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  • 特開-グリーティングカード作成キット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009733
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】グリーティングカード作成キット
(51)【国際特許分類】
   B42D 15/02 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
B42D15/02 511A
B42D15/02 501G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022122223
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】521338134
【氏名又は名称】有限会社原電業
(72)【発明者】
【氏名】原 素子
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005WA09
2C005XB06
(57)【要約】
【課題】写真やメッセージのやり取りや鑑賞を楽しむためのデジタルとは異なる方法を実現するために利用できる、改良されたハガキを代表とするグリーティングカード作成キットを提供する。
【解決手段】所定の形状に形成されたカードと、そのカードの表面を覆いカード外縁に沿ってくるみ込むことが可能なサイズと形状とを有した少なくとも一部が透明なフィルムとで構成されたグリーティングカード作成キットであって、そのフィルムには、カード外縁をくるみ込みカード裏面に向けて折られる耳部におけるカード裏面に当接する面の一部または全部に粘着性物質が塗布される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状のカードと、そのカードの表面を覆いカードの外縁に沿ってくるみ込むことが可能なサイズと形状を有した透明あるいは一部が透明なフィルムとで構成されたグリーティングカード作成キットであって、
そのフィルムには、カードの外縁をくるみ込みカードの裏面に向けて折られる耳部が設けられており、その耳部の前記カードの裏面に当接する面の一部または全部に粘着性物質が塗布されることを特徴とする、
グリーティングカード作成キット。
【請求項2】
請求項1のグリーティングカード作成キットにおいて、
前記カードの片面か前記フィルムの前記カードに当接する面のいずれか或いはそれらの両方について、その一部または全部に粘着性物質が塗布されていることを特徴とする、
グリーティングカード作成キット。
【請求項3】
請求項1または請求項2のグリーティングカード作成キットにおいて、
粘着性物質が塗布された面に剥離シートが取着されていることを特徴とする、
グリーティングカード作成キット。
【請求項4】
請求項1または請求項2のグリーティングカード作成キットにおいて、
カードの外縁の一部とそれに対応するフィルムの一部とが予め固定されていることを特徴とする、
グリーティングカード作成キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム状カバーを付けたグリーティングカードに関する。
【背景技術】
【0002】
ハガキは6グラムまでの重量であれば同料金で送付できることから、これまで写真(例えば実開昭62-111871号)やプリペイドカード(例えば実開平6-12071号)やICカード(例えば特開2009-18502号)をハガキに取り付けて送付し、受取り者が受け取り後それら写真、プリペイドカード、ICカードを取り出せるような工夫がなされてきた。
これらは写真、プリペイドカード、ICカードを受け取る手段としてハガキという形態を利用しており、前記の写真などを保護していた透明フィルムやプラスチックカバーなどを剥がすあるいは破って目的の写真などを受取り者が手にすることを期待して作成されてきた。
【0003】
近年は、写真や文章やデータを相手に送る方法としてのハガキの使用機会は減少する一方であり代わってネット通信によってのやりとりが主流となっている。写真も日常生活において撮影する機会は激増しているが、その写真を他者に見せる方法はもっぱらデジタルであり、プリントアウトして渡すといった方法は少数である。
【0004】
しかしながら、比較的若年層においてはデジタルが当たり前となっていても高齢者層においてはまだまだ当然のものでは無い。ちょっとした機器の操作ミスでデジタル化された写真を失くしてしまったり見られなくしてしまったりしてしまうといったトラブルも十分に考えられ、自身でそれらのトラブルに対処することも難しい。
【0005】
また、スマートフォンなどでデジタル化された写真を閲覧するとき、画像がスマートフォンサイズで小さいことや、一度に見られるのは一枚のみである事も不便を生じさせる。一般に視力に不自由が多い高齢者にとっては、このようなサイズの写真は楽に鑑賞するには小さすぎるし、多人数で画像を見たい場合にはスマートフォンに画像を映し出してスマートフォン本体を順に回して覗き込むことになる。たくさんの写真を見たり見せたかったりする場合の不便はいうまでも無い。
また、複数の写真を並べて表示して見比べたりする事も困難である。
つまり、上記のようなデジタル化された写真に代表されるデジタル情報の欠点は、誰もが気軽にいつでも任意の情報を見られない事である。
【0006】
一方で、近年スマートフォンで撮影した写真をその場でプリントアウトできる機器の利用が若年層においても増加しており、デジタル化が主流であっても実体物としての写真に対するニーズは決して消えてはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭62-111871号公報
【特許文献2】実開平6-12071号公報
【特許文献3】特開2009-18502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、写真やメッセージをデジタル情報化する事なくやり取りする事で前述のような不便な状況を解消し、同時に写真やメッセージのやり取りや鑑賞を楽しむ別の方法を実現するために利用できる、改良されたハガキを代表とするグリーティングカード作成キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、例えば図1から図5に示すように、グリーティングカード作成キット10を次のように構成した。
すなわち、所定の形状に形成されたカード20と、そのカード20の表面24を覆いカード20外縁に沿ってくるみ込むことが可能なサイズと形状とを有した少なくとも一部が透明なフィルム30とで構成されたグリーティングカード作成キット10であって、そのフィルム30には、カード20の外縁をくるみ込みカード20の裏面26に向けて折られる耳部32が設けられており、その耳部32の上記カード20の裏面26に当接する面の一部または全部に粘着性物質60が塗布されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のグリーティングカード作成キット10においては、前記カード20の表面24及び前記フィルム30の上記カード20の表面24に当接する面の少なくとも一方に、その一部または全部に粘着性物質60が塗布されていることが好ましい。
【0011】
または、本発明のグリーティングカード作成キット10においては、粘着性物質60が塗布された面に剥離シート40が取着されていることも好ましい。
【0012】
さらに、本発明のグリーティングカード作成キット10においては、カード20の外縁の一部とそれに対応するフィルム30の耳部32とが予め固定されていることも好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、デジタル情報としてではなく実体物としての写真やメッセージ、イラストを気軽にグリーティングカードにレイアウトして見せたい相手に送ることができ、受け取った者はこれらのグリーティングカードをそのまま保存したり飾ったりしていつでも気軽に鑑賞することができるし、人に見せるときにもデジタル情報としての写真やメッセージにおいては難しかった複数枚を同時に見せたり複数の人に同時に見せたりといったことがより簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態(第1実施形態)のグリーティングカード作成キットの使用前の状態を示す斜視図である。
図2図1におけるA-A’切断面を模式的に表した部分拡大図である。
図3】本発明の一実施形態(第1実施形態)のグリーティングカード作成キットを利用作成するために、フィルムと剥離シートをカードからめくって外して展開した状態を示した説明図である。
図4】本発明の一実施形態(第1実施形態)のグリーティングカード作成キットにおいて、デコレーションの作成後にフィルムから剥離シートを剥離した状態を示した説明図である。
図5】本発明の一実施形態(第1実施形態)のグリーティングカード作成キットのカードにフィルムを装着し、裏面から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に本発明のグリーティングカード作成キットの第1実施形態について図1から図5を用いて説明する。
【0016】
本実施形態のグリーティングカード作成キット10はハガキとして使用できるものであって、カード20とフィルム30と剥離シート40にて大略構成される。
【0017】
カード20はハガキとして使用できるサイズの長方形の扁平部材であり、その材質はハガキとしての強度を得ることが可能で且つ表面にペンや鉛筆で書き込むことが可能な艶消し加工等がされた軽量で薄いプラスチック等の素材で形成される。
なお、ハガキとして使用できるのであれば、必ずしも長方形である必要はなく、例えば正方形や五角形、八角形等でも良いし、素材も強度や重量に問題がなければ紙などでも構わない。
また、カード表面24は白地や色無地の他、多色使いや柄入りであることも好ましい。
【0018】
フィルム30は薄く透明であり軽量なプラスチック等で出来ており、前記カード20の表面24を覆いカード20の四辺に沿ってくるみ込むことが可能なサイズと形状の耳部32を有している。
耳部32は、必ず透明である必要はないし、カード20の表面24を覆う部分であるフィルム30の表部36は、カード20の表面24へのデコレーション60が視認できることが必要であるが一部が透明でないことも可能である。つまり、透明ではない或いは半透明な部分が存在していてもよく、例えば柄としてそのような部分を作ることも可能である。
【0019】
粘着性物質60は、フィルム30のカード20に当接する部分や、カード20の最終的にフィルム30に当接する部分の表面に塗布され、それぞれ粘着部33、滑り止め部22として機能する部材である。この粘着性物質60の原料としては。ポリビニールピロリドンをゲル化剤や水、アルコール類で溶解混合したものや、アクリル酸エステル樹脂やラバーなどを例示することができる。
【0020】
剥離シート40は、前記カード20の表面24に塗布された滑り止め部22としての粘着性物質60や、前記フィルム30の表面34(フィルム表部36におけるカード表面24への当接面)や耳部32の耳部表面38(前記カード20の裏面26への当接面)に塗布された粘着部33としての粘着性物質60が他に移着しないように覆う薄い部材である。この剥離シート40は、前記カード表面24や前記フィルム表面34及び前記耳部表面38を損傷することなく剥離できる素材であり、具体的には、例えばプラスチックフィルムや紙などのシート基材の表面に、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理が施されたものを例示することができる。
本実施形形態では、前記カード表面24とフィルム表面34及び耳部表面38を同時に覆うため、その形状はフィルム30の同形である。
しかし、前述の滑り止め部22やフィルム表面34の粘着部33が存在せず、耳部表面38のみに粘着部33が存在する場合は、剥離シートは耳部表面38のみを覆う形状のものにすることもできる。
【0021】
以下、前述の4つの部材について詳述する。
まず、カード20の一つの辺とフィルム30の一つの辺とは、フィルム30が最終的にカード20を包み込める状態であることを前提に接辺50にて予め接着している。または、接辺50に当たる耳部32が予めカード裏面26の対応する部分に接着している形状も好ましい(図5参照)。
剥離シート40は、前述のカード20とフィルム30とをその接辺50で折り曲げた際の間に、それぞれに塗布された粘着性物質60から剥離可能に挟まっている。
【0022】
カード20のカード表面24には、写真や薄い形状の装飾物を略固定できるように小さなドット状の滑り止め部22が複数存在している。この滑り止め部22は、カード表面24にペンや鉛筆で書き込む際にそれを阻害しないような例えばごく薄く形成された粘着性物質60で作成される。
滑り止め部22は、前記写真が元々シール形態であったりすれば、存在しなくてもカード表面24は情報登載面として機能するが、単純に写真シールを貼ってペンや鉛筆でメッセージ等を書き込むだけでなくより多様な装飾を施す場合にはそれを略固定するために存在する方が便利である。その存在形態はドット状の他縞状なども良い。
但し、写真やその他の装飾物などのデコレーション70作成中にそれらの材料が必要以上に固く接着固定されることや作成中の手指が誤って張り付いてしまうことを回避するため、滑り止め部22が強力な接着力を有していることは好ましくない。
【0023】
フィルム30のフィルム表面34と耳部表面38は、その全体が粘着性物質60を塗布した接着部33で覆われている。この接着部33は、フィルム表面34や耳部表面38の全面ではなく例えばドット状や格子状に存在することも好ましいが、耳部表面38については接着強度を高めるためその全体が接着部33で覆われている方が望ましい。接着部33をフィルム表面34に存在させないことも可能であるが、その場合も、耳部表面38はその全体が接着部33で覆われていることが好ましい。
また、耳部32を折れ曲げ易くするために、フィルム30には溝や予めの折れ目が施されていることも好ましい。
加えて、カード表面24上のデコレーション70が色褪せする原因となる有害光線、例えば紫外線を防ぐ機能が、フィルム30に施されていることも大変好ましい。
【0024】
カード20とフィルム30は前述のようにそれぞれの対応する接辺50にて接続しており、それぞれの表面を接するように前記接辺50にて折り曲げたときその間に挟まって取り外し可能に存在するのが剥離シート40である。
本実施形態における剥離シート40の剥離シート表面42と剥離シート裏面44は、それぞれカード表面24とフィルム表面34及び耳部表面38を同時に保護するため、両面に上述の剥離処理が施されている。
また、剥離シート40をフィルム30からめくりやすいように、フィルム30の一部あるいは複数の角部分から接着力を無くす、或いは剥離シート40の一部あるいは複数の角部分の摩擦力を減じて、剥離シート40とフィルム30とが一時固定されない角を設けることも好ましい。
加えて、使用者がフィルム30をデコレーション70が施されたカード20との間に空気や異物ができるだけ挟まらないように貼り付けるために、剥離シート40は複数に分割され順次剥離できるようにされることも好ましい。また、耳部表面38に対応する部分を分離して剥離できるように剥離シート40が分割されているのも良い。
【0025】
次いで、本実施形態のグリーティングカード作成キット10の使用手順を説明する。
図1が使用前の状態である。カード20、剥離シート40、フィルム30が重なって一時固定されている。
この状態から、使用者はまず剥離シート40とフィルム30を重ねたまま同時にカード20からめくるように剥離して開く。この時、接辺50の存在によりカード20とフィルム30とは完全に分離することは無い(図3参照)。
【0026】
使用者は、カード表面24に写真などの装飾物を配置し好みや必要に応じてペンや鉛筆でイラストやメッセージを書き込む。
カード表面24に前述のようにデコレーション70が完成したら、使用者は剥離シート40をフィルム30からゆっくりと剥がした後(図4参照)、カード20との間にできるだけ空気が入らないようにフィルム30を接辺50周辺から順に貼り付けるようにカード表面24を覆っていく。
カード表面24がフィルム30で覆えたら、耳部32を三方向からカード20のそれぞれ対応する辺をくるむように折り曲げてカード裏面26に貼り付ける(図5参照)。
【0027】
なお、本実施形態においては剥離シート40を使用しているが、カード20やフィルム30に塗布された粘着性物質60が、単に圧着により粘着効果を発揮する場合は、必ずしも剥離シート40を用いる必要はない。
【符合の説明】
【0028】
10:グリーティングカード作成キット,20:カード,22:滑り止め部,24:(カードの)表面,26:(カードの)裏面,30:フィルム,32:耳部,33:粘着部,34:(フィルムの)表面,36:(フィルムの)表部,38:耳部表面,40:剥離シート,42:剥離シート表面,44:剥離シート裏面,60:粘着性物質,70:デコレーション
図1
図2
図3
図4
図5