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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097302
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】金属製物品用洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C23G 1/18 20060101AFI20240710BHJP
   C11D 3/30 20060101ALI20240710BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20240710BHJP
   C11D 1/44 20060101ALI20240710BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20240710BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
C23G1/18
C11D3/30
C11D1/72
C11D1/44
C11D3/20
B08B3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023220232
(22)【出願日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2023000672
(32)【優先日】2023-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 元気
(72)【発明者】
【氏名】長沼 純
【テーマコード(参考)】
3B201
4H003
4K053
【Fターム(参考)】
3B201AB13
3B201BA02
3B201BB01
3B201BB21
3B201BB82
3B201BB83
3B201CC11
4H003AA03
4H003AC08
4H003AC09
4H003AC13
4H003AE02
4H003DA09
4H003DC02
4H003EB07
4H003EB13
4H003EB14
4H003EB36
4H003ED02
4H003FA19
4H003FA28
4K053PA02
4K053QA04
4K053RA07
4K053RA47
4K053RA51
4K053RA52
4K053RA63
4K053RA66
4K053SA04
4K053SA06
4K053TA12
4K053TA17
4K053TA19
(57)【要約】
【課題】
常温で十分な洗浄性を有しながら常温での乾燥性に優れ、環境負荷低減に寄与することができる金属部品用洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】
一般式(I)で表されるアミン(成分A)、一般式(II)で表されるノニオン界面活性剤(成分B)、一般式(III)で表される窒素含有ノニオン界面活性剤(成分C)、及び水(成分D)を含有し、pHが7.1以上である、金属製物品用洗浄剤組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】
(一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、アミノエチル基、ヒドロキシエチル基、又はヒドロキシプロピル基であり、Rはヒドロキシエチル基、又はヒドロキシプロピル基である。)
で表されるアミン(成分A)、
一般式(II):R-O-{(EO)n/(PO)m}-H (II)
(一般式(II)中、Rは炭素数12以上16以下のアルキル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基であり、nはEOの平均付加モル数、mはPOの平均付加モル数であり、nは2以上20以下の数であり、mは0以上20以下の数であり、{ }内のPOとEOの付加形態はランダム配列、ブロック配列のいずれでもよい。)で表されるノニオン界面活性剤(成分B)、
一般式(III):
【化2】
(一般式(III)中、Rは平均炭素数8以上18以下のアルキル基又はシクロアルキル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基であり、nはEOの平均付加モル数、mはPOの平均付加モル数であり、nは1以上8以下の数であり、mは0以上8以下の数であり、{ }内のPOとEOの付加形態はランダム配列、ブロック配列のいずれでもよい。)で表される窒素含有ノニオン界面活性剤(成分C)、及び
水(成分D)を含有し、
pHが7.1以上である、金属製物品用洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記成分Bのグリフィン法によるHLBが3.6以上5.6以下である、請求項1に記載の金属製物品用洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記一般式(II)中、Rは炭素数12以上16以下の2級アルキル基である、請求項1又は2に記載の金属製物品用洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記成分Aの含有量が0.01質量%以上1.0質量%以下、前記成分Bの含有量が0.001質量%以上1.5質量%以下、前記成分Cの含有量が0.001質量%以上1.5質量%以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の金属製物品用洗浄剤組成物。
【請求項5】
一般式(IV):HOOC-R-COOH (IV)
(一般式(IV)中、Rは炭素数10以上12以下のアルキレン基である。)で表されるジカルボン酸(成分E)と前記アミン(成分A)との塩(成分E’)を含有する、請求項1~4の何れか1項に記載の金属製物品用洗浄剤組成物。
【請求項6】
前記成分Bと前記成分Cの質量比(前記成分Bの質量/前記成分Cの質量)が、0.001以上100以下である、請求項1~5の何れか1項に記載の金属製物品用洗浄剤組成物。
【請求項7】
消泡剤を含有する、請求項1~6の何れか1項に記載の金属製物品用洗浄剤組成物。
【請求項8】
前記水の含有量が75質量%以上99.97質量%以下である、請求項1~7の何れか1項に記載の金属製物品用洗浄剤組成物。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の金属製物品用洗浄剤組成物を用いて金属製物品を洗浄する洗浄工程を有する、金属製物品の洗浄方法。
【請求項10】
前記洗浄工程における洗浄温度が、10℃以上30℃以下である、請求項9に記載の金属製物品の洗浄方法。
【請求項11】
前記洗浄工程後、前記金属製物品用洗浄剤組成物が表面に付着する前記金属製物品を乾燥させる乾燥工程を有する、請求項9又は10に記載の金属製物品の洗浄方法。
【請求項12】
前記乾燥工程が、前記金属製物品に付着する余剰の前記金属製物品用洗浄剤組成物をエアブローで除去しつつ前記金属製物品を乾燥させる乾燥工程である、請求項11に記載の金属製物品の洗浄方法。
【請求項13】
前記乾燥工程における乾燥温度が、10℃以上30℃以下である、請求項11又は12に記載の金属製物品の洗浄方法。
【請求項14】
一般式(I):
【化3】
(一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、アミノエチル基、ヒドロキシエチル基、又はヒドロキシプロピル基であり、Rはヒドロキシエチル基、又はヒドロキシプロピル基である。)
で表されるアミン(成分A)、
一般式(II):R-O-{(EO)n/(PO)m}-H (II)
(一般式(II)中、Rは炭素数12以上16以下のアルキル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基であり、nはEOの平均付加モル数、mはPOの平均付加モル数であり、nは2以上20以下の数であり、mは0以上20以下の数であり、{ }内のPOとEOの付加形態はランダム配列、ブロック配列のいずれでもよい。)で表されるノニオン界面活性剤(成分B)、
一般式(III):
【化4】
(一般式(III)中、Rは平均炭素数8以上18以下のアルキル基又はシクロアルキル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基であり、nはEOの平均付加モル数、mはPOの平均付加モル数であり、nは1以上8以下の数であり、mは0以上8以下の数であり、{ }内のPOとEOの付加形態はランダム配列、ブロック配列のいずれでもよい。)で表される窒素含有ノニオン界面活性剤(成分C)、及び
水(成分D)を含有し、
pHが7.1以上である、金属製物品用加工油除去剤組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の金属製物品用加工油除去剤組成物を用いて金属製物品の製造の際に前記金属製物品に付着した加工油を前記金属製物品から除去する除去工程を有する、金属製物品の加工油除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製物品用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄、銅、アルミニウムといった金属は、加工されて様々な分野の工業製品に用いられている。このような金属製の物品の製造には加工の途中や仕上げ時に表面に付着する汚れを除去する目的で様々な洗浄剤が使用される。洗浄剤に求められる機能は、金属の表面を清浄化することである。しかし、金属は空気中の酸素によって酸化され、簡単に腐食してしまうため、一般的に洗浄後に防食剤を塗布するなどの防食処理が施され、改めて次の工程での作業直前に金属表面から不要な防食剤を除去し、金属表面を清浄化する必要があり、作業工程が増えてしまう。このような場合には、洗浄剤には高い洗浄性能のほかに、防食性能を有する洗浄剤を用いることで作業効率を向上できる(例えば、下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-117644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の洗浄剤は、洗浄性能の観点から約60℃以上に加温して使用される。洗浄剤を所定の温度まで加温するのには多くのエネルギーコストがかかっており、環境負荷低減の観点から改善の余地がある。
【0005】
また、従来の洗浄剤で洗浄した後の金属製物品は、一般に、約80℃以上の高温のエアブロー等で余剰の洗浄剤を除去しながら乾燥する乾燥工程に供される。従来の洗浄剤を乾燥させる乾燥工程でも多くのエネルギーコストがかかっており、この点でも環境負荷低減の観点から改善の余地がある。
【0006】
本発明の課題は、常温で十分な洗浄性を有しながら常温での乾燥性に優れ、環境負荷低減に寄与することができる金属製物品用洗浄剤組成物、及び当該金属製物品用洗浄剤組成物を用いた金属製物品の洗浄方法、金属製物品用加工油除去剤組成物、及び金属製物品の加工油除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
一般式(I):
【化1】
(一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、アミノエチル基、ヒドロキシエチル基、又はヒドロキシプロピル基であり、Rはヒドロキシエチル基、又はヒドロキシプロピル基である。)
で表されるアミン(成分A)、
一般式(II):R-O-{(EO)n/(PO)m}-H (II)
(一般式(II)中、Rは炭素数12以上16以下のアルキル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基であり、nはEOの平均付加モル数、mはPOの平均付加モル数であり、nは2以上20以下の数であり、mは0以上20以下の数であり、{ }内のPOとEOの付加形態はランダム配列、ブロック配列のいずれでもよい。)で表されるノニオン界面活性剤(成分B)、
一般式(III):
【化2】
(一般式(III)中、Rは平均炭素数8以上18以下のアルキル基又はシクロアルキル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基であり、nはEOの平均付加モル数、mはPOの平均付加モル数であり、nは1以上8以下の数であり、mは0以上8以下の数であり、{ }内のPOとEOの付加形態はランダム配列、ブロック配列のいずれでもよい。)で表される窒素含有ノニオン界面活性剤(成分C)、及び水(成分D)を含有し、pHが7.1以上である、金属製物品用洗浄剤組成物である。
【0008】
また、本発明は前記金属製物品用洗浄剤組成物を用いて金属製物品を洗浄する洗浄工程を有する、金属製物品の洗浄方法である。
【0009】
また、本発明は、前記洗浄工程後、前記金属製物品に付着する余剰の前記金属製物品用洗浄剤組成物をエアブローで除去しつつ前記金属製物品を乾燥させる乾燥工程を有する、金属製物品の洗浄方法である。
【0010】
また、本発明は、
一般式(I):
【化3】
(一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、アミノエチル基、ヒドロキシエチル基、又はヒドロキシプロピル基であり、Rはヒドロキシエチル基、又はヒドロキシプロピル基である。)
で表されるアミン(成分A)、
一般式(II):R-O-{(EO)n/(PO)m}-H (II)
(一般式(II)中、Rは炭素数12以上16以下のアルキル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基であり、nはEOの平均付加モル数、mはPOの平均付加モル数であり、nは2以上20以下の数であり、mは0以上20以下の数であり、{ }内のPOとEOの付加形態はランダム配列、ブロック配列のいずれでもよい。)で表されるノニオン界面活性剤(成分B)、
一般式(III):
【化4】
(一般式(III)中、Rは平均炭素数8以上18以下のアルキル基又はシクロアルキル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基であり、nはEOの平均付加モル数、mはPOの平均付加モル数であり、nは1以上8以下の数であり、mは0以上8以下の数であり、{ }内のPOとEOの付加形態はランダム配列、ブロック配列のいずれでもよい。)で表される窒素含有ノニオン界面活性剤(成分C)、及び水(成分D)を含有し、pHが7.1以上である、金属製物品用加工油除去剤組成物である。
【0011】
また、本発明は、前記金属製物品用加工油除去剤組成物を用いて金属製物品の製造の際に前記金属製物品に付着した加工油を前記金属製物品から除去する除去工程を有する、金属製物品の加工油除去方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、常温で十分な洗浄性を有しながら常温での乾燥性に優れ、環境負荷低減に寄与することができる金属製物品用洗浄剤組成物、及び当該金属製物品用洗浄剤組成物を用いた金属製物品の洗浄方法、金属製物品用加工油除去剤組成物、及び金属製物品の加工油除去方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<金属製物品用洗浄剤組成物>
本実施形態の金属製物品用洗浄剤組成物(以下、洗浄剤組成物とも称することがある)は、
一般式(I):
【化5】
(一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、アミノエチル基、ヒドロキシエチル基、又はヒドロキシプロピル基であり、Rはヒドロキシエチル基、又はヒドロキシプロピル基である。)
で表されるアミン(成分A)、
一般式(II):R-O-{(EO)n/(PO)m}-H (II)
(一般式(II)中、Rは炭素数12以上16以下のアルキル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基であり、nはEOの平均付加モル数、mはPOの平均付加モル数であり、nは2以上20以下の数であり、mは0以上20以下の数であり、{ }内のPOとEOの付加形態はランダム配列、ブロック配列のいずれでもよい。)で表されるノニオン界面活性剤(成分B)、
一般式(III):
【化6】
(一般式(III)中、Rは平均炭素数8以上18以下のアルキル基又はシクロアルキル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基であり、nはEOの平均付加モル数、mはPOの平均付加モル数であり、nは1以上8以下の数であり、mは0以上8以下の数であり、{ }内のPOとEOの付加形態はランダム配列、ブロック配列のいずれでもよい。)で表される窒素含有ノニオン界面活性剤(成分C)、及び水(成分D)を含有し、pHが7.1以上である。
【0014】
本実施形態の金属製物品用洗浄剤組成物によれば、常温で十分な洗浄性を有しながら常温での乾燥性に優れ、環境負荷低減に寄与することができる。前記洗浄剤組成物がこのような効果を奏する理由は定かではないが、以下のように考えられる。
【0015】
前記洗浄剤組成物は、前記アミン(成分A)の存在下、pHを7.1以上(つまりアルカリ性)とすることで、油脂類の鹸化を促進しながら、洗浄効果を高めることができる。また、前記ノニオン界面活性剤(成分B)、前記窒素含有ノニオン界面活性剤(成分C)及び前記水(成分D)の作用により、前記洗浄剤組成物が金属製物品の狭い隙間や入隅部に浸透し、前記洗浄剤組成物が被洗浄物に効率的に接触でき、洗浄効果を高めると推定される。更に、前記ノニオン界面活性剤(成分B)と前記窒素含有ノニオン界面活性剤(成分C)を組み合わせることで金属表面に付着する汚れ、特に有機物汚れに素早く浸透・作用して表面張力・粘度を低下させ、金属表面から汚れを前記洗浄剤組成物中に取り込むことによって効率的に除去できると推定される。そして、前記ノニオン界面活性剤(成分B)、前記窒素含有ノニオン界面活性剤(成分C)及び前記水(成分D)の相互作用により、高い濡れ性を発揮することで汚れ洗浄後に洗浄対象物に残る付着水量を低減することで、乾燥性が高まると推定される。
【0016】
〔アミン(成分A)〕
前記アミン(成分A)は、前記一般式(I)で表される。前記アミン(成分A)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0017】
前記アミン(成分A)としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、並びにこれらのアルキル化物及びアミノアルキル化物等が挙げられる。前記アミン(成分A)としては、洗浄性向上の観点から、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N-メチルモノエタノールアミン、N-メチルモノイソプロパノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、N-エチルモノイソプロパノールアミン、N-フェニルモノエタノールアミン、N-フェニルモノイソプロパノールアミン、N-ベンジルモノエタノールアミン、N-ベンジルモノイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-ジメチルモノエタノールアミン、N-ジメチルモノイソプロパノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-メチルジイソプロパノールアミン、N-ジエチルモノエタノールアミン、N-ジエチルモノイソプロパノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-エチルジイソプロパノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-フェニルジイソプロパノールアミン、N-ベンジルジエタノールアミン、N-ベンジルジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)モノエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)モノイソプロパノールアミン、N-(β-アミノエチル)ジエタノールアミン、及びN-(β-アミノエチル)ジイソプロパノールアミンから選ばれる少なくとも1種が好ましく、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、N-メチルモノエタノールアミン、N-ジメチルモノエタノールアミン、N-エチルモノエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びN-(β-アミノエチル)モノエタノールアミンから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンから選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。
【0018】
前記洗浄剤組成物中の前記アミン(成分A)の含有量は、洗浄性向上の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、そして、洗浄性向上及び排水処理負荷低減の観点から、1.0質量%以下が好ましく、0.7質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。
【0019】
〔ノニオン界面活性剤(成分B)〕
前記ノニオン界面活性剤(成分B)は、前記一般式(II)で表される。前記ノニオン界面活性剤(成分B)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0020】
前記一般式(II)において、Rの炭素数は、常温における洗浄性向上、及び常温での乾燥性向上の観点から、12以上であり、同様の観点から、16以下である。前記一般式(II)において、Rはアルキル基であり、常温における洗浄性向上、及び常温での乾燥性向上の観点から、2級アルキル基が好ましい。
【0021】
前記一般式(II)において、エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基は、付加モル数による分布を有するが、常温における洗浄性向上、及び常温での乾燥性向上の観点から、エチレンオキシ基の平均付加モル数nは、2以上であり、3以上が好ましく、4以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、同様の観点から、20以下であり、15以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下が更に好ましい。また、プロピレンオキシ基の平均付加モル数mは、同様の観点から、0以上であり、同様の観点から、20以下であり、10以下が好ましく、1未満がより好ましい。また、洗浄性向上の観点から、前記一般式(III)において、エチレンオキシ基の平均付加モル数nがプロピレンオキシ基の平均付加モル数mよりも大きいことが好ましい。
【0022】
前記ノニオン界面活性剤(成分B)は、常温における洗浄性向上の観点から、グリフィン法によるHLBが3.6以上5.6以下が好ましい。なお、2種以上の前記成分(B)を使用する場合は各成分(B)のグリフィン法によるHLBの重量平均のHLBを用いる。
【0023】
前記洗浄剤組成物中の前記ノニオン界面活性剤(成分B)の含有量は、常温における洗浄性向上、及び常温での乾燥性向上の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、そして、排水処理負荷低減の観点から、1.5質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下が更に好ましい。
【0024】
〔窒素含有ノニオン界面活性剤(成分C)〕
前記窒素含有ノニオン界面活性剤(成分C)は、前記一般式(III)で表される。前記窒素含有ノニオン界面活性剤(成分C)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
【0025】
前記一般式(III)において、Rの平均炭素数は、常温における洗浄性向上、及び常温での乾燥性向上の観点から、8以上であり、12以上が好ましく、同様の観点から、18以下であり、16以下が好ましい。なお、前記窒素含有ノニオン界面活性剤(成分C)は、Rの平均炭素数が上記範囲内のものを混合して用いることができる。
【0026】
前記一般式(III)において、エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基は、付加モル数による分布を有するが、常温における洗浄性向上、及び常温での乾燥性向上の観点から、エチレンオキシ基の平均付加モル数nは、1以上であり、1.5以上が好ましく、同様の観点から、8以下であり、4以下が好ましい。また、プロピレンオキシ基の平均付加モル数mは、同様の観点から、0以上であり、同様の観点から、8以下であり、4以下が好ましい。また、洗浄性向上の観点から、前記一般式(III)において、エチレンオキシ基の平均付加モル数nがプロピレンオキシ基の平均付加モル数mよりも大きいことが好ましい。
【0027】
前記洗浄剤組成物中の前記窒素含有ノニオン界面活性剤(成分C)の含有量は、常温における洗浄性向上、及び常温での乾燥性向上の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、そして、排水処理負荷低減の観点から、1.5質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下が更に好ましい。
【0028】
前記洗浄剤組成物中の前記ノニオン界面活性剤(成分B)と前記窒素含有ノニオン界面活性剤(成分C)の質量比(成分Bの質量/成分Cの質量)は、0.001以上100以下であることが好ましい。前記ノニオン界面活性剤(成分B)と前記窒素含有ノニオン界面活性剤(成分C)の質量比は、洗浄性向上の観点から、0.01以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましい。そして、乾燥性向上の観点から、10以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
【0029】
〔水(成分D)〕
前記水(成分D)は、工業用水、水道水及び脱イオン水等を用いることができ、供給性及びコストの観点から、工業用水が好ましく、洗浄性の観点から、イオン交換水が好ましい。
【0030】
前記洗浄剤組成物中の前記水(成分D)の含有量は、洗浄性向上の観点から、75質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、98質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、99.97質量%以下が好ましく、99.6質量%以下がより好ましく、99.4質量%以下が更に好ましい。
【0031】
前記洗浄剤組成物は、洗浄性向上の観点から、pHが7.1以上であり、7.5以上であることが好ましい。前記洗浄剤組成物のpHの上限は特に限定されないが、一般的には12以下である。
【0032】
〔その他の成分〕
前記洗浄剤組成物は、前記成分A~D以外の成分を、性能に影響のない範囲で含有してもよい。前記成分A~D以外の成分の例としては、防錆剤、消泡剤、防腐剤、着色剤や、可溶化剤、分散剤、増粘剤等の濃縮化剤等が挙げられる。
【0033】
〔防錆剤〕
前記防錆剤は、金属製物品の錆の発生を防止するものであれば特に限定なく用いることができるが、下記一般式(IV)で表されるジカルボン酸(成分E)が好ましい。当該ジカルボン酸(成分E)は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
一般式(IV):HOOC-R-COOH (IV)
(一般式(IV)中、Rは炭素数10以上12以下のアルキレン基である。)
【0034】
前記ジカルボン酸(成分E)としては、例えば、1,10-デカンジカルボン酸、1,11-ウンデカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸が挙げられる。前記ジカルボン酸(成分E)は、鉄に対する腐食抑制性能向上の観点から、1,10-デカンジカルボン酸が好ましい。
【0035】
前記ジカルボン酸(成分E)と前記アミン(成分A)は、水中で塩を形成する。そのため、前記洗浄剤組成物が前記ジカルボン酸(成分E)を含有する場合、当該洗浄剤組成物は、実質的に、前記ジカルボン酸(成分E)と前記アミン(成分A)との塩(成分E’)を含有する。前記成分E’は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。なお、予め塩を形成している前記成分E’を用いて前記洗浄剤組成物を調製してもよい。
【0036】
前記成分E’としては、例えば、1,10-デカンジカルボン酸ジエタノールアミン塩、1,11-ウンデカンジカルボン酸ジエタノールアミン塩、1,12-ドデカンジカルボン酸ジエタノールアミン塩、1,10-デカンジカルボン酸トリエタノールアミン塩、1,11-ウンデカンジカルボン酸トリエタノールアミン塩、1,12-ドデカンジカルボン酸トリエタノールアミン塩等が挙げられる。前記成分E’は、洗浄性向上及び鉄に対する腐食抑制性能向上の観点から、1,10-デカンジカルボン酸ジエタノールアミン塩、1,10-デカンジカルボン酸トリエタノールアミン塩が好ましい。
【0037】
前記洗浄剤組成物が前記成分E’を含有する場合、前記洗浄剤組成物中の前記成分E’の含有量は、鉄に対する腐食抑制性能向上の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、そして、洗浄性向上及び排水処理負荷低減の観点から、1.2質量%以下が好ましく、0.7質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。
【0038】
〔消泡剤〕
前記洗浄剤組成物は、発泡による作業性低下の抑制及び洗浄液排出損失抑制の観点から、消泡剤を含有することが好ましい。消泡剤としては特に限定はなく、消泡効果があればいずれのものも使用できる。消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル、高級アルコール等の有機系消泡剤が挙げられる。消泡剤は、洗浄性能への影響を考慮すると、低添加量で使用することが望ましく、シリコーン系消泡剤が好ましい。シリコーン系消泡剤としては、例えば、オイル型、オイルコンパウンド型、溶液型、エマルジョン型、自己乳化型等があり、抑泡効果向上及び洗浄剤組成物の保存安定性の観点から、自己乳化型が好ましい。
【0039】
前記洗浄剤組成物中の前記消泡剤の含有量は、0質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0質量%以上2.0質量%以下がより好ましく、0質量%以上1.0質量%以下が更に好ましく、0質量%以上0.5質量%以下がより更に好ましい。
【0040】
〔金属製物品用洗浄剤組成物の製造方法〕
前記洗浄剤組成物は、上記の各成分を公知の方法で配合することにより製造することができる。前記「配合する」とは、上記の各成分を同時に又は任意の順に混合することを含む。
【0041】
前記洗浄剤組成物は、分離や析出等を起こして保管安定性を損なわない範囲で前記成分Dの量を減らした濃縮物として調製してもよい。前記洗浄剤組成物の濃縮物は、輸送及び貯蔵の観点から、希釈倍率3倍以上の濃縮物とすることが好ましく、保管安定性の観点から、希釈倍率30倍以下の濃縮物とすることが好ましい。前記洗浄剤組成物の濃縮物は、使用時に各成分が上述した含有量(すなわち、洗浄時の含有量)になるよう水で希釈して使用することができる。更に前記洗浄剤組成物の濃縮物は、使用時に各成分を別々に添加して使用することもできる。本明細書において濃縮液の洗浄剤組成物の「使用時」又は「洗浄時」とは、前記洗浄剤組成物の濃縮物が希釈された状態をいう。
【0042】
<金属製物品用加工油除去剤組成物>
前記洗浄剤組成物は、前記金属製物品の製造の際に前記金属製物品に付着した加工油を前記金属製物品から除去する金属製物品用加工油除去剤組成物(以下、除去剤組成物とも称することがある)であってもよい。すなわち、当該除去剤組成物は、前記成分A、前記成分B、前記成分C、及び前記成分Dを含有し、pHが7.1以上である。当該除去剤組成物によれば、前記洗浄剤組成物と同様の理由により、常温で十分な加工油除去性を有しながら常温での乾燥性に優れ、環境負荷低減に寄与することができる。
【0043】
<金属製物品の洗浄方法>
本実施形態の金属製物品の洗浄方法は、前記洗浄剤組成物を用いて金属製物品を洗浄する洗浄工程を有する。
【0044】
〔洗浄工程〕
前記洗浄工程における洗浄温度は、エネルギーコスト及び環境負荷低減の観点から、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、60℃以下が更に好ましい。なお、前記洗浄剤組成物は常温で十分な洗浄性を有することから、前記洗浄温度は30℃以下であってもよい。また、前記洗浄温度は、洗浄性の観点から、10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。
【0045】
前記洗浄工程における洗浄時間は、前記洗浄温度等の影響もあるので一概に定めることは困難であるが、洗浄性向上の観点から、一般的には0.5秒以上が好ましく、1秒以上がより好ましく、5秒以上が更に好ましく、生産性向上の観点から、100秒以下が好ましく、60秒以下がより好ましい。
【0046】
前記洗浄工程における洗浄の方法としては、連続洗浄、即ち浸漬洗浄、スプレー洗浄、ブラシ洗浄、超音波洗浄等が挙げられ、金属部品単体の加工や保管期間、金属製物品の組立の際に付着した切削油やATFオイル等の油汚れ及び埃や加工くずなどの固体汚れを洗浄除去することができる。前記洗浄工程における洗浄の方法は、浸漬ならびにスプレー洗浄であることが好ましく、スプレー洗浄であることがより好ましく、金属製物品を、洗浄槽内にベルトコンベヤやローラコンベヤにより通過させる場合に好適に適用される。
【0047】
前記スプレー洗浄において、スプレー洗浄時のスプレー圧は、0.1MPa以上が好ましく、0.2MPa以上がより好ましく、5MPa以下が好ましく、1MPa以下がより好ましい。
【0048】
前記洗浄工程の後には、洗浄した金属製物品を水等ですすぐ、リンス処理工程を設けることができる。しかし、リンス処理を行うと前記金属製物品の表面から前記洗浄剤組成物が除去されるため、常温での乾燥性や鉄に対する腐食抑制性能が低下することがある。従って、前記洗浄工程後にリンス処理を行わないことが好ましい。すなわち、前記洗浄剤組成物は、ノンリンス型金属製物品用洗浄剤組成物として用いることができる。
【0049】
〔乾燥工程〕
前記洗浄方法は、前記洗浄工程後、余剰の前記洗浄剤組成物が表面に付着する前記金属製物品を乾燥させる乾燥工程を有してもよい。
【0050】
前記乾燥工程における乾燥温度は、エネルギーコスト及び環境負荷低減の観点から、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下が更に好ましい。なお、前記洗浄剤組成物は常温での乾燥性に優れることから、前記乾燥温度は30℃以下であってもよい。また、前記乾燥温度は、生産性向上の観点から、10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。
【0051】
前記乾燥工程は、余剰の前記洗浄剤組成物を金属製物品からエアパージ等で除去し、乾燥する乾燥工程であってもよい。この場合、前記エアブローの温度は、生産性向上の観点から、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上が更に好ましく、エネルギーコスト及び環境負荷低減の観点から、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下が更に好ましい。
【0052】
前記洗浄剤組成物で洗浄することができる前記金属製物品は特に限定されないが、例えば、自動車、自転車、鉄道、船舶、飛行機等の輸送機械、テレビ、エアコン、冷蔵庫等の家電製品、携帯端末、コンピュータ等の電子機器、食器や飲料缶等の原材料となる金属製品や金属部品が挙げられる。
【0053】
<金属製物品の加工油除去方法>
前記洗浄方法によれば、前記金属製物品の製造の際に前記金属製物品に付着した加工油を除去することができる。従って、前記洗浄方法は、加工油除去方法であってもよい。本実施形態の加工油除去方法は、前記金属製物品の製造の際に前記金属製物品に付着した加工油を前記除去剤組成物を用いて前記金属製物品から除去する除去工程を有する。前記除去工程の好ましい態様は、前記金属製物品の洗浄方法における前記洗浄工程の好ましい態様と同様なので説明を省略する。また、前記加工油除去方法の好ましい態様は、前記金属製物品の洗浄方法の好ましい態様と同様なので説明を省略する。
【実施例0054】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
【0055】
<洗浄剤組成物の調製>
実施例1~31、及び比較例1~14の洗浄剤組成物は、表1~3に示した含有量になるように以下の手順で300g調製した。表1~3に記載の数値は有効成分の量を表し、単位は質量%である。また、表1~3に記載のHLBの値はグリフィン法により計算して求めた。
〔調製手順〕
1.300mlガラスビーカーでアルカリ剤(成分A)と水(成分D)を混合撹拌して混合液を得た。
2.前記1で得られた混合液にノニオン界面活性剤(成分B)、及び窒素含有ノニオン界面活性剤(成分C)、並びにその他成分を添加する場合は当該その他成分を添加し、混合撹拌して各実施例及び比較例に係る金属製物品用洗浄剤組成物を得た。
【0056】
表1~3に記載の各成分は下記のものを使用した。
・成分A(式(I)で表されるアミン)
A1:ジエタノールアミン(富士フィルム和光純薬株式会社製、ジエタノールアミン(DEA))
A2:トリエタノールアミン(キシダ化学株式会社製、2,2’,2”-ニトリロトリエタノール)
A3:N-メチルジエタノールアミン(東京化成工業株式会社製、2-ヒドロキシエチル(メチルアミノ)エタノール)
A4:N-メチルエタノールアミン(東京化成工業株式会社製、2-(メチルアミノ)エタノール)
・成分B
B1:ポリエチレングリコール(2)ラウリルエーテル[花王株式会社製]なお、( )内の数字は平均付加モル数を表す。以下同様。
B2:ポリエチレングリコール(4)ラウリルエーテル[花王株式会社製]
B3:ポリエチレングリコール(5)ラウリルエーテル[花王株式会社製]
B4:ポリエチレングリコール(6)ラウリルエーテル[花王株式会社製]
B5:ポリエチレングリコール(6.5)トリデシルエーテル[青木油脂工業株式会社製、ファインサーフ TD-65]
B6:ポリエチレングリコール(8)トリデシルエーテル[青木油脂工業株式会社製、ファインサーフ TD-80]
B7:下記方法によって得られた界面活性剤B7
ポリエチレングリコール(7)アルキル(2級ドデシル及び2級テトラデシル混合)エーテル(1モル、「ソフタノール 70」株式会社日本触媒製)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、プロピレンオキシド(4.5モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、EO-PO付加体(界面活性剤B7)を得た。
B8:下記方法によって得られた界面活性剤B8
ポリエチレングリコール(7)アルキル(2級ドデシル及び2級テトラデシル混合)エーテル(1モル、「ソフタノール 70」株式会社日本触媒製)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、プロピレンオキシド(8.5モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、EO-PO付加体(界面活性剤B8)を得た。
B9:下記方法によって得られた界面活性剤B9
ポリエチレングリコール(9)アルキル(2級ドデシル及び2級テトラデシル混合)エーテル(1モル、「ソフタノール 90」株式会社日本触媒製)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、プロピレンオキシド(5.0モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、EO-PO付加体(界面活性剤B9)を得た。
B10:下記方法によって得られた界面活性剤B10
ポリエチレングリコール(9)アルキル(2級ドデシル及び2級テトラデシル混合)エーテル(1モル、「ソフタノール 90」株式会社日本触媒製)と触媒量の水酸化カリウム(ナカライテスク株式会社製)をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、減圧下で脱水を行い系内の水分を0.2%以下とし、プロピレンオキシド(15モル)を125℃、0.3MPa以下で付加、熟成し、EO-PO付加体(界面活性剤B10)を得た。
B11:ポリエチレングリコール(8)セチルエーテル[青木油脂工業株式会社製、ブラウノン CH-308]
B12:ポリエチレングリコール(2)2-エチルヘキシルエーテル[青木油脂工業株式会社製、ブラウノン EH-2]
B13:ポリエチレングリコール(6)2-エチルヘキシルエーテル[青木油脂工業株式会社製、ブラウノン EH-6]
B14:ポリエチレングリコール(11)2-エチルヘキシルエーテル[青木油脂工業株式会社製、ブラウノン EH-11]
B15:ポリエチレングリコール(4)デシル(Guerbet)エーテル[BASF社製、ルテンゾール XL40]
B16:ポリエチレングリコール(8)デシル(Guerbet)エーテル[BASF社製、ルテンゾール XL80]
B17:ポリエチレングリコール(11)ステアリルエーテル[青木油脂工業株式会社製、ブラウノン SR-711]
・成分C
C1:ポリオキシエチレンラウリルアミン、オキシエチレン基の平均付加モル数2.1、花王株式会社製
C2:ポリオキシエチレンラウリルアミン、オキシエチレン基の平均付加モル数4.2、花王株式会社製
・成分D(水)
イオン交換水:オルガノ株式会社製の純水装置G-10DSTSETで製造した1μS/cm以下の純水
・成分E
1,10-デカンジカルボン酸(東京化成工業株式会社製)
・消泡剤
トリデカノール(KHネオケム社製)
【0057】
<評価方法>
〔洗浄剤組成物のpH〕
pHは、25℃における洗浄剤組成物のpHであり、pHメータ(東亜ディーケーケー株式会社製、HM-30G)の電極を洗浄剤組成物に浸漬して3分後の数値を測定した。
【0058】
〔洗浄試験〕
アセトンで脱脂洗浄したSPCC(50×20×0.8mm)に加工油を約0.1g滴下し1時間静置した。加工油滴下前のSPCCの重量と加工油を滴下して1時間静置した後のサンプルの重量を測定し、洗浄前の付着油分重量を求めた。当該サンプルを、シャワー洗浄機を用いて各実施例及び比較例に係る洗浄剤組成物で室温(25℃)、0.1Mpaで10秒洗浄し、50℃の恒温槽にて15分程度乾燥させたものを洗浄後基板とした。洗浄率を以下式にて算出した。この値が大きい程、洗浄性が優れるといえる。
洗浄率=(洗浄前のサンプルの付着油分量[g]-洗浄後のサンプルの付着油分量[g])/洗浄前のサンプルの付着油分量[g]×100
【0059】
〔接触角測定〕
SPCC(寸法50×20×0.8mm)をアセトンで脱脂洗浄した後、エアブローにて乾燥させた。その後、協和界面科学社製のDMo-501を用いて、各実施例及び比較例に係る洗浄剤組成物のSPCCに対する20秒後の接触角を測定した。接触角が低い程、濡れ性が高く、洗浄後の残水量が減り、液切り性が向上するため、乾燥性に優れることを示す。この接触角が10°以下であれば常温での乾燥性に優れるといえるので、評価基準とした。
【0060】
〔乾燥試験〕
SPCC(寸法50×20×0.8mm)をアセトンで脱脂洗浄した後、エアブローにて乾燥させた。その後、各実施例及び比較例に係る洗浄剤組成物に室温(25℃)で20秒間浸漬してから取り出し、板立てに静置した。室温(25℃)で板立てに静置したSPCCの表側上部(50%)エリアが乾燥するまでの時間を測定した。時間が短い程、乾燥性に優れ、この時間が140秒以下であれば常温での乾燥性に優れるとした。
【0061】
評価結果を表1~3を示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】