IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イングラボの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009730
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ヘアケア組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20240116BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20240116BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240116BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20240116BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240116BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/60
A61K8/33
A61Q5/00
A61K8/39
A61Q5/02
A61Q5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022120986
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】518035145
【氏名又は名称】株式会社イングラボ
(72)【発明者】
【氏名】中谷 靖章
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC011
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC421
4C083AC422
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD221
4C083AD222
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE05
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】シャンプーとヘアトリートメントが1ステップで完了するヘアケア組成物を提供する。
【解決手段】
ヘアケア組成物が
(a)(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマー、
(b)アルキルグルコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリルアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種
を含有し、かつ、アニオン界面活性剤及び4級アンモニウム型カチオン界面活性剤を含有しない。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマー
(b)アルキルグルコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリルアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種
を含有し、かつ、アニオン界面活性剤及び4級アンモニウム型カチオン界面活性剤を含有しないことを特徴とするヘアケア組成物。
【請求項2】
高級アルコールをさらに含有している請求項1に記載のヘアケア組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプーとヘアトリートメントが1ステップで完了するヘアケア組成物に関する。より具体的に、シャンプーとしての洗浄機能を有しかつ、ヘアトリートメントとしてのトリートメント効果も有するヘアケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
頭皮と毛髪の洗浄のためにシャンプーを使い、毛髪の柔らかさやまとまりなどのトリートメント効果ためにヘアトリートメント等を使う、シャンプーとヘアトリートメントの2ステップで行なうことが一般的である。しかしながら、この場合、洗い流す工程が2回入り時間がかかってしまうという課題がある。
【0003】
一般的に、アニオン界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を含むシャンプーのみの1ステップとするリンスインシャンプーと標榜しているヘアケア提案がされているが、トリートメント効果が十分でない。
【0004】
さらに、一般的に、4級アンモニウム型カチオン界面活性剤を含有するヘアトリートメントの処方であるヘアケア組成物を使って、シャンプーとヘアトリートメントを1ステップとする提案もされているが、洗浄力が十分でなく頭皮がべたつき、さらには4級アンモニウム型カチオン界面活性剤による頭皮の刺激もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シャンプーとヘアトリートメントが1ステップで完了する、シャンプーとしての洗浄機能を有しかつ、ヘアトリートメントとしてのトリートメント効果を有するヘアケア組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、
(a)(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマー、
(b)アルキルグルコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリルアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種
を含有し、かつ、アニオン界面活性剤及び4級アンモニウム型カチオン界面活性剤を含有しないヘアケア組成物により、シャンプーとヘアトリートメントが1ステップで完了できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シャンプーとヘアトリートメントが1ステップで完了するヘアケア組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のヘアケア組成物は、
(a)(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマー、
(b)アルキルグルコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリルアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種
を含有し、かつ、アニオン界面活性剤及び4級アンモニウム型カチオン界面活性剤を含有しない。以下、本発明について詳述する。
【0009】
(a)(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマーの含有量は、特に制限されない。(a)の含有量は、例えば、ヘアケア組成物の全質量に対して、0.1質量%以上8質量%以下の範囲にあってもよく、0.5質量%以上3質量%以下の範囲にあってもよい。(a)の含有量を適切に調整することによって、4級アンモニウム型カチオン界面活性剤を含有しなくてもすすぎ時の指通り、乾燥後の柔らかさとまとまりといったトリートメント効果を有するヘアケア組成物を得ることができる。
【0010】
(b)アルキルグルコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリルアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種の含有量は、特に制限されない。(b)の含有量は、例えば、ヘアケア組成物の全質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下の範囲にあってもよく、0.5質量%以上3質量%以下の範囲にあってもよい。(b)の含有量を適切に調整することによって、アニオン界面活性剤を含有しなくても洗浄効果を有するヘアケア組成物を得ることができる。
【0011】
アルキルグルコシドを構成するアルキル基の炭素数は、特に限定されず、6以上30以下であってもよく、8以上22以下であってもよい。アルキルグルコシドとして、ラウリルグルコシド、カプリルグルコシド、(カプリリル/カプリル)グルコシド、ミリスチルグルコシド、デシルグルコシド、セテアリルグルコシド、オクチルグルコシド、ノニルグルコシド、及びヤシ油アルキルグルコシド等が挙げられる。これらアルキルグルコシドから選ばれる1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0012】
ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの平均重合度は、特に限定されず、2以上20以下であってもよく、6以上10以下であってもよい。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、特に限定されない。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数は、6以上30以下であってもよく、8以上22以下であってもよい。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、ラウリン酸ポリグリセリル-2、ステアリン酸ポリグリセリル-2、オレイン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ペンタグリセリル、ステアリン酸ペンタグリセリル、イソステアリン酸ペンタグリセリル、オレイン酸ペンタグリセリル、ラウリン酸オクタグリセリル、ミリスチン酸オクタグリセリル、ミリスチン酸ペンタグリセリル、及びミリスチン酸デカグリセリル等が挙げられる。これらポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
ポリグリセリルアルキルエーテルを構成するポリグリセリンの平均重合度は、特に限定されず、2以上100以下であってもよく、4以上40以下であってもよい。アルキル基の炭素数は、特に限定されない。アルキル基の炭素数は、6以上30以下であってもよく、8以上22以下であってもよい。アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。ポリグリセリルアルキルエーテルとして、ポリグリセリル-4ラウリルエーテル、ポリグリセリル-20ラウリルエーテル、ジグリセリルモノオクチルエーテル、ジグリセリルモノデシルエーテル、ジグリセリルモノドデシルエーテル、ジグリセリルモノテトラデシルエーテル、トリグリセリルモノオクチルエーテル、トリグリセリルモノデシルエーテル、トリグリセリルモノドデシルエーテル、トリグリセリルモノテトラデシルエーテル、テトラグリセリルモノオクチルエーテル、テトラグリセリルモノデシルエーテル、テトラグリセリルモノドデシルエーテル、テトラグリセリルモノテトラデシルエーテル、ヘキサグリセリルモノオクチルエーテル、ヘキサグリセリルモノデシルエーテル、ヘキサグリセリルモノドデシルエーテル、ヘキサグリセリルモノテトラデシルエーテル、オクタグリセリルモノオクチルエーテル、オクタグリセリルモノデシルエーテル、オクタグリセリルモノドデシルエーテル、オクタグリセリルモノテトラデシルエーテル、デカグリセリルモノオクチルエーテル、デカグリセリルモノデシルエーテル、デカグリセリルモノドデシルエーテル、デカグリセリルモノテトラデシルエーテル、エイコサグリセリルモノオクチルエーテル、エイコサグリセリルモノデシルエーテル、エイコサグリセリルモノドデシルエーテル、及びエイコサグリセリルモノテトラデシルエーテル等が挙げられる。これらポリグリセリルアルキルエーテルから選ばれる1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
ショ糖脂肪酸エステルとして、ラウリン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロース、ヤシ脂肪酸スクロース等が挙げられる。これらショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
本発明のヘアケア組成物には、さらに高級アルコールを含んでいてもよい。高級アルコールの含有量は、特に制限されない。高級アルコールの含有量は、例えば、ヘアケア組成物の全質量に対して、0.5質量%以上15質量%以下の範囲にあってもよく、1.5質量%以上8質量%以下の範囲にあってもよい。高級アルコールを含むことによって、頭皮及び毛髪への適用が容易になる。
【0016】
高級アルコールの炭素数は、特に限定されず、8以上30以下であってもよく、14以上22以下であってもよい。高級アルコールは、飽和アルコールであってもよく、不飽和アルコールであってもよい。高級アルコールとして、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、オレイルアルコール、及びベヘニルアルコール等が挙げられる。これらの高級アルコールから選ばれる1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
本発明のヘアケア組成物は、アニオン界面活性剤を含まない。アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸石鹸、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルメチルタウリン塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。
【0018】
本発明のヘアケア組成物は、4級アンモニウム型カチオン界面活性剤を含まない。4級アンモニウム型カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルトリメチルアンモニウム、臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムメタンスルホネート、ステアリルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化セチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化オクチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム、塩化2-デシルテトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化2-ドデシルヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0019】
本発明のヘアケア組成物は、上述した成分以外にも、通常化粧品や医薬品等に用いられる他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲内で任意に添加することができる。このような成分として、例えばカチオン高分子、アニオン高分子、非イオン高分子、両性高分子、多価アルコール、糖類、アミノ酸、ペプチド、プロテイン、ビタミン類、油分、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、3級アミン化合物、フッ素化合物、シリコーン類、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、pH調整剤、増粘剤、ゲル化剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤、植物抽出エキス、溶剤、防腐剤、香料、粉末成分、色素、水等を含有することができる。
【0020】
本発明のヘアケア組成剤の剤型は、所望の効果が充分に発揮されるのであれば特に限定されないが、例えば、乳液状、ゲル状、クリーム状などの剤型を採りうる。特に、クリーム状であると、塗布時に垂れ落ちしにくく、頭皮及び毛髪への付着性又はなじみに優れるため良い。
【実施例0021】
以下に具体例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例等における配合量は特に断らない限り質量%を示す。
【0022】
(実施例1~8及び比較例1~2)
下記の表1に掲げた組成を有するヘアケア組成物を調製した。得られたヘアケア組成物の評価を、以下の方法により評価した。
【0023】
10年以上の美容師経験を有する3名が、5名に対し調整したヘアケア組成物を塗布し、頭皮及び毛髪になじませマッサージした後、洗い流す。その後、ドライヤーで乾燥した。このとき、「洗浄性」「すすぎ時の指通り」「乾燥後の柔らかさ」「乾燥後のまとまり」の官能評価を行った。項目ごとに、5点(大変良い)、4点(良い)、3点(ふつう)、2点(あまりよくない)、1点(悪い)の5段階で評価した。その後、平均点を算出した。平均点が4.0点以上であった場合を「◎」、3.0点以上4.0点未満であった場合を「○」、2.0点以上3.0点未満であった場合を「△」、2.0点未満であった場合を「×」とした。
【0024】
【表1】
【0025】
実施例1~6に示すように、(a)(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマー、(b)アルキルグルコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリルアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種を含有し、かつ、アニオン界面活性剤及び4級アンモニウム型カチオン界面活性剤を含有しない場合に、十分な洗浄性、すすぎ時の指通り、乾燥後の柔らかさ、乾燥後のまとまりが得られた。実施例7~8に示すように、高級アルコールをさらに含有した場合に、十分な洗浄性、すすぎ時の指通り、乾燥後の柔らかさ、乾燥後のまとまりが得られた。比較例1に示すように、(a)(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマーを含有しない場合に、すすぎ時の指通り、乾燥後の柔らかさ、乾燥後のまとまりが不十分であった。比較例2に示すように、(b)アルキルグルコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリルアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステルを含有しない場合に、洗浄性が不十分であった。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、シャンプーとヘアトリートメントが1ステップで完了するヘアケア組成物を提供できる。