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特開2024-97300付加製造中の部品の温度及び応力を管理する装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097300
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】付加製造中の部品の温度及び応力を管理する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/64 20210101AFI20240710BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240710BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20240710BHJP
   B29C 64/188 20170101ALI20240710BHJP
   B22F 10/68 20210101ALI20240710BHJP
   B22F 10/66 20210101ALI20240710BHJP
   B22F 12/82 20210101ALI20240710BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20240710BHJP
【FI】
B22F10/64
B33Y10/00
B29C64/153
B29C64/188
B22F10/68
B22F10/66
B22F12/82
B33Y40/20
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023218117
(22)【出願日】2023-12-25
(31)【優先権主張番号】18/093,673
(32)【優先日】2023-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド エム. コルスマイアー
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WK01
4F213WK03
4F213WL03
4F213WL13
4F213WL52
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】      (修正有)
【課題】付加製造プロセスに関与する加熱及び冷却サイクル中に発生する内部残留応力及び歪みによる三次元物体の亀裂を低減する、ワークピースを付加製造する方法を提供する。
【解決手段】ワークピースを付加製造する方法は、付加製造装置の堆積ヘッドを造形プレート上で並進移動させることにより、造形プレート上に材料を堆積させ、溶融させて、堆積材料の層を形成することと、層が造形プレート上に堆積された後で、堆積材料をオーブンで加熱することであって、オーブンが、加熱炉本体と、堆積ヘッドと共に移動可能であり、加熱炉本体上に配置可能なオーブン蓋を備え、オーブンの加熱造形チャンバを取り囲む、堆積材料をオーブンで加熱することと、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(102)を付加製造する方法(300)であって、
付加製造装置(100)の堆積ヘッド(112)を、造形プレート(104)の造形表面上を並進移動させて材料の層を形成することであって、前記堆積ヘッド(112)が、材料ノズルを通して前記材料が堆積材料として堆積される材料ノズル(114)と、前記堆積材料にエネルギービーム(122)を印加して、前記堆積材料を前記造形表面で溶融させるように構成されたエネルギー源とを備える、材料の層を形成することと、
前記層が前記造形表面上に堆積された後に、オーブン(130)を用いて堆積材料を加熱することであって、前記オーブン(130)が、前記造形プレート(104)が配置されるキャビティ(134)を画定する加熱炉本体(132)と、前記堆積ヘッド(112)と共に移動可能であり、前記加熱炉本体(132)上に配置可能なオーブン蓋(136)とを備え、前記オーブン蓋(136)が前記加熱炉本体(132)上に配置されると、前記オーブン蓋(136)及び前記加熱炉本体(132)は、前記加熱の適用時に加熱造形チャンバ(128)を提供する前記キャビティ(134)を取り囲む、堆積材料を加熱することと、
を含む方法。
【請求項2】
加熱後に前記キャビティ(134)内の前記堆積材料を加圧することをさらに含む、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項3】
前記キャビティ(134)内の前記堆積材料を加圧することが、
前記堆積ヘッド(112)を前記造形プレート(104)から離間するように移動させて、前記加熱炉本体(132)から前記オーブン蓋(136)を取り外すことと、
前記加熱炉本体(132)にオートクレーブ(402)蓋を配置して前記キャビティ(134)をシールすることと、
前記キャビティ(134)を加圧することと、を含む、
請求項2に記載の方法(300)。
【請求項4】
前記加圧は、加熱後の前記キャビティ(134)内の前記堆積材料の熱間等方加圧であり、
前記キャビティ(134)内の前記堆積材料の前記熱間等方加圧は、
前記堆積ヘッド(112)を前記造形プレート(104)から離間するように移動させて、前記加熱炉本体(132)から前記オーブン蓋(136)を取り外すことと、
前記加熱炉本体(132)にオートクレーブ(402)蓋を配置して前記キャビティ(134)をシールすることと、
前記キャビティ(134)を加熱し、前記キャビティ(134)を等方性ガス圧で加圧することと、を含む、
請求項2に記載の方法(300)。
【請求項5】
前記堆積ヘッド(112)が、前記堆積ヘッド(112)の可動範囲(152)に対応する量で少なくとも第1の方向に移動可能であるように、前記堆積ヘッド(112)が支持構造体に移動可能に取り付けられている、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の方法(300)。
【請求項6】
前記堆積ヘッド(112)を前記造形プレート(104)上で並進移動させることは、前記堆積ヘッド(112)を、前記支持構造体に対して前記造形プレート(104)上で前記第1の方向に第1の距離だけ移動させることを含み、 前記第1の距離は前記可動範囲(152)以下である、請求項5に記載の方法(300)。
【請求項7】
前記加熱炉本体(132)は上端部を有する側壁(138)を備え、前記オーブン蓋(136)の下面(151)は、前記堆積ヘッド(112)の前記可動範囲(152)の少なくとも一部において、前記加熱炉本体(132)の前記側壁(138)の前記上端部に物理的に接触する、請求項6に記載の方法(300)。
【請求項8】
前記オーブン蓋(136)の前記下面(151)は、前記堆積ヘッド(112)の前記可動範囲(152)の全体にわたって、前記加熱炉本体(132)の前記側壁(138)の前記上端部に物理的に接触する、請求項7に記載の方法(300)。
【請求項9】
前記堆積材料を加熱した後、前記加熱造形チャンバ(128)から、前記加熱炉本体(132)を貫通して延在する材料導管(164)を通して、前記堆積材料の余分な部分を排出することをさらに含み、前記材料は、金属粉末又は合金粉末を含む、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の方法(300)。
【請求項10】
前記材料導管(164)は、前記造形プレート(104)の一部を貫通すると共に、前記加熱炉本体(132)の床(140)を貫通して延在する、請求項9に記載の方法(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は一般に、付加製造に関し、より詳細には、造形プロセス中の付加製造された物体の温度及び応力の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
付加製造は、典型的には材料を層毎に堆積させ、連続する層を適所に接合することによって、付加的プロセスを通してデジタルモデルから直接三次元物体を製造する、一連の新興技術である。いくつかの付加製造手法では、造形材料が最終的に三次元物体の層として所望の構成で固化するように、熱源が造形材料の層に適用されて、造形材料の層を選択的に溶融させるのが一般的である。
【0003】
図面に示される実施形態は、本質的に説明的かつ例示的なものであり、特許請求の範囲によって定義される主題を限定することを意図するものではない。例示的な実施形態に関する以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照番号で示されている以下の図面と併せて読むと理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態による、付加製造装置を概略的に示す図である。
図2図2は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態による、付加製造装置の堆積ヘッド及びオーブン蓋が異なる位置にある、図1に示す付加製造装置を概略的に示す図である。
図3図3は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態による、ワークピース内の残留応力を管理しながらワークピースを付加製造する方法を示すフローチャート図である。
図4図4は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態による、オートクレーブを組み込んだ付加製造装置を概略的に示す図である。
図5図5は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態による、複数のオートクレーブを組み込んだ付加製造装置を概略的に示す図である。
図6図6は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態による、オートクレーブのアレイを有する別の付加製造装置の上面図を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
付加製造プロセスに関与する加熱及び冷却サイクル中に、造形される三次元物体に応力が蓄積することがある。例えば、造形材料が金属である場合、造形材料が溶融した後に凝固する際に、造形材料が収縮することがある。この収縮により、内部残留応力及び歪みが発生する場合がある。このような内部残留応力及び歪みは、三次元物体に亀裂を誘発する可能性がある。これは、造形される三次元物体が比較的大きい場合や、延性の低い材料(例えば、合金)から造形される場合に特に発生し易い。したがって、付加製造プロセス中のこのような内部残留応力及び歪みを管理する方法が必要とされている。
【0006】
ここで、ワークピースを造形するプロセス中に、付加製造装置によって形成されるワークピースを加熱する方法の実施形態について詳細に説明する。実施形態では、付加製造装置は、ワークピースが造形される造形プレートと、造形プレートに対して並進移動可能な堆積ヘッドとを備える。実施形態では、堆積ヘッドは、エネルギービーム源からのエネルギービームと堆積材料の両方を共通の位置に向けるように構成され、これにより、堆積ヘッドが造形プレート上で並進移動されて、造形プレート上に堆積材料の層を堆積させてワークピースの一部分を形成する際に、堆積材料がエネルギービーム源からのエネルギービームで溶融され、融合される。付加製造装置は、オーブン蓋と加熱炉本体とを備えるオーブンを備えている。加熱炉本体は、造形プレートが配置される加熱造形チャンバ(heated build chamber)を画定し、オーブン蓋は、堆積ヘッドが造形プレート及び加熱炉本体に対して並進移動されるときに、堆積ヘッドと連動して移動する。また、オーブン蓋は、堆積材料及びエネルギービームが堆積ヘッドから加熱造形チャンバに提供される開口部を含む。オーブン蓋は、加熱造形チャンバが堆積ヘッドの位置にかかわらず実質的にシールされるように、加熱炉本体と物理的に接触している(例えば、摺動可能に接続されている)か、又は加熱炉本体に近接して配置されている。このようなオーブン構造は、造形プロセス中の任意の時点でワークピースに熱処理を施すことを容易にし、これによりワークピースにおける残留応力の除去を可能にし、したがって、従来の付加製造装置を使用する場合に可能であったよりも、より大きなワークピース又はより延性の低い材料で構成されたワークピースの製造を可能にする。実施形態では、加熱炉本体は、オートクレーブとして構成され、オートクレーブ蓋を加熱炉本体上に設けて、その中にキャビティを密封すると、キャビティが加圧される。
【0007】
本明細書で使用される「約(およそ)」という用語は、量、サイズ、処方、パラメータ、及び他の量、並びに特性が、正確ではなく、正確である必要もないが、公差、変換率、四捨五入、測定誤差など、及び当業者に知られている他の要因を反映して、必要に応じて近似値、及び/又はより大きい値若しくはより小さい値でもよいことを意味する。「約」という用語が、数値又は範囲の端点の説明に使用される場合、参照される特定の値又は端点が含まれる。本明細書中の数値又は範囲の端点が「約」を記載するか否かにかかわらず、1つは「約」によって修正された実施形態と、1つは「約」によって修正されない実施形態の、2つの実施形態が記載されている。さらに、範囲の各々の端点は、他の端点との関係においても、他の端点から独立しても有意であることが理解されよう。
【0008】
本明細書で使用される方向用語(例えば、上、下、右、左、前、後、上、下)は、描かれた図を基準としてのみ使用されるものであり、絶対的な方向を意味することを意図するものではない。
【0009】
特に明示しない限り、本明細書に記載されるいかなる方法も、そのステップが特定の順序で実行されることを要件とすると解釈されることは決して意図されておらず、また、いかなる装置についても特定の向きを要件とすることは決して意図されていない。したがって、方法クレームがそのステップに従うべき順序を実際には記載していない場合、又は任意の装置クレームが個々のコンポーネントに対する順序又は向きを実際には記載していない場合、又はステップを特定の順序に限定すべきことが特許請求の範囲又は明細書に具体的に記載されていない場合、又は装置のコンポーネントに対する特定の順序又は向きが記載されていない場合、いかなる点においても順序又は向きが推測されることは決して意図されていない。これは、ステップの配置、動作フロー、コンポーネントの順序、又はコンポーネントの向きに関する論理的事項や、文法的構成又は句読点から導かれる平易な意味や、本明細書に記載される実施形態の数又は種類を含む、解釈の根拠となり得る任意の非明示的な事項についても同様である。
【0010】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上そうでないことが明確に示されない限り、複数の指示対象(referents)を含む。したがって、例えば、「a」を付したコンポーネントへの言及は、文脈上そうでないことが明確に示されない限り、そのようなコンポーネントを2つ以上有する態様を含む。
【0011】
本明細書中で使用される用語「付加製造(Additive Manufacturing:AM)」は、フリーフォーム製造、3D印刷、ラピッドプロトタイピング/ツーリングなどを含む、様々な名称で知られている種々の製造技術及びプロトタイピング技術を包含する。AM技術は、種々の材料から複雑な部品を製造することができる。一般に、自立物体は、コンピュータ支援設計(CAD)モデルから製造することができる。本開示で説明される特定の実施形態は、レーザフリーフォーム製造技術(Laser Freeform Manufacturing Technology:LFMT)、選択的レーザ溶融(Selective Laser Melting:SLM)、粉末床電子ビーム溶融(Powder-Bed Electron Beam Melting:EBM)、電子ビームフリーフォーム製造(Electron Beam Free Form Fabrication:EBF3)、レーザ加工ネットシェイピング(Laser Engineered Net Shape:LENS)などの、指向性エネルギー堆積法によるAM技術に関係し得る。本開示の特定の実装形態は、特定のAM技術に関して説明されるが、そのような例は、限定的であると見なされるべきではない。
【0012】
「実質的に」という用語は、本明細書では任意の定量的な比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すために利用され得る。また、この用語は、本明細書では、定量的な表現が、問題となる主題の基本的な機能に変化をもたらすことなく、言及された基準から変化し得る程度を表すために使用される。
【0013】
ここで、図1及び図2を参照すると、付加製造装置100が概略的に示されている。付加製造装置100は、造形プレート104上にワークピース102を造形するように構成されている。堆積ヘッド112は、支持アーム108及び110として示される支持構造に取り付けられている。堆積ヘッド112及び造形プレート104は、一般に、互いに対して移動可能である。例えば、支持アーム110は、堆積ヘッド112が造形プレート104に平行な平面(例えば、x-y平面)内で移動可能であるように、堆積ヘッド112に結合された可動構造(例えば、並進ステージ)とモータや他の作動デバイス(図示せず)とを含むことができる。堆積ヘッド112は、x方向の第1の可動範囲152と、y方向の第2の可動範囲(図示せず)とを有していてもよい(例えば、堆積ヘッド112の中心は、第1の可動範囲152の両端の間で移動可能であり得る)。実施形態では、造形プレート104は、z方向に延びる軸を中心に回転可能である。例えば、造形プレート104は、ベースプレート105上に設けられ、ベースプレート105に対して回転することができる。例えば、ベースプレート105は、造形プレート104を回転させるモータを含んでいてもよいし、造形プレート104は、ベースプレート105上で造形プレート104を回転させるモータを含んでいてもよいし、ベースプレート105を回転させることにより、その上に設けられた造形プレート104を回転させてもよい。代替的に又は追加的に、実施形態は、造形プレート104をz方向に垂直に並進移動させる、及び/又は造形プレート104を回転させる作動装置163を含むことができる。利用される場合、作動装置163はまた、ベースプレート105及びその上の造形プレート104を回転させてもよい。しかしながら、ベースプレート105及び/又は作動装置163は任意である。
【0014】
堆積ヘッド112は、エネルギービーム122を放出するように構成されたエネルギービーム源120と、材料供給源116及び118とを含む。エネルギービーム源120及び材料供給源116及び118は、堆積ヘッド112の内部に配置されるように示されているが、エネルギービーム源120と材料供給源116及び118の全部又は一部は、堆積ヘッド112の外部に配置されてもよいことを理解されたい。例えば、実施形態では、材料供給源116及び118は、堆積ヘッド112の外部に配置された粉末送達システムを含み、これは粉末(例えば、金属粉末又は合金粉末)を堆積ヘッド112に搬送するように構成された加圧ガス源を含むことができる。そのような実装形態では、図示された材料供給源116及び118は、堆積ヘッド112に取り付けられた材料ノズル114を通って延在する粉末ノズルを含むことができる。材料ノズルは、材料フィード124及び126(例えば、粉末ジェットの形態で)を造形プレート104に提供するように構成されてもよい。他の実施形態では、材料供給源116及び118は、ワークピース102に組み込むために、材料フィード124及び126(例えば、金属ワイヤとして)を造形プレート104に提供するように構成された材料スプール及び材料フィーダ(図示せず)を含むことができる。そのような材料スプール及び材料フィーダは、堆積ヘッド112の外面168に取り付けられてもよい。2つの材料供給源116及び118が示されているが、本開示と一致する任意の数の材料供給源が含まれてもよいことを理解されたい。材料供給源116、118は、チタン合金(例えば、Ti-6-4又はTi-6-2-4-2)、析出硬化性ニッケル超合金(INCO-718又はRENE-41)、析出硬化性鋼(例えば、17-4-PH又は15-5-PH)などを含むが、これに限定されない任意の数の材料又は材料の混合物を含むことができる。
【0015】
エネルギービーム源120は、実装形態に応じて様々な形態をとることができる。例えば、実施形態では、エネルギービーム源120は、レーザビーム源と、所望のエネルギー密度(例えば、焦点)を有するレーザビーム(すなわち、エネルギービーム122はレーザビームである)を造形プレート104上の造形表面に向けるように構成された光学系とを備えていてもよい。エネルギービーム源120は、堆積ヘッド112の外部に配置されてもよく、堆積ヘッド112内に配置された図示されたエネルギービーム源120は放射方向を定める装置(例えば、反射体)を備えていてもよい。実施形態では、エネルギービーム源120は、様々な他の形態(例えば、電気アーク、プラズマ源、及び電子ビーム源)をとることができる。例えば、エネルギービーム源120は、電源に接続された電子エミッタと、電子ビーム(すなわち、エネルギービーム122は電子ビームである)を造形プレート104上の造形表面に向けるように構成された少なくとも1つの集束コイルとを備えていてもよい。堆積材料の融着に電子ビームが使用される実施形態では、(例えば、堆積ヘッド112及び造形プレート104を取り囲む)造形チャンバ128は、真空又は酸素が低減された環境に置かれてもよい。
【0016】
材料フィード124及び126は、堆積材料を加熱するエネルギービーム122の経路に供給される。堆積材料のメルトプールは、造形プレート104上の造形表面に形成されてもよい。例えば、メルトプールは、(例えば、堆積される堆積材料の層がワークピース102の初期層である場合)、造形プレート104上に直接形成されてもよいし、又は付加製造装置100を介してワークピース102上に予め堆積されたワークピース102の層上に形成されてもよい。造形プレート104に対する堆積ヘッド112の制御された移動によって、堆積材料の層が、メルトプールとして造形プレート104上に堆積されてもよい。
【0017】
ワークピース102のサイズに基づいて、堆積材料の層の堆積後、堆積材料の別の層を堆積する前に、メルトプールは冷却され得ることが企図されている。例えば、本開示はそのように限定される訳ではないが、これは大型フォーマットの部品に特に当てはまり得る。メルトプールが冷却されると、堆積材料が収縮し、ワークピース102に残留応力が生じる場合がある。このような残留応力は、最終的にワークピース102の亀裂又は反りを引き起こす可能性がある。堆積材料の熱変動によって生じるそのような応力を制御する方法が無ければ、付加製造装置100は、特定の種類のワークピース102を造形することができない可能性がある。材料フィード124及び126が合金などの可撓性の低い材料である場合、付加製造装置100は、そのような材料のワークピース102を製造することができない場合があり、特にそのようなワークピース102が応力蓄積を助長する特徴を有する場合、そのような材料のワークピース102を製造することができない可能性がある。例えば、Ti-6-2-4-2などの合金は、取り扱いが難しい。このような種類の材料では、(コバルト-クロムなどの合金に比べて)延性が低いために、その連続する層が造形され、次いで冷却され始めると、かなりの歪みが蓄積される可能性があり、このような材料は延性が限られているため、歪みは、最終的には材料の強度を超え、一部が剪断されて自由になるまで蓄積される。加えて、例えば、一般的に厚いワークピース102は、より多くの堆積材料の層を含むため、蓄積された残留応力をより多く含む可能性があるので、このような残留応力の蓄積はまた、付加製造装置100が比較的大きな形状を有するワークピース102を製造することを妨げる可能性がある。
【0018】
以上を念頭において、付加製造装置100はオーブン130を含む。オーブン130は、造形プレート104が配置されるキャビティ134を画定する加熱炉本体132を含む。加熱炉本体132は、開口上部を有するキャビティ134を画定する側壁138及び床140を含む。加熱炉本体132上にオーブン蓋136を設けて、キャビティ134の開口上部を少なくとも部分的に取り囲み、それによってキャビティ134をさらに断熱することができる。後述するように、加熱炉本体132及びオーブン蓋136は、キャビティ134が造形プレート104及びワークピース102の近傍を包含する加熱造形チャンバとなるように、キャビティ134を実質的に取り囲む。換言すれば、加熱炉本体132及びオーブン蓋136は、付加製造装置100の周囲環境の温度とは異なる温度に選択的に加熱され得る付加製造装置100内のサブボリュームを画定する。上述したように、オーブン蓋136は、その可動範囲全体において、キャビティ134を覆うような十分な大きさを有する。
【0019】
加熱炉本体132及びオーブン蓋136は、実装に応じて様々な異なる形態をとることができる。実施形態では、加熱炉本体132及びオーブン蓋136は、対応する幾何学的形状を有することができる。図1に示す例は、実質的に正方形の断面を有するキャビティ134を示す。このような実施形態では、加熱炉本体132は実質的に箱形であってもよく、一方、キャビティ134は、実質的に平面シート状の断面を有していてもよい。加熱炉本体132、キャビティ134、及びオーブン蓋136が様々な異なる形状を有する他の実装が想定される。例えば、実施形態では、加熱炉本体132は、実質的に丸くてもよく(例えば、それによって、実質的に円筒形状を有するキャビティ134を画定する)、オーブン蓋136は対応する幾何学的形状を備えてもよい。図示する実施形態では、オーブン蓋136は造形プレート104に対して平行に設けられているが、他の実施形態では、オーブン蓋136は造形プレート104と平行でなくてもよい(例えば、オーブン蓋136は、x-y平面に対して傾斜して延在してもよく、又は湾曲していてもよい)。
【0020】
加熱炉本体132によって画定され、オーブン蓋136を介して取り囲まれたキャビティ134は、様々なサイズであってもよい。例えば、実施形態では、加熱炉本体132は、キャビティ134が造形プレート104に適合するのに十分な大きさであり、キャビティ134が所望の厚さを有する付加製造装置100を介して造形されるワークピース102を収容するのに十分な深さ(例えば、図示された座標のz方向)を有するように設計される。このような実施形態は、オーブン130を介して加熱される必要がある体積(例えば、ガス、真空などの体積)が、加熱時間が短縮され、より高い加熱効率が達成されるように、最小化されるという点で有益である。しかしながら、加熱炉本体132及び/又はキャビティ134が造形プレート104に対してより大きい(例えば、造形プレート104と、加熱炉本体132の側壁138及び床140との間のより大きなギャップを含む)代替の実施形態が想定される。このような大きな寸法を有するキャビティ134を含むこのような実施形態は、廃棄材料(例えば、ワークピース102に融着されない材料フィード124及び126からの粉末)による破壊の影響を受け難いという点で、有益であり得る。
【0021】
実施形態では、加熱炉本体132は、付加製造装置100内に静置されている。図示するように、加熱炉本体132は、付加製造装置100の基部106上に配置されたオーブン支持構造142に取り付けられている。オーブン支持構造142は、加熱炉本体132の床140と基部106との間にキャビティ144が画定されるように、開口部を含むことができる。実施形態では、オーブン支持構造142は、加熱炉本体132が付加製造装置100内で移動可能であるように、可動プラットフォームを含む。実施形態では、加熱炉本体132が基部106に対して間隔を空けて保持されるように、代替のオーブン支持体が支持アーム110に取り付けられてもよい(例えば、加熱炉本体132が、付加製造装置100の側壁に取り付けられてもよい)。基部106と床140との間のこのような空間(例えば、キャビティ144の形態)は、加熱炉本体132の真下に追加の構成要素(例えば、造形プレート支持体162や余剰容器(excess bin)166)のための空間を有益に提供する。実施形態では、加熱炉本体132は基部106上に直接配置される。
【0022】
オーブン130は、加熱炉本体132の側壁138の開口部147を通ってキャビティ134内に延びる加熱要素146を含む。オーブン130は、加熱炉本体132の側壁138を通って延在する加熱要素146のうちの2つだけを含むように示されているが、オーブン130は、付加製造装置100内の様々な位置に配置された任意の数の加熱要素146を含むことができる。例えば、特定の実施形態は、オーブン蓋136内に配置された、又はオーブン蓋136を通って延在する加熱要素146を含むことができる。代替的に又は追加的に、加熱要素146は、加熱炉本体132の床140を通って延在してもよい。実施形態では、加熱要素146は、側壁138及び/又はオーブン蓋136及び/又は床140内に埋め込まれてもよい。いくつかの実施形態は、造形プレート104は、キャビティ134内に配置される造形ベース(図示せず)を含むことができる。そのような実施形態は、ワークピース102の底面に加熱を提供するために、造形ベースを通って延在する加熱要素146を含むことができ、これにより、ワークピース102の底面とワークピース102の外側部分との間の熱勾配を有益に防止することができる。
【0023】
実施形態では、加熱要素146は誘導コイル又は電気抵抗加熱要素であるが、他の形態のヒータが使用されてもよい。そのような実施形態では、加熱要素146の各々は、コントローラ148を介して制御される電源(図示せず)に接続されてもよい。以下に説明するように、コントローラ148は、様々な入力(例えば、付加製造装置100のユーザからの入力、ワークピース102内の応力を測定するように構成された超音波応力センサ(図示せず)からの入力)に応答し、付加製造装置100によるワークピース102の造形プロセス内の様々な時点でワークピース102を加熱するように電源を選択的に制御することができる。例えば、オーブン130は、堆積ヘッド112によって造形プレート104上に堆積される堆積材料の異なる層の間でワークピース102を加熱処理するために、キャビティ134を昇温温度(elevated temperatures)まで加熱するように制御されて、ワークピース102が造形される際にワークピース102内の残留応力を除去することができる。
【0024】
オーブン蓋136は、堆積ヘッド112と加熱炉本体132との間に配置され、上面150及び下面151を含む。エネルギービーム122と材料フィード124及び126とが造形プレート104に到達するための隙間を提供するために、オーブン蓋136は、開口部154を含む。図示する実施形態では、開口部154は、オーブン蓋136内の中央に位置し、オーブン蓋136を貫通して上面150から下面151まで延在する。開口部154がオーブン蓋136内の中央にあることにより、オーブン蓋136の位置に関係なく、オーブン蓋136とキャビティ134との間の一定の重なりを容易にする。しかしながら、開口部154がオーブン蓋136内の中央に位置しない別の実施形態も想定される。実施形態では、開口部154のサイズは、材料ノズル114とオーブン蓋136との間の距離に基づいており、これは、例えば、材料フィード124及び126が、材料ノズル114と造形プレート104との間で角度をなして延在してもよく、開口部154が材料フィード124及び126のための隙間を提供するようなサイズであってもよいためである。開口部154は、実装に応じて、任意の形状及び深さプロファイルを有することができる。実施形態では、開口部154は、材料フィード及び指向性エネルギーが開口部を通過することを依然として許容しながら、許容可能な最小サイズを有する。他の実施形態では、オーブン蓋136は一対の開口部を有し、一対の開口部のうちの第1の開口部は材料フィードを通過させるために設けられ、一対の開口部のうちの第2の開口部は指向性エネルギーを通過させるために設けられる。
【0025】
本明細書で説明するように、堆積ヘッド112は、堆積材料の層を造形プレート104上の造形表面上に堆積させるように、x-y平面内で並進移動可能であってもよい。堆積ヘッド112のこのような移動は、オーブン蓋136の上面150がエネルギービーム122と材料フィード124及び126とが造形プレート104に到達するのを阻止するように、開口部154と堆積ヘッド112との間の位置ずれを引き起こす可能性がある。実施形態では、エネルギービーム122と材料フィード124及び126とによる造形プレート104への連続的なアクセスを容易にするために、オーブン蓋136は、堆積ヘッド112が並進移動することにつれて堆積ヘッド112と連動して移動する。別の言い方をすれば、オーブン蓋136は堆積ヘッド112と共に移動可能であり、オーブン蓋136及び堆積ヘッド112は一緒に移動可能である。オーブン蓋136の可動性は、開口部154のサイズを最小化することを容易にする一方で、エネルギービーム122と材料フィード124及び126とのための十分な隙間を依然として提供する。開口部154が最小化されることにより、例えば、加熱要素146によって供給される熱の、オーブン130の外部の環境への対流を低減することによって、オーブン130の性能を改善する。
【0026】
オーブン蓋136と堆積ヘッド112の平行移動は、様々な方法で達成することができる。図1に例示されるように、オーブン蓋136は、オーブン蓋136の上面150に取り付けられたオーブン取り付け部材158を介して、堆積ヘッド112の外面168に取り付けられてもよい。実施形態では、オーブン蓋136は、ネジなどの機械的締結具を介して堆積ヘッド112から吊り下げられている。実施形態では、オーブン蓋136は、堆積ヘッド112に対するオーブン蓋136の相対的な垂直移動を可能にする方法で、堆積ヘッド112に結合されている。例えば、オーブン蓋136が加熱炉本体132上で摺動可能である場合、堆積ヘッド112は、オーブン蓋136内の対応する孔と係合する(又はその逆である)位置合わせ特徴(垂直に配向されたピンなど)を含むことができ、それによってオーブン蓋136が堆積ヘッド112に対して垂直に移動して堆積ヘッド112を妨げることを可能にする。位置合わせ特徴は、堆積ヘッド112が十分な量だけ垂直方向に並進移動した後に、最終的にオーブン蓋136を持ち上げることができるように、堆積ヘッド112に対するオーブン蓋136の制限された相対的な垂直方向の並進移動を可能にしながら、堆積ヘッド112とオーブン蓋136とを物理的に相互接続することができる。例えば、位置合わせ特徴は、堆積ヘッド112に取り付けられ、オーブン蓋136の対応する孔内のリッジと相互作用して、リッジを捕捉するフランジ部分を有することができる。このようにして、単一のモータ(例えば、オーブン蓋136又は堆積ヘッド112のいずれかに結合される)を利用して、オーブン蓋136と堆積ヘッド112との組合せを、造形プレート104に対して並進移動させることができる。しかしながら、オーブン蓋136が堆積ヘッド112に取り付けられておらず、付加製造装置100がオーブン蓋136を移動させるように構成された別個の並進移動装置を含む代替的な実施形態も想定される(例えば、コントローラ148は、オーブン蓋136と堆積ヘッド112との平行移動を提供するために、別個の制御信号を提供してもよい)。
【0027】
堆積ヘッド112の片側にある単一のオーブン取り付け部材158のみが示されているが、オーブン蓋136は、任意の構成の任意の数の取り付け部材を用いて堆積ヘッド112に取り付けることができる。例えば、一実施形態では、オーブン取り付け部材158は、堆積ヘッド112に対応する形状(例えば、実質的に円筒形状)を有し、堆積ヘッドの外面168の周方向全体に接触することができる。他の実施形態では、オーブン蓋136は、堆積ヘッド112に直接取り付けることができる。例えば、開口部154は、堆積ヘッド112の少なくとも一部が開口部154内に配置されるように、外面168に直接取り付けられてもよい。他の例では、オーブン蓋136は、堆積ヘッド112を支持する支持アーム110に取り付けられてもよい。他の例では、堆積ヘッド112及びオーブン蓋136は互いに取り付けられておらず、代わりに、独立した移動システムを介して一緒に移動可能である。例えば、オーブン蓋136は、堆積ヘッド112の移動に基づいてオーブン蓋136を移動させるように構成されたモータを介して移動可能であってもよく、その結果、オーブン蓋136は、キャビティ134を覆いながら堆積ヘッド112の移動に追従する。
【0028】
本明細書で説明されるように、いくつかの実施形態では、加熱炉本体132は、加熱炉本体132が静置されるように基部106に固定されてもよい。加熱炉本体132を静置された状態で提供することは、構成要素(例えば、加熱要素146やオーブン130の外部の電源)との間の接続を単純化することによって、付加製造装置の構成を有利に単純化する。これらの実施形態では、オーブン蓋136は、堆積ヘッド112と連動するオーブン蓋136の移動を容易にするために、(静置された)加熱炉本体132に対して移動可能に構成される。オーブン蓋136の移動を容易にするために、いくつかの例では、オーブン蓋136は加熱炉本体132と物理的に接触している必要はない。そのような実施形態では、オーブン蓋136の下面151は、加熱炉本体の側壁138の端部から所定の距離未満だけ離間している。実施形態では、オーブン蓋136は、側壁138の端部から、それらの間に干渉することなく可能な限り短い距離だけ離間させることができる。実施形態では、オーブン蓋136は、側壁138の端部から約0.1インチだけ離間している。図1図2に示すように、他の実施形態では、下面151は側壁138の上端部と物理的に接触しているが、オーブン蓋136は依然として加熱炉本体132に対して移動可能である(例えば、オーブン蓋136は、加熱炉本体132に対して摺動可能である)。実施形態では、側壁138の上端部(又はオーブン蓋136の下面)には、ローラ又は低摩擦材料を設けることができる。
【0029】
堆積ヘッド112は、図1において、オーブン蓋136が加熱炉本体132に対して中心(例えば、x方向の可動範囲152の中心)に位置するように配置される。このような構成では、オーブン蓋136は、加熱炉本体132の側壁138を越えて延在する張り出し部分160を備える。張り出し部分160は、堆積ヘッド112の可動範囲(例えば、x方向の可動範囲152、及びy方向の可動範囲(図示せず))に対応する長さ(例えば、x方向及びy方向の両方)を有する。例えば、実施形態では、張り出し部分160は、可動範囲の半分に対応するx方向及びy方向の両方(例えば、オーブン130の両側)の長さを有する。このようにして、図2に示すように、堆積ヘッド112が可動範囲152の端部まで移動しても、キャビティ134はオーブン蓋136によって覆われたままであり、加熱の効率が維持される。張り出し部分160は、他の実施形態ではより短くても、より長くてもよい。いくつかの実施形態は、張り出し部分160を含まなくてもよい。上述したように、オーブン蓋136は、可動範囲152の全体にわたって、キャビティ134を覆うのに十分な大きさを有する。このようにして、キャビティ134は、エネルギービーム122と材料フィード124及び126とのための隙間を提供する開口部154を除いて、及び/又は、上述したように、オーブン蓋136の下面151が加熱炉本体132の側壁138と接触し得ない可能性がある領域を除いて、加熱炉本体132とオーブン蓋136とによって取り囲まれる。開口部154の存在に拘わらず、またオーブン蓋136が加熱炉本体132の側壁138に接触するか否かに拘わらず、加熱炉本体132とオーブン蓋136とは、キャビティ134を「実質的に取り囲む」又は「取り囲む」と言われる。
【0030】
図示する例では、造形プレート104及びベースプレート105は、基部106上に配置された造形プレート支持体162によって加熱炉本体132内で支持されている。造形プレート支持体162は、加熱炉本体132の床140を貫通して延在する。いくつかの実施形態では、造形プレート支持体162は、加熱炉本体132に対して調整可能であり、造形プレート104上に堆積されている堆積材料の層の間で、造形プレート104がz方向に移動することを可能にする。例えば、造形プレート支持体162は、z方向に(例えば、関節アーム又は伸縮アームとして)伸縮可能であってもよく、コントローラ148に通信可能に結合された作動装置163を含んでいてもよい。代替的又は追加的に、造形プレート支持体162はまた、加熱炉本体132を支持し、z方向への移動を可能にすることができる。堆積ヘッド112が(一定の)垂直方向の位置に維持され、造形プレート104が堆積ヘッド112に対して垂直方向に移動される実施形態においては、造形は、造形プレート支持体162が、造形プレート104をオーブン蓋136の下面に近接して位置決めし、保持することから開始される。造形が進行してワークピース102が垂直方向に成長するにつれて、造形プレート支持体162は、ワークピース102の最上層が堆積ヘッド112から一定の垂直方向の距離に維持されるように、造形プレート104を下げる。
【0031】
堆積ヘッド112の並進移動によって堆積材料の層が造形プレート104上に堆積された後、コントローラ148は、造形プレート支持体162を作動させ、それによって、堆積されるべき堆積材料の次の層の所望の厚さに基づいて、負のz方向に所定の距離だけ造形プレート104を移動させるように、作動装置163に命令を与えることができる。実施形態では、加熱効率を促進するために、造形プレート支持体162と加熱炉本体132の床140との間に封止材(seal)を配置することができる。
【0032】
材料導管164が、ベースプレート105、造形プレート104及び加熱炉本体132の床140の一部を貫通して延在するように示されている。材料導管164は、堆積ヘッド112の可動範囲152と重ならない造形プレート104の外側部分に配置されてもよい。換言すれば、材料導管164は、ワークピース102を支持しない造形プレート104の領域に配置されてもよい。ワークピース102の造形プロセス中、材料フィード124及び126からの余分な材料は、エネルギービーム122によって溶融されず、造形プレート104上に蓄積することがある。材料導管164は、余分な材料がワークピース102に誤って組み込まれないように、そのような余分な材料がキャビティ134から除去される経路を提供する。材料導管164は、基部106上に配置された余剰容器166に余分な材料を供給する。余剰容器166は、例えば、クリーンな動作環境を維持するために、造形と造形の間又は造形中に空にすることができる。1つの材料導管164のみが示されているが、任意の数の材料導管164が、本開示と一致する付加製造装置100に組み込まれてもよいことを理解されたい。実施形態では、スクレーパは、キャビティ134内で、例えば、側壁138に接続されると共に、余分な材料を掻きとるか又はブラシで擦って材料導管164に入れるようにスクレーパを位置決めするために移動可能であってもよい。実施形態では、ワークピース102が配置されていない造形プレート104の造形表面の一部は、余分な材料(例えば、粉末)を材料導管164に流し込む漏斗形状の表面を有することができる。材料導管164が造形プレート104内に延在しない他の実施形態では、造形プレート104の一部がワークピース102から離れるように傾斜し、それによって余分な材料が造形プレート104から床140上にこぼれ落ちるようにすることができ、床140は、材料導管164に導く漏斗形状を有し、それによって余分な材料を除去することができる。
【0033】
ここで図3を参照すると、本明細書に記載の1つ以上の実施形態による、ワークピースを付加製造する方法300が示されている。方法300は、本明細書の図1及び図2に関して説明した付加製造装置100によって実行することができる。例えば、コントローラ148は、堆積ヘッド112、オーブン130、及び造形プレート支持体162を制御して、方法300を実行し、ワークピース102を造形することができる。方法300はまた、他の付加製造装置によって実行されてもよいことを理解されたい。
【0034】
ステップ302では、付加製造装置100の堆積ヘッド112を造形プレート104上で並進移動させることによって、堆積材料の層が造形プレート104上に堆積され、溶融される。例えば、コントローラ148は、ワークピース102の表現(representation)を受け取り、付加製造装置100による堆積のためにワークピース102を複数の層に分割することができる。コントローラ148は、堆積ヘッド112のx方向及びy方向への移動を制御して、ワークピース102の複数の層のうちの1つに対応する所望のパターンで堆積材料を堆積させることができる。本明細書で説明するように、堆積ヘッド112は、材料供給源116及び118と、エネルギービーム源120とを含む。材料供給源116及び118は、材料フィード124及び126(例えば、ワイヤとして、粉末ジェットとしてなど)を造形プレート104に供給し、材料フィード124及び126は、堆積材料が溶融されて、造形プレート104上にメルトプールを形成するように、エネルギービーム源120からのエネルギービーム122と相互作用する。メルトプールは、冷却時に造形プレート104に融着されてもよい。上述したように、堆積材料は様々な異なる材料を含み得るが、堆積材料がチタン6-4(「Ti 6-4」)である例では、オーブン130が約500℃(500°Celsius)に加熱された状態でTi 6-4が堆積される。
【0035】
ステップ304では、ワークピース102内の残留応力が所定の閾値より大きいと判定される。ステップ304は任意である。実施形態では、そのような判定は、付加製造装置100のユーザによって(例えば、造形中にワークピース102を観察することによって)行われてもよい。判定はまた、コントローラ148を介して行われてもよい。例えば、実施形態では、コントローラ148は、例えば、材料フィード124及び126に含まれる堆積材料に基づいて応力蓄積を識別する(コントローラ148に記憶された)複数の命令セットを有していてもよい。そのような命令セットは、堆積材料の所定数の層が造形プレート104上に堆積され、溶融された後に残留応力の閾値量に達するという、以前の造形に基づく判定を含むことができる。実施形態では、コントローラ148は、ワークピース102内の残留応力が所定の閾値より大きいことを自動的に判定する。このように、ステップ302は、ステップ304の前に任意の回数繰り返されてもよい。実施形態では、付加製造装置100は、コントローラ148に通信可能に接続され、ワークピース102を検査するように構成された少なくとも1つの検出器149を含む(例えば、加熱炉本体132によって画定されたキャビティ134内に配置され、造形プレート104上に配置される)。検出器149は、例えば、残留応力が所定の閾値を超えているかどうかを判定するためにコントローラ148によって分析される検出信号(例えば、画像、応力測定値)を生成するように構成された応力センサ(例えば、超音波トランスデューサ、圧電トランスデューサなど)及び/又はカメラを含むことができる。予め定めた閾値は、同一又は類似のワークピースの経験的データによって計算されてもよく、コンピュータモデリングに基づく事前解析によって計算されてもよい。
【0036】
利用される場合、検出器149は、キャビティ134内からワークピース102の測定を行うことができるように設けられてもよい。図示する例では、検出器149が側壁138を貫通して延在するように示されているが、検出器149は異なる方法で設けられてもよい。例えば、検出器149は、堆積ヘッド112上及び/又は下面151上に設けられてもよく、又はそうでなければキャビティ134内に吊り下げられてもよい。他の実施形態では、ワークピース102の残留応力の測定は、焼結中のワークピース102の歪みを予測するための材料特性情報を生成する歪み予測システムを介して達成される。このような実施形態では、歪み予測システムは、プロセッサと、付加製造装置100内に(例えば、部品モデルとして)入力され、記憶され得る複数の試験用ワークピースモデルを有する材料特性評価モジュール510と、を含むことができる。試験用ワークピースモデルは、ワークピース102をシミュレートすることを意図する付加製造装置100によって形成されたクーポン(coupons)の試験に基づく既知の材料特性(すなわち、残留応力)を有する。このように、材料特性評価モジュールは、複数の異なる材料構成(例えば、粒状材料、バインダ溶液、走査速度、硬化パラメータなど)を用いて造形されたワークピース102の歪み及び残留応力をシミュレートするための材料特性情報を含む。したがって、応力除去サイクルを実施するのに十分な応力がいつ蓄積されたかの判定は、検出器149を使用して、及び/又は歪み予測システムを用いて実行される予測応力分析を介して行われてもよい。
【0037】
ステップ306では、ステップ304で行われた判定に応答して、ワークピース102は、オーブン130により周囲温度より高い第1の昇温温度(elevated temperature)まで加熱される。本明細書で説明するように、オーブン130は、加熱炉本体132の側壁138及び床140によって画定されるキャビティ134を取り囲むオーブン蓋136と加熱炉本体132とを含む。オーブン蓋136は、堆積ヘッド112が造形プレート104上を移動して堆積材料の層を堆積させる際に、堆積ヘッド112と連動して移動する。オーブン蓋136は(例えば、開口部154を介して)、材料フィード124及び126とエネルギービーム122とが造形プレート104に到達するための経路を提供し、堆積ヘッド112の移動と平行となるように移動する。このように、キャビティ134は、堆積ヘッド112の動作を中断することなく、付加製造装置100の容積よりも実質的に小さい加熱造形チャンバを画定する。したがって、ワークピース102の加熱がより効率的になり、オーブン130の加熱時間及びエネルギー消費が低減される。
【0038】
オーブン130は、ワークピース102及び/又はキャビティ134を加熱するように構成された少なくとも1つの加熱要素146を含む。実施形態では、コントローラ148は、キャビティ134内の温度を第1の昇温温度まで上昇させるために、加熱要素146(又はそれに接続された電源)に制御信号を供給する。実施形態では、付加製造装置100は、キャビティ134内の温度を監視するように構成された温度センサ(図示せず)を含み、コントローラ148を介して加熱要素146のフィードバック制御を提供する。例えば、実施形態では、少なくとも1つの加熱要素146に電力が供給され、第1の昇温温度に達するまで、予め定めた第1の加熱速度でキャビティ134を加熱する。第1の昇温温度に達すると、コントローラ148は、少なくとも1つの加熱要素146を制御して、キャビティ134内の温度を、予め定めた第1の期間、第1の昇温温度に維持して、ワークピース102内の残留応力を除去することができる。堆積材料としてTi6-4を使用する上記の例では、オーブン130は、ステップ306において、第1の昇温温度が約700℃になるようにさらに加熱される。
【0039】
ステップ308は、判定ブロックである。ステップ304で造形プレート104上に堆積された層がワークピース102の最終層ではない場合、方法300はステップ302に戻り、造形プレート104上に堆積材料の別の層を堆積することができる。実施形態では、造形プレート104上への追加の層の堆積は、キャビティ134が少なくとも1つの加熱要素146を介して加熱されている間(例えば、キャビティ134が第1の昇温温度にある間)に行われてもよい。実施形態では、造形プレート104上への追加の層の堆積は、キャビティ134内の温度が付加製造装置100の環境の周囲温度まで冷却された後に行われてもよい。実施形態では、少なくとも1つの加熱要素146は、追加の層を堆積させながら、キャビティ134を任意の温度(例えば、第1の昇温温度と周囲温度との間の温度、第1の昇温温度、第1の昇温温度より高い温度など)に加熱することができる。実施形態では、付加製造装置100は、キャビティ134を冷却するように構成された冷却器(図示せず)を含む。造形プレート104上への層の堆積は、周囲温度より低い温度でも同様に起こり得る。
【0040】
ステップ302で堆積された堆積材料の層がワークピース102の最終層である場合、方法300はステップ310に進む。ステップ310において、ワークピース102は、オーブン130を介して、予め定めた第2の加熱速度(予め定めた第1の加熱速度以上であってもよく、予め定めた第1の加熱速度以下であってもよい)で、第2の昇温温度まで加熱されてもよい。第2の昇温温度は、ステップ306の間にワークピース102が加熱された第1の昇温温度以上であってもよい。例えば、実施形態において、第2の昇温温度は、第1の昇温温度よりも高い。コントローラ148は、少なくとも1つの加熱要素146を制御して、キャビティ134内の温度を、予め定めた第2の期間、第2の昇温温度に維持し、ワークピース102内の様々な場所に蓄積された応力をさらに除去することができる。実施形態では、ステップ310はまた、析出硬化ステップ及び/又は最終熱処理など、オーブン130内にある間にワークピース102の強度を向上させるために所望され得る任意の他の熱処理を含むことができる。堆積材料としてTi6-4を使用する上記の例では、オーブン130は、ステップ310の間、ワークピース102が約900℃の第2の昇温温度で約2時間加熱されるようにさらに加熱される。実施形態では、ワークピース102はまた、ステップ310の間に熱間等方加圧に供されてもよい。例えば、ワークピース102は、約900℃の第2の昇温温度及び100MPaの圧力で約2時間、熱間等方加圧され得る。
【0041】
ステップ312では、ワークピース102の温度を、少なくとも1つの加熱要素146を制御することによって、予め定めた冷却速度で低下させる。キャビティ134内の温度は、キャビティ134内の温度が付加製造装置100の環境の周囲温度に達するまで、予め定めた冷却速度で低下させてもよい。実施形態では、予め定めた冷却速度は、材料フィード124及び126を介して提供される堆積材料に基づく(例えば、熱膨張係数曲線に基づく)。このような制御された冷却は、キャビティ134内の温度勾配を最小化し、完成後のワークピース102内でのさらなる残留応力の蓄積を防止するのに有利である。予め定めた冷却速度は、少なくとも1つの加熱要素146を選択的に循環させるか、又は他の方法で制御することによって達成することができる。堆積材料としてTi6-4を使用する上記の例では、ワークピース102は、ステップ310の後でキャビティ134から取り出され、ワークピース102を空気に曝すことによってワークピース102の温度が下げられる。いくつかの実施形態では、ファンを利用して、ワークピース102の温度の低下を増大させることができる。
【0042】
付加製造装置100の上述した実施形態では、造形プレート104は、オーブン130のキャビティ134内に設けられ、ワークピース102が選択的に加熱又は冷却され得るように、オーブン蓋136を介して少なくとも部分的に覆われる。しかしながら、他の実施形態では、付加製造装置100は、加熱に加えて、ワークピース102を加圧環境及び/又は冷却に供するように構成することもできる。したがって、例えば、付加製造装置100は、ワークピース102内の内部閉塞又は内部欠陥を補修するのに有利な熱間等方加圧(Hot Isostatic Press:HIP)処理を、ワークピース102に施すように構成することができる。通常、従来の付加製造システムでは、ワークピース102は、HIP処理又は他の後続の処理を受けることができる後処理装置に送られなければならない。しかしながら、以下に説明するようにHIP処理を実行するように付加製造装置100を構成することにより、ワークピース102をHIP処理のために他の装置に送る必要がないので、効率が向上することになる。以下に説明するように、いくつかの実施形態では、オーブン130は、その中でワークピース102を加熱/冷却することに加えて、キャビティ134内でワークピース102を加圧するためのオートクレーブとして構成することができる。本明細書で使用される場合、オートクレーブという用語は、周囲温度及び/又は周囲圧力に対して昇温及び/又は昇圧を必要とする工業的プロセス及び科学的プロセスを実施するように構成された機械を指す。例えば、オーブン蓋136は、加熱炉本体132から取り外され、キャビティ134が加圧され得るように、キャビティ134を取り囲んでシールするオートクレーブ蓋と置き換えられてもよい。したがって、キャビティ134は、オーブン蓋136がその上に配置されるときに加熱され、次いで、オートクレーブ蓋が加熱炉本体132上に移動されるときに加圧及び/又は冷却され得る。
【0043】
図4は、1つ以上の実施形態による、ワークピース102’を造形し、ワークピース102’にHIP処理を施すように構成された付加製造装置400を示す。付加製造装置400は、上述した付加製造装置100と同様であり、ワークピース102’が造形される造形プレート104’と、材料ノズル114’を支持する堆積ヘッド112’と、堆積ヘッド112’と共に移動するオーブン蓋136’とを含む。図示する実施形態では、オーブン蓋136’及び堆積ヘッド112’は、オーブン取り付け部材158’を介して互いに接続されており、それらは一緒に移動可能とされている。しかしながら、他の実施形態では、オーブン蓋136’及び堆積ヘッド112’は、別々の移動システムを介して一緒に移動可能である。1つの相違点は、図4の付加製造装置400が、付加製造装置100のオーブン130の代わりに、ワークピース102’が造形され、ワークピース102’がHIP処理に供され得るオートクレーブ402を組み込んでいることである。したがって、オートクレーブ402は、以下に詳述するように、オートクレーブ402内の圧力を上昇させるための圧力源403を含むことができる。本明細書で使用する場合、オートクレーブという用語は、周囲温度及び/又は周囲圧力に対して昇温及び/又は昇圧を必要とする工業的プロセス及び科学的プロセスを実施するように構成された機械を指し、オートクレーブは冷却サイクルも実施することができる。
【0044】
図示する実施形態では、堆積ヘッド112’は支持アーム108’及び110’上に支持され、これらはすべてが造形チャンバ128’内に設けられ、造形チャンバ128’は筐体401内に画定される。実施形態では、筐体401はハウジング又は部屋であってもよい。このようにして、造形チャンバ128’は、造形チャンバ128’の外部にある外部周囲環境405からシールされてもよい。また、筐体401は開口部407を有し、以下に説明するように、オートクレーブ402は、造形チャンバ128’を密閉状態に維持し、外部周囲環境405と不活性ガス雰囲気又は真空雰囲気を含み得る造形チャンバ128’との間の侵入を抑制するように、開口部407に設けられている。
【0045】
図示する実施形態では、オートクレーブ402は、オートクレーブ本体404を含み、オートクレーブ本体404は、上側オートクレーブ蓋408、側壁410、及び下側オートクレーブ蓋412備え、これらは共にキャビティ406を画定する。本明細書で説明するように、造形プレート104’はz方向に移動可能であり、したがってキャビティ406内に配置され得る。側壁410は、上側オートクレーブ蓋408によって覆われ、シールされ得る上側オートクレーブ開口部409と、下側オートクレーブ蓋412によって覆われ、シールされ得る下側オートクレーブ開口部411とを画定する。図示されるように、下側オートクレーブ開口部411は、下側オートクレーブ蓋412が側壁410上に配置されたときに開口部407が閉じられてシールされるように、開口部407に設けられ、開口部407と連通している。ここで、側壁410は、造形チャンバ128’内で筐体401の内面によって支持され、上側オートクレーブ開口部409が、造形チャンバ128’内で下側オートクレーブ開口部411よりも開口部407から離れた位置に配置されるように、開口部407から離れるように筐体401の内面から延在する。他の実施形態では、側壁410は開口部407内に設けられ、側壁410の上側オートクレーブ開口部409と下側オートクレーブ開口部411とが、開口部407の反対側に配置されるように、開口部407と側壁410の外面との間にシールが設けられている。
【0046】
上側オートクレーブ蓋408は、支持アーム110’が堆積ヘッド112’を造形プレート104’上に位置決めし、それによってオートクレーブ本体404内でワークピース102’を製造できるように、オートクレーブ本体404から取り外し可能である。図示する例では、上側オートクレーブ蓋408は、上側支持構造414及びケーブル416から吊り下げられており、上側支持構造414はケーブル416を伸縮させて、上側オートクレーブ蓋408をオートクレーブ本体404の側壁410に対して昇降させることができる。図示する実施形態では、上側支持構造414は、筐体401内、例えば、造形チャンバ128’の天井に取り付けられている。しかしながら、上側支持構造414は、ケーブルが筐体401を通って延在するように、造形チャンバ128’の外部に設けられてもよい。他の実施形態では、上側オートクレーブ蓋408は、ヒンジを介してオートクレーブ本体404に取り付けられてもよく、その結果、上側オートクレーブ蓋408は、後述するように、キャビティ406上で堆積ヘッド112’及びオーブン蓋136’を位置決めするのに十分な程度まで、オートクレーブ本体404の上側から離れるように回転することができるようになる。
【0047】
同様に、下側オートクレーブ蓋412は、下側オートクレーブ開口部411を露出させるためにオートクレーブ本体404の側壁410から取り外し可能であり、それによって、(完成時に)ワークピース102’を載置した造形プレート104’を造形チャンバ128’から取り出すと共に、オートクレーブ402の残りの部分は造形チャンバ128’内に残り、筐体401内の開口部407をシールすることを可能にする。上側オートクレーブ蓋408及び下側オートクレーブ蓋412が両方とも、側壁410の上側オートクレーブ開口部409及び下側オートクレーブ開口部411の上にシールされた状態で設けられている(sealingly provided)場合、キャビティ406は、造形チャンバ128’と外部周囲環境405の両方からシールされ、その結果、キャビティ406を独立して制御(例えば、加圧、加熱、冷却など)することが可能になる。しかしながら、下側オートクレーブ蓋412が側壁410の下側オートクレーブ開口部411の上にシールされた状態で設けられているが、上側オートクレーブ蓋408は側壁410から取り外されて上側オートクレーブ開口部409が造形チャンバ128’に露出される場合は、キャビティ406と造形チャンバ128’とは、外部周囲環境405からシールされた状態で互いに連通する。一方、上側オートクレーブ蓋408が側壁410の上側オートクレーブ開口部409の上にシールされた状態で設けられているが、下側オートクレーブ蓋412が取り外されて、下側オートクレーブ開口部411が外部周囲環境405に露出される場合は、キャビティ406と外部周囲環境405とが互いに連通し、造形チャンバ128’は外部周囲環境405からシールされる。これにより、造形チャンバ128’を乱すことなく(without disturbing)、ワークピース102’を取り出すことを可能にする。
【0048】
上述したように、オーブン蓋136’は、(例えば、オーブン取り付け部材158’を介して)堆積ヘッド112と連動して移動可能であり、堆積ヘッド112’が上述したように位置決めされると、オーブン蓋136’もキャビティ406の上に位置決めされるようになる。したがって、上側オートクレーブ蓋408が側壁410から取り外されると、オーブン蓋136’は上側オートクレーブ開口部409を覆い、上側オートクレーブ蓋408が取り外されているときでも、堆積中にキャビティ406が選択的に加熱又は冷却され得るように、キャビティ406を取り囲むことができる。堆積ヘッド112’が堆積材料を堆積させ、それによってワークピース102’を形成した後(すなわち、堆積後)、堆積ヘッド112’及びオーブン蓋136’は、上側オートクレーブ開口部409及びキャビティ406から離れるように移動され、次いで、上側オートクレーブ蓋408が、キャビティ406を取り囲んでシールするために、オートクレーブ本体404の側壁410上に移動されてもよい。例えば、堆積後、支持アーム110’は、堆積ヘッド112’及びオーブン蓋136’を、それらがキャビティ406の上に位置しないように、オートクレーブ402から離れるように回転させてもよく、次いで、上側オートクレーブ蓋408を側壁410上に降下させて、支持アーム110’、堆積ヘッド112’、及び/又はオーブン蓋136’によって妨げられることなく、上側オートクレーブ開口部409をシールすることができる。次いで、上側オートクレーブ蓋408が側壁410上にシールされた状態で設けられ、下側オートクレーブ蓋412も側壁410上にシールされた状態で設けられると、キャビティ406内の温度及び圧力は、例えばHIP処理を介してワークピース102’を処理するのに適切であり得るように、加熱要素146及び圧力源403を介して設定され得る。
【0049】
造形プレート104’は、可動ベース420、支持シャフト422、及び作動装置424も備える造形プレートアセンブリの一部であってもよい。図示する実施形態では、造形プレート104’は、ベースプレート105を参照して上述したように、例えばz方向に延びる回転軸を中心に造形プレート104’を回転させる可動ベース420上に設けられている。他の実施形態では、可動ベース420は、z方向に延びる回転軸に沿って造形プレート104’を軸方向に並進移動させるように動作可能であり、これにより、可動ベース420は、キャビティ406内での造形プレート104’の垂直方向の位置決めを容易に行うことができるようになる。他の実施形態では、可動ベース420は、造形プレート104’を回転軸を中心に回転させることと、造形プレート104’を回転軸に沿って並進移動させることとの両方を行うように動作可能である。
【0050】
造形プレート104’及び可動ベース420は、支持シャフト422に接続されている。支持シャフト422は、下側オートクレーブ蓋412を貫通して延在し、作動装置424に動作可能に接続されてもよく、作動装置424は、支持シャフト422を伸縮させるように(例えば、関節アーム又は伸縮アームとして)動作可能である。したがって、いくつかの実施形態では、支持シャフト422は、オートクレーブ本体404の少なくとも一部に対して移動可能であり、造形プレート104上に堆積されている堆積材料の層間のz方向における造形プレート104の移動を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、作動装置424は、コントローラ148’に通信可能に結合されてもよい。実施形態では、作動装置424及び支持シャフト422は、下側オートクレーブ蓋412を昇降させるように動作可能であり、下側オートクレーブ蓋412の取り外しを可能にし、これによりワークピース102’の取り外し又は取り出しを容易にする。そのような実施形態では、下側オートクレーブ蓋412は、下側オートクレーブ蓋412が造形プレート104と共に昇降され得るように、支持シャフト422に結合されてもよい。例えば、支持シャフト422は、造形プレート104’をキャビティ406から後退させる際に、下側オートクレーブ蓋412を降下させることができる。実施形態では、下側オートクレーブ蓋412は、支持シャフト422に対して相対的に移動することができる。例えば、下側オートクレーブ蓋412を取り外して、下側オートクレーブ開口部411を露出させ、キャビティ406を露出させた後、支持シャフト422を作動させて、造形プレート104’をキャビティ406から後退させることができる。これらの実施形態は、下側オートクレーブ蓋412が側壁410上にシールされているときに、造形チャンバ128’と外部周囲環境405との間のバリアを維持しながら、HIP処理を受けたワークピース102’を造形プレート104’から取り外すことを可能にする。他の図示されていない実施形態では、支持シャフト422は、オートクレーブ本体404を(その上に設けられた上側オートクレーブ蓋408及び/又は下側オートクレーブ蓋412の有無に拘わらず)z方向に支持し、移動させることもできる。例えば、このような実施形態では、作動装置424を利用して、オートクレーブ402を、筐体401の造形チャンバ128’内へ又は造形チャンバ128’から外へと昇降させることができる。
【0051】
実施形態では、付加製造装置400には、以下に説明するように、複数のオートクレーブを組み込むことができる。したがって、例えば、ワークピース102’がオートクレーブ402内で造形されている間に、他のワークピースが他のオートクレーブ内でHIP処理を受けていてもよく、他の造形されかつHIP処理されたワークピースが、それぞれのオートクレーブから取り出されてもよく、さらに他のオートクレーブが新たな造形のために準備されてもよい。
【0052】
図5は、1つ以上の実施形態による、複数のワークピース502a~502cを造形及びHIP処理するための付加製造装置500を示す。図4の付加製造装置400と同様に、付加製造装置500は、堆積ヘッド112’と、堆積ヘッド112’と共に移動可能なオーブン蓋136’とを含むが、以下に説明するように、付加製造装置500は、複数のワークピース502a~502cを造形し、処理するように動作可能である。図示する例では、オーブン蓋136’は堆積ヘッド112’に取り付けられているが、他の実施形態では、これらは取り付けられていないが、上述したように共に移動する。図示する実施形態では、付加製造装置500は、各々が図4のオートクレーブ402を参照して上述したように構成された第1のオートクレーブ504a、第2のオートクレーブ504b、及び第3のオートクレーブ504cを含む。しかしながら、付加製造装置500は、本開示から逸脱することなく、3つのオートクレーブ504a~504cよりも多い又は少ないオートクレーブを含んでいてもよいことを理解されたい。図示する実施形態では、筐体401は、第1のオートクレーブ504aに関連する第1の開口部507aと、第2のオートクレーブ504bに関連する第2の開口部507bと、第3のオートクレーブ504cに関連する第3の開口部507cとを含む。
【0053】
図示する実施形態では、オートクレーブ504a~504cの各々は、それに関連する個々の圧力源503a~503cを含む。しかしながら、他の実施形態では、3つのオートクレーブ504a~504cのうちのいずれか1つ以上を、互いに独立して個別に加圧するために、単一の電源が設けられてもよい。
【0054】
ここで、付加製造装置500は、図4を参照して上述したように、第1のオートクレーブ504a内で、第1のワークピース502aを造形している。第1のオートクレーブ504a内で第1のワークピース502aが造形されている間、第2のオートクレーブ504bは、そのキャビティ406内で第2のワークピース502bをHIP処理している。第1のワークピース502aが第1のオートクレーブ504a内に造形されている間で、かつ第2のワークピース502bが第2のオートクレーブ504b内でHIP処理されている間、第3のオートクレーブ504cは、下側オートクレーブ蓋412を取り外し、造形プレート104’を第3のオートクレーブ504cのキャビティ406から下側オートクレーブ開口部411及び造形チャンバ128’内の第3の開口部507cを通して取り出すことによって、開放されている。これにより、第3のワークピース502cは、造形チャンバ128’及び第1のオートクレーブ504a及び第2のオートクレーブ504bの動作を中断させることなく、付加製造装置500から取り出される。上述したように、第3のオートクレーブ504cの側壁410は、造形チャンバ128’内の開口部507cの周囲でシールされ、第3のオートクレーブ504cの上側オートクレーブ蓋408はその側壁410上にシールされている。これにより、第3のオートクレーブ504cの側壁410及び上側オートクレーブ蓋408は、造形チャンバ128’内の環境を外部周囲環境405から隔離してシールする物理的バリアを形成する。したがって、第3のワークピース502cは、不活性ガス雰囲気又は真空雰囲気を含み得る造形チャンバ128’を乱すことなく、外部周囲環境405に曝露されるものとして図示される第3のオートクレーブ504cのキャビティ406から取り出すことができる。
【0055】
オートクレーブ504a~504cの各々は、このような方法で動作可能であり、これにより、造形チャンバ128’内の環境が外部周囲環境405から連続的にシールされる一方で、造形チャンバ128’内の環境を乱すことなくワークピース502a~502cのいずれかを取り出すことを可能にする。オートクレーブ504a~504cの各々に側壁410からそれぞれ別々に取り外し可能な上側オートクレーブ蓋408及び下側オートクレーブ蓋412を設け、かつ側壁410の各々をそれに関連する開口部507a~507cのうちの特定の1つの開口部内にシールすることによって、造形チャンバ128’の環境を維持しながら、ワークピース502a~502cのうちの1つ以上のワークピースの取り出しを可能にすることができる。
【0056】
実施形態では、支持アーム110’は、z方向に延びる垂直軸を中心に回転して、堆積ヘッド112’を、第1のオートクレーブ504aから第2のオートクレーブ504b又は第3のオートクレーブ504cのいずれかに移動させることができる。ここで、堆積ヘッド112’は、第1のオートクレーブ504aに関して図示されるように、これに関連する上側オートクレーブ蓋408が、上側オートクレーブ開口部409を露出させるために、支持アーム110’及び堆積ヘッド112’の邪魔にならないように移動(又は上昇)されるとき、第2のオートクレーブ504b又は第3のオートクレーブ504cのいずれかのキャビティ406にアクセスすることができる。また、オーブン蓋136’が堆積ヘッド112に一体的に取り付けられる実施形態では、上側オートクレーブ蓋408のこのような取り外しにより、堆積ヘッド112’は、オーブン蓋136’をキャビティ406上に位置決めし、それによって堆積中の加熱を可能にする。このような実施形態では、堆積材料は、上部供給システム510a及び/又は下部供給システム510bから堆積ヘッド112’に供給されてもよい。このようにして、支持アーム110’がオートクレーブ504a~504cの間を移動し回転する際に、このような供給を妨害又は遮断することなく、堆積ヘッド112’に堆積材料を供給することが可能である。
【0057】
図6は、1つ以上の実施形態による、支持アーム108’、110’の周りに配列されたオートクレーブ604a~dを有する付加製造装置600を示す。図示する例では、支持アーム110’は、矢印606で示すように、堆積ヘッド112’を時計回り又は反時計回りに回転させることができる。しかしながら、オートクレーブ604a~604dは、支持アーム108’、110’に対して異なる向きでもよいことを理解されたい。図示する例では、第1のワークピース(図示せず)が第1のオートクレーブ604a内で造形されている。また、図示する例では、他のオートクレーブ604b~604dはそれぞれ、それぞれのワークピースをHIP処理してもよい。さらに、他のオートクレーブ604b~604dのうちの1つ以上は、そのワークピースをHIP処理し終わって、そのワークピースを取り出すために造形チャンバの外に降下させてもよい。さらに、他のオートクレーブ604b~604dのうちのいずれか1つ以上は、その中にワークピースを有しておらず、新たな造形のために準備中であってもよい。このようにして、付加製造装置600は、後続の処理のためにワークピースを他の装置/工場に送ることなく、複数のワークピースを効率的に造形し、処理する。
【0058】
上述の説明を考慮すると、付加製造装置によって造形されているワークピースのすぐ近くに加熱造形チャンバを設けることは、ワークピースを加熱する効率を提供しながら、付加製造プロセス中にワークピースに蓄積される応力を除去する機能(facilities)を有することを理解されたい。ワークピースは、ワークピースが造形されるにつれて降下する造形プレート上の加熱造形チャンバ内で成長する大きなフォーマットの部品であってもよい。このような加熱造形チャンバは、加熱造形チャンバのキャビティを画定する加熱炉本体と、ワークピースが造形される造形プレートと加熱炉本体との間に配置されたオーブン蓋と、を備えるオーブンによって提供され得る。オーブン蓋は、付加製造装置の堆積ヘッドからのエネルギービーム及び/又は材料フィードが造形プレートに到達することを可能にする開口部を含み、その結果、堆積材料の層を造形プレート上に提供することができる。オーブン蓋は、加熱造形チャンバが堆積ヘッドの位置に関係なくオーブンによって取り囲まれるように、堆積材料の層の堆積中に堆積ヘッドと連動して移動することができる。このようにして、オーブンの加熱効率が十分に発揮されて、加熱時間が短縮されるため、応力除去に要する時間が節約される。オーブンは、ワークピース及び造形プレートを、ワークピースが成長する際の歪みやクラックの発生を防止するのに適した温度に維持することができると共に、実施形態では、ワークピースの造形中に、材料堆積を一時停止し、オーブンの温度をさらに上昇させて、「インプロセス(in-process)」で応力除去を行うことができる。実施形態では、オーブンの代わりにオートクレーブを利用して、加熱造形チャンバをオートクレーブ内に設けることができる。オートクレーブは、加熱に加えて、造形チャンバの加圧を可能にし、その結果、オートクレーブ内で造形されたワークピースは、熱間等方加圧処理(hot isostatic press treatment)などの加圧処理に供することができ、さらに、オートクレーブを利用することにより、オペレータはワークピースを冷却することができる。オートクレーブが利用される場合、オートクレーブは取り外し可能な上蓋及び/又は取り外し可能な下蓋を含むことができ、これらは別々に取り外すことができる。取り外し可能な上蓋により、堆積ヘッドと連動して移動する上蓋を、材料堆積中に加熱造形チャンバ上に移動させることができ、堆積ヘッド及びオーブン蓋が移動された後、取り外し可能な上蓋をオートクレーブ上に固定して、造形されたワークピースを加圧処理することができる。次いで、ワークピースの完成後、取り外し可能な下蓋を取り外して、完成したワークピースをオートクレーブの造形チャンバから取り出すことができる。実施形態では、複数のオートクレーブが、複数のワークピースを製造するための造形チャンバ内に設けられてもよく、各オートクレーブは、取り外し可能な上蓋及び取り外し可能な下蓋を有しており、オーブン蓋で覆われた第1のオートクレーブ内でワークピースが堆積ヘッドによって造形され、第2のオートクレーブ内で別のワークピースが加圧処理されている間に、完成した第3のワークピースが、造形チャンバを乱すことなく第3のオートクレーブから回収され得る。
【0059】
本明細書に記載される実施形態の追加の態様は、以下の付記項の主題によって提供される。
【0060】
(付記1)ワークピースを付加製造する方法であって、付加製造装置の堆積ヘッドを、造形プレートの造形表面上を並進移動させて材料の層を形成することであって、前記堆積ヘッドが、材料ノズルを通して前記材料が堆積材料として堆積される材料ノズルと、前記堆積材料にエネルギービームを印加して、前記堆積材料を前記造形表面で溶融させるように構成されたエネルギー源とを備える、材料の層を形成することと、前記層が前記造形表面上に堆積された後に、オーブンを用いて堆積材料を加熱することであって、前記オーブンが、前記造形プレートが配置されるキャビティを画定する加熱炉本体と、前記堆積ヘッドと共に移動可能であり、前記加熱炉本体上に配置可能なオーブン蓋とを備え、前記オーブン蓋が前記加熱炉本体上に配置されると、前記オーブン蓋及び前記加熱炉本体は、前記加熱の適用時に加熱造形チャンバを提供する前記キャビティを取り囲む、堆積材料を加熱することと、を含む方法。
【0061】
(付記2)加熱後に前記キャビティ内の前記堆積材料を加圧することをさらに含む、付記項1に記載の方法。
【0062】
(付記3)前記キャビティ内の前記堆積材料を加圧することが、前記堆積ヘッドを前記造形プレートから離間するように移動させて、前記加熱炉本体から前記オーブン蓋を取り外すことと、前記加熱炉本体にオートクレーブ蓋を配置して前記キャビティをシールすることと、前記キャビティを加圧することと、を含む、付記項1又は付記項2に記載の方法。
【0063】
(付記4)前記加圧は、加熱後の前記キャビティ内の前記堆積材料の熱間等方加圧であり、前記キャビティ内の前記堆積材料の前記熱間等方加圧は、前記堆積ヘッドを前記造形プレートから離間するように移動させて、前記加熱炉本体から前記オーブン蓋を取り外すことと、前記加熱炉本体にオートクレーブ蓋を配置して前記キャビティをシールすることと、前記キャビティを加熱し、前記キャビティを等方性ガス圧で加圧することと、を含む、付記項2に記載の方法。
【0064】
(付記5)前記堆積ヘッドが、前記堆積ヘッドの可動範囲に対応する量で少なくとも第1の方向に移動可能であるように、前記堆積ヘッドが支持構造体に移動可能に取り付けられている、先行する付記項のいずれかに記載の方法。
【0065】
(付記6)前記堆積ヘッドを前記造形プレート上で並進移動させることは、前記堆積ヘッドを、前記支持構造体に対して前記造形プレート上で前記第1の方向に第1の距離だけ移動させることを含み、 前記第1の距離は前記可動範囲以下である、先行する付記項のいずれかに記載の方法。
【0066】
(付記7)前記加熱炉本体は上端部を有する側壁を備え、前記オーブン蓋の下面は、前記堆積ヘッドの前記可動範囲の少なくとも一部において、前記加熱炉本体の前記側壁の前記上端部に物理的に接触する、先行する付記項のいずれかに記載の方法。
【0067】
(付記8)前記オーブン蓋の前記下面は、前記堆積ヘッドの前記可動範囲の全体にわたって、前記加熱炉本体の前記側壁の前記上端部に物理的に接触する、先行する付記項のいずれかに記載の方法。
【0068】
(付記9)前記堆積材料を加熱した後、前記加熱造形チャンバから、前記加熱炉本体を貫通して延在する材料導管を通して、前記堆積材料の余分な部分を排出することをさらに含み、前記材料は金属粉末又は合金粉末を含む、先行する付記項のいずれかに記載の方法。
【0069】
(付記10)前記材料導管は、前記造形プレートの一部を貫通すると共に、前記加熱炉本体の床を貫通して延在する、先行する付記項のいずれかに記載の方法。
【0070】
(付記11)加熱炉本体が側壁を備え、前記オーブン蓋の下面は、前記堆積ヘッドの前記可動範囲の少なくとも一部において、前記加熱炉本体の前記側壁の前記上端部に物理的に接触する、先行する付記項のいずれかに記載の方法。
【0071】
(付記12)前記ワークピースの最終層を堆積させて溶融させることをさらに含むと共に、前記オーブンを用いて、前記ワークピースを前記第1の昇温温度よりも高い第2の昇温温度まで加熱することと、前記ワークピース内に蓄積された応力をさらに除去するために、前記ワークピースを予め定めた期間前記第2の昇温温度に維持することと、をさらに含む、先行する付記項のいずれかに記載の方法。
【0072】
(付記13)前記予め定めた期間の後、前記オーブンの少なくとも1つの加熱要素を制御することにより、前記ワークピースの温度を予め定めた冷却速度で前記周囲温度まで低下させることをさらに含む、先行する付記項のいずれかに記載の方法。
【0073】
(付記14)前記オーブン蓋は、前記堆積ヘッドに取り付けられている、先行する付記項のいずれかに記載の方法。
【0074】
(付記15)前記堆積材料を加熱することは、前記加熱造形チャンバが、前記堆積ヘッドの位置に関係なく、前記オーブン蓋及び前記加熱炉本体によって実質的に囲まれるように、前記堆積ヘッドの並進移動と連動して前記オーブン蓋を移動させることを含む、先行する付記項のいずれかに記載の方法。
【0075】
(付記16)前記ワークピース内の残留応力が予め定めた量より大きいと判定することをさらに含む、先行する付記項のいずれかに記載の方法。
【0076】
(付記17)ワークピースを付加製造する方法であって、付加製造装置の堆積ヘッドを造形表面上で並進移動させることにより、前記造形プレートの造形表面上に材料の層として材料を堆積させることであって、前記堆積ヘッドは、前記材料の層が材料ノズルを通して前記造形プレート上に堆積される材料ノズルを備える、材料を堆積させることと、前記造形プレートの前記造形表面で前記材料を溶融して、前記ワークピースの層を形成するために、前記材料にエネルギービームを印加するように構成されたエネルギー源を用いて前記材料の層を溶融させることと、前記ワークピース内の残留応力が予め定めた量より大きいと判定することと、前記ワークピース内の前記残留応力が前記予め定めた量より大きいとの前記判定に応じて、オーブンを用いて前記ワークピースの層を加熱することと、を含み、前記オーブンは、前記造形プレートが配置されるキャビティを画定する加熱炉本体と、前記堆積ヘッドと共に移動可能であり、前記加熱炉本体上に配置可能なオーブン蓋であって、前記加熱炉本体上に設けられると、前記オーブン蓋及び前記加熱炉本体が前記キャビティを取り囲み、これにより前記加熱の適用時に加熱造形チャンバを提供する、オーブン蓋と、前記加熱造形チャンバを加熱するように構成された加熱要素と、を含み、前記オーブン蓋が前記堆積ヘッドの並進移動に連動して移動する、方法。
【0077】
(付記18)前記オーブンを用いて前記層を加熱することは、前記材料の層を周囲温度より高い第1の昇温温度に維持することを含み、前記材料の層は前記ワークピースの最終層を含み、前記オーブンを用いて前記ワークピースを前記第1の昇温温度よりも高い第2の昇温温度まで加熱し、前記ワークピース内に蓄積された応力をさらに除去するために、前記ワークピースを予め定めた期間前記第2の昇温温度に維持することと、前記予め定めた期間の後、前記オーブンの少なくとも1つの加熱要素を制御することにより、前記ワークピースの温度を予め定めた冷却速度で前記周囲温度まで低下させることと、をさらに含む、付記項17に記載の方法。
【0078】
(付記19)加熱後に前記キャビティ内の堆積された材料を熱間等方加圧することをさらに含み、前記キャビティ内の前記堆積された材料を熱間等方加圧することは、前記堆積ヘッドを前記造形プレートから離間するように移動させて、前記加熱炉本体から前記オーブン蓋を取り外すことと、前記加熱炉本体にオートクレーブ蓋を配置して前記キャビティをシールすることと、前記キャビティを加熱し、前記キャビティを等方性ガス圧で加圧することと、を含む、付記項17又は付記項18に記載の方法。
【0079】
(付記20)前記判定することは、コントローラを介して自動的で行われる、付記項17~19のいずれかに記載の方法。
【0080】
(付記21)
付加製造装置であって、
造形チャンバを画定し、開口部を備える筐体と、
前記筐体の前記開口部に連結されるオートクレーブであって、前記筐体の前記開口部の周囲でシールされ、少なくとも部分的に造形キャビティを画定する側壁であって、前記造形キャビティと連通する上側オートクレーブ開口部と前記上側オートクレーブ開口部と対向する下側オートクレーブ開口部とを有する側壁と、前記側壁上に配置されて、前記上側オートクレーブ開口部をシール可能に覆う(sealably cover)上側オートクレーブ蓋であって、前記上側オートクレーブ開口部と前記造形キャビティとを露出させるように前記側壁から取り外し可能である上側オートクレーブ蓋と、前記側壁上に配置されて、前記下側オートクレーブ開口部をシール可能に覆う下側オートクレーブ蓋であって、前記下側オートクレーブ開口部と前記造形キャビティとを露出させるように前記側壁から取り外し可能である下側オートクレーブ蓋と、を備えるオートクレーブと、
前記オートクレーブと連結された造形プレートアセンブリであって、造形プレートと、前記造形プレートに作動可能に結合されて、前記造形プレートを前記オートクレーブの前記造形キャビティに対して軸方向に並進移動させる作動装置とを備え、前記下側オートクレーブ蓋が前記下側オートクレーブ開口部から取り外されると、前記作動装置が、前記下側オートクレーブ開口部を通して前記造形プレートを前記造形キャビティ内へ又は前記造形キャビティから外に移動させるように動作可能である、造形プレートアセンブリと、
前記造形チャンバに配設された堆積アセンブリであって、前記オートクレーブに対して移動可能な堆積ヘッドと、前記堆積ヘッドに接続され、前記堆積ヘッドと共に移動可能な材料ノズルであって、前記上側オートクレーブ蓋が前記上側オートクレーブ開口部から取り外された状態で、前記上側オートクレーブ開口部上に位置する場合で、かつ前記造形プレートが前記造形キャビティ内に位置する場合に、前記造形プレート上に材料を堆積させるように動作可能な材料ノズルと、前記堆積ヘッドに接続され、前記堆積ヘッドと共に移動可能なエネルギー源であって、前記材料ノズルを介して堆積された材料にエネルギーを印加することにより、堆積された材料を溶融させて前記ワークピースを形成するように動作可能なエネルギー源と、前記堆積ヘッドと共に移動可能であり、前記堆積アセンブリが溶融した材料を堆積する際に、前記オートクレーブの前記上側オートクレーブ開口部を覆うように前記堆積ヘッドと連動して移動可能なオーブン蓋であって、前記上側オートクレーブ蓋が前記側壁から取り外されると、前記オートクレーブの前記上側オートクレーブ開口部上に位置決め可能であるオーブン蓋と、を備える堆積アセンブリと、
を備える付加製造装置。
【0081】
(付記22)前記造形プレートアセンブリが、前記造形プレートが配置される可動ベースをさらに備え、前記可動ベースは、軸を中心に前記造形プレートを回転させるように、及び/又は前記軸に沿って前記造形プレートを並進移動させるように動作可能である、付記項21に記載の付加製造装置。
【0082】
(付記23)前記下側オートクレーブ蓋が前記下側オートクレーブ開口部をシール可能に覆うように前記側壁に配置されている場合であって、かつ前記上側オートクレーブ蓋が前記上側オートクレーブ開口部から取り外されている場合は、前記オートクレーブの前記造形キャビティは、前記筐体の前記造形チャンバと連通しているが、外部周囲環境からシールされており、
前記上側オートクレーブ蓋が前記上側オートクレーブ開口部をシール可能に覆うように前記側壁に配置されている場合であって、かつ前記下側オートクレーブ蓋が前記下側オートクレーブ開口部から取り外されている場合は、前記造形キャビティは、外部周囲環境と連通しているが、前記筐体の前記造形チャンバからシールされており、
前記オートクレーブは、前記上側オートクレーブ蓋及び前記下側オートクレーブ蓋が両方とも前記側壁に配置されている場合に、前記造形キャビティを加熱及び加圧する、付記項21又は付記項22に記載の付加製造装置。
【0083】
特許請求される主題の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される実施形態に対して様々な修正及び変更を行うことが可能であることが、当業者には明らかであろう。したがって、本明細書は、そのような修正及び変形が添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内に入ることを条件として、本明細書に記載される様々な実施形態の修正及び変形を包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6