(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097271
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】処理装置、処理プログラム、及び管理システム
(51)【国際特許分類】
G01H 3/00 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
G01H3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000737
(22)【出願日】2023-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英樹
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AA12
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB15
2G064AB22
2G064BA02
2G064BD20
2G064CC43
2G064CC52
2G064DD08
2G064DD14
(57)【要約】
【課題】異常診断に伴う負荷を軽減する。
【解決手段】画像形成装置10は、動作に伴い音を発生する画像形成ユニット37Dの画像形成期間5における動作音データを取得し、取得した動作音データから画像形成ユニット37Dの異常が検知された場合、動作音データから、画像形成ユニット37D内の予め指定した指定部品の稼働期間に相当するデータを解析対象データとして抽出し、抽出した解析対象データを、指定部品の故障状態を判定する故障判定部14に出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
動作に伴い音を発生する装置の動作中における予め定めた期間の動作音データを取得し、
前記動作音データから前記装置の異常が検知された場合、前記動作音データから、前記装置に含まれる予め指定された指定部品の稼働期間に相当するデータを解析対象データとして抽出し、
抽出した前記解析対象データを、前記指定部品の故障状態を判定する判定部に出力する
処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記動作音データに含まれる周波数毎、及び時間毎の音圧レベルを表すプロファイルデータを生成し、
前記動作音データから前記装置の異常が検知された場合、前記解析対象データ及び前記プロファイルデータを、前記指定部品の故障状態を判定する判定部に出力する
請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記指定部品は、故障が発生した場合に前記装置の動作を停止させる部品である
請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記判定部を備え、
前記プロセッサは、前記判定部を用いて、前記解析対象データから前記指定部品に対する故障状態の判定を行い、
前記指定部品に対する故障状態の判定結果を管理装置に出力する
請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記指定部品の稼働期間に、前記装置に含まれる複数の部品が稼働している場合で、かつ、前記解析対象データに部品の故障発生を示す箇所が含まれる場合、前記指定部品の稼働期間に稼働する複数の部品の何れかに故障が発生していることを表す判定結果を前記管理装置に出力する
請求項4に記載の処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記判定部を用いて、前記プロファイルデータから前記指定部品の稼働期間以外の他の期間に稼働する部品の故障状態の判定を行い、
前記他の期間における部品の故障状態の判定結果を前記管理装置に出力する
請求項4に記載の処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記他の期間に前記装置に含まれる複数の部品が稼働している場合で、かつ、前記プロファイルデータに部品の故障発生を示す箇所が含まれる場合、前記他の期間に稼働する複数の部品の何れかに故障が発生していることを表す判定結果を前記管理装置に出力する
請求項6に記載の処理装置。
【請求項8】
通信回線によって接続された管理装置が前記判定部を備える場合、
前記プロセッサは、前記プロファイルデータ及び前記解析対象データを前記管理装置に出力する
請求項3に記載の処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記装置に含まれる各々の部品の動作状態を記録した動作履歴を用いて、前記装置に含まれる各々の部品の稼働期間を取得する
請求項1~請求項8の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項10】
コンピュータに、
動作に伴い音を発生する装置の動作中における予め定めた期間の動作音データを取得し、
前記動作音データから前記装置の異常が検知された場合、前記動作音データから、前記装置に含まれる予め指定された指定部品の稼働期間に相当するデータを解析対象データとして抽出し、
抽出した前記解析対象データを、前記指定部品の故障状態を判定する判定部に出力する処理を実行させるための
処理プログラム。
【請求項11】
ユーザによって指示された機能を実行する少なくとも1台の処理装置と、
各々の前記処理装置の動作状態を管理する管理装置と、
を含み、
前記処理装置に備えられた第1プロセッサは、動作に伴い音を発生する装置の動作中における予め定めた期間の動作音データを取得し、前記動作音データから前記装置の異常が検知された場合、前記動作音データから、前記装置に含まれる予め指定された指定部品の稼働期間に相当するデータを解析対象データとして抽出し、抽出した前記解析対象データを、前記指定部品の故障状態を判定する判定部に出力し、
前記管理装置に備えられた第2プロセッサは、前記判定部による判定結果を用いて前記指定部品の故障状態を前記処理装置毎に管理する
管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理装置、処理プログラム、及び管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料電池コージェネレーションシステムが動作の異常を検知した場合に、前記燃料電池コージェネレーションシステムから、前記異常に対応する、前記燃料電池コージェネレーションシステムの動作履歴に関する動作履歴データを取得する取得部と、前記取得部により取得された動作履歴データに対して、過去に得られた動作履歴データ群を、前記燃料電池コージェネレーションシステムの機能部に対応付けて機械学習又は多変量解析することにより生成され、かつ、前記燃料電池コージェネレーションシステムの機能部毎に故障の有無を判定する複数の故障診断モデルに共通の第1加工を行い、前記第1加工を行って得られたデータに対して、前記複数の故障診断モデルの各々に個別の第2加工を行う加工部と、前記複数の故障診断モデルの各々に対して、前記加工部により前記第1加工及び前記第2加工が行われたデータを入力し、前記複数の故障診断モデルの各々から出力される判定結果を用いて、前記燃料電池コージェネレーションシステムの機能部毎に故障の有無を推定する推定部と、を備えた故障診断装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、機種が異なる複数の機器を備える設備を保全する設備保全装置であって、前記設備内を移動しながら前記機器から発生する音を取得して音情報を取得する集音部と、前記機種毎に前記機器を構成する各部品の異常音モデルが登録された記憶部と、前記音情報と前記異常音モデルとを比較評価する解析処理を実行し、前記音情報から前記異常音モデルに対応する異常音が検出された場合、その異常音に対応する前記異常音モデルに紐付いた前記機種とその部品を異常と判定する異常判定部とを備えた設備保全装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-82318号公報
【特許文献2】特開2020-38411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
動作中の音から装置の異常を検知する異常診断手法が知られている。しかしながら、従来の音を用いた異常診断手法では、装置を構成する全ての部品について異常の有無を判定する。このため、装置を構成する部品の数が多いほど異常診断に伴う負荷が増加する。
【0006】
本開示は、全ての部品について異常を判定する場合に比べて、異常診断に伴う負荷を軽減できる処理装置、処理プログラム、及び管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様に係る処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、動作に伴い音を発生する装置の動作中における予め定めた期間の動作音データを取得し、前記動作音データから前記装置の異常が検知された場合、前記動作音データから、前記装置に含まれる予め指定された指定部品の稼働期間に相当するデータを解析対象データとして抽出し、抽出した前記解析対象データを、前記指定部品の故障状態を判定する判定部に出力する。
【0008】
第2態様に係る処理装置は、第1態様に係る処理装置において、前記プロセッサは、前記動作音データに含まれる周波数毎、及び時間毎の音圧レベルを表すプロファイルデータを生成し、前記動作音データから前記装置の異常が検知された場合、前記解析対象データ及び前記プロファイルデータを、前記指定部品の故障状態を判定する判定部に出力する。
【0009】
第3態様に係る処理装置は、第2態様に係る処理装置において、前記指定部品は、故障が発生した場合に前記装置の動作を停止させる部品である。
【0010】
第4態様に係る処理装置は、第3態様に係る処理装置において、前記判定部を備え、前記プロセッサは、前記判定部を用いて、前記解析対象データから前記指定部品に対する故障状態の判定を行い、前記指定部品に対する故障状態の判定結果を管理装置に出力する。
【0011】
第5態様に係る処理装置は、第4態様に係る処理装置において、前記プロセッサは、前記指定部品の稼働期間に、前記装置に含まれる複数の部品が稼働している場合で、かつ、前記解析対象データに部品の故障発生を示す箇所が含まれる場合、前記指定部品の稼働期間に稼働する複数の部品の何れかに故障が発生していることを表す判定結果を前記管理装置に出力する。
【0012】
第6態様に係る処理装置は、第4態様に係る処理装置において、前記プロセッサは、前記判定部を用いて、前記プロファイルデータから前記指定部品の稼働期間以外の他の期間に稼働する部品の故障状態の判定を行い、前記他の期間における部品の故障状態の判定結果を前記管理装置に出力する。
【0013】
第7態様に係る処理装置は、第6態様に係る処理装置において、前記プロセッサは、前記他の期間に前記装置に含まれる複数の部品が稼働している場合で、かつ、前記プロファイルデータに部品の故障発生を示す箇所が含まれる場合、前記他の期間に稼働する複数の部品の何れかに故障が発生していることを表す判定結果を前記管理装置に出力する。
【0014】
第8態様に係る処理装置は、第3態様に係る処理装置において、通信回線によって接続された管理装置が前記判定部を備える場合、前記プロセッサは、前記プロファイルデータ及び前記解析対象データを前記管理装置に出力する。
【0015】
第9態様に係る処理装置は、第1態様~第8態様の何れか1つの態様に係る処理装置において、前記プロセッサは、前記装置に含まれる各々の部品の動作状態を記録した動作履歴を用いて、前記装置に含まれる各々の部品の稼働期間を取得する。
【0016】
第10態様に係る処理プログラムは、コンピュータに、動作に伴い音を発生する装置の動作中における予め定めた期間の動作音データを取得し、前記動作音データから前記装置の異常が検知された場合、前記動作音データから、前記装置に含まれる予め指定された指定部品の稼働期間に相当するデータを解析対象データとして抽出し、抽出した前記解析対象データを、前記指定部品の故障状態を判定する判定部に出力する処理を実行させるためのプログラムである。
【0017】
第11態様に係る管理システムは、ユーザによって指示された機能を実行する少なくとも1台の処理装置と、各々の前記処理装置の動作状態を管理する管理装置と、を含み、前記処理装置に備えられた第1プロセッサは、動作に伴い音を発生する装置の動作中における予め定めた期間の動作音データを取得し、前記動作音データから前記装置の異常が検知された場合、前記動作音データから、前記装置に含まれる予め指定された指定部品の稼働期間に相当するデータを解析対象データとして抽出し、抽出した前記解析対象データを、前記指定部品の故障状態を判定する判定部に出力し、前記管理装置に備えられた第2プロセッサは、前記判定部による判定結果を用いて前記指定部品の故障状態を前記処理装置毎に管理する。
【発明の効果】
【0018】
第1態様、第10態様、及び第11態様によれば、全ての部品について異常を判定する場合に比べて、異常診断に伴う負荷を軽減できる、という効果を有する。
【0019】
第2態様によれば、動作音データを判定部に出力する場合に比べて、セキュリティ性の向上を図ることができる、という効果を有する。
【0020】
第3態様によれば、故障しても装置の停止にまで至らない部品の故障状態を判定する場合に比べて、故障によって装置が使用できなくなる期間を短くすることができる、という効果を有する。
【0021】
第4態様によれば、処理装置単体で指定部品の故障状態を判定することができる、という効果を有する。
【0022】
第5態様によれば、装置に含まれる複数の部品の中から、故障している可能性のある部品を絞り込むことができる、という効果を有する。
【0023】
第6態様によれば、指定部品の稼働期間とは異なる他の期間に稼働する部品の故障状態も判定することができる、という効果を有する。
【0024】
第7態様によれば、装置に含まれる複数の部品の中から、故障している可能性のある部品を絞り込むことができる、という効果を有する。
【0025】
第8態様によれば、処理装置自身が指定部品の故障状態を判定する場合と比較して、処理装置の負荷を軽減することができる、という効果を有する。
【0026】
第9態様によれば、管理者が部品毎の稼働期間を予め設定しておかなくても、各部品の稼働期間を取得することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図5】画像形成装置の電気系統の要部構成例を示す図である。
【
図6】管理サーバの電気系統の要部構成例を示す図である。
【
図7】異常検知の開始処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】動作音データの取得処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】動作音データの解析処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】プロファイルデータの一例を示す図である。
【
図12】異音判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図13】解析対象データの抽出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図14】画像形成装置における指定部品の故障判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図15】管理サーバにおける指定部品の故障判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素及び同じ処理には全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明を省略する。
【0029】
図1は、画像形成装置10の動作状態を管理する管理システム1の構成例を示す図である。管理システム1は、ユーザによって指示された機能を実行する少なくとも1台の画像形成装置10と、各々の画像形成装置10の動作状態を管理する管理サーバ20とを含み、各々の画像形成装置10と管理サーバ20は、インターネット等の通信回線2によって接続されている。
【0030】
画像形成装置10は、画像処理に関する少なくとも1つの機能を有する処理装置の一例である。画像形成装置10が有する機能には、例えば画像データによって表される画像を用紙Pに印刷する印刷機能、原稿に記載されている画像を光学的に読み取って画像データを生成するスキャン機能、及び原稿に記載されている画像を他の用紙Pに複製するコピー機能等が含まれる。説明の便宜上、画像形成装置10は印刷機能を有しているものとする。印刷機能では、例えば画像が形成される用紙Pの搬送、トナーやインクによる用紙Pへの画像の形成、及び用紙Pに形成された画像の定着等に伴って関連する部品が稼働し、動作音が発生する。
【0031】
各々の画像形成装置10は、ユーザによって指示された機能を実行した場合、動作状態に関する情報を管理サーバ20に送信する。
【0032】
なお、ユーザによって指示された機能の動作に伴い音を発生し、動作の終了と共に音の発生が終了するような装置であれば、どのような種類の処理装置を画像形成装置10の代わりに用いてもよい。例えば部品の製造を行う各種製造装置、及び車両におけるサイドウィンドウの駆動装置等を画像形成装置10の代わりに通信回線2に接続し、管理サーバ20によって各々の装置の動作状態を管理してもよい。
【0033】
管理サーバ20は、各々の画像形成装置10から動作状態に関する情報を取得すると共に、各々の画像形成装置10における動作状態に応じた処理を実行する管理装置の一例である。
【0034】
なお、管理サーバ20によって動作状態が管理される画像形成装置10の設置場所に制約はない。各々の画像形成装置10は、例えばすべて同じ建物内に設置されていてもよく、また、全国に分散して設置されてもよい。
【0035】
図2は、画像形成装置10の機能構成例を示す図である。画像形成装置10は、通信部11、画像形成部12、異音検知部13、故障判定部14、及び装置制御部15の各機能部と、記憶装置16及びマイク17とを備える。
【0036】
通信部11は、通信回線2を通じて管理サーバ20と双方向にデータ通信を行う。通信部11は、他の画像形成装置10と双方向にデータ通信を行ってもよい。更に、通信部11は、他の画像形成装置10及び管理サーバ20以外の装置であって、通信回線2に接続された装置(「外部装置」という)と双方向にデータ通信を行ってもよい。
【0037】
画像形成部12は、ユーザによって印刷機能の開始が指示された場合に、画像形成ユニット37Dを用いて印刷対象である画像データによって表される画像を、色材を用いて用紙Pに形成する。画像形成部12における画像の形成方式に制約はなく、例えばインクジェット方式及び電子写真方式の何れであってもよい。
【0038】
図3は、画像形成ユニット37Dの概略図の一例である。画像形成ユニット37Dは、例えば用紙Pが収納された給紙容器3と、用紙Pへの画像の形成に用いられる部品A~部品Dと、給紙容器3に収納された用紙Pを搬送経路(
図3の点線で示される経路)に沿って排出口まで搬送する搬送ロール4A~搬送ロール4Dと、搬送経路に沿って搬送される用紙Pを検知する検知センサ6A及び検知センサ6Bとを含む。
【0039】
図3に示す画像形成ユニット37Dの概略図は、画像形成ユニット37Dの動作を概念的に説明した図である。したがって、画像形成ユニット37Dの構成品や構成品の配置は実際の画像形成ユニット37Dとは異なる。
【0040】
搬送ロール4A~搬送ロール4Dは、給紙容器3に収納された用紙Pを搬送経路に沿って1枚ずつ搬送する。画像形成ユニット37Dは、用紙Pが検知センサ6Aと検知センサ6Bとの間に搬送されると、用紙Pに画像データによって表される画像を形成する。そのため、検知センサ6Aは、搬送方向と直交する用紙Pの搬送方向下流側に位置する辺(用紙Pの先端という)を検知する。また、検知センサ6Bは、搬送方向と直交する用紙Pの搬送方向上流側に位置する辺(用紙Pの後端という)を検知する。すなわち、検知センサ6A及び検知センサ6Bは、用紙Pに対する画像形成の開始から終了までの期間を検知する。1枚の用紙Pに対する画像形成の開始から終了までの期間を「画像形成期間5」という。画像形成期間5は、本開示における予め定めた期間の一例である。
【0041】
なお、
図3に示す画像形成ユニット37Dの概略図では、説明の便宜上、部品A~部品Dと、搬送ロール4A~搬送ロール4Dと、検知センサ6A及び検知センサ6Bとを区別して記載したが、搬送ロール4A~搬送ロール4D、並びに、検知センサ6A及び検知センサ6Bも画像形成ユニット37Dに含まれる部品の一例である。また、搬送ロール4A~搬送ロール4Dを駆動するモーターやモーターの回転を搬送ロール4A~搬送ロール4Dに伝達するベルト等の
図3に図示していない部品も画像形成ユニット37Dに含まれる部品の一例である。
【0042】
異音検知部13は、印刷機能の実行中にマイク17で集音した画像形成ユニット37Dの動作音を表す動作音データを用いて、画像形成ユニット37Dに何らかの異常が発生しているか否かを検知する。そのためマイク17は、画像形成ユニット37Dの動作音が集音できる箇所、例えば画像形成ユニット37Dの内部や画像形成ユニット37Dの周囲に設置される。
【0043】
図4は、マイク17で集音した動作音データの一例を示す図である。
図4に示すように、動作音データは、各時間における音の大きさ、すなわち音圧を時系列に沿って表したデータであり、マイク17で集音された生音を表している。
【0044】
画像形成ユニット37Dに対して異常が検知された場合、異音検知部13は、画像形成ユニット37Dに含まれる部品のうち、例えば管理者によって予め指定された部品(「指定部品」という)の稼働期間に相当する部分の動作音データを、取得した動作音データから解析対象データとして抽出し、装置制御部15に出力する。
【0045】
なお、指定部品は、故障が発生した場合に画像形成装置10の動作を停止させるような部品であることが好ましい。故障が発生した場合に画像形成装置10の動作を停止させるような部品は、他の部品に比べて故障が発生した場合の影響度が大きいことから「重要部品」とも呼ばれる。
【0046】
異音検知部13における処理は、異音検知部13に含まれる検知制御部13A、集音制御部13B、周波数解析部13C、及び異音判定部13Dの動作によって実現される。
【0047】
集音制御部13Bは、検知制御部13Aの指示に従ってマイク17の制御を行い、動作音データを取得する。
【0048】
周波数解析部13Cは、集音制御部13Bが取得した動作音データに対して周波数解析を行い、周波数解析データ8を生成する。周波数解析データ8とは、動作音データにおける時系列に沿った周波数成分の変化を示すデータであり、STFT(Short-Time Fourier Transform)データとも呼ばれる。動作音データにおける周波数成分は、動作音データに対して短時間フーリエ変換を行うことで得られる。
【0049】
異音判定部13Dは、画像形成ユニット37Dが正常に動作している状況下において、予めマイク17で集音しておいた動作音データの周波数解析データ8、すなわち、正常動作時における画像形成ユニット37Dの画像形成期間5における周波数解析データ8(以降、「正解データ」という)と、周波数解析部13Cによって得られた周波数解析データ8とを比較することによって、画像形成ユニット37Dの動作に異常が発生しているか否かを判定する。なお、異音判定部13Dにおける「異音」とは、正常動作時に画像形成ユニット37Dから発せられる音、すなわち、正常音とは異なる音をいう。
【0050】
画像形成ユニット37Dの動作に異常が認められる場合、異音判定部13Dは検知制御部13Aに異常発生を通知する。
【0051】
検知制御部13Aは集音制御部13B、周波数解析部13C、及び異音判定部13Dの各々を制御して異音検知部13での処理を実行すると共に、異音判定部13Dから画像形成ユニット37Dにおける異常発生を受け付けると装置制御部15にも異常発生を出力する。また、判定結果が異常発生であった場合、検知制御部13Aは、指定部品の解析対象データも装置制御部15に出力する。
【0052】
装置制御部15は、検知制御部13Aから異常発生を受け付けた場合、検知制御部13Aから受け付けた指定部品の解析対象データを故障判定部14に出力する。
【0053】
故障判定部14は、装置制御部15から受け付けた指定部品の解析対象データを用いて、指定部品に故障が発生しているか否かの判定、すなわち、指定部品の故障状態の判定を行い、判定結果を装置制御部15に出力する。故障判定部14は、本開示における判定部の一例である。
【0054】
なお、故障判定部14は、画像形成ユニット37Dにおける指定部品以外の他の部品の故障状態の判定を行ってもよい。詳細については後ほど説明する。
【0055】
装置制御部15は、指定部品に故障が発生していることを知らせる故障発生通知を故障判定部14から受け付けると、通信部11を制御して、管理サーバ20に指定部品の故障発生通知を送信する。
【0056】
このように、装置制御部15は、通信部11、画像形成部12、異音検知部13、及び故障判定部14の各機能部を制御して、画像形成ユニット37Dの動作音から、画像形成装置10が画像形成ユニット37Dに含まれる指定部品の故障状態を判定するように制御する。
【0057】
なお、記憶装置16には動作音データベース(Database:「DB」と表す)16A、判定DB16B、及び履歴DB16Cが含まれ、異音検知部13によって各種データの記憶及び取得が行われる。
【0058】
動作音DB16Aには、集音制御部13Bによって画像形成ユニット37Dの動作音データが記憶される。
【0059】
判定DB16Bには、例えば周波数解析データ8のように、画像形成ユニット37Dにおける異音の検知や指定部品の故障状態の判定に用いられるデータが記憶される。
【0060】
履歴DB16Cには、画像形成装置10の動作ログが記憶される。動作ログは、装置制御部15によって生成され、装置制御部15から動作ログを受け付けた検知制御部13Aが履歴DB16Cに記憶する。画像形成装置10の動作ログとは、画像形成装置10に含まれる各々の部品の動作状態を記録した動作履歴の一例である。画像形成ユニット37Dは画像形成装置10に含まれることから、画像形成装置10の動作ログには、画像形成ユニット37Dに含まれる各々の部品の動作状態を記録した画像形成ユニット37Dの動作ログも含まれる。動作ログは、本開示における動作履歴の一例である。
【0061】
異音検知部13及び故障判定部14は、動作音DB16A、判定DB16B、及び履歴DB16Cに記憶される各種データを参照して、それぞれ画像形成期間5における画像形成ユニット37Dでの異音の検知、及び指定部品の故障状態の判定を行う。
【0062】
管理サーバ20は、画像形成装置10から指定部品の故障発生通知を受け付けた場合、例えば通信回線2に接続された外部装置の一例である、画像形成装置10の保守部門に設置された保守端末に対して、指定部品の交換を実施するように指示する交換指示を送信する。交換指示を受け付けた保守員は、故障が発生している画像形成装置10の設置場所に出向き、指定部品を交換すればよい。
【0063】
こうした処理を行う画像形成装置10及び管理サーバ20は、それぞれコンピュータ30及びコンピュータ40を用いて構成することができる。
図5は、コンピュータ30を用いて構成した画像形成装置10の電気系統の要部構成例を示す図である。
【0064】
コンピュータ30は、
図2に示した画像形成装置10における各機能部の処理を実行する第1プロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)31、コンピュータ30の起動処理を行う起動プログラム(Basic Input Output System:BIOS)を記憶するROM(Read Only Memory)32、CPU31の一時的な作業領域として利用されるRAM(Random Access Memory)33、不揮発性メモリ34、及び入出力インターフェース(I/O)35を備える。CPU31、ROM32、RAM33、不揮発性メモリ34、及びI/O35はバス36を介して各々接続されている。
【0065】
不揮発性メモリ34は、不揮発性メモリ34に供給される電力が遮断されても記憶した情報が維持される記憶装置16の一例であり、例えば半導体メモリが用いられるがハードディスクを用いてもよい。
【0066】
I/O35には、例えば画像形成装置10が有する機能を実現するための構造を備えたユニット37が接続される。
図5に示した例では、I/O35に通信ユニット37A、入力ユニット37B、表示ユニット37C、及び画像形成ユニット37Dが接続されている。
【0067】
通信ユニット37Aは通信回線2に接続され、管理サーバ20のように通信回線2に接続された各装置とデータ通信を行う通信プロトコルを備える。
【0068】
入力ユニット37Bは、ユーザの操作を受け付けてCPU31に通知するユニット37の一例であり、例えばボタン及びタッチパネル等が用いられる
【0069】
表示ユニット37Cは、CPU31によって処理された情報を視覚的に表示するユニット37の一例であり、例えば液晶ディスプレイ及び有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等が用いられる。
【0070】
画像形成ユニット37Dは、既に
図3を用いて説明したように、色材を用いて用紙Pに画像を形成するユニット37の一例である。
【0071】
一方、
図6は、コンピュータ40を用いて構成した管理サーバ20の電気系統の要部構成例を示す図である。
【0072】
コンピュータ40は、管理サーバ20での処理を実行する第2プロセッサの一例であるCPU41、コンピュータ40の起動処理を行うBIOSを記憶するROM42、CPU41の一時的な作業領域として利用されるRAM43、不揮発性メモリ44、及びI/O45を備える。CPU41、ROM42、RAM43、不揮発性メモリ44、及びI/O45はバス46を介して各々接続されている。
【0073】
I/O45には、例えば管理サーバ20が有する機能を実現するための構造を備えたユニット47が接続される。
図6に示した例では、I/O45に通信ユニット47A、入力ユニット47B、及び表示ユニット47Cが接続されている。
【0074】
通信ユニット47Aは通信回線2に接続され、画像形成装置10のように通信回線2に接続された各装置とデータ通信を行う通信プロトコルを備える。
【0075】
入力ユニット47Bは、管理サーバ20を管理する管理者の操作を受け付けてCPU41に通知するユニット47の一例であり、例えばキーボード及びマウス等が用いられる。
【0076】
表示ユニット47Cは、CPU41によって処理された情報を視覚的に表示するユニット47の一例であり、画像形成装置10の表示ユニット37Cと同じく、例えば液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイ等が用いられる。
【0077】
次に、画像形成装置10で実行される異常検知の作用について説明する。
【0078】
図7は、ユーザから用紙Pへの画像形成指示を受け付けた場合に、画像形成装置10の装置制御部15によって実行される異常検知の開始処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0079】
異常検知の開始処理を規定する処理プログラムは、例えば画像形成装置10の不揮発性メモリ34に予め記憶されている。画像形成装置10のCPU31は、不揮発性メモリ34に記憶される処理プログラムを読み込み、異常検知の開始処理を実行する。
【0080】
一例として、不揮発性メモリ34に動作音DB16A、判定DB16B、及び履歴DB16Cが構築されているものとするが、外部装置に動作音DB16A、判定DB16B、及び履歴DB16Cを構築してもよい。この場合、画像形成装置10は通信回線2を通じて動作音DB16A、判定DB16B、及び履歴DB16Cにアクセスする。
【0081】
ステップS10において、装置制御部15は、ユーザから画像形成指示を受け付けると、画像形成ユニット37Dに対して給紙容器3から1枚の用紙Pを搬送するように制御し、画像形成ユニット37Dを動作させる。
【0082】
用紙Pの先端が検知センサ6Aによって検知された場合、ステップS12において、装置制御部15は、画像形成ユニット37Dの動作音データの取得を開始するように検知制御部13Aに通知する。
【0083】
ステップS14において、装置制御部15は、用紙Pに画像が形成されるように画像形成ユニット37Dを制御する一方、画像形成装置10の動作ログを生成し、生成した動作ログを検知制御部13A経由で履歴DB16Cに記憶する。なお、画像形成装置10の動作ログは用紙Pの位置とは関係なく、画像形成装置10の電源がオンになっている間、装置制御部15によって生成される。
【0084】
ステップS16において、装置制御部15は、用紙Pへの画像の形成が終了したか否かを判定する。装置制御部15は、検知センサ6Bによって用紙Pの後端が検知された場合に用紙Pへの画像の形成が終了したと判定する。画像の形成が終了していない場合にはステップS14に移行し、用紙Pへの画像の形成を継続すると共に、画像形成装置10の動作ログを生成する。
【0085】
一方、ステップS16の判定処理において画像の形成が終了したと判定された場合、ステップS18に移行する。
【0086】
ステップS18において、装置制御部15は、画像形成ユニット37Dの動作音データの取得を終了するように検知制御部13Aに通知する。
【0087】
以上により、異常検知の開始処理を終了する。異常検知の開始処理によって、画像形成ユニット37Dに異常があるか否かを検知するための準備が行われる。
【0088】
図8は、動作ログの一例を示す図である。
図8に示す動作ログは
図3に示した画像形成ユニット37Dに対応した動作ログの一例であり、各々の動作ログは、
図8の左から右方向に向かって時系列に表されている。
【0089】
用紙位置情報は、用紙Pの先端及び後端の少なくとも一方が検知センサ6Aから検知センサ6Bまでの搬送経路の間に存在しているか否かを表した動作ログである。用紙Pの先端及び後端の少なくとも一方が検知センサ6Aから検知センサ6Bまでの搬送経路の間に存在する場合、例えば用紙位置情報は“1”で表され、そうでない場合には、例えば用紙位置情報は“0”で表される。すなわち、用紙位置情報が“1”に設定されている期間は画像形成期間5を表している。
【0090】
また、部品A~部品Dの動作ログにおいて、“0”は当該部品が稼働していない状態を表し、“1”は当該部品が稼働している状態を表す。したがって、例えば部品Bの動作ログにおいて“1”が設定されている期間は、部品Bの稼働期間を表している。
【0091】
検知制御部13Aは、装置制御部15から画像形成ユニット37Dの動作音データを取得するように通知された場合に、集音制御部13Bに対して動作音データの取得を指示する。また、検知制御部13Aは、装置制御部15から画像形成ユニット37Dの動作音データの取得を終了するように通知された場合に、集音制御部13Bに対して動作音データの取得終了を指示する。
【0092】
図9は、検知制御部13Aから動作音データを取得するよう指示された場合に、画像形成装置10の集音制御部13Bによって実行される動作音データの取得処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0093】
動作音データの取得処理を規定する処理プログラムは、例えば画像形成装置10の不揮発性メモリ34に予め記憶されている。画像形成装置10のCPU31は、不揮発性メモリ34に記憶される処理プログラムを読み込み、動作音データの取得処理を実行する。
【0094】
ステップS20において、集音制御部13Bは、マイク17を通じて画像形成ユニット37Dの動作音データを取得する。
【0095】
ステップS22において、集音制御部13Bは、ステップS20によって取得した動作音データを動作音DB16Aに記憶する。
【0096】
ステップS24において、集音制御部13Bは、検知制御部13Aから動作音データの取得終了を指示されたか否かを判定する。動作音データの取得終了が指示されていない場合にはステップS20に移行し、引き続き画像形成ユニット37Dの動作音データを取得する。一方、動作音データの取得終了が指示された場合にはステップS26に移行する。
【0097】
ステップS26において、集音制御部13Bは、ステップS20によって取得した動作音データに対する解析要求を周波数解析部13Cに通知して、
図9に示す動作音データの取得処理を終了する。
【0098】
以上により、画像形成期間5における画像形成ユニット37Dの動作音データが得られる。
【0099】
図10は、集音制御部13Bから動作音データの解析要求を通知された場合に、画像形成装置10の周波数解析部13Cによって実行される動作音データの解析処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0100】
動作音データの解析処理を規定する処理プログラムは、例えば画像形成装置10の不揮発性メモリ34に予め記憶されている。画像形成装置10のCPU31は、不揮発性メモリ34に記憶される処理プログラムを読み込み、動作音データの解析処理を実行する。
【0101】
ステップS30において、周波数解析部13Cは、集音制御部13Bが
図9のステップS22によって動作音DB16Aに記憶した画像形成期間5における画像形成ユニット37Dの動作音データを取得する。
【0102】
ステップS32において、周波数解析部13Cは、ステップS30によって取得した動作音データに対して周波数解析を行い、周波数解析データ8を生成する。
【0103】
ステップS34において、周波数解析部13Cは、ステップS32によって生成した周波数解析データ8を動作音データと対応付けて判定DB16Bに記憶する。
【0104】
ステップS36において、周波数解析部13Cは、ステップS32によって生成した周波数解析データ8からプロファイルデータ9を生成する。プロファイルデータ9とは、動作音データに含まれる周波数毎、及び時間毎の音圧レベルを表すデータである。
【0105】
図11は、プロファイルデータ9の一例を示す図である。
図11に示すように、プロファイルデータ9は、周波数毎の音圧レベルを表す周波数-音圧データ9Aと、時間毎の音圧レベルを表す時間-音圧データ9Bによって構成される。周波数解析データ8は画像形成期間5全体に亘る周波数分布を表すことから、プロファイルデータ9も画像形成期間5全体に亘る周波数毎、及び時間毎の音圧レベルを表す。
【0106】
ステップS38において、周波数解析部13Cは、ステップS36によって生成したプロファイルデータ9を生成元となった周波数解析データ8と対応付けて判定DB16Bに記憶する。
【0107】
ステップS40において、周波数解析部13Cは、動作音データに異音が含まれるか否かの判定を依頼する判定要求を異音判定部13Dに通知して、
図10に示す動作音データの解析処理を終了する。
【0108】
以上により、画像形成期間5における画像形成ユニット37Dの動作音データに対する周波数解析データ8とプロファイルデータ9が得られる。
【0109】
なお、動作音データの解析処理において、プロファイルデータ9の生成は必ずしも必須の処理ではない。周波数解析部13Cは周波数解析データ8のみを生成してもよい。
【0110】
図12は、周波数解析部13Cから動作音データの判定要求を受け付けた場合に、画像形成装置10の異音判定部13Dによって実行される異音判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0111】
異音判定処理を規定する処理プログラムは、例えば画像形成装置10の不揮発性メモリ34に予め記憶されている。画像形成装置10のCPU31は、不揮発性メモリ34に記憶される処理プログラムを読み込み、異音判定処理を実行する。
【0112】
ステップS50において、異音判定部13Dは、
図10のステップS34によって判定DB16Bに記憶された周波数解析データ8を取得する。
【0113】
ステップS52において、異音判定部13Dは、ステップS50によって取得した周波数解析データ8と正解データを比較する。異音判定部13Dは、周波数解析データと正解データとの差分が予め定めた閾値以上となる場合に、画像形成ユニット37Dの動作に異常が発生していると判定する。
【0114】
ステップS54において、異音判定部13Dは、画像形成ユニット37Dの動作に異常が発生していると判定した場合、ステップS54においてステップS56に移行する。
【0115】
ステップS56において、異音判定部13Dは、画像形成ユニット37Dでの異常発生を検知制御部13Aに通知して、
図12に示す異音判定処理を終了する。なお、異音判定部13Dは、異常発生が認められた画像形成期間5を特定するための情報も検知制御部13Aに通知する。
【0116】
一方、ステップS54の判定処理において、画像形成ユニット37Dの動作に異常は認められないと判定された場合、ステップS56の処理を実行することなく、
図12に示す異音判定処理を終了する。
【0117】
以上により、動作音データから得られた周波数解析データ8による画像形成ユニット37Dの異常判定が行われる。正解データは、画像形成装置10の製造者が工場出荷時に予め判定DB16Bに記憶しておけばよいが、管理サーバ20から取得してもよい。管理サーバ20から正解データを取得する場合、正解データの更新が可能となる。
【0118】
異音判定部13Dは、画像形成ユニット37Dにおける異常発生の判定において、画像形成ユニット37Dに含まれるどの部品にどのような故障が発生したのかまでの特定は行わない。したがって、故障した部品の特定までを行う場合と比較して、CPU31の負荷が低減する。そのため、画像形成ユニット37Dで複数の用紙Pに連続して画像形成を行っている場合であっても、各々の用紙Pに画像を形成する毎に画像形成ユニット37Dの異常判定が可能となる。
【0119】
図13は、異音判定部13Dから画像形成ユニット37Dでの異常発生を通知された場合に、画像形成装置10の検知制御部13Aによって実行される解析対象データの抽出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0120】
解析対象データの抽出処理を規定する処理プログラムは、例えば画像形成装置10の不揮発性メモリ34に予め記憶されている。画像形成装置10のCPU31は、不揮発性メモリ34に記憶される処理プログラムを読み込み、解析対象データの抽出処理を実行する。
【0121】
ステップS60において、検知制御部13Aは、異常が発生していると通知された画像形成期間5における画像形成ユニット37Dの動作ログを履歴DB16Cから取得する。
【0122】
ステップS62において、検知制御部13Aは、ステップS60によって取得した動作ログを参照し、画像形成ユニット37Dに含まれる予め定めた指定部品の稼働期間を特定する。一例として、部品Bが指定部品に定められている場合、
図8における期間7が指定部品の稼働期間となる。
【0123】
ステップS64において、検知制御部13Aは、異常が発生していると通知された画像形成期間5の動作音データを動作音DB16Aから取得する。
【0124】
ステップS66において、検知制御部13Aは、ステップS64によって取得した動作音データから、ステップS62によって特定した指定部品の稼働期間に相当する動作音データを解析対象データとして抽出する。
【0125】
ステップS68において、検知制御部13Aは、ステップS66によって動作音データから抽出した解析対象データを、装置制御部15経由で故障判定部14に出力して、
図13に示す解析対象データの抽出処理を終了する。
【0126】
図14は、装置制御部15経由で検知制御部13Aから解析対象データを受け付けた場合に、画像形成装置10の故障判定部14によって実行される指定部品の故障判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0127】
指定部品の故障判定処理を規定する処理プログラムは、例えば画像形成装置10の不揮発性メモリ34に予め記憶されている。画像形成装置10のCPU31は、不揮発性メモリ34に記憶される処理プログラムを読み込み、指定部品の故障判定処理を実行する。
【0128】
ステップS70において、故障判定部14は、受け付けた解析対象データを用いて指定部品の故障状態を判定する。指定部品に故障が発生しているか否かの判定は、例えば指定部品が正常に稼働している状態での動作音データと解析対象データとを比較するといった、動作音から部品の状態を判定する公知の判定手法が用いられる。故障の種類によって動作音が異なることがあるため、指定部品に故障が発生していると判定される場合、故障判定部14は、例えば様々な故障の種類に対応付けられた動作音データと解析対象データとを比較することで、指定部品に発生している故障の種類を特定してもよい。
【0129】
指定部品の稼働期間における解析対象データは動作音データであるため、例えば周波数解析データ8のように、動作音データに対して何らかの加工を行ったデータよりも多くの情報量を含む。したがって、周波数解析データ8を用いて指定部品の故障状態を判定するよりも詳細、かつ、精度よく指定部品の故障状態が判定される。
【0130】
また、画像形成期間5の動作音データ全体を用いて指定部品の故障状態を判定するのではなく、指定部品の稼働期間に相当する動作音データを用いて指定部品の故障状態を判定するため、画像形成期間5の動作音データ全体を用いて指定部品の故障状態を判定する場合と比較して、指定部品の故障判定に係る負荷が低減される。
【0131】
ステップS72において、故障判定部14は、指定部品に故障が発生していると判定された場合、ステップS74に移行する。
【0132】
ステップS74において、故障判定部14は、装置制御部15に対して指定部品の故障発生を通知する。故障発生の通知を受け付けた装置制御部15は、通信ユニット37Aを制御して、管理サーバ20に指定部品の故障発生通知を送信する。
【0133】
一方、ステップS72の判定処理において、指定部品に故障は認められないと判定された場合、ステップS74の処理を実行することなく、
図14に示す指定部品の故障判定処理を終了する。この場合、故障判定部14は、装置制御部15に対して指定部品に故障がないことを通知してもよい。指定部品に故障はないとの通知を受け付けた装置制御部15は、通信ユニット37Aを制御して、管理サーバ20に指定部品が正常動作を行っているとの通知を送信してもよい。
【0134】
以上により、画像形成ユニット37Dにおける指定部品の故障状態が判定される。故障判定部14による指定部品の故障状態の判定は、画像形成ユニット37Dが各々の用紙Pに画像を形成する毎に行う必要はない。例えば複数ページに亘る文書の印刷を行う場合、故障判定部14は、全ページの文書の印刷が終了した後に指定部品の故障判定処理を行ってもよい。また、故障判定部14は、予め定めた時間毎に指定部品の故障判定処理を行ってもよい。
【0135】
なお、画像形成ユニット37Dには複数の部品が含まれ、各々の部品が連携しながら画像の形成を行うため、指定部品の稼働期間に指定部品以外の他の部品が稼働していることもある。このように指定部品の稼働期間に複数の部品が稼働している状況において、故障判定部14が
図14のステップS70で、解析対象データに部品の故障発生を示す箇所が含まれていると判定した場合、故障判定部14は、指定部品の稼働期間に稼働する複数の部品の何れかに故障が発生していることを表す判定結果を、装置制御部15経由で管理サーバ20に送信してもよい。すなわち、故障判定部14は、指定部品の稼働期間に稼働する画像形成ユニット37D内の各々の部品を、故障の可能性がある部品の候補としてリストアップする。各々の部品の稼働期間は、動作ログを参照することによって得られる。
【0136】
また、上記では、管理者によって予め指定された重要部品を指定部品としたが、検知制御部13Aは、例えば画像形成ユニット37Dの累積稼働時間に応じて指定部品を変更してもよい。画像形成ユニット37Dに含まれる部品は、部品毎に仕様上の耐用年数が異なる。したがって、検知制御部13Aは、耐用年数に近づいた部品を指定部品に設定してもよい。このようにして指定部品を設定した場合、他の部品に比べて故障が発生しやすくなっている部品に注目して故障状態の判定が行われることから、故障状態の判定対象となる部品を固定する場合と比較して、画像形成ユニット37Dの動作不良がいち早く検知される。
【0137】
<変形例1>
ここまで、指定部品の故障状態を判定する例について説明してきた。画像形成装置10は、指定部品の稼働期間と同じ期間に稼働する他の部品があれば、他の部品についても故障発生の可能性があることを通知する。
【0138】
一方で、画像形成期間5のうち指定部品の稼働期間と異なる期間(「指定部品の非稼働期間」という)に稼働する他の部品についても故障状態の判定を行いたい場合がある。
【0139】
したがって、以降では、指定部品の非稼働期間においても、画像形成ユニット37D内の部品の故障状態を判定する画像形成装置10について説明する。
【0140】
具体的には、検知制御部13Aは、
図13に示した解析対象データの抽出処理のステップS60において、画像形成ユニット37Dの動作ログに加え、更に、画像形成ユニット37Dの異常判定に用いられた周波数解析データ8と対応付けられたプロファイルデータ9を判定DB16Bから取得する。
【0141】
また、検知制御部13Aは、ステップS68において、解析対象データに加えて、取得したプロファイルデータ9を装置制御部15経由で故障判定部14に出力する。
【0142】
これに対して、故障判定部14は、
図14に示した指定部品の故障判定処理のステップS70において、指定部品の故障状態の判定に加え、更に、プロファイルデータ9を用いて指定部品の非稼働期間に稼働する画像形成ユニット37D内の他の部品の故障状態を判定する。
【0143】
故障判定部14は、ステップS72において、指定部品及び他の部品の何れかに故障が発生していると判定された場合、ステップS74に移行する。
【0144】
ステップS74において、故障判定部14は故障の発生状況に応じて、指定部品及び他の部品の少なくとも一方の故障発生を装置制御部15に通知する。
【0145】
したがって、指定部品の非稼働期間に稼働する画像形成ユニット37D内の他の部品に対する故障状態の判定結果が管理サーバ20に出力される。
【0146】
プロファイルデータ9は、同じ期間における動作音データよりも情報量が少ないため、動作音データを用いて指定部品の非稼働期間に稼働する他の部品の故障状態を判定する場合と比較して、故障状態の判定に係る負荷が低減される。
【0147】
なお、指定部品の非稼働期間には、指定部品以外の他の部品が複数稼働していることもある。このように指定部品の非稼働期間に複数の他の部品が稼働している状況において、故障判定部14がプロファイルデータ9を用いて、指定部品の非稼働期間に部品の故障発生を示す箇所が含まれていると判定した場合、故障判定部14は、指定部品の非稼働期間に稼働する複数の他の部品の何れかに故障が発生していることを表す判定結果を、装置制御部15経由で管理サーバ20に送信すればよい。すなわち、故障判定部14は、指定部品の非稼働期間に稼働する画像形成ユニット37D内の指定部品以外の他の部品を、故障の可能性がある部品の候補としてリストアップする。
【0148】
<変形例2>
図2では、故障判定部14を備える画像形成装置10を例示した。しかしながら、画像形成装置10は必ずしも故障判定部14を備える必要はなく、管理サーバ20が故障判定部14を備えてもよい。すなわち、管理サーバ20が画像形成装置10に含まれる指定部品の故障状態を判定してもよい。
【0149】
この場合、画像形成装置10の検知制御部13Aは、
図13に示した解析対象データの抽出処理のステップS68において、ステップS66によって動作音データから抽出した解析対象データを、装置制御部15経由で管理サーバ20に送信すればよい。
【0150】
図15は、画像形成装置10から解析対象データを受け付けた場合に、管理サーバ20の故障判定部14によって実行される指定部品の故障判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0151】
指定部品の故障判定処理を規定する管理プログラムは、例えば管理サーバ20の不揮発性メモリ44に予め記憶されている。管理サーバ20のCPU41は、不揮発性メモリ44に記憶される管理プログラムを読み込み、指定部品の故障判定処理を実行する。
【0152】
ステップS80において、管理サーバ20の故障判定部14は、受け付けた解析対象データを用いて、指定部品の故障状態を判定する。指定部品に故障が発生しているか否かの判定は、動作音から部品の状態を判定する公知の判定手法が用いられる。
【0153】
ステップS82において、管理サーバ20の故障判定部14は、指定部品に故障が発生していると判定された場合、ステップS84に移行する。
【0154】
ステップS84において、管理サーバ20の故障判定部14は、画像形成装置10に対して指定部品の故障発生を通知する。故障発生の通知を受け付けた画像形成装置10の装置制御部15は、例えば表示ユニット37Cを制御して、画像形成ユニット37Dに異常が発生していること、及び、故障の可能性のある部品名を表示ユニット37Cに表示する。
【0155】
一方、ステップS82の判定処理において、指定部品に故障は認められないと判定された場合、ステップS84の処理を実行することなく、
図15に示す指定部品の故障判定処理を終了する。この場合、管理サーバ20の故障判定部14は、画像形成装置10に対して指定部品に故障がないことを通知してもよい。
【0156】
以上により、画像形成ユニット37Dにおける指定部品の故障状態が判定される。管理サーバ20が指定部品の故障状態を判定するため、画像形成装置10で指定部品の故障状態を判定する場合と比較して、画像形成装置10の負荷が低減される。したがって、例えば画像形成装置10におけるCPU31の処理能力やRAM33の容量等を必要以上に確保しなくてもよいため、画像形成装置10のコスト低減にもつながる。
【0157】
なお、管理サーバ20の故障判定部14は、画像形成装置10から受信したプロファイルデータ9を用いて、変形例1に示したように、指定部品の非稼働期間に稼働する画像形成ユニット37D内の他の部品の故障状態を判定し、画像形成装置10に通知してもよい。
【0158】
以上、実施形態を用いて管理システム1の一態様について説明したが、開示した管理システム1の形態は一例であり、管理システム1の形態は実施形態に記載の範囲に限定されない。本開示の要旨を逸脱しない範囲で実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、当該変更又は改良を加えた形態も開示の技術的範囲に含まれる。
【0159】
例えば本開示の要旨を逸脱しない範囲で、
図7、
図9、
図10、
図12~
図15に示した各処理における内部の処理順序を変更してもよい。また、異常検知対象となる装置は画像形成ユニット37Dに限られない。画像形成装置10がスキャン機能を有している場合には、光を照射する光源ユニットを原稿上で移動させ、原稿の内容を光学的に読み取るスキャンユニット内の部品を指定部品に指定することで、スキャンユニットの異常の有無を検知できる。
【0160】
上記の実施形態では、一例として、
図7、
図9、
図10、
図12~
図15に示した各処理をソフトウェアで実現する形態について説明した。しかしながら、各処理のフローチャートと同等の処理をハードウェアで処理させるようにしてもよい。この場合、各処理をソフトウェアで実現した場合と比較して処理の高速化が図られる。
【0161】
上記の実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU31、41)や、専用のプロセッサ(例えば GPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0162】
また、上記の実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記の実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0163】
上記の実施形態では、不揮発性メモリ34に処理プログラムが記憶されている例について説明した。しかしながら、処理プログラムの記憶先は不揮発性メモリ34に限定されない。本開示の処理プログラムは、コンピュータ30で読み取り可能な記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。
【0164】
例えば処理プログラムをCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)及びDVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)のような光ディスクに記録した形態で提供してもよい。また、情報処理プログラムを、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカードのような可搬型の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。ROM32、不揮発性メモリ34、CD-ROM、DVD-ROM、USB、及びメモリカードは非一時的(non-transitory)記憶媒体の一例である。
【0165】
同様に、管理プログラムもコンピュータ40で読み取り可能な記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。
【0166】
更に、画像形成装置10は通信ユニット37Aを通じて、通信回線2に接続された外部装置から処理プログラムをダウンロードし、ダウンロードした処理プログラムを不揮発性メモリ34に記憶してもよい。この場合、画像形成装置10のCPU31は、外部装置からダウンロードした処理プログラムを不揮発性メモリ34から読み込んで各種処理を実行する。
【0167】
同様に、管理サーバ20は通信ユニット47Aを通じて、通信回線2に接続された外部装置から管理プログラムをダウンロードし、ダウンロードした管理プログラムを不揮発性メモリ44に記憶してもよい。
【0168】
以下に本実施形態に係る付記を示す。
【0169】
(((1)))
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
動作に伴い音を発生する装置の動作中における予め定めた期間の動作音データを取得し、
前記動作音データから前記装置の異常が検知された場合、前記動作音データから、前記装置に含まれる予め指定された指定部品の稼働期間に相当するデータを解析対象データとして抽出し、
抽出した前記解析対象データを、前記指定部品の故障状態を判定する判定部に出力する
処理装置。
【0170】
(((2)))
前記プロセッサは、前記動作音データに含まれる周波数毎、及び時間毎の音圧レベルを表すプロファイルデータを生成し、
前記動作音データから前記装置の異常が検知された場合、前記解析対象データ及び前記プロファイルデータを、前記指定部品の故障状態を判定する判定部に出力する
(((1)))に記載の処理装置。
【0171】
(((3)))
前記指定部品は、故障が発生した場合に前記装置の動作を停止させる部品である
(((2)))に記載の処理装置。
【0172】
(((4)))
前記判定部を備え、
前記プロセッサは、前記判定部を用いて、前記解析対象データから前記指定部品に対する故障状態の判定を行い、
前記指定部品に対する故障状態の判定結果を管理装置に出力する
(((3)))に記載の処理装置。
【0173】
(((5)))
前記プロセッサは、前記指定部品の稼働期間に、前記装置に含まれる複数の部品が稼働している場合で、かつ、前記解析対象データに部品の故障発生を示す箇所が含まれる場合、前記指定部品の稼働期間に稼働する複数の部品の何れかに故障が発生していることを表す判定結果を前記管理装置に出力する
(((4)))に記載の処理装置。
【0174】
(((6)))
前記プロセッサは、前記判定部を用いて、前記プロファイルデータから前記指定部品の稼働期間以外の他の期間に稼働する部品の故障状態の判定を行い、
前記他の期間における部品の故障状態の判定結果を前記管理装置に出力する
(((4)))に記載の処理装置。
【0175】
(((7)))
前記プロセッサは、前記他の期間に前記装置に含まれる複数の部品が稼働している場合で、かつ、前記プロファイルデータに部品の故障発生を示す箇所が含まれる場合、前記他の期間に稼働する複数の部品の何れかに故障が発生していることを表す判定結果を前記管理装置に出力する
(((6)))に記載の処理装置。
【0176】
(((8)))
通信回線によって接続された管理装置が前記判定部を備える場合、
前記プロセッサは、前記プロファイルデータ及び前記解析対象データを前記管理装置に出力する
(((3)))に記載の処理装置。
【0177】
(((9)))
前記プロセッサは、前記装置に含まれる各々の部品の動作状態を記録した動作履歴を用いて、前記装置に含まれる各々の部品の稼働期間を取得する
(((1)))~(((8)))の何れか1つに記載の処理装置。
【0178】
(((10)))
前記プロセッサは、前記装置の累積稼働時間に応じて前記指定部品を変更する
(((1)))~(((9)))の何れか1項に記載の処理装置。
【0179】
(((11)))
コンピュータによって実行可能な命令を含むプログラムを格納した非一時的記憶媒体であって、前記命令は、前記コンピュータによって実行された場合、前記コンピュータに、
動作に伴い音を発生する装置の動作中における予め定めた期間の動作音データを取得し、
前記動作音データから前記装置の異常が検知された場合、前記動作音データから、前記装置に含まれる予め指定された指定部品の稼働期間に相当するデータを解析対象データとして抽出し、
抽出した前記解析対象データを、前記指定部品の故障状態を判定する判定部に出力する処理を実行させる
非一時的記憶媒体。
【0180】
(((12)))
ユーザによって指示された機能を実行する少なくとも1台の処理装置と、
各々の前記処理装置の動作状態を管理する管理装置と、
を含み、
前記処理装置に備えられた第1プロセッサは、動作に伴い音を発生する装置の動作中における予め定めた期間の動作音データを取得し、前記動作音データから前記装置の異常が検知された場合、前記動作音データから、前記装置に含まれる予め指定された指定部品の稼働期間に相当するデータを解析対象データとして抽出し、抽出した前記解析対象データを、前記指定部品の故障状態を判定する判定部に出力し、
前記管理装置に備えられた第2プロセッサは、前記判定部による判定結果を用いて前記指定部品の故障状態を前記処理装置毎に管理する
管理システム。
【0181】
(((1)))、(((11)))、及び(((12)))によれば、全ての部品について異常を判定する場合に比べて、異常診断に伴う負荷を軽減できる、という効果を有する。
【0182】
(((2)))によれば、動作音データを判定部に出力する場合に比べて、セキュリティ性の向上を図ることができる、という効果を有する。
【0183】
(((3)))によれば、故障しても装置の停止にまで至らない部品の故障状態を判定する場合に比べて、故障によって装置が使用できなくなる期間を短くすることができる、という効果を有する。
【0184】
(((4)))によれば、処理装置単体で指定部品の故障状態を判定することができる、という効果を有する。
【0185】
(((5)))によれば、装置に含まれる複数の部品の中から、故障している可能性のある部品を絞り込むことができる、という効果を有する。
【0186】
(((6)))によれば、指定部品の稼働期間とは異なる他の期間に稼働する部品の故障状態も判定することができる、という効果を有する。
【0187】
(((7)))によれば、装置に含まれる複数の部品の中から、故障している可能性のある部品を絞り込むことができる、という効果を有する。
【0188】
(((8)))によれば、処理装置自身が指定部品の故障状態を判定する場合と比較して、処理装置の負荷を軽減することができる、という効果を有する。
【0189】
(((9)))によれば、管理者が部品毎の稼働期間を予め設定しておかなくても、各部品の稼働期間を取得することができる、という効果を有する。
【0190】
(((10)))によれば、故障状態の判定対象となる部品を固定する場合と比較して、装置の動作不良をいち早く検知することができる、という効果を有する。
【符号の説明】
【0191】
1 管理システム
2 通信回線
3 給紙容器
4A、4B、4C、4D 搬送ロール
5 画像形成期間
6A、6B 検知センサ
7 (指定部品が稼働している)期間
8 周波数解析データ
9 プロファイルデータ
9A 周波数-音圧データ
9B 時間-音圧データ
10 画像形成装置(処理装置)
11 通信部
12 画像形成部
13 異音検知部
13A 検知制御部
13B 集音制御部
13C 周波数解析部
13D 異音判定部
14 故障判定部
15 装置制御部
16 記憶装置
16A 動作音DB
16B 判定DB
16C 履歴DB
17 マイク
20 管理サーバ
30、40 コンピュータ
31、41 CPU
32、42 ROM
33、43 RAM
34、44 不揮発性メモリ
35、45 I/O
36、46 バス
37、47 ユニット
37A、47A 通信ユニット
37B、47B 入力ユニット
37C、47C 表示ユニット
37D 画像形成ユニット