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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009719
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ハンドレスト装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20240116BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20240116BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N3/00 Z
A47C7/62 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111461
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】毛 陽雲
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩介
(72)【発明者】
【氏名】清水 英司
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3B088
【Fターム(参考)】
3B084JA04
3B084JC00
3B087DE04
3B087DE10
3B088CA15
(57)【要約】
【課題】着座乗員がアームレストに肘を置いて手で携帯機器を持つ場合に携帯機器を持つ手の揺れを抑えることができるハンドレスト装置を得る。
【解決手段】ハンドレスト装置30の空気袋36は、前席シート10のシートバック14内に格納可能とされると共に前席シート10のシートバック14に対してシート後方側でかつ後席シート20のアームレスト28よりもシート前方側において膨張展開可能となっている。この空気袋36は、膨張展開状態では後席シート20の着座乗員Pの手Phを後席シート20のアームレスト28よりも高い位置で支持可能となっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前席シートのシートバック内に格納可能とされると共に当該シートバックに対してシート後方側でかつ後席シートのアームレストよりもシート前方側において膨張展開可能とされ更に膨張展開状態では前記後席シートの着座乗員の手を当該後席シートのアームレストよりも高い位置で支持可能とされた空気袋を備えるハンドレスト装置。
【請求項2】
前記空気袋の膨張展開状態の上面側には、上方側に突出して着座乗員の手を左右両側から支持することによって着座乗員の手がシート幅方向にずれるのを抑制する横ずれ抑制部が形成されている、請求項1に記載のハンドレスト装置。
【請求項3】
前記空気袋の膨張展開状態の上面側には、上方側に突出して着座乗員の手をシート前後方向の少なくとも一方側から支持することによって着座乗員の手がシート前後方向にずれるのを抑制する縦ずれ抑制部が形成されている、請求項2に記載のハンドレスト装置。
【請求項4】
前記シートバックの背面側に沿って配置される格納位置と前記シートバックの背面からシート後方側に突出された展開位置との間で前記シートバックに対してシート幅方向に沿った軸線回りに回動可能に設けられた支持パネルを備え、
前記空気袋は、前記展開位置に配置された状態の前記支持パネルの上面において上方側に膨張展開可能とされている、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のハンドレスト装置。
【請求項5】
前記シートバックの背面側に沿ってかつ前記支持パネルの前記格納位置に対してシート前方側に配置される第一位置と前記展開位置に配置された状態の前記支持パネルの上面側に収縮状態の前記空気袋を介して重ね合わせられる第二位置との間で前記シートバックに対してシート幅方向に沿った軸線回りに回動可能に設けられたカバーパネルを備える、請求項4に記載のハンドレスト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドレスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗物用アームレストが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。乗物用アームレストには着座乗員の肘を置くことができ、このような乗物用アームレストが設けられることで着座乗員の乗り心地を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-149910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、着座乗員は、アームレストに肘を置いた状態で手に持ったスマートフォン等の携帯機器の画面等を見る場合があるが、このような場合、例えば車両走行時の振動等によって携帯機器が大きく揺れることが懸念されるので、上記先行技術では改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、着座乗員がアームレストに肘を置いて手で携帯機器を持つ場合に携帯機器を持つ手の揺れを抑えることができるハンドレスト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明のハンドレスト装置は、前席シートのシートバック内に格納可能とされると共に当該シートバックに対してシート後方側でかつ後席シートのアームレストよりもシート前方側において膨張展開可能とされ更に膨張展開状態では前記後席シートの着座乗員の手を当該後席シートのアームレストよりも高い位置で支持可能とされた空気袋を備える。
【0007】
上記構成によれば、ハンドレスト装置の空気袋は、前席シートのシートバック内に格納可能とされると共に当該シートバックに対してシート後方側でかつ後席シートのアームレストよりもシート前方側において膨張展開可能となっている。この空気袋は、膨張展開状態では後席シートの着座乗員の手を当該後席シートのアームレストよりも高い位置で支持可能となっている。このため、空気袋を膨張展開させれば、後席シートに着座して手に携帯機器を持つ着座乗員は、後席シートのアームレストに肘を支持させつつ、手を空気袋に支持させることができる。これにより、携帯機器を持つ手の位置を安定化させることができる。
【0008】
請求項2に記載する本発明のハンドレスト装置は、請求項1に記載の構成において、前記空気袋の膨張展開状態の上面側には、上方側に突出して着座乗員の手を左右両側から支持することによって着座乗員の手がシート幅方向にずれるのを抑制する横ずれ抑制部が形成されている。
【0009】
上記構成によれば、空気袋の膨張展開状態の上面側には、上方側に突出した横ずれ抑制部が形成されており、この横ずれ抑制部が後席シートの着座乗員の手を左右両側から支持することによって、着座乗員の手がシート幅方向にずれることが抑制される。よって、着座乗員の手の位置を一層安定化させることができる。
【0010】
請求項3に記載する本発明のハンドレスト装置は、請求項2に記載の構成において、前記空気袋の膨張展開状態の上面側には、上方側に突出して着座乗員の手をシート前後方向の少なくとも一方側から支持することによって着座乗員の手がシート前後方向にずれるのを抑制する縦ずれ抑制部が形成されている。
【0011】
上記構成によれば、空気袋の膨張展開状態の上面側には、上方側に突出した縦ずれ抑制部が形成されており、この縦ずれ抑制部が後席シートの着座乗員の手をシート前後方向の少なくとも一方側から支持することによって、着座乗員の手がシート前後方向にずれることが抑制される。よって、着座乗員の手の位置をより一層安定化させることができる。
【0012】
請求項4に記載する本発明のハンドレスト装置は、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の構成において、前記シートバックの背面側に沿って配置される格納位置と前記シートバックの背面からシート後方側に突出された展開位置との間で前記シートバックに対してシート幅方向に沿った軸線回りに回動可能に設けられた支持パネルを備え、前記空気袋は、前記展開位置に配置された状態の前記支持パネルの上面において上方側に膨張展開可能とされている。
【0013】
上記構成によれば、支持パネルは、シートバックの背面側に沿って配置される格納位置とシートバックの背面からシート後方側に突出された展開位置との間で前記シートバックに対してシート幅方向に沿った軸線回りに回動可能に設けられている。また、空気袋は、展開位置に配置された状態の支持パネルの上面において上方側に膨張展開可能となっている。これらにより、支持パネルを展開位置に配置させて空気袋を膨張展開させることで、空気袋を支持パネルによって下方側から支持させることができる。また、空気袋を収縮させて支持パネルを格納位置に配置させることで、空気袋及び支持パネルが邪魔にならない状態にすることができる。
【0014】
請求項5に記載する本発明のハンドレスト装置は、請求項4に記載の構成において、前記シートバックの背面側に沿ってかつ前記支持パネルの前記格納位置に対してシート前方側に配置される第一位置と前記展開位置に配置された状態の前記支持パネルの上面側に収縮状態の前記空気袋を介して重ね合わせられる第二位置との間で前記シートバックに対してシート幅方向に沿った軸線回りに回動可能に設けられたカバーパネルを備える。
【0015】
上記構成によれば、カバーパネルは、シートバックの背面側に沿ってかつ支持パネルの格納位置に対してシート前方側に配置される第一位置と展開位置に配置された状態の支持パネルの上面側に収縮状態の空気袋を介して重ね合わせられる第二位置との間でシートバックに対してシート幅方向に沿った軸線回りに回動可能に設けられている。このため、後席シートの着座乗員は、支持パネルを展開位置に配置すると共に空気袋を収縮状態にし、更にカバーパネルを第二位置に配置すれば、支持パネルの上面側の空気袋をカバーパネルで覆うことができ、テーブルとしての利用が可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明のハンドレスト装置によれば、着座乗員がアームレストに肘を置いて手で携帯機器を持つ場合に携帯機器を持つ手の揺れを抑えることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係るハンドレスト装置の使用状態を簡略化して示す側面図である。
図2図1のハンドレスト装置が非使用状態の場合の前席シートをシート後方側から見た状態で示す背面図である。
図3図2に示す状態から支持パネルが展開位置に配置された状態を示す背面図である。
図4図3に示す状態から空気袋が膨張展開された状態で示す背面図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係るハンドレスト装置の使用状態をシート後方側から見た状態で示す背面図である。
図6図5のハンドレスト装置をテーブルとして利用するための形態を簡略化して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るハンドレスト装置について図1図4を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRはシート前方側を示しており、矢印UPはシート上方側を示しており、矢印Wはシート幅方向を示している。
【0019】
図1には、第1の実施形態に係るハンドレスト装置30の使用状態が簡略化された側面図で示されている。図1に示されるように、ハンドレスト装置30は、前席シート10のシートバック14に設置されて後席シート20用とされている。
【0020】
前席シート10は、シートクッション12、シートバック14、ヘッドレスト16及びアームレスト18を備えている。同様に、後席シート20は、シートクッション22、シートバック24、ヘッドレスト26及びアームレスト28を備えている。
【0021】
シートクッション12、22は、乗員Pが着座する着座部を構成して着座乗員Pの臀部P1及び大腿部P2を支持する構成部である。シートバック14、24は、着座乗員Pの背部P3を支持する構成部である。ヘッドレスト16、26は、着座乗員Pの頭部P4を支持する構成部である。
【0022】
また、アームレスト18、28は、着座乗員Pの腕部P5を支持可能に配置された構成部である。前席シート10のアームレスト18は、その基端部が前席シート10のシートバック14の側面部の上下方向中間部に取り付けられ、シート前方側へ延出されている。後席シート20のアームレスト28は、その基端部が後席シート20のシートバック24の側面部の上下方向中間部に取り付けられ、シート前方側へ延出されている。
【0023】
図2には、ハンドレスト装置30が非使用状態の場合の前席シート10をシート後方側から見た状態の背面図が示されている。図2に示されるように、ハンドレスト装置30は支持パネル32を備えている。支持パネル32の格納状態における下端部には、回転軸33がシート幅方向に沿って挿通されている。この回転軸33は、シートバック14に設けられた軸受部(図示省略)に回転可能に支持されている。これにより、支持パネル32は、シートバック14の背面14B側に沿って配置される格納位置32Xと、図1及び図3に示されるようにシートバック14の背面14Bからシート後方側に突出された展開位置32Yとの間で、シートバック14に対してシート幅方向に沿った軸線回りに回動可能に設けられている。なお、支持パネル32の回動基端部側には、支持パネル32が展開位置32Yよりも下方側へ回動しないように回動角度を規制するストッパ機構(図示省略)が設けられている。
【0024】
図2に示されるように、支持パネル32には、回動基端部側とは反対側(図2の状態では上端部側)のシート幅方向中央部に係合機構(広義には「ロック機構」として把握される要素)34の一部が設けられている。図2の部分拡大図に示されるように、係合機構34は、シートバック14の背面14B側に設けられて下向きに開口する係合凹部34Aと、支持パネル32に設けられて係合凹部34Aに下方側から挿し込まれるラッチ34Bと、を備えている。また、係合機構34には、支持パネル32の開口部32Aから露出する操作解除部34Cが設けられている。操作解除部34Cは、バネ(図示省略)によってシート前方側に付勢されており、乗員操作によってシート後方側に引かれることでラッチ34Bを下げて係合凹部34Aとラッチ34Bとの係合状態を解除するように構成されている。
【0025】
図3に示されるように、ハンドレスト装置30は、支持パネル32に取り付けられた空気袋36を備えている。空気袋36には、チューブ37を介してエアポンプ38が接続されている。チューブ37及びエアポンプ38は、シートバック14内に設けられている。また、エアポンプ38は、シートバック14内に設けられた制御装置40を介して膨張スイッチ41及び収縮スイッチ42に接続されている。膨張スイッチ41及び収縮スイッチ42は、シートバック14の背面14B側に設置された背面意匠パネル44に設けられている。背面意匠パネル44は、格納状態の支持パネル32(図2参照)が重ねられる位置に設置されている。背面意匠パネル44に設けられた膨張スイッチ41が押された場合、制御装置40は、エアポンプ38がチューブ37を介して空気袋36に空気を供給するように制御する。
【0026】
以上により、図4に示されるように、空気袋36は、展開位置32Yに配置された状態の支持パネル32の上面32Bにおいて上方側に膨張展開可能とされている。また収縮スイッチ42が押された場合、図3に示される制御装置40は、エアポンプ38がチューブ37を介して空気袋36から空気を吸引するように制御する。
【0027】
空気袋36は、非使用時には支持パネル32の面上に折り畳まれた状態で配置されている。空気袋36は、例えばナイロン系やポリエステル系の基布を切り出して形成された複数枚の基布材が縫合されることにより袋状に形成されたものである。図4に示されるように、一例として、空気袋36は、その膨張展開状態の上面36A側を構成する上部形成材361と、上部形成材361の下方側に配置される下部形成材362と、上部形成材361と下部形成材362の各左右端部とを繋ぐ左右一対の図1に示されるマチ部形成材363と、を含んで構成されている。
【0028】
マチ部形成材363は、空気袋36の左右方向(シート幅方向)の側部においてマチ部36Bを構成している。マチ部36Bの上下方向中央部には、シート幅方向内側へ凸になる折り目36Lの加工が施されている。これにより、マチ部36Bは、折り目36Lに沿って二つ折り可能になっている。
【0029】
以上により、空気袋36は、図2に示される前席シート10のシートバック14内に格納可能とされると共に図1に示されるように前席シート10のシートバック14に対してシート後方側でかつ後席シート20のアームレスト28よりもシート前方側において膨張展開可能とされている。また、空気袋36は、膨張展開状態では後席シート20の着座乗員Pの手Phを後席シート20のアームレスト28よりも高い位置で支持可能とされている。なお、図1には、空気袋36の利用形態の一例として、後席シート20の着座乗員Pが手首Pw及び手Phを膨張展開状態の空気袋36に支持させている状態が示されている。
【0030】
図1及び図4に示されるように、空気袋36の膨張展開状態の上面36Aは、シート幅方向及びシート前後方向に沿ってそれぞれ波状になるように形成されている。また、空気袋36の膨張展開状態の上面36Aにおける波形状は、シート前後方向に数えて奇数番目の列と、シート前後方向に数えて偶数番目の列とが、シート幅方向に半波長分ずつずれて形成されている。なお、上部形成材361には、空気袋36の膨張展開状態の上面36Aが上記のような波形状(凹凸形状)になるように、一例として、縫製を含む加工がなされている。
【0031】
ここで、空気袋36の膨張展開状態の上面36A側の構成について機能の観点から更に説明する。本実施形態では、空気袋36の膨張展開状態の上面36A側には、上方側に突出して着座乗員Pの手Phを左右両側から支持することによって着座乗員Pの手Phがシート幅方向にずれるのを抑制する横ずれ抑制部36Sが形成されている。また、空気袋36の膨張展開状態の上面36A側には、上方側に突出して着座乗員Pの手Phをシート前後方向の少なくとも一方側から支持することによって着座乗員Pの手Phがシート前後方向にずれるのを抑制する縦ずれ抑制部36Vが形成されている。
【0032】
なお、本実施形態では、空気袋36の膨張展開状態の上面36Aは、前述したような波形状となっているため、横ずれ抑制部36S及び縦ずれ抑制部36Vとして機能する構成部が多数形成されているといえる。また、空気袋36の膨張展開状態の上面36Aのうちどの部分に着座乗員Pが手Phを支持させるかによって横ずれ抑制部36S及び縦ずれ抑制部36Vとして機能する部分は変わることになる。ちなみに、着座乗員Pの手Phは、空気袋36の膨張展開状態の上面36A側において平面視でシート前後方向に対して斜めに置かれてもよく、そのような場合には縦ずれ抑制部36Vが着座乗員Pの手Phをシート前後方向の両側から支持する形態になり得る。
【0033】
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0034】
ハンドレスト装置30の空気袋36は、図2に示される前席シート10のシートバック14内に格納可能とされると共に図1に示されるように前席シート10のシートバック14に対してシート後方側でかつ後席シート20のアームレスト28よりもシート前方側において膨張展開可能となっている。この空気袋36は、膨張展開状態では後席シート20の着座乗員Pの手Phを後席シート20のアームレスト28よりも高い位置で支持可能となっている。このため、空気袋36を膨張展開させれば、後席シート20に着座して手Phにスマートフォン等の携帯機器100を持つ着座乗員Pは、後席シート20のアームレスト28に肘Peを支持させつつ、手Phを空気袋36に支持させることができる。これにより、携帯機器100を持つ手Phの位置を安定化させることができる。
【0035】
なお、着座乗員Pの手Phは空気袋36によって支持されるので、車両が振動したときに着座乗員Pの手Phを支持する側から手Phに伝わる微振動は空気袋36によって抑えることができる。また、空気袋36はクッション性を有するので、着座乗員Pの手Phが痛くなることが基本的にないうえ、衝突時の安全性も高い。
【0036】
また、図4に示されるように、本実施形態では、空気袋36の膨張展開状態の上面36A側には、上方側に突出した横ずれ抑制部36Sが形成されている。この横ずれ抑制部36Sが図1に示される後席シート20の着座乗員Pの手Phを左右両側から支持することによって、着座乗員Pの手Phがシート幅方向にずれることが抑制される。よって、着座乗員Pの手Phの位置を一層安定化させることができる。
【0037】
また、本実施形態では、空気袋36の膨張展開状態の上面36A側には、上方側に突出した縦ずれ抑制部36Vが形成されている。この縦ずれ抑制部36Vが着座乗員Pの手Phをシート前後方向の少なくとも一方側から支持することによって、着座乗員Pの手Phがシート前後方向にずれることが抑制される。よって、着座乗員Pの手Phの位置をより一層安定化させることができ、着座乗員Pは安定した姿勢を維持することができる。
【0038】
また、本実施形態では、ハンドレスト装置30の支持パネル32は、シートバック14の背面14B側に沿って配置される格納位置32X(図2参照)とシートバック14の背面14Bからシート後方側に突出された展開位置32Yとの間で、シートバック14に対してシート幅方向に沿った軸線回りに回動可能に設けられている。また、ハンドレスト装置30の空気袋36は、展開位置32Yに配置された状態の支持パネル32の上面32Bにおいて上方側に膨張展開可能となっている。これらにより、支持パネル32を展開位置32Yに配置させて空気袋36を膨張展開させることで、空気袋36を支持パネル32によって下方側から支持させることができる。また、図3に示されるように空気袋36を収縮させて図2に示されるように支持パネル32を格納位置32Xに配置させることで、空気袋36(図4等参照)及び支持パネル32が邪魔にならない状態にすることができる。
【0039】
以上説明したように、図1等に示される本実施形態のハンドレスト装置30によれば、着座乗員Pがアームレスト28に肘Peを置いて手Phで携帯機器100を持つ場合に携帯機器100を持つ手Phの揺れを抑えることができる。その結果、携帯機器100の画面の揺れが抑えられるので、携帯機器100の画面表示が見易くなる。すなわち、携帯機器100を快適に利用できる環境を提供することができる。また、携帯機器100の画面の揺れが抑えられることで、車酔いの防止等にも寄与することができる。
【0040】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係るハンドレスト装置について、図1及び図2を流用しながら図5及び図6を用いて説明する。図5には、本実施形態に係るハンドレスト装置50の使用状態をシート後方側から見た状態の背面図が示されている。図6には、本実施形態に係るハンドレスト装置50をテーブルとして利用するための形態が簡略化された側面図で示されている。
【0041】
図5及び図6に示されるように、第2の実施形態は、カバーパネル52を備える点で第1の実施形態とは異なる。他の構成は、以下に説明する点を除いて第1の実施形態と実質的に同様の構成となっている。なお、図5及び図6において、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については同一符号を付す。
【0042】
図6に示されるように、カバーパネル52の基端部側には、回転軸53がシート幅方向に沿って挿通されている。この回転軸53は、シートバック14に設けられた軸受部(図示省略)に回転可能に支持されている。これにより、カバーパネル52は、図5に示される前席シート10のシートバック14の背面14B側に沿って配置される第一位置52Xと、図6に示される展開位置32Yに配置された状態の支持パネル32の上面32B側に収縮状態の空気袋36(図中では簡略化して図示)を介して重ね合わせられる第二位置52Yとの間で、シートバック14に対してシート幅方向に沿った軸線回りに回動可能に設けられている。図5及び図6に示されるカバーパネル52の第一位置52X(図6では二点鎖線で図示)は、支持パネル32の格納位置32X(図2参照)に対してシート前方側に設定されている。
【0043】
なお、図5に示されるハンドレスト装置50の使用状態では、支持パネル32及び空気袋36と、後席シート20のアームレスト28(いずれも図1参照)との位置関係は、図1に示される第1の実施形態における支持パネル32及び空気袋36と、後席シート20のアームレスト28との位置関係と同様となっている。
【0044】
図6に示されるように、第一位置52Xに配置されるカバーパネル52は、背面意匠パネル54に重ねられる。また、図5に示されるように、シートバック14の背面14B側においてカバーパネル52の第一位置52Xの高さ位置よりも上方側の右側には、膨張スイッチ41及び収縮スイッチ42が設けられている。
【0045】
以上説明した第2の実施形態の構成によっても、前述した第1の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。また、第2の実施形態では、後席シート20の着座乗員P(図1参照)は、図6に示されるように、支持パネル32を展開位置32Yに配置すると共に空気袋36を収縮状態にし、更にカバーパネル52を第二位置52Yに配置すれば、支持パネル32の上面32B側の空気袋36をカバーパネル52で覆うことができ、テーブルとしての利用が可能となる。
【0046】
[実施形態の補足説明]
なお、図1図6に示される上記第1、第2の実施形態では、空気袋36の膨張展開状態の上面36A側には、横ずれ抑制部36Sが形成されており、そのような構成が好ましいが、空気袋の膨張展開状態の上面側に横ずれ抑制部が形成されていないような構成も採り得る。
【0047】
また、上記第1、第2の実施形態では、空気袋36の膨張展開状態の上面36A側には、縦ずれ抑制部36Vが形成されており、そのような構成が好ましいが、空気袋の膨張展開状態の上面側に縦ずれ抑制部が形成されていないような構成も採り得る。例えば、空気袋の膨張展開状態の上面側は、シート幅方向に沿って凹凸が交互に連続形成されて各凹部及び各凸部がシート前後方向に延在され、各凸部が横ずれ抑制部となっているような構造でもよい。
【0048】
なお、上記第1、第2の実施形態では、空気袋36の膨張展開状態の上面36A側は波形状に形成されて多数の凸部が設けられているが、これらの凸部のシート前後方向の個数及びシート幅方向の個数並びにそれらの凸部の形成位置は適宜設定し得ることは言うまでもない。
【0049】
また、上記第1、第2の実施形態では、ハンドレスト装置30、50は、空気袋36を支持する支持パネル32を備えており、そのような構成が好ましいが、ハンドレスト装置は、例えば支持パネル32を備えないで、空気袋(36)がシートバック(14)の背面(14B)側からシート後方側に膨張展開可能とされるような構成も採り得る。
【0050】
なお、上記第1、第2の実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0051】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
10 前席シート
14 前席シートのシートバック
14B シートバックの背面
20 後席シート
28 後席シートのアームレスト
30 ハンドレスト装置
32 支持パネル
32B 支持パネルの上面
32X 格納位置
32Y 展開位置
36 空気袋
36A 空気袋の膨張展開状態の上面
36S 横ずれ抑制部
36V 縦ずれ抑制部
50 ハンドレスト装置
52 カバーパネル
52X 第一位置
52Y 第二位置
P 着座乗員
Ph 着座乗員の手
図1
図2
図3
図4
図5
図6