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  • 特開-電気外科手持ち器具用の電極 図1
  • 特開-電気外科手持ち器具用の電極 図2
  • 特開-電気外科手持ち器具用の電極 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097297
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】電気外科手持ち器具用の電極
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214149
(22)【出願日】2023-12-19
(31)【優先権主張番号】63/437,157
(32)【優先日】2023-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516236908
【氏名又は名称】オリンパス・ヴィンター・ウント・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】OLYMPUS WINTER & IBE GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ブロックマン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ クノップフ
(72)【発明者】
【氏名】ペトル コミネク
(72)【発明者】
【氏名】イジー ラヴィチュカ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK06
4C160KK16
4C160KK36
4C160KK58
4C160MM54
(57)【要約】
【課題】効率的に使用することができ、費用効果高く製造すること。
【解決手段】電気外科手持ち器具用の電極は、導電性のワイヤを含む。ワイヤの2つの端部が、電気外科手持ち器具の電極キャリアに接続可能であり、ワイヤの2つの端部に隣接するワイヤの2つの第1の部分が、互いに平行に真っ直ぐに整列しており、2つの第2の部分が、2つの第1の部分に隣接しており、2つの第2の部分が、接続部分によって互いに接続しており、ワイヤが、接続部分において平坦化部分を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性のワイヤを含む、電気外科手持ち器具用の電極であって、
前記ワイヤの2つの端部が、前記電気外科手持ち器具の電極キャリアに接続可能であり、前記ワイヤの前記2つの端部に隣接する前記ワイヤの2つの第1の部分が、互いに平行に真っ直ぐに整列しており、2つの第2の部分が、前記2つの第1の部分に隣接しており、前記2つの第2の部分が、接続部分によって互いに接続しており、前記ワイヤが、前記接続部分において平坦化部分を有する電極。
【請求項2】
前記ワイヤの断面が、丸形または円形であり、前記接続部分の前記平坦化部分の断面が、卵形、楕円形、または角丸長方形である請求項1に記載の電気外科手持ち器具用の電極。
【請求項3】
前記2つの第1の部分、および前記2つの第2の部分のそれぞれの断面が、丸形または円形である請求項1に記載の電気外科手持ち器具用の電極。
【請求項4】
前記接続部分が、2.8mm~3.5mmの半径を有するか、前記2つの第2の部分に対して真っ直ぐであるかまたは直角に方向付けられているか、またはV字状である請求項1に記載の電気外科手持ち器具用の電極。
【請求項5】
前記2つの第2の部分が半径を有するか、または互いに平行に整列している、ならびに/または前記2つの第1の部分の一方の第1の部分と前記2つの第2の部分の一方の第2の部分との間の移行部、前記2つの第1の部分の他方の第1の部分と前記2つの第2の部分の他方の第2の部分との間の移行部、および前記接続部分と前記2つの第2の部分との間の移行部が半径を有する請求項1に記載の電気外科手持ち器具用の電極。
【請求項6】
前記ワイヤの直径が、0.4mm~0.6mmである請求項1に記載の電気外科手持ち器具用の電極。
【請求項7】
前記平坦化部分の断面の高さ幅比が、1:1.5~1:4である請求項1に記載の電気外科手持ち器具用の電極。
【請求項8】
前記平坦化部分の断面の高さが0.3mmであり、幅が0.6mmである請求項1に記載の電気外科手持ち器具用の電極。
【請求項9】
前記平坦化部分の角度が、110°~160°である請求項1に記載の電気外科手持ち器具用の電極。
【請求項10】
前記ワイヤが、タングステン、ステンレス鋼、白金イリジウム、チタン、チタン合金、または白金タングステン合金で作られる請求項1に記載の電気外科手持ち器具用の電極。
【請求項11】
前記2つの第2の部分の長さが、0.7mm~1.7mmである請求項1に記載の電気外科手持ち器具用の電極。
【請求項12】
前記2つの第2の部分が、前記2つの第1の部分と35°~120°の角度を成すことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の電気外科手持ち器具用の電極。
【請求項13】
前記2つの第2の部分、前記接続部分、および前記平坦化部分が、1つの平面に存在する請求項1に記載の電気外科手持ち器具用の電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気外科手持ち器具用の電極に関する。
【背景技術】
【0002】
記載されている種類の電気外科手持ち器具、特にレゼクトスコープは、主に電気外科手術のために泌尿器科で使用される。これに関連して、これらの装置は通常、組織、例えば下部尿路組織の切除および消散のために使用される。このために、電気外科手持ち器具、特にレゼクトスコープは、長手方向に変位可能な電極キャリアを備えてもよい。この電極キャリアは、治療すべき身体内に装置を挿入した後、遠位作業端とともに電気外科手持ち器具の器具シャフトの遠位端から前進させてもよい。電極キャリアの遠位端には、電極が配置されている。この電極は、例えばループの形態であってもよく、器具の設計に応じて、組織を処理するために組織を通るように引っ張られるか、または押し出される。
【0003】
既知の電極は、断面が円形のワイヤから形成される。ループ電極の場合、例えば、断面が円形のワイヤがループ状に形成され、2つの自由端が電極支持体に接続されることが知られている。高周波交流電圧が印加されると、電極でプラズマが発火し、電極の周囲の液体と相互作用してワイヤにプラズマが形成される。プラズマは、曲率半径が小さい電極の位置で優先的に発火する。これは、電界強度がその位置で最大になるためである。断面が一定の電極としての連続ワイヤの場合、プラズマは電極の全長にわたり統計的に分布して発火する。したがって、プラズマ発火のための好ましい位置というものは生じ得ない。しかしながら、このことは、体組織の処理には不都合であることが判明している。これは、プラズマが電極の特定の位置ではごくまれにしか発火せず、したがって不確実に、すなわちランダムに発火するためである。また、ループ電極と組織との接触面積は、ループ電極の断面が円形のため小さく、他の電極形状と比べて凝固性が低い。
【0004】
電極、いわゆる帯状電極の別の既知の実施形態では、まず断面が長方形の単一のループが生産され、次にこのループの2つの端部が短いワイヤに溶接され、次いでこれらの短いワイヤが電極支持体に結合されることが提示される。そのような電極はまた、特に複雑で、製造するのに費用がかかる。また、プラズマはまた、これらの帯状電極において、1つの位置で優先的にではなく、全長にわたり統計的に分布して発火する。したがってワイヤへの移行部等のあまり有益でない位置でも発火する。
【0005】
したがって、既知の電極を製造するために、断面が卵形になるように圧縮された管が使用される。圧縮された管は曲率半径が異なるため、電界強度の異なる領域が管に沿って作られ、したがって、プラズマが優先的に発火する領域が作られる。しかしながら、この種類の電極は、製造するのに特に費用がかかる。これは、白金イリジウム合金等の材料で作られた細い管またはパイプが特に高価であるためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のことから、本開示の目的は、効率的に使用することができ、費用効果高く製造することができる電気外科手持ち器具用の電極を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題に対する解決策を請求項1に記載する。その結果、電気外科手持ち器具、特にレゼクトスコープ用の電極が導電性ワイヤからなり、このワイヤの2つの端部が手持ち器具の電極支持体に接続可能であることが提示される。この場合、ワイヤは、2つの第1の部分を有する。これらの2つの第1の部分は、ワイヤの2つの端部と隣接しており、互いに平行に真っ直ぐに整列している。これらの2つの第1の部分は、2つの第2の部分に隣接しており、これらの2つの第2の部分は、接続部分により互いに接続している。そして、この接続部分は、平坦化部分を有する。この平坦化部分は、接続部分と長さが同一であってもよく、または接続部分のうちの小さな部分のみに相当してもよい。
【0008】
本発明が、ワイヤの断面が丸形または円形であり、平坦化部分の断面が卵形または楕円形であるか、または角丸長方形であることを提示することが好ましい。したがって、平坦化部分の断面は、曲率半径が異なるという点で他のワイヤ部分の断面とは異なる。これにより、接続部分の断面は、ワイヤの他のすべての部分と比べて曲率半径が最小になるように形成される。この最小曲率半径は、接続部分または平坦化部分に限定される。プラズマは、優先的かつ特に迅速に発火するか、または電界強度が最大になる気相を通り抜けるため、プラズマが発火する確率はここで最大になる。このことはワイヤの限られた部分のみに当てはまるため、組織を処理するために、特に標的化された信頼できる方法で電極を使用することができる。この特徴のさらなる利点は、電極がワイヤで作られ、ワイヤは安価に購入できる一方で、成形または取り扱いが特に容易であるということである。
【0009】
特に、本発明は、2つの第1の部分、および2つの第2の部分の断面が丸形または円形であることを提示し得る。平坦化部分が接続部分の一部のみを占める場合、接続部分の平坦化されていない部分の断面もまた、丸形または円形である。断面の形状が一定であるために電界強度がかなり低い残りの部分のこの形状により、接続部分または平坦化部分のプラズマの非常に迅速かつ確実な発火をさらに促すことができる。
【0010】
さらに、接続部分が、2.8mm~3.5mmの半径を有すること、第2の部分に対して真っ直ぐであるかまたは直角に整列していること、またはV字状であることが考えられる。電極の種類または適用領域に応じて、接続部分を様々に形成することができる。しかしながら、ループ電極の場合、接続部分または平坦化部分は、断面が円形になるように形成されており、例えば、2つの第2の部分の間で、角度が110°~160°になる場合がある。この場合、平坦化部分のみが上述の半径で平坦化される。平坦化部分から接続部分、または接続部分から第2の部分への移行部では、ワイヤの断面形状が、平坦化形状から円形状に連続的に変化する。
【0011】
また、本発明によれば、2つの第2の部分もまた半径を有するか、互いに平行に整列すること、ならびに/または2つの第1の部分の一方の第1の部分と2つの第2の部分の一方の第2の部分との間の移行部、2つの第1の部分の他方の第1の部分と2つの第2の部分の他方の第2の部分との間の移行部、および接続部分と2つの第2の部分との間の移行部が半径を有することが提示され得る。2つの第2の部分の半径もまた、2.8mm~3.5mmの範囲にあり、または接続部分の半径とは異なることが考えられる。2つの第2の部分の半径により、必要ならば、2つの第2の部分から接続部分への断面形状が異なる移行部を滑らかにすることができる。このため、接続部分の最小曲率半径よりも小さなこれらの移行点では、曲率半径は形成されない。同様に、第2の部分が、互いに平行であり、真っ直ぐに整列し、第1の部分と同一の平面に存在するのが好ましい一方、接続部分と同一の平面に存在することもまた考えられる。
【0012】
本発明の特に有益な実施形態は、ワイヤの直径が0.4mm~0.6mm、好ましくは0.5mmであることを提示し得る。平坦化部分の断面は、高さ幅比が1:1.5~1:4である。この比は1:2であることが好ましい。特に好ましい実施形態では、平坦化部分の高さは0.3mmであり、幅は0.6mmである。平坦化された断面または長方形の断面の角が丸いため、長方形は形成されず、むしろ輪郭が連続した断面になることに明示的に留意されたい。この形状に起因して、プラズマは、平坦化部分の周囲または曲率半径が最小になる平坦化部分の領域に、特に優先的に形成される。
【0013】
電極を適用する過程で材料の侵食が発生し、電極の形状変化につながることがあることが知られている。このことは、ここで説明する平坦化部分の形状により回避することができる。平坦化部分の丸みがついた形状により、材料の侵食がワイヤの全長または円周にわたって分散する。このため、電極を、より長い期間にわたって必要な信頼性を保ちつつ使用することができる。
【0014】
本発明の別の好ましい実施形態は、ワイヤを、タングステン、ステンレス鋼、白金イリジウム、チタン、チタン合金、または白金タングステン合金から形成することを提示し得る。これらの材料は、導電性であり、高い電気的および機械的安定性ならびにプラズマ侵食に対する高い耐性を有し、容易に機械加工可能または機械的に変形可能であるため、特に有益である。
【0015】
本発明によれば、2つの第2の部分の長さが0.7mm~1.7mmであること、および2つの第2の部分が、2つの第1の部分と35°~120°、好ましくは90°、45°、または110°の角度を成すことがさらに提示され得る。2つの第2の部分、接続部分、および平坦化部分が共通の平面に存在することもまた提示され得る。この寸法設定およびこれらの相対配置は、患者を効率的に治療し、特に費用効果高く電極を製造するのにとりわけ有益であることが示されてきた。電極の用途の種類に応じて、互いに異なる角度を2対の部分間で選択することができる。各第1の部分、および各第2の部分はそれぞれ平面内に存在し、これらの平面は互いに平行に整列している。本発明によれば、このように様々な部分を成形することにより、特に簡単に、したがって安価に、多数の互いに異なる形状の電極を生産することができる。さらに、本発明の別の実施形態は、2つの第1の部分の一方の第1の部分と2つの第2の部分の一方の第2の部分との間の曲げ半径、および2つの第1の部分の他方の第1の部分と2つの第2の部分の他方の第2の部分との間の曲げ半径が0.1mm~1mmであることを提示し得る。
【0016】
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】電気外科手持ち器具であるレゼクトスコープの概略図である。
図2】電極の側面図である。
図3】電極の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、10として識別されるレゼクトスコープの概略側断面図である。レゼクトスコープ10は、レゼクトスコープシャフト11を有し、レゼクトスコープシャフト11は、外側シャフト12またはシース管を含む。管状の内側シャフト13が、外側シャフト12内で延びている。電極キャリア14および光学素子15が、内側シャフト13内に示されている。また、別個の灌水管等の本明細書には示されない他の要素が、レゼクトスコープ10内に配置されてもよい。
【0019】
電極キャリア14の遠位端には、電気外科用具または電極16が設けられている。ここでの電極16はループとして示されているが、ボタン等として形成されていてもよい。
【0020】
電極キャリア14は、ハンドル19を作動させることにより、遠位方向および近位方向に軸方向に沿って強制的に移動させることができる。そうすることで、電極キャリア14を内側シャフト13および外側シャフト12の遠位端を越えて押し出すことができる。これにより、外科医は、レゼクトスコープの先端からさらに離れた組織を処理することができる。さらに、このために、内側シャフト13および/または電極キャリア14を、各々の長手方向軸の周りに回転可能に取り付けることができる。組織を処理するために、高周波電流を電極16に流す。
【0021】
図1に示すレゼクトスコープ10は、受動輸送器を有する。受動輸送器では、キャリッジ20が、ばねブリッジ23によってかけられるばね力に抗するハンドル部21およびハンドル部22の相対的な動きにより、遠位側の第1のハンドル部21に対して遠位方向に変位する。ハンドル部21およびハンドル部22は、レゼクトスコープシャフト11上に近位方向に配置されている。キャリッジ20がハンドル部21に対して遠位方向に変位すると、電極キャリア14は、図示しない態様で遠位方向に変位する。ハンドル部21およびハンドル部22にかかる荷重が軽減されると、ばねブリッジ23によって生成されたばね力により、キャリッジ20が当初の位置に押し戻され、電極キャリア14が近位方向に引っ張られる。キャリッジ20が戻れば、操作者からの手動の力なしに、すなわち受動的に、電極16を用いて電気外科処置を実施することができる。
【0022】
電極16による標的治療のために、光学素子15は、外科医が手術領域を最もよく見ることができるように位置付けられている。このために、レゼクトスコープ10の近位端には、接眼レンズ24が設けられており、接眼レンズ24は、光学素子15に接続されている。または、接眼レンズ24の代わりにカメラをレゼクトスコープ10に配置することも考えられる。
【0023】
図2および図3は、本発明による電極16の実施形態例を示す。この電極16は、第1の部分R1および第1の部分L1を有し、第1の部分R1および第1の部分L1は、長さが等しいことが明白であり、互いに平行に方向付けられている。これらの第1の部分R1および第1の部分L1は、電極キャリア14の遠位端に接続されている。電極キャリア14へのこの接続または結合により、電極16が安定し、電極16に電気エネルギーが加えられる。第1の部分R1および第1の部分L1の後に、第2の部分R2および第2の部分L2の2つが続く。これら第2の部分R2および第2の部分L2の2つもまた、長さが同じであり、互いに平行に整列している。第1の部分R1および第1の部分L1から第2の部分R2および第2の部分L2への移行は、1つの平面内で行われる。ここに示す電極16の実施形態例では、第2の部分R2および第2の部分L2は、第1の部分R1および第1の部分L1に対して90°の角度αで傾斜している。しかしながら、この角度αが、35°~120°の間の値、好ましくは45°、90°、110°、または任意の他の角度をとることも考えられる。
【0024】
接続部分Cが、第2の部分R2および第2の部分L2の2つの間に位置している。この接続部分Cは、第2の部分R2および第2の部分L2の2つを接続し、図示の実施形態例ではループとして形成されている。接続部分Cの形状はまた、変化してもよく、例えば、曲率半径がより大きくまたは小さくなってもよい。本実施形態例では、接続部分Cは、第2の部分R2および第2の部分L2と同一の平面内に存在する。手術を行うために、電極16は、レゼクトスコープ10の種類に応じて、接続部分Cとともに治療すべき組織を通るように引っ張られるか、または押し出される。
【0025】
本発明によれば、電極16は、ワイヤ18からなる。ワイヤ18は、タングステン、ステンレス鋼、白金イリジウム、チタン、チタン合金、または白金タングステン合金から製造されるのが好ましい。このワイヤ18、特に第1の部分L1および第2の部分L2ならびに第1の部分R1および第2の部分R2、また、必要ならば接続部分Cも、断面が丸形または円形である(図2図3)。本発明によれば、接続部分Cにおいて、ワイヤ18は、平坦化部分CCを有する。この平坦化部分CCでは、他の部では円形のワイヤ18が、形状的に平坦になっている。このため、断面が円形ではなく、卵形、楕円形、または角丸長方形である。この角丸長方形の断面形状は、図2に大まかに示されている。結果として、平坦化部分CCの断面の高さ幅比は、1:1.5から1:4、特に1:2になる。具体的には、平坦化部分CCの断面の高さを0.3mm、幅を0.6mmとし、ワイヤ18の直径を0.4mm~0.6mm、好ましくは0.5mmとすることが考えられる。この結果、平坦化部分CCにおいて、ワイヤ18は、図2に係る側面視において第1の部分L1、第2の部分L2、第1の部分R1、および第2の部分R2よりも幅広になり、図3に係る正面視においては狭くなる。この平坦化部分CCの変形により、特に丸みがついた角で電界強度が特に高くなる。この結果、高周波AC電圧によって生成されたプラズマが、平坦化部分CCの丸みがついた角で少なくともほぼ排他的に発火する。すなわち、プラズマが非常に明確で信頼できる態様で局所的に生成され、したがって信頼できる標的化された組織治療が可能になる。さらに、平坦化部分CCの平坦な形状は、上述したレゼクトスコープ10の用途において組織の処理に特に適していることが分かる。さらに、プラズマによって引き起こされる電極の摩耗が平坦化部分CCの丸みがついた角にわたって分布し、したがって電極16の機能性にいかなる追加的な影響も及ぼさないという事実に利点を見出すことができる。
【0026】
本発明の別の実施形態は、接続部分Cが半径、すなわちループ形状を有するのみではなく、隣り合う第2の部分R2および第2の部分L2が半径を有し、ループ状の接続部分Cを収容するように互いに方向付けられることを提示し得る。第2の部分R2および第2の部分L2にこのようにわずかに角度を付けることにより、プラズマを平坦化部分CCに集中させるために、電極16のいかなる追加的な曲率半径も最小化することができる。
【0027】
本発明の別の考えられる実施形態は、接続部分Cの平坦な領域、すなわち平坦化部分CCが、第1の部分R1と第1の部分L1との間で(接続部分Cにおいて)110°~160°の角度範囲ωに限定されることを提示し得る。具体的には、接続部分Cのうちの非常に狭い領域のみを平坦化することが考えられる。このことは、例えば、特別な用途に対して有益であると思われる。したがって、幅が互いに異なる平坦化部分CCを有する互いに異なる電極16のセットを外科医が利用可能であることが考えられる。このセットは用途に応じて選択することができ、レゼクトスコープ10に結合させることができる。
【符号の説明】
【0028】
10 レゼクトスコープ
11 レゼクトスコープシャフト
12 外側シャフト
13 内側シャフト
14 電極キャリア
15 光学素子
16 電極
17 案内要素
18 ワイヤ
19 ハンドル
20 キャリッジ
21 ハンドル部
22 ハンドル部
23 ばねブリッジ
24 接眼レンズ
R1 第1の部分
R2 第2の部分
L1 第1の部分
L2 第2の部分
C 接続部分
CC 平坦化部分
α,ω 角度
図1
図2
図3