(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000973
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】レーダ点群に基づく座席配列部の座席使用状態を検出するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01V 3/12 20060101AFI20231226BHJP
G01S 13/52 20060101ALI20231226BHJP
G01S 13/04 20060101ALI20231226BHJP
G01S 13/88 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G01V3/12 A
G01S13/52
G01S13/04
G01S13/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023094055
(22)【出願日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】22177808.7
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519019894
【氏名又は名称】ゲシュティゴン、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング
【氏名又は名称原語表記】GESTIGON GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100210790
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大策
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン、シュトラウス
(72)【発明者】
【氏名】ベレーナ、クリュッケマイヤー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】座席配列部の座席使用状態を自動的に検出するための方法を提供する。
【解決手段】各測定フレーム測定データを受信または生成するステップと、1つの対応するレーダ点群のグループが、測定フレームの複数の前記グループの各々に割り当てられるステップと、座席配列部の座席使用状態を評価モデルに基づいて判定するステップと、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する測定フレームに割り当てられた当該グループの少なくとも1つのレーダ点群の各クラスタについて、クラスタに含まれる前記レーダ点の個数または個数に依存する量を測定し、個数に依存する量に基づく値を第1閾値と比較し、値が閾値未満である場合のみ、記憶された座席使用状態を前記評価結果に基づいて更新し、記憶された座席使用状態が更新された場合、評価結果の関数として規定された情報が出力されるステップと、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の座席(105a~e)を有する座席配列部(105)の座席使用状態を自動的に検出するための方法であって、本方法の一部として、前記座席(105a~e)に対する座席使用状態が個々に、またはまとめて判定され、前記方法は、
複数の測定フレームからの各測定フレームについての関連するレーダ点群(300)を各場合に表す測定データを受信または生成するステップであって、これにより、前記測定データは、複数の前記測定フレームに対応する複数のレーダ点群を表し、複数の前記レーダ点群の各レーダ点群(300)は、前記座席配列部(105)の少なくとも一部のセクションを囲む空間領域のレーダスキャンであって、それぞれの前記測定フレームに割り当てられた測定タイミングにおいてまたは測定期間中に実施されるレーダスキャンに基づいて得られた、または得られるものであり、且つレーダ点(310、315)を含み、複数の前記測定フレームは、各々が同一の時間長の1つ以上の測定フレームを備える、測定フレームの複数のグループを備え、異なる測定フレームのグループでの測定フレームの前記時間長は異なり、1つの対応するレーダ点群のグループが、測定フレームの複数の前記グループの各々に割り当てられるステップと、
前記座席配列部(105)の座席使用状態を評価モデルに基づいて判定するステップであって、前記評価モデルは、レーダ点群の少なくとも2つのグループの関数として、前記座席配列部(105)の複数の所定の想定可能な座席使用状態のうちの1つを評価結果として返すステップにおいて、
各レーダ点群(300)の個々の前記レーダ点(310、315)は、三次元スペースにおけるそれぞれの前記レーダ点の少なくとも1つの位置により各々表され、
各レーダ点群(300)について、そのレーダ点(310、315)のセットが、クラスタ化により、前記座席(105a~e)に対する前記レーダ点(310、315)のそれぞれの空間的位置の関数として、各々が前記レーダ点(310、315)のサブセットを含む複数のクラスタにサブ分割されて、前記座席(105a~e)の各々に、それに空間的に最も近く位置する前記クラスタのうちの1つを個々に割り当て、
前記座席配列部(105)の前記座席使用状態の前記判定のステップは、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループのそれぞれの関連した前記クラスタの関数として、前記座席(105a~e)の各々に対するそれぞれの個々の座席使用状態を個々に判定することで、それぞれの前記座席(105a~e)の座席使用状態を識別する評価結果を得るステップを備え、
レーダ点群の前記少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する前記測定フレームに割り当てられた当該グループの、少なくとも1つのレーダ点群の各クラスタについて、それぞれの前記クラスタに含まれる前記レーダ点の個数または当該個数に依存する量を測定し、
レーダ点群の前記少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する前記測定フレームに割り当てられた特定のグループの単一のレーダ点群のそれぞれの前記クラスタに含まれるレーダ点の前記個数または当該個数に依存する量が、若しくは、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する前記測定フレームに割り当てられた前記特定のグループの空間的に互いに対応する複数のレーダ点群のそれぞれのクラスタに含まれる前記レーダ点のそれぞれの前記個数の平均値または当該個数に依存する量が、第1の所定閾値未満であるか否かを判定し、
レーダ点群の前記少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する前記測定フレームに割り当てられた前記特定のグループの個々の前記レーダ点の各クラスタについて、レーダ点の前記個数または当該個数に依存する前記量が、前記第1の所定閾値未満である場合、若しくは、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する前記測定フレームに割り当てられた前記特定のグループの空間的に互いに対応する複数のレーダ点群のそれぞれのクラスタにおける前記レーダ点のそれぞれの前記個数の前記平均値のすべてまたは当該個数に依存する前記量が、前記第1の所定閾値未満である場合のみ、記憶された座席使用状態を前記評価結果に基づいて更新する、ステップと、
前記記憶された座席使用状態が更新された場合、前記評価結果に従って規定された情報を出力するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
各レーダ点群(300)の個々の前記レーダ点(310、315)は、それぞれの前記レーダ点におけるレーダ信号のドップラー偏移値により、さらに個々に表され、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループの少なくとも1つのレーダ点群の各クラスタについて、それぞれの前記クラスタの各レーダ点の前記ドップラー偏移値、またはそれぞれの前記クラスタのすべてのレーダ点の前記ドップラー偏移値の平均値が、第2の所定閾値未満であるか否かを判定し、
レーダ点群の前記少なくとも2つのグループの単一のレーダ点群の各クラスタについて、それぞれの前記クラスタの各レーダ点の前記ドップラー偏移値、またはそれぞれの前記クラスタのすべてのレーダ点の前記ドップラー偏移値の平均値が、前記第2の所定閾値未満である場合、若しくは、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループの空間的に互いに対応する複数のレーダ点群のそれぞれのクラスタに含まれるすべてのレーダ点の前記ドップラー偏移値のそれぞれの平均値を平均した値が、前記第2の所定閾値未満である場合のみ、前記記憶された座席使用状態を前記評価結果に基づいて更新する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
測定フレームの前記少なくとも2つのグループは、複数の時間的に連続する測定フレームを有する、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記座席使用状態の判定において考慮されたレーダ点群の前記少なくとも2つのグループの関連する前記レーダ点群の各々について、レーダ点群を特徴付けるための少なくとも1つの所定の特性値のそれぞれの値を測定するステップをさらに備え、
前記座席配列部(105)の前記座席使用状態の判定時に、前記座席使用状態の判定において考慮されたレーダ点群の前記少なくとも2つのグループの前記レーダ点群についての少なくとも1つの前記特性値のそれぞれの値の関数として前記評価結果が判定されるように、前記評価モデルは規定される、または規定されるようになる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
レーダ点群の前記少なくとも2つのグループの各グループの複数のレーダ点群の前記特性値のうちの少なくとも1つについて、前記特性値のそれぞれの値は、前記特性値の周期曲線が検出されるように分析され、前記評価結果は、前記分析の結果の関数として判定される、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
複数の前記特性値、または複数の前記特性値のうちの1つは、それぞれの前記レーダ点群におけるレーダ点(310、315)の前記個数または前記個数に依存する量により規定される、または規定されるようになる、
請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
測定フレームの前記少なくとも2つのグループのうちの1つのグループの少なくとも1つの測定フレームと、前記少なくとも2つのグループの測定フレームのうちの別のグループの1つの測定フレームとは、時間的に重複する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記評価モデルは、トレーニングされた機械学習モデルを備え、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループ、またはそれらに対して規定された1つ以上の特性値の値を表すデータが、前記機械学習モデルに入力データとして提供され、前記評価結果がその出力として得られる、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記情報の前記出力は、前記情報の関数として信号源を起動し、前記起動に応じて前記信号源に所定の信号を出力させる、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記情報が、前記座席配列部(105)の少なくとも1つの座席が使用されている、および/または選択された所定の座席使用状態が存在することに応じた評価結果に起因する場合、前記信号源は、前記情報の関数として起動されて信号を出力する、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、前記座席配列部(105)における少なくとも1つの座席のシートベルト着用状態を検出するステップ、または前記シートベルト着用状態に特徴的なシートベルト情報を受信するステップをさらに備え、
前記情報に応じて、前記座席配列部(105)の少なくとも1つの座席が使用されている、および/または選択された所定の座席使用状態が存在し、シートベルト情報が関連するシートベルトが着用されていないことを示す場合、前記信号源は、前記シートベルト情報および前記評価結果からの前記情報の関数として起動されて、シートベルト着用警告信号を出力する、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
各レーダ点群(300)の個々の前記レーダ点(310、315)は、それぞれの前記レーダ点における信号対雑音比によりさらに個々に表される、
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記評価モデルに基づく前記座席配列部(105)の前記座席使用状態の前記判定は、排他的に前記評価モデルに基づいて実施される、または、少なくとも数値的な意味で主として、レーダ点(310、315)であって、そのドップラー偏移値がゼロではない所定の変位閾値以上である前記レーダ点(310、315)に基づいて実施される、
請求項1~12のいずれか一項および請求項2に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの座席(105a、105b)を有する座席配列部(105)の座席使用状態を自動的に検出するためのシステム(115)において、
前記システム(115)は、請求項1~13に記載の前記座席使用状態を検出するための方法を実施するように構成されたデータ処理装置を備える、
システム(115)。
【請求項15】
請求項14に記載の前記システム(115)の前記データ処理装置での実行時に、前記システム(115)に請求項1~13のいずれか一項に記載の方法を実施させる命令を備える、コンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
少なくとも1つの座席(105a~e)を有する座席配列部(105)と、
前記座席配列部(105)の少なくとも数セクションをレーダスキャンするためのレーダセンサ(110)と、
請求項14に記載のシステム(115)であって、前記レーダセンサ(110)が実施する前記座席配列部(105)の少なくとも数セクションのレーダスキャンの関数として、前記座席配列部(105)の座席使用状態を自動で検出するためのシステム(115)と、
を備える車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の座席を有する座席配列部の座席使用状態を自動的に検出するための方法、ならびに前記方法を各々実施するように構成されたコンピュータプログラムおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の状況において、複数の座席を有する座席配列部の現在の座席使用状態を自動的に判定することが必要な場合がある。このような状況は、特に自動車等の車両において、車両の構成、または1つ以上の車両機能の起動、停止、および/または制御が、現在の座席使用状態に応じて実施される場合に生じ得る。例えば、自動車において、検出した座席使用状態に応じて、車両に乗っている人(乗員)に、シートベルトを着用するように音響的な警告または視覚的な警告を出力したり、エアバッグの作動または解除を制御したりすることが知られている。
【0003】
1つ以上の座席を有する座席配列部、特に車両における車両座席の配列部の現在の座席使用状態を自動的に検出するために、座席(通常、座席毎)に組み込まれたいわゆる座席使用マットであって、それぞれの座席が使用されているか否かを検出するための感圧センサを使用する座席使用マットが、この目的のために知られている。座席の座席使用状態は、これらのセンサのセンサ信号またはセンサデータに応じて、一般に閾値比較により判定される。
【0004】
したがって、これらの既知の解決策では、座席に内蔵センサを搭載する必要があるとともに、「使用」および「不使用」以外の異なる座席使用状態を、一般に区別することができない。また、通常工場でセンサを座席に組み込む必要があるため、後付けが困難または不可能であり、このように装備されていない座席の座席使用状態を検出する能力はない。
【0005】
さらに、現在の座席使用状態の自動的な検出のために、座席配列部をレーダ走査するためのレーダセンサを有するシステムが知られている。このシステムは、座席が使用されているか否かを、異なる継続時間を有する異なる測定フレームにおいて取得した測定データを各々が示す複数のレーダ点群(レーダポイントクラウド)に基づいて判定する。しかしながら、ある座席にいる人が大きく動いた場合、レーダ点群は、この人物に向かって移動するため、移動量が少ない他の座席にいる人の検出が遮断されたり妨げられたりする可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、少なくとも1つの座席を有する座席配列部の座席使用状態を自動で検出するための改良された解決策を提供することである。
【0007】
この目的は、独立請求項の教示に従って達成される。種々の実施形態および発展形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
本明細書で提示される解決策の第1態様は、特に、自動車(例えばトラック、乗用車またはバス)等の車両内またそれ用の特に座席である複数の座席位置(またはそれに相当するもの;座席)を有する座席配列部の座席使用状態を特に個々の座席位置に基づいて自動で検出するためのコンピュータで実施される方法に特に関し、そのために、本方法の一部として、座席に対する座席使用状態が個々に、またはまとめて判定される。本方法は、複数の測定フレームからの各測定フレームについての関連するレーダ点群を各場合に表す測定データを受信または生成するステップであって、これにより、前記測定データは、複数の前記測定フレームに対応する複数のレーダ点群を表し、複数の前記レーダ点群の各レーダ点群は、前記座席配列部の少なくとも一部のセクションを囲む空間領域のレーダスキャンであって、それぞれの前記測定フレームに割り当てられた測定タイミングにおいてまたは測定期間中に実施されるレーダスキャンに基づいて得られた、または得られるものであり、且つレーダ点を含み、複数の前記測定フレームは、各々が同一の時間長の1つ以上の測定フレームを備える、測定フレームの複数のグループを備え、異なる測定フレームのグループでの測定フレームの前記時間長は異なり、1つの対応するレーダ点群のグループが、測定フレームの複数の前記グループの各々に割り当てられるステップと、
前記座席配列部の座席使用状態を評価モデルに基づいて判定するステップであって、前記評価モデルは、レーダ点群の少なくとも2つのグループの関数として、前記座席配列部の複数の所定の想定可能な座席使用状態のうちの1つを評価結果として返すステップにおいて、
各レーダ点群の個々の前記レーダ点は、三次元スペースにおけるそれぞれの前記レーダ点の少なくとも1つの位置により各々表され、各レーダ点群について、そのレーダ点の前記セットが、クラスタ化により、前記座席に対する前記レーダ点のそれぞれの前記空間的位置の関数として、各々が前記レーダ点のサブセットを含む複数のクラスタにサブ分割されて、前記座席の各々に、それに空間的に最も近く位置する前記クラスタのうちの1つを個々に割り当て、
前記座席配列部の前記座席使用状態の前記判定のステップは、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループのそれぞれの関連した前記クラスタの関数として、前記座席の各々に対するそれぞれの個々の座席使用状態を個々に判定することで、それぞれの前記座席の座席使用状態を識別する評価結果を得るステップを備え、
レーダ点群の前記少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する前記測定フレームに割り当てられた当該グループの、少なくとも1つのレーダ点群の各クラスタについて、それぞれの前記クラスタに含まれる前記レーダ点の個数または当該個数に依存する量を測定し、
レーダ点群の前記少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する前記測定フレームに割り当てられた前記特定のグループの単一のレーダ点群のそれぞれの前記クラスタに含まれるレーダ点の前記個数または当該個数に依存する量が、若しくは、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する前記測定フレームに割り当てられた前記特定のグループの空間的に互いに対応する複数のレーダ点群のそれぞれのクラスタに含まれる前記レーダ点のそれぞれの前記個数の平均値または当該個数に依存する量が、第1の所定閾値未満であるか否かを判定し、
レーダ点群の前記少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する前記測定フレームに割り当てられた前記特定のグループの個々の前記レーダ点の各クラスタについて、レーダ点の前記個数または当該個数に依存する前記量が、前記第1の所定閾値未満である場合、若しくは、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する前記測定フレームに割り当てられた前記特定のグループの空間的に互いに対応する複数のレーダ点群のそれぞれのクラスタにおける前記レーダ点のそれぞれの前記個数の前記平均値のすべてまたは当該個数に依存する前記量が、前記第1の所定閾値未満である場合のみ、記憶された座席使用状態を前記評価結果に基づいて更新する、ステップと、
前記記憶された座席使用状態が更新された場合、前記評価結果に従って規定された情報を出力するステップと、
を備える。
【0009】
本明細書で使用する、複数の座席を有する座席配列部の「座席使用状態」という用語は、特に座席配列部またはその座席のうちの少なくとも1つが、物体、特に人または物により使用または占有されているかどうか、または程度を示す情報を意味するとして特に理解されたい。単純な例では、座席使用状態は、物体があるかないかのみを示すだけでもよい。さらなる発展例において、座席配列部またはその1つ以上の座席に少なくとも1つの物体が存在する場合に、物体の性質または他の特性、例えばその空間的な広がりに関する提示がなされ得る。
【0010】
本明細書で使用する「レーダ点群」という用語は、特に、少なくとも1つの物体表面のレーダスキャンによって得られるベクトル空間の点のセット(集合)であって、典型的に無秩序な空間構造(群)を有するものを意味すると理解される。レーダ点群の場合、レーダ点群の点は「レーダ点」と呼ばれ得る。(レーダ)点群は、特にその中に含まれる(レーダ)点によって記述することができる。レーダ点は、その空間座標によって各々記述され、これらのレーダ点の各々は、レーダスキャンで測定された物体表面での放射レーダ信号の反射位置を特定する。レーダ点に加えて、測定されたドップラー速度や信号対雑音比(SNR)等の属性を取得することができる。
【0011】
本明細書で使用する「測定フレーム」という用語は、特に、所定の特に周期的に連続する測定点または測定時間における測定時間または測定期間を意味すると理解される。この間に、本例において少なくとも1つの物体表面のレーダスキャンが実施される、または実施されたものとする。各測定フレームは、それに関連付けられた測定の結果、本例において、レーダスキャンにより測定フレームに対して生成されたレーダ点群が割り当てられる。
【0012】
本明細書で使用する「評価モデル」という用語は、特に、数学的モデルであって、そのレーダ点群、またはそれに特徴的な1つ以上のパラメータを入力変数として使用して、それに応じた評価結果、本例において、座席配列部の複数の所定の想定可能な座席使用状態のうちの1つを返す数学的モデルを意味すると理解される。特に、評価モデルは、数学的な推定関数であってもよく、レーダ点群はランダムサンプルとしての経験的データを表し、評価結果はその関数として決定される推定を表す。評価モデルは、特に「機械学習モデル」であってもよい。機械学習モデルは、ここでは特に、学習データとして知られる例データに基づき、少なくとも1つの機械学習アルゴリズムによって予測または決定を行うための数学的モデル、特に統計的モデルを意味すると理解される。アルゴリズムは、このような予測または決定を行うように明確にプログラミングされていない。特に、機械学習のための決定木ベースのモデルは、機械学習モデルである。
【0013】
特に、出力される情報は、評価結果そのものを表し得る。出力される情報は、また、信号、特に警告のような人間の感覚で検出可能な信号、または信号源を作動させるための制御信号、または情報を含むデータ信号であってもよい。
【0014】
本明細書で使用され得る「備える」、「含有する」、「含む」、「有する」、「有している」、またはそれらの他の変形は、非排他的な包含をカバーすることが意図されている。したがって、一例として、要素のリストからなる、または要素のリストを有する方法または装置は、必ずしもそれらの要素に限定されるものではなく、明示的に列挙されていない、またはそのような方法またはそのような装置に固有の他の要素を含み得る。
【0015】
さらに、明示的に別段の規定がない限り、「または」とは、包括的な「または」を指し、排他的な「または」を指すものではない。例えば、ある条件AまたはBとは、以下のいずれかの条件によって満たされる:Aが真(または存在する)でBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)でBが真(または存在する)、AとBの両方が真(または存在する)。
【0016】
本明細書で使用される用語「a」または「an」は、「1つ以上」と定義される。「別の」、「さらなる」、およびそれらの他の変形は、「少なくとも1つの別の」という意味で理解されるべきである。
【0017】
本明細書で使用する「複数」という用語は、「2つ以上」という意味で理解されるべきである。
【0018】
本明細書で使用する特定の機能(及びその変形)を果たすために「構成される」または「設計される」という用語は、本発明の目的のために、対応する装置が、その機能を果たすことができる構成又は設定において既に存在しているか、又はその装置が、適切な調整の後にその機能を果たすことができるように、少なくとも調整可能である、すなわち構成可能であることを意味すると理解される。構成は、例えば、プロセスシーケンスのパラメータの適切な設定や、機能または設定を有効化または無効化するためのスイッチ等の適切な設定によって適用され得る。特に、装置は、複数の所定の構成または動作モードを備え、これらの構成または動作モードの一つを選択することによって構成を実行することができる。
【0019】
本発明によれば、レーダ点群は、クラスタとしてのレーダ点のサブセットを座席の各々に、座席のそれぞれの位置に応じて、特にレーダ点毎に一意に割り当てることにより、複数のクラスタにセグメント化される。これにより、クラスタのレーダ点が、座席の近傍の所定の閉じた、特に立方体の空間領域に位置する。特に、各レーダ点を、そのレーダ点に最も近い座席のクラスタに割り当てられるように割り当てることができる。したがって、レーダ点群は、クラスタに、すなわちそれぞれの座席の近傍に局部集中するレーダ点群のサブセットに分割され得る。これにより、それぞれの座席に割り当てられたクラスタに基づいて、座席に固有の座席使用状態を、的を絞った態様で、したがって信頼性高く判定することができる。
【0020】
したがって、クラスタは、関連するレーダ点群のレーダ点のセットの、特に真のサブセットを各々含む。いくつかの実施形態において、クラスタ化は、特にクラスタがばらばらになるように実施され得る。これにより、2つの異なるクラスタに割り当てられるレーダ点はない。
【0021】
第1態様による方法の使用により、座席配列部の座席使用状態を(特に予測または分類の意味で)特徴付ける評価結果が、座席配列部を囲む空間領域の実際のまたはシミュレーションによるレーダスキャンから収集したレーダ点群に基づいて得られ得る。したがって、レーダベースの解決策は、車両(特に自動車用)の文脈において実施され得る。レーダベースの解決策は、レーダにより(特に排他的に)座席の使用状態を確実に検出することができるとともに、特定の機能またはシステム、例えばシートベルト警告システムまたはエアバッグシステムをまとめて、または選択的に作動させる、作動解除する、または制御することができる。
【0022】
多くのレーダ測定技術においてレーダ点群毎に生成されるレーダ点の個数は、物体が移動しているかどうか、またはどのような方法で移動しているかに依存する。実験では、座席に位置する物体が素早く移動している場合、特に、短い、特に最小の時間長を有する測定フレームで取得されるレーダ点であって、対応するクラスタに割り当てられたレーダ点の個数が急激に増加することが判明している。したがって、経験的なデータに基づいて決定され得る適切な第1の所定閾値を選択し、取得したレーダ点の個数またはこれから導出された量を第1の所定閾値と比較することにより、評価モデルによって返された評価結果が不正確であるか否かを確認または判定することが可能である。
【0023】
特に、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する前記測定フレームに割り当てられた前記グループの、少なくとも1つのレーダ点群の各クラスタについて、それぞれの前記クラスタに含まれる前記レーダ点の個数または当該個数に依存する量を測定することにより、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する前記測定フレームに割り当てられた当該グループの単一のレーダ点群のそれぞれの前記クラスタに含まれるレーダ点の前記個数または当該個数に依存する量が、若しくは、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する前記測定フレームに割り当てられた当該グループの複数のレーダ点群の空間的に互いに対応する前記クラスタに含まれる前記レーダ点のそれぞれの前記個数の平均値または当該個数に依存する量が、第1の所定閾値未満であるか否かを判定することができる。すなわち、特に、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する前記測定フレームに割り当てられた前記グループの個々の前記レーダ点の各クラスタについて、レーダ点の前記個数または当該個数に依存する前記量が、前記第1の所定閾値を超える場合、若しくは、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する前記測定フレームに割り当てられた前記グループの空間的に互いに対応する複数のレーダ点群のそれぞれのクラスタにおける前記レーダ点のそれぞれの前記個数の前記平均値のすべてまたは当該個数に依存する前記量が、前記第1の所定閾値を超える場合、評価に基づいて判定した座席配列部の座席使用状態が誤っていることが高い確実性で検出され得る。この場合、実施したレーダスキャンは破棄され、過去に実行したレーダスキャンを使用して判定され記憶された座席使用状態は、直近で実施したレーダスキャンを使用して更新されない。このようにして、座席使用状態の出力におけるエラー率が低減され得る。
【0024】
以下に、本方法の様々な例示的実施形態について説明するが、これらの各実施形態は、明示的に除外されているか、技術的に不可能でない限り、互いに、また同様に記載される本解決策の他の態様と要望通りに組み合わせることができる。
【0025】
実験では、座席に位置する物体が素早く移動している場合、特に、対応する座席に割り当てられたクラスタに含まれるレーダ点について、それぞれのレーダ点におけるレーダ信号のドップラー偏移値も大幅に増加することが判明している。したがって、経験的なデータに基づいて決定され得る適切な第2の所定閾値を選択し、(追加的に)クラスタに含まれるレーダ点のドップラー偏移値を第2の所定閾値と比較することにより、評価モデルにより返された評価結果が不正確であるか否かを確認または判定することが可能である。
【0026】
したがって、いくつかの実施形態において、各レーダ点群の個々の前記レーダ点は、それぞれの前記レーダ点における前記レーダ信号のドップラー偏移値により、さらに個々に表され、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループの少なくとも1つのレーダ点群の各クラスタについて、それぞれの前記クラスタの各レーダ点の前記ドップラー偏移値、またはそれぞれの前記クラスタのすべてのレーダ点の前記ドップラー偏移値の平均値が、第2の所定閾値未満であるか否かを判定し、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループの単一のレーダ点群の各クラスタについて、それぞれの前記クラスタの各レーダ点の前記ドップラー偏移値、またはそれぞれの前記クラスタのすべてのレーダ点の前記ドップラー偏移値の平均値が、前記第2の所定閾値未満である場合、若しくは、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループの空間的に互いに対応する複数のレーダ点群のそれぞれのクラスタに含まれるすべてのレーダ点の前記ドップラー偏移値のそれぞれの平均値を平均した値が、前記第2の所定閾値未満である場合のみ、前記記憶された座席使用状態を前記評価結果に基づいて更新する。このようにして、座席使用状態の出力におけるエラー率が、さらに低減され得る。
【0027】
いくつかの実施形態において、測定フレームの前記少なくとも2つのグループは、複数の時間的に連続する測定フレームを有する。これにより、座席使用状態の検出精度が向上し得る、および/または物体の移動が検出または分類され得る。
【0028】
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記座席使用状態の判定において考慮されたレーダ点群の前記少なくとも2つのグループのそれぞれの(複数の)レーダ点群の各々について、レーダ点群を特徴付けるための少なくとも1つの所定の特性値のそれぞれの前記値を測定するステップをさらに備え、前記座席配列部の前記座席使用状態の判定時に、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループの前記レーダ点群であって、前記座席使用状態の判定において考慮された前記レーダ点群についての少なくとも1つの特性値のそれぞれの前記値の関数として、前記評価結果が判定されるように、前記評価モデルは規定される、または規定されるようになる。このようにして、レーダ点群全体でなく、少なくとも1つの特性値の値のみを入力変数として考慮すればよいため、評価モデルは単純な態様で規定され得るとともに適用され得る。この場合、値の時間曲線は、座席配列部上の1つ以上の物体の移動パターンまたは特定の移動パターンを反映することができるため、評価モデルは、これに基づいて座席配列部の座席使用状態を特に信頼性高く判定することができる。
【0029】
いくつかの実施形態において、レーダ点群の前記少なくとも2つのグループの各グループの複数のレーダ点群の前記特性値のうちの少なくとも1つについて、前記特性値のそれぞれの前記値は、前記特性値の周期曲線が検出されるように分析され、前記評価結果は、前記分析の前記結果の関数として判定される。特に、座席配列部の座席上のあらゆる物体の存在を検出することができるだけでなく、座席配列部上に存在する生き物、特に人とペット(例えば犬)のような哺乳類とを、信頼性高く区別することができる。特に、このような周期曲線が検出されたこと、または検出されないことに応じて、本方法に従って出力すべき情報を表示することができる。特に、周期曲線の1つ以上の検出周波数を考慮することにより、特に周波数が典型的な呼吸周波数範囲等の特定の周波数範囲内にあるかどうかの関数として情報が定義される。特に、座席配列部またはその特定の座席上で呼吸数、ひいては高い確率で人が検出されたかどうかに応じて、シートベルト着用警告機能またはエアバッグシステムを制御することができる。
【0030】
いくつかの実施形態において、複数の前記特性値、または前記特性値のうちの1つは、それぞれの前記レーダ点群におけるレーダ点の前記個数または前記個数に依存する量により規定される、または規定されるようになる。測定フレームのレーダスキャンにおいて、生成されるレーダ点群のレーダ点の個数が、スキャンされる物体が移動している程度に依存する場合、移動の程度は、これにより特に物体の呼吸頻度の前述の検出に関して特性値で表され得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、測定フレームの前記少なくとも2つのグループのうちの1つのグループの少なくとも1つの測定フレームと、測定フレームの前記少なくとも2つのグループのうちの別のグループの1つの測定フレームとは、時間的に重複する。このようにして、短い時間長を有する測定フレームの1つのグループの1つ以上の測定フレームを使用して物体の素早い移動を検出することができると同時に、長い時間長を有する測定フレームの他のグループの1つ以上の測定フレームを使用して物体のゆっくりとした移動を検出することができる。例えば、それぞれ128ms、256ms、512ms、1024ms、または2048msの時間的長さを有する測定フレームの5つのグループが使用される場合、評価モデルにより、物体のすべての、または少なくともほとんどすべての想定される移動が検出され得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、前記評価モデルは、トレーニングされた機械学習モデルを備え、レーダ点群の前記2つのグループ、またはそれらに対して規定された1つ以上の特性値の値を少なくとも表すデータが、前記機械学習モデルに入力データとして提供され、前記評価結果がその出力として得られる。これにより、特に柔軟で適応性のある評価モデルの実現が可能になり、機械学習を使用して評価モデル、ひいては座席使用認識の品質および信頼性を継続的に向上させることができる。特に、評価結果は、座席使用状態分類のクラスを示し得る。特に、機械学習モデルは、決定木ベースのモデルまたは人工ニューラルネットワークに基づくモデルとすることができる。この場合、特性値は、例えば、レーダ点群の少なくとも2つのグループのレーダ点群におけるレーダ点の個数、または当該個数に依存する量によって決定され得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、前記情報の前記出力は、前記情報の関数として信号源を起動し、前記起動に応じて前記信号源に所定の信号を出力させる。信号源は、特に、音声信号源、光学信号源、特に画像またはテキスト用の表示装置、および/または触覚アクチュエータ、または前述の信号源の少なくとも2つの組み合わせであり得る。これは、信号伝達により、検出された座席使用状態をユーザに伝えたり、これをエアバッグシステム等の別の技術システムを制御したりするために使用できることを意味する。
【0034】
いくつかの実施形態において、前記情報が、前記座席配列部の少なくとも1つの座席が使用されている、および/または選択された所定の座席使用状態が存在することに応じた評価結果に起因する場合、前記信号源は、前記情報の関数として起動されて信号を出力する。
【0035】
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記座席配列部における少なくとも1つの座席のシートベルト着用状態を検出するステップ、または前記シートベルト着用状態に特徴的なシートベルト情報を受信するステップをさらに備え、前記情報によれば、前記座席配列部の少なくとも1つの座席が使用されている、および/または選択された所定の座席使用状態が存在し、シートベルト情報が関連する前記シートベルトが着用されていないことを示す場合、前記信号源は、前記シートベルト情報および前記評価結果からの前記情報の関数として起動されて、シートベルト着用警告信号を出力する。このようにして、レーダをベースとしてシートベルト点検および警告システムを、特に検出に関してのみ実現することができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、各レーダ点群の個々の前記レーダ点は、それぞれの前記レーダ点における信号対雑音比によりさらに個々に表される。この場合、ドップラー偏移値および/または信号対雑音比は、特徴抽出前の前処理段階の一部として、レーダ点群を事前にフィルタリングするために使用され得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、前記評価モデルに基づく前記座席配列部の前記座席使用状態の判定は、排他的に実施される、または、少なくとも数値的な意味で主として、当該レーダ点であって、その前記ドップラー偏移値がゼロではない所定の変位閾値以上である前記レーダ点に基づいて実施される。したがって、いわゆる動的レーダ点のみ、または少なくとも主として動的レーダ点、すなわち、ドップラー偏移値がシフト閾値以上であるスキャンした物体の移動を表すレーダ点のみが、評価の根拠として使用される。これは、本方法の品質、特に信頼性をさらに向上させるように使用され得る。なぜならば、座席の座面状の点等の物体表面上の静的な、すなわち本質的に静止している点は、評価に含まれない、または動きを示す点よりも少数しか含まれないため、生物、特に人や動物に割り当てられる可能性が高いためである。これにより、評価から得た出力情報(エアバッグ制御やシートベルト警告システム等)を、特に、生物または静止物体表面のいずれが検出されたかに応じて利用することができる。
【0038】
本解決策の第2態様は、少なくとも1つの座席、特に車両内または車両用の少なくとも1つの車両座席を有する座席配列部の座席使用状態を自動で検出するためのシステム、特にデータ処理装置に関する。この場合、前記システムは、特に対応するコンピュータプログラムによって、座席使用状態を検出するための第1態様による方法を実施するように構成されたデータ処理装置を備える。
【0039】
本解決策の第3態様は、第2態様によるシステムの前記データ処理装置での実行時に、前記システムに第1態様による方法を実施させる命令を備える、コンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品に関する。
【0040】
コンピュータプログラムは、特に、不揮発性データキャリアに格納され得る。これは、好適には、光学データキャリアまたはフラッシュメモリーモジュールの形態のデータキャリアである。これは、そのようなコンピュータプログラムが、1つ以上のプログラムが実行されるプロセッサプラットフォームから独立して取り扱われる場合に有利である。別の実施態様では、コンピュータプログラムは、データ処理装置、特にサーバ上にファイルとして存在することができ、データリンク、例えばインターネット、または専有ネットワークやローカルネットワーク等の専用データリンクを介してダウンロードすることができる。さらに、コンピュータプログラムは、複数の個々の相互作用するプログラムモジュールを有することができる。特に、モジュールは、地理的に離れており、データネットワークを介して互いに接続されている異なる装置(コンピュータまたは処理ユニット)上で分散コンピューティングの意味で使用できるように構成することができ、または、状況に限られずそのように使用することができる。
【0041】
第2態様によるシステムは、これに対応して、コンピュータプログラムが格納されたプログラムメモリを有し得る。代替的に、システムは、通信リンクを介して、外部、例えば1つ以上のサーバまたは他のデータ処理装置上で利用可能なコンピュータプログラムにアクセスするように構成することもでき、特に、方法またはコンピュータプログラムの実行中に使用されるデータ、またはコンピュータプログラムの出力を構成するデータをそれと交換するために使用される。
【0042】
本解決策の第4態様は、少なくとも1つの座席を有する座席配列部と、前記座席配列部の少なくとも数セクションをレーダスキャンするためのレーダセンサと、第2態様によるシステムであって、前記レーダセンサが実施する前記座席配列部の少なくとも数セクションのレーダスキャンの関数として、前記座席配列部の特にそれぞれの座席使用状態を自動で検出するためのシステムと、を備える車両に関する。
【0043】
本解決策の第1の態様に関して説明した特徴および利点は、本発明のさらなる態様にも対応して適用される。
【0044】
本解決策のさらなる利点、特徴および応用可能性は、図面と併せて以下の詳細な説明で理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、車両内の座席配列部の座席使用状態を自動で検出するためのシステムが搭載された車両の例示的な実施形態を概略的に示す。
【
図2】
図2は、
図1の車両のレーダセンサが捕捉した単一の測定フレームに対応する(単一の)レーダ点群の例示的な二次元図である。
【
図3A】
図3Aは、
図2に示すレーダ点群に従って取得したレーダ点群の一部を示す。レーダ点群は、
図1に示す前部座席をレーダスキャンして得られたものであり、各座席に素早く動かない、またはほとんど動かない人が各座席に位置する場合のものである。
【
図3B】
図3Bは、
図2に示すレーダ点群に従って取得したレーダ点群の一部を示す。レーダ点群は、
図1に示す前部座席をレーダスキャンして得られたものであり、座席の両方に人が座っており、左側の座席に着席している人が素早く動き、右側の座席の人が基本的に静止して座っている場合のものである。
【
図4】
図4は、3つの座席の異なる座席使用状態について、最も短い時間長を有する測定フレームについてそれぞれの座席に割り当てられたクラスタに含まれるレーダ点の個数、およびそれぞれの座席に割り当てられたクラスタに含まれるレーダ点のドップラー偏移値が、座席に関して規定された表を示す。
【
図5】
図5は、座席配列部の座席使用状態を自動で検出するための方法の例示的な実施形態を説明するフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図面において、同一の参照符号は、同一、類似、または相互に対応する要素を示す。図面中の要素は、必ずしも縮尺通りに示されていない。むしろ、図面に示す様々な要素は、それらの機能や総合的な目的が当業者に理解できるように再現されている。図面に示す機能的なユニット同士および要素同士の接続や連結は、明示的に別段の記載がない限り、間接的な接続または連結としても実施され得る。機能的なユニットは、特にハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせとして実現され得る。
【0047】
図1に概略的に示す車両100の例示的な実施形態は、5つの個々の座席または座席位置105a~105eを有する座席配列部105を有している。座席105a~105eの各々は、1人の人を車両100の乗員として収容するのに適している。車両100は、レーダセンサ110をさらに備えている。レーダセンサ110は、車室の内部においてその天井に装着されるとともに、レーダビームにより座席配列部105を少なくとも実質的にスキャンできるように構成されている。したがって、座席105a~105e、特にそれらの座席面は、少なくとも個々の大部分が、レーダセンサ110がスキャン可能な観察フィールド110a内に配置されている。また、車両100は、レーダセンサ110が実施する観察フィールド110aに対する座席配列部105の少なくとも一部のレーダスキャンの関数として、座席配列部105の座席使用状態を自動で検出するためのシステム115を備えている。
【0048】
システム115は、特に、少なくとも1つのマイクロプロセッサを有するデータ処理ユニット115aと、これに信号接続するメモリ115bと、を備えている。メモリ115bには、
図6を参照して以下に説明する、座席配列部105の座席使用状態を自動で検出するための方法を実施するように構成されたコンピュータプログラムが格納されている。さらに、レーダセンサ110がレーダスキャン中に生成するセンサデータ、またはさらなる処理によりこれからすでに得られた情報が、メモリ115bに記憶され得る、または記憶されている。
【0049】
以下で、レーダ点群(ポイントクラウド)を示す
図2を参照する。
図2では、明瞭な表現を期して、レーダ点群の位置を2つの次元に及ぶ平面に投影することにより、本来三次元のレーダ点群が二次元に縮小されている。
【0050】
図2は、単一の測定フレーム内で取得した、すなわち所定の時間間隔(測定期間)中のレーダセンサ110による座席配列部105のレーダスキャンの結果としての例示的な単一のレーダ点群300を示す。レーダ点群300内の個々のレーダ点の位置は、空間座標により表現され得る。例えば、デカルト座標XおよびYが、図面の平面に、したがって個々の各点に割り当てられ得る。現実には、図面による次元の縮小を無視する場合、第3空間次元用の第3座標Zを追加すべきである。
【0051】
レーダスキャン中にスキャンした物体から反射したレーダビームを座標として取得した位置の空間的位置だけでなく、ドップラー偏移も同様に測定する場合、個々のレーダ点は、このドップラー偏移の大きさに応じて、特に2つの異なるクラスに分類され得る。後者は、例えばドップラー偏移を処置の変位速度に対応する所定の変位閾値と比較することにより取得され得る。比較の結果に応じて、関連するドップラー偏移の値に応じて、速度を有さない、または変位閾値未満の反射点における物体表面の速度を有するレーダ点310は、「静的」レーダ点として分類され得る(
図2において塗りつぶされた黒丸でそれぞれ示す)。逆に、変位閾値を超えるドップラー偏移を有するレーダ点315は、「動的」レーダ点315として分類され得る(
図2において、黒リングでそれぞれ示す)。
【0052】
レーダ点310および315をそれらのドップラー偏移に応じて分類することは、必須ではないが、この分類は、レーダ点群300を処理する、特にその評価の前に実施される前処理の文脈において、特にこれを分類に応じてフィルタリングするために利用され得る。例えば、このフィルタリングは、例えば、移動物体のみを検出ことを目的として、動的レーダ点315のみを評価のために考慮するように実施され得る。
【0053】
図3Aは、
図2に示すレーダ点群300に従って取得したレーダ点群の一部を示す。レーダ点群は、
図1に示す座席105a、105bをレーダスキャンして得られたものであり、各座席に素早く動かない、またはほとんど動かない人が位置する場合のものである。
図3Bは、
図2に示すレーダ点群に従って取得したレーダ点群の一部を示す。レーダ点群は、
図1に示す座席105a、105bをレーダスキャンして得られたものであり、座席105、105bの各々に1人の人がおり、左側の座席05a上の人が素早く動き、右側の座席105b上の人が基本的に静止して座っている場合のものである。
【0054】
また、
図3Aおよび
図3Bにおいて、立方体(3Dの場合)または目下の2D表現では長方形の選択された空間領域が描かれている(
図3Aおよび
図3Bにおいて各々2つの白い長方形で表されている)。これらの空間領域は、個々の座席105a、105bのそれぞれの位置に空間的に割り当てられている。これらの空間領域の定義を、レーダ点群300をクラスタ化するために使用することができる。各レーダ点(
図3Aおよび
図3Bにおける白点)は、可能な限り、それが位置する空間領域に割り当てられる。空間領域のうちの一方に位置しないレーダ点は、その後無視され得る。
【0055】
図3Aに示すように、人が両座席105a、105bにおいて基本的に静止して座っている場合、
図3Aにおいて左に位置する空間領域であって、左側の座席105aに割り当てられた空間領域と、
図3Aにおいて右に位置する空間領域であって、右側の座席105bに割り当てられた空間領域における3つのレーダ点の個数が、おおよそ等しく、かつゼロから有意に異なる。これにより、以下に説明する座席配列部の座席使用状態を自動で検出するための方法を用いることで、両座席105a、105bが使用されていると判定できる。
【0056】
これに対して、
図3Bに示すように、両座席105a、105bに人がいて、左の座席105a上の人は大きく動いているのに対して、右の座席105b上の人は基本的に静止して座っている場合、
図3Aにおいて左に位置し左側の座席105aに割り当てられたレーダ点の個数が、
図3Aにおいて右に位置し右側の座席105bに割り当てられた空間領域における3つのレーダ点の個数よりも有意に多く、かつ
図3Aに示す例よりも有意に多い。この場合、
図3Bにおいて右に位置し右側の座席105bに割り当てられた空間領域におけるレーダ点の個数も非常に少ないため、後述する座席配列部の座席使用状態を自動で検出するための方法によって、右の席105bが使用されているか否かを判定することができない、または確実に判定することができない。
【0057】
図4は、
図1に示す3つの後部座席105c、105d、105eの異なる座席使用状態について、最も短い時間長を有する測定フレームについてそれぞれの座席に関連付けられたクラスタに含まれるレーダ点の個数、および座席105c、105d、105eについてそれぞれの座席に割り当てられたクラスタに含まれるレーダ点のドップラー偏移値を表示する表を示す。
【0058】
本例において、座席使用状態1~3においては、動かない、またはほとんど動かない1人の人が座席105cおよび105bの各々に着席している。一方、座席使用状態4~6においては、非常にまたは素早く動く人が座席105cに着席し、座席105dでは、人が静止して座っている、または動かないかほとんど動かない。座席使用状態1~6のすべてにおいて、座席105eは空いている、すなわち使用されていない。
【0059】
表から分かるように、静止物体(座席使用状態1~3)について、すべての値がかなり低く、最も短い時間長を有する測定フレームについてそれぞれの座席に関連付けられたクラスタに含まれるレーダ点の個数は、2つの座席105c、105dについて類似しており、10~30の範囲にある。2つの座席105c、105dについてのドップラー偏移値も同様であり、0.01未満の範囲にある。
【0060】
これに対して、座席使用状態4~6のように、人が素早くそしてかなり動く場合には、これらすべての値は急激に増加する。例えば、最も短い時間長を有する測定フレームについて座席105cに割り当てられたクラスタに含まれるレーダ点の個数は、座席使用状態1~3の最大で10倍であり、200に近い値を取る。ドップラー偏移値は、座席使用状態1~3の最大で20倍であり、ほぼ0.2の値を取る。
【0061】
また、座席105cと座席105dとに関する値間には、有意に明らかな違いがある。すなわち、最も短い時間長を有する測定フレームについて座席105cに割り当てられたクラスタに含まれるレーダ点の個数は、最も短い時間長を有する測定フレームについて座席105dに割り当てられたクラスタに含まれるレーダ点の個数の約4~5倍であり、座席105cに対するドップラー偏移値は、座席105dに対するドップラー偏移値のおよそ1.5~2倍である。
【0062】
後述する本発明による方法において、これらの観察は、評価モデルによって一定の座席使用状態を確認し、特定の座席使用状況が正しくないと判定された場合、対応する結果を却下するように使用される。
【0063】
図5は、座席配列部の座席使用状態を自動で検出するための方法500の例示的な実施形態を説明するフロー図を示す。本方法は、特に、コンピュータが実施する方法として具現化され得る。この目的のために、本方法は、特にシステム115のメモリ115bに、コンピュータプログラムとして格納され得るとともに、データ処理ユニット115aで実行可能である。
【0064】
方法500において、本例において車両100のレーダセンサ110からのレーダ測定データが受信されて、1つ以上のレーダ点群を形成すべくさらに処理される。この目的のために、ステップS510において、複数の測定フレームから各測定フレームに対して割り当てられた1つのレーダ点群300を表示するレーダ測定データがまず受信されて、測定データは、複数の測定フレームに対応する複数のレーダ点群を表示する。複数のレーダ点群の各レーダ点群300は、座席配列部105の少なくとも一部のセクションを囲む空間領域のレーダスキャンであって、それぞれの測定フレームに割り当てられた測定時または測定期間中に実施されるレーダスキャンに基づいて得られたものである、または得られるものである。また、複数のレーダ点群の各レーダ点群300は、レーダ点310、315を含む。
【0065】
本例において、複数の測定フレームは、測定フレームの複数のグループを備えている。各グループは、同一時間長の1つの測定フレーム、または好適には複数の測定フレームを含んでいる。異なる測定フレームのグループでの測定フレームの時間長は異なり、1つの対応するレーダ点群のグループが、測定フレームの複数のグループの各々に割り当てられる。さらに、測定フレームの少なくとも2つのグループのうちの1つのグループの測定フレームの好適には少なくとも1つの測定フレームと、測定フレームの少なくとも2つのグループのうちの別のグループの測定フレームの1つの測定フレームとは、時間的に重複する。
【0066】
次いで、ステップS520において、好適には複数の時間的に連続する測定フレームを各々備える測定フレームの少なくとも2つのグループの関数として、座席配列部105の複数の所定の想定される座席使用状態のうちの1つを評価結果として返す評価モデルを使用して、座席配列部105の座席使用状態を判定する。各レーダ点群300の個々のレーダ点310、315は、各場合について、三次元スペースにおけるそれぞれのレーダ点の少なくとも1つの位置により表される。
【0067】
この目的のために、各レーダ点群300について、そのレーダ点310、315のセットが、クラスタ化により、座席105a~105eに対するレーダ点310、315のそれぞれの空間的位置の関数として、各々がレーダ点310、315のサブセットを含む複数のクラスタにサブ分割されて、座席105a~105eの各々に、それに最も空間的に近く位置するクラスタのうちの1つが個々に割り当てられる。選択的に、フィルタリングを実施して、静的なレーダ点、すなわち、所定のドップラー変位閾値よりも小さいドップラー偏移値を有するレーダ点を確実に除去してもよい。
【0068】
レーダ点群300のクラスタ化において、特にそのレーダ点の各々について、点が所定の空間領域のうちの1つの内にあるか否か、内にある場合にはどの空間領域にあるかをチェックすることができる。したがって、レーダ点の各々を、空間領域のうちの1つに、または他の観察フィールドに割り当てることができる。同一の空間領域内に位置するすべてのレーダ点は、一緒にグループ化されてクラスタを形成する。この結果、座席105a~105eの各々に、対応するレーダ点群300のクラスタが割り当てられる。これにより、各座席105a~105eについて、それぞれの座席105a~105eが使用されているか否か、または使用されていたか否かに関する個々の評価をその後実施するという事実についての根拠が得られる。
【0069】
クラスタ化されたレーダ点群300のその後の評価を容易にするために、座席使用状態の判定という文脈において考慮されるレーダ点群の少なくとも2つのグループのそれぞれのレーダ点群の各々について、レーダ点群を識別するための少なくとも1つの所定の特性値の値が決定され得る。特に、対応する特性値K(i)が、クラスタの各々について決定され得る。この特性値K(i)は、特に、クラスタにおけるレーダ点の個数として規定され得る。ドップラー偏移値のフィルタリングを実施していない場合、これは、静的および動的レーダ点310および315の両方のそれぞれ共通カウントとなり得る。しかしながら、静的レーダ点310が事前に除去されている場合、例えば、上述のように、動的レーダ点315のカウントのみが含まれる。
【0070】
本例において、評価モデルは、座席配列部105の座席使用状態の判定に際して、評価結果が、座席使用状態の判定に考慮されるレーダ点群の少なくとも2つのグループのレーダ点群について、少なくとも1つの特性値のそれぞれの値の関数として決定されるように規定されている、または規定され得る。
【0071】
プロセスにおいて、レーダ点群の少なくとも2つのグループの各グループの複数のレーダ点群の特性値のうちの少なくとも1つについて、特性値のそれぞれの値は、特性値の周期曲線が検出されるように分析される。評価結果は、分析の結果の関数として決定される。
【0072】
評価モデルは、好適には、人工ニューラルネットワークまたは決定木(デシジョンツリー)ベースのモデル等のトレーニングされた機械学習モデルを備える。レーダ点群の少なくとも2つのグループ、またはそれらのために規定された1つ以上の特性値の値を表すデータは、機械学習モデルへの入力データとして、評価結果をその出力として得るように提供される。
【0073】
座席配列部105の座席使用状態の判定は、レーダ点群の少なくとも2つのグループのそれぞれの関連したクラスタの関数として、座席105a~105eの各々に対するそれぞれの個々の座席使用状態を個々に判定することで、それぞれの座席105a~105eの座席使用状態を識別する評価結果を得るステップを備える。
【0074】
ステップS530において、レーダ点群の少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する測定フレームに割り当てられた特定グループの、少なくとも1つのレーダ点群の各クラスタについて、それぞれのクラスタに含まれるレーダ点の個数または当該個数に依存する量が測定される。したがって、レーダ点群の少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する測定フレームに割り当てられた特定のグループの単一のレーダ点群のそれぞれのクラスタに含まれるレーダ点の個数または当該個数に依存する量が、若しくは、レーダ点群の少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する測定フレームに割り当てられた特定のグループの空間的に互いに対応する複数のレーダ点群のそれぞれのクラスタに含まれるレーダ点のそれぞれの個数の平均値または当該個数に依存する量が、第1の所定閾値未満であるか否かが判定される。
【0075】
ステップS540において、レーダ点群の少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する測定フレームに割り当てられた特定のグループの個々のレーダ点の各クラスタについて、レーダ点の個数または当該個数に依存する量が、第1の所定閾値未満である場合、若しくは、レーダ点群の少なくとも2つのグループのうち、最も短い時間長を有する測定フレームに割り当てられた特定のグループの空間的に互いに対応する複数のレーダ点群のそれぞれのクラスタにおけるレーダ点のそれぞれの個数の平均値のすべてまたは当該個数に依存する量が、第1の所定閾値未満である場合のみ、メモリ105bに記憶された座席使用状態であって、先のレーダスキャンに基づいて判定された座席使用状態が、評価結果に基づいて更新される。
【0076】
ステップS550において、評価結果の関数として規定された情報が、例えば車両のユーザインターフェースに、または1つ以上の他のシステム、特に車両のシステムによるさらなる処理のためのデータの形態で出力される。出力された情報は、評価モデルに基づいてステップS520で判定された座席配列部105の座席使用状態であり得る。
【0077】
本例において、この情報は、特に、特定の座席105a~105eの座席使用状態、およびこの座席用の対応するシートベルトが着用されたか否かを判定するテストの結果に応じて、ベルト警告信号を発信すべきか否かをチェックするために使用され得る。
【0078】
このために、ステップS560において、該当する座席(例えば、座席105b)のシートベルトが着用されたか否かがチェックされ得る。そして、ステップS570において、車両100の機能が、ステップS550で出力された座席使用状態についての情報、およびステップS560で判定されたシートベルト状況に応じて制御される。特に、これは、ステップS570において、光学的および/または音響的なシートベルト状態信号が起動されて車両の1つ以上の乗員に、必要であれば、座席は使用されているがそこのシートベルトが着用されていないことを知らせるように実施され得る。次いで、本方法は、ステップ510に分岐して、別のループパスを開始する。
【0079】
したがって、各レーダ点群300の個々のレーダ点310、315が、それぞれのレーダ点におけるレーダ信号のドップラー偏移値により、さらに個々に表される一実施形態において、ステップ530において、好適には、レーダ点群の少なくとも2つのグループの少なくとも1つのレーダ点群の各クラスタについて、それぞれのクラスタの各レーダ点のドップラー偏移値、またはそれぞれのクラスタのすべてのレーダ点のドップラー偏移値の平均値が、第2の所定閾値未満であるか否かが判定され、ステップ540において、レーダ点群の少なくとも2つのグループの単一のレーダ点群の各クラスタについて、それぞれのクラスタの各レーダ点のドップラー偏移値、またはそれぞれのクラスタのすべてのレーダ点のドップラー偏移値の平均値が、第2の所定閾値未満である場合、若しくは、レーダ点群の少なくとも2つのグループの空間的に互いに対応する複数のレーダ点群のそれぞれのクラスタに含まれるすべてのレーダ点のドップラー偏移値のそれぞれの平均値を平均した値が、第2の所定閾値未満である場合のみ、記憶された座席使用状態が、評価結果に基づいて更新される。
【0080】
以上、少なくとも1つの例示的な実施形態について説明したが、これに関して多数の変形例が存在することに留意されたい。また、説明した例示的な実施形態は、非限定的な例を構成するに過ぎず、本明細書で説明した装置および方法の範囲、適用可能性または構成を限定することは意図されていないことにも留意されたい。むしろ、上述の説明は、少なくとも例示的な実施形態の実施のための指標を当業者に提供するものであり、例示的な実施形態に記載された機能手段および要素の配置における様々な変更は、添付の特許請求の範囲またはその法的等価物にそれぞれ定義される主題からで逸脱することなく実施され得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0081】
100 車両
105 座席配列部
105a~e 座席または座席位置
110 レーダセンサ
110a レーダセンサ110の観察フィールド
115 座席使用状態を自動的に検出するためのシステム
115a データ処理ユニット
115b メモリ
300 (単一の)レーダ点群
310 静的レーダ点
315 動的レーダ点
500 座席使用状態を自動的に検出するための方法
S510~S570 方法500の文脈内における個々のプロセスまたは方法ステップ
【外国語明細書】