(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097209
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】ビル壁面の太陽熱遮断構造
(51)【国際特許分類】
E04F 10/08 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
E04F10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000605
(22)【出願日】2023-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】598048244
【氏名又は名称】株式会社インデックス・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】斧山 晃一
【テーマコード(参考)】
2E105
【Fターム(参考)】
2E105AA02
2E105FF13
2E105FF32
(57)【要約】
【課題】ビル壁面への直射日光を遮り壁面の温度上昇を可及的に抑制すると共に、外気の空気流通も十分に生起してビル壁面での空気滞留を解消してビル素材の調温機能も果たし得るビル壁面の太陽熱遮断構造を提供せんとする。
【解決手段】ビル壁面に一定の間隙を保持して張設する太陽光遮蔽板であって、以下の張設構造によって張設可能としたことに特徴を有する。すなわち、太陽光遮蔽板には該遮蔽板を壁面に取り付け固定するための固定ボルトを設けると共に、該遮蔽板と壁面との間に形成した外気流通空間に外気の空気を流入するための空気流入部を形成したことに特徴を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビル壁面に一定の間隙を保持して張設する太陽光遮蔽板であって、以下の張設構造によって張設可能としたビル壁面の太陽熱遮断構造である。
すなわち、太陽光遮蔽板には該遮蔽板を壁面に取り付け固定するための固定ボルトを設けると共に、該遮蔽板と壁面との間に形成した外気流通空間に外気の空気を流入するための空気流入部を形成したことを特徴とするビル壁面の太陽熱遮断構造。
【請求項2】
空気流入部は太陽光遮蔽板の下縁部を外方に向けて傾斜させて
壁面に対して最大に開口させて形成したことを特徴とする請求項1に記載のビル壁面の太陽熱遮断構造。
【請求項3】
空気流入部は太陽光遮蔽板を略凹凸に形成して凹状部分の所定位置に左右に一定の間隔を保持して通風孔を開口して構成したことを特徴とする請求項1に記載のビル壁面の太陽熱遮断構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビル壁面を覆うことにより太陽からの直射熱と光線を遮断することによりビル壁面への太陽熱を遮断することができる太陽熱遮断構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高層ビルに限らず一般にビルの壁面には太陽光線が直接的に当たるために壁面の高熱化を招き特に夏場の高熱照射によってビル内の空調が十分に行きわたらず空調に関する省エネの要求に反する。そのためにコンクリートや石造のビル表面に対する太陽熱遮断機能をいかに発揮させるかは省エネルギー化の必然的な帰着目標となっている。
【0003】
ビルの壁面に太陽光線が直接当たらないようにするための工夫として、庇を設置して影をつくることが考えられる。しかし、庇では、ビルの壁面全体に照射される太陽光線を部分的にしか遮ることができず、太陽熱遮断機能が大きく期待できるものではなかった。
【0004】
ところで、太陽光線は、季節によって照射の角度が異なっている。具体的に夏場では、太陽が建築物のほぼ真上を通過するような軌跡となるため地面に対して90度に近い角度で建築物に照射される。冬場は、夏場に比して地面に対する角度が0度寄りの角度となる。
【0005】
そこで、本願発明者は、特許文献1に記載される季節によって太陽光線の入射角度の異なる現象を利用して壁面の張設角度を調整して年中可及的に直射日光を回避可能とする遮光パネル構造について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の遮光パネル構造は、従来の庇とは異なり、壁面に対して上下左右に連続して設けることが考えられており、広いビルの壁面全体に照射される太陽光線を遮り、太陽熱遮断機能が大きく期待できる。また、季節ごとの太陽光線の照射角度に合わせてパネルの張設角度を変更することができ、確実に太陽光線を遮ることができる。
【0008】
特許文献1に記載の遮光パネルは、パネルそのものがそれほど大きくないため、季節ごとにパネルの張設角度を変更することが必須であり、年中照射される太陽光線の照射角度に最適に合わせて可及的に適合する遮蔽板の形状や傾斜角度に予め設置時にセットしておくことは困難である。
【0009】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、ビル壁面への直射日光を遮り壁面の温度上昇を可及的に抑制すると共に、外気の空気流通も十分に生起してビル壁面での空気滞留を解消してビル素材の調温機能も果たし得るビル壁面の太陽熱遮断構造を提供せんとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題を解決するために、ビル壁面に一定の間隙を保持して張設する太陽光遮蔽板であって、以下の張設構造によって張設可能としたことに特徴を有する。すなわち、太陽光遮蔽板には該遮蔽板を壁面に取り付け固定するための固定ボルトを設けると共に、該遮蔽板と壁面との間に形成した外気流通空間に外気の空気を流入するための空気流入部を形成したことに特徴を有する。
【0011】
また、空気流入部は太陽光遮蔽板の下縁部を外方に向けて傾斜させて壁面に対して最大に開口させて形成したことを特徴とする。
【0012】
また、空気流入部は太陽光遮蔽板を略凹凸に形成して凹状部分の所定位置に左右に一定の間隔を保持して通風孔を開口して構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ビル壁面に一定の間隙を保持して張設する太陽光遮蔽板であって、以下の張設構造によって張設可能としたビル壁面の太陽熱遮断構造であり、太陽光遮蔽板には該遮蔽板を壁面に取り付け固定するための固定ボルトを設けると共に、該遮蔽板と壁面との間に形成した外気流通空間に外気の空気を流入するための空気流入部を形成したことを特徴としており、従って、ビルの外壁に照射される太陽光線は基本的には太陽光遮蔽板によって遮断されて直接的に太陽光がビル壁面に照射されて夏場の炎天下の灼熱の太陽光を遮ることができてビルの空調の節約となる効果がある。更には、該遮蔽板と壁面との間に形成した外気流通空間に外気の空気が流入されるためにビル壁面の冷却効果を生起して空調効率を更に上げることができる効果がある。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、空気流入部は太陽光遮蔽板の下縁部を外方に向けて形成したことにより、空気の上昇を傾斜壁面の最大の開口部分から導入することができるために空気流入が円滑となり最大限にビル壁面を外気流通で冷却する効果がある。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、空気流入部は太陽光遮蔽板を略凹凸に形成してしたことにより、外気は一般にビル壁面に向かって通風するためにかかる通風を太陽光遮蔽板の奥まった凹状部分の通風孔で受け止めて空気流入空間内に外気を流入させることができるために直接的にビル壁面の冷却効果を上げることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る太陽熱遮断構造を示す説明図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態に係る太陽熱遮断構造による外気の流通状態を示す説明図である。
【
図3】本発明の第二の実施形態に係る太陽熱遮断構造を示す説明図である。
【
図4】本発明の第二の実施形態に係る太陽熱遮断構造による外気の流通状態を示す説明図である。
【
図5】本発明の第三の実施形態に係る太陽熱遮断構造を示す説明図である。
【
図6】本発明の第三の実施形態に係る太陽熱遮断構造による外気の流通状態を示す説明図である。
【
図7】本発明の第四の実施形態に係る太陽熱遮断構造を示す説明図である。
【
図8】本発明の第四の実施形態に係る太陽熱遮断構造による外気の流通状態を示す説明図である。
【
図9】本発明の太陽熱遮断構造の他の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の要旨は、ビル壁面に一定の間隙を保持して張設する太陽光遮蔽板であって、太陽光遮蔽板には該遮蔽板を壁面に取り付け固定するための固定ボルトを設けると共に、該遮蔽板と壁面との間に形成した外気流通空間に外気の空気を流入するための空気流入部を形成したことにある。
【0018】
また、空気流入部は太陽光遮蔽板の下縁部を外方に向けて傾斜させて壁面に対して最大に開口させて形成したことにも特徴を有する。
【0019】
また、空気流入部は太陽光遮蔽板を略凹凸に形成して凹状部分の所定位置に左右に一定の間隔を保持して通風孔を開口して構成したことにも特徴を有する。
【0020】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に係るビル壁面の太陽熱遮断構造Mの一実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0021】
[1.第一の実施形態に係る太陽熱遮断構造Mについて]
まず、本発明のビル壁面の太陽熱遮断構造Mに係る第一の実施形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明のビル壁面の太陽熱遮断構造Mに関する基本的な断面説明図である。
図2は、ビル壁面の太陽熱遮断構造Mによる外気Aの流通に関する断面説明図である。図中Bは、ビルの壁面を表しており、ビルの壁面Bには一定の空間間隙を形成して建築物の外壁の劣化にともなう壁面劣化物の飛散防止ネットNが張設されている。
【0023】
飛散防止ネットNとビルの壁面Bとの間隔は後述する太陽光遮蔽板100をビルの壁面Bに固定するための固定ボルト111に装着したスペーサ112によって形成する。
【0024】
スペーサ112は、ビルの壁面Bと飛散防止ネットNとの間の空隙を保持するために固定ボルト111に遊嵌装着したパイプ状のスペーサ112としている。
【0025】
飛散防止ネットNの外方には横長状で、例えば1800×900mmの板体、すなわち、太陽光遮蔽板100をビルの壁面Bに上下左右に多数を並べて併設する。
【0026】
各太陽光遮蔽板100は
図1に示すように、下方末広がりの傾斜を形成して略中央には凹部を形成して固定ボルト111締め込み用のボルト装着部110としている。このボルト装着部110は、飛散防止ネットNに当接する状態としている。
【0027】
太陽光遮蔽板100は、ボルト装着部110に挿通した固定ボルト111をビルの壁面Bに挿入固定することによりビルの壁面Bに張設される。螺杆の固定ボルト111はビルの壁面Bへの螺杆侵入と共に開拡する抜去固定保持具113(アンカー)を一体で構成されている。
【0028】
従って、上位の太陽光遮蔽板100の下縁部と下位の太陽光遮蔽板100の上縁部との間には上位の太陽光遮蔽板100の下縁部に形成した空気流入部Eが位置している。また、太陽光遮蔽板100とビルの壁面Bとの間に設けられた一定の空間間隙は、外気流通空間Sとして空気流入部Eから侵入した外気Aの流通経路としている。
【0029】
すなわち、上方の太陽光遮蔽板100は傾斜しているためにその下縁部にはビルの壁面Bとの間に間隙を大きく設けた空気流入部Eが形成されていることになり、外気Aはこの空気流入部Eから侵入して外気流通空間Sを上昇しつつビルの壁面Bを冷却しながらビルの壁面Bに沿って上昇する。当然流入外気Aは、外気流通空間Sを上昇し最終的にはビルの屋上から発散されることになるが、ビルの壁面Bの保有する熱を奪うように熱交換を行いながら流通する。
【0030】
なお、外気Aが空気流入部Eから流入する時には、
図2に示すように下方位置の太陽光遮蔽板100の傾斜外側面101に沿って上昇しつつビルの壁面Bとの間隙が狭い外気流通空間Sへ侵入することで、ベンチュリー効果を生起して円滑な外気Aの取込みと流通機能補助を果たすことができる。
【0031】
[2.第二の実施形態に係る太陽熱遮断構造Mについて]
図3は、本発明のビル壁面の太陽熱遮断構造Mに関する基本的な断面説明図である。
図4は、ビル壁面の太陽熱遮断構造Mによる外気Aの流通に関する断面説明図である。
【0032】
第二の実施形態は、
図3に示すように、ビルの壁面Bに一定の間隙を保持して張設する太陽光遮蔽板100であって、太陽光遮蔽板100には太陽光遮蔽板100をビルの壁面Bに取り付け固定するための固定ボルト111を設けると共に、ビルの壁面Bには一定の間隙を形成して建築物の外壁の劣化にともなう壁面劣化物の飛散防止ネットNが張設されている。
【0033】
さらに、太陽光遮蔽板100とビルの壁面Bとの間に形成した一定の空間間隙は、外気流通空間Sとして機能し、外気流通空間Sに外気Aを流入するための空気流入部Eは、太陽光遮蔽板100の下縁部を外方に向けて傾斜させてビルの壁面Bに対して最大に開口させて形成している。
【0034】
飛散防止ネットNとビルの壁面Bとの一定の間隙は、上述した第一の実施形態と同じく太陽光遮蔽板100をビルの壁面Bに固定するための固定ボルト111に装着したスペーサ112によって形成する。
【0035】
スペーサ112は、ビルの壁面Bと飛散防止ネットNとの間の間隙を保持するために固定ボルト111に遊嵌装着したパイプ状のスペーサ112としている。
【0036】
飛散防止ネットNの外方には横長状で、例えば1800×900mmの板体、すなわち、太陽光遮蔽板100をビルの壁面Bに上下左右に多数を並べて併設する。
【0037】
各太陽光遮蔽板100は、
図3に示すように、太陽光遮蔽板100の裏面に設けられた角パイプ120を根太として、太陽光遮蔽板100及び角パイプ120に貫通させた挿通孔を固定ボルト111締め込み用のボルト装着部110としている。
【0038】
太陽光遮蔽板100は、ボルト装着部110に挿通した固定ボルト111をビルの壁面Bに予め設けられた抜去固定保持具113(アンカー)に挿入固定することによりビルの壁面Bに張設される。
【0039】
従って、第一の実施例と同様に、上位の太陽光遮蔽板100の下縁部と下位の太陽光遮蔽板100の上縁部との間には上位の太陽光遮蔽板100の下縁部に形成した空気流入部Eが形成される。
【0040】
さらに、第二の実施形態に係る太陽光遮蔽板100は、下縁部を外方に向けて傾斜させた傾斜部102を形成している。そのため、傾斜部102から空気流入部Eに侵入する空気は、
図4に示すように、広い開口を有する空気流入部Eから狭まった経路となる外気流通空間Sに向けてベンチュリー効果を生起して風速が増し、外気Aの流通をより円滑に行うことができるように構成されている。すなわち、ビルの壁面Bの保有する熱との熱交換の効率を高めることができる。
【0041】
また、太陽光遮蔽板100は、上位の太陽光遮蔽板100と下位の太陽光遮蔽板100との間にビルの壁面Bが露出するように固定される。そのため、太陽光遮蔽板100は、ビルの壁面Bを覆うように張設した太陽光遮蔽板100により、夏場の太陽光線は遮ることができ、上位の太陽光遮蔽板100と下位の太陽光遮蔽板100との間にビルの壁面Bが露出部分を設けることにより、冬場の太陽光線はビルの壁面Bに直接照射させることができる。すなわち、冬場の冷えたビルの壁面Bに対しては、太陽光線で温められた外気Aが空気流入部E及び外気流通空間Sを通過することでビルの壁面Bを温めるような熱交換を行うことが可能となる。
【0042】
[3.第三の実施形態に係る太陽熱遮断構造Mについて]
図5は、本発明のビル壁面の太陽熱遮断構造Mに関する基本的な断面説明図である。
図6は、ビル壁面の太陽熱遮断構造Mによる外気Aの流通に関する断面説明図である。
【0043】
第三の実施形態は、
図5に示すように、ビルの壁面Bに一定の間隙を保持して張設する太陽光遮蔽板100であって、太陽光遮蔽板100には太陽光遮蔽板100をビルの壁面Bに取り付け固定するための固定ボルト111を設けると共に、ビルの壁面Bには一定の間隙を形成して建築物の外壁の劣化にともなう壁面劣化物の飛散防止ネットNが張設されている。
【0044】
さらに、太陽光遮蔽板100とビルの壁面Bとの間に形成した一定の空間間隙は、外気流通空間Sとして機能し、外気流通空間Sに外気Aを流入するための空気流入部Eは、太陽光遮蔽板100を連続する凹凸状に形成して凹状部分103の所定位置に左右に一定の間隔を保持して通風孔eを開口して構成したことを特徴とするビル壁面の太陽熱遮断構造Mに関する。
【0045】
飛散防止ネットNとビルの壁面Bとの間隔は、上述した第一の実施形態と同じく太陽光遮蔽板100をビルの壁面Bに固定するための固定ボルト111に装着したスペーサ112によって形成する。
【0046】
スペーサ112は、ビルの壁面Bと飛散防止ネットNとの間の間隙を保持するために固定ボルト111に遊嵌装着したパイプ状のスペーサ112としている。
【0047】
飛散防止ネットNの外方には横長状で、例えば1800×900mmの板体、すなわち、太陽光遮蔽板100をビルの壁面Bに上下左右に多数を並べて併設する。
【0048】
各太陽光遮蔽板100は、
図5に示すように、ビルの壁面Bに対して並列になるように凹凸形状を連続して設け、凹状部分103の所定箇所に穿設された挿通孔により固定ボルト111締め込み用のボルト装着部110を形成している。
【0049】
太陽光遮蔽板100は、ボルト装着部110に挿通した固定ボルト111をビルの壁面Bに予め設けられた抜去固定保持具113(アンカー)に挿入固定することによりビルの壁面Bに張設される。
【0050】
また、第三の実施形態に係る太陽光遮蔽板100は、凹状部分103の所定位置に左右に一定の間隔を保持して開口された通風孔eを設けている。
【0051】
通風孔eは、スペーサ112によりビルの壁面Bと太陽光遮蔽板100との間に形成された外気流通空間Sへ空気を取り込むための孔であり、第一の実施形態や第二の実施形態に係るビル壁面の太陽熱遮断構造Mにおける空気流入部Eにあたる。
図6に示すように、吹き込んだ風が通風孔eを通過し外気流通空間Sへ流れることで、ビルの壁面Bの熱を熱交換させることができる。
【0052】
[4.第四の実施形態に係る太陽熱遮断構造Mについて]
図7は、本発明のビル壁面の太陽熱遮断構造Mに関する基本的な断面説明図である。
図8は、ビル壁面の太陽熱遮断構造Mによる外気Aの流通に関する断面説明図である。
図9は、他の実施形態を示す模式的正面図である。
【0053】
第四の実施形態は、
図7に示すように、ビルの壁面Bに一定の間隙を保持して張設する太陽光遮蔽板100であって、太陽光遮蔽板100には太陽光遮蔽板100をビルの壁面Bに取り付け固定するための固定ボルト111を設けると共に、ビルの壁面Bには一定の間隙を形成して建築物の外壁の劣化にともなう壁面劣化物の飛散防止ネットNが張設されている。
【0054】
さらに、太陽光遮蔽板100とビルの壁面Bとの間に形成した一定の空間間隙は、外気流通空間Sとして機能し、外気流通空間Sに外気Aを流入するための空気流入部Eは太陽光遮蔽板100を略ギザギザに形成してギザ部104の所定位置に左右に一定の間隔を保持して通風孔eを開口して構成したことを特徴とするビル壁面の太陽熱遮断構造Mに関する。
【0055】
飛散防止ネットNとビルの壁面Bとの間隔は、上述した第一の実施形態と同じく太陽光遮蔽板100をビルの壁面Bに固定するための固定ボルト111に装着したスペーサ112によって形成する。
【0056】
スペーサ112はビルの壁面Bと飛散防止ネットNとの間の間隙を保持するために固定ボルト111に遊嵌装着したパイプ状のスペーサ112としている。
【0057】
飛散防止ネットNの外方には横長状で、例えば1800×900mmの板体、すなわち、太陽光遮蔽板100をビルの壁面Bに上下左右に多数を並べて併設する。
【0058】
各太陽光遮蔽板100は、
図7に示すように、ビルの壁面Bに対して並列になるようにギザギザ形状を連続して設け、ビルの壁面B側に突出したギザ部104の所定箇所に穿設された挿通孔により固定ボルト111締め込み用のボルト装着部110を形成している。
【0059】
太陽光遮蔽板100は、ボルト装着部110に挿通した固定ボルト111をビルの壁面Bに予め設けられた抜去固定保持具113(アンカー)に挿入固定することによりビルの壁面Bに張設される。
【0060】
また、第四の実施形態に係る太陽光遮蔽板100は、ビルの壁面B側に突出したギザ部104の所定位置に左右に一定の間隔を保持して開口された通風孔eを設けている。
【0061】
通風孔eは、スペーサ112によりビルの壁面Bと太陽光遮蔽板100との間に形成された外気流通空間Sへ空気を取り込むための孔であり、第一の実施形態や第二の実施形態に係るビル壁面の太陽熱遮断構造Mにおける空気流入部Eにあたる。
図8に示すように、吹き込んだ風が通風孔eを通過し外気流通空間Sを流れることで、ビルの壁面Bの熱を熱交換させることができる。
【0062】
さらに、通風孔eは、ビルの壁面B側に突出したギザ部104に設けていることにより、先細のテーパー形状となっている。すなわち、吹き込んだ風は、通風孔eから外気流通空間Sへ流入する際に、先細のテーパー形状の通風孔eによりベンチュリー効果を生起させ、風速を上げて空気流入効率が高くなる効果がある。
【0063】
上述してきたビル壁面の太陽熱遮断構造Mは、ビルの壁面Bから一定の間隙(外気流通空間S)を設けて飛散防止ネットN及び太陽光遮蔽板100を張設し、さらに太陽光遮蔽板100に外気Aが外気流通空間Sへ流入可能とした空気流入部Eが形成されているものであればよい。
【0064】
そのため、他の実施形態としては、
図9(A)に示すように、方形板状の太陽光遮蔽板100に複数の空気流入部Eとなる通気孔eを備えた者であってもよい。
【0065】
また、通気孔eは、
図9(B)に示すように、微小な孔を複数整列させたものや大きな正円もしくは楕円や方形状や星型であってもよい。特に、通風孔eを形成せず空気流入部Eを備える第一の実施形態や第二の実施形態等には、通風孔eを設けることで、より外気の流入を円滑に行う効果がある。
【0066】
上述した実施形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、上述した各種効果は、本発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0067】
M ビル壁面の太陽熱遮断構造
B ビルの壁面
A 外気
N 飛散防止ネット
100 太陽光遮蔽板
101 傾斜外側面
102 傾斜部
103 凹状部分
104 ギザ部
110 ボルト装着部
111 固定ボルト
112 スペーサ
113 抜去固定保持具
120 角パイプ
E 空気流入部
e 通風孔
S 外気流通空間