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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097262
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】飛行艇
(51)【国際特許分類】
   B64C 35/00 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
B64C35/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000717
(22)【出願日】2023-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】594155883
【氏名又は名称】小林 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆
(57)【要約】
【課題】より簡易な構成で水上航行時の造波抵抗を低減させ、効率的に離水速度まで加速させることのできる飛行艇を提供する。
【解決手段】胴体2は、上下方向から見たときに前後方向に延びる板状に形成されていて、かつ、左右方向から見たときに中央部22が膨らむ流線型に形成され、胴体2の左端部と右端部に、胴体2の前後方向に延びる側板5,5が、胴体2の下面よりも下方に突出するようにそれぞれ立設され、上記胴体2の後端部23であって、左端部に立設された側板5と、右端部に立設された側板5との間に、水平尾翼が揺動自在に支持されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体と、
該胴体に設けられた主翼と、
上記胴体の上面に設けられた推進機とを有し、
水上で停止しているときには上記胴体が水面に浮き、水上で前進しているときには上記胴体が揚力を受けて水面から浮上する飛行艇において、
上記胴体は、前後方向に沿う断面において中央部が膨らむ流線型をなした板状に形成され、
上記胴体の左端部と右端部に、該胴体の前後方向に延びる側板が、上記胴体の下面よりも下方に突出するようにそれぞれ立設され、
上記胴体の後端部の上面に、一対の垂直尾翼が揺動自在に支持され、
上記主翼及び推進機は、いずれも、上記胴体の前後方向の上記中央部に設けられ、
上記胴体の後端部であって、上記左端部に立設された側板と、上記右端部に立設された側板との間に、水平尾翼が揺動自在に支持されていることを特徴とする飛行艇。
【請求項2】
上記側板の後端部が、上記胴体の後端部よりも後方に延出していることを特徴とする請求項1に記載の飛行艇。
【請求項3】
上記主翼は、上記胴体の中央部左側と該胴体の中央部右側にそれぞれ設けられており、上記胴体の上面よりも上方に配され、左右方向に延びる主翼本体と、該主翼本体の基端側に形成されていて、該胴体の中央部の上面に立設される主翼基部とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の飛行艇。
【請求項4】
上記胴体の中央部に、水を貯留するための貯留水槽と、該貯留水槽への給排水をするための給排水口と、該給排水口を開閉するための開閉機構と、上記貯留水槽と連通し、該貯留水槽内の気体を上記胴体の外部に排出するための通気口とが設けられ、
上記通気口は上記胴体の上面に設けられ、
上記給排水口は上記胴体の下面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の飛行艇。
【請求項5】
上記開閉機構は、上記給排水口の開口方向に往復動する駆動ロッドを有するシリンダーと、該駆動ロッドの先端側に設けられた弁体と、上記給排水口の周壁に形成された弁座とを有し、上記弁体と弁座との接離により、上記給排水口を開閉することを特徴とする請求項4に記載の飛行艇。
【請求項6】
上記貯留水槽は、下面に近づくにつれて平面方向の断面積が増大するように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の飛行艇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胴体の形状を飛行機の翼で採用されている流線形状とした飛行艇に関するものであり、水上で停止しているときには胴体に浮力が働くことで水面に浮き、水上で前進しているときには胴体と主翼に揚力が働くことで胴体が浮上して、離水することのできる飛行艇に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、水上で停止しているときには胴体に浮力が働くことで水面に浮き、水上で前進しているときには胴体と主翼に揚力が働くことで胴体が浮上して、離水することのできる飛行艇が知られている。例えば、特許文献1には、水上で離水時において上向きの揚力を発生させるための水中翼を艇底部の前方と後方にそれぞれ設け、この揚力によって機体を水面よりも上方に浮き上がらせることで、離水時における造波抵抗を低減させる飛行艇が開示されている。しかし、特許文献1の飛行艇は、飛行艇の艇底部の前方と後方に水中翼を設けているため、構造が複雑になり、製造コストも高くなる。
【0003】
このような課題に対して、本発明者は、簡単な構成で、離水時における推進抵抗を低減させる飛行艇を得るべく、鋭意検討を行った。その結果、機体の下面に気流の通路を形成し、この気流の圧力を上昇させて機体に揚力を得ることで、機体が水面から浮上し、それにより離水時における造波抵抗が低減することを見いだした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-167792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はかかる知見に基づくものであり、本発明の技術的課題は、より簡易な構成で水上航行時の造波抵抗を低減させ、効率的に離水速度まで加速させることのできる飛行艇を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の飛行艇は、胴体と、該胴体に設けられた主翼と、上記胴体の上面に設けられた推進機とを有し、水上で停止しているときには上記胴体が水面に浮き、水上で前進しているときには上記胴体が揚力を受けて水面から浮上する飛行艇において、上記胴体は、前後方向に沿う断面において中央部が膨らむ流線型をなした板状に形成され、上記胴体の左端部と右端部に、該胴体の前後方向に延びる側板が、上記胴体の下面よりも下方に突出するようにそれぞれ立設され、上記胴体の後端部の上面に、一対の垂直尾翼が揺動自在に支持され、上記主翼及び推進機は、いずれも、上記胴体の前後方向の上記中央部に設けられ、上記胴体の後端部であって、上記左端部に立設された側板と、上記右端部に立設された側板との間に、水平尾翼が揺動自在に支持されていることを特徴とするものである。
【0007】
この場合において、上記側板の後端部は、上記胴体の後端部よりも後方に延出していることが好ましい。
また、上記主翼は、上記胴体の中央部左側と該胴体の中央部右側にそれぞれ設けられており、上記胴体の上面よりも上方に配され、左右方向に延びる主翼本体と、該主翼本体の基端側に形成されていて、該胴体の中央部の上面に立設される主翼基部とを有していてもよい。
【0008】
また、この飛行艇は、上記胴体の中央部に、水を貯留するための貯留水槽と、該貯留水槽への給排水をするための給排水口と、該給排水口を開閉するための開閉機構と、上記貯留水槽と連通し、該貯留水槽内の気体を上記胴体の外部に排出するための通気口とが設けられ、上記通気口は上記胴体の上面に設けられ、上記給排水口は上記胴体の下面に設けられていてもよい。
この場合において、上記開閉機構は、上記給排水口の開口方向に往復動する駆動ロッドを有するシリンダーと、該駆動ロッドの先端側に設けられた弁体と、上記給排水口の周壁に形成された弁座とを有し、上記弁体と弁座との接離により、上記給排水口を開閉するものであってもよい。
また、上記貯留水槽は、下面に近づくにつれて平面方向の断面積が増大するように形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の飛行艇は、胴体の左端部と右端部のそれぞれに側板が立設されているため、水上での前進時に、水面と胴体と側板とで囲まれた空間に空気が押し込まれれて気流通路が形成される。そして、この気流通路を通る空気によって、胴体に揚力が発生し、胴体を水面から浮上させることができる。
また、本発明の飛行艇は、胴体を水面から浮上させた状態で、飛行艇の速度を離水速度まで上昇させた時に、水平尾翼を下方向に揺動させることで、この気流通路の圧力が上昇し、それにより胴体にかかる揚力を増大させることができる。そのため、胴体が安定的に水面から浮上し、側板に生じる造波抵抗を低減させることができる。そして、この胴体が安定的に水面から浮上した状態で水平尾翼を上に上げることで、胴体が上向きとなり、胴体と主翼が揚力を受けるため、飛行艇を離水させることができる。
したがって、本発明によれば、従来よりも簡易な構成で、水上航行時の造波抵抗を少なくし、効率的に離水させることのできる飛行艇を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る飛行艇の平面図である。
図2】本発明に係る飛行艇の側面図である。
図3】本発明に係る飛行艇の正面図である。
図4】本発明に係る飛行艇が水上に浮いている状態を示す図である。
図5図4に示す飛行艇が水面から浮上している状態を示す図である。
図6図4に示す飛行艇が離水している状態を示す図である。
図7図4に示す飛行艇が空中を上昇している状態を示す図である。
図8図4に示す飛行艇が水平飛行をしている状態を示す図である。
図9図4に示す飛行艇が着水している状態を示す図である。
図10】本発明に係る消防用の飛行艇の平面図である。
図11】本発明に係る消防用の飛行艇の側面図である。
図12】本発明に係る消防用の飛行艇の正面図である。
図13】消防用の飛行艇の給排水口を閉じた状態を示す図である。
図14】消防用の飛行艇の給排水口を開いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図1から図9に基づいて、本発明に係る飛行艇の実施形態について説明する。
図1から図3に示すように、本実施形態の飛行艇1は、胴体2と、胴体2の前後方向の中央付近に位置する中央部22に設けられた一対の主翼3,3と、胴体2の中央部22に設けられた推進機4と、胴体2の左端部と右端部にそれぞれ設けられた一対の側板5,5とを有している。また、胴体2の後端部23には、一対の垂直尾翼6,6と水平尾翼7(フラップ)が設けられている。
【0012】
胴体2は、前後方向に沿う断面において中央部22が膨らむ流線型をなした板状に形成されている。より詳細には、胴体2は、前端に向かって薄くなるように形成されている前端部21と、胴体2の後端に向かって薄くなるように形成されている後端部23と、この前端部21と後端部23との間に位置していて、前端部21及び後端部23よりも厚みのある中央部22とを有している。そして、胴体2の上面24は、前端部21及び後端部23から中央部22に向かうにつれて上側に膨らみ、中央部22で概ね水平となるように形成されている。その一方で、胴体2の下面25は、前端部21から後端部23まで水平に形成されている。
【0013】
主翼3は胴体2の中央部22の左側と右側にそれぞれ設けられており、いずれの主翼3,3も、胴体2に対して略平行かつ左右方向に延びるように形成されている。これらの主翼3,3は、胴体2の上面24に対して平行に設けられた主翼本体31,31と、この主翼本体31,31の基端に形成されていて、胴体2の中央部22の上面24から斜め上方に立設される主翼基部32,32とを有している。主翼本体31,31は、上記中央部22よりも上方であって、垂直尾翼6,6の頂部よりもわずかに高い位置に配されている。また、主翼本体31,31には、飛行艇1の左右の傾きを制御するためのエルロン33,33が揺動自在に支持されている。
【0014】
この左側の主翼3と右側の主翼3との間には、飛行艇1を前進させるための推進機4が配置されている。この推進機4は、中央部22の上面24であって、この飛行艇1の重心付近に設けられている。なお、本実施形態では、推進機4にプロペラが用いられているが、プロペラの代わりにジェットエンジンを用いても良い。
【0015】
側板5,5は舟形に形成されており、胴体2の下面25の左端及び右端にそれぞれ立設されている。この側板5,5は胴体2の前後方向に延びていて、その長さは、胴体2の前後方向の長さとほぼ同一の長さである。そして、この側板5,5は、側面視においてその下辺が上辺に対してわずかに後端側に位置する略平行四辺形状を有している。すなわち、この側板5,5は、その後端において下方が胴体2の後端よりも後方に突出するように形成されている。
【0016】
垂直尾翼6,6は、上下方向から見て、側板5,5よりもわずかに内側に位置するように、胴体2の後端部23の左端側と右端側にそれぞれ設けられている。これらの垂直尾翼6,6には、飛行艇1の機首(胴体2の前端部21)を左右方向に向かせるための方向舵61,61が揺動自在にそれぞれ支持されている。また、上記後端部23における垂直尾翼6,6の間には、飛行艇1の機首を上下方向に向かせるための水平尾翼7が揺動自在に支持されている。
【0017】
次に、図4から図9に基づいて、上記構成を有する飛行艇1の離水から着水までについて説明する。図4に示すように、飛行艇1は、停止時又は低速飛行時には、通常の船と同様に胴体2が水上に浮いた状態を保持している。そして、この状態から推進機4の推進力により前進速度を上昇させると、流線形に形成された胴体2の下側と水面Sとの間に空気が押し込まれ、胴体2の下面25と側板5,5と水面Sとによって空気の流路が形成されて、胴体2に揚力が生じる。そのため、図5に示すように、胴体2が水面から浮上する。そして、所定の速度となったところで水平尾翼7を下方向に移動させると、胴体2や主翼3,3にかかる揚力で、胴体2を水面Sからさらに浮上させることができる。したがって、胴体2を水面Sから浮上させることで、水上走行時における造波抵抗を減少させることができる。
そして、胴体2を水面Sから浮上させた状態を保持しながらさらに前進速度を上昇させ、離水速度(時速200~250キロメートル)になったところで水平尾翼7を上方向に移動させると、図6図7に示すように胴体2が上向きになることで、胴体2の下面25で前方からの空気の流れを受けるため、胴体2に大きな揚力が生じ、飛行艇1を離水させることができる。
【0018】
離水後、飛行艇1が所定の高度に達したら、図8に示すように、水平尾翼7を水平に戻すことで、胴体2の後端部23を上に押し上げて、水平飛行に移行する。水平飛行では、水平尾翼7を上下方向に揺動することで機首の上げ下げを制御し、エルロン33,33を上下方向に揺動することで胴体2の回転運動を制御し、垂直尾翼6,6を左右方向に揺動することで機首の左右方向を制御する。
【0019】
次に、水平飛行から着水する場合には、まず、推進機4の推進力を落とすことで、飛行艇1の飛行速度を下げ、胴体2の水平を保ったまま飛行艇1の高度を下げる。そして、飛行艇1の高度を水面S近くまで下げたら、図9に示すように、水平尾翼7を上方向に揺動させて機首を上向きにし、この機首を上向きにした状態で、着水する。そして、側板5,5の後端部が着水した時に、水平尾翼7を水平に戻し、胴体を水平方向に戻す。着水後は、推進機4の出力を下げることで、飛行艇1の速度を徐々に落とし、停止する。
【0020】
このように、本実施形態の飛行艇1によれば、水上走行時に胴体2を水面Sから浮上させることで、側板5,5のみを水面Sに接触させながら水上走行をすることができるため、造波抵抗を低減することができ、水上走行時においてより効率的に離水速度まで加速させることができる。
【0021】
次に、図10から図14に基づいて、本発明に係る飛行艇の他の実施形態である消防用の飛行艇について説明する。なお、この消防用の飛行艇の説明にあたり、上述した飛行艇1と共通する構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の消防用の飛行艇1Aは、上述した飛行艇1と同様に、胴体2と、一対の主翼3,3と、推進機4と、一対の側板5,5と、一対の垂直尾翼6,6と、水平尾翼7を有している。また、胴体2の中央部22には、水を貯留するための貯留水槽8が設けられている。
【0022】
貯留水槽8は、中央部22の内部に形成されていて、胴体2の下面25を収容壁の一部としている。そして、貯留水槽8は、下面25に近づくにつれて平面方向の断面積が増大するように、左右側から見て略台形状に形成されるとともに、前後方向から見て蒲鉾状に形成されている。また、貯留水槽8の上部には、貯留水槽8と連通していて、貯留水槽8内の気体を胴体2の外部に排出するための通気口9が設けられている。
【0023】
貯留水槽8の収容壁を構成する胴体2の下面25には、貯留水槽8への給排水をするための給排水口10が設けられている。この給排水口10は、貯留水槽8の後方であって、推進機4や主翼3,3よりもわずかに後方の位置に設けられている。また、この貯留水槽8の後方には、この給排水口10を開閉するための開閉機構11が設けられている。この開閉機構11は、貯留水槽8の外側に配されていて、給排水口10の開口方向に往復動する駆動ロッド12を有する油圧式のシリンダー13と、駆動ロッド12の先端側に設けられた弁体14と、給排水口10の周壁に形成された弁座15とを有しており、弁体14と弁座15との接離により、給排水口10を開閉することを可能とする機構である。
【0024】
駆動ロッド12は、貯留水槽8の上壁部8aに設けられた挿通孔16を挿通して、貯留水槽8内での往復動を可能とするものであり、この挿通孔16には、この操作ロッド12と挿通孔16との間を封止するグランドパッキン17が挿入されている。また、給排水口10と弁体14とは左右方向に延びる長方形状に形成されていて、上下方向から見た弁体14の中心に、駆動ロッド12が取り付けられている。
【0025】
次に、この消防用の飛行艇1Aの離水から着水について説明する。図11図12に示すように、飛行艇1Aは、水上での停止時において、貯留水槽8の上面が水面Sとほぼ面一になるように、胴体2の下側が水中に沈んだ状態で、水上に浮いている。すなわち、飛行艇1Aの給排水口10は水中に位置しているため、水上での停止時に給排水口10を開くことで、貯留水槽8への給水が可能となる。また、貯留水槽8への給水が完了した後に、給排水口10を閉じることで、貯留水槽8における貯水が可能となる。
また、水上における走行、離水、飛行、及び着水については、上述の飛行艇1と同様であるが、飛行時において給排水口10を開くことで、貯留水槽8に貯留されている水を散水することが可能となる。
【0026】
次に、貯留水槽8の給排水について説明する。貯留水槽8への給水は、図14に示すように、給排水口10が水中に位置している状態で、駆動ロッド12を上昇(後退)させることで、弁体14を弁座15から離脱させて、給排水口10を開くことで行われる。このとき、貯留水槽8内の空気は通気口9を介して外部に排出されるため、貯留水槽8内の空気の圧力を逃がすことができ、給水ポンプを用いることなく、貯留水槽8への給水をすることが可能となる。
また、貯留水槽8に貯留された水の散水は、火災現場などの散水する対象物の上空において、弁体14を弁座15から離脱させて、給排水口10を開くことで行われる。このとき、貯留水槽8内に貯留されている水の減少によって、貯留水槽8内の空気圧が減少するが、通気口9から貯留水槽8に空気を取り込むことで、貯留水槽8内の空気圧を一定に保ち、スムーズな散水を可能にしている。
【0027】
このように、本実施形態の飛行艇1Aによれば、水上での停止時において、貯留水槽8の上面が水面Sとほぼ面一になるように、胴体2の下側が水中に沈んだ状態で、水上に浮いているため、給水ポンプを用いることなく、短時間で貯留水槽8への給水をすることができる。また、本実施形態の飛行艇1Aは、飛行時において、弁体14を弁座15から離脱させて、給排水口10を開くことができるため、給水から目的地での散水までの時間を短縮することができる。
【0028】
なお、本実施形態では、弁体14と弁座15との接離に油圧式のシリンダー13を用いているが、油圧式のかわりに空圧式を使用しても良い。また、この開閉機構11は、操縦席から遠隔に開閉することができるものであってもよい。
【符号の説明】
【0029】
1,1A 飛行艇
2 胴体
3 主翼
4 推進機
5 側板
6 垂直尾翼
7 水平尾翼(フラップ)
8 貯留水槽
9 通気口
10 給排水口
11 開閉機構
12 駆動ロッド
13 シリンダー
14 弁体
15 弁座
21 前端部
22 中央部
23 後端部
24 上面
25 下面
31 主翼本体
32 主翼基部
33 エルロン
61 方向舵
S 水面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14