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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097307
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】パーマ方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20240710BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q5/04
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024000371
(22)【出願日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】P 2023000579
(32)【優先日】2023-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521087416
【氏名又は名称】ノイズシェーンマルクト株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】523006125
【氏名又は名称】Ref Japan合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(72)【発明者】
【氏名】玉野 啓太朗
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 高志
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB311
4C083AB411
4C083AB412
4C083AB501
4C083AB502
4C083CC34
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE25
(57)【要約】
【課題】頭髪や頭皮のダメージが少なく、ランチオニンの発生による問題もないパーマ方法を提供する。
【解決手段】本発明のパーマ方法は、処理対象の毛髪に水素水を塗布する工程と、前記毛髪をロッドに巻き付ける工程と、前記毛髪に非水素透過性シートを巻き付ける工程と、前記非水素透過性シートを巻き付けた毛髪を加熱処理する工程と、前記非水素透過性シートを外す工程と、を備える。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象の毛髪に水素水を塗布する工程と、
前記毛髪をロッドに巻き付ける工程と、
前記毛髪に非水素透過性シートを巻き付ける工程と、
前記非水素透過性シートを巻き付けた毛髪を加熱処理する工程と、
前記非水素透過性シートを外す工程と、
を備えたことを特徴とするパーマ方法。
【請求項2】
前記非水素透過性シートを外した毛髪に酸化剤を塗布する工程を備える、
請求項1に記載のパーマ方法。
【請求項3】
前記非水素透過性シートはアルミ箔である
請求項1または2に記載のパーマ方法。
【請求項4】
前記酸化剤はオゾン水である
請求項2に記載のパーマ方法。
【請求項5】
前記水素水に重曹を添加したものを塗布する
請求項1または2に記載のパーマ方法。
【請求項6】
前記加熱処理は、75~125℃で10~30分間加熱する
請求項1または2に記載のパーマ方法。
【請求項7】
前記水素水のpHは8~12である
請求項1または2に記載のパーマ方法。
【請求項8】
前記酸化剤に塩を添加したものを塗布する
請求項2に記載のパーマ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪のパーマ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪に対してパーマをかける場合、チオール基を含む還元剤とアルカリ剤等の薬剤を使用するのが一般的である。このように薬剤を使用するパーマ方法の場合、チオール基を含む還元剤とアルカリ剤とが合わさることにより、頭髪や頭皮に対してダメージが大きくなるという問題点がある。また、その際に残存するアルカリ剤により、施術後も頭髪や頭皮のダメージが進んでしまうという問題点もある。
【0003】
そこで、1剤に電解水、2剤に酸性水溶液を用いたパーマ方法(特許文献1)や、「毛髪に強アルカリ性電解水を塗布する強アルカリ性電解水塗布工程と、前記強アルカリ性電解水を塗布した毛髪に強アルカリ性電解水を浸透させる強アルカリ性電解水浸透工程と、前記強アルカリ性電解水を浸透させた毛髪をヘアアイロンによって所望の形状に加熱変形する加熱変形工程と、前記加熱変形させた毛髪に強酸性電解水を塗布する強酸性電解水塗布工程と、前記強酸性電解水を塗布した毛髪に強酸性電解水を浸透させる強酸性電解水浸透工程と、を有することを特徴とするパーマネント方法。」(特許文献2)等が提案されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1,2ともに、発生する水素量に乏しく、毛髪のジスルフィド結合を切断するまでには至らず、アルカリ水と熱によるランチオニンによる部分が大きい。ラチオニンとは毛髪の異常反応であり、(HOOC-CH(NH2)-CH2-S-CH2-CH(NH2)-COOH)の化学式を持つ異常アミノ酸であり、そのランチオニンによって頭髪の形が変わるという問題がある。ランチオニンの異常反応はいわゆる「不可逆反応」であり、そのような状態の毛髪は、その後、形をストレートに戻したりするといった、再度の変形が難しくなり、扱いづらくなるとともに、ランチオニンが増えることにより、ケラチンたんぱく質中のシスチン結合量が減少してしまうため、毛髪強度低下につながるという問題点もある。また、特許文献2に記載のパーマ方法では、アルカリ状態の毛髪に強い熱を与えることでの毛髪の熱変性により、カールを与えているが、熱変性は最小限にとどめたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-177676号公報
【特許文献2】特開2019-202947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、頭髪や頭皮のダメージが少なく、ランチオニンの発生による問題もないパーマ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパーマ方法は、処理対象の毛髪に水素水を塗布する工程と、前記毛髪をロッドに巻き付ける工程と、前記毛髪にアルミ箔を巻き付ける工程と、前記アルミ箔を巻き付けた毛髪を加熱処理する工程と、前記アルミ箔を外す工程と、前記アルミ箔を外した毛髪にオゾン水を塗布する工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、熱変性を最小限にとどめつつ、水素水の還元作用を利用して毛髪内部のシスチン結合を分解することができるため、頭髪や頭皮のダメージが少なく、ランチオニンの発生による問題もない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<概要>
本発明の一態様に係るパーマ方法は、処理対象の毛髪に水素水を塗布する工程と、前記毛髪をロッドに巻き付ける工程と、前記毛髪に非水素透過性シートを巻き付ける工程と、前記非水素透過性シートを巻き付けた毛髪を加熱処理する工程と、前記非水素透過性シートを外す工程と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
この態様によれば、熱変性を最小限にとどめつつ、水素水の還元作用を利用して毛髪内部のシスチン結合を分解することができるため、頭髪や頭皮のダメージが少なく、ランチオニンの発生による問題もない。
【0011】
また、前記非水素透過性シートを外した毛髪に酸化剤を塗布する工程を備える。
【0012】
この態様によれば、酸化効果を充分に得ることができる。
【0013】
さらに、前記非水素透過性シートはアルミ箔である。
【0014】
この態様によれば、より水素が透過しにくく、毛髪からの水分の蒸発を充分に防ぐことができる。
【0015】
また、前記酸化剤はオゾン水である。
【0016】
この態様によれば、環境に配慮しつつオゾン水の酸化作用を利用して結合を固定することができる。
【0017】
また、前記水素水に重曹を添加したものを塗布する。
【0018】
この態様によれば、水素水のpHを上げ、水素の還元作用をより起こりやすくすることができるため好ましい。
【0019】
さらに、前記加熱処理は、75~125℃で10~30分間加熱する。
【0020】
この態様によれば、水が気体に変わる際の運動エネルギーを利用して水素水に圧力をかけ、水素濃度を上げる(3,000ppb以上)ことで水素の還元作用を最大限活用することができるため好ましい。
【0021】
また、前記水素水のpHは8~12である。
【0022】
この態様によれば、水素水の還元力をより利用できるため好ましい。
【0023】
また、前記オゾン水に塩を添加したものを塗布する。
【0024】
この態様によれば、タンパク質の凝集作用で髪の強度を高めることができるため好ましい。
【0025】
<実施形態>
以下、本発明の一態様に係るパーマ方法について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0026】
本実施形態に係るパーマ方法は、処理対象の毛髪に水素水を塗布する工程と、前記毛髪をロッドに巻き付ける工程と、前記毛髪にアルミ箔を巻き付ける工程と、前記アルミ箔を巻き付けた毛髪を加熱処理する工程と、前記アルミ箔を外す工程と、前記アルミ箔を外した毛髪にオゾン水を塗布する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0027】
〔水素水〕
水素水とは、水に気体の水素(H)を溶け込ませたものをいう。水素水は、例えば水中に水素発生剤等を所定量入れることにより得ることができる。
【0028】
本実施形態における水素水は、パーマ液のいわゆる1剤(還元剤)に相当する。
【0029】
前記水素発生剤としては、水中で水素を溶け込ませることができるものであれば特に限定はないが、例えば水素還元ボール、シリカボール(ケイ素)、水素化マグネシウム(粒)等があげられる。これらは単独でもしくは2種類以上組み合わせて使用される。
【0030】
水素還元水の製造方法の具体例としては、長野セラミックス社製の水素還元ボール等での製造があげられる。また、シリカ水の製造方法の具体例としては、長野セラミックス社製のシリカ溶出セラミックスボール等での製造があげられる。なお、前記水素水は水素化マグネシウムや焼成サンゴ等の粉末を用いて製造しても良い。また、前記シリカ水は、既製品のシリカが溶解した水で代用することができる。
【0031】
前記水としては、例えば水道水やミネラルウォーター等があげられるが、ミネラルウォーターが好ましい。前記ミネラルウォーターとしては、例えば、クリスタルガイザー(登録商標)、エビアン(登録商標)等があげられる。
【0032】
前記水素水のpHは、水素水の還元力をより利用できるため、8~12の範囲が好ましい。
【0033】
また、前記水素水のアルカリ度は限りなく0に近い方が好ましい。
【0034】
〔塩基性物質〕
前記水素水には重曹、アンモニア、水酸化ナトリウム等の塩基性物質を添加することができ、水素水のアルカリ度やpHを上げ、水素の還元作用をより起こりやすくしつつ、毛髪も軟化膨潤が起き、カール形成に好ましい環境ができるため好ましい。
【0035】
前記塩基性物質の添加量は、1剤全体の0.1~2重量%が好ましく、特に好ましくは1剤全体の0.3~1重量%である。
【0036】
毛髪に水素水を塗布する際、水素水が床に滴り落ちるくらいしっかりと塗布することが好ましい。
【0037】
毛髪をロッドに巻き付ける、いわゆるワインディングのテンションはしっかりかけることが好ましい。
【0038】
〔シリカ〕
前記水素水にはシリカを添加することもできる。シリカは触媒的な作用により、水素水のアルカリ度を上げ、水素の還元作用をより起こりやすくすることができるため好ましい。
【0039】
前記シリカ水の添加量は、通常、1剤全体の50重量%以下であり、好ましくは10~20重量%である。
【0040】
〔触媒〕
前記水素水には触媒を添加することもできる。前記触媒としては、例えば鉄等があげられる。触媒を使用することにより、より綺麗にパーマをかけることができる。
【0041】
〔非水素透過性シート〕
本発明における非水素透過性シートは、水素が透過しにくく、かつ水分が揮発しにくいシート状のものであれば特に限定はないが、より水素が透過しにくく、毛髪からの水分の蒸発を充分に防ぐことができる点でアルミ箔が好ましい。実施形態では、非水素透過性シートとしてアルミ箔を使用した場合について説明する。アルミ箔をロッドに巻いて水分が蒸発しないようにする。
【0042】
〔加熱処理〕
1剤である水素水に加熱処理を行うことにより、水が気体の水素(H)に変わる際の運動エネルギーを利用して水素水に圧力をかけ、水素濃度を上げることで水素の還元作用を最大限活用し、毛髪内部のシスチン結合を切断し、毛髪を柔らかく加工しやすい状態にすることができる。
【0043】
加熱処理は、75~125℃で10~30分間加熱することが好ましく、より好ましくは90~110℃で15~25分間である。この条件であれば、水が気体に変わる際の運動エネルギーを利用して水素水に圧力をかけ、水素濃度を上げる(3,000ppb以上)ことで水素の還元作用を最大限活用することができるため好ましい。なお、通常の状況(常温、1気圧)では水素水の水素濃度は1,600ppb未満である。一方、単に圧力を上げると水素の水への溶解度は上がるが、水素の溶解度をテストする時点で圧力が下がり、水中の水素が大量に大気中に放出され、水素の放出を防ぐことができない。
【0044】
加熱処理は、例えばデジタルパーマの機械、通常のドライヤー、フード式のドライヤー、エアウェーブなどの機械等を使用することができるが、デジタルパーマの機械が好ましい。
【0045】
前記デジタルパーマの機械としては、例えば、リビキキネット社製のデジタルパーマ機NJRがあげられる。
【0046】
なお、毛先をロッドに巻き付けた後、デジタルパーマの機械等で加熱する際は、厚めの耐熱ペーパーを使用して毛先を熱から守り、毛先が乾きすぎないようにすることが好ましい。
【0047】
〔水素濃度〕
加熱処理は水素水の水素濃度が3,000ppb以上になるような条件で行うことが好ましい。
【0048】
その後アルミ箔のみを外して、そのままデジタルパーマの機械を使用し40~70℃位の低温(好ましくは50~60℃)で今度はなるべくしっかり毛束を乾かすようにする。
【0049】
ドライヤーの冷風で3分ほど冷やすことが好ましい。
【0050】
〔酸化剤〕
本実施形態においては、毛髪を完全に乾燥させた時点で、熱酸化により固定されている等の場合には、特に酸化剤(2剤)を使用しなくても差し支えないが、酸化効果を充分に得るためには、酸化剤(2剤)を使用する方が好ましい。
【0051】
上記酸化剤としては、特に限定はないが、オゾン水や通常のパーマに使用される酸化剤等があげられるが、環境を配慮するとオゾン水が好ましい。
【0052】
〔オゾン水〕
オゾン水とは、水に気体のオゾン(O)を溶け込ませたものをいう。オゾン水は、例えばオゾン発生器で気体のオゾンを発生させ、この気体を水に溶かすことにより得ることができる。
【0053】
本実施形態におけるオゾン水は、パーマ液のいわゆる2剤(酸化剤)に相当する。オゾン水を使用することにより、より綺麗にパーマをかけることができる。本実施形態では、通常パーマ液に使用されるアルカリ剤、還元剤を使用せず、必要最低限のSSジスルフィドを開裂するにとどめているため、オゾン水程度の酸化で充分である。
【0054】
前記水としては、例えば水道水やミネラルウォーター等があげられるが、ミネラルウォーターが好ましい。前記ミネラルウォーターとしては、例えば、クリスタルガイザー(登録商標)、エビアン(登録商標)等があげられる。
【0055】
前記水には、塩を添加することができる。塩を添加することにより、タンパク質の凝集作用で髪の強度を高めることができる。
【0056】
前記塩の添加量は、2剤全体の0.1~1重量%が好ましく、特に好ましくは2剤全体の0.3~0.7重量%である。
【0057】
ロッドに毛髪を巻きつけたままオゾン水を塗布する。オゾン水は2度付けして、トータルで20分~25分塗布する。
【0058】
オゾン水は直前までオゾン発生器につけておくことが好ましい。
【0059】
〔バッファ工程〕
オゾン水を塗布した後に、水素水によってアルカリ性に傾いている毛髪を、弱酸性に戻すため、バッファ剤を使用することが好ましい。
【0060】
上記バッファ剤は酸性のものなら特に限定はないが、例えば、ウェーブ形成力をより強固なものにするために、ジカルボン酸やグリオキシル酸等があげられる。
【0061】
〔ロッドアウト〕
薬剤を使用しない水パーマのため、施術後は流さなくてもよい。必要なら水洗して、アフタートリートメントしても差し支えない。最後に仕上げをする。
【0062】
〔前処理〕
なお、毛髪に水素水を塗布する前に、前処理(シャンプー、乾燥など)を行っても差し支えない。基本、前処理はしないが、毛先を乾燥させないために、毛先のダメージが気になる場合は軽く前処理をしてもよい。シャンプーは炭酸泉等を使用してしっかり汚れを落とすことが好ましい。水分が残っていると、水素水がしっかりと毛髪に入らない恐れがあるため、シャンプー後は、毛先全体を完全に乾燥させることが好ましい。
【実施例0063】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0064】
まず、実施例および比較例に先立ち、水素水およびオゾン水を作製した。
【0065】
〔水素水1〕
プラスチック製容器内に水(クリスタルガイザー:登録商標)と水素化マグネシウム粉末を所定量入れて、水素水(水素100%)を作製した。水素水のpHは8.5であり、アルカリ度は限りなく0であった。
【0066】
〔水素水2〕
プラスチック製容器内に水(クリスタルガイザー:登録商標)と水素化マグネシウム粉末とシリカを所定量入れて、水素水(水素90%、シリカ10%)を作製した。水素水のpHは8.5であり、アルカリ度は限りなく0であった。
【0067】
〔水素水3〕
プラスチック製容器内に水(クリスタルガイザー:登録商標)と水素化マグネシウム粉末とシリカを所定量入れて、水素水(水素80%、シリカ20%)を作製した。水素水のpHは8.5であり、アルカリ度は限りなく0であった。
【0068】
〔水素水4〕
プラスチック製容器内に水(クリスタルガイザー:登録商標)と水素化マグネシウム粉末とシリカを所定量入れて、水素水(水素70%、シリカ30%)を作製した。水素水のpHは8.5であり、アルカリ度は限りなく0であった。
【0069】
〔水素水5〕
プラスチック製容器内に水(クリスタルガイザー:登録商標)と水素化マグネシウム粉末とシリカを所定量入れて、水素水(水素60%、シリカ40%)を作製した。水素水のpHは8.5であり、アルカリ度は限りなく0であった。
【0070】
〔水素水6〕
プラスチック製容器内に水(クリスタルガイザー:登録商標)と水素化マグネシウム粉末とシリカを所定量入れて、水素水(水素50%、シリカ50%)を作製した。水素水のpHは8.5であり、アルカリ度は限りなく0であった。
【0071】
〔水素水7〕
水(クリスタルガイザー:登録商標)に代えて水道水を使用する以外は、水素水1と同様にして水素水(水素100%)を作製した。水素水のpHは8.5であり、アルカリ度は限りなく0であった。
【0072】
〔オゾン水1〕
市販のオゾン発生器で気体のオゾンを発生させ、この気体をプラスチック製容器内に入れた水道水に溶かしたものを使用した。
【0073】
〔オゾン水2〕
水道水に塩を添加(水素水99重量%、塩1重量%)したものを使用する以外は、オゾン水1と同様にした。
【0074】
〔実施例1〕
1剤(還元剤)として水素水1を使用するとともに、2剤(酸化剤)としてオゾン水1(2剤)を使用した。すなわち、毛髪に水素水1(1剤)が滴り落ちるくらいしっかりと塗布した。この毛髪にしっかりとテンションをかけてロッドにワインディングした。続いて、ロッドにアルミ箔を巻き付け、水分が蒸発しないようにした。これをデジタルパーマの機械(リビキキネット社製のデジタルパーマ機NJR)を使用して、95℃で20分間加熱した。1剤チェックは、水分が残っている状態で求めるカールがでていればチェックカールOKとする。水素水(1剤)のpHは8~12の範囲、水素水(1剤)の水素濃度は3,000ppb以上であった。つぎに、アルミ箔のみをロッドから外して、毛髪をロッドに巻き付けたまま、前記と同じデジタルパーマの機械にて60℃で8分間乾燥した。なお、水素濃度は、トラストレックス社製、ポータブル溶存水素計ENH-2000を用いて測定した。
【0075】
続いて、ドライヤー等でクーリングした後、ロッドを巻き付けたままの毛髪をオゾン水1(2剤)に10分間2度付けした。なお、オゾン水は直前までオゾン発生器につけておいた。その後、ロッドアウトした。このようにして、毛髪に対してパーマ(いわゆる水パーマ)を施した。
【0076】
〔実施例2〕
水素水1に代えて水素水2を使用する以外は、実施例1と同様にしてパーマ(いわゆる水パーマ)を施した。
【0077】
〔実施例3〕
水素水1に代えて水素水3を使用する以外は、実施例1と同様にしてパーマ(いわゆる水パーマ)を施した。
【0078】
〔実施例4〕
水素水1に代えて水素水4を使用する以外は、実施例1と同様にしてパーマ(いわゆる水パーマ)を施した。
【0079】
〔実施例5〕
水素水1に代えて水素水5を使用する以外は、実施例1と同様にしてパーマ(いわゆる水パーマ)を施した。
【0080】
〔実施例6〕
水素水1に代えて水素水6を使用する以外は、実施例1と同様にしてパーマ(いわゆる水パーマ)を施した。
【0081】
〔実施例7〕
水素水1に代えて水素水7を使用する以外は、実施例1と同様にしてパーマ(いわゆる水パーマ)を施した。
【0082】
〔実施例8〕
オゾン水1に代えてオゾン水2を使用する以外は、実施例1と同様にしてパーマ(いわゆる水パーマ)を施した。
【0083】
〔実施例9〕
オゾン水を使用しない以外は、実施例1と同様にしてパーマ(いわゆる水パーマ)を施した。
【0084】
〔比較例1〕
水素水を使用しない以外は、実施例1と同様にしてパーマ(いわゆる水パーマ)を施した。
【0085】
〔比較例2〕
アルミ箔を使用しない以外は、実施例1と同様にしてパーマ(いわゆる水パーマ)を施した。
【0086】
実施例によるパーマは、比較例によるパーマに比べて、綺麗にパーマがかかった。実施例の水パーマによれば、ロッドにアルミ箔を巻き付け、水分が蒸発しないようにして、加熱処理を行うため、圧力を上げながら水素の放出を防ぐことができる。これにより、アルミ箔で覆われた毛髪に浸透した水素濃度が上がり(3,000ppb以上と推測される)、通常の状況(常温、1気圧)では起こりえない毛髪への還元作用により、毛髪内部のシスチン結合を分解することができる。ついで、オゾン水(2剤)の酸化作用により、結合を固定でき、毛髪に所望のカールを施すことができた。
【0087】
<変形例>
以上、一実施形態に係るパーマ方法を説明したが、本発明はこの実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例とを組み合わせたものでもよいし、変形例同士を組み合わせたものでもよい。また、実施形態や変形例に記載していない例や要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0088】
1.非水素透過性シート
実施形態では、非水素透過性シートとしてアルミ箔を使用したが、水素が透過しにくく、水分が揮発しにくいシート状のものであればアルミ箔に限定されるものではない。
【0089】
2.加熱処理
実施形態では、デジタルパーマの機械で加熱処理を行ったが、水素水に圧力をかけ、水素濃度を上げる(3,000ppb以上)ことができれば、デジタルパーマの機械に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明のパーマ方法は、薬剤を使用しないため、パーマ液による環境汚染問題を解消することができる。