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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097232
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】回転電機における固定子構造
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
H02K3/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000649
(22)【出願日】2023-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 光之
(72)【発明者】
【氏名】中山 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】粟津 稔
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603AA01
5H603BB05
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB01
5H603CC01
5H603CD02
5H603CE05
(57)【要約】
【課題】固定子のコイルでの交流損失を低減可能な回転電機における固定子構造を提供すること。
【解決手段】実施形態では、回転電機における固定子構造は、内側コイル層及び外側コイル層を備える。内側コイル層では、コアレスの複数の内側コイルが周方向に並んで配置される。外側コイル層では、内側コイル層の外周側に内側コイルと接触しない状態で、コアレスの複数の外側コイルが周方向に並んで配置される。内側コイルのそれぞれのコイル巻線は、外側コイルのそれぞれのコイル巻線とは異なる材料から形成される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機における固定子構造であって、
コアレスの複数の内側コイルを備え、前記内側コイルが周方向に並んで配置される内側コイル層と、
コアレスの複数の外側コイルを備え、前記内側コイル層の外周側に前記内側コイルと接触しない状態で、前記外側コイルが前記周方向に並んで配置される外側コイル層と、
を具備し、
前記内側コイル及び前記外側コイルへの電圧の印加によって発生する回転磁界を利用して回転子を回転させる、又は、回転子の回転によって発生する回転磁界により前記内側コイル及び前記外側コイルにおいて電圧を誘起させ、
前記内側コイルのそれぞれのコイル巻線は、前記外側コイルのそれぞれのコイル巻線とは異なる材料から形成される、
固定子構造。
【請求項2】
前記内側コイル及び前記外側コイルの中で前記回転子に近い側に配置される一方である第1のコイルのそれぞれでは、前記内側コイル及び前記外側コイルの中で前記回転子から遠い側に配置される一方である第2のコイルのそれぞれに比べて、前記コイル巻線の電気抵抗が高い、請求項1の固定子構造。
【請求項3】
前記第1のコイルのそれぞれの前記コイル巻線は、アルミニウムから形成され、
前記第2のコイルのそれぞれの前記コイル巻線は、銅から形成される、
請求項2の固定子構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機における固定子構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機及び発電機等の回転電機は、固定子及び回転子を備える。電動機では、固定子のコイルに電圧を印加することで、回転磁界を発生させる。そして、発生した回転磁界によって、回転子を回転させる、又は、回転磁界によって回転子に起電力を誘起させて、誘起した起電力によって回転子を回転させる。また、発電機では、回転子を回転によって発生する回転磁界により、固定子のコイルに電圧(起電力)を誘起する。このような電動機及び発電機等の回転電機では、軽量化の観点等から、固定子のコイルとして、コアレスのコイルを用いることがある。この場合、固定子では、コアレスの複数のコイルが、周方向に並んで配置される。通常のモータのコイルは、鎖交する磁束の通り道となる鉄心を設けているが、鉄心を使わない方式があり、一般的にこの方式はコアレス(無鉄心)と呼ばれ、コアレス方式を採用したコイルは、コアレスのコイルと呼ばれる。コアレスモータは鉄心がないため、通常のモータと比較すると重量が軽いという特徴がある。
【0003】
前述のようにコアレスのコイルが固定子に用いられる回転電機では、回転子に設けられる磁石(永久磁石)又は回転子において誘起される起電力によって、回転子に起因する磁界が発生し、回転子に起因する磁束が、固定子のコイルを鎖交する。そして、固定子のコイルでは、回転子に起因する磁束が鎖交することにより、渦電流損及び循環電流損等の交流損失が発生する。コアレスのコイルが固定子に用いられる回転電機では、固定子のコイルでの交流損失を低減することが、求められている。例えば、コアレスのコイルが固定子に用いられる電動機では、固定子のコイルにおいて交流損失を低減することにより、回転子を回転させるトルクを増大させることが、求められている。また、コアレスのコイルが固定子に用いられる発電機では、固定子のコイルにおいて交流損失を低減することにより、コイルにおいて誘起される電圧を増大させることが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62-160047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、固定子のコイルでの交流損失を低減可能な回転電機における固定子構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、回転電機における固定子構造は、内側コイル層及び外側コイル層を備える。内側コイル層は、コアレスの複数の内側コイルを備え、内側コイル層では、内側コイルが周方向に並んで配置される。外側コイル層は、コアレスの複数の外側コイルを備え、外側コイル層では、内側コイル層の外周側に内側コイルと接触しない状態で、外側コイルが周方向に並んで配置される。回転電機では、内側コイル及び外側コイルへの電圧の印加によって発生する回転磁界を利用して回転子を回転させる、又は、回転子の回転によって発生する回転磁界により内側コイル及び外側コイルにおいて電圧を誘起させる。内側コイルのそれぞれのコイル巻線は、外側コイルのそれぞれのコイル巻線とは異なる材料から形成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る電動機の構成を、電動機の軸方向に平行又は略平行な断面で概略的に示す断面図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る電動機の構成を、電動機の軸方向の一方側から視た状態で示す概略図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る電動機の構成を、電動機の軸方向に直交又は略直交する断面で概略的に示す断面図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る電動機において、内側コイル及び外側コイルの任意の1つを概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照して、説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
まず、実施形態の一例として第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、回転電機の一例として、電動機1について説明する。図1乃至図3は、第1の実施形態に係る電動機1の構成を示す。電動機1は、例えば、永久磁石モータである。図1乃至図3等に示すように、電動機1は、回転子2及び固定子3を備える。回転子2は、回転軸Pを中心として、固定子3に対して回転可能である。
【0010】
電動機1では、回転軸Pに沿う方向が、軸方向(矢印A1及び矢印A2で示す方向)として規定される。また、電動機1では、回転軸Pの軸回り方向が、周方向(矢印C1及び矢印C2で示す方向)として規定される。そして、電動機1では、軸方向及び周方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)方向が、径方向(矢印R1及び矢印R2)として規定される。電動機1では、径方向について回転軸Pに近づく側が、内周側となり、径方向について回転軸Pから離れる側が、外周側となる。なお、図1では、電動機1の軸方向に平行又は略平行な断面が概略的に示される。また、図2では、電動機1の軸方向の一方側から視た状態が概略的に示され、図3では、電動機1の軸方向に直交又は略直交する断面が概略的に示される。
【0011】
図1乃至図3の一例では、電動機1において、固定子構造を形成する固定子3の内周側に、回転子2が配置される。そして、固定子3は、電動機1の周方向の全周に渡って、回転子2を電動機1の外周側から囲む。回転子2は、回転軸Pの軸回りに回転可能な状態で、固定子3に連結される。回転子2は、図示しないベアリング等を介して、固定子3に連結される。
【0012】
図1乃至図3の一例では、回転子2は、ヨーク5及び複数の磁石(永久磁石)6を備える。ヨーク5の中心軸は、回転軸Pと同軸又は略同軸となる。また、回転子2では、磁石6のそれぞれは、ヨーク5の外周面に固定され、ヨーク5の外周面には、複数の磁石6が、電動機1の周方向に並んで配置される。回転子2では、電動機1の周方向に並ぶ複数の磁石6によって、回転軸Pを中心又は略中心とするリング形状又は略リング形状が、形成される。
【0013】
固定子3は、内側コイル層7及び外側コイル層8を備える。内側コイル層7及び外側コイル層8のそれぞれは、回転軸Pを中心又は略中心とするリング形状又は略リング形状に形成される。そして、内側コイル層7及び外側コイル層8のそれぞれは、電動機1の周方向の全周に渡って、回転子2を電動機1の外周側から囲む。固定子3では、外側コイル層8は、内側コイル層7に対して、電動機1の外周側に形成される。そして、外側コイル層8は、電動機1の周方向の全周に渡って、内側コイル層7を電動機1の外周側から囲む。
【0014】
内側コイル層7は、複数の内側コイル11を備え、外側コイル層8は、複数の外側コイル12を備える。内側コイル層7では、複数の内側コイル11が、電動機1の周方向に並んで配置される。固定子3では、電動機1の周方向に並ぶ複数の内側コイル11によって、回転軸Pを中心又は略中心とするリング形状又は略リング形状が、形成される。また、外側コイル層8では、複数の外側コイル12が、電動機1の周方向に並んで配置される。固定子3では、電動機1の周方向に並ぶ複数の外側コイル12によって、回転軸Pを中心又は略中心とするリング形状又は略リング形状が、形成される。
【0015】
前述のような構成であるため、固定子3では、複数の内側コイル11から構成される内側コイル層7の外周側に、複数の外側コイル12が、電動機1の周方向に並んで配置される。したがって、複数の外側コイル12が形成するリング形状又は略リング形状は、複数の内側コイル11が形成するリング形状又は略リング形状を、電動機1の周方向の全周に渡って、電動機1の外周側から囲む。また、外側コイル12のそれぞれは、電動機1の径方向について、内側コイル層7の内側コイル11との間に隙間を有する。このため、外側コイル12のそれぞれは、内側コイル11のいずれとも接触しない状態で、配置される。
【0016】
内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれは、コイル巻線を巻回することにより形成される。内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれのコイル巻線は、導電性を有し、例えば、導電性を有する金属から形成される。また、内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれは、鉄芯が設けられないコアレスのコイルである。このため、電動機1は、固定子3のコイルである内側コイル11及び外側コイル12がコアレスのコアレスモータ等となる。
【0017】
また、本実施形態では、固定子3の内周側に、回転子2が配置される。内側コイル11及び外側コイル12の2種類のコイルの中で内側コイル11が、回転子2に近い側に配置される一方である第1のコイルとなる。そして、内側コイル11及び外側コイル12の2種類のコイルの中で外側コイル12が、回転子2から遠い側に配置される一方である第2のコイルとなる。
【0018】
電動機1では、内側コイル11及び外側コイル12へ、電圧を印加可能であり、内側コイル11及び外側コイル12に電圧を印加することにより、磁界が発生する。そして、内側コイル11及び外側コイル12へ電圧を印加する等して、内側コイル11及び外側コイル12によって発生する磁界を経時的に変化させることにより、回転子2が回転軸Pの軸回りに回転する。したがって、本実施形態では、内側コイル11及び外側コイル12への電圧の印加によって発生する回転磁界によって、回転子2が回転する。
【0019】
ある一例では、互いに対して位相の異なる三相の電力が固定子3に供給される。この場合、内側コイル11として、U相の内側コイル11U、V相の内側コイル11V、及び、W相の内側コイル11Wが、それぞれ、1個以上ずつ設けられ、外側コイル12として、U相の外側コイル12U、V相の外側コイル12V、及び、W相の外側コイル12Wが、それぞれ、1個以上ずつ設けられる。図1乃至図3等の一例では、内側コイル11U,11V,11Wが、それぞれ、2個ずつ設けられ、外側コイル12U,12V,12Wが、それぞれ、2個ずつ設けられる。このため、固定子3に設けられるコイルの数、すなわち、内側コイル11及び外側コイル12の総数は、12個となる。
【0020】
固定子3では、U相の内側コイル11U及び外側コイル12Uは、電気配線(図示しない)等を介して、互いに対して電気的に直列又は並列に接続される。そして、内側コイル11U及び外側コイル12Uには、U相の電圧が印加される。同様に、V相の内側コイル11V及び外側コイル12Vは、電気配線(図示しない)等を介して、互いに対して電気的に直列又は並列に接続され、内側コイル11V及び外側コイル12Vには、V相の電圧が印加される。そして、W相の内側コイル11W及び外側コイル12Wは、電気配線(図示しない)等を介して、互いに対して電気的に直列又は並列に接続され、内側コイル11W及び外側コイル12Wには、W相の電圧が印加される。
【0021】
なお、ある一例では、内側コイル11及び外側コイル12への電圧の印加によって、前述のように回転磁界を発生させる。そして、発生した回転磁界によって、回転子2に起電力を誘起させて、誘起した起電力によって回転子2を回転させる。したがって、電動機1では、固定子3の内側コイル11及び外側コイル12への電圧の印加によって発生する回転磁界を利用して、回転子2を回転させる構成であればよい。
【0022】
図4は、内側コイル11及び外側コイル12の任意の1つを示す。なお、内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれは、図4に示す構成と同様となる。図4等に示すように、内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれは、巻回軸Bを有し、内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれでは、巻回軸Bを中心として、コイル巻線が巻回される。図1乃至図3等の一例では、内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれの巻回軸Bは、電動機1の径方向に沿って延設される。また、内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれでは、巻回軸Bの軸回りについてのコイル巻線の周回数を示す巻回数Nが、規定される。
【0023】
また、内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれは、一対のコイル辺部15,16及び一対の折返し部17,18を備える。内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれでは、コイル辺部15,16は、電動機1の周方向に互いに対して離れて位置し、電動機1の周方向についてコイル辺部15,16の間に、空間20が形成される。このため、内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれでは、コイル辺部(第1のコイル辺部)15は、空間20を挟んで、コイル辺部(第2のコイル辺部)16とは反対側に位置する。内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれでは、巻回軸Bは、空間20を通って延設される。また、内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれでは、コイル辺部15,16のそれぞれにおいて、コイル巻線が電動機1の軸方向に沿って延設される。
【0024】
内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれでは、折返し部17,18は、電動機1の軸方向に互いに対して離れて位置し、電動機1の軸方向について折返し部17,18の間に、巻回軸Bが通過する前述の空間20が、形成される。したがって、内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれでは、折返し部(第1の折返し部)17は、空間20を挟んで、折返し部(第2の折返し部)18とは反対側に位置する。内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれでは、折返し部17,18のそれぞれにおいて、コイル巻線が折返される。前述のような構成であるため、内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれは、コイル辺部15,16及び折返し部17,18から構成される部分によって巻回軸Bの軸回りの全周に渡って空間20が囲まれるリング形状又は略リング形状に、形成される。
【0025】
内側コイル層7において三相の内側コイル11U,11V,11Wが設けられる場合、内側コイル層7では、U相の内側コイル11Uのそれぞれに対して、電動機1の周方向の一方側に隣り合う状態で、V相の内側コイル11Vが配置される。そして、内側コイル層7では、U相の内側コイル11Uのそれぞれに対して、電動機1の周方向についてV相の内側コイル11Vとは反対側に隣り合う状態で、W相の内側コイル11Wが配置される。また、図1乃至図3の一例等では、6個の内側コイル11が設けられる。そして、内側コイル層7では、内側コイル11のそれぞれの巻回軸Bは、電動機1の周方向について、隣り合う内側コイル11の巻回軸Bに対して、60°又は略60°の角度ずれて配置される。
【0026】
また、外側コイル層8において三相の外側コイル12U,12V,12Wが設けられる場合、外側コイル層8では、U相の外側コイル12Uのそれぞれに対して、電動機1の周方向の一方側に隣り合う状態で、V相の外側コイル12Vが配置される。そして、外側コイル層8では、U相の外側コイル12Uのそれぞれに対して、電動機1の周方向についてV相の外側コイル12Vとは反対側に隣り合う状態で、W相の外側コイル12Wが配置される。また、図1乃至図3の一例等では、6個の外側コイル12が設けられる。そして、外側コイル層8では、外側コイル12のそれぞれの巻回軸Bは、電動機1の周方向について、隣り合う外側コイル12の巻回軸Bに対して、60°又は略60°の角度ずれて配置される。
【0027】
また、本実施形態では、外側コイル層8を構成する外側コイル12のそれぞれは、電動機1の周方向について、内側コイル層7を構成する内側コイル11のいずれからもずれた角度位置に、配置される。そして、電動機1では、周方向について隣り合う2つの内側コイル11の巻回軸Bの間の角度位置に、外側コイル12の対応する1つの巻回軸Bが、位置する。ある一例では、隣り合う2つの内側コイル11の巻回軸Bは、互いに対して、電動機1の周方向に角度θずれて配置される。そして、隣り合う2つの内側コイル11のそれぞれの巻回軸Bは、それら2つの内側コイル11の巻回軸Bの間に配置される外側コイル12の巻回軸Bに対して、電動機1の周方向に角度θ/2ずれて配置される。図1乃至図3等の一例のように内側コイル11及び外側コイル12がそれぞれ6個ずつ設けられる場合、角度θは60°又は略60°となり、角度θ/2は30°又は略30°となる。
【0028】
また、内側コイル層7において三相の内側コイル11U,11V,11Wが設けられ、かつ、外側コイル層8において三相の外側コイル12U,12V,12Wが設けられるとする。この場合、U相の外側コイル12Uのそれぞれは、電動機1の周方向について、内側コイル層7において隣り合うV相の内側コイル11VとW相の内側コイル11Wとの間に、配置される。また、V相の外側コイル12Vのそれぞれは、電動機1の周方向について、内側コイル層7において隣り合うW相の内側コイル11WとU相の内側コイル11Uとの間に、配置される。そして、W相の外側コイル12Wのそれぞれは、電動機1の周方向について、内側コイル層7において隣り合うU相の内側コイル11UとV相の内側コイル11Vとの間に、配置される。
【0029】
また、本実施形態では、内側コイル11のそれぞれのコイル巻線は、外側コイル12のそれぞれのコイル巻線とは異なる材料から、形成される。このため、内側コイル11のそれぞれのコイル巻線の電気抵抗は、外側コイル12のそれぞれのコイル巻線の電気抵抗とは異なる。そして、内側コイル11のそれぞれのコイル巻線の電気抵抗は、外側コイル12のそれぞれのコイル巻線の電気抵抗に比べて、高い。
【0030】
本実施形態では、前述のように、内側コイル11及び外側コイル12の2種類のコイルの中で、内側コイル11が、回転子2に近い側に配置される一方である第1のコイルとなり、外側コイル12が、回転子2から遠い側に配置される一方である第2のコイルとなる。したがって、第1のコイルである内側コイル11のそれぞれでは、第2のコイルである外側コイル12のそれぞれに比べて、コイル巻線の電気抵抗が高い。ある一例では、第2のコイルである外側コイル12のそれぞれのコイル巻線は、銅から形成され、第1のコイルである内側コイル11のそれぞれのコイル巻線は、電気抵抗が銅の1.64倍程度となるアルミニウムから形成される。
【0031】
なお、内側コイル層7では、複数の内側コイル11のコイル巻線の電気抵抗は、互いに対して同一であってもよく、互いに対して異なってもよい。 そして、外側コイル層8では、複数の外側コイル12のコイル巻線の電気抵抗は、互いに対して同一であってもよく、互いに対して異なってもよい。ただし、本一例では、複数の内側コイル11のコイル巻線の電気抵抗が互いに対して異なる場合、及び、複数の外側コイル12のコイル巻線の電気抵抗が互いに対して異なる場合等でも、内側コイル11のそれぞれのコイル巻線の電気抵抗は、外側コイル12のそれぞれのコイル巻線の電気抵抗より、高い。
【0032】
また、内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれでは、電動機1の周方向についてのコイル辺部15の中央位置E1が規定されるとともに、電動機1の周方向についてのコイル辺部16の中央位置E2が規定される。そして、内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれでは、電動機1の周方向についてのコイル辺部15の中央位置E1とコイル辺部16の中央位置E2との間の角度が、コイルピッチαとして規定される。
【0033】
本実施形態のある一例では、内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれでは、コイルピッチαは、全周に相当する角度である360°を内側コイル11及び外側コイル12の総数で除算した角度αref以上となる。例えば、図1乃至図3の一例のように内側コイル11及び外側コイル12の総数が12個となる構成では、角度αrefは30°となり、内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれのコイルピッチαは、30°以上となることが好ましい。
【0034】
また、前述したコイルピッチαとして、内側コイル11のそれぞれのコイルピッチα1、及び、外側コイル12のそれぞれのコイルピッチα2を規定する。本実施形態のある一例では、内側コイル11のそれぞれのコイルピッチα1は、外側コイル12のそれぞれのコイルピッチα2とは、異なる。そして、内側コイル11のそれぞれのコイルピッチα1は、外側コイル12のそれぞれのコイルピッチα2より、大きい。前述のよう構成であるため、本一例では、回転子2に近い側に配置される第1のコイルである内側コイル11のそれぞれでは、回転子2から遠い側に配置される第2のコイルである外側コイル12のそれぞれに比べて、コイルピッチαが大きい。
【0035】
なお、内側コイル層7では、複数の内側コイル11のコイルピッチα1は、互いに対して同一であってもよく、互いに対して異なってもよい。そして、外側コイル層8では、複数の外側コイル12のコイルピッチα2は、互いに対して同一であってもよく、互いに対して異なってもよい。ただし、本一例では、複数の内側コイル11のコイルピッチα1が互いに対して異なる場合、及び、複数の外側コイル12のコイルピッチα2が互いに対して異なる場合等でも、内側コイル11のそれぞれのコイルピッチα1は、外側コイル12のそれぞれのコイルピッチα2より、大きい。
【0036】
また、前述した巻回数Nとして、内側コイル11のそれぞれの巻回数N1、及び、外側コイル12のそれぞれの巻回数N2を規定する。本実施形態のある一例では、内側コイル11のそれぞれの巻回数N1は、外側コイル12のそれぞれの巻回数N2とは、異なる。そして、内側コイル11のそれぞれの巻回数N1は、外側コイル12のそれぞれの巻回数N2より、多い。前述のよう構成であるため、本一例では、回転子2に近い側に配置される第1のコイルである内側コイル11のそれぞれでは、回転子2から遠い側に配置される第2のコイルである外側コイル12のそれぞれに比べて、巻回数Nが多い。
【0037】
なお、内側コイル層7では、複数の内側コイル11の巻回数N1は、互いに対して同一であってもよく、互いに対して異なってもよい。そして、外側コイル層8では、複数の外側コイル12の巻回数N2は、互いに対して同一であってもよく、互いに対して異なってもよい。ただし、本一例では、複数の内側コイル11の巻回数N1が互いに対して異なる場合、及び、複数の外側コイル12の巻回数N2が互いに対して異なる場合等でも、内側コイル11のそれぞれの巻回数N1は、外側コイル12のそれぞれの巻回数N2より、多い。
【0038】
前述のように本実施形態では、固定子3において、内側コイル層7の外周側に外側コイル層8が設けられ、二層のコイル層が形成される。そして、内側コイル層7では、コアレスの複数の内側コイル11が、周方向に並んで配置され、外側コイル層8では、コアレスの複数の外側コイル12が、内側コイル11と接触しない状態で、周方向に並んで配置される。このような構成にすることにより、回転子2に近い領域及び回転子2から遠い領域の両方に、固定子3のコイルが配置される。
【0039】
また、本実施形態では、内側コイル11のそれぞれのコイル巻線は、外側コイル12のそれぞれのコイル巻線とは異なる材料から形成される。ここで、回転電機である電動機1では、回転子2に設けられる磁石(永久磁石)6等によって、回転子に起因する磁界が発生し、回転子2に起因する磁束が、固定子3の内側コイル11及び外側コイル12を鎖交する。また、回転子2において誘起した起電力によって回転子2を回転させる構成においても、回転子2において誘起した起電力に起因する磁界が発生し、回転子2起因する磁束が、固定子3の内側コイル11及び外側コイル12を鎖交する。そして、固定子3の内側コイル11及び外側コイル12では、回転子2に起因する磁束が鎖交することにより、渦電流損及び循環電流損等の交流損失が発生する。
【0040】
本実施形態のように固定子3の内周側に回転子2が配置される構成では、回転子2に近い側に配置される第1のコイルである内側コイル11において、回転子2に起因する磁束の鎖交磁束量が増加し、回転子2に起因する磁束の影響が大きくなる。本実施形態では、内側コイル11と外側コイル12とでコイル巻線の材料が異なるため、回転子2に起因する磁束の鎖交によって発生する交流損失を低減可能な材料を、内側コイル11の材料として選択可能となる。これにより、内側コイル11を含む固定子3のコイルでの交流損失を低減可能となる。
【0041】
また、本実施形態では、回転子2に近い側に配置される第1のコイルである内側コイル11のそれぞれにおいて、回転子2から遠い側に配置される第2のコイルである外側コイル12のそれぞれに比べて、コイル巻線の電気抵抗が高い。これにより、回転子2に起因する磁束の影響が大きくなる内側コイル11において、回転子2に起因する磁束の鎖交によって発生する交流損失が、適切に低減される。特に、回転子2に近い側に配置される第1のコイルである内側コイル11のそれぞれにおいて、電気抵抗が銅等より高いアルミニウムからコイル巻線を形成することにより、内側コイル11で発生する交流損失が、さらに適切に低減される。電動機1では、内側コイル11を含む固定子3のコイルで発生する交流損失を低減することにより、回転子2を回転させるトルクが増大し、電動機1のトルク特性が向上する。
【0042】
また、回転子2から遠い側に配置される第2のコイルである外側コイル12では、回転子2に起因する磁束の影響が小さい。このため、第2のコイルである外側コイル12のそれぞれのコイル巻線を、電気抵抗が低い銅等から形成しても、外側コイル12での交流損失が低減される。そして、外側コイル12のそれぞれにおいてコイル巻線の電気抵抗が低くなることにより、外側コイル12での直流損失が低減され、外側コイル12を含む固定子3のコイルで発生する直流損失が、適切に低減される。電動機1では、固定子3のコイルでの直流損失を交流損失に加えて低減することにより、回転子2を回転させるトルクがさらに増大し、電動機1のトルク特性がさらに向上する。
【0043】
また、本実施形態のある一例では、内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれのコイルピッチαは、360°を内側コイル11及び外側コイル12の総数で除算した角度αref以上となる。これにより、電動機1の周方向について内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれが占有する角度範囲が増大し、固定子3において内側コイル11及び外側コイル12が占有する領域が増大する。内側コイル11及び外側コイル12が占有する領域が増大することにより、固定子3の内側コイル11及び外側コイル12への電圧の印加によって発生する回転磁界において、内側コイル11及び外側コイル12と鎖交する鎖交磁束量を増加させることが可能になる。電動機1では、内側コイル11及び外側コイル12との鎖交磁束量が増加することにより、回転子2を回転させるトルクがさらに増大し、電動機1のトルク特性がさらに向上する。
【0044】
また、本実施形態のある一例では、回転子2に近い側に配置される第1のコイルである内側コイル11のそれぞれにおいて、回転子2から遠い側に配置される第2のコイルである外側コイル12のそれぞれに比べて、コイルピッチαが大きい。回転子2が固定子3に対して内周側に位置する構成では、回転子2に近い側に配置される第1のコイルである内側コイル11のそれぞれのコイルピッチα1を大きくすることにより、発生する回転磁界において、回転子2に近い位置でのコイル(内側コイル11)との鎖交磁束量が増加する。これにより、回転子2を回転させるトルクがさらに増大し、電動機1のトルク特性がさらに向上する。
【0045】
また、本実施形態のある一例では、回転子2に近い側に配置される第1のコイルである内側コイル11のそれぞれにおいて、回転子2から遠い側に配置される第2のコイルである外側コイル12のそれぞれに比べて、巻回数Nが多い。回転子2が固定子3に対して内周側に位置する構成では、回転子2に近い側に配置される第1のコイルである内側コイル11のそれぞれの巻回数N1を多くすることにより、内側コイル11のそれぞれのコイルピッチα1を、適切に増大可能となる。
【0046】
(変形例)
なお、前述の実施形態等では、回転子2は固定子3の内周側に配置されるが、ある変形例では、電動機1において、固定子3の外周側に回転子2が配置される。この場合も、固定子3は、前述の実施形態等と同様に、内側コイル層7及び外側コイル層8を備える。ただし、本変形例では、内側コイル11及び外側コイル12の2種類のコイルの中で外側コイル12が、回転子2に近い側に配置される一方である第1のコイルとなる。そして、内側コイル11及び外側コイル12の2種類のコイルの中で内側コイル11が、回転子2から遠い側に配置される一方である第2のコイルとなる。
【0047】
したがって、本変形例では、回転子2に近い側に配置される第1のコイルである外側コイル12のそれぞれにおいて、回転子2から遠い側に配置される第2のコイルである内側コイル11のそれぞれに比べて、コイル巻線の電気抵抗が高い。例えば、第2のコイルである内側コイル11のそれぞれのコイル巻線は、銅から形成され、第1のコイルである外側コイル12のそれぞれのコイル巻線は、銅より電気抵抗が高いアルミニウムから形成される。
【0048】
回転子2が固定子3に対して外周側に位置する構成では、回転子2に近い側に配置される第1のコイルである外側コイル12のそれぞれのコイル巻線の電気抵抗を高くすることにより、回転子2に起因する磁束の影響が大きくなる外側コイル12において、回転子2に起因する磁束の鎖交によって発生する交流損失が、適切に低減される。このため、本変形例でも、固定子3のコイルで発生する交流損失が、低減される。これにより、回転子2を回転させるトルクが増大し、電動機1のトルク特性が向上する。
【0049】
また、本変形例では、回転子2から遠い側に配置される第2のコイルである内側コイル11において、回転子2に起因する磁束の影響が小さい。このため、第2のコイルである内側コイル11のそれぞれのコイル巻線の電気抵抗を低くしても、内側コイル11での交流損失が低減される。 そして、内側コイル11のそれぞれにおいてコイル巻線の電気抵抗が低くなることにより、内側コイル11での直流損失が低減され、固定子3のコイルで発生する直流損失が、適切に低減される。これにより、回転子2を回転させるトルクがさらに増大し、電動機1のトルク特性がさらに向上する。
【0050】
また、本変形例でも、内側コイル層7の複数の内側コイル11及び外側コイル層8の複数の外側コイル12のそれぞれのコイルピッチαは、360°を内側コイル11及び外側コイル12の総数で除算した角度αref以上となることが、好ましい。これにより、固定子3において内側コイル11及び外側コイル12が占有する領域が増大し、発生する回転磁界において、内側コイル11及び外側コイル12と鎖交する鎖交磁束量を増加させることが可能になる。
【0051】
また、本変形例では、回転子2に近い側に配置される第1のコイルである外側コイル12のそれぞれにおいて、回転子2から遠い側に配置される第2のコイルである内側コイル11のそれぞれに比べて、コイルピッチαが大きいことが、好ましい。回転子2が固定子3に対して外周側に位置する構成では、回転子2に近い側に配置される第1のコイルである外側コイル12のそれぞれのコイルピッチα2を大きくすることにより、発生する回転磁界において、回転子2に近い位置でのコイル(外側コイル12)との鎖交磁束量が増加する。これにより、回転子2を回転させるトルクがさらに増大し、電動機1のトルク特性がさらに向上する。
【0052】
また、本変形例では、回転子2に近い側に配置される第1のコイルである外側コイル12のそれぞれにおいて、回転子2から遠い側に配置される第2のコイルである内側コイル11のそれぞれに比べて、巻回数Nが多いことが、好ましい。回転子2が固定子3に対して外周側に位置する構成では、回転子2に近い側に配置される第1のコイルである外側コイル12のそれぞれの巻回数N2を多くすることにより、外側コイル12のそれぞれのコイルピッチα2を、適切に増大可能となる。
【0053】
また、前述の実施形態等の電動機1での固定子3の固定子構造は、発電機での固定子の固定子構造としても、適用可能である。発電機では、回転子を回転することにより、回転磁界が発生する。そして、回転子の回転によって発生する回転磁界により、固定子のコイルとなる前述の内側コイル11及び外側コイル12に電圧(起電力)を誘起する。
【0054】
発電機の固定子構造でも、固定子3は、内側コイル層7及び外側コイル層8を備え、内側コイル層7の複数の内側コイル11では、外側コイル層8の複数の外側コイル12とは、コイル巻線が異なる材料から形成される。そして、内側コイル11及び外側コイル12の中で回転子2に近い側に配置される一方である第1のコイルのそれぞれにおいて、内側コイル11及び外側コイル12の中で回転子2から遠い側に配置される第2のコイルのそれぞれに比べて、コイル巻線の電気抵抗が高い。これにより、回転子2に起因する磁束の影響が大きくなる第1のコイルにおいて、回転子2に起因する磁束の鎖交によって発生する交流損失が、適切に低減される。このため、固定子3のコイルで発生する交流損失が、低減される。発電機では、固定子のコイルにおいて交流損失を低減することにより、内側コイル11及び外側コイル12において誘起される電圧を増大する。
【0055】
また、発電機の固定子構造でも、回転子2から遠い側に配置される第2のコイルにおいて、回転子2に起因する磁束の影響が小さい。このため、第2のコイルのそれぞれのコイル巻線の電気抵抗を低くしても、第2のコイルでの交流損失が低減される。 そして、第2のコイルのそれぞれにおいてコイル巻線の電気抵抗が低くなることにより、第2のコイルでの直流損失が低減され、固定子3のコイルで発生する直流損失が、適切に低減される。これにより、内側コイル11及び外側コイル12(固定子3のコイル)において誘起される電圧が、さらに向上する。
【0056】
また、発電機の固定子構造でも、内側コイル11及び外側コイル12のそれぞれのコイルピッチαは、360°を内側コイル11及び外側コイル12の総数で除算した角度αref以上となることが、好ましい。これにより、固定子3において内側コイル11及び外側コイル12が占有する領域が増大し、回転子2の回転によって発生する回転磁界において、内側コイル11及び外側コイル12と鎖交する鎖交磁束量を増加させることが可能になる。発電機では、内側コイル11及び外側コイル12との鎖交磁束量が増加することにより、内側コイル11及び外側コイル12(固定子3のコイル)において誘起される電圧が、適切に増大する。
【0057】
また、発電機の固定子構造でも、内側コイル11及び外側コイル12の中で回転子2に近い側に配置される一方である第1のコイルのそれぞれにおいて、内側コイル11及び外側コイル12の中で回転子2から遠い側に配置される第2のコイルのそれぞれに比べて、コイルピッチαが大きいことが、好ましい。そして、第1のコイルのそれぞれにおいて、第2のコイルのそれぞれに比べて、巻回数Nが多いことが、好ましい。発電機の固定子構造では、回転子2に近い側に配置される第1のコイルのそれぞれのコイルピッチを大きくすることにより、発生する回転磁界において、回転子2に近い位置でのコイルとの鎖交磁束量が増加する。これにより、固定子3のコイルにおいて誘起される電圧が、さらに増大する。
【0058】
これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例によれば、内側コイル層では、コアレスの複数の内側コイルが、周方向に並んで配置され、外側コイル層では、内側コイル層の外周側に内側コイルと接触しない状態で、コアレスの複数の外側コイルが、周方向に並んで配置される。そして、内側コイルのそれぞれのコイル巻線は、外側コイルのそれぞれのコイル巻線とは異なる材料から形成される。これにより、固定子のコイルでの交流損失を低減可能な回転電機における固定子構造を提供することができる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1…電動機、2…回転子、3…固定子、7…内側コイル層、8…外側コイル層、11(11U,11V,11W)…内側コイル、12(12U,12V,12W)…外側コイル、P…回転軸、B…巻回軸、α(α1,α2)…コイルピッチ、αref…角度、N(N1,N2)…巻回数。
図1
図2
図3
図4