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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097193
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20240710BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240710BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240710BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240710BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
B41J29/393 101
G03G15/00 303
B41J29/393 107
B41J29/38 301
B41J2/01 451
B41J2/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000561
(22)【出願日】2023-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】白坂 覚
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB27
2C056EB30
2C056EB59
2C056EC67
2C056FA14
2C056HA58
2C061AP04
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061HK10
2C061HK19
2C061HN08
2C061HN15
2C061HV08
2C061HV44
2C061KK04
2C061KK18
2C061KK25
2C061KK32
2H270LA22
2H270LA24
2H270MB04
2H270MB13
2H270MB16
2H270MB17
2H270MB25
2H270MB27
2H270MB36
2H270MD02
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】装置の状態変化を診るために色彩値を好適に測定することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置4は、対象物2に画像を形成する画像形成部30と、画像形成部30を制御する制御部100と、を備え、制御部100は、画像として色彩値を測定するための測定用チャート2aを対象物2に形成する場合に、画像形成条件の許容範囲を、通常の画像形成時よりも狭く設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記画像として色彩値を測定するための測定用チャートを前記対象物に形成する場合に、画像形成条件の許容範囲を、通常の画像形成時よりも狭く設定する、
画像形成装置。
【請求項2】
前記画像をスキャンして当該画像の輝度値を取得するスキャン部を備え、
前記制御部は、
前記スキャン部によって取得された前記測定用チャートの前記輝度値と、色彩値測定装置によって測定された前記測定用チャートの色彩値と、を関連付けたテーブルを生成し、
前記スキャン部によって取得された、前記対象物に形成された前記画像の前記輝度値を、前記テーブルを用いて前記色彩値に変換する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成条件は、当該画像形成装置内の温度である、
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成条件は、前記画像形成部の温度である、
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成条件に対応する当該画像形成装置の環境を調整する調整部を備え、
前記制御部は、前記測定用チャートを前記対象物に形成する場合に、前記画像形成条件の値が前記許容範囲外であるときに、当該画像形成条件の値が前記許容範囲内に入るように前記調整部を制御する、
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記画像形成条件の値が前記許容範囲外である状態が第一の所定時間継続した場合に、画像形成を中止する、
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記画像形成条件の値が前記許容範囲外である状態が前記第一の所定時間よりも長い第二の所定時間継続した場合に、当該画像形成装置4の状態が変動したと判定する、
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記スキャン部による前記輝度値の取得と前記色彩値測定装置による前記色彩値の測定とが第三の所定時間内に実行された場合に、前記テーブルを生成する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記スキャン部による前記輝度値の取得のタイミングと前記色彩値測定装置による前記色彩値の測定のタイミングとの差が前記第三の所定時間を超える場合には、再試行を促すと判定する、
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記測定用チャートの前記輝度値から前記テーブルを用いて変換された前記色彩値と前記テーブルの生成時に前記色彩値測定装置によって測定された前記測定用チャートの前記色彩値との差が第一の所定値以上である場合に、当該制御部による前記画像形成部の制御の調整が必要であると判定する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記測定用チャートの前記輝度値から前記テーブルを用いて変換された前記色彩値と前記テーブルの生成時に前記色彩値測定装置によって測定された前記測定用チャートの前記色彩値との差が前記第一の所定値よりも大きい第二の所定値以上である場合に、画像形成を禁止する、
請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、より詳細には、画像形成装置によって形成される画像の色彩値を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷装置(画像形成装置)において、カラーチャートの色彩値を測定し、その測定結果に基づいてキャリブレーションデータを作成するとともに、現時点での印刷装置の温度とキャリブレーションデータ用のカラーチャート印刷時の印刷装置の温度との差が閾値よりも小さい場合に、キャリブレーションデータを用いた印刷を許可することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-221703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、カラーチャートを例えば定期的に印刷し、過去のカラーチャートの色彩値と現時点のカラーチャートの色彩値とを比較することによって、装置の状態変化(部品交換の必要あり、故障等)を診ることが考えられる。
これに対し、特許文献1に記載の技術では、過去のカラーチャートの色彩値と現時点のカラーチャートの色彩値との違いが、カラーチャート印刷時の環境条件(印刷装置の温度等)の違いによるものなのか、装置内の状態変化によるものなのか、判別することが困難である。
【0005】
本発明は、前記した事情に鑑みて創案されたものであり、装置の状態変化を診るために色彩値を好適に測定することが可能な画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明は、以下の構成を備える。
1.対象物に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記画像として色彩値を測定するための測定用チャートを前記対象物に形成する場合に、画像形成条件の許容範囲を、通常の画像形成時よりも狭く設定する、画像形成装置。
2.前記画像をスキャンして当該画像の輝度値を取得するスキャン部を備え、前記制御部は、前記スキャン部によって取得された前記測定用チャートの前記輝度値と、色彩値測定装置によって測定された前記測定用チャートの色彩値と、を関連付けたテーブルを生成し、前記スキャン部によって取得された、前記対象物に形成された前記画像の前記輝度値を、前記テーブルを用いて前記色彩値に変換する、前記1に記載の画像形成装置。
3.前記画像形成条件は、当該画像形成装置内の温度である、前記1又は2に記載の画像形成装置。
4.前記画像形成条件は、前記画像形成部の温度である、前記1又は2に記載の画像形成装置。
5.前記画像形成条件に対応する当該画像形成装置の環境を調整する調整部を備え、前記制御部は、前記測定用チャートを前記対象物に形成する場合に、前記画像形成条件の値が前記許容範囲外であるときに、当該画像形成条件の値が前記許容範囲内に入るように前記調整部を制御する、前記1又は2に記載の画像形成装置。
6.前記制御部は、前記画像形成条件の値が前記許容範囲外である状態が第一の所定時間継続した場合に、画像形成を中止する、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
7.前記制御部は、前記画像形成条件の値が前記許容範囲外である状態が前記第一の所定時間よりも長い第二の所定時間継続した場合に、当該画像形成装置4の状態が変動したと判定する、前記6に記載の画像形成装置。
8.前記制御部は、前記スキャン部による前記輝度値の取得と前記色彩値測定装置による前記色彩値の測定とが第三の所定時間内に実行された場合に、前記テーブルを生成する、前記2に記載の画像形成装置。
9.前記制御部は、前記スキャン部による前記輝度値の取得のタイミングと前記色彩値測定装置による前記色彩値の測定のタイミングとの差が前記第三の所定時間を超える場合には、再試行を促すと判定する、前記8に記載の画像形成装置。
10.前記制御部は、前記測定用チャートの前記輝度値から前記テーブルを用いて変換された前記色彩値と前記テーブルの生成時に前記色彩値測定装置によって測定された前記測定用チャートの前記色彩値との差が第一の所定値以上である場合に、当該制御部による前記画像形成部の制御の調整が必要であると判定する、前記2に記載の画像形成装置。
11.前記制御部は、前記測定用チャートの前記輝度値から前記テーブルを用いて変換された前記色彩値と前記テーブルの生成時に前記色彩値測定装置によって測定された前記測定用チャートの前記色彩値との差が前記第一の所定値よりも大きい第二の所定値以上である場合に、画像形成を禁止する、前記10に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置の状態変化を診るために色彩値を好適に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を備える色彩値測定システムを模式的に示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置によって形成された測定用チャートを模式的に示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置を模式的に示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置の動作例(画像形成)を説明するためのフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置の動作例(テーブル生成)を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置の動作例(色彩値判定)を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
<第一の実施形態>
図1に示すように、本発明の実施形態に係る色彩値測定システム1は、画像形成装置4によって対象物2(図2参照)に形成された測定用チャート2aを用いて、画像形成装置4の色彩値を測定するシステムである。色彩値測定システム1は、色彩値測定装置3と、画像形成装置4と、を備える。
【0011】
<対象物>
図2に示すように、対象物2は、例えば、画像形成装置4によって画像が形成(印刷)される紙である。本実施形態において、対象物2には、画像形成装置4によって測定用チャート2aが形成(印刷)される。測定用チャート2aは、色彩値を測定するための複数のカラーパッチを備える。複数のカラーパッチは、それぞれ異なる色で形成されている。
【0012】
<色彩値測定装置>
図1に示すように、色彩値測定装置3は、画像形成装置4とは別体に構成されて利用者が携行可能な装置である。色彩値測定装置3は、利用者の操作によって、測定用チャート2aが形成(印刷)された対象物2の色彩値(本実施形態では、画像形成部30における画像形成材料に対応するCMYK(シアン-マゼンタ-イエロー-ブラック)の値)を測定し、測定結果を画像形成装置4へ送信する。色彩値測定装置3によって測定される色彩値は、画像形成装置4の画像形成部30における色彩値の種類に対応している。本実施形態において、色彩値測定装置3は、測定時の時刻(タイミング、日時)を測定結果とともに画像形成装置4へ送信する。
【0013】
なお、色彩値測定装置3の測定結果は、他の端末装置(デスクトップパソコン等)を介して画像形成装置4へ送信されてもよく、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の記憶媒体を介して画像形成装置4に入力されてもよい。
【0014】
<画像形成装置>
画像形成装置4は、いわゆるタンデム方式でカラー画像を形成する複写装置であって、画像形成ユニットと画像読み取りユニットとから構成されている。画像読み取りユニットは、図示しない原稿台ガラス上に載置された原稿や、図示しない自動原稿搬送装置(ADF: Automatic Document Feeder)によって搬送される原稿から画像を光学的に読み取り、RGB(Red Green Blue)の三原色の値に分解してカラー画像データを生成する。
【0015】
画像形成装置4は、画像形成ユニットとして、供給部10と、当該画像形成装置4の筐体(機体)4A(図3参照)内に設けられる搬送部20、画像形成部30及び画像スキャン部40と、排出部50と、を備える。また、画像形成装置4は、検出部60と、調整部70と、操作部80と、通知部90と、制御部100と、を備える。
【0016】
<供給部>
図3に示すように、供給部10は、画像形成前の対象物2が設けられるトレイ(給紙トレイ)11と、制御部100からの制御信号に基づいて駆動し、当該トレイ11に設けられた対象物2を搬送部20へ供給するローラ(給紙ローラ)12と、を備える。
【0017】
<搬送部>
搬送部20は、画像形成装置4の筐体(機体)4A内において対象物2が搬送される搬送路21と、制御部100からの制御信号に基づいて駆動し、当該搬送路21において対象物2を移動させる複数のローラ(搬送ローラ)22と、を備える。
【0018】
<画像形成部>
画像形成部30は、搬送路21において対象物2に画像を形成する。本実施形態において、画像形成部30は、制御部100からの制御信号に基づいて駆動し、画像形成材料としてのインクを供給する複数のインクジェット部(材料供給部)31を備える。
【0019】
≪インクジェット部≫
本実施形態では、色彩(CMYK)ごとのインクジェット部31が、搬送路21に配列されている。供給部10から1番目のインクジェット部31は、Y(イエロー)のインクをドラム32へ吐出する。供給部10から2番目のインクジェット部31は、M(マゼンタ)のインクをドラム32へ吐出する。供給部10から3番目のインクジェット部31は、C(シアン)のインクをドラム32へ吐出する。供給部10から4番目のインクジェット部31は、K(ブラック)のインクをドラム32へ吐出する。
【0020】
なお、インクジェット部31において採用される色彩のセットは、CMYKに限定されず、輝度値(本実施形態では、光の三原色)とは異なる三色以上の組み合わせ、例えばCMYを含むセット(例えば、CMY)等であってもよく、lclmlk(ライトシアン-ライトマゼンタ-ライトブラック)等の淡色のセットが加えられたものであってもよい。また、画像形成部30は、前記したインクジェット部31に限定されず、インク以外の画像形成材料(例えば、トナー等)を用いて画像を形成するものであってもよい。
【0021】
<スキャン部>
スキャン部40は、搬送路21においてインクジェット部31よりも下流側に設けられており、対象物2に形成された画像をスキャンし、スキャン結果(画像の輝度値(RGB値))を制御部100へ出力する。本実施形態において、スキャン部40は、スキャン時の時刻(タイミング、日時)をスキャン結果とともに制御部100へ出力する。
【0022】
<排出部>
排出部50は、画像形成後の対象物2が設けられるトレイ(排紙トレイ)51と、制御部100からの制御信号に基づいて駆動し、搬送路21を搬送された対象物2をトレイ51へ排出するローラ(排紙ローラ)52と、を備える。
【0023】
<検出部>
図1に示すように、検出部60は、画像形成環境に関するパラメータを検出し、検出結果を制御部100へ出力するセンサである。検出部60としては、筐体4A内の温度を検出する温度検出部(温度センサ)、画像形成部30の温度(例えば、インクの温度)を検出する温度検出部(温度センサ)等が挙げられる。
【0024】
<調整部>
調整部70は、制御部100からの制御信号に基づいて駆動し、画像形成環境を調整する。調整部70としては、筐体4A内又は画像形成部30を冷却するための送風部(ファン)、筐体4A内又は画像形成部30を加温するため加熱部(ヒータ)等が挙げられる。
【0025】
<操作部>
操作部80は、タッチパネル、ボタン等によって構成されており、利用者による当該操作部80の操作結果を制御部100へ出力する。
【0026】
<通知部>
通知部90は、音声出力部(スピーカ)、表示部(モニタ)等によって構成されており、制御部100からの通知内容を音声、画像等で利用者へ通知する。
【0027】
<制御部>
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力回路等によって構成されている。制御部100は、操作部80の操作結果に基づいてスキャン部40及び画像形成ユニットを制御したり、検出部60の検出結果に基づいて調整部70を制御したり、制御部100による判定結果等を通知部90へ出力したりする。制御部100は、機能部として、時計部101と、条件判定部102と、画像形成制御部103と、色彩値取得部104と、輝度値取得部105と、テーブル生成部106と、変換部107と、を備える。
【0028】
≪条件判定部≫
条件判定部102は、検出部60の検出結果を取得し、取得された検出結果が画像形成条件の許容範囲内であるか否かを判定し、判定結果を調整部70及び画像形成制御部103へ出力する。条件判定部102は、検出結果が画像形成条件の許容範囲内である場合には、判定結果を調整部70及び画像形成部103へ出力することによって、調整部70を停止させるとともに画像形成部103に画像形成を実行させる。一方、条件判定部102は、検出結果が画像形成条件の許容範囲外である場合には、判定結果を調整部70へ出力することによって、調整部70を駆動させるとともに画像形成部103に画像形成を停止させる。
【0029】
条件判定部102は、操作部80の操作結果に基づいて、画像形成条件を、色彩値測定用条件と通常用条件とで切り替える。色彩値測定用条件は、対象物2に測定用チャート2aを形成する場合の条件であり、例えば温度の下限値及び上限値を含む。通常用条件は、対象物2に測定用チャート2a以外の画像を形成する場合の条件であり、例えば温度の下限値及び上限値を含む。色彩値測定用条件における温度の下限値及び上限値の間の範囲は、通常用条件における温度の下限値及び上限値の間の範囲よりも狭く設定されている。すなわち、色彩値測定用条件における温度の下限値は、通常用条件における温度の下限値よりも大きく、色彩値測定用条件における温度の上限値は、通常用条件における温度の上限値よりも小さい。また、色彩値測定用条件における温度の下限値及び上限値の一方は、通常用条件における温度の下限値及び上限値の一方と等しくてもよい。
【0030】
≪画像形成制御部≫
画像形成制御部103は、操作部80の操作結果等に基づいて画像形成ユニット(供給部10、搬送部20、画像形成部30及び排出部50)を制御することによって、対象物2に画像を形成(印刷)する。
【0031】
対象物2に測定用チャート2aを形成する場合には、画像形成制御部103は、検出結果が色彩値測定用条件の許容範囲内であるときに、画像形成ユニットを駆動させて測定用チャート2aを形成させる。一方、対象物2に測定用チャート2aを形成する場合には、画像形成制御部103は、検出結果が色彩値測定用条件の許容範囲外であるときに、画像形成ユニットを停止させて測定用チャート2aの形成を中止する。
【0032】
また、対象物2に測定用チャート2a以外の画像を形成する場合には、画像形成制御部103は、検出結果が通常用条件の許容範囲内であるときに、画像形成ユニットを駆動させて画像を形成させる。
一方、対象物2に測定用チャート2a以外の画像を形成する場合には、画像形成制御部103は、検出結果が通常用条件の許容範囲外であるときに、画像形成ユニットを停止させて画像の形成を中止する。
【0033】
≪色彩値取得部≫
色彩値取得部104は、色彩値測定装置4によって測定された測定用チャート2aの色彩値(色彩値情報)を取得し、取得された色彩値をテーブル生成部106へ出力する。
【0034】
≪輝度値取得部≫
輝度値取得部105は、スキャン部40によって取得された測定用チャート2aの輝度値(輝度値情報)を取得し、取得された輝度値をテーブル生成部106へ出力する。
【0035】
≪テーブル生成部≫
テーブル生成部106は、測定用チャート2aの色彩値及び輝度値を取得し、同じ位置の色彩値及び輝度値を関連付けることによって、輝度値を色彩値に変換するためのテーブル(変換用テーブル)を生成する。
【0036】
≪変換部≫
変換部107は、スキャン部40によって取得された測定用チャート2aの輝度値(輝度値情報)を取得し、取得された輝度値を用いてテーブルを参照することによって、当該輝度値を色彩値に変換し、変換結果を通知部90へ出力する。
【0037】
<動作例>
続いて、本発明の実施形態に係る画像形成装置の動作例について、図4図6のフローチャートを用いて説明する(適宜図1参照)。
【0038】
≪画像形成時の動作例≫
図4に示すように、まず、操作部60が、利用者の操作結果として、測定用チャート2aの形成であるか通常の画像の形成であるかを条件判定部102へ出力する。条件判定部102は、測定用チャート2aの形成時(ステップS1でYes)には、画像形成条件を色彩値測定用の条件に設定する(ステップS2A)。一方、条件判定部102は、通常画像の形成時(ステップS1でNo)には、画像形成条件を通常用の条件に設定する(ステップS2B)。
【0039】
ステップS2A又はステップS2Bの実行後、条件判定部102は、画像形成の環境すなわち検出部60の検出結果が設定された条件の許容範囲内であるか否かを判定し(ステップS3)、判定結果を画像形成制御部103へ出力する。ステップS3において、ステップS2Aが実行された場合の画像形成条件の許容範囲は、ステップS2Bが実行された場合の画像形成条件よりも狭い。
【0040】
検出結果が許容範囲内である場合(ステップS3でYes)には、画像形成制御部103は、画像形成ユニットを制御することよって画像形成を実行し(ステップS5)、条件判定部102は、必要に応じて調整部70を停止させる。ステップS5において、画像形成制御部103は、ステップS1でYesの場合には、測定用チャート2aを形成させ、ステップS1でNoの場合には、測定用チャート2aの以外の(通常の)画像を形成させる。次の対象物2に画像(測定用チャート2a又は通常の画像)を形成する必要がある場合(ステップS6でYes)には、本フローは、ステップS3へ戻る。対象物2への画像形成が完了した場合(ステップS6でNo)には、本フローは、終了する。
【0041】
一方、検出結果が許容範囲外である場合(ステップS3でNo)には、条件判定部102は、調整部70を制御することによって画像形成の環境を調整し(ステップS7)、画像形成制御部103は、必要に応じて画像形成ユニットを停止させる。
【0042】
調整部70が駆動開始したことによって検出結果が許容範囲に収まった場合(ステップS8,S10のいずれかでNo、かつ、ステップS3でYes)には、本フローは、ステップS5へ移行する。
【0043】
調整部70が駆動開始して第一の所定時間が経過したにも関わらず、検出結果が許容範囲外である場合(ステップS3でNo、かつ、ステップS8でYes)には、画像形成部103は、画像形成を中止する(ステップS9)。
【0044】
さらに、調整部70が駆動開始して第二の所定時間(第一の所定時間よりも長い)が経過したにも関わらず、検出結果が許容範囲外である場合(ステップS3でNo、かつ、ステップS10でYes)には、条件判定部102は、画像形成装置4の状態が変化した(例えば、故障等)と判定し(ステップS10)、判定結果を通知部90へ出力する。
【0045】
ここで、第一の所定時間及び第二の所定時間の長さは、適宜変更可能である。
【0046】
≪テーブル生成時の動作例≫
図5に示すように、画像形成装置4は、当該画像形成装置4の使用開始時(故障修理後等を含む)に1回目の測定用チャート2a形成を実行してテーブルを生成する。1回目の測定用チャート2aの形成時(テーブル未生成)には、まず、画像形成制御部103が、画像形成ユニットを制御することよって測定用チャート2aを形成する(ステップS21)。かかるステップS21は、前記したステップS2A実行時のステップS5に対応する。
【0047】
続いて、スキャン部40が、測定用チャート2aをスキャンすることによって測定用チャート2aの輝度値を取得する。続いて、輝度値取得部105が、スキャン部40によって取得された輝度値を取得し(ステップS22)、テーブル生成部106へ出力する。
【0048】
続いて、色彩値測定装置3が、利用者の操作によって、測定用チャート2aの色彩値を測定する。続いて、色彩値取得部104が、色彩値測定装置3によって測定された色彩値を取得す(ステップS23)、テーブル生成部106へ出力する。
【0049】
続いて、テーブル生成部106は、色彩値の測定時刻と輝度値の取得(スキャン)時刻との差が第三の所定時間内である場合(ステップS24でNo)に、色彩値及び輝度値に基づいてテーブルを生成する(ステップS25A)。一方、テーブル生成部106は、色彩値の測定時刻と輝度値の取得(スキャン)時刻との差が第三の所定時間を超えている場合(ステップS24でYes)には、テーブルを生成せず、再試行依頼を通知部90へ出力し(ステップS25B)、利用者に対して測定用チャート2aの形成(輝度値の取得)及び色彩値の測定の再試行のための操作を促す。
【0050】
≪テーブルを用いた色彩値測定時の動作例≫
図6に示すように、画像形成装置4は、当該画像形成装置4の定期メンテナンス時などに、2回目の測定用チャート2aの形成を実行し、テーブルを用いて色彩値を測定する。2回目以降の測定用チャート2aの形成時(テーブル生成済み)には、まず、画像形成制御部103が、画像形成ユニットを制御することよって測定用チャート2aを形成する(ステップS31)。かかるステップS31は、前記したステップS2A実行時のステップS5に対応する。
【0051】
続いて、スキャン部40が、測定用チャート2aをスキャンすることによって測定用チャート2aの輝度値を取得する。続いて、輝度値取得部105が、スキャン部40によって取得された輝度値を取得し(ステップS32)、変換部107へ出力する。
【0052】
続いて、変換部107は、輝度値を用いてテーブルを参照して当該輝度値に対応する色彩値を読み出すことによって、測定用チャート2aの輝度値を色彩値に変換し(ステップS33)、変換結果を通知部80へ出力する。通知部80は、色彩値を利用者へ知らせることによって、画像形成装置4の状態変化(例えば、故障等)の判断を支援することができる。
【0053】
なお、変換部107は、今回の測定用チャート2aの輝度値からテーブルを用いて変換された色彩値と、1回目のテーブルの生成時に色彩値測定装置3によって測定された測定用チャート2aの色彩値との差(絶対値)が第一の所定値以上である場合に、制御部100による画像形成部30の制御の調整(例えば、シェーディング補正等といった色彩値の補正等)が必要であると判定し、判定結果を通知部80へ出力する構成であってもよい。通知部80は、判定結果を利用者へ知らせることによって、画像形成部30の制御の調整のための利用者による操作部80の操作を促すことができる。
【0054】
また、変換部107は、今回の測定用チャート2aの輝度値からテーブルを用いて変換された色彩値と、1回目のテーブルの生成時に色彩値測定装置3によって測定された測定用チャート2aの色彩値との差(絶対値)が第一の所定値よりも大きい第二の所定値以上である場合に、画像形成を禁止し、禁止結果を通知部80へ出力する構成であってもよい。
【0055】
ここで、第一の所定値及び第二の所定値は、適宜変更可能である。また、色彩値の差と第一の所定値及び第二の所定値との比較は、測定用チャート2aのカラーパッチごとに実行される。
【0056】
本発明の実施形態に係る画像形成装置4は、対象物2に画像を形成する画像形成部30と、前記画像形成部30を制御する制御部100と、を備え、前記制御部100は、前記画像として色彩値を測定するための測定用チャート2aを前記対象物2に形成する場合に、画像形成条件の許容範囲を、通常の画像形成時よりも狭く設定する。
したがって、画像形成装置4は、通常の画像形成時よりも狭い画像形成条件の範囲内で測定用チャート2aを形成することによって、色彩値に対する環境条件(画像形成装置4の温度等)の影響を低減し、画像形成装置4の状態変化を診るのに好適な色彩値の測定を実現することができる。
【0057】
画像形成装置4は、前記画像をスキャンして当該画像の輝度値を取得するスキャン部40を備え、前記制御部100は、前記スキャン部40によって取得された前記測定用チャート2aの前記輝度値と、色彩値測定装置3によって測定された前記測定用チャートの色彩値と、を関連付けたテーブルを生成し、前記スキャン部40によって取得された、前記対象物2に形成された前記画像の前記輝度値を、前記テーブルを用いて前記色彩値に変換する。
したがって、画像形成装置4は、テーブル生成以降はスキャン部40のスキャン結果を色彩値に変換することによって、画像形成装置4の外部装置である色彩値測定装置3の使用回数を抑え、色彩値の測定を容易化することができる。
【0058】
画像形成装置4において、前記画像形成条件は、当該画像形成装置4内の温度である。
したがって、画像形成装置4は、測定用チャート2a形成時における画像形成装置4内の温度の許容範囲を通常の画像形成時よりも狭く設定することによって、色彩値に対する画像形成装置4の温度の影響を低減し、画像形成装置4の状態変化を診るのに好適な色彩値の測定を実現することができる。
【0059】
画像形成装置4において、前記画像形成条件は、前記画像形成部30の温度である。
したがって、画像形成装置4は、測定用チャート2a形成時における画像形成部30の温度(例えば、画像形成材料の温度)の許容範囲を通常の画像形成時よりも狭く設定することによって、色彩値に対する画像形成部30の温度の影響を低減し、画像形成装置4の状態変化を診るのに好適な色彩値の測定を実現することができる。
【0060】
画像形成装置4は、前記画像形成条件に対応する当該画像形成装置4の環境を調整する調整部70を備え、前記制御部100は、前記測定用チャート2aを前記対象物2に形成する場合に、前記画像形成条件の値が前記許容範囲外であるときに、当該画像形成条件の値が前記許容範囲内に入るように前記調整部70を制御する。
したがって、画像形成装置4は、測定用チャート2a形成時の画像形成条件(環境条件)を許容範囲内に調整することによって、測定用チャート2aを好適に形成することができる。
【0061】
画像形成装置4において、前記制御部100は、前記画像形成条件の値が前記許容範囲外である状態が第一の所定時間継続した場合に、画像形成を中止する。
したがって、画像形成装置4は、測定用チャート2a形成時の画像形成条件(環境条件)を許容範囲内に収まることを待つとともに、許容範囲内に収まらなかった場合には、不適切な測定用チャート2aが形成されることを防止することができる。
【0062】
画像形成装置4において、前記制御部100は、前記画像形成条件の値が前記許容範囲外である状態が前記第一の所定時間よりも長い第二の所定時間継続した場合に、当該画像形成装置4の状態が変動したと判定する、
したがって、画像形成装置4は、測定用チャート2a形成時の画像形成条件(環境条件)を許容範囲内に収まることを待つとともに、許容範囲内に収まらなかった場合には、装置状態の変動(部品交換の必要あり、故障等)として検知することができる。
【0063】
画像形成装置4において、前記制御部100は、前記スキャン部40
による前記輝度値の取得と前記色彩値測定装置3による前記色彩値の測定とが第三の所定時間内に実行された場合に、前記テーブルを生成する。
したがって、画像形成装置4は、時間経過に伴う測定用チャート2aの色変動を抑え、好適なテーブルを生成することができる。
【0064】
画像形成装置4において、前記制御部100は、前記スキャン部40による前記輝度値の取得のタイミングと前記色彩値測定装置3による前記色彩値の測定のタイミングとの差が前記第三の所定時間を超える場合には、再試行を促すと判定する。
したがって、画像形成装置4は、不適切なテーブルが生成されることを防止することができる。
【0065】
画像形成装置4において、前記制御部100は、前記測定用チャート2aの前記輝度値から前記テーブルを用いて変換された前記色彩値と前記テーブルの生成時に前記色彩値測定装置3によって測定された前記測定用チャート2aの前記色彩値との差が第一の所定値以上である場合に、当該制御部100による前記画像形成部30の制御の調整が必要であると判定する、
したがって、画像形成装置4は、色彩値の測定結果に基づいて、画像形成部30を好適に調整又は補正することができる。
【0066】
画像形成装置4において、前記制御部100は、前記測定用チャート2aの前記輝度値から前記テーブルを用いて変換された前記色彩値と前記テーブルの生成時に前記色彩値測定装置3によって測定された前記測定用チャート2aの前記色彩値との差が前記第一の所定値よりも大きい第二の所定値以上である場合に、画像形成を禁止する、
したがって、画像形成装置4は、色彩値の測定結果に基づいて、不適切な画像形成を好適に禁止することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変形可能である。例えば、図4のフローチャートにおいて、ステップS8,S10の第一の所定時間及び/又は第二の所定時間は、測定用チャート2aの形成時とその他の通常の画像の形成時とで異なる長さに設定されてもよい。また、ステップS24において、輝度値の時刻として、輝度値取得部105によって取得された時刻(時計部101によって計時)が用いられてよく、色彩値の時刻として、色彩値取得部104によって取得された時刻(時計部101によって計時)が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 色彩値測定システム
2 対象物
2a 測定用チャート
3 色彩値測定装置
4 画像形成装置
30 画像形成部
40 スキャン部
70 調整部
100 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6