(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097228
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20240710BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20240710BHJP
【FI】
A61B5/16 100
A63F13/79
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000644
(22)【出願日】2023-01-05
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】519123618
【氏名又は名称】BonBon株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 武
(72)【発明者】
【氏名】荘子 万能
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038PP01
4C038PP03
4C038PQ06
(57)【要約】
【課題】ユーザの心理的な特性または状態を多面的かつ効率的に測定する。
【解決手段】本開示の一態様のプログラムは、コンピュータによって実行されるプログラムであって、プログラムは、人の心理的な特性または状態を測定するためのものであり、コンピュータを、ゲームをプレイ中のユーザの操作の結果に関する情報である操作関連情報を取得する手段、ユーザの操作関連情報に基づいて、ゲームにおけるアクションに関する1または複数の第1項目の評価値を特定する手段、第1項目の評価値に基づいて、人の心理的な特性または状態に関する複数の第2項目の評価値を特定する手段、第2項目の評価値に関する情報を出力する手段、として機能させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって実行されるプログラムであって、前記プログラムは、人の心理的な特性または状態を測定するためのものであり、前記コンピュータを、
ゲームをプレイ中のユーザの操作の結果に関する情報である操作関連情報を取得する手段、
前記ユーザの操作関連情報に基づいて、前記ゲームにおけるアクションに関する1または複数の第1項目の評価値を特定する手段、
前記第1項目の評価値に基づいて、人の心理的な特性または状態に関する複数の第2項目の評価値を特定する手段、
前記第2項目の評価値に関する情報を出力する手段、
として機能させる、プログラム。
【請求項2】
前記第2項目の評価値を特定する手段は、前記第1項目と前記第2項目との間の相関関係を表すパラメータに基づいて、前記第1項目の評価値から前記第2項目の評価値を算出する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記相関関係を表すパラメータは、複数の被験者について特定された前記第1項目の評価値と、前記第2項目の評価値を特定する手段とは異なる心理的な特性または状態の検査によって測定された前記第2項目の評価値とに基づいて決定される、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記ユーザの操作関連情報を取得する手段は、前記ゲームに登場するキャラクタに対する前記ユーザの操作関連情報を取得する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記第1項目は、前記ユーザが操作可能な第1キャラクタが並列的に行う複数のアクションに関する項目、前記第1キャラクタがアクションを行うことで達成した成績に関する項目、前記ユーザが操作不可能な第2キャラクタを所定の状態に維持したまま前記第1キャラクタが行うアクションに関する項目、前記第2キャラクタに対して前記第1キャラクタが行う所定のアクションに関する項目、前記第1キャラクタの移動に関する項目、前記第1キャラクタのアイテム獲得に関する項目、または他のユーザが操作する第3キャラクタを考慮したアクションに関する項目の少なくとも1つを含む、
請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記第2項目は、記憶に対する自信に関する項目、記憶精度に関する項目、抽象思考力に関する項目、視覚的認識能力に関する項目、持続注意に関する項目、または指の運動機能に関する項目の少なくとも1つを含む、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記ユーザの操作関連情報を取得する手段は、前記ユーザが前記ゲームをプレイするための処理を実行するサーバから前記ユーザの操作関連情報を取得し、
前記第2項目の評価値に関する情報を出力する手段は、前記第2項目の評価値に関する情報を前記サーバへ出力する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記ユーザの操作関連情報を取得する手段は、前記サーバから、前記ユーザの操作情報、前記ユーザのゲーム情報、前記ユーザのリプレイデータ、または前記ゲームの進行とは関係なく前記ユーザの操作情報およびゲーム情報に基づいて算出された隠しパラメータの少なくとも1つを取得する、
請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記第2項目の評価値に関する情報を出力する手段は、前記第2項目の評価値に基づいて生成された前記ゲームにおける前記ユーザの目標に関する付加情報を提示する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項10】
前記第2項目の評価値に関する情報を出力する手段は、前記第2項目の評価値に基づいて生成された前記ユーザの心理的な特性または状態と適合するゲーム内要素、他のユーザ、他のゲーム、または前記ユーザに受診を推奨する医療機関を示す付加情報を提示する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項11】
前記第2項目の評価値に関する情報を出力する手段は、前記ゲームのプレイ状況と前記第2項目の評価値とを対比可能に提示する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項12】
前記第2項目の評価値に関する情報を出力する手段は、前記ゲームのプレイ状況が条件を満たすまで、当該第2項目の評価値に関する情報を出力しない、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項13】
ゲームをプレイ中のユーザの操作の結果に関する情報である操作関連情報を取得する手段と、
前記ユーザの操作関連情報に基づいて、前記ゲームにおけるアクションに関する1または複数の第1項目の評価値を特定する手段と、
前記第1項目の評価値に基づいて、人の心理的な特性または状態に関する複数の第2項目の評価値を特定する手段と、
前記第2項目の評価値に関する情報を出力する手段と、
を具備する、情報処理装置。
【請求項14】
コンピュータが、
ゲームをプレイ中のユーザの操作の結果に関する情報である操作関連情報を取得するステップと、
前記ユーザの操作関連情報に基づいて、前記ゲームにおけるアクションに関する1または複数の第1項目の評価値を特定するステップと、
前記第1項目の評価値に基づいて、人の心理的な特性または状態に関する複数の第2項目の評価値を特定するステップと、
前記第2項目の評価値に関する情報を出力するステップ
を実行する、方法。
【請求項15】
第1情報処理装置および第2情報処理装置を具備するシステムであって、
前記第1情報処理装置は、
ゲームをプレイ中のユーザの操作の結果に関する情報である操作関連情報を前記第2情報処理装置から取得する手段と、
前記ユーザの操作関連情報に基づいて、前記ゲームにおけるアクションに関する1または複数の第1項目の評価値を特定する手段と、
前記第1項目の評価値に基づいて、人の心理的な特性または状態に関する複数の第2項目の評価値を特定する手段と、
前記第2項目の評価値に関する情報を出力する手段とを備える、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、方法、プログラム、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の心理的な特性(例えば認知機能)または状態(例えば感情)を測定するための様々なテストが知られている。しかしながら、一部のテストは、例えば多くの質問に対して回答を行う必要があり、テストのプロセスを楽しめるものではないため、被験者の心理的な特性または状態を高頻度に測定することは容易でなかった。
【0003】
特許文献1では、認知スキル発達の個人別測定および管理を企図して、ゲームベースの仮想学習カリキュラムを提供することが提案されている。具体的には、特許文献1では、スキル要素毎に用意されたゲームをユーザにプレイさせ、ユーザの注意力維持スキルレベル、行動抑制スキルレベル、選択性注意力スキルレベル、転換性注意力スキルレベル、または新規性抑制スキルレベルを測定することについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、ユーザは特定の認知機能を測定するために専用のゲームをプレイする必要がある。つまり、認知機能を多面的に測定するには、複数のゲームをプレイしなければならず、ユーザの負担が大きかった。また、特定の認知機能の測定に特化したゲームは、単調な内容になりがちであり、ユーザが長期に亘ってプレイを継続するモチベーションを維持することが容易でない場合がある。
【0006】
本開示の目的は、ユーザの心理的な特性または状態を多面的かつ効率的に測定することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータによって実行されるプログラムであって、プログラムは、人の心理的な特性または状態を測定するためのものであり、コンピュータを、ゲームをプレイ中のユーザの操作の結果に関する情報である操作関連情報を取得する手段、ユーザの操作関連情報に基づいて、ゲームにおけるアクションに関する1または複数の第1項目の評価値を特定する手段、第1項目の評価値に基づいて、人の心理的な特性または状態に関する複数の第2項目の評価値を特定する手段、第2項目の評価値に関する情報を出力する手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態の第1項目と第2項目との関係を例示する図である。
【
図7】本実施形態の項目間関係データベースのデータ構造を示す図である。
【
図8】本実施形態のゲーム処理のフローチャートである。
【
図9】本実施形態の認知機能測定処理のフローチャートである。
【
図10】本実施形態の認知機能測定処理において表示される画面例を示す図である。
【
図11】本実施形態の認知機能測定処理において表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
(1)情報処理システムの構成
情報処理システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、情報処理システム1は、クライアント装置10と、サーバ30とを備える。
クライアント装置10及びサーバ30は、ネットワーク(例えば、インターネット又はイントラネット)NWを介して接続される。情報処理システム1は、ゲームプレイを通じて、プレイヤーの認知的な機能を測定する。
【0012】
クライアント装置10は、サーバ30にリクエストを送信する情報処理装置の一例である。クライアント装置10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、又はビデオゲーム機である。
【0013】
サーバ30は、クライアント装置10から送信されたリクエストに応じたレスポンスをクライアント装置10に提供する情報処理装置の一例である。サーバ30は、例えば、サーバコンピュータである。
【0014】
(1-1)クライアント装置の構成
クライアント装置の構成について説明する。
図2は、本実施形態のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
【0015】
図2に示すように、クライアント装置10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。クライアント装置10は、ディスプレイ21に接続される。
【0016】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0017】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ、またはゲームアプリケーション)のプログラム
【0018】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0019】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、クライアント装置10の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ12は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU(Central Processing Unit)
・GPU(Graphic Processing Unit)
・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
・FPGA(Field Programmable Array)
【0020】
入出力インタフェース13は、クライアント装置10に接続される入力デバイスから情報(例えば、ユーザの指示、操作)を取得し、かつ、クライアント装置10に接続される出力デバイスに情報(例えば、画像、音声)を出力するように構成される。
【0021】
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、物理ボタン、カメラ、マイクロフォン、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイ21、スピーカ、又は、それらの組合せである。
【0022】
通信インタフェース14は、クライアント装置10と外部装置(例えば、サーバ30)との間の通信を制御するように構成される。
【0023】
ディスプレイ21は、画像(静止画、または動画)を表示するように構成される。ディスプレイ21は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイである。
【0024】
(1-2)サーバの構成
サーバの構成について説明する。
図3は、本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
【0025】
図3に示すように、サーバ30は、記憶装置31と、プロセッサ32と、入出力インタフェース33と、通信インタフェース34とを備える。
【0026】
記憶装置31は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置31は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0027】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0028】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理の実行結果
【0029】
プロセッサ32は、記憶装置31に記憶されたプログラムを起動することによって、サーバ30の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ32は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU
・GPU
・ASIC
・FPGA
【0030】
入出力インタフェース33は、サーバ30に接続される入力デバイスから情報(例えばユーザの指示)を取得し、かつ、サーバ30に接続される出力デバイスに情報(例えば画像)を出力するように構成される。
【0031】
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイである。
【0032】
通信インタフェース34は、サーバ30と外部装置(例えばクライアント装置10)との間の通信を制御するように構成される。
【0033】
(2)実施形態の一態様
本実施形態の一態様について説明する。
図4は、本実施形態のゲーム処理の説明図である。
図5は、本実施形態の一態様の説明図である。
【0034】
本実施形態の情報処理システム1は、ユーザの認知機能を測定するための判断材料として、当該ユーザがビデオゲーム(以下、単に「ゲーム」という)をプレイしている時の操作の結果に関する情報(以下、「操作関連情報」という)を収集する。ゲームは、典型的には、ユーザUS1が、仮想空間においてキャラクタまたは無生物のゲームオブジェクトのアクションを指示する操作を行うタイプのゲーム(アクションゲーム)である。
【0035】
具体的には、
図4に例示されるように、ユーザUS1は、クライアント装置10を介して、ゲームをプレイする。サーバ30は、ゲーム情報をクライアント装置10へ送信する。ゲーム情報とは、ゲームを進行するために必要な各種の情報(例えば、画像(画面キャプチャを含み得る)、音声、パラメータ、など)である。クライアント装置10は、ゲーム情報に基づいてゲーム画面P20をディスプレイ21に表示し、ゲーム音をスピーカから出力する。
図4の例では、ゲームには、ユーザが操作可能なキャラクタ(つまり、プレイヤーキャラクタ(PC))C20aと、ユーザが操作不可能なキャラクタ(つまり、ノンプレイヤーキャラクタ(NPC))C20bとが登場する。
【0036】
ユーザUS1は、ゲーム画面P20を見て、キャラクタC20aに行わせるアクションを判断し、当該アクションの実行を指示する操作をクライアント装置10に入力する。クライアント装置10は、操作情報をサーバ30へ送信する。サーバ30は、受信した操作情報に基づいてゲーム情報を生成し、クライアント装置10へ送信する。ここで、サーバ30は、操作情報またはゲーム情報の少なくとも1つを、ユーザUS1を特定可能な情報(例えばユーザID)に関連付けて、記憶装置31に保存する。クライアント装置10はゲーム情報に基づいてゲーム画面P20を更新し、ユーザUS1はキャラクタC20aの次のアクションを判断する。
【0037】
必要量の操作情報またはゲーム情報が収集された後、ユーザUS1の認知機能の測定が可能となる。具体的には、
図5に示されるように、クライアント装置10は、サーバ30からユーザUS1が、キャラクタC20aに対して行った操作の結果に関する操作関連情報を取得する。
【0038】
クライアント装置10は、ユーザUS1の操作関連情報に基づいて、ゲームにおけるアクションに関する1つまたは複数の項目(以下、「第1項目」という)の評価値を特定する。例えば、クライアント装置10は、ユーザUS1の操作情報およびゲーム情報に基づいて、キャラクタC20に行わせた特定のアクションの定量的な指標(例えば、量、回数、頻度、または持続時間)を算出する。
【0039】
クライアント装置10は、特定した第1項目の評価値に基づいて、人の認知的な機能に関する複数の項目(以下、「第2項目」という)の評価値を特定する。例えば、クライアント装置10は、第2項目毎に定められた数式に、所定の1つまたは複数の第1項目の評価値を代入することで、第2項目の評価値を算出する。
【0040】
クライアント装置10は、特定した第2項目の評価値に関する情報として、例えば認知機能スコアを表す画面P21をディスプレイ21に表示する。
【0041】
このように、本実施形態の情報処理システム1によれば、ユーザUS1の認知機能を測定することができる。そして、ユーザが単一のゲームをプレイするだけで複数の項目の認知機能が評価されるので、多面的かつ効率的な測定が可能となる。
【0042】
(3)データベース
本実施形態のデータベースについて説明する。以下のデータベースは、記憶装置11に記憶される。
【0043】
(3-1)項目間関係データベース
本実施形態の項目間関係データベースについて説明する。
図6は、本実施形態の第1項目と第2項目との関係を例示する図である。
図7は、本実施形態の項目間関係データベースのデータ構造を示す図である。
【0044】
図6に示すように、第1項目EI1-1,EI1-2,EI1-3,EI1-4,EI1-5は、第2項目EI2-1,EI2-2,EI2-3,EI2-4,EI2-5,EI2-5との間で相関関係が定められる。
図6の相関関係は、第1項目EI1-1(操作のマルチタスク)および第2項目EI2-1(記憶に対する自信)の相関係数がr11であること、第1項目EI1-2(ゲーム内パフォーマンス)および第2項目EI2-1(記憶に対する自信)の相関係数がr21であること、などを表す。
【0045】
図6に示されるように、第1項目および第2項目は1:1関係に限られず、M:1または1:N関係にあってよい(M,Nは2以上の整数)。なお、Mは、第1項目の総数よりも小さくてもよい。すなわち、第2項目は、少なくとも1つの第1項目との相関関係が定義されていなくてもよい。Nは、第2項目の総数よりも小さくてもよい。すなわち、第1項目は、少なくとも1つの第2項目との相関関係が定義されていなくてもよい。また、相関は正の相関に限らず負の相関であってもよい。
【0046】
項目間関係データベースには、項目間関係情報が格納される。項目間関係情報は、第1項目と第2項目との間の関係に関する情報である。
【0047】
図7に示すように、項目間関係データベースでは、行方向に第1項目(項目1A,1B,1C,・・・)が配列され、列方向に第2項目が配置(項目2A,2B,2C,・・・)され得る。
図7において、各レコード(行)の各列には、当該レコードに対応する第1項目と、各列に対応する第2項目との相関情報が格納される。相関情報は、項目間の相関に関する情報(例えば相関係数)である。なお、
図7とは逆に、行方向に第2項目を配置し、列方向に第1項目を配置してもよい。
【0048】
項目間関係情報は、複数の被験者について例えば後述する本実施形態の認知機能測定処理と同様の処理を実行することで特定された第1項目の評価値と、本実施形態の認知機能測定処理とは異なる認知機能の検査(以下、「既存の認知機能検査」という)によって測定された第2項目の評価値とに基づいて決定され得る。なお、第2項目の評価と、第1項目の評価との順序は任意である。一例として、複数の被験者について第1項目の評価値と第2項目の評価値との相関を算出することで、項目間関係情報が生成され、または更新され得る。
【0049】
(4)情報処理
本実施形態の情報処理について説明する。
【0050】
(4-1)ゲーム処理
本実施形態のゲーム処理について説明する。
図8は、本実施形態のゲーム処理のフローチャートである。
【0051】
本実施形態のゲーム処理は、例えばクライアント装置10のユーザからの指示に応じて開始し得る。
図8に示すように、クライアント装置10およびサーバ30は、ゲーム開始処理(S110)を実行する。
具体的には、クライアント装置10およびサーバ30は、ゲームを開始するための種々の処理を行う。一例として、クライアント装置10およびサーバ30は、以下の少なくとも1つの処理を行い得る。
・ユーザ認証
・ゲーム情報の生成
・ゲーム情報の送受信
【0052】
ステップS110の後に、クライアント装置10は、画面の表示(S111)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS110において取得したゲーム情報に基づくゲーム画面をディスプレイ21に表示する。
【0053】
ステップS111の後に、クライアント装置10は、操作の受付(S112)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、入力デバイス(例えば、タッチパネル、物理ボタン、またはキーボード)を介してユーザからの操作を受け付ける。クライアント装置10は、ユーザから受け付けた操作に応じて操作情報を生成し、サーバ30へ送信する。
【0054】
ステップS112の後に、サーバ30は、ゲーム情報の生成(S131)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS112においてクライアント装置10から送信された操作情報を受信する。サーバ30は、受信した操作情報に基づいてゲーム情報を生成する。一例として、サーバ30は、操作情報と、ゲームデータ(現在のゲーム状態に関するパラメータを含む)とに基づく演算を、ゲームプログラム(アルゴリズム)に従って実行することで、ゲーム情報を生成する。サーバ30は、生成したゲーム情報をクライアント装置10へ送信する。
【0055】
ステップS131の後に、サーバ30は、情報の蓄積(S132)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ゲームをプレイ中のユーザの操作関連情報を蓄積する。かかる情報は、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・ステップS131において受信した操作情報
・ステップS131において生成したゲーム情報
【0056】
また、ステップS131の後に、クライアント装置10は、画面の表示(S113)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS131においてサーバ30から送信されたゲーム情報を受信する。クライアント装置10は、受信したゲーム情報に基づくゲーム画面をディスプレイ21に表示する。
【0057】
ステップS113の後、クライアント装置10は、操作の受付(S112)を再実行する。
なお、ステップS111またはステップS113の後、ユーザが所定時間(例えば1フレーム分)に亘って何ら操作を行わない場合に、操作の受付(S112)は省略されてよい。そして、サーバ30はユーザが操作を行わなかったものとしてゲーム情報の生成(S131)~情報の蓄積(S132)を実行し、クライアント装置10は画面の表示(S113)を実行し得る。
【0058】
クライアント装置10およびサーバ30は、ユーザ指示に応じて、またはゲームプログラムによって定められた終了条件の成立に応じて、
図8のゲーム処理を終了し得る。
【0059】
(4-2)認知機能測定処理
本実施形態の認知機能測定処理について説明する。
図9は、本実施形態の認知機能測定処理のフローチャートである。
図10は、本実施形態の認知機能測定処理において表示される画面例を示す図である。
図11は、本実施形態の認知機能測定処理において表示される画面例を示す図である。
【0060】
本実施形態の認知機能測定処理は、例えばユーザからの指示に応じて開始し得る。或いは、本実施形態の認知機能測定処理は、例えば本実施形態のゲーム処理によって実行されるゲームのプレイ状況が条件を満たした場合に(例えば、必要な量の情報がサーバ30に蓄積された場合に、または所定単位のゲームプレイが終了した場合に)開始し得る。この場合に、第2項目の評価値に関する情報は、ゲームのプレイ状況が条件を満たすまで出力されないことになる。
【0061】
図9に示すように、クライアント装置10は、操作関連情報の要求(S210)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ユーザの操作関連情報の取得要求を生成し、当該取得要求をサーバ30へ送信する。取得要求には、ユーザを特定可能な情報(例えばユーザID)が含まれ得る。なお、サーバ30が、クライアント装置10からの取得要求を受けることなく、自発的にユーザの操作関連情報を送信するように構成することも可能であり、この場合にステップS210は省略され得る。
【0062】
ステップS210の後に、サーバ30は、応答(S230)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS210において送信された取得要求を受信する。サーバ30は、取得要求に応じて、ユーザの操作情報またはゲーム情報の少なくとも1つを記憶装置31から読み出す。ここで、ユーザの操作情報またはゲーム情報の少なくとも1つは、直近の所定時間、所定単位、または所定回数のゲームプレイにおいて蓄積された情報であってよい。サーバ30は、取得した情報をそのままユーザの操作関連情報としてクライアント装置10へ送信してもよい。或いは、サーバ30は、取得した情報を加工した結果をユーザの操作関連情報としてクライアント装置10へ送信してもよい。
【0063】
ユーザの操作関連情報は、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・ユーザの操作情報(ログ)
・ユーザのゲーム情報(画面キャプチャ、またはゲームの進行のために算出されたパラメータを含み得る)
・ユーザの操作情報およびゲーム情報に基づいて再現されたリプレイデータ
・ゲームの進行とは関係なくユーザの操作情報およびゲーム情報に基づいて算出された隠しパラメータ
【0064】
ステップS230の後に、クライアント装置10は、第1項目の評価(S211)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS230においてサーバ30が送信した、ユーザの操作関連情報を取得する。クライアント装置10は、ユーザの操作関連情報に基づいて、ゲームにおけるアクションに関する1または複数の第1項目の評価値を特定する。
【0065】
アクションは、例えば以下の少なくとも1つを含むことができる。
・ユーザがPCの位置を動かす操作を行うことでPCが行うアクション(以下、「移動」という)
・ユーザがPCを対象(例えば敵キャラクタ)から隠れるために当該PCの位置を動かす操作(つまり移動操作)によってPCが行うアクション(以下、「回避」という)
・ユーザがPCに対象(例えば敵キャラクタ)に攻撃を加えさせる操作を行うことでPCが行うアクション(以下、「攻撃」という)
・ユーザがPCに対象(例えば敵キャラクタ)に攻撃を加える前に狙いを定めさせる操作を行うことでPCが行うアクション(以下、「エイミング」という)
・ユーザがPCにゲーム内アイテム(以下、「アイテム」という)を獲得させる操作を行うことでPCが行うアクション
【0066】
また、アクションの結果に関する第1項目も定義されてよい。例えば、攻撃の命中または失敗に関する第1項目が定義され得る。アクションの結果に関する第1項目は、当該結果の要因別に細分化されてよい(例えば、方向のずれによる攻撃失敗と、距離のずれによる攻撃失敗、など)。
【0067】
第1項目は、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・ユーザが操作可能なキャラクタ(つまりPC)が並列的に行う複数のアクション(例えば、同時に行う移動とエイミング、複数の指を同時に用いる操作)に関する項目
・PCがアクションを行うことで達成した成績(例えばゲームスコア)に関する項目
・ユーザが操作不可能なキャラクタ(つまりNPC)を所定の状態(例えば、NPCが発見可能な距離よりもPCが近づいているが、NPCが所定の行動(一例として、接近、戦闘)を取らない状態)に維持したままPCが行うアクション(例えばステルス行動)に関する項目
・NPCに対してPCが行う所定のアクションに関する項目(例えば、攻撃の命中率)
・PCの移動に関する項目(例えば、移動量、または地形に応じた操作を行っているか(一例として、水場のように特殊な移動方法が必要な地形において当該移動方法に対応する操作を行っているか、またはユーザにとって不利となる地形を避けて移動しているか))
・PCのアイテム獲得に関する項目(詳細は後述)
・他のPCを考慮したアクションに関する項目(詳細は後述)
【0068】
PCのアイテム獲得に関する項目は、例えば、PCが状況に対して適切なアイテムを獲得するための操作を行ったか(例えば、体力が減っている時に体力を回復できるアイテムを獲得したか、当該アイテムを獲得できる(可能性が高い)位置に向かってPCを移動させたか)、またはPCが状況に対して適切でないアイテムを獲得するための操作を行っていないか(例えば、体力が減っていない時に体力を回復できるアイテムを獲得していないか)に基づいて評価され得る。
【0069】
他のPCを考慮したアクションに関する項目は、例えば、複数のユーザが参加するゲーム(以下、「マルチプレイゲーム」という)の場合に、ユーザが自己のPCと他のユーザのPCとの位置関係を考慮した操作を行っているか、またはマルチプレイゲームであって各ユーザのPCを中心とする画面を分割表示する場合に、ユーザが他のユーザのPCを中心とする小画面から見える当該他のユーザのPCの行動を考慮した操作を行っているかに基づいて評価され得る。
【0070】
クライアント装置10は、第1項目の評価値を、例えばz値などの統計値として算出してもよい。この場合に、クライアント装置10は、第1項目のそれぞれについての分布を特定可能な情報(例えば、平均および分散)をサーバ30から習得してもよい。
【0071】
ステップS211の後に、クライアント装置10は、第2項目の評価(S212)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS211において特定した第1項目の評価値に基づいて、人の認知的な機能に関する複数の第2項目の評価値を特定する。クライアント装置10は、特定した複数の第2項目の評価値を、サーバ30へ送信(出力)する。
【0072】
第2項目は、例えば既存の認知機能の検査の項目と一致または対応するように定められてよい。一例として、第2項目は、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・記憶に対する自信に関する項目
・記憶精度に関する項目
・抽象思考力に関する項目
・視覚的認識能力に関する項目
・持続注意に関する項目
・指の運動機能に関する項目
【0073】
一例として、クライアント装置10は、第1項目と第2項目との間の相関関係を表すパラメータに基づいて、第1項目の評価値から第2項目の評価値を算出してもよい。かかるパラメータは、例えば、項目間関係データベース(
図7)に格納された項目間関係情報である。クライアント装置10は、対象となる第2項目に対して相関関係が定義されている1以上の第1項目の評価値を特定する。クライアント装置10は、特定した第1項目の評価値の重み付き和(例えば重み付き平均)を、対象となる第2項目の評価値として算出してもよい。ここで、各第1項目の評価値には、当該第1項目と対象となる第2項目との間の相関係数に基づく重みが付与され得る。
【0074】
ステップS212の後に、クライアント装置10は、第2項目の評価値の提示(S213)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS212において特定した第2項目の評価値を示す情報(「第2項目の評価値に関する情報」の一例)を提示する。クライアント装置10は、例えば
図10の画面をディスプレイ21に表示する。
【0075】
図10の画面は、オブジェクトJ30a,J30b,J30c,J30dを含む。
オブジェクトJ30aは、ステップS212において特定された第2項目の評価値を示す情報を表示する。オブジェクトJ30aは、
図10に示されるように、第2項目毎に最新の評価値に加え、前回の評価値との比較結果を示す情報を表示してもよい。
【0076】
オブジェクトJ30bは、ユーザのゲームのプレイ状況と第2項目の評価値とを対比可能に(一例として時系列変化として)を表現するグラフを表示する。
オブジェクトJ30cは、オブジェクトJ30bに表示されるグラフの縦軸に対応する要素を指定するユーザ指示を受け付ける。例えば、ユーザは、オブジェクトJ30cを介して、1つまたは複数の第2項目を指定可能である。
【0077】
オブジェクトJ30dは、オブジェクトJ30bに表示されるグラフの横軸に対応する要素(一例として、ゲームのプレイ状況に関する指標)を指定するユーザ指示を受け付ける。例えば、ユーザは、オブジェクトJ30dを介して、日時、累積プレイ時間、累積プレイ回数、第1項目のいずれか、または第2項目のいずれかを指定可能である。
【0078】
他方、ステップS212の後に、サーバ30は、評価値の蓄積(S231)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS212においてクライアント装置10が送信した、ユーザの第2項目の評価値をサーバ30へ送信する。サーバ30は、受信した第2項目の評価値を、被評価者であるユーザおよび評価日時に関連付けてデータベースに蓄積する。
【0079】
ステップS231の後に、サーバ30は、付加情報の生成(S232)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS231においてクライアント装置10から受信した、ユーザの第2項目の評価値に基づいて、付加情報を生成する。サーバ30は、生成した付加情報をクライアント装置10へ送信する。
【0080】
付加情報は、例えば、ユーザの認知機能の向上またはゲームの楽しさを促進するための情報である。一例として、付加情報は、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・ユーザのゲームにおける目標に関する情報
・ユーザの認知機能と適合するゲーム内要素、他のユーザ、または他のゲームを示す情報
【0081】
ユーザのゲームにおける目標に関する情報は、例えば以下の少なくとも1つに関する情報を含むことができる。
・特定の認知機能をトレーニングするためのチャレンジミッション(ゲーム内課題)
・特定の認知機能に対応する第2項目の基準値
・特定の認知機能に対応する第2項目の基準値とユーザの評価値との比較結果
ここで、特定の認知機能は、ユーザの長所または短所としてアルゴリズムにより判定された認知機能であってもよいし、ユーザによって指定された認知機能であってもよい。
【0082】
第2項目の基準値は、全ユーザの当該第2項目の評価値の平均であってもよいいし、特定のユーザグループ(例えば、特定のゲームランクと判定されているユーザ、または特定のチームに属するユーザ)の当該第2項目の評価値の平均であってもよいし、特定の他のユーザ(例えば、フレンド、またはユーザが目標にしている他のユーザ)の当該第2項目の評価値であってもよい。
【0083】
ユーザの認知機能と適合するゲーム内要素、他のユーザ、または他のゲームを示す情報は、例えば以下の少なくとも1つを含むことができる。
・特定の認知機能を補助、または強化するためのゲーム内要素を示す情報
・特定の認知機能とは異なる認知機能を補助、または強化するためのゲーム内要素を示す情報
・特定の認知機能が活かせるゲーム内要素を示す情報
・ユーザの認知機能と類似する認知機能を備える他のユーザ
・ユーザの認知機能を補完する認知機能を備える他のユーザ
・特定の認知機能をトレーニングするための他のゲーム
・特定の認知機能とゲーム成績との相関が高い他のゲーム
【0084】
ゲーム内要素は、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・キャラクタ
・プレイスタイル(ロールを含み得る)
・キャラクタのパラメータ
・キャラクタの装備品
・キャラクタのスキル
・キャラクタの携行品
・ゲームステージ
・対戦相手(例えば、NPC、または他のユーザが操作するキャラクタ)の特性
・協力相手(例えば、NPC、または他のユーザが操作するキャラクタ)の特性
【0085】
ステップS232の後に、クライアント装置10は、付加情報の提示(S214)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS232においてサーバ30が送信した付加情報を受信する。クライアント装置10は、付加情報(「第2項目の評価値に関する情報」の一例)を提示する。クライアント装置10は、例えば
図10の画面をディスプレイ21に表示する。
【0086】
図11の画面は、オブジェクトJ31a,J31b,J31b1,J31b2,J31c,J31c1を含む。
オブジェクトJ31aは、ユーザの第2項目の評価値に適合するキャラクタロールを示す情報を表示する。
【0087】
オブジェクトJ31bは、ユーザの第2項目の評価値に適合する他のユーザを示す情報を表示する。
オブジェクトJ31b1は、オブジェクトJ31bに表示された情報に対応する他のユーザにフレンド申請を行うためのユーザ指示を受け付ける。
オブジェクトJ31b2は、オブジェクトJ31bに、さらなる他のユーザを示す情報を表示させるためのユーザ指示を受け付ける。
【0088】
オブジェクトJ31cは、ユーザの認知機能の改善のために課されたチャレンジミッション(ゲーム内課題)に関する情報を表示する。
オブジェクトJ31c1は、オブジェクトJ31cに表示された情報に対応するチャレンジミッションをプレイするためのユーザ指示を受け付ける。
なお、チャレンジミッションは、当該チャレンジミッションが決定される前にユーザがプレイ可能なミッションから選択されてもよい。この場合に、チャレンジミッションとして決定されたミッションの達成時の報酬が、決定前の報酬に比べてユーザに有利な報酬となるように、またはゲーム内で価値(例えば経済的価値または希少価値)がより高いと定義されている報酬に変更されてよい。
【0089】
(5)小括
本実施形態のクライアント装置10は、ゲームをプレイ中のユーザの操作の結果に関する情報である操作関連情報に基づいて、当該ゲームにおけるアクションに関する1または複数の第1項目の評価値を特定する。クライアント装置10は、特定した第1項目の評価値に基づいて、人の心理的な特性または状態に関する複数の第2項目の評価値を特定し、当該第2項目の評価値に関する情報を出力する。これにより、ユーザが単一のゲームをプレイするだけで、心理的な特性または状態に関する複数の第2項目の評価値を特定することができる。つまり、本実施形態によれば、ユーザの心理的な特性または状態を多面的かつ効率的に測定することができる。
【0090】
クライアント装置10は、第1項目と第2項目との間の相関関係を表すパラメータに基づいて、第1項目の評価値から第2項目の評価値を算出してもよい。これにより、ユーザの心理的な特性または状態について、統計的に妥当な評価値を特定することができる。
【0091】
相関関係を表すパラメータは、複数の被験者について特定された第1項目の評価値と、本実施形態の認知機能測定処理とは異なる心理的な特性または状態の検査によって測定された第2項目の評価値とに基づいて決定されてもよい。これにより、信頼性の高いパラメータに基づいて、ユーザの心理的な特性または状態を評価することができる。
【0092】
クライアント装置10は、ゲームに登場するキャラクタに対するユーザの操作関連情報を取得してもよい。これにより、複雑な操作(例えば、複数のアクションを並列的に行うための操作、ゲーム内の環境に見合ったアクションを行うための操作)に対応する第1項目を定義し、第2項目の評価における判断材料として用いることができる。
【0093】
第1項目は、ユーザが操作可能な第1キャラクタが並列的に行う複数のアクションに関する項目、第1キャラクタがアクションを行うことで達成した成績に関する項目、ユーザが操作不可能な第2キャラクタを所定の状態に維持したまま第1キャラクタが行うアクションに関する項目、第2キャラクタに対して第1キャラクタが行う所定のアクションに関する項目、第1キャラクタの移動に関する項目、第1キャラクタのアイテム獲得に関する項目、または他のユーザが操作する第3キャラクタを考慮したアクションに関する項目、の少なくとも1つを含んでもよい。これにより、列挙された少なくとも1つの項目の評価値に基づいて、ユーザの心理的な特性または状態を評価することができる。
【0094】
第2項目は、記憶に対する自信に関する項目、記憶精度に関する項目、抽象思考力に関する項目、視覚的認識能力に関する項目、持続注意に関する項目、または指の運動機能に関する項目の少なくとも1つを含んでもよい。これにより、列挙された少なくとも1つの項目について、ユーザを評価することができる。
【0095】
クライアント装置10は、ユーザがゲームをプレイするための処理を実行するサーバ30からユーザの操作関連情報を取得し、第2項目の評価値に関する情報をサーバ30へ出力してもよい。これにより、操作関連情報および第2項目の評価値に関する情報をサーバ30に蓄積することができる。
【0096】
クライアント装置10は、サーバ30から、ユーザの操作情報、ユーザのゲーム情報、ユーザのリプレイデータ、またはゲームの進行とは関係なくユーザの操作情報およびゲーム情報に基づいて算出された隠しパラメータの少なくとも1つを取得してもよい。これにより、列挙された少なくとも1つの操作関連情報に基づいて、ユーザのゲームにおけるアクションを評価することができる。
【0097】
クライアント装置10は、第2項目の評価値に基づいて生成されたゲームにおけるユーザの目標に関する付加情報を提示してもよい。これにより、ユーザにゲームの継続的なプレイを促し、ユーザの心理的な特性または状態の測定がなされる頻度を高めることができる。
【0098】
クライアント装置10は、第2項目の評価値に基づいて生成されたユーザの心理的な特性または状態と適合するゲーム内要素、他のユーザ、または他のゲームを示す付加情報を提示してもよい。これにより、ユーザにゲーム(他のゲームを含み得る)の継続的なプレイを促し、ユーザの心理的な特性または状態の測定がなされる頻度を高めることができる。
【0099】
クライアント装置10は、ゲームのプレイ状況と第2項目の評価値とを対比可能に提示してもよい。これにより、ユーザは、ゲームのプレイ状況と自らの心理の特性または状態の評価結果(例えば認知機能の評価結果)との関係を把握することができる。
【0100】
クライアント装置10は、ゲームのプレイ状況が条件を満たすまで、第2項目の評価値に関する情報を出力しなくてもよい。これにより、不十分な情報に基づく第2項目の評価値に関する情報が提示され、ユーザに誤解を与えるのを防止することができる。
【0101】
(6)その他の変形例
記憶装置11は、ネットワークNWを介して、クライアント装置10と接続されてもよい。ディスプレイ21は、クライアント装置10に内蔵されてもよい。記憶装置31は、ネットワークNWを介して、サーバ30と接続されてもよい。
【0102】
上記説明では、第2項目の評価値に基づいて付加情報を生成する例を示した。しかしながら、他の情報、例えば医療機関によるユーザの認知機能に関する診断結果、に基づいて付加情報を生成してもよい。この場合に付加情報は、例えば、医療機関によって標準を下回ると診断された認知機能のトレーニングに適したゲームを示す情報を含むことができる。
【0103】
医療機関との連携の別の例として、第2項目の評価値に基づいて生成する付加情報は、ユーザに受診を推奨する医療機関を示す情報を含んでもよい。受診を推奨する医療機関は、例えばユーザの第2項目の評価値のほか、ユーザの住所または現在地の情報に基づいて選択され得る。
【0104】
上記説明では、各処理において各ステップを特定の順序で実行する例を示したが、各ステップの実行順序は、依存関係がない限りは説明した例に制限されない。上記の情報処理の各ステップは、クライアント装置10及びサーバ30の何れでも実行可能である。例えば、いずれかの装置によって行われるとして説明された処理が別の装置によって行われたり、複数の装置のやり取りによって行われるとして説明された処理が単一の装置によって行われたりしてもよい。また、サーバ30は、主にゲーム処理を実行するサーバ(以下、「ゲームサーバ」という)と、主に認知機能測定処理(特に付加情報の生成)を実行するサーバ(以下、「分析サーバ」という)とに分離可能である。ゲームサーバおよび分析サーバは、異なる事業者によって運営されてよい。
【0105】
上記説明では、クライアント装置10がサーバ30へ第2項目の評価値を送信する例を示した。しかしながら、かかる処理は行われなくてもよいし、ユーザが能動的な設定、または問い合わせに対する回答により、実行の有無を選択できるようにしてもよい。これにより、ユーザが、自らの認知機能の測定結果を秘匿したまま、ゲームを楽しんだり、認知機能のトレーニングに励んだりすることができる。
【0106】
上記説明では、ゲームをプレイしたユーザと、第2項目の評価値に関する情報の提示先とが同一であった。しかしながら、第2項目の評価値は、ゲームをプレイしたユーザとは異なる人物に提示されてもよい。具体的には、ユーザの勤務先の特定の役割(一例として、人事部)の人物、ユーザの家族、またはユーザに医療サービスを提供する人物(例えば医師などの医療関係者)が提示先となり得る。
【0107】
上記説明では、ユーザの認知機能を測定するために、情報処理システム1が、ゲームおよび項目間関係データベース(
図7)を利用する例を示した。しかしながら、ゲームおよび項目間関係データベースは、第三者(例えば研究機関)に公開されてもよい。
【0108】
ユーザの第2項目の評価値は、例えば、ユーザに提示する広告を決定するために用いられたり、ユーザのパーソナルデータ(例えば、主にビジネス用途でプロフィールの一部として対外的に公開可能な情報)として用いられたりしてもよい。
【0109】
上記説明では、第1項目が予め定められていた。しかしながら、複数の被験者について本実施形態の認知機能測定処理、または既存の認知機能の検査によって測定された第2項目の評価値と、当該複数の被験者の操作関連情報とに基づいて、第2項目に相関する第1項目を探索することができる。これにより、既存のゲームにおける第1項目を変更、追加、または削除(つまり、既存のゲームに適用される項目間関係データベースを再構築)したり、新規のゲームにおける第1項目を特定(つまり、新規のゲームに適用される項目間関係データベースを構築)したりすることができる。
【0110】
上記説明では、項目間関係データベース(
図7)を用いて第2項目の評価値を特定する例を示した。しかしながら、項目間関係データベース(
図7)を用いる代わりに、第1項目に基づく入力データに対し、第2項目の評価値を出力する学習済みモデルが用いられてもよい。この学習済みモデルは、第三者(例えば研究機関)に公開されてもよい。
【0111】
上記説明では、ユーザの認知機能を測定する例を示した。しかしながら、本実施形態は、ユーザの認知機能に限られず心理的な特性または状態の全般(一例として、「不安」などの感情の項目)の測定に応用可能である。ユーザの心理的な特性または状態を測定する場合には、上記説明における「認知機能」の用語を「心理的な特性または状態」として適宜読み替えればよい。
【0112】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0113】
1 :情報処理システム
10 :クライアント装置
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
21 :ディスプレイ
30 :サーバ
31 :記憶装置
32 :プロセッサ
33 :入出力インタフェース
34 :通信インタフェース