(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097122
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】分流器及び空気調和機
(51)【国際特許分類】
F25B 41/45 20210101AFI20240710BHJP
【FI】
F25B41/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000361
(22)【出願日】2023-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 佳憲
(57)【要約】
【課題】複数の配管へ分配された冷媒における液状の冷媒とガス状の冷媒との割合が異なってしまうことを抑制可能な分流器を提供する。
【解決手段】一つの実施形態に係る分流器は、第1の筒部と、第2の筒部と、二つのガイドと、隔壁とを備える。前記第1の筒部は、第1の配管に接続され、内部に第1の方向に延びた第1の流路が設けられ、当該第1の流路を囲む内周面を有する。前記第2の筒部は、複数の第2の配管に接続され、内部に第2の流路が設けられる。前記ガイドは、前記内周面との間に隙間を形成するように前記第1の流路に配置され、前記隙間とは反対側で互いに離間している。前記隔壁は、前記第1の流路と前記第2の流路とを区画し、前記ガイドから離間し、前記第1の流路と前記第2の流路とを接続する貫通孔が前記二つのガイドの間に対向する位置に開口する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の配管に接続されるよう構成され、内部に第1の方向に延びた第1の流路が設けられ、当該第1の流路を囲む内周面を有する、第1の筒部と、
複数の第2の配管に接続されるよう構成され、内部に第2の流路が設けられた、第2の筒部と、
前記内周面との間に隙間を形成するように前記第1の流路に配置され、前記隙間とは反対側で互いに離間した、二つのガイドと、
前記第1の流路と前記第2の流路とを区画し、前記二つのガイドから離間し、前記第1の流路と前記第2の流路とを接続する貫通孔が前記二つのガイドの間に対向する位置に開口する、隔壁と、
を具備する分流器。
【請求項2】
前記隔壁は、前記第1の流路側において、前記隙間側から前記貫通孔側に近づくに従って前記第2の流路から遠ざかるように傾斜した二つの第1の斜面を、前記貫通孔を挟んで両側に有し、
前記二つのガイドのそれぞれは、前記第1の斜面に対向し、前記隙間側から前記貫通孔側に近づくに従って前記第2の流路から遠ざかるように傾斜した第2の斜面を有する、
請求項1の分流器。
【請求項3】
前記第2の筒部は、前記隔壁から前記第1の方向に離間した端壁と、前記端壁から前記貫通孔に向かって突出する凸部と、を有する、
請求項2の分流器。
【請求項4】
前記凸部は、前記貫通孔に向くとともに前記第1の方向と交差する平面を有する、
請求項3の分流器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一つの分流器と、
前記第1の配管と、
前記複数の第2の配管と、
を具備する空気調和機。
【請求項6】
前記第1の配管は、前記第1の筒部に接続される第1の部分と、当該第1の部分から前記第1の方向と直交し、且つ、前記隙間側から前記貫通孔側に向く第2の方向に離れる第2の部分と、を有する、
請求項5の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、分流器及び空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンディショナのような空気調和機において、冷媒が冷凍サイクルを循環する。従来、冷媒が流れる配管を分岐させる分流器を有する空気調和機が知られている。冷媒は、分流器から分岐した複数の配管に分配され、例えば熱交換器に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
分流器に流入する冷媒が気液二相流である場合、分流器から分岐した複数の配管に分配される冷媒において、液体状の冷媒とガス状の冷媒との割合が異なってしまうことがある。すなわち、複数の配管のそれぞれにおいて液状の冷媒とガス状の冷媒との割合が所望の割合と異なってしまい、熱交換器における熱交換効率が低下する虞がある。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、複数の配管へ分配された冷媒における液状の冷媒とガス状の冷媒との割合が異なってしまうことを抑制可能な分流器及び空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係る分流器は、第1の筒部と、第2の筒部と、二つのガイドと、隔壁とを備える。前記第1の筒部は、第1の配管に接続されるよう構成され、内部に第1の方向に延びた第1の流路が設けられ、当該第1の流路を囲む内周面を有する。前記第2の筒部は、複数の第2の配管に接続されるよう構成され、内部に第2の流路が設けられる。前記二つのガイドは、前記内周面との間に隙間を形成するように前記第1の流路に配置され、前記隙間とは反対側で互いに離間している。前記隔壁は、前記第1の流路と前記第2の流路とを区画し、前記二つのガイドから離間し、前記第1の流路と前記第2の流路とを接続する貫通孔が前記二つのガイドの間に対向する位置に開口する。
【0007】
上記分流器において、前記隔壁は、第1の流路側において、前記隙間側から前記貫通孔側に近づくに従って前記第2の流路から遠ざかるように傾斜した二つの第1の斜面を、前記貫通孔を挟んで両側に有する。前記二つのガイドのそれぞれは、前記第1の斜面に対向し、前記隙間側から前記貫通孔側に近づくに従って前記第2の流路から遠ざかるように傾斜した第2の斜面を有する。
【0008】
上記分流器において、前記第2の筒部は、前記隔壁から前記第1の方向に離間した端壁と、前記端壁から前記貫通孔に向かって突出する凸部と、を有する。
【0009】
上記分流器において、前記凸部は、前記貫通孔に向くとともに前記第1の方向と交差する平面を有する。
【0010】
本発明の一つの実施形態に係る空気調和機は、上記分流器と、前記第1の配管と、前記複数の第2の配管と、を備える。
【0011】
上記空気調和機において、前記第1の配管は、前記第1の筒部に接続される第1の部分と、当該第1の部分から前記第1の方向と直交し、且つ、前記隙間側から前記貫通孔側に向く第2の方向に離れる第2の部分と、を有する。
【0012】
以上の分流器及び空気調和機によれば、例えば、複数の第2の配管へ分配された冷媒における液状の冷媒とガス状の冷媒との割合が異なってしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る冷房運転時の空気調和機を概略的に示す冷媒系統図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態の熱交換器と冷媒配管の一部とを概略的に示す正面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態の冷媒配管の一部を概略的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態の分流器を概略的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の分流器を
図4のA-A線に沿って概略的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態の一つの変形例における分流器を
図4のA-A線に沿って概略的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の分流器を
図4のB-B線に沿って概略的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態の一つの変形例における分流器を
図4のB-B線に沿って概略的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係る冷房運転時の空気調和機を概略的に示す冷媒系統図である。
【
図10】
図10は、第3の実施形態に係る熱交換器を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、
図1乃至
図8を参照して説明する。なお、本明細書においては基本的に、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向と定義する。また、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0015】
図1は、第1の実施形態に係る冷房運転時の空気調和機10を概略的に示す冷媒系統図である。空気調和機10は、例えば、家庭用のエアコンディショナである。なお、空気調和機10は、この例に限られず、業務用のエアコンディショナのような他の空気調和機であっても良い。
【0016】
図1に示すように、空気調和機10は、室外機11と、室内機12と、冷媒配管13と、制御装置14とを有する。室外機11は、例えば、屋外に配置される。室内機12は、例えば、屋内に配置される。
【0017】
空気調和機10は、室外機11と室内機12とが冷媒配管13により接続された冷凍サイクルを備える。室外機11と室内機12との間で、冷媒配管13を通り、冷媒が流れる。また、室外機11と室内機12とは、例えば電気配線により互いに電気的に接続される。
【0018】
室外機11は、室外熱交換器21と、室外送風ファン22と、圧縮機23と、アキュムレータ24と、四方弁25と、膨張弁26とを有する。室内機12は、室内熱交換器31と、室内送風ファン32とを有する。
【0019】
冷媒配管13は、例えば、金属で作られた管である。冷媒配管13は、二つの冷媒配管41,42を有する。冷媒配管41は、室内熱交換器31と室外熱交換器21とを接続する。圧縮機23、アキュムレータ24、及び四方弁25は、冷媒配管41に設けられる。冷媒配管42は、室外熱交換器21と室内熱交換器31とを接続する。膨張弁26は、冷媒配管42に設けられる。
【0020】
冷房運転において、冷媒は、冷媒配管41を通って室内熱交換器31から室外熱交換器21へ流れ、冷媒配管42を通って室外熱交換器21から室内熱交換器31へ流れる。
図1の矢印は、冷房運転時における冷媒の流れを示す。暖房運転において、冷媒は、冷媒配管41を通って室外熱交換器21から室内熱交換器31へ流れ、冷媒配管42を通って室内熱交換器31から室外熱交換器21へ流れる。
【0021】
室外機11の室外熱交換器21は、冷房運転において凝縮器として冷媒の放熱を行い、暖房運転において蒸発器として冷媒の吸熱を行う。室外送風ファン22は、室外熱交換器21に向かって送風し、室外熱交換器21における冷媒と空気との熱交換を促進する。
【0022】
圧縮機23は、吸入口23aと吐出口23bとを有する。圧縮機23は、吸入口23aから冷媒を吸入し、圧縮した冷媒を吐出口23bから吐出する。これにより、圧縮機23は、冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮するとともに、冷媒の循環を生じさせる。
【0023】
アキュムレータ24は、圧縮機23の吸入口23aに接続される。アキュムレータ24は、液状の冷媒とガス状の冷媒とを分離する。これにより、圧縮機23は、アキュムレータ24を通過したガス状の冷媒を吸入口23aから吸入することができる。アキュムレータ24は、圧縮機23と一体に構成されることで、圧縮機23の吸入口となることができる。
【0024】
四方弁25は、室外熱交換器21と、室内熱交換器31と、圧縮機23の吐出口23bと、アキュムレータ24(圧縮機23の吸入口23a)とに接続される。四方弁25は、暖房運転時と冷房運転時とで、室外熱交換器21、室内熱交換器31、圧縮機23の吐出口23b、及びアキュムレータ24のそれぞれに接続される流路を切り替え、冷媒が流れる方向を変更する。
【0025】
図1に実線で示すように、冷房運転時において、四方弁25は、室外熱交換器21と圧縮機23の吐出口23bとを接続する。さらに、冷房運転時において、四方弁25は、室内熱交換器31とアキュムレータ24とを接続する。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が室外熱交換器21へ流れ、室内熱交換器31で蒸発した冷媒がアキュムレータ24へ流れる。
【0026】
図1に破線で示すように、暖房運転時において、四方弁25は、室外熱交換器21とアキュムレータ24とを接続する。さらに、暖房運転時において、四方弁25は、室内熱交換器31と圧縮機23の吐出口23bとを接続する。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が室内熱交換器31へ流れ、室外熱交換器21で蒸発した冷媒がアキュムレータ24へ流れる。
【0027】
膨張弁26は、例えば、電磁膨張弁である。なお、膨張弁26は、他の膨張弁であっても良い。膨張弁26は、制御装置14により開度を制御されることで、当該膨張弁26を通過する冷媒の量を調節する。
【0028】
室内機12の室内熱交換器31は、冷房運転において蒸発器として吸熱し、暖房運転において凝縮器として放熱する。室内送風ファン32は、室内熱交換器31に向かって送風し、室内熱交換器31と空気との熱交換を促進する。
【0029】
制御装置14は、例えば、室外制御装置14aと、室内制御装置14bとを有する。室外制御装置14aと室内制御装置14bとは、互いに電気配線により電気的に接続される。なお、制御装置14は、この例に限られない。例えば、制御装置14は、室外制御装置14a及び室内制御装置14bのうち一方のみを有しても良い。
【0030】
室外制御装置14aは、室外機11の室外送風ファン22、圧縮機23、四方弁25、及び膨張弁26を制御する。室内制御装置14bは、室内機12の室内送風ファン32を制御する。
【0031】
制御装置14が室外機11及び室内機12を制御することで、空気調和機10は、冷房運転、暖房運転、除湿運転、及び他の運転を行う。室内制御装置14bは、例えば、リモートコントローラから信号を入力されても良いし、通信装置を通じてスマートフォンのような情報端末から信号を入力されても良い。
【0032】
図2は、第1の実施形態の熱交換器50と冷媒配管13の一部とを概略的に示す正面図である。第1の実施形態の熱交換器50は、マイクロチャネル熱交換器である。室外熱交換器21と室内熱交換器31とのそれぞれは、熱交換器50を有する。
【0033】
室外熱交換器21の熱交換器50と、室内熱交換器31の熱交換器50とは、大まかな構成が共通する。このため、以下の熱交換器50についての説明は、室外熱交換器21の熱交換器50と室内熱交換器31の熱交換器50において概ね共通する。なお、室外熱交換器21の熱交換器50と、室内熱交換器31の熱交換器50とは、例えば、形状、大きさ、又は配置について、互いに異なっても良い。また、一方の熱交換器50をマイクロチャネル熱交換器とし、他方の熱交換器50をフィンチューブ熱交換器とするなど、二つの熱交換器50が互いに異なる方式又は構成の熱交換器であっても良い。
【0034】
以下、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸及びY軸は、略水平に延びている。Z軸は、略鉛直に延びている。なお、X軸、Y軸、及びZ軸は、水平方向及び鉛直方向に対して斜めに傾いていても良い。
【0035】
さらに、本明細書において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向(上方向)と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向(下方向)とを含む。
【0036】
熱交換器50は、二つのヘッダ51,52と、複数の伝熱管53と、複数のフィン54とを有する。二つのヘッダ51,52は、例えばX方向に互いに離間している。複数の伝熱管53及び複数のフィン54は、二つのヘッダ51,52の間に設けられる。
【0037】
ヘッダ51は、冷媒配管42に接続される。ヘッダ52は、冷媒配管41に接続される。ヘッダ51,52の内部には、冷媒が流れる流路が形成される。例えば、熱交換器50が蒸発器として機能する場合、ヘッダ51には、主に液状や気液二相流の冷媒が流れる。一方、ヘッダ52には、例えば、ガス状の冷媒が流れる。なお、ヘッダ51,52を流れる冷媒は、この例に限られない。
【0038】
複数の伝熱管53は、例えば、銅やアルミニウムのような金属で作られた扁平多孔管である。複数の伝熱管53は、Z方向に間隔を介して並べられ、二つのヘッダ51,52の間で略X方向に延びている。冷媒は、複数の伝熱管53を通って、二つのヘッダ51,52の間で流れる。熱交換器50に複数の伝熱管53が設けられることで、熱交換器50を流れる冷媒の圧力損失が低減され、熱交換器50の性能が向上し得る。
【0039】
複数のフィン54は、X方向に間隔を介して並べられる。複数のフィン54のそれぞれは、複数の伝熱管53のうち少なくとも一つに接続される。これにより、複数のフィン54は、複数の伝熱管53を流れる冷媒と空気との熱交換を促進する。
【0040】
冷媒配管42は、本体配管61と、複数の分岐配管62と、分流器63とを有する。本体配管61は、第1の配管の一例である。複数の分岐配管62は、複数の第2の配管の一例である。
【0041】
本体配管61は、膨張弁26と分流器63との間に設けられる。複数の分岐配管62のそれぞれの一方の端部62aは、熱交換器50のヘッダ51に接続される。複数の分岐配管62のそれぞれの他方の端部62bは、分流器63に接続される。すなわち、冷媒配管41は、本体配管61から、分流器63で、複数の分岐配管62に分岐する。
【0042】
冷媒は、本体配管61から、分流器63で分配され、複数の分岐配管62へ流れることができる。反対に、冷媒は、複数の分岐配管62から、分流器63で合流し、本体配管61へ流れることもできる。このように、冷媒は、本体配管61、複数の分岐配管62、及び分流器63を流れる。
【0043】
本体配管61の一部は、例えば室外機11又は室内機12の内部の限られた空間に収容されるために、略U字状に曲げられている。本体配管61は、二つの直線部61a,61bと屈曲部61cとを有する。直線部61aは、第1の部分の一例である。直線部61bは、第2の部分の一例である。
【0044】
直線部61a,61bのそれぞれは、略Z方向(鉛直方向)に直線状に延びている。+Z方向における直線部61aの端部は、分流器63に接続される。直線部61bは、直線部61aと膨張弁26との間に設けられる。直線部61bは、直線部61aから-X方向に離間している。屈曲部61cは、略円弧状に延び、-Z方向における直線部61a,61bの端部を接続する。
【0045】
本体配管61は、上述の例に限られない。例えば、直線部61bは、X方向に延びていても良い。この場合、直線部61a,61b及び屈曲部61cを含む本体配管61の一部は、略L字状に曲げられる。
【0046】
図3は、第1の実施形態の冷媒配管42の一部を概略的に示す断面図である。
図3に示すように、分流器63は、第1の筒部71と、第2の筒部72と、隔壁73と、二つのガイド74,75とを有する。ガイド74,75は、例えば、板状構造体とも称され得る。
【0047】
第1の筒部71及び第2の筒部72は、略Z方向に延びる筒状に形成される。Z方向は、第1の方向の一例である。第1の筒部71及び第2の筒部72は、共通の中心軸Axを有する。中心軸Axは、略Z方向に延びている。なお、第1の筒部71及び第2の筒部72は、この例に限られない。
【0048】
第1の筒部71と第2の筒部72とは、略Z方向に並ぶ。隔壁73は、+Z方向における第1の筒部71の端部と、-Z方向における第2の筒部72の端部との間に設けられる。-Z方向における第1の筒部71の端部に、+Z方向における直線部61aの端部が接続される。+Z方向における第2の筒部72の端部に、複数の分岐配管62の端部62bが接続される。なお、直線部61aが第1の筒部71の他の部分に接続されても良いし、複数の分岐配管62の端部62bが第2の筒部72の他の部分に接続されても良い。
【0049】
図4は、第1の実施形態の分流器63を概略的に示す断面図である。
図4に示すように、第1の筒部71の内部に、第1の流路81が設けられる。第1の流路81は、第1の筒部71の内部において、略Z方向に延びている。さらに、第2の筒部72の内部に、第2の流路82が設けられる。第2の流路82は、第2の筒部72の内部において、略Z方向に延びている。
【0050】
第1の流路81及び第2の流路82は、冷媒が流れる空間(通路)である。本体配管61の直線部61aは、第1の流路81に連通する。複数の分岐配管62は、第2の流路82に連通する。例えば、冷媒は、直線部61aから第1の流路81に流入し、第2の流路82から複数の分岐配管62へ流出する。
【0051】
複数の分岐配管62のそれぞれは、第2の流路82とヘッダ51とを接続する。複数の分岐配管62のそれぞれは、ヘッダ51を通じて、複数の伝熱管53のうち少なくとも二つに接続される。言い換えると、複数の分岐配管62のそれぞれは、ヘッダ51で、複数の伝熱管53に分岐する。分流器63及びヘッダ51は、冷媒配管42を分岐させることで、冷媒の圧力損失を低減することができる。
【0052】
第1の筒部71は、内周面71aを有する。内周面71aは、中心軸Axに沿って略Z方向に延びる筒状の面である。内周面71aは、第1の筒部71の内側に向き、第1の流路81の少なくとも一部を形成(規定、区画)する。すなわち、内周面71aは、第1の流路81を囲む。
【0053】
図5は、第1の実施形態の分流器63を
図4のA-A線に沿って概略的に示す断面図である。
図6は、第1の実施形態の一つの変形例における分流器63を
図4のA-A線に沿って概略的に示す断面図である。
図5に示すように、本実施形態の内周面71aは、略四角筒状に形成される。なお、内周面71aは、この例に限られず、
図6に示される略円筒状、又は他の形状に形成されても良い。
【0054】
図4に示すように、第2の筒部72は、周壁85と、端壁86と、凸部87とを有する。周壁85は、中心軸Axに沿って略Z方向に延びる筒状の壁である。端壁86は、+Z方向における周壁85の端部を塞ぐ。端壁86は、隔壁73から+Z方向(Z方向)に離間している。周壁85及び端壁86は、第2の流路82の少なくとも一部を形成(規定、区画)する。
【0055】
凸部87は、第2の流路82に位置し、端壁86から中心軸Axに沿って略-Z方向に突出している。凸部87は、平面87aを有する。平面87aは、-Z方向における凸部87の端部に設けられる。平面87aは、略平坦に形成され、略-Z方向に向く。言い換えると、平面87aは、Z方向と交差(本実施形態では直交)するように形成される。なお、-Z方向における凸部87の端部は、平面87aに限られず、曲面、円錐面、角錐面、又は他の形状を有しても良い。
【0056】
図7は、第1の実施形態の分流器63を
図4のB-B線に沿って概略的に示す断面図である。
図8は、第1の実施形態の一つの変形例における分流器63を
図4のB-B線に沿って概略的に示す断面図である。
【0057】
図7に示すように、本実施形態の周壁85は略四角筒状に形成される。さらに、本実施形態の凸部87は、Z方向に互いに接続された複数の略直方体状の部分を有する。なお、周壁85及び凸部87は、この例に限られない。例えば、周壁85は、
図8に示される略円筒状、又は他の形状に形成されても良い。また、凸部87は、
図8に示される円柱状の部分、又は他の形状の部分を有しても良い。
【0058】
複数の分岐配管62の端部62bは、中心軸Axまわりに略等間隔に配置される。
図7に示すように、本実施形態の冷媒配管42は、四つの分岐配管62を有する。冷媒配管42は、
図8に示されるように六つの分岐配管62を有しても良い。また、冷媒配管42は、例えばX方向に互いに離間した二つの分岐配管62を有し、X方向において当該二つの分岐配管62の間に凸部87が配置されても良い。分岐配管62の数及び配置は、これらの例に限られない。
【0059】
図4に示すように、隔壁73は、第1の流路81と第2の流路82とを区画する。言い換えると、隔壁73は、第1の流路81と第2の流路82との間に介在し、第1の流路81と第2の流路82とを隔てる。
【0060】
隔壁73に、貫通孔89が設けられる。貫通孔89は、中心軸Axに沿ってZ方向に隔壁73を貫通し、第1の流路81と第2の流路82とを接続する。X方向における貫通孔89の幅Wpは、X方向における第1の流路81の幅Wcよりも小さい。例えば、幅Wpは、幅Wcの20%乃至40%、具体的には幅Wcの約30%に設定される。なお、幅Wp,Wcはこの例に限られない。
【0061】
図5に示すように、本実施形態の貫通孔89の断面は、略四角形に形成される。なお、貫通孔89の断面は、この例に限られず、
図6に示される略円形、又は他の形状に形成されても良い。本明細書において、断面は、Z方向と直交する断面である。
【0062】
X方向における貫通孔89の幅Wpは、Y方向における貫通孔89の幅と、略同一に設定される。なお、Y方向における貫通孔89の幅は、X方向における貫通孔89の幅Wpと異なっても良い。
【0063】
図4に示すように、隔壁73は、二つの端面73a,73bを有する。端面73aは、第1の流路81側に設けられ、第1の流路81に面する。言い換えると、端面73aは、第1の筒部71の内周面71aと共に、第1の流路81の少なくとも一部を形成(規定、区画)する。端面73bは、端面73aの反対側に位置する。端面73bは、第2の流路82側に設けられ、第2の流路82に面する。言い換えると、端面73bは、第2の筒部72の周壁85及び端壁86と共に、第2の流路82の少なくとも一部を形成する。貫通孔89は、端面73a,73bに開口する。
【0064】
凸部87は、端壁86から、端面73bに開口する貫通孔89に向かって突出している。凸部87の平面87aは、間隔を介して、端面73bに開口する貫通孔89に向く。平面87aは、端面73bに開口する貫通孔89の断面よりも大きい。このため、X方向における平面87aの幅Wsは、X方向における貫通孔89の幅Wpよりも大きい。
【0065】
端面73aは、中間面73cと二つの斜面73d,73eとを有する。斜面73d,73eは、第1の斜面の一例である。中間面73cと斜面73d,73eとは、X方向に並べられる。中間面73cは、二つの斜面73d,73eの間に設けられる。
【0066】
中間面73cは、略平坦に形成され、略-Z方向に向く。中間面73cは、略Y方向に延びている。貫通孔89は、端面73aのうち、中間面73cに開口する。このため、二つの斜面73d,73eは、貫通孔89を挟んでX方向における両側に位置する。
【0067】
二つの斜面73d,73eは、-Z方向に向かって先細るように、X方向に対して傾斜している。言い換えると、二つの斜面73d,73eは、貫通孔89に近づくに従って第2の流路82から遠ざかるようにX方向に対して傾斜している。別の表現によれば、二つの斜面73d,73eは、互いに近づくにつれて第2の流路82から遠ざかるようにX方向に対して傾斜している。
【0068】
二つのガイド74,75は、略直方体の板状に形成される。なお、ガイド74,75は、この例に限られない。ガイド74,75は、第1の流路81に配置される。
図5に示すように、ガイド74,75は、Y方向に延びている。ガイド74,75のそれぞれのY方向における両端部は、第1の筒部71の内周面71aに接続される。
【0069】
二つのガイド74,75は、X方向に互いに離間して並べられる。このため、ガイド74,75の間に、隙間G1が形成される。また、X方向において、ガイド74と内周面71aとの間に隙間G2が形成され、ガイド75と内周面71aとの間に隙間G3が形成される。すなわち、二つのガイド74,75は、隙間G2,G3とは反対側で互いに離間している。
【0070】
図4に示すように、隔壁73は、ガイド74,75から離間している。このため、ガイド74と隔壁73との間に隙間G4が形成され、ガイド75と隔壁73との間に隙間G5が形成される。隙間G1と隙間G2とは、隙間G4を通じて互いに連通する。隙間G1と隙間G3とは、隙間G5を通じて互いに連通する。
【0071】
貫通孔89は、X方向において二つのガイド74,75の間に位置する。このため、貫通孔89は、隔壁73のうち、二つのガイド74,75の間の隙間G1に対向する位置に開口する。二つのガイド74,75の間の隙間G1は、中心軸Axに沿って略Z方向に延び、貫通孔89に連通する。
【0072】
ガイド74は、斜面74a,74bを有する。斜面74aは、第2の斜面の一例である。斜面74aは、間隔を介して隔壁73の斜面73dに対向する。隙間G4は、ガイド74の斜面74aと隔壁73の斜面73dとの間に設けられる。斜面74bは、斜面74aの反対側に位置する。
【0073】
斜面74a,74bは、隔壁73の斜面73dと略平行である。このため、斜面74aは、貫通孔89に近づくに従って第2の流路82から遠ざかるようにX方向に対して傾斜している。別の表現によれば、斜面73d,74a,74bは、隙間G2側から貫通孔89側に近づくに従って第2の流路82から遠ざかるように傾斜している。なお、斜面74a,74bは、隔壁73の斜面73dと平行でなくても良い。
【0074】
ガイド75は、斜面75a,75bを有する。斜面75aは、第2の斜面の一例である。斜面75aは、間隔を介して隔壁73の斜面73eに対向する。隙間G5は、ガイド75の斜面75aと隔壁73の斜面73eとの間に設けられる。斜面75bは、斜面75aの反対側に位置する。
【0075】
斜面75a,75bは、隔壁73の斜面73eと略平行である。このため、斜面75aは、貫通孔89に近づくに従って第2の流路82から遠ざかるようにX方向に対して傾斜している。別の表現によれば、斜面73e,75a,75bは、隙間G3側から貫通孔89側に近づくに従って第2の流路82から遠ざかるように傾斜している。従って、二つの斜面74a,75aは、-Z方向に向かって先細るように、X方向に対して傾斜している。なお、斜面75a,75bは、隔壁73の斜面73eと平行でなくても良い。
【0076】
上述のように、直線部61bは、直線部61aから-X方向に離間している。-X方向は、隙間G2側から貫通孔89側に向く方向であり、第2の方向の一例である。冷媒は、直線部61bから、屈曲部61cを通って、直線部61aへ流れる。
【0077】
本体配管61を流れる冷媒は、主に気液二相流である。このため、冷媒は、液状の冷媒及びガス状の冷媒を含む。液状の冷媒は、ガス状の冷媒よりも比重が高い。このため、
図3の矢印で模式的に示すように、液状の冷媒は、屈曲部61cを流れるとき、遠心力により外側の端部に比較的集まり易い。一方、ガス状の冷媒は、屈曲部61cを流れるとき、内側の端部に比較的集まり易い。このため、屈曲部61cを通過した冷媒において、液状の冷媒とガス状の冷媒との分布が不均一になることがある。
【0078】
図4の矢印で模式的に示すように、屈曲部61cを通過した冷媒は、第1の流路81に流入する。屈曲部61cにおける液状の冷媒とガス状の冷媒との分布の不均一により、液状の冷媒は、+X方向における第1の流路81の端部81aの近傍に比較的集まり易い。一方、ガス状の冷媒は、-X方向における第1の流路81の端部81bの近傍に比較的集まり易い。
【0079】
液状の冷媒とガス状の冷媒とが屈曲部61cを通過する前の状態に近い状態で分布する気液二相流の冷媒、すなわち、液状の冷媒とガス状の冷媒とが比較的均一に分布する気液二相流の冷媒(以下、第1の状態の冷媒という)は、X方向における第1の流路81の中央に集まる。二つのガイド74,75の間の隙間G1は、X方向における第1の流路81の略中央に位置する。このため、第1の状態の冷媒は、隙間G1に流入する。
【0080】
ガイド74と内周面71aとの間の隙間G2は、第1の流路81の端部81aに連通する。このため、第1の状態の冷媒に比べて液状の冷媒が多い気液二相流の冷媒(以下、第2の状態の冷媒という)は、隙間G2に流入する。さらに、ガイド74の斜面74bは、第2の状態の冷媒を隙間G2へ導く。第2の状態の冷媒は、隙間G2,G4を通過して、隙間G1を通過した第1の状態の冷媒に衝突する。言い換えると、隔壁73の斜面73dとガイド74の斜面74aとは、第2の状態の冷媒を、隙間G1と隙間G4とが合流する部分へ導く。
【0081】
ガイド75と内周面71aとの間の隙間G3は、第1の流路81の端部81bに連通する。このため、第1の状態の冷媒に比べてガス状の冷媒が多い気液二相流の冷媒(以下、第3の状態の冷媒という)は、隙間G3に流入する。さらに、ガイド75の斜面75bは、第3の状態の冷媒を隙間G3へ導く。第3の状態の冷媒は、隙間G3,G5を通過して、隙間G1を通過した第1の状態の冷媒に衝突する。言い換えると、隔壁73の斜面73eとガイド75の斜面75aとは、第3の状態の冷媒を、隙間G1と隙間G5とが合流する部分へ導く。
【0082】
第1の流路81の略中央を流れる第1の状態の冷媒は、隙間G1を略+Z方向に流れる。このため、隙間G1を流れる第1の状態の冷媒の速度は、+Z方向の成分を有する。一方、隙間G4を流れる第2の状態の冷媒の速度と、隙間G5を流れる第3の状態の冷媒の速度とは、-Z方向の成分を有する。従って、隙間G1を通過した第1の状態の冷媒と、隙間G4を通過した第2の状態の冷媒と、隙間G5を通過した第3の状態の冷媒と、の衝突時における相対速度は大きくなる。
【0083】
第1の状態の冷媒と、第2の状態の冷媒と、第3の状態の冷媒とは、隙間G1,G4,G5が互いに接続された部分で互いに衝突することで、略均一に混合される。これにより、液状の冷媒とガス状の冷媒とが略均一に混合された気液二相流の冷媒が、貫通孔89を通って第2の流路82に流入する。
【0084】
略均一に混合された気液二相流の冷媒は、第2の流路82において、凸部87の平面87aに衝突する。これにより、当該気液二相流の冷媒に含まれる液状の冷媒とガス状の冷媒とのZ方向における速度差が一旦低減される。平面87aに衝突した当該気液二相流の冷媒は、Z方向と略直交する方向に拡散し、複数の分岐配管62へ分配される。
【0085】
分流器63において液状の冷媒とガス状の冷媒との分布が略均一にされているため、複数の分岐配管62における液状の冷媒とガス状の冷媒との割合は、略均等となる。このため、複数の伝熱管53においても、液状の冷媒とガス状の冷媒との割合が略均等となる。
【0086】
以上のように、分流器63は、ガイド74,75により分岐させられた複数の冷媒の流れを互いに衝突させる、いわゆるテスラバルブのような流路を形成する。なお、テスラバルブは流体の流れを互いに衝突させることにより流体の流れを阻害するが、本実施形態の分流器63は冷媒の流れを互いに衝突させることにより冷媒を混合する。
【0087】
冷房運転における室内熱交換器31の熱交換器50は、蒸発器として機能する。複数の伝熱管53における液状の冷媒とガス状の冷媒との割合が略均等であるため、熱交換器50は、複数の伝熱管53において効率良く冷媒の吸熱を行うことができる。
【0088】
暖房運転における室外熱交換器21の熱交換器50は、蒸発器として機能する。複数の伝熱管53における液状の冷媒とガス状の冷媒との割合が略均等であるため、熱交換器50は、複数の伝熱管53において効率良く冷媒の吸熱を行うことができる。
【0089】
以下、分流器63の製造方法の一部について例示する。なお、分流器63の製造方法は以下の方法に限らず、他の方法を用いても良い。本実施形態の分流器63は、例えば、外筒100と、第1の構造体101と、第2の構造体102と、第3の構造体103とを有する。外筒100、第1の構造体101、第2の構造体102、及び第3の構造体103は、例えば、真鍮又はステンレス鋼で作られる。
【0090】
外筒100は、小筒部111と大筒部112とを有する。小筒部111及び大筒部112は、中心軸Axに沿って略Z方向に延びる筒状に形成される。+Z方向における小筒部111の端部は、-Z方向における大筒部112の端部に接続される。大筒部112の内側の空間の断面は、小筒部111の内側の空間の断面よりも大きい。
【0091】
第1の構造体101は、二つのガイド74,75を有する。第2の構造体102は、隔壁73を有する。第1の構造体101及び第2の構造体102は、例えば、加締め又は溶接により小筒部111の内側に取り付けられる。第1の筒部71の内周面71aは、例えば、小筒部111及び第1の構造体101のうち少なくとも一方により形成される。
【0092】
大筒部112は、周壁85を有する。第3の構造体103は、端壁86及び凸部87を有する。第3の構造体103の端壁86は、例えば、溶接又は加締めにより+Z方向における周壁85の端部に取り付けられる。以上のように、分流器63は、例えば、外筒100に第1の構造体101、第2の構造体102、及び第3の構造体103を取り付けることで、容易に製造され得る。
【0093】
以上説明された第1の実施形態に係る空気調和機10において、第1の筒部71は、本体配管61に接続されるよう構成される。第1の筒部71の内部に、Z方向に延びた第1の流路81が設けられる。第1の筒部71は、第1の流路81を囲む内周面71aを有する。第2の筒部72は、複数の分岐配管62に接続されるよう構成される。第2の筒部72の内部に、第2の流路82が設けられる。二つのガイド74,75は、内周面71aとの間に隙間G2,G3を形成するように第1の流路81に配置される。二つのガイド74,75は、隙間G2,G3とは反対側で互いに離間している。隔壁73は、第1の流路81と第2の流路82とを区画するとともに、二つのガイド74,75から離間している。隔壁73において、第1の流路81と第2の流路82とを接続する貫通孔89が、二つのガイド74,75の間に対向する位置に開口する。
【0094】
例えば、冷媒が本体配管61から分流器63を通って複数の分岐配管62へ流れる場合、冷媒はまず第1の流路81に流入する。当該冷媒では、例えば遠心力により、液状の冷媒とガス状の冷媒とがX方向において偏在していることがある。例えば、液状の冷媒とガス状の冷媒とが比較的均一に分布する第1の状態の冷媒は、X方向において、第1の状態の冷媒に比べて液状の冷媒が多い第2の状態の冷媒と、第1の状態の冷媒に比べてガス状の冷媒が多い第3の状態の冷媒と、の間に位置する。すなわち、第1の状態の冷媒は、X方向における略中央に位置するため、二つのガイド74,75の間の隙間G1を通る。第2の状態の冷媒は、ガイド74と内周面71aとの間の隙間G2を通り、さらに当該ガイド74と隔壁73との間の隙間G4を通って流れ、二つのガイド74,75の間の隙間G1を通過した第1の状態の冷媒に衝突する。第3の状態の冷媒は、ガイド75と内周面71aとの間の隙間G3を通り、さらに当該ガイド75と隔壁73との間の隙間G5を通って流れ、隙間G1を通過した第1の状態の冷媒に衝突する。すなわち、隙間G1を通過した第1の状態の冷媒に、ガイド74により分岐された第2の状態の冷媒と、ガイド75により分岐された第3の状態の冷媒とが衝突する。これにより、第1の状態の冷媒と、第2の状態の冷媒と、第3の状態の冷媒とが、互いに混合された上で、貫通孔89及び第2の流路82を通って複数の分岐配管62に分配される。これにより、液状の冷媒とガス状の冷媒とがX方向において偏在していたとしても、分流器63は、液状の冷媒とガス状の冷媒とが混合された気液二相流の冷媒を略均等に複数の分岐配管62へ導入することができる。従って、分流器63は、複数の分岐配管62へ分配された冷媒における液状の冷媒とガス状の冷媒との割合が異なってしまうことを抑制できる。
【0095】
隔壁73は、第1の流路81側において、隙間G2,G3側から貫通孔89側に近づくに従って第2の流路82から遠ざかるように傾斜した二つの斜面73d,73eを、貫通孔89を挟んで両側に有する。二つのガイド74,75は、斜面73d,73eに対向し、隙間G2,G3側から貫通孔89側に近づくに従って第2の流路82から遠ざかるように傾斜した斜面74a,75aを有する。これにより、隙間G4,G5を通る冷媒の流れは、隙間G1を通過する冷媒の流れの方向と逆方向の成分を有する。従って、隙間G1を通過した第1の状態の冷媒と、ガイド74,75により分岐された第2の状態の冷媒と、ガイド74,75により分岐された第3の状態の冷媒と、の衝突時における相対速度が大きくなり、第1の状態の冷媒と、第2の状態の冷媒と、第3の状態の冷媒とがより均一に混合される。
【0096】
第2の筒部72は、隔壁73からZ方向に離間した端壁86と、当該端壁86から貫通孔89に向かって突出する凸部87と、を有する。貫通孔89を通過した冷媒は、凸部87に衝突する。当該衝突により、液状の冷媒とガス状の冷媒との速度差が低減され、液状の冷媒とガス状の冷媒との分布が均一に近づく。従って、分流器63は、液状の冷媒とガス状の冷媒とが混合された気液二相流の冷媒を略均等に複数の分岐配管62へ導入することができる。
【0097】
凸部87は、貫通孔89に向くとともにZ方向と交差する平面87aを有する。貫通孔89を通過した冷媒は、凸部87の平面87aに衝突する。当該衝突により、液状の冷媒とガス状の冷媒との速度差がより効果的に低減され、液状の冷媒とガス状の冷媒との分布がより均一に近づく。従って、分流器63は、液状の冷媒とガス状の冷媒とが混合された気液二相流の冷媒を略均等に複数の分岐配管62へ導入することができる。
【0098】
本体配管61は、第1の筒部71に接続される直線部61aと、直線部61aからZ朋央と直交し、且つ、隙間G2側から貫通孔89側に向く-X方向に離れた直線部61bと、を有する。冷媒が本体配管61から分流器63を通って複数の分岐配管62へ流れる場合、本体配管61における冷媒は、直線部61bから直線部61aへ流れる。このため、本体配管61から第1の流路81に流入する冷媒において、例えば遠心力又は慣性により、液状の冷媒とガス状の冷媒とがX方向において偏在する。しかし、本実施形態の分流器63は、液状の冷媒とガス状の冷媒とがX方向において偏在していたとしても、液状の冷媒とガス状の冷媒とが混合された気液二相流の冷媒を略均等に複数の分岐配管62へ導入することができる。従って、本実施形態の空気調和機10は、複数の分岐配管62へ分配された冷媒における液状の冷媒とガス状の冷媒との割合が異なってしまうことを抑制できる。
【0099】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、
図9を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0100】
図9は、第2の実施形態に係る冷房運転時の空気調和機10を概略的に示す冷媒系統図である。
図9に示すように、第2の実施形態における空気調和機10は、複数の室内機12を有する、いわゆるマルチエアコンである。
【0101】
室外機11と複数の室内機12との間において、冷媒配管41,42のそれぞれは、本体配管61と、複数の分岐配管62と、分流器63とを有する。複数の分岐配管62の数は、複数の室内機12の数と同一である。複数の分岐配管62のそれぞれは、複数の室内機12のうち対応する室内熱交換器31の熱交換器50に接続される。
【0102】
複数の分流器63のそれぞれは、室外機11と複数の室内機12との間において、第1の実施形態と同様に、液状の冷媒とガス状の冷媒との分布を均一に近づけることができる。従って、複数の室内機12の室内熱交換器31における液状の冷媒とガス状の冷媒との割合は、略均等となる。
【0103】
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態について、
図10を参照して説明する。
図10は、第3の実施形態に係る熱交換器50を模式的に示す側面図である。
図10に示すように、第3の実施形態の熱交換器50は、フィンチューブ熱交換器である。フィンチューブ熱交換器である熱交換器50は、第1の熱交換器301と、二つの第2の熱交換器302と、接続配管303とを有する。なお、フィンチューブ熱交換器の構造としては、この例に限られない。
【0104】
第1の熱交換器301と二つの第2の熱交換器302とのそれぞれは、熱交換器50の一部であり、複数の伝熱管53と複数のフィン54とを有する。第1の熱交換器301と二つの第2の熱交換器302とのそれぞれにおいて、少なくとも二つの伝熱管53が直列に接続される。
【0105】
図10の例では、第1の熱交換器301と二つの第2の熱交換器302とのそれぞれにおいて、例えば、直列に接続された二組の伝熱管53が並列に設けられる。なお、熱交換器50における複数の伝熱管53の数、配置、及び接続等は、
図10の例に限られない。
【0106】
接続配管303は、第1の熱交換器301の伝熱管53と、二つの第2の熱交換器302の伝熱管53と、を接続する。接続配管303は、本体配管61と、複数の分岐配管62と、分流器63とを有する。
【0107】
本体配管61、分岐配管62、及び分流器63は、以下の説明を除き、第1の実施形態と少なくとも大まかな構成が共通する。
図10の本体配管61は、第1の熱交換器301の伝熱管53に接続される。複数の分岐配管62は、二つの第2の熱交換器302の伝熱管53に接続される。このように、複数の分岐配管62は、第2の熱交換器302に接続される。
【0108】
第1の熱交換器301の伝熱管53は、冷媒配管42に接続される。一方、二つの第2の熱交換器302のそれぞれの伝熱管53は、冷媒配管41に接続される。二つの第2の熱交換器302の伝熱管53は、合流して冷媒配管41に接続されて良い。
【0109】
例えば熱交換器50が蒸発器として機能する場合、主に液体や気液二相流の冷媒が、冷媒配管42から第1の熱交換器301の伝熱管53へ流れる。冷媒は、第1の熱交換器301から、分流器63により分岐する接続配管303を通り、二つの第2の熱交換器302の伝熱管53へ流れる。例えば、主にガス状の冷媒が、第2の熱交換器302から冷媒配管41へ流れる。なお、第1の熱交換器301及び第2の熱交換器302を流れる冷媒は、以上の例に限られない。
【0110】
以上の第3の実施形態のように、分流器63は、室外熱交換器21又は室内熱交換器31の内部における二つの部分(第1の熱交換器301及び第2の熱交換器302)の間に設けられても良い。また、分流器63は、分岐配管62が直接的又は間接的に熱交換器に接続される他の位置に設けられても良い。
【0111】
以上の説明において、抑制は、例えば、事象、作用、若しくは影響の発生を防ぐこと、又は事象、作用、若しくは影響の度合いを低減させること、として定義される。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0113】
10…空気調和機、61…本体配管、61a,61b…直線部、62…分岐配管、63…分流器、71…第1の筒部、71a…内周面、72…第2の筒部、73…隔壁、73d,73e…斜面、74,75…ガイド、74a,75a…斜面、81…第1の流路、82…第2の流路、86…端壁、87…凸部、87a…平面、89…貫通孔、Wc,Wp…幅、G2,G3…隙間。