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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097011
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】防災監視盤
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
G08B17/00 L
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024068935
(22)【出願日】2024-04-22
(62)【分割の表示】P 2019222608の分割
【原出願日】2019-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】安彦 浩二
(72)【発明者】
【氏名】松下 栄治
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇
(72)【発明者】
【氏名】小野 武宏
(72)【発明者】
【氏名】松田 佳大
(72)【発明者】
【氏名】城井 正広
(72)【発明者】
【氏名】溝口 英史
(72)【発明者】
【氏名】高木 幸司
(72)【発明者】
【氏名】石田 憲
(72)【発明者】
【氏名】増田 誠良
(72)【発明者】
【氏名】片岡 才
(72)【発明者】
【氏名】青山 晃久
(57)【要約】      (修正有)
【課題】予備電源のバッテリー容量を増加することなく、消費電力の大きい画面サイズの大きな液晶モニタ装置の使用を可能とする。
【解決手段】防災受信盤である受信機10は、外部からの電源供給と内蔵する予備電源からの電源供給を切り替えて動作し、外部からの電源供給で動作中の場合には、液晶モニタ装置14のバックライトをオンして防災情報を表示させ、外部からの電源供給が停止し予備電源からの電源供給に切り替わった場合には、液晶モニタ装置14のバックライトをオフし、予備電源からの電源供給で動作中に所定の検出器から異常検出信号を受信した場合には、液晶モニタ装置14のバックライトをオンし、予備電源からの電源供給で動作中に液晶モニタ装置14のバックライトをオンしているときに予備電源の電源電圧が所定値以下に低下した場合には、液晶モニタ装置14の動作電源をオフする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの電源供給と内蔵する予備電源からの電源供給を切り替えて動作する防災監視盤であって、
前記外部からの電源供給で動作中の場合には、液晶モニタ装置のバックライトをオンして防災情報を表示させ、
前記外部からの電源供給が停止し前記予備電源からの電源供給に切り替わった場合には、前記液晶モニタ装置の前記バックライトをオフし、
前記予備電源からの電源供給で動作中に所定の検出器から異常検出信号を受信した場合には、前記液晶モニタ装置の前記バックライトをオンし、
前記予備電源からの電源供給で動作中に前記液晶モニタ装置の前記バックライトをオンしているときに前記予備電源の電源電圧が所定値以下に低下した場合には、前記液晶モニタ装置の動作電源をオフすることを特徴とする防災監視盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶モニタ装置を備え、火災やガス漏れ等の異常を検出して警報する受信機等の防災監視盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災報知設備の受信機は建物内の防災センターや管理室などに設置されており、感知器や発信機からの火災信号を受信することで、火災代表表示を行うと共に主音響や地区音響を鳴動させ、防火戸や防火シャッター等の連動制御を行う。
【0003】
このため受信機の盤面には、火災代表灯、ガス漏れ代表灯、障害代表灯等の表示灯に加え、タッチパネル付きの液晶モニタ装置を設け、また、火災やガス漏れを断定して警報停止や連動停止を解除する断定スイッチ、主音響や地区音響を停止するスイッチ、火災でない場合に受信機を復旧させるスイッチ等を設けている。
【0004】
図6は従来の受信機の一例を正面から示した説明図である。図6に示す受信機100は、箱形の筐体前面に扉構造の受信機パネルを配置し、受信機パネルには、表示部102、液晶モニタ装置104、操作部106、プリンタ110を配置し、液晶モニタ装置104に隣接してスピーカを内蔵した音響孔112を設けている。
【0005】
このような受信機100にあっては、商用交流電源が停電した場合、バッテリーを用いた予備電源に切替えて所定時間を超える受信機動作を保証しており、停電中は液晶モニタ装置104に停電異常が発生している旨を表示している。また停電中に火災が発生した場合、火災警報を出力すると共に、液晶モニタ装置104の停電異常の表示を一旦消去して火災発生場所を優先して表示するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-191418号公報
【特許文献2】特開2019-204394号公報
【特許文献3】特開2007-066149号公報
【特許文献4】特開2000-137882号公報
【特許文献5】特開2010-073030号公報
【特許文献6】実願平02-026423号(実開平03-117284号)のマイクロフィルム
【特許文献7】特開2015-114973号公報
【特許文献8】特開2002-072165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の受信機に設けた液晶モニタ装置にあっては、予備電源からの電源供給により動作する停電中にも停電異常等の防災情報を画面表示しており、停電中に所定時間を超える受信機動作を保証する必要があるため、低消費電力の液晶モニタ装置しか使用することができないという制約がある。
【0008】
液晶モニタ装置は、画面サイズが大きいと消費電力も大きくなり、これを採用すると予備電源に設けたバッテリーの容量を増加させなければならない問題があり、そのため例えば10インチといった画面サイズの小さい液晶モニタ装置を採用している。
【0009】
しかし、画面サイズの小さい液晶モニタ装置は、市場に流通している種類が少ないため比較的高価な製品が多く、選択肢が少ないという問題があり、また、画面サイズが小さいために火災等の危険を知らせる防災情報の表示も小さくなって見づらい場合があり、更に、1画面に表示できる情報量も制約されるという問題がある。
【0010】
本発明は、予備電源のバッテリー容量を増加することなく、消費電力の大きい画面サイズの大きな液晶モニタ装置の使用を可能とする防災監視盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(防災監視盤)
本発明は、外部からの電源供給と内蔵する予備電源からの電源供給を切り替えて動作する防災監視盤であって、
外部からの電源供給で動作中の場合には、液晶モニタ装置のバックライトをオンして防災情報を表示させ、
外部からの電源供給が停止し予備電源からの電源供給に切り替わった場合には、液晶モニタ装置のバックライトをオフし、
予備電源からの電源供給で動作中に所定の検出器から異常検出信号を受信した場合には、液晶モニタ装置のバックライトをオンし、
予備電源からの電源供給で動作中に液晶モニタ装置のバックライトをオンしているときに予備電源の電源電圧が所定値以下に低下した場合には、液晶モニタ装置の動作電源をオフすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
(基本的な効果)
本発明は、外部からの電源供給と内蔵する予備電源からの電源供給を切り替えて動作する防災監視盤であって、外部からの電源供給で動作中の場合には、液晶モニタ装置のバックライトをオンして防災情報を表示させ、外部からの電源供給が停止し予備電源からの電源供給に切り替わった場合には、液晶モニタ装置のバックライトをオフし、予備電源からの電源供給で動作中に所定の検出器から異常検出信号を受信した場合には、液晶モニタ装置のバックライトをオンし、予備電源からの電源供給で動作中に液晶モニタ装置のバックライトをオンしているときに予備電源の電源電圧が所定値以下に低下した場合には、液晶モニタ装置の動作電源をオフするようにしたため、外部からの電源供給が停止し予備電源により動作している場合、通常、液晶モニタ装置の消費電力は零又は十分に低く抑えられることで、消費電力の大きい画面サイズの大きな液晶モニタ装置を設けることが可能となり、画面サイズの大きな液晶モニタ装置を使用していても、予備電源による防災監視盤の所定時間を超える動作時間を保証可能とする。
【0013】
また、画面サイズの大きな液晶モニタ装置を設けることができるため、火災発生場所等の防災情報を大きく表示でき、また、1画面に表示できる情報量を多くすることができ、防災管理者や消防隊員は、火災が発生した場合の画面表示から火災発生場所等を容易に特定して現場に急行するといった迅速且つ確実な対処が可能となる。
【0014】
また、画面サイズの大きな液晶モニタ装置は、民生品として市場に出回っている製品の種類が多く、選択肢が多いと共に、部品変更時にも代替品が見つけやすく、低価格の製品を選んで利用することが可能となる。
【0015】
また、予備電源からの電源供給で動作中に予備電源の電源電圧が所定値以下に低下した場合、液晶モニタ装置の動作電源をオフするようにしたため、予備電源からの電源供給で動作中に発生した火災等の異常により液晶モニタ装置を動作して防災情報を表示していても、バッテリーの消耗により予備電源からの電源電圧が所定の閾値以下に低下すると液晶モニタ装置の動作電源をオフし、予備電源の電力消費を零とし、可能な限り予備電源による受信機の動作時間を延ばすことを可能とする。
【0016】
また、外部からの電源供給が停止し予備電源からの電源供給に切り替わった場合にはバックライトをオフし、予備電源からの電源供給で動作中に所定の検出器から異常検出信号を受信した場合にはバックライトをオンするようにしたため、予備電源により動作している場合、通常、液晶モニタ装置の消費電力は例えば1ワット以下の待機電力となり、消費電力の大きい画面サイズの大きな液晶モニタ装置を使用していても、予備電源のバッテリー容量を増加させることなく、予備電源による防災監視盤の所定時間を超える動作時間を保証可能とする。
【0017】
また、予備電源からの電源供給で動作中にバックライトをオフしているが、画像信号による液晶駆動は継続しているため、火災等の異常を検出した場合のバックライトのオンで迅速に画面表示を立ち上げることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】R型防災監視設備の受信機を示した説明図
図2】通常監視中における受信機の操作部を小扉の開放状態で取り出して示した説明図
図3】R型防災監視設備の概要を示したブロック図
図4】受信機による液晶モニタ装置の制御動作を示したフローチャート
図5】液晶モニタ装置の停電時の制御による予備電源から供給される電源電圧の時間変化を示したグラフ図
図6】従来の火災報知設備に用いた受信機を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
[防災監視盤]
(受信機パネル)
図1はR型防災監視設備に設けた受信機の外観を示した説明図である。図1に示すように、防災監視盤として機能する受信機10は、建物の防災センターや管理人室等に設置されており、箱形の筐体前面に扉構造の受信機パネル11を配置している。受信機パネル11には、表示部12、液晶モニタ装置14、操作部16、プリンタ20及び音響孔22を設けている。
【0020】
表示部12には火災代表灯、ガス漏れ代表灯、障害代表灯等を設けている。液晶モニタ装置14は、図6に示した従来の10インチに対し例えば17インチの大型サイズを使用しており、その消費電力は、従来の例えば20ワットに対し例えば40ワットに増加している。また、液晶モニタ装置14はタッチパネルを備えており、画面タッチ操作を可能としている。
【0021】
操作部16には、火災警報が出力された場合に操作する各種の操作スイッチを設け、操作部16の下には、下向きに開閉自在な小扉18を設けており、小扉18の中には、各種の操作スイッチに加え、受信機10の状態表示灯や電話ジャック等を設けている。また、操作部16には低消費電力のLEDを用いた停電表示灯40を配置している。更に、操作部16には音響孔22を設け、その背後にスピーカを配置している。
【0022】
(操作部)
図2は受信機の操作部を取り出して示した説明図であり、小扉18を開いた状態で示している。図2に示すように、操作部16の上側には、音響孔22、音声ガイダンスを出力させる音声案内スイッチ24、火災又はガス漏れの断定スイッチ25、音響停止スイッチ26、地区音響一時停止スイッチ28及び電話用のマイク29を設けている。
【0023】
また、小扉18で覆われる操作部16の下側には、復旧スイッチ30、地区音響一斉鳴動スイッチ32、一括連動移報停止スイッチ34、状態表示部36及び電話ジャック38を設けている。
【0024】
更に、操作部16の上側には停電表示灯40を配置しており、停電表示灯40は受信機10に対する商用交流電源が停電し、内蔵している予備電源に切り替わった場合に点灯する。
【0025】
[防災監視設備]
(防災監視設備の概要)
図3はR型の防災監視設備の概略を示したブロック図である。図3に示すように、R型の受信機10からは施設の警戒エリアに向けて伝送路42-1,42-2が引き出されている。伝送路42-1には、端末機器として、アナログ感知器44を接続し、また伝送路42-1には中継器46を接続し、中継器46から引き出された火報回線48にオンオフ感知器50及び発信機52を接続し、また別の中継器46にはガス漏れ検出器54を接続している。
【0026】
また、伝送路42-2には、複数の中継器46を接続し、各中継器46を介して防火シャッター56、防火戸58、ダンパ60及びスプリンクラー消火設備のアラーム弁62等を端末機器として接続している。この内、防火シャッター56、防火戸58、ダンパ60は制御負荷であり、アラーム弁62は流水検出信号を出力する検出器となる。
【0027】
アナログ感知器44及び中継器46は、受信機10との間で情報を双方向にシリアル伝送する伝送機能を備えており、受信機10を含めて固有のアドレスが予め割り当てられている。伝送路42-1,42-2の各々に接続できるアナログ感知器44や中継器46等の端末数は、例えば最大アドレス数が256アドレスの場合、受信機アドレスを除くことから、255台以下の端末を接続することができる。
【0028】
(受信機の概要)
受信機10には、受信機制御部64,伝送部66-1,66-2、表示部12、液晶モニタ装置14、操作部16、音響警報部68、移報部70及びプリンタ20を設けている。以下の説明では、伝送路42-1,42-2及び伝送部66-1,66-2を区別する必要がない場合は、伝送路42及び伝送部66という場合がある。
【0029】
受信機10の受信機制御部64は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成しており、プログラムの実行により所定の受信機制御を行う。
【0030】
受信機10からアナログ感知器44及び中継器46に対する下り信号は電圧モードで伝送している。この電圧モードの信号は、伝送路42の電圧を例えば18ボルトと30ボルトの間で変化させる電圧パルスとして伝送される。
【0031】
これに対しアナログ感知器44及び中継器46からの上り信号は電流モードで伝送される。この電流モードにあっては、伝送路42に伝送データのビット1のタイミングで信号電流を流し、いわゆる電流パルス列として上り信号が受信機に伝送される。
【0032】
受信機10の受信機制御部64による監視制御は、アナログ感知器44の火災監視を例にとると、次のようになる。受信機10は、通常の監視中にあっては、一定周期毎に、一括AD変換コマンドを含むブロードキャストの一括AD変換電文を送信しており、この一括AD変換電文を受信したアナログ感知器44は、煙濃度又は温度をセンサデータとして検出して保持する。
【0033】
続いて、受信機制御部64は、アナログ感知器44の状態、例えばアナログ感知器44のアドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出電文を送信している。アナログ感知器44は自己アドレスに一致するアドレスを持つ呼出電文を受信すると、そのとき保持しているセンサデータを含む応答電文を受信機10に送信する。このため受信機10にあっては、応答電文の受信によりアナログ感知器44のセンサデータを取得して火災を判断し、火災警報動作を行うことになる。
【0034】
また、設備の立上げの際に、受信機制御部64からの呼出電文に対し応答電文が受信されない場合は、そのアドレスのアナログ感知器44は未接続と判断し、また、通常運用中に、それまで受信していた応答電文が受信されなくなった場合は、アナログ感知器44の障害と判断できる。
【0035】
このような受信機制御部64による監視制御は、オンオフ感知器50やガス漏れ検出器54を接続した中継器46についても同様である。
【0036】
また、受信機制御部64による防火シャッター56、防火戸58、ダンパ60等の制御負荷を端末機器として接続した中継器46に対する制御は、通常の監視中にあっては、一定周期毎に、一括AD変換コマンドを含むブロードキャストの一括AD変換電文を送信しており、この一括AD変換電文を受信した制御負荷は、現在の制御状態を検出して状態検出データ(ステータスデータ)として保持する。
【0037】
続いて、受信機制御部64は、防火シャッター56等の制御負荷のアドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出電文を送信しており、防火シャッター56等の制御負荷は自己の設定アドレスに一致するポーリングコマンドの呼出電文を受信すると、そのとき保持している状態検出データを含む応答電文を受信機10に送信する。このため受信機10にあっては、応答電文の受信により防火シャッター56等の制御負荷の状態検出データを取得し、現在の制御位置を認識している。
【0038】
また受信機制御部64は、アナログ感知器44のセンサデータから火災判断した場合の連動制御により、例えば防火シャッター56を接続した中継器46のアドレスを設定した読出電文に、例えばシャッター閉鎖コマンドを含めて送信し、火災発生に伴い防火シャッター56を閉鎖させる制御を行う。
【0039】
また、受信機10には電源部72と予備電源部74を設けている。電源部72は商用交流電源AC100Vの供給を受け、所定の直流電圧に変換して液晶モニタ装置14を含む受信機各部及び伝送路42に接続した検出器や制御負荷に電源を供給している。
【0040】
予備電源部74はバッテリーを内蔵しており、通常監視状態では、電源部72からの直流電圧の供給を受けてバッテリーを充電しており、商用交流電源が停電して電源部72からの電源供給が停止すると、予備電源部74からの電源供給に切り替わり、所定時間を超える受信機10の動作を保証する。
【0041】
(液晶モニタ装置の制御)
受信機10の受信機制御部64は、商用交流電源の供給状態で電源投入して立ち上げた場合、液晶モニタ装置14にも動作電源を供給して防災情報を表示させる制御を行う。
【0042】
また、受信機制御部64は、商用交流電源の停電を検出して電源部72から予備電源部74による電源供給に切り替わったことを検出した場合、液晶モニタ装置14の動作電源をオフして非表示状態に切替えると共に停電表示灯40を点灯する制御を行う。
【0043】
このため停電により予備電源部74により動作している場合に、液晶モニタ装置14は動作電源のオフにより消費電力は零となり、消費電力の大きい画面サイズの大きな液晶モニタ装置14を設けることが可能となり、画面サイズの大きな液晶モニタ装置14を使用していても、予備電源部74による受信機10の所定時間を超える動作時間を保証可能とする。
【0044】
また、17インチといった画面サイズの大きな液晶モニタ装置14を設けることができるため、火災発生場所等の防災情報を大きく表示でき、また、1画面に表示できる情報量を多くすることができ、防災管理者や消防隊員は、火災が発生した場合、容易に画面表示から火災発生場所等を特定して現場に急行するといった迅速且つ確実な対処が可能となる。
【0045】
また、画面サイズの大きな液晶モニタ装置14は、民生品として市場に出回っている製品の種類が多く、選択肢が多いと共に、部品変更時にも代替品が見つけやすく、低価格の製品を選んで利用することを可能とする。
【0046】
また、受信機制御部64は、液晶モニタ装置14の動作電源をオフした停電中に火災検出信号を受信した場合、液晶モニタ装置14の動作電源をオンして非表示状態を解除することにより火災発生場所等を示す防災情報を表示させる制御を行う。
【0047】
このため停電中に液晶モニタ装置14の動作電源をオフして表示を停止していても、火災が発生し火災検出信号を受信した場合、自動的に液晶モニタ装置14の動作電源がオンして防災情報が表示され、防災管理者は停電中であっても液晶モニタ装置14の防災情報の表示を見て現場確認等の対処を適切に行うことができる。
【0048】
また、受信機制御部64は、停電中に予備電源部74の電源電圧が所定の閾値電圧Vth以下に低下した場合、液晶モニタ装置14の動作電源をオフして非表示状態に切替える制御を行う。
【0049】
この制御により、停電中に発生した火災により液晶モニタ装置14を動作して防災情報を表示していても、バッテリーの消耗により予備電源部74からの電源電圧が所定の閾値電圧以下Vthに低下すると液晶モニタ装置14の動作電源がオフして非表示状態となり、予備電源部74の電力消費を低減し、可能な限り予備電源部74による受信機10の動作時間を延ばすことを可能とする。
【0050】
更に、受信機制御部64は、火災警報中に商用交流電源が停電して予備電源部74からの電源供給に切り替わった場合は、液晶モニタ装置14の表示動作を継続し、その後、予備電源部74の電源電圧が所定の閾値電圧Vth以下に低下した場合、液晶モニタ装置14の動作電源をオフして非表示状態に切替える制御を行う。
【0051】
このため、火災警報中に停電が発生し、予備電源部74に切替えて液晶モニタ装置14で継続して防災情報を表示していても、バッテリーの消耗により予備電源部74からの電源電圧が所定の閾値電圧以下Vthに低下すると液晶モニタ装置14の動作電源がオフして非表示状態となり、予備電源部74の電力消費を低減し、可能な限り予備電源部74による受信機10の動作時間を延ばすことを可能とする。
【0052】
[液晶モニタ装置の制御動作]
図4図1の受信機よる液晶モニタ装置の制御動作を示したフローチャートであり、受信機に設けた受信機制御部による制御動作となる。
【0053】
図4に示すように、受信機10を商用交流電源の供給により立ち上げると、ステップS1で液晶モニタ装置14の動作電源をオンし、例えば通常監視状態であれば、液晶モニタ装置14の画面に「防災監視中」の文字を表示している。
【0054】
続いて、受信機10に対する商用交流電源の供給が停電により停止すると、これをステップS2で検出してステップS3に進み、液晶モニタ装置14の動作電源をオフして表示を停止したスタンバイ状態とし、更にステップS4に進んで受信機パネル11に設けている停電表示灯40を点灯し、停電異常を起こしていることを表示させる。
【0055】
続いてステップS5で停電復旧の有無を判別しており、停電復旧を判別するとステップS6で停電表示灯40を消灯し、ステップS1に戻って液晶モニタ装置14の動作電源をオンし、「防災監視中」の文字を表示させる。
【0056】
一方、停電による予備電源部74からの電源供給中に、ステップS7でアナログ感知器44からの火災検出信号の受信により火災発報を判別すると、ステップS8に進んで液晶モニタ装置14の動作電源をオンして火災発生場所等の防災情報を画面表示し、防災担当者による火災発生場所の現場確認等を促す。
【0057】
続いて、予備電源部74から供給されている電源電圧は時間の経過に伴って低下し、ステップS9で所定の閾値電圧Vth以下に低下したことが判別されると、ステップS10に進んで液晶モニタ装置14の動作電源をオフして非表示状態に切替える制御を行う。この制御により、可能な限り予備電源部74による受信機10の動作時間を延ばすことを可能とする。
【0058】
図5は液晶モニタ装置の停電時の制御による予備電源から供給される電源電圧の時間変化を示したグラフ図である。
【0059】
図5において、時刻t1で商用交流電源の停電が発生し、電源部72による電源供給から予備電源部74による電源供給に切り替わり、その後、時間の経過に伴って電源電圧は低下する。なお、説明を簡単にするため、電源電圧は時間の経過に伴って直線的に低下するようにしているが、実際には、最初は緩やかな時間勾配で減少し、ある電圧を下回ると急激に低下する非線形の電圧低下となる。
【0060】
この時刻t1の停電により、それまで一定であった電源電圧はa点を起点に減少を始める。この場合、液晶モニタ装置14の動作電源をオンし、所定の閾値電圧Vthを下回っても動作電源をオフしなかったとすると、その消費電力が受信機10の消費電力に加わることで、例えば直線76で示す勾配で電源電圧が減少し、時刻t3のb点付近で受信機10の動作が停止する。
【0061】
これに対し本実施形態では、時刻t1で停電になると、液晶モニタ装置14の動作電源をオフに制御し、その消費電力がなくなることで、a点から例えば直線78で示す緩やかな勾配で電源電圧が減少し、時刻t7のc点付近で受信機10の動作が停止し、停電から十分に長い受信機10の動作時間が確保される。
【0062】
また停電による予備電源部74から電源供給を行っている時刻t2で火災が発生したとすると、液晶モニタ装置14の動作電源がオンして防災情報の表示が開始され、電源電圧はd点から直線76と同じ勾配をもつ直線80に沿って減少する。
【0063】
この直線80に従った電源電圧の減少中に、時刻t4で電源電圧が所定の閾値電圧Vthを下回ったとすると、液晶モニタ装置14の動作電源をオフに切替える。このため電源電圧はe点から直線78と同じ勾配をもつ直線82に沿って減少し、時刻t6のf点付近で受信機10の動作が停止し、液晶モニタ装置14の動作電源をオフしなかった場合の時刻t5から時刻t6まで受信機10の動作時間を延ばすことができる。
【0064】
[バックライトオン、オフによる液晶モニタ装置の表示制御]
受信機10に設けた液晶モニタ装置14の表示制御の他の実施形態として、受信機制御部64は、液晶モニタ装置14に設けているバックライトのオンオフ制御を行うようにしても良い。
【0065】
液晶モニタ装置14は液晶パネルの背後に蛍光管やLEDなどのバックライトを配置し、液晶パネルは液晶パネルドライバ回路により駆動し、バックライトは点灯用インバータ回路により点灯駆動し、バックライトからの光により液晶パネルを背光照明することで画像を表示している。
【0066】
そこで本実施形態において、受信機制御部64は、商用交流電源の停電を検出して電源部72から予備電源部74による電源供給に切り替わったことを検出した場合、液晶モニタ装置14に設けた点灯用インバータ回路を停止することによりバックライトをオフして非表示状態に切替えると共に停電表示灯40を点灯する制御を行う。
【0067】
このため商用交流電源が停電している間、予備電源部74により動作している液晶モニタ装置14の消費電力はバックライトのオフにより例えば1ワット以下となり、消費電力の大きい画面サイズの大きな液晶モニタ装置14を使用していても、バッテリー容量を増加させることなく予備電源部74による受信機10の所定時間を超える動作時間を保証可能とする。
【0068】
また、受信機制御部64は、液晶モニタ装置14の動作電源をオフした停電中に火災検出信号を受信した場合、液晶モニタ装置14のバックライトをオンして火災発生場所等を示す防災情報を表示させる制御を行う。
【0069】
このように停電中はバックライトのオフにより液晶モニタ装置14を非表示状態としているが、バックライト以外の機能、例えば画像信号による液晶パネルの駆動は継続しており、このスタンバイ状態で火災発生によるバックライトをオンすると、視認可能な表示画面に瞬時に切り替わり、動作電源のオンに比較して画面表示の立上げ時間を短縮できるメリットがある。
【0070】
更に、受信機制御部64は、停電中に予備電源部74の電源電圧が所定の閾値電圧Vth以下に低下した場合、液晶モニタ装置14のバックライトをオフして非表示状態に切替える制御を行う。
【0071】
この制御により、停電中に発生した火災により液晶モニタ装置14のバックライトをオンして防災情報を表示していても、バッテリーの消耗により予備電源部74からの電源電圧が所定の閾値電圧以下Vthに低下すると液晶モニタ装置14のバックライトがオフして非表示状態となり、予備電源部74の電力消費を低減し、可能な限り予備電源部74による受信機10の動作時間を延ばすことを可能とする。なお、この場合、バックライトのオフではなく、液晶モニタ装置14の動作電源をオフするようにしても良い。
【0072】
[液晶モニタ装置の輝度制御]
受信機10に設けた液晶モニタ装置14の表示制御の他の実施形態として、受信機制御部64は、液晶モニタ装置14の輝度を制御するようにしても良い。
【0073】
液晶モニタ装置14はバックライトの発光量を調整することで画面の輝度を制御する機能を備えており、この輝度制御は所定の最小輝度から最大輝度の範囲で任意に調整することができる。具体的には、バックライトを駆動する点灯用インバータ回路を所定周期でオン、オフする同期駆動信号をパルス幅変調(PWM)してオンデューティを変化させ、これにより発光量を調整して画面の輝度を制御している。
【0074】
ここで最小輝度は、表示画像を視認可能な暗めの画面であり、表示が見えなくなる黒画面とは異なる。
【0075】
液晶モニタ装置14は、輝度を下げる程、液晶モニタ装置14の消費電力を下げることができる。例えば消費電力40ワットで17インチの液晶モニタ装置14の場合、調整可能な最小輝度で消費電力を例えば10ワット程度に低下させることができる。
【0076】
そこで本実施形態において、受信機制御部64は、商用交流電源の停電を検出して電源部72から予備電源部74による電源供給に切り替わったことを検出した場合、液晶モニタ装置14の輝度を最小輝度に変更すると共に停電表示灯40を点灯する制御を行う。
【0077】
このため商用交流電源が停電している間、予備電源部74により動作している液晶モニタ装置14は最小輝度により消費電力が大幅に低下した状態となり、消費電力の大きい画面サイズの大きな液晶モニタ装置14を使用していても、予備電源部74による受信機10の所定時間を超える動作時間を保証可能とする。
【0078】
また、受信機制御部64は、液晶モニタ装置14を最小輝度に制御した停電中に火災検出信号を受信した場合、液晶モニタ装置14の輝度を所定の標準輝度に変更して火災発生場所等を示す防災情報を表示させる制御を行う。
【0079】
このように停電中は液晶モニタ装置14を最小輝度としているが、輝度以外の機能、例えば画像信号による液晶パネルの駆動は継続しており、このスタンバイ状態で火災発生により輝度を標準輝度に変更すると、視認可能な表示画面に瞬時に切り替わり、動作電源のオンに比較して画面表示の立上げ時間を短縮できるメリットがある。
【0080】
更に、受信機制御部64は、停電中に予備電源部74の電源電圧が所定の閾値電圧Vth以下に低下した場合、液晶モニタ装置14の輝度を最小輝度に変更して非表示状態に切替える制御を行う。
【0081】
この制御により、停電中に発生した火災により液晶モニタ装置14の輝度を最小輝度に変更して防災情報を表示していても、バッテリーの消耗により予備電源部74からの電源電圧が所定の閾値電圧以下Vthに低下すると液晶モニタ装置14の輝度を最小輝度に変更して予備電源部74の電力消費を低減し、可能な限り予備電源部74による受信機10の動作時間を延ばすことを可能とする。なお、この場合、輝度を最小輝度に変更するのではなく、液晶モニタ装置14の動作電源をオフするようにしても良い。
【0082】
なお、本実施形態にあっては、停電中に液晶モニタ装置14を最小輝度に変更することで、停電異常の表示を近い位置から確認可能であることから、操作部16に設けた停電表示灯40は省略しても良い。
【0083】
[本発明の変形例]
(P型防災監視設備)
上記の実施形態は、受信機とアナログ感知器との間でデータ伝送可能なR型の防災監視設備に設けた受信機を例にとっているが、オンオフ型の感知器を接続した回線単位に火災を検出して警報するP型の防災監視設備に設けた受信機に画面サイズの大きな液晶モニタ装置を設ける場合についても、同様に適用することができる。
【0084】
(防災監視盤)
上記の実施形態は、防災監視盤として火災やガス漏れを監視する受信機を例にとるものであったが、液晶モニタ装置を設けたものであれば、防排煙制御を行う防排煙制御盤、大規模火災報知設備で受信機に対し分散配置される分散制御処理盤等の適宜の防災監視盤についても適用できる。
【0085】
(その他)
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0086】
10:受信機
11:受信機パネル
12:表示部
14:液晶モニタ装置
16:操作部
18:小扉
20:プリンタ
22:音響孔
24:音声案内スイッチ
25:断定スイッチ
26:音響停止スイッチ
28:地区音響一時停止スイッチ
30:復旧スイッチ
40:停電表示灯
42-1,42-2:伝送路
44:アナログ感知器
46:中継器
48:火報回線
50:オンオフ感知器
52:発信機
54:ガス漏れ検出器
64:受信機制御部
66-1,66-2:伝送部
68:音響警報部
70:移報部
図1
図2
図3
図4
図5
図6