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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009709
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】炭化珪素半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240116BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20240116BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240116BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H01L29/78 652N
H01L29/78 655A
H01L29/78 652D
H01L29/78 652J
H01L29/78 653A
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 652T
H01L29/78 652P
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111432
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】松永 慎一郎
(57)【要約】
【課題】絶縁破壊耐量を向上させることができる炭化珪素半導体装置を提供すること。
【解決手段】ゲートパッド14の直下において半導体基板11のおもて面とn-型ドリフト領域1との間に、フィールド酸化膜2を介してゲートパッド14の全面に対向するように、半導体基板11のおもて面側から順に、p++型コンタクト領域6、p型ベース領域4、p+型高濃度領域3およびn型電流拡散領域2が設けられている。p+型高濃度領域3は、p++型配線領域5を介してソース電極配線13aに電気的に接続される。半導体基板11のおもて面とp++型コンタクト領域6との間に、電気的にフローティングなn+型領域7(またはソース電位のn+型配線領域)が選択的に設けられている。n+型領域7は、ソース電極の電位に対してドレイン電極15にかかる電圧が高速に上昇したときに、p+型高濃度領域3内の正孔を引き抜いてソース電極に排出する機能を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲートを備えた炭化珪素半導体装置であって、
炭化珪素からなる半導体基板と、
前記半導体基板の内部に設けられた第1導電型の第1半導体領域と、
前記半導体基板のおもて面と前記第1半導体領域との間に設けられた第2導電型の第2半導体領域と、
前記半導体基板のおもて面と前記第2半導体領域との間に選択的に設けられた、前記第2半導体領域よりも不純物濃度の高い第2導電型の第3半導体領域と、
前記絶縁ゲートを有し、前記第2半導体領域と前記第1半導体領域とのpn接合を通る電流が流れる素子構造と、
前記半導体基板のおもて面に絶縁膜を介して設けられ、前記絶縁ゲートの金属を構成するゲート電極が電気的に接続されたゲートパッドと、
前記半導体基板のおもて面に、前記ゲートパッドと離れて設けられ、前記第2半導体領域および前記第3半導体領域に電気的に接続された第1電極と、
前記半導体基板の裏面に設けられた第2電極と、
を備え、
前記第3半導体領域は、前記絶縁膜を介して前記ゲートパッドの全面に対向し、
深さ方向に前記ゲートパッドに対向する部分において前記第2半導体領域と前記第1半導体領域との間に設けられた、前記第2半導体領域よりも不純物濃度が高く、前記第3半導体領域よりも不純物濃度が低い第2導電型の第4半導体領域と、
深さ方向に前記第2半導体領域を貫通して前記第4半導体領域に達し、前記第1電極と前記第4半導体領域とを電気的に接続する、前記第4半導体領域よりも不純物濃度の高い第2導電型の第5半導体領域と、
深さ方向に前記ゲートパッドに対向する部分において前記半導体基板のおもて面と前記第3半導体領域との間に選択的に設けられた第1導電型の第6半導体領域と、を備えることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項2】
前記第6半導体領域は、電気的にフローティングであることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項3】
前記第6半導体領域は、マトリクス状に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項4】
前記第6半導体領域は、前記第1電極に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項5】
前記第6半導体領域は、前記半導体基板のおもて面に平行な方向に延在するストライプ状に配置され、長手方向の端部で前記第1電極に電気的に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項6】
前記第6半導体領域の第1導電型不純物濃度は、前記第3半導体領域の第2導電型不純物濃度よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項7】
前記第4半導体領域の不純物濃度は、1×1019/cm3以上であることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項8】
前記ゲートパッドの幅は100μm以上であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炭化珪素半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炭化珪素(SiC)を半導体材料としたSiC-MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲートを備えたMOS型電界効果トランジスタ)では、ゲートパッドの直下においてp型ベース領域とn-型ドリフト領域との間にp+型高濃度領域を設けた構造が公知である(例えば、下記特許文献1~3参照。)。ゲートパッド直下のp+型高濃度領域は、ドレイン電極にかかる電圧の急峻な上昇によってゲートパッド直下の領域の電位が持ち上がることを抑制する機能を有する。
【0003】
従来の炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図7は、従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。図7に示す従来の炭化珪素半導体装置110は、活性領域において半導体基板111のおもて面上に互いに離れてソース電極(不図示)およびゲートパッド114を備えたSiC-MOSFETである。ソース電極の直下において半導体基板111のおもて面側には、所定のMOSゲート構造(不図示)が設けられている。ソース電極は、MOSゲート構造を構成するn+型ソース領域およびp+型コンタクト領域106に電気的に接続されている。
【0004】
ゲートパッド114は、半導体基板111のおもて面上にフィールド酸化膜112を介して設けられている。ゲートパッド114は、ゲート電圧印加用のワイヤボンディングのため、ある程度広い面積(表面積)を有する。ゲートパッド114には、MOSゲートを構成するゲート電極が電気的に接続されている。ゲートパッド114の直下において半導体基板111のおもて面とn-型ドリフト領域101との間に、ソース電極の直下のMOSゲート構造と同様に、p型ベース領域104およびp++型コンタクト領域106が設けられている。ゲートパッド114の直下に、n+型ソース領域は設けられていない。
【0005】
ゲートパッド114の直下のp++型コンタクト領域106は、半導体基板111のおもて面でフィールド酸化膜112に接して、フィールド酸化膜112を介してゲートパッド114の全面に対向し、かつゲートパッド114の端部近傍でソース電極配線113aに接する。ゲートパッド114の直下のp型ベース領域104は、p++型コンタクト領域106とn-型ドリフト領域101との間に、p++型コンタクト領域106に接して設けられている。p型ベース領域104とn-型ドリフト領域101との間には、n-型ドリフト領域101に接してn型電流拡散領域102が設けられている。
【0006】
ゲートパッド114の直下のp型ベース領域104とn型電流拡散領域102の間には、これらの領域に接して、p+型高濃度領域103が設けられている。p+型高濃度領域103は、後述するp++型配線領域105を介してソース電極配線113aに電気的に接続されており、ソース電極およびソース電極配線113aに直接接続されていない。p+型高濃度領域103は、ソース電極に対して正の電圧がドレイン電極115に印加されたときに空乏化して、n型電流拡散領域102とpn接合108をソース電極の電位(ソース電位:通常は接地電位)に固定する機能を有する。
【0007】
++型配線領域105は、ゲートパッド114の端部近傍に配置され、ソース電極配線113aに直接接続されるか、またはp++型コンタクト領域106を介してソース電極配線113aに電気的に接続されている。p++型配線領域105は、p+型高濃度領域103をソース電極の電位に固定する機能を有する。ソース電極配線113aは、図示省略する部分でソース電極に連結されている。半導体基板111の裏面とn-型ドリフト領域101との間に、n+型ドレイン領域109が設けられている。半導体基板111の裏面の全面に、n+型ドレイン領域109に接してドレイン電極115が設けられている。
【0008】
上述した従来の炭化珪素半導体装置110では、ソース電極に対して正の電圧がドレイン電極115に印加されると、p+型高濃度領域103とn型電流拡散領域102とのpn接合108が逆バイアスされることで、当該pn接合108近傍でp+型高濃度領域103内のアクセプタおよびn型電流拡散領域102内のドナーがイオン化し、これらの両イオンによりpn接合108に空乏層が形成される。この空乏層(静電容量)がp+型高濃度領域103とn型電流拡散領域102とpn接合108をソース電極の電位に固定して、ドレイン電極115にかかる高電圧を負担する。
【0009】
従来の炭化珪素半導体装置として、半導体基板のおもて面とソース電位固定用のp++型配線領域との間に、深さ方向にゲートパッド全体に対向して、ソース電極の電位に固定されたn+型配線領域を設けた装置が提案されている(例えば、下記特許文献4,5および下記非特許文献1参照。)。n+型配線領域は、ドレイン電極にかかる電圧の急峻な上昇によりゲートパッド直下の領域に生じる変位電流を引き抜く機能を有する。また、n+型配線領域は、ドレイン電極にかかる電圧が急峻に上昇しても空乏化せずにソース電極の電位に維持され、ゲートパッド直下の領域が高電位になることを抑制する機能を有する。
【0010】
図8は、従来の炭化珪素半導体装置の構造の別例を示す断面図である。図9は、図8のゲートパッド直下の領域を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。図9には、ゲートパッド114の輪郭(太破線)、p型ベース領域104、p++型配線領域105およびn+型配線領域121(ハッチング部分)のレイアウトを示す。また、図9には、p++型配線領域105の輪郭線のうち、深さ方向にn+型配線領域121に対向する部分を破線で示す。図8,9は、下記特許文献4,5および下記非特許文献1に記載のゲートパッドの直下の部分の構造に相当する。
【0011】
図8,9に示す従来の炭化珪素半導体装置120が図7に示す従来の炭化珪素半導体装置110と異なる点は、ゲートパッド114の直下に、p++型コンタクト領域(図7の符号106)に代えて、電流引き抜き用およびソース電位固定用のn+型配線領域121を設けた点である。n+型配線領域121は、半導体基板111のおもて面とp型ベース領域104との間において、フィールド酸化膜112およびp型ベース領域104に接し、深さ方向にゲートパッド114の全面に対向する。n+型配線領域121は、ソース電極配線113aに直接接続され、ソース電極の電位に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2018/055719号
【特許文献2】特開2017-005278号公報
【特許文献3】特開2015-216400号公報
【特許文献4】特開2015-211159号公報
【特許文献5】特許第6840300号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】ワイ・ナガヒサ(Y.Nagahisa)、外5名、ノベル ターミネーション ストラクチャー エリミネイティング バイポーラ デグレーション オブ SBD-エンベデッド SiC-MOSFET(Novel Termination Structure Eliminating Bipolar Degradation of SBD-embedded SiC-MOSFET)、プロシーディングス オブ ザ 2020 32nd インターナショナル シンポジウム オン パワー セミコンダクター デバイシス アンド ICs(Proceedings of the 2020 32nd International Symposium on Power Sermiconductor Devices and ICs:ISPSD2020)、(オーストリア)、アイ・トリプル・イー(IEEE)、2020年9月、pp.114-117
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述した従来の炭化珪素半導体装置110(図7参照)では、p+型高濃度領域103内の正孔がp+型高濃度領域103内をp++型配線領域105まで移動してソース電極配線113aに引き抜かれることで、p+型高濃度領域103内のアクセプタがイオン化し、p+型高濃度領域103とn型電流拡散領域102とpn接合108近傍に空乏層が形成される。しかしながら、一般的に、p型領域は、エネルギー準位が深く、ソース電極配線113a(メタル抵抗)と比べて抵抗値が高い。このため、p+型高濃度領域103がp++型配線領域105との接続点から前記半導体基板111のおもて面に平行に離れる方向に長く延在する場合、pn接合108近傍に空乏層が形成される際にp+型高濃度領域103内を流れる正孔の移動距離が長くなり、p+型高濃度領域103の電位が持ち上がってしまう。
【0015】
また、ドレイン電極115にかかる電圧を高速(例えば20kV/μs以上程度)に上昇(例えば0Vから1000Vに上昇)させるほど、p+型高濃度領域103からソース電極配線113aへ引き抜かれる正孔電流の単位時間当たりの電流量が多くなり、p+型高濃度領域103を流れる正孔電流が高電流となる。しかしながら、上述したようにエネルギー準位の深いp+型高濃度領域103は高抵抗であるため、p+型高濃度領域103の空乏化の速度が遅く、ドレイン電極115にかかる電圧の高速な上昇にp+型高濃度領域103の空乏化が間に合わずに、ドレイン電極115にかかる高電圧がpn接合108を超えてそのままゲートパッド114側に伝播されてしまう。この場合、ソース電位固定用のp++型配線領域105のみがソース電極の電位に固定される。
【0016】
その結果、ソース電極の電位に固定されたp++型配線領域105に対してゲートパッド114の直下の領域の電位が大きくなり、ゲートパッド114やゲートランナー直下のフィールド酸化膜112に高電界がかかる。フィールド酸化膜112の耐圧は、比較的低く、100~200Vに耐え得る程度である。このため、フィールド酸化膜112にかかる高電界によってフィールド酸化膜112が絶縁破壊する虞がある。特に0℃未満のマイナス温度(例えば-40℃を超える-55℃程度)環境下では、常温(例えば25℃程度)環境下と比べて、p型領域内の正孔の挙動が緩慢になり、p型領域の抵抗値が2倍~3倍程度高くなる。このため、ドレイン電極115にかかる電圧の高速な上昇による上記問題が顕著にあらわれる。
【0017】
上記特許文献4では、ドレイン電極にかかる電圧を高速に上昇させたときにゲートパッドの直下のn+型配線領域とn-型ドリフト領域との間のp型領域がほぼ存在しない状態となり、n+型配線領域がパンチスルーしてしまう。上述した従来の炭化珪素半導体装置120(図8,9参照)や上記特許文献5、上記非特許文献1においても、ドレイン電極115にかかる電圧を高速に上昇させたときにゲートパッド114の直下のn+型配線領域121がパンチスルーしてしまう。そのため、n+型配線領域121を介してドレイン電極115とソース電極配線113aとの間に貫通電流が流れてしまう。また、上記特許文献1~5および上記非特許文献1では、マイナス温度環境下での動作について開示されていない。
【0018】
この発明は、上述した従来技術による課題を解消するため、絶縁破壊耐量を向上させることができる炭化珪素半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲートを備えた炭化珪素半導体装置であって、次の特徴を有する。炭化珪素からなる半導体基板の内部に、第1導電型の第1半導体領域が設けられている。前記半導体基板のおもて面と前記第1半導体領域との間に、第2導電型の第2半導体領域が設けられている。前記半導体基板のおもて面と前記第2半導体領域との間に、第2導電型の第3半導体領域が選択的に設けられている。前記第3半導体領域は、前記第2半導体領域よりも不純物濃度が高い。前記第2半導体領域と前記第1半導体領域とのpn接合を通る電流が流れる素子構造が設けられている。前記素子構造は、前記絶縁ゲートを有する。前記半導体基板のおもて面に、絶縁膜を介してゲートパッドが設けられている。前記ゲートパッドには、前記絶縁ゲートの金属を構成するゲート電極が電気的に接続されている。
【0020】
第1電極は、前記半導体基板のおもて面に、前記ゲートパッドと離れて設けられ、前記第2半導体領域および前記第3半導体領域に電気的に接続されている。第2電極は、前記半導体基板の裏面に設けられている。前記第3半導体領域は、前記絶縁膜を介して前記ゲートパッドの全面に対向する。深さ方向に前記ゲートパッドに対向する部分において前記第2半導体領域と前記第1半導体領域との間に、第2導電型の第4半導体領域が設けられている。前記第4半導体領域は、前記第2半導体領域よりも不純物濃度が高く、前記第3半導体領域よりも不純物濃度が低い。第2導電型の第5半導体領域は、深さ方向に前記第2半導体領域を貫通して前記第4半導体領域に達し、前記第1電極と前記第4半導体領域とを電気的に接続する。前記第5半導体領域は、前記第4半導体領域よりも不純物濃度が高い。深さ方向に前記ゲートパッドに対向する部分において前記半導体基板のおもて面と前記第3半導体領域との間に、第1導電型の第6半導体領域が選択的に設けられている。
【0021】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第6半導体領域は、電気的にフローティングであることを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第6半導体領域は、マトリクス状に配置されていることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第6半導体領域は、前記第1電極に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第6半導体領域は、前記半導体基板のおもて面に平行な方向に延在するストライプ状に配置され、長手方向の端部で前記第1電極に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第6半導体領域の第1導電型不純物濃度は、前記第3半導体領域の第2導電型不純物濃度よりも低いことを特徴とする。
【0026】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第4半導体領域の不純物濃度は、1×1019/cm3以上であることを特徴とする。
【0027】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記ゲートパッドの幅は100μm以上であることを特徴とする。
【0028】
上述した発明によれば、第1電極に対して正の電圧が第2電極に印加されたときに、ゲートパッド直下の高抵抗な第4半導体領域内の正孔を第6半導体領域内での電子との再結合によって消滅させて、第4半導体領域内のアクセプタのイオン化を促進させ、第4半導体領域を高速に空乏化させることができる。これによって、高速スイッチングや急峻なdV/dtによって第2電極にかかる電圧が高速に上昇しても、ゲートパッド直下における第4半導体領域と第1半導体領域とpn接合に空乏層が形成され、当該pn接合が第1電極の電位に固定される。このため、第2電極にかかる高電圧によってゲートパッド下の絶縁膜に高電界がかかることを防止することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明にかかる炭化珪素半導体装置によれば、絶縁破壊耐量を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す断面図である。
図2図1の切断線A-A’における断面構造を示す断面図である。
図3図1の切断線B-B’における断面構造を示す断面図である。
図4図2のゲートパッド直下の領域を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。
図5】実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。
図6図5のゲートパッド直下の領域を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。
図7】従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。
図8】従来の炭化珪素半導体装置の構造の別例を示す断面図である。
図9図8のゲートパッド直下の領域を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0032】
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図1は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す断面図である。図1には、ソース電極13およびゲートパッド14のレイアウトを示す。図1に示す実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置10は、活性領域21において炭化珪素(SiC)からなる半導体基板(半導体チップ)11のおもて面側に所定のMOSゲート(金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲート)構造(素子構造)を備えた縦型SiC-MOSFETである。
【0033】
活性領域21は、炭化珪素半導体装置10(SiC-MOSFET)のオン時に半導体基板11のおもて面に垂直な方向に主電流(ドリフト電流)が流れる領域である。活性領域21には、SiC-MOSFETの同一構造の複数の単位セル(素子の機能単位:後述する図3に1つの単位セルを示す)が隣接して配置される。活性領域21は、例えば略矩形状の平面形状を有し、半導体基板11の略中央(チップ中央)に設けられる。エッジ終端領域22は、活性領域21と半導体基板11の端部(チップ端部)との間の領域である。
【0034】
エッジ終端領域22は、活性領域21の周囲を囲む。エッジ終端領域22は、半導体基板11のおもて面側の電界を緩和して耐圧を保持する機能を有する。耐圧とは、炭化珪素半導体装置10が使用電圧で誤動作や破壊を起こさない限界の電圧である。エッジ終端領域22には、例えば、フィールドリミッティングリング(FLR:Field Limiting Ring)や接合終端拡張(JTE:Junction Termination Extension)構造等の耐圧構造(不図示)が配置されている。
【0035】
活性領域21において半導体基板11のおもて面には、ソース電極(第1電極)13およびゲートパッド(電極パッド)14が互いに離れて設けられている。半導体基板11のおもて面は、パッシベーション膜(不図示)で覆われ保護されている。パッシベーション膜には、ソース電極13およびゲートパッド14をそれぞれ露出する開口部23a,23bが設けられている。パッシベーション膜の各開口部23a,23bにおいてソース電極13およびゲートパッド14にそれぞれ異なるボンディングワイヤ(不図示)が接合される。
【0036】
ソース電極13のうち、パッシベーション膜の開口部23aに露出された部分がソースパッド(電極パッド)として機能する。ソース電極13は、活性領域21のうち、ゲートパッド14が配置された領域を除く領域のほぼ全面を覆う。ソース電極13は、例えば、活性領域21と略同じサイズで一部が内側に凹んだ略矩形状の平面形状を有する。ソース電極13は、半導体基板11のおもて面において、後述するn+型ソース領域31およびp++型コンタクト領域6(図2~4参照)にオーミック接触する。
【0037】
ゲートパッド14は、例えば略矩形状の平面形状を有し、ソース電極13の凹部内に配置されて3辺をソース電極13に囲まれている。ゲートパッド14には、ゲートランナー(不図示)を介して、SiC-MOSFETのすべてのゲート電極34(図3参照)が電気的に接続されている。ゲートランナーは、ソース電極13と同一階層のゲート金属配線層の単層構造か、または後述するフィールド酸化膜(絶縁膜)12(図2参照)上にゲートポリシリコン(poly-Si)配線層とゲート金属配線層とを順に積層した積層構造を有し、活性領域21の周囲やゲートパッド14の周囲を囲む。
【0038】
実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置10の断面構造と、ゲートパッド14の直下(n+型ドレイン領域9側)の領域のレイアウトと、を説明する。図2,3は、それぞれ、図1の切断線A-A’および切断線B-B’における断面構造を示す断面図である。図4は、図2のゲートパッド直下の領域を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。図3図4とでは各部の厚さの相対的な比率が異なっているが、同一の符号は同じ厚さを有する。図4には、ゲートパッド14の輪郭(太破線)、p型ベース領域4、p++型配線領域5およびn+型領域7(ハッチング部分)のレイアウトを示す。
【0039】
半導体基板11は、炭化珪素からなるn+型出発基板16のおもて面上にn-型ドリフト領域(第1半導体領域)1およびp型ベース領域(第2半導体領域)4となる各エピタキシャル層17,18を順に成長させたエピタキシャル基板である。半導体基板11は、p型エピタキシャル層18側の主面をおもて面とし、n+型出発基板16側の主面を裏面とする。p型エピタキシャル層18のうち、エッジ終端領域22の部分は除去され(不図示)、エッジ終端領域22における半導体基板11のおもて面はn-型エピタキシャル層17の表(ひょう)面で形成される。
【0040】
ソース電極13の直下において半導体基板11のおもて面側に、所定のMOSゲート構造が設けられている。MOSゲート構造は、例えば、p型ベース領域4、n+型ソース領域31、p++型コンタクト領域(第3半導体領域)6、ゲートトレンチ32、ゲート絶縁膜33およびゲート電極34で構成されたトレンチゲート構造(図3参照)である。トレンチゲート構造は、半導体基板11に形成したゲートトレンチ32内にゲート絶縁膜33を介してゲート電極34(MOSゲート)を埋め込んだ構造である。
【0041】
ゲート絶縁膜33は、p型ベース領域4の、n+型ソース領域31とn-型ドリフト領域1の間の領域(後述するチャネルが形成される領域)に接する。ゲート電極34は、ゲート絶縁膜33を挟んでp型ベース領域4の反対側に設けられる。ゲートトレンチ32は、半導体基板11のおもて面から深さ方向にn+型ソース領域31およびp型ベース領域4を貫通して後述するn型電流拡散領域2に達する。MOSゲート構造は、半導体基板11上に平板状にMOSゲートを設けたプレーナゲート構造であってもよい。
【0042】
半導体基板11のおもて面の全面に、ゲート電極34を覆うように層間絶縁膜37が設けられている。ソース電極13は、層間絶縁膜37上に設けられ、層間絶縁膜37のコンタクトホールを介して、MOSゲート構造を構成するn+型ソース領域31およびp++型コンタクト領域6に電気的に接続されている。n+型出発基板16は、n+型ドレイン領域9である。半導体基板11の裏面(n+型出発基板16の裏面)の全面に、n+型ドレイン領域9に接してドレイン電極(第2電極)15が設けられている。
【0043】
-型ドリフト領域1は、半導体基板11のおもて面とn+型ドレイン領域9との間に、n+型ドレイン領域9に接して設けられている。n-型ドリフト領域1は、n-型エピタキシャル層17のうち、イオン注入されずにエピタキシャル成長時のn型不純物濃度のまま残る部分(すなわち例えば後述するn型電流拡散領域2等の拡散領域を除く部分)であり、活性領域21からチップ端部まで略同じ厚さで延在する。略同じ厚さとは、プロセスばらつきによる許容誤差を含む範囲で同じ厚さであることを意味する。
【0044】
p型ベース領域4は、半導体基板11のおもて面とn-型ドリフト領域1との間に設けられている。p型ベース領域4は、p型エピタキシャル層18のうち、p型エピタキシャル層18にイオン注入で形成された他の拡散領域を除く部分(例えば、n+型ソース領域31およびp++型コンタクト領域6と、後述するp+型高濃度領域(第4半導体領域)3、p++型配線領域(第5半導体領域)5およびn+型領域(第6半導体領域)7と、を除く部分)である。p型ベース領域4には、ゲート閾値電圧調整のためにp型領域がイオン注入されている。
【0045】
p型ベース領域4は、活性領域21のほぼ全域に設けられている。p型ベース領域4は、n+型ソース領域31およびp++型コンタクト領域6を介してソース電極13に電気的に接続されている。p型ベース領域4は、ソース電極13の直下と、ゲートパッド14の直下と、に点在してもよい。この場合、ゲートパッド14の直下のp型ベース領域4がソース電極13に電気的に接続されればよく、点在するp型ベース領域4同士は互いに離れていてもよいし、部分的に連結されていてもよい。
【0046】
半導体基板11のおもて面とp型ベース領域4との間に、p型ベース領域4に接して、n+型ソース領域31およびp++型コンタクト領域6がそれぞれ選択的に設けられている。n+型ソース領域31およびp++型コンタクト領域6は、半導体基板11のおもて面に露出され、半導体基板11のおもて面でソース電極13にオーミック接触している。n+型ソース領域31は、ソース電極13の直下にのみ設けられている。p++型コンタクト領域6は、ソース電極13の直下と、ゲートパッド14の直下と、に設けられている。
【0047】
ソース電極13の直下においてp型ベース領域4とn-型ドリフト領域1との間には、これらの領域に接して、n型電流拡散領域2が設けられている。n型電流拡散領域2は、キャリアの広がり抵抗を低減させる、いわゆる電流拡散層(Current Spreading Layer:CSL)である。n型電流拡散領域2は、活性領域21の全域に設けられている。n型電流拡散領域2を設けなくてもよい。この場合、深さ方向にn-型ドリフト領域1とp型ベース領域4とが隣接する。
【0048】
ゲートパッド14は、半導体基板11のおもて面上にフィールド酸化膜12を介して設けられたゲートポリシリコン電極層を最下層とする電極パッドであり、例えば、ゲートポリシリコン電極層と、ソース電極13と同一階層のゲート金属電極層(不図示)と、を順に積層した積層構造を有する。パッシベーション膜の開口部23bには、ゲートパッド14の最表面のゲート金属電極層が露出される。ゲートパッド14は、層間絶縁膜37(図2には不図示)によってソース電極13およびソース電極配線(第1電極)13aと電気的に絶縁されている。
【0049】
ゲートパッド14は、フィールド酸化膜12によって半導体基板11と電気的に絶縁されている。フィールド酸化膜12は、少なくともゲートパッド14と半導体基板11とを電気的に絶縁可能な厚さを有する。フィールド酸化膜12の厚さが厚いほど、フィールド酸化膜12の絶縁耐圧が高くなる。ゲートパッド14の直下において半導体基板11のおもて面とn-型ドリフト領域1との間には、ソース電極13の直下と同様に、n型電流拡散領域2、p型ベース領域4およびp++型コンタクト領域6が設けられている。
【0050】
ゲートパッド14の直下のp++型コンタクト領域6は、半導体基板11のおもて面でフィールド酸化膜12に接し、フィールド酸化膜12を挟んでゲートパッド14の全面に対向する。ゲートパッド14の直下のp++型コンタクト領域6は、層間絶縁膜37のコンタクトホールを介して後述するソース電極13(図1参照)もしくはソース電極配線13aに直接接続されるか、または後述するp++型配線領域5を介してソース電極配線13aに電気的に接続されている。
【0051】
ゲートパッド14の直下のp型ベース領域4は、p++型コンタクト領域6とn-型ドリフト領域1との間に、p++型コンタクト領域6に接して設けられている。ゲートパッド14の直下において、p型ベース領域4とn-型ドリフト領域1との間に、n-型ドリフト領域1に接してn型電流拡散領域2が設けられている。ゲートパッド14の直下のp型ベース領域4とn型電流拡散領域2との間に、これらの領域に接してp+型高濃度領域3が設けられている。
【0052】
+型高濃度領域3は、後述するp++型配線領域5を介してソース電極配線13aに電気的に接続されている。p+型高濃度領域3は、ソース電極13およびソース電極配線13aに直接接続されていない。p+型高濃度領域3は、p+型高濃度領域3とn型電流拡散領域2とのpn接合8が逆バイアスされたときに正孔(ホール)を排出して空乏化し、当該pn接合8をソース電極13の電位(ソース電位:通常は接地電位)に固定する機能を有する。
【0053】
+型高濃度領域3は、例えば、ゲートトレンチ32の内壁のゲート絶縁膜33にかかる電界を緩和するためのp+型領域35,36と同時に形成されてもよい。例えば、p+型領域35は、p型ベース領域4とn-型ドリフト領域1との間に、ゲートトレンチ32の底面に対向して設けられる。p+型領域36は、互いに隣り合うゲートトレンチ32間においてp型ベース領域4とn-型ドリフト領域1との間に、これらの領域およびn型電流拡散領域2に接して選択的に設けられる。
【0054】
++型配線領域5は、ゲートパッド14との端部近傍に配置されている。p++型配線領域5は、層間絶縁膜37のコンタクトホールを介してソース電極配線13aに直接接続されるか(不図示)、またはp++型コンタクト領域6を介してソース電極配線13aに電気的に接続されている(図2参照)。p++型配線領域5は、深さ方向にp型ベース領域4を貫通してp+型高濃度領域3に達し、p+型高濃度領域3とソース電極配線13aとを電気的に接続する。
【0055】
ソース電極配線13aは、ゲートパッド14との端部近傍においてソース電極13と同一階層に設けられ、深さ方向にp++型配線領域5に対向する。ソース電極配線13aは、図示省略する部分でソース電極13に連結されている。ゲートパッド14との端部近傍とは、略矩形状の平面形状のゲートパッド14の4辺近傍である。したがって、p++型配線領域5およびソース電極配線13aは、ソース電極13とゲートパッド14との間か、またはゲートパッド14のソース電極13に対向していない1辺近傍に配置される。
【0056】
ゲートパッド14の周囲の少なくとも1辺に沿ってゲート金属配線層が設けられるため、p++型配線領域5およびソース電極配線13aは、ソース電極配線13aがゲート金属配線層に接触しない位置に適宜配置される。p++型配線領域5は、深さ方向にp++型コンタクト領域6に対向してもよい。図2,4には、p++型配線領域5およびソース電極配線13aがゲートパッド14の1辺に沿って配置された場合を示す。図4には、p++型配線領域5の輪郭線のうち、深さ方向にp++型コンタクト領域6に対向する部分を破線で示す。
【0057】
また、ゲートパッド14の直下において半導体基板11のおもて面とp++型コンタクト領域6との間には、フィールド酸化膜12およびp++型コンタクト領域6に接して、n+型領域7が選択的に設けられている。n+型領域7は、電気的にフローティング(浮遊)である。n+型領域7は例えばマトリクス状に配置され、n+型領域7の周囲をp++型コンタクト領域6が格子状に囲む。マトリクス状に配置されて点在するすべてのn+型領域7が深さ方向にゲートパッド14に対向する。
【0058】
+型領域7は、ソース電極13に対して正の電圧がドレイン電極15に印加されてp+型高濃度領域3とn型電流拡散領域2とのpn接合8が逆バイアスされたときにp+型高濃度領域3内の正孔を引き抜く機能を有する。具体的には、pn接合8の逆バイアス時、p+型高濃度領域3内の正孔は、p+型高濃度領域3内を移動してp++型配線領域5およびソース電極配線13aを介してソース電極13へ引き抜かれるとともに、p+型高濃度領域3から排出されて最も近いn+型領域7に引き抜かれる。
【0059】
+型高濃度領域3から正孔が排出されることによって、p+型高濃度領域3とn型電流拡散領域2とのpn接合8近傍でp+型高濃度領域3内のアクセプタが負にイオン化する。p+型高濃度領域3から排出されてn+型領域7に引き抜かれた正孔はn+型領域7内での電子との再結合によって消滅する。このため、p+型高濃度領域3から排出された正孔がn+型領域7に引き抜かれることで、p+型高濃度領域3内のアクセプタのイオン化が促進される。
【0060】
+型高濃度領域3内のアクセプタのイオン化によりp+型高濃度領域3が空乏化され、p+型高濃度領域3とn型電流拡散領域2とのpn接合8に空乏層が形成される。この空乏層(静電容量)がp+型高濃度領域3とn型電流拡散領域2とのpn接合8をソース電極13の電位に固定して、ドレイン電極15にかかる高電圧(例えば1000V以上程度)を負担する。このため、ドレイン電極15にかかる高電圧がpn接合8を超えてそのままゲートパッド14側に伝播されることを防止することができる。
【0061】
+型高濃度領域3から排出される正孔は、最も近いn+型領域7へとほぼ縦方向(半導体基板11のおもて面と直交する方向)に移動して当該n+型領域7に引き抜かれる。このため、p+型高濃度領域3から最も近いn+型領域7までの正孔の移動距離は1μm~2μm程度と短い。したがって、ドレイン電極15にかかる電圧が例えば20kV/μs以上程度(特に50kV/μs以上程度)で高速に上昇したとしてもp+型高濃度領域3内の正孔が高速に排出され、p+型高濃度領域3が高速に空乏化される。
【0062】
また、p+型高濃度領域3とn型電流拡散領域2とのpn接合8が逆バイアスされたときにp+型高濃度領域3内の正孔がn+型領域7に引き抜かれることで、p+型高濃度領域3内を流れてp++型配線領域5(もしくはp++型配線領域5およびソース電極配線13a)を介してソース電極13へ引き抜かれる正孔電流が高電流になることを抑制することができる。これによって、p+型高濃度領域3の抵抗値を低くすることができるため、p+型高濃度領域3の電位の持ち上がりを抑制することができる。
【0063】
+型領域7が電気的にフローティングであることで、ゲートパッド14の直下のp++型コンタクト領域6は、pn接合8の逆バイアス初期にソース電位固定点から離れた部分でソース電極13の電位に固定されていないが、n+型領域7が経時的にソース電極13の電位に近づいてソース電極13の電位に固定される。ゲートパッド14の直下のp++型コンタクト領域6のソース電位固定点とは、ソース電極配線13aとの直接接続点または電気的な接続点である。
【0064】
上述したようにn+型領域7内の電子がp+型高濃度領域3から排出される正孔との再結合により消滅することで、p++型コンタクト領域6とn+型領域7とのpn接合近傍でn+型領域7内のドナーが正にイオン化し、当該pn接合に空乏層(静電容量)が形成される。この空乏層の静電容量を大きくするほど、ゲートパッド14の直下の電位をソース電位に近い電圧に低くできる。
【0065】
例えば、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置10が耐圧1000Vクラス以上である場合、n+型ドレイン領域9の厚さt1は例えば100μm程度であり、n-型ドリフト領域1の厚さt2は例えば10μm程度である。ゲートパッド14は幅(1頂点を共有して直交する2辺の長さ)w1,w2を例えば100μm以上500μm以下程度の範囲内とした略矩形状であり、ゲートパッド14の各幅w1,w2はn-型ドリフト領域1およびn+型ドレイン領域9の総厚さ(=t1+t2)と比べて大幅に幅が広い。
【0066】
+型高濃度領域3の実効的なp型不純物濃度は、例えば1017/cm3後半~1018/cm3台である。p型領域内の正孔の挙動は0℃未満のマイナス温度(例えば-40℃を超える-55℃程度)環境下において緩慢になるため、p型領域の実効的なp型不純物濃度はp型領域の実際のp型不純物濃度よりも2桁程度低くなる。このため、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置10をマイナス温度環境下で動作させる場合、p+型高濃度領域3の実際のp型不純物濃度を例えば1×1019/cm3以上程度としてもよい。
【0067】
p型ベース領域4の実効的な不純物濃度は、例えば1016/cm3後半~1017/cm3台である。p型ベース領域4の厚さt3は、例えば1μm程度である。p++型配線領域5の実効的な不純物濃度は、例えば1019/cm3台である。p++型コンタクト領域6の実効的な不純物濃度および厚さt4は、例えば、それぞれ1019/cm3台および0.5μm程度である。n+型領域7の厚さt5は、例えば0.3μm以下程度であり、例えば0.2μm以下程度であることがよい。
【0068】
実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置10の動作について説明する。ソース電極13に対して正の電圧がドレイン電極15に印加された状態で、ゲート電極34にゲート閾値電圧以上の電圧が印加されると、p型ベース領域4の、ゲート絶縁膜33を挟んでゲート電極34に対向する部分(ゲートトレンチ32の側壁に沿った部分)にチャネル(n型の反転層)が形成される。それによって、ソース電極13の直下においてn+型ドレイン領域9からn-型ドリフト領域1、n型電流拡散領域2およびチャネルを通ってn+型ソース領域31へ向かう主電流が流れ、SiC-MOSFET(炭化珪素半導体装置10)がオンする。
【0069】
一方、ソース電極13に対して正の電圧がドレイン電極15に印加された状態で、ゲート電極34にゲート閾値電圧未満の電圧が印加されると、p++型コンタクト領域6およびp型ベース領域4と、n型電流拡散領域2およびn-型ドリフト領域1と、のpn接合が逆バイアスされ、SiC-MOSFETはオフ状態を維持する。また、当該pn接合からn-型ドリフト領域1内を活性領域から外側(半導体基板の端部側)へ向かって空乏層が延びる。空乏層がエッジ終端領域を外側へ向かって延びた分だけ、炭化珪素の絶縁破壊電界強度および空乏層幅に基づく所定耐圧を確保することができる。
【0070】
また、ソース電極13に対して正の電圧がドレイン電極15に印加されたとき、ゲートパッド14の直下においてp+型高濃度領域3とn型電流拡散領域2とのpn接合8が逆バイアスされる。このとき、p+型高濃度領域3内の正孔は、p+型高濃度領域3内を移動してp++型配線領域5およびソース電極配線13aを介してソース電極13へ引き抜かれるとともに、最も近いn+型領域7に引き抜かれる。これによって、p+型高濃度領域3から正孔が排出され、p+型高濃度領域3とn型電流拡散領域2とのpn接合8近傍でp+型高濃度領域3内のアクセプタが負にイオン化する。
【0071】
+型領域7に引き抜かれた正孔はn+型領域7内での電子との再結合によって消滅するため、n+型領域7内での再結合によってp+型高濃度領域3内のアクセプタのイオン化が促進される。また、p+型高濃度領域3とn型電流拡散領域2とのpn接合8が逆バイアスされることで、n型電流拡散領域2内の電子がドレイン電極15に引き抜かれて、p+型高濃度領域3とn型電流拡散領域2とのpn接合8近傍でn型電流拡散領域2内のドナーが正にイオン化する。これらの両イオン化によりp+型高濃度領域3とn型電流拡散領域2とのpn接合8に空乏層が形成される。
【0072】
このp+型高濃度領域3とn型電流拡散領域2とのpn接合8に形成された空乏層(静電容量)がp+型高濃度領域3とn型電流拡散領域2とのpn接合8をソース電極13の電位に固定して、ドレイン電極15にかかる高電圧を負担する。また、n+型領域7での再結合によってp+型高濃度領域3内の正孔が高速に排出され、p+型高濃度領域3を高速に空乏化することができる。このため、ドレイン電極15にかかる電圧が高速に上昇したとしても、ドレイン電極15にかかる高電圧がpn接合8を超えてそのままゲートパッド14側に伝播されることを防止することができる。
【0073】
また、p+型高濃度領域3とn型電流拡散領域2とのpn接合8が逆バイアスされたときにp+型高濃度領域3内の正孔がn+型領域7に引き抜かれることで、p+型高濃度領域3がp++型配線領域5との接続点から前記半導体基板11のおもて面に平行に離れる方向にゲートパッド14の幅w1,w2以上(図2,4では幅w1以上)の長さで長く延在したとしても、p+型高濃度領域3内をp++型配線領域5まで流れる正孔電流が高電流になることを抑制することができる。これによって、p+型高濃度領域3の抵抗値を低くすることができるため、高速スイッチングによりドレイン電極15にかかる電圧が高速に上昇しても、p+型高濃度領域3の電位の持ち上がりを抑制することができる。
【0074】
また、SiC-MOSFETがオン状態からオフ状態への移行時にdV/dt(ドレイン電極15にかかる電圧の単位時間当たりの電圧変化)が急峻になったとしても、n-型ドリフト領域1内で発生し高抵抗なp+型高濃度領域3内を流れてp++型配線領域5を介してソース電極13に引き抜かれる変位電流(正孔電流)がn+型領域7内での電子との再結合により低減される。このため、SiC-MOSFETがオン状態からオフ状態への移行時に生じる急峻なdV/dtによるp+型高濃度領域3の電位の持ち上がりを防止することができる。
【0075】
以上、説明したように、実施の形態1によれば、ゲートパッド直下における半導体基板のおもて面とp++型コンタクト領域との間に、電気的にフローティングなn+型領域が選択的に配置される。このため、ソース電極に対して正の電圧がドレイン電極に印加されたときに、ゲートパッド直下の高抵抗なp+型高濃度領域内の正孔を当該n+型領域内での電子との再結合によって消滅させて、p+型高濃度領域内のアクセプタのイオン化を促進させ、p+型高濃度領域を高速に空乏化させることができる。
【0076】
これによって、高速スイッチングや急峻なdV/dtによってドレイン電極にかかる電圧が高速に上昇しても、ゲートパッド直下におけるp+型高濃度領域とn型電流拡散領域とpn接合に空乏層が形成され、この空乏層が当該pn接合をソース電極の電位に固定して、ドレイン電極にかかる高電圧を負担する。このため、ドレイン電極にかかる高電圧によってフィールド酸化膜に高電界がかかることを防止することができ、絶縁破壊耐量を向上させることができるため、炭化珪素半導体装置の信頼性が向上する。
【0077】
例えば、0℃未満のマイナス温度(例えば-55℃程度)環境下では、常温(例えば25℃程度)環境下と比べてp型領域内の正孔の挙動が緩慢になり、p型領域の抵抗値が2倍~3倍程度高くなるが、n型領域の抵抗値は温度に依存しない。また、n型領域は、p型領域と比べてシート抵抗が非常に低い。このため、実施の形態1によれば、マイナス温度環境下においてソース電極に対してドレイン電極の電位差が例えば20kV/μs以上程度(特に50kV/μs以上程度)に高速に1000V以上程度になる場合に有用である。
【0078】
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図5は、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置40を半導体基板11のおもて面側から見たレイアウトおよびソース電極13の直下の断面構造は実施の形態1(図1,3参照)と同様である。図5には、図1の切断線A-A’における断面構造を示す。図6は、図5のゲートパッド直下の領域を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。図6には、ゲートパッド14の輪郭(太破線)、p型ベース領域4、p++型配線領域5およびn+型配線領域41(ハッチング部分)のレイアウトを示す。また、p++型配線領域5の輪郭線のうち、深さ方向にp++型コンタクト領域6およびn+型配線領域41に対向する部分を破線で示す。
【0079】
実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置40が実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置と異なる点は、ゲートパッド14の直下における半導体基板11のおもて面とp++型コンタクト領域6との間に選択的に配置されたn+型配線領域(第6半導体領域)41をソース電極13の電位に固定した点である。実施の形態2においては、例えば、ゲートパッド14の直下における半導体基板11のおもて面とp++型コンタクト領域6との間に、半導体基板11のおもて面に平行な方向に延在するストライプ状にn+型配線領域41が配置されている。n+型配線領域41は、長手方向の端部でソース電極配線13aに直接接続されて、ソース電極13の電位に固定されている。
【0080】
+型配線領域41をストライプ状に配置することで、ゲートパッド114の全面にn+型配線領域121が対向する従来構造(図9参照)と比べて、n+型配線領域41のパンチスルーの原因となる変位電流を小さくすることができ、n+型配線領域41のパンチスルーを抑制することができる。また、n+型配線領域41をストライプ状に配置することで、n+型配線領域41がパンチスルーしたとしても、n+型配線領域41のパンチスルー発生個所がゲートパッド14の全面に対向する領域の全面に及ばない。このため、ドレイン電極15とソース電極配線13aとの間に流れる貫通電流を小さくすることができる。
【0081】
+型配線領域41は、p+型高濃度領域3とn型電流拡散領域2とのpn接合8が逆バイアスされたときにp+型高濃度領域3内を流れる正孔電流を引き抜いて電子電流に変換し、ソース電極配線13aを介してソース電極13へ排出する機能を有する。n型領域は、p型領域と比べてシート抵抗が非常に低く、電流が流れやすい。これに加えて、n型領域は、p型領域と比べてコンタクト抵抗が非常に低く、ソース電極13の電位に固定されやすい。このため、n+型配線領域41によって、ゲートパッド14の直下の領域のソース電位固定点までの抵抗値が低くなり、p+型高濃度領域3内を流れる正孔電流を高速でソース電極配線13aを介してソース電極13へ排出することができる。
【0082】
+型配線領域41は、p++型配線領域5を介してソース電極配線13aに電気的に接続されてもよい。n+型配線領域41は、ストライプ状(直線状)に延在する長手方向の両端ともにソース電極配線13aに接続されることが好ましいが(不図示)、長手方向の一方の端部のみでソース電極配線13aに接続されてもよい(図6)。n+型配線領域41の長手方向は、MOSゲート(ゲート電極34)のレイアウトによらず適宜変更可能である。ソース電極配線13aと、ゲートパッド14の周囲の少なくとも1辺に沿って配置されるゲート金属配線層(ゲートランナー)と、が接触しないように、ソース電極配線13aのレイアウトが決定される。
【0083】
例えば、ゲート金属配線層は、ソース電極13の外周に沿ってソース電極13と同じ平面形状でソース電極13の周囲を囲むように配置される。この場合、ゲート金属配線層は、ソース電極13とゲートパッド14との間において、ゲートパッド14のソース電極13に対向する3辺を囲む。このため、ゲートパッド14のソース電極13に対向しない1辺近傍にソース電極配線13aを配置して、当該ソース電極配線13aにn+型配線領域41の長手方向の一方の端部のみを接続することで、ゲート金属配線層およびソース電極配線13aのレイアウト設計が容易となる。
【0084】
また、n+型配線領域41の長手方向の両端ともにソース電極配線13aに接続する場合、n+型配線領域41は、ゲートパッド14の1組の対辺近傍でそれぞれソース電極配線13aに接続される。この場合、ソース電極配線13aは、ソース電極13とゲートパッド14との間にのみ配置されてもよい(すなわちn+型配線領域41が図1の横方向にストライプ状に延在)。もしくは、ソース電極配線13aは、ゲートパッド14のソース電極13に対向しない1辺を含む1組の対辺近傍にそれぞれ配置されてもよい(すなわちn+型配線領域41が図1の縦方向にストライプ状に延在)。
【0085】
実施の形態2においては、n+型配線領域41とp型ベース領域4との間にp++型コンタクト領域6が存在しない場合に、ドレイン電極15に高電圧がかかった瞬間にn+型配線領域41がパンチスルーして、ドレイン電極15からソース電極配線13aへ向かって高電流が流れてしまう。このため、n+型配線領域41の厚さt15は、n+型配線領域41とp型ベース領域4との間にp++型コンタクト領域6が存在する程度に深くしてもよいが、可能な限り薄いことがよい。n+型配線領域41の厚さt15は、例えば0.3μm以下程度であり、例えば0.2μm程度であることがよい。
【0086】
以上、説明したように、実施の形態2によれば、ゲートパッド直下における半導体基板のおもて面とp++型コンタクト領域との間に、ソース電極の電位の固定されたn+型配線領域が選択的に配置される。n型領域は、p型領域と比べてシート抵抗およびコンタクト抵抗ともに非常に低い。このため、低抵抗なn+型配線領域によって、ゲートパッドの直下の領域のソース電位固定点までの抵抗値が低くなる。
【0087】
すなわち、ソース電極に対して正の電圧がドレイン電極に印加されたときにゲートパッド直下の高抵抗なp+型高濃度領域内を流れる正孔電流を、低抵抗なn+型配線領域によって引き抜いて電子電流に変換してソース電極へ排出することで、高抵抗なp+型高濃度領域を高速に空乏化させることができる。したがって、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0088】
以上において本発明は、上述した各実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、実施の形態1の電気的にフローティングなn+型領域は深さ方向にゲートパッドに対向して規則的に配置されればよく、半導体基板のおもて面に平行な方向に延在するストライプ状に配置されてもよい。また、ソース電極配線を設けずに、実施の形態1のp++型配線領域をソース電極に直接接続してもよいし、実施の形態2のp++型配線領域およびn+型配線領域をソース電極に直接接続してもよい。また、本発明は、SiC-MOSFETに限らず、例えばSiC-IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)等のMOSゲート構造およびゲートパッドを備えた炭化珪素半導体装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上のように、本発明にかかる炭化珪素半導体装置は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用されるパワー半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0090】
1 n-型ドリフト領域
2 n型電流拡散領域
3 p+型高濃度領域
4 p型ベース領域
5 p++型配線領域
6 p++型コンタクト領域
7 n+型領域
8 p+型高濃度領域とn型電流拡散領域とのpn接合
9 n+型ドレイン領域
10,40 炭化珪素半導体装置
11 半導体基板
12 フィールド酸化膜
13 ソース電極
13a ソース電極配線
14 ゲートパッド
15 ドレイン電極
16 n+型出発基板
17 n-型エピタキシャル層
18 p型エピタキシャル層
21 活性領域
22 エッジ終端領域
23a,23b パッシベーション膜の開口部
31 n+型ソース領域
32 ゲートトレンチ
33 ゲート絶縁膜
34 ゲート電極
35,36 p+型領域
37 層間絶縁膜
41 n+型配線領域
t1 n+型ドレイン領域厚さ
t2 n-型ドリフト領域の厚さ
t3 p型ベース領域の厚さ
t4 p++型コンタクト領域の厚さ
t5 n+型領域の厚さ
t15 n+型配線領域の厚さ
w1,w2 ゲートパッドの幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9