(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009712
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】水中切断装置及びコンクリート部材の切断撤去方法
(51)【国際特許分類】
E02D 9/04 20060101AFI20240116BHJP
E04G 23/08 20060101ALI20240116BHJP
B28D 1/08 20060101ALI20240116BHJP
E02B 3/10 20060101ALI20240116BHJP
E02D 27/12 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
E02D9/04
E04G23/08 D
B28D1/08
E02B3/10
E02D27/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111444
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(71)【出願人】
【識別番号】596105208
【氏名又は名称】第一カッター興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 多成
(72)【発明者】
【氏名】山口 匡
(72)【発明者】
【氏名】藤村 博
(72)【発明者】
【氏名】森野 弘之
(72)【発明者】
【氏名】岡 重洋
(72)【発明者】
【氏名】丈達 康太
(72)【発明者】
【氏名】出口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】長塚 渉
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 由貴路
(72)【発明者】
【氏名】眞野 敬英
【テーマコード(参考)】
2D046
2D050
2D118
2E176
3C069
【Fターム(参考)】
2D046CA01
2D046CA13
2D050AA00
2D050EE01
2D118BA03
2D118CA01
2D118CA06
2D118CA07
2D118GA01
2D118GA05
2D118GA07
2D118GA09
2E176AA04
2E176DD22
3C069AA01
3C069BA06
3C069BB01
3C069BC02
3C069BC05
3C069CA07
3C069DA01
3C069EA01
(57)【要約】
【課題】水中でコンクリート部材を切断し撤去する工事において、作業工程の簡略化を図るとともに、潜水士による水中作業を省略して水中作業の安全性を向上することである。
【解決手段】水中でコンクリート部材を切断する水中切断装置であって、前記コンクリート部材をワイヤーソー切断する切断機構と、該切断機構が装着されるととともに、前記コンクリート部材を囲う取付架構と、を備え、前記切断機構は、ワイヤーソーを周回走行させる駆動機構と、前記ワイヤーソーを前記コンクリート部材に接触させる台車と、を有し、前記台車は、前記ワイヤーソーが掛け回される従動プーリを備え、前記コンクリート部材を挟んで対をなして配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中でコンクリート部材を切断する水中切断装置であって、
前記コンクリート部材をワイヤーソー切断する切断機構と、
該切断機構が装着されるととともに、前記コンクリート部材を囲う取付架構と、を備え、
前記切断機構は、
ワイヤーソーを周回走行させる駆動機構と、
前記ワイヤーソーを前記コンクリート部材に接触させる台車と、を有し、
前記台車は、
前記ワイヤーソーが掛け回される従動プーリを備え、前記コンクリート部材を挟んで対をなして配置されることを特徴とする水中切断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水中切断装置において、
前記駆動機構が、プーリガイドに沿って直線移動する駆動プーリを有し、
前記取付架構に、対をなす前記台車各々が移動する移動レールが設けられるとともに、
前記駆動機構と前記台車との間に、前記駆動プーリの直線運動を前記台車に伝達して、該台車各々を前記移動レールに沿って移動させる運動伝達機構が設けられることを特徴とする水中切断装置。
【請求項3】
請求項2に記載の水中切断装置において、
前記移動レールが、前記取付架構に横臥姿勢で設けられ、上面を凸形状に形成されることを特徴とする水中切断装置。
【請求項4】
請求項2に記載の水中切断装置において、
前記移動レールが、前記取付架構に横臥姿勢で設けられ、
前記取付架構に、前記移動レールの上方を覆う保護カバーが設けられることを特徴とする水中切断装置。
【請求項5】
請求項2に記載の水中切断装置において、
前記移動レールが、前記台車を貫通して設けられ、
該台車に、前記移動レールを清掃する清掃治具が設けられることを特徴とする水中切断装置。
【請求項6】
請求項1に記載の水中切断装置において、
前記取付架構の側面に、前記コンクリート部材が通過可能な解放部が設けられることを特徴とする水中切断装置。
【請求項7】
請求項1に記載の水中切断装置において、
前記取付架構に、下向きに高圧水を噴射するノズルが設けられていることを特徴とする水中切断装置。
【請求項8】
請求項1に記載の水中切断装置を用いて水中でコンクリート部材を切断するコンクリート部材の切断撤去方法であって、
前記コンクリート部材を囲うようにして前記取付架構を水底に据付ける事前準備工程と、
前記切断機構で、前記コンクリート部材に切断部を形成する水中切断工程と、
を備えることを特徴とするコンクリート部材の切断撤去方法。
【請求項9】
請求項8に記載のコンクリート部材の切断撤去方法において、
前記事前準備工程で、吊り具を利用して前記水中切断装置を水底に吊下ろし据付けたのち、前記吊り具を前記コンクリート部材に盛替えて装着し、
前記水中切断工程は、前記コンクリート部材に前記吊り具を装着した状態で実施することを特徴とするコンクリート部材の切断撤去方法。
【請求項10】
請求項8に記載のコンクリート部材の切断撤去方法において、
前記事前準備工程で、建設機械を利用して前記水中切断装置を側部から把持して水底に据え付け、
前記水中切断工程は、前記水中切断装置を前記建設機械で把持した状態で実施することを特徴とするコンクリート部材の切断撤去方法。
【請求項11】
請求項8に記載のコンクリート部材の切断撤去方法において、
前記コンクリート部材が、既存杭であることを特徴とするコンクリート部材の切断撤去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中でコンクリート部材を切断撤去する工事に用いる水中切断装置、及び水中切断装置を用いてコンクリート部材を切断し撤去する、コンクリート部材の切断撤去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水中で既存のコンクリート構造物を切断し撤去する工事では、切断位置の水深によらず潜水士による水中作業が発生する。潜水士による水中作業は、天候や付近を通過する船舶の影響を受けやすく、作業性や安全管理など多くの課題を有している。また、近年では人員確保も容易ではないため、潜水士による水中作業をできる限り削減するべく、様々な装置や工法が検討されている。
【0003】
このような中、例えば特許文献1には、潜水作業を低減しつつ水中にあるコンクリート構造物を水平切断する、水平切断解体方法が開示されている。具体的には、一部または全体が水中に浸漬されているコンクリート構造物に、切削用ケーブル(ワイヤーソー)を巻き掛ける。
【0004】
また、コンクリート構築物の切断を予定する高さ位置に、切削用ケーブルの走行方向をガイドする縦横ガイドプーリ台を設置する。こののち、地上に設置したケーブル駆動装置により切削用ケーブルを循環走行させ、同時に張力を加えながらコンクリート構築物に切り込ませ、これを切断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1によれば、切削用ケーブルによるコンクリート構造物の切断作業中は、潜水士の水中作業を省略できる。ところが、事前準備作業であるコンクリート構築物に切削用ケーブルを巻き掛ける作業や、ガイドプーリ台をコンクリート構造物に取付ける作業などは複雑かつ手間を要する作業であり、自動化することが困難である。このため、少なくとも事前準備には潜水士による水中作業を実施せざるを得ない。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、水中でコンクリート部材を切断し撤去する工事において、作業工程の簡略化を図るとともに、潜水士による水中作業を省略して水中作業の安全性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため本発明の水中切断装置は、水中でコンクリート部材を切断する水中切断装置であって、前記コンクリート部材をワイヤーソー切断する切断機構と、該切断機構が装着されるととともに、前記コンクリート部材を囲う取付架構と、を備え、前記切断機構は、ワイヤーソーを周回走行させる駆動機構と、前記ワイヤーソーを前記コンクリート部材に接触させる台車と、を有し、前記台車は、前記ワイヤーソーが掛け回される従動プーリを備え、前記コンクリート部材を挟んで対をなして配置されることを特徴とする。
【0009】
本発明の水中切断装置は、前記駆動機構が、プーリガイドに沿って直線移動する駆動プーリを有し、前記取付架構に、対をなす前記台車各々が移動する移動レールが設けられるとともに、前記駆動機構と前記台車との間に、前記駆動プーリの直線運動を前記台車に伝達して、該台車各々を前記移動レールに沿って移動させる運動伝達機構が設けられることを特徴とする。
【0010】
本発明の水中切断装置は、前記移動レールが、前記取付架構に横臥姿勢で設けられ、上面を凸形状に形成されることを特徴とする。
【0011】
本発明の水中切断装置は、前記移動レールが、前記取付架構に横臥姿勢で設けられ、前記取付架構に、前記移動レールの上方を覆う保護カバーが設けられることを特徴とする。
【0012】
本発明の水中切断装置は、前記移動レールが、前記台車を貫通して設けられ、該台車に、前記移動レールを清掃する清掃治具が設けられることを特徴とする。
【0013】
本発明の水中切断装置は、前記取付架構の側面に、前記コンクリート部材が通過可能な解放部が設けられることを特徴とする。
【0014】
本発明の水中切断装置は、前記取付架構に、下向きに高圧水を噴射するノズルが設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明のコンクリート部材の切断撤去方法は、本発明の水中切断装置を用いて水中でコンクリート部材を切断するコンクリート部材の切断撤去方法であって、前記コンクリート部材を囲うようにして前記取付架構を水底に据付ける事前準備工程と、前記切断機構で、前記コンクリート部材に切断部を形成する水中切断工程と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明のコンクリート部材の切断撤去方法は、前記事前準備工程で、吊り具を利用して前記水中切断装置を水底に吊下ろし据付けたのち、前記吊り具を前記コンクリート部材に盛替えて装着し、前記水中切断工程は、前記コンクリート部材に前記吊り具を装着した状態で実施することを特徴とする。
【0017】
本発明のコンクリート部材の切断撤去方法は、前記事前準備工程で、建設機械を利用して前記水中切断装置を側部から把持して水底に据え付け、前記水中切断工程は、前記水中切断装置を前記建設機械で把持した状態で実施することを特徴とする。
【0018】
本発明のコンクリート部材の切断撤去方法は、前記コンクリート部材が、既存杭であることを特徴とする。
【0019】
本発明の水中切断装置及びコンクリート部材の切断撤去方法によれば、水中切断装置が、コンクリート部材をワイヤーソー切断する切断機構と、切断機構が装着される取付架構を備える。これにより、事前準備工程で、水上から吊り下すもしくは建設機械で把持するなどの手段により、コンクリート部材を囲うようにして、取付架構を水底に据え付る。こののち、水中切断工程では、切断機構を構成するワイヤーソーを周回走行させつつ、台車を利用してワイヤーソーをコンクリート部材に接触させる。
【0020】
このような簡略な作業工程で、水中のコンクリート部材を容易にワイヤーソー切断することが可能となる。さらに、事前準備工程及び切断作業工程の両工程において、潜水士による水中作業を省略することができ、作業安全性の向上を図ることも可能となる。
【0021】
また、運動伝達機構を介して駆動プーリの直線運動を台車に伝達することで、別途モーターなどの動力源を設けることなく、ワイヤーソーをコンクリート部材に接触させる方向に台車を移動させることができる。これにより、水中切断装置全体の軽量化と構造の簡略化を図ることが可能となる。
【0022】
さらに、移動レールを横臥姿勢に配置し、上面を凸形状にするもしくは上方を覆う保護カバーを設ける。これにより、水底が砂地であったりヘドロが堆積する環境下にあっても、これらが移動レールの上面に堆積することを抑制し、台車をスムーズに移動させることが可能となる。加えて、台車に移動レールを清掃する清掃治具を設ければ、より確実に移動レールに沿って台車を移動させることが可能となる。
【0023】
また、取付架構の側面にコンクリート部材が通過可能な解放部を設けることで、この解放部を利用して、コンクリート部材を囲うように取付架構を据え付けできる。これにより、工事現場が低空頭な環境にある場合にも、水中切断装置を利用して効率よくコンクリート部材の水中切断工事を実施することが可能となる。
【0024】
さらに、取付架構に対して下向きに高圧水を噴射するノズルを設ければ、ヘドロなどが水底に堆積している場合に、これらを効率よく取り除いて安定した状態で取付架構を据え付けることができる。これにより、コンクリート部材の所望の高さ位置に精度よく、切断部を形成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、コンクリート部材を囲うようにして、切断機構を装着した取付架構を水底に据え付けたのち、切断機構を稼働させることでコンクリート構造物を水中でワイヤーソー切断できるため、作業工程の簡略化を図り、潜水士による水中作業を省略して水中作業の安全性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本実施の形態における水中切断工事の事例を示す図である。
【
図2】本実施の形態における水中切断装置(切断後)を示す図である。
【
図3】本実施の形態における水中切断装置の詳細を示す図である。
【
図4】本実施の形態における水中切断装置(切断前)を示す図である(その1)。
【
図5】本実施の形態における水中切断装置(切断前)を示す図である(その2)。
【
図6】本実施の形態における台車の詳細を示す図である。
【
図7】本実施の形態における運動伝達機構の詳細を示す図である(その1)。
【
図8】本実施の形態における運動伝達機構の詳細を示す図である(その2)。
【
図9】本実施の形態における運動伝達機構の詳細を示す図である(その3)。
【
図10】本実施の形態における既存杭の切断撤去方法を示す図である(その1)。
【
図11】本実施の形態における既存杭の切断撤去方法を示す図である(その2)。
【
図12】本実施の形態における既存杭の切断撤去方法を示す図である(その3)。
【
図13】本実施の形態における下部架構の他の事例を示す図である。
【
図14】本実施の形態における既存杭の切断撤去方法の他の事例を示す図である(その1)。
【
図15】本実施の形態における既存杭の切断撤去方法の他の事例を示す図である(その2)。
【
図16】本実施の形態における台車の他の事例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、水中に設けられたコンクリート部材をワイヤーソー切断し撤去するための装置及び方法である。切断対象となるコンクリート部材は、全体が水中にあるものや一部が水中に位置するものなどいずれでもよく、その形状や構造も何ら制約を受けるものではない。
【0028】
本実施の形態では、海上に構築した水上構造物を支持している既存杭を水平切断して撤去する場合を事例に挙げ、
図1~
図16を参照しつつ、その詳細を説明する。なお、本実施の形態では、水底に略平行な方向を水平方向と称し、水底に略直交する方向を鉛直方向と称する。
【0029】
≪≪≪既存杭の水中切断工事の概略≫≫≫
図1(a)で示すように、道路やデッキ、人工地盤などの水上構造物300を支持する複数の既存杭Pを切断し撤去する手順としては、まず水上構造物300を撤去する。
【0030】
次に、
図1(b)で示すように、隣り合う既存杭Pに跨って設けられている梁などの連結部材310を切断する。こののち、既存杭P各々の所定の高さ位置(例えば、堆積するヘドロSlの上端より深さ数十cm程度)に、水平切断部Cfを形成する。こうして、既存杭Pを海底Sg近傍で上下に切断分離し、上方側を吊り上げ撤去する。
【0031】
≪≪≪水中切断装置≫≫≫
このような既存杭Pの切断分離作業は、
図2(a)で示すような略角筒形状の水中切断装置100を用いて実施する。水中切断装置100は、ワイヤーソー切断により既存杭Pに水平切断部Cfを形成する装置であり、ワイヤーソー41を備える切断機構40と、切断機構40を支持する取付架構10とを備える。
【0032】
以下に、押切り方式で既存杭Pをワイヤーソー切断する場合を事例に挙げ、
図2~
図9を参照しつつ水中切断装置100の詳細を説明する。なお、
図2には、既存杭Pを切断したのちの状態にある水中切断装置100を示している。また、
図4~
図9には、既存杭Pを切断する前の状態にある水中切断装置100を示している。
【0033】
≪≪取付架構≫≫
取付架構10は、
図2(a)及び(b)で示すように、切断対象である既存杭Pを囲うように配置される平面視矩形の下部架構20と、その上方に取り付けられる上部架構30とにより構成されている。
【0034】
≪≪下部架構≫≫
下部架構20は、複数の柱21とこれらを連結する上部梁221、中間梁222、及び下部梁223とにより構成されて、平面視矩形状の角筒状に形成されている。そして、
図3(a)で示すように、角筒状をなす4つの側面のうちの1つの側面には下部梁223が省略されて、下方側に解放部25が形成されている。なお、解放部25は必ずしも設けなくてもよい。
【0035】
また、
図2(a)で示すように、柱21の下面と下部梁223の下面は、ほぼ同じ高さに配置されて着底面が形成され、この着底面に、複数のアンカー部材23が設けられている。さらに、柱21の外側面にはノズル24が下方に向けて設けられており、ノズル24から高圧水が噴射可能となっている。
【0036】
このような構造の下部架構20は、切断対象の既存杭Pが構築されている地点の水深に応じて、その全長が調整されている。例えば、
図11(b)で示すように、海底Sgに着底した状態において、少なくとも上端が水面より上方に位置する状態となるように、下部架構20の全長が調整されている。
【0037】
下部架構20の高さを調整する手段はいずれでもよく、例えば柱21を伸縮可能な構造とするなどしてもよい。そして、下部架構20の上部に、
図4(a)で示すような、上部架構30が設けられている。
【0038】
≪≪上部架構≫≫
上部架構30は、後述する駆動機構50を取付けることが可能に形成されていればいずれの構造でもよい。本実施の形態では、縦材31と横材32とを組み合わせたフレームにより構成し、縦材31を下部架構20を構成する柱21の上端に接続させている。その接続方法は、下部架構20の柱21に対して一体に設けてもよいし、着脱自在に設けてもよい。このような構成の上部架構30と下部架構20とにより構成された取付架構10に、切断機構40が装着されている。
【0039】
≪≪≪切断機構≫≫≫
切断機構40は、
図2(a)で示すように、ダイヤモンドソーワイヤーをエンドレス状に加工したワイヤーソー41、駆動機構50、張力調整機構42、ガイドプーリ群60、及び台車70を備える。また、台車70が走行する移動レールRと、台車70の動力として機能する運動伝達機構80を備えている。
【0040】
駆動機構50は、ワイヤーソー41に一定の緊張力と高速回転力を付与するものであり、
図4(a)で示すように、取付架構10の外側面Bにおける上部架構30に装着されている。取付架構10の外側面Bは、
図4(b)及び(c)で示すように、下部架構20の解放部25を設けた外側面Eと交差する面である。
【0041】
駆動機構50の構成は、
図4(a)で示すように、下部架構20の柱21に直交する横臥姿勢のプーリガイド52と、プーリガイド52に沿って移動する移動装置53とを備える。また、移動装置53には、ワイヤーソー41を周回走行させる駆動プーリ51と、駆動プーリ51を駆動する駆動部(図示せず)が設置されている。
【0042】
駆動プーリ51は鉛直回転することで、掛回されたワイヤーソー41に高速回転力を付与する。また、移動装置53を介してプーリガイド52に沿って直線移動することで、ワイヤーソー41に張力を付与することができる。
【0043】
張力調整機構42は、ワイヤーソー41に既存杭Pを切断可能な程度の張力を調整付与する装置であり、駆動機構50と同様に、外側面Bの上部架構30に装着されている。その構造は、駆動機構50だけでは不足する分の張力をワイヤーソー41に付与できればいずれでもよく、
図4(a)では、ワイヤーソー41が掛け回されるプーリと、プーリの位置を可変させるバネ部材とを組み合わせて構成している。
【0044】
ガイドプーリ群60は、エンドレス状に加工されたワイヤーソー41を取付架構10に這わせて周回走行させるよう、下部架構20及び上部架構30の適所に、鉛直回転自在に設置されている。その数量はいずれでもよく、本実施の形態では、取付架構10の
図4(a)で示した外側面B、
図5(a)で示した外側面C、
図5(b)で示した外側面Dを利用して、第1~第8ガイドプーリ61~68の合計8個を設けている。
【0045】
図4(b)及び(c)で示すように、取付架構10の外側面Cは解放部25が設けられた外側面Eと対向する面であり、外側面Dは外側面Eと交差する面である。このように、ガイドプーリ群60を外側面B~Dに集約して設けることで、ワイヤーソー41はガイドプーリ群60に掛け回されても、外側面Eに設けた解放部25を横断することはない。
【0046】
これらガイドプーリ群60、前述の駆動機構50、及び張力調整機構42に掛け回されるワイヤーソー41は、駆動機構50の駆動プーリ51を鉛直回転することにより、周回走行する。具体的には、
図3(b)と
図4(a)で示すように、第1ガイドプーリ61から駆動プーリ51、第2ガイドプーリ62及び張力調整機構42を経由して、第3~第5ガイドプーリ63~65に掛け回される。
【0047】
次に、
図3(b)と
図5(a)及び(b)で示すように、第6ガイドプーリ66及び第7ガイドプーリ67を経由したのち、
図4(b)で示すように、後述する対をなす台車70に掛け回されて、既存杭Pを取り込んだ取付架構10の内部空間を横断する。こののち、
図4(a)で示すように、第8ガイドプーリ68を経由して第1ガイドプーリ61に戻る。これによりワイヤーソー41は周回走行しつつ、
図4(b)で示すように、対をなす台車70間で切断対象である既存杭Pに接触可能な態様となる。
【0048】
≪≪台車及び移動レール≫≫
対をなす台車70は、
図4(c)で示すように、既存杭Pを挟んで配置された一対の移動レールR上各々を走行する。移動レールRの詳細は後述するが、その配置位置は、前述の駆動機構50及び張力調整機構42を設けた外側面Bと、これに対向する外側面Dとに設けられている。
【0049】
一対の移動レールRのうちの一方に沿って移動する第1の台車70aと、他方に沿って移動する第2の台車70bはともに、同一の構造を有する。したがって、外側面B側に設けた移動レールR上を移動する第2の台車70bを事例に挙げて、その詳細を説明する。
【0050】
第2の台車70bは、
図6(a)及び(b)で示すように、ワイヤーソー41が掛け回されて水平回転する従動プーリ71と、従動プーリ71を支持する支持フレーム72とを備える。支持フレーム72は、移動レールRが貫通する箱型に形成され、その下面に従動プーリ71が設置され、上面には、後述する運動伝達機構80が接続される連結板75が設けられている。
【0051】
また、台車70の内空部には、移動レールRに当接する走行体73が水平回転自在に設けられ、側面には、移動レールRの上面に当接するブラシなどの清掃治具74が設けられている。これにより、第2の台車70bは、清掃治具74で移動レールRの上面を清掃しながら移動する。
【0052】
したがって、水中切断装置100を海中に吊り下した際、海底Sgに堆積したヘドロSlや海砂などが舞い上って移動レールRの上面に堆積しても、これらを清掃治具74で掃き出すことができる。したがって、走行体73を移動レールRに沿って確実に転動させ、台車70をスムーズに移動させることができる。
【0053】
移動レールRは、
図6(a)で示すような角材により構成され、出隅部を上部に向けた下部架構20の柱21に直交する横臥姿勢で、下部架構20に設置されている。こうして出隅部を上部に向けることで、移動レールRにヘドロSlや海砂が堆積することを回避している。
【0054】
しかし、移動レールRは必ずしも角材に限定されるものではなく、堆積物を生じさせないよう上面に凸形状を形成できれば、いずれの長尺部材を採用してもよい。また、
図6(a)(b)では、移動レールRに角材を使用する場合を例示しているため、走行体73にV字プーリを採用している。しかし、走行体73の形状も、移動レールRに対応する形状を有していれば、いずれを採用することもできる。
【0055】
上記の対をなす台車70は、移動レールRに沿って移動させることができれば、自走式や牽引式などいずれの動力源を採用してもよい。本実施の形態では、
図3(c)及び
図7~
図9で示すような運動伝達機構80を利用し、対をなす台車70を移動させている。
【0056】
≪≪運動伝達機構≫≫
運動伝達機構80は、既存杭Pに水平切断にCfを形成する期間中に、プーリガイド52に沿って移動する駆動プーリ51の直線運動を、台車70に伝達する機構である。その構成は、
図7で示すように、駆動プーリ51の背面側に設けられている移動装置53に一端が接続された4本のケーブル81a~81dと、これらが掛け回されるケーブル用プーリ群82とにより構成される。
【0057】
ケーブル用プーリ群82は、4本のケーブル81a~81dを取付架構10の内側面に這わせるよう、下部架構20及び上部架構30の適所に、鉛直回転自在に設置されている。その数量はいずれでもよく、本実施の形態では、取付架構10の
図7で示した内側面B’、
図8で示した内側面D’、
図9(a)及び(b)で示した内側面E’及び内側面C’を利用して、第1~第10ケーブル用プーリ821~8210の合計10個を設けている。内側面B’~E’は各々、
図4(b)で示すように、取付架構10の外側面B~Eの背面に該当する。
【0058】
4本のケーブル81a~81dは、これらケーブル用プーリ群82に掛け回されて、一端が駆動機構50の移動装置53に接続され、他端が第1の台車70aもしくは第2の台車70bの連結板75に接続される。具体的には、
図3(c)で示すように、移動装置53の下方側に一端が接続された第1ケーブル81aは、第1及び第2のケーブル用プーリ821、822に掛け回されて、他端が第2の台車70bに連結される。
【0059】
また、第2ケーブル81bは、第4及び第3のケーブル用プーリ824、823に掛け回されて、他端が第2の台車70bに連結される。一方、移動装置53の上方側に一端が接続された第3ケーブル81cは、に、第5~第7のケーブル用プーリ825~827に掛け回されて、他端が第1の台車70aに連結される。また、第4ケーブル81dは、第10~第8のケーブル用プーリ8210~828に掛け回されて、他端が第1の台車70aに連結される。
【0060】
上記の構成を有する運動伝達機構80は、例えば
図4(a)で示すように、紙面上で右側に位置する駆動プーリ51が、移動装置53を介してプーリガイド52に沿って紙面上で左側に移動すると、この直線運動を第2の台車70bに伝達する。すると、第2の台車70bは、
図2(b)で示すように、移動レールRに沿って紙面上で右側に移動する。また、第1の台車70aも、第2の台車70bと並走するようにして、移動レールRに沿って移動する。
【0061】
これにより、
図4(c)で示すように、対をなす台車70に掛け回されて取付架構10の内部空間を横断するワイヤーソー41を、既存杭Pに接触させることができる。このように、運動伝達機構80を採用すると、別途動力を設けることなく、台車70を駆動プーリ51と同一速度で並走させることができる。したがって、水中切断装置100は、水中に位置する台車70の動力を省略し、水上に位置する駆動機構50を稼働させるための動力を設けるのみの簡略な構成とすることができる。
【0062】
≪≪≪既存杭の切断撤去方法≫≫≫
上記の水中切断装置100を用いて、切断対象である既存杭Pを押切り方式でワイヤーソー切断し撤去する手順を、以下に説明する。
【0063】
≪事前準備工程≫
まず、
図10(a)で示すように、切断対象である既存杭Pの頭部近傍に、シャックルShを設置する。シャックルShは、
図12(b)で示すように、切断後の既存杭Pを撤去する際に使用する玉掛ワイヤSwを連結する部材である。その接合方法はいずれでもよく、例えばあと施工アンカーなどを採用できる。
【0064】
次に、
図10(b)で示すように、地上であらかじめ組立てた水中切断装置100を吊り天秤Sbなどを利用して揚重する。そして、
図3(a)を参照して説明した取付架構10の側面に設けた解放部25を利用して、
図10(c)で示すように、既存杭Pを取付架構10の内部空間に取り込む。
【0065】
こののち、
図11(a)で示すように、水中切断装置100をさらに吊下ろす。海底SgにヘドロSlが堆積しており、安定した状態で着底できない恐れがある場合には、下部架構20に設けたノズル24から高圧水Wを噴射し、ヘドロSlの一部を除去する。すると、
図11(b)で示すように、海底Sgにアンカー部材23を確実に貫入させて、水中切断装置100を安定して着底させることができる。
【0066】
こうして、既存杭Pを囲うようにして水中切断装置100を据え付けたのち、吊り天秤Sbの玉掛ワイヤSwを水中切断装置100から取り外し、
図11(c)で示すように、既存杭Pに設置したシャックルShに付け替える。これにより、切断作業中の既存杭Pを安全に支持できるとともに、ワイヤーソー切断したのちの既存杭Pを容易に撤去できる。なお、玉掛ワイヤSwは、必ずしも水中切断装置100を吊り下す際に使用したものを兼用させなくてもよく、別途準備してもよい。
【0067】
≪水中切断工程≫
上記の事前準備工程を終えたところで、既存杭Pをワイヤーソー切断する。つまり、駆動機構50に設けた駆動部(図示せず)を稼働させて駆動プーリ51を高速回転し、ワイヤーソー41を周回走行させる。併せて、駆動プーリ51をプーリガイド52上で移動させる。
【0068】
すると、
図3(c)を参照して説明したように、運動伝達機構80を介して駆動プーリ51の直線運動が台車70に伝達され、
図12(a)で示すように、対をなす台車70が移動レールRに沿って移動する。これにより、
図4(c)で示すように、対をなす台車70の間に位置するワイヤーソー41は、周回走行しながら既存杭Pに接触し、この接触した部分から徐々に既存杭Pを切断し、水平切断部Cfを形成していく。
【0069】
このとき、ワイヤーソー41により既存杭Pに形成される水平切断部Cfの高さ位置は、
図2(a)で示すように、従動プーリ71の高さ位置により決定される。したがって、台車70における従動プーリ71の高さ位置や、台車70が移動する移動レールRの設置高さを適宜調整しておくことにより、水平切断部Cfを所望の高さ位置に設定できる。
【0070】
≪撤去工程≫
水平切断部Cfが形成されて水平切断された既存杭Pは、
図12(a)で示すように、シャックルShに取り付けた玉掛ワイヤSw及び吊り天秤Sbを介して、クレーンなどの揚重装置に吊支持されている。したがって、
図12(b)で示すように、切断後の既存杭Pをそのままで吊り上げることで、容易に撤去することができる。
【0071】
こののち、
図12(c)で示すように、水中切断装置100をクレーンなどで揚重して撤去し、水中切断工事を終了する。もしくは、水中切断装置100を次の作業地点に移動して据え付け、水中切断工事を継続する。
【0072】
上記の水中切断装置及び切断方法によれば、水中切断装置100を切断対象である既存杭Pを囲うようして海底に着底させたのち、切断機構40に備えた駆動機構50を稼働させることで、既存杭Pをワイヤーソー切断できる。このように、水中で実施する既存杭Pの切断作業に係る工程を簡略化でき、また、潜水士による水中作業をほぼ省略できる。したがって、施工性及び作業性を向上できるだけでなく、安全管理の困難な水中切断工事において、作業安全性の向上を図ることが可能となる。
【0073】
ところで、水深が一様でない海底Sgに構築された複数の既存杭Pを撤去する場合に、水中切断装置100の取付架構10を構成する下部架構20は、複数の既存杭Pごとに、少なくとも上端が海面より上方に位置するよう、その全長を調整する必要が生じる。したがって、例えば
図3(a)や
図13(a)で示すように、高さを替えた下部架構20を複数製作しておき、既存杭Pが構築されている地点の水深に応じて取り替える構成としてもよい。こうすると、水深に対応する水中切断装置100を工事現場で容易に組立て、迅速に切断作業を実施できる。
【0074】
また、下部架構20は、必ずしも角筒形状に限定するものではなく、多角柱や円柱など、切断対象を包囲して水底に安定して着底できる構成を有していれば、いずれを採用してもよい。さらに、下部架構20に設ける解放部25は、
図13(b)で示すように、高さ方向に連続させてもよい。
【0075】
つまり、下部架構20は、水中でその形状を維持可能であれば、平面視でコの字形状やCの字形状に形成してもよい。このように解放部25を高さ方向に連続させる場合には、
図13(c)で示すように、ハンチ224を設けて下部架構20を補強するなどしてもよい。
【0076】
このとき、
図3(a)及び(c)を見るとわかるように、解放部25の上方を運動伝達機構80の第3ケーブル81cが横断する態様となる。このまま第3ケーブル81cの位置を変更しない場合は、解放部25を、事前準備工程で取付架構10を海底Sgに据え付ける際に、既存杭Pを取り込む取り込み口専用として使用できる。一方で、第3ケーブル81cの位置を変更して解放部25の上方も開放すれば、解放部25を、撤去工程で切断後の既存杭Pを取り去る取去り口としても、使用可能な構成とすることができる。
【0077】
これにより、工事現場が低空頭な環境にある場合にも、水中切断装置100を利用して既存杭Pを切断し撤去する工事を実施することができる。以下に、低空頭な環境にある工事現場で、下部架構20の解放部25を、切断前の既存杭Pの取込み口および切断後の既存杭Pの取出し口として利用する場合を事例に挙げ、既存杭Pの水中切断工法の他の事例を説明する。
【0078】
≪≪既存杭の水中切断工法:工事現場が低空頭な環境にある場合≫≫
≪事前準備工程≫
工事現場が低空頭な環境にある場合には、水中切断装置100の搬出入や切断したのちの既存杭Pの撤去作業にクレーンなどの揚重装置を使用できない。そこで、
図14~
図15では、バックホウ200を使用する場合を事例に挙げて、その手順を説明する。
【0079】
まず、バックホウ200のアーム201とバケットリンク202の先端に、バケットに替えて、水中切断装置100を把持可能なアタッチメントを取り付け、地上で組み立てた水中切断装置100を搬入する。次に、取付架構10の側面に設けた解放部25を利用して、
図14(a)で示すように、既存杭Pを取付架構10の内部空間に取り込む。
【0080】
こうすると、水中切断装置100の全長を既存杭Pの上方まで上昇させる必要がなく、低空頭な工事現場に好適である。こののち、
図14(b)で示すように、既存杭Pを取り囲むようにして、水中切断装置100を据え付ける。据え付け作業時は、
図11(a)を参照して説明したように、必要に応じてノズル24から高圧水を噴射するとよい。これらの作業と前後して、切断撤去予定の既存杭Pには、シャックルShを頭部近傍に接合しておく。
【0081】
≪水中切断工程≫
図12(a)を参照しつつ説明した手順で、切断機構40を既存杭Pによりワイヤーソー切断する。このとき、バックホウ200は、水中切断装置100を支持した状態を維持する。そして、水中切断装置100の取付架構10で、切断したのちの既存杭Pを受け止め支持する。こうして、既存杭Pの上方空間は常時、撤去時の作業空間として確保しておく。
【0082】
≪撤去工程≫
切断機構40により水平切断され、水中切断装置100にもたれた姿勢の既存杭Pは、施工現場に別途建設機械を搬入し、
図15(a)で示すように、下部架構20の解放部25を利用して、既存杭Pを側方から取り出し撤去する。また、水中切断装置100はバックホウ200で搬出する。
【0083】
これにより、低空頭な工事現場であっても、水中切断装置100を用いて既存杭Pを容易に切断撤去することができる。上記の水中切断装置100の搬入、据付け及び搬出の各作業にバックホウ200を採用する構成は、工事現場が低空頭な場合に限定するものではなく、いずれの環境の施工現場にも採用可能である。
【0084】
バックホウ200を採用すると、バックホウ200の作業範囲に応じて水中切断装置100を、
図14(a)で示すような構台Stに近接した位置から
図15(b)で示すような構台Stから離間した位置まで、地上からの操作で容易に据付け可能である。
【0085】
本発明の水中切断装置100及び切断撤去方法は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0086】
本実施の形態では、押切り方式で既存杭Pをワイヤーソー切断する場合を事例に挙げたが、引切り方式を採用することも可能である。この場合には、必要に応じて、ガイドプーリ群60の数量を適宜増減させるなどして、ワイヤーソー41の掛け回す位置や方向を変更するとよい。
【0087】
また、一対の移動レールRは必ずしも下部架構20の柱21に直交して設けなくてもよい。例えば、柱21に傾斜して設置すれば、既存杭Pに斜め方向の水平切断部Cfを形成することも可能である。
【0088】
さらに、
図16(a)及び(b)で示すように、移動レールRの上方に屋根状の保護カバー76を設けてもよい。こうすると、移動レールRの上面に堆積するヘドロSlや海砂の量を、大幅に低減することができる。
【符号の説明】
【0089】
100 水中切断装置
10 取付架構
20 下部架構
21 柱
22 梁
221 上部梁
222 中間梁
223 下部梁
224 ハンチ
25 解放部
23 アンカー部材
24 ノズル
25 解放部
27 ハンチ
30 上部架構
40 切断機構
41 ワイヤーソー
42 張力調整機構
50 駆動機構
51 駆動プーリ
52 プーリガイド
53 移動装置
60 ガイドプーリ群
61~68 第1~第8ガイドプーリ
70 台車
70a 第1の台車
70b 第2の台車
71 従動プーリ
72 支持フレーム
73 走行体
74 清掃治具
75 連結板
76 保護カバー
80 運動伝達機構
81 ケーブル
81a~81d 第1~第4ケーブル
82 ケーブル用プーリ群
821~8210 第1~第10ケーブル用プーリ
200 バックホウ
201 アーム
202 バケットリンク
203 フック
300 水上構造物
310 連結部材
P 既存杭
Cf 水平切断部
Sl ヘドロ
Sg 海底
Sb 吊り天秤
Sh シャックル
Sw 玉掛ワイヤ
St 構台
W 高圧水