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特開2024-97153建築物又は土木構造物の管理支援システム、及び、移動通信端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097153
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】建築物又は土木構造物の管理支援システム、及び、移動通信端末
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240710BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240710BHJP
【FI】
G06Q50/08
G05D1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000458
(22)【出願日】2023-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】505466295
【氏名又は名称】株式会社イクシス
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】山崎 文敬
(72)【発明者】
【氏名】狩野 高志
(72)【発明者】
【氏名】花田 雅亮
【テーマコード(参考)】
5H301
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H301BB03
5H301BB14
5H301FF06
5H301FF11
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG16
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】管理対象である建築物又は土木構造物の構内を撮影する移動通信端末について、自己位置を求める精度が移動に伴って低下することを防止する建築物又は土木構造物の管理支援システム、又は、当該システムに用いられる移動通信端末を提供する。
【解決手段】移動通信端末は、建築物又は土木構造物の構内を移動する際にカメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によってマーカを検出し、検出したマーカに相当する図面マーカを図面データの中から抽出し、抽出した図面マーカの位置情報と、加速度センサによって検出した自己の運動情報と、に基づいて自己位置を求め、求めた自己位置に基づいてカメラによって撮影された映像空間と図面データが表す図面空間とを照合して出力する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数箇所のそれぞれにマーカが設置されている建築物又は土木構造物の管理を支援する建築物又は土木構造物の管理支援システムであって、
前記建築物又は前記土木構造物の図面データを記憶している記憶装置と、
前記記憶装置と通信可能に接続している移動通信端末と、
を備え、
前記図面データには、前記移動通信端末が前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する前に、前記建築物又は前記土木構造物に配置されているマーカの少なくとも一部について、当該マーカに相当する図面マーカの位置情報が登録されており、
前記移動通信端末は、
カメラと加速度センサを有しており、
前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する際に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によってマーカを検出し、
検出したマーカに相当する前記図面マーカを前記図面データの中から抽出し、
抽出した前記図面マーカの位置情報と、前記加速度センサによって検出した自己の運動情報と、に基づいて前記移動通信端末の自己位置を求め、
求めた前記移動通信端末の自己位置に基づいて前記カメラによって撮影された映像空間と前記図面データが表す図面空間とを照合して出力する、
ことを特徴とする建築物又は土木構造物の管理支援システム。
【請求項2】
前記移動通信端末は、
前記建築物又は前記土木構造物の移動中に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によって新たなマーカを検出した場合において、
当該新たなマーカに相当する前記図面マーカが前記図面データに登録されているとき、当該図面マーカの位置情報と、前記加速度センサによって検知した自己の運動情報と、に基づいて前記移動通信端末の自己位置を求め、
当該新たなマーカに相当する前記図面マーカが前記図面データに登録されていないとき、当該新たなマーカより前に検出した他のマーカの位置情報と、前記加速度センサによって検出した自己の運動情報と、に基づいて前記移動通信端末の自己位置及び当該新たなマーカの位置情報を求め、当該新たなマーカに相当する前記図面マーカを前記図面データに登録する、
請求項1に記載の建築物又は土木構造物の管理支援システム。
【請求項3】
複数箇所のそれぞれにマーカが設置されている建築物又は土木構造物の管理を支援する建築物又は土木構造物の管理支援システムであって、
前記建築物又は前記土木構造物の図面データを記憶している記憶装置と、
前記記憶装置と通信可能に接続している移動通信端末と、
を備え、
前記図面データには、前記移動通信端末が前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する前に、前記建築物又は前記土木構造物に配置されているマーカに相当する図面マーカの位置情報が登録されておらず、
前記移動通信端末は、
カメラと加速度センサを有しており、
前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する際に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によって検出したマーカが最初のマーカであるとき、前記図面データにおける座標空間の原点に前記最初のマーカを登録し、
前記建築物又は前記土木構造物の移動中に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によって検出したマーカが前記最初のマーカではなく且つ当該マーカに相当する前記図面マーカが前記図面データに登録されていないとき、当該マーカより前に検出した他のマーカの位置情報と、前記加速度センサによって検知した自己の運動情報と、に基づいて前記移動通信端末の自己位置及び当該マーカの位置情報を求め、当該マーカに相当する前記図面マーカを前記図面データに登録し、
求めた前記移動通信端末の自己位置に基づいて前記カメラによって撮影された映像空間と前記図面データが表す図面空間とを照合して出力する、
ことを特徴とする建築物又は土木構造物の管理支援システム。
【請求項4】
前記移動通信端末は、
前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する際に前記カメラによって撮影された映像の中から、少なくとも2点以上のマーカを検出した第一のタイミングにおいて、検出したマーカの一部又は全部に相当する複数の前記図面マーカを前記図面データから抽出し、抽出した複数の前記図面マーカの位置情報と前記加速度センサによって検出した自己の運動情報とに基づいて前記第一のタイミングにおける自己位置を求め、
前記第一のタイミングより後に別の場所に移動した前記カメラによって撮影された映像の中から新たにマーカを検出した第二のタイミングにおいて、新たに検出したマーカと当該マーカを検出するまでに検出したマーカの中に含まれる2点以上のマーカに相当する複数の前記図面マーカを再び前記図面データから抽出し、再び抽出した複数の前記図面マーカの位置情報と前記加速度センサによって検出した自己の運動情報とに基づいて、前記第二のタイミングにおける自己位置を求める、
請求項1から3のいずれか一項に記載の建築物又は土木構造物の管理支援システム。
【請求項5】
前記移動通信端末は、
前記第一のタイミング又は前記第二のタイミングにおいて、第一図面マーカと第二図面マーカを前記図面データから抽出し、抽出した前記第一図面マーカと前記第二図面マーカのいずれとも異なる前記図面マーカの中から所定条件を充足する第三図面マーカを前記図面データから検索し、
前記所定条件を充足する前記第三図面マーカを検索できなかったとき、前記第一図面マーカ及び前記第二図面マーカの2点に関する位置情報と、前記加速度センサによって検出した自己の運動情報と、に基づいて自己位置を求め、
前記所定条件を充足する前記第三図面マーカを検索できたとき、前記第一図面マーカ、前記第二図面マーカ及び前記第三図面マーカの3点に関する位置情報と、前記加速度センサによって検出した自己の運動情報と、に基づいて自己位置を求める、
請求項4に記載の建築物又は土木構造物の管理支援システム。
【請求項6】
前記移動通信端末は、前記第一図面マーカ、前記第二図面マーカ及び前記第三図面マーカの3点から構成される三角形について、前記第一図面マーカを頂点とする内角の角度と、前記第二図面マーカを頂点とする内角の角度と、がいずれも所定範囲に収まるとき、当該第三図面マーカが前記所定条件を充足するものとして判断する、
請求項5に記載の建築物又は土木構造物の管理支援システム。
【請求項7】
前記移動通信端末は、
前記第一図面マーカに相当するマーカを第一マーカ、前記第二図面マーカに相当するマーカを第二マーカ、及び前記第三図面マーカに相当するマーカを第三マーカとし、
図面空間における前記第一図面マーカから前記第二図面マーカに向かうベクトルを図面基準ベクトルとし、映像空間における前記第一マーカから前記第二マーカに相当するマーカへ向かうベクトルを映像基準ベクトルとし、
前記所定条件を充足する前記第三図面マーカを検索できなかったとき、前記第一マーカの位置と、前記第一図面マーカの位置と、が重なるように映像空間と図面空間を平行移動させる第一処理と、前記第一処理によって前記第一マーカと前記第一図面マーカとが重なった位置を中心とする回転移動によって、前記映像基準ベクトルと前記図面基準ベクトルとを一致させる第二処理と、を実行して、前記カメラによって撮影された映像空間と前記図面データが表す図面空間とを照合し、
前記所定条件を充足する前記第三図面マーカを検索できたとき、前記第一処理と前記第二処理を実行し、更に、前記第二処理によって一致させた前記映像基準ベクトルと前記図面基準ベクトルを軸とする回転移動によって、前記第三マーカを通り且つ前記映像基準ベクトルに垂直に交差するベクトルと、前記第三図面マーカを通り且つ前記図面基準ベクトルに垂直に交差するベクトルと、を一致させる第三処理を実行して、前記カメラによって撮影された映像空間と前記図面データが表す図面空間とを照合する、
請求項5に記載の建築物又は土木構造物の管理支援システム。
【請求項8】
前記建築物又は前記土木構造物に設置されているマーカには、画像認識処理によって検出可能な識別情報が割り当てられており、
前記移動通信端末は、
検出したマーカに割り当てられている前記識別情報に対応付けられている前記図面マーカを、前記検出したマーカに相当する前記図面マーカとして抽出し、
検出したマーカに割り当てられている前記識別情報に対応付けられている前記図面マーカが前記図面データに存在しないとき、
当該マーカの検出位置の近傍に位置し且つ前記識別情報に対応付けられていない前記図面マーカを、当該マーカに相当する前記図面マーカとして抽出し、抽出した前記図面マーカに、当該マーカに割り当てられている前記識別情報を対応付ける、
請求項1から3のいずれか一項に記載の建築物又は土木構造物の管理支援システム。
【請求項9】
前記移動通信端末は、
検出したマーカの検出位置の近傍に位置する前記図面マーカが存在しないとき、又は、検出したマーカの検出位置の近傍に位置する前記図面マーカに別の前記識別情報が対応付けられて登録されているとき、当該マーカに相当する前記図面マーカが前記図面データに登録されていないものと判定して、当該マーカに割り当てられている前記識別情報を対応付けた前記図面マーカを当該マーカに相当する前記図面マーカとして前記図面データに登録する、
請求項8に記載の建築物又は土木構造物の管理支援システム。
【請求項10】
複数箇所のそれぞれにマーカが設置されている建築物又は土木構造物の構内を移動する移動通信端末であって、
前記移動通信端末は、自機と一体的に設けられている又は外的に付設されている記憶装置に記憶されている前記建築物又は前記土木構造物の図面データを参照可能であり、
前記図面データには、前記移動通信端末が前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する前に、前記建築物又は前記土木構造物に配置されているマーカの少なくとも一部について、当該マーカに相当する図面マーカの位置情報が登録されており、
前記移動通信端末は、
カメラと加速度センサを有しており、
前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する際に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によってマーカを検出し、
前記図面データを参照して、前記検出したマーカに相当する前記図面マーカを前記図面データの中から抽出し、
抽出した前記図面マーカの位置情報と、前記加速度センサによって検知した自己の運動情報と、に基づいて前記移動通信端末の自己位置を求め、
求めた前記移動通信端末の自己位置に基づいて前記カメラによって撮影された映像空間と前記図面データが表す図面空間とを照合して出力する、
ことを特徴とする移動通信端末。
【請求項11】
複数箇所のそれぞれにマーカが設置されている建築物又は土木構造物の構内を移動する移動通信端末であって、
前記移動通信端末は、自機と一体的に設けられている又は外的に付設されている記憶装置に記憶されている前記建築物又は前記土木構造物の図面データを参照可能であり、
前記図面データには、前記移動通信端末が前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する前に、前記建築物又は前記土木構造物に配置されているマーカに相当する図面マーカの位置情報が登録されておらず、
前記移動通信端末は、
カメラと加速度センサを有しており、
前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する際に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によって検出したマーカが最初のマーカであるとき、前記図面データにおける座標空間の原点に前記最初のマーカを登録し、
前記建築物又は前記土木構造物の移動中に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によって検出したマーカが前記最初のマーカではなく且つ当該マーカに相当する前記図面マーカが前記図面データに登録されていないとき、当該マーカより前に検出した他のマーカの位置情報と、前記加速度センサによって検知した自己の運動情報と、に基づいて前記移動通信端末の自己位置及び当該マーカの位置情報を求め、当該マーカに相当する前記図面マーカを前記図面データに登録し、
求めた前記移動通信端末の自己位置に基づいて前記カメラによって撮影された映像空間と前記図面データが表す図面空間とを照合して出力する、
ことを特徴とする移動通信端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物又は土木構造物の管理支援システムに関すると共に、当該システムに用いられる移動通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、国土交通省からBIM及びCIMのガイドラインが公表され、建築分野や土木分野における業務へのBIM/CIMの導入が進んでいる。
ここでBIMとは、ビルディングインフォメーションモデリング(Building Information Modeling)の略称であり、コンピュータ上に作成した建築物の三次元モデルに、種々の属性データを追加したものである。また、CIMとは、コンストラクションインフォメーションモデリング(Construction Information Modeling)の略称であり、BIMの概念を土木分野に応用したものである。
【0003】
BIM/CIMを計画、調査、設計段階から導入することによって、その後の施工、維持管理の各段階における情報共有を容易にし、一連の作業や業務の効率化、高度化を図ることができる。
また、BIM/CIMの導入の副次的な効果として、よりよいインフラの整備・維持管理による国民生活の向上、建設分野や土木分野に従事する従業員のモチベーション向上等も期待される。
【0004】
上記のような背景を鑑みて、種々の施工管理支援システムの提案が相次いでいる(例えば、特許文献1)。
特許文献1に係るシステムは、建築又は土木の施工現場を巡回する作業員や作業車に撮影手段を取り付け、その撮影手段で撮影した映像データを解析して、その施工現場における作業の進捗状況等を管理する。
そして、同文献には、上記の撮影手段が自己位置を推定する推定手段を備えており、推定手段によって推定した自己位置を用いて、映像データの解析を行うことが開示されている。更に、同文献には、SLAM、衛星測位システム、複数画像の特徴点抽出による位置推定手法、自律航法、通信デバイスを用いた測位システム等を、上記の推定手段として活用できる旨が説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-148946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている撮影手段の自己位置推定方法は、既存の技術を列挙して組み合わせたに過ぎず、未だ改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、管理対象である建築物又は土木構造物の構内を撮影する移動通信端末について、自己位置を求める精度が移動に伴って低下することを防止する建築物又は土木構造物の管理支援システム、又は、当該システムに用いられる移動通信端末を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、複数箇所のそれぞれにマーカが設置されている建築物又は土木構造物の管理を支援する建築物又は土木構造物の管理支援システムであって、前記建築物又は前記土木構造物の図面データを記憶している記憶装置と、前記記憶装置と通信可能に接続している移動通信端末と、を備え、前記図面データには、前記移動通信端末が前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する前に、前記建築物又は前記土木構造物に配置されているマーカの少なくとも一部について、当該マーカに相当する図面マーカの位置情報が登録されており、前記移動通信端末は、カメラと加速度センサを有しており、前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する際に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によってマーカを検出し、検出したマーカに相当する前記図面マーカを前記図面データの中から抽出し、抽出した前記図面マーカの位置情報と、前記加速度センサによって検出した自己の運動情報と、に基づいて前記移動通信端末の自己位置を求め、求めた前記移動通信端末の自己位置に基づいて前記カメラによって撮影された映像空間と前記図面データが表す図面空間とを照合して出力する、ことを特徴とする建築物又は土木構造物の管理支援システムが提供される。
【0009】
本発明によれば、複数箇所のそれぞれにマーカが設置されている建築物又は土木構造物の管理を支援する建築物又は土木構造物の管理支援システムであって、前記建築物又は前記土木構造物の図面データを記憶している記憶装置と、前記記憶装置と通信可能に接続している移動通信端末と、を備え、前記図面データには、前記移動通信端末が前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する前に、前記建築物又は前記土木構造物に配置されているマーカに相当する図面マーカの位置情報が登録されておらず、前記移動通信端末は、カメラと加速度センサを有しており、前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する際に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によって検出したマーカが最初のマーカであるとき、前記図面データにおける座標空間の原点に前記最初のマーカを登録し、前記建築物又は前記土木構造物の移動中に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によって検出したマーカが前記最初のマーカではなく且つ当該マーカに相当する前記図面マーカが前記図面データに登録されていないとき、当該マーカより前に検出した他のマーカの位置情報と、前記加速度センサによって検知した自己の運動情報と、に基づいて前記移動通信端末の自己位置及び当該マーカの位置情報を求め、当該マーカに相当する前記図面マーカを前記図面データに登録し、求めた前記移動通信端末の自己位置に基づいて前記カメラによって撮影された映像空間と前記図面データが表す図面空間とを照合して出力する、ことを特徴とする建築物又は土木構造物の管理支援システムが提供される。
【0010】
本発明によれば、複数箇所のそれぞれにマーカが設置されている建築物又は土木構造物の構内を移動する移動通信端末であって、前記移動通信端末は、自機と一体的に設けられている又は外的に付設されている記憶装置に記憶されている前記建築物又は前記土木構造物の図面データを参照可能であり、前記図面データには、前記移動通信端末が前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する前に、前記建築物又は前記土木構造物に配置されているマーカの少なくとも一部について、当該マーカに相当する図面マーカの位置情報が登録されており、前記移動通信端末は、カメラと加速度センサを有しており、前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する際に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によってマーカを検出し、前記図面データを参照して、前記検出したマーカに相当する前記図面マーカを前記図面データの中から抽出し、抽出した前記図面マーカの位置情報と、前記加速度センサによって検知した自己の運動情報と、に基づいて前記移動通信端末の自己位置を求め、求めた前記移動通信端末の自己位置に基づいて前記カメラによって撮影された映像空間と前記図面データが表す図面空間とを照合して出力する、ことを特徴とする移動通信端末が提供される。
【0011】
本発明によれば、複数箇所のそれぞれにマーカが設置されている建築物又は土木構造物の構内を移動する移動通信端末であって、前記移動通信端末は、自機と一体的に設けられている又は外的に付設されている記憶装置に記憶されている前記建築物又は前記土木構造物の図面データを参照可能であり、前記図面データには、前記移動通信端末が前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する前に、前記建築物又は前記土木構造物に配置されているマーカに相当する図面マーカの位置情報が登録されておらず、前記移動通信端末は、カメラと加速度センサを有しており、前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する際に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によって検出したマーカが最初のマーカであるとき、前記図面データにおける座標空間の原点に前記最初のマーカを登録し、前記建築物又は前記土木構造物の移動中に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によって検出したマーカが前記最初のマーカではなく且つ当該マーカに相当する前記図面マーカが前記図面データに登録されていないとき、当該マーカより前に検出した他のマーカの位置情報と、前記加速度センサによって検知した自己の運動情報と、に基づいて前記移動通信端末の自己位置及び当該マーカの位置情報を求め、当該マーカに相当する前記図面マーカを前記図面データに登録し、求めた前記移動通信端末の自己位置に基づいて前記カメラによって撮影された映像空間と前記図面データが表す図面空間とを照合して出力する、ことを特徴とする移動通信端末が提供される。
【0012】
上記発明に係る移動通信端末は、撮影空間上のマーカと図面空間上の図面マーカとを照合しながら移動することができるので、映像空間と図面空間の照合精度を一定程度に保ちながら管理対象となる建築物又は土木構造物の構内を巡回することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、管理対象である建築物又は土木構造物の構内を撮影する移動通信端末について、自己位置を求める精度が移動に伴って低下することを防止する建築物又は土木構造物の管理支援システム、又は、当該システムに用いられる移動通信端末が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態における管理支援システムの構成図である。
図2図1に図示されている自走ロボットの斜視図である。
図3】移動通信端末のタッチパネルに表示される映像の具体例を示す図である。
図4】図面データに含まれる図面マーカに相当するマーカが登録されていない状態から移動通信端末が巡回を始める場合のフローチャートである。
図5】図面データに含まれる図面マーカに相当するマーカが1つ登録されている状態から移動通信端末が巡回を始める場合のフローチャートである。
図6】図面データに含まれる図面マーカに相当するマーカが2つ登録されている状態から移動通信端末が巡回を始める場合のフローチャートである。
図7】図面データに含まれる図面マーカに相当するマーカが3つ以上登録されている状態から移動通信端末が巡回を始める場合のフローチャートである。
図8】1つのマーカを基準とする自己位置推定の概念を表す模式図である。
図9】2つのマーカを基準とする自己位置推定の概念を表す模式図である。
図10】3つのマーカを基準とする自己位置推定の概念を表す模式図である。
図11】2つのマーカを基準とする自己位置推定と、3つのマーカを基準とする自己位置推定と、を使い分ける基準を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0016】
<管理支援システム100のシステム構成>
先ず、管理支援システム100のシステム構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態における管理支援システム100の構成図である。
図2は、図1に図示されている自走ロボット110の斜視図である。
【0017】
本発明に係る建築物又は土木構造物の管理支援システム(以下、単純に管理支援システム100と称する)は、複数箇所のそれぞれにマーカが設置されている建築物又は土木構造物の管理を支援する。
図1に示すとおり、管理支援システム100は、自走ロボット110と、管理装置120と、を備える。
【0018】
自走ロボット110は、センサ111と、レーザースキャナ112と、移動通信端末113と、を備え、管理対象である建築物又は土木構造物を自走可能に構成されている。
センサ111は、自走ロボット110の周囲にある対象物までの距離を検知する測距センサであり、赤外線センサ等によって実現される。
レーザースキャナ112は、自走ロボット110の周囲にレーザーを照射することによって、周囲に存在する対象物の形状を計測して三次元の点群データを取得する。
移動通信端末113は、管理装置120と通信可能に接続している。そして、通信端末113は、タッチパネルを有しており、作業員WKの操作を受け付ける操作受付手段、及び、作業員WKが視認可能に種々のデータの内容を表示する表示手段として機能する。例えば、通信端末113は、作業員WKの操作に基づいて生成した制御コマンドを自走ロボット110に送信したり、作業員WKの操作に基づいて指定した記憶装置122に記憶されているデータファイルを読み込んで表示したり、することができる。
また、移動通信端末113は、不図示のカメラと加速度センサを有しており、当該カメラの画角に収まる範囲を撮影することができ、当該加速度センサによって自己の運動情報(移動速度や姿勢など)を検出することができる。
【0019】
自走ロボット110は、自走ロボット110の走行を自律的に制御してもよい。ここで、「自走ロボット110は、自走ロボット110の走行を自律的に制御する」とは、自走ロボット110に搭載されている構成が取得したデータ(移動通信端末113が撮影した撮影データや記憶装置122から受信した図面データ等を含む)を、自機で処理して走行経路を決定して走行すること、をいう。
或いは、自走ロボット110の走行は、管理装置120から遠隔制御されてもよいし、随行している作用員WKの操作に基づいて制御されてもよいし、これらの制御と自走ロボット110の自律的な制御とを組合せて実現してもよい。
【0020】
なお、図2において、自走ロボット110は、車輪で走行する態様を図示するが、本発明の実施は、ドローンのように空中移動するロボットに移動通信端末113を搭載して、本発明が実施されてもよい。
或いは、ロボットを用いずに、作業員WKに移動通信端末113を持たせることによって、本発明が実施されてもよい。
【0021】
管理装置120は、管理サーバ121と、記憶装置122と、ディスプレイ装置123と、を備える。
記憶装置122は、少なくとも管理対象である建築物又は土木構造物の図面データを記憶している。ここで、記憶装置122に記憶されている図面データは、三次元の図面データであることが好ましいが、二次元の図面データであることも許容される。
また、記憶装置122は、自走ロボット110によって取得された各種データ(カメラによって撮影された映像データ等)を記憶する。
管理サーバ121は、記憶装置122に記憶されている各種データを処理する。また、管理サーバ121は、不図示の作業員の操作を受け付けることができる。
ディスプレイ装置123は、管理サーバ121のユーザインターフェースとして機能し、管理サーバ121によって実行される処理について表示することができる。例えば、ディスプレイ装置123は、管理サーバ121が自走ロボット110から受信した映像データを表示することができてもよい。
【0022】
記憶装置122に記憶されている図面データには、その建築物又は土木構造物に配置されているマーカに相当する図面マーカの位置情報が登録される。
ここでマーカとは、実空間に配置される平板であり、画像認識処理によって検出可能な二次元コードが印字されている。これにより、移動通信端末113は、搭載しているカメラによって撮影している映像にマーカが映り込むと、そのマーカを検出して、そのマーカの二次元コードが表す識別情報を取得できる。以下の説明において、マーカに割り当てられている識別情報とは、そのマーカに印字されている二次元コードが表す識別情報をいう。
本実施形態において、移動通信端末113は、図面データに登録されている図面マーカを検索するとき、撮影した映像から検出したマーカに割り当てられている識別情報に対応付けられている図面マーカを、当該マーカに相当する図面マーカとして抽出する。
また、図面マーカとは、管理対象である建築物又は土木構造物の図面データが表す図面空間(データ上の仮想空間)に配置され、その図面空間における位置情報を有している。移動通信端末113は、図面データに登録されている図面マーカを検索するときであって、撮影した映像から検出したマーカに割り当てられている識別情報に対応付けられている図面マーカが図面データに存在しないとき、図面マーカの位置情報を参照して、当該マーカの検出位置の近傍に位置し且つ識別情報に対応付けられていない図面マーカを、当該マーカに相当する図面マーカとして抽出する。このとき、移動通信端末113は、抽出した図面マーカに、当該マーカに割り当てられている識別情報を対応付けるように管理装置120に要求し、記憶装置122の図面データを更新する。
更に、移動通信端末113は、図面マーカの位置情報を参照して、検出したマーカの検出位置の近傍に位置する図面マーカが存在しなかったとき、又は、検出したマーカの検出位置の近傍に位置する図面マーカに別の識別情報が対応付けられて登録されているとき、当該マーカに相当する図面マーカが図面データに登録されていないものと判定する。このとき、移動通信端末113は、当該マーカに割り当てられている識別情報を対応付けた図面マーカを当該マーカに相当する図面マーカとして図面データに登録するように管理装置120に要求し、記憶装置122の図面データを更新する。
なお、本実施形態において、記憶装置122に記憶されている図面データにおいて、特定のマーカに割り当てられている識別情報が特定の図面マーカに対応付けられている状態を、「マーカに相当する図面マーカが図面データに登録されている」と表現する場合がある。
【0023】
自走ロボット110(移動通信端末113)は、管理対象である建築物又は土木構造物の構内に配置されているマーカの少なくとも一部について、当該マーカに相当する図面マーカが登録されている状態から、管理対象である建築物又は土木構造物の構内を巡回してもよい。言い換えれば、記憶装置122に記憶されている図面データには、自走ロボット110(移動通信端末113)が、その建築物又は土木構造物の構内を移動する前に、その建築物又は土木構造物に配置されているマーカの少なくとも一部について、当該マーカに相当する図面マーカの位置情報が登録されていてもよい。
上記のような状態で構内の巡回を始めた場合、移動通信端末113は、カメラによって撮影された映像からマーカを検出すると、記憶装置122に記憶されている図面データの中から当該マーカに相当する図面マーカを抽出し、抽出した図面マーカの位置情報と、加速度センサによって検出した自己の運動情報と、に基づいて移動通信端末113の自己位置を求め、求めた移動通信端末113の自己位置に基づいてカメラによって撮影された映像空間と図面データが表す図面空間とを照合して出力する。
【0024】
図3は、移動通信端末113のタッチパネルに表示される映像の具体例を示す図である。図3(a)は、映像空間と図面空間を照合する前の表示であり、図3(b)は、像空間と図面空間を照合した後の表示である。
移動通信端末113は、図3(a)に示すように、構内を巡回している最中に、カメラによって撮影されている映像からマーカMKが検出されると、上記のような処理を行って、その映像空間と、記憶装置122に記憶されている図面データによって表される図面空間と、の照合を行う。
そして、移動通信端末113は、図3(b)に示すように、映像空間と図面空間とを照合した結果として、映像に映っているマーカMKに相当する図面マーカDMが、マーカMKに重畳するような位置合わせを行い、図面マーカDMの近くに配置されている構造物OB(図面空間には存在し、実空間には存在しないもの)を拡張現実で表した映像をタッチパネル上に表示する。
このような表示出力を行うことにより、実空間に設計上の構造物が完成した状態を、その映像を視る者(作業者WKなど)に体感させることができる。
【0025】
なお、本発明の実施において、移動通信端末113の出力態様は、カメラによって撮影された映像空間と図面データが表す図面空間とを、ヒトが視認して比較可能になっていれば足り、図3に図示する態様に限定されない。
また、移動通信端末113による出力は、上述したような表示出力(タッチパネルへの表示)に限らず、通信可能な外部装置(例えば、管理装置120)への送信出力であってもよい。
【0026】
ここで、移動通信端末113は、カメラによって撮影された映像から新たなマーカを検出した場合であって、当該新たなマーカに相当する図面マーカが図面データに登録されているときについては、上記のように処理することによって移動通信端末113の自己位置を求めることができる。
一方、移動通信端末113は、カメラによって撮影された映像から新たなマーカを検出した場合であって、当該新たなマーカに相当する図面マーカが図面データに登録されていないときについては、上記のように処理できない。そこで、移動通信端末113は、当該新たなマーカより前に検出した他のマーカの位置情報と、加速度センサによって検出した自己の運動情報と、に基づいて移動通信端末113の自己位置及び当該新たなマーカの位置情報を求め、当該新たなマーカに相当する図面マーカを図面データに登録する(当該新たなマーカの識別情報を、当該図面マーカに割り当てて図面データに記憶する)。
【0027】
自走ロボット110(移動通信端末113)は、管理対象である建築物又は土木構造物の構内に配置されているマーカに相当する図面マーカが登録されていない状態から、管理対象である建築物又は土木構造物の構内を巡回してもよい。言い換えれば、記憶装置122に記憶されている図面データには、自走ロボット110(移動通信端末113)が、その建築物又は土木構造物の構内を移動する前に、その建築物又は土木構造物に配置されているマーカに相当する図面マーカの位置情報が登録されていなくてもよい。
上記のような状態で構内の巡回を始めた場合、移動通信端末113は、カメラによって撮影された映像から検出したマーカが最初のマーカであるとき、図面データにおける座標空間の原点に最初のマーカを登録する。また、移動通信端末113は、カメラによって撮影された映像から検出したマーカが最初のマーカではなく且つ当該マーカに相当する前記図面マーカが図面データに登録されていないとき、当該マーカより前に検出した他のマーカの位置情報と、加速度センサによって検知した自己の運動情報と、に基づいて移動通信端末113の自己位置及び当該マーカの位置情報を求め、当該マーカに相当する図面マーカを図面データに登録する。そして、移動通信端末113は、求めた移動通信端末113の自己位置に基づいてカメラによって撮影された映像空間と図面データが表す図面空間とを照合して、移動通信端末113の自己位置を出力する。
【0028】
以上に説明したように、移動通信端末113は、映像空間上のマーカと図面空間上の図面マーカとを照合しながら移動することができるので、映像空間と図面空間の照合精度を一定程度に保ちながら管理対象となる建築物又は土木構造物の構内を巡回することができる。
また、移動通信端末113は、図面データに未登録のマーカが検出されたとき、そのマーカを登録しながら巡回することができるので、巡回をする事前に全てのマーカに相当する図面マーカを図面データに登録する必要がない。従って、事前準備に係る作業コストを軽減することができる。
【0029】
<移動通信端末113の巡回によって発見されたマーカの扱いについて>
次に、移動通信端末113の巡回によって発見されたマーカの扱いについて、図4図7のフローチャートを用いて説明する。
【0030】
図4は、図面データに含まれる図面マーカに相当するマーカが登録されていない状態(登録されているマーカが零である状態)から移動通信端末113が巡回を始める場合のフローチャートである。
上記のような状態で巡回を始めて、移動通信端末113が撮影している映像から最初のマーカを検出したものとする。なお、本実施形態では、移動通信端末113が撮影している映像からマーカを検出することを、単に移動通信端末113がマーカを発見する、と表現する場合がある。
このとき、移動通信端末113は、発見したマーカの位置が図面空間における原点であるものとみなして、図面空間の原点に当該マーカの識別情報が割り当てられている図面マーカを登録するように、記憶装置122に記憶されている図面データを更新する(ステップS101)。
そして、移動通信端末113は、発見したマーカまでの距離情報(センサ111やレーザースキャナ112による測定結果)や移動通信端末113の運動情報(移動通信端末113の加速度センサによって検出された自己の姿勢や移動速度)などに基づいて、図面空間の原点との相対的な位置関係を計算することによって、移動通信端末113の自己位置を求める(ステップS102)。ここで、ステップS102における自己位置の推定処理は、後述する「1つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当するものである。
【0031】
続いて、移動通信端末113が、ステップS101においてマーカを発見した位置から移動した後に、新たにマーカを発見したものとする。
このとき、新たに発見したマーカが、図面データに登録済みのマーカであるとき、すなわち、ステップS101で登録したマーカと同じであるとき(ステップS103)、移動通信端末113は、記憶装置122に記憶されている図面データを更新することなく、発見したマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS104)。ここで、ステップS104における自己位置の推定処理は、後述する「1つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当するものである。
或いは、新たに発見したマーカが、図面データに未登録のマーカであるとき、すなわち、ステップS101で登録したマーカとは別のマーカを発見したとき、移動通信端末113は、発見したマーカの位置に相当する図面空間上の位置に、当該マーカの識別情報が割り当てられている図面マーカを登録するように、記憶装置122に記憶されている図面データを更新する(ステップS105)。なお、ステップS105において発見したマーカの位置は、ステップS102において求められた移動通信端末113の自己位置を基準として、当該基準から移動通信端末113が移動した方向と距離などを用いて算出される。
更に、移動通信端末113は、ステップS101で発見したマーカと、ステップS105で発見したマーカと、に基づいて自己位置を推定する(ステップS106)。ここで、ステップS106における自己位置の推定処理は、後述する「2つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当するものである。
【0032】
なお、上述したステップS104の処理を行った後に、移動通信端末113が新たにマーカを発見した場合については、再び、ステップS103又はステップS105の処理に戻る。
【0033】
続いて、移動通信端末113が、ステップS105においてマーカを発見した位置から移動した後に、新たにマーカを発見したものとする。
このとき、新たに発見したマーカが、図面データに登録済みのマーカであるとき、すなわち、ステップS101又はステップS105で登録したマーカと同じであるとき(ステップS107)、移動通信端末113は、記憶装置122に記憶されている図面データを更新することなく、それまでに登録した2つのマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS108)。ここで、ステップS108における自己位置の推定処理は、後述する「2つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当するものである。
或いは、新たに発見したマーカが、図面データに未登録のマーカであるとき、すなわち、ステップS101及びステップS105で登録したマーカとは別のマーカを発見したとき、移動通信端末113は、発見したマーカの位置に相当する図面空間上の位置に、当該マーカの識別情報が割り当てられている図面マーカを登録するように、記憶装置122に記憶されている図面データを更新する(ステップS109)。なお、ステップS109において発見したマーカの位置の算出方法は、ステップS105で説明した算出方法と同様である。
更に、移動通信端末113は、既に登録されているマーカ(ステップS101、ステップS105、ステップS109で発見したマーカ)の中から、少なくとも2つを選択し、選択したマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS110)。ここで、ステップS110における自己位置の推定処理は、2つのマーカを選択した場合については後述する「2つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当し、3つのマーカを選択した場合については後述する「3つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当するものである。
【0034】
なお、上述したステップS108の処理を行った後に、移動通信端末113が新たにマーカを発見した場合については、再び、ステップS107又はステップS109の処理に戻る。
【0035】
続いて、移動通信端末113が、ステップS109においてマーカを発見した位置から移動した後に、新たにマーカを発見したものとする。
このとき、新たに発見したマーカが、図面データに登録済みのマーカであるとき(ステップS111)、移動通信端末113は、記憶装置122に記憶されている図面データを更新することなく、それまでに登録したマーカの中から、少なくとも2つを選択し、選択したマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS113)。
或いは、新たに発見したマーカが、図面データに未登録のマーカであるとき、移動通信端末113は、発見したマーカの位置に相当する図面空間上の位置に、当該マーカの識別情報が割り当てられている図面マーカを登録するように、記憶装置122に記憶されている図面データを更新する(ステップS112)。なお、ステップS112において発見したマーカの位置の算出方法は、ステップS105及びステップS109で説明した算出方法と同様である。更に、移動通信端末113は、既に登録されているマーカの中から、少なくとも2つを選択し、選択したマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS113)。
ここで、ステップS113における自己位置の推定処理は、2つのマーカを選択した場合については後述する「2つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当し、3つのマーカを選択した場合については後述する「3つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当するものである。
【0036】
なお、上述したステップS113の処理を行った後に、移動通信端末113が新たにマーカを発見した場合については、再び、ステップS111又はステップS112の処理に戻る。
【0037】
図5は、図面データに含まれる図面マーカに相当するマーカが1つ登録されている状態から移動通信端末113が巡回を始める場合のフローチャートである。
上記のような状態で巡回を始めて、移動通信端末113が最初のマーカを発見したものとする。
このとき、新たに発見したマーカが、図面データに未登録のマーカであるとき、すなわち、巡回の事前に登録したマーカとは別のマーカを発見したとき、移動通信端末113は、発見したマーカの実空間上の位置を記録するのみで、記憶装置122の図面データを更新しない(ステップS201)。何故ならば、移動通信端末113は、図面空間上における自己位置を推定するに足る情報がこの時点で十分に揃っておらず、ステップS201で発見したマーカを図面データに登録することができないからである。
或いは、新たに発見したマーカが、図面データに登録済みのマーカであるとき、すなわち、巡回の事前に登録したマーカと同じであるとき(ステップS202)、移動通信端末113は、記憶装置122に記憶されている図面データを更新することなく、発見したマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS203)。ここで、ステップS203における自己位置の推定処理は、後述する「1つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当するものである。
【0038】
続いて、移動通信端末113が、ステップS202においてマーカを発見した位置から移動した後に、新たにマーカを発見したものとする。
このとき、新たに発見したマーカが、図面データに登録済みのマーカであるとき、すなわち、巡回の事前に登録したマーカと同じであるとき(ステップS204)、移動通信端末113は、記憶装置122に記憶されている図面データを更新することなく、発見したマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS205)。ここで、ステップS205における自己位置の推定処理は、後述する「1つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当するものである。
或いは、新たに発見したマーカが、図面データに未登録のマーカであるとき、すなわち、巡回の事前に登録したマーカとは別のマーカを発見したとき、移動通信端末113は、発見したマーカの位置に相当する図面空間上の位置に、当該マーカの識別情報が割り当てられている図面マーカを登録するように、記憶装置122に記憶されている図面データを更新する(ステップS206)。なお、ステップS206において発見したマーカの位置は、ステップS203において求められた移動通信端末113の自己位置を基準として、当該基準から移動通信端末113が移動した方向と距離などを用いて算出される。
更に、移動通信端末113は、巡回の事前に登録したマーカと、ステップS206で発見したマーカと、に基づいて自己位置を推定する(ステップS207)。ここで、ステップS207における自己位置の推定処理は、後述する「2つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当するものである。
【0039】
なお、上述したステップS205の処理を行った後に、移動通信端末113が新たにマーカを発見した場合については、再び、ステップS204又はステップS206の処理に戻る。
【0040】
続いて、移動通信端末113が、ステップS206においてマーカを発見した位置から移動した後に、新たにマーカを発見したものとする。
このとき、新たに発見したマーカが、図面データに登録済みのマーカであるとき、すなわち、巡回の事前に登録したマーカ又はステップS206で発見したマーカと同じであるとき(ステップS208)、移動通信端末113は、記憶装置122に記憶されている図面データを更新することなく、それまでに登録した2つのマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS209)。ここで、ステップS209における自己位置の推定処理は、後述する「2つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当するものである。
或いは、新たに発見したマーカが、図面データに未登録のマーカであるとき、すなわち、巡回の事前に登録したマーカ及びステップS206で発見したマーカとは別のマーカを発見したとき、移動通信端末113は、発見したマーカの位置に相当する図面空間上の位置に、当該マーカの識別情報が割り当てられている図面マーカを登録するように、記憶装置122に記憶されている図面データを更新する(ステップS210)。なお、ステップS210において発見したマーカの位置の算出方法は、ステップS206で説明した算出方法と同様である。
更に、移動通信端末113は、既に登録されているマーカ(事前に登録したマーカ、並びに、ステップS206及びステップS210で発見したマーカ)の中から、少なくとも2つを選択し、選択したマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS211)。ここで、ステップS110における自己位置の推定処理は、2つのマーカを選択した場合については後述する「2つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当し、3つのマーカを選択した場合については後述する「3つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当するものである。
【0041】
なお、上述したステップS209の処理を行った後に、移動通信端末113が新たにマーカを発見した場合については、再び、ステップS208又はステップS210の処理に戻る。
【0042】
続いて、移動通信端末113が、ステップS210においてマーカを発見した位置から移動した後に、新たにマーカを発見したものとする。
このとき、新たに発見したマーカが、図面データに登録済みのマーカであるとき(ステップS212)、移動通信端末113は、記憶装置122に記憶されている図面データを更新することなく、それまでに登録したマーカの中から、少なくとも2つを選択し、選択したマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS214)。
或いは、新たに発見したマーカが、図面データに未登録のマーカであるとき、移動通信端末113は、発見したマーカの位置に相当する図面空間上の位置に、当該マーカの識別情報が割り当てられている図面マーカを登録するように、記憶装置122に記憶されている図面データを更新する(ステップS213)。なお、ステップS213において発見したマーカの位置の算出方法は、ステップS206及びステップS210で説明した算出方法と同様である。更に、移動通信端末113は、既に登録されているマーカの中から、少なくとも2つを選択し、選択したマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS214)。
ここで、ステップS214における自己位置の推定処理は、2つのマーカを選択した場合については後述する「2つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当し、3つのマーカを選択した場合については後述する「3つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当するものである。
【0043】
なお、上述したステップS214の処理を行った後に、移動通信端末113が新たにマーカを発見した場合については、再び、ステップS212又はステップS213の処理に戻る。
【0044】
図6は、図面データに含まれる図面マーカに相当するマーカが2つ登録されている状態から移動通信端末113が巡回を始める場合のフローチャートである。
上記のような状態で巡回を始めて、移動通信端末113が最初のマーカを発見したものとする。
このとき、新たに発見したマーカが、図面データに未登録のマーカであるとき、すなわち、巡回の事前に登録したマーカとは別のマーカを発見したとき、移動通信端末113は、発見したマーカの実空間上の位置を記録するのみで、記憶装置122の図面データを更新しない(ステップS301)。図5のステップS201で説明した理由と同様である。
また、新たに発見したマーカが、図面データに登録済みのマーカであるとき、すなわち、巡回の事前に登録したマーカと同じであるとき、移動通信端末113は、記憶装置122に記憶されている図面データを更新せず、発見したマーカに基づく自己位置の推定もしない(ステップS302)。なお、ステップS302において、後述する「1つのマーカを基準とする自己位置推定」を実行可能であるものの、本実施形態では実行しないものとする。
【0045】
続いて、移動通信端末113が、ステップS302においてマーカを発見した位置から移動した後に、新たにマーカを発見したものとする。
このとき、新たに発見したマーカが、図面データに未登録のマーカであるとき、すなわち、巡回の事前に登録したマーカとは別のマーカであって、且つ、ステップS302で発見したマーカとは別のマーカを発見したとき、移動通信端末113は、発見したマーカの実空間上の位置を記録するのみで、記憶装置122の図面データを更新しない(ステップS303)。図5のステップS201で説明した理由と同様である。
或いは、新たに発見したマーカが、図面データに登録済みのマーカであるとき、すなわち、巡回の事前に登録したマーカと同じであって、且つ、ステップS302で発見したマーカとは別のマーカであるとき(ステップS304)、移動通信端末113は、記憶装置122に記憶されている図面データを更新することなく、発見したマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS305)。ここで、ステップS305における自己位置の推定処理は、後述する「2つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当するものである。
【0046】
続いて、移動通信端末113が、ステップS304においてマーカを発見した位置から移動した後に、新たにマーカを発見したものとする。
このとき、新たに発見したマーカが、図面データに登録済みのマーカであるとき、すなわち、ステップS302又はステップS304で発見したマーカと同じであるとき(ステップS306)、移動通信端末113は、記憶装置122に記憶されている図面データを更新することなく、それまでに登録した2つのマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS307)。ここで、ステップS307における自己位置の推定処理は、後述する「2つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当するものである。
或いは、新たに発見したマーカが、図面データに未登録のマーカであるとき、すなわち、ステップS302及びステップS304で発見したマーカとは別のマーカを発見したとき、移動通信端末113は、発見したマーカの位置に相当する図面空間上の位置に、当該マーカの識別情報が割り当てられている図面マーカを登録するように、記憶装置122に記憶されている図面データを更新する(ステップS308)。なお、ステップS308において発見したマーカの位置は、ステップS305において求められた移動通信端末113の自己位置を基準として、当該基準から移動通信端末113が移動した方向と距離などを用いて算出される。
更に、移動通信端末113は、既に登録されているマーカの中から、少なくとも2つを選択し、選択したマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS309)。ここで、ステップS309における自己位置の推定処理は、2つのマーカを選択した場合については後述する「2つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当し、3つのマーカを選択した場合については後述する「3つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当するものである。
【0047】
なお、上述したステップS307の処理を行った後に、移動通信端末113が新たにマーカを発見した場合については、再び、ステップS306又はステップS308の処理に戻る。
【0048】
続いて、移動通信端末113が、ステップS308においてマーカを発見した位置から移動した後に、新たにマーカを発見したものとする。
このとき、新たに発見したマーカが、図面データに登録済みのマーカであるとき(ステップS310)、移動通信端末113は、記憶装置122に記憶されている図面データを更新することなく、それまでに登録したマーカの中から、少なくとも2つを選択し、選択したマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS312)。
或いは、新たに発見したマーカが、図面データに未登録のマーカであるとき、移動通信端末113は、発見したマーカの位置に相当する図面空間上の位置に、当該マーカの識別情報が割り当てられている図面マーカを登録するように、記憶装置122に記憶されている図面データを更新する(ステップS311)。なお、ステップS311において発見したマーカの位置の算出方法は、ステップS308で説明した算出方法と同様である。更に、移動通信端末113は、既に登録されているマーカの中から、少なくとも2つを選択し、選択したマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS312)。
ここで、ステップS312における自己位置の推定処理は、2つのマーカを選択した場合については後述する「2つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当し、3つのマーカを選択した場合については後述する「3つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当するものである。
【0049】
なお、上述したステップS312の処理を行った後に、移動通信端末113が新たにマーカを発見した場合については、再び、ステップS310又はステップS311の処理に戻る。
【0050】
図7は、図面データに含まれる図面マーカに相当するマーカが3つ以上登録されている状態から移動通信端末113が巡回を始める場合のフローチャートである。
上記のような状態で巡回を始めて、移動通信端末113が最初のマーカを発見したものとする。
このとき、新たに発見したマーカが、図面データに未登録のマーカであるとき、すなわち、巡回の事前に登録したマーカとは別のマーカを発見したとき、移動通信端末113は、発見したマーカの実空間上の位置を記録するのみで、記憶装置122の図面データを更新しない(ステップS401)。図5のステップS201で説明した理由と同様である。
また、新たに発見したマーカが、図面データに登録済みのマーカであるとき、すなわち、巡回の事前に登録したマーカと同じであるとき、移動通信端末113は、記憶装置122に記憶されている図面データを更新せず、発見したマーカに基づく自己位置の推定もしない(ステップS402)。なお、ステップS402において、後述する「1つのマーカを基準とする自己位置推定」を実行可能であるものの、本実施形態では実行しないものとする。
【0051】
続いて、移動通信端末113が、ステップS402においてマーカを発見した位置から移動した後に、新たにマーカを発見したものとする。
このとき、新たに発見したマーカが、図面データに未登録のマーカであるとき、すなわち、巡回の事前に登録したマーカとは別のマーカであって、且つ、ステップS402で発見したマーカとは別のマーカを発見したとき、移動通信端末113は、発見したマーカの実空間上の位置を記録するのみで、記憶装置122の図面データを更新しない(ステップS403)。図5のステップS201で説明した理由と同様である。
或いは、新たに発見したマーカが、図面データに登録済みのマーカであるとき、すなわち、巡回の事前に登録したマーカと同じであって、且つ、ステップS402で発見したマーカとは別のマーカであるとき、移動通信端末113は、記憶装置122に記憶されている図面データを更新せず、発見したマーカに基づく自己位置の推定もしない(ステップS404)。なお、ステップS404において、後述する「2つのマーカを基準とする自己位置推定」を実行可能であるものの、本実施形態では実行しないものとする。
【0052】
続いて、移動通信端末113が、ステップS404においてマーカを発見した位置から移動した後に、新たにマーカを発見したものとする。
このとき、新たに発見したマーカが、図面データに未登録のマーカであるとき、すなわち、巡回の事前に登録したマーカとは別のマーカであって、且つ、ステップS402及びステップS404で発見したマーカとは別のマーカを発見したとき、移動通信端末113は、発見したマーカの実空間上の位置を記録するのみで、記憶装置122の図面データを更新しない(ステップS405)。図5のステップS201で説明した理由と同様である。
或いは、新たに発見したマーカが、図面データに登録済みのマーカであるとき、すなわち、巡回の事前に登録したマーカと同じであって、且つ、ステップS402及びステップS404で発見したマーカとは別のマーカであるとき(ステップS406)、移動通信端末113は、記憶装置122に記憶されている図面データを更新することなく、それまでに登録したマーカの中から、少なくとも2つを選択し、選択したマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS407)。ここで、ステップS407における自己位置の推定処理は、2つのマーカを選択した場合については後述する「2つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当し、3つのマーカを選択した場合については後述する「3つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当するものである。
【0053】
続いて、移動通信端末113が、ステップS406においてマーカを発見した位置から移動した後に、新たにマーカを発見したものとする。
このとき、新たに発見したマーカが、図面データに登録済みのマーカであるとき(ステップS408)、移動通信端末113は、記憶装置122に記憶されている図面データを更新することなく、それまでに登録したマーカの中から、少なくとも2つを選択し、選択したマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS410)。
或いは、新たに発見したマーカが、図面データに未登録のマーカであるとき、移動通信端末113は、発見したマーカの位置に相当する図面空間上の位置に、当該マーカの識別情報が割り当てられている図面マーカを登録するように、記憶装置122に記憶されている図面データを更新する(ステップS409)。なお、ステップS409において発見したマーカの位置は、ステップS407において求められた移動通信端末113の自己位置を基準として、当該基準から移動通信端末113が移動した方向と距離などを用いて算出される。更に、移動通信端末113は、既に登録されているマーカの中から、少なくとも2つを選択し、選択したマーカに基づいて自己位置を推定する(ステップS410)。
ここで、ステップS410における自己位置の推定処理は、2つのマーカを選択した場合については後述する「2つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当し、3つのマーカを選択した場合については後述する「3つのマーカを基準とする自己位置推定」に該当するものである。
【0054】
なお、上述したステップS410の処理を行った後に、移動通信端末113が新たにマーカを発見した場合については、再び、ステップS408又はステップS409の処理に戻る。
【0055】
以上、説明したように、移動通信端末113は、管理対象である建築物又は土木構造物の構内を巡回するとき、巡回の事前に図面データに登録したマーカの数に応じて異なる手順で、巡回中に発見したマーカを処理する。
発見したマーカが登録済みである場合、移動通信端末113は、少なくとも発見したマーカを用いて(登録済みのマーカを発見している場合には、発見したマーカも加味して)自己位置を推定する。
発見したマーカが未登録である場合、移動通信端末113は、記憶装置122に記憶されている図面データを更新して当該マーカを登録し、それ以降の処理において登録済みマーカとして扱う。
【0056】
また、管理支援システム100は、記憶装置122に図面マーカが登録されていない状態から巡回を始めることができ、巡回する中で登録済みのマーカを増やすことができる。これにより、「1つのマーカを基準とする自己位置推定」を実行している状態(例えば、図4のステップS102)から、「2つのマーカを基準とする自己位置推定」を実行している状態(例えば、図4のステップS106)にステップアップすることによって、図面空間と現実空間の照合精度を高めることができる。
【0057】
そして、管理支援システム100は、一旦「2つのマーカを基準とする自己位置推定」を実行できる状態になった以降は、複数のマーカを基準として自己位置推定をする。
言い換えれば、移動通信端末113は、建築物又は土木構造物の構内を移動する際にカメラによって撮影された映像の中から、少なくとも2点以上のマーカを検出した第一のタイミング(例えば、図4のステップS106)において、検出したマーカの一部又は全部に相当する複数の図面マーカを図面データから抽出し、抽出した複数の図面マーカの位置情報と加速度センサによって検出した自己の運動情報とに基づいて第一のタイミングにおける自己位置を求める。そして、移動通信端末113は、第一のタイミングより後に別の場所に移動したカメラによって撮影された映像の中から新たにマーカを検出した第二のタイミング(例えば、図4のステップS110)において、新たに検出したマーカと当該マーカを検出するまでに検出したマーカの中に含まれる2点以上のマーカに相当する複数の図面マーカを再び図面データから抽出し、再び抽出した複数の図面マーカの位置情報と加速度センサによって検出した自己の運動情報とに基づいて、第二のタイミングにおける自己位置を求める。
上記のような処理を行うので、移動通信端末113の自己位置を推定する精度が或る程度に維持されるので、管理支援システム100は、移動通信端末113の自己位置が図面空間においてドリフトすることを防止できる。
【0058】
上記のような特徴を有しているので、管理支援システム100は、状況に応じて、記憶装置122に記憶されている図面データを適切に更新すること(マーカの登録)を実現できる。また、管理支援システム100は、実空間に配置されるマーカを図面データに登録する処理を、自走ロボット110(移動通信端末113)の巡回に付随して自動的に行うので、作業員WKの作業コストの低減を図ることができる。
【0059】
<移動通信端末113の自己位置の推定処理について>
次に、移動通信端末113の自己位置の推定処理について、図8図11を用いて説明する。
【0060】
図8は、1つのマーカを基準とする自己位置推定の概念を表す模式図である。
図8(a)に図示されているマーカMK1は、カメラによって撮影された映像空間内で発見されたマーカを表している。マーカMK1に重畳して図示されている2本の矢印は、マーカMK1の形状から画像認識処理によって検出された縦方向と横方向(直角に交差している二軸方向)を表している。
図8(a)に図示されている図面マーカDM1と構造物OBは、記憶装置122に記憶されている図面データにおいて存在する物(図面空間の対象物)を表している。また、図8(a)には、図面マーカDM1と構造物OBが存在する平面領域(図面空間内の領域)として図面エリアDSが図示されている。
図8に図示されているマーカMK1と図面マーカDM1の中に描かれている数字はそれぞれの識別情報であり、映像空間におけるマーカMK1は図面空間における図面マーカDM1に相当する。
【0061】
先ず、移動通信端末113は、カメラによって撮影された映像空間と図面データが表す図面空間を平行移動することによって、マーカMK1と図面マーカDM1とを重ならせる(図8(b)参照)。
次に、移動通信端末113は、マーカMK1の縦方向を図面空間におけるZ軸に、マーカMK1の横方向を図面空間におけるX軸に、それぞれ合致するように、図面空間をY軸回転移動させる(図8(c)参照)。
以上の手順により、移動通信端末113は、1つのマーカMK1と図面マーカDM1を照合することによって、映像空間から発見されたマーカMK1が、図面空間においてどの位置に存在するのかを求めることができる。そして、移動通信端末113は、マーカMK1の図面空間における位置情報及び加速度センサによって検出された自己の姿勢情報(カメラの撮影方向)などに基づいて、自己位置を推定することができる。
【0062】
図9は、2つのマーカを基準とする自己位置推定の概念を表す模式図である。
図9(a)に図示されているマーカMK1とマーカMK2は、カメラによって撮影された映像空間内で発見されたマーカを表している。また、図9(a)に図示されているベクトルRB12は、マーカMK1からマーカMK2に向かうベクトルである。
図9(a)に図示されている図面マーカDM1と図面マーカDM2は、記憶装置122に記憶されている図面データにおいて存在する物(図面空間の対象物)を表している。また、図9(a)に図示されているベクトルVB12は、図面マーカDM1から図面マーカDM2に向かうベクトルである。
図9に図示されているマーカMK1、マーカMK2、図面マーカDM1、及び図面マーカDM2の中に描かれている数字はそれぞれの識別情報であり、映像空間におけるマーカMK1は図面空間における図面マーカDM1に相当し、映像空間におけるマーカMK2は図面空間における図面マーカDM2に相当する。
なお、図9に図示されている構造物OBや図面エリアDSは、図8に図示されているものと同様である。
【0063】
先ず、移動通信端末113は、カメラによって撮影された映像空間と図面データが表す図面空間を平行移動することによって、マーカMK1と図面マーカDM1とを重ならせる(図9(b)参照)。
次に、移動通信端末113は、マーカMK1と図面マーカDM1とが重なった位置を中心とする回転移動によって、ベクトルRB12とベクトルVB12とを一致させる(図9(c)参照)。
以上の手順により、移動通信端末113は、2つのマーカMK1とマーカMK2を用いて映像空間と図面空間とを照合することができる。そして、移動通信端末113は、上記の照合によって、映像空間から発見されたマーカMK1とマーカMK2が、図面空間においてどの位置に存在するのかを求めることができる。更に、移動通信端末113は、マーカMK1とマーカMK2の図面空間における位置情報及び加速度センサによって検出した自己の運動情報(カメラの撮影方向及び自己の移動情報)などに基づいて、図面空間における自己位置を推定することができる。
【0064】
図10は、3つのマーカを基準とする自己位置推定の概念を表す模式図である。
図10(a)に図示されているマーカMK1とマーカMK2とマーカMK3は、カメラによって撮影された映像空間内で発見されたマーカを表している。また、図10(a)に図示されているベクトルRB12は、マーカMK1からマーカMK2に向かうベクトルである。更に、図10(a)には、マーカMK3からベクトルRB12に対する垂線が描かれている。
図10(a)に図示されている図面マーカDM1と図面マーカDM2と図面マーカDM3は、記憶装置122に記憶されている図面データにおいて存在する物(図面空間の対象物)を表している。また、図10(a)に図示されているベクトルVB12は、図面マーカDM1から図面マーカDM2に向かうベクトルである。更に、図10(a)には、図面マーカDM3からベクトルVB12に対する垂線が描かれている。
図10に図示されているマーカMK1、マーカMK2、マーカMK3、図面マーカDM1、図面マーカDM2及び図面マーカDM3の中に描かれている数字はそれぞれの識別情報であり、映像空間におけるマーカMK1は図面空間における図面マーカDM1に相当し、映像空間におけるマーカMK2は図面空間における図面マーカDM2に相当し、マーカMK3は図面マーカDM3に相当する。
なお、図10に図示されている構造物OBや図面エリアDSは、図8図9に図示されているものと同様である。
【0065】
先ず、移動通信端末113は、カメラによって撮影された映像空間と図面データが表す図面空間を平行移動することによって、マーカMK1と図面マーカDM1とを重ならせる(図10(b)参照)。
次に、移動通信端末113は、マーカMK1と図面マーカDM1とが重なった位置を中心とする回転移動によって、ベクトルRB12とベクトルVB12とを一致させる(図10(c)参照)。
そして、移動通信端末113は、一致させたベクトルRB12とベクトルVB12を軸とする回転移動によって、マーカMK3を通り且つベクトルRB12に公差する垂線(垂直に交差するベクトル)と、図面マーカDM3を通り且つベクトルVB12に公差する垂線(垂直に交差するベクトル)と、を一致させる(図10(d)参照)。
以上の手順により、移動通信端末113は、3つのマーカMK1とマーカMK2とマーカMK3を用いて映像空間と図面空間とを照合することができる。そして、移動通信端末113は、上記の照合によって、映像空間から発見されたマーカMK1とマーカMK2とマーカMK3が、図面空間においてどの位置に存在するのかを求めることができる。更に、移動通信端末113は、マーカMK1とマーカMK2とマーカMK3の図面空間における位置情報及び加速度センサによって検出した自己の運動情報(カメラの撮影方向及び自己の移動情報)などに基づいて、図面空間における自己位置を推定することができる。
【0066】
図11は、2つのマーカを基準とする自己位置推定と、3つのマーカを基準とする自己位置推定と、を使い分ける基準を表す模式図である。
図11(a)に示すように、概ね直線状に並んだ3つのマーカを基準に、図10を用いて説明した処理を実行すると、それぞれのマーカの位置認識に生じる誤差が照合処理に大きな影響を与え、適切な自己位置推定の妨げになる。
上記のような現象を回避するため、移動通信端末113が巡回する中で発見した3つのマーカが登録され、その3つのマーカが図11(a)に示すような配列であった場合、移動通信端末113は、その3つ目に発見したマーカ(図11(a)のマーカMK3)を無視して、図9で説明した「2つのマーカを基準とする自己位置推定」によって自己位置を推定する。
その後、移動通信端末113が巡回する中で発見した4つ目のマーカMK4を登録し、先に登録されているマーカMK1とマーカMK2とマーカMK4を組み合わせることによって、図11(b)に示すように適正な三角形が構成される場合、移動通信端末113は、その三角形を構成するマーカを基準として、図10で説明した「3つのマーカを基準とする自己位置推定」によって自己位置を推定する。
【0067】
なお、図11(a)に示す直線形状と、図11(b)に示す三角形状と、を区別する条件(本発明に係る「所定条件」)は、以下の通りである。
2つ以上の登録済みマーカ(図11ではマーカMK1とマーカMK2)が先に発見されている状態において、新たに発見して登録済みのマーカ(図11(a)ではマーカMK3、図11(b)ではマーカMK4)と先に発見したマーカの3点から構成される三角形について、マーカMK1を頂点とする内角の角度と、マーカMK2を頂点とする内角の角度と、がいずれも所定範囲に収まるとき(例えば、30度以上であって150度未満であるとき)、移動通信端末113は、新たに発見して登録したマーカが所定条件を充足するものとして判断する。そして、当該三角形について、マーカMK1を頂点とする内角の角度又はマーカMK2を頂点とする内角の角度のうち少なくとも一方が所定範囲から外れるとき(例えば、30度未満である又は150度以上であるとき)、移動通信端末113は、新たに発見して登録したマーカは所定条件を充足しないものとして判断する。
なお、移動通信端末113が上記の所定条件の充足を判断するとき、すなわち、2つ以上の登録済みマーカが先に発見されている状態において、移動通信端末113が新たに発見したマーカが登録されているとき、とは、図4のフローチャートのステップS109、ステップS111、ステップS112が該当しうる。また、図5のフローチャートのステップS210、ステップS212、ステップS213が該当しうる。また、図6のフローチャートのステップS308、ステップS311、ステップS312が該当しうる。また、図7のフローチャートのステップS406、ステップS408、ステップS409が該当しうる。
【0068】
<変形例>
以上に説明した本発明の実施形態は、本発明の目的と達成する範囲において、種々の変形が可能である。
以下、未だ説明していない本発明の変形例について、言及する。
【0069】
図1に図示したシステム構成に含まれる構成要素のうち、一部を省いてもよく、また図示していない構成要素を追加してもよい。また、図1に図示したシステム構成において、一つの構成要素として図示したものを、複数の構成要素によって実現としてもよい。
例えば、図1において図示した自走ロボット110に相当する装置が、管理対象である建築物又は土木構造物の構内を巡回することによって、本発明が実施されてもよい。この変形例において、複数の自走ロボット110(移動通信端末113)が、管理装置120に対して通信接続してもよく、記憶装置122に記憶されている同一の図面データを参照できてもよい。これにより、或る自走ロボットが巡回することによって、随時更新されるマーカに係る情報を、別の自走ロボットが参照することができるようになる。
【0070】
図1に図示したシステム構成において、自走ロボット110及び管理装置120のうち一方の構成として図示したものを他方の構成としてもよい。例えば、図面データを格納する記憶装置122に相当する構成は、移動通信端末113の中に内蔵されるROM等の記憶手段に代えて、本発明を実施してもよい。言い換えれば、本発明に係る記憶装置と移動通信端末は一体であってもよい。
【0071】
図4図7のフローチャートに含まれる工程(ステップ)のうち、一部を省いてもよく、図示していない工程(ステップ)を追加してもよい。
【0072】
本発明の実施において、3つ以上の登録済みマーカが存在する状況であっても、2つのマーカを基準とする自己位置推定と、3つのマーカを基準とする自己位置推定と、を使い分ける実施態様を述べた。本発明の実施は、この実施態様に限定されない。
また、図11を用いて説明した基準(本発明に係る所定条件)に基づいて、2つのマーカを基準とする自己位置推定と、3つのマーカを基準とする自己位置推定と、を使い分ける実施形態を述べた。本発明の実施は、この実施態様に限定されない。
例えば、移動通信端末113は、固定の数の登録済みのマーカを基準として、或いは、作業員WKの操作によって指定した数の登録済みのマーカを基準として、自己位置を推定してもよい。
【0073】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)複数箇所のそれぞれにマーカが設置されている建築物又は土木構造物の管理を支援する建築物又は土木構造物の管理支援システムであって、前記建築物又は前記土木構造物の図面データを記憶している記憶装置と、前記記憶装置と通信可能に接続している移動通信端末と、を備え、前記図面データには、前記移動通信端末が前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する前に、前記建築物又は前記土木構造物に配置されているマーカの少なくとも一部について、当該マーカに相当する図面マーカの位置情報が登録されており、前記移動通信端末は、カメラと加速度センサを有しており、前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する際に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によってマーカを検出し、検出したマーカに相当する前記図面マーカを前記図面データの中から抽出し、抽出した前記図面マーカの位置情報と、前記加速度センサによって検出した自己の運動情報と、に基づいて前記移動通信端末の自己位置を求め、求めた前記移動通信端末の自己位置に基づいて前記カメラによって撮影された映像空間と前記図面データが表す図面空間とを照合して出力する、ことを特徴とする建築物又は土木構造物の管理支援システム。
(2)前記移動通信端末は、前記建築物又は前記土木構造物の移動中に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によって新たなマーカを検出した場合において、当該新たなマーカに相当する前記図面マーカが前記図面データに登録されているとき、当該図面マーカの位置情報と、前記加速度センサによって検知した自己の運動情報と、に基づいて前記移動通信端末の自己位置を求め、当該新たなマーカに相当する前記図面マーカが前記図面データに登録されていないとき、当該新たなマーカより前に検出した他のマーカの位置情報と、前記加速度センサによって検出した自己の運動情報と、に基づいて前記移動通信端末の自己位置及び当該新たなマーカの位置情報を求め、当該新たなマーカに相当する前記図面マーカを前記図面データに登録する、(1)に記載の建築物又は土木構造物の管理支援システム。
(3)複数箇所のそれぞれにマーカが設置されている建築物又は土木構造物の管理を支援する建築物又は土木構造物の管理支援システムであって、前記建築物又は前記土木構造物の図面データを記憶している記憶装置と、前記記憶装置と通信可能に接続している移動通信端末と、を備え、前記図面データには、前記移動通信端末が前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する前に、前記建築物又は前記土木構造物に配置されているマーカに相当する図面マーカの位置情報が登録されておらず、前記移動通信端末は、カメラと加速度センサを有しており、前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する際に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によって検出したマーカが最初のマーカであるとき、前記図面データにおける座標空間の原点に前記最初のマーカを登録し、前記建築物又は前記土木構造物の移動中に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によって検出したマーカが前記最初のマーカではなく且つ当該マーカに相当する前記図面マーカが前記図面データに登録されていないとき、当該マーカより前に検出した他のマーカの位置情報と、前記加速度センサによって検知した自己の運動情報と、に基づいて前記移動通信端末の自己位置及び当該マーカの位置情報を求め、当該マーカに相当する前記図面マーカを前記図面データに登録し、求めた前記移動通信端末の自己位置に基づいて前記カメラによって撮影された映像空間と前記図面データが表す図面空間とを照合して出力する、ことを特徴とする建築物又は土木構造物の管理支援システム。
(4)前記移動通信端末は、前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する際に前記カメラによって撮影された映像の中から、少なくとも2点以上のマーカを検出した第一のタイミングにおいて、検出したマーカの一部又は全部に相当する複数の前記図面マーカを前記図面データから抽出し、抽出した複数の前記図面マーカの位置情報と前記加速度センサによって検出した自己の運動情報とに基づいて前記第一のタイミングにおける自己位置を求め、前記第一のタイミングより後に別の場所に移動した前記カメラによって撮影された映像の中から新たにマーカを検出した第二のタイミングにおいて、新たに検出したマーカと当該マーカを検出するまでに検出したマーカの中に含まれる2点以上のマーカに相当する複数の前記図面マーカを再び前記図面データから抽出し、再び抽出した複数の前記図面マーカの位置情報と前記加速度センサによって検出した自己の運動情報とに基づいて、前記第二のタイミングにおける自己位置を求める、(1)から(3)のいずれか一つに記載の建築物又は土木構造物の管理支援システム。
(5)前記移動通信端末は、前記第一のタイミング又は前記第二のタイミングにおいて、第一図面マーカと第二図面マーカを前記図面データから抽出し、抽出した前記第一図面マーカと前記第二図面マーカのいずれとも異なる前記図面マーカの中から所定条件を充足する第三図面マーカを前記図面データから検索し、前記所定条件を充足する前記第三図面マーカを検索できなかったとき、前記第一図面マーカ及び前記第二図面マーカの2点に関する位置情報と、前記加速度センサによって検出した自己の運動情報と、に基づいて自己位置を求め、前記所定条件を充足する前記第三図面マーカを検索できたとき、前記第一図面マーカ、前記第二図面マーカ及び前記第三図面マーカの3点に関する位置情報と、前記加速度センサによって検出した自己の運動情報と、に基づいて自己位置を求める、(4)に記載の建築物又は土木構造物の管理支援システム。
(6)前記移動通信端末は、前記第一図面マーカ、前記第二図面マーカ及び前記第三図面マーカの3点から構成される三角形について、前記第一図面マーカを頂点とする内角の角度と、前記第二図面マーカを頂点とする内角の角度と、がいずれも所定範囲に収まるとき、当該第三図面マーカが前記所定条件を充足するものとして判断する、(5)に記載の建築物又は土木構造物の管理支援システム。
(7)前記移動通信端末は、前記第一図面マーカに相当するマーカを第一マーカ、前記第二図面マーカに相当するマーカを第二マーカ、及び前記第三図面マーカに相当するマーカを第三マーカとし、図面空間における前記第一図面マーカから前記第二図面マーカに向かうベクトルを図面基準ベクトルとし、映像空間における前記第一マーカから前記第二マーカに相当するマーカへ向かうベクトルを映像基準ベクトルとし、前記所定条件を充足する前記第三図面マーカを検索できなかったとき、前記第一マーカの位置と、前記第一図面マーカの位置と、が重なるように映像空間と図面空間を平行移動させる第一処理と、前記第一処理によって前記第一マーカと前記第一図面マーカとが重なった位置を中心とする回転移動によって、前記映像基準ベクトルと前記図面基準ベクトルとを一致させる第二処理と、を実行して、前記カメラによって撮影された映像空間と前記図面データが表す図面空間とを照合し、前記所定条件を充足する前記第三図面マーカを検索できたとき、前記第一処理と前記第二処理を実行し、更に、前記第二処理によって一致させた前記映像基準ベクトルと前記図面基準ベクトルを軸とする回転移動によって、前記第三マーカを通り且つ前記映像基準ベクトルに垂直に交差するベクトルと、前記第三図面マーカを通り且つ前記図面基準ベクトルに垂直に交差するベクトルと、を一致させる第三処理を実行して、前記カメラによって撮影された映像空間と前記図面データが表す図面空間とを照合する、(5)に記載の建築物又は土木構造物の管理支援システム。
(8)前記建築物又は前記土木構造物に設置されているマーカには、画像認識処理によって検出可能な識別情報が割り当てられており、前記移動通信端末は、検出したマーカに割り当てられている前記識別情報に対応付けられている前記図面マーカを、前記検出したマーカに相当する前記図面マーカとして抽出し、検出したマーカに割り当てられている前記識別情報に対応付けられている前記図面マーカが前記図面データに存在しないとき、当該マーカの検出位置の近傍に位置し且つ前記識別情報に対応付けられていない前記図面マーカを、当該マーカに相当する前記図面マーカとして抽出し、抽出した前記図面マーカに、当該マーカに割り当てられている前記識別情報を対応付ける、(1)から(3)のいずれか一つに記載の建築物又は土木構造物の管理支援システム。
(9)前記移動通信端末は、検出したマーカの検出位置の近傍に位置する前記図面マーカが存在しないとき、又は、検出したマーカの検出位置の近傍に位置する前記図面マーカに別の前記識別情報が対応付けられて登録されているとき、当該マーカに相当する前記図面マーカが前記図面データに登録されていないものと判定して、当該マーカに割り当てられている前記識別情報を対応付けた前記図面マーカを当該マーカに相当する前記図面マーカとして前記図面データに登録する、(8)に記載の建築物又は土木構造物の管理支援システム。
(10)複数箇所のそれぞれにマーカが設置されている建築物又は土木構造物の構内を移動する移動通信端末であって、前記移動通信端末は、自機と一体的に設けられている又は外的に付設されている記憶装置に記憶されている前記建築物又は前記土木構造物の図面データを参照可能であり、前記図面データには、前記移動通信端末が前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する前に、前記建築物又は前記土木構造物に配置されているマーカの少なくとも一部について、当該マーカに相当する図面マーカの位置情報が登録されており、前記移動通信端末は、カメラと加速度センサを有しており、前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する際に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によってマーカを検出し、前記図面データを参照して、前記検出したマーカに相当する前記図面マーカを前記図面データの中から抽出し、抽出した前記図面マーカの位置情報と、前記加速度センサによって検知した自己の運動情報と、に基づいて前記移動通信端末の自己位置を求め、求めた前記移動通信端末の自己位置に基づいて前記カメラによって撮影された映像空間と前記図面データが表す図面空間とを照合して出力する、ことを特徴とする移動通信端末。
(11)複数箇所のそれぞれにマーカが設置されている建築物又は土木構造物の構内を移動する移動通信端末であって、前記移動通信端末は、自機と一体的に設けられている又は外的に付設されている記憶装置に記憶されている前記建築物又は前記土木構造物の図面データを参照可能であり、前記図面データには、前記移動通信端末が前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する前に、前記建築物又は前記土木構造物に配置されているマーカに相当する図面マーカの位置情報が登録されておらず、前記移動通信端末は、カメラと加速度センサを有しており、前記建築物又は前記土木構造物の構内を移動する際に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によって検出したマーカが最初のマーカであるとき、前記図面データにおける座標空間の原点に前記最初のマーカを登録し、前記建築物又は前記土木構造物の移動中に前記カメラによって撮影された映像に対する画像認識処理によって検出したマーカが前記最初のマーカではなく且つ当該マーカに相当する前記図面マーカが前記図面データに登録されていないとき、当該マーカより前に検出した他のマーカの位置情報と、前記加速度センサによって検知した自己の運動情報と、に基づいて前記移動通信端末の自己位置及び当該マーカの位置情報を求め、当該マーカに相当する前記図面マーカを前記図面データに登録し、求めた前記移動通信端末の自己位置に基づいて前記カメラによって撮影された映像空間と前記図面データが表す図面空間とを照合して出力する、ことを特徴とする移動通信端末。
【符号の説明】
【0074】
100 管理支援システム
110 自走ロボット
111 センサ
112 レーザースキャナ
113 移動通信端末
120 管理装置
121 管理サーバ
122 記憶装置
123 ディスプレイ装置
WK 作業員
MK、MK1~MK4 マーカ
DM、DM1~DM3 図面マーカ
OB 構造物
DS 図面エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11