IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケンナメタル インコ−ポレイテツドの特許一覧

特開2024-97067シェルエンドミル用工具本体及び切削工具
<>
  • 特開-シェルエンドミル用工具本体及び切削工具 図1
  • 特開-シェルエンドミル用工具本体及び切削工具 図2
  • 特開-シェルエンドミル用工具本体及び切削工具 図3
  • 特開-シェルエンドミル用工具本体及び切削工具 図4
  • 特開-シェルエンドミル用工具本体及び切削工具 図5
  • 特開-シェルエンドミル用工具本体及び切削工具 図6
  • 特開-シェルエンドミル用工具本体及び切削工具 図7
  • 特開-シェルエンドミル用工具本体及び切削工具 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097067
(43)【公開日】2024-07-17
(54)【発明の名称】シェルエンドミル用工具本体及び切削工具
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/10 20060101AFI20240709BHJP
   B23C 5/22 20060101ALI20240709BHJP
   B23C 5/28 20060101ALI20240709BHJP
   B23B 27/10 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B23C5/10 D
B23C5/22
B23C5/28
B23B27/10
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024072730
(22)【出願日】2024-04-26
(62)【分割の表示】P 2022162820の分割
【原出願日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】15/238,214
(32)【優先日】2016-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】594027476
【氏名又は名称】ケンナメタル インコ-ポレイテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】フレーゼ、 アレックス
(72)【発明者】
【氏名】フランシス、 マーク、 アラン
(72)【発明者】
【氏名】ペンケルト、 ベルナー、 ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】クロイツァー、 ミハエル
(57)【要約】
【課題】シェルエンドミル用工具本体
【解決手段】切屑を除去するために工具本体の周囲に配置された少なくとも1つの螺旋状の切屑案内溝と、切屑案内溝に配置された割出し可能な切削インサート用の少なくとも2つのレセプタクルと、を備える、シェルエンドミル用工具本体が、説明される。この場合、各レセプタクルは、割出し可能な切削インサート締付ねじを受容するための孔を有するベース面と、ベース面に隣接する少なくとも1つの第1の当接面と、を備える。ベース面と第1の当接面との間の移行部は、溝である。加えて、このような工具本体を備える切削工具が説明され、両面割出し可能な切削インサートが、各レセプタクル内に取り付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェルエンドミル用の工具本体であって、
切屑を除去するために、前記工具本体の周囲に配置された少なくとも1つの螺旋形状の切屑案内溝と、
前記切屑案内溝に配置された割出し可能な両面切削インサート用の少なくとも2つのレセプタクルと、を備え、前記レセプタクルが各々、
割出し可能な両面切削インサート締付ねじを受容する孔を備えるベース面と、
前記ベース面に隣接して位置する第1の当接面と、前記ベース面及び前記第1の当接面に隣接する第2の当接面と、を備え、前記第1の当接面及び前記第2の当接面は前記ベース面に対して垂直であり、
前記ベース面と前記第1の当接面との間の移行部には溝が形成され、
各レセプタクルは、前記工具本体内に配置された前記レセプタクル内の割出し可能な両面切削インサートを冷却するための冷媒出口開口を有し、
前記ベース面の上には突起が配置され、前記突起は、前記第1の当接面と前記第2の当接面と前記ベース面と前記割出し可能な両面切削インサートとが互いに正しく当接して前記割出し可能な両面切削インサートが着座するように前記割出し可能な両面切削インサートをセンタリングするために配置され、前記孔は、前記突起を通して延在し、
複数の前記冷媒出口開口が、前記工具本体の長手方向軸の方向で見て、前記長手方向軸を中心に円周状に、前記工具本体の端面に配置される、工具本体。
【請求項2】
前記溝が、少なくともその一部分が、前記ベース面の法線方向において前記ベース面を基準に前記工具本体の内部側として定義される前記ベース面の後方に、かつ前記第1の当接面の法線方向において前記第1の当接面を基準に前記工具本体の内部側として定義される前記第1の当接面の後方に位置することを特徴とする、請求項1に記載の工具本体。
【請求項3】
前記少なくとも1つの螺旋形状の切屑案内溝の一のレセプタクルのベース面は、前記長手方向軸に対して第1の角度を有し、前記少なくとも1つの螺旋形状の切屑案内溝の他のレセプタクルのベース面は、前記長手方向軸に対して前記第1の角度とは異なる第2の角度を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の工具本体。
【請求項4】
前記第1の当接面と前記第2の当接面との間の移行部が、溝であることを特徴とする、請求項1に記載の工具本体。
【請求項5】
少なくとも1つの冷媒出口開口が、前記工具本体の端面において、加工プロセスの冷却のために配置されていることを特徴とする、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の工具本体。
【請求項6】
複数の切屑案内溝を備え、前記複数の切屑案内溝は、隣接する切屑案内溝の角度間隔が距離的に異なるように、前記工具本体の周囲において不均一に分配されていることを特徴とする、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の工具本体。
【請求項7】
前記工具本体が、一体的に設けられていることを特徴とする、請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の工具本体。
【請求項8】
3~30個のレセプタクルが、前記切屑案内溝に沿って配置されることを特徴とする、請求項1~7のうちのいずれか一項に記載の工具本体。
【請求項9】
請求項1~8のうちのいずれか一項に記載の工具本体を備えるシェルエンドミルであって、前記割出し可能な両面切削インサートが、各レセプタクルに取り付けられる、シェルエンドミル。
【請求項10】
前記溝内の少なくとも1つのクランプ側切刃が、前記ベース面と第1の当接面との間の移行部に配置されることを特徴とする、請求項9に記載のシェルエンドミル。
【請求項11】
前記割出し可能な両面切削インサートが、負のすくい角を有することを特徴とする、請求項9又は請求項10に記載のシェルエンドミル。
【請求項12】
前記割出し可能な両面切削インサートが、2つの切削インサート側ベース面を備え、前記割出し可能な両面切削インサートの前記切削インサート側ベース面の側の切刃は、前記切削インサート側ベース面に直交する方向に前記切削インサート側ベース面から突出していることを特徴とする請求項9~11のいずれか一項に記載するシェルエンドミル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国特許法第120条に従った、2016年8月16日に出願された米国特許出願第15/238,214号に対する優先権を主張するものであり、これは、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、切屑を排出するための工具本体の周囲に配置された少なくとも1つの螺旋状の切屑排出溝と、切屑排出溝に配置された、切削インサートのための少なくとも2つのレセプタクルと、を有する、シェルエンドミル用工具本体であって、レセプタクルが、それぞれ、切削インサート装着ねじを受容する穴を有するベース面と、ベース面と隣接するとともにベース面に対して実質的に垂直な少なくとも1つの第1の接触面と、を備える、シェルエンドミル用工具本体に関する。
【0003】
本発明は更に、上記タイプの工具本体を備えた切削工具、特にシェルエンドミルに関する。
【背景技術】
【0004】
このような工具本体及び切削工具は、先行技術から既知である。シェルエンドミルは、原則として円筒の基本形状を有し、機械加工タスクに使用され、ここでは、切削プロセスが、シェルエンドミルの端面上及びシェル面上の両方において行われる。この目的のために、シェルエンドミルは、端面上及びそのシェル面上の両方に、例えば切削インサートによって構成された切刃を備える。
【0005】
原則として、上記タイプのシェルエンドミル、又はより正確にはその工具本体は、いくつかの切屑排出溝を備える。各切屑排出溝には、レセプタクルに装着された多数の切削インサートが配置される。そのため、このようなシェルエンドミルは、多数の切削インサート、及びそれと同じ数だけの関連するレセプタクルを備える。よって、各工具本体及び全体としての切削工具の設計は複雑であり、したがって高価である。
【0006】
工具の寿命の間、切削工具の価格は、加工コストに含まれる。このため、上記タイプの工具本体を備える上記タイプの切削工具を用いて工具を加工することは、費用がかかる。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明のタスクは、上記タイプの切削工具を更に改善することである。特に、工具の加工におけるこのような工具の費用対効果を向上させることにある。
【0008】
本タスクは、ベース面と第1の接触面との間の移行部が溝であるという上記タイプの工具本体によって解決される。これにより、ベース面及び第1の接触面は、物理的エッジを形成しない。むしろ、2つの面の間の移行部の溝は、凹部を構成し、言い換えれば双方の面が直接互いに当接する場合と比較して、材料が除去されている。溝の断面は、任意の形状、例えば、矩形、円形、又は楕円形であってもよい。溝によって、両側に切刃を備えることを特徴とする両面切削インサートは、レセプタクル内に配置することができる。よって、四角形の両面切削インサートは、8個の切刃を有し、三角形の切削インサートは、6個の切刃を有する。溝は、その時点では切削に使用されない、両面切削インサートの側にある切刃が、そこに受容され得るように、配置される。切刃は、溝の内部に配置され、溝の端面に接触せず、これにより工具本体と接触しない。これにより、ベース面及び第1の接触面によって両面切削インサートの正確な位置決めもまた、依然として可能である。片面切削インサートの代わりに、両面切削インサートを使用することにより、切削工具及び工具本体の加工における費用対効果が増大する。
【0009】
好ましくは、溝は、少なくとも部分的にベース面の後方であって且つ第1の接触面の後方にある。よって、溝は、ベース面に垂直な方向から見て、ベース面に対してセットバックしている。溝は、第1の接触面に垂直な方向から見ても、セットバックしている。これにより、両面切削インサートの切刃を受容するための十分なスペースがある。また、切刃は、切削インサートの装着及び位置合わせの際に、溝又は工具本体の区切り壁と接触せず、したがって保護される。
【0010】
一実施形態では、ベース面は、工具本体の長手方向軸と異なる角度を囲繞する。この角度は、位置合わせ角又は工具面加工角と呼ばれ、切削結果に大きく影響を及ぼす。特に、切削の際の切削インサートを受容するための工具本体の端面に設けられた全てのベース面は、他のベース面とは異なる位置合わせ角を有してもよい。しかしながら、切削タスクによっては、位置合わせ角は、ベース面ごとに個別に定義されてもよい。個々の位置合わせ角は、最適化法の過程において計算され、これに対しては、有限要素法を使用することができる。これにより、レセプタクル記録に装着された割出し可能な切削インサートの実際の入口角及び出口角を考慮することができる。このように、費用効率のよい方法で、高品質の切削結果を得ることができる。
【0011】
ある設計の変形は、レセプタクルが第1の接触面及びベース面に隣接する第2の接触面を備えることを提供する。これにより、レセプタクルに装着された切削インサートは、切削インサート装着ねじを使用してベース面上に固設され、2つの接触面に対して当接することにより位置決めされる。切削インサート装着ねじと、切削インサートにおけるそれぞれの装着穴との相互作用は、切削インサート装着ねじの締め付け中に、切削インサートが2つの接触面に引っ張られるように設計することができる。この場合、一方の接触面を、それが工具本体の軸方向において実質的にレセプタクル内に装着された切削インサートを支持するように、かつ他方の接触面が径方向支持を提供するように、配置してもよい。これにより、切削インサートの正確で簡単な位置決めが可能となり、切削インサートを迅速に交換して回転させることができる。
【0012】
第1の接触面と第2の接触面の間の移行部は溝であることが有利である。これにより、レセプタクル内において、任意の角半径を有する切削インサートを配置して、接触面に当接させることができる。第1の接触面とベース面の間の移行部の溝と同様に、2つの接触面間の移行部における溝は、これらの面の各々の後方の領域に少なくとも延在してもよい。切削インサートが接触面に当接する際に、例えば切屑の形のいかなる異物も溝内に収容することができるので、常に正確な切削インサートの位置決めが可能となる。
【0013】
ある代替の設計においては、各レセプタクルは、レセプタクル内で受容された切削インサートを冷却するための工具本体に配置された冷媒出口開口に関連付けられる。このように、より高い切削速度及び/又は材料除去率を、高い切削品質で一貫して実現することができる。また、冷却によって、割出し可能な切削インサートの寿命、より具体的には、切刃の寿命が増大する。冷媒出口開口は、レセプタクル内に装着された切削インサートの特定の対象領域、例えば、切刃に向かって方向付けられるように設計される。各レセプタクルは、代わりに2つ又は3つの冷媒出口開口に関連付けられてもよい。
【0014】
1つの変形例においては、2つの冷媒出口開口を、工具本体の端面から見た各場合に、最初の2列に割り当てることを提供する。冷媒出口開口は、対の開口として、すなわち、それらが共通の冷媒流路により供給されるものとして設計されてもよい。冷媒は、切屑の除去を補助することができる。
【0015】
切削プロセスにおいて冷却するための少なくとも1つの冷媒出口開口は、工具本体の端面上に配置されてもよい。これらの冷媒出口開口は、切削速度及び/又は材料除去率を増大させる役割も果たす。また、端面に多数の冷媒出口開口が配置されてもよい。
【0016】
好ましくは、工具本体は、2~10個の、好ましくは5~7個の切屑排出溝を、切削インサート用のレセプタクルと共に備え、切屑排出溝は、特に工具本体の外周上に非対称に分配される。このように、工具本体が得られ、切削タスクの費用効果的な性能を保証する。
【0017】
工具本体は、一体的に製作されてもよい。この場合、工具本体の高い機械的安定性が得られる。工具本体は、例えば、有限要素法を用いて設計することができる。加えて、このような工具本体は、装着ステップが不要で、公差チェーン(tolerance chain)が発生しないので、精密な公差を満たす。これにより、精密で費用効果的な切削が可能となる。
【0018】
好適な実施形態では、3~30個の、好ましくは5~20個のレセプタクルが、切屑排出溝に沿って配置される。よって、各切屑排出溝には、同じ数の切削インサートを装着することができる。このように、費用効果的な切削を確実にする。
【0019】
代替の実施形態では、ベース面上に、割出し可能な切削インサートを中心に置くための突起が配置され、好ましくは、孔は、その内部を通る突起を通って延在する。突起の助けにより、レセプタクル内に装着された割出し可能な切削インサートをベース面に沿って配向して、例えば、中心に配置してもよい。同時に、突起と組み立てられた割出し可能な切削インサートとの間のプラスの接続(positive connection)は、ベースに対して平行になる。孔が、その内部を通る突起を通って延在する場合、孔を、突起のないレセプタクルと比較して、より深くなるように設計してもよい。次いで、例えば、長尺のネジを孔内に配置してもよい。割出し可能な切削インサートの取り付けが容易になり、割出し可能な切削インサートの締結が改善される。
【0020】
タスクは、両面切削インサートが各レセプタクルに装着される、本発明に係る工具本体を備えた切削工具、特にシェルエンドミルによって解決される。これにより、片面切削インサートを備えた切削工具と比較して、2倍の数の切刃が利用可能になる。よって、切削工具の工具寿命は実質的に2倍となり、それは費用効果の大幅な増加に対応する。切削インサートは、任意の形状、例えば多角形又は丸形であってもよい。切屑排出溝の端面に配置される切削インサートは、端面加工のために配置することができる。他の切削インサートは、原則として、外周加工のために配置される。
【0021】
装着側の切刃は、ベース面と第1の接触面との間の移行部にある溝内に配置するのが有利である。
【0022】
切削インサートは、負のすくい角を有してもよい。切削タスクによっては、正のすくい角も可能である。
【0023】
1つの変形例においては関連する、切削インサートは、切削インサート側の2つのベース面を備え、これら2つのベース面は、関連する切刃と比較して、切削インサートの内側に向かってセットバックしている。換言すれば、切刃は、切削インサート側でベース面と直交する方向にベース面から突出する。両面切削インサートは、切削インサートの側に、片側に1つずつの、2つのベース面を備える。装着した状態では、切削インサート側のベース面の一方は、工具本体側のベース面にそれぞれ当接する。これにより、切削インサートを任意の位置、すなわち、任意の回転位置又は向きに、高精度で位置決めすることが確実になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明を、添付の図面に示される様々な例示的な実施形態を参照して、以下に説明する。図は、以下を示す。
図1】7個の切屑排出溝を有する第1の実施形態に従った本発明に係る工具本体を備えた本発明に係る切削工具を斜視図で示す。
図2】5個の切屑排出溝を有する第2の実施形態に従った本発明に係る工具本体を備えた本発明に係る切削工具を3視図面で示す。
図3】3視図面において、6個の切屑排出溝を有する第3の実施形態に従った本発明に係る工具本体を備えた本発明に係る切削工具を示す。
図4】本発明に係る工具本体のレセプタクルにそれぞれ装着される、本発明に係る切削工具の2つの切削インサートの詳細図を示す。
図5】発明の工具本体のレセプタクル内に締結された割出し可能な切削インサートの断面図である。
図6】発明の切削工具の割出し可能な切削インサート平面図及び断面図である。
図7】本発明の工具本体用レセプタクルの代替実施形態の詳細図である。
図8図8は、工具本体の長手方向軸と冷媒出口開口とを含む図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書に記載される実施形態は、以下の詳細な説明及び実施例、並びにその前及び後の説明を参照することによって、より容易に理解され得る。しかしながら、ここで記載される要素、装置、及び方法は、詳細な説明及び例で提示される特定の実施形態に限定されない。これらの実施形態が本発明の原理の例示にすぎないことが認識されるべきである。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの修正及び適応が当業者に容易に明らかとなるであろう。
【0026】
シェルエンドミル10は、工具本体の長手方向軸14と共に実質的に円形の円筒形状を有する工具本体12を備える。
【0027】
工具本体12は、図示しない工作機械にクランプ可能なクランプ側端部16と、反対側の加工側端部18とを備える。加工側端部18には、端面[正面]20が配置される。
【0028】
シェルエンドミル10は、その端面20上において及びその周囲22において加工するために設計される。周囲22は、横側の面として参照されてもよい。
【0029】
図示の実施形態では、工具本体12は一体的に設計されている。
【0030】
工具本体12において、切屑案内溝24が配置される。これらは、工具本体12の周囲22の周りに螺旋状に延在し、切屑除去部を担う。
【0031】
図示の実施形態において、工具本体12は、5個、6個、又は7個の切屑案内溝24を備える。工具本体の直径及び使用済みの割出し可能な切削インサート26のサイズに応じて、工具本体は、より多い、又はより少ない切屑案内溝24を備えてもよい。
【0032】
図2及び図を特に参照すると、切屑案内溝24は、工具本体12の周囲22の周りに不均一に分配されている。これは、隣接する切屑案内溝24の角度間隔が距離的に異なることを意味する。
【0033】
切屑案内溝24に、割出し可能な切削インサート26が配置される。
【0034】
割出し可能な切削インサート26は各々、レセプタクル28内にセットされ、左右対称に設計される。このような割出し可能な切削インサート26を、図6に示す。しかしながら、説明されたシェルエンドミル10に示されていない他の割出し可能な切削インサートがあってもよい。
【0035】
各レセプタクル28は、ベース面30を備える。各割出し可能な切削インサート側ベース面32は、このベース面30に隣接して位置する。次いで、割出し可能な切削インサート26は、ベース面30の孔5内で螺合する割出し可能な切削インサート固定ねじ34を用いてレセプタクル28に取り付けられる。
【0036】
図示の実施形態では、両面の割出し可能な切削インサート26があるため、各割出し可能な切削インサート26は、2つの割出し可能な切削インサート側ベース面32を備える。特に、図6に示すように、割出し可能な切削インサート側ベース面32は、同じ側に配置された切刃36に対してセットバックしている。
【0037】
図示の実施形態では、割出し可能な切削インサート26は、負のすくい角を有する。
【0038】
インサート26の傾斜は、工具本体軸14に対するベース面30の傾斜を介して、工具の長手方向軸14に対して調整してもよい。ベース面30と工具本体の長手方向軸14との間の角度は、各ベース面のための切削用途に応じて個別に選択されてもよい。
【0039】
図示の実施形態では、各対応するベース面30の角度は等しく、隣接する切屑案内溝24内に配置される。これは、例えば、3番目のベース面30の全て、したがって3番目の割出し可能な切削インサート26の全てが、工具本体の長手方向軸14に対して、切屑案内溝24に沿って同じ角度を有するということを意味する。しかしながら、個々のベース領域30の角度は、切屑案内溝24内において異なる。
【0040】
また、レセプタクル28は、第1の当接面37及び第2の当接面38を含む。
【0041】
組み立て時には、割出し可能な切削インサート26は、それぞれ、その側面40の1つが当接面37及び当接面38に隣接した状態で利用可能である。
【0042】
第1の当接面37及び第2の当接面38の両方が、ベース面30に隣接する。
【0043】
図5に示すように、第1の当接面37は、当接面30に対して実質的に垂直である。同様に、第2の当接面38は、ベース面30に対して実質的に垂直である。
【0044】
図示の実施形態では、矩形状の割出し可能な切削インサート26を使用しているので、第1の当接面37及び第2の当接面38は、実質的に互いに垂直である。
【0045】
ベース面30と第1の当接面37との間の移行部は、溝42として設計される。
【0046】
この溝42は、ベース面30に垂直な方向から見たときにベース面30の後方に位置するように、かつ、当接面37に垂直な方向から見たときに第1の当接面37の後方に位置するように設計される。
【0047】
図4に示すように、溝42は、矩形の断面を有してもよい。
【0048】
図5に示すレセプタクル28では、溝42は、円形の断面を有する。
【0049】
図示しないベース面の同等な溝30が、第2の当接面38への移行部に設けられる。
【0050】
図4に示すように、第1の当接面37と第2の当接面38との間の移行部も、溝44として設計される。
【0051】
図示の実施形態では、溝44は、円形の断面を有するが、溝42として任意の所望の断面を有してもよい。
【0052】
割出し可能な切削インサート26を座部28内に装着する場合には、レセプタクル26のクランプ面側と割出し可能な切削インサート26の切削面側との間を区別する必要がある。割出し可能な切削インサート26のクランプ面側は、ベース面30に向かって配向される。本ページ上では、切刃36は、加工に関与しない。切削面側は、クランプ面側とは反対にある。配置された切刃36の1つが、加工に関与する。
【0053】
割出し可能な切削インサート26を組み立てた状態では、少なくとも1つの切刃36が、溝42内において割出し可能な切削インサート26のクランプ面側に配置される。これは、図4及び図5から分かる。
【0054】
レセプタクル28の代替の実施形態では、図7に示すように、ベース面30に突起48が配置される。この突起48上には、組み立て時に割出し可能な切削インサート26を中心に配置してもよい。この目的のために、突起48を突起の幾何学的形状に関連付ける必要がある。中心の配置は、「容易に」設計され、これにより当接面37、38と割出し可能な切削インサート26と突起48との間に二重の嵌合が生じ得ない。
【0055】
図示の実施形態では、突起48は、円形の円筒形状を有し、孔35が、突起48内の中心に配置される。
【0056】
割出し可能な切削インサート26の組み立て時に、切削インサート26は、先ず突起48に仮に位置決めされ、次いで、割出し可能な切削インサート取り付けねじ34の螺合の途中で当接面37、38へと配置される。
【0057】
図示の実施形態では、各切屑案内溝24上に13個又は17個の割出し可能な切削インサート26が位置決めされる。明確にするために、個々の割出し可能な切削インサート26のみに参照番号が与えられている。各切屑案内溝における割出し可能な切削インサート26の個数は、特に、工具本体の長さ及び使用される割出し可能な切削インサート26のサイズに応じて決定してもよい。
【0058】
シェルエンドミル10は、冷媒又は保冷剤を用いて操作されてもよい。工具本体12には、不特定の冷媒流路が設けられる。
【0059】
図示の実施形態では、各レセプタクル28及びそれに応じた各割出し可能な切削プレート26は、冷却チャネルを介して供給される冷媒出口開口50に関連付けられる。これにより、加工プロセス中、レセプタクル及びそこに受容される割出し可能な切削インサートを冷却し得る。明確にするために、選択された冷媒出口開口50のみに参照マークが与えられている。
【0060】
各2つの冷媒出口開口50は、端面20から見て1番目と2番目の列に位置するレセプタクル28に関連付けられてもよい。そして、冷媒フローによって更に切屑の除去が補助される。これは、図3から分かる。同様に、工具本体12の端面20上に、冷媒出口開口52を介して供給される冷却流路が配置される。
【0061】
本発明の様々な実施形態は、本発明の様々な目的の達成のために記載されている。これらの実施形態が本発明の原理の例示にすぎないことが認識されるべきである。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、その多くの修正及び適応が当業者に容易に明らかとなるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8