(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097265
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】施工パネル保護具
(51)【国際特許分類】
B65D 85/46 20060101AFI20240710BHJP
B65D 57/00 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
B65D85/46
B65D57/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000724
(22)【出願日】2023-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】中園 竜之
【テーマコード(参考)】
3E066
3E096
【Fターム(参考)】
3E066AA03
3E066FA01
3E066HA05
3E066JA01
3E066NA29
3E096AA14
3E096BA24
3E096BB03
3E096CA01
3E096CB02
3E096DA23
3E096DB04
3E096DC02
3E096FA09
3E096GA11
(57)【要約】
【課題】パネル材と枠材を有する施工パネルの角部を、的確に保護することができる施工パネル保護具を提供する。
【解決手段】外壁パネル保護具10は、角部Bcを有する外装材Bと外装材Bを支持するフレームFを有する外壁パネルPの角部Bcを保護するために用いられる。外壁パネル保護具10は、フレームFに取り付けられて固定される取付固定部11と、取付固定部11から外装材Bに沿って延出し、取付固定部11がフレームFに取り付けられた際に、外装材Bの角部Bcの下端面B15と対向する保護壁部17と、を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角部を有するパネル材と該パネル材を支持する枠材を有する施工パネルの前記角部を保護するために用いられる施工パネル保護具であって、
前記枠材に取り付けられて固定される取付固定部と、
前記取付固定部から前記パネル材に沿って延出し、前記取付固定部が前記枠材に取り付けられた際に、前記パネル材の前記角部の端面と対向する保護壁部と、を備えることを特徴とする施工パネル保護具。
【請求項2】
前記取付固定部は、前記パネル材の短手方向の両端部に位置し前記パネル材の長手方向の前記端面よりも突出する枠端部に取り付けられ、
前記保護壁部は、前記角部の前記長手方向の前記端面と対向することを特徴とする請求項1に記載の施工パネル保護具。
【請求項3】
前記保護壁部は、前記取付固定部が前記枠端部に取り付けられた際に、前記角部の前記短手方向の前記端面より前記短手方向の外側に突出する第一突部を有することを特徴とする請求項2に記載の施工パネル保護具。
【請求項4】
前記施工パネル保護具は、前記第一突部と前記取付固定部を連結する補強板を備えていることを特徴とする請求項3に記載の施工パネル保護具。
【請求項5】
前記保護壁部は、前記取付固定部が前記枠端部に取り付けられた際に、前記パネル材の前記枠材と反対側のパネル面よりも前記枠材の反対側に突出する第二突部を有することを特徴とする請求項2に記載の施工パネル保護具。
【請求項6】
前記保護壁部は、前記角部に形成された雄実と対向する位置に形成された凹部と、雌実と対向する位置に形成された凸部と、の少なくともいずれか一方を有することを特徴とする請求項1に記載の施工パネル保護具。
【請求項7】
前記取付固定部は、
前記枠材に当接する当接面を有する第一当接部と、
前記第一当接部に対して前記当接面に直交する方向に変位して前記枠材と当接可能な第二当接部と、
前記第一当接部と前記第二当接部を連結する連結部と、を有し、
前記第一当接部及び前記第二当接部によって前記枠材を挟持することによって前記枠材に対して固定されることを特徴とする請求項1に記載の施工パネル保護具。
【請求項8】
前記連結部には、前記当接面に直交する方向に貫通する貫通孔が形成され、
前記貫通孔は、外周面にネジ溝を有し、
前記第二当接部は、前記貫通孔を貫通するとともに前記ネジ溝と螺合する貫通部と、前記枠材と当接する先端部と、を有し、
前記先端部は、前記第一当接部に近接する方向に突出する湾曲面を有していることを特徴とする請求項7に記載の施工パネル保護具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工パネル保護具に係り、特にパネル材と枠材を有する施工パネルを保護する施工パネル保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築物の外壁に用いられる仕上げ用の外装材として、サイディングボードが普及している。サイディングボードは、デザインのバリエーションが豊富であるという長所を有している。また、サイディングボードは、工場で予め成型された後に出荷され、建築現場に搬送される。そのため、建築現場における施工時間を短縮し、工事価格を抑制することが可能となる。一方、サイディングボードを建築現場に搬送する際の損傷を防止するための対策が必要となる。
【0003】
特許文献1には、建築パネルを建築現場に搬送する際に用いられる収容ラックが開示されている。特許文献1に開示された収容ラックは、四隅に配置された4本の支柱と、各支柱の間に架設されたパネル受け材を有しており、建築パネルは、パネル受け材によって支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された収容ラックには、建築パネルとパネル受け材の間に、緩衝材が配設されている。そのため、緩衝材によって搬送車両の走行中の振動等を吸収することができ、建築パネルの搬送中の損傷を抑制することができる。しかしながら、建築パネルの損傷を的確に抑制するために、さらなる改善が望まれていた。
【0006】
詳しく説明すると、建築パネルは、矩形形状を有するパネル材と、パネル材を支持する枠材(フレーム)から構成されている。このうち、特に、パネル材の角部に加えられる荷重による角部の損傷が懸念されていた。ここで、特許文献1に開示された収容ラックは、上述した緩衝材によって建築パネルの損傷の抑制を図ることができるものの、建築パネルの角部を的確に保護することができなかった。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、パネル材と枠材を有する施工パネルの角部を、的確に保護することができる施工パネル保護具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明の施工パネル保護具によれば、角部を有するパネル材と該パネル材を支持する枠材を有する施工パネルの前記角部を保護するために用いられる施工パネル保護具であって、前記枠材に取り付けられて固定される取付固定部と、前記取付固定部から前記パネル材に沿って延出し、前記取付固定部が前記枠材に取り付けられた際に、前記パネル材の前記角部の端面と対向する保護壁部と、を備えることにより解決される。
【0009】
上記構成によれば、施工パネル保護具は、パネル材の角部の端面と対向する保護壁部を有している。そのため、角部に対して加えられる荷重から、角部を的確に保護することが可能となる。また、施工パネル保護具は、施工パネルの枠材に対して取り付けられる。そのため、パネル材の角部に施工パネル保護具を直接取り付けることによってパネル材を損傷させてしまうことを抑制することが可能となる。
【0010】
また、前記取付固定部は、前記パネル材の短手方向の両端部に位置し前記パネル材の長手方向の前記端面よりも突出する枠端部に取り付けられ、前記保護壁部は、前記角部の前記長手方向の前記端面と対向するとよい。
上記構成によれば、パネル材の長手方向の端面より突出する枠端部に取付固定部を取り付けることによって、保護壁部を、パネル材の角部の長手方向の端面と対向する位置に位置させることができる。そのため、厚み寸法が小さいパネル材の下端部の角部を、下方から加えられる荷重から的確かつ容易に保護することが可能となる。
【0011】
また、前記保護壁部は、前記取付固定部が前記枠端部に取り付けられた際に、前記角部の前記短手方向の前記端面より前記短手方向の外側に突出する第一突部を有するとよい。
上記構成によれば、保護壁部は、施工パネルの短手方向の端面より短手方向の外側に突出する第一突部を有している。そのため、パネル材の角部を、短手方向の外側から加えられる荷重から的確に保護することが可能となる。
【0012】
また、前記施工パネル保護具は、前記第一突部と前記取付固定部を連結する補強板を備えているとよい。
上記構成によれば、第一突部と取付固定部の間に補強板が設けられているため、第一突部の強度を向上させることができる。そのため、パネル材の角部を、短手方向の外側からに加えられる荷重から的確に保護することが可能となる。
【0013】
また、前記保護壁部は、前記取付固定部が前記枠端部に取り付けられた際に、前記パネル材の前記枠材と反対側のパネル面よりも前記枠材の反対側に突出する第二突部を有するとよい。
上記構成によれば、保護壁部は、枠材と反対側のパネル面よりも枠材の反対側に突出する第二突部を有している。そのため、パネル材の角部を、枠材の反対側からに加えられる荷重から的確に保護することが可能となる。
【0014】
また、前記保護壁部は、前記角部に形成された雄実と対向する位置に形成された凹部と、雌実と対向する位置に形成された凸部と、の少なくともいずれか一方を有するとよい。
上記構成によれば、保護壁部は、角部に形成された雄実又は雌実と対応するように、それぞれ凹部又は凸部を有しているため、保護壁部を端面の近傍に位置させることができる。そのため、施工パネルの角部を的確に保護することが可能となる。
【0015】
また、前記取付固定部は、前記枠材に当接する当接面を有する第一当接部と、前記第一当接部に対して前記当接面に直交する方向に変位して前記枠材と当接可能な第二当接部と、前記第一当接部と前記第二当接部を連結する連結部と、を有し、前記第一当接部及び前記第二当接部によって前記枠材を挟持することによって前記枠材に対して固定されるとよい。
上記構成によれば、取付固定部は、第一当接部の当接面と直交する方向に対して変位する第二当接部を有している。そのため、第二当接部を変位させることによって様々な寸法を有する枠材を第一当接部及び第二当接部によって挟持し、施工パネル保護具を施工パネルに対して固定することが可能となる。
【0016】
また、前記連結部には、前記当接面に直交する方向に貫通する貫通孔が形成され、前記貫通孔は、外周面にネジ溝を有し、前記第二当接部は、前記貫通孔を貫通するとともに前記ネジ溝と螺合する貫通部と、前記枠材と当接する先端部と、を有し、前記先端部は、前記第一当接部に近接する方向に突出する湾曲面を有しているとよい。
上記構成によれば、第二当接部の貫通部はネジ溝と螺合するため、第二当接部を回転することによって第二当接部の先端部を枠材と当接する位置に容易に変位させることができる。また、第二当接部の先端部には湾曲面が形成されているため、枠材の損傷を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の施工パネル保護具によれば、パネル材と枠材を有する施工パネルの角部を、的確に保護することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】収容ラックに収容された状態の外壁パネルと外壁パネル保護具を示す図である。
【
図2】外壁パネル保護具が取り付けられた外壁パネルの正面図である。
【
図3】胴縁に固定された状態の外壁パネルの側方断面図である。
【
図4】外壁パネルに取り付けられた外壁パネル保護具の斜視図である。
【
図5】外壁パネルに取り付けられた外壁パネル保護具を下方から見た図である。
【
図6】外壁パネルに取り付けられた外壁パネル保護具を側方から見た図である。
【
図7】外壁パネルに取り付けられた外壁パネル保護具を正面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1~
図7を参照しながら、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係る外壁パネル保護具10について説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。つまり、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0020】
本発明の外壁パネル保護具10は、工場で製造された外壁パネルPの保管、又は搬送中に、外装材Bの損傷を防止し、適切に保護するために用いられる。特に、外壁パネル保護具10は、角部Bcを有する外装材Bと外装材Bを支持するフレームFを有する外壁パネルPのフレームFに取り付けられて、角部Bcを的確に保護するために用いられる。
外壁パネル保護具10は、施工パネル保護具に相当する。
【0021】
以下の説明中、「上下方向」は、建築物に設置された際の外壁パネルPの鉛直方向を意味し(
図2の上下方向)、外装材Bの長手方向と一致する。「上方」及び「下方」は、建築物に設置された際の外壁パネルPの上方及び下方と一致する。また、「左右方向」は、建築物に設置された際の外壁パネルPを屋外から正面視した際の左右方向を意味し(
図2の左右方向)、外装材Bの短手方向と一致する。また、「積層方向」は、「上下方向」及び「左右方向」と直交し、収容ラックRに収容された積層状態にある外壁パネルPの厚さ方向を意味する(
図1の上下方向)。
【0022】
<<外壁パネル保護具10の概要について>>
図1は、収容ラックRと、収容ラックRに収容された際の外壁パネルPと、外壁パネルPに取り付けられた外壁パネル保護具10と、を示している。
図1に示すように、外壁パネルPは、工場から建築現場に搬送される際に、その厚み方向が鉛直方向に沿うように複数枚が積層された状態で収容ラックRに収容される。
収容ラックRは、搬送車両の荷台に載置可能な車載ラックである。収容ラックRは、左右方向において互いに離隔する一対の基部R1と、基部R1によって支持されて、前後方向に互いに離隔する一対のパネル受け材R2と、一対のパネル受け材R2を連結する連結材R3と、を主な構成として有している。
【0023】
基部R1は、搬送車両の荷台の上面に載置されて、収容ラックR及び収容ラックRに収容された外壁パネルPを支持する役割を担う。基部R1は、長尺形状を有する角型鋼である。
【0024】
基部R1の上面には、上下方向に5段の階層を有するパネル受け材R2が組み付けられる。各階層を構成するパネル受け材R2は、前方側と後方側において、互いに離隔するように対をなしている。前方側に位置するパネル受け材R2と後方側に位置するパネル受け材R2の間には、連結材R3が介在するとともに一対のパネル受け材R2を連結している。
なお、パネル受け材R2の段数は、5段に限定されない。パネル受け材R2の段数は、4段であってもよいし、6段以上であってもよい。
【0025】
パネル受け材R2は、左右方向の両端において積層方向に延びる立設材R21と、左右の立設材R21の間に介在し、左右方向に延びる横架材R22と、を有している。
立設材R21及び横架材R22は、中空の角型鋼である。立設材R21は、上下方向の端部において互いに嵌合している。横架材R22は、上面において外壁パネルPと当接して外壁パネルPを支持する。横架材R22は、その上面に外壁パネルPを適切な載置位置に位置決めするための位置決め構造を有していてもよい。
【0026】
図1に図示されていないが、収容ラックRは、搬送車両の荷台に搭載される際に、外壁パネルPを養生するための養生シートによって覆われる。また、収容ラックRは、搬送車両の走行中の振動による影響や横ズレを防止するために、固定バンドによって締め付けられた状態で搬送車両に対して強固に固定される。このとき、固定バンドの締め付け力は、養生シートを介して外壁パネルPに及ぶこととなる。特に、収容ラックRの最上段に収容された外壁パネルPの下方であって、荷台に搭載された際に搬送車両の後方側に位置する外装材Bの角部Bcに対して、最も大きな荷重が加えられる。外壁パネル保護具10、このような荷重から外装材Bの角部Bcを保護するために用いられる。以下では、最初に外壁パネルPについて説明し、次に外壁パネル保護具10について詳しく説明する。
【0027】
<<外壁パネルPについて>>
図2は、外壁パネル保護具10が取り付けられた状態の外壁パネルP正面図を示しており、
図3は、胴縁Sに固定された状態の外壁パネルPの側方断面図を示している。
図2に示すように、外壁パネルPは、外装材Bと、フレームFと、を有している。
外装材Bは、矩形形状を有し、四隅に角部Bc(コーナー部)を有している。外装材Bは、上下方向に並べられた7枚のサイディングボードB1から構成されている。ただし、サイディングボードB1の枚数は、7枚に限定されない。サイディングボードB1は6枚以下(例えば1枚、又は2枚)であってもよいし、8枚以上であってもよい。
外装材Bは、パネル材に相当する。
【0028】
サイディングボードB1は、セメントを主な原料とし、さらに補強材である繊維質を混合して成型された窯業系の外壁パネル材である。サイディングボードB1は、設置された際に屋外側に位置する外壁面B11と、外壁面B11と対向し、屋内側に位置する内側面B12と、を有している(
図3を参照)。外壁面B11は、サイディングボードB1の意匠性、及び耐候性を高めるための加工が施されている。外壁面B11は、枠材に相当するフレームFと反対側のパネル面に相当する。
なお、サイディングボードB1は、金属、又は樹脂を主な原料とする金属系サイディングボード又は樹脂系サイディングボードであってもよい。
【0029】
図3に示すように、サイディングボードB1は、上下方向(鉛直方向)において互いに隣り合うように並べて設置され、「相じゃくり」と呼ばれる接合方法によって接合される。より詳細に説明すると、上方に位置するサイディングボードB1の下端面B15は、下方に突出する雄実B15aと、上方に窪む雌実B15bを有している。一方、下方に位置するサイディングボードB1の上端面B13は、雄実B15aと対向する位置において下方に窪む雌実B13bと、雌実B15bと対向する位置に上方に突出する雄実B13aを有している。雄実B13a及び雄実B15aは、サイディングボードB1の略半分の厚み寸法を有するように成型されている。そして、雄実B13a及び雄実B15aは、サイディングボードB1の厚み方向に互いに重なり合うように接合されて配設される。これにより、上下方向に互いに隣り合うサイディングボードB1の間に目地(隙間)が形成されることがなく、意匠性及び防水性の向上を図ることが可能となる。
【0030】
サイディングボードB1は、固定金具B2と、固定ネジB2aによって胴縁Sに対して固定される。サイディングボードB1と胴縁Sの間には、固定金具B2の寸法に対応した通気層Vが形成される。また、胴縁Sは、図示しない透湿防水シートによって被覆されている。これにより、防水性及び通気性が向上し、建築物の耐久性と快適性の向上を図ることが可能となる。
【0031】
図2に戻り、フレームFは、一対の長枠材F1と、一対の短枠材F2と、中枠材F3と、を有している。長枠材F1、短枠材F2、及び中枠材F3は、C型鋼であるがこれに限定されない。長枠材F1、短枠材F2、及び中枠材F3は、角型鋼であってもよい。長枠材F1、短枠材F2、及び中枠材F3は、外装材Bの内側面B12に固定されて、外装材Bを支持する共に、外壁パネルPの強度を高める役割を担っている。
【0032】
一対の長枠材F1は、外壁パネルPの短手方向の両端部に位置している。それぞれの長枠材F1は、外壁パネルPの長手方向(上下方向)に延びて、外装材Bの長手方向の端面より突出している。より詳細に説明すると、長枠材F1の上端部F11は、最も上方に設置されたサイディングボードB1の上端面B13より上方に突出している。一方、長枠材F1の下端部F12は、最も下方に設置されたサイディングボードB1の下端面B15より下方に突出している。下端部F12には、後述する外壁パネル保護具10が取り付けられる。
下端部F12は、枠端部に相当する。
【0033】
一対の短枠材F2は、外壁パネルPの上端部及び下端部に位置している。それぞれの短枠材F2は、外壁パネルPの短手方向(左右方向)に延びて、一対の長枠材F1を連結している。このように、長枠材F1及び短枠材F2は、矩形形状を有する外壁パネルPの周縁を囲む位置に固定されて外装材Bを支持している。
中枠材F3は、長枠材F1及び短枠材F2の内側に位置している。中枠材F3は、外装材Bの端部より外側に突出していない。中枠材F3の本数及び配置は、
図2に示す本数及び配置に限定されない。外壁パネルPが十分な強度を確保することができればよい。
【0034】
<<外壁パネル保護具10の詳細について>>
次に、
図4から
図7を参照して外壁パネル保護具10について説明する。
図4から
図7は、外壁パネルPの長枠材F1に対して取り付けられた外壁パネル保護具10を示しており、
図4、
図5、
図6及び
図7は、それぞれ斜視図、下方から見た図、側方から見た図及び正面から見た図である。
【0035】
図4及び
図5に示すように、外壁パネル保護具10は、長枠材F1に取り付けられて固定される取付固定部11と、取付固定部11から下端面B15に沿って延出する保護壁部17と、を有している。保護壁部17は、取付固定部11が長枠材F1の下端部F12に取り付けられた際に、外装材Bの角部Bcの下端面B15と対向する。
【0036】
取付固定部11は、略「コの字」形状を有している。より詳細には、取付固定部11は、長枠材F1と当接する平坦な当接面12aを有する第一腕部12と、当接面12aと直交する方向に変位して長枠材F1と当接可能なボルト15と、第一腕部12とボルト15を連結する連結部13を有している。
第一腕部12は第一当接部に相当し、ボルト15は第二当接部に相当する。
【0037】
第一腕部12、連結部13、及び後述する保護壁部17は、樹脂製であって、3Dプリンタを用いた付加製造技術によって一体に成形されている。3Dプリンタは、所望の三次元形状を示す三次元モデルデータを使用し、樹脂材料からなる複数の層を積層することによって立体的な構造物を成形する。第一腕部12、連結部13、及び保護壁部17を付加製造技術によって成型することにより、外壁パネル保護具10の軽量化及び低コスト化が可能となる。ただし、第一腕部12、連結部13、及び保護壁部17の成形方法は付加製造技術に限定されない。第一腕部12、連結部13、及び保護壁部17は、射出成型、又は注型成型によって成型されてもよい。また、第一腕部12、連結部13、及び保護壁部17は、金属製であってもよい。
【0038】
図5に示すように、第一腕部12は、左右方向に延びる当接面12aを有している。当接面12aは、平坦面であって、長枠材F1の下端部F12及び短枠材F2の左右方向の端部と当接している。第一腕部12には、付加情報が刻印されていてもよい。付加情報は、外壁パネル保護具10の利用に関する注意情報であってもよいし、外壁パネル保護具10を識別可能な識別情報であってよい。
【0039】
連結部13は、ボルト15を支持する第二腕部13aと、第一腕部12及び第二腕部13aを間に介在する垂直部13bと、から主に構成されている。
第二腕部13aには、当接面12aと直交する方向に延びる貫通孔13cが形成されている。また、第二腕部13aには、締結ナット13eを挿入可能であって、その最奥部において貫通孔13cと連接するナット挿入孔13dが形成されている。締結ナット13eは、六角ナットである。ナット挿入孔13dは、締結ナット13eの二面幅(面間幅)よりも大きく、締結ナット13eの最大幅よりも小さい幅寸法を有している。そして、締結ナット13eをナット挿入孔13dに挿入してナット挿入孔13dの最奥部に位置させることにより、貫通孔13cの中心に締結ナット13eのネジ孔の中心を位置させることができる。
【0040】
ボルト15は、頭部15aと、外周面にネジ溝が形成されたネジ本体15bと、を有している。ネジ本体15bは、締結ナット13eと螺合することができる。そのため、ボルト15を貫通孔13cに挿入し、頭部15aを工具によって回転操作することによって、ボルト15を当接面12aに対して直交する方向に変位させることができる。これにより、規格によって規定された様々な寸法を有する長枠材F1を、当接面12aとボルト15によって挟持することが可能となる。
ネジ本体15bは貫通部に相当する。
【0041】
また、ネジ本体15bの先端には、湾曲面16aを有する袋ナット16が取り付けられている。そのため、長枠材F1の下端部F12を当接面12aと袋ナット16の湾曲面16aによって挟み込んだ際に、長枠材F1の下端部F12の損傷を抑制することが可能となる。
袋ナット16は、先端部に相当する。
【0042】
保護壁部17は、取付固定部11の第一腕部12から外装材Bの下端面B15に沿って厚み方向に延出し、サイディングボードB1の角部Bcを保護する役割を担っている。より詳細に説明すると、
図6及び
図7に示すように、保護壁部17は、外装材Bの下端面B15と対向するように立設している。また、保護壁部17は、第一腕部12の全長に亘って延びている。そのため、角部Bcの下方(長手方向)から角部Bcに対して加えられる外力から外装材Bの下端面B15を的確に保護することができる。
【0043】
図6に示すように、保護壁部17は、第一腕部12より小さい厚み寸法を有している。換言すると、保護壁部17は、雄実B15aと対向する位置に形成された凹部を有している。保護壁部17は、雌実B15bと対向する位置に凸部を有していてもよい。保護壁部17が、角部Bcに形成された雄実B15a又は雌実B15bに対応するように凹部又は凸部を有することにより、保護壁部17を下端面B15の近傍に位置させることができる。これにより、外壁パネルPの下端部において略半分の厚み寸法を有し、相対的に強度が弱い部分を的確に保護することが可能となる。
【0044】
また、
図7に示すように、保護壁部17は、外装材Bの右端面B17よりも右側に突出している。より詳細には、保護壁部17は、取付固定部11が長枠材F1の下端部F12に取り付けられた際に右端面B17よりも右側に約20mm突出する第一突部17aを有している。そのため、角部Bcの右側から角部Bcに対して加えられる外力から外装材Bの右端面B17を保護することができる。なお、第一突部17aの突出量は20mmに限定されない。角部Bcの右側から角部Bcに対して加えられる外力から外装材Bの角部Bcの右端面B17を保護することができればよい。
【0045】
第一突部17aと連結部13の間には、補強リブ14が設けられている(
図5を参照)。より詳細には、第一突部17aと垂直部13bを、板状部材からなる補強リブ14が連結している。補強リブ14は、保護壁部17より大きい厚み寸法を有し、第一突部17aの破損を防止するために必要な強度を確保する役割を担っている。
補強リブ14は、補強板に相当する。
【0046】
また、
図6に示すように保護壁部17は、外装材Bの外壁面B11よりも前方(フレームFの反対側)に突出している。換言すると、保護壁部17は、取付固定部11が長枠材F1の下端部F12に取り付けられた際に、外壁面B11よりも前方側に約5mm突出する第二突部17bを有している。そのため、角部Bcの前方から角部Bcに対して加わる外力から外装材Bの外壁面B11を保護することができる。
図7に示すように、第二突部17bは、第一腕部12の全長に亘って延びている。なお、第二突部17bの突出量は5mmに限定されない。角部Bcの前方から角部Bcに対して加わる外力から外装材Bの角部Bcに位置する外壁面B11を保護することができればよい。
【0047】
<<外壁パネル保護具10の使用方法について>>
次に、外壁パネル保護具10の使用方法について説明する。
外壁パネル保護具10の使用に先立ち、外壁パネルPが収容ラックRに収容される。また、外壁パネルPは、養生シートによって収容ラックRとともに覆われるとともに、搬送車両に固定するための固定バンドによって強固に締め付けられる。このとき、外装材Bの角部Bcに対して荷重が加えられる。そのため、固定バンドによって固定される前に、外壁パネル保護具10を取り付けて外装材Bの角部Bcを保護する作業を行う必要がある。
【0048】
図1に示すように、外壁パネル保護具10は、収容ラックRに収容された複数枚の外壁パネルPのうち、最も高い位置に収容された外壁パネルPのフレームFに取り付けられる。より詳細には、外壁パネル保護具10は、短手方向の両側に位置する一対の長枠材F1のそれぞれの下端部F12に取り付けられて、外装材Bの下端側の角部Bcを保護する。これにより、養生シート及び固定バンドによる荷重が最も大きい箇所を効果的に保護することが可能となる。ただし、外壁パネル保護具10の取付位置は、これに限定されない。外装材Bの角部Bcを的確に保護することができればよく、長枠材F1の下端部F12とともに上端部F11に取り付けてもよい。また、外壁パネル保護具10は、収容ラックRの最も高い位置に収容された外壁パネルP以外の外壁パネルPのフレームFに取り付けることも可能である。
【0049】
外壁パネル保護具10を長枠材F1の下端部F12に取り付ける際には、最初に、保護壁部17が外装材Bの下端の角部Bcに対向するように、取付固定部11の第一腕部12の当接面12aを長枠材F1の下端部F12に当接させる。
次に、取付固定部11の貫通孔13cに挿通されたボルト15の頭部15aを回転操作することによって、ボルト15の先端が長枠材F1に接近するように変位される。
【0050】
続いて、ボルト15の頭部15aは、さらに回転操作される。これにより、ボルト15の先端に固定された袋ナット16の湾曲面16aが長枠材F1に当接する(
図5を参照)。換言すると、取付固定部11は、当接面12aと湾曲面16aによって長枠材F1の下端部F12を挟持することによって固定される。
【0051】
このとき、保護壁部17は、外装材Bの下端面B15の下方側において角部Bcの下端面B15と対向する。したがって、外壁パネル保護具10は、外壁パネルPの搬送中において下方から加えられる荷重から外装材Bの角部Bcを的確に保護することが可能となる。
【0052】
また、このとき、第一突部17aは、外装材Bの右端面B17よりも右側に突出している。したがって、外壁パネル保護具10は、外壁パネルPの搬送中において右側から加えられる荷重から外装材Bの角部Bcを的確に保護することが可能となる。
さらにこのとき、第二突部17bは、外装材Bの外壁面B11よりも厚み方向(フレームFと反対側)に突出している。したがって、外壁パネル保護具10は、外壁パネルPの搬送中において前方側から加えられる荷重から外装材Bの角部Bcを的確に保護することが可能となる。
【0053】
以上、本発明の一実施形態に係る外壁パネル保護具10について説明したが、上述した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
上述した実施形態では、外壁パネルPと外壁パネル保護具10について説明したが、外壁パネル保護具10の保護対象は、外壁パネルPに限定されない。外壁パネル保護具10は、その他の建築パネル、例えば建築物の内壁を構成する内壁パネル、床を構成する床パネル、又は天井を構成する天井パネルの角部Bcを保護するために用いることとしてもよい。また、外壁パネル保護具10は、建築パネル以外に、パネル面と枠材を有する施工パネルを保護するために用いることとしてもよい。
【0054】
また、上述した実施形態において、長枠材F1は、外装材Bの下端面B15より下方に突出することとして説明したが、これに限定されない。長枠材F1は、外装材Bの下端面B15より下方に突出しなくてもよい。この場合、保護壁部17は、取付固定部11が長枠材F1に取り付けられた際に、下端面B15と対向する位置まで外装材Bに沿って下方に延びる形状を有していればよい。
この場合においても、上述した実施形態と同様に、外壁パネル保護具10は、外壁パネルPの搬送中において外装材Bの角部Bcを的確に保護することが可能となる。
【0055】
また、上述した実施形態において、外壁パネル保護具10は、外装材Bの角部Bcの下端面B15、右端面B17、及び外壁面B11を保護することとして説明したが、これに限定されない。外壁パネル保護具10は、角部Bcの下端面B15及び右端面B17のいずれか一方の端面を保護することとしてもよいし、下端面B15及び右端面B17を保護することとしてもよい。
【0056】
また、上述した実施形態において、取付固定部11は、第一腕部12の当接面12aと、袋ナット16の湾曲面16aによってフレームFを挟持することによって固定されることとして説明したが、これに限定されない。取付固定部11は、フレームFに損傷を与えることなく十分な強度でフレームFに固定されればよく、ボルト15の先端に合成ゴム等の弾性部材が取り付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 外壁パネル保護具(施工パネル保護具)
11 取付固定部
12 第一腕部(第一当接部)
12a 当接面
13 連結部
13a 第二腕部
13b 垂直部
13c 貫通孔
13d ナット挿入孔
13e 締結ナット
14 補強リブ(補強板)
15 ボルト(第二当接部)
15a 頭部
15b ネジ本体(貫通部)
16 袋ナット(先端部)
16a 湾曲面
17 保護壁部
17a 第一突部
17b 第二突部
R 収容ラック
R1 基部
R2 パネル受け材
R21 立設材
R22 横架材
R3 連結材
P 外壁パネル(施工パネル)
B 外装材(パネル材)
Bc 角部
B1 サイディングボード
B11 外壁面(パネル面)
B12 内側面(パネル面)
B13 上端面
B13a 雄実
B13b 雌実
B15 下端面
B15a 雄実
B15b 雌実
B17 右端面
B2 固定金具
B2a 固定ネジ
F フレーム
F1 長枠材
F11 上端部
F12 下端部(枠端部)
F2 短枠材
F3 中枠材
S 胴縁
V 通気層