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特開2024-97289皮膚吸収が容易な顔面成形用PLAニードルを搭載したマイクロニードルパッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097289
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】皮膚吸収が容易な顔面成形用PLAニードルを搭載したマイクロニードルパッチ
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20240710BHJP
   A61L 31/06 20060101ALI20240710BHJP
   A61L 31/04 20060101ALI20240710BHJP
   A61L 31/16 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
A61M37/00 530
A61M37/00 505
A61L31/06
A61L31/04 120
A61L31/16
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023135358
(22)【出願日】2023-08-23
(31)【優先権主張番号】10-2023-0001819
(32)【優先日】2023-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523175409
【氏名又は名称】シンフル スティック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム,チャン フン
【テーマコード(参考)】
4C081
4C267
【Fターム(参考)】
4C081AC05
4C081BA12
4C081BA16
4C081BB06
4C081CA171
4C081CD082
4C081DA16
4C081DC03
4C267AA72
4C267BB02
4C267BB04
4C267BB24
4C267BB40
4C267CC05
4C267FF10
4C267GG02
4C267GG12
4C267GG16
4C267GG50
(57)【要約】
【課題】皮膚吸収が容易な顔面成形用PLAニードルを搭載したマイクロニードルパッチを提供する。
【解決手段】本発明のマイクロニードルパッチは、平坦な層であるパッチ層を有し且つ一面上に突出するように配置され、ヒアルロン酸からなる少なくとも1つのニードルベースと、前記ニードルベースの上面に配置され、皮膚中の真皮層に刺入してニードルベースから分離される生分解性高分子であるPLA(Poly Lactic Acid)からなるニードルチップと、を含んでなることを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロニードルパッチであって、
平坦な層であるパッチ層を有し且つ一面上に突出するように配置され、ヒアルロン酸からなる少なくとも1つのニードルベースと、
前記ニードルベースの上面に配置され、皮膚中の真皮層に刺入してニードルベースから分離される生分解性高分子であるPLA(Poly Lactic Acid)からなるニードルチップと、を含んでなることを特徴とする、皮膚吸収が容易な顔面成形用PLLAニードルを搭載したマイクロニードルパッチ。
【請求項2】
前記生分解性高分子であるPLA(Poly Lactic Acid)は、PLA0.1~0.5gに成長因子EGF(Epidermal Growth Factor)0.01g~0.5gを添加して、有機溶媒であるDCM(Dichloromethane)10mlに溶解させ、1wt%のポリビニルアルコール(PVA)溶液50mlに混合した後、製造された30~150μmサイズのPLAマイクロ粒子を3wt%のCMC(carboxylic methyl cellulose)溶液と混合したことを特徴とする、請求項1に記載の皮膚吸収が容易な顔面成形用PLLAニードルを搭載したマイクロニードルパッチ。
【請求項3】
前記PLA(Poly Lactic Acid)は、PLLA(Poly-L-lactic acid)、PDLA(Poly-D-lactic acid)、PDLLA(Poly D,L-lactide)であって、前記PLLA、PDLA、PDLLAのうちの少なくとも一つを混合して使用することを特徴とする、請求項1に記載の皮膚吸収が容易な顔面成形用PLLAニードルを搭載したマイクロニードルパッチ。
【請求項4】
前記ニードルベースと前記ニードルチップとは、互いに物理的吸着または接着、化学的吸着または接着によって結合されることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚吸収が容易な顔面成形用PLLAニードルを搭載したマイクロニードルパッチ。
【請求項5】
前記ニードルベースと前記ニードルチップからなるマイクロニードルは、直径300μm以下、長さ300~800μmの円錐形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の皮膚吸収が容易な顔面成形用PLLAニードルを搭載したマイクロニードルパッチ。
【請求項6】
前記マイクロニードルパッチは、皮膚に施術した後、1~10MHz範囲の周波数を有する超音波を用いて0.1~5W/cmの出力で5~10分間擦ることによりマイクロニードルのニードルベースからニードルチップを分離させて、皮膚中の真皮層にPLAとEGF成分が染み込むようにすることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚吸収が容易な顔面成形用PLLAニードルを搭載したマイクロニードルパッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚吸収が容易な顔面成形用マイクロニードルパッチに関し、より具体的には、生分解性高分子であるPLA(Poly Lactic Acid)に成長因子EGFと共にヒアルロン酸(Hyaluronic acid、HA)成分を結合することでマイクロニードルに製造してパッチタイプのフィラーとして採用することにより、非侵襲的であり、高度な熟練なしにマイクロニードルの皮膚内への刺入のみで使用が可能であって利便性が向上し、二次感染が全くないため安全性が向上するうえ、少ない組織損傷により迅速な治癒や疼痛を誘発しないため患者に優しく、施術後に伝達しようとするPLA成分とEGF成分を生体組織内に直接伝達することができ、十分な伝達量で効果的に伝達することができるなど、皮膚内の自己再生力を高めて美化目的に応じてその用途が特化され、皮膚を通じて美容的活性物質を伝達するマイクロニードルパッチ型のフィラーとしての利点を最大限に極大化することができる、皮膚吸収が容易な顔面成形用PLAニードルを搭載したマイクロニードルパッチに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、薬物送達システム(Drug Delivery System、DDS)は、薬物の吸収及び放出を制御することにより、薬物の副作用を減らし且つ効能を最大化することができるように、細胞や組織などの標的部位に薬物を送達する一連の技術を意味する。薬物送達システムは、一般的な経口摂取以外にも、薬物を局所的に適用することが可能な経皮透過型送達システムなどがあり、薬物などの薬学的物質を効率的かつ安全に投与するための研究が持続的に行われてきた。
【0003】
特に、人体に適用される美容学的(皮膚美容)有効物質の人体への送達のための方法として、皮下注射針を介して前記有効物質を液状として注入する方式が広く適用されている。しかし、直径数mm内外の皮下注射針は、皮膚に存在する多数の痛点を刺激して患者に疼痛を与えるおそれがあり、その使用のためには高度な熟練を必要とするという問題点がある。
【0004】
このような皮下注射針の欠点を克服するために、最近では、直径と高さが数十または数百μmに過ぎないマイクロニードルを用いた上記の有効物質の経皮送達方法が盛んに研究されている。マイクロニードルは、主要バリア層である皮膚の角質層(stratum corneum layer)を貫通する数多くのマイクロニードルを一挙に形成することができ、前記マイクロニードルを介して十分な量の有効物質が表皮層(epidermis layer)または真皮層(dermis layer)に到達できるようにする。
【0005】
かかる注射療法の欠点を改善するために、注射器の針よりも遥かに小さくて疼痛が少ないマイクロ構造体(マイクロニードル)に関する研究が行われているが、これに関連する先行技術として、韓国登録特許公報第10-0793615号の「生分解性ソリッドマイクロニードル及びその製造方法」、韓国登録特許公報第10-1618523号の「マイクロニードル及びマイクロニードルパッチ」、韓国登録特許公報第10-1838715号の「架橋されたヒアルロン酸及び非架橋ヒアルロン酸を含むマイクロニードル製造用組成物」、韓国登録特許公報第10-2139337号の「微細針パッチを用いたヒアルロン酸フィラー」などが知られている。
【0006】
しかし、これらの先行文献は、生分解性ポリマーマイクロ構造体が相対的に低い機械的強度により皮膚透過の際に曲がったりつぶれたりするという問題点を持っている。特に、高い弾性を有する高分子誘導体を原料として用いる場合、モールディング技法またはドローイング技法を用いてマイクロ構造体を製造する際に所望の構造体の形状が均質に生成されないという限界があり、皮膚透過に必要なマイクロ構造体の機械的強度を満足させ難いという欠点がある。
【0007】
また、ヒアルロン酸で製造された構造体の場合、ヒアルロン酸の平均分子量が小さいほど、構造体の形成が容易で粘性が低く、ヒアルロン酸の平均分子量が大きくなるほど、機械的強度は高くなるものの、粘性が強くなる。このような特性のため、一般に、マイクロ構造体の原料としては低分子のヒアルロン酸を用いるが、低分子のヒアルロン酸を用いたマイクロ構造体の場合、皮膚透過の際に折れたり曲がったりするという問題が発生し、架橋されたヒアルロン酸が角質層を貫通し難く、マイクロジェット(microjet)形式は、架橋されたヒアルロン酸の粘度問題及び大きさにより適用し難いという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10-0793615号の「生分解性ソリッドマイクロニードル及びその製造方法」(登録日:2008年1月3日)
【特許文献2】韓国登録特許公報第10-1618523号の「マイクロニードル及びマイクロニードルパッチ」(登録日:2016年4月28日)
【特許文献3】韓国登録特許公報第10-1838715号の「架橋されたヒアルロン酸及び非架橋ヒアルロン酸を含むマイクロニードル製造用組成物」(登録日:2018年3月8日)
【特許文献4】韓国登録特許公報第10-2139337号の「微細針パッチを用いたヒアルロン酸フィラー」(登録日:2020年7月23日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した従来の問題点を根本的に改善するためのもので、その目的は、生分解性高分子であるPLA(Poly Lactic Acid)に成長因子EGFと共にヒアルロン酸(Hyaluronic acid、HA)成分を結合することでマイクロニードルに製造してパッチタイプのフィラーとして採用することにより、非侵襲的であり、高度な熟練なしにマイクロニードルの皮膚内への刺入のみで使用が可能であって利便性が向上し、二次感染が全くないため安全性が向上するうえ、少ない組織損傷により迅速な治癒や疼痛を誘発しないため患者に優しく、施術後に伝達しようとするPLA成分とEGF成分を生体組織内に直接伝達するとともに十分な伝達量で効果的に伝達することができるなど、皮膚内の自己再生力を高めて美化目的に応じてその用途が特化され、皮膚を通じて美容的活性物質を伝達するマイクロニードルパッチ型のフィラーとしての利点を最大限に極大化することができる、皮膚吸収が容易な顔面成形用PLAニードルを搭載したマイクロニードルパッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明のマイクロニードルパッチは、平坦な層であるパッチ層を有し且つ一面上に突出するように配置され、ヒアルロン酸からなる少なくとも1つのニードルベースと、前記ニードルベースの上面に配置され、皮膚中の真皮層に刺入してニードルベースから分離される生分解性高分子であるPLA(Poly Lactic Acid)からなるニードルチップと、を含んでなることを特徴とする。
【0011】
このとき、本発明による前記生分解性高分子であるPLA(Poly Lactic Acid)は、PLA0.1~0.5gに成長因子EGF(Epidermal Growth Factor)0.01g~0.5gを添加して、有機溶媒であるDCM(Dichloromethane)10mlに溶解させ、1wt%のポリビニルアルコール(PVA)溶液50mlに混合した後、製造された30~150μmサイズのPLAマイクロ粒子を3wt%のCMC(carboxylic methyl cellulose)溶液と混合したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明による前記PLA(Poly Lactic Acid)は、PLLA(Poly-L-lactic acid)、PDLA(Poly-D-lactic acid)、PDLLA(Poly D,L-lactide)であって、前記PLLA、PDLA、PDLLAのうちの少なくとも一つを混合して使用することを特徴とする。
【0013】
また、本発明による前記ニードルベースと前記ニードルチップとは、互いに物理的吸着または接着、化学的吸着または接着によって結合されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明による前記ニードルベースと前記ニードルチップからなるマイクロニードルは、直径300μm以下、長さ300~800μmの円錐形状を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明による前記マイクロニードルパッチは、皮膚に施術した後、1~10MHz範囲の周波数を有する超音波を用いて0.1~5W/cmの出力で5~10分間擦ることによりマイクロニードルのニードルベースからニードルチップを分離させて、皮膚中の真皮層にPLAとEGF成分が染み込むようにすることを特徴とする。
【0016】
一方、これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲で使用された用語又は単語は、通常的又は辞書的な意味に限定解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈されるべきである。よって、本明細書に記載された実施形態と図面に示された構成は、本発明の最も好適な一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代用するものではないので、本出願時点においてこれらを置き換えることができる様々な均等物と変形例があり得ることを理解すべきである。
【発明の効果】
【0017】
以上の構成及び作用で説明したように、本発明による皮膚吸収が容易な顔面成形用PLAニードルを搭載したマイクロニードルパッチは、生分解性高分子であるPLA(Poly Lactic Acid)に成長因子EGFと共にヒアルロン酸(Hyaluronic acid、HA)成分を結合することでマイクロニードルに製造してパッチタイプのフィラーとして採用することにより、非侵襲的であり、高度な熟練なしにマイクロニードルの皮膚内への刺入のみで使用が可能であって利便性が向上し、二次感染が全くないため安全性が向上するうえ、少ない組織損傷により迅速な治癒や疼痛を誘発しないため患者に優しく、施術後に伝達しようとするPLA成分とEGF成分を生体組織内に直接伝達するとともに十分な伝達量で効果的に伝達することができるなど、皮膚内の自己再生力を高めて美化目的に応じてその用途が特化され、皮膚を通じて美容的活性物質を伝達するマイクロニードルパッチ型のフィラーとしての利点を最大限に極大化することができるという効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による皮膚吸収が容易な顔面成形用PLAニードルを搭載したパッチを示す斜視図である。
図2図1のマイクロニードルを示す断面構成図である。
図3a】本発明による皮膚吸収が容易な顔面成形用PLAニードルを搭載したマイクロニードルの電子顕微鏡(SEM、JEOL JSM-7500F、70倍)で撮った写真である。
図3b】本発明による皮膚吸収が容易な顔面成形用PLAニードルを搭載したマイクロニードルの電子顕微鏡(SEM、JEOL JSM-7500F、80倍)で撮った写真である。
図4】本発明による皮膚吸収が容易な顔面成形用PLAニードルを搭載したマイクロニードルの電子顕微鏡(Nikon Eclipse 80i、100倍)で撮った写真である。
図5a】本発明による皮膚吸収が容易な顔面成形用PLAニードルを搭載したパッチを貼り付けて皮膚中にPLA成分が伝達される過程を示す構成図である。
図5b】本発明による皮膚吸収が容易な顔面成形用PLAニードルを搭載したパッチを貼り付けて皮膚中にPLA成分が伝達される過程を示す構成図である。
図5c】本発明による皮膚吸収が容易な顔面成形用PLAニードルを搭載したパッチを貼り付けて皮膚中にPLA成分が伝達される過程を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明による好適な実施形態を詳細に説明する。
【0020】
本発明は、マイクロニードル及びマイクロニードルパッチについて提案する。特に、生分解性高分子であるPLA(Poly Lactic Acid)に成長因子EGFと共にヒアルロン酸(Hyaluronic acid、HA)成分を結合することでマイクロニードルに製造してパッチタイプのフィラーとして採用することにより、非侵襲的であり、患者に優しく、施術後に伝達しようとするPLA成分とEGF成分を生体組織内に直接伝達するとともに十分な伝達量で効果的に伝達することができるなど、皮膚内の自己再生力を高めて美化目的に応じてその用途が特化され、皮膚を通じて美容的活性物質を伝達するマイクロニードルパッチ型のフィラーとしての利点を最大限に極大化することができる、皮膚吸収が容易な顔面成形用PLAニードルを搭載したマイクロニードルパッチに関する。
【0021】
ここで、本明細書全体にわたって特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された特許文献は、本出願人の権利であって、その開示内容は、本明細書に参照として挿入されて本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【0022】
ここで、本発明によれば、マイクロニードルパッチ1は、平坦な層であるパッチ層15を有しながら一面上に突出するように配置され、ヒアルロン酸からなる少なくとも1つのニードルベース10と、前記ニードルベース10の上面に配置され、皮膚中の真皮層に刺入してニードルベース10から分離される生分解性高分子であるPLA(Poly Lactic Acid)からなるニードルチップ20と、を含んでなることを特徴とする。
【0023】
一方、本発明のマイクロニードルパッチは、図1図4を参照すると、平坦な層であるパッチ層15と、パッチ層15上のマイクロニードル30と、から構成される。マイクロニードル20は、パッチ層15に面接するニードルベース10と、ニードルベース10に一体的に結合されたニードルチップ20と、を含む。ニードルベース10は、パッチ層15と共に、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)で生成され、これに限定されるものではなく、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)と同等の性質を有する生体適合性材料、すなわち生分解性高分子を適用することもできるだろう。ニードルチップ20は、ニードルベース10とは異なり、生分解性高分子であるPLA(Poly Lactic Acid)で生成する。
【0024】
ここで、本発明のパッチ層15は、マイクロニードルパッチ1を皮膚に適用する場合、皮膚内に挿入されずに皮膚の表面に接触する部分である。このようなパッチ層15は、図面に示していないが、マイクロニードルパッチ1を使用する場合、取り外しが容易なadhesive filmを備えてもよい。
【0025】
このとき、本発明の詳細構成によれば、前記生分解性高分子であるPLA(Poly Lactic Acid)は、PLA0.1~0.5gに成長因子EGF(Epidermal Growth Factor)0.01g~0.5gを添加して有機溶媒としてのDCM(Dichlorometane)10mlに溶解させ、1wt%のポリビニルアルコール(PVA)溶液50mlに混合した後、製造された30~150μmサイズのPLAマイクロ粒子を3wt%のCMC(carboxylic methyl cellulose)溶液と混合したことを特徴とする。ここで、本発明のPLA(Poly Lactic Acid)の製造方法は、当該分野における周知の本発明の登録権利である韓国登録特許公報第10-1854540号の「持続性に優れた顔面成形用PLLAフィラーの製造方法」(登録日:2018年4月26日)を参照して、これに基づいて製造され、これに限定されるものではないだろう。
【0026】
これを簡略に説明すると、生分解性高分子であるPLA(Poly Lactic Acid)0.1g~0.5gに有機溶媒10mlを溶解してオイルを製造し、前記オイル全量に1wt%のPVA(ポリビニルアルコール)溶液50mlを加えて1時間攪拌することにより、均質なPLAを混合して水中油型エマルション(oil-in-water emulsion)状態を維持する。そして、前記水中油型エマルションに蒸留水200mlを混合して2時間攪拌することにより蒸発させ、前記有機溶媒が蒸発した水中油型エマルションを凍結乾燥機を用いて-50℃で24時間乾燥させることにより、マイクロ粒子からなるPLAを製造する。
【0027】
次いで、マイクロ粒子からなるPLA(Poly Lactic Acid)0.1g~0.5gに成長因子EGF(Epidermal Growth Factor)0.01g~0.5gを混合した後、有機溶媒10mlを溶解させてオイルを製造し、前記オイル全量に1wt%のPVA(ポリビニルアルコール)溶液50mlを加えて1時間攪拌することにより、均質なPLAが混合された水中油型エマルション(oil-in-water emulsion)状態を維持する。そして、前記水中油型エマルションに蒸留水200mlを混合して2時間攪拌することにより有機溶媒を蒸発させ、前記有機溶媒が蒸発した水中油型エマルションを凍結乾燥機を用いて-50℃で24時間乾燥させ、成長因子EGFが混合されたマイクロ粒子PLAを製造する。最終的に選別された30~150μmサイズの成長因子EGFが混合されたマイクロ粒子PLAを3wt% CMC(carboxylic methyl cellulose)溶液と混合して懸濁液を作り、マイクロニードル30を構成するニードルチップ20に使用する。
【0028】
また、本発明による前記PLA(Poly Lactic Acid)は、PLLA(Poly-L-lactic acid)、PDLA(Poly-D-lactic acid)、PDLLA(Poly D,L-lactide)であって、前記PLLA、PDLA、PDLLAのうちの少なくとも1つを混合して使用することを特徴とする。PLA(Poly Lactic Acid)は、脂肪族ポリエステルであって、トウモロコシ及びジャガイモのデンプンなど、100%再生可能な資源から得られたモノマーを用いて合成された熱可塑性高分子素材である。このようなPLAには、PLLA、PDLA、PDLLAの3つの立体異性体を有し、前記マイクロニードル30を構成するPLAは、PLLA、PDLA、PDLLAの少なくとも一つを混合して使用する。
【0029】
そして、成長因子EGF(Epidermal growth factor)は、表皮増殖因子、上皮成長因子、上皮増殖因子とも呼ばれ、上皮または外皮細胞から誘導されるタンパク質であって、一種のリガンド(ligand)として作用して上皮成長因子受容体(Epidermal growth factor receptor、EGFR)に結合することにより、細胞成長、細胞分化及び解糖作用(glycolysis)などに寄与して皮膚移植及び創傷回復促進などに使用される。成長因子としては、代表的にEGF(epidermal growth factor)があり、これに限定されず、皮膚を助けることができる栄養物質はいずれも相当するといえる。
【0030】
また、本発明の詳細構成によれば、前記ニードルベース10とニードルチップ20とは、互いに物理的吸着または接着、化学吸着または接着によって結合され、前記ニードルベース10とニードルチップ20からなるマイクロニードル30は、直径300μm以下、長さ300~800μmの円錐形状を有することを特徴とする。マイクロニードル30を構成するニードルベース10とニードルチップ20とは、物理的吸着または接着、化学吸着または接着によって互いに結合されるが、好ましくは、これらの結合は熱による低温工程によって達成できる。このような互いに異なる成分からなるニードルベース10とニードルチップ20とは、マイクロモールディング(Micro molding)方式またはDAB(droplet born air blowing)方式によって製造が行われる。このようなマイクロニードル30は、直径が300μm以下、長さ、すなわちニードルベース10とニードルチップ20との高さの和が非制限的に300~800μmの円錐形状を有する。
【0031】
また、本発明による前記マイクロニードルパッチ1は、皮膚に施術した後、1~10MHzの範囲の周波数を有する超音波を用いて0.1~5W/cmの出力で5~10分間擦ることにより、マイクロニードル30のニードルベース10からニードルチップ20を分離させ、皮膚中の真皮層にPLAとEGF成分が染み込むようにすることを特徴とする。マイクロニードルパッチ1は、超音波を用いて対象体の皮膚中でPLA(poly-L-lactic acid)成分と成長因子EGF(Epidermal growth factor)成分からなるニードルチップ20がヒアルロン酸(hyaluronic acid)からなるニードルベース10から分離されるようにするので、ヒアルロン酸は分子量が軽く、それに比べてPLAは分子量が重い。これにより、超音波を加えると、分子量の軽いニードルベース10がニードルチップ20から分離される。
【0032】
図5aから図5cを参照すると、マイクロニードルパッチ1を皮膚に施術すると、手で加圧して皮膚に付着させるか、或いは専用アプリケータ(applicator)を用いて皮膚に付着させる。このとき、図5aから図5cに示すように、マイクロニードル30を構成するニードルベース10は表皮層に、ニードルチップ20は真皮層に刺入される。次いで、1~10MHzの範囲の周波数を有する超音波を用いて0.1~5W/cmの出力で5~10分間擦り、マイクロニードルパッチ1を除去すると、ニードルベース10がニードルチップ20から分離されながら自然にニードルチップ20が真皮層に刺入された状態が維持され、皮膚中の真皮層にPLA成分と成長因子EGF成分が染み込む。よって、生体組織内に直接容易に伝達するとともに十分な伝達量で効果的に伝達することができるなど、皮膚中の自己コラーゲン再生力を高めて美容目的に応じてその適用が特化できる。
【0033】
このように、本発明は、生分解性高分子であるPLA(Poly Lactic Acid)に成長因子EGFと共にヒアルロン酸(Hyaluronic acid、HA)成分を結合することでマイクロニードルに製造してパッチタイプのフィラーとして採用することにより、非侵襲的であり、高度な熟練なしにマイクロニードルの皮膚内への刺入のみで使用が可能であって利便性が向上し、二次感染が全くないため安全性が向上するうえ、少ない組織損傷により迅速な治癒や疼痛を誘発しないため患者に優しく、施術後に伝達しようとするPLA成分とEGF成分を生体組織内に直接伝達するとともに十分な伝達量で効果的に伝達することができるなど、皮膚内の自己再生力を高めて美化目的に応じてその用途が特化され、皮膚を通じて美容的活性物質を伝達するマイクロニードルパッチ型のフィラーとしての利点を最大限に極大化することができる。
【0034】
本発明は、記載された実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想および範囲から逸脱することなく様々に修正および変形することができるのは、当技術分野における通常の知識を有する者にとって自明である。よって、それらの変形例または修正例も本発明の特許請求の範囲に属するというべきである。
【符号の説明】
【0035】
1 マイクロニードルパッチ
10 ニードルベース
15 パッチ層
20 ニードルチップ
30 マイクロニードル
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図5c