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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097112
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】スリップピール
(51)【国際特許分類】
   A21B 3/07 20060101AFI20240710BHJP
   A47J 37/08 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
A21B3/07
A47J37/08 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000334
(22)【出願日】2023-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 美帆
(72)【発明者】
【氏名】小野 啓太
(57)【要約】
【課題】スリップピールの回動ベルトを構成する帯状のシートの長手方向の両端部を連結する連結プレートがサイドフレームの上端部に摺動しないようにする。
【解決手段】スリップピール20は、左右のサイドフレーム21の前後に回転可能に設けられた前後のローラ22と、帯状のシートを前後のローラ22の間に回動可能な状態で環状に掛け渡した回動ベルト23と、左右のサイドフレーム21の外側に突出する係合突出部31a,32aを有し、帯状のシートの両端部23a,23bを連結する連結プレート30とを備え、回動ベルト23を構成するシートの一部を連結プレート30の下側に配置させ、サイドフレーム21の内側にはサイドフレーム21の上端から連結プレート30の下側に配置させた帯状のシートの厚みの長さdを減じた高さより高い位置pに下側に帯状のシートを配置させた連結プレート30を摺動させて前後に案内する摺動案内部24を設けた。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼成炉の前面開口部から挿入するようにして被焼成物を前記焼成炉内に搬入するためのスリップピールであって、
左右に離間した位置にて前後に延びる左右一対のサイドフレームと、
前記左右一対のサイドフレームの前部及び後部に回転可能に設けられた前後一対のローラと、
前記左右一対のサイドフレームの内側にて帯状のシートを前記前後一対のローラの間に回動可能な状態で環状に掛け渡して上側に前記被焼成物を載置可能とした回動ベルトと、
前記左右一対のサイドフレームの外側に突出して前記焼成炉の前面開口部に設けたストッパに係合可能な係合突出部を有し、前記帯状のシートの長手方向の両端部を連結して回動ベルトを環状に形成する連結プレートとを備え、
前記回動ベルトを構成する帯状のシートの一部を前記連結プレートの下側に配置させるとともに、
前記左右一対のサイドフレームの内側には前記サイドフレームの上端から前記連結プレートの下側に配置させた前記帯状のシートの厚みの長さを減じた高さより高い位置に下側に帯状のシートを配置させた前記連結プレートを摺動させて前後に案内する摺動案内部を設けたことを特徴とするスリップピール。
【請求項2】
請求項1に記載のスリップピールにおいて、
前記連結プレートは、前記回動ベルトを構成する帯状のシートの長手方向の両端部を上下で挟むことにより連結して前記回動ベルトを環状に形成させる上側及び下側プレートとを備え、
前記回動ベルトを構成するシートの長手方向の一方の端部を前記下側プレートに上下に巻き付けた状態で、前記回動ベルトを構成するシートの長手方向の両端部を前記上側及び下側プレートにより上下に挟むようにして前記下側プレートの下側に前記回動ベルトを構成する帯状のシートの一部を配置させたことを特徴とするスリップピール。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスリップピールにおいて、
前記摺動案内部を前記サイドフレームの上端よりも低い位置に配置したことを特徴とするスリップピール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デッキオーブン等のオーブン調理装置の焼成炉内にパン生地等の被焼成物を搬入するためのスリップピールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パン生地を焼成するベーカリーオーブン(デッキオーブン等のオーブン調理装置)が開示されている。このベーカリーオーブンは、オーブン架台上に3段のオーブン庫(焼成炉)を有するオーブン本体を備え、各オーブン庫には正面側からスリップピールを挿入及び引き出すことによりパン生地が搬入可能となっている。この種のスリップピールは、左右に離間した位置にて前後に延びる左右一対のサイドフレームと、左右一対のサイドフレームの前部及び後部に回転可能に設けられた前後一対のローラと、帯状のシートを前後一対のローラの間に回動可能な状態で環状に掛け渡して上側にパン生地を載置可能とした回動ベルトと、帯状のシートの長手方向の両端部を上下で挟むことによってシートを環状に形成する上側及び下側プレートよりなる連結プレートと、左右一対のサイドフレームの後端部に設けたハンドルを備えている。
【0003】
上側プレートの上部には回動ベルトを回動させる摘まみノブが設けられており、摘まみノブを摘まんで上側及び下側プレートを前側に移動させることにより、回動ベルトには上側及び下側プレートの後側にパン生地を載せる領域が形成される。上側及び下側プレートの左右両側部には左右一対のサイドフレームの外側に突き出てオーブン庫の前面開口部に設けたストッパに係合可能な係合突出部が形成されており、スリップピールをオーブン庫内に挿入したときに係合突出部をストッパに係合させ、スリップピールをオーブン庫内から前側に引き出すと、上側及び下側プレートがサイドフレームに対して後側に移動し、回動ベルトの上側部分が上側及び下側プレートとともにサイドフレームに対して後側に送り出される。
【0004】
パン生地をスリップピールによりオーブン庫内に搬入するときには、上側及び下側プレートをサイドフレームの前部に移動させ、回動ベルトにおける上側及び下側プレートの後側の領域にパン生地を載せ、スリップピールをオーブン庫内に挿入し、上側及び下側プレートの左右両側部の係合突出部をオーブン庫の前面開口部のストッパに係合させた状態でスリップピールを前側に引き出すと、上側及び下側プレートがサイドフレームに対して後側に移動し、回動ベルトの上側に載せたパン生地がオーブン庫内の炉床板の上側に載せられるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-226114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1のベーカリーオーブンに用いられるスリップピールは、パン生地を回動ベルトの上側に載せるために上側及び下側プレートをサイドフレームに対して前側に移動させるとき、回動ベルトの上側に載せたパン生地を焼成炉内の炉床板の上側に載せるために上側及び下側プレートをサイドフレームに対して後側に移動させるときに、下側プレート(連結プレート)の下面がサイドフレームの上端部に対して摺動する。下側プレート及びサイドフレームは一般的にステンレスやアルミニウム等の金属部材が用いられており、下側プレートがサイドフレームの上端部に対して繰り返し摺動したときには金属の摩耗粉が発生し、パン生地等の被焼成物に金属の摩耗粉が付着するおそれがある。また、下側プレートがサイドフレームの上端部に繰り返し摺動したときには摺動面から金属同士が擦れ合う音が発生し、ユーザが金属同士が擦れ合う音を不快と感じるおそれがある。さらに、下側プレートがサイドフレームの上端部と繰り返し摺動したときには摺動面の端部が鋭利になり、ユーザが鋭利となった端部に触れるおそれがある。本発明は、スリップピールの回動ベルトを構成する帯状のシートの長手方向の両端部を連結する連結プレートがサイドフレームの上端部に摺動しないようにし、連結プレートがサイドフレームの上端部に摺動したときの不具合を発生させないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、焼成炉の前面開口部から挿入するようにして被焼成物を焼成炉内に搬入するためのスリップピールであって、左右に離間した位置にて前後に延びる左右一対のサイドフレームと、左右一対のサイドフレームの前部及び後部に回転可能に設けられた前後一対のローラと、左右一対のサイドフレームの内側にて帯状のシートを前後一対のローラの間に回動可能な状態で環状に掛け渡して上側に被焼成物を載置可能とした回動ベルトと、左右一対のサイドフレームの外側に突出して焼成炉の前面開口部に設けたストッパに係合可能な係合突出部を有し、帯状のシートの長手方向の両端部を連結して回動ベルトを環状に形成する連結プレートとを備え、回動ベルトを構成する帯状のシートの一部を連結プレートの下側に配置させるとともに、左右一対のサイドフレームの内側にはサイドフレームの上端から連結プレートの下側に配置させた帯状のシートの厚みの長さを減じた高さより高い位置に下側に帯状のシートを配置させた連結プレートを摺動させて前後に案内する摺動案内部を設けたことを特徴とするスリップピールを提供するものである。
【0008】
上記のように構成したスリップピールにおいては、回動ベルトを構成する帯状のシートの一部を連結プレートの下側に配置させるとともに、左右一対のサイドフレームの内側にはサイドフレームの上端から連結プレートの下側に配置させた帯状のシートの厚みの長さを減じた高さより高い位置に下側に帯状のシートを配置させた連結プレートを摺動させて前後に案内する摺動案内部を設けるようにしている。被焼成物を焼成炉内に搬入するために、回動ベルトを前後一対のローラの間で回動させたときに、連結プレートがサイドフレームの上側を前後に移動する。摺動案内部はサイドフレームの上端から連結プレートの下側に配置させた帯状のシートの厚みの長さを減じた高さより高い位置に配置されており、連結プレートは下側に回動ベルトを構成する帯状のシートの一部が配置された状態で摺動案内部を摺動して案内される。このとき、連結プレートの下面がサイドフレームの上端部に離間するようになるので、連結プレートがサイドフレームの上端部に接触することなく上側を前後に移動するようになる。これにより、連結プレートがサイドフレームの上端部に摺動したときの不具合を発生させないようにすることができる。
【0009】
上記のように構成したスリップピールにおいては、連結プレートは、回動ベルトを構成する帯状のシートの長手方向の両端部を上下で挟むことにより連結して回動ベルトを環状に形成させる上側及び下側プレートとを備え、回動ベルトを構成するシートの長手方向の一方の端部を下側プレートに上下に巻き付けた状態で、回動ベルトを構成するシートの長手方向の両端部を上側及び下側プレートにより上下に挟むようにして下側プレートの下側に回動ベルトを構成する帯状のシートの一部を配置させるようにするのが好ましい。このようにしたときには、回動ベルトを構成する帯状のシートの長手方向の一方の端部を下側プレートに上下に巻き付けた状態で、回動ベルトを構成する帯状のシートの長手方向の両端部を上側及び下側プレートにより上下に挟むようにすることで、回動ベルトを構成する帯状のシートを下側プレートの下側に配置させながら、回動ベルトを構成する帯状のシートの長手方向の両端部を連結させることができ、回動ベルトを構成する帯状のシートの長手方向の両端部を連結する作業性を良好とすることができる。
【0010】
上記のように構成したスリップピールにおいては、摺動案内部をサイドフレームの上端よりも低い位置に配置するのが好ましい。このようにしたときには、回動ベルトを前後のローラとの間で回動させたときに、回動ベルトを構成する帯状のシートがサイドフレームの上端を越えないようになり、回動ベルトが前後のローラとの間で左右にずれにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のスリップピールとオーブン調理装置の斜視図である。
図2】スリップピールの斜視図である。
図3】A-A断面図である。
図4】B-B断面図である。
図5】C-C断面図である。
図6】スリップピールを焼成炉内に挿入したときの斜視図(a)であり、スリップピールの前半部を焼成炉から引き出したときの前後方向に沿った縦方向断面斜視図(b)であり、スリップピールの前部を持ち上げて焼成炉から引き出すときの斜視図(c)である。
図7】回動ベルトから上側及び下側プレートを外すときの斜視図である。
図8】上側及び下側プレートを1つの連結プレートに代えたときの図3に相当する一部拡大断面図である。
図9】摺動案内部としてテーブルをレールに代えたときの図5に相当する一部断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明のスリップピールの一実施形態を添付図面を参照して説明する。図1に示したように、本発明のスリップピール20は、デッキオーブン等のオーブン調理装置10の焼成炉11にパン生地等の被焼成物を搬入するのに用いられるものである。図1に示したように、本発明のスリップピール20が用いられるオーブン調理装置10は、パン生地や焼き菓子の生地(被焼成物)を自然対流式の焼成炉11内で加熱して焼成するものであり、焼成炉11の前面下端部に水平軸線回りに回動可能に設けた扉12を開放することによって、前面開口部13から焼成炉11内に被焼成物を搬入出可能としている。
【0013】
オーブン調理装置10の焼成炉11の下部にはセラミック製の炉床板14が設けられており、この炉床板14はパン生地等の被焼成物が載置可能となっている。焼成炉11の上部と下部にはヒータ(図示省略)が設けられており、焼成炉11内はこれらのヒータによって加熱される。焼成炉11の前面開口部13には左右両側部の下部に後述するスリップピール20の係合突出部31a,32aに係合可能なストッパ15が設けられており、ストッパ15は、焼成炉11内に挿入したスリップピール20を前側に引き出したときに上側及び下側プレート31,32の係合突出部31a,32aに係合することで、上側及び下側プレート31,32を左右のサイドフレーム21,21に対して後側に移動させることによって回動ベルト23を回動させる。
【0014】
図2及び図3に示したように、スリップピール20は、デッキオーブン等のオーブン調理装置10の焼成炉11内に挿入するようにしてパン生地等の被焼成物を焼成炉11内に搬入するためのものである。スリップピール20は、左右に離間した位置にて前後に延びる左右一対のサイドフレーム21,21と、左右一対のサイドフレーム21,21の前部及び後部に回転可能に設けられた前後一対のローラ22,22と、左右一対のサイドフレーム21,21の内側にて帯状のシートを前後一対のローラ22,22の間に回動可能な状態で環状に掛け渡して上側にパン生地等の被焼成物を載置可能とした回動ベルト23と、回動ベルト23を構成する帯状のシートの長手方向の一方の端部23aと他方の端部23bとからなる両端部23a,23bを連結して回動ベルト23を環状に形成する連結プレート30として上側及び下側プレート31,32とを備えている。
【0015】
図4及び図5に示したように、サイドフレーム21は、左右方向に沿った鉛直方向の断面形状が水平方向に延びる水平板部21aと水平板部21aの外側部から上方に延びる鉛直板部21bとを有し、内側に開くL字形をしたアルミニウム等の金属製の板金部材を用いたものである。図3に示したように、左右一対のサイドフレーム21,21の鉛直板部21b,21bの前部及び後部にはローラ22,22が回転可能に設けられており、前後のローラ22,22の間にはパン生地等の被焼成物を載置可能な回動ベルト23が環状となるように掛け渡されている。
【0016】
図3図5に示したように、左右一対のサイドフレーム21,21の鉛直板部21b,21bの上部にはテーブル24が設けられており、テーブル24は、前後のローラ22,22とともに左右のサイドフレーム21,21を連結し、前後のローラ22,22に掛け渡した回動ベルト23の上側部が垂れ下がるの防ぐ機能を有している。また、テーブル24は、後述する下側プレート32がサイドフレーム21の上端部に摺動するのを防止する摺動防止手段としての摺動案内部として機能している。
【0017】
図3に示したように、左右一対のサイドフレーム21,21の水平板部21a,21aには前後方向の中間部と後部に連結板25,25が設けられており、連結板25,25は前後のローラ22,22とテーブル24とともに左右のサイドフレーム21,21を連結している。左右のサイドフレーム21,21の後部にはキャスター(車輪)26,26が設けられており、キャスター26,26はスリップピール20を焼成炉11内の奥部に挿入するとき及び焼成炉11内から引き出すときに炉床板14の上側を転がして用いられる。左右のサイドフレーム21,21の前部には左右方向に延びるハンドル27が設けられており、ハンドル27はスリップピール20を焼成炉11内に挿入するとき及び焼成炉11内から引き出すときに把持するのに用いられる。
【0018】
図2図5に示したように、回動ベルト23は、キャンバス生地(帆布)等の布製の生地を帯状のシートにして用いたものであり、帯状の生地を用いたシートを前後のローラ22,22の間に回動可能な状態で環状に掛け渡したものである。回動ベルト23は、帯状のシートの周縁部で糸がほつれるのを防ぐために三つ折りで仕上げられており、回動ベルト23の周縁部の厚みは三つ折りで仕上げられているので生地の厚みの3倍の厚みとなっている。
【0019】
図2図5に示したように、環状に掛け渡された回動ベルト23を構成する帯状のシートの長手方向の一方の端部23aと他方の端部23bとからなる両端部23a,23bには連結プレート30が設けられており、帯状のシートは連結プレート30によって長手方向の両端部23a,23bが連結されて環状の回動ベルト23が形成される。この実施形態の連結プレート30は、アルミニウム等の金属製の上側及び下側プレート31,32とを備え、回動ベルト23を構成する帯状のシートの長手方向の両端部23a,23bは上側及び下側プレート31,32によって上下で挟まれた状態で連結されている。下側プレート32は上側プレート31の上側から挿通されたボルトが下側プレート32に形成した雌ねじ孔に螺着することにより上側プレート31に固定されている。上側プレート31の上面部には摘まみノブ33が設けられており、摘まみノブ33は上側及び下側プレート31,32を前後に移動させるときに摘まんで用いられる。摘まみノブ33を摘まんで上側及び下側プレート31,32を前後に移動させることで、回動ベルト23は前後のローラ22,22の間を回動する。
【0020】
図2図4及び図5に示したように、上側及び下側プレート31,32は左右のサイドフレーム21,21の外側に突出した係合突出部31a,32aを備えており、係合突出部31a,32aは左右のサイドフレーム21,21の前部に設けたストッパ28,28及び焼成炉11の前面開口部13に設けたストッパ15に係合可能となっている。上側及び下側プレート31,32を左右のサイドフレーム21に対して前側に移動させたときには、回動ベルト23の上半部が前側に回動し、係合突出部31a,32aは左右のサイドフレーム21の前部のストッパ28に係合することで、上側及び下側プレート31,32は左右のサイドフレーム21,21の前部にて回動ベルト23にパン生地を載置可能な位置で止められる。この状態で、スリップピール20を前面開口部13から焼成炉11内の奥部に挿入し、係合突出部31a,32aを焼成炉11の前面開口部13に設けたストッパ15に係合させた状態でスリップピール20を前側に引き出すと、上側及び下側プレート31,32は左右のサイドフレーム21に対して後側に移動し、回動ベルト23の上半部は後側に回動する。
【0021】
回動ベルト23を前後のローラ22,22の間で回動させたときに、下側プレート32は左右のサイドフレーム21,21の上側を移動する。下側プレート32が左右のサイドフレーム21,21の鉛直板部21b,21bの上端部と摺動するのを防ぐために、スリップピール20は摺動防止手段を備えている。図5に示したように、この実施形態の摺動防止手段は、回動ベルト23を構成する帯状のシートを連結プレート30を構成する下側プレート32の下側に配置させるとともに、テーブル(摺動案内部)24をサイドフレーム21,21の鉛直板部21b,21bの上端から連結プレート30を構成する下側プレート32の下側に配置させた帯状のシートの厚みの長さdを減じた高さより高い位置pに配置させている。
【0022】
この実施形態では、図2及び図3に示したように、下側プレート32には回動ベルト23を構成する帯状のシートの長手方向の一方の端部23aが下側から上側に巻き付けられており、下側プレート32の下側には帯状のシートの一部として下側部23cが配置されるようになっている。また、下側に帯状のシートを配置させた下側プレート32を摺動させる摺動案内部を構成するテーブル24は、上面の摺動面24aがサイドフレーム21,21の鉛直板部21b,21bの上端より低い位置に配置され、上面の摺動面24aがサイドフレーム21,21の鉛直板部21b,21bの上端から下側プレート32の下側に配置させた帯状のシートの厚みdの長さを減じた高さより高い位置pとなるようにサイドフレーム21,21の鉛直板部21b,21bに取り付けられている。
【0023】
下側に帯状のシートの一部として下側部23cが配置された下側プレート32が摺動案内部となるテーブル24の上面の摺動面24aに載置された状態で、下側プレート32の下面はサイドフレーム21の鉛直板部21bの上端から離間している。このため、上側及び下側プレート31,32を前後に移動させることで回動ベルト23を前後のローラ22,22の間で回動させたときに、下側プレート32の下側に配置させた回動ベルト23を構成する帯状のシートの一部として下側部23cがテーブル24の摺動面24aを摺動し、下側プレート32の下面がテーブル24に直接接触して摺動しないようになるとともに、下側プレート32の下面がサイドフレーム21の鉛直板部21bの上端と直接接触して摺動しない。
【0024】
スリップピール20を用いてパン生地をオーブン調理装置10の焼成炉11内に搬入するときには、上側及び下側プレート31,32を左右のサイドフレーム21の前部に移動させ、回動ベルト23の上側及び下側プレート31,32の後側にパン生地を載置する領域を確保する。図6(a)に示したように、回動ベルト23の上側及び下側プレート31,32の後側の領域にパン生地を載置し、スリップピール20を焼成炉11内の奥部(後部)まで挿入する。図6(b)に示したように、上側及び下側プレート31,32の左右の係合突出部31a,32aを焼成炉11の前面開口部13のストッパ15に係合させた状態で、スリップピール20を前側に引き出すと、上側及び下側プレート31,32がストッパ15に係合しているので、上側及び下側プレート31,32は左右のサイドフレーム21,21に対して後側に移動することで回動ベルト23の上側部が後側に回動し、回動ベルト23の上側及び下側プレート31,32の後側の領域に載せたパン生地は焼成炉11内の炉床板14の上側に載置されるようになる。その後、図6(c)に示したように、スリップピール20の前部を持ち上げて焼成炉11内から引き出す。
【0025】
図7に示したように、回動ベルト23は、洗浄等のメンテナンスが容易となるように、前後のローラ22,22の間で着脱可能に取り付けられている。下側プレート32の下側に回動ベルト23を構成する帯状のシートの一部とした下側部23cを配設するために、帯状のシートの長手方向の一方の端部23aは上側に折り返されている。シートの長手方向の一方の端部23aは先端の左右の側部23dがシートの対向する位置に縫い付けられており、シートの長手方向の一方の端部23aは先端の左右の側部23dを除いた中央部23eが下側プレート32を抜き差し可能となっている。シートの長手方向の一方の端部23aにおける左右方向の中央部23eから下側プレート32を差し入れて、帯状のシートを下側プレート32に上下に巻き付けた状態とする。帯状のシートの長手方向の一方の端部23aを巻き付けた下側プレート32の上側にシートの長手方向の他方の端部23bを重ねておき、シートの長手方向の両端部23a,23bを上側及び下側プレート31,32により上下に挟み、上側プレート31の上側から挿通されたボルトを用いて下側プレート32を上側プレート31に固定する。また、回動ベルト23を取り外すときにはこの逆の手順によって上側及び下側プレート31,32を取り外すようにする。
【0026】
上記のように構成したスリップピール20は、オーブン調理装置10の焼成炉11の前面開口部13から挿入するようにしてパン生地等の被焼成物を焼成炉11内に搬入するためのものである。スリップピール20は、左右に離間した位置にて前後に延びる左右一対のサイドフレーム21,21と、左右一対のサイドフレーム21,21の前部及び後部に回転可能に設けられた前後一対のローラ22,22と、左右一対のサイドフレーム21,21の内側にて帯状のシートを前後一対のローラ22,22の間に回動可能な状態で環状に掛け渡して上側にパン生地等の被焼成物を載置可能とした回動ベルト23と、左右一対のサイドフレーム21,21の外側に突出して焼成炉11の前面開口部13に設けたストッパ15に係合可能な係合突出部31a,32aを有し、帯状のシートの長手方向の両端部23a,23bを連結して回動ベルト23を環状に形成する連結プレート30とを備えている。
【0027】
この実施形態では連結プレート30は、回動ベルト23を構成する帯状のシートの長手方向の両端部23a,23bを上下で挟むことにより連結して回動ベルト23を環状に形成させる上側及び下側プレート31,32とを備えている。このスリップピール20においては、連結プレート30の下側プレート32が左右のサイドフレーム21,21の上端部に摺動するのを防ぐ摺動防止手段として、連結プレート30の下側プレート32の下側に回動ベルト23を構成する帯状のシートの一部として下側部23cを配置するとともに、左右一対のサイドフレーム21,21の内側にはサイドフレーム21の上端から下側プレート32の下側に配置させた帯状のシートの厚みの長さdを減じた高さより高い位置pに摺動案内部としてテーブル24を配設し、下側に帯状のシートを配置させた下側プレート32を摺動案内部となるテーブル24の上側を摺動させて前後に案内している。
【0028】
パン生地等の被焼成物を焼成炉11内に搬入するために、回動ベルト23を前後一対のローラ22,22の間で回動させたときに、連結プレート30の下側プレート32がサイドフレーム21の鉛直板部21bの上側を移動する。連結プレート30の下側プレート32は下側に回動ベルト23を構成する帯状のシートの一部として下側部23cが配置され、摺動案内部となるテーブル24はサイドフレーム21の上端から下側プレート32の下側に配置させた帯状のシートの厚みの長さdを減じた高さより高い位置pに摺動案内部となるテーブル24が配設されており、連結プレート30の下側プレート32は下側に回動ベルトを構成する帯状のシートの一部として下側部23cが配置された状態でテーブル24の上面の摺動面24aを摺動して案内される。連結プレート30の下側プレート32の下面がサイドフレーム21,21の鉛直板部21b,21bの上端部に離間することになり、連結プレート30の下側プレート32がサイドフレーム21の鉛直板部21bの上端部に接触することなく上側を移動するようになる。これにより、連結プレート30の下側プレート32がサイドフレーム21の鉛直板部21bの上端部に摺動したときの不具合として、摩耗粉の発生や金属同士が擦れ合う音や摺動面の端部が鋭利となる等の不具合を発生させないようにすることができる。
【0029】
また、下側プレート32の下側に摺動性のよいプラスチックなどの樹脂材を用いたプレートを配設したときにも、下側プレート32がサイドフレーム21の鉛直板部21bの上端から離間させることもできるが、樹脂材を用いたプレートを下側プレート32の下側に配設したときには、樹脂材のプレートから樹脂の摩耗粉が発生したり、樹脂材のプレートが一時的に収容された焼成炉内で変形するおそれがある。下側プレート32の下側に布製の生地を用いたシートの一部を配置しているので、布製の生地から発生する摩耗粉はパン生地に対して影響を与えにくく、布製の生地を用いたシートは一時的に収容された焼成炉内で熱による影響を受けにくくなっている。
【0030】
また、この実施形態では摺動案内部となるテーブル24の上面の摺動面24aは、サイドフレーム21の鉛直板部21bの上端より下側に配設されている。回動ベルト23を前後のローラ22,22との間で回動させたときに、回動ベルト23を構成する帯状のシートがサイドフレーム21の鉛直板部21bの上端を越えないようになり、回動ベルト23が前後のローラ22,22との間で左右にずれにくくなる。なお、回動ベルト23が前後のローラ22,22との間で左右にずれにくくなる効果を得にくくなるものの、摺動案内部となるテーブル24の上面部となる摺動面24aをサイドフレーム21の鉛直板部21bの上端以上の位置に配設するようにしたものであってもよい。
【0031】
この実施形態の連結プレート30は、回動ベルト23を構成する帯状のシートの長手方向の両端部23a,23bを上下で挟むことにより連結して回動ベルト23を環状に形成させる上側及び下側プレート31,32を備えている。この連結プレート30においては、回動ベルト23を構成するシートの長手方向の一方の端部23aを下側プレート32に上下に巻き付けた状態で、回動ベルト23の周方向の両端部23a,23bを上側及び下側プレート31,32により上下に挟むようにして下側プレート32の下側に回動ベルト23を構成する帯状のシートの一部である下側部23cを配置させている。回動ベルト23を構成する帯状のシートの長手方向の一方の端部23aを下側プレート32に上下に巻き付けた状態で、回動ベルト23を構成する帯状のシートの長手方向の両端部23a,23bを上側及び下側プレート31,32により上下に挟むようにすることで、回動ベルト23を構成する帯状のシートを下側プレート32の下側に配置させながら、回動ベルト23を構成する帯状のシートの長手方向の両端部23a,23bを連結させることができ、回動ベルト23を構成する帯状のシートの長手方向の両端部23a,23bを連結する作業性を良好とすることができる。
【0032】
この実施形態の連結プレート30は、回動ベルト23を構成する帯状のシートの長手方向の両端部23a,23bを上下で挟むことにより連結して回動ベルト23を環状に形成させる上側及び下側プレート31,32を備えたものである。本発明は、これに限られるものでなく、図8に示したように、連結プレート30は1つのプレートを用いるようにしたもので、回動ベルト23を構成するシートの長手方向の一方の端部23aを連結プレート30に上下に巻き付けた状態とし、一方の端部23aを巻き付けた連結プレート30の上側にシートの長手方向の他方の端部23bを置き、回動ベルト23の長手方向の両端部23a,23bを連結プレート30の上面にワッシャ等の円環状部材を介してボルトとナットによって固定するようにし、連結プレート30の下側に回動ベルト23を構成する帯状のシートの一部として下側部23cを配置させるようにしたものであってもよい。
【0033】
この実施形態のスリップピール20においては、摺動案内部としてテーブル24を用いているが、これに限られるものでなく、図9に示したように、テーブル24の代わりに各々のサイドフレーム21の鉛直板部21bの内側に摺動案内部として前後に延びるレール29を配設したものであってもよい。
【0034】
この実施形態のスリップピール20においては、下側プレート32には回動ベルト23を構成する帯状のシートの長手方向の一方の端部23aが下側から上側に巻き付けられており、下側プレート32の下側には帯状のシートの一部として下側部23cが配置されるようになっている。これに限られるものでなく、下側プレート32には回動ベルト23を構成する帯状のシートの長手方向の一方の端部23aが上側から下側に巻き付けるようにし、下側プレート32の下側には帯状のシートの一部として一方の端部23aを下側部として配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
11…焼成炉、13…前面開口部、15…ストッパ、20…スリップピール、21…サイドフレーム、22…ローラ、23…回動ベルト、23a,23b…両端部、24…テーブル(摺動案内部)、30…連結プレート、31…上側プレート、32…下側プレート、31a,32a…係合突出部。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9