(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097140
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】リンクプレート
(51)【国際特許分類】
F16G 13/06 20060101AFI20240710BHJP
F16G 13/02 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
F16G13/06 B
F16G13/02 H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000421
(22)【出願日】2023-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】310024077
【氏名又は名称】内田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】592151650
【氏名又は名称】内田 隆志
(72)【発明者】
【氏名】内田清子
(72)【発明者】
【氏名】内田隆志
(57)【要約】 (修正有)
【課題】チェーンを構成するピン/ピン間隔を保ち、チェーンに張力が加わるとき、FRP構成繊維が耐荷するチェーンリンクプレートを実現する。
【解決手段】マンドレルを用いて成形される動力伝達用FRP製リンクプレートで、ピン穴間のFRP厚さがピン穴周りに巻かれたFRP厚さより厚いリンクプレートにおいて、全FRPは連続しており、その厚さ差分相当分もその連続FRPの折りたたみで成形、あるいは、その差分を連続繊維以外の物で構成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図1のマンドレルを用いて成形される動力伝達用FRP製リンクプレートで、ピン穴間のFRP厚さがピン穴周りに巻かれたFRP厚さより厚いリンクプレートにおいて、全FRPは連続しており、その厚さ差分相当分もその連続FRPの折りたたみで成形、あるいは、その差分を連続繊維以外の物で構成したことを特長とするチェーン用リンクプレート
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化プラスチック製の動力伝達チェーンを構成するリンクプレートの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の動力伝達用チェーンは金属製とプラスチック製、および金属・プラスチックを併用したもの等がある。これらチェーンには一長一短がある。その一長一短は、チェーンに使用する素材に由来する。近年、航空機に長繊維強化複合材(FRP)を使用することにより、強度は保ちつつも軽量化が図られている。チェーンもFRPで構成できれば、既存チェーンの長所のみを有するチェーン(以下、FRPチェーン)を実現できるが、概して、FRP製品製造工程は生産性の点で既存チェーンに及ばない可能性が高い。この結果、FRPチェーンの製造原価は高額となることが予想される。価格の高低は製造工程数に大きく依存することから、製造工程数を低減し、結果としてユーザーに受け入れられる妥当な価格とすることは大きな課題である。
【0003】
実用に際し、強くて、軽くて、錆びない、伸びない、高速駆動ができる、耐磨耗性が高く、静粛であり、潤滑油を必要としない、かつ、妥当な価格の動力伝達チェーンが望まれている。
【0004】
チェーンの基本構成部品は、a.ピン、b.ブッシュ、c.ローラー、d.リンクプレートである。これら部品のうち、a、b、c断面は円形であり、円柱状物あるいは円筒状物である。FRP製円形状物は、円柱にFRPを巻き付ける方法等で得られる。これに対し、dはaあるいはbを受ける2個の穴を有する平板形状であり、現状、長繊維FRP製リンクプレートを用いたチェーンは市販されていない。
【0005】
強度のみを保持するFRPリンクプレートは、FRPに張力を掛けながら2本の平行ピン周りに必要量巻き付けることで得られる。これならば上記の円形状物の成形とほぼ同様であり成形に困難はない。このように成形したリンクプレートはピン/ピン間は隙間であり、ピンの移動を許す。チェーンリンクは、このピンの移動を抑える、即ち、ピン/ピン間隔を保持する機能も必要である。
引用文献1では、FRP製リンクプレートの成形法を示している。以下、文献1の図番等を用いて記述する。リンクプレートのピン/ピン間隔固定機能を有するリンクプレート形状とし
図8が述べられている。当該形状を得る方法は、
図6のマンドレル周りにFRPを必要量巻きかけ、巻きあがったものにリンクプレート外周側から加圧して硬化させるとしている。しかしながら、当方法では
図8形状は得られない。なぜならば、
図8では、ピン/ピン間のFRP厚さがピン周りの厚さより厚くなっている。ピン/ピン間のFRPの繊維密度とピン周りの密度が異ならなければならない。マンドレルに巻き付けただけでは密度を変えることは出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-106380号公報
【特許文献2】特許6133833
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
チェーンを構成するピン/ピン間隔を保ち、チェーンに張力が加わるとき、FRP構成繊維が耐荷するチェーンリンクプレートの実現である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ピン/ピン間隔を保持し、かつ、引張強度をも保持するする方法の一つとして、文献2がある。この方法は、リンクプレートが内側FRP層(内層)と外側FRP層(外層)の2層より成ることから、各層成形の工程が必要となる。
文献1の課題は、マンドレル(文献1の
図6)11a部と11bの形状差の扱いである。
基本的には、この差部分を埋めることで課題を解決できる。その埋める方法として、本願
図1のように、マンドレルにFRPシートを巻き付ける過程でFRPを畳み込んでこの差分を埋めその周りにFRPを必要厚さまで巻きかけ、文献1同様に外周部に加圧等して成形する。他の方法としては、この差部分形状したものをあてがい、FRPを巻きかける方法がある。差部分形状物は、リンクプレートの一部となるように、先ずマンドレルにFRPを1重以上幾重かに巻きかけて後、当該物を設置し、その周りにFRPを必要厚さにまで巻きかけるか、あるいは、文献2同様に、成形後に当該物を引き抜く方法も在りうる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のチェーンは軽量、高強度、伸びない、錆びない、摺動用給油不要、高速駆動が可能、耐磨耗性が高い、駆動時音は静かであり、現在使われている多様なチェーンを代替できる。現状、FRP製チェーンが上市されていない要因として、金属製チェーンより高価となることがある。簡易なFRP成形工程により製造原価の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【実施例0011】
FRPシートをマンドレルに沿って1回あるいは複数回捲きつけ、
図1の2の隙間部ではFRPシートをこの隙間を埋めるように折り重ね、折り重ね外縁が隙間厚さになったら、FRPを再度マンドレルに周回巻き付け、外形が所要寸度になる迄巻き付ける(
図2)。巻き付け完了したものを加圧加熱硬化等して後、マンドレルを引き抜くことで、リンクプレートロッドが得られる。当該ロッドを所要厚さにスライスすればリンクプレートが出来上がる。
本願対象のチェーン用リンクプレートは、チェーンを構成する、ピンあるいはブッシュ取付用2個の穴(以下ピン穴と呼称)を有する物であるが、リンクプレートのみならず、2個以上のピン穴を有する平板状あるいはロッドについても、0011項、0012項の方法は適用可能である。