9】
前記温度履歴情報が、前記ハウジング内の温度が所定の温度範囲内にある時間の情報を含む、請求項7に記載の電動弁。
【請求項10】
前記環境センサが、前記電動弁に働く加速度を検出する加速度センサを含み、
前記環境履歴情報が、前記加速度センサが検出する加速度の履歴を表す加速度履歴情報を含む、請求項6に記載の電動弁。
【請求項11】
前記メモリおよび前記モニタ制御ユニットが実装された配線基板と、前記配線基板に電気的かつ機械的に接続された端子台本体とを有する電動弁用端子台をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項12】
前記モータへの通電のための電力線から分岐した分岐電力線に接続され、前記モニタ制御ユニットのための動作電力を発生する電源回路をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項13】
前記メモリに蓄積されている前記履歴情報を読み出す端末装置を前記モニタ制御ユニットに接続するための接続端子をさらに含み、
前記電源回路は、さらに前記接続端子に接続され、前記接続端子から供給される電力または前記分岐電力線から供給される電力に基づいて前記モニタ制御ユニットのための動作電力を発生する、請求項12に記載の電動弁。
【請求項14】
請求項13に記載の電動弁と、
前記端末装置と、
前記端末装置と前記接続端子とを接続する接続ユニットと、を含み、
前記接続ユニットは、前記端末装置から前記接続端子へと電力を供給する電力ラインと、前記電力ラインに介装された絶縁型DC/DCコンバータと、を含む、電動弁システム。
【請求項15】
前記接続ユニットは、前記端末装置と前記接続端子との間で信号を伝送する信号ラインと、前記信号ラインに介装されたフォトカプラと、をさらに含む、請求項14に記載の電動弁システム。
【請求項16】
モータの駆動力によって弁体を駆動して流路を開閉する電動アクチュエータと、前記電動アクチュエータを収容するハウジングとを含む電動弁をモニタする電動弁モニタユニットであって、
メモリと、
前記モータの動作履歴を表すモータ動作履歴情報および前記ハウジング内の環境履歴を表す環境履歴情報の少なくとも一方を含む履歴情報を、前記メモリに蓄積するモニタ制御ユニットと、を含む、電動弁モニタユニット。
【請求項17】
モータの駆動力によって弁体を駆動して流路を開閉する電動アクチュエータと、前記電動アクチュエータを収容するハウジングとを含む電動弁に用いられる電動弁用端子台装置であって、
メモリと、
前記モータの動作履歴を表すモータ動作履歴情報および前記ハウジング内の環境履歴を表す環境履歴情報の少なくとも一方を含む履歴情報を、前記メモリに蓄積するモニタ制御ユニットと、
前記メモリおよび前記モニタ制御ユニットが実装された配線基板と、
前記配線基板に電気的かつ機械的に接続された端子台本体と、を含む、電動弁用端子台装置。
【請求項18】
流路を開閉する弁体と、
モータの駆動力によって前記弁体を駆動する電動アクチュエータと、
前記電動アクチュエータを収容するハウジングと、
メモリと、
前記モータの動作履歴を表すモータ動作履歴情報および前記ハウジング内の環境履歴を表す環境履歴情報の少なくとも一方を含む履歴情報を前記メモリに蓄積するモニタ制御ユニットと、
表示部と、
前記メモリに蓄積されている前記履歴情報を読み出し、前記表示部に表示させる表示制御ユニットと、を含む、電動弁モニタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動弁、電動弁システム、電動弁モニタユニット、電動弁用端子台装置および電動弁モニタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電動弁を開示している。電動弁は、流路を開閉する弁体と、弁体を駆動するモータとを含む。モータに通電すると、モータの回転駆動力が伝達機構を介して出力軸に伝達され、それによって、弁体が流路を開く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動弁に作動不良等の不具合が生じると、配管設備から電動弁を取り外し、外観検査等による原因の究明が行われる。しかし、このような作業による原因究明は必ずしも容易ではなく、特定可能な原因は限定的である。とりわけ、電動弁に生じた不具合が、製品不良に起因するものでなく、想定外の使用状況に起因するものである場合には、電動弁を調べても容易には原因の特定に至らない。
【0005】
たとえば、使用者が意図する電動弁開閉動作のほかに、指令信号に対するノイズの混入やフィードバック制御等の影響によって、電動弁の振動的な開閉動作が生じる場合がある。このような場合には、想定する電動弁の動作頻度と実際の電動弁の動作頻度とが大きく異なり、想定に基づいて仕様選択した電動弁の耐用動作回数に速やかに到達してしまう。
【0006】
また、電動弁の使用環境が想定と異なる場合もあり得る。たとえば、電動弁によって流路開閉される配管に流れる流体や配管の周囲の状況によっては、電動弁に内蔵されたモータの環境温度が想定よりも高くなるおそれがある。このような場合には、想定に基づいて仕様選択した電動弁の動作許容温度を超える温度履歴がモータ等に与えられ、想定よりも早く故障に至るおそれがある。
【0007】
そこで、この発明の一つの目的は、使用状況の履歴をモニタする仕組みを備え、それにより、前述のような課題を解決できる電動弁を提供することである。
【0008】
また、この発明の他の目的は、電動弁の使用状況の履歴をモニタ可能な電動弁システムおよび電動弁用端子台装置を提供することである。
【0009】
また、この発明の他の目的は、電動弁の使用状況の履歴をモニタできる電動弁モニタユニットおよび電動弁モニタシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の一実施形態は、次のような特徴を有する電動弁を提供する。
【0011】
1.流路を開閉する弁体と、
モータの駆動力によって前記弁体を駆動する電動アクチュエータと、
前記電動アクチュエータを収容するハウジングと、
メモリと、
前記モータの動作履歴を表すモータ動作履歴情報および前記ハウジング内の環境履歴を表す環境履歴情報の少なくとも一方を含む履歴情報を前記メモリに蓄積するモニタ制御ユニットと、
を含む、電動弁。
【0012】
この構成によれば、モータの動作履歴を表すモータ動作履歴情報およびハウジング内の環境履歴を表す環境履歴情報の少なくとも一方を含む履歴情報が、メモリに蓄積される。メモリに蓄積されている履歴情報を読み出すことにより、モータの動作履歴およびハウジング内の環境履歴の少なくとも一方を調べることができる。すなわち、電動弁の使用状況がモニタ(監視)され、そのモニタの結果である履歴情報をメモリに蓄積して残すことができる。
【0013】
電動弁に不具合が発生したときには、メモリに蓄積されている履歴情報を調べることにより、電動弁の不具合の発生原因を事後的に究明できる。また、電動弁を作動させながらメモリから履歴情報を読み出せば、電動弁の使用状況をリアルタイムでモニタすることもできる。それにより、不具合の原因究明を一層効率的に行うことができる。
【0014】
また、電動弁に不具合が発生していなくても、メモリに蓄積されている履歴情報に基づいて電動弁の使用状況の履歴を調べることにより、将来における電動弁の不具合の発生を事前に予測可能である。たとえば、メモリに蓄積された履歴情報を適切な点検時期に確認することによって、部品交換等の時期を予測することができるので、適切なメンテナンスを行うことができる。それにより、不具合を未然に回避できる。
【0015】
さらに、前述のとおり、電動弁を作動させながらメモリから履歴情報を読み出せば、電動弁の使用状況をリアルタイムでモニタすることもできるので、電動弁を配管設備に設置して、当該電動弁が使用環境に適応して適切に作動するかどうかを調べることもできる。そこで、電動弁を設置した後の初期作動試験のために履歴情報を利用することができる。また、電動弁を試験的に配管設備に設置して、履歴情報を収集し、その履歴情報を、使用環境に適した電動弁の選定のために用いてもよい。
【0016】
2.前記モータが駆動していることを検出するモータ駆動検出ユニットをさらに含み、
前記モニタ制御ユニットが、前記モータ駆動検出ユニットによる前記モータの駆動の検出に基づいて、前記モータ動作履歴情報を前記メモリに蓄積する、項1に記載の電動弁。
【0017】
この構成によれば、モータ駆動検出ユニットによるモータの駆動の検出に基づいて、モータの動作履歴を表すモータ動作履歴情報が、メモリに蓄積される。モータの駆動の実際の検出に基づいてモータ動作履歴情報が蓄積されるので、蓄積されるモータ動作履歴情報が正確である。これにより、メモリに蓄積されるモータ動作履歴情報の信頼性を高めることができる。
【0018】
モータの実際の駆動を監視する代わりに、モータの駆動指令を監視することが考えられるかもしれないが、指令信号等に混入するノイズやフィードバック制御などの影響により、駆動指令とモータの実際の駆動とは必ずしも対応しない。とりわけ、電動弁が開閉する流路を流れる流体が特殊な性質を有する場合や、電動弁の使用環境が特殊である場合には、指令信号に対するモータの実際の挙動が想定どおりになるとは限らない。このような場合には、使用者が想定する電動弁の動作と、実際の電動弁の動作状況、より具体的にはモータの動作状況とが必ずしも一致しない。たとえば、使用者の想定よりもはるかに高頻度で電動弁の開閉動作が行われ、その結果、電動弁の部品の消耗が速やかに進行する場合があり得る。このような場合に、モータの実際の駆動を監視し、それをモータ動作履歴情報としてメモリに蓄積する利益がある。
【0019】
3.前記モータ駆動検出ユニットが、前記モータへの通電を検出するモータ通電検出回路を含む、項2に記載の電動弁。
【0020】
この構成によれば、モータが駆動していることが、モータ通電検出回路によるモータへの通電の検出によって検出される。そのため、モータが駆動していることを正確に検出でき、それゆえ、メモリに蓄積されるモータ動作履歴情報の信頼性を、より一層高めることができる。
【0021】
4.前記モータ動作履歴情報が、前記モータの動作回数を表すモータ動作回数情報を含む、項1~3のいずれか一項に記載の電動弁。
【0022】
この構成によれば、モータの動作回数を表すモータ動作回数情報がメモリに蓄積される。メモリに蓄積されているモータ動作回数情報を読み出すことにより、モータの動作回数をモニタ可能である。
【0023】
5.前記モータ動作履歴情報が、前記モータの動作時間を表すモータ動作時間情報を含む、項1~4のいずれか一項に記載の電動弁。
【0024】
この構成によれば、モータの動作時間を表すモータ動作時間情報がメモリに蓄積される。メモリに蓄積されているモータ動作時間情報を読み出すことにより、モータの動作時間をモニタ可能である。
【0025】
6.前記ハウジング内の環境状態を検出する環境センサをさらに含み、
前記モニタ制御ユニットが、前記環境センサによる前記ハウジング内の環境状態の検出に基づいて、前記環境履歴情報を前記メモリに蓄積する、項1~5のいずれか一項に記載の電動弁。
【0026】
この構成によれば、環境センサによるハウジング内の環境状態の検出に基づいて、ハウジング内の環境履歴を表す環境履歴情報が、メモリに蓄積される。ハウジング内の環境状態の実際の検出に基づいて環境履歴情報が蓄積されるので、ハウジング内の環境履歴を正確にモニタ可能である。これにより、メモリに蓄積される環境履歴情報の信頼性を高めることができる。
【0027】
7.前記環境センサが、前記ハウジング内の温度を検出する温度センサを含み、
前記環境履歴情報が、前記ハウジング内の温度の履歴を表す温度履歴情報を含む、項6に記載の電動弁。
【0028】
この構成によれば、温度センサによるハウジング内の温度の検出に基づいて、ハウジング内の温度の履歴を表す温度履歴情報が、メモリに蓄積される。ハウジング内の温度の実際の検出に基づいて温度履歴情報が蓄積されるので、ハウジング内の温度履歴を正確にモニタ可能である。これにより、メモリに蓄積される温度履歴情報の信頼性を高めることができる。
【0029】
使用が許容される許容温度範囲外の温度環境で電動弁が使用されることがある。この場合、電動弁における不具合の発生確率が上昇する。ハウジング内の温度をモニタすることにより、電動弁の不具合の発生原因の究明や、電動弁の不具合の発生の予測を、高精度で行うことが可能である。
【0030】
8.前記温度履歴情報が、所定期間における前記ハウジング内の最高温度の情報、および前記所定期間における前記ハウジング内の最低温度の情報の少なくとも一方を含む、項7に記載の電動弁。
【0031】
この構成によれば、所定期間におけるハウジング内の最高温度の情報、および所定期間におけるハウジング内の最低温度の情報の少なくとも一方が、温度履歴情報としてメモリに記憶される。メモリに記憶されているハウジング内の最高温度および最低温度の情報の少なくとも一方を読み出すことにより、ハウジング内の温度が電動弁の許容温度範囲内にあるか否かを調べることが可能である。これにより、電動弁の不具合の発生原因の究明や、電動弁の不具合の発生の予測を、より一層高精度で行うことが可能である。
【0032】
9.前記温度履歴情報が、前記ハウジング内の温度が所定の温度範囲内にある時間の情報を含む、項7または8に記載の電動弁。
【0033】
この構成によれば、ハウジング内の温度が所定の温度範囲内にある時間の情報が、温度履歴情報としてメモリに蓄積される。所定の温度環境における電動弁の使用期間をモニタできるので、電動弁の不具合の発生原因の究明や、電動弁の不具合の発生の予測を、より一層高精度で行うことが可能である。
【0034】
10.前記環境センサが、前記電動弁に働く加速度を検出する加速度センサを含み、
前記環境履歴情報が、前記加速度センサが検出する加速度の履歴を表す加速度履歴情報を含む、項6~9のいずれか一項に記載の電動弁。
【0035】
この構成によれば、加速度センサによる電動弁に働く加速度の検出に基づいて、電動弁に働く加速度の履歴を表す加速度履歴情報が、メモリに蓄積される。電動弁に働く加速度の実際の検出に基づいて加速度履歴情報が蓄積されるので、メモリに蓄積される加速度履歴情報の信頼性を高めることができる。
【0036】
電動弁に振動が付与されている状態で電動弁が使用されることがある。このような状態で電動弁が使用されると、電動弁における不具合の発生確率が上昇する。電動弁に働く加速度をモニタすることにより、電動弁の不具合の発生原因の究明や、電動弁の不具合の発生の予測を、高精度で行うことが可能である。
【0037】
11.前記メモリおよび前記モニタ制御ユニットが実装された配線基板と、前記配線基板に電気的かつ機械的に接続された端子台本体とを有する電動弁用端子台をさらに含む、項1~10のいずれか一項に記載の電動弁。
【0038】
この構成によれば、メモリおよびモニタ制御ユニットが、電動弁用端子台の配線基板に実装されている。電動弁用端子台の配線基板とは別に、メモリおよびモニタ制御ユニットを実装する部材(基板)を設けるとすると、ハウジング内に収容される部品の点数が増え、それに伴ってハウジングが大型化したりハウジング内の配線の構成が複雑化したりするおそれがある。メモリおよびモニタ制御ユニットが電動弁用端子台の配線基板に実装されているので、ハウジング内に収容される部品の点数を増やすことなく、メモリおよびモニタ制御ユニットをハウジング内に収容できる。
【0039】
12.前記モータへの通電のための電力線から分岐した分岐電力線に接続され、前記モニタ制御ユニットのための動作電力を発生する電源回路をさらに含む、項1~11のいずれか一項に記載の電動弁。
【0040】
この構成によれば、電源回路が、モータへの供給電力を用いてモニタ制御ユニットのための動作電力を発生させるので、モータへの供給電力を用いて履歴情報をメモリに蓄積できる。そのため、メモリへの履歴情報の蓄積のために別途の電力供給源を設ける必要がない。
【0041】
13.前記メモリに蓄積されている前記履歴情報を読み出す端末装置を前記モニタ制御ユニットに接続するための接続端子をさらに含み、
前記電源回路は、さらに前記接続端子に接続され、前記接続端子から供給される電力または前記分岐電力線から供給される電力に基づいて前記モニタ制御ユニットのための動作電力を発生する、項12に記載の電動弁。
【0042】
この構成によれば、モニタ制御ユニットに端末装置を接続している状態では、端末装置から供給される電力をモニタ制御ユニットのための動作電力を発生させることが可能である。
【0043】
メモリに蓄積されている履歴情報を端末装置に送り出すためには、電力が必要である。しかし、分岐電力線から供給される電力に基づいて電源回路で発生される動作電力の利用は、モータへの給電のための電力が供給される期間に限られる。そこで、接続端子を介して端末装置から供給される電力に基づいて電源回路で発生される動作電力を用いることで、モータへの給電の有無にかかわらず、メモリに蓄積されている履歴情報の端末装置への送り出しを実現できる。この場合、履歴情報を送り出すための動作電力のために別途の電力供給源を設ける必要がない。
【0044】
端的には、このような構成とすることにより、モータへの通電のための電力線から電動弁を切り離した状態(より具体的には、電動弁を配管設備から取り外して単体で調べる場合)であっても、別途の電力供給源を設けることなく、メモリ内の履歴情報を端末装置へと読み出すことができる。また、電力線がモータに接続されている場合であっても、モータを作動することなく、すなわち、電力線に電力を供給することなく、かつ別途の電力供給源を設けることなく、メモリ内の履歴情報を端末装置へと読み出すことができる。
【0045】
この発明の一実施形態は、次のような特徴を有する電動弁システムを提供する。
【0046】
14.項13に記載の電動弁と、
前記端末装置と、
前記端末装置と前記接続端子とを接続する接続ユニットと、を含み、
前記接続ユニットは、前記端末装置から前記接続端子へと電力を供給する電力ラインと、前記電力ラインに介装された絶縁型DC/DCコンバータと、を含む、電動弁システム。
【0047】
モニタ制御ユニットと端末装置とが接続した状態において、端末装置と接続端子とが電気的に接続されていると、分岐電力線から供給される電力によって端末装置が悪影響を受けるおそれがある。
【0048】
この構成によれば、端末装置から接続端子へと電力を供給する電力ラインに絶縁型DC/DCコンバータ(直流電圧変換器)が介装されているので、端末装置側の電力ラインと接続端子側の電力ラインとを絶縁しながら、端末装置から接続端子へと電力を供給できる。端末装置側の電力ラインと、接続端子側の電力ラインとが絶縁されているので、端末装置と接続端子とが接続されており、かつ電力線がモータへの給電のための電源に接続されていても、その電源からの大電力が端末装置に侵入することを回避できる。
【0049】
15.前記接続ユニットは、前記端末装置と前記接続端子との間で信号を伝送する信号ラインと、前記信号ラインに介装されたフォトカプラと、をさらに含む、項14に記載の電動弁システム。
【0050】
また、端末装置と接続端子との間で信号を伝送する信号ラインにフォトカプラが介装されているので、端末装置側の信号ラインと接続端子側の信号ラインとを絶縁しながら、端末装置と接続端子との間で信号を伝送できる。端末装置側の信号ラインと、接続端子側の信号ラインとが絶縁されているので、端末装置と接続端子との信号伝送時において、端末装置に悪影響が発生することを回避できる。すなわち、端末装置と接続端子とが接続されており、かつ電力線がモータへの給電のための電源に接続されていても、その電源からの大電力が信号ラインを介して端末装置に侵入することを回避できる。
【0051】
この発明の一実施形態は、次のような特徴を有する電動弁モニタユニットを提供する。
【0052】
16.モータの駆動力によって弁体を駆動して流路を開閉する電動アクチュエータと、前記電動アクチュエータを収容するハウジングと、を含む電動弁をモニタする電動弁モニタユニットであって、
メモリと、
前記モータの動作履歴を表すモータ動作履歴情報および前記ハウジング内の環境履歴を表す環境履歴情報の少なくとも一方を含む履歴情報を、前記メモリに蓄積するモニタ制御ユニットと、を含む、電動弁モニタユニット。
【0053】
この構成によれば、モータの動作履歴を表すモータ動作履歴情報およびハウジング内の環境履歴を表す環境履歴情報の少なくとも一方を含む履歴情報が、メモリに蓄積される。メモリに蓄積されている履歴情報を読み出すことにより、モータの動作履歴およびハウジング内の環境履歴の少なくとも一方をモニタすることが可能である。すなわち、電動弁の使用状況の履歴をモニタ可能である。その他、項1の電動弁に関して述べた作用効果を実現できる。
【0054】
この発明の一実施形態は、次のような特徴を有する電動弁用端子台装置を提供する。
【0055】
17.モータの駆動力によって弁体を駆動して流路を開閉する電動アクチュエータと、前記電動アクチュエータを収容するハウジングとを含む電動弁に用いられる電動弁用端子台装置であって、
メモリと、
前記モータの動作履歴を表すモータ動作履歴情報および前記ハウジング内の環境履歴を表す環境履歴情報の少なくとも一方を含む履歴情報を、前記メモリに蓄積するモニタ制御ユニットと、
前記メモリおよび前記モニタ制御ユニットが実装された配線基板と、
前記配線基板に電気的かつ機械的に接続された端子台本体と、を含む、電動弁用端子台装置。
【0056】
この構成によれば、モータの動作履歴を表すモータ動作履歴情報およびハウジング内の環境履歴を表す環境履歴情報の少なくとも一方を含む履歴情報が、メモリに蓄積される。メモリに蓄積されている履歴情報を読み出すことにより、モータの動作履歴およびハウジング内の環境履歴の少なくとも一方をモニタすることが可能である。すなわち、電動弁の使用状況の履歴をモニタ可能なモニタリング機能付きの端子台装置を提供できる。その他、項1の電動弁に関して述べた作用効果を実現できる。
【0057】
また、メモリおよびモニタ制御ユニットが、電動弁用端子台装置の配線基板に実装されている。電動弁用端子台装置の配線基板とは別に、メモリおよびモニタ制御ユニットを実装する基板を設けるとすると、ハウジング内に収容される基板の個数が増え、それに伴ってハウジングが大型化したりハウジング内の配線の構成が複雑化したりするおそれがある。メモリおよびモニタ制御ユニットが電動弁用端子台装置の配線基板に実装されているので、ハウジング内に収容される基板の数を増やすことなく、メモリおよびモニタ制御ユニットをハウジング内に収容できる。
【0058】
加えて、電動弁に不具合が生じたときに、端子台装置だけを取り外して、メモリに蓄積された履歴情報を調べ、それに基づいて原因を究明することもできる。したがって、電動弁が設置された現場とは異なる場所で原因究明作業を行う場合であっても、電動弁を配管設備から取り外す必要がない。
【0059】
また、取付け部の仕様を、モニタリング機能を有しない既存モデルの電動弁に備えられた端子台装置と共通化しておけば、端子台装置を交換することで、モニタリング機能を付与するアップグレードを行うことができる。したがって、たとえば、モニタリング機能をオプションとして設定することができる。また、場合によっては、現場設置済みの電動弁の端子台装置をモニタリング機能付きの端子台装置に交換することもできる。
【0060】
この発明の一実施形態は、次のような特徴を有する電動弁モニタシステムを提供する。
【0061】
18.流路を開閉する弁体と、
モータの駆動力によって前記弁体を駆動する電動アクチュエータと、
前記電動アクチュエータを収容するハウジングと、
メモリと、
前記モータの動作履歴を表すモータ動作履歴情報および前記ハウジング内の環境履歴を表す環境履歴情報の少なくとも一方を含む履歴情報を前記メモリに蓄積するモニタ制御ユニットと、
表示部と、
前記メモリに蓄積されている前記履歴情報を読み出し、前記表示部に表示させる表示制御ユニットと、を含む、電動弁モニタシステム。
【0062】
この構成によれば、モータの動作履歴を表すモータ動作履歴情報およびハウジング内の環境履歴を表す環境履歴情報の少なくとも一方を含む履歴情報が、メモリに蓄積される。メモリに蓄積されている履歴情報を読み出し、表示部に表示させることにより、モータの動作履歴およびハウジング内の環境履歴の少なくとも一方をモニタできる。すなわち、電動弁の使用状況の履歴をモニタできる。その他、項1の電動弁に関して述べた作用効果を実現できる。
【0063】
上記電動弁モニタシステムは、典型的には、項14または15に記載の電動弁システムの端末装置が前記表示部および前記表示制御ユニットの機能を備えることによって、実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】この発明の一実施形態に係る電動弁の構成例を説明するための斜視図である。
【
図2】前記電動弁を含む電動弁システムの電気的構成例を説明するためのブロック図である。
【
図3A】前記電動弁に備えられたモニタ制御ユニットの電気的構成例を説明するためのブロック図である。
【
図3B】前記電動弁に備えられたメモリの概念的な記憶構造の一例を説明するためのブロック図である。
【
図4】前記電動弁に接続されて前記電動弁システムを構成するコンピュータの電気的構成例を説明するためのブロック図である。
【
図5】前記電動弁システムに備えられた接続ユニットの電気的構成例を説明するためのブロック図である。
【
図6】前記モニタ制御ユニットの動作例を説明するためのフローチャートであり、モータ動作履歴情報の蓄積動作を示している。
【
図7】前記モニタ制御ユニットの動作例を説明するためのフローチャートであり、温度履歴情報の蓄積動作を示している。
【
図8】前記コンピュータの表示部に表示される履歴情報モニタ画面の一例を示す図である。
【
図9】前記表示部に表示される履歴情報初期化画面の一例を示す図である。
【
図10】前記接続ユニットを介して前記コンピュータを電動弁用端子台装置に接続した場合の電気的構成例を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0066】
図1は、この発明の一実施形態に係る電動弁1の構成例を説明するための斜視図である。電動弁1は、工場、発電所、プラント、浄水施設、プール等の各種施設の配管設備に設置される。つまり、配管に取り付けられた状態で使用され、配管内の流路を開閉する。
【0067】
電動弁1は、弁体2と、弁体2を開閉するための電動アクチュエータ3とを含む。弁体2は、流路4を開閉するように構成されている。たとえば、弁体2は、弁箱内の流路4内で90度の範囲で回動して流路4を開閉するボールバルブまたはバタフライバルブであってもよい。電動アクチュエータ3は、モータMを含む。
【0068】
電動弁1は、弁体2が先端に結合された出力軸5と、電動アクチュエータ3のモータMの回転を出力軸5に伝達する伝達機構6とをさらに含む。モータMの回転駆動力が伝達機構6に伝達され、出力軸5が回転することにより、弁体2が開閉駆動される。出力軸5には、ストッパ板8が固定されている。このストッパ板8に対向するように一対のストッパボルト9が配置されている。一対のストッパボルト9は、出力軸5の全開位置および全閉位置においてそれぞれストッパ板8に当接して、出力軸5の回転を規制するように配置されている。全開位置とは、弁体2が全開状態となる位置であり、全閉位置とは、弁体2が全閉状態となる位置である。
【0069】
伝達機構6は、ギヤヘッド10と、ピニオン11とを含む。モータMの駆動力はギヤヘッド10を介してピニオン11から出力される。伝達機構6は、出力軸5に固定された平歯車12と、ピニオン11の回転を減速し、トルク増幅して平歯車12に伝達する複数の伝達ギヤ13と、をさらに含む。
【0070】
出力軸5には、さらに、2つのカム14が固定されている。これらのカム14にリミットスイッチLS1およびリミットスイッチLS2がそれぞれ係合している。リミットスイッチLS1は、弁体2が全開位置のときの出力軸5の回転位相でカム14に押されて全開を検出するように配置されている。リミットスイッチLS2は、弁体2が全開位置のときの出力軸5の回転位相でカム14に押されて全開を検出するように配置されている。
【0071】
電動弁1は、電動アクチュエータ3を収容するハウジング15と、電動弁用端子台16とをさらに含む。電動弁用端子台16は、ハウジング15内に収容されている。ハウジング15の壁面(たとえば側面)には、一または複数の入線口15a(
図1では、たとえば一つ)が形成されている。
【0072】
電動弁用端子台16は、配線基板17と、配線基板17に電気的かつ機械的に接続された端子台本体18とを含む。端子台本体18は、開端子T11、閉端子T12、コモン端子T13および端子T14,T15,T16,T17,T18を含む。電動弁用端子台16は、電動弁1に収容される電気部品(モータMや種々のセンサ)に接続されるケーブルを中継したり、分岐したりするためのものである。電動弁用端子台16に接続される複数のケーブルは、入線口15aを介して、それぞれ電動弁用端子台16の複数の端子T11~T18に接続される。配線基板17上には、モニタ制御ユニット19およびメモリ20が実装されている。
【0073】
図2は、電動弁1を含む電動弁システム100の電気的構成例を説明するためのブロック図である。電動弁システム100は、電動弁1と、接続ユニット22と、端末装置の一例としてのコンピュータ23とを含む。コンピュータ23は、典型的にはパーソナルコンピュータであるが、タブレット端末、スマートフォン等の他の形態を有していてもよい。
【0074】
電動弁1は、電力ケーブル27を介して、交流電源24(商用交流電源)に接続される。交流電源24と電力ケーブル27との間には、電源切替スイッチ28が介装されている。電源切替スイッチ28は、電動弁1とは別の場所に配置された操作盤(図示しない)に配置されている。電源切替スイッチ28は、開接点141と、閉接点142と、共通接点143とを含む。電源切替スイッチ28は、使用者によって手動操作される手動スイッチであってもよく、自動制御によって切り替えられる自動スイッチであってもよい。
【0075】
端子台本体18の開端子T11および閉端子T12は、それぞれ、電源切替スイッチ28の開接点141および閉接点142に電力ケーブル27を介して接続される。端子台本体18のコモン端子T13は、電力ケーブル27を介して、交流電源24の他方の端子に接続される。
【0076】
モータMは、たとえば交流モータ(誘導モータ)である。たとえば、モータMは、主巻線および補助巻線を含み、それらの一端は共通接続されており、それらの他端の間には進相用コンデンサCが接続されている。モータMは、モータMを開方向に駆動するときに電力を供給すべき開端子146と、モータMを閉方向に駆動するときに電力を供給すべき閉端子147と、主巻線および補助巻線の一端が共通接続されたコモン端子148とを含む。モータMには、第1電力線151、第2電力線152および第3電力線153によって、交流電源24からの交流電力が供給される。
【0077】
電動弁用端子台16は、モータ用接続端子25をさらに含む。モータ用接続端子25は、端子T21,T22,T23を含む。
【0078】
第1電力線151、第2電力線152および第3電力線153は、交流電源24からモータMへの通電のための電力線である。第1電力線151は、開端子146と開端子T11とを接続する。第1電力線151は、開端子146と端子T21とを接続する電力線151aと、端子T21と開端子T11とを接続する電力線151bとを含む。電力線151aには、リミットスイッチLS1が介装されている。電力線151bは、電動弁用端子台16の配線基板17に配線されている。
【0079】
第2電力線152は、閉端子147と閉端子T12とを接続する。第2電力線152は、閉端子147と端子T22とを接続する電力線152aと、端子T22と閉端子T12とを接続する電力線152bとを含む。電力線152aには、リミットスイッチLS2が介装されている。電力線152bは、電動弁用端子台16の配線基板17に配線されている。
【0080】
第3電力線153は、モータMのコモン端子148とコモン端子T13とを接続する。第3電力線153は、コモン端子148と端子T23とを接続する電力線153aと、端子T23とコモン端子T13とを接続する電力線153bとを含む。モータMの他、リミットスイッチLS1,LS2および進相用コンデンサCが、電動アクチュエータ3に備えられている。電力線153bは、電動弁用端子台16の配線基板17に配線されている。電力線153bには、シャント抵抗35が介装されている。
【0081】
電動弁用端子台16の端子台本体18の5つの端子T14,T15,T16,T17,T18には、電動弁1に内蔵された種々のマイクロスイッチからの信号が入力される。
【0082】
電動弁1は、電動弁1の使用状況の履歴をモニタする電動弁モニタユニット30をさらに含む。電動弁モニタユニット30は、モニタ制御ユニット19と、メモリ20と、電源回路31と、モータMが駆動していることを検出するモータ駆動検出ユニットの一例としてのモータ通電検出回路32と、環境センサの一例としての温度センサ33と、シャント抵抗35とを含む。電動弁モニタユニット30と電動弁用端子台16とによって、電動弁用端子台装置BDが構成されている。
【0083】
電源回路31は、モニタ制御ユニット19のための動作電力を発生する回路である。電源回路31は、電力線151bから分岐した分岐電力線34a、および電力線152bから分岐した分岐電力線34bに接続されている。分岐電力線34aに、整流のための第1ダイオードD1が介装されている。分岐電力線34bに、整流のための第2ダイオードD2が介装されている。第1ダイオードD1および第2ダイオードD2のカソード側が合流分岐電力線34cに共通接続されている。合流分岐電力線34cには、逆流防止のための第3ダイオードD3が介装されている。分岐電力線34aおよび分岐電力線34bは、合流分岐電力線34cおよび共通電力線36を介して電源回路31に接続されている。電源回路31には、分岐電力線34aからの電力、または分岐電力線34bからの電力が供給される。
【0084】
電源回路31には、モニタ制御ユニット19、メモリ20、モータ通電検出回路32および温度センサ33が接続されている。電源回路31は、モニタ制御ユニット19、メモリ20、モータ通電検出回路32および温度センサ33のための動作電力を発生し、発生した動作電力をこれらに供給する。
【0085】
モータ通電検出回路32は、モータMへの通電の有無を検出する回路であり、通電時にシャント抵抗35で発生する電圧降下を検出してモータMに流れる電流(モータ電流I3)をモニタし、これにより、モータMへの通電の有無を検出している。モニタ制御ユニット19は、モータ通電検出回路32によるモータMへの通電の有無の検出に基づいて、モータMの動作履歴を表すモータ動作履歴情報H1をメモリ20に蓄積する。
【0086】
温度センサ33は、ハウジング15内の温度(環境状態)を検出している。温度センサ33による検出温度に基づいて、モニタ制御ユニット19は、メモリ20に、ハウジング15内の温度の履歴を表す温度履歴情報(環境履歴情報)H2を蓄積する。
【0087】
モータMの累積の動作時間が耐用動作時間に近づくと、電動弁1が故障する確率が上昇する。また、使用が許容される許容温度範囲外の温度環境で電動弁1が使用されていること、電動弁1の開閉の動作頻度が高いこと、モータMの制御に異常があること等も、電動弁1の故障の発生原因になる。電動弁1の故障の発生後において、メモリ20に蓄積されているモータ動作履歴情報H1および温度履歴情報H2をコンピュータ23によって読み出すことにより、モータMの動作履歴およびハウジング15内の温度の履歴を調べることができる。電動弁1に故障等の不具合が発生したときには、メモリ20に蓄積されているモータ動作履歴情報H1および温度履歴情報H2を調べることにより、電動弁1の不具合の発生原因を事後的に究明できる。また、電動弁1を作動させながらメモリ20から履歴情報を読み出すことにより、電動弁1の使用状況をリアルタイムでモニタ(監視)することもできる。
【0088】
電動弁モニタユニット30は、接続ユニット22を接続可能な接続端子38をさらに含む。接続端子38は、給電用の端子38aと、グランド用の端子38bと、信号授受用の2つの端子38c,38dとの合計4つの端子を含む。各端子38a,38b,38c,38dは、電動弁用端子台16に配置されている。接続端子38には、接続ユニット22を介してコンピュータ23を接続可能である。接続端子38にコンピュータ23が接続されることにより、電動弁モニタユニット30(すなわち、電動弁用端子台装置BD)とコンピュータ23とが接続される。この状態で、メモリ20に蓄積されているモータ動作履歴情報H1および温度履歴情報H2がコンピュータ23によって読み出され、コンピュータ23に表示される。電動弁1とコンピュータ23とによって、電動弁モニタシステム101が構成されている。
【0089】
図2には、電動弁1にコンピュータ23を接続した状態を示すが、典型な使用例では、通常時には電動弁1はコンピュータ23を接続することなく運用される。そして、点検等のために必要なときに、コンピュータ23が電動弁1に接続されて、
図2の状態となる。コンピュータ23を電動弁1に接続した状態では、コンピュータ23は、メモリ20から過去に蓄積された履歴情報H1,H2を読み出すことができる。加えて、コンピュータ23は、メモリ20にリアルタイムで書き込まれる履歴情報H1,H2を読み出すこともできる。
【0090】
電源回路31は、端子38aに端子用電力線39を介して接続されている。端子38aと電源回路31との間において、端子用電力線39に逆流防止のための第4ダイオードD4が介装されている。
【0091】
第3ダイオードD3および第4ダイオードD4のカソード側が共通電力線36に共通接続されてダイオードOR回路を形成している。したがって、電源回路31には、分岐電力線34a,34bからの電力および接続端子38からの電力の双方が供給される。すなわち、分岐電力線34a,34bから供給される電力、または接続端子38から供給される電力に基づいて、電源回路31は電動弁モニタユニット30のための動作電力を発生させる。
【0092】
接続ユニット22は、USB(Universal Serial Bus)/シリアル変換基板71と、コンピュータ23とUSB/シリアル変換基板71とを接続する第1ケーブル72と、電動弁1の接続端子38とUSB/シリアル変換基板71とを接続する第2ケーブル73とを含む。第1ケーブル72は、たとえば汎用のUSBケーブルである。第2ケーブル73は、たとえば専用のケーブルである。
【0093】
電動弁モニタユニット30の接続端子38に接続ユニット22を介してコンピュータ23が接続されていない状態では、電源回路31には、分岐電力線34a,34bからの電力のみしか供給されない。そのため、電源回路31は、モータMに通電される期間に分岐電力線34a,34bから供給される電力を用いて、電動弁モニタユニット30のための動作電力を発生させ、この電力によって、モニタ制御ユニット19、メモリ20、モータ通電検出回路32および温度センサ33が動作する。
【0094】
一方、電動弁モニタユニット30の接続端子38に接続ユニット22を介してコンピュータ23が接続されている状態では、電源回路31には、コンピュータ23から、接続端子38を介して電力が供給される。したがって、電源回路31は、コンピュータ23から供給される電力により、モータMへの通電の有無に拘わらず、電動弁モニタユニット30を作動させることができる。電源回路31は、接続端子38からの電力によって、モニタ制御ユニット19、メモリ20、モータ通電検出回路32および温度センサ33を動作させる。
【0095】
図3Aは、電動弁1に備えられたモニタ制御ユニット19の電気的構成例を説明するためのブロック図である。
【0096】
モニタ制御ユニット19は、たとえば、マイクロコンピュータを含む。モニタ制御ユニット19は、プロセッサ(CPU)41と、様々なデータなどを記憶するROM(リードオンリメモリ)やRAM(ランダムアクセスメモリ)などの記憶部42と、タイマなどの計時部43とを含む。モニタ制御ユニット19は、予め導入されたプログラムに従って制御動作を実行する。
【0097】
図3Bは、電動弁1に備えられたメモリ20の概念的な記憶構造の一例を説明するためのブロック図である。
【0098】
メモリ20は、不揮発性メモリによって構成されている。この不揮発性メモリは、たとえば、電気的に重ね書き可能な読み出し専用メモリであるFeRAM(Ferroelectric Random Access Memory。たとえばFRAM(登録商標))によって構成されている。メモリ20は、モータ動作履歴情報H1を蓄積するモータ動作履歴メモリ46と、温度履歴情報H2を蓄積する第1温度履歴メモリ47および第2温度履歴メモリ48とを含む。
【0099】
モータ動作履歴メモリ46は、モータMの累積の動作回数の情報(モータ動作回数情報)を蓄積するためのモータ動作回数メモリ49と、モータMの累積の動作時間の情報(モータ動作時間情報)を蓄積するための累積動作時間メモリ50と、モータMの平均の動作時間の情報を蓄積するための平均動作時間メモリ51と、モータMの累積の動作時間の情報(モータ動作時間情報)を、複数(
図3Bの例では7つ)の動作時間の範囲別に蓄積するための複数(
図3Bの例では7つ)の範囲別動作時間メモリ52とを含む。平均動作時間メモリ51に記憶されている平均の動作時間は、累積動作時間メモリ50に蓄積されている累積の動作時間を、モータ動作回数メモリ49に蓄積されている回数で除して得られる時間である。
【0100】
複数の範囲別動作時間メモリ52は、第1時間範囲である1秒未満のモータ動作の累積の動作時間の情報を蓄積するための第1時間範囲メモリ52aと、第2時間範囲である1秒以上2秒未満のモータ動作の累積の動作時間の情報を蓄積するための第2時間範囲メモリ52bと、第3時間範囲である2秒以上6秒未満のモータ動作の累積の動作時間の情報を蓄積するための第3時間範囲メモリ52cと、第4時間範囲である6秒以上16秒未満のモータ動作の累積の動作時間の情報を蓄積するための第4時間範囲メモリ52dと、第5時間範囲である16秒以上31秒未満のモータ動作の累積の動作時間の情報を蓄積するための第5時間範囲メモリ52eと、第6時間範囲である31秒以上60秒未満のモータ動作の累積の動作時間の情報を蓄積するための第6時間範囲メモリ52fと、第7時間範囲である60秒以上のモータ動作の累積の動作時間の情報を蓄積するための第7時間範囲メモリ52gとを含む。複数の範囲別動作時間メモリ52に蓄積される時間の合計が、累積動作時間メモリ50に蓄積されている時間に一致している。
【0101】
第1温度履歴メモリ47は、計測対象期間(所定期間)におけるハウジング15内の最高温度の情報を記憶するための最高温度メモリ47aと、計測対象期間におけるハウジング15内の最低温度の情報を記憶するための最低温度メモリ47bとを含む。
【0102】
第2温度履歴メモリ48は、累積の計測時間の情報を蓄積するための累積計測時間メモリ53と、累積の計測時間の情報を、複数(
図3Bの例では10つ)の温度範囲別に蓄積するための複数(
図3Bの例では10つ)の範囲別計測時間メモリ54とを含む。各範囲別計測時間メモリ54は、ハウジング15内の温度が所定の温度範囲内にある時間の情報を蓄積する。複数の範囲別計測時間メモリ54は、第1温度範囲である0℃未満の温度における累積の計測時間の情報を蓄積するための第1温度範囲メモリ54aと、第2温度範囲である0℃以上10℃未満の温度における累積の計測時間の情報を蓄積するための第2温度範囲メモリ54bと、第3温度範囲である10℃以上20℃未満の温度における累積の計測時間の情報を蓄積するための第3温度範囲メモリ54cと、第4温度範囲である20℃以上30℃未満の温度における累積の計測時間の情報を蓄積するための第4温度範囲メモリ54dと、第5温度範囲である30℃以上40℃未満の温度における累積の計測時間の情報を蓄積するための第5温度範囲メモリ54eと、第6温度範囲である40℃以上50℃未満の温度における累積の計測時間の情報を蓄積するための第6温度範囲メモリ54fと、第7温度範囲である50℃以上60℃未満の温度における累積の計測時間の情報を蓄積するための第7温度範囲メモリ54gと、第8温度範囲である60℃以上70℃未満の温度における累積の計測時間の情報を蓄積するための第8温度範囲メモリ54hと、第9温度範囲である70℃以上80℃未満の温度における累積の計測時間の情報を蓄積するための第9温度範囲メモリ54jと、第10温度範囲である80℃以上の温度における累積の計測時間の情報を蓄積するための第10温度範囲メモリ54kとを含む。10つの範囲別計測時間メモリ54(第1温度範囲メモリ54a~第10温度範囲メモリ54k)に蓄積される時間の合計が、累積計測時間メモリ53に蓄積される時間に一致する。
【0103】
メモリ20が、高書換え耐性を発揮するFeRAMによって構成されているので、メモリ20に備えられたメモリ(最高温度メモリ47a、最低温度メモリ47b、モータ動作回数メモリ49、累積動作時間メモリ50、平均動作時間メモリ51、各範囲別動作時間メモリ52、累積計測時間メモリ53および各範囲別計測時間メモリ54)には、多数回の書き込みが許容されている。具体的には、モータ動作回数メモリ49に書き込み可能な動作回数の上限は、約43億回である。累積動作時間メモリ50、平均動作時間メモリ51および各範囲別動作時間メモリ52に書き込み可能な時間の上限は、約34年である。累積計測時間メモリ53および範囲別計測時間メモリ54に書き込み可能な時間の上限は、約136年である。
【0104】
図4は、電動弁1に接続されて電動弁システム100を構成するコンピュータ23(端末装置の一例)の電気的構成例を説明するためのブロック図である。
【0105】
コンピュータ23は、制御部61(表示制御ユニット)と、表示部62と、記憶部63と、入力部64と、通信インターフェイス部65と、電源部66とを含む。制御部61には、表示部62、記憶部63、入力部64および通信インターフェイス部65が電気的に接続されている。
【0106】
制御部61は、プロセッサ(CPU)61a、ROM61bおよびRAM61cを含むマイクロコンピュータによって構成されている。プロセッサ61aはRAM61cを作業領域として利用しながら、ROM61bから読み取ったプログラムを実行して、コンピュータ23を統括制御する。表示部62は、たとえば液晶ディスプレイである。記憶部63は、ハードディスク、半導体記憶装置等の記憶装置であり、各種情報を格納する。記憶部63は、内蔵されていてもよいし、外付けであってもよい。入力部64は、たとえば、キーボード、ポインティングデバイス等であり、オペレータからの指示を装置に入力する。電源部66は、商用電源(図示しない)から電源コード(図示しない)を介して供給された交流電力を直流電力に変換して、制御部61、表示部62、記憶部63、入力部64および通信インターフェイス部65に供給する。
【0107】
通信インターフェイス部65は、USBポート67を含む。USBポート67は、給電用の端子67aと、グランド端子用の67bと、信号授受用の2つの端子67c,67dとを含む。USBポート67は、USB規格に準拠したプロトコルに従って、USBポート67に接続される外部機器との間で、データの授受を行う。また、USBポート67は、電源部66から供給された電力を、USBポート67に接続される外部機器にバスパワー方式で供給する。
【0108】
図5は、電動弁システム100に備えられた接続ユニット22の電気的構成例を説明するためのブロック図である。
【0109】
接続ユニット22に備えられたUSB/シリアル変換基板71は、第1接続端子部74と、第2接続端子部75と、第1接続端子部74と第2接続端子部75とを接続する2本の電力ライン76と、第1接続端子部74と第2接続端子部75とを接続する2本の信号ライン77と、電力ライン76および信号ライン77の双方に介装されたUSB/シリアル変換IC(集積回路)78とを含む。
【0110】
第1接続端子部74は、給電用の端子74aと、グランド用の端子74bと、信号用の2つの端子74c,74dとの合計4つの端子を含む。第2接続端子部75は、給電用の端子75aと、グランド用の端子75bと、信号用の2つの端子75c,75dとの合計4つの端子を含む。
【0111】
電力ライン76は、バス電圧としてのDC(直流)電圧(たとえば5.0V)供給用の電源ライン76aと、基準電位ラインとしてのグランドライン76bとを含む。電源ライン76aは、端子74aと端子75aとを接続する。グランドライン76bは、端子74bと端子75bとを接続する。2本の電力ライン76は、第1接続端子部74と第2接続端子部75との間で電力を供給する。
【0112】
信号ライン77は、第1信号ライン77aと、第2信号ライン77bとを含む。第1信号ライン77aは、端子74cと端子75cとを接続するラインであり、端子74cから端子75cに向けて信号を送る。第2信号ライン77bは、端子74dと端子75dとを接続するラインであり、端子75dから端子74dに向けて信号を送る。2本の信号ライン77は、第1接続端子部74と第2接続端子部75との間で信号を授受する。
【0113】
USB/シリアル変換IC78は、通信プロトコルの変換処理を行う。USB/シリアル変換IC78は、第1接続端子部74から供給される電力を、第2接続端子部75に供給する。
【0114】
USB/シリアル変換基板71は、電力ライン76に介装された絶縁型DC/DCコンバータ(直流電圧変換器)79と、第1信号ライン77aに介装された送信用フォトカプラ(フォトカプラ)80と、第2信号ライン77bに介装された受信用フォトカプラ81(フォトカプラ)とをさらに含む。
【0115】
絶縁型DC/DCコンバータ79は、トランス82を含む。絶縁型DC/DCコンバータ79において、トランス82に対し第2接続端子部75側にはダイオード(図示しない)が介装されており、このダイオードによってトランス82によって生成された電圧が整流される。絶縁型DC/DCコンバータ79を電力ライン76に介装することにより、第1接続端子部74側の電力ライン76と第2接続端子部75側の電力ライン76とを絶縁した状態で、第1接続端子部74から第2接続端子部75へ電力を伝達できる。
【0116】
送信用フォトカプラ80は、第1接続端子部74からの送信信号に応じてオン/オフ(発光/非発光)する発光素子である発光ダイオードLD1と、発光ダイオードLD1に対して第2接続端子部75側に配置されたフォトトランジスタPT1とを含む。発光ダイオードLD1とフォトトランジスタPT1とが光結合しており、発光ダイオードLD1の発光/非発光に応じて、フォトトランジスタPT1が導通/遮断する。第1信号ライン77aに送信用フォトカプラ80を介装することにより、第1接続端子部74側の第1信号ライン77aと第2接続端子部75側の第1信号ライン77aとを絶縁した状態で、第1接続端子部74から第2接続端子部75へ信号を送ることができる。
【0117】
受信用フォトカプラ81は、第2接続端子部75からの受信信号に応じてオン/オフ(発光/非発光)する発光素子である発光ダイオードLD2と、発光ダイオードLD2に対して第1接続端子部74側に配置されたフォトトランジスタPT2とを含む。発光ダイオードLD2とフォトトランジスタPT2とが光結合しており、発光ダイオードLD2の発光/非発光に応じて、フォトトランジスタPT2が導通/遮断する。第2信号ライン77bに受信用フォトカプラ81を介装することにより、第1接続端子部74側の第2信号ライン77bと第2接続端子部75側の第2信号ライン77bとを絶縁した状態で、第2接続端子部75から第1接続端子部74へと信号を送ることができる。
【0118】
第1ケーブル72は、一端にプラグ72aを備え、他端に端子72bを備える。コンピュータ23のUSBポート67にプラグ72aが接続され、USB/シリアル変換基板71の第1接続端子部74に端子72bが接続されることにより、コンピュータ23とUSB/シリアル変換基板71とが第1ケーブル72によって接続される。
【0119】
第2ケーブル73は、一端に端子73aを備え、他端にプラグ73bを備える。電動弁1の電動弁用端子台16に配置された接続端子38に端子73aを接続し、USB/シリアル変換基板71の第2接続端子部75にプラグ73bを接続することにより、電動弁モニタユニット30とUSB/シリアル変換基板71とが第2ケーブル73によって接続される。
【0120】
メモリ20に蓄積されている履歴情報をコンピュータ23によって読み出してモニタする場合、オペレータは、端子72bがUSB/シリアル変換基板71に接続された状態の第1ケーブル72の一端のプラグ72aを、コンピュータ23のUSBポート67に接続し、かつプラグ73bがUSB/シリアル変換基板71に接続された状態の第2ケーブル73の端子73aを、電動弁モニタユニット30の接続端子38に接続する。これにより、コンピュータ23と接続端子38とが、接続ユニット22を介して接続される。
【0121】
コンピュータ23と接続端子38とが接続されている状態では、コンピュータ23のUSBポート67の端子67aおよび端子67bが、それぞれ、接続端子38の端子38aおよび端子38bと導通している。このとき、コンピュータ23が起動状態にあると、コンピュータ23の電源部66からの電力(USBバスパワー)が、USBポート67および接続端子38を介して、電動弁モニタユニット30の電源回路31に供給される。
【0122】
コンピュータ23から接続端子38へと電力を供給する電力ライン76に絶縁型DC/DCコンバータ79が介装されているので、コンピュータ23側の電力ライン76と接続端子38側の電力ライン76とを絶縁しながら、コンピュータ23から接続端子38へと電力を供給できる。コンピュータ23側の電力ライン76と接続端子38側の電力ライン76とが絶縁されているので、コンピュータ23と接続端子38とが接続されており、かつ電力線151b,152bがモータMへの給電のための交流電源24に接続されていても、交流電源24からの大電力が電力ライン76を介してコンピュータ23に侵入することを回避できる。
【0123】
また、コンピュータ23と接続端子38とが接続ユニット22によって接続されている状態では、コンピュータ23のUSBポート67の端子67cおよび端子67dが、それぞれ、接続端子38の端子38cおよび端子38dと導通している。このとき、コンピュータ23の制御部61からの制御信号等が、USBポート67の端子67cおよび接続端子38の端子38cを介して電動弁モニタユニット30のモニタ制御ユニット19に送られる。また、電動弁モニタユニット30のメモリ20に蓄積されている履歴情報が、接続端子38の端子38dおよびUSBポート67の端子67dを介してコンピュータ23の制御部61に送られる。
【0124】
また、コンピュータ23と接続端子38との間で信号を伝送する第1信号ライン77aおよび第2信号ライン77bに、それぞれ送信用フォトカプラ80および受信用フォトカプラ81が介装されているので、コンピュータ23側の信号ライン77(第1信号ライン77aおよび第2信号ライン77b)と接続端子38側の信号ライン77とを絶縁しながら、コンピュータ23と接続端子38との間で信号を伝送できる。コンピュータ23側の信号ライン77と接続端子38側の信号ライン77とが絶縁されているので、コンピュータ23と接続端子38とが接続されており、かつ電力線151b,152bがモータMへの給電のための交流電源24に接続されていても、交流電源24からの大電力が信号ライン77を介してコンピュータ23に侵入することを回避できる。
【0125】
電動弁1が配管設備に設置されている状態において、電動弁1が使用される。電動弁1の使用状況の履歴である履歴情報が、モニタ制御ユニット19によってメモリ20に蓄積される。電動弁1の通常の使用状態では、電動弁1にコンピュータ23が接続されないので、電動弁1の接続端子38にコンピュータ23が接続されていない状態で、メモリ20に履歴情報が蓄積される。メモリ20に蓄積される履歴情報は、モータMの動作履歴を表すモータ動作履歴情報H1、およびハウジング15内の温度の履歴を表す温度履歴情報H2である。
【0126】
電動弁1の接続端子38にコンピュータ23が接続されていない状態では、接続端子38に電力供給が供給されず、電源回路31には分岐電力線34a,34bからのみ電力が、モータMへの通電期間に供給される。電源回路31は、分岐電力線34a,34bからの電力を用いて、モニタ制御ユニット19、メモリ20、モータ通電検出回路32および温度センサ33の動作電力を発生させ、発生した動作電力がこれらに供給される。分岐電力線34a,34bから供給された電力のみに基づいて発生された電力に基づいて、モニタ制御ユニット19、メモリ20、モータ通電検出回路32および温度センサ33が動作し、メモリ20に履歴情報が蓄積される。交流電源24からモータMへの供給電力を用いてメモリ20への履歴情報の蓄積が行われるので、メモリ20への履歴情報の蓄積のために別途の電力供給源を設ける必要がない。
【0127】
以下、モニタ制御ユニット19による履歴情報のメモリ20への蓄積動作について説明する。
【0128】
図6は、モニタ制御ユニット19が所定の周期で繰り返す動作の一例を説明するためのフローチャートであり、モータ動作履歴情報H1の蓄積動作を示している。メモリ20に蓄積されるモータ動作履歴情報H1は、モータMの動作回数を表すモータ動作回数情報、およびモータMの動作時間を表すモータ動作時間情報を含む。モータ動作履歴メモリ46へのモータ動作履歴情報H1の蓄積動作について、
図2~
図4および
図6を参照しながら説明する。
【0129】
電動弁1の使用開始時には、モータ動作履歴メモリ46がリセットされており、モータ動作履歴メモリ46には初期値が書き込まれている。また、点検時等の適切な時期に、コンピュータ23を電動弁1に接続して、モータ動作履歴メモリ46をリセットすることができる。
【0130】
電動弁1の作動時には、交流電源24からの交流電力が、第1電力線151、第2電力線152および第3電力線153を介してモータMに供給される。すると、電源回路31からの動作電力の供給を受けてモータ通電検出回路32が作動し、合流分岐電力線34cを流れるモータ電流I
3(
図2参照)が検出される。
【0131】
モニタ制御ユニット19は、同じく電源回路31からの電力供給を受けて動作する。モニタ制御ユニット19は、モータ通電検出回路32によって検出されるモータ電流I3を取得する(ステップS1)。モニタ制御ユニット19は、モータ通電検出回路32によって検出されたモータ電流I3が所定の電流閾値(たとえば、零アンペア)を超えているかどうかを監視し(ステップS2)、これにより、モータMに通電しているか否か、すなわちモータMが動作しているか否かを判断する。電流閾値は、モータMに通電しているときは、モータ通電検出回路32の検出電流が電流閾値を超え、モータMに通電していないときは、モータ通電検出回路32の検出電流が電流閾値以下となるように、設定される。
【0132】
モータ通電検出回路32の検出電流が電流閾値を超えている場合(ステップS2:YES)、次いで、直前まで非通電であったかどうか、すなわち、モータMへの通電の開始タイミングであるか否かが調べられる。具体的には、プロセッサ41は、モータMへの通電中であることを表す通電フラグがオフかどうかを調べる(ステップS3)。モータMへの通電が開始される開始タイミングであれば、通電フラグはオフである。通電中であれば、通電フラグはオンである。
【0133】
ステップS3において通電フラグがオフである場合(ステップS3:YES)、モニタ制御ユニット19のプロセッサ41は、モータMへの通電の開始タイミングであると判断する。そして、プロセッサ41は、モータ動作回数メモリ49に蓄積されている回数をインクリメント(+1)する(ステップS4)。これにより、モータ動作回数メモリ49に蓄積されているモータMの累積の動作回数の情報が更新される。また、プロセッサ41は、通電フラグをオンにする(ステップS5)。また、プロセッサ41は、計時部43に計測開始指令を与える。計測開始指令が計時部43に与えられると、その計時時間をリセットした後に、計時を開始する(ステップS6)。これにより、直前まで非通電である状態で閾値を超える電流が検出されると、計時部43による通電時間の計測が開始する。通電フラグは、通電時間の計測中かどうかを表すフラグであるとも言える。
【0134】
モータMへの通電が開始されて以後の通電中は(ステップS2:YES)、以後の制御サイクルにおいて、通電フラグがオンである(ステップS3:NO)。したがって、計時部43による通電時間の計測が継続される。
【0135】
一方、ステップS2において検出電流が電流閾値以下である場合(ステップS2:NO)、次いで、通電フラグがオンかどうか、すなわち、直前まで通電中であったかどうか(より具体的には通電時間計測中かどうか)が調べられる(ステップS7)。モータMへの通電が停止される停止タイミングであれば、通電フラグはオンである。直前においても通電がなければ(換言すれば、通電時間を計測中でなければ)、通電フラグはオフである。
【0136】
ステップS7において通電フラグがオンである場合(ステップS7:YES)、プロセッサ41は、モータMへの通電の停止タイミングであると判断する。そして、プロセッサ41は、通電フラグをオフにする(ステップS8)。また、プロセッサ41は、計時部43に計測停止指令を与える。それにより、計時部43による通電時間の計測が終了する(ステップS9)。よって、計時部43は、モータ電流I3が閾値を超えると計時を開始し、モータ電流I3が閾値以下となると計時を終了するので、モータMへの通電時間を計測した状態で計時動作を停止することになる。
【0137】
そして、プロセッサ41は、計時部43が計測した通電時間を、累積動作時間メモリ50に蓄積されている時間に加算する(ステップS10)。これにより、累積動作時間メモリ50に蓄積されているモータMの累積の動作時間の情報が更新される。
【0138】
また、モニタ制御ユニット19のプロセッサ41は、算出された今回の通電時間を、対応する範囲別動作時間メモリ52に蓄積されている時間に加算する(ステップS11)。算出された今回の通電時間がたとえば3秒である場合、対応する範囲別動作時間メモリ52が第3時間範囲メモリ52cであるので、第3時間範囲メモリ52cに蓄積されている時間に通電時間が加算される。また、算出された通電時間がたとえば8秒である場合、対応する範囲別動作時間メモリ52が第4時間範囲メモリ52dであるので、第4時間範囲メモリ52dに蓄積されている時間に通電時間が加算される。これにより、範囲別動作時間メモリ52に記憶されている動作時間別の累積の動作時間の情報が更新される。
【0139】
さらに、モニタ制御ユニット19は、算出された今回の通電時間を含めて、モータMの平均の動作時間を算出し、算出した時間を平均動作時間メモリ51に加算する。これにより、平均動作時間メモリ51に記憶されているモータMの平均の動作時間の情報が更新される(ステップS12)。その後、
図6の処理を終えてリターンする。
【0140】
一方、ステップS7において通電フラグがオフである場合(ステップS7:NO)、すなわち、通電時間の計測中でなければ、
図6の処理はリターンされる。
【0141】
なお、モータMへの通電が停止されれば、電源回路31への電力供給も停止され、それに応じて、モニタ制御ユニット19への動作電力の供給も停止される。しかし、電源回路31は、電力線151,152,153への電力供給がなくなった後の一定時間はモニタ制御ユニット19への動作電力供給を維持できるように構成されている。それにより、モニタ制御ユニット19は、モータ電流I3が閾値以下(ステップS2:NO)となったときに、ステップS7~S12の処理を実行して、累積動作時間、通電時間および平均動作時間を対応するメモリに書き込むことができる。
【0142】
また、
図6の例では、直前まで非通電であった状態(通電フラグがオフの状態)で電流閾値を超えるモータ電流I
3を検出することにより、モータMへの通電の開始を判断する手法を採用している。この手法に代えて、電流立ち上がりを検出することにより(より具体的には、モータ電流I
3の立ち上がり波形を検出することにより)、モータMへの通電の開始を判断する手法を採用してもよい。
【0143】
図7は、モニタ制御ユニット19が所定の周期(
図6の処理と同じ周期である必要はない)で繰り返す他の動作の一例を説明するためのフローチャートであり、温度履歴情報H2の蓄積動作を示している。メモリ20に蓄積される温度履歴情報H2は、計測対象期間におけるハウジング15内の最高温度の情報、計測対象期間におけるハウジング15内の最低温度の情報、およびハウジング15内の温度が所定の温度範囲内にある時間の情報を含む。
図2~
図4および
図7を参照して、第1温度履歴メモリ47および第2温度履歴メモリ48への温度履歴情報H2の蓄積動作について説明する。
【0144】
第1温度履歴メモリ47および第2温度履歴メモリ48がリセットされた(第1温度履歴メモリ47および第2温度履歴メモリ48に初期値が書き込まれた)後に、電動弁1が配管設備に取り付けられる。
【0145】
温度センサ33は、ハウジング15内の温度を検出している。モニタ制御ユニット19は、温度センサ33によって検出されたハウジング15内の温度を取得する(ステップS21)。
【0146】
温度センサ33による検出温度が、その時点で最高温度メモリ47aに記憶されている温度情報を上回る温度である場合(ステップS22:YES)、モニタ制御ユニット19のプロセッサ41は、最高温度メモリ47aに検出温度を上書きする。これにより、最高温度メモリ47aに記憶されている最高温度の情報が更新される(ステップS23)。
【0147】
また、温度センサ33による検出温度が、その時点で最低温度メモリ47bに記憶されている温度情報を下回る温度である場合(ステップS24:YES)、モニタ制御ユニット19のプロセッサ41は、最低温度メモリ47bに検出温度を上書きする。これにより、最低温度メモリ47bに記憶されている最低温度の情報が更新される(ステップS25)。
【0148】
一方、温度センサ33による検出温度が、その時点で最高温度メモリ47aに記憶されている温度情報および最低温度メモリ47bに記憶されている温度情報と同じ温度であるか、あるいはこれらの2つの温度情報の中間の温度である場合(ステップS22:NO、かつステップS24:NO)、ステップS23およびS25の処理はスキップされる。
【0149】
また、モニタ制御ユニット19の計時部43は、時間の経過を計測している。モニタ制御ユニット19のプロセッサ41は、計時部43の計時に基づいて、累積計測時間メモリ53に蓄積されている累積の計測時間の情報を更新する(ステップS26)。
【0150】
また、モニタ制御ユニット19は、温度センサ33による検出温度が、複数の温度範囲(第1温度範囲~第10温度範囲)のうちいずれの温度範囲に属するかを判断する。モニタ制御ユニット19のプロセッサ41は、計時部43の計時および温度センサ33の計測に基づいて、計測温度が属する温度範囲に対応する範囲別計測時間メモリ54に蓄積されている温度範囲別の累積の計測時間の情報を更新する(ステップS27)。その後、
図7の処理を終えてリターンする。
【0151】
次に、電動弁モニタユニット30のメモリ20に蓄積されている履歴情報を、コンピュータ23によって読み出し、コンピュータ23の表示部62においてモニタする場合について説明する。電動弁モニタユニット30のメモリ20に蓄積されている履歴情報をコンピュータ23によって読み出す態様として、配管設備に電動弁1が設置されている状態において、電動弁1の電動弁モニタユニット30から履歴情報を読み出す第1態様と、配管設備から電動弁1を取り外した状態または電動弁1から電動弁モニタユニット30を取り外した状態で、電動弁モニタユニット30から履歴情報を読み出す第2態様との二態様がある。第1態様での読み出しは、施設における電動弁1の点検時およびメンテナンス時等に行われる。第1態様での読み出しにおいて、電動弁モニタユニット30および電動弁用端子台16を含む構成の電動弁用端子台装置BDは、電動弁1に取り付けられている。以下では、第1態様での読み出しについて説明する。第2態様での読み出しについては後で述べる。
【0152】
第1態様での読み出しは、電動弁1に対し交流電源24が接続されている状態で行われてもよい。より具体的には、電動弁1の通常の使用状態で行われてもよく、その場合には、モータMに電力を供給して電動弁1を作動させるときに、電力線151,152,153に交流電力が供給される。たとえば、電動弁1の点検時およびメンテナンス時において、メンテナンス作業者が電動弁1の取り付け箇所に出向いて、携行しているコンピュータ23を用いて、電動弁1から履歴情報を読み出す。
【0153】
具体的には、オペレータ(すなわち、メンテナンス作業者)は、第1ケーブル72の一端のプラグ72aをコンピュータ23に接続するとともに、第2ケーブル73の一端の端子73aを電動弁モニタユニット30の接続端子38に接続する。これにより、接続ユニット22によって、コンピュータ23と接続端子38とが接続される。コンピュータ23が起動状態にあれば、コンピュータ23からのUSBバスパワーによる電力が、接続端子38を介して電動弁モニタユニット30に供給される。
【0154】
そして、オペレータが、コンピュータ23の入力部64を操作して、アプリケーションプログラムを起動させる。これにより、コンピュータ23の制御部61は、アプリケーションプログラムによる処理を開始する。制御部61は、通信設定画面(図示しない)を表示部62に表示してもよい。この通信設定画面において、オペレータは、入力部64を操作して、コンピュータ23に備えられた複数のUSBポートから、電動弁モニタユニット30との接続に用いられるUSBポート67を選択できるようになっていてもよい。必要に応じて、通信設定画面においてUSBポート67が選択された後、制御部61は、コンピュータ23の表示部62に履歴情報モニタ画面110を表示する。アプリケーションプログラムは、電動弁モニタユニット30が接続されたUSBポートを自動選択して、履歴情報モニタ画面110を表示するように設計されていてもよい。
【0155】
図8は、コンピュータ23の表示部62に表示される履歴情報モニタ画面110の一例を示す図である。履歴情報モニタ画面110には、タイトル110aと、モータ動作履歴表示部111と、第1温度履歴表示部112と、第2温度履歴表示部113とが表示されている。
図2~
図8を参照して、コンピュータ23の表示部62による履歴情報のモニタについて説明する。
【0156】
コンピュータ23の制御部61は、USBポート67および接続端子38を介して、電動弁モニタユニット30のモニタ制御ユニット19に、メモリ20からの履歴情報の取り出しを指示する。モニタ制御ユニット19は、メモリ20からモータ動作履歴情報H1および温度履歴情報H2を取り出し、コンピュータ23の制御部61に付与する。コンピュータ23の制御部61は、電動弁モニタユニット30から受け取ったモータ動作履歴情報H1および温度履歴情報H2に基づいて、履歴情報モニタ画面110のモータ動作履歴表示部111と、第1温度履歴表示部112と、第2温度履歴表示部113との表示を行う。
【0157】
モニタ制御ユニット19によるモータ動作履歴情報H1および温度履歴情報H2の取り出しは、接続端子38を介してコンピュータ23から供給される電力に基づいて電源回路31で発生される動作電力を用いて行われる。
【0158】
メモリ20に蓄積されている履歴情報をコンピュータ23に送り出すためには、電力が必要になる。しかし、分岐電力線34a,34bから供給される電力に基づいて電源回路31で発生される動作電力の利用は、モータMへの給電のための電力が供給される期間に限られる。そこで、接続端子38を介してコンピュータ23から供給される電力に基づいて電源回路31で発生される動作電力を用いることで、モータMへの給電の有無にかかわらず、メモリ20に蓄積されている履歴情報のコンピュータ23への送り出しを実現できる。この場合、履歴情報を送り出すための動作電力のために別途の電力供給源を設ける必要がない。
【0159】
モータ動作履歴表示部111は、モータMの累積の動作回数の情報を表示するモータ動作回数表示部114と、モータMのモータ動作時間に対応する累積動作時間表示部115と、モータMの平均の動作時間の情報を表示する平均動作時間表示部116と、モータMの累積の動作時間の情報を、モータMの1回の動作時間範囲別に表示する複数(
図8の例では7つ)の範囲別動作時間表示部117とを含む。複数の範囲別動作時間表示部117は、第1時間範囲のモータ動作時間に対応する第1時間範囲表示部117aと、第2時間範囲のモータ動作時間に対応する第2時間範囲表示部117bと、第3時間範囲のモータ動作時間に対応する第3時間範囲表示部117cと、第4時間範囲のモータ動作時間に対応する第4時間範囲表示部117dと、第5時間範囲のモータ動作時間に対応する第5時間範囲表示部117eと、第6時間範囲のモータ動作時間に対応する第6時間範囲表示部117fと、第7時間範囲のモータ動作時間に対応する第7時間範囲表示部117gと、を含む。
【0160】
制御部61が電動弁モニタユニット30から受け取ったモータ動作履歴情報H1は、モータ動作回数メモリ49に蓄積されている回数情報と、累積動作時間メモリ50および平均動作時間メモリ51に蓄積されている時間情報と、複数の範囲別動作時間メモリ52に蓄積されている時間情報とを含む。制御部61は、モータ動作回数メモリ49に蓄積されている回数情報をモータ動作回数表示部114に表示し、累積動作時間メモリ50および平均動作時間メモリ51に記憶されていた時間情報を、それぞれ、累積動作時間表示部115および平均動作時間表示部116に表示する。また、制御部61は、第1時間範囲メモリ52a~第7時間範囲メモリ52gに蓄積されている時間情報を、それぞれ、第1時間範囲表示部117a~第7時間範囲表示部117gに表示する。
【0161】
電動弁1の故障原因の一つとして、電動弁1の開閉の動作頻度が高いことが挙げられる。電動弁1の開閉の動作頻度が高いと、電動アクチュエータ3や伝達機構6への負荷が増大し、これらの故障を招く確率が高くなる。そして、電動弁1の開閉の動作頻度が高い場合、モータMの動作頻度が高くなる。また、電動弁1の他の故障原因として、モータMの制御に異常があることも挙げられるが、この場合にも、モータMの動作頻度が高くなることがある。
【0162】
モータMが高頻度で動作する場合、モータ動作回数表示部114に表示されるモータMの動作回数が大きくなり、かつ平均動作時間表示部116に表示されるモータMの平均の動作時間が短くなる。これにより、モータ動作回数表示部114の表示内容および平均動作時間表示部116の表示内容から、オペレータは、モータMが高頻度で動作されていたか否か、すなわち、弁体2が高頻度で開閉されていたか否かを把握できる。
【0163】
また、累積動作時間表示部115の表示内容から、オペレータは、モータMの累積の動作時間を把握でき、モータMの累積の動作時間が耐用動作時間に近づいているか否かがわかる。
【0164】
また、モータMの制御に異常がある場合、モータMの動作時間が、所期の動作時間と異なることがある。複数の範囲別動作時間表示部117の表示内容から、オペレータは、動作時間範囲別のモータMのモータ動作時間を把握できる。これにより、モータMの動作時間が所期の動作時間と異なっているか否かがわかる。
【0165】
第1温度履歴表示部112は、計測対象期間におけるハウジング15内の最高温度の情報を表示する最高温度表示部112aと、計測対象期間におけるハウジング15内の最低温度の情報を表示する最低温度表示部112bとを含む。
【0166】
第2温度履歴表示部113は、累積の計測時間の情報を表示する累積計測時間表示部118と、累積の計測時間の情報を、ハウジング15内の温度範囲別に表示する複数(
図8の例では10つ)の範囲別計測時間表示部119とを含む。複数の範囲別計測時間表示部119は、第1温度範囲の温度に対応する第1温度範囲表示部119aと、第2温度範囲の温度に対応する第2温度範囲表示部119bと、第3温度範囲の温度に対応する第3温度範囲表示部119cと、第4温度範囲の温度に対応する第4温度範囲表示部119dと、第5温度範囲の温度に対応する第5温度範囲表示部119eと、第6温度範囲の温度に対応する第6温度範囲表示部119fと、第7温度範囲の温度に対応する第7温度範囲表示部119gと、第8温度範囲の温度に対応する第8温度範囲表示部119hと、第9温度範囲の温度に対応する第9温度範囲表示部119jと、第10温度範囲の温度に対応する第10温度範囲表示部119kとを含む。
【0167】
制御部61が電動弁モニタユニット30から受け取った温度履歴情報H2は、最高温度メモリ47aおよび最低温度メモリ47bに記憶されていた温度情報、ならびに累積計測時間メモリ53に蓄積されている時間情報と、複数の範囲別計測時間メモリ54に蓄積されている時間情報とを含む。
【0168】
制御部61は、最高温度メモリ47aおよび最低温度メモリ47bに記憶されていた温度情報を、それぞれ、最高温度表示部112aおよび最低温度表示部112bに表示する。また、制御部61は、第1温度範囲メモリ54a~第10温度範囲メモリ54kに蓄積されている計測時間を、それぞれ、第1温度範囲表示部119a~第10温度範囲表示部119kに表示する。
【0169】
電動弁1の使用実態として、使用が許容される許容温度範囲外の温度環境で使用されることがある。このような温度環境で使用されると、電動弁1における不具合の発生確率が上昇する。最高温度表示部112aおよび最低温度表示部112bの表示内容から、オペレータは、実際の使用状況におけるハウジング15内の温度範囲を把握でき、許容温度範囲内で使用されていたか否かがわかる。
【0170】
制御部61は、累積計測時間メモリ53に蓄積されている時間情報を、累積計測時間表示部118に表示する。累積計測時間表示部118に表示される累積の計測時間の情報は、複数の範囲別計測時間表示部119に表示される時間の累積である。
【0171】
履歴情報モニタ画面110には、コンピュータ23のUSBポート67と電動弁モニタユニット30の接続端子38との通信状態を表示する通信状態表示部120がさらに表示されている。制御部61は、USBポート67と接続端子38との間の通信状態を調べ、通信状態が良好なときには「〇(good)」を、通信状態が悪いときには「×(bad)」を、それぞれ通信状態表示部120に表示する。
【0172】
履歴情報モニタ画面110の下部には、入力部64によって操作可能なファイル出力キー121、画面保存キー122、初期化画面キー123および終了キー124が表示されている。履歴情報モニタ画面110においてファイル出力キー121が操作されると、履歴情報モニタ画面110の表示内容に対応するデータが、コンピュータ23から、コンピュータ23に接続された外部機器にファイル出力される。履歴情報モニタ画面110において画面保存キー122が操作されると、履歴情報モニタ画面110の表示内容が画像で保存される。履歴情報モニタ画面110において初期化画面キー123が操作されると、履歴情報をリセットするための履歴情報初期化画面130(
図9参照)が、コンピュータ23の表示部62に新たに表示される。履歴情報モニタ画面110において終了キー124が操作されると、履歴情報モニタ画面110が閉じられる。
【0173】
図9は、表示部62に表示される履歴情報初期化画面130を示す図である。
図2~
図5および
図9を参照して、履歴情報のリセットについて説明する。
【0174】
履歴情報初期化画面130には、タイトル130aと、入力部64によって操作可能なモータ履歴クリアキー131、第1温度履歴クリアキー132、第2温度履歴クリアキー133および全クリアキー134とが表示されている。これらのキーが操作されることにより、電動弁モニタユニット30のメモリ20に蓄積されている履歴情報がリセットされる。
【0175】
具体的には、履歴情報初期化画面130においてモータ履歴クリアキー131が操作されると、制御部61は、USBポート67および接続端子38を介して、モータ動作履歴メモリ46のリセットを、電動弁モニタユニット30のモニタ制御ユニット19に指示する。モニタ制御ユニット19は、メモリ20のモータ動作履歴メモリ46の記憶内容をリセットする。一方、第1温度履歴メモリ47および第2温度履歴メモリ48の記憶内容はそのまま保持される。
【0176】
また、履歴情報初期化画面130において第1温度履歴クリアキー132が操作されると、制御部61は、USBポート67および接続端子38を介して、第1温度履歴メモリ47のリセットを、モニタ制御ユニット19に指示する。モニタ制御ユニット19は、メモリ20の第1温度履歴メモリ47の記憶内容をリセットする。一方、モータ動作履歴メモリ46および第2温度履歴メモリ48の記憶内容はそのまま保持される。
【0177】
履歴情報初期化画面130において第2温度履歴クリアキー133が操作されると、制御部61は、USBポート67および接続端子38を介して、第2温度履歴メモリ48のリセットを、モニタ制御ユニット19に指示する。モニタ制御ユニット19は、メモリ20の第2温度履歴メモリ48の記憶内容をリセットする。一方、モータ動作履歴メモリ46および第1温度履歴メモリ47の記憶内容はそのまま保持される。
【0178】
履歴情報初期化画面130において全クリアキー134が操作されると、制御部61は、USBポート67および接続端子38を介して、モータ動作履歴メモリ46、第1温度履歴メモリ47および第2温度履歴メモリ48のリセットを、モニタ制御ユニット19に指示する。モニタ制御ユニット19は、モータ動作履歴メモリ46、第1温度履歴メモリ47および第2温度履歴メモリ48の記憶内容をリセットする。
【0179】
履歴情報初期化画面130には、画面終了キー135がさらに表示されている。履歴情報初期化画面130において、画面終了キー135が操作されると、履歴情報初期化画面130が閉じられる。
【0180】
コンピュータ23において閲覧を終了するときは、オペレータは、コンピュータ23の入力部64を操作して、通信設定画面の終了キー(図示しない)を操作して、アプリケーションプログラムを終了させる。これにより、アプリケーションプログラムによる処理が終了する。
【0181】
一方、前述の第2態様では、電動弁モニタユニット30および電動弁用端子台16を含む構成の電動弁用端子台装置BDを配管設備から取り外した状態で、電動弁モニタユニット30からコンピュータ23によって履歴情報が読み出される。この場合、電動弁用端子台装置BDを含む電動弁1ごと配管から取り外されてもよいし、電動弁1から電動弁用端子台装置BDを取り外してもよい。第2態様での読み出しを行う場合は、典型的には、電動弁1における故障やエラーの発生時である。
【0182】
この場合の電気的構成の一例を
図10に示す。以下、
図10を参照して、コンピュータ23によって第2態様で履歴情報を読み出す場合について説明する。
【0183】
図10に示す状態では、電動弁用端子台装置BDには、交流電源24および電動アクチュエータ3は接続されていない。接続ユニット22によって、コンピュータ23と電動弁モニタユニット30とが接続された状態では、起動状態にあるコンピュータ23からUSBバスパワーにより供給される電力が、接続端子38を介して電動弁モニタユニット30に供給される。モニタ制御ユニット19によるモータ動作履歴情報H1の取り出しは、接続端子38を介してコンピュータ23から供給される電力に基づいて電源回路31で発生される動作電力を用いて行われる。電動弁用端子台装置BDが交流電源24や電動アクチュエータ3から切り離された状態であっても、別途の電力供給源を設けることなく、メモリ20内の履歴情報をコンピュータ23へと読み出すことができる。第2態様の読み出しにおいて表示される履歴情報モニタ画面110および履歴情報初期化画面130の内容は、第1態様の読み出しの場合と同様である。
【0184】
以上により、この実施形態によれば、モータMの動作履歴を表すモータ動作履歴情報H1およびハウジング15内の温度の履歴を表す温度履歴情報H2が、メモリ20に蓄積される。メモリ20に蓄積されているモータ動作履歴情報H1および温度履歴情報H2を、コンピュータ23によって読み出し、表示部62に表示させることにより、モータMの動作履歴およびハウジング15内の温度の履歴を調べることがモニタできる。すなわち、電動弁1の使用状況の履歴をモニタできる。
【0185】
また、電動弁モニタユニット30が、モニタ制御ユニット19、メモリ20、モータ通電検出回路32および温度センサ33によって構成されている。モニタ制御ユニット19、メモリ20、電源回路31およびモータ通電検出回路32は、いずれも汎用の電子部品によって構成される。また、モータ通電検出回路32も比較的簡単な回路構成である。そのため、電動弁モニタユニット30を安価な構成で得ることができる。これにより、電動弁1の使用状況の履歴のモニタを安価に実現できる。
【0186】
電動弁1に不具合が発生したときには、メモリ20に蓄積されている履歴情報(モータ動作履歴情報H1および温度履歴情報H2)を調べることにより、電動弁1の不具合の発生原因を事後的に究明できる。
【0187】
また、電動弁1に不具合が発生していなくても、メモリ20に蓄積されている履歴情報に基づいて電動弁1の使用状況の履歴を調べることにより、将来における電動弁1の不具合の発生を事前に予測できる。たとえば、メモリ20に蓄積された履歴情報を適切な点検時期に確認することによって、部品交換等の時期を予測することができるので、適切なメンテナンスを行うことができる。それにより、不具合を未然に回避できる。
【0188】
モータ通電検出回路32によるモータMの駆動の検出に基づいて、モータMの動作履歴を表すモータ動作履歴情報H1が、メモリ20に蓄積される。モータMの実際の駆動を監視する代わりに、モータMの駆動指令を監視することが考えられるかもしれないが、指令信号等に混入するノイズやフィードバック制御などの影響により、駆動指令とモータMの実際の駆動とは必ずしも対応しない。とりわけ、電動弁1が開閉する流路を流れる流体が特殊な性質を有する場合や、電動弁1の使用環境が特殊である場合には、指令信号に対するモータMの実際の挙動が想定どおりになるとは限らない。このような場合には、使用者が想定する電動弁1の動作と、実際の電動弁1の動作状況、より具体的にはモータMの動作状況とが必ずしも一致しない。たとえば、想定よりもはるかに高頻度で電動弁1の開閉動作が行われ、その結果、電動弁1の部品の消耗が速やかに進行する場合があり得る。このような場合に、モータMの実際の駆動を監視し、それをモータ動作履歴情報H1としてメモリに蓄積する利益がある。
【0189】
モータMが駆動していることが、モータ通電検出回路32によるモータMへの通電の検出によって検出される。そのため、モータMが駆動していることを正確に検出でき、ゆえに、メモリ20に蓄積されるモータ動作履歴情報H1の信頼性を、より一層高めることができる。
【0190】
メモリ20に蓄積されるモータ動作履歴情報H1が、モータMの動作回数を表すモータ動作回数情報、およびモータMの動作時間を表すモータ動作時間情報を含むので、モータ動作履歴情報H1を、コンピュータ23によって読み出し、表示部62に表示させることにより、モータMの動作回数およびモータMの動作時間をモニタできる。モータMに不具合があったり、モータMに対する制御に不具合があったりする場合、モータMの動作回数およびモータMの動作時間が、本来の動作回数および動作時間と異なるようになる。モータMの動作回数やモータMの動作時間をモニタすることにより、電動弁1の不具合の発生原因の究明や、電動弁1の不具合の発生の予測を、高精度に行うことができる。
【0191】
また、温度センサ33によるハウジング15内の温度の検出に基づいて、ハウジング15内の温度の履歴を表す温度履歴情報H2が、メモリ20に蓄積される。ハウジング15内の温度の実際の検出に基づいて温度履歴情報H2が蓄積されるので、ハウジング15内の温度履歴を正確にモニタ可能である。これにより、メモリ20に蓄積される温度履歴情報H2の信頼性を高めることができる。
【0192】
具体的には、メモリ20に蓄積される温度履歴情報H2が、計測対象期間におけるハウジング15内の最高温度の情報、および計測対象期間におけるハウジング15内の最低温度の情報を含む。この場合、ハウジング15内の最高温度および最低温度の情報をモニタすることにより、ハウジング15内の温度が電動弁1の許容温度範囲内にあるか否かを調べることができる。また、メモリ20に蓄積される温度履歴情報H2が、所定の温度範囲内にある時間の情報を含む。許容温度範囲外の温度環境で電動弁1が使用されると電動弁1における不具合の発生確率が上昇する。ハウジング15内の最高温度および最低温度の情報をモニタすることにより、電動弁1の不具合の発生原因の究明や、電動弁1の不具合の発生の予測を、高精度に行うことができる。
【0193】
以上、この発明の一実施形態について説明してきたが、この発明は、他の形態で実施することもできる。
【0194】
たとえば、前述の実施形態では、モータ動作履歴メモリ46が、モータ動作回数メモリ49と、累積動作時間メモリ50と、平均動作時間メモリ51と、範囲別動作時間メモリ52とを含む例を説明したが、これら4種のメモリ(モータ動作回数メモリ49、累積動作時間メモリ50、平均動作時間メモリ51および範囲別動作時間メモリ52)のうち1種、2種または3種のメモリを省略してもよい。この場合、履歴情報モニタ画面110(
図8参照)において、モータ動作回数表示部114、累積動作時間表示部115、平均動作時間表示部116および範囲別動作時間表示部117のうち、省略されるメモリに対応する表示部が省略される。
【0195】
また、前述の実施形態では、第1温度履歴メモリ47が、最高温度メモリ47aと、最低温度メモリ47bとを含む例を説明したが、第1温度履歴メモリ47が、最高温度メモリ47aおよび最低温度メモリ47bの一方を含み、他方を省略する構成であってもよい。この場合、履歴情報モニタ画面110(
図8参照)において、最高温度表示部112aおよび最低温度表示部112bのうち、省略されるメモリに対応する表示部が省略される。
【0196】
また、前述の実施形態では、第2温度履歴メモリ48が、累積計測時間メモリ53と、範囲別計測時間メモリ54とを含む例を説明したが、第2温度履歴メモリ48が、累積計測時間メモリ53および範囲別計測時間メモリ54の一方のみを含み、他方を省略する構成であってもよい。この場合、履歴情報モニタ画面110(
図8参照)の累積計測時間表示部118および範囲別計測時間表示部119のうち、省略されるメモリに対応する表示部が省略される。
【0197】
また、前述の実施形態では、複数の範囲別計測時間メモリ54が対象とする温度範囲が、0℃未満の温度から80℃以上の温度に至る全ての温度範囲である例を説明したが、複数の範囲別計測時間メモリ54が一部の温度範囲のみを対象にする構成であってもよい。具体的には、複数の範囲別計測時間メモリ54として、一部の範囲別計測時間メモリ54(たとえば第8温度範囲メモリ54h、第9温度範囲メモリ54jおよび第10温度範囲メモリ54k)を設け、その他の範囲別計測時間メモリ54(たとえば第1温度範囲メモリ54a~第7温度範囲メモリ54g)を省略する構成であってもよい。この場合、履歴情報モニタ画面110(
図8参照)の複数の範囲別計測時間表示部119のうち、省略されるメモリに対応する範囲別計測時間表示部119(たとえば第1温度範囲表示部119a~第7温度範囲表示部119g)が省略される。
【0198】
また、範囲別計測時間メモリ54を、複数ではなく1つのみ設ける構成としてもよい。たとえば、第10温度範囲メモリ54kを設け、その他の範囲別計測時間メモリ54(第1温度範囲メモリ54a~第9温度範囲メモリ54j)を省略する構成であってもよい。この場合、履歴情報モニタ画面110(
図8参照)には、1つの範囲別計測時間表示部119(たとえば第10温度範囲表示部119k)のみが表示される。
【0199】
また、前述の実施形態では、メモリ20が、モータ動作履歴メモリ46と、第1温度履歴メモリ47と、第2温度履歴メモリ48とを含む例を説明したが、これら3種のメモリ(モータ動作履歴メモリ46、第1温度履歴メモリ47および第2温度履歴メモリ48)のうち1種または2種のメモリを省略してもよい。この場合、履歴情報モニタ画面110(
図8参照)のモータ動作履歴表示部111、第1温度履歴表示部112および第2温度履歴表示部113のうち、省略されるメモリに対応する表示部が省略される。
【0200】
また、前述の実施形態において環境センサの一例として温度センサを挙げたが、環境センサの他の例として、
図2に破線で示すような加速度センサ233を挙げることもできる。具体的には、電動弁モニタユニット30が加速度センサ233を含む。加速度センサ233によって計測された加速度(環境状態)に基づいて、モニタ制御ユニット19は、メモリ20に、電動弁1に働く加速度の履歴を表す加速度履歴情報(環境履歴情報)を蓄積する。
【0201】
配管設備に電動弁1が設置されている状態で、電動弁1に振動が付与されることがある。具体的には、電動弁1が取り付けられている配管が振動している場合、電動弁1にも振動が伝わり、電動弁1に振動が付与される。このような状態で電動弁1が使用されると、電動弁1における不具合の発生確率が上昇する。電動弁1に働く加速度をモニタすることにより、電動弁1の不具合の発生原因の究明や、電動弁1の不具合の発生の予測を、高精度で行うことが可能である。環境センサとして加速度センサ233を設ける場合、
図2に示すように、温度センサ33および加速度センサ233の双方が電動弁モニタユニット30に備えられてもよいし、環境センサとして、温度センサ33の代わりに加速度センサ233が電動弁モニタユニット30に備えられていてもよい。
【0202】
また、前述の実施形態において、電動弁モニタユニット30が、電動弁用端子台16に取り付けられているとして説明したが、電動弁モニタユニット30が電動弁用端子台16と異なる他の基板に取り付けられてもよい。電動弁モニタユニット30が基板以外の部材に取り付けられた構成であってもよい。
【0203】
また、前述の実施形態においてモータ駆動検出ユニットとしてモータ通電検出回路32を例に挙げたが、モータ駆動検出ユニットを他のセンサによって構成してもよい。他のセンサとして、たとえば、モータMのロータの回転を検出するセンサ、モータMの振動を検出するセンサ、モータMの駆動音を検出するセンサを例示できる。
【0204】
また、前述の実施形態では、メモリ20がFeRAMによって構成される例を挙げて説明したが、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の他の不揮発性メモリによってメモリ20を構成してもよい。
【0205】
また、メモリ20に蓄積されている履歴情報(モータ動作履歴情報H1および温度履歴情報H2の少なくとも一方)に基づいて、モニタ制御ユニット19が所定の報知を行うようにしてもよい。
【0206】
また、前述の実施形態では、接続ユニット22が、USB/シリアル変換IC78を含むUSB/シリアル変換基板71と、2本のケーブル(第1ケーブル72および第2ケーブル73)とを含む例を挙げて説明したが、接続ユニット22が、USB/シリアル変換IC78と同機能を有するUSB/シリアル変換ICを有するUSB/シリアル変換ケーブルを含む構成としてもよい。
【0207】
また、コンピュータ23と電動弁モニタユニット30との通信を有線通信でなく、無線通信で行ってもよい。
【0208】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0209】
1 :電動弁
2 :弁体
3 :電動アクチュエータ
4 :流路
15 :ハウジング
16 :電動弁用端子台
17 :配線基板
18 :端子台本体
19 :モニタ制御ユニット
20 :メモリ
22 :接続ユニット
23 :コンピュータ(端末装置)
30 :電動弁モニタユニット
31 :電源回路
32 :モータ通電検出回路(モータ駆動検出ユニット)
33 :温度センサ(環境センサ)
34a:分岐電力線
34b:分岐電力線
38 :接続端子
61 :制御部(表示制御ユニット)
62 :表示部
76 :電力ライン
77 :信号ライン
79 :絶縁型DC/DCコンバータ
80 :送信用フォトカプラ(フォトカプラ)
81 :受信用フォトカプラ(フォトカプラ)
100:電動弁システム
101:電動弁モニタシステム
151:第1電力線(電力線)
152:第2電力線(電力線)
153:第3電力線(電力線)
233:加速度センサ(環境センサ)
BD :電動弁用端子台装置
H1 :モータ動作履歴情報
H2 :温度履歴情報
M :モータ