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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009735
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】架台
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20240116BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20240116BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/23 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143448
(22)【出願日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2022111053
(32)【優先日】2022-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522225538
【氏名又は名称】イーソルテック合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】小林 修一
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK01
(57)【要約】
【課題】家屋の屋根面に対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる架台を提供する。
【解決手段】架台1は、ベース10と、スライド金具20と、固定ユニット30と、第1の留め具B1と、第2の留め具B2とを備える。固定ユニット30は、スライド金具20に設置されると共に、屋根面の面上に設置される太陽光パネルPを固定する。固定ユニット30の受け部材31には、太陽光パネルPが載置される載置面31bが形成されている。固定ユニット30の固定ユニット本体32は、第2の留め具B2によって、載置面31bに対して太陽光パネルPを押さえつつ固定可能に形成されていると共に、受け部材31に固定される。第1の留め具B1は、第2の留め具B2による受け部材31と固定ユニット本体32との固定を維持しつつ、スライド金具20と固定ユニット30との固定が解除可能に取り付けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋の屋根面に取り付けられると共に、第1溝が第1方向に沿って形成されているベースと、
前記第1溝に対して前記第1方向にスライド可能に嵌め込まれているスライド部材と、
前記スライド部材に設置されると共に、前記屋根面の面上に設置される設置対象を固定するための固定ユニットと、
前記スライド部材に対して前記固定ユニットを固定するための第1の留め具と、
前記固定ユニットに取り付けられている第2の留め具と、
を備え、
前記固定ユニットは、
前記設置対象が載置される載置部が形成されている受け部材と、
前記第2の留め具によって、前記載置部に対して前記設置対象を押さえつつ固定可能に形成されていると共に、前記受け部材に固定される固定ユニット本体と、を有し、
前記第1の留め具は、前記第2の留め具による前記受け部材と前記固定ユニット本体との固定を維持しつつ、前記スライド部材と前記固定ユニットとの固定が解除可能に取り付けられている、架台。
【請求項2】
前記第1の留め具は、軸心回りに回転することで前記スライド部材及び前記固定ユニットに取り付けられる部材から構成されている、請求項1に記載の架台。
【請求項3】
前記第1の留め具には、前記スライド部材と前記固定ユニットとの固定を解除するための工具が嵌まる第1被嵌込部が形成され、
前記第1被嵌込部は、少なくとも前記第1の留め具の軸心方向に外部に露出する、請求項2に記載の架台。
【請求項4】
前記固定ユニットには、前記第1被嵌込部を外部に露出させる孔又は切欠きが形成されている、請求項3に記載の架台。
【請求項5】
前記第2の留め具は、軸心回りに回転することで前記固定ユニットに取り付けられる部材から構成され、
前記第2の留め具は、その軸心が前記第1の留め具の軸心と平行に設けられている、請求項2に記載の架台。
【請求項6】
前記固定ユニットは、
前記スライド部材に固定されると共に、前記受け部材を支持することで、前記ベースに対する前記設置対象の高さを高くするための中継部材を有する、請求項1に記載の架台。
【請求項7】
前記固定ユニットは、
前記中継部材に前記受け部材を支持すると共に、軸心回りに回転することで前記中継部材及び前記受け部材に取り付けられる部材から構成されている第3の留め具を有し、
前記受け部材は、前記第3の留め具が軸心回りに回転することで、前記中継部材に対して昇降可能に設けられている、請求項6に記載の架台。
【請求項8】
前記第3の留め具には、前記スライド部材と前記固定ユニットとの固定を解除するための工具が嵌まる第2被嵌込部が形成され、
前記第2被嵌込部は、少なくとも前記第3の留め具の軸心方向に外部に露出する、請求項7に記載の架台。
【請求項9】
前記固定ユニット本体には、前記第2被嵌込部を外部に露出させる孔又は切欠きが形成されている、請求項8に記載の架台。
【請求項10】
前記中継部材には、前記ベースに対して前記中継部材が前記第3の留め具の軸心回りに回転しないように規制する回転規制部が形成されている、請求項7に記載の架台。
【請求項11】
前記受け部材には、前記固定ユニットに固定されている前記設置対象の重みを受ける受圧面が形成されている、請求項1に記載の架台。
【請求項12】
前記受け部材の前記載置部は、一部が凹んで形成されている、請求項1に記載の架台。
【請求項13】
前記ベースは、内側に前記第1溝を形成する一対の側壁部を有し、
一対の前記側壁部のそれぞれの対向面には、前記スライド部材の一部が嵌まると共に、前記第1方向に沿って形成されている一対の第2溝が形成されている、請求項1に記載の架台。
【請求項14】
一対の前記第2溝の少なくとも一方には、前記ベースに対する前記スライド部材の前記第1方向へのスライドを規制するスライド規制部が形成されている、請求項13に記載の架台。
【請求項15】
前記スライド規制部は、前記側壁部が押されることによって、前記第2溝が潰されて形成されている部分である、請求項14に記載の架台。
【請求項16】
前記家屋は、軒と、前記軒よりも上方に配置される棟と、を有する建造物であり、
前記ベースには、
前記屋根面に取り付けるための屋根面取付け用留め具が挿入される第1の留め具挿入用孔及び第2の留め具挿入用孔と、
前記屋根面取付け用留め具が挿入されると共に、前記第1の留め具挿入用孔及び前記第2の留め具挿入用孔よりも、前記家屋の前記棟から前記軒への方向である軒棟方向において前記軒寄りに設けられている第3の留め具挿入用孔及び第4の留め具挿入用孔と、が形成されている、請求項1に記載の架台。
【請求項17】
前記第1の留め具挿入用孔及び前記第2の留め具挿入用孔は、前記軒棟方向に直交する第2方向における間隔が、前記第3の留め具挿入用孔及び前記第4の留め具挿入用孔の前記第2方向における形成位置の間隔よりも広く形成されている、請求項16に記載の架台。
【請求項18】
前記第1の留め具挿入用孔及び前記第2の留め具挿入用孔は、それらの間に前記第1溝が設けられる位置に形成され、
前記第1の留め具挿入用孔は、前記第2の留め具挿入用孔の形成位置よりも前記軒棟方向にずれた位置に形成されている、請求項16に記載の架台。
【請求項19】
前記第3の留め具挿入用孔及び前記第4の留め具挿入用孔は、それらの間に前記第1溝が設けられる位置に形成され、
前記第3の留め具挿入用孔は、前記第4の留め具挿入用孔の形成位置よりも前記軒棟方向にずれた位置に形成されている、請求項16又は18に記載の架台。
【請求項20】
前記固定ユニットの少なくとも一部を覆うカバーを備え、
前記家屋は、軒と、前記軒よりも上方に配置される棟と、を有する建造物であり、
前記カバーは、前記固定ユニットにおいて、前記家屋の前記棟から前記軒への方向である軒棟方向の前記軒側を覆う、請求項1に記載の架台。
【請求項21】
前記ベースは、方形板状に形成されているベース本体を有し、
前記家屋は、軒と、前記軒よりも上方に配置される棟と、を有する建造物であり、
前記ベース本体には、前記方形板状の前記棟側の角において、前記第1方向に対して傾斜する傾斜面が形成されている、請求項1に記載の架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、家屋の屋根面に取り付けられる金具本体に、下側スライド体及び上側スライド体が固定ボルトによって連結されている屋根上設置物取付金具が開示されている。また、この屋根上設置物取付金具には、屋根上設置物取付金具の取付対象であるソーラーパネルの外周縁部を押さえ込んで固定する固定部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5863879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の屋根上設置物取付金具を用いて、家屋の屋根面にソーラーパネルを設置、取外し作業を行う場合、固定ボルトを取り外すことにより、家屋の屋根面から屋根上設置物取付金具を取り外すと、ソーラーパネルも必ず取り外される。このため、家屋の屋根面に対するソーラーパネルの設置、取り外しの作業効率に課題があり、作業効率の向上が望まれる。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、家屋の屋根面に対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる架台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明に係る架台は、
家屋の屋根面に取り付けられると共に、第1溝が第1方向に沿って形成されているベースと、
前記第1溝に対して前記第1方向にスライド可能に嵌め込まれているスライド部材と、
前記スライド部材に設置されると共に、前記屋根面の面上に設置される設置対象を固定するための固定ユニットと、
前記スライド部材に対して前記固定ユニットを固定するための第1の留め具と、
前記固定ユニットに取り付けられている第2の留め具と、
を備え、
前記固定ユニットは、
前記設置対象が載置される載置部が形成されている受け部材と、
前記第2の留め具によって、前記載置部に対して前記設置対象を押さえつつ固定可能に形成されていると共に、前記受け部材に固定される固定ユニット本体と、を有し、
前記第1の留め具は、前記第2の留め具による前記受け部材と前記固定ユニット本体との固定を維持しつつ、前記スライド部材と前記固定ユニットとの固定が解除可能に取り付けられている。
【0007】
前記第1の留め具は、軸心回りに回転することで前記スライド部材及び前記固定ユニットに取り付けられる部材から構成されてもよい。
【0008】
前記第1の留め具には、前記スライド部材と前記固定ユニットとの固定を解除するための工具が嵌まる第1被嵌込部が形成され、
前記第1被嵌込部は、少なくとも前記第1の留め具の軸心方向に外部に露出してもよい。
【0009】
前記固定ユニットには、前記第1被嵌込部を外部に露出させる孔又は切欠きが形成されてもよい。
【0010】
前記第2の留め具は、軸心回りに回転することで前記固定ユニットに取り付けられる部材から構成され、
前記第2の留め具は、その軸心が前記第1の留め具の軸心と平行に設けられてもよい。
【0011】
前記固定ユニットは、
前記スライド部材に固定されると共に、前記受け部材を支持することで、前記ベースに対する前記設置対象の高さを高くするための中継部材を有してもよい。
【0012】
前記固定ユニットは、
前記中継部材に前記受け部材を支持すると共に、軸心回りに回転することで前記中継部材及び前記受け部材に取り付けられる部材から構成されている第3の留め具を有し、
前記受け部材は、前記第3の留め具が軸心回りに回転することで、前記中継部材に対して昇降可能に設けられてもよい。
【0013】
前記第3の留め具には、前記スライド部材と前記固定ユニットとの固定を解除するための工具が嵌まる第2被嵌込部が形成され、
前記第2被嵌込部は、少なくとも前記第3の留め具の軸心方向に外部に露出してもよい。
【0014】
前記固定ユニット本体には、前記第2被嵌込部を外部に露出させる孔又は切欠きが形成されてもよい。
【0015】
前記中継部材には、前記ベースに対して前記中継部材が前記第3の留め具の軸心回りに回転しないように規制する回転規制部が形成されてもよい。
【0016】
前記受け部材には、前記固定ユニットに固定されている前記設置対象の重みを受ける受圧面が形成されてもよい。
【0017】
前記受け部材の前記載置部は、一部が凹んで形成されてもよい。
【0018】
前記ベースは、内側に前記第1溝を形成する一対の側壁部を有し、
一対の前記側壁部のそれぞれの対向面には、前記スライド部材の一部が嵌まると共に、前記第1方向に沿って形成されている一対の第2溝が形成されてもよい。
【0019】
一対の前記第2溝の少なくとも一方には、前記ベースに対する前記スライド部材の前記第1方向へのスライドを規制するスライド規制部が形成されてもよい。
【0020】
前記スライド規制部は、前記側壁部が押されることによって、前記第2溝が潰されて形成されている部分であってもよい。
【0021】
前記家屋は、軒と、前記軒よりも上方に配置される棟と、を有する建造物であり、
前記ベースには、
前記屋根面に取り付けるための屋根面取付け用留め具が挿入される第1の留め具挿入用孔及び第2の留め具挿入用孔と、
前記屋根面取付け用留め具が挿入されると共に、前記第1の留め具挿入用孔及び前記第2の留め具挿入用孔よりも、前記家屋の前記棟から前記軒への方向である軒棟方向において前記軒寄りに設けられている第3の留め具挿入用孔及び第4の留め具挿入用孔と、が形成されてもよい。
【0022】
前記第1の留め具挿入用孔及び前記第2の留め具挿入用孔は、前記軒棟方向に直交する第2方向における間隔が、前記第3の留め具挿入用孔及び前記第4の留め具挿入用孔の前記第2方向における形成位置の間隔よりも広く形成されてもよい。
【0023】
前記第1の留め具挿入用孔及び前記第2の留め具挿入用孔は、それらの間に前記第1溝が設けられる位置に形成され、
前記第1の留め具挿入用孔は、前記第2の留め具挿入用孔の形成位置よりも前記軒棟方向にずれた位置に形成されてもよい。
【0024】
前記第3の留め具挿入用孔及び前記第4の留め具挿入用孔は、それらの間に前記第1溝が設けられる位置に形成され、
前記第3の留め具挿入用孔は、前記第4の留め具挿入用孔の形成位置よりも前記軒棟方向にずれた位置に形成されてもよい。
【0025】
前記固定ユニットの少なくとも一部を覆うカバーを備え、
前記家屋は、軒と、前記軒よりも上方に配置される棟と、を有する建造物であり、
前記カバーは、前記固定ユニットにおいて、前記家屋の前記棟から前記軒への方向である軒棟方向の前記軒側を覆ってもよい。
【0026】
前記ベースは、方形板状に形成されているベース本体を有し、
前記家屋は、軒と、前記軒よりも上方に配置される棟と、を有する建造物であり、
前記ベース本体には、前記方形板状の前記棟側の角において、前記第1方向に対して傾斜する傾斜面が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る架台においては、第1の留め具は、第2の留め具による受け部材と固定ユニット本体との固定を維持しつつ、スライド部材と固定ユニットとの固定が解除可能に取り付けられている。このため、本発明に係る架台においては、固定ユニットが設置対象を固定したまま、スライド部材から固定ユニットを取り外すことが可能になる。この結果、本発明に係る架台は、家屋の屋根面に対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施の形態1に係る架台の斜視図である。
図2】実施の形態1に係る架台の側面図である。
図3】実施の形態1に係る架台の分解斜視図である。
図4】実施の形態1に係る架台の分解断面図(その1)である。
図5】実施の形態1に係るベースの平面図である。
図6図4のA-A断面図である。
図7】実施の形態1に係る架台の分解断面図(その2)である。
図8】実施の形態1に係る架台の効果を説明するための斜視図(その1)である。
図9A】実施の形態1に係る架台の効果を説明するための斜視図(その2)である。
図9B】実施の形態1に係る架台の効果を説明するための斜視図(その3)である。
図10】(A)は、実施の形態1に係る架台の効果を説明するための断面図(その1)である。(B)は、実施の形態1に係る架台の効果を説明するための断面図(その2)である。
図11】実施の形態1に係る架台の効果を説明するための側面図(その1)である。
図12】実施の形態1に係る架台の効果を説明するための側面図(その2)である。
図13】実施の形態1に係る架台の効果を説明するための側面図(その3)である。
図14】実施の形態1に係る架台の効果を説明するための側面図(その4)である。
図15A】実施の形態1に係る架台の効果を説明するための断面図(その3)であると共に、図4のB-B断面に対応する図である。
図15B】実施の形態1に係る架台の効果を説明するための斜視図(その4)である。
図16】実施の形態2に係る架台の斜視図である。
図17】実施の形態2に係る架台の側面図である。
図18】実施の形態2に係る架台の分解斜視図である。
図19】実施の形態2に係る架台の効果を説明するための斜視図(その1)である。
図20】実施の形態2に係る架台の効果を説明するための断面図である。
図21】実施の形態2に係る架台の効果を説明するための斜視図(その2)である。
図22】実施の形態2に係る架台の効果を説明するための斜視図(その3)である。
図23】実施の形態2に係る架台の効果を説明するための斜視図(その4)である。
図24】実施の形態3に係る架台の斜視図である。
図25】架台の別の使用状態を示す斜視図である。
図26】実施の形態4に係る架台の斜視図である。
図27】実施の形態4に係る架台の分解斜視図である。
図28】実施の形態4に係る架台の側面図である。
図29】実施の形態4に係る架台において、固定ユニットへのカバーの取付けを説明するための側面図(その1)である。
図30】実施の形態4に係る架台において、固定ユニットへのカバーの取付けを説明するための側面図(その2)である。
図31】実施の形態5に係る架台の側面図である。
図32】実施の形態5に係る架台の分解側面図である。
図33】実施の形態5に係る架台のスペーサーの図(その1)である。
図34】実施の形態5に係る架台のスペーサーの図(その2)である。
図35】実施の形態6に係る架台の分解斜視図(その1)である。
図36】実施の形態6に係る架台の分解斜視図(その2)である。
図37】実施の形態7に係る架台の斜視図である。
図38】実施の形態7に係るベースの効果を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係る架台1について、図を用いて説明する。なお、理解を容易にするために、XYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0030】
架台1は、図1及び図2に示すように、例えば、家屋の屋根面Rに取り付けられ、屋根面Rの面上に設置される設置対象としての太陽光パネルPを支持するために用いられる。なお、本実施の形態1において、架台1が取り付けられる家屋は、軒と、軒よりも上方に配置される棟とを有する建造物である。実施の形態1に係る架台1は、ベース10と、スライド金具20(スライド部材)と、固定ユニット30とを備える。また、架台1は、図3及び図4に示すように、第1の留め具B1と、第2の留め具B2とを備える。
【0031】
ベース10は、家屋の屋根面Rに取り付けられると共に、第1溝10aが形成されている部材である。ベース10は、例えば、金属より形成されている。このベース10は、第1溝10aが設けられている溝形成部分11と、溝形成部分11から+Y方向及び-Y方向に張り出されて形成されている板状のフランジ部分14R、14Lとを有する。
【0032】
溝形成部分11には、第1溝10aがX軸方向と同一の方向である第1方向D1に沿って形成されている。この溝形成部分11は、内側に第1溝10aを形成する一対の側壁部11R、11Lを有する。一対の側壁部11R、11Lのそれぞれの対向面には、スライド金具20の一部が嵌まる一対の第2溝12R、12Lが形成されている。
【0033】
第2溝12R、12Lは、第1方向D1(X軸方向)に沿って延びるように形成されていると共に、そのYZ断面がL字形状に形成されている。第2溝12R、12Lには、図3に示すように、スライド規制部13R、13Lが形成されている。なお、本実施の形態1においては、スライド規制部13R、13Lは、第2溝12R、12Lそれぞれに形成されていることで、2つ形成されている。しかしながら、これに限られない。スライド規制部13R、13Lは、第2溝12R、12Lの一方に形成されていてもよい。
【0034】
スライド規制部13R、13Lは、ベース10に対するスライド金具20の第1方向D1へのスライドを規制するために形成されている。本実施の形態1においては、スライド規制部13R、13Lは、ベース10に対するスライド金具20の+X方向へのスライドを規制する。また、本実施の形態1においては、スライド規制部13R、13Lは、側壁部11R、11Lが+Z側から工具等で押されることによって、第2溝12R、12Lの一部が潰されて形成されている部分として構成されている。しかしながら、これに限られない。スライド規制部13R、13Lは、側壁部11R、11Lが+Z側から工具等で押される工法以外の工法で形成されていてもよい。
【0035】
フランジ部分14R、14Lには、留め具挿入用孔14a-1~14a-4がZ軸方向に貫通して形成されている。
【0036】
留め具挿入用孔14a-1~14a-4は、屋根面取付け用留め具50(図2参照)が挿入される円孔である。4つの留め具挿入用孔14a-1~14a-4のうちの留め具挿入用孔14a-3、14a-4は、留め具挿入用孔14a-1、14a-2よりも、家屋の棟から軒への方向である軒棟方向において軒寄り(下寄り、+X寄り)に設けられている。なお、本実施の形態1において、軒棟方向は、第1方向D1と同一の方向である。
【0037】
留め具挿入用孔14a-1、14a-2(第1の留め具挿入用孔、第2の留め具挿入用孔)は、図5に示すように、+Z側(上側)から視た平面視において、軒棟方向に直交する第2方向D2の間隔L1が、留め具挿入用孔14a-3、14a-4(第3の留め具挿入用孔、第4の留め具挿入用孔)の第2方向D2における形成位置の間隔L2よりも広く形成されている。また、留め具挿入用孔14a-1、14a-2は、それらの間に第1溝10aが設けられる位置に形成されている。そして、留め具挿入用孔14a-1は、図6に示すように、平面視において、留め具挿入用孔14a-2の中心を通過し、Y軸方向に平行な直線L3からずれた位置に形成されている。これにより、留め具挿入用孔14a-1は、留め具挿入用孔14a-2の形成位置よりも軒棟方向(X軸方向)にずれた位置に形成される。具体的には、本実施の形態1においては、留め具挿入用孔14a-1は、留め具挿入用孔14a-2の形成位置よりも軒棟方向において+X寄り(下寄り)にずれた位置に形成されている。
【0038】
留め具挿入用孔14a-3、14a-4は、留め具挿入用孔14a-1、14a-2と同様に、それらの間に第1溝10aが設けられる位置に形成されている。そして、留め具挿入用孔14a-3は、平面視において、留め具挿入用孔14a-4の中心を通過し、Y軸方向及び直線L3に平行な直線L4からずれた位置に形成されている。これにより、留め具挿入用孔14a-3は、留め具挿入用孔14a-4の形成位置よりも軒棟方向(X軸方向)にずれた位置に形成される。具体的には、本実施の形態1においては、留め具挿入用孔14a-3は、留め具挿入用孔14a-4の形成位置よりも軒棟方向において+X寄り(下寄り)にずれた位置に形成されている。
【0039】
ベース10には、図5に示すように、留め具挿入用孔14a-1~14a-4に加えて、留め具挿入用孔14a-5、14a-6が形成されている。
【0040】
留め具挿入用孔14a-5、14a-6は、第1溝10aの底面に、Z軸方向に貫通して形成されている。留め具挿入用孔14a-6は、留め具挿入用孔14a-5よりも、軒棟方向において軒寄り(下寄り、+X寄り)に設けられている。
【0041】
留め具挿入用孔14a-5は、図6に示すように、留め具挿入用孔14a-1、14a-2の形成位置よりも軒棟方向(X軸方向)にずれた位置に形成される。より具体的には、本実施の形態1においては、留め具挿入用孔14a-5は、留め具挿入用孔14a-1、14a-2の形成位置よりも軒棟方向において-X寄り(上寄り)にずれた位置に形成されている。
【0042】
留め具挿入用孔14a-6は、留め具挿入用孔14a-3、14a-4の形成位置よりも軒棟方向(X軸方向)にずれた位置に形成される。より具体的には、本実施の形態1においては、留め具挿入用孔14a-6は、留め具挿入用孔14a-3、14a-4の形成位置よりも軒棟方向において+X寄り(下寄り)にずれた位置に形成されている。
【0043】
スライド金具20(スライド部材)は、図3に示すように、ベース10の第1溝10aに対して第1方向D1にスライド可能に嵌め込まれている。スライド金具20は、ベース10に対して、第1方向D1における任意の位置で取り付けられることにより、第1方向D1における太陽光パネルPの位置決めを行う。スライド金具20は、例えば、金属より形成されており、具体的には、ベース10と同じ素材の金属より形成されている。このスライド金具20には、ネジ孔20aが形成されている。
【0044】
ネジ孔20aは、第1の留め具B1がねじ込まれると共に、内周面が雌ネジ面に形成されている。このネジ孔20aは、Z軸方向に貫通して形成されている。
【0045】
スライド金具20には、図4に示すように、ネジ孔20aに加えて、一対の嵌込部20bが形成されている。
【0046】
嵌込部20bは、ベース10が有する側壁部11R、11Lに形成されている第2溝12R、12Lに嵌まる部分である。嵌込部20bは、そのYZ断面がL字形状に形成されている。
【0047】
固定ユニット30は、図2に示すように、太陽光パネルPを固定する。固定ユニット30は、図3及び図4に示すように、第1の留め具B1によってスライド金具20に設置される。固定ユニット30は、例えば、金属より形成されており、具体的には、ベース10及びスライド金具20と同じ素材の金属より形成されている。固定ユニット30は、受け部材31と、固定ユニット本体32とを有する。
【0048】
受け部材31は、固定ユニット本体32を受ける金具である。受け部材31には、固定ユニット本体32が嵌め込まれる溝31aがY軸方向に沿って形成されている。溝31aの底面には、図4に示すように、第1の留め具B1が挿入される孔31eと、第2の留め具B2が挿入されるネジ孔31fとがZ軸方向に貫通して形成されている。
【0049】
孔31eは、内周面が雌ネジ面に形成されていない孔である。
【0050】
ネジ孔31fは、内周面が雌ネジ面に形成されている孔である。
【0051】
また、受け部材31には、載置面31b(載置部)と受圧面31cとが形成されている。
【0052】
載置面31bは、図7に示すように、溝31aを内側に形成する一対の側壁部31-1、31-2のうちの一方の側壁部31-1から延設されている延設部31-3(載置部)の上面(+Z側の面)に設けられている。載置面31bには、架台1の設置対象である太陽光パネルPが載置される。また、載置面31bは、概ねXY平面に平行な面から構成され、一部が凹んで形成されている。載置面31bにおいて凹んで形成されている部分は、凹み部31dとして形成されている。
【0053】
受圧面31cは、固定ユニット30に固定される太陽光パネルPの重みを受ける面である。この受圧面31cは、側壁部31-1の-X側の面に形成され、YZ平面に平行な面に形成されている。
【0054】
固定ユニット本体32は、図3に示すように、第2の留め具B2によって、受け部材31に固定される金具である。固定ユニット本体32は、側壁部32-1、32-2と、連結板部32-3、32-4と、延設部32-5、32-6とを有する。
【0055】
側壁部32-1、32-2は、YZ平面に平行な板状に形成されている。側壁部32-1は、受け部材31の側壁部31-1との間に隙間を有しつつ、側壁部31-1に重なって設けられている。側壁部32-2は、受け部材31の側壁部31-2との間に隙間を有しつつ、側壁部31-2に重なって設けられている。
【0056】
連結板部32-3、32-4は、XY平面に平行な板状に形成されている。この連結板部32-3、32-4は、側壁部32-1、32-2を連結する。側壁部32-1、32-2は、2枚の連結板部32-3、32-4によって連結されることにより、固定ユニット本体32の強度を向上させる。連結板部32-4よりも上側(+Z側)に配置されている連結板部32-3と、側壁部32-1、32-2との内側には、Y軸方向に延びる溝が形成される。連結板部32-3には、図7に示すように、第2の留め具B2が挿入される孔が形成されている。同様に、連結板部32-4にも、第2の留め具B2が挿入される孔が形成されている。
【0057】
延設部32-5は、側壁部32-1の上端(+Z側の端部)から延設されている。延設部32-5の下面(-Z側の面)は、載置面31bに対して太陽光パネルPを押さえつつ固定する面として機能する。また、延設部32-5は、その延設方向の長さ(X軸方向の長さ)が、受け部材31の延設部31-3の延設方向の長さ(X軸方向の長さ)よりも短く形成されている。
【0058】
延設部32-6は、側壁部32-2の上端(+Z側の端部)から、延設部32-5の延設方向とは反対の方向に延設されている。延設部32-6の下面(-Z側の面)は、太陽光パネルPを押さえつつ固定する面として機能する。
【0059】
図4に示すように、このように構成されている固定ユニット本体32において、連結板部32-3、32-4のそれぞれには、Z軸方向に貫通する孔32a、32bが形成されている。第1の留め具B1の+Z側の頭部の一部は、図4の矢印A1に示すように、これらの孔32a、32bを通じて外部に露出する。また、孔32a、32bは、第1の留め具B1の頭部がZ軸方向に通過しない大きさに形成されている。
【0060】
第1の留め具B1は、図3及び図4に示すように、例えば、ボルトやネジから構成されている。第1の留め具B1は、軸心回りに回転することでスライド金具20及び固定ユニット30に取り付けられる。この第1の留め具B1は、第2の留め具B2による受け部材31と固定ユニット本体32との固定を維持しつつ、スライド金具20と固定ユニット30との固定が解除可能に、スライド金具20及び固定ユニット30に取り付けられている。また、第1の留め具B1は、その下端がベース10の第1溝10a内に突出するように、スライド金具20及び固定ユニット30に取り付けられている。
【0061】
第1の留め具B1には、スライド金具20と固定ユニット30との固定を解除するための工具が嵌まる被嵌込孔B1a(第1被嵌込部)が形成されている。第1の留め具B1の被嵌込孔B1aは、固定ユニット本体32に形成されている上述の孔32a、32bを通じて、Z軸方向(第1の留め具B1の軸心方向)に外部に露出する。
【0062】
第2の留め具B2は、例えば、ボルトやネジから構成されている。第2の留め具B2は、軸心回りに回転することで固定ユニット30に取り付けられる。この第2の留め具B2は、その軸心が第1の留め具B1の軸心と平行に設けられている。また、第2の留め具B2は、その下端がベース10の溝形成部分11の外に突出するように固定ユニット30に取り付けられている。
【0063】
以上、説明したように、本実施の形態1に係る架台1においては、図8及び図9Aに示すように、第1の留め具B1の被嵌込孔B1aは、孔32a、32bを通じて、Z軸方向に外部に露出する。そして、第1の留め具B1は、第2の留め具B2による受け部材31と固定ユニット本体32との固定を維持しつつ、スライド金具20と固定ユニット30との固定が解除可能に取り付けられる。これにより、架台1においては、固定ユニット30に太陽光パネルPが固定されたまま、スライド金具20から固定ユニット30を取り外すことが可能になる。この結果、実施の形態1に係る架台1は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0064】
また、実施の形態1に係る架台1においては、固定ユニット本体32には、第1の留め具B1の被嵌込孔B1aを外部に露出させる孔32a、32bが形成されている。そして、孔32a、32bはZ軸方向に貫通して形成されている。このため、ユーザは、孔32a、32bに工具を挿入することにより、第1の留め具B1の被嵌込孔B1aに工具を嵌めやすくなる。この結果、実施の形態1に係る架台1は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0065】
また、実施の形態1に係る架台1においては、図9Bに示すように、ユーザが、ベース10に対してスライド金具20を第1方向D1における任意の位置で取り付けることにより、第1方向D1における太陽光パネルPの位置決めを行うことができる。これにより、実施の形態1に係る架台1は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0066】
また、実施の形態1に係る架台1においては、図10(A)に示すように、第1の留め具B1は、ネジ孔20aにねじ込まれている。このため、固定ユニット30は、第1の留め具B1がネジ孔20aに対して回転することで、ベース10に対して固定することができる。実施の形態1において、ベース10に対する固定ユニット30の高さを高くする場合は、図10(B)に示すように、第1の留め具B1を緩めて、ベース10と固定ユニット30の隙間に、例えば、U字形状に形成されている金具60をスペーサーとして挟んで、再び、第1の留め具B1にて固定する。これにより、実施の形態1に係る架台1は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。なお、金具60の形状は、U字形状に限られない。金具60の形状は、ベース10と固定ユニット30の隙間に挟めるスペーサーとして機能するものであれば、U字形状以外の形状のものであってもよい。
【0067】
また、実施の形態1に係る架台1においては、第2の留め具B2は、その下端がベース10の溝形成部分11の外に突出するように固定ユニット30に取り付けられている。このため、図10の矢印A2に示すように、固定ユニット30は、ベース10に対して第1の留め具B1の軸心回りに回転すると、第2の留め具B2の下端が、ベース10の溝形成部分11に干渉する。これにより、固定ユニット30は、ベース10に対して所定以上に回転しない。これにより、実施の形態1に係る架台1は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0068】
また、実施の形態1に係る架台1においては、図2に示すように、受け部材31には、固定ユニット30に固定されている太陽光パネルPの重みを受ける受圧面31cが形成されている。そして、固定ユニット本体32は、受け部材31に形成されている溝31aに嵌め込まれることで、太陽光パネルPの重みを受けないように形成されている。このため、ユーザは、ベース10に対して固定ユニット本体32を取り付けたまま、固定ユニット本体32から受け部材31を取り外すことが可能になる。例えば、図11に示すように、ユーザは、メンテナンス時に、太陽光パネルPの設置、取外しを容易に行えるようになる。また、固定ユニット本体32は、太陽光パネルPの重みを受けないように形成されているため、受け部材31に対する固定ユニット本体32の高さの調整がしやすくなる。この結果、実施の形態1に係る架台1は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0069】
また、実施の形態1に係る架台1においては、受け部材31の載置面31bは、図12に示すように、一部が凹んで形成されている凹み部31dを有する。このため、太陽光パネルPを固定ユニット30に取り付ける際に、図13及び図14に示すように、ユーザは、載置面31bに対して傾斜する第3方向D3から凹み部31dに向けて挿入した後に、太陽光パネルPの挿入方向先端側の縁Eを基点に回転方向D4に回転させて、太陽光パネルPを載置面31bに載置させることができる。その後、ユーザが第2の留め具B2を回転させることにより、延設部32-5が、載置面31bに対して太陽光パネルPを押さえつつ締結することで、太陽光パネルPは固定ユニット30に固定される。これにより、ユーザは棟側(-X側)から太陽光パネルPに乗ることなく、太陽光パネルP及び架台1の施工を行うことができる。この結果、実施の形態1に係る架台1は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0070】
また、実施の形態1に係る架台1においては、図3に示すように、一対の側壁部11R、11Lのそれぞれの対向面に形成されている第2溝12R、12Lには、スライド規制部13R、13Lが形成されている。このため、図2に示すように、架台1の第1方向D1と屋根面Rの軒棟方向とが一致した状態で、架台1を屋根面Rに取り付けた場合に、図3に示すように、スライド規制部13R、13Lが、ベース10に対するスライド金具20及び固定ユニット30の+X方向へのスライドを規制する。この結果、実施の形態1に係る架台1は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0071】
また、実施の形態1に係る架台1においては、スライド規制部13R、13Lは、側壁部11R、11Lが押されることによって、第2溝12R、12Lが潰されて形成されている部分である。これにより、スライド規制部13R、13Lを容易に形成することができる。
【0072】
また、実施の形態1に係る架台1においては、図5に示すように、留め具挿入用孔14a-1、14a-2は、その間隔L1が、留め具挿入用孔14a-3、14a-4の間隔L2よりも広く形成されている。このため、留め具挿入用孔14a-1、14a-2が、留め具挿入用孔14a-3、14a-4よりも家屋の棟側で配置される場合、ベース10を、屋根面に対する留め具挿入用孔14a-3、14a-4の取付け強度よりも、屋根面に対する留め具挿入用孔14a-1、14a-2の取付け強度が大きくなるように形成することができる。これにより、屋根面に対するベース10の取付け強度を向上させることができる。この結果、実施の形態1に係る架台1は、家屋の屋根面に対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0073】
また、実施の形態1に係る架台1においては、図15Aに示すように、固定ユニット本体32の側壁部32-1は、受け部材31の側壁部31-1との間に隙間を有しつつ、側壁部31-1に重なって設けられている。このため、架台1は、側壁部31-1と側壁部32-1を利用することで、太陽光パネルPから別の厚みの太陽光パネルP-2に取り替えて、太陽光パネルP-2を固定ユニット30で固定することができる。このため、太陽光パネルP、P-2の厚みに関係なく、架台1は、太陽光パネルP、P-2を固定することができる。この結果、実施の形態1に係る架台1は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0074】
また、実施の形態1に係る架台1においては、図6に示すように、留め具挿入用孔14a-1~14a-6は、軒棟方向にずれた位置に形成されている。このため、図6及び図15Bに示すように、留め具挿入用孔14a-1~14a-6に挿入される全ての屋根面取付け用留め具が、屋根面Rの野地板R1同士の隙間に刺さってしまうことを回避することができる。これにより、屋根面Rに対するベース10の取付け強度を向上させることができる。この結果、実施の形態1に係る架台1は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0075】
実施の形態2.
上記実施の形態1においては、固定ユニット30は、図2に示すように、受け部材31と固定ユニット本体32とを有する。しかしながら、これに限られない。固定ユニット30は、受け部材31及び固定ユニット本体32に加えて、太陽光パネルPの高さを調整する部材を有していてもよい。以下、本発明の実施の形態2に係る架台2について、図を用いて説明する。また、実施の形態1との相違点を主に説明する。説明した相違点以外は、実施の形態1と同一又は同等のものとする。なお、理解を容易にするために、XYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0076】
実施の形態2に係る架台2は、図16図18に示すように、ベース10と、スライド金具20(スライド部材)と、固定ユニット30とを備える。また、架台2は、第1の留め具B1と、第2の留め具B2とを備える。
【0077】
ベース10、スライド金具20、第1の留め具B1、及び第2の留め具B2は、実施の形態1のものと同じのものである。
【0078】
固定ユニット30は、本実施の形態2においては、図18に示すように、受け部材31及び固定ユニット本体32に加えて、中継部材33と第3の留め具34とを有する。
【0079】
受け部材31は、第1の留め具B1が挿入される孔31eと、第2の留め具B2が挿入されるネジ孔31fとがZ軸方向に貫通して形成されている。
【0080】
孔31eは、実施の形態1のものと異なり、内周面が雌ネジ面に形成されている。孔31eには、第3の留め具34がねじ込まれる。
【0081】
また、この受け部材31には、孔31eとネジ孔31fとに加えて、図19に示すように、延設部31-3において、断面が略長円に形成されている孔31gが設けられている。孔31gは、Z軸方向に貫通して形成されている。
【0082】
固定ユニット本体32は、実施の形態1のものと同じのものである。
【0083】
中継部材33は、図17に示すように、スライド金具20に固定されると共に、受け部材31を支持することで、ベース10に対する太陽光パネルPの高さ方向Hの設置位置(Z軸方向の設置位置)を高くするために用いられる金具である。中継部材33は、図20に示すように、第1の留め具B1がねじ込まれると共に、内周面が雌ネジ面に形成されている孔33cが形成されている。中継部材33は、第1の留め具B1が軸心回りに回転することで、スライド金具20に対して昇降可能に設けられている。この中継部材33には、図18及び図19に示すように、天井壁部分において、切欠き33aが形成されている。切欠き33aは、Z軸方向に貫通するように形成されている。
【0084】
中継部材33には、ベース10に対して中継部材33が第3の留め具34の軸心回りに回転しないように規制する回転規制部33bが形成されている。なお、本実施の形態2においては、中継部材33には、2つの回転規制部33bが形成されている。しかしながら、これに限られない。中継部材33には、1つの回転規制部33bが形成されていてもよい。
【0085】
第3の留め具34は、例えば、ボルトやネジから構成されている。第3の留め具34は、軸心回りに回転することで中継部材33及び受け部材31に取り付けられる。第3の留め具34が軸心回りに回転することで、受け部材31は、中継部材33に対して昇降可能に設けられる。
【0086】
第3の留め具34には、図20及び図21に示すように、受け部材31と中継部材33との固定を解除するための工具が嵌まる被嵌込孔34a(第2被嵌込部)が形成されている。第3の留め具34の被嵌込孔34aは、固定ユニット本体32に形成されている孔32a、32bを通じて、Z軸方向(第3の留め具34の軸心方向)に外部に露出する。
【0087】
また、第1の留め具B1の被嵌込孔B1a(第1被嵌込部)は、図19に示すように、受け部材31に形成されている孔31gと、中継部材33に形成されている切欠き33aとを通じて、Z軸方向(第1の留め具B1の軸心方向)に外部に露出する。
【0088】
以上、説明したように、本実施の形態2に係る架台2においては、図19及び図22に示すように、第1の留め具B1の被嵌込孔B1aは、孔31g及び切欠き33aを通じて、Z軸方向に外部に露出する。そして、第1の留め具B1は、第2の留め具B2による受け部材31、固定ユニット本体32及び中継部材33の固定を維持しつつ、スライド金具20と固定ユニット30との固定が解除可能に取り付けられる。これにより、架台2においては、固定ユニット30に太陽光パネルPが固定されたまま、スライド金具20から固定ユニット30を取り外すことが可能になる。この結果、実施の形態2に係る架台2は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0089】
また、実施の形態2に係る架台2においては、図20及び図22に示すように、第3の留め具34の被嵌込孔34aは、孔32a、32bを通じて、Z軸方向に外部に露出する。そして、第3の留め具34は、第2の留め具B2による受け部材31と固定ユニット本体32との固定を維持しつつ、中継部材33から受け部材31及び固定ユニット本体32を取り外し可能に取り付けられている。これにより、架台2においては、受け部材31及び固定ユニット本体32に太陽光パネルPが固定されたまま、ベース10又は中継部材33から受け部材31及び固定ユニット本体32を取り外すことが可能になる。この結果、実施の形態2に係る架台2は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0090】
また、実施の形態2に係る架台2においては、図23に示すように、固定ユニット30は、中継部材33を有する。このため、Z軸方向の長さが異なる中継部材33を適宜付け替えることにより、架台2は、太陽光パネルPの高さ方向の設置位置を変更することができる。
【0091】
また、実施の形態2に係る架台2においては、第3の留め具34は、受け部材31のネジ孔にねじ込まれている。このため、受け部材31及び固定ユニット本体32は、第3の留め具34が受け部材31のネジ孔に対して回転することで、中継部材33に対して昇降可能に設けられている。これにより、架台2においては、受け部材31及び固定ユニット本体32に太陽光パネルPが固定されたまま、中継部材33に対して受け部材31及び固定ユニット本体32を昇降させることが可能になる。この結果、実施の形態2に係る架台2は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0092】
また、実施の形態2に係る架台2においては、第2の留め具B2は、その下端が中継部材33の外に突出するように固定ユニット30に取り付けられている。このため、図20の矢印A2に示すように、受け部材31及び固定ユニット本体32は、中継部材33に対して第1の留め具B1の軸心回りに回転すると、第2の留め具B2の下端が、中継部材33に干渉する。これにより、受け部材31及び固定ユニット本体32は、中継部材33及びベース10に対して所定以上に回転しない。これにより、実施の形態2に係る架台2は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0093】
また、実施の形態2に係る架台2においては、中継部材33には、図20に示すように、ベース10に対して中継部材33が第3の留め具34の軸心回りに回転しないように規制する回転規制部33bが形成されている。これにより、実施の形態2に係る架台2は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0094】
また、実施の形態2においても、図17に示すように、受け部材31には、固定ユニット30に固定されている太陽光パネルPの重みを受ける受圧面31cが形成されている。そして、固定ユニット本体32は、受け部材31に形成されている溝31aに嵌め込まれることで、太陽光パネルPの重みを受けないように形成されている。このため、実施の形態2に係る架台2は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0095】
また、実施の形態2においても、受け部材31の載置面31bは、一部が凹んで形成されている凹み部31dを有する。このため、ユーザは棟側(-X側)から太陽光パネルPに乗ることなく、太陽光パネルP及び架台2の施工を行うことができる。この結果、実施の形態2に係る架台2は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0096】
実施の形態2に係るベース10は、図18に示すように、実施の形態1のものと同等の構造を有するため、実施の形態1と同等の効果を奏することができる。
【0097】
実施の形態3.
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されるものではない。
【0098】
例えば、本実施の形態1、2では、架台1、2が備える第2の留め具B2は1本である。しかしながら、これに限られない。図24に示す実施の形態3のように、架台3は、2本の第2の留め具B2を備えていてもよい。この場合、固定ユニット30の幅方向(Y軸方向)の長さが長くなるため、架台3は、例えば、軒側から配置される太陽光パネルPを2つ固定することができる。
【0099】
実施の形態1~3の変形例
また、本実施の形態1、2では、第1の留め具B1は、図4及び図20に示すように、軸心回りに回転することでスライド金具20及び固定ユニット30に取り付けられるボルト又はネジから構成されている。しかしながら、これに限られない。第1の留め具B1は、ボルト又はネジ以外のものであってもよい。
【0100】
また、本実施の形態1、2では、第2の留め具B2は、図4及び図20に示すように、軸心回りに回転することで固定ユニット30に取り付けられるボルト又はネジから構成されている。しかしながら、これに限られない。第2の留め具B2は、ボルト又はネジ以外のものであってもよい。
【0101】
また、本実施の形態2では、図20に示すように、第3の留め具34は、軸心回りに回転することで中継部材33及び受け部材31に取り付けられるボルト又はネジから構成されている。しかしながら、これに限られない。第3の留め具34は、ボルト又はネジ以外のものであってもよい。
【0102】
また、本実施の形態1において、図8及び図9Aに示すように、固定ユニット30には、被嵌込孔B1aを外部に露出させる孔32a、32bが形成されている。しかしながら、これに限られない。被嵌込孔B1aを外部に露出させる形状であれば、孔以外のものであってもよい。例えば、固定ユニット30には、被嵌込孔B1aを外部に露出させる切欠きが形成されていてもよい。
【0103】
また、本実施の形態1、2において、第1の留め具B1には、工具が嵌め込まれる部分として被嵌込孔B1aが形成されている。しかしながら、これに限られない。工具が嵌め込まれる部分であれば、孔以外の形状のものであってもよい。
【0104】
また、本実施の形態1、2において、第2の留め具B2には、工具が嵌め込まれる部分として被嵌込孔が形成されている。しかしながら、これに限られない。工具が嵌め込まれる部分であれば、孔以外の形状のものであってもよい。
【0105】
また、本実施の形態2において、図19及び図22に示すように、固定ユニット30には、被嵌込孔34aを外部に露出させる孔31g及び切欠き33aが形成されている。しかしながら、これに限られない。被嵌込孔34aを外部に露出させる形状であれば、孔、切欠き以外のものであってもよい。
【0106】
また、本実施の形態2において、第3の留め具34には、工具が嵌め込まれる部分として被嵌込孔34aが形成されている。しかしながら、これに限られない。工具が嵌め込まれる部分であれば、孔以外の形状のものであってもよい。
【0107】
また、本実施の形態1において、図8及び図9Aに示すように、固定ユニット30には、被嵌込孔B1aを外部に露出させる孔32a、32bが形成されている。しかしながら、これに限られない。被嵌込孔B1aを外部に露出させる形状であれば、孔以外のものであってもよい。例えば、固定ユニット30には、被嵌込孔B1aを外部に露出させる切欠きが形成されていてもよい。
【0108】
また、本実施の形態1、2において、図5及び図6に示すように、ベース10に形成されている留め具挿入用孔14a-1~14a-6は6つ形成されている。ベース10の形成位置や形成数は適宜変更することができる。
【0109】
また、本実施の形態1においては、図15Bを参照するとわかるように、架台1は、ベース10の第1溝10aの形成方向である第1方向D1が家屋の軒棟方向と一致するように、屋根面Rに取り付けられている。しかしながら、これに限られない。図25に示すように、架台1は、ベース10の第1溝10aの形成方向である第1方向D1が家屋の軒棟方向である方向D5と一致しないように、屋根面Rに取り付けられもよい。架台1の取付け向きは任意であり、適宜変更される。
【0110】
また、本実施の形態に係る架台1~3は、図2図17、及び図24に示すように、家屋の屋根に取り付けられて、太陽光パネルPを固定するものである。しかしながら、これに限られない。架台1~3は、家屋の屋根以外に取り付けられて、太陽光パネルPを支持するものであってもよい。例えば、架台1~3は、地面で太陽光パネルPを支持するものであってもよい。
【0111】
また、本実施の形態では、架台1~3は、太陽光パネルを固定するためのものとして示している。しかしながら、これに限られない。架台1~3は、太陽光パネル以外の家屋の屋根の設置物を支持するものであってもよい。例えば、架台1~3は、温水器用パネルを支持するものであってもよい。架台1~3は、枠が付いたパネルであれば支持することができる。さらには、架台1~3は、枠が付いたパネル以外のものを支持してもよい。
【0112】
実施の形態4.
上記実施の形態2においては、固定ユニット30は、図17に示すように、軒側(+X側)に露出する。しかしながら、これに限られない。図26及び図27に示すように、架台4は、カバー70を備えていてもよい。以下、本発明の実施の形態4に係る架台4について、図を用いて説明する。また、実施の形態2との相違点を主に説明する。説明した相違点以外は、実施の形態2と同一又は同等のものとする。なお、理解を容易にするために、XYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0113】
実施の形態4に係る架台4は、図27及び図28に示すように、固定ユニット30等に加えて、カバー70を備える。
【0114】
架台4が備えるベース10、スライド金具20、固定ユニット30と、第1の留め具B1、及び第2の留め具B2は、実施の形態2のものと同じのものである。
【0115】
架台4において、固定ユニット30の受け部材31には、図28に示すように、棟側の載置面31bとは別の軒側の載置面31b-2が形成されている。
【0116】
載置面31b-2は、載置面31bが形成されている延設部31-3とは反対方向(+X方向)に延設されている延設部31-4の上面(+Z側の面)に設けられている。載置面31b-2には、カバー70の一部が載置される。また、載置面31b-2には、被係止部31hが形成されている。
【0117】
固定ユニット本体32の延設部32-6は、図29に示すように、載置面31b-2に対して、載置面31b-2に載置されたカバー70の一部を挟むように形成されている。
【0118】
カバー70は、固定ユニット30の一部を外部から覆う部材である。具体的には、カバー70は、固定ユニット30において、家屋の軒棟方向(X軸方向)における軒側(+X側)を覆うように形成されている。カバー70は、導電性の素材からなる。カバー70は、例えば、金属を押出し成形することにより形成されている。具体的には、カバー70は、例えば、アルミニウムを押出し成形することにより形成されてから、表面に黒色のカラーアルマイト処理が施されることにより、アルミニウム自体の色であるシルバー色を覆って形成されている。なお、本実施の形態4においては、カバー70は、固定ユニット30の一部を覆っているが、これに限られず、カバー70は、固定ユニット30の全体を覆ってもよい。本実施の形態4に係るカバー70は、カバー本体71と、カバー本体71を固定ユニット30に組み付けるための筒状部72とを有する。
【0119】
筒状部72は、Y軸方向に延びる角筒状に形成されている。筒状部72は、受け部材31の載置面31b-2と固定ユニット本体32の延設部32-6との間に配置される部分である。筒状部72の下面(-Z寄りの面)には、係止部73が形成されている。
【0120】
係止部73は、図30に示すように、受け部材31の載置面31b-2に形成されている被係止部31hに係止する。係止部73が被係止部31hに係止することで、カバー70は、固定ユニット30に固定される。
【0121】
カバー本体71には、図29に示すように、その上端(+Z寄りの端部)及び下端(-Z寄りの端部)近傍において、折曲げ部74、75が形成されている。
【0122】
折曲げ部74は、固定ユニット本体32の延設部32-6の基端部分32-6aに引っ掛かるように、上端の一部が内向きに折り曲げられて形成されている。折曲げ部74は、係止部73と共に、カバー70を固定ユニット30に固定するために用いられる。
【0123】
折曲げ部75は、下端の一部が内向きに折り曲げられるような形状に形成されている。折曲げ部75は、カバー70の下端部の強度を向上するために形成されている。例えば、カバー70に折曲げ部75が形成されていない場合、カバー70の下端部は、単なる薄い板状に形成されるため、外部からの力が加わることで、変形し易くなる。このため、カバー70に折曲げ部75が形成されていない場合と比べて、本実施の形態4は、外部からの力が加わることで、カバー70の下端部が変形し易くなることを抑制することができる。また、カバー70に折曲げ部75が形成されていることにより、カバー70を押出し成形で形成する際に、カバー70の素材であるアルミニウムの流れを向上させることができる。例えば、カバー70に折曲げ部75が形成されていない場合、カバー70を押出し成形で形成する際に、カバー70の素材であるアルミニウムの流れが悪くなる。このため、アルミニウムが均一に下端部まで流れずに、カバー70の下端部を所望の形状にすることができないおそれがある。これに対して、本実施の形態4では、カバー70に折曲げ部75が形成されているため、カバー70の下端部である折曲げ部75にまでカバー70の素材であるアルミニウムを行き渡らせる効果が得られる。結果として、本実施の形態4は、カバー70の製造の効率を向上させることができる。
【0124】
上述のように構成されているカバー70を固定ユニット30に取り付ける場合、ユーザは、先ず、カバー70の折曲げ部74を、固定ユニット本体32の延設部32-6の基端部分32-6aに引っ掛ける。そして、ユーザは、図30に示すように、折曲げ部74が引っ掛かっている部分を基点にカバー70を回転させる。すると、カバー70の筒状部72は、固定ユニット本体32の延設部32-6と、受け部材31の延設部31-4との間に嵌め込まれる。
【0125】
カバー70の筒状部72が、延設部31-4、32-6の間に嵌め込まれると、カバー70の係止部73が、受け部材31の延設部31-4に形成されている被係止部31hに係止する。これにより、カバー70は、固定ユニット本体32から外れないように、固定ユニット本体32に固定される。
【0126】
本実施の形態4に係る架台4においては、固定ユニット30の一部を覆うカバー70を備える。そして、カバー70は、固定ユニット30において、家屋の軒側(+X側)を覆う。このため、太陽光パネルPを支持する固定ユニット30が軒側(+X側)に露出せず、架台4が取り付けられる家屋の美観を損ねることがない。この結果、架台4は、美観を向上させることができる。
【0127】
また、本実施の形態4に係る架台4においては、カバー本体71の上端に、固定ユニット本体32に引っ掛かる折曲げ部74が形成されている。このため、架台4は、例えば、カバー70に雪などが積もり、カバー70に外部から重みが加わっても、カバー70が固定ユニット30から外れることを抑制することができる。
【0128】
また、本実施の形態4に係る架台4においては、上記実施の形態1~3と同様の効果を奏することができる。このため、架台4についても、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0129】
なお、本実施の形態4に係る架台4においては、固定ユニット30は、中継部材33を有することから、固定ユニット30の高さ(Z軸方向の長さ)が大きく、軒側に固定ユニット30が露出しやすくなるため、カバー70で覆うことによる美観をより高めることができる。しかしながら、これに限られない。実施の形態1に示す中継部材33を有さない固定ユニット30(図1及び図2参照)に対して、カバー70で覆うようにしてもよい。
【0130】
同様に、実施の形態3に示す幅方向(Y軸方向)の長さが長い固定ユニット30(図24参照)に対して、カバー70で覆うようにしてもよい。
【0131】
実施の形態5.
上記実施の形態4においては、カバー70の筒状部72は、図29に示すように、受け部材31の載置面31b-2と、固定ユニット本体32の延設部32-6との間に挟まれるように配置されている。しかしながら、これに限られない。図31及び図32に示す実施の形態5のように、架台5は、載置面31b-2と延設部32-6との間に、カバー70の筒状部72と共に嵌め込まれるスペーサー80を備えていてもよい。
【0132】
スペーサー80は、例えば、金属を押出し成形することにより形成されている。スペーサー80には、突出部81と、被係止部82とが形成されている。
【0133】
突出部81は、+Y方向に突出する棒状の部位である。突出部81は、固定ユニット30の受け部材31の溝31aに挿入される。これにより、スペーサー80は、固定ユニット30に引っ掛かり、固定ユニット30に対してカバー70を取り付ける際の作業効率を向上させることができる。
【0134】
被係止部82は、受け部材31に形成されている被係止部31hの替わりに、カバー70の係止部73が係止する部分である。
【0135】
スペーサー80は、その厚みt1(Z軸方向の長さ)が、載置面31b-2と延設部32-6との間の高さH1から、カバー70の筒状部72の高さH2(Z軸方向の長さ)を減じた高さと概ね等しくなるように形成されている(t1≒H1-H2)。載置面31b-2と延設部32-6との間のZ軸方向の高さH1は、太陽光パネルPの厚みによって変化するため、ユーザは、太陽光パネルPの厚みに応じて、スペーサー80から、厚みの異なる図33に示すスペーサー80-2(厚みt1より薄い厚みt2のもの)や、図34に示すスペーサー80-3(厚みt1、t2より薄い厚みt3のもの)に付け替えて使用することができる。
【0136】
本実施の形態5に係る架台5は、図31及び図32に示すように、載置面31b-2と延設部32-6との間に、カバー70の筒状部72と共に嵌め込むことができるスペーサー80を備える。このため、太陽光パネルPの厚みに関わらず、同一の形状、寸法のカバー70を固定ユニット30に取り付けることが可能になる。ひいては、架台5は、設置対象としての太陽光パネルPの厚みに関わらず、家屋の屋根面に対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0137】
実施の形態6.
上記実施の形態4、5では、架台4、5は、カバー70を一つ備える。しかしながら、これに限られない。図35及び図36に示す実施の形態6のように、架台6は、カバー70を複数備えてもよい。以下、カバー70を2つ備える実施の形態6に係る架台6について説明する。実施の形態4、5との相違点を主に説明する。説明した相違点以外は、実施の形態4、5と同一又は同等のものとする。
【0138】
架台6は、固定ユニット30等に加えて、2つのカバー70と、ジョイント90とを備える。
【0139】
ジョイント90は、導電性の素材からなる。ジョイント90は、例えば、導電性の素材金属を押出し成形することにより形成されている。ジョイント90は、カバー70の筒状部72の筒孔に嵌め込むことが可能な形状に形成されている。ジョイント90は、筒状部72の筒孔に挿入されることで、2つのカバー70を連結する。ジョイント90は、2つのカバー70を連結することで、2つのカバー70同士を電気的に接続する。これにより、例えば、固定ユニット30が固定する対象である太陽光パネルPと、それとは別の太陽光パネルPとの間のアース線を不要にすることができる。
【0140】
実施の形態7.
上記実施の形態1に係るベース10においては、図5に示すように、溝形成部分11とフランジ部分14R、14Lとを有するベース本体15は、平面視において、4つの角16の全てが直角に形成されている長方形に形成されている。しかしながら、これに限られない。以下、ベース本体15の形状が異なる実施の形態7に係る架台7について図37及び図38を用いて説明する。実施の形態1との相違点を主に説明する。説明した相違点以外は、実施の形態1と同一又は同等のものとする。
【0141】
ベース本体15は、図37に示すように、棟側の2つの角に加工が施されている方形板状に形成されている。具体的には、このベース本体15には、方形板状の棟側の角において、第1方向D1に対して傾斜する傾斜面17R、17Lが形成されている。傾斜面17R、17Lは、例えば、第1方向D1に対して傾斜する平坦な面に形成されている。この傾斜面17R、17Lが形成されていることにより、図38の矢印A3に示すように、実施の形態7に係る架台7は、棟側から流れる雨水を-Y側及び+Y側の左右に分けつつ軒方向(+X方向)に流すことができる。
【0142】
なお、本実施の形態7においては、傾斜面17R、17Lは、平坦な面である。しかしながら、これに限られない。棟側から流れる雨水を左右に分けつつ軒方向(+X方向)に流すことができる形状であれば、傾斜面17R、17Lは、平坦な面以外の形状のものであってもよい。例えば、傾斜面17R、17Lは、丸みを帯びた曲面に形成されていてもよい。
【0143】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0144】
1,2,3,4,5,6,7:架台、10:ベース、10a:第1溝、11:溝形成部分、11R,11L:側壁部、12R,12L:第2溝、13R,13L:スライド規制部、14R,14L:フランジ部分、14a-1:留め具挿入用孔(第1の留め具挿入用孔)、14a-2:留め具挿入用孔(第2の留め具挿入用孔)、14a-3:留め具挿入用孔(第3の留め具挿入用孔)、14a-4:留め具挿入用孔(第4の留め具挿入用孔)、14a-5,14a-6:留め具挿入用孔、15:ベース本体、16:角、17R,17L:傾斜面、20:スライド金具(スライド部材)、20a:ネジ孔、20b:嵌込部、30:固定ユニット、31:受け部材、31-1,31-2:側壁部、31-3,31-4:延設部(載置部)、31a:溝、31b,31b-2:載置面(載置部)、31c:受圧面、31d:凹み部、31e:孔、31f:ネジ孔、31g:孔、31h:被係止部、32:固定ユニット本体、31-2,32-2:側壁部、32-3,32-4:連結板部、32-5,32-6:延設部、32-6a:基端部分、32a,32b:孔、33:中継部材、33a:切欠き、33b:回転規制部、33c:孔、34:第3の留め具、34a:被嵌込孔(第2被嵌込部)、50:屋根面取付け用留め具、60:金具(スペーサー)、70:カバー、71:カバー本体、72:筒状部、73:係止部、74,75:折曲げ部、80, 80-2, 80-3:スペーサー、81:突出部、82:被係止部、90:ジョイント、B1:第1の留め具、B1a:被嵌込孔(第1被嵌込部)、B2:第2の留め具、P,P-2:太陽光パネル(設置対象)、E:(太陽光パネルPの)縁、R:屋根面、R1:野地板、D1:第1方向、D2:第2方向、D3:第3方向、D4:回転方向、D5:方向、H:高さ方向、A1,A2,A3:矢印、L1,L2:間隔、L3,L4:直線、H1,H2:高さ、t1,t2,t3:(スペーサーの)厚み。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38