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特開2024-97272管理装置、管理プログラム、及び管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097272
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】管理装置、管理プログラム、及び管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240710BHJP
   G06Q 10/087 20230101ALI20240710BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q10/087
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000738
(22)【出願日】2023-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 雄也
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】部品の在庫切れによる装置の利用不可期間の発生頻度が低減するように部品を管理する。
【解決手段】管理サーバ20は、通信回線2によって接続された画像形成装置10を構成する部品のうち、在庫数が在庫閾値以下である特定部品を検出し、特定部品が用いられている各々の画像形成装置10に対して異常診断要求を送信し、異常診断要求を送信した各々の画像形成装置10から特定部品の診断結果を受信し、特定部品の診断結果から特定部品に故障が発生していると認められる画像形成装置10に対して、特定部品の在庫を割り当てる指示を出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
通信回線によって接続された処理装置を構成する部品のうち、在庫数が閾値以下となっている特定部品を検出し、
前記特定部品が用いられている各々の前記処理装置に対して、前記特定部品における故障の有無を診断させる異常診断要求を送信し、
前記異常診断要求を送信した各々の前記処理装置から前記特定部品の診断結果を受信し、
前記特定部品の診断結果から前記特定部品に故障が発生していると認められる前記処理装置に対して、前記特定部品の在庫を割り当てる指示を出力する
管理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記処理装置を構成する各々の部品に故障が発生していない状況において得られる音を記録した基準音データを前記異常診断要求に付加して、前記特定部品が用いられている各々の前記処理装置に前記異常診断要求を送信する
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記処理装置を構成する各々の部品に故障が発生していない状況において得られる音から抽出した基準音データを前記異常診断要求に付加して、前記特定部品が用いられている各々の前記処理装置に前記異常診断要求を送信する
請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記特定部品の稼働期間を示す稼働期間情報を前記異常診断要求に付加して、前記特定部品が用いられている各々の前記処理装置に前記異常診断要求を送信する
請求項1に記載の管理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記特定部品の診断結果から前記特定部品に故障が発生していると認められる前記処理装置のうち、前記処理装置の保守日程、前記特定部品を保管する倉庫から前記処理装置が設置されている設置場所までの距離、及び前記処理装置の利用頻度の少なくとも1つを考慮して、前記処理装置に対する前記特定部品の在庫の割り当て順位を設定する
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の管理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、保守日程が近い方の前記処理装置から順に前記特定部品の在庫を割り当てる
請求項5に記載の管理装置。
【請求項7】
複数の前記処理装置に対する保守日程が同じ日である場合、単位期間における稼働時間が長い方、又は消耗品の消費量が多い方の前記処理装置から順に前記特定部品の在庫を割り当てる
請求項6に記載の管理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記距離が近い方の前記処理装置から順に前記特定部品の在庫を割り当てる
請求項5に記載の管理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、それぞれ単位期間における平均稼働時間が長い方、平均利用ジョブ数が多い方、又は消耗品の平均消費量が多い方の前記処理装置から順に前記特定部品の在庫を割り当てる
請求項5に記載の管理装置。
【請求項10】
コンピュータに、
通信回線によって接続された処理装置を構成する部品のうち、在庫数が閾値以下である特定部品を検出し、
前記特定部品が用いられている各々の前記処理装置に対して、前記特定部品における故障の有無を診断させる異常診断要求を送信し、
前記異常診断要求を送信した各々の前記処理装置から前記特定部品の診断結果を受信し、
前記特定部品の診断結果から前記特定部品に故障が発生していると認められる前記処理装置に対して、前記特定部品の在庫を割り当てる指示を出力する処理を実行させるための
管理プログラム。
【請求項11】
ユーザによって指示された機能を実行する複数の処理装置と、
各々の前記処理装置の動作状態を管理する管理装置と、
を含み、
前記管理装置に備えられた第1プロセッサは、通信回線によって接続された各々の前記処理装置を構成する部品のうち、在庫数が閾値以下である特定部品を検出し、前記特定部品が用いられている各々の前記処理装置に対して、前記特定部品における故障の有無を診断させる異常診断要求を送信し、前記異常診断要求を送信した各々の前記処理装置から前記特定部品の診断結果を受信し、前記特定部品の診断結果から前記特定部品に故障が発生していると認められる前記処理装置に対して、前記特定部品の在庫を割り当てる指示を出力し、
前記処理装置に備えられた第2プロセッサは、前記特定部品の稼働期間における前記処理装置の動作音データを取得し、前記動作音データを用いて前記特定部品に故障が発生しているか否かを表す診断結果を生成する
管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理装置、管理プログラム、及び管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、管理対象機械の保守要請を通知するアラームを所定の出力装置に出力する保守支援システムにおいて、前記管理対象機械の稼働データを集積した稼働データデータベースと、前記管理対象機械の故障項目毎に保守に用いる必要品及びその数量を規定した必要品データベースと、前記管理対象機械の健全性を評価するために演算した評価値に基づき異常判定がされてから実際に故障が発生するまでの期間について過去のデータを集積した故障事例データベースと、前記必要品毎に在庫数量のデータを集積した部品在庫データベースと、前記アラームを生成して前記出力装置に出力する処理装置と、を備え、前記処理装置は、前記稼働データデータベースに基づき前記評価値を演算し、前記評価値に基づき前記管理対象機械が正常であるか異常であるかを判定し、前記管理対象機械について異常判定がされた場合、発生が予想される故障項目に関し、保守に用いる必要品及びその数量を前記必要品データベースに基づき推定し、前記異常判定の基礎とした前記評価値と前記故障事例データベースとに基づき、前記予想される故障項目について故障発生までの猶予期間を推定し、前記必要品の調達に要する調達期間を前記部品在庫データベースから推定し、前記猶予期間から前記調達期間を減算した値が予め設定された設定値以下である場合に、前記予想される故障項目、前記必要品の情報を含め、前記保守要請を通知するアラームを前記出力装置に出力する保守支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-107423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
装置を構成する部品、及び部品を構成する材料の入手困難等によって、発注した部品の納期が従来よりも長くなるという状況が発生する場合がある。
【0005】
したがって、部品の在庫状況が不明な状況で部品が故障した場合、交換用の部品が入手できるまで装置が使用できないことがある。
【0006】
本開示は、部品の在庫切れによる装置の利用不可期間の発生頻度が低減するように部品を管理することができる管理装置、管理プログラム、及び管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様に係る管理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、通信回線によって接続された処理装置を構成する部品のうち、在庫数が閾値以下となっている特定部品を検出し、前記特定部品が用いられている各々の前記処理装置に対して、前記特定部品における故障の有無を診断させる異常診断要求を送信し、前記異常診断要求を送信した各々の前記処理装置から前記特定部品の診断結果を受信し、前記特定部品の診断結果から前記特定部品に故障が発生していると認められる前記処理装置に対して、前記特定部品の在庫を割り当てる指示を出力する。
【0008】
第2態様に係る管理装置は、第1態様に係る管理装置において、前記プロセッサは、前記処理装置を構成する各々の部品に故障が発生していない状況において得られる音を記録した基準音データを前記異常診断要求に付加して、前記特定部品が用いられている各々の前記処理装置に前記異常診断要求を送信する。
【0009】
第3態様に係る管理装置は、第1態様に係る管理装置において、前記プロセッサは、前記処理装置を構成する各々の部品に故障が発生していない状況において得られる音から抽出した基準音データを前記異常診断要求に付加して、前記特定部品が用いられている各々の前記処理装置に前記異常診断要求を送信する。
【0010】
第4態様に係る管理装置は、第1態様に係る管理装置において、前記プロセッサは、前記特定部品の稼働期間を示す稼働期間情報を前記異常診断要求に付加して、前記特定部品が用いられている各々の前記処理装置に前記異常診断要求を送信する。
【0011】
第5態様に係る管理装置は、第1態様~第4態様の何れか1つの態様に係る管理装置において、前記プロセッサは、前記特定部品の診断結果から前記特定部品に故障が発生していると認められる前記処理装置のうち、前記処理装置の保守日程、前記特定部品を保管する倉庫から前記処理装置が設置されている設置場所までの距離、及び前記処理装置の利用頻度の少なくとも1つを考慮して、前記処理装置に対する前記特定部品の在庫の割り当て順位を設定する。
【0012】
第6態様に係る管理装置は、第5態様に係る管理装置において、前記プロセッサは、保守日程が近い方の前記処理装置から順に前記特定部品の在庫を割り当てる。
【0013】
第7態様に係る管理装置は、第6態様に係る管理装置において、複数の前記処理装置に対する保守日程が同じ日である場合、単位期間における稼働時間が長い方、又は消耗品の消費量が多い方の前記処理装置から順に前記特定部品の在庫を割り当てる。
【0014】
第8態様に係る管理装置は、第5態様に係る管理装置において、前記プロセッサは、前記距離が近い方の前記処理装置から順に前記特定部品の在庫を割り当てる。
【0015】
第9態様に係る管理装置は、第5態様に係る管理装置において、前記プロセッサは、それぞれ単位期間における平均稼働時間が長い方、平均利用ジョブ数が多い方、又は消耗品の平均消費量が多い方の前記処理装置から順に前記特定部品の在庫を割り当てる。
【0016】
第10態様に係る管理プログラムは、コンピュータに、通信回線によって接続された処理装置を構成する部品のうち、在庫数が閾値以下である特定部品を検出し、前記特定部品が用いられている各々の前記処理装置に対して、前記特定部品における故障の有無を診断させる異常診断要求を送信し、前記異常診断要求を送信した各々の前記処理装置から前記特定部品の診断結果を受信し、前記特定部品の診断結果から前記特定部品に故障が発生していると認められる前記処理装置に対して、前記特定部品の在庫を割り当てる指示を出力する処理を実行させるためのプログラムである。
【0017】
第11態様に係る管理システムは、ユーザによって指示された機能を実行する複数の処理装置と、各々の前記処理装置の動作状態を管理する管理装置と、を含み、前記管理装置に備えられた第1プロセッサは、通信回線によって接続された各々の前記処理装置を構成する部品のうち、在庫数が閾値以下である特定部品を検出し、前記特定部品が用いられている各々の前記処理装置に対して、前記特定部品における故障の有無を診断させる異常診断要求を送信し、前記異常診断要求を送信した各々の前記処理装置から前記特定部品の診断結果を受信し、前記特定部品の診断結果から前記特定部品に故障が発生していると認められる前記処理装置に対して、前記特定部品の在庫を割り当てる指示を出力し、前記処理装置に備えられた第2プロセッサは、前記特定部品の稼働期間における前記処理装置の動作音データを取得し、前記動作音データを用いて前記特定部品に故障が発生しているか否かを表す診断結果を生成する。
【発明の効果】
【0018】
第1態様、第10態様、及び第11態様によれば、部品の在庫切れによる装置の利用不可期間の発生頻度が低減するように部品を管理することができる、という効果を有する。
【0019】
第2態様によれば、処理装置が自身の動作音から特定部品の故障状態を判定できるようになる、という効果を有する。
【0020】
第3態様によれば、処理装置は、生音ではなく音の特徴を抽出した基準音データを用いて特定部品の故障状態を判定できるようになる、という効果を有する。
【0021】
第4態様によれば、管理装置が処理装置に特定部品の稼働情報を通知しない場合と比較して、処理装置が特定部品の故障状態を精度よく判定できるようになる、という効果を有する。
【0022】
第5態様によれば、処理装置に対して故障が発生した順に特定部品を割り当てる場合と比較して、装置の利用不可期間の発生頻度を低減することができる、という効果を有する。
【0023】
第6態様によれば、予め定められている保守日程とは異なる日に保守員が現地に赴き、特定部品の交換を行わなくてもよい、という効果を有する。
【0024】
第7態様によれば、処理装置が利用できなくなった際の影響度が大きい方の処理装置から特定部品を交換することができる、という効果を有する。
【0025】
第8態様によれば、倉庫から最も遠い場所にある処理装置から順に特定部品を割り当てる場合と比較して、より短期間により多くの処理装置に対して特定部品を交換することができる、という効果を有する。
【0026】
第9態様によれば、処理装置の稼働状態を考慮せずに特定部品を割り当てる場合と比較して、処理装置が利用できなくなった際の影響度を小さくすることができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】管理システムの構成例を示す図である。
図2】管理サーバの機能構成例を示す図である。
図3】在庫テーブルの一例を示す図である。
図4】使用部品テーブルの一例を示す図である。
図5】装置管理テーブルの一例を示す図である。
図6】基準音データの一例を示す図である。
図7】保守管理テーブルの一例を示す図である。
図8】稼働情報テーブルの一例を示す図である。
図9】画像形成装置の機能構成例を示す図である。
図10】画像形成ユニットの概略図の一例である。
図11】動作ログの一例を示す図である。
図12】画像形成装置の電気系統の要部構成例を示す図である。
図13】管理サーバの電気系統の要部構成例を示す図である。
図14】判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図15】特定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図16】特定部品の割り当て処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素及び同じ処理には全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明を省略する。
【0029】
図1は、画像形成装置10を管理する管理システム1の構成例を示す図である。管理システム1は、画像形成装置10と、各々の画像形成装置10を管理する管理サーバ20と、保守端末50を含む。画像形成装置10、管理サーバ20、及び保守端末50は、それぞれインターネット等の通信回線2によって接続されている。
【0030】
画像形成装置10は、画像の形成に関する少なくとも1つの機能を有する処理装置の一例である。管理システム1には複数の画像形成装置10が含まれる。各々の画像形成装置10の設置場所に制約はない。例えば各々の画像形成装置10が同じ建物内に設置されていてもよく、また、各々の画像形成装置10がそれぞれ異なる場所に設置されていてもよい。
【0031】
画像形成装置10が有する機能には、例えば画像データによって表される画像を用紙Pに印刷する印刷機能、原稿に記載されている画像を光学的に読み取って画像データを生成するスキャン機能、及び原稿に記載されている画像を他の用紙Pに複製するコピー機能等が含まれる。説明の便宜上、画像形成装置10は印刷機能を有しているものとする。印刷機能では、例えば画像が形成される用紙Pの搬送、トナーやインクによる用紙Pへの画像の形成、及び用紙Pに形成された画像の定着等に伴って関連する部品が稼働し、動作音が発生する。
【0032】
なお、ユーザによって指示された機能の動作に伴い音を発生するような処理装置であれば、どのような種類の処理装置を画像形成装置10の代わりに用いてもよい。例えば部品の製造を行う各種製造装置、及び車両におけるサイドウィンドウの駆動装置等を画像形成装置10の代わりに通信回線2に接続し、管理サーバ20によって各々の装置の動作状態を管理してもよい。
【0033】
管理サーバ20は、各々の画像形成装置10から動作状態に関する情報を取得すると共に、各々の画像形成装置10の動作状態に応じた処理を実行する管理装置の一例である。図1に示す管理システム1の例では、1台の管理サーバ20で各々の画像形成装置10を管理しているが、複数の管理サーバ20によって各々の画像形成装置10を管理してもよい。この場合、例えば管理サーバ20毎に管理対象となる画像形成装置10を予め決めておけばよい。
【0034】
保守端末50は、画像形成装置10の保守を担当する営業所毎に設置された端末である。保守端末50は、画像形成装置10に対する保守要請を管理サーバ20から受信すると、保守対象となる画像形成装置10と保守内容を営業所に所属する保守員に出力する。保守員は、保守要請に従って保守対象となる画像形成装置10の設置場所に出向き、指示された保守内容に従って画像形成装置10の保守を行う。
【0035】
次に、管理サーバ20、及び画像形成装置10の機能について詳細に説明する。
【0036】
図2は、管理サーバ20の機能構成例を示す図である。管理サーバ20は、通信部21、在庫管理部22、装置特定部23、管理制御部24、及び保守計画部25の各機能と、記憶装置26を備える。
【0037】
通信部21は、通信回線2を通じて各々の画像形成装置10及び各々の保守端末50と双方向にデータ通信を行う。更に、通信部21は、管理システム1に含まれてはいないが通信回線2に接続されている装置(「外部装置」という)と双方向にデータ通信を行う。
【0038】
在庫管理部22は、記憶装置26内の在庫管理データベース(Database:DB)26Aに記憶される在庫テーブル51を用いて、画像形成装置10に使用されている部品の在庫を管理する。
【0039】
図3は、在庫テーブル51の一例を示す図である。図3に示すように、在庫テーブル51は、画像形成装置10で使用されている部品毎の在庫情報を含む。各々の部品の在庫情報は部品名、在庫数、及び在庫閾値によって構成される。
【0040】
部品の在庫情報のうち、部品名は、画像形成装置10で使用されている部品の名称を表す。部品名に用いられる名称は、管理システム1内において部品を一意に識別できる名称であればよいため、例えば部品番号が用いられる。
【0041】
部品の在庫情報のうち、在庫数は、画像形成装置10で異常が発生した場合の修理に備えて予め保有している部品の在庫数を表す。修理用の部品が複数の場所に保管されている場合、図3の在庫テーブル51のように、保管場所毎に部品の在庫数が記録される。図3の在庫テーブル51の例では、修理用の部品が倉庫A、倉庫B、及び倉庫Cの3つの保管場所に分散されて保管されていることを示している。部品の在庫数は、例えば各倉庫からの報告によって最新の在庫数が反映されている。
【0042】
こうした修理用の部品は、部品を発注してから納品されるまでの納期が部品毎に異なる。したがって、修理用の部品の欠品により画像形成装置10が利用できない期間が発生しないようにするために必要となる在庫数は、各々の部品毎に異なる。
【0043】
そのため、部品の在庫情報のうち、在庫閾値は、画像形成装置10の修理に対応するために最低限必要な部品の在庫数を表す。在庫閾値は、部品の入手性を表す部品の納期や画像形成装置10における過去の修理状況に基づいて、各々の部品が欠品しないように在庫管理者によって予め設定される。具体的には、他の部品に比べて納期が長い部品や故障しやすい部品ほど、在庫閾値を大きくすることが好ましい。
【0044】
在庫管理部22は、例えば予め定めた期間毎に在庫テーブル51を参照して、各倉庫における在庫の合計が在庫閾値以下となっている部品がないかを監視する。在庫数が在庫閾値以下となっている部品が存在する場合、在庫管理部22は、在庫数が在庫閾値以下となっている部品名を装置特定部23に通知する。以降では、在庫数が在庫閾値以下となっている部品を「特定部品」という。
【0045】
なお、部品の在庫情報に含まれる項目は図3に示した項目に限られない。例えば部品の平均納期や各倉庫の位置情報等を部品の在庫情報に含めてもよい。
【0046】
図2における装置特定部23は、在庫管理部22から特定部品の通知を受け付けると、管理システム1に含まれる各々の画像形成装置10の中から、特定部品が用いられている画像形成装置10を特定する。
【0047】
そのため、装置特定部23は、記憶装置26内の装置管理DB26Bに記憶される使用部品テーブル52及び装置管理テーブル53を用いて、特定部品が用いられている画像形成装置10を特定する。
【0048】
図4は、使用部品テーブル52の一例を示す図である。画像形成装置10には用途に応じて様々な機種が存在し、機種毎に使用されている部品が異なる。したがって、図4に示すように、使用部品テーブル52は、画像形成装置10における機種毎の使用部品情報を含む。
【0049】
各々の使用部品情報は機種名、ユニット名、部品名、及び使用個数によって構成される。
【0050】
使用部品情報のうち、機種名は、画像形成装置10の機種の名称を表す。機種名に用いられる名称は、管理システム1内において画像形成装置10の機種を一意に識別できる名称であればよいため、例えば機種番号が用いられる。
【0051】
画像形成装置10が備える機能は、例えばユニット37単位で構成される。本開示の画像形成装置10の場合、印刷機能を備えることから画像形成ユニット37Dが含まれる。また、ユーザの指示を受け付けるため、本開示の画像形成装置10は入力ユニット37Bを備える。
【0052】
このように、使用部品情報のうち、ユニット名は、機種毎に画像形成装置10が備えているユニット37の名称を表す。
【0053】
使用部品情報のうち、部品名は、機種毎及びユニット37毎に使用されている部品の名称を表す。
【0054】
使用部品情報のうち、使用個数は、機種毎及びユニット37毎に使用されている各部品の使用数を表す。
【0055】
装置特定部23は使用部品テーブル52を参照することによって、特定部品が用いられている画像形成装置10の機種、及び当該画像形成装置10のうち、特定部品が用いられているユニット37を特定する。
【0056】
なお、使用部品情報に含まれる項目は図4に示した項目に限られない。例えば部品の値段等を使用部品情報に含めてもよい。
【0057】
一方、図5は、装置管理テーブル53の一例を示す図である。装置管理テーブル53は、各地に設置されている画像形成装置10の設置情報を含む。各々の画像形成装置10の設置情報は設置場所、機種名、台数、及び管理番号によって構成される。
【0058】
画像形成装置10の設置情報のうち、設置場所は、画像形成装置10が設置されている場所を表す。設置場所は、画像形成装置10が設置されている場所を一意に識別できる情報であればよいため、例えば住所が用いられるが緯度及び経度で表してもよい。
【0059】
画像形成装置10の設置情報のうち、機種名は、設置場所に設置されている画像形成装置10の機種の名称を表す。
【0060】
画像形成装置10の設置情報のうち、台数は、機種名によって表された画像形成装置10の機種が設置場所に設置されている台数を表す。
【0061】
画像形成装置10の設置情報のうち、管理番号は、設置場所に設置されている各々の画像形成装置10を識別するための番号である。管理番号は、各々の場所に設置された画像形成装置10を一意に識別できる番号であればよいため、例えば製造番号が用いられる。
【0062】
なお、同じ設置場所に複数の画像形成装置10の機種が設置されている場合、装置管理テーブル53では、画像形成装置10の機種毎に、機種名、台数、及び管理番号が記録される。
【0063】
また、画像形成装置10の設置情報に含まれる項目は図5に示した項目に限られない。例えば画像形成装置10の設置日や設置場所における画像形成装置10の管理担当者等を画像形成装置10の設置情報に含めてもよい。
【0064】
装置特定部23は装置管理テーブル53を参照することによって、特定部品が用いられている画像形成装置10の管理番号とその設置場所及び台数を把握する。そのうえで、装置特定部23は、特定部品が用いられている画像形成装置10の管理番号とユニット37、及び特定部品を管理制御部24に通知する。
【0065】
図2における管理制御部24は、通信部21、在庫管理部22、装置特定部23、及び保守計画部25を制御して、管理サーバ20に求められている機能を実行する。例えば管理制御部24は、装置特定部23から管理番号の通知を受け付けると、管理番号によって表される画像形成装置10に対して、特定部品が故障しているか否かを診断させる異常診断要求を送信する。
【0066】
具体的には、管理制御部24は特定部品の部品名と、特定部品が用いられているユニット名と、特定部品が用いられているユニット37の基準音データを異常診断要求に付加する。そのうえで、管理制御部24は通信部21を制御して、管理番号によって表される画像形成装置10に異常診断要求を送信する。
【0067】
基準音データとは、画像形成装置10の稼働中の音データであり、画像形成装置10を構成する各々の部品に故障が発生していない状況において得られる生音を記録した音データである。具体的には、基準音データは画像形成装置10の各機種のユニット37毎に集音された音データであり、例えば画像形成装置10を工場から出荷する前に、画像形成装置10に備えられたマイク17(図9)によって集音され、保守管理DB26Cに記憶される。
【0068】
すなわち、基準音データとは、画像形成装置10が正常に動作している状況において得られたユニット37毎の動作音を表す音データである。基準音データは、同じ機種に対して共通のデータを用いてよいが、同じ機種であっても画像形成装置10毎に動作音が異なる場合があるため、画像形成装置10毎に集音してもよい。
【0069】
なお、基準音データは必ずしも音データである必要はなく、音データに対して周波数解析を行うことで得られた周波数解析データであってもよい。
【0070】
図6は、基準音データの一例を示す図である。図6に示すように、基準音データは、各時間における音の大きさ、すなわち、音圧を時系列に沿って表したデータであり、特定部品を含むユニット37が動作している期間にマイク17によって集音された生音を表している。
【0071】
管理サーバ20から異常診断要求を受信した画像形成装置10は、異常診断要求に付加されたユニット名に対応するユニット37の動作音データを画像形成装置10に備えられたマイク17で集音する。画像形成装置10は、得られた動作音データと異常診断要求に付加された基準音データを比較することで、異常診断要求によって指定されたユニット37に含まれる特定部品が故障しているか否か、すなわち、特定部品の状態を診断する。画像形成装置10は、特定部品の診断結果(以降、単に「診断結果」ともいう)を、自装置の管理番号と共に管理サーバ20に送信する。
【0072】
通信部21は、異常診断要求を送信した各々の画像形成装置10から診断結果を受信すると、受信した診断結果を管理制御部24経由で保守計画部25に通知する。
【0073】
図2における保守計画部25は、管理制御部24から診断結果を受け付けると、診断結果の内容から特定部品に故障が発生していると認められる画像形成装置10に対して、特定部品の在庫を割り当てる指示を保守端末50に出力する。
【0074】
そのため、保守計画部25は、記憶装置26内の保守管理DB26Cに記憶される保守管理テーブル54を用いて、特定部品の在庫を割り当てる画像形成装置10を決定する。
【0075】
図7は、保守管理テーブル54の一例を示す図である。図7に示すように、保守管理テーブル54は、画像形成装置10毎の保守情報を含む。各々の保守情報は管理番号、機種名、担当営業所、次回保守日、使用状況、及び診断結果によって構成される。
【0076】
保守情報のうち、管理番号は、図5に示した装置管理テーブル53の管理番号と同じく、各々の画像形成装置10を識別するための番号である。
【0077】
保守情報のうち、機種名は、図4に示した使用部品テーブル52の機種名、及び図5に示した装置管理テーブル53の機種名と同じく、管理番号によって表される画像形成装置10の機種の名称を表す。
【0078】
保守情報のうち、担当営業所は、管理番号によって表される画像形成装置10の保守を担当している営業所の名称を表す。営業所の名称の代わりに、当該営業所に設置されている保守端末50のIPアドレスを担当営業所の名称として設定してもよい。
【0079】
保守情報のうち、次回保守日は、管理番号によって表される画像形成装置10に対して予定されている次回の保守日を表す。
【0080】
保守情報のうち、使用状況は、異常診断要求を行った特定部品の画像形成装置10における使用状況を表す。使用状況における“使用中”は、管理番号によって表される画像形成装置10が、異常診断要求を行った特定部品を使用していることを表す。一方、使用状況における“未使用”は、管理番号によって表される画像形成装置10が、異常診断要求を行った特定部品を使用していないことを表す。
【0081】
保守情報のうち、診断結果は、管理番号によって表される画像形成装置10における特定部品の状態を表す。診断結果における“OK”は、特定部品が故障していないことを表す。一方、診断結果における“NG”は、特定部品が故障していることを表す。
【0082】
保守計画部25は診断結果に基づいて、特定部品の使用状況と診断結果を保守管理テーブル54に設定する。診断結果に付加されている管理番号によって表される画像形成装置10は、特定部品を使用している画像形成装置10ということになるため、使用状況が“使用中”に設定される。特定部品の使用状況は、通信部21から異常診断要求を送信する前に装置特定部23が保守管理テーブル54に設定してもよい。
【0083】
なお、保守情報に含まれる項目は図7に示した項目に限られない。例えばこれまでに保守を行った日付や保守を担当した保守員名といった保守履歴等を保守情報に含めてもよい。
【0084】
保守計画部25は、例えば保守管理テーブル54の次回保守日によって表される画像形成装置10の保守日程を考慮して、特定部品が故障していると認められる画像形成装置10の中から、特定部品の在庫を優先的に割り当てる画像形成装置10を決定する。具体的な特定部品の在庫の割り当て方法については後ほど説明する。
【0085】
なお、管理サーバ20には、例えば1日1回といった予め定めたタイミング、及び必要時に、各々の画像形成装置10から稼働情報が送信される。稼働情報とは、ユーザによる画像形成装置10の利用に関する情報である。管理制御部24は、通信部21から各々の画像形成装置10の稼働情報を受け付ける毎に、稼働情報DB26Dに記憶される稼働情報テーブル55を更新する。
【0086】
図8は、稼働情報テーブル55の一例を示す図である。図8に示すように、稼働情報テーブル55は、画像形成装置10毎の稼働情報を含む。各々の稼働情報は管理番号、平均利用ジョブ数、平均形成枚数、及び平均稼働時間によって構成される。
【0087】
稼働情報のうち、管理番号は、図5に示した装置管理テーブル53の管理番号と同じく、各々の画像形成装置10を識別するための番号である。
【0088】
稼働情報のうち、平均利用ジョブ数は、管理番号によって表される画像形成装置10で実行された単位期間あたりのジョブの平均回数を表す。ジョブとは、画像形成装置10における機能の実行単位である。平均利用ジョブ数は、画像形成装置10で実行されたジョブ数に着目して画像形成装置10の利用頻度を表した情報である。
【0089】
稼働情報のうち、平均形成枚数は、管理番号によって表される画像形成装置10で使用された単位期間あたりの用紙Pの平均枚数を表す。平均形成枚数は、画像形成装置10における消耗品の消費量に着目して画像形成装置10の利用頻度を表した情報である。
【0090】
稼働情報のうち、平均稼働時間は、管理番号によって表される画像形成装置10が稼働した単位期間あたりの平均時間を表す。平均稼働時間は、画像形成装置10の稼働時間に着目して画像形成装置10の利用頻度を表した情報である。
【0091】
稼働情報で用いられる単位期間についての制約はなく、例えば1時間あたり、1日あたり、及び1か月あたりというように何れの期間を単位期間としてもよい。
【0092】
また、稼働情報に含まれる項目は図8に示した項目に限られない。例えば、画像形成装置10における単位期間あたりの色材の平均消費量や、単位期間あたりの平均データ通信量といった他の情報によって画像形成装置10の利用頻度を表してもよい。
【0093】
保守計画部25は、稼働情報テーブル55を参照し、画像形成装置10の保守日程に加えて、又は画像形成装置10の保守日程に代えて、画像形成装置10の稼働情報から特定部品の在庫を優先的に割り当てる画像形成装置10を決定してもよい。稼働情報テーブル55を用いた具体的な特定部品の在庫の割り当て方法については後ほど説明する。
【0094】
なお、在庫管理DB26A、装置管理DB26B、保守管理DB26C、及び稼働情報DB26Dの各々は、必ずしも管理サーバ20の記憶装置26に設ける必要はない。例えばデータサーバとして機能する外部装置に在庫管理DB26A、装置管理DB26B、保守管理DB26C、及び稼働情報DB26Dを設けてもよい。
【0095】
一方、図9は、画像形成装置10の機能構成例を示す図である。画像形成装置10は、通信部11、画像形成部12、異音検知部13、故障判定部14、及び装置制御部15の各機能部と、記憶装置16及びマイク17を備える。
【0096】
通信部11は、通信回線2を通じて管理サーバ20と双方向にデータ通信を行う。通信部11は、他の画像形成装置10と双方向にデータ通信を行ってもよい。更に、通信部11は、通信回線2に接続された外部装置と双方向にデータ通信を行ってもよい。
【0097】
画像形成部12は、ユーザによって印刷機能の実行が指示された場合に、画像形成ユニット37Dを用いて印刷対象である画像データによって表される画像を、色材を用いて用紙Pに形成する。画像形成部12における画像の形成方式に制約はなく、例えばインクジェット方式及び電子写真方式の何れであってもよい。
【0098】
図10は、画像形成ユニット37Dの概略図の一例である。画像形成ユニット37Dは、例えば用紙Pが収納された給紙容器3と、用紙Pへの画像の形成に用いられる部品A~部品Dと、給紙容器3に収納された用紙Pを搬送経路(図10の点線で示される経路)に沿って排出口まで搬送する搬送ロール4A~搬送ロール4Dと、搬送経路に沿って搬送される用紙Pを検知する検知センサ6A及び検知センサ6Bを含む。
【0099】
図10に示す画像形成ユニット37Dの概略図は、画像形成ユニット37Dの動作を概念的に説明した図である。
【0100】
搬送ロール4A~搬送ロール4Dは、給紙容器3に収納された用紙Pを搬送経路に沿って1枚ずつ搬送する。画像形成ユニット37Dは、用紙Pが検知センサ6Aと検知センサ6Bとの間に搬送されると、用紙Pに画像データによって表される画像を形成する。そのため、検知センサ6Aは、搬送方向と直交する用紙Pの搬送方向下流側に位置する辺(用紙Pの先端という)を検知する。また、検知センサ6Bは、搬送方向と直交する用紙Pの搬送方向上流側に位置する辺(用紙Pの後端という)を検知する。すなわち、検知センサ6A及び検知センサ6Bは、用紙Pに対する画像形成の開始から終了までの期間を検知する。1枚の用紙Pに対する画像形成の開始から終了までの期間を「画像形成期間5」という。
【0101】
例えば特定部品が用いられているユニット名が画像形成ユニット37Dであれば、管理サーバ20が異常診断要求と共に画像形成装置10に送信する基準音データは、画像形成期間5にマイク17で集音された正常に稼働する画像形成ユニット37Dの音データである。
【0102】
図10に示す画像形成ユニット37Dの概略図では、説明の便宜上、部品A~部品Dと、搬送ロール4A~搬送ロール4Dと、検知センサ6A及び検知センサ6Bを区別して記載したが、搬送ロール4A~搬送ロール4D、並びに、検知センサ6A及び検知センサ6Bも画像形成ユニット37Dに含まれる部品の一例である。また、搬送ロール4A~搬送ロール4Dを駆動するモーターやモーターの回転を搬送ロール4A~搬送ロール4Dに伝達するベルト等の図10に図示していない部品も画像形成ユニット37Dに含まれる部品の一例である。
【0103】
なお、画像形成装置10は、画像形成ユニット37D以外にも例えば後ほど図12で説明するように、ユーザの操作を受け付ける入力ユニット37B等の他のユニット37を備える。
【0104】
異音検知部13は、異常診断要求に付加された特定部品が用いられているユニット名に対応したユニット37の動作音から、当該ユニット37に何らかの異常が発生しているか否かを検知する。
【0105】
具体的には、特定部品が用いられているユニット名が画像形成ユニット37Dであれば、異音検知部13は、印刷機能の実行中にマイク17で集音した画像形成ユニット37Dの動作音を表す動作音データと、管理サーバ20から送信された基準音データとを比較し、画像形成ユニット37Dに何らかの異常が発生しているか否かを検知する。そのためマイク17は、各々のユニット37の動作音が集音できる箇所、例えばユニット37の内部やユニット37の周囲に設置される。
【0106】
特定部品が用いられているユニット37に異常が検知された場合、異音検知部13は、ユニット37に含まれる部品のうち、異常診断要求によって指示された特定部品の稼働期間に相当する部分の動作音データを取得した動作音データから抽出し、装置制御部15に出力する。特定部品が用いられているユニット37の動作音データから抽出した特定部品の稼働中の動作音データを解析対象データという。
【0107】
異音検知部13における処理は、異音検知部13に含まれる検知制御部13A、集音制御部13B、周波数解析部13C、及び異音判定部13Dの動作によって実現される。
【0108】
集音制御部13Bは、検知制御部13Aの指示に従ってマイク17の制御を行い、異常診断要求によって指示されたユニット37の動作音データを取得する。
【0109】
周波数解析部13Cは、集音制御部13Bが取得した動作音データに対して周波数解析を行い、周波数解析データを生成する。周波数解析データとは、動作音データにおける時系列に沿った周波数成分の変化を示すデータであり、STFT(Short-Time Fourier Transform)データとも呼ばれる。動作音データにおける周波数成分は、動作音データに対して短時間フーリエ変換を行うことで得られる。
【0110】
また、周波数解析部13Cは、管理サーバ20から異常診断要求と共に受信した、特定部品が用いられているユニット37の基準音データの周波数解析データ(以降、「正解データ」という)を生成する。なお、周波数解析部13Cが基準音データから正解データを生成しなくてもいいように、管理サーバ20は正解データを基準音データとして異常診断要求に付加して画像形成装置10に送信してもよい。
【0111】
異音判定部13Dは、正解データと、周波数解析部13Cによって得られた動作音データの周波数解析データとを比較することによって、特定部品が用いられているユニット37の動作に異常が発生しているか否かを判定する。
【0112】
特定部品が用いられているユニット37の動作に異常が認められる場合、異音判定部13Dは検知制御部13Aに異常発生を通知する。
【0113】
検知制御部13Aは集音制御部13B、周波数解析部13C、及び異音判定部13Dの各々を制御して異音検知部13での処理を実行すると共に、異音判定部13Dからユニット37の異常発生を受け付けると装置制御部15にも異常発生を出力する。また、特定部品が用いられているユニット37に異常が発生している場合、検知制御部13Aは、特定部品の解析対象データも装置制御部15に出力する。
【0114】
装置制御部15は、検知制御部13Aから異常発生を受け付けた場合、検知制御部13Aから受け付けた特定部品の解析対象データを故障判定部14に出力する。
【0115】
故障判定部14は、装置制御部15から受け付けた特定部品の解析対象データを用いて、特定部品の状態を診断し、診断結果を装置制御部15に出力する。特定部品の状態の診断は、例えば特定部品が正常に稼働している状態での動作音データと解析対象データとを比較するといった、動作音データを用いた公知の診断手法が用いられる。
【0116】
装置制御部15は通信部11を制御して、故障判定部14から受け付けた診断結果を自装置の管理番号と共に管理サーバ20に送信する。
【0117】
このように、装置制御部15は、通信部11、画像形成部12、異音検知部13、及び故障判定部14の各機能部を制御して、特定部品が用いられているユニット37の動作音から特定部品の状態を診断する制御を行う。
【0118】
なお、記憶装置16には動作音DB16A、判定DB16B、及び履歴DB16Cが含まれ、異音検知部13によって各種データの記憶及び取得が行われる。
【0119】
動作音DB16Aには、集音制御部13Bによって特定部品が用いられているユニット37の動作音データが記憶される。
【0120】
判定DB16Bには、例えば周波数解析データのように、特定部品が用いられているユニット37の異音の検知に使用されるデータが記憶される。
【0121】
履歴DB16Cには、画像形成装置10の動作ログが記憶される。動作ログは、装置制御部15によって生成され、装置制御部15から動作ログを受け付けた検知制御部13Aが履歴DB16Cに記憶する。画像形成装置10の動作ログとは、画像形成装置10に含まれる各々の部品の動作状態を記録した動作履歴の一例である。動作ログは、例えば画像形成装置10のユニット37毎に記憶される。
【0122】
図11は、動作ログの一例を示す図である。図11に示す動作ログは図10に示した画像形成ユニット37Dに対応した動作ログの一例であり、各々の動作ログは、図11の左から右方向に向かって時系列に表されている。
【0123】
用紙位置情報は、用紙Pの先端及び後端の少なくとも一方が検知センサ6Aから検知センサ6Bまでの搬送経路の間に存在しているか否かを表した動作ログである。用紙Pの先端及び後端の少なくとも一方が検知センサ6Aから検知センサ6Bまでの搬送経路の間に存在する場合、例えば用紙位置情報は“1”で表され、そうでない場合には、例えば用紙位置情報は“0”で表される。すなわち、用紙位置情報が“1”に設定されている期間は画像形成期間5を表している。
【0124】
また、部品A~部品Dの動作ログにおいて、“0”は当該部品が稼働していない状態を表し、“1”は当該部品が稼働している状態を表す。したがって、例えば部品Bの動作ログにおいて“1”が設定されている期間は、部品Bの稼働期間を表している。
【0125】
すなわち、検知制御部13Aは、特定部品が用いられているユニット37の動作ログを参照し、特定部品の稼働期間を特定する。例えば部品Bが特定部品である場合、図11における期間7が特定部品の稼働期間となる。検知制御部13Aは、特定部品が用いられているユニット37の動作音データから特定部品の稼働期間に相当する部分の動作音データを抽出することによって特定部品の解析対象データを生成する。
【0126】
このように、異音検知部13及び故障判定部14は、動作音DB16A、判定DB16B、及び履歴DB16Cに記憶される各種データを参照して、特定部品が用いられているユニット37の動作中における異音の検知、及び特定部品の状態の診断を行う。
【0127】
こうした処理を行う画像形成装置10及び管理サーバ20は、それぞれコンピュータ30及びコンピュータ40を用いて構成することができる。図12は、コンピュータ30を用いて構成した画像形成装置10の電気系統の要部構成例を示す図である。
【0128】
コンピュータ30は、図9に示した画像形成装置10における各機能部の処理を実行する第2プロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)31、コンピュータ30の起動処理を行う起動プログラム(Basic Input Output System:BIOS)を記憶するROM(Read Only Memory)32、CPU31の一時的な作業領域として利用されるRAM(Random Access Memory)33、不揮発性メモリ34、及び入出力インターフェース(I/O)35を備える。CPU31、ROM32、RAM33、不揮発性メモリ34、及びI/O35はバス36を介して各々接続されている。
【0129】
不揮発性メモリ34は、不揮発性メモリ34に供給される電力が遮断されても記憶した情報が維持される記憶装置16の一例であり、例えば半導体メモリが用いられるがハードディスクを用いてもよい。不揮発性メモリ34には画像形成装置10の動作を規定した処理プログラムが記憶される。CPU31が不揮発性メモリ34から処理プログラムを読み込み、処理プログラムを実行することによって画像形成装置10が動作する。
【0130】
I/O35には、例えば画像形成装置10が有する機能を実現するための構造を備えたユニット37が接続される。図12に示した例では、I/O35に通信ユニット37A、入力ユニット37B、表示ユニット37C、及び画像形成ユニット37Dが接続されている。
【0131】
通信ユニット37Aは通信回線2に接続され、予め定めた通信プロトコルに従って通信回線2に接続された各装置とデータ通信を行うユニット37の一例である。
【0132】
入力ユニット37Bは、ユーザの操作を受け付けてCPU31に通知するユニット37の一例であり、例えばボタン及びタッチパネル等が用いられる
【0133】
表示ユニット37Cは、CPU31によって処理された情報を視覚的に表示するユニット37の一例であり、例えば液晶ディスプレイ及び有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等が用いられる。
【0134】
画像形成ユニット37Dは、既に図10を用いて説明したように、色材を用いて用紙Pに画像を形成するユニット37の一例である。
【0135】
一方、図13は、コンピュータ40を用いて構成した管理サーバ20の電気系統の要部構成例を示す図である。
【0136】
コンピュータ40は、管理サーバ20での処理を実行する第1プロセッサの一例であるCPU41、コンピュータ40の起動処理を行うBIOSを記憶するROM42、CPU41の一時的な作業領域として利用されるRAM43、不揮発性メモリ44、及びI/O45を備える。CPU41、ROM42、RAM43、不揮発性メモリ44、及びI/O45はバス46を介して各々接続されている。不揮発性メモリ44は、在庫管理DB26A、装置管理DB26B、保守管理DB26C、及び稼働情報DB26Dを含む記憶装置26の一例である。
【0137】
I/O45には、例えば管理サーバ20が有する機能を実現するための構造を備えたユニット47が接続される。図13に示した例では、I/O45に通信ユニット47A、入力ユニット47B、及び表示ユニット47Cが接続されている。
【0138】
通信ユニット47Aは通信回線2に接続され、予め定めた通信プロトコルに従って通信回線2に接続された各装置とデータ通信を行うユニット47の一例である。
【0139】
入力ユニット47Bは、管理サーバ20を管理するシステム管理者の操作を受け付けてCPU41に通知するユニット47の一例であり、例えばキーボード及びマウス等が用いられる。
【0140】
表示ユニット47Cは、CPU41によって処理された情報を視覚的に表示するユニット47の一例であり、画像形成装置10の表示ユニット37Cと同じく、例えば液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイ等が用いられる。
【0141】
次に、管理サーバ20で実行される機能の作用について説明する。
【0142】
図14は、特定部品の有無を判定する判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。判定処理は、例えば1日毎といった予め定めたタイミング、又はシステム管理者が指示したタイミングで管理サーバ20の在庫管理部22によって実行される。
【0143】
判定処理を規定する管理プログラムは、例えば管理サーバ20の不揮発性メモリ44に予め記憶されている。管理サーバ20のCPU41は、不揮発性メモリ44に記憶される管理プログラムを読み込み、判定処理を実行する。
【0144】
ステップS10において、在庫管理部22は在庫テーブル51を参照し、画像形成装置10に用いられている部品の中に、在庫数が在庫閾値以下となっている部品、すなわち、特定部品がないか検索する。
【0145】
ステップS12において、在庫管理部22は、ステップS10の検索の結果、特定部品があったか否かを判定する。特定部品があった場合にはステップS14に移行する。
【0146】
ステップS14において、在庫管理部22は、特定部品の部品名を装置特定部23に通知し、図14の判定処理を終了する。
【0147】
一方、ステップS12の判定処理で特定部品はないと判定された場合、画像形成装置10に何らかの異常が発生しても、修理に必要な部品が欠品するような状況は発生しにくいと考えられるため、ステップS14の処理を実行することなく図14の判定処理を終了する。
【0148】
図3に示した在庫テーブル51の例の場合、倉庫A、倉庫B、及び倉庫Cにおける部品Bの在庫の合計は15個である。これに対して、部品Bの在庫閾値は20個であるため、部品Bが特定部品として検索され、部品Bが特定部品として装置特定部23に通知される。
【0149】
なお、在庫閾値は、部品の納期の長さや画像形成装置10における過去の修理状況に基づいて、在庫管理部22が定期的に更新してもよい。例えば在庫管理部22は、納期が長い部品ほど、かつ、交換頻度の多い部品ほど在庫閾値を大きく設定する。
【0150】
図15は、在庫管理部22から特定部品の通知を受け付けた場合に、管理サーバ20の装置特定部23によって実行される処理である、特定部品が用いられている画像形成装置10を特定する特定処理の流れの一例を示すフローチャートである。管理サーバ20のCPU41は、不揮発性メモリ44に記憶される管理プログラムを読み込み、特定処理を実行する。
【0151】
ステップS20において、装置特定部23は使用部品テーブル52を参照し、特定部品が用いられている画像形成装置10の機種を特定すると共に、当該機種において特定部品が用いられているユニット37を特定する。
【0152】
ステップS22において、装置特定部23は装置管理テーブル53を参照し、特定部品が用いられている対象機種のすべての画像形成装置10の管理番号を取得することで、異常診断の実施対象となる画像形成装置10を特定する。
【0153】
ステップS24において、装置特定部23は、ステップS22の処理で取得した特定部品が用いられている画像形成装置10の管理番号と、ステップS20の処理で特定した特定部品が用いられているユニット37のユニット名と、特定部品の部品名とを、特定部品が用いられている画像形成装置10の管理番号毎に対応付けて管理制御部24に通知する。以上により、図15に示す特定処理を終了する。
【0154】
特定処理によって、特定部品が用いられているすべての画像形成装置10が特定されると共に、特定部品が画像形成装置10の何れのユニット37に用いられているかが特定される。
【0155】
例えば図4及び図5にそれぞれ例示した使用部品テーブル52及び装置管理テーブル53において、部品Bが特定部品である場合、使用部品テーブル52からは、例えば機種Aの画像形成ユニット37Dに特定部品が用いられていることがわかる。更に、装置管理テーブル53からは、機種Aの画像形成装置10の管理番号は場所Aに設置されている“#001”と場所Cに設置されている“#002”であることがわかる。
【0156】
特定部品が用いられている画像形成装置10の管理番号とユニット名、及び特定部品の部品名を受け付けた管理制御部24は、特定部品が用いられているユニット37の基準音データを保守管理DB26Cから取得する。そのうえで、管理制御部24は通信ユニット37Aを制御して、特定部品の部品名と、特定部品が用いられているユニット名と、特定部品が用いられているユニット37の基準音データを付加した異常診断要求を、通知された各々の管理番号によって表される画像形成装置10に送信する。
【0157】
これにより、異常診断要求を送信した各々の画像形成装置10から管理サーバ20に特定部品の診断結果が送信される。
【0158】
図16は、画像形成装置10に異常診断要求を送信した後に、管理サーバ20の保守計画部25によって実行される処理である、特定部品の割り当て処理の流れの一例を示すフローチャートである。管理サーバ20のCPU41は、不揮発性メモリ44に記憶される管理プログラムを読み込み、割り当て処理を実行する。
【0159】
ステップS30において、保守計画部25は、診断結果を受け取ったか否かを判定する。診断結果を受け取っていない場合にはステップS30の判定処理を繰り返し実行し、診断結果の到着を監視する。一方、診断結果を受け取った場合にはステップS32に移行する。
【0160】
診断結果を送信してきた画像形成装置10には特定部品が用いられていることから、ステップS32において、保守計画部25は保守管理テーブル54に対して、診断結果を送信してきた画像形成装置10の管理番号を含む保守情報(「該当保守情報」という)の使用状況に“使用中”を設定する。更に、保守計画部25は、受け取った診断結果を該当保守情報に設定する。
【0161】
ステップS34において、保守計画部25は、異常診断要求を送信したすべての画像形成装置10から診断結果を受け取ったか否かを判定する。異常診断要求を送信したすべての画像形成装置10から診断結果を受け取っていない場合にはステップS30に移行し、診断結果を受け取る。異常診断要求を送信してから予め定めた時間が経過しても診断結果を送信してこない画像形成装置10が存在する場合、保守計画部25は、こうした画像形成装置10に対して診断結果の送信を催促してもよい。
【0162】
一方、異常診断要求を送信したすべての画像形成装置10から診断結果を受け取った場合にはステップS36に移行する。ステップS36において、保守計画部25は、特定部品の在庫を割り当てる画像形成装置10を決定する。特定部品の在庫を割り当てる画像形成装置10の決定方法は様々存在するが、例えば保守計画部25は保守管理テーブル54の次回保守日を参照して、診断結果から特定部品に故障が発生していると認められる画像形成装置10のうち、保守日程が近い方の画像形成装置10から順に特定部品の在庫を割り当てる。特定部品の在庫の割り当てによって、画像形成装置10に対して、保管場所に保管されている修理用の特定部品が確保される。このように特定部品の在庫を割り当てることで、画像形成装置10の保守日に必要な部品が確保される。
【0163】
ステップS38において、保守計画部25は、特定部品の在庫を割り当てた画像形成装置10の保守を担当している担当営業所の保守端末50に対して、部品の保管場所へ特定部品の発注を行うように指示するための発注指示を管理制御部24に通知する。発注指示を受け付けた管理制御部24は通信ユニット37Aを制御して、保守計画部25によって指定された保守端末50に発注指示を送信する。以上により、図16に示す割り当て処理を終了する。
【0164】
例えば図7の保守管理テーブル54に示すように、特定部品が用いられている画像形成装置10が“#001”と“#002”の管理番号によって表される2台の画像形成装置10だけであったとする。この場合、管理番号が“#001”によって表される画像形成装置10の診断結果が“NG”であり、管理番号が“#002”によって表される画像形成装置10の診断結果が“OK”であるため、保守計画部25は、次回保守日を考慮するまでもなく、管理番号が“#002”によって表される画像形成装置10に特定部品を割り当てる。
【0165】
仮に、管理番号が“#002”によって表される画像形成装置10の診断結果も“NG”である場合には、管理番号が“#001”によって表される画像形成装置10の次回保守日の方が、管理番号が“#002”によって表される画像形成装置10の次回保守日よりも近い。したがって、保守計画部25は、管理番号が“#001”によって表される画像形成装置10への特定部品の割り当て順位を1位に設定し、管理番号が“#002”によって表される画像形成装置10への特定部品の割り当て順位を2位に設定する。交換の必要性がある特定部品の数が在庫数を超える場合、保守計画部25は、在庫数を超えないように画像形成装置10への特定部品の割り当て順位を設定する。保守計画部25は、特定部品の割り当て順位に従った発注指示を管理制御部24に通知する。
【0166】
これに対して、担当営業所に所属する保守員は、保守端末50で受信した発注指示に従って部品の保管場所に特定部品の発注を行う。
【0167】
なお、保守端末50への発注指示の送信は、画像形成装置10に対して特定部品の在庫を割り当てる指示を出力するための一例である。管理サーバ20は特定部品の割り当て結果をホームページに公開し、保守端末50から閲覧できるようにしてもよい。また、管理サーバ20は、特定部品の割り当て結果を管理サーバ20の表示ユニット47Cに表示してもよく、不揮発性メモリ44に記憶してもよい。更に、管理サーバ20は、特定部品を割り当てた画像形成装置10に対して、特定部品の割り当てが行われたことを示す割り当て情報を送信し、画像形成装置10の表示ユニット37Cに特定部品が割り当てられたことを表示させてもよい。こうした各形態も画像形成装置10に対して特定部品の在庫を割り当てる指示を出力するための一例である。
【0168】
<変形例1>
上記では、管理サーバ20は、画像形成装置10の保守日程を考慮して、特定部品が故障していると認められる画像形成装置10の中から、特定部品の在庫を優先的に割り当てる画像形成装置10を決定した。しかしながら、画像形成装置10への特定部品の在庫の割り当て方法は保守日程のみに影響を受けるわけではない。
【0169】
管理サーバ20は、画像形成装置10の保守日程、特定部品を保管する倉庫から画像形成装置10が設置されている設置場所までの距離、及び画像形成装置10の利用頻度の少なくとも1つを考慮して、画像形成装置10に対する特定部品の在庫の割り当て順位を設定してもよい。
【0170】
例えば、倉庫に特定部品を発注した時間が同じであったとしても、倉庫からの距離が近い画像形成装置10ほど、特定部品が早く届けられる。したがって、管理サーバ20は、特定部品が故障していると認められる画像形成装置10のうち、画像形成装置10に最も近い倉庫から画像形成装置10が設置されている設置場所までの距離が近い方の画像形成装置10から順に特定部品の在庫を割り当ててもよい。
【0171】
また、ユーザによる利用頻度が高い画像形成装置10ほど、画像形成装置10が利用できなくなった場合の影響度が大きくなる。したがって、ユーザによる利用頻度が高い画像形成装置10ほど優先的に特定部品の在庫を割り当てることが好ましい。
【0172】
画像形成装置10の利用頻度は稼働情報として稼働情報テーブル55に記録されている。したがって、管理サーバ20は、図8に示した稼働情報テーブル55を参照し、特定部品が故障していると認められる画像形成装置10のうち、平均利用ジョブ数が多い画像形成装置10、平均形成枚数が多い画像形成装置10、又は平均稼働時間が長い画像形成装置10から順に特定部品の在庫を割り当ててもよい。
【0173】
当然のことながら、管理サーバ20は、平均利用ジョブ数、平均形成枚数、及び平均稼働時間のうち少なくとも2つの項目を組みあわせて、各々の画像形成装置10の利用頻度を評価してもよい。
【0174】
その他、管理サーバ20は、保守日程の近さによって特定部品の在庫の割り当て順位を決定する際に、特定部品が故障していると認められる画像形成装置10の中に、次回保守日が同じ画像形成装置10が複数存在する場合、次回保守日が同じ画像形成装置10のうち、ユーザによる利用頻度が高い画像形成装置10ほど優先的に特定部品の在庫を割り当ててもよい。ユーザによる利用頻度が高い画像形成装置10ほど優先的に特定部品の在庫を割り当てるとは、上記で説明したように、平均利用ジョブ数、平均形成枚数、及び平均稼働時間の少なくとも1つを用いて各々の画像形成装置10の利用頻度を評価し、ユーザによる利用頻度が高い画像形成装置10から順に特定部品の在庫を割り当てることをいう。
【0175】
既に説明したように、画像形成装置10の利用頻度は、例えば単位期間あたりの色材の平均消費量や単位期間あたりの平均データ通信量のように、平均利用ジョブ数、平均形成枚数、及び平均稼働時間以外の項目によっても表される。したがって、管理サーバ20は、稼働情報テーブル55に平均利用ジョブ数、平均形成枚数、及び平均稼働時間以外の画像形成装置10の利用頻度を表す情報も記録されていれば、こうした画像形成装置10の利用頻度を表す各々の情報を用いて画像形成装置10の利用頻度を評価してもよい。
【0176】
逆に、管理サーバ20は、ユーザによる利用頻度の多さによって特定部品の在庫の割り当て順位を決定する際に、特定部品が故障していると認められる画像形成装置10の中に、ユーザによる利用頻度が同じ画像形成装置10が複数存在する場合、利用頻度が同じ画像形成装置10のうち、保守日程が近い画像形成装置10ほど優先的に特定部品の在庫を割り当ててもよい。
【0177】
<変形例2>
図11に示したように、画像形成装置10の動作ログには部品毎の稼働期間が記録されている。したがって、画像形成装置10は動作ログを参照することで、診断対象として指定された特定部品の稼働期間を自ら特定できる。
【0178】
しかしながら、画像形成装置10によっては、動作ログに部品毎の稼働期間が記録されない機種も存在する。こうした場合、特定部品が用いられているユニット37の動作音データから特定部品の稼働期間に相当する部分の動作音データを抽出することができなくなる。したがって、画像形成装置10は、特定部品がいつ稼働しているかわからないユニット37の動作音データ全体を用いて特定部品の状態を診断しなければならない。特定部品の状態は、特定部品の稼働期間中の動作音データを用いて診断したほうが、どこに特定部品の動作音が含まれているかわからない動作音データを用いて診断するよりも診断精度が向上する。
【0179】
したがって、管理サーバ20は、動作ログに部品毎の稼働期間が記録されない画像形成装置10の機種に対して異常診断要求を送信する場合、特定部品の稼働期間を示す稼働期間情報も異常診断要求に付加する。稼働期間情報は、特定部品が用いられているユニット37の動作の開始から終了までの期間のうち、どこで特定部品が稼働しているかを示す情報である。
【0180】
このように、管理サーバ20は、動作ログに部品毎の稼働期間が記録されない画像形成装置10に対して異常診断要求を送信する場合、特定部品の稼働期間情報も一緒に送信する。これにより、動作ログに部品毎の稼働期間が記録されない画像形成装置10であっても、特定部品の稼働期間中の動作音データを用いた特定部品の診断が行われる。
【0181】
また、上記では管理サーバ20が、特定部品が用いられているユニット37の基準音データを付加した異常診断要求を、異常診断の実施対象となる画像形成装置10に送信する例について説明した。しかしながら、各々の画像形成装置10の不揮発性メモリ34にユニット37毎の基準音データを予め記憶しておけば、管理サーバ20は、特定部品が用いられているユニット37の基準音データを異常診断要求に付加しなくてよい。この場合、異常診断要求を受信した画像形成装置10は、異常診断要求に付加されているユニット名に対応した基準音データを不揮発性メモリ34から取得し、異常診断要求に付加されているユニット名に対応するユニット37の動作音データと基準音データを比較することで、ユニット37の動作に異常が発生しているか否かを判定する。
【0182】
以上、実施形態を用いて管理システム1の一態様について説明したが、開示した管理システム1の形態は一例であり、管理システム1の形態は実施形態に記載の範囲に限定されない。本開示の要旨を逸脱しない範囲で実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、当該変更又は改良を加えた形態も開示の技術的範囲に含まれる。
【0183】
例えば本開示の要旨を逸脱しない範囲で、図14図16に示した各処理における内部の処理順序を変更してもよい。
【0184】
上記の実施形態では、一例として、図14図16に示した各処理をソフトウェアで実現する形態について説明した。しかしながら、各処理のフローチャートと同等の処理をハードウェアで処理させるようにしてもよい。この場合、各処理をソフトウェアで実現した場合と比較して処理の高速化が図られる。
【0185】
上記の実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU31、41)や、専用のプロセッサ(例えば GPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0186】
また、上記の実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記の実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0187】
上記の実施形態では、不揮発性メモリ44に管理プログラムが記憶されている例について説明した。しかしながら、管理プログラムの記憶先は不揮発性メモリ44に限定されない。本開示の管理プログラムは、コンピュータ40で読み取り可能な記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。
【0188】
例えば管理プログラムをCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)及びDVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)のような光ディスクに記録した形態で提供してもよい。また、管理プログラムを、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカードのような可搬型の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。ROM42、不揮発性メモリ44、CD-ROM、DVD-ROM、USB、及びメモリカードは非一時的(non-transitory)記憶媒体の一例である。
【0189】
同様に、画像形成装置10の処理プログラムをコンピュータ30で読み取り可能な記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。
【0190】
更に、管理サーバ20は通信ユニット47Aを通じて、通信回線2に接続された外部装置から管理プログラムをダウンロードし、ダウンロードした管理プログラムを不揮発性メモリ44に記憶してもよい。この場合、管理サーバ20のCPU41は、外部装置からダウンロードした管理プログラムを不揮発性メモリ44から読み込んで各種処理を実行する。
【0191】
同様に、画像形成装置10は通信ユニット37Aを通じて、通信回線2に接続された外部装置から処理プログラムをダウンロードし、ダウンロードした処理プログラムを不揮発性メモリ34に記憶してもよい。
【0192】
以下に本実施形態に係る付記を示す。
【0193】
(((1)))
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
通信回線によって接続された処理装置を構成する部品のうち、在庫数が閾値以下となっている特定部品を検出し、
前記特定部品が用いられている各々の前記処理装置に対して、前記特定部品における故障の有無を診断させる異常診断要求を送信し、
前記異常診断要求を送信した各々の前記処理装置から前記特定部品の診断結果を受信し、
前記特定部品の診断結果から前記特定部品に故障が発生していると認められる前記処理装置に対して、前記特定部品の在庫を割り当てる指示を出力する
管理装置。
【0194】
(((2)))
前記プロセッサは、前記処理装置を構成する各々の部品に故障が発生していない状況において得られる音を記録した基準音データを前記異常診断要求に付加して、前記特定部品が用いられている各々の前記処理装置に前記異常診断要求を送信する
(((1)))に記載の管理装置。
【0195】
(((3)))
前記プロセッサは、前記処理装置を構成する各々の部品に故障が発生していない状況において得られる音から抽出した基準音データを前記異常診断要求に付加して、前記特定部品が用いられている各々の前記処理装置に前記異常診断要求を送信する
(((1)))に記載の管理装置。
【0196】
(((4)))
前記プロセッサは、前記特定部品の稼働期間を示す稼働期間情報を前記異常診断要求に付加して、前記特定部品が用いられている各々の前記処理装置に前記異常診断要求を送信する
(((1)))~(((3)))の何れか1つに記載の管理装置。
【0197】
(((5)))
前記プロセッサは、前記特定部品の診断結果から前記特定部品に故障が発生していると認められる前記処理装置のうち、前記処理装置の保守日程、前記特定部品を保管する倉庫から前記処理装置が設置されている設置場所までの距離、及び前記処理装置の利用頻度の少なくとも1つを考慮して、前記処理装置に対する前記特定部品の在庫の割り当て順位を設定する
(((1)))~(((4)))の何れか1つに記載の管理装置。
【0198】
(((6)))
前記プロセッサは、保守日程が近い方の前記処理装置から順に前記特定部品の在庫を割り当てる
(((5)))に記載の管理装置。
【0199】
(((7)))
複数の前記処理装置に対する保守日程が同じ日である場合、単位期間における稼働時間が長い方、又は消耗品の消費量が多い方の前記処理装置から順に前記特定部品の在庫を割り当てる
(((6)))に記載の管理装置。
【0200】
(((8)))
前記プロセッサは、前記距離が近い方の前記処理装置から順に前記特定部品の在庫を割り当てる
(((5)))~(((7)))の何れか1つに記載の管理装置。
【0201】
(((9)))
前記プロセッサは、それぞれ単位期間における平均稼働時間が長い方、平均利用ジョブ数が多い方、又は消耗品の平均消費量が多い方の前記処理装置から順に前記特定部品の在庫を割り当てる
(((5)))~(((8)))の何れか1つに記載の管理装置。
【0202】
(((10)))
コンピュータに、
通信回線によって接続された処理装置を構成する部品のうち、在庫数が閾値以下である特定部品を検出し、
前記特定部品が用いられている各々の前記処理装置に対して、前記特定部品における故障の有無を診断させる異常診断要求を送信し、
前記異常診断要求を送信した各々の前記処理装置から前記特定部品の診断結果を受信し、
前記特定部品の診断結果から前記特定部品に故障が発生していると認められる前記処理装置に対して、前記特定部品の在庫を割り当てる指示を出力する処理を実行させるための
管理プログラム。
【0203】
(((11)))
ユーザによって指示された機能を実行する複数の処理装置と、
各々の前記処理装置の動作状態を管理する管理装置と、
を含み、
前記管理装置に備えられた第1プロセッサは、通信回線によって接続された各々の前記処理装置を構成する部品のうち、在庫数が閾値以下である特定部品を検出し、前記特定部品が用いられている各々の前記処理装置に対して、前記特定部品における故障の有無を診断させる異常診断要求を送信し、前記異常診断要求を送信した各々の前記処理装置から前記特定部品の診断結果を受信し、前記特定部品の診断結果から前記特定部品に故障が発生していると認められる前記処理装置に対して、前記特定部品の在庫を割り当てる指示を出力し、
前記処理装置に備えられた第2プロセッサは、前記特定部品の稼働期間における前記処理装置の動作音データを取得し、前記動作音データを用いて前記特定部品に故障が発生しているか否かを表す診断結果を生成する
管理システム。
【0204】
(((1)))、(((10)))、及び(((11)))によれば、部品の在庫切れによる装置の利用不可期間の発生頻度が低減するように部品を管理することができる、という効果を有する。
【0205】
(((2)))によれば、処理装置が自身の動作音から特定部品の故障状態を判定できるようになる、という効果を有する。
【0206】
(((3)))によれば、処理装置は、生音ではなく音の特徴を抽出した基準音データを用いて特定部品の故障状態を判定できるようになる、という効果を有する。
【0207】
(((4)))によれば、管理装置が処理装置に特定部品の稼働情報を通知しない場合と比較して、処理装置が特定部品の故障状態を精度よく判定できるようになる、という効果を有する。
【0208】
(((5)))によれば、処理装置に対して故障が発生した順に特定部品を割り当てる場合と比較して、装置の利用不可期間の発生頻度を低減することができる、という効果を有する。
【0209】
(((6)))によれば、予め定められている保守日程とは異なる日に保守員が現地に赴き、特定部品の交換を行わなくてもよい、という効果を有する。
【0210】
(((7)))によれば、処理装置が利用できなくなった際の影響度が大きい方の処理装置から特定部品を交換することができる、という効果を有する。
【0211】
(((8)))によれば、倉庫から最も遠い場所にある処理装置から順に特定部品を割り当てる場合と比較して、より短期間により多くの処理装置に対して特定部品を交換することができる、という効果を有する。
【0212】
(((9)))によれば、処理装置の稼働状態を考慮せずに特定部品を割り当てる場合と比較して、処理装置が利用できなくなった際の影響度を小さくすることができる、という効果を有する。
【符号の説明】
【0213】
1 管理システム
2 通信回線
3 給紙容器
4A、4B、4C、4D 搬送ロール
5 画像形成期間
6A、6B 検知センサ
7 期間
10 画像形成装置
11 通信部
12 画像形成部
13 異音検知部
13A 検知制御部
13B 集音制御部
13C 周波数解析部
13D 異音判定部
14 故障判定部
15 装置制御部
16 (画像形成装置の)記憶装置
16A 動作音DB
16B 判定DB
16C 履歴DB
17 マイク
20 管理サーバ
21 通信部
22 在庫管理部
23 装置特定部
24 管理制御部
25 保守計画部
26 (管理サーバの)記憶装置
26A 在庫管理DB
26B 装置管理DB
26C 保守管理DB
26D 稼働情報DB
30、40 コンピュータ
31、41 CPU
32、42 ROM
33、43 RAM
34、44 不揮発性メモリ
35、45 I/O
36、46 バス
37、47 ユニット
37A、47A 通信ユニット
37B、47B 入力ユニット
37C、47C 表示ユニット
37D 画像形成ユニット
50 保守端末
51 在庫テーブル
52 使用部品テーブル
53 装置管理テーブル
54 保守管理テーブル
55 稼働情報テーブル
P 用紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16