(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097325
(43)【公開日】2024-07-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0639 20230101AFI20240710BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20240710BHJP
【FI】
G06Q10/0639
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024070600
(22)【出願日】2024-04-24
(62)【分割の表示】P 2022183224の分割
【原出願日】2022-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】506201518
【氏名又は名称】ALL DIFFERENT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】眞▲崎▼ 大輔
(72)【発明者】
【氏名】前田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】田中 敏志
(72)【発明者】
【氏名】土屋 典子
(72)【発明者】
【氏名】青山 結
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 光輝
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 佳純
(57)【要約】
【課題】所定期間施される研修を通じて人材育成を支援するにあたり、研修を受講する受講者に研修で得られる知識を定着させること。
【解決手段】サーバ10は、到達レベル設定部122、ワーク課題設定部123を備える。到達レベル設定部122は、複数の研修の受講により所定の人材育成が所定期間(6か月の間に3回等)施される予定の対象者(例えば受講者等)について、前記複数の研修の夫々の開始前に、当該研修に関する現時点の能力レベルに基づいて、当該研修の到達目標レベルを設定する。ワーク課題設定部123は、研修の到達目標レベルに基づいて、当該研修中に受講者が実行すべきワークと、当該研修後に前記受講者が実行すべき課題と、を設定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の研修の受講により所定の人材育成が所定期間施される予定の対象者について、前記複数の研修の夫々の開始時に、当該研修に関する現時点の能力レベルに基づいて、当該研修の到達目標レベルを設定する到達レベル設定手段と、
前記研修の前記到達目標レベルに基づいて、当該研修中に前記対象者が実行すべきワークと、当該研修後に前記対象者が実行すべき課題とのうち少なくとも一方を設定するワーク課題設定手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記ワーク課題設定手段は、前記複数の研修の夫々の終了後に、前記対象者が実際に到達した実到達レベル及び前記到達目標レベルに基づいて、前記課題を設定する、
を備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数の研修の夫々の終了後に、前記実到達レベル及び前記到達目標レベルに基づいて、次回の研修の構成を設定する研修構成設定手段、
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記対象者について、前記複数の研修の夫々の開始前に、当該研修に関する能力レベルを測定する能力測定手段、
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記到達レベル設定手段は、前記対象者が所定の研修を受講する前に、当該所定の研修の開始前の前記能力レベル、当該所定の研修に対して予め設定されている共通の到達目標、及び当該所定の研修に関する過去のデータに基づいて、当該対象者についての前記到達目標レベルを設定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記能力測定手段は、さらに、前記対象者について、前記研修のワーク中、又は、前記課題の実行中に前記能力レベルを測定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ワーク課題設定手段は、
前記研修の前記到達目標レベルに基づいて、前記対象者が実行すべき前記ワークについて、内容、難易度、及び個数のうち少なくとも1つを設定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記能力測定手段は、さらに、前記対象者について、前記研修の終了後に前記能力レベルを測定し、
前記ワーク課題設定手段は、前記対象者についての、当該研修の終了後に前記能力測定手段により測定された前記能力レベルと前記到達目標レベルとの差分に基づいて、前記対象者が実行すべき前記ワークについて、内容、難易度、及び個数のうち少なくとも1つを設定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記能力測定手段は、さらに、前記対象者について、最後の前記研修の終了後に前記能力レベルを測定し、
前記対象者についての、当該研修の終了後に前記能力測定手段により測定された前記能力レベルと、前記最後の研修の前記到達目標レベルとに基づいて、前記所定の人材育成に関する所定のレコメンドを生成するレコメンド生成手段と、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項10】
情報処理装置が実行する情報処理方法において、
複数の研修の受講により所定の人材育成が所定期間施される予定の対象者について、前記複数の研修の夫々の開始時に、当該研修に関する現時点の能力レベルに基づいて、当該研修の到達目標レベルを設定する到達レベル設定ステップと、
前記研修の前記到達目標レベルに基づいて、当該研修中に前記対象者が実行すべきワークと、当該研修後に前記対象者が実行すべき課題とのうち少なくとも一方を設定するワーク課題設定ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
複数の研修の受講により所定の人材育成が所定期間施される予定の対象者について、前記複数の研修の夫々の開始時に、当該研修に関する現時点の能力レベルに基づいて、当該研修の到達目標レベルを設定する到達レベル設定ステップと、
前記研修の前記到達目標レベルに基づいて、当該研修中に前記対象者が実行すべきワークと、当該研修後に前記対象者が実行すべき課題とのうち少なくとも一方を設定するワーク課題設定ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザの技能(スキル)を診断し、診断結果に基づく人材育成の支援を図る人材育成支援システムは存在する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の人材育成支援システムでは、所定期間実施される研修の中だけでは、研修から得られる知識を受講者に定着させることが難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、所定期間施される研修を通じて人材育成を支援するにあたり、研修を受講する受講者に研修で得られる知識を定着させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態である情報処理装置は、
複数の研修の受講により所定の人材育成が所定期間施される予定の対象者について、前記複数の研修の夫々の開始前に、当該研修に関する現時点の能力レベルに基づいて、当該研修の到達目標レベルを設定する到達レベル設定手段と、
前記研修の前記到達目標レベルに基づいて、当該研修中に前記対象者が実行すべきワークと、当該研修後に前記対象者が実行すべき課題とのうち少なくとも一方を設定するワーク課題設定手段と、
を備える。
本発明では、複数の研修の受講により所定の人材育成が所定期間施される予定の対象者について、複数の研修の夫々の開始前に、当該研修に関する現時点の能力レベルに基づいて、当該研修の到達目標レベルを設定し、研修の到達目標レベルに基づいて、当該研修中に対象者が実行すべきワークと、当該研修後に対象者が実行すべき課題とのうち少なくとも一方を設定することで、研修前後の対象者の状況から対象者の能力レベルに適したワークと課題を与えることができるので、研修を受講した受講者に研修で得た知識を定着させることができる。
本発明の一態様の上記情報処理装置に対応する情報処理方法及びプログラムも、本発明の一態様の情報処理方及びプログラムとして提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定期間施される研修を通じて人材育成を支援するにあたり、研修を受講する受講者に研修で得られる知識を定着させることできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る情報処理装置の一実施形態のサーバを含む情報処理システムの全体構成を示している。
【
図2】
図1の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1の情報処理システムにおけるサーバの機能的構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図2、
図3のサーバにおける行動変容プロセスを示すフローチャートである。
【
図5】
図2、
図3のサーバが適用される研修プログラムにおける行動変容の要素を示す図である。
【
図6】
図2、
図3のサーバが適用される研修プログラムの研修内容の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の情報処理システムの全体構成を示している。
図1に示す情報処理システム1は、サーバ10と、n台(nは1以上の任意の整数値)の受講者端末20-1乃至20-nとが、インターネット等の所定のネットワークNWを介して相互に接続されることによって構成されている。
なお、以下、受講者端末20-1乃至20-nの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「受講者端末20」と呼ぶ。
【0010】
受講者端末20は、受講者毎に管理される情報処理装置であって、例えばタブレット端末やスマートフォン等で構成される。
サーバ10は、本サービス提供者により管理される。サーバ10は、受講者端末20-1乃至20-nの夫々の各動作を制御しつつ各種処理を実行する。
【0011】
本サービス提供者は、企業からの申し込みにより社員を受講者として研修に参加させて受講させたり、受講者に対するオンライン研修を実施する。また、サービス提供者は、受講者が受ける研修やオンライン研修の前後に受講者のスキルレベルを測定しその測定の結果得られた能力レベルに基づいて、当該研修の到達目標レベルを設定したり、到達目標レベルに基づいて、当該研修中に受講者が実行すべきワークと、当該研修後に受講者が実行すべき課題とのうち少なくとも一方を設定し、そのワークと課題を次回の研修に適用し、最後の研修の後に受講者が研修の効果を維持するための適切なレコメンドを受講者に対して行う。
【0012】
具体的には、本実施形態では、サーバ10は、次のように受講者端末20と連携して動作する。
【0013】
研修プログラムは、例えば「○○研修」(前提を疑う)という名称のオンライン研修であり、所定期間、例えば1か月間に1回(1日)、3か月に合計3回行われる。なおこの例は一例であり、2か月間に1回(1日)、6か月間で合計3回行われる研修であってもよく、期間や回数に限定されない。
研修プログラムには、受講者全員の共通テーマが設定されている他、研修の進行に応じて受講者個別のテーマ(ワークと課題)が設定される。
受講者全員の共通テーマは、夫々の回毎に小テーマが設定されている。共通テーマのうち1回目の研修の小テーマは、「着目点を理解する」、2回目の研修の小テーマは、「単純な状況で気付く」、3回目の研修の小テーマは、「複雑な状況で気付く」等である。3回の研修は、夫々1日ずつ行われる。1か月のうちの1日は研修が行われる。1日の研修は、ワークを用いた講師による講義である。他の日は、研修の知識を維持するための課題が出されてそれを受講者が毎日の中で実践する。
【0014】
このオンライン研修は、サーバ10から受講者端末20へ配信される研修の動画(以下「研修動画」と称す)を受講者が視聴して、研修動画に含まれている、人と人との適切でないやり取りを見つける、というものである。
研修1回目の初期段階において、研修に対する受講者の取り組み方等から受講者の初期スキルレベルが測定される。受講者のスキルレベルを判定するために、複数(例えば4つ等)のチェック項目が設定されている。
4つのチェック項目は、例えば認識性チェック[1]、言動チェック[2]、意識チェック[3]、数値チェック[4]等である。研修動画には、夫々のチェック項目に合わせて、チェック項目毎に5つのチェックポイント(場面)が仕込まれている。
【0015】
研修プログラムにおいて、1回目の研修において、サーバ10は、「着目点を理解する」という小テーマの題材の研修動画を受講者の受講者端末20に送信する。
研修動画には、演者どうしで不適切なやり取りが行われる場面(チェックポイント)が4つのチェック項目の夫々に所定数(例えば5か所等)含まれている。
【0016】
サーバ10から送信されてきた研修動画が受講者端末20に受信されると、受講者端末20は、受信される研修動画を画面に表示すると共に、受講者端末20に接続されているカメラ(端末に内蔵されるカメラを含む)により撮像される、研修動画を閲覧しつつ受講する受講者を含む画像(以下「撮像画像」)をサーバ10へ送信する。撮像画像に含まれる受講者の画像の大きさは、胸像画像程度である。
【0017】
サーバ10では、受講者端末20から受信される撮像画像に含まれる受講者の顔の表情、態度、姿勢等をAIにより解析し、研修動画の上記チェックポイントにおける受講者の反応から、研修動画の不適切なやり取りが気付けたか否かを判定し、気付きがあった数をチェック項目毎にカウントし、当該受講者の研修情報の一つとして受検DB141に記憶する。
【0018】
そして、サーバ10は、オンライン研修終了後に、1回の研修において、カウントされた気付きのカウント数と閾値とを比較して、チェック項目毎にスキルレベルを判定する。
例えばあるチェック項目の閾値が3であり、研修終了時のカウント値が3以上(3、4、5)であれば、サーバ10は、そのチェック項目については、受講者のスキルレベルが一定の水準に達している(気付きを得ている)ものとみなす。またカウント値が1または2であれば、サーバ10は、そのチェック項目についてはスキルレベルが一定の水準に達していない(気付きが不足している)ものとみなす。
サーバ10は、このようにして1回目のオンライン研修終了時点(現時点)の受講者のスキルレベルを判定する。
【0019】
続いて、サーバ10は、1回目のオンライン研修開始時点と1回目のオンライン研修終了時点の受講者のスキルレベルの差分(レベルアップ)を取り、レベルアップと研修時間との関係から成長スピード(伸び率)を求める。
サーバ10は、オンライン研修1回目の終了時点の受講者のスキルレベルを現時点のスキルレベルとして、当該現時点のスキルレベルと成長スピード(伸び率)に基づいて、2回目の研修の到達目標レベル(ゴール)を設定する。
【0020】
そして、サーバ10は、設定した到達目標レベルに基づいて、2回目の当該研修中に受購者が取り組むべきワーク(教本、テキスト等)と、2回目の当該研修後、次の研修(3回目の研修)までの間に受購者が実施すべき課題(問題集等)とを設定する。
なお、共通のテーマには、研修1回目、研修2回目、研修3回目におけるゴール、ワークや課題として規定のもの(標準的なもの)が予め設定されているが、本研修プログラムでは、個々の回の研修における受講者のレベルアップに応じて次の回のゴール、ワークや課題等、研修の内容が変化するのが特徴である。
例えば1回目の研修の結果として受講者のスキルレベルや成長スピード(伸び率)が予め設定されている閾値よりも低ければ、そのレベルや伸び率に合わせたワークと課題が設定される。また、受講者のスキルレベルや伸び率が閾値よりも高ければ、それに合わせて難易度の高いワークと課題が設定される。
なお、この実施形態では、ワークと課題の両方を設定したが、いずれか一方であってもよい。
【0021】
サーバ10は、このような動作を2回目の研修以降も実行し、3回目の研修が終了した段階で、上記4つのチェック項目で不足しているポイントや達成したポイントに基づいてレコメンドを生成し受講者に提示することで、研修の効果を維持しさらに効果を高めるための取り組みを促す。
【0022】
このように、この実施形態の情報処理システム1のシステム構成によれば、複数の研修から構成される研修プログラムを受講者が受講するにあたり、サーバ10は、研修の始め(研修の初期段階)と終わり(研修の終了時)、当該研修に関する受講者のスキルレベルを測定し、当該現時点のスキルレベルと成長スピード(伸び率)に基づいて、次の研修の到達目標レベルを設定すると共に、当該スキルレベルと到達目標レベルに応じて次の研修のワークや課題を設定するので、研修を重ねる中での受講者のスキルレベルの変化(行動変容)に応じた研修プログラムを受講者に提供することができる。
【0023】
図2は、
図1の情報処理システム1のうちサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0024】
サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、バス104と、入出力インターフェース105と、出力部106と、入力部107と、記憶部108と、通信部109と、ドライブ110と、を備えている。
【0025】
CPU101は、ROM102に記録されているプログラム、又は、記憶部108からRAM103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM103には、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0026】
CPU101、ROM102及びRAM103は、バス104を介して相互に接続されている。このバス104にはまた、入出力インターフェース105も接続されている。入出力インターフェース105には、出力部106、入力部107、記憶部108、通信部109及びドライブ110が接続されている。
【0027】
出力部106は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部107は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。
【0028】
記憶部108は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部109は、インターネットを含むネットワークNWを介して他の装置(
図1の例では受講者端末20)との間で通信を行う。
【0029】
ドライブ110には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア111が適宜装着される。ドライブ110によってリムーバブルメディア111から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部108にインストールされる。
また、リムーバブルメディア111は、記憶部108に記憶されている各種データも、記憶部108と同様に記憶することができる。
【0030】
図3は、
図1の情報処理システムにおけるサーバの機能的構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、サーバ10の記憶部108(
図2)の一領域には、受検DB141が設けられている。
受検DB141には、受講者に関する情報と、受講者が現在までに受講した研修の実績のログ(以下「受検ログ」と称す)とが記憶されている。
受講者に関する情報は、例えば企業等で就労する従業員が、自身のスキル向上のために、サービス提供者が開催する講座や研修等を受講するための情報であり、受講者に関する情報には、受講者が属する企業や業種等の情報が含まれる。
【0031】
具体的には、受検DB141には、会社等の企業において研修サービスを受講させる従業員の氏名、年齢、性別、職種等の基本属性、社内における現在や現在に至るまでの所属部署(部門等)、役職、企業の業種、受講する講座や研修に関する情報(講座名や講座番号、研修名や研修番号、受講日、受講履歴)等が、受講者個人を識別する情報(受講者ID又は受講者番号等)に対応して記憶されている。
【0032】
受検DB141には、受講者の受検ログの中の一つの研修情報として、例えば過去に実施した複数(3回)の研修から構成される研修プログラムとその内容、研修プログラムにおける既定のゴールと、既定のゴールに到達するためのワークと課題等が設定されている。各ワークや各課題は、難易度別に複数設定されている。
この他、受検DB141には、研修中及び研修の夫々の前後において受講者夫々が測定されたスキルレベル(能力レベル)、前後のスキルレベルの差分と研修期間から導出される伸び率(成長スピード)、当該スキルレベルに応じて受講者夫々に設定された到達目標レベル(ゴール)、最後の研修を終えたときに生成されたレコメンド等が記憶される。
【0033】
受検DB141には、各研修において受講者夫々のスキルレベルを判定するための1以上のチェック項目(例えば「1」乃至「4」のチェック項目等)と、項目の夫々に設定されている5つのチェックポイント(研修動画の中に潜む適切でないやり取り)のうち受講者が気付けたかポイントがいくつあったかで目標到達と判定するための閾値(例えば「1」チェック項目で4/5以上、又は3/5以上)等が設定されている。
例えば閾値が4/5以上の場合、例えば「1」チェック項目で気付けた数が5つのうち3つであれば、気付きが足りない、つまり目標未到達という判定になる。また気付けた数が4つか5つであれば、気付きが足りていること、つまり目標到達となる。
なお、上記「1」乃至「4」のチェック項目の到達数の平均値で目標達成としてもよく、チェック項目毎に目標達成、目標未達成と判定してもよい。
【0034】
サーバ10のCPU101(
図2参照)においては、処理を実行する際に、
図3に示すように、能力測定部121と、到達レベル設定部122と、ワーク課題設定部123と、研修構成設定部124と、レコメンド部125と、表示制御部126と、が機能する。
【0035】
能力測定部121は、受講者について、複数の研修の夫々の開始前に、当該研修に関する能力レベルを測定する。
具体的には、能力測定部121は、研修プログラムが開始される前又は1回目の研修の初期段階に、受講者のスキルレベルを1回測定し、その後、研修プログラムの各研修終了後、次の研修前までに受講者のスキルレベルを測定する。なお、この実施形態においてスキルレベルの測定を1回としたが、測定回数は限定されない。
さらに、能力測定部121は、受講者について、研修プログラムのうち3回目の研修(最後の研修)の終了後に能力レベルを測定する。
【0036】
このように、複数の研修の夫々の開始前に、受講者の研修に関するスキルレベルを測定することで、その時点の受講者のスキルレベルが分かるので、以降の研修に関するさまざまな情報(到達目標レベル、研修の構成、ワークや課題等)を受講者のスキルレベルに合わせて設定することができる。
また、研修と研修の間の課題の実行中にスキルレベルを測定することで、次の研修が開始されるときに研修に利用するワークを受講者に適したものにすることができる。
【0037】
到達レベル設定部122は、複数の研修の受講により実践型連続プログラムである本研修プログラム(所定の人材育成)が6か月の間に3回(所定期間)等施される予定の受講者(対象者)について、複数の研修の夫々の開始時(研修開始のすこし前や研修を始めた初期段階等)に、例えば受講者による研修への取り組みチェック項目のうちいくつの項目を満足しているかを示す能力レベル(当該研修に関する現時点の能力レベル)に基づいて、当該研修の到達目標レベルを設定する。
具体的には、到達レベル設定部122は、受検DB141に記憶されている受講者の現時点の能力レベルを読み出して、当該現時点の能力レベルから、研修のゴールとしての到達目標レベルを設定する。なお、現時点の能力レベルとこの能力レベルに応じた到達目標レベルとを対応付けたテーブルを受講者毎に記憶しておき、テーブルから受講者の現時点の能力レベルを読み出してもよい。
このように、受講者が所定の研修を受講する前に、当該所定の研修の開始前の能力レベル、当該所定の研修に対して予め設定されている共通の到達目標、及び当該所定の研修に関する過去のデータに基づいて、当該対象者についての到達目標レベルを設定することで受講者の到達目標レベルに適したワークや課題が研修に提供されるので、受講者は研修の内容を容易に理解できるようになり、研修で得られる知識を受講者に定着させることができる。
【0038】
ワーク課題設定部123は、研修の到達目標レベルに基づいて、当該研修中に受講者が実行すべきワークと、当該研修後に受講者が実行すべき課題とのうち少なくとも一方を設定する。
例えばワーク課題設定部123は、受講者についての、当該研修の終了後に能力測定部121により測定されたスキルレベルと到達目標レベルとの差分に基づいて、受講者が実行すべきワークについて、内容、難易度、及び個数のうち少なくとも1つを設定する。これにより、次回の研修では、自身のスキルレベルに適したワークを用いて研修を受講することができるようになる。
このように、複数回の研修のうち1回の研修が終了する後に、受講者が実際に到達した実到達レベル及び到達目標レベルに基づいて課題を設定することで、ワークと課題が、受講者の実到達レベルから到達目標レベルにステップアップするのに適したものになり、到達目標のゴールに到達できるようになる。
【0039】
研修構成設定部124は、複数の研修の夫々の終了後、次の研修開始前までに、実際のスキルレベル(実到達レベル)及び到達目標レベル(その時点の実際のスキルレベルから求めたゴールのレベル)に基づいて、次回の研修の構成(次回の研修にどういった研修映像を使うか等)を設定する。
このように、複数の研修の夫々の終了後に、実到達レベル及び到達目標レベルに基づいて、次回の研修の構成を設定することで、次回の研修が受講者に適したものになるので、受講者は、研修の内容を容易に理解できるようになり、研修で得られる知識を受講者に定着させることができる。
【0040】
レコメンド部125は、受講者についての、当該研修の終了後に能力測定部121により測定されたスキルレベルと、最後の研修の到達目標レベルとに基づいて、本研修プログラム(所定の人材育成)に関する所定のレコメンドを生成する。
具体的には、レコメンド部125は、本研修プログラム全体を通して、不得手な要素が存在したり不得手な傾向があった場合、不得手な要素を克服する上での、日常の業務の中で注力すべきポイントをレコメンドとして提示することで、受講者に研修の効果を維持させつつ、さらに研修で得た知識を高める取り組みを促すことができる。
レコメンドの作成(立案)は、AIモデルにより実行される。
AIモデルにより実行されるレコメンドの作成には、受講者の実際のスキルレベルと到達目標レベルとの差異が考慮される。
具体的には、各回の研修の終了後に測定したスキルレベルと、最後の研修の到達目標レベルとに基づいて、研修プログラムに関するレコメンドを生成し受講者に提示することで、受講者は、最後の研修を修了した後もレコメンドに従って自身の能力を向上すべく研修で得られた知識を意識した行動を実践し、研修の効果を維持することができる。
【0041】
表示制御部126は、レコメンド部125により生成されたレコメンドを受講者端末20の画面に表示させる制御を行う。
このように、本研修プログラムを終了後にレコメンドを生成し受講者に提示することで、最後の研修を修了した後も受講者は、レコメンドに従って自身の能力を向上すべく研修で得られた知識を意識した行動を実践し、研修の効果を維持することができる。
【0042】
ここで、
図4を参照してサーバの動作を説明する。
図4は、本発明に係る情報処理装置の一実施形態のサーバの動作を示すフローチャートである。
図4に示すように、サーバ10では、ステップS11において、能力測定部121は、受講者について、複数の研修の夫々の開始前に、当該研修に関する能力レベルを測定する。
ステップS12において、到達レベル設定部122は、複数の研修の受講により実践型連続プログラム(所定の人材育成)が6か月の間に3回(所定期間)等施される予定の受講者(対象者)について、複数の研修の夫々の開始前に、例えば受講者による研修への取り組みチェック項目のうちいくつの項目を満足しているかを示すスキルレベル(当該研修に関する現時点の能力レベル)に基づいて、当該研修により到達すべき目標のレベル、つまり到達目標レベルを設定する。
具体的には、到達レベル設定部122は、受検DB141に記憶されている受講者の現時点のスキルレベルを読み出して、当該現時点のスキルレベルから、研修のゴールとしての到達目標レベルを設定する。なお、現時点のスキルレベルとこれに応じた到達目標レベル(ゴール)とを対応付けたテーブルを受講者毎に記憶しておき、テーブルから受講者の現時点のスキルレベルを読み出してもよい。
到達レベル設定部122は、例えば当該現時点のスキルレベルから研修の到達目標レベルとして本研修プログラム(1回から3回の研修)を終えるまでに到達すべき到達目標レベルB(
図6参照)と、研修1回毎に研修を終えた時点の到達目標レベルB1、B2、B3とを夫々設定する。
【0043】
ステップS13において、ワーク課題設定部123は、到達レベル設定部122により設定された研修の到達目標レベルに基づいて、当該研修中に受講者が実行すべきワークと、当該研修後に受講者が実行すべき課題とのうち少なくとも一方を設定する。
この実施形態では、ワーク課題設定部123は、研修毎の到達目標レベルに基づいて、当該研修1回目、2回目、3回目の夫々に受講者が実行すべきワークW1,W2,W3(
図6参照)と、1回目の研修と2回目の研修の間、2回目の研修と3回目の研修の間等に受講者が実行すべき課題K1、K2(
図6参照)を設定する。
【0044】
このように、サーバ10の動作によれば、複数回の研修のうち1回の研修が終了する後に、受講者が実際に到達した実到達レベル(現時点のスキルレベル)、伸び率に基づいて次の研修の到達目標レベルを設定し、到達目標レベルに基づいて次の研修のワークと課題のうち少なくとも一方を設定することで、ワークと課題が、受講者の実到達レベルから到達目標レベルにステップアップするのに適したものになり、到達目標のゴールに到達できるようになる。
【0045】
以下、
図5及び
図6を参照して本発明に係る情報処理装置の一実施形態のサーバが適用される研修プログラムを説明する。
図5は、
図2、
図3のサーバが適用される研修プログラムにおける行動変容の要素を示す図である。
【0046】
研修プログラムに適用されるサーバ10は、
図5に示すように、受講者毎のスキルレベルに応じて研修A1、A2、A3毎にゴールG1、G2、G3を設定し、夫々のゴールG1、G2、G3を目指す受講者の研修中の取組み(ワーク)や、研修と研修の合間(次回の研修まで)に出される課題を出し分けるものであり、このようなワークや課題の出し分けによって、受講者自身の行動変容を促し、受講者が研修で得られる知識を受講者に定着させるものである。
【0047】
また、サーバ10は、受講者に対して複数回実施される研修の各回での受講中のスキルレベルの成長スピード(延び率)Dや研修を受講した受講者のスキルレベルと目指すゴールG1、G2、G3との差分に基づいて、次に実施される研修の構成も変動させる。
具体的には、研修の結果、延び率Dが高い受講生には研修の範囲を広げる等、ワークや課題の難易度を高め同じ研修テーマでもより深く理解することを促す。また、延び率Dが低い受講生には研修の範囲を限定的にすることで、研修の知識を着実に定着することを促す。延び率Dは、ここでは各回ともに同じ符号としているが、受講生夫々の伸び率は異なることから、異なる伸び率を示す符号、例えば延び率D1、D2、D3等に変えてもよい。
【0048】
具体的には、サーバ10は、
図5に示すように、1回目の研修A1を開始した時点又は研修に入った初期段階で受講者の初期のスキルレベルC1を測定する。
続いて、サーバ10は、測定された受講者の初期のスキルレベルC1に基づいて、受講者の最終(研修終了時点)のゴール(受講者が到達すべき目標のスキルレベル:到達目標レベルG)を設定する。
例えば研修プログラムでは、研修毎に予め既定の到達目標レベルGが設定されている。到達目標レベルGは、過去の研修履歴に基づいて平均的な受講生が到達可能なレベルで設定されている。
【0049】
受講者から測定された初期のスキルレベルC1が平均的なレベルの範囲であれば、最終(研修終了時点)の到達目標レベルGは、既定の到達目標レベルGと1回目の研修A1のミニゴールG1が設定される。
【0050】
そして、1回目の研修A1が終了すると、サーバ10は、初期のスキルレベルC1と1回目の研修終了時点のスキルレベルC2との差分と、その差分を得るまでの期間とから、レベルアップの成長スピード(伸び率)Dを求める。
【0051】
さらに、サーバ10は、求めた成長スピード(伸び率)Dと研修終了時点のスキルレベルC2とに基づいて、次の2回目の研修A2の到達目標レベルG2(ミニゴールG2)を設定すると共に、この到達目標レベルG2に到達するための研修内容(1回目の研修A1終了後の課題や2回目の研修A2に用いるワーク等)を設定する。このようにして1回目の研修A1終了後に、その時点の受講者のスキルレベルに適した課題が出されて、所定期間後に2回目の研修A2、3回目の研修A3が順に実施される。
【0052】
ここで、サーバ10の各機能について説明する。
まず、ゴール設定の機能について説明する。
サーバ10は、研修の最初に受講者のスキルレベルを測定する。
サーバ10は、スキルレベルの測定結果と、共通のゴールを基準にして、そこに到達できるかできないか、さらにスキルレベル上げることができるか等を過去のデータから導き出し、受講者毎のゴールを設定する。
なお、2回目以降の研修においては、スキルレベルの測定を研修中のワークからだけでなく、研修と研修の間で出題される課題で判定する場合もある。
【0053】
研修中のワーク(出題、教本、テキスト等)について説明する。
サーバ10は、受講者毎に設定されたゴールに基づき、出題されるワークの内容、難易度、個数(数量)等を出し分ける。これにより、受講者のレベルに合ったワークが提供(出題)される。このワークを研修に取り入れることで受講者は、スキルをより体得し易くなる。
具体的には、高いゴールが設定された受講生には、問題の難易度が中程度から応用程度のワークが出題される。そうでない受講生には初級から中級程度の難易度のワークが出題される。
また、本研修プログラムでは、サーバ10は、研修を受講中の受講者が研修内容を把握するスピード(習得スピード)によっても次の研修に用いるワークの内容、難易度、個数等を出し分ける。
具体的には、回答スピードが速い受講生には、多めのワークを出題する。但し、正答率等から意図的に個数を減らす場合もある。
【0054】
課題設定機能について説明する。
サーバ10は、夫々の研修の最後に受講者のスキルレベルを測定する。
この場合、サーバ10は、研修中のワークからゴールとの差分を導出する。
そして、サーバ10は、導出した差分により難易度、個数、テーマ等夫々の受講者と研修テーマに合わせた次回のワークと課題を出題する。
【0055】
行動変容維持のためのレコメンド機能について説明する。
本研修プログラムの全3回の研修A1、A2、A3とその間に実践する課題により受講者は行動が変容することとそれを維持することを目指している。
サーバ10は、実際に本研修プログラムを通して受講者のスキルレベルの変化を測定し、変化したスキルレベルに合わせて、研修内容や実践する課題を変更することで受講者のスキルレベルを高めると共に、全3回の研修A1、A2、A3が終了した時点で、研修で得られた知識やスキルレベル、習得内容を維持するための取組みや心構え等をレコメンドする。
また、最後の研修から所定期間(例えば3か月等)経過した時点で、受講者に対してテストを行い、そのテスト結果に応じて研修で得られた習得内容を定着、維持するためのレコメンドを行うことで、受講者は、研修から期間が空いたとしても研修の知識やスキルレベルが身に付き、定着、維持することができる。
【0056】
図6は、
図2、
図3のサーバが適用される研修プログラムの研修内容の詳細を示す図である。
図6に示すように、サーバ10は、まず本研修プログラムの1回目の研修の共通テーマ「着眼点を理解する」について、1回目の研修A1の研修開始時にスキルレベルC1を測定し、当該スキルレベルC1から1回目の研修A1終了時のゴールG1を設定する。
【0057】
本研修プログラムにおいて、1回目の研修A1が実施された後、サーバ10は、1回目の研修A1の終了後に受講者のスキルレベルC2を測定する。
サーバ10は、測定した1回目の研修の終了後の受講者のスキルレベルC2と、1回目の研修のゴールG1との差分又は比率等を計算することで達成度を求め、ゴールG1に対する当該達成度に応じて課題T1を設定する。これにより、当初のゴールG1に紐づく課題K1とは異なる課題T1が出される。
【0058】
なお、ワークや課題、ゴールは、以下のように伸び率や習得度に基づいて設定してもよい。
(伸び率から設定する例)
即ち、サーバ10は、1回目の研修A1の最後に、研修開始時に測定したスキルレベルC1と研修終了時に測定したスキルレベルC2との差分又は比率を計算することで伸び率Dを判定する。そして、サーバ10は、判定した伸び率Dに合う課題を受検DB141から読み出して、次回、2回目の研修A2までに、実践する課題T1として設定する。
そして、1回目の研修A1終了後から次の研修A2までの間に受講者により実際に課題T1が実践されると、サーバ10は、受講者の当該課題T1の取り組み状況(課題K1の達成率等)に応じて、次回2回目の研修A2で出すワークW2の内容や難易度、個数等を設定する。これにより、ワークW2の内容や難易度、個数等が変動する。
【0059】
(習得度から設定する例)
1回目の研修A1終了後から次の研修A2までの間に受講者により実際に課題T1が実践されると、サーバ10は、1回目の研修A1の際に研修を通して実施したワークW1や課題T1を実践したことでの習得度を判定する。なお、研修の種別により習得度を判定する手法が異なる。
【0060】
サーバ10は、判定した習得度に基づいて2回目の研修A2のゴールG2を設定し、設定した2回目のゴールG2に基づいて、研修で出されるワークW2の内容や難易度、個数等を設定する。これにより2回目の研修A2で出されるワークW2の内容や難易度、個数等が変動する。
また、サーバ10は、1回目の研修A1のワークW1の最後に判定した習得度に合わせてその後の課題K1を出す。
具体的には、サーバ10は、1回目の研修時に研修A1を通して実施したワークW1や課題T1を実践したことでの習得度を判定する。なお、研修の種別により手法は異なる。
サーバ10は、判定した習得度に基づいて2回目のゴールG2を設定し、2回目のゴールG2に基づいて、3回目の研修A3で出すワークW3の内容や難易度、個数等を設定する。これにより、3回目の研修A3で出されるワークW3の内容や難易度、個数等が変動する。
【0061】
そして、3回目の研修A3が実施されて、ワークW3が実践された後、サーバ10は、3回目の研修A3の最後に習得度を判定する。
サーバ10は、全3回の研修A1乃至A3を通しての傾向(スキルレベルの推移や各ゴールG1乃至G3に対する達成度、伸び率D、習得度等)から、受講者が研修で取得したスキルレベルを今後も維持及び定着させ、より高めるために行うべき行動や取組み方等をレコメンドとして当該受講者の受講者端末20へ出力することで、受講者の行動変容を促す。
【0062】
また、サーバ10は、初めのレコメンドから、所定期間経過後(例えば3カ月経過後等)に、研修の効果を維持するためのレコメンドを当該受講者の受講者端末20へ出力することで、受講者に対して研修で得られた知識を継続して身に付けることの意識を植え付けることができる。
【0063】
このように受講者毎のスキルレベルに応じて研修A1乃至A3毎にゴールG1乃至G3を設定し、それを達成するための研修中のワークW1乃至W3(取組み)や、次回研修までに出される課題K1、K2(日々の実践)の達成度、習得度、伸び率のうち少なくとも1つに応じて、次回の研修内容(ワーク、課題T1、T2、ゴール等)を変化させることで、複数回の研修A1乃至A3を通じて受講者自身に適した研修を実施することでの行動変容を促し、全ての研修終了後についても研修で得た知識の維持を図るようにレコメンドを行うので、研修で得られた知識の定着を図ることができる。
【0064】
以下、
図6を参照して研修の事例として、第1事例と第2事例を説明する。
まず、第1事例を説明する。
第1事例は、例えば「前提を疑う」という名称の研修プログラムであり、この研修プログラムには、例えば課題の動画(研修動画)を視聴して適切でないやり取りを見つける、といった実践課題が出されるものとする。
この研修プログラムには、「前提を疑い、文章や会話のなかの適切でないやり取りに気付くことができる」といった研修全体の共通テーマ(ゴール)が設定されている。
研修全体のゴール以外に、1回目の研修A1の共通テーマ(ミニゴール)として「着目点を理解する」、2回目の研修A2の共通テーマ(ミニゴール)として「単純な状況で気付くことができる」、3回目の研修A3の共通テーマ(ミニゴール)として「複雑な状況で気付くことができる」等が設定される。
【0065】
本研修プログラムは、1回乃至3回の全3回の研修夫々に共通テーマ(ミニゴール)が設定されており、受講者は、この共通テーマ(ミニゴール)に沿ってワークや課題を実践することで、行動変容と知識の定着を図るものである。
研修動画には、4つのチェック項目で、やり取りが不適切な5つのチェックポイント(場面)が含まれている。チェック項目は、例えば認識性チェック[1]、言動チェック[2]、意識チェック[3]、数値チェック[4]等であり、受講者は、これら4つのチッェク項目の視点で5つのチェックポイントのうちいくつ気付けたかによって研修の達成度が判断される。
【0066】
1回目の研修A1について説明する。
1回目の研修A1の共通テーマは「着目点を理解する」であり、1回目の研修A1の達成条件として、チェック項目[1]乃至[4]には、夫々「3/5以上」という閾値が設定されている。1回目の共通テーマにおいて、上記チェック項目を閾値以上気付けることを共通ゴールとする。
1回目の研修の初期段階で受講者のスキルレベルC1を測定したところ、[1]1/5、[2]2/5、[3]2/5、[4]4/5という測定結果が得られたものとする。
この場合、チェック項目[1]、[2]、[3]に関して、測定結果が閾値を満たしておらず、受講者は、気付きが足りていない一方、チェック項目[4]においては、既に高い気付きを得ている。よって、第1回目の研修A1のゴールG1として、例えば[1]3/5、[2]3/5、[3]3/5、[4]5/5等がサーバ10によって新たに設定される。
【0067】
上記のゴールG1の設定により、1回目の研修A1中のワークW1が以下のように出し分けられる。
例えば受講者は、チェック項目[4]において既に高い気付きを得ているので、チェック項目[4]において難易度を上げたワークが出される。
1回目の研修A1においてワークW1を終えた後、受講者のスキルレベルC2を測定したところ、[1]2/5、[2]3/5、[3]3/5、[4]5/5という測定結果が得られたものとする。
【0068】
受講者の当初のスキルレベルC1とワーク終了時のスキルレベルC2とを比較すると、全ての項目でスキルレベルが上がったものの、チェック項目[1]において、新たに設定されたゴールG1に到達することができなかった。
これにより、1回目の研修A1の受講者個人の課題T1として以下の課題が出される。
課題1:業務の中で切り口「1」の視点で前提が正しくないと感じた事例をN個あげてくる(1回目の研修の要素を含んだ場面設定)。
課題2:業務の中で切り口「4」の視点で前提が正しくないと感じた事例をN個上げてくる(2回目の研修の要素を含んだ場面設定)。
課題1は、ゴールG1を達成していない項目に対し出題(復習)する。課題2は、ゴールを超えて達成している項目に対して出題(予習)する。なお、課題の数は一定ではない。
受講者は、1回目の研修A1の後、上記のような課題1、2を次の研修A2が始まるまでに実践し、2回目の研修A2に臨むことになる。
【0069】
2回目の研修A2について説明する。
2回目の研修A2の共通テーマは「単純な状況で気付く」であり、2回目の研修A2の達成条件として、チェック項目[1]乃至[4]には、夫々「3/5以上」という閾値が設定されている。2回目の共通テーマにおいて、上記チェック項目を閾値以上気付けることを共通ゴールとする。
2回目の研修A2においては、1回目の共通テーマを含むワークと2回目の共通テーマを含むワークを出し、1回目のテーマについて、1回目の研修と課題を通してどのくらい知識が定着しているかを判定すると共に、1回目と2回目のテーマについて、開始時点のスキルレベルを測定する。
【0070】
サーバ10は、2回目の研修A2の初期段階で、1回目の共通テーマに基づいて受講者のスキルレベルC1を測定したところ、[1]2/5、[2]3/5、[3]3/5、[4]5/5という測定結果が得られたものとする。また、2回目の共通テーマに基づいて受講者のスキルレベルC1を測定したところ、[1]2/5、[2]2/5、[3]2/5、[4]3/5という測定結果が得られたものとする。
この場合、1回目の共通テーマについて、チェック項目[2]、[3]、[4]についてはスキルレベルの定着が計られているようだが、チェック項目[1]についてはわずかに足りていないことが分る。
よって、2回目の研修A2のゴールG2として、例えば[1]3/5、[2]3/5、[3]3/5、[4]4/5等がサーバ10によって新たに設定される。
【0071】
上記のゴールG2の設定により、2回目の研修A2中のワークW2が以下のように出し分けられる。
例えば受講者は、チェック項目[4]において既に高い気付きを得ているので、チェック項目[4]において難易度を上げたワークが出される。
また、1回目の研修A1の共通テーマについて達成していないチェック項目としてチェック項目[1]があるため、このチェック項目[1]については、難易度を少し下げたものから中程度のワークを出す。また他項目よりもワーク数も増やす。
【0072】
そして、ワークの設定(内容)が変更された2回目の研修A2が実施された後、ワーク終了時のスキルレベルC2を測定したところ、1回目の共通テーマのチェック項目[1]は、2/5のまま変化がなかった。
また、2回目の共通テーマについては、[1]2/5、[2]3/5、[3]4/5、[4]4/5という測定結果が得られた。
【0073】
2回目の研修A2における受講者の当初のスキルレベルC1とワーク終了時のスキルレベルC2とを比較すると、チェック項目[1]において1回目、2回目の共通テーマにおいてもゴールを達成することができなかった。一方、チェック項目[2]は目標値、チェック項目[3],[4]においては目標より高いレベルで気付きを得ることができている。
これにより、2回目の研修A2のワークW2の後の課題は以下のようなものが出される。
全ての項目でスキルレベルが上がったものの、チェック項目[1]において、新たに設定されたゴールG1に到達することができなかった。
【0074】
これにより、1回目の研修A1の受講者個人の課題T1として以下の課題が出される。
課題1:業務の中で切り口(上記チェック項目[1]の視点)で前提が正しくないと感じた事例をN個あげてくる。(1回目、2回目の要素を含んだ場面設定)
課題2:業務の中で切り口(上記チェック項目[3]、[4]の視点)で前提が正しくないと感じた事例をN個上げてくる。(2回目の要素を含んだ場面設定)
課題1は、ゴールG2を達成していない項目に対し出題(復習)する。
課題2は、ゴールG2を超えて達成している項目に対して出題(予習)する。なお、課題の数は一定ではない。
受講者は、2回目の研修A2の後、上記のような課題1、2を次の研修A3が始まるまでに実践し、3回目の研修A3に臨むことになる。
【0075】
3回目の研修A3について説明する。
3回目の研修A3の共通テーマは「複雑な状況で気付くことができる」であり、3回目の研修A3の達成条件として、チェック項目[1]乃至[4]には、夫々「3/5以上」という閾値が設定されている。3回目の共通テーマにおいて、上記チェック項目を閾値以上気付けることを共通ゴールとする。
3回目の研修A3においては、1回目の共通テーマを含むワークと2回目の共通テーマを含むワークと3回目の共通テーマを含むワークとを出し、1回目と2回目のテーマについて、1回目、2回目の研修と課題を通してどのくらい知識が定着しているかを判定すると共に、1回目乃至3回目のテーマについて、開始時点のスキルレベルを測定する。
【0076】
サーバ10は、3回目の研修A3の初期段階で、1回目の共通テーマに基づいて受講者のスキルレベルC1を測定したところ、[1]3/5という測定結果が得られたものとする。
また、2回目の共通テーマに基づいて受講者のスキルレベルC1を測定したところ、[1]2/5、[2]3/5、[3]4/5、[4]5/5という測定結果が得られたものとする。
さらに、3回目の共通テーマに基づいて受講者のスキルレベルC1を測定したところ、[1]1/5、[2]2/5、[3]2/5、[4]2/5という測定結果が得られたものとする。
この場合、2回目の共通テーマについて、チェック項目[2]、[3]、[4]についてはスキルレベルの定着が計られているようだが、チェック項目[1]についてはわずかに足りていないことが分る。また、3回目の共通テーマについて、チェック項目[1]乃至[4]全てにおいて気付きが足りていない。
よって、3回目の研修A3のゴールG3として、例えば[1]3/5、[2]3/5、[3]3/5、[4]4/5等がサーバ10によって新たに設定される。
【0077】
上記のゴールG3の設定により、3回目の研修A3中のワークW3が以下のように出し分けられる。
例えば受講者は、全体を通してチェック項目[1]の要素に気付きづらいという傾向と、複雑な状況になると気付きづらいという傾向がみえた。
これにより、サーバ10は、この2つの傾向に対して日常業務の中で注力すべきポイントを研修最後のレコメンドとして提示する。これにより研修の効果を維持、更に高める取組を促すことができる。
【0078】
研修終了後、例えば3か月等(所定期間)が経過したタイミングで、サーバ10は、受講者に対して簡単なテストを実施することにより受講者の課題の定着状況を判定する。
そして、サーバ10は、テストの結果(課題の定着状況の判定結果)から、研修の効果を維持するための適切なレコメンドを、受講者の受講者端末20に提示する。
サーバ10は、例えば受講者についての、当該研修の終了後に測定したスキルレベルと、最後の研修の到達目標レベルとに基づいて、研修の効果を維持するための適切なレコメンドを生成し、当該レコメンドを受講者の受講者端末20に提示する。
具体的には、サーバ10は、研修の終了後に測定したスキルレベルと、テストの結果(課題の定着状況の判定結果)から、スキルレベルの定着状況(スキルレベルの変化等)を判定し、当該定着状況に応じて、研修の効果を維持するための適切なレコメンドを、受講者の受講者端末20に提示する。スキルレベルの定着状況の判定結果として、例えばスキルレベルが低下していれば上げる方向のレコメンドを生成し受講者に提示(出力)する。
【0079】
このようにこの第1事例によれば、受講者は、「前提を疑う」という研修プログラムにおいて、研修動画に含まれるやり取りの中から適切でないやり取りを気付くスキルを身に付けるとともに、研修後に受講者に提示されるレコメンドにより、研修で得られた「前提を疑う」という知識を維持し自身に定着させることができる。
【0080】
続いて、第2事例を説明する。
第2事例は、例えば「話の伝え方」という名称の研修プログラムであり、この研修プログラムには、例えば話し方の型をしり、チェック項目によりスキルが習得できているか確認する、といった実践課題が出されるものとする。
この研修プログラムには、「理解納得してもらう話の伝え方、話しの構成を考える」といった研修全体の共通テーマ(ゴール)が設定されている。
研修全体のゴール以外に、1回目の研修A1の共通テーマ(ミニゴール)として「基本構成を知る」、2回目の研修A2の共通テーマ(ミニゴール)として「状況に応じた話し方」、3回目の研修A3の共通テーマ(ミニゴール)として「伝わるように話す」等が設定される。
【0081】
本研修プログラムは、1回乃至3回の全3回の研修夫々に共通テーマ(ミニゴール)が設定されており、受講者は、この共通テーマ(ミニゴール)に沿ってワークや課題を実践することで、行動変容と知識の定着を図るものである。
本研修プログラムは、例えば7つのチェック項目で、研修中にワークを5個だし、当該チェック項目について受講者ができているかどうかを、受講者が記載したテキストの内容や受講者を撮影した動画から判定することで研修の達成度を判断する。
7つのチェック項目は、例えば[1]話し方が整っているか、[2]話しに矛盾はないか、[3]話しは簡潔か、[4]話しに必要情報が含まれているか、[5]話しは〇W▼Hになっているか、[6]接続詞は適切か、[7]口癖有り、等である。
各研修において受講者に出した難易度が中程度の5個のワークを順に出題し、5回目のワークにおいて、上記チェック項目の夫々がクリアできている状態を共通ゴールとして目指すものである。
【0082】
1回目の研修A1について説明する。
1回目の研修A1の共通テーマ(ミニゴール)は「基本構成を知る」であり、1回目の研修A1は、チェック項目[1]乃至[7]の夫々がクリアできている場合は「〇」、できいてない場合は「×」と判定し、全て項目が「〇」となることが達成条件として設定されている。
【0083】
本研修プログラムにおいて、1回目の研修A1を開始し、1つ目のワーク(初期段階)で受講者のスキルレベルC1を測定したところ、[1]×、[2]×、[3]〇、[4]〇、[5]×、[6]〇、[7]×という測定結果が得られたものとする。
この場合、7項目中3個はできているため、5個あるワークのうち4個までにはすべての項目をクリアできるようにし、5個目のワークでは難易度の高いワークでも全ての項目がクリアできるようサーバ10によってゴールG1が新たに設定される。
【0084】
上記のゴールG1の設定により、1回目の研修A1中のワークW1が以下のようにチェック項目の合格程度により、問題の難易度が出し分けられる。
例えばワークの難易度として、1回目ワークは基礎、2回目のワークは基礎、3回目のワークは中程度、4回目のワークは中程度、5回目のワークは応用等とするワークが出される。
【0085】
1回目の研修A1においてワークW1を終えた後、受講者のスキルレベルC2を測定したところ、1回目の基礎のワークが3/7、2回目の基礎のワークが6/7、3回目の難易度が中程度のワークは3/7、4回目の難易度が中程度のワークは5/7、5回目の応用のワークは中程度に変更し6/7という測定結果が得られたものとする。
この場合、6個以上クリアしていれば次の難易度のワークが出題される。
なお、当初の設定のゴールでは、5回目で応用問題に取り組んでもらう予定であったが、4回目でクリアできなかったため、5回目のワークは難易度を中程度に変更になった。
【0086】
受講者の当初のスキルレベルC1とワーク終了時のスキルレベルC2とを比較すると、1回目の研修A1にてゴールである中程度のワークにおいてクリアしているため、サーバ10は、以下の課題T1を出す。
課題1:1回目の共通テーマにおいて応用レベルの課題を出す。
課題2:2回目の共通テーマにおいて基礎レベルの課題を出す。
課題1は、1回目の共通テーマをより定着させるための課題(復習)である。課題2は、2回目の共通テーマを先取りした課題(予習)である。なお、課題は事前に動画にて出される。また、課題の数は一定ではない。
【0087】
2回目の研修A2について説明する。
2回目の研修A2の共通テーマは「状況に応じた話し方」であり、2回目の研修A2の達成条件は、1回目の研修と同じである。また、2回目の研修A2においては、研修中にワークを5個だし、上記のチェック項目の内容ができているかどうかを、テキストや動画で判定するものとする。
【0088】
サーバ10は、2回目の研修A2の初期段階、つまり提出課題を事前に確認し、2回目の共通テーマに基づいて受講者のスキルレベルC1を測定したところ、課題1:[1]〇、[2]×、[3]〇、[4]〇、[5]×、[6]〇、[7]〇という測定結果が得られ、また、課題2:[1]×、[2]×、[3]〇、[4]〇、[5]×、[6]〇、[7]〇という測定結果が得られたものとする。
【0089】
この場合、課題1より応用の場面になるとまだスキルが足りていないことが分る。但し、課題2でも4個の項目においてクリアできているので、基礎的な考え方は定着したと言える。また、課題1、2に共通してチェック項目[2]、[5]の内容ができていないため、重点課題であると言える。
【0090】
よって、2回目の研修A2のゴールG2として、例えばワークの難易度として、1回目ワークは基礎、2回目のワークは中程度([2]、[5]の項目に特化したワーク)、3回目のワークは中程度、4回目のワークは応用、5回目のワークは応用等とするワークがサーバ10によって新たに設定される。
【0091】
そして、ワークが新たに設定(内容)された2回目の研修A2が実施された後、ワーク終了時のスキルレベルC2を測定したところ、1回目の基礎のワークが4/7、2回目の基礎のワークが6/7、3回目の難易度が中程度のワークは3/7、4回目の難易度が中程度のワークは5/7、5回目の応用のワークは6/7という測定結果が得られたものとする。なお、6個以上クリアしていれば、次の難易度のワークが出題される。
判定の結果、ゴールG2の設定の通りクリアできたため、予定変更はしないものとされる。
【0092】
これにより、2回目の研修A2の受講者個人の課題T2として以下の課題が出される。
課題1:2回目の共通テーマにおいて応用レベルの課題とする。
課題2:3回目の共通テーマにおいて中程度レベルの課題とする。課題1は、2回目の共通テーマをより定着させるための課題(復習)とする。課題2は、3回目の共通テーマを先取りした課題(予習)とする。なお、課題は事前に動画にて提出する。課題の数は一定ではない。
受講者は、2回目の研修A2の後、上記のような課題1、2を次の研修A3が始まるまでに実践し、3回目の研修A3に臨むことになる。
【0093】
3回目の研修A3について説明する。
3回目の研修A3の共通テーマは「伝わるように話す」であり、3回目の研修A3の達成条件は、1回目と2回目と同様に、研修において受講者に出した難易度が中程度の5個のワークを順に出題し、5回目のワークにおいて、上記チェック項目の夫々がクリアできている状態を共通ゴールとして目指すものである。
【0094】
サーバ10は、3回目の研修A3の初期段階、つまり提出課題を事前に確認し、3回目の共通テーマに基づいて受講者のスキルレベルC1を測定したところ、課題1:[1]〇、[2]〇、[3]〇、[4]〇、[5]×、[6]〇、[7]〇という測定結果が得られ、また、課題2:[1]×、[2]×、[3]〇、[4]〇、[5]×、[6]〇、[7]〇という測定結果が得られたものとする。
【0095】
この場合、課題1よりスキルレベルが大分定着していること、苦手としていたチェック項目[2]についてもクリアしていることが分る。また、課題2より4個のチェック項目においてクリアできているので、基礎的な考え方は定着したと言える。
また、各回の研修に共通してチェック項目[5]の内容ができていないため、重点課題であると言える。
【0096】
よって、3回目の研修A3のゴールG3として、例えばワークの難易度として、1回目ワークは中程度([5]の項目に特化したワーク)、2回目のワークは中程度、3回目のワークは中程度、4回目のワークは応用、5回目のワークは応用等とするワークがサーバ10によって新たに設定される。
【0097】
そして、ワークが新たに設定(内容)された3回目の研修A3が実施された後、ワーク終了時のスキルレベルC2を測定したところ、1回目の難易度が中程度([5]の項目に特化したワーク)のワークが5/7、2回目の難易度が中程度([5]の項目に特化したワークに変更)のワークが7/7、3回目の難易度が中程度のワークは6/7、4回目の難易度が中程度のワークは6/7、5回目の応用のワークは7/7という測定結果が得られたものとする。なお、6個以上クリアしていれば、次の難易度のワークが出題される。
【0098】
判定の結果、1回目のワークでクリアできなかったため、2回目のワークを変更し、4回目のワークでクリアしているが、研修で得られた知識をより定着させるために、受講者が次の研修プログラムを受ける際には応用のワークを再度出題するものとする備忘録を受検DB141に記憶しておく。
【0099】
本研修プログラムにおいて、1回目から3回目までの研修を終えて全体を通して、この受講者は、習得度が高いため個人スキルとしては十分定着したと言える。但し、よりスキルレベルを高めるためにはアウトプットをするとよいため、サーバ10は、周囲へのOJT等、アウトプットの場面を設けるようなレコメンドを受講者に提示する。
また、サーバ10は、研修プログラム全体を通してチェック項目[2]について不安定さがあるため、チェック項目[2]のスキルをより定着させるためのレコメンドを提示する。
【0100】
研修終了後、例えば3か月等(所定期間)が経過したタイミングで、サーバ10は、受講者に対して簡単なテストを実施することにより受講者の課題の定着状況を判定する。
サーバ10は、例えば受講者についての、当該研修の終了後に測定したスキルレベルと、最後の研修の到達目標レベルとに基づいて、本研修プログラムに関する受講者に向けたレコメンドを生成する。
具体的には、サーバ10は、研修の終了後に測定したスキルレベルと、テストの結果(課題の定着状況の判定結果)から、スキルレベルの定着状況(スキルレベルの変化等)を判定し、当該定着状況に応じて、研修の効果を維持するための適切なレコメンドを、受講者の受講者端末20に提示する。スキルレベルの定着状況の判定結果として、例えばスキルレベルが低下していれば上げる方向のレコメンドを生成し受講者に提示(出力)する。
【0101】
このようにこの第2事例によれば、受講者は、「理解納得してもらう話の伝え方、話しの構成」という研修プログラムにおいて、研修動画やテキストの中で話の基本構成を知る、状況に応じた話し方、伝わるように話す等のスキルを身に付けるとともに、研修後に受講者に提示されるレコメンドにより、研修で得られた「理解納得してもらう話の伝え方、話しの構成」という知識を維持し自身に定着させることができる。
【0102】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0103】
例えば、
図2に示したハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0104】
また、
図3に示したサーバ10の機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理装置に備えられていれば足り、この機能を情報処理装置が実現するためにどのような機能ブロック及びデータベースを用いるのかは、特に
図3の例に限定されない。
【0105】
また、機能ブロック及びデータベースは、1台のサーバに配置する例を説明したが、配置場所は、
図3に限定されず、複数の情報処理装置に分散して配置してもよく任意でよい。
また、1つの機能ブロック及びデータベースは、ハードウェア単体で構成してもよいし、別々のハードウェアに備えてもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0106】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、情報処理装置のCPU等のコンピュータにネットワークや記録媒体から読み込まれる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムを読み込むことで、各種の機能を実行することが可能な情報処理装置、例えばサーバ等の他、汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータ等に実装されていてもよい。
【0107】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各受講者にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各受講者に提供される記録媒体等で構成される。
【0108】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0109】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものである。
【0110】
例えば、上述の実施形態では、1以上の講座の受講により所定の人材育成が所定期間(例えば3年等)施される予定の受講予定者(ユーザ)の1以上の属性を取得する属性取得部120を例示したが、これは一例にしか過ぎず、1以上の講座の受講により所定の人材育成が所定期間施される予定の対象者の1以上の属性を取得する属性取得手段であれば足りる。
【0111】
上述の実施形態では、研修の到達目標レベルは、能力レベルと同一の尺度の(直接比較可能な)レベルを示す。但し、到達目標レベルは直接比較可能でなくてもよく、必ずしも同一尺度でなくてもよい。
【0112】
上述の実施形態では、チェック項目を4つ例示したが、これは一例にしか過ぎず、チェック項目の数やチェック項目のチェック内容については他の項目や内容であってもよい。
【0113】
上記実施形態では、人材育成の対象者は、会社に勤務する従業員が受講者であったが、これに限定されず、様々な自然人又は法人であってもよい。
例えば会社の他、企業、団体やコミュニティであってもよく、組織の中で研修を受ける対象者であれば足りる。対象者としては、受講者の他、例えば本研修プログラム(本サービス)に加入した会員、社員、所員、署員等であってもよく、対象者であれば足りる。
【0114】
上記実施形態では、研修動画の視聴による受講者のスキルレベルの測定結果に対するゴール(到達目標レベル)の設定や受講者に対するレコメンドの内容の立案をAIモデルが行うものとして説明したが、AIモデルに限らず、研修動画の状況が予め設定した条件に適合したか否かに基づいて機械的に判定してもよい。
研修動画群をデータセットとして、多数のデータセットが学習用データとして用いられて、機械学習が行われることで、AIモデルが生成又は更新されてもよい。
また、AIモデルは、例えば「研修の初期段階で当該研修に関する現時点の能力レベル」を入力すると、「研修の到達目標レベル」を出力しメモリに設定するものであってもよい。
AIモデルに限らず、上述の多数のデータセットを用いて、例えば、「受講者について、複数の研修の夫々の開始前に、当該研修に関する現時点の能力レベル」を入力すると、「当該研修の到達目標レベル」を出力するルールベースのロジックが生成又は更新されてもよい。
【0115】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)は、
複数の研修の受講により所定の人材育成が所定期間(6か月の間に3回等)施される予定の対象者(例えば受講者等)について、前記複数の研修の夫々の開始時(研修開始の直前や研修の初期段階等)に、当該研修に関する現時点の能力レベル(受講者による研修への取り組みチェック項目のうちいくつの項目を満足しているか)に基づいて、当該研修の到達目標レベルを設定する到達レベル設定手段(例えば
図3の到達レベル設定部122等)と、
前記研修の前記到達目標レベルに基づいて、当該研修中に前記対象者(例えば受講者等)が実行すべきワーク(例えば
図6のワーク)と、当該研修後に前記対象者が実行すべき課題(例えば
図6の課題)とのうち少なくとも一方を設定するワーク課題設定手段(例えば
図3のワーク課題設定部123等)と、
を備える。
このように、研修の開始前に現在の能力レベルをチェックし、研修中に対象者(例えば受講者等)が実行すべきワーク(例えば
図5のワーク)と、当該研修後に対象者(例えば受講者等)が実行すべき課題(例えば
図5の課題)とを設定することで、研修1回毎に対象者(例えば受講者等)に適したワークと課題が与えられ、研修と研修の間に課題を日々実践することで、対象者(例えば受講者等)自身の行動が日を追うごとに変容してゆくので、所定期間施される研修を通じて人材育成を支援するにあたり、研修を受講する対象者(例えば受講者等)に研修で得られる知識を定着させることができる。
【0116】
上記情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)において、
前記ワーク課題設定手段(例えば
図3のワーク課題設定部123等)は、前記複数の研修の夫々の終了後に、前記対象者が実際に到達した実到達レベル及び前記到達目標レベルに基づいて、前記課題を設定する。
このように、複数回の研修のうち1回の研修が終了する後に、対象者(例えば受講者等)が実際に到達した実到達レベル及び到達目標レベルに基づいて課題を設定することで、ワークと課題が、対象者(例えば受講者等)の実到達レベルから到達目標レベルにステップアップするのに適したものになり、到達目標のゴールに到達できるようになる。
【0117】
上記情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)において、
前記複数の研修の夫々の終了後に、前記実到達レベル及び前記到達目標レベルに基づいて、次回の研修の構成を設定する研修構成設定手段(例えば
図3の研修構成設定部124等)、
をさらに備える。
このように、複数の研修の夫々の終了後に、実到達レベル及び到達目標レベルに基づいて、次回の研修の構成を設定することで、次回の研修が対象者(例えば受講者等)に適したものになるので、対象者(例えば受講者等)は、研修の内容を容易に理解できるようになり、研修で得られる知識を対象者(例えば受講者等)に定着させることができる。
【0118】
上記情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)において、
前記対象者について、前記複数の研修の夫々の開始前に、当該研修に関する能力レベルを測定する能力測定手段(例えば
図3の能力測定部121等)、
をさらに備える。
このように、複数の研修の夫々の開始前に、対象者(例えば受講者等)の研修に関する能力レベルを測定することで、その時点の対象者(例えば受講者等)の能力レベルが分かるので、以降の研修に関するさまざまな情報(到達目標レベル、研修の構成、ワークや課題等)を対象者(例えば受講者等)の能力レベルに合わせて設定することができる。
【0119】
上記情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)において、
前記到達レベル設定手段(例えば
図3の到達レベル設定部122等)は、前記対象者(例えば受講者等)が所定の研修を受講する前に、当該所定の研修の開始前の前記能力レベル、当該所定の研修に対して予め設定されている共通の到達目標、及び当該所定の研修に関する過去のデータに基づいて、当該対象者についての前記到達目標レベルを設定する。
このように、対象者(例えば受講者等)が所定の研修を受講する前に、当該所定の研修の開始前の能力レベル、当該所定の研修に対して予め設定されている共通の到達目標、及び当該所定の研修に関する過去のデータに基づいて、当該対象者についての到達目標レベルを設定することで、対象者(例えば受講者等)の到達目標レベルに適したワークや課題が研修に提供されるので、対象者(例えば受講者等)は研修の内容を容易に理解できるようになり、研修で得られる知識を対象者(例えば受講者等)に定着させることができる。
【0120】
上記情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)において、
前記能力測定手段(例えば
図3の能力測定部121等)は、さらに、前記対象者(例えば受講者等)について、前記研修のワーク中、又は、前記課題の実行中に前記能力レベルを測定する。
このように、対象者(例えば受講者等)について、研修のワーク中に能力レベルを測定することで、研修後の課題を対象者(例えば受講者等)に適したものにすることができる。また課題の実行中に能力レベルを測定することで、次の研修が開始されるときに研修に利用するワークを対象者(例えば受講者等)に適したものにすることができる。
【0121】
上記情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)において、
前記ワーク課題設定手段(例えば
図3のワーク課題設定部123等)は、
前記研修の前記到達目標レベルに基づいて、前記対象者が実行すべき前記ワークについて、内容、難易度、及び個数のうち少なくとも1つを設定する。
このように、研修の到達目標レベルに基づいて、対象者(例えば受講者等)が実行すべきワークについて、内容、難易度、及び個数のうち少なくとも1つを設定することで、研修に用いるワークの内容が対象者(例えば受講者等)に適したものになり、研修において、対象者(例えば受講者等)は、自分の実力でワークを進めることができる。
【0122】
上記情報処理装置(例えば
図3のサーバ10等)において、
前記能力測定手段(例えば
図3の能力測定部121等)は、さらに、前記対象者(例えば受講者等)について、前記研修の終了後に前記能力レベルを測定し、
前記ワーク課題設定手段(例えば
図3のワーク課題設定部123等)は、前記対象者(例えば受講者等)についての、当該研修の終了後に前記能力測定手段により測定された前記能力レベルと前記到達目標レベルとの差分に基づいて、前記対象者(例えば受講者等)が実行すべき前記ワークについて、内容、難易度、及び個数のうち少なくとも1つを設定する。
このように、対象者について、研修の終了後に能力レベルを測定し、対象者(例えば受講者等)が次回の研修で実行すべきワークについて、内容、難易度、及び個数のうち少なくとも1つを設定することで、次回の研修では、自身の能力レベルにあったワークを用いて研修を受講することができるようになる。
【0123】
前記能力測定手段(例えば
図3の能力測定部121等)は、さらに、前記対象者(例えば受講者等)について、最後の前記研修の終了後に前記能力レベルを測定し、
前記対象者(例えば受講者等)についての、当該研修の終了後に前記能力測定手段(例えば
図3の能力測定部121等)により測定された前記能力レベルと、前記最後の研修の前記到達目標レベルとに基づいて、前記所定の人材育成に関する所定のレコメンドを生成するレコメンド生成手段(例えば
図3のレコメンド部125等)と、
を備える。
このように、各回の研修の終了後に測定した能力レベルと、最後の研修の到達目標レベルとに基づいて、所定の人材育成に関する所定のレコメンドを生成し対象者(例えば受講者等)に提示することで、最後の研修を修了した後も対象者(例えば受講者等)は、レコメンドに従って自身の能力を向上すべく研修で得られた知識を意識した行動を実践し、研修の効果を維持することができる。
【0124】
本発明が適用される情報処理方法は、
複数の研修の受講により所定の人材育成が所定期間施される予定の対象者(受講者)について、前記複数の研修の夫々の開始時(研修開始の直前や研修の初期段階等)に、当該研修に関する現時点の能力レベルに基づいて、当該研修の到達目標レベルを設定する到達レベル設定ステップ(例えば
図4の到達レベル設定ステップS12等)と、
前記研修の前記到達目標レベルに基づいて、当該研修中に前記対象者が実行すべきワークと、当該研修後に前記対象者が実行すべき課題とのうち少なくとも一方を設定するワーク課題設定ステップ(例えば
図4のワーク課題設定ステップS13等)と、
を含む。
これにより、研修1回毎に対象者に適したワークと課題が与えられ、研修と研修の間に課題を日々実践することで、対象者自身の行動が日を追うごとに変容してゆくので、所定期間施される研修を通じて人材育成を支援するにあたり、研修を受講する対象者(例えば受講者等)に研修で得られる知識を定着させることができる。
【0125】
本発明が適用されるプログラムは、
コンピュータに、
複数の研修の受講により所定の人材育成が所定期間施される予定の対象者について、前記複数の研修の夫々の開始時(研修開始の直前や研修の初期段階等)に、当該研修に関する現時点の能力レベルに基づいて、当該研修の到達目標レベルを設定する到達レベル設定ステップ(例えば
図4の到達レベル設定ステップS12等)と、
前記研修の前記到達目標レベルに基づいて、当該研修中に前記対象者が実行すべきワークと、当該研修後に前記対象者が実行すべき課題とのうち少なくとも一方を設定するワーク課題設定ステップ(例えば
図4のワーク課題設定ステップS13等)と、
を含む制御処理を実行させる。
これにより、研修1回毎に対象者に適したワークと課題が与えられ、研修と研修の間に課題を日々実践することで、対象者自身の行動が日を追うごとに変容してゆくので、所定期間施される研修を通じて人材育成を支援するにあたり、研修を受講する対象者(例えば受講者等)に研修で得られる知識を定着させることができる。
【符号の説明】
【0126】
1・・・情報処理システム、10・・・サーバ、20、20-1、20-n・・・受講者端末、101・・・CPU、102・・・ROM、103・・・RAM、104・・・バス、105・・・入出力インターフェース、106・・・出力部、107・・・入力部、108・・・記憶部、109・・・通信部、110・・・ドライブ、111・・・リムーバブルメディア、121・・・能力測定部、122・・・到達レベル設定部、123・・・ワーク課題設定部、124・・・研修構成設定部、125・・・レコメンド部、126・・・表示制御部、141・・・受検DB、NW・・・ネットワーク