IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧

特開2024-97100中継装置、中継方法、及びコンピュータプログラム
<>
  • 特開-中継装置、中継方法、及びコンピュータプログラム 図1
  • 特開-中継装置、中継方法、及びコンピュータプログラム 図2
  • 特開-中継装置、中継方法、及びコンピュータプログラム 図3
  • 特開-中継装置、中継方法、及びコンピュータプログラム 図4
  • 特開-中継装置、中継方法、及びコンピュータプログラム 図5
  • 特開-中継装置、中継方法、及びコンピュータプログラム 図6
  • 特開-中継装置、中継方法、及びコンピュータプログラム 図7
  • 特開-中継装置、中継方法、及びコンピュータプログラム 図8
  • 特開-中継装置、中継方法、及びコンピュータプログラム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097100
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】中継装置、中継方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240710BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240710BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 H
G08G1/09 F
G08G1/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079509
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123021
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 元幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126538
【弁理士】
【氏名又は名称】嶺 直道
(72)【発明者】
【氏名】倉田 洋海
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF05
5H181MC22
(57)【要約】
【課題】車載ネットワークの通信トラフィック量の増大を抑制しつつ、車両外での検知情報のうち必要なものを車載装置に送信可能な中継装置を提供する。
【解決手段】車両に搭載される複数の車載装置の間で送受信されるデータを中継する中継装置であって、前記車両の外部に位置する外部装置より送信された、センサの位置、前記センサが検知した対象物の位置、及び前記センサによる前記対象物の検知範囲のうちの少なくとも1つを含む検知位置を示す検知情報を取得する検知情報取得部と、前記車両の位置を取得する車両位置取得部と、前記検知情報が示す前記検知位置と、前記車両の位置とに基づいて、当該検知情報を選択するか否かを判断する検知情報選択部と、前記検知情報選択部により選択された前記検知情報を、前記車載装置に送信する検知情報送信部とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される複数の車載装置の間で送受信されるデータを中継する中継装置であって、
前記車両の外部に位置する外部装置より送信された、センサの位置、前記センサが検知した対象物の位置、及び前記センサによる前記対象物の検知範囲のうちの少なくとも1つを含む検知位置を示す検知情報を取得する検知情報取得部と、
前記車両の位置を取得する車両位置取得部と、
前記検知情報が示す前記検知位置と、前記車両の位置とに基づいて、当該検知情報を選択するか否かを判断する検知情報選択部と、
前記検知情報選択部により選択された前記検知情報を、前記車載装置に送信する検知情報送信部とを備える、中継装置。
【請求項2】
前記検知情報送信部は、前記検知情報選択部において選択された前記検知情報を前記車両の運転を支援する前記車載装置に送信する、請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
前記検知情報送信部は、前記検知情報選択部において選択されなかった前記検知情報を前記車載装置に送信しない、請求項1又は請求項2に記載の中継装置。
【請求項4】
前記検知情報選択部は、前記車両の走行計画にさらに基づいて、前記検知情報を選択するか否かを判断する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項5】
前記中継装置は、
前記車両の運転を支援する前記車載装置から前記車両の運転を制御する前記車載装置へ送信される操舵、制動及び駆動の少なくとも1つに関する制御情報を中継する中継部と、
前記中継部により中継される前記制御情報に基づいて、前記検知情報選択部での選択の判断に用いられる前記走行計画を作成する走行計画作成部とをさらに備える、請求項4に記載の中継装置。
【請求項6】
前記中継装置は、前記車両の運転を支援する前記車載装置から送信される前記走行計画を取得する走行計画取得部をさらに備え、
前記検知情報選択部は、前記走行計画取得部が取得した前記走行計画に基づいて、前記検知情報を選択するか否かを判断する、請求項4に記載の中継装置。
【請求項7】
前記中継装置は、前記車両の運転を支援する前記車載装置から第1車載装置へ送信される前記走行計画を中継する中継部をさらに備え、
前記走行計画取得部は、前記中継部から前記走行計画を取得する、請求項6に記載の中継装置。
【請求項8】
前記中継装置は、前記車両の方位を取得する車両方位取得部をさらに備え、
前記検知情報選択部は、前記車両の方位にさらに基づいて、前記検知情報を選択するか否かを判断する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項9】
前記検知情報選択部は、前記車両の予定走行経路に沿った前記車両の位置に基づいて、前記検知情報を選択するか否かを判断する、請求項4から請求項8のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項10】
前記検知情報選択部は、選択しなかった前記検知情報の送信元である第1外部装置から送信される検知情報を、所定期間選択しない、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項11】
前記所定期間は、前記車両から前記第1外部装置に係る位置に到達するまでの時間に基づいて定められる、請求項10に記載の中継装置。
【請求項12】
車両に搭載される複数の車載装置の間で送受信されるデータを中継する中継装置による前記データの中継方法であって、
前記車両の外部に位置する外部装置より送信された、センサの位置、前記センサが検知した対象物の位置、及び前記センサによる前記対象物の検知範囲のうちの少なくとも1つを含む検知位置を示す検知情報を取得するステップと、
前記車両の位置を取得するステップと、
前記検知情報が示す前記検知位置と、前記車両の位置とに基づいて、当該検知情報を選択するか否かを判断するステップと、
選択された前記検知情報を、前記車載装置に送信するステップとを含む、中継方法。
【請求項13】
車両に搭載される複数の車載装置の間で送受信されるデータを中継する中継装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記車両の外部に位置する外部装置より送信された、センサの位置、前記センサが検知した対象物の位置、及び前記センサによる前記対象物の検知範囲のうちの少なくとも1つを含む検知位置を示す検知情報を取得する検知情報取得部と、
前記車両の位置を取得する車両位置取得部と、
前記検知情報が示す前記検知位置と、前記車両の位置とに基づいて、当該検知情報を選択するか否かを判断する検知情報選択部と、
前記検知情報選択部により選択された前記検知情報を、前記車載装置に送信する検知情報送信部として機能させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、中継装置、中継方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両の自動運転を実用化するために、各種研究及び標準化が盛んに行われている。
【0003】
自動運転を行う上では、車両周囲の環境をセンサを用いて正確に把握することが必要である。しかし、自車両に搭載されたセンサのみを用いて周囲の環境を把握する場合には、センサで検知できない死角領域が発生する。そこで、他車両に設置された車載センサや道路上や路側等に設置されたインフラセンサによる検知情報を合わせて用いることにより、死角領域における検知情報の補間を行う試みが各種提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-195289号公報
【特許文献2】特開2013-92932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車載センサやインフラセンサの検知情報はブロードキャストされるため、車両が受信した検知情報のすべてを自動運転システムに転送した場合には車載ネットワークの通信トラフィック量の増大につながる。また、自動運転システムは、多数の検知情報を処理しなければならないため演算時間の増加にもつながる。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであり、車載ネットワークの通信トラフィック量の増大を抑制しつつ、車両外での検知情報のうち必要なものを車載装置に送信可能な中継装置、中継方法、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る中継装置は、車両に搭載される複数の車載装置の間で送受信されるデータを中継する中継装置であって、前記車両の外部に位置する外部装置より送信された、センサの位置、前記センサが検知した対象物の位置、及び前記センサによる前記対象物の検知範囲のうちの少なくとも1つを含む検知位置を示す検知情報を取得する検知情報取得部と、前記車両の位置を取得する車両位置取得部と、前記検知情報が示す前記検知位置と、前記車両の位置とに基づいて、当該検知情報を選択するか否かを判断する検知情報選択部と、前記検知情報選択部により選択された前記検知情報を、前記車載装置に送信する検知情報送信部とを備える。
【0008】
本開示の他の態様に係る中継方法は、車両に搭載される複数の車載装置の間で送受信されるデータを中継する中継装置による前記データの中継方法であって、前記車両の外部に位置する外部装置より送信された、センサの位置、前記センサが検知した対象物の位置、及び前記センサによる前記対象物の検知範囲のうちの少なくとも1つを含む検知位置を示す検知情報を取得するステップと、前記車両の位置を取得するステップと、前記検知情報が示す前記検知位置と、前記車両の位置とに基づいて、当該検知情報を選択するか否かを判断するステップと、選択された前記検知情報を、前記車載装置に送信するステップとを含む。
【0009】
本開示の他の態様に係るコンピュータプログラムは、車両に搭載される複数の車載装置の間で送受信されるデータを中継する中継装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、前記車両の外部に位置する外部装置より送信された、センサの位置、前記センサが検知した対象物の位置、及び前記センサによる前記対象物の検知範囲のうちの少なくとも1つを含む検知位置を示す検知情報を取得する検知情報取得部と、前記車両の位置を取得する車両位置取得部と、前記検知情報が示す前記検知位置と、前記車両の位置とに基づいて、当該検知情報を選択するか否かを判断する検知情報選択部と、前記検知情報選択部により選択された前記検知情報を、前記車載装置に送信する検知情報送信部として機能させる。
【0010】
なお、本開示は、中継方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなコンピュータプログラムを、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等のコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
【発明の効果】
【0011】
本開示によると、車載ネットワークの通信トラフィック量の増大を抑制しつつ、車両外での検知情報のうち必要なものを車載装置に送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の実施形態1に係る車両の走行を支援する走行支援システムの構成を示す図である。
図2図2は、本開示の実施形態1に係る車載システムの構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、本開示の実施形態1に係る中継装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、本開示の実施形態1に係る中継装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、本開示の実施形態1に係る中継装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、本開示の実施形態2に係る中継装置の構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、本開示の実施形態2に係る中継装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、本開示の実施形態3に係る中継装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、記憶部に格納されたデータテーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本開示の実施形態の概要]
最初に本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
(1)本開示の一実施形態に係る中継装置は、車両に搭載される複数の車載装置の間で送受信されるデータを中継する中継装置であって、前記車両の外部に位置する外部装置より送信された、センサの位置、前記センサが検知した対象物の位置、及び前記センサによる前記対象物の検知範囲のうちの少なくとも1つを含む検知位置を示す検知情報を取得する検知情報取得部と、前記車両の位置を取得する車両位置取得部と、前記検知情報が示す前記検知位置と、前記車両の位置とに基づいて、当該検知情報を選択するか否かを判断する検知情報選択部と、前記検知情報選択部により選択された前記検知情報を、前記車載装置に送信する検知情報送信部とを備える。
【0014】
この構成によると、センサの検知位置と車両の位置とに基づいて外部装置より取得された検知情報が選択され、車載装置に送信される。このため、例えば、車両の走行に与える影響の少ない、車両から離れた検知位置を示す検知情報を除き、車両の走行に重大な影響を与える車両の近傍の検知位置を示す検知情報のみを車載装置に送信することができる。これにより、車載ネットワークの通信トラフィック量の増大を抑制しつつ、車両外での検知情報のうち必要なものを車載装置に送信することができる。
【0015】
(2)また、前記検知情報送信部は、前記検知情報選択部において選択された前記検知情報を前記車両の運転を支援する前記車載装置に送信してもよい。
【0016】
この構成によると、車両外での検知情報のうち必要なものを、自動運転システムやADAS(先進運転支援システム)を構成する車載装置に送信することができる。
【0017】
(3)また、前記検知情報送信部は、前記検知情報選択部において選択されなかった前記検知情報を前記車載装置に送信しなくてもよい。
【0018】
この構成によると、車両外での検知情報のうち不要なものは、車載装置に送信されない。このため、車載ネットワークの通信トラフィック量の増大を抑制することができる。
【0019】
(4)また、前記検知情報選択部は、前記車両の走行計画にさらに基づいて、前記検知情報を選択するか否かを判断してもよい。
【0020】
この構成によると、例えば、取得した検知情報のうち、走行予定の無い道路上の検知位置を示す検知情報を除いたものを車載装置に送信することができる。
【0021】
(5)また、前記中継装置は、前記車両の運転を支援する前記車載装置から前記車両の運転を制御する前記車載装置へ送信される操舵、制動及び駆動の少なくとも1つに関する制御情報を中継する中継部と、前記中継部により中継される前記制御情報に基づいて、前記検知情報選択部での選択の判断に用いられる前記走行計画を作成する走行計画作成部とをさらに備えてもよい。
【0022】
この構成によると、車両の走行計画を直接取得できない場合であっても、走行計画を作成し、作成した走行計画に基づいて不要な検知結果を除外することができる。
【0023】
(6)また、前記中継装置は、前記車両の運転を支援する前記車載装置から送信される前記走行計画を取得する走行計画取得部をさらに備え、前記検知情報選択部は、前記走行計画取得部が取得した前記走行計画に基づいて、前記検知情報を選択するか否かを判断してもよい。
【0024】
この構成によると、自動運転システムやADASを構成する車載装置から走行計画を取得し、取得した走行計画に基づいて不要な検知結果を除外することができる。
【0025】
(7)また、前記中継装置は、前記車両の運転を支援する前記車載装置から第1車載装置へ送信される前記走行計画を中継する中継部をさらに備え、前記走行計画取得部は、前記中継部から前記走行計画を取得してもよい。
【0026】
この構成によると、自動運転システムやADASを構成する車載装置から第1装置への中継対象である走行計画に基づいて不要な検知結果を除外することができる。これにより、車載ネットワークの通信トラフィック量を増大させることなく取得した走行計画に基づいて不要な検知結果を除外することができる。
【0027】
(8)また、前記中継装置は、前記車両の方位を取得する車両方位取得部をさらに備え、前記検知情報選択部は、前記車両の方位にさらに基づいて、前記検知情報を選択するか否かを判断してもよい。
【0028】
この構成によると、例えば、自車両の後方を走行し、かつ対向車線を走行する車両の検知情報などのように、自車両の走行に影響を及ぼさない検知情報を除外することができる。
【0029】
(9)また、前記検知情報選択部は、前記車両の予定走行経路に沿った前記車両の位置に基づいて、前記検知情報を選択するか否かを判断してもよい。
【0030】
この構成によると、例えば、車両の予定走行経路から離れた検知位置を含む検知情報を除外することができる。
【0031】
(10)また、前記検知情報選択部は、選択しなかった前記検知情報の送信元である第1外部装置から送信される検知情報を、所定期間選択しなくてもよい。
【0032】
除外することが好ましいと判断された第1外部装置から送信される検知情報は、その後も不要であると考えられる。このため、この構成によると、検知情報を選択するか否かの判断処理を効率的に行うことができる。
【0033】
(11)また、前記所定期間は、前記車両から前記第1外部装置に係る位置に到達するまでの時間に基づいて定められてもよい。
【0034】
この構成によると、自車両が、第1外部装置の位置や第1外部装置から送信される検知情報の検知位置から離れていると思われる場合には、第1外部装置からの検知情報を選択するか否かの判断処理を省略することができる。
【0035】
(12)本開示の他の実施形態に係る中継方法は、車両に搭載される複数の車載装置の間で送受信されるデータを中継する中継装置による前記データの中継方法であって、前記車両の外部に位置する外部装置より送信された、センサの位置、前記センサが検知した対象物の位置、及び前記センサによる前記対象物の検知範囲のうちの少なくとも1つを含む検知位置を示す検知情報を取得するステップと、前記車両の位置を取得するステップと、前記検知情報が示す前記検知位置と、前記車両の位置とに基づいて、当該検知情報を選択するか否かを判断するステップと、選択された前記検知情報を、前記車載装置に送信するステップとを含む。
【0036】
この構成は、上述の中継装置における特徴的な処理をステップとして含む。このため、この構成によると、上述の中継装置と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0037】
(13)本開示の他の実施形態に係るコンピュータプログラムは、車両に搭載される複数の車載装置の間で送受信されるデータを中継する中継装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、前記車両の外部に位置する外部装置より送信された、センサの位置、前記センサが検知した対象物の位置、及び前記センサによる前記対象物の検知範囲のうちの少なくとも1つを含む検知位置を示す検知情報を取得する検知情報取得部と、前記車両の位置を取得する車両位置取得部と、前記検知情報が示す前記検知位置と、前記車両の位置とに基づいて、当該検知情報を選択するか否かを判断する検知情報選択部と、前記検知情報選択部により選択された前記検知情報を、前記車載装置に送信する検知情報送信部として機能させる。
【0038】
この構成によると、コンピュータを、上述の中継装置として機能させることができる。このため、上述の中継装置と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0039】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定するものではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意に付加可能な構成要素である。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0040】
また、同一の構成要素には同一の符号を付す。それらの機能及び名称も同様であるため、それらの説明は適宜省略する。
【0041】
<実施形態1>
〔走行支援システムの全体構成〕
図1は、本開示の実施形態1に係る車両の走行を支援する走行支援システムの構成を示す図である。図1は、車両の走行する道路を示す図であり、一例として、隣接する2つの交差点IS1、IS2とその周辺の道路を示している。交差点IS2は交差点IS1に対して東に位置する。
【0042】
走行支援システムは、車両1、2A~2Dと、インフラセンサ3A、3Bとを備える。
車両1は、例えば自動車であり、後述する車載システムを備え、走行支援を受ける自車両である。
【0043】
車両2A~2Dは、例えば自動車であり、車両1にとっての他車両である。なお、以下の説明では、車両2A~2Dを区別しない場合には、車両2という場合もある。
【0044】
車両1、2は、それぞれ、車載カメラなどのセンサを備える。車両2は、センサによる検知情報をブロードキャストする。
ここで、検知情報は、センサ生データ又は検知データである。
【0045】
センサ生データとは、センサが取得したデータそのものである。例えば、センサがカメラの場合には、画像データがセンサ生データに相当する。
【0046】
検知データとは、センサが取得したデータに基づく対象物の検知結果を示すデータである。例えば、センサがカメラの場合には、検知データは、画像データから画像処理により識別された対象物の種別(車両又は歩行者等)や対象物の位置である。
【0047】
なお、検知情報には、センサの位置を示す検知位置の情報が含まれる。例えば、検知位置は、検知情報生成時の車両2A~2Dの位置や、インフラセンサ3A、3Bの設置位置である。なお、検知位置は、センサが検知した対象物の位置であってもよい。また、検知位置には、センサによる対象物の検知範囲を示す情報が含まれていてもよい。検知範囲を示す情報により、センサがどの位置範囲をセンシングしているかが分かる。
【0048】
車両1は、交差点IS1を北から南に向けて通過しようとしている。車両2Aは、車両1の走行車線に対する対向車線を走行中であり、車両1の後方に位置する。車両2Bは、西から交差点IS1に進入しようとしており、車両2Cは、東から交差点IS1に進入しようとしている。車両2Dは、交差点IS2を通過して東向きに走行中である。
【0049】
インフラセンサ3Aは、交差点IS1を監視可能な位置に設置され、例えば、交差点IS1付近の車両や歩行者を検知するカメラである。インフラセンサ3Bは、交差点IS2を監視可能な位置に設置され、例えば、交差点IS2付近の車両や歩行者を検知するカメラである。なお、以下の説明では、インフラセンサ3A、3Bを区別しない場合には、インフラセンサ3という場合もある。
【0050】
基地局4は、例えば、交通情報サーバなどから送信される交通情報を各車両にブロードキャストする無線基地局である。
【0051】
車両1に搭載された車載システムは、車両2又はインフラセンサ3からブロードキャストされた検知情報や、基地局4からブロードキャストされた交通情報などを受信する。車載システムは、受信した検知情報のうち、車両1の走行に与える影響の少ない検知情報(例えば、車両1から離れた検知位置を含む検知情報)を除去する。つまり、車載システムは、車両1の走行に重大な影響を与える検知情報(例えば、車両1の近傍の検知位置を含む検知情報)を選択する。車載システムは、選択した検知情報に基づいて、車両1の走行を支援するための処理を行う。
【0052】
〔車載システム10の構成〕
図2は、本開示の実施形態1に係る車載システムの構成の一例を示すブロック図である。
車載システム10は、車両1に搭載され、通信装置20と、中継装置30と、自動運転処理装置50と、車両制御処理装置60と、HMI(Human Machine Interface)処理装置70とを備える。
【0053】
通信装置20は、車両1の外部の装置と無線により通信を行うための無線通信モジュールである。例えば、通信装置20は、例えば、5.8GHz帯や700MHz帯の周波数信号を用いて無線通信行う。通信装置20は、例えば、車両2やインフラセンサ3からブロードキャストされた検知情報を受信する。また、通信装置20は、例えば、基地局4からブロードキャストされた交通情報を受信する。
【0054】
なお、通信装置20は、車両1の位置を特定する位置特定ユニットを含む。位置特定ユニットは、衛星航法を用いて車両1の位置を特定する。例えば、位置特定ユニットは、複数のGPS(Global Positioning System)衛星から受信した電波に基づいて、車両1の位置を特定する。車両1の位置は、例えば、緯度及び経度により特定することができる。衛星航法は、GPSなどの衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を用いるものであるが、GPSに限定されるものではない。
【0055】
また、通信装置20は、車両1の方位を特定する方位特定ユニットを含む。方位特定ユニットは、例えば、ジャイロセンサを含んで構成され、車両1が向いている方位(車両1の進行方位)を特定する。車両1の方位は、例えば、方位角により示される。
【0056】
中継装置30は、通信装置20、自動運転処理装置50、車両制御処理装置60及びHMI処理装置70の間で送受信されるデータを中継する。
【0057】
自動運転処理装置50は、中継装置30を介して通信装置20から受信した検知情報又は交通情報に従って、車両1を自動運転するための処理を行う。例えば、自動運転処理装置50は、事前に設定された目的地までの走行計画に基づいて、車両1を走行させるために、車両1の操舵、制動及び駆動を制御するための制御情報を生成する。自動運転処理装置50は、検知情報に従って他車両及び歩行者との衝突を回避したり、交通情報に従って渋滞区間における安全な速度を維持したりするために、制御情報を適宜修正する。自動運転処理装置50は、生成又は修正した制御情報を中継装置30を介して車両制御処理装置60に送信する。制御情報には、操舵角、車両速度などに関する指令が含まれる。
【0058】
車両制御処理装置60は、中継装置30を介して自動運転処理装置50から制御情報を受信する。車両制御処理装置60は、受信した制御情報に基づいて、車両1の操舵、制動及び駆動を制御する。
【0059】
HMI処理装置70は、ユーザと車載システム10との間の入出力処理を行う。一例として、HMI処理装置70は、液晶パネルやタッチパネルなどの表示画面に画像を表示する処理を行う。
【0060】
車載システム10を構成する各装置20~70は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)を含んで構成される。各装置20~70は、CAN(Controller Area Network)、FlexRay(登録商標)、MOST(Media Oriented Systems Transport)又はEthernet(登録商標)などの通信プロトコルに準拠した車載ネットワークによって接続される。
【0061】
〔中継装置30の構成〕
図3は、本開示の実施形態1に係る中継装置30の構成の一例を示すブロック図である。
中継装置30は、バス41を介して相互に接続された通信部31と、記憶部32と、制御部33とを備える。
【0062】
通信部31は、車載ネットワークを介して中継装置30と接続された通信装置20、自動運転処理装置50、車両制御処理装置60及びHMI処理装置70と通信を行うための通信モジュールである。
【0063】
記憶部32は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)又はDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性のメモリ素子、フラッシュメモリ若しくはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの不揮発性のメモリ素子により構成される。記憶部32は、制御部33が実行するコンピュータプログラム、及びその実行に必要なデータなどを記憶する。
【0064】
制御部33は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成され、記憶部32にあらかじめ記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される機能的な処理部として、検知情報取得部34と、車両位置取得部35と、車両方位取得部36と、検知情報選択部37と、検知情報送信部38と、中継部39と、走行計画作成部40とを備える。
【0065】
検知情報取得部34は、車両1の外部に位置する外部装置より送信された、センサの検知位置を含む検知情報を取得する。例えば、検知情報取得部34は、通信部31を介して通信装置20から、通信装置20が車両2又はインフラセンサ3から受信した検知情報を受信する。
【0066】
車両位置取得部35は、通信部31を介して通信装置20から、車両1の位置情報を取得する。
【0067】
車両方位取得部36は、通信部31を介して通信装置20から、車両1の方位情報を取得する。
【0068】
検知情報選択部37は、検知情報取得部34が取得した検知情報に含まれるセンサの検知位置と、車両1の位置とに基づいて、当該検知情報を選択するか否かを判断する。例えば、検知情報選択部37は、検知情報に含まれる検知位置と、車両1の位置と、車両1の方位と、後述する走行計画作成部40が作成した車両1の走行計画とに基づいて、検知情報を選択するか否かを判断してもよい。
【0069】
一例として、検知情報選択部37は、車両1の位置、方位及び走行計画に基づいて、車両1がこの先所定時間内(例えば、1分以内)に走行する経路(予定走行経路)を特定する。検知情報選択部37は、特定した経路から所定距離内(例えば、100m以内)であって、車両1の後方を除く検知位置を含む検知情報を選択し、それ以外の検知情報を選択しない。例えば、図1において、矢印で検知情報選択部37が特定した経路5を示している。検知情報取得部34は、車両2A~2C及びインフラセンサ3A、3Bから検知情報を取得しているものとする。経路5から所定距離内の検知位置には、車両2A~2Cの位置及びインフラセンサ3Aの位置が含まれ、インフラセンサ3Bの位置は含まれないものとする。ただし、車両2Aの位置は、車両1の方位や車両1の位置の履歴より車両1の後方である。このため、検知情報選択部37は、車両2B、2C及びインフラセンサ3Aから取得した検知情報を選択し、車両2A及びインフラセンサ3Bから取得した検知情報は選択しない。
【0070】
検知情報送信部38は、検知情報選択部37により選択された検知情報を自動運転処理装置50に送信し、選択されなかった検知情報を破棄する。
【0071】
中継部39は、通信装置20、自動運転処理装置50、車両制御処理装置60及びHMI処理装置70の間で送受信されるデータを中継する。例えば、自動運転処理装置50が送信先として車両制御処理装置60を指定したデータを送信した場合には、中継部39は、通信部31を介して当該データを一旦受信し、通信部31を介して当該データを車両制御処理装置60に送信する。
【0072】
走行計画作成部40は、中継部39によって中継される自動運転処理装置50から車両制御処理装置60に送信される車両1の制御情報を中継部39から受け、当該制御情報に基づいて、車両1の走行計画を作成する。例えば、図1において、走行計画作成部40は、交差点IS1の直前における車両1の操舵に関する制御情報に基づいて車両1が直進すると判断できる場合(例えば、操作角の変化量が閾値以下である場合)には、車両1の走行計画として経路5に示すような走行計画を作成する。また、走行計画作成部40は、交差点IS1の直前における制御情報に基づいて車両1が左折すると判断できる場合には、左折方向の経路を示す走行計画を作成する。例えば、走行計画作成部40は、制御情報に含まれるウィンカー情報や、操舵角の情報などから車両1が左折するか否かを判断することができる。走行計画には、車両1の走行予定経路の他、走行予定経路上の各位置の車両1の予定到達時刻が含まれる。
【0073】
作成された走行計画は、上述したように、検知情報選択部37における検知情報の選択に用いられる。
【0074】
〔中継装置30の処理手順〕
図4及び図5は、本開示の実施形態1に係る中継装置30の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0075】
図4を参照して、通信部31は、車載ネットワークを介してデータを取得するまで待機する(ステップS1)。
【0076】
データを取得し(ステップS1においてYES)、当該データが通信装置20から送信された車両1の位置情報である場合には(ステップS2においてYES)、車両位置取得部35は、位置情報を、位置情報の取得時刻とともに記憶部32に格納する(ステップS3)。
【0077】
通信部31が取得したデータが通信装置20から送信された車両1の方位情報である場合には(ステップS2においてNO、ステップS4においてYES)、車両方位取得部36は、方位情報を、方位情報の取得時刻とともに記憶部32に格納する(ステップS5)。
【0078】
通信部31が取得したデータが自動運転処理装置50から車両制御処理装置60に送信される中継データの場合には(ステップS4においてNO、ステップS6においてYES)、中継部39は、中継データを、中継データの取得時刻とともに記憶部32に格納する(ステップS7)。また、中継部39は、中継データを車両制御処理装置60に転送する(ステップS8)。
【0079】
走行計画作成部40は、記憶部32に格納された中継データに車両1の制御情報が含まれるか否かを判定する(ステップS9)。例えば、走行計画作成部40は、過去の所定時間以内に取得された中継データに車両1の制御情報が含まれるか否かを判定する。
【0080】
中継データの制御情報が含まれると判定された場合には(ステップS9においてYES)、走行計画作成部40は、当該制御情報に基づいて走行計画を作成する(ステップS10)。なお、走行計画作成時に、記憶部32に記憶された車両1の位置情報や方位情報を用いてもよい。
【0081】
図5を参照して、通信部31が取得したデータが外部の装置から送信された検知情報であり(図4のステップS6においてNO、ステップS11においてYES)、かつ検知情報がセンサ生データである場合には(ステップS12においてYES)、検知情報選択部37は、検知情報に含まれる検知位置が示す検知範囲と、車両1の走行計画、車両1の位置及び車両1の方位に基づいて、当該検知情報を選択するか否かを判断する(ステップS13)。例えば、図1を参照して説明したように、検知情報選択部37が車両1の将来の経路5を特定したとする。検知情報選択部37は、特定した経路から所定距離内(例えば、100m以内)であって、車両1の後方を除く検知範囲を含む検知情報を選択し、それ以外の検知情報を選択しない。
【0082】
通信部31が取得したデータが外部の装置から送信された検知情報であり(図4のステップS6においてNO、ステップS11においてYES)、かつ検知情報が検知データである場合には(ステップS12においてNO、ステップS16においてYES)、検知情報選択部37は、検知情報に含まれる検知位置と、車両1の走行計画、車両1の位置及び車両1の方位に基づいて、当該検知情報を選択するか否かを判断する(ステップS17)。
【0083】
検知情報の選択可否判断処理(ステップS13又はステップS17)において、検知情報を選択すると判断された場合には(ステップS14においてYES)、検知情報送信部38は、選択された検知情報を自動運転処理装置50に送信する(ステップS18)。
【0084】
一方、検知情報の選択可否判断処理(ステップS13又はステップS17)において、検知情報を選択しないと判断された場合には(ステップS14においてNO)、検知情報送信部38は、選択されなかった検知情報を破棄する(ステップS15)。
【0085】
検知情報がセンサ生データ又は検知データ以外のデータを含む場合には(ステップS12においてNO、ステップS16においてNO)、検知情報送信部38は、当該検知情報を自動運転処理装置50に送信する(ステップS18)。
【0086】
通信部31が取得したデータがその他のデータである場合には(ステップS11においてNO)、制御部33は、取得したデータに応じた処理を実行する(ステップS19)。例えば、その他のデータが基地局4から取得した交通情報である場合には、中継部39が交通情報をHMI処理装置70での表示のためにHMI処理装置70に送信してもよいし、自動運転処理装置50における自動運転処理のために自動運転処理装置50に送信してもよい。
中継装置30は、図4及び図5に示す処理を繰り返し実行する。
【0087】
〔実施形態1の効果等〕
以上説明したように本開示の実施形態1によると、センサの検知位置と車両1両の位置とに基づいて外部装置(車両2又はインフラセンサ3)より取得された検知情報が選択され、自動運転処理装置50に送信される。このため、例えば、車両1の走行に与える影響の少ない、車両1から離れた検知位置を示す検知情報を除き、車両1の走行に重大な影響を与える車両1の近傍の検知位置を示す検知情報のみを自動運転処理装置50に送信することができる。これにより、車載ネットワークの通信トラフィック量の増大を抑制しつつ、車両1以外のセンサによる検知情報のうち必要なものを自動運転処理装置50に送信することができる。
【0088】
なお、中継装置30は、車両1の走行計画に基づいて検知情報を選択するか否かを判断している。このため、例えば、取得した検知情報のうち、走行予定の無い道路上の検知位置を示す検知情報を除いたものを自動運転処理装置50に送信することができる。
【0089】
また、中継装置30は、自動運転処理装置50から車両制御処理装置60に送信される車両1の制御情報に基づいて車両1の走行計画を作成している。このため、中継装置30は、車両1の走行計画を直接取得できない場合であっても、走行計画を作成し、作成した走行計画に基づいて重要性の低い不要な検知結果を除外することができる。
【0090】
また、中継装置30は、車両1の方位に基づいて検知情報を選択するか否かを判断している。このため、中継装置30は、例えば、車両1の後方を走行し、かつ対向車線を走行する車両2Aの検知情報などのように、車両1の走行に影響を及ぼさない検知情報を除外することができる。
【0091】
また、中継装置30は、車両1の予定走行経路に沿った車両1の位置に基づいて検知情報を選択するか否かを判断している。このため、例えば、車両の予定走行経路から離れた検知位置を含む検知情報を除外することができる。
【0092】
<実施形態2>
実施形態1では、中継装置30は、車両1の走行計画を作成し、作成した走行計画に基づいて検知情報の選択の可否を判断した。実施形態2では、自動運転処理装置50から走行計画を取得し、取得した走行計画に従って検知情報の選択の可否を判断する。
【0093】
走行支援システムの構成は図1に示したものと同様である。また、車載システム10の構成は図2に示したものと同様である。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0094】
図6は、本開示の実施形態2に係る中継装置30の構成の一例を示すブロック図である。
実施形態2に係る中継装置30は、図3に示した実施形態1に係る中継装置30の構成において、走行計画作成部40の代わりに走行計画取得部42を備える。
【0095】
走行計画取得部42は、車両1の走行計画の送信を要求する要求信号を、通信部31を介して自動運転処理装置50に送信する。自動運転処理装置50は、中継装置30から走行計画の要求信号を受信し、当該要求信号に応答して、事前に設定された目的地までの車両1の走行計画を中継装置30に送信する。走行計画取得部42は、通信部31を介して自動運転処理装置50から、車両1の走行計画を取得し、記憶部32に格納する。
【0096】
検知情報選択部37は、記憶部32に格納された車両1の走行計画を用いて車両2又はインフラセンサ3から受信した検知情報を選択するか否かを判断する。選択の可否の判断方法は実施形態1と同様である。
【0097】
図7は、本開示の実施形態2に係る中継装置30の処理手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS1~S5の処理は、図4に示した実施形態1に係る中継装置30の実行する処理と同様である。
【0098】
通信部31が取得したデータが中継装置30向けのデータ(送信先として中継装置30が指定されたデータ)であり(ステップS4においてNO、ステップS21においてYES)、かつ当該データが自動運転処理装置50から送信された車両1の走行計画である場合には(ステップS22においてYES)、走行計画取得部42は、通信部31から走行計画を取得し、記憶部32に格納する(ステップS23)。なお、走行計画は上述したように走行計画取得部42からの要求に基づいて自動運転処理装置50から送信されてもよいし、自動運転処理装置50から定期的又は不定期に送信されてもよい。例えば、自動運転処理装置50は、車両1の走行計画に変更が生じた場合に中継装置30に対して変更後の走行計画を送信してもよい。
【0099】
通信部31が取得したデータが車両1の走行計画以外の中継装置30向けのデータである場合には(ステップS4においてNO、ステップS21においてYES、ステップS22においてNO)、制御部33は通信部31からデータを取得し、当該データに基づいた処理を実行する(ステップS24)。
【0100】
通信部31が取得したデータが、車両1の位置情報及び方位情報、並びに中継装置30向けのデータのいずれでもない場合には(ステップS21においてNO)、中継装置30は、図5に示したのと同様の処理を実行する。
中継装置30は、図7及び図5に示す処理を繰り返し実行する。
【0101】
本開示の実施形態2によると、自動運転システムを構成する自動運転処理装置50から車両1の走行計画を取得し、取得した走行計画に基づいて不要な検知結果を除外することができる。なお、中継装置30は、自動運転処理装置50以外の車載装置から車両1の走行計画を取得してもよい。例えば、中継装置30は、ADASを構成する車載装置から車両1の走行計画を取得してもよい。
【0102】
<実施形態3>
実施形態2では、中継装置30は、自動運転処理装置50から中継装置30向けに送信された車両1の走行計画に基づいて検知情報の選択の可否を判断した。実施形態3では、中継装置30は、自動運転処理装置50から中継装置30以外の車載装置に送信され、中継装置30が中継する車両1の走行計画に基づいて、検知情報の選択の可否を判断する。
【0103】
走行支援システムの構成は図1に示したものと同様である。また、車載システム10の構成は図2に示したものと同様である。また、中継装置30の構成は図6に示したものと同様である。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
以下、実施形態1及び2と異なる点を中心に説明を行う。
【0104】
図2を参照して、自動運転処理装置50は、作成した車両1の走行計画情報を、中継装置30を介してHMI処理装置70に送信する。
【0105】
中継装置30は、自動運転処理装置50から送信された走行計画を受信し、送信先としてHMI処理装置70が指定されている場合には、当該走行計画をHMI処理装置70に送信する。また、中継装置30は、当該走行計画に基づいて、車両1の外部の装置から送信された検知情報の選択の可否を判断する。
【0106】
HMI処理装置70は、中継装置30を介して自動運転処理装置50から車両1の走行計画情報を受信する。HMI処理装置70は、例えば、受信した走行計画情報に基づいて地図上に車両1の走行予定ルートを示した画像を表示画面に表示させる。
【0107】
図6を参照して、走行計画取得部42は、中継部39が中継するデータのうち、自動運転処理装置50からHMI処理装置70に送信される車両1の走行計画を通信部31から取得し、記憶部32に格納する。
【0108】
検知情報選択部37は、記憶部32に格納された車両1の走行計画を用いて車両2又はインフラセンサ3から受信した検知情報を選択するか否かを判断する。選択の可否の判断方法は実施形態1と同様である。
【0109】
図8は、本開示の実施形態3に係る中継装置30の処理手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS1~S5の処理は、図4に示した実施形態1に係る中継装置30の実行する処理と同様である。
【0110】
通信部31が取得したデータがHMI処理装置70向けのデータ(送信先としてHMI処理装置70が指定されたデータ)であり(ステップS4においてNO、ステップS31においてYES)、かつ当該データが自動運転処理装置50から送信された車両1の走行計画である場合には(ステップS32においてYES)、走行計画取得部42は、通信部31から走行計画を取得し、記憶部32に格納する(ステップS33)。
【0111】
通信部31が取得したデータが車両1の走行計画以外のHMI処理装置70向けのデータである場合には(ステップS4においてNO、ステップS31においてYES、ステップS32においてNO)、走行計画格納処理(ステップS33)は実行されない。
【0112】
その後、中継部39は、HMI処理装置70向けのデータをHMI処理装置70に送信する(ステップS34)。
【0113】
通信部31が取得したデータが、車両1の位置情報及び方位情報、並びにHMI処理装置70向けのデータのいずれでもない場合には(ステップS31においてNO)、中継装置30は、図5に示したのと同様の処理を実行する。
中継装置30は、図8及び図5に示す処理を繰り返し実行する。
【0114】
本開示の実施形態3によると、中継装置30は、自動運転処理装置50からHMI処理装置70への中継対象である車両1の走行計画を取得し、取得した走行計画に基づいて不要な検知結果を除外することができる。これにより、車載ネットワークの通信トラフィック量を増大させることなく取得した走行計画に基づいて不要な検知結果を除外することができる。
【0115】
なお、車両1の走行計画の送信元及び送信先は、自動運転処理装置50及びHMI処理装置70にそれぞれ限定されるものではない。例えば、送信元がADASを構成する車載装置であってもよい。
【0116】
<変形例>
上述の実施形態1~3では、検知情報の選択の可否を繰り返し実行することとした。これに対し、一旦、検知情報として選択されないことが決定された場合には、当該検知情報の送信元である外部装置から送信される検知情報については、車両1の走行計画に基づいて選択するか否かを判断する処理を所定期間行わずに、選択しないと判断してもよい。
【0117】
具体的には、検知情報選択部37は、車両1の走行計画を用いた検知情報を選択するか否かの判断処理において、選択しないと判断した場合には、当該検知情報の送信元である外部装置の識別子と、当該外部装置から送信される検知情報の判断処理の実行を再開する時刻とを記憶部32に格納されたデータテーブルに書き込む。
【0118】
図9は、記憶部32に格納されたデータテーブルの一例を示す図である。データテーブルは、送信元識別子及び削除時刻の情報を含む。送信元識別子は、検知情報を選択しないと判断された外部装置の識別子を示す。削除時刻は、データテーブルから送信元識別子を削除する時刻、つまり、当該外部装置から送信される検知情報の判断処理の実行を再開する時刻を示す。なお、削除時刻は、車両1が送信元に係る位置に到達するまで時刻に基づいて定められる。例えば、送信元が車両2又はインフラセンサ3である場合には、車両1が車両2又はインフラセンサ3の近傍位置(例えば、車両2又はインフラセンサ3から所定距離内の車両1が走行可能な位置)まで走行すると仮定した場合の当該近傍位置への到達予定時刻を削除時刻としてもよい。
【0119】
例えば、図1を参照して、検知情報選択部37が、車両2Aから送信された検知情報を選択しないと判断した場合には、車両2Aの識別子「Car123」と、識別子「Car123」の削除時刻「12:05:15」とをデータテーブルに書き込む。削除時刻は、例えば、車両1が交差点IS1及びIS2での左折と、その先の交差点での左折等を繰り返し、現在走行中の道路に戻ってきたと仮定した場合の、車両2Aの近傍位置に到達する予定の時刻である。
【0120】
また、検知情報選択部37が、インフラセンサ3Bから送信された検知情報を選択しないと判断した場合には、インフラセンサ3Bの識別子「Cam456」と、識別子「Cam456」の削除時刻「12:03:18」とをデータテーブルに書き込む。削除時刻は、例えば、車両1が交差点IS1を左折したと仮定した場合の、インフラセンサ3Bの近傍位置に到達する予定の時刻である。
【0121】
検知情報選択部37は、データテーブルを参照して、データテーブルに登録されている送信元識別子で示される外部装置から送信される検知情報について、削除時刻が到来するまでの間は、車両1の走行計画を用いた検知情報の選択可否の判断処理を実行せずに、当該検知情報を選択しないと判断する。例えば、通信部31が識別子「Cam456」を含む検知情報を「12:02:00」に受信したとする。データテーブルには、送信元識別子「Cam456」が登録されており、その削除時刻「12:03:18」に到来していない。このため、検知情報選択部37は、「12:02:00」に受信した識別子「Cam456」を含む検知情報を選択しないと判断し、検知情報送信部38は当該検知情報を送信せずに破棄する。一方、通信部31が識別子「Cam789」を含む検知情報を「12:02:30」に受信したとする。識別子「Cam789」はデータテーブルに登録されていない。このため、検知情報選択部37は、車両1の走行計画に基づいて、「12:02:30」に受信した識別子「Cam789」を含む検知情報を選択するか否かを判断する。
【0122】
なお、検知情報選択部37は、現在時刻とデータテーブルに登録されている削除時刻とを比較し、削除時刻を過ぎている場合には、削除時刻と削除時刻に対応する送信元識別子をデータテーブルから削除する。例えば、通信部31が識別子「Cam456」を含む検知情報を「12:03:30」に受信したとする。データテーブルには、送信元識別子「Cam456」が登録されており、その削除時刻「12:03:18」は既に到来している。このため、検知情報選択部37は、データテーブルから、送信元識別子「Cam456」と、その削除時刻「12:03:18」とを削除する。その上で、検知情報選択部37は、「12:03:30」に受信した識別子「Cam456」を含む検知情報を選択するか否かを、車両1の走行計画に基づいて判断する。
【0123】
除外することが好ましいと判断された外部装置から送信される検知情報は、その後も不要であると考えられる。このため、本変形例によると、検知情報を選択するか否かの判断処理を効率的に行うことができる。
【0124】
また、削除時刻は、車両1が検知情報の送信元である外部装置に係る位置に到達する時刻(当該位置に到達するまでの時間)に基づいて定められる。これにより、車両1が外部装置の位置や外部装置から送信される検知情報の検知位置から離れていると思われる場合には、外部装置からの検知情報を選択するか否かの判断処理を省略して、強制的に検知情報を選択しないと判断することができる。
【0125】
なお、上記した削除時刻は、選択されなかった検知情報を受信してからあらかじめ定められた一定時間経過後の時刻としてもよい。これにより、削除時刻の決定を高速かつ低処理負荷で行うことができる。
【0126】
なお、本変形例では、選択されなかった検知情報の送信元に関する情報をデータテーブルに登録することとしたが、選択された検知情報の送信元に関する情報をデータテーブルに登録するようにしてもよい。例えば、検知情報選択部37は、車両2Bから送信された検知情報を選択すると判断した場合には、車両2Bの識別子「Car222」と、識別子「Car222」の削除時刻とをデータテーブルに登録してもよい。これにより、検知情報選択部37は、データテーブルを参照して、削除時刻が到来するまでの間、通信部31が受信した識別子「Car222」を含む検知情報について、車両1の走行計画に基づく選択するか否かの判断処理を行わずに、当該検知情報を強制的に選択するようにしてもよい。なお、削除時刻は、例えば、車両1が車両2Bの位置から所定距離離れた位置への到達予定時刻としてもよいし、選択すると判断された検知情報を受信してからあらかじめ定められた一定時間経過後の時刻としてもよい。
【0127】
[付記]
上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1又は複数のシステムLSIなどの半導体装置から構成されていてもよい。
【0128】
上記したコンピュータプログラムを、コンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体、例えば、HDD、CD-ROM、半導体メモリなどに記録して流通させてもよい。また、コンピュータプログラムを、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送して流通させてもよい。
また、上記各装置は、複数のコンピュータ又は複数のプロセッサにより実現されてもよい。
【0129】
また、上記各装置の一部又は全部の機能がクラウドコンピューティングによって提供されてもよい。つまり、各装置の一部又は全部の機能がクラウドサーバにより実現されていてもよい。
さらに、上記実施形態及び上記変形例の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0130】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0131】
1 車両
2 車両
2A 車両
2B 車両
2C 車両
2D 車両
3 インフラセンサ
3A インフラセンサ
3B インフラセンサ
4 基地局
5 経路
10 車載システム
20 通信装置
30 中継装置
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
34 検知情報取得部
35 車両位置取得部
36 車両方位取得部
37 検知情報選択部
38 検知情報送信部
39 中継部
40 走行計画作成部
41 バス
42 走行計画取得部
50 自動運転処理装置
60 車両制御処理装置
70 HMI処理装置
IS1 交差点
IS2 交差点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9