(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096991
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】判断支援装置、判断支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20240709BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024068251
(22)【出願日】2024-04-19
(62)【分割の表示】P 2022509813の分割
【原出願日】2020-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】篠田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 規史
(72)【発明者】
【氏名】直島 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】別府 重憲
(72)【発明者】
【氏名】生藤 大典
(72)【発明者】
【氏名】牧瀬 美樹子
(57)【要約】 (修正有)
【課題】災害対応のフェーズに応じて重要な災害関連情報を提示して、ユーザの判断を支援する判断支援装置、これを用いた判断支援方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】基準時刻を起点として、起点からの経過時間を表す経過時間情報を出力する経過時間情報出力部110と、経過時間情報に基づいて、ユーザに提示する災害関連情報を決定する決定部120と、を有する判断支援装置100であって、判断支援装置100は、提示情報をユーザに提示する時点の経過時間情報を算出し、算出した経過時間情報に基づいて、その時点のフェーズにおいて災害対応を決定する際に重要となる有益な災害関連情報をユーザに提示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準時刻を起点として、前記起点からの経過時間を表す経過時間情報を出力する経過時間情報出力手段と、
前記経過時間情報に基づいて、ユーザに提示する災害関連情報を決定する決定手段と、
機械学習によりモデル化された推定モデルを用い、少なくとも1つの前記災害関連情報に基づいてフェーズを推定するフェーズ推定手段と、
を有し、
前記経過時間情報出力手段は、前記フェーズ推定手段により推定された前記フェーズを前記経過時間情報として出力する、判断支援装置。
【請求項2】
前記起点からの経過時間に対応する災害対応のフェーズと、前記各フェーズで提示する情報とが予め設定されており、
前記経過時間情報出力手段は、前記起点からの経過時間に応じたフェーズを前記経過時間情報として出力し、
前記決定手段は、当該フェーズで提示する災害関連情報を決定する、請求項1に記載の判断支援装置。
【請求項3】
前記各フェーズで提示する災害関連情報は、ユーザ属性毎に設定されており、
前記決定手段は、前記ユーザ属性に応じて、当該フェーズで提示する災害関連情報を決定する、請求項2に記載の判断支援装置。
【請求項4】
前記決定手段は、時間の経過により現在のフェーズが次のフェーズに移行したとき、提示する前記災害関連情報を、前記次のフェーズで提示する災害関連情報に変更する、請求項2に記載の判断支援装置。
【請求項5】
基準時刻を起点として、前記起点からの経過時間を表す経過時間情報を出力し、
前記経過時間情報に基づいて、ユーザに提示する災害関連情報を決定し、
機械学習によりモデル化された推定モデルを用い、少なくとも1つの前記災害関連情報に基づいてフェーズを推定し、
前記経過時間情報の出力において、推定された前記フェーズを前記経過時間情報として出力する、判断支援方法。
【請求項6】
コンピュータを、
基準時刻を起点として、前記起点からの経過時間を表す経過時間情報を出力する経過時間情報出力手段と、
前記経過時間情報に基づいて、ユーザに提示する災害関連情報を決定する決定手段と、
機械学習によりモデル化された推定モデルを用い、少なくとも1つの前記災害関連情報に基づいてフェーズを推定するフェーズ推定手段と、
を有し、
前記経過時間情報出力手段は、前記フェーズ推定手段により推定された前記フェーズを前記経過時間情報として出力する、判断支援装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判断支援装置、これを用いた判断支援方法に関し、これらを実現するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害が発生したとき、気象情報や地理情報、人流情報、ハザード情報等の、空間的、時間的に多くの災害関連情報に基づき、災害の状況把握及び意思決定が行われる。しかし、刻々と変化する多種多様な災害関連情報から、災害の状況把握及び意思決定に当たり有意な情報を抽出するのは容易ではない。迅速かつ適切な災害対応を行うにあたり、災害関連情報をどのように管理しどのように発信するかは重要である。
【0003】
例えば、災害発生時の情報の発信に関して、特許文献1には、災害関連情報を他の情報よりも優先して発信する技術が開示されている。特許文献2には、災害関連情報のうち優先して発信する情報を決定する技術が開示されている。また、多種多様な災害関連情報の管理に関して、特許文献3には、イメージ情報として収集された災害情報に対して、場所及び時間の情報をテキスト情報として付与することにより、効率よく情報を管理する技術が開示されている。さらに、災害対応を支援する技術として、特許文献4には、各時点での災害関連情報に対して予め定められている対策を順次提示しつつ、災害状況の認識とそれに対する対策の実施に関して時間軸上で管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-177264号公報
【特許文献2】特開2011-197978号公報
【特許文献3】特開2009-059345号公報
【特許文献4】特開2000-048073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
災害発生から時間の経過に伴い、行うべき災害対応は変化する。例えば、災害発生直後であれば被災状況の把握が重要であり、災害対応の初動期には被災者の救援が優先して行われる。このため、災害対応を行うにあたり必要となる災害関連情報は、災害対応のフェーズに応じて変化する。
【0006】
しかしながら、特に過去に被災を経験していない地域においては、各フェーズにおいてどの災害関連情報を確認すべきかわからないこともあり得る。ユーザに対して各フェーズに応じて重要な災害関連情報を提示できれば、ユーザは災害の状況把握及び意思決定をより迅速かつ適切に行うことができる。しかし、上記特許文献1~4では、災害関連情報の発信に際して災害対応のフェーズは考慮されていない。
【0007】
本発明の目的の一例は、災害対応のフェーズに応じて重要な災害関連情報を提示して、ユーザの判断を支援することの可能な、判断支援装置、判断支援方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一側面によれば、
基準時刻を起点として、起点からの経過時間を表す経過時間情報を出力する経過時間情報出力部と、
経過時間情報に基づいて、ユーザに提示する災害関連情報を決定する決定部と、
を有する、判断支援装置が提供される。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面によれば、
基準時刻を起点として、起点からの経過時間を表す経過時間情報を出力し、
経過時間情報に基づいて、ユーザに提示する災害関連情報を決定する、判断支援方法が提供される。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面によれば、
コンピュータを、
基準時刻を起点として、起点からの経過時間を表す経過時間情報を出力する経過時間情報出力部と、
経過時間情報に基づいて、ユーザに提示する災害関連情報を決定する決定部と、
を有する、判断支援装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、災害対応のフェーズに応じて重要な災害関連情報を提示して、ユーザの判断を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る判断支援装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る判断支援装置による処理の概要を示す説明図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る判断支援装置の一構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、起点からの経過時間とフェーズとの対応関係の一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、フェーズと提示する災害関連情報との対応関係の一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係る判断支援方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、ユーザ属性に応じた、各フェーズにおける災害関連情報の提示例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係る判断支援装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[1.概要]
まず、
図1に基づいて、本発明の一実施形態に係る判断支援装置100の構成及び機能を説明する。
図1は、本実施形態に係る判断支援装置100の一構成例を示すブロック図である。
【0014】
本実施形態に係る判断支援装置100は、ユーザによる災害時の状況判断を支援する装置である。災害が発生したとき、ユーザは、気象情報や地理情報、人流情報、ハザード情報等の、空間的、時間的に多くの災害関連情報に基づき、災害の状況把握及び意思決定を行う。迅速かつ的確な対応が求められる状況において、刻々と変化する多くの災害関連情報を参照し、正しく状況を判断することは難しい。
【0015】
また、災害発生から時間の経過に伴い、行うべき災害対応は変化する。このため、災害対応を行うにあたり必要となる災害関連情報は、災害対応のフェーズに応じて変化する。しかし、災害発生時の判断及び対処は、過去の事例に基づき決定されるノウハウであることも多い。このため、特に過去に被災を経験していない地域においては、災害対応の各フェーズにおいてどの災害関連情報を確認すべきかわからないこともあり得る。
【0016】
そこで、本実施形態に係る判断支援装置100では、災害対応のフェーズに応じて重要な災害関連情報を提示して、災害対応への知識及び経験のない対応決定者であっても災害時の状況判断を適切に行うことができるよう支援する。
【0017】
より詳細には、判断支援装置100は、
図1に示すように、経過時間情報出力部110と、決定部120とを有する。経過時間情報出力部110は、基準時刻を起点として、起点からの経過時間を表す経過時間情報を出力する。決定部120は、経過時間情報に基づいて、ユーザに提示する災害関連情報を決定する。
【0018】
判断支援装置100は、提示情報をユーザに提示する時点の経過時間情報を算出し、算出された経過時間情報に基づいて、その時点のフェーズにおいて災害対応を決定する際に重要となる有益な災害関連情報をユーザに提示する。ユーザは、災害対応の各フェーズそれぞれにおいて重要な情報を確認することができ、災害の状況把握及び意思決定をより迅速かつ適切に行うことができる。
【0019】
[2.装置構成]
図2~
図5に基づいて、本実施形態に係る判断支援装置100の構成及びその機能について説明する。
図2は、本実施形態に係る判断支援装置100による処理の概要を示す説明図である。
図3は、本実施形態に係る判断支援装置100の一構成例を示すブロック図である。
図4は、起点からの経過時間とフェーズとの対応関係の一例を示す説明図である。
図5は、フェーズと提示する災害関連情報との対応関係の一例を示す説明図である。
【0020】
図2に示すように、本実施形態に係る判断支援装置100は、複数の災害関連情報から、起点である基準時刻からの経過時間を表す経過時間情報に基づいて、ユーザに提示する災害関連情報を決定する。
【0021】
ここで、災害関連情報としては、例えば、気象情報や人流情報、消防機関への緊急通報に関する情報、避難所情報、ライフライン情報、ハザードマップ、重要施設情報、災害関連SNS(social networking service)等がある。
【0022】
気象情報は、例えば、雨量情報、雨雲情報、積雪情報、風速情報、気温情報等である。人流情報は、時々刻々と変化する人の流れを表す情報であり、例えば人の動線により表される。消防機関への緊急通報に関する情報には、例えば、緊急通報件数や、通報による消防の出動履歴等の情報がある。避難所情報には、例えば、避難所の所在地や収容可能人数、現在の収容人数等の情報がある。ライフライン情報は、電気、水道、ガス、通信等のインフラ設備の被災に関する情報である。ハザードマップは、洪水土砂災害や津波のリスク情報、道路防災情報を地理情報と関連付けて表した情報である。重要施設情報は、病院等、被災時に重要な機関となる施設に関する情報である。災害関連SNSは、例えば、災害発生時に投稿されたSNSの投稿件数や投稿写真等である。
【0023】
災害関連情報は、例えば、エリア毎に、時系列データとして取得されてもよい。時系列データは、時間的に連続であってもよく不連続であってもよい。なお、判断支援装置100は、災害関連情報に加え、例えば、標高等の地形的情報を災害関連情報として扱ってもよい。
【0024】
また、経過時間情報は、例えば、起点からの経過時間そのものであってもよく、起点からの経過時間に対応する災害対応のフェーズであってもよい。災害対応のフェーズとは、求められる災害対応に応じて設定された時間的段階である。例えば、警戒期、発災直後、初動期、応急期、といったフェーズが設定される。経過時間情報は、警戒期のフェーズのように、起点よりマイナスの時間を表すことも可能である。
【0025】
災害関連情報が提示されるユーザにとって、重要となる災害関連情報は経過時間情報に応じて変化する。例えば、警戒期においては情報A、B、C、Dが重要な災害関連情報であるが、初動期においては情報A、X、Y、Zが重要な災害関連情報である。本実施形態に係る判断支援装置100では、経過時間情報に基づき、そのときに重要な災害関連情報をユーザに提示する。
【0026】
本実施形態に係る判断支援装置100の構成についてより詳細に説明する。判断支援装置100は、
図3に示すように、経過時間情報出力部110と、決定部120と、基準時刻取得部130と、フェーズ推定部140と、災害関連情報取得部150と、提示処理部160と、記憶部170とを有する。
【0027】
経過時間情報出力部110は、
図1にて説明したように、基準時刻を起点として、起点からの経過時間を表す経過時間情報を出力する。経過時間情報出力部110は、後述する基準時刻取得部130により取得された基準時刻を起点として、経過時間情報を求める。経過時間情報は、起点からの経過時間そのものであってもよく、起点からの経過時間に対応する災害対応のフェーズであってもよい。経過時間情報出力部110は、経過時間情報を、決定部120へ出力する。なお、経過時間情報出力部110は、後述するフェーズ推定部140により推定されたフェーズを出力してもよい。
【0028】
決定部120は、
図1にて説明したように、経過時間情報出力部110から入力された経過時間情報に基づいて、ユーザに提示する災害関連情報を決定する。経過時間情報に応じた災害関連情報は予め設定されており、例えば後述する記憶部170に記録されている。決定部120は、記憶部170を参照して、ユーザに提示する災害関連情報を決定する。そして、決定部120は、決定した災害関連情報を特定可能な情報を、提示処理部160に出力する。
【0029】
基準時刻取得部130は、経過時間情報の起点とする基準時刻を取得する。基準時刻は、例えば、地震が発生した場合には、当該判断支援装置100の起動時刻あるいは対策本部設置時刻等としてもよい。また、例えば、風水害が発生した場合には、台風到着予想時刻あるいは警戒発令時刻等を基準時刻としてもよい。基準時刻取得部130は、基準時刻を取得すると、経過時間情報出力部110へ基準時刻を出力する。
【0030】
フェーズ推定部140は、少なくとも1つの災害関連情報に基づいて災害対応のフェーズを推定する。フェーズ推定部140は、災害関連情報を分析して、現在のフェーズを推定する。
【0031】
具体的には、フェーズ推定部140は、予め設定されたルールベースの推定処理に基づき、現在のフェーズを推定してもよい。例えば、消防機関への緊急通報に関する情報に基づき現在のフェーズを推定する場合を考える。このとき、緊急通報件数及び通報による消防の出動回数が増加し、対応件数が多い状態が継続する状況であれば、初動期と推定し得る。また、緊急通報件数及び通報による消防の出動回数が減少し、所定数を下回った状況、あるいは、定期的な物資配給申請が継続する状況であれば、復旧期と推定し得る。フェーズ推定部140は、このようなルールベースの推定により、現在のフェーズを推定し得る。フェーズ推定部140は、ルールベースの代わりに機械学習によりモデル化された推定モデルを用いて、現在のフェーズを推定してもよい。
【0032】
フェーズ推定部140は、推定したフェーズを経過時間情報出力部110に出力する。なお、フェーズ推定部140は、本実施形態に係る判断支援装置100に必ずしも備えていなくともよい。例えば、フェーズ推定部140は、基準時刻取得部130にて基準時刻が取得できず、経過時間情報出力部110にて経過時間情報を求めることができない場合等に機能できればよい。
【0033】
災害関連情報取得部150は、判断支援装置100とネットワークを介して接続されたサーバ等から、災害関連情報を取得する。災害関連情報取得部150は、例えば、国や地方公共団体の行政機関やインフラ設備を提供する企業の発信する情報を収集したり、住民から発信されたSNSを収集したりする。災害関連情報取得部150は、定期的に災害関連情報を取得し、提示処理部160へ出力する。災害関連情報の取得タイミングは、ユーザによって適宜設定可能である。なお、災害関連情報取得部150は、取得した災害関連情報を、フェーズ推定部140へ出力してもよい。
【0034】
提示処理部160は、決定部120により決定された災害関連情報を、出力装置300に提示するための処理を行う。提示処理部160は、決定部120により決定された災害関連情報を災害関連情報取得部150から取得すると、これらの情報を出力装置300へ出力する。このとき、提示処理部160は、例えば、出力装置300に提示させるときの災害関連情報のサイズや提示位置等を調整する表示処理を行ってもよい。出力装置300は、提示処理部160から入力された災害関連情報を出力し、ユーザに提示する。
【0035】
記憶部170は、判断支援装置100により実施される処理において必要となる各種情報を記憶する。記憶部170は、例えば、起点からの経過時間とフェーズとの対応関係や、フェーズと提示する災害関連情報との対応関係等の情報を記憶する。
【0036】
例えば、起点からの経過時間とフェーズとの対応関係は、
図4に示すような経過時間情報テーブル171として記憶してもよい。経過時間情報テーブル171には、対応関係のフェーズ171aと、起点からの経過時間171bとが関連付けて記録されている。また、例えば、フェーズと提示する災害関連情報との対応関係は、
図5に示すような提示情報テーブル173として記憶してもよい。提示情報テーブル173には、対応関係のフェーズ173aと、提示が推奨される災害関連情報173bとが関連付けて記録されている。
【0037】
また、記憶部170は、例えば、災害関連情報に基づきフェーズを推定するときに用いるルールベースあるいは推定モデルや、出力装置300に提示させるときの災害関連情報のサイズや提示位置等の情報を記憶してもよい。これらの情報は、ユーザが任意のタイミングで、入力装置200より更新可能であってもよい。記憶部170に記録された情報は、判断支援装置100を構成する各機能部により参照可能である。
【0038】
かかる判断支援装置100は、入力装置200及び出力装置300と接続されている。入力装置200は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ及びレバー等の、ユーザが情報を入力するために操作するインターフェイスである。出力装置300は、ユーザに情報を提示するための装置であり、例えば、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置等の表示装置であってもよい。あるいは、出力装置300は、プリンターや移動通信端末、ファクシミリ等であってもよい。
【0039】
[3.判断支援方法]
[3-1.処理内容]
以下、
図6に基づいて、本実施形態に係る判断支援方法について説明する。
図6は、本実施形態に係る判断支援方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係る判断支援方法は、判断支援装置100を動作させることによって実施される。
【0040】
(S100:基準時刻取得)
図6に示すように、まず、基準時刻取得部130は、経過時間情報の起点とする基準時刻を取得する(S100)。基準時刻は、判断支援装置100とネットワークを介して接続されたサーバ等から取得可能である。また、基準時刻取得部130は、地震、風水害等のような災害の種類に応じて、基準時刻とする時刻を設定してもよい。基準時刻取得部130は、基準時刻を取得すると、経過時間情報出力部110へ基準時刻を出力する。
【0041】
(S110:経過時間情報出力)
次いで、経過時間情報出力部110は、からの経過時間を表す経過時間情報を出力する。経過時間情報出力部110は、ステップS100にて取得された基準時刻を起点として、現在あるいは指定された時刻における経過時間情報を求める。経過時間情報は、起点からの経過時間そのものであってもよい。あるいは、経過時間情報は、例えば
図4に示した経過時間情報テーブル171に基づき特定される災害対応のフェーズであってもよい。
【0042】
また、経過時間情報出力部110は、フェーズ推定部140により推定されたフェーズを、経過時間情報として出力してもよい。例えば、ステップS100にて基準時刻が取得できず、経過時間情報出力部110にて経過時間情報を求めることができない場合等に、フェーズ推定部140により推定されたフェーズを用いてもよい。経過時間情報出力部110は、経過時間情報を、決定部120へ出力する。
【0043】
(S120:提示する災害関連情報の決定)
その後、決定部120は、ステップS110にて経過時間情報出力部110が出力した経過時間情報に基づいて、ユーザに提示する災害関連情報を決定する(S120)。決定部120は、例えば、
図5に示した提示情報テーブル173を参照して、ユーザに提示する災害関連情報を決定してもよい。決定部120は、提示情報テーブル173にて提示することが推奨されており、災害関連情報取得部150により取得可能な災害関連情報を、ユーザに提示する災害関連情報として決定する。
【0044】
決定部120は、予め指定された数の災害関連情報をユーザに提示するようにしてもよい。この場合、例えば、提示情報テーブル173にて各災害関連情報に対して提示の優先度を設定することで、決定部120は、優先度の高い順に、ユーザに提示する災害関連情報を決定することができる。決定部120は、決定した災害関連情報を特定可能な情報を、提示処理部160に出力する。なお、災害関連情報を特定可能な情報とは、例えば、災害関連情報名や、災害関連情報と対応付けられた重み係数あるいはインデックス等である。決定部120が災害関連情報取得部150から提示する災害関連情報を取得する場合には、決定部120から災害関連情報が直接提示処理部160へ出力される。
【0045】
(S130:災害関連情報の提示)
ステップS120にてユーザに提示する災害関連情報が決定されると、提示処理部160は、指定された災害関連を出力装置300に提示させる(S130)。提示処理部160は、ステップS120にて決定部120より入力された災害関連情報を特定可能な情報に基づいて、災害関連情報取得部150から対応する災害関連情報を取得する。提示処理部160は、災害関連情報を取得すると、取得した災害関連情報を出力装置300へ出力する。このとき、提示処理部160は、例えば、出力装置300に提示させるときの災害関連情報のサイズや提示位置等を調整する表示処理を行ってもよい。出力装置300は、提示処理部160から入力された災害関連情報を出力し、ユーザに提示する。
【0046】
以上、本実施形態に係る判断支援方法について説明した。
図6に示した処理において、ステップS110~S130の処理は、所定の時間間隔で繰り返し実行されてもよい。これにより、ユーザは、所望の経過時間情報に応じた災害関連情報を確認することができる。
【0047】
[3-2.災害関連情報の提示例]
具体的な災害関連情報の提示の仕方としては、例えば、災害対応のフェーズ毎の災害関連情報を異なるウィンドウに表示し、タブによって表示切替可能にしてもよい。あるいは、各フェーズのアイコンを出力装置300の画面に表示させ、選択されたフェーズの災害関連情報が表示されたウィンドウを表示させるようにしてもよい。このように、ユーザが災害対応のフェーズを選択することで、経過時間情報に応じた災害関連情報がユーザに提示されるようにしてもよい。また、現在を指定するタブあるいはアイコンを設定して、現在の経過時間情報において重要な災害関連情報を表示させるようにしてもよい。これにより、ユーザは、現在の災害対応のフェーズを気にすることなく、現在有益な災害関連情報を確認することができる。
【0048】
あるいは、時間の経過に応じて、ユーザに提示する災害関連情報を自動的に切り替えるようにしてもよい。例えば、判断支援装置100は、予め設定された条件に基づき、自動的に基準時刻を取得して経過時間情報を算出する。経過時間情報の算出は繰り返し実施され、フェーズの変化が把握される。そして、判断支援装置100は、算出した経過時間情報に基づいて対応する災害関連情報を出力装置300に提示させる。これにより、時間の経過によりフェーズが次のフェーズに移行した場合には、次のフェーズにおいて重要な災害関連情報が出力装置300に自動的に提示される。
【0049】
また、災害関連情報は、自治体、消防、一般市民等の利用者や、災害対応における役割(監督者、担当者、等)のユーザ属性によって、有益な災害関連情報が異なる場合もある。そこで、予め、提示情報テーブル173等のフェーズと提示する災害関連情報との対応関係を、ユーザ属性毎に設定することで、ユーザ属性毎に、経過時間情報に応じた有益な災害関連情報を提示することが可能となる。
【0050】
例えば、
図7に示すように、ユーザ属性として、自治体の監督者(ユーザA)と災害対応の担当者(ユーザB)とを例にとる。監督者に対しては、行政としての対応を決定するために必要な災害関連情報が、各フェーズに応じて提示される。一方、担当者に対しては、一般市民からの問合せへの対応等に必要な災害関連情報が、各フェーズに応じて提示さる。このため、担当者には、例えば、警戒期において監督者に提示された情報Bの代わりに情報Eが提示され、初動期において監督者に提示された情報Zの代わりに情報Wが提示されるようになる。
【0051】
なお、この場合も、経過時間情報に対応する災害関連情報は、上述したように、タブあるいはアイコン等によって表示を切替可能にして提示してもよく、時間の経過に応じて自動的に切り替えられるようにして提示してもよい。また、
図7の例では、ユーザに提示される災害関連情報は4つであり、メッシュ状に分割されたウィンドウ内に同一サイズで表示されているが、本発明はかかる例に限定されない。提示する災害関連情報の数は適宜設定可能である。また、異なるサイズ、異なるレイアウトで災害関連情報を提示してもよい。さらに、経過時間情報に応じてユーザに提示される災害関連情報以外の情報(例えば、災害関連情報を分析して得られる判断支援情報等)を、決定された災害関連情報とともに表示させてもよい。
【0052】
以上、本実施形態に係る判断支援装置100及びこれを用いた判断支援方法について説明した。本実施形態によれば、判断支援装置100は、提示情報をユーザに提示する時点の経過時間情報を算出し、算出された経過時間情報に基づいて、その時点のフェーズにおいて災害対応を決定する際に重要となる有益な災害関連情報をユーザに提示する。ユーザは、災害対応の各フェーズそれぞれにおいて重要な情報を確認することができ、災害の状況把握及び意思決定をより迅速かつ適切に行うことができる。
【0053】
[4.プログラム]
本実施形態に係るプログラムは、コンピュータを、
図1または
図3に示す機能部として実行させるプログラムであればよい。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施形態に係る判断支援装置100と判断支援方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのプロセッサは、判断支援装置100の経過時間情報出力部110、決定部120、さらには基準時刻取得部130、フェーズ推定部140、災害関連情報取得部150、提示処理部160として機能し、処理を行う。
【0054】
また、本実施形態では、記憶部170は、コンピュータに備えられたハードディスク等の記憶装置に、これらを構成するデータファイルを格納することによって実現されていてもよいし、別のコンピュータの記憶装置によって実現されていてもよい。コンピュータとしては、汎用のPCの他に、スマートフォン、タブレット型端末装置が挙げられる。
【0055】
さらに、本実施形態に係るプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されてもよい。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、経過時間情報出力部110、決定部120、基準時刻取得部130、フェーズ推定部140、災害関連情報取得部150、提示処理部160のいずれかとして機能してもよい。
【0056】
[5.物理構成]
上記実施形態に係るプログラムを実行することによって、判断支援装置100を実現するコンピュータの物理構成について、
図8を用いて説明する。
図8は、本実施形態に係る判断支援装置100を実現するコンピュータ900の一例を示すブロック図である。
【0057】
図8に示すように、コンピュータ900は、CPU(Central Processing Unit)901と、メインメモリ902と、記憶装置903と、入力インターフェイス904と、表示コントローラ905と、データリーダ/ライタ906と、通信インターフェイス907とを備える。これらの各部は、バス911を介して、互いにデータ通信可能に接続される。
【0058】
また、コンピュータ900は、CPU901に加えて、又はCPU901に代えて、GPU(Graphics Processing Unit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)を備えていてもよい。この態様では、GPU又はFPGAが、上記実施形態におけるプログラムを実行することができる。
【0059】
CPU901は、記憶装置903に格納された、コード群で構成された実施の形態におけるプログラムをメインメモリ902に展開し、各コードを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ902は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。
【0060】
また、上記実施形態に係るプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体910に格納された状態で提供される。なお、上記実施形態におけるプログラムは、通信インターフェイス907を介して接続されたインターネット上で流通するものであってもよい。
【0061】
また、記憶装置903の具体例としては、ハードディスクドライブの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス904は、CPU901と、キーボード及びマウスといった入力機器908との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ905は、ディスプレイ装置909と接続され、ディスプレイ装置909での表示を制御する。
【0062】
データリーダ/ライタ906は、CPU901と記録媒体910との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体910からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ900における処理結果の記録媒体910への書き込みを実行する。通信インターフェイス907は、CPU901と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0063】
また、記録媒体910の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))及びSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記録媒体、又はCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記録媒体が挙げられる。
【0064】
なお、上記実施形態に係る判断支援装置100は、プログラムがインストールされたコンピュータではなく、各部に対応したハードウェアを用いることによっても実現可能である。さらに、判断支援装置100は、一部がプログラムで実現され、残りの部分がハードウェアで実現されていてもよい。
【0065】
上述した実施の形態の一部又は全部は、以下に記載する(付記1)~(付記15)によって表現することができるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0066】
(付記1)
基準時刻を起点として、前記起点からの経過時間を表す経過時間情報を出力する経過時間情報出力部と、
前記経過時間情報に基づいて、ユーザに提示する災害関連情報を決定する決定部と、
を有する、判断支援装置。
【0067】
(付記2)
前記起点からの経過時間に対応する災害対応のフェーズと、前記各フェーズで提示する情報とが予め設定されており、
前記経過時間情報出力部は、前記起点からの経過時間に応じたフェーズを前記経過時間情報として出力し、
前記決定部は、当該フェーズで提示する災害関連情報を決定する、付記1に記載の判断支援装置。
【0068】
(付記3)
前記各フェーズで提示する災害関連情報は、ユーザ属性毎に設定されており、
前記決定部は、前記ユーザ属性に応じて、当該フェーズで提示する災害関連情報を決定する、付記2に記載の判断支援装置。
【0069】
(付記4)
少なくとも1つの前記災害関連情報に基づいてフェーズを推定するフェーズ推定部を有し、
前記経過時間情報出力部は、前記フェーズ推定部により推定された前記フェーズを前記経過時間情報として出力する、付記1に記載の判断支援装置。
【0070】
(付記5)
前記決定部は、時間の経過により現在のフェーズが次のフェーズに移行したとき、提示する前記災害関連情報を、前記次のフェーズで提示する災害関連情報に変更する、付記2~4のいずれか1項に記載の判断支援装置。
【0071】
(付記6)
基準時刻を起点として、前記起点からの経過時間を表す経過時間情報を出力し、
前記経過時間情報に基づいて、ユーザに提示する災害関連情報を決定する、判断支援方法。
【0072】
(付記7)
前記起点からの経過時間に対応する災害対応のフェーズと、前記各フェーズで提示する情報とが予め設定されており、
前記起点からの経過時間に応じたフェーズを前記経過時間情報として出力し、
当該フェーズで提示する災害関連情報を決定する、付記6に記載の判断支援方法。
【0073】
(付記8)
前記各フェーズで提示する災害関連情報は、ユーザ属性毎に設定されており、
前記ユーザ属性に応じて、当該フェーズで提示する災害関連情報を決定する、付記7に記載の判断支援方法。
【0074】
(付記9)
少なくとも1つの前記災害関連情報に基づいてフェーズを推定し、
推定された前記フェーズを前記経過時間情報として出力する、付記6に記載の判断支援方法。
【0075】
(付記10)
時間の経過により現在のフェーズが次のフェーズに移行したとき、提示する前記災害関連情報を、前記次のフェーズで提示する災害関連情報に変更する、付記7~9のいずれか1項に記載の判断支援方法。
【0076】
(付記11)
コンピュータを、
基準時刻を起点として、前記起点からの経過時間を表す経過時間情報を出力する経過時間情報出力部と、
前記経過時間情報に基づいて、ユーザに提示する災害関連情報を決定する決定部と、
を有する、判断支援装置として機能させるためのプログラム。
【0077】
(付記12)
前記起点からの経過時間に対応する災害対応のフェーズと、前記各フェーズで提示する情報とが予め設定されており、
前記経過時間情報出力部は、前記起点からの経過時間に応じたフェーズを前記経過時間情報として出力し、
前記決定部は、当該フェーズで提示する災害関連情報を決定する、付記11に記載のプログラム。
【0078】
(付記13)
前記各フェーズで提示する災害関連情報は、ユーザ属性毎に設定されており、
前記決定部は、前記ユーザ属性に応じて、当該フェーズで提示する災害関連情報を決定する、付記12に記載のプログラム。
【0079】
(付記14)
コンピュータを、少なくとも1つの前記災害関連情報に基づいてフェーズを推定するフェーズ推定部をさらに有する判断支援装置として機能させ、
前記経過時間情報出力部は、前記フェーズ推定部により推定された前記フェーズを前記経過時間情報として出力する、付記11に記載のプログラム。
【0080】
(付記15)
前記決定部は、時間の経過により現在のフェーズが次のフェーズに移行したとき、提示する前記災害関連情報を、前記次のフェーズで提示する災害関連情報に変更する、付記12~14のいずれか1項に記載のプログラム。
【0081】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上のように本発明によれば、災害発生時の対応を支援することができる。本発明は、災害対応支援分野に有用である。
【符号の説明】
【0083】
100 判断支援装置
110 経過時間情報出力部
120 決定部
130 基準時刻取得部
140 フェーズ推定部
150 災害関連情報取得部
160 提示処理部
170 記憶部
171 経過時間情報テーブル
173 提示情報テーブル
200 入力装置
300 出力装置
900 コンピュータ
901 CPU
902 メインメモリ
903 記憶装置
904 入力インターフェイス
905 表示コントローラ
906 データリーダ/ライタ
907 通信インターフェイス
908 入力機器
909 ディスプレイ装置
910 記録媒体
911 バス