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特開2024-97389金属含有膜形成用化合物、金属含有膜形成用組成物、及びパターン形成方法
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  • 特開-金属含有膜形成用化合物、金属含有膜形成用組成物、及びパターン形成方法 図1
  • 特開-金属含有膜形成用化合物、金属含有膜形成用組成物、及びパターン形成方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097389
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】金属含有膜形成用化合物、金属含有膜形成用組成物、及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/22 20060101AFI20240711BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20240711BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20240711BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20240711BHJP
   C08G 79/12 20060101ALI20240711BHJP
   C08L 85/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C07F7/22 K
G03F7/11 503
G03F7/26 511
H01L21/30 573
C08G79/12
C08L85/00
C07F7/22 L
C07F7/22 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000802
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】岩森 頌平
(72)【発明者】
【氏名】小林 直貴
(72)【発明者】
【氏名】郡 大佑
【テーマコード(参考)】
2H196
2H225
4H049
4J002
4J030
5F146
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196KA08
2H196KA19
2H225AE05N
2H225AF18N
2H225AF24N
2H225AF24P
2H225AF44N
2H225AF44P
2H225AF78N
2H225AH17
2H225AJ13
2H225AJ54
2H225AJ59
2H225AL02
2H225AL27
2H225AM22N
2H225AM79N
2H225AM85N
2H225AM91N
2H225AM94N
2H225AM99N
2H225AN11N
2H225AN31N
2H225AN39N
2H225AN39P
2H225AN42N
2H225AN80N
2H225BA01N
2H225BA21N
2H225BA24N
2H225BA26P
2H225CA12
2H225CB10
2H225CC03
2H225CC15
4H049VN03
4H049VP01
4H049VQ37
4H049VR22
4H049VR42
4H049VU25
4J002CC032
4J002CD002
4J002ED006
4J002EF046
4J002EH006
4J002EJ016
4J002EJ026
4J002EJ036
4J002EJ046
4J002ET016
4J002EU106
4J002EU186
4J002EU196
4J002EU226
4J002FD026
4J002FD142
4J002FD146
4J002FD156
4J002FD316
4J002GP03
4J030CA02
4J030CB01
4J030CB13
4J030CC17
4J030CD11
4J030CE02
4J030CG01
4J030CG06
4J030CG19
5F146NA01
5F146NA06
5F146NA12
5F146NA17
(57)【要約】
【課題】従来のレジスト下層膜材料に対して優れたドライエッチング耐性を有するとともに、高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つ金属含有膜形成用化合物、該化合物を用いた金属含有膜形成用組成物、及び該組成物を用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】金属含有膜形成用組成物に用いる金属含有膜形成用化合物であって、前記化合物が下記一般式(M)で示されるものであることを特徴とする金属含有膜形成用化合物。
【化1】
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属含有膜形成用組成物に用いる金属含有膜形成用化合物であって、前記化合物が下記一般式(M)で示されるものであることを特徴とする金属含有膜形成用化合物。
【化1】
(一般式(M)中、Tは下記一般式(1)で示される基、又は下記一般式(1’)で示される基であり、少なくとも1つは下記一般式(1)で示される基であり、1種または複数を組み合せて用いてもよく、Qは置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせを表し、m、nは任意の整数であり、m+n=4、m≧1、n≧2の関係を満たす。)
【化2】
(一般式(1)中、Xは炭素数1~31の2価の有機基であり、Wは下記一般式(W―1)から(W―4)で示される基であり、*はSn原子との結合部を表し、一般式(1’)中、Rは任意の置換基を示し、*はSn原子との結合部を表す。)
【化3】
(一般式(W―1)及び(W―3)中、Rは水素原子またはメチル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、(W―3)及び(W―4)中、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*はカルボニルとの結合部を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)中、Xが炭素数2~20の不飽和炭化水素基であることを特徴とする請求項1に記載の金属含有膜形成用化合物。
【請求項3】
前記一般式(1)中、Xが下記一般式(2)で示される基であることを特徴とする請求項2に記載の金属含有膜形成用化合物。
【化4】
(一般式(2)中、R、及びRは水素原子または炭素数1~18の1価の有機基であり、Rは水素原子または炭素数1~17の1価の有機基であり、RとRを合わせた炭素数は0~18であり、RおよびRが結合し、環状置換基を形成していてもよく、*、*はそれぞれカルボニル基との結合部を表し、*、*はそれらが逆でもよい。)
【請求項4】
前記金属含有膜形成用化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率Mw/Mnが、1.00≦Mw/Mn≦1.50であることを特徴とする請求項1に記載の金属含有膜形成用化合物。
【請求項5】
半導体製造に用いられる金属含有膜形成用組成物であって、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の(A)金属含有膜形成用化合物、及び(B)有機溶剤を含有するものであることを特徴とする金属含有膜形成用組成物。
【請求項6】
前記組成物が、更に(C)架橋剤、(E)界面活性剤、(F)流動性促進剤、及び(G)酸発生剤のうち1種以上を含有するものであることを特徴とする請求項5に記載の金属含有膜形成用組成物。
【請求項7】
前記(B)有機溶剤が、(B1)高沸点溶剤として沸点が180℃以上の有機溶剤1種以上を含有するものであることを特徴とする請求項5に記載の金属含有膜形成用組成物。
【請求項8】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(I-1)被加工基板上に、請求項5に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(I-2)前記金属含有膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(I-3)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(I-4)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(I-5)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項9】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(II-1)被加工基板上に、請求項5に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(II-2)前記金属含有膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜を形成する工程、
(II-3)前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(II-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(II-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写する工程、
(II-6)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(II-7)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項10】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、請求項5に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(III-2)前記レジスト下層膜上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成する工程、
(III-3)前記無機ハードマスク中間膜上に、有機薄膜を形成する工程、
(III-4)前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(III-8)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項11】
前記無機ハードマスク中間膜が、CVD法又はALD法によって形成されること特徴とする請求項10に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(IV-1)被加工基板上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(IV-2)前記レジスト下層膜上に、請求項5に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(IV-3)前記金属含有膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、または前記金属含有膜上に、有機密着膜をスピンコートで形成して、その上にフォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(IV-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(IV-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機密着膜及び前記金属含有膜、又は前記金属含有膜にパターンを転写する工程、
(IV-6)前記パターンが転写された金属含有膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(IV-7)前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項13】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(V-1)被加工基板上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(V-2)前記レジスト下層膜上に、レジスト中間膜、又はケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(V-3)前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせ上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(V-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(V-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト中間膜、又は前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(V-6)前記パターンが転写されたレジスト中間膜、又は無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、
(V-7)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上に、請求項5に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を被覆し、前記レジスト下層膜パターン間を前記金属含有膜で充填する工程、
(V-8)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上を覆う前記金属含有膜を化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記レジスト下層膜の上面を露出させる工程、
(V-9)前記レジスト下層膜上面に残っている前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜をドライエッチングで除去する工程、
(V-10)表面が露出した前記パターンが形成された前記レジスト下層膜をドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンを前記金属含有膜に形成する工程、
(V-11)前記反転パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板に反転パターンを形成する工程
を有することを特徴とするトーン反転式パターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属含有膜形成用化合物、金属含有膜形成用組成物、及び該組成物を用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が急速に進んでいる。最先端の微細化技術としては、45nmノード以降のデバイスの量産にArF液浸リソグラフィーが適用されている。また、ArF液浸露光と併せて、二重露光(ダブルパターニング)プロセスが28nmノード以降の世代で実用化され、光学的限界を超える狭ピッチパターンの形成も可能となった。
【0003】
更に、20nmノード以降のデバイス製造においては、露光とエッチングを3回以上繰り返すことにより、より狭いピッチのパターンを作製する多重露光(マルチパターニング)プロセスの検討が進められている。しかしながら、多重露光プロセスは工程数が増えるため、製造期間の長期化や欠陥発生の頻度増大により生産性が低下し、コストが大幅に上昇する事態に直面している。
【0004】
近年、ArF液浸リソグラフィーと多重露光プロセスとの併用に代わる有力な技術として、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが注目されている。この技術を用いることにより、ハーフピッチ25nm以下の微細パターンを1回の露光で形成することが可能になった。
【0005】
一方で、EUVリソグラフィーでは、光源の出力不足を補うため、レジスト材料には高感度化が強く求められる。しかし、高感度化に伴うショットノイズの増大はラインパターンのエッジラフネス(LER、LWR)の増大に繋がり、高感度化と低エッジラフネスの両立がEUVリソグラフィーにおける重要な課題の一つに挙げられている。
【0006】
レジストの高感度化やショットノイズの影響の低減のための試みとして、レジスト材料に金属材料を用いることが近年検討されるようになった。バリウム、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、スズ等の金属元素を含む化合物は、金属を含まない有機材料に比べて、EUV光に対する吸光度が高く、レジストの感光性の向上やショットノイズの影響の抑制が期待できる。また、金属含有レジストパターンは、非金属材料からなる下層膜と組み合わせることにより、高選択比エッチング加工が期待できる。
【0007】
例えば、特許文献1、2に記載の金属塩や有機金属錯体を添加したレジスト材料や、特許文献3、4に記載の金属酸化物のナノ粒子を用いた非化学増幅型レジスト材料が検討されている。
【0008】
中でも、スズを含む分子は電子線、極端紫外線の吸収に優れるため、活発な研究が行われている。そのうちの1つである有機スズ高分子の場合、光吸収またはこれによって生成された二次電子によってアルキル配位子が解離され、周辺鎖とのオキソ結合を通じた架橋を通じて有機系現像液で除去されないネガティブトーンパターニングが可能である。このような有機スズ高分子は、解像度、ラインエッジ粗さを維持しながらも感度を向上させることが可能だが、未だ商用化の水準には届いていない(特許文献5)。また、レジスト感度変化についての保存安定性が不十分であるなど課題が多く残っている。
【0009】
上記課題に対して、レジスト下層膜にチタン、ハフニウム、ジルコニウム、スズ等の金属元素を含む材料を用いた開発も検討されている。金属含有のレジスト材料で課題となっている露光感度の向上や、保存環境下における感度変化の抑制などの性能改善が不要であり、上記金属元素を含むことでドライエッチング耐性に優れたレジスト下層膜を提供できる可能性がある。特許文献6では、Ti化合物を用いた材料がCHF/CF系ガスおよびCO/N系ガスに対して優れたドライエッチング耐性を示すことを報告している。
【0010】
一方、金属化合物をレジスト下層膜に用いる際の課題としては、埋め込み性が挙げられる。特許文献6では埋め込み性に関して言及されていないが、一般的に金属化合物は、ベーク時の熱収縮が大きく、高温ベーク後には充填性の著しい劣化を誘発するため、高度な平坦化特性・埋め込み特性と耐熱特性が要求されるレジスト下層膜材料としては不十分である懸念がある。特許文献7では、特定の配位子で修飾した金属化合物が埋め込み性に優れることを報告しているが、実施されている埋め込み性評価のベーク温度が150℃と低温であり、耐熱性(例えば、レジスト下層膜形成後に施されることがある熱処理に対する特性)が必要とされるレジスト下層膜としては不十分である懸念がある。特許文献8では、特許文献7で報告されている金属化合物と特定構造の有機ポリマーを混合することで、400℃ベーク後の埋め込み性に優れたレジスト下層膜材料を提供しているが、無機物である金属化合物と有機物であるポリマーの混合組成物であることから、相溶性不良が引き起こす成膜不良や保存安定性の劣化およびドライエッチング耐性の劣化などが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第5708521号公報
【特許文献2】特許第5708522号公報
【特許文献3】米国特許第9310684号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第2017/0102612号明細書
【特許文献5】特開2021-162865号公報
【特許文献6】特許第6189758号公報
【特許文献7】特許第7050137号公報
【特許文献8】特表2022-521531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、従来のレジスト下層膜材料に対して優れたドライエッチング耐性を有するとともに、高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つ金属含有膜形成用化合物、該化合物を用いた金属含有膜形成用組成物、及び該組成物を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明では、金属含有膜形成用組成物に用いる金属含有膜形成用化合物であって、前記化合物が下記一般式(M)で示されるものである金属含有膜形成用化合物を提供する。
【化1】
(一般式(M)中、Tは下記一般式(1)で示される基、又は下記一般式(1’)で示される基であり、少なくとも1つは下記一般式(1)で示される基であり、1種または複数を組み合せて用いてもよく、Qは置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせを表し、m、nは任意の整数であり、m+n=4、m≧1、n≧2の関係を満たす。)
【化2】
(一般式(1)中、Xは炭素数1~31の2価の有機基であり、Wは下記一般式(W―1)から(W―4)で示される基であり、*はSn原子との結合部を表し、一般式(1’)中、Rは任意の置換基を示し、*はSn原子との結合部を表す。)
【化3】
(一般式(W―1)及び(W―3)中、Rは水素原子またはメチル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、(W―3)及び(W―4)中、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*はカルボニルとの結合部を表す。)
【0014】
このような4価の金属含有膜形成用化合物であれば、溶剤溶解性に優れたスズ含有化合物となり、上記一般式(1)中、(W―1)から(W―4)で示される構造を含み架橋基密度が高く、熱硬化性に優れるため、これを金属含有膜形成用組成物に用いた場合、優れたドライエッチング耐性を有するとともに、ベーク時の体積収縮が小さく、特許文献5で報告されているようなレジスト上層膜形成用のスズ含有化合物とは異なり、高温ベーク後においても、成膜性および平坦化特性/埋め込み特性に優れたレジスト材料を提供できる。
【0015】
前記一般式(1)中、Xが炭素数2~20の不飽和炭化水素基であることが好ましい。
【0016】
前記一般式(1)中、Xが炭素数2~20の不飽和炭化水素基であれば、上記金属含有膜形成用化合物の熱硬化性をより向上させることができる。
【0017】
また、前記一般式(1)中、Xが下記一般式(2)で示される基であることが好ましい。
【化4】
(一般式(2)中、R、及びRは水素原子または炭素数1~18の1価の有機基であり、Rは水素原子または炭素数1~17の1価の有機基であり、RとRを合わせた炭素数は0~18であり、RおよびRが結合し、環状置換基を形成していてもよく、*、*はそれぞれカルボニル基との結合部を表し、*、*はそれらが逆でもよい。)
【0018】
このような構造の金属含有膜形成用化合物であれば、熱流動性と熱硬化性を高度に両立することが可能となり、これを金属含有膜形成用組成物に用いた場合、より優れた平坦化特性/埋め込み特性を示すレジスト材料を提供することができる。
【0019】
前記金属含有膜形成用化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率Mw/Mnが、1.00≦Mw/Mn≦1.50であることが好ましい。
【0020】
このような範囲の分散度を有する金属含有膜形成用化合物であれば、熱流動性が更に良好なものとなるため、金属含有膜形成用組成物に配合した際に、基板上に形成されている微細構造を良好に埋め込むことが可能になるだけでなく、基板全体が平坦となるレジスト膜を形成することができる。
【0021】
また、本発明は、半導体製造に用いられる金属含有膜形成用組成物であって、上記に記載の(A)金属含有膜形成用化合物、及び(B)有機溶剤を含有するものである金属含有膜形成用組成物を提供する。
【0022】
このような金属含有膜形成用組成物であれば、耐熱特性と熱流動性に優れた有機スズ化合物を含むため、従来のレジスト下層膜材料に対して優れたドライエッチング耐性を有するとともに、高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つレジスト材料を提供することができる。
【0023】
前記組成物は、更に(C)架橋剤、(E)界面活性剤、(F)流動性促進剤、及び(G)酸発生剤のうち1種以上を含有するものであることができる。
【0024】
上記添加剤を含む金属含有膜形成用組成物であれば、塗布性、ドライエッチング耐性、埋め込み/平坦化特性のより優れた金属含有膜形成用組成物となる。
【0025】
また、前記(B)有機溶剤が、(B1)高沸点溶剤として沸点が180℃以上の有機溶剤1種以上を含有するものであることが好ましい。
【0026】
上記金属含有膜形成用組成物に高沸点溶剤の添加による熱流動性が付与されることで、金属含有膜形成用組成物はより高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つものとなる。
【0027】
また、本発明は、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(I-1)被加工基板上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(I-2)前記金属含有膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(I-3)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(I-4)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(I-5)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0028】
上記2層レジストプロセスによるパターン形成方法により、被加工体(被加工基板)に微細なパターンを形成することができる。
【0029】
また、本発明は、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(II-1)被加工基板上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(II-2)前記金属含有膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜を形成する工程、
(II-3)前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(II-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(II-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写する工程、
(II-6)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(II-7)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0030】
上記3層レジストプロセスによるパターン形成方法により、被加工体に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【0031】
また、本発明は、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(III-2)前記レジスト下層膜上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成する工程、
(III-3)前記無機ハードマスク中間膜上に、有機薄膜を形成する工程、
(III-4)前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(III-8)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0032】
上記4層レジストプロセスによるパターン形成方法により、被加工体に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【0033】
この場合、上記無機ハードマスク中間膜が、CVD法又はALD法によって形成されることが好ましい。
【0034】
上記無機ハードマスク中間膜をCVD法又はALD法によって形成すると、被加工体に微細なパターンをより高精度で形成することができる。
【0035】
また、本発明は、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(IV-1)被加工基板上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(IV-2)前記レジスト下層膜上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(IV-3)前記金属含有膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、または前記金属含有膜上に、有機密着膜をスピンコートで形成して、その上にフォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(IV-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(IV-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機密着膜及び前記金属含有膜、又は前記金属含有膜にパターンを転写する工程、
(IV-6)前記パターンが転写された金属含有膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(IV-7)前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法。
【0036】
上記多層レジストプロセスによるパターン形成方法により、被加工体に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【0037】
また、本発明では、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(V-1)被加工基板上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(V-2)前記レジスト下層膜上に、レジスト中間膜、又はケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(V-3)前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせ上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(V-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(V-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト中間膜、又は前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(V-6)前記パターンが転写されたレジスト中間膜、又は無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、
(V-7)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を被覆し、前記レジスト下層膜パターン間を前記金属含有膜で充填する工程、
(V-8)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上を覆う前記金属含有膜を化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記レジスト下層膜の上面を露出させる工程、
(V-9)前記レジスト下層膜上面に残っている前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜をドライエッチングで除去する工程、
(V-10)表面が露出した前記パターンが形成された前記レジスト下層膜をドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンを前記金属含有膜に形成する工程、
(V-11)前記反転パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板に反転パターンを形成する工程
を有するトーン反転式パターン形成方法を提供する。
【0038】
上記反転プロセスによるパターン形成方法により、被加工体に微細なパターンをより一層高精度で形成することができる。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように、本発明の金属含有膜形成用化合物は、上記一般式(М)で示されるような4価の金属含有膜形成用化合物であるため、溶剤溶解性に優れたスズ含有化合物となり、上記一般式(1)中、(W―1)から(W―4)で示される構造を含むため架橋基密度が高く、熱硬化性にも優れる。そのため、前記化合物を金属含有膜形成用組成物に用いた場合、ベーク時の体積収縮が小さく、高温ベーク後においても、成膜性および平坦化特性/埋め込み特性に優れたレジスト材料を提供できる。
【0040】
特に、半導体装置製造工程における多層レジスト法を用いた微細パターニングプロセスにおいて、微細化の進むDRAMメモリに代表される高アスペクト比の微細パターン構造の密集部など、埋め込み/平坦化が困難な部分を有する被加工基板上であっても、ボイドや剥がれ等の不良を生じることなく埋め込むことが可能であり、また、従来の塗布型レジスト下層膜材料に対して、優れたドライエッチング耐性を有するため、レジスト下層膜と比較して被加工体に微細なパターンをより一層高精度で形成することができる。
【0041】
また、本発明の金属含有膜形成用化合物を含む金属含有膜形成用組成物は、光吸収の大きいスズ原子を含んでいるため、露光中にこれから発生する二次電子による増感効果があり、更に、スズ原子は原子量が大きいためレジスト上層膜からレジスト下層膜中への酸拡散を抑える効果が高く、レジスト上層膜が本来有しているLWRの性能を保持しながら高感度化できるという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、本発明のパターン形成方法の一例(3層レジストプロセス)の説明図である。
図2図2は、本発明のトーン反転式パターン形成方法の一例(3層レジストプロセスのSOCパターンの反転)の説明図である。
図3図3は、埋め込み特性評価方法の説明図である。
図4図4は、平坦化特性評価方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
上述のように、多層レジスト法を用いた微細パターニングプロセスにおいて、より高精度でレジストパターンを被加工基板に転写できるレジスト下層膜を形成するために用いる埋め込み性と平坦性に優れた金属含有膜形成用組成物、及び該組成物に有用な金属含有膜形成用化合物の開発が求められていた。
【0044】
本発明者らは、EUV露光世代での活躍が期待される有機スズ化合物に着目し、鋭意検討を重ねた。上述したように光吸収の大きいスズ原子は、露光中にこれから発生する二次電子による増感効果があり、レジスト上層膜が本来有しているLWRの性能を保持しながら高感度化できるという特徴を有する。一方で、レジスト下層膜として検討されている有機スズ化合物は、耐熱性が乏しく、ベーク時に急激な体積収縮が起こるため、高温ベーク後に被加工基板の段差を埋め込み、平坦化することが難しい。本発明者らは、耐熱特性に優れた有機基を有するものであれば、ベーク時の急激な体積収縮を低減でき、熱流動性も向上させることができるため、高温ベーク後にもボイドを発生することなく被加工基板の段差を埋め込むことが可能であると考えた。さらに末端に架橋基を含む構造であれば、ベーク時の熱硬化性に優れるため、より耐熱特性に優れた金属含有膜形成用化合物になると想定した。
【0045】
本発明者らは、更に鋭意検討を重ね、上記一般式(1)で示される有機基を少なくとも1つ含む金属含有膜形成用化合物であれば、熱硬化性に優れるためベーク時の急激な体積収縮を低減でき、熱流動性も良好であるため高度な埋め込み/平坦化特性を実現でき、またスズ原子を含むことでレジスト上層膜のLWRを保持したまま感度向上に寄与でき、かつ高温ベーク後にはアルキル配位子が解離され、周辺鎖とのオキソ結合を通じた架橋を通じてSnOを形成するため、ドライエッチング耐性に優れた金属含有膜形成用組成物を与えるものとなることを見出し、本発明を完成させた。
【0046】
即ち、本発明は、金属含有膜形成用組成物に用いる金属含有膜形成用化合物であって、前記化合物が下記一般式(M)で示されるものである金属含有膜形成用化合物である。
【化5】
(一般式(M)中、Tは下記一般式(1)で示される基、又は下記一般式(1’)で示される基であり、少なくとも1つは下記一般式(1)で示される基であり、1種または複数を組み合せて用いてもよく、Qは置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせを表し、m、nは任意の整数であり、m+n=4、m≧1、n≧2の関係を満たす。)
【化6】
(一般式(1)中、Xは炭素数1~31の2価の有機基であり、Wは下記一般式(W―1)から(W―4)で示される基であり、*はSn原子との結合部を表し、一般式(1’)中、Rは任意の置換基を示し、*はSn原子との結合部を表す。)
【化7】
(一般式(W―1)及び(W―3)中、Rは水素原子またはメチル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、(W―3)及び(W―4)中、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*はカルボニルとの結合部を表す。)
【0047】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0048】
<金属含有膜形成用化合物>
本発明の金属含有膜形成用化合物は、下記一般式(M)で示されるものであることを特徴とする金属含有膜形成用化合物である。
【化8】
(一般式(M)中、Tは下記一般式(1)で示される基、又は下記一般式(1’)で示される基であり、少なくとも1つは下記一般式(1)で示される基であり、1種または複数を組み合せて用いてもよく、Qは置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせを表し、m、nは任意の整数であり、m+n=4、m≧1、n≧2の関係を満たす。)
【化9】
(一般式(1)中、Xは炭素数1~31の2価の有機基であり、Wは下記一般式(W―1)から(W―4)で示される基であり、*はSn原子との結合部を表し、一般式(1’)中、Rは任意の置換基を示し、*はSn原子との結合部を表す。)
【化10】
(一般式(W―1)及び(W―3)中、Rは水素原子またはメチル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、(W―3)及び(W―4)中、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*はカルボニルとの結合部を表す。)
【0049】
上記一般式(M)中、Tは上記一般式(1)で示される基、又は上記一般式(1’)で示される基であり、少なくとも1つは下記一般式(1)で示される基であり、1種または複数を組み合せて用いることができる。Qは置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、非置換の炭素数1~20のアルキル基がより好ましく、原料入手の容易さからn-ブチル基であることが特に好ましい。
【0050】
上記一般式(M)中、n、mは化合物の安全性、熱硬化性の観点からn=3、m=1又はn=2、m=2のいずれかであることが好ましく、原料入手の容易さから特にn=2、m=2であることがより好ましい。
【0051】
上記一般式(1)中、Xは炭素数1~31の2価の有機基であり、具体的には置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和の2価の炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基などがあげられる。Wは上記一般式(W―1)から(W―4)で示される基であり、(W―1)及び(W―3)中、Rは熱流動性の観点からはメチル基が好ましく、硬化性の観点からは水素原子が好ましい。また、(W―3)及び(W-4)中のRは熱流動性の観点から水素原子以外の前記記載の構造が好ましい。
【0052】
上記一般式(1)中、Xの好ましい構造としては例えば下記のような構造をあげることができるが、これらには限定されない。
【化11】
(*はカルボニル基の炭素原子との結合部を表す。)
【0053】
上記一般式(W―1)~(W-4)中、Rの好ましい構造として、例えば下記のような構造をあげることができるが、これらには限定されない。
【化12】
(*は窒素原子との結合部を表す。)
【0054】
このような構造を持つ金属含有膜形成用化合物であれば、上記一般式(1)で示される有機基を含むため、溶剤溶解性と耐熱特性に優れた金属含有膜形成用化合物となり、さらに末端に上記一般式(W―1)から(W―4)で示される構造のいずれかを含むため架橋基密度が高く、ベーク時の急激な体積収縮を低減でき、熱流動性も良好であるため、埋め込み/平坦化特性に優れたレジスト材料を提供することができる。
【0055】
また、上記一般式(M)で表される構造の化合物は下記式のようにスズオキシドまたはスズクロリド等とX、Wで構成されるカルボン酸との縮合により合成することができる。このときX、Wの異なる複数のカルボン酸成分を同時に用いることもできる。下記式中n、mは上記一般式(M)に説明した通りである。
【化13】
【0056】
さらに下記式のようにX、Wで構成されるカルボン酸とは別のカルボン酸を組み合わせて用いることもでき、例えば成膜性、溶剤溶解性など要求性能に合わせて上記一般式(1)で示される有機基とは異なる末端基又は官能基を有するカルボン酸成分(上記一般式(1’)で示される有機基)を用いて任意の割合で組み合わせることが可能である。下記式中Rは任意の置換基、n、mは上記一般式(M)に説明した通りであり、m並びにmは任意の整数であり、m≧1、m+m≧2、m+m+m=4を満たす。
【化14】
【0057】
混合するカルボン酸としては具体例として下記に示すようなカルボン酸を用いることができ、例えば密着性を付与したい場合は水酸基含有のカルボン酸などや、熱流動性を向上したい場合は長鎖アルキルなどを含むカルボン酸など、目的に応じて添加するカルボン酸を適宜選択することが可能である。また、混合することで結晶性を抑えることができるため溶剤溶解性と熱流動性も向上する。一方で架橋基密度が低下することによる熱硬化性の低下を防ぐという観点からX、Wで構成されるカルボン酸の仕込み比率としてはカルボン酸全体の50モル%以上が好ましく、さらに好ましくは70モル%以上である。
【化15】
【0058】
【化16】
【0059】
【化17】
(*はスズ原子との結合部を表す。)
【0060】
本発明の金属含有膜形成用化合物を用いて形成した金属含有膜は、ベーク時にSn原子にC原子を介して結合した有機基が乖離されながらラジカルを生成し、このように生成されたラジカルは-Sn-O-Sn-結合を形成して、縮合重合反応を開始することによって、金属含有膜の硬化が進行する。一方で、上記反応と同時に有機基が脱離するため、ベーク時に大きな膜収縮が起こるが、上記化合物は末端に(W―1)から(W―4)で示される構造の架橋基を含む上記一般式(1)で示される有機基を少なくとも1つ持つため、熱分解を緩和でき、さらに熱流動性にも優れるため、埋め込み性に優れたレジスト材料を提供することができる。
【0061】
前記一般式(1)中、Xが炭素数2~20の不飽和炭化水素基であることが好ましい。
【0062】
このような構造を持つ金属含有膜形成用化合物であれば、熱硬化性をより向上させることができる。
【0063】
また、上記一般式(1)中、Xが下記一般式(2)で示される基であることが好ましい。
【化18】
(一般式(2)中、R、及びRは水素原子または炭素数1~18の1価の有機基であり、Rは水素原子または炭素数1~17の1価の有機基であり、RとRを合わせた炭素数は0~18であり、RおよびRが結合し、環状置換基を形成していてもよく、*、*はそれぞれカルボニル基との結合部を表し、*、*はそれらが逆でもよい。)
【0064】
上記一般式(2)を含むような化合物の合成は下記反応式のようにスズオキシドやスズクロリドなどとカルボン酸を縮合することで合成されるが、用いられるカルボン酸は酸無水物を開環することで合成できる。下記式中n、mは上記一般式(M)に説明した通りであり、n並びにnは任意の整数であり、n+n≧2、n+n+m=4を満たす。その際非対称な無水カルボン酸を開環すると2種の混合物となるため上述したような結合形式となる。このような異性体が存在することで結晶性を抑えることができ、溶剤溶解性の向上や熱流動性の向上が期待できる。
【化19】
【化20】
【0065】
上記一般式(2)中、R、及びRは水素原子または炭素数1~18の1価の有機基であり、Rは水素原子または炭素数1~17の1価の有機基であり、RとRを合わせた炭素数は0~18であり、RおよびRが結合し、環状置換基を形成していてもよく、昇華物抑制の観点から水素原子であることが特に好ましい。
【0066】
このような構造の金属含有膜形成用化合物であれば、熱流動性と熱硬化性を両立することが可能となり、これを金属含有膜形成用組成物に用いた場合、平坦化特性/埋め込み特性を維持したレジスト材料を提供することができる。
【0067】
前記金属含有膜形成用化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率Mw/Mn(即ち、分散度)が、1.00≦Mw/Mn≦1.50の範囲内であることが好ましく、さらに1.00≦Mw/Mn≦1.40であることが好ましい。定義上、単分子化合物であればMw/Mnは1.00となるが、GPCの分離性の都合で、測定値が1.00を超える場合がある。一般的に繰り返し単位を有する重合体は特殊な重合法を用いない限り、Mw/Mn=1.00に近づけることは極めて困難であり、Mwの分布を有しMw/Mnは1を超える値となる。本発明では単分子化合物と重合体を区別するため単分子性を示す指標として1.00≦Mw/Mn≦1.50を定義した。
【0068】
このような範囲の分散度を有する化合物であれば、金属含有膜形成用化合物の熱流動性が更に良好なものとなるため、金属含有膜形成用組成物に配合した際に、基板上に形成されている微細構造を良好に埋め込むことが可能になるだけでなく、基板全体が平坦となるレジスト膜を形成することができる。
【0069】
<金属含有膜形成用組成物>
また、本発明では、半導体製造に用いられる金属含有膜形成用組成物であって、上記に記載の(A)金属含有膜形成用化合物、及び(B)有機溶剤を含有するものであることを特徴とする金属含有膜形成用組成物を提供できる。
【0070】
このような金属含有膜形成用組成物であれば、熱流動性と熱硬化性を高度に両立した有機スズ化合物を含むため、従来のレジスト下層膜材料に対して優れたドライエッチング耐性を有するとともに、高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つレジスト材料を提供することができる。本発明の金属含有膜形成用組成物は、特にレジスト下層膜材料として好適である。
【0071】
以下、上記(A)金属含有膜形成用化合物以外の本発明の金属含有膜形成用組成物に含まれる成分について説明する。
【0072】
<(B)有機溶剤>
本発明の金属含有膜形成用組成物において使用可能な(B)有機溶剤としては、上記の(A)金属含有膜形成用化合物、及び含まれる場合には後述の(C)架橋剤、(E)界面活性剤、(F)流動性促進剤、(G)酸発生剤、及びその他添加剤等が溶解するものであれば特に制限はない。
【0073】
具体的には、特開2007-199653号公報中の[0091]~[0092]段落に記載されている有機溶剤を添加することができる。さらに具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、2-ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、及びγ-ブチロラクトン、またはこれらのうち1種以上を含む混合物が好ましく用いられる。
【0074】
(B)有機溶剤の配合量は、(A)金属含有膜形成用化合物100質量部に対して好ましくは200~10,000部、より好ましくは250~5,000部の範囲である。
【0075】
前記組成物は、1種類以上の上記(A)金属含有膜形成用化合物、及び(B)有機溶剤を含有するものであればよく、必要に応じて(C)架橋剤、(E)界面活性剤、(F)流動性促進剤、及び(G)酸発生剤などの添加剤を含んでいてもよい。
以下、上記(A)金属含有膜形成用化合物、(B)有機溶剤以外の本発明の金属含有膜形成用組成物に含まれる成分について説明する。
【0076】
<(B1)高沸点溶剤>
本発明の金属含有膜形成用組成物では、前記(B)有機溶剤を沸点が180℃未満の有機溶剤1種以上と、沸点が180℃以上の有機溶剤((B1)高沸点溶剤)1種以上との混合物として用いてもよい。即ち、前記(B)有機溶剤が、(B1)高沸点溶剤として沸点が180℃以上の有機溶剤1種以上を含有するものであることが好ましい。
【0077】
(B1)高沸点溶剤としては、本発明の金属含有膜形成用組成物の各成分を溶解できるものであれば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、塩素系溶剤等の制限は特にはないが、具体例として1-オクタノール、2-エチルヘキサノール、1-ノナノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、酢酸n-ノニル、モノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリアセチン、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,4―ブタンジオールジアセテート、1,3―ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサンジオールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、γ-ブチロラクトン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、マロン酸ジヘキシル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸ジブチル、コハク酸ジヘキシル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチルなどを例示することができ、これらを単独又は混合して用いてもよい。
【0078】
(B1)高沸点溶剤は、本発明の金属含有膜形成用組成物を熱処理する温度等に合わせて、例えば上記のものから適宜選択すればよい。(B1)高沸点溶剤の沸点は180℃~300℃であることが好ましく、200℃~300℃であることが更に好ましい。このような沸点であれば、ベーク(熱処理)した際の揮発が速くなりすぎる恐れがないため、成膜時に十分な熱流動性を得ることができ、埋め込み/平坦化特性に優れるレジスト膜を形成することができるものと考えられる。また、このような沸点であれば、ベーク後も揮発することなく膜中に残存してしまうことがないため、エッチング耐性等の膜物性に悪影響を及ぼす恐れがない。
【0079】
また、(B1)高沸点溶剤を使用する場合の配合量は、沸点180℃未満の有機溶剤100質量部に対して1~30質量部とすることが好ましい。このような配合量であればベーク時に十分な熱流動性を付与することができ、膜中に残存せずエッチング耐性等の膜物性の劣化につながらないため、好ましい。
【0080】
[(C)架橋剤]
また、本発明の金属含有膜形成用組成物には、金属含有膜形成用化合物の硬化性を高め、レジスト上層膜とのインターミキシングを更に抑制するために、(C)架橋剤を含有するものであることもできる。架橋剤としては、特に限定されることはなく、公知の種々の系統の架橋剤を広く用いることができる。一例として、メラミン系架橋剤、アクリレート系架橋剤、グリコールウリル系架橋剤、ベンゾグアナミン系架橋剤、ウレア系架橋剤、β-ヒドロキシアルキルアミド系架橋剤、イソシアヌレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、フェノール系架橋剤(例えば多核フェノール類のメチロールまたはアルコキシメチル型架橋剤)を例示できる。前記(C)架橋剤の含有量は、前記(A)金属含有膜形成用化合物100質量部に対して5~50質量部が好ましく、より好ましくは10~40質量部である。
【0081】
メラミン系架橋剤として、具体的には、ヘキサメトキシメチル化メラミン、ヘキサブトキシメチル化メラミン、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
アクリレート系架橋剤として、具体的には、ジペンタエリトリトールヘキサアクリラートを例示できる。
グリコールウリル系架橋剤として、具体的には、テトラメトキシメチル化グリコールウリル、テトラブトキシメチル化グリコールウリル、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
ベンゾグアナミン系架橋剤として、具体的には、テトラメトキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラブトキシメチル化ベンゾグアナミン、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
ウレア系架橋剤として、具体的には、ジメトキシメチル化ジメトキシエチレンウレア、このアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
β-ヒドロキシアルキルアミド系架橋剤として具体的には、N,N,N’,N’-テトラ(2-ヒドロキシエチル)アジピン酸アミドを例示できる。
イソシアヌレート系架橋剤として具体的には、トリグリシジルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートを例示できる。
アジリジン系架橋剤として具体的には、4,4’-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオナート]を例示できる。
オキサゾリン系架橋剤として具体的には、2,2’-イソプロピリデンビス(4-ベンジル-2-オキサゾリン)、2,2’-イソプロピリデンビス(4-フェニル-2-オキサゾリン)、2,2’-イソプロピリデンビス(4-フェニル-2-オキサゾリン)、2,2’-メチレンビス-4,5-ジフェニル-2-オキサゾリン、2,2’-メチレンビス-4-フェニル-2-オキサゾリン、2,2’-メチレンビス-4-tertブチル-2-オキサゾリン、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、1,3-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、1,4-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2-イソプロペニルオキサゾリン共重合体を例示できる。
エポキシ系架橋剤として具体的には、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルを例示できる。
【0082】
多核フェノール系架橋剤としては、具体的には下記一般式(XL-1)で示される化合物を例示することができる。
【化21】
(一般式(XL-1)中、Lは単結合、又は炭素数1~20のq価の炭化水素基であり、Rは水素原子、又は炭素数1~20のアルキル基であり、qは1~5の整数である。)
【0083】
Lは単結合、又は炭素数1~20のq価の炭化水素基である。qは1~5の整数であり、2または3であることがより好ましい。Lとしては具体的には、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルペンタン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、エチルイソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、メチルナフタレン、エチルナフタレン、エイコサンからq個の水素原子を除いた基を例示できる。Rは水素原子、又は炭素数1~20のアルキル基である。炭素数1~20のアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基、デシル基、エイコサニル基を例示でき、水素原子またはメチル基が好ましい。
【0084】
上記一般式(XL-1)で示される化合物の例として、具体的には下記の化合物を例示できる。この中でも金属含有膜の硬化性および膜厚均一性向上の観点からトリフェノールメタン、トリフェノールエタン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼンのヘキサメトキシメチル化体が好ましい。Rは前記と同じである。
【化22】
【0085】
【化23】
【0086】
<(E)界面活性剤>
本発明の金属含有膜形成用組成物には、スピンコーティングにおける塗布性を向上させるために(E)界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、例えば、特開2009-269953号公報中の[0142]~[0147]段落に記載のものを用いることができる。界面活性剤を添加する場合の添加量は、上記(A)金属含有膜形成用化合物100質量部に対して好ましくは0.01~10部、より好ましくは0.05~5部である。
【0087】
<(F)流動性促進剤>
また、本発明の金属含有膜形成用組成物は、更に別の化合物やポリマーをブレンドすることもできる。(F)流動性促進剤は、本発明の金属含有膜形成用化合物と混合し、スピンコーティングの成膜性や、段差を有する基板での埋め込み特性を向上させる役割を持つ。また、(F)流動性促進剤としては、炭素原子密度が高くエッチング耐性の高い材料が好ましい。
【0088】
このような材料としては、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,3-ジメチルフェノール、2,5-ジメチルフェノール、3,4-ジメチルフェノール、3,5-ジメチルフェノール、2,4-ジメチルフェノール、2,6-ジメチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノール、3,4,5-トリメチルフェノール、2-tert-ブチルフェノール、3-tert-ブチルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、2-フェニルフェノール、3-フェニルフェノール、4-フェニルフェノール、3,5-ジフェニルフェノール、2-ナフチルフェノール、3-ナフチルフェノール、4-ナフチルフェノール、4-トリチルフェノール、レゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、4-メチルレゾルシノール、5-メチルレゾルシノール、カテコール、4-tert-ブチルカテコール、2-メトキシフェノール、3-メトキシフェノール、2-プロピルフェノール、3-プロピルフェノール、4-プロピルフェノール、2-イソプロピルフェノール、3-イソプロピルフェノール、4-イソプロピルフェノール、2-メトキシ-5-メチルフェノール、2-tert-ブチル-5-メチルフェノール、ピロガロール、チモール、イソチモール、4,4’-(9H-フルオレン-9-イリデン)ビスフェノール、2,2’ジメチル-4,4’-(9H-フルオレン-9-イリデン)ビスフェノール、2,2’ジアリル-4,4’-(9H-フルオレン-9-イリデン)ビスフェノール、2,2’ジフルオロ-4,4’-(9H-フルオレン-9-イリデン)ビスフェノール、2,2’ジフェニル-4,4’-(9H-フルオレン-9-イリデン)ビスフェノール、2,2’ジメトキシ-4,4’-(9H-フルオレン-9-イリデン)ビスフェノール、2,3,2’,3’-テトラヒドロ-(1,1’)-スピロビインデン-6,6’-ジオール、3,3,3’,3’-テトラメチル-2,3,2’,3’-テトラヒドロ-(1,1’)-スピロビインデン-6,6’-ジオール、3,3,3’,3’,4,4’-ヘキサメチル-2,3,2’,3’-テトラヒドロ-(1,1’)-スピロビインデン-6,6’-ジオール、2,3,2’,3’-テトラヒドロ-(1,1’)-スピロビインデン-5,5’-ジオール、5,5’-ジメチル-3,3,3’,3’-テトラメチル-2,3,2’,3’-テトラヒドロ-(1,1’)-スピロビインデン-6,6’-ジオール、1-ナフトール、2-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、4-メトキシ-1-ナフトール、7-メトキシ-2-ナフトール及び1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン、3-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸メチル、インデン、ヒドロキシインデン、ベンゾフラン、ヒドロキシアントラセン、アセナフチレン、ビフェニル、ビスフェノール、トリスフェノール、ジシクロペンタジエン、テトラヒドロインデン、4-ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、5-ビニルノルボルナ-2-エン、α-ピネン、β-ピネン、リモネン等のノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルカルバゾール、ポリインデン、ポリアセナフチレン、ポリノルボルネン、ポリシクロデセン、ポリテトラシクロドデセン、ポリノルトリシクレン、ポリ(メタ)アクリレート及びこれらの共重合体が挙げられる。また、特開2004-205685号公報に記載のナフトールジシクロペンタジエン共重合体、特開2005-128509号公報に記載のフルオレンビスフェノールノボラック樹脂、特開2005-250434号公報に記載のアセナフチレン共重合体、特開2006-227391号公報に記載のフェノール基を有するフラーレン、特開2006-293298号公報に記載のビスフェノール化合物及びこのノボラック樹脂、特開2006-285095号公報に記載のアダマンタンフェノール化合物のノボラック樹脂、特開2010-122656号公報に記載のビスナフトール化合物及びこのノボラック樹脂、特開2017-119671号公報に記載のフルオレン化合物、特開2008-158002号公報に記載のフラーレン樹脂化合物等をブレンドすることもできる。上記流動性促進剤の配合量は、本発明の(A)金属含有膜形成用化合物100質量部に対して0.001~100質量部が好ましく、より好ましくは0.01~50質量部である。
【0089】
また、本発明の金属含有膜形成用組成物には、埋め込み/平坦化特性を付与するための添加剤として、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール構造を有する液状添加剤、又は30℃から250℃までの間の重量減少率が40質量%以上であり、かつ重量平均分子量が300~200,000である熱分解性重合体が好ましく用いられる。この熱分解性重合体は、下記一般式(DP1)、(DP1a)で示されるアセタール構造を有する繰り返し単位を含有するものであることが好ましい。
【0090】
【化24】
(一般式(DP1)中、Rは水素原子又は置換されていてもよい炭素数1~30の飽和もしくは不飽和の1価の有機基であり、Yは炭素数2~30の飽和又は不飽和の2価の有機基である。)
【0091】
【化25】
(一般式(DP1a)中、R4aは炭素数1~4のアルキル基であり、Yは炭素数4~10の飽和又は不飽和の2価の炭化水素基であり、エーテル結合を有していてもよく、n’は平均繰り返し単位数を表し、3~500である。)
【0092】
<(G)酸発生剤>
本発明の金属含有膜形成用組成物においては、上記(A)金属含有膜形成用化合物の硬化反応を更に促進させるために酸発生剤を添加することができる。酸発生剤は熱分解によって酸を発生するものや、光照射によって酸を発生するものがあるが、いずれのものも添加することができる。具体的には、特開2007-199653号公報中の[0061]~[0085]段落に記載されている材料を添加することができるがこれらに限定されない。
【0093】
上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。酸発生剤を添加する場合の添加量は、上記(A)金属含有膜形成用化合物100質量部に対して好ましくは0.05~50部、より好ましくは0.1~10部である。
【0094】
<レジスト下層膜、及び充填膜形成方法>
本発明では、上述の金属含有膜形成用組成物を用い、リソグラフィーで用いられる多層レジスト膜のレジスト下層膜又は半導体製造用平坦化膜として機能する充填膜を形成する方法を提供する。
【0095】
本発明の金属含有膜形成用組成物を用いたレジスト下層膜形成方法では、上記の金属含有膜形成用組成物を、スピンコート法等で被加工基板上にコーティングする。スピンコート法等を用いることで、良好な埋め込み特性を得ることができる。スピンコート後、溶剤を蒸発し、レジスト上層膜やレジスト中間膜とのミキシング防止のため、架橋反応を促進させるためにベーク(熱処理)を行う。ベークは100℃以上600℃以下、10~600秒の範囲内で行うことが好ましく、より好ましくは200℃以上500℃以下、10~300秒の範囲内で行う。デバイスダメージやウエハーの変形への影響を考えると、リソグラフィーのウエハープロセスでの加熱温度の上限は、600℃以下とすることが好ましく、より好ましくは500℃以下である。
【0096】
また、本発明の金属含有膜形成用組成物を用いたレジスト下層膜形成方法では、被加工基板上に本発明の金属含有膜形成用組成物を、上記同様スピンコート法等でコーティングし、上記金属含有膜形成用組成物を、酸素濃度0.1体積%以上21体積%以下の雰囲気中で焼成して硬化させることにより金属含有膜をレジスト下層膜として形成することもできる。
【0097】
本発明の金属含有膜形成用組成物をこのような酸素雰囲気中で焼成することにより、十分に硬化した膜を得ることができる。ベーク中の雰囲気としては空気中でも構わないが、酸素を低減させるためにN、Ar、He等の不活性ガスを封入しておくことは、金属含有膜の酸化を防止するために好ましい。酸化を防止するためには酸素濃度をコントロールする必要があり、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは100ppm以下である(体積基準)。ベーク中の金属含有膜の酸化を防止すると、吸収が増大したりエッチング耐性が低下したりすることがないため好ましい。
【0098】
充填膜形成方法は、上記レジスト下層膜形成方法と同様の方法とすることができる。
【0099】
<金属含有膜形成用組成物を用いたパターン形成方法>
また、本発明では、上記金属含有膜形成用組成物を用いた2層レジストプロセスによるパターン形成方法として、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(I-1)被加工基板上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(I-2)前記金属含有膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(I-3)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(I-4)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(I-5)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0100】
上記2層レジストプロセスのレジスト上層膜は、塩素系ガスによるエッチング耐性を示すため、上記2層レジストプロセスにおいて、レジスト上層膜をマスクにして行う金属含有膜のドライエッチングを、塩素系ガスを主体とするエッチングガスを用いて行うことが好ましい。
【0101】
また、本発明では、このような金属含有膜形成用組成物を用いた3層レジストプロセスによるパターン形成方法として、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(II-1)被加工基板上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(II-2)前記金属含有膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜を形成する工程、
(II-3)前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(II-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(II-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写する工程、
(II-6)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(II-7)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0102】
図1を用いて3層レジストプロセスによるパターン形成方法について説明する。本発明では、このような金属含有膜形成用組成物を用いた3層レジストプロセスによるパターン形成方法として、図1(A)のように被加工基板1上の被加工層2に上記金属含有膜形成用組成物を用いて金属含有膜3を形成し、前記金属含有膜上にケイ素含有レジスト中間膜材料を用いてケイ素含有レジスト中間膜4を形成し、前記ケイ素含有レジスト中間膜上にフォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜5を形成する。続けて図1(B)のように、前記レジスト上層膜の露光部分6をパターン露光した後、図1(C)のように、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にレジスト上層膜パターン5aを形成し、図1(D)のように、パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜にケイ素含有レジスト中間膜パターン4aを転写し、図1(E)のように、前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜に金属含有膜パターン3aを転写し、図1(F)のように、前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板上の被加工層を加工して前記被加工基板1にパターン2aを形成するパターン形成方法を提供する。
【0103】
上記3層レジストプロセスのケイ素含有レジスト中間膜は、塩素系ガスおよび水素系ガスによるエッチング耐性を示すため、上記3層レジストプロセスにおいて、ケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして行う金属含有膜のドライエッチングを、塩素系ガスまたは水素系ガスを主体とするエッチングガスを用いて行うことが好ましい。
【0104】
上記3層レジストプロセスのケイ素含有レジスト中間膜としては、ポリシロキサンベースの中間膜も好ましく用いられる。ケイ素含有レジスト中間膜に反射防止効果を持たせることによって、反射を抑えることができる。特に193nm露光用としては、有機膜として芳香族基を多く含み基板とのエッチング選択性の高い材料を用いると、k値が高くなり基板反射が高くなるが、ケイ素含有レジスト中間膜として適切なk値になるような吸収を持たせることで反射を抑えることが可能になり、基板反射を0.5%以下にすることができる。反射防止効果があるケイ素含有レジスト中間膜としては、248nm、157nm露光用としてはアントラセン、193nm露光用としてはフェニル基又はケイ素-ケイ素結合を有する吸光基をペンダントし、酸あるいは熱で架橋するポリシロキサンが好ましく用いられる。
【0105】
加えて、本発明では、このような金属含有膜形成用組成物を用いた4層レジストプロセスによるパターン形成方法として、
被加工基板上に、上記金属含有膜形成用組成物を用いて金属含有膜を形成し、
前記金属含有膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜材料を用いてケイ素含有レジスト中間膜を形成し、
前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、有機反射防止膜(BARC)又は密着膜を形成し、
前記BARC又は前記密着膜上にフォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成し、
前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記BARC又は前記密着膜、及び前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写し、
前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写し、
前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程を有することを特徴とするパターン形成方法を提供する。
【0106】
また、ケイ素含有レジスト下層膜の代わりに無機ハードマスクを形成してもよく、この場合には、少なくとも、
被加工体(被加工基板)上に本発明の金属含有膜形成用組成物を用いて金属含有膜を形成し、
前記金属含有膜の上にケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成し、
前記無機ハードマスク中間膜の上にフォトレジスト組成物を用いてレジスト上層膜を形成して、前記レジスト上層膜に回路パターンを形成し、
前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写し、
前記パターンが形成された無機ハードマスク中間膜をマスクにして前記金属含有膜にパターンを転写し、
さらに、前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工体にパターンを転写して前記被加工体にパターンを形成することで、基板に半導体装置回路パターンを形成できる。
【0107】
本発明では、このような金属含有膜形成用組成物を用いた4層レジストプロセスによるパターン形成方法として、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(III-2)前記レジスト下層膜上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成する工程、
(III-3)前記無機ハードマスク中間膜上に、有機薄膜を形成する工程、
(III-4)前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(III-8)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0108】
上記のように、金属含有膜の上に無機ハードマスク中間膜を形成する場合は、CVD法やALD法等で、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜(SiON膜)を形成できる。例えばケイ素窒化膜の形成方法としては、特開2002-334869号公報、国際公開第2004/066377号に記載されている。無機ハードマスク中間膜の膜厚は5~200nmが好ましく、より好ましくは10~100nmである。また、無機ハードマスク中間膜としては、反射防止膜としての効果が高いSiON膜が最も好ましく用いられる。SiON膜を形成する時の基板温度は300~500℃となるために、金属含有膜としては300~500℃の温度に耐える必要がある。本発明で用いる金属含有膜形成用組成物は、高い耐熱性を有しており300℃~500℃の高温に耐えることができるため、CVD法又はALD法で形成された無機ハードマスク中間膜と、回転塗布法で形成された金属含有膜の組み合わせが可能である。
【0109】
上記のように、無機ハードマスク中間膜の上にレジスト上層膜としてフォトレジスト膜を形成してもよいが、無機ハードマスク中間膜の上に有機反射防止膜(BARC)又は密着膜をスピンコートで形成して、その上にフォトレジスト膜を形成してもよい。特に、無機ハードマスク中間膜としてSiON膜を用いた場合、SiON膜とBARCの2層の反射防止膜によって1.0を超える高NAの液浸露光においても反射を抑えることが可能となる。BARCを形成するもう一つのメリットとしては、SiON膜直上でのフォトレジストパターンの裾引きを低減させる効果があることである。
【0110】
加えて、本発明では、このような金属含有膜形成用組成物を用いた多層レジストプロセスによるパターン形成方法として、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(IV-1)被加工基板上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(IV-2)前記レジスト下層膜上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(IV-3)前記金属含有膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、または前記金属含有膜上に、有機密着膜をスピンコートで形成して、その上にフォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(IV-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(IV-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機密着膜及び前記金属含有膜、又は前記金属含有膜にパターンを転写する工程、
(IV-6)前記パターンが転写された金属含有膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(IV-7)前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法とすることで、基板に半導体装置回路パターンを形成できる。
【0111】
上記のように、金属含有膜の上にレジスト上層膜としてフォトレジスト膜を形成してもよいが、金属含有膜の上に有機密着膜をスピンコートで形成して、その上にフォトレジスト膜を形成してもよい。
【0112】
上記のように、被加工基板上にレジスト下層膜を形成する場合は、塗布型レジスト下層膜材料を用いた方法や、CVD法やALD法等で、レジスト下層膜を形成できる。塗布型レジスト下層膜材料としては、特開2012-001687号公報、特開2012-077295号公報、特開2004-264710号公報、特開2005-043471号公報、特開2005-250434号公報、特開2007-293294号公報、特開2008-065303号公報、特開2004-205685号公報、特開2007-171895号公報、特開2009-014816号公報、特開2007-199653号公報、特開2008-274250号公報、特開2010-122656号公報、特開2012-214720号公報、特開2014-029435号公報、国際公開第2012/077640号、国際公開第2010/147155号、国際公開第2012/176767号、特開2005-128509号公報、特開2006-259249号公報、特開2006-259482号公報、特開2006-293298号公報、特開2007-316282号公報、特開2012-145897号公報、特開2017-119671号公報、特開2019-044022号公報などに示されている樹脂、組成物を例示することができる。
【0113】
上記多層レジストプロセスにおけるレジスト上層膜は、ポジ型でもネガ型でもどちらでもよく、通常用いられているフォトレジスト組成物と同じものを用いることができる。フォトレジスト組成物をスピンコート後、プリベークを行うが、60~180℃で10~300秒の範囲が好ましい。その後常法に従い、露光を行い、さらに、ポストエクスポジュアーベーク(PEB)、現像を行い、レジストパターンを得る。なお、レジスト上層膜の厚さは特に制限されないが、30~500nmが好ましく、特に50~400nmが好ましい。
【0114】
また、露光光としては、波長300nm以下の高エネルギー線、具体的には248nm、193nm、157nmのエキシマレーザー、3~20nmの軟X線、電子ビーム、X線等を挙げることができる。
【0115】
上記レジスト上層膜のパターン形成方法として、波長が5nm以上300nm以下の光リソグラフィー、電子線による直接描画、ナノインプリンティングまたはこれらの組み合わせによるパターン形成とすることが好ましい。
【0116】
また、前記パターン形成方法における現像方法を、アルカリ現像または有機溶剤による現像とすることが好ましい。
【0117】
次に、得られたレジストパターンをマスクにしてエッチングを行う。3層レジストプロセスにおけるケイ素含有レジスト中間膜や無機ハードマスク中間膜のエッチングは、フロン系のガスを用いてレジスト上層膜パターンをマスクにして行う。これにより、ケイ素含有レジスト中間膜パターンや無機ハードマスク中間膜パターンを形成する。
【0118】
次いで、得られたケイ素含有レジスト中間膜パターンや無機ハードマスク中間膜パターンをマスクにして、金属含有膜のエッチング加工を行う。金属含有膜のエッチング加工は塩素系ガスを主体とするエッチングガスを用いて行うことが好ましい。
【0119】
次の被加工体のエッチングも、常法によって行うことができ、例えば被加工体がSiO、SiN、シリカ系低誘電率絶縁膜であればフロン系ガスを主体としたエッチングを行う。基板加工をフロン系ガスでエッチングした場合、3層レジストプロセスにおけるケイ素含有レジスト中間膜パターンは基板加工と同時に剥離される。
【0120】
本発明の金属含有膜形成用組成物によって得られる金属含有膜は、これら被加工体エッチング時のエッチング耐性に優れる特徴がある。
【0121】
なお、被加工体(被加工基板)としては、特に限定されるものではなく、Si、α-Si、p-Si、SiO、SiN、SiON、W、TiN、及びAl等の基板や、該基板上に被加工層が成膜されたもの等が用いられる。被加工層としては、Si、SiO、SiON、SiN、p-Si、α-Si、W、W-Si、Al、Cu、及びAl-Si等種々のLow-k膜及びそのストッパー膜が用いられ、通常50~10,000nm、特に100~5,000nmの厚さに形成し得る。なお、被加工層を成膜する場合、基板と被加工層とは、異なる材質のものが用いられる。
【0122】
本発明の金属含有膜形成用組成物を用いたパターン形成方法は、高さ30nm以上の構造体又は段差を有する被加工基板を用いることが好ましい。上述のように、本発明の金属含有膜形成用組成物は、埋め込み/平坦化特性に優れるため、被加工基板に高さ30nm以上の構造体又は段差(凹凸)があっても、平坦な金属含有膜を形成することができる。上記被加工体基板の有する構造体又は段差の高さは30nm以上が好ましく、50nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることがより好ましい。上記高さのパターンを有する段差基板を加工する方法において、本発明の金属含有膜形成用組成物を成膜して埋込/平坦化を行うことにより、その後成膜されるレジスト中間膜、レジスト上層膜の膜厚を均一にすることが可能となるため、フォトリソグラフィー時の露光深度マージン(DOF)確保が容易となり、非常に好ましい。
【0123】
<金属含有膜形成用組成物を用いたトーン反転式パターン形成方法>
また、本発明では、このような金属含有膜形成用組成物を用いたトーン反転式パターン形成方法として、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(V-1)被加工基板上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(V-2)前記レジスト下層膜上に、レジスト中間膜、又はケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(V-3)前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせ上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(V-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(V-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト中間膜、又は前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(V-6)前記パターンが転写されたレジスト中間膜、又は無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、
(V-7)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を被覆し、前記レジスト下層膜パターン間を前記金属含有膜で充填する工程、
(V-8)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上を覆う前記金属含有膜を化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記レジスト下層膜の上面を露出させる工程、
(V-9)前記レジスト下層膜上面に残っている前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜をドライエッチングで除去する工程、
(V-10)表面が露出した前記パターンが形成された前記レジスト下層膜をドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンを前記金属含有膜に形成する工程、
(V-11)前記反転パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板に反転パターンを形成する工程
を有することを特徴とするトーン反転式パターン形成方法を提供する。
【0124】
図2を用いて金属含有膜形成用組成物を用いたトーン反転式パターン形成方法について説明する。本発明では、このような金属含有膜形成用組成物を用いたトーン反転式パターン形成方法として、図2(G)のように被加工基板1上の被加工層2に、レジスト下層膜7を形成し、前記レジスト下層膜7上に、レジスト中間膜4、又はケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成し、前記レジスト中間膜4、又は無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせ上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜5を形成する。続けて図2(H)のように、前記レジスト上層膜の露光部分6をパターン露光した後、図2(I)のように、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にレジスト上層膜パターン5aを形成し、図2(J)のように、前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト中間膜、又は前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にレジスト中間膜パターン4a又は無機ハードマスク中間膜パターンを転写し、図2(K)のように、前記パターンが転写されたレジスト中間膜、又は無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にレジスト下層膜パターン7aを転写し、図2(L)のように、前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上に、上記金属含有膜形成用組成物を用いて金属含有膜8を被覆し、前記レジスト下層膜パターン7a間を前記金属含有膜8で充填し、図2(M)のように、前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上を覆う前記金属含有膜を化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックして反転した金属含有膜パターン8aを形成し、パターンが形成された前記レジスト下層膜の上面を露出し、図2(N)のように、前記レジスト下層膜パターン7a上面に残っているレジスト中間膜、又はハードマスク中間膜をドライエッチングで除去し、図2(O)のように、表面が露出した前記パターンが形成された前記レジスト下層膜をドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンを金属含有膜に形成し、図2(P)のように、前記反転パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工層を加工して前記被加工層に反転パターン2bを形成する工程を有するトーン反転式パターン形成方法を提供する。
【0125】
上記のように、被加工基板上にレジスト下層膜を形成する場合は、塗布型レジスト下層膜材料を用いた方法や、CVD法やALD法等で、レジスト下層膜を形成できる。塗布型レジスト下層膜材料としては、上記と同じ樹脂、組成物を例示することができる。
【0126】
上記トーン反転式パターン形成方法では、得られたレジスト下層膜パターン上に金属含有膜形成用組成物を被覆した後、レジスト下層膜パターン上面を露出させるために塩素系ガス主体としたドライエッチングガスを用いて金属含有膜を除去することが好ましい。その後、上記レジスト下層膜上に残っているレジスト中間膜、又は無機ハードマスク中間膜をフロン系ガスによるドライエッチングで除去し、表面の露出したレジスト下層膜パターンを酸素系ガスによるドライエッチングで除去し、金属含有膜パターンを形成する。
【0127】
上記トーン反転式パターン形成方法では、レジスト下層膜パターンは高さ30nm以上の構造体又は段差を有することが好ましい。上述のように、本発明の金属含有膜形成用組成物は、埋め込み/平坦化特性に優れるため、被加工膜に高さ30nm以上の構造体又は段差(凹凸)があっても、平坦な金属含有膜を形成することができる。上記レジスト下層膜パターンの構造体又は段差の高さは30nm以上が好ましく、50nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることがより好ましい。上記高さのパターンを有するレジスト下層膜パターンを反転する方法において、本発明の金属含有膜形成用組成物を成膜して埋込/平坦化を行うことにより、パターンの反転/転写を高精度で行うことが可能となるため、非常に好ましい。従来の塗布型レジスト下層膜材料を用いたレジスト下層膜に対して、フロン系ガスを用いたドライエッチング耐性に優れるため、レジスト下層膜パターンを上記金属含有膜形成用組成物で反転することにより、所望のレジストパターンを被加工膜に高精度で形成することができる。
【実施例0128】
以下、合成例、比較合成例、実施例、及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、分子量及び分散度としては、テトラヒドロフランを溶離液としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求め、分散度(Mw/Mn)を求めた。
【0129】
[合成例]
以下の合成例および比較合成例には、下記に示す原材料群G:(G1)~(G13)を用いた。
原材料群G:(G1)~(G13)を以下に示す。
【化26】
【0130】
[合成例1]金属含有膜形成用化合物(A-1)の合成
ジブチルスズオキシド5.0g、カルボン酸(G1)8.5gとトルエン100gを加え、水を抜きながら7時間還流した。反応後減圧下で溶媒を除去し、化合物(A-1)を得た。
(A-1):Mw=392、Mw/Mn=1.03
【化27】
【0131】
[合成例2~10、比較合成例1~3]金属含有膜形成用化合物(A-2)~(A-10)、比較例用化合物(R-1)~(R-3)の合成
表1~表3に示される仕込み量で上記化合物群Gとジブチルスズオキシド、ジtert-ブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド、又はジベンジルスズオキシドを使用した以外は、合成例1と同じ反応条件で表1~表3に示される金属含有膜形成用化合物(A-2)~(A-10)、比較例用化合物(R-1)~(R-3)を得た。これらの化合物の重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)を求めた。結果を表4に示す。
【表1】
【0132】
【表2】
【0133】
【表3】
【0134】
【表4】
【0135】
[比較合成例4]比較例用化合物(R-4)の合成
ブチルスズトリクロリド8.0gを室温で攪拌し、アクリル酸10gを滴下した。滴下後80℃に昇温し、7時間攪拌した。反応終了後減圧下でアクリル酸を除去し、(R-4)を得た。
(R-4):Mw=51、Mw/Mn=1.14
【化28】
【0136】
[比較合成例5]比較例用化合物(R-5)の合成
本発明の金属含有膜形成用化合物とは異なる金属を有する化合物として特許第6189758号公報の[合成例A-II]で報告されているチタン化合物を合成した。
チタンテトライソプロポキシド(東京化成工業(株)製)284gのIPA500g溶液に攪拌しながら、脱イオン水27gのIPA500g溶液を室温で2時間かけて滴下した。得られた溶液に2-メチル-2,4-ペンタンジオール120gを添加し、室温で30分攪拌した。この溶液を減圧下、30℃で濃縮した後、更に60℃まで加熱し、減圧下、留出物が出なくなるまで加熱を続けた。留出物が見られなくなったところで、PGMEA1,200gを加え、40℃、減圧下でIPAが留出しなくなるまで加熱し、チタン含有化合物(R-5)のPGMEA溶液1,000g(化合物濃度20質量%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=1,100であった。
【0137】
[比較合成例6]比較例用樹脂(R-6)の合成
窒素雰囲気下、1,5-ジヒドロキシナフタレン160.2g、ホルムアルデヒド56.8g、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)300gを加え、内温100℃で均一化した。その後、あらかじめ混合し均一化したパラトルエンスルホン酸・一水和物8.0gとPGME8.0gの混合液をゆっくりと滴下し、内温80℃で8時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却しMIBK2,000mlを加え、純水500mlで6回洗浄を行い、有機層を減圧乾固した。残渣にTHF300gを加え均一溶液とした後、ヘキサン2,000gに晶出した。沈降した結晶をろ過で分別し、ヘキサン500gで2回洗浄を行い回収した。回収した結晶を70℃で真空乾燥することで樹脂(R-6)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(R-6):Mw=3,300、Mw/Mn=2.54
【化29】
【0138】
[金属含有膜形成用組成物(UDL-1)の調製]
金属含有膜形成用化合物(A-1)を、界面活性剤FC-4430(住友スリーエム(株)製)0.5質量%を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とシクロヘキサノン(CyHO)の混合溶媒(溶剤)に表5に示す割合で溶解させ、0.02μmのメンブレンフィルターで濾過することによって金属含有膜形成用組成物(UDL-1)を調製した。
【0139】
[金属含有膜形成用組成物(UDL-2~13)、比較例用金属含有膜形成用組成物(比較例UDL-1~6)の調製]
各成分の種類及び含有量を表5に示す通りとした以外は、UDL-1と同様に操作し、各薬液を調製した。なお、表5中、「-」は該当する成分を使用しなかったことを示す。架橋剤には下記式(C-1)を使用、酸発生剤(TAG)には下記式(G-1)を使用、高沸点溶剤(B-1)には1,6-ジアセトキシヘキサン:沸点260℃を使用、流動性促進剤には、流動性促進剤用ポリマー(F-1)を用いた。
【0140】
[架橋剤]
金属含有膜形成用組成物に用いた架橋剤(C-1)を以下に示す。
【化30】
【0141】
[酸発生剤]
金属含有膜形成用組成物に用いた酸発生剤(G-1)を以下に示す。
【化31】
【0142】
[流動性促進剤用ポリマー合成例]流動性促進剤用ポリマー(F-1)の合成
窒素雰囲気下、クレゾールノボラック20.0g、炭酸カリウム27.6g、DMF100gを加え、内温50℃で均一分散液とした。プロパルギルブロミド11.9gをゆっくりと加え、内温50℃で24時間反応を行った。反応液にメチルイソブチルケトン300mlと純水300gを加え析出した塩を溶解させた後、分離した水層を除去した。さらに有機層を3%硝酸水溶液100gおよび純水100gで6回洗浄を行った後、有機層を減圧乾固することで流動性促進剤用ポリマー(F-1)を得た。
GPCにより重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)を求めたところ、以下のような結果となった。
(F-1):Mw=8,500、Mw/Mn=3.46
【化32】
【0143】
【表5】
【0144】
[耐熱性評価と溶剤耐性評価(実施例1-1~1-13、比較例1-1~1-5)]
上記で調製した金属含有膜形成用組成物(UDL-1~13、比較例UDL-1~5)をシリコン基板上に塗布し、100℃で60秒間焼成した後、膜厚(a[nm])を測定した。続いて、表6に示す各ベーク温度で60秒間焼成した後、膜厚(b[nm])を測定し、追加ベーク処理前後の膜厚差(残膜率:(b/a)×100)を求めた。
さらに、その上にPGMEA溶媒をディスペンスし、30秒間放置しスピンドライ、100℃で60秒間ベークしてPGMEAを蒸発させ、膜厚(c[nm])を測定した。PGMEA処理前後の膜厚差(残膜率:(c/b)×100)を求めた。結果を以下の表6に示す。
【表6】
【0145】
表6に示されるように、本発明の金属含有膜形成用組成物(実施例1-1~1-13)は、高温追加ベーク処理後の残膜率((b/a)×100)が45%以上であり、類似の金属含有膜形成用組成物を使用した比較例1-3と比較しても昇華物の少ない膜を形成できることが分かり、レジスト下層膜に求められる高温ベーク耐性を有していることがわかった。また、高温追加ベーク処理した膜は、PGMEAリンス処理後の残膜率((c/b)×100)が99%以上あり、架橋反応が起き十分な溶剤耐性を発現していることがわかる。これらの結果は本発明の化合物が上記一般式(W-1)~(W-4)で示される基を含み、架橋基密度が高いことに起因し、熱硬化性に優れるためであると考えられる。特に、上記一般式(1)中、Wが上記一般式(W-1)もしくは(W-2)で示される基であり、Xが上記一般式(2)で示される基を含む化合物(UDL-2~4、7)を含む実施例1-2~1-4、1-7は残膜率((b/a)×100)が50%以上、残膜率((c/b)×100)が100%の結果を示した。また、他の種のカルボン酸を加えた化合物(UDL-9~10)でも同等の溶剤耐性を発現していることがわかる。一方、比較例UDL-1は架橋基を有していないため耐熱性が不十分であり、高温追加ベーク処理後の残膜率((b/a)×100)が5%以下であった。また、本発明の化合物と異なる末端架橋基を有する比較例UDL-2並びに比較例UDL-4を用いた場合も同様に耐熱性が不十分であり、高温ベーク後の残膜が5nm以下であった。
本発明の金属含有膜形成用化合物とは異なる金属を有する化合物として特許第6189758号公報の[合成例A-II]で報告されているチタン化合物を用いた比較例1-5は、十分な溶剤耐性を示したが、高温追加ベーク処理前後の膜厚差が大きく、本発明の金属含有膜形成用化合物に対して高温ベークによる体積収縮が大きいことがわかった。
【0146】
[埋め込み特性評価(実施例2-1~2-13、比較例2-1~2-3)]
金属含有膜形成用組成物(UDL-1~13、及び比較例UDL-3、5~6)をそれぞれ、密集ライン&スペースパターン(ライン線幅40nm、ライン深さ120nm、隣り合う二つのラインの中心間の距離80nm)を有するSiOウエハー基板上に塗布し、ホットプレートを用いて表7に示す温度で60秒間加熱し、膜厚100nmの金属含有膜を形成した。使用した基板は図3(Q)(俯瞰図)及び(R)(断面図)に示すような密集ライン&スペースパターンを有する下地基板9(SiOウエハー基板)である。得られた各ウエハー基板の断面形状を、(株)日立製作所製電子顕微鏡(S-4700)を用いて観察し、ライン間を充填した金属含有膜内部にボイド(空隙)が存在していないかを確認した。結果を表7に示す。埋め込み特性に劣る金属含有膜形成用組成物を用いた場合は、本評価において、うまく段差基板を埋め込むことができない。埋め込み特性が良好な金属含有膜形成用組成物を用いた場合は、本評価において、図3(S)に示されるように密集ライン&スペースパターンを有する下地基板9のライン間を隙間なく金属含有膜10が充填できる。〇は大きなボイドなく埋込可能、△は目に見えてボイドあり、×は埋込不可。
【表7】
【0147】
表7に示されるように、本発明の金属含有膜形成用組成物(UDL-1~13)を使用した実施例2-1~2-13並びに類似の金属含有形成用組成物(比較例UDL-3)を使用した比較例2-1では、ボイドを発生することなく、密集ライン&スペースパターンを充填することが可能であり、良好な埋め込み特性を有することが確認できた。一方で、特許第6189758号公報の[合成例A-II]で報告されているチタン化合物を用いた比較例2-2では、パターンの底部にボイドが観察された。上記溶剤耐性評価で観察されたように、高温ベークによる体積収縮が大きいため、ボイドが発生したと推察される。比較例UDL-6を用いた比較例2-3では、ボイドを発生することなく、密集ライン&スペースパターンを充填することが可能であった。
【0148】
[平坦化特性評価(実施例3-1~3-13、比較例3-1~3-3)]
図4(T)に示すような密集ライン&スペースパターンを有する下地基板11(SiOウエハー基板)に対し、図4(U)のように上記埋め込み特性評価で得られた各ウエハー基板の断面形状を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、ラインパターン密集部分と非ラインパターン形成部分の充填膜12の段差(図4(U)中のDelta 12)を、(株)日立製作所製電子顕微鏡(S-4700)を用いて観察した。結果を表8に示す。本評価において、段差が小さいほど、平坦化特性が良好であるといえる。
【表8】
【0149】
表8に示されるように、本発明の金属含有膜形成用組成物(UDL-1~13)を使用した実施例3-1~3-13は、有機レジスト下層膜材料である比較例UDL-5を使用した比較例3-2や、樹脂(R-6)を含む比較例UDL-6を使用した比較例3-3に対してパターン部分と非パターン部分の膜の段差が小さく、平坦化特性に優れることが確認され、上記一般式(1)の構造を含むことで熱流動性が向上し、優れた平坦化特性を発現することが分かる。特にアルキル鎖の長い他種のカルボン酸を混ぜて合成したA-10を含む金属含有膜形成用組成物(UDL-10)を使用した実施例3-10は、より優れた平坦化特性を示した。また、高沸点溶剤(B-1)、流動性促進剤(F-1)を添加した金属含有膜形成用組成物(UDL-11~12)を使用した実施例3-11~3-12はそれらを添加していない実施例3-2と比較して大きく平坦化特性が改善する結果となり、これら添加剤を用いることで金属含有膜形成用化合物の熱流動性をさらに向上できることがわかる。
【0150】
[エッチング耐性評価(実施例4-1~4-13、比較例4-1~4-3)]
金属含有膜形成用組成物(UDL-1~13、及び比較例UDL-3、5~6)をシリコン基板上に塗布し、ホットプレートを用いて表9に示す温度で60秒間加熱し、膜厚100nmの金属含有膜を形成し、膜厚Aを測定した。次いで、ULVAC製エッチング装置CE-300Iを用いた下記条件でCFガス、OガスおよびClでのエッチングを指定秒数間行い、膜厚Bを測定し、各秒数間にエッチングされる膜厚(膜厚B-膜厚A)から1分間にエッチングされる膜厚をエッチング速度(nm/min)として算出した。結果を表9に示す。
【0151】
CFガスでのドライエッチング条件
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:100W
バイアスRFパワー:15W
CFガス流量:15sccm
時間:30sec
【0152】
ガスでのドライエッチング条件
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:300W
バイアスRFパワー:0W
ガス流量:25sccm
時間:20sec
【0153】
Clガスでのドライエッチング条件
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:320W
バイアスRFパワー:30W
Clガス流量:25sccm
時間:10sec
【0154】
【表9】
【0155】
表9に示されるように、本発明の金属含有膜形成用組成物(UDL-1~13)を使用した実施例4-1~4-13は、樹脂(R-6)を含む比較例UDL-6を使用した比較例4-3に対して優れたCFエッチング耐性およびOエッチング耐性を示すことがわかった。また、CFおよびOガスを用いたエッチングに対して優れた耐性を示す一方、Clガスを用いたエッチングで優れた除去性を示すことがわかった。
【0156】
[パターン形成方法(実施例5-1~5-13、比較例5-1~5-2)]
金属含有膜形成用組成物(UDL-1~13、及び比較例UDL-5~6)を、それぞれ、トレンチパターン(トレンチ幅10μm、トレンチ深さ0.10μm)を有するSiOウエハー基板上に塗布し、大気中、250℃で60秒焼成し、膜厚100nmの金属含有膜を形成した。その上にケイ素原子含有レジスト中間膜材料(SOG-1)を塗布して220℃で60秒間ベークして膜厚30nmのレジスト中間膜を形成し、その上にレジスト上層膜材料のArF用単層レジストを塗布し、105℃で60秒間ベークして膜厚100nmのフォトレジスト膜を形成した。フォトレジスト膜上に液浸保護膜材料(TC-1)を塗布し90℃で60秒間ベークし膜厚50nmの保護膜を形成した。
【0157】
ケイ素原子含有レジスト中間膜材料(SOG-1)としてはArF珪素含有中間膜ポリマー(SiP1)で示されるポリマー、及び熱架橋触媒(CAT1)を、FC-4430(住友スリーエム社製)0.1質量%を含む有機溶剤中に表10に示す割合で溶解させ、孔径0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、ケイ素原子含有レジスト中間膜材料(SOG-1)を調製した。
【0158】
【表10】
【0159】
用いたArF珪素含有中間膜ポリマー(SiP1)、熱架橋触媒(CAT1)の構造式を以下に示す。
【化33】
【0160】
レジスト上層膜材料(ArF用単層レジスト)としては、ポリマー(RP1)、酸発生剤(PAG1)、塩基性化合物(Amine1)を、界面活性剤FC-4430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%を含む溶媒中に表11の割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【0161】
【表11】
【0162】
レジスト上層膜材料(ArF用単層レジスト)に用いたポリマー(RP1)、酸発生剤(PAG1)、及び塩基性化合物(Amine1)を以下に示す。
【化34】
【0163】
液浸保護膜材料(TC-1)としては、保護膜ポリマー(PP1)を有機溶剤中に表12の割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【0164】
【表12】
【0165】
液浸保護膜材料(TC-1)に用いた保護膜ポリマー(PP1)を以下に示す。
【化35】
【0166】
次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR-S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポールs偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、55nm1:1のポジ型のラインアンドスペースパターン(レジスト上層膜パターン)を得た。
【0167】
次いで、ドライエッチングによりレジスト上層膜パターンをマスクにしてレジスト中間膜をエッチング加工してハードマスクパターンを形成し、得られたハードマスクパターンをマスクにして金属含有膜をエッチングして金属含有膜パターンを形成し、得られた金属含有膜パターンをマスクにしてSiO膜のエッチング加工を行った。エッチング条件は下記に示すとおりである。
【0168】
レジスト上層膜パターンのレジスト中間膜への転写条件。
CFガスでのドライエッチング条件
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:100W
バイアスRFパワー:15W
CFガス流量:15sccm
時間:60sec
【0169】
ハードマスクパターンの金属含有膜への転写条件。
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:320W
バイアスRFパワー:30W
Clガス流量:25sccm
時間(実施例5-1~実施例5-13):15sec
時間(比較例5-1および比較例5-2):60sec
【0170】
金属含有膜パターンのSiO膜への転写条件。
CFガスでのドライエッチング条件
圧力:1Pa
アンテナRFパワー:100W
バイアスRFパワー:15W
CFガス流量:15sccm
時間:60sec
【0171】
パターン断面を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S-4700)にて観察した結果を表13に示す。
【0172】
【表13】
【0173】
表13に示されるように、本発明の金属酸化膜形成用組成物(UDL-1~13)を使用した実施例5-1~5-13では、いずれの場合もレジスト上層膜パターンが最終的に基板まで良好に転写されており、本発明の金属酸化膜形成用組成物は多層レジスト法による微細加工に好適に用いられることが確認された。一方で、埋め込み特性評価、及び平坦化特性評価において性能の不足が確認された比較例UDL-5を用いた比較例5-1はパターン加工時にパターン倒れが発生し、最終的に良好なパターンを得ることができなかった。また、埋め込み特性は問題ないが、平坦化特性評価、ドライエッチング耐性評価において性能の不足が確認された比較例UDL-6を用いた比較例5-2はパターン加工時にパターン形状のヨレが派生し、最終的に良好なパターンを得ることができなかった。
【0174】
以上のことから、本発明の金属酸化膜形成用化合物は熱流動性と熱硬化性を高度に両立した有機スズ化合物であるため、これを用いた金属含有膜形成用組成物は、従来のレジスト下層膜材料に対して優れたドライエッチング耐性を有するとともに、高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つレジスト下層膜材料を提供することができ、多層レジスト法に用いるレジスト下層膜材料およびトーン反転式エッチング方法に用いる反転剤として極めて有用である。
【0175】
本明細書は、以下の態様を包含する。
[1]:金属含有膜形成用組成物に用いる金属含有膜形成用化合物であって、前記化合物が下記一般式(M)で示されるものであることを特徴とする金属含有膜形成用化合物。
【化36】
(一般式(M)中、Tは下記一般式(1)で示される基、又は下記一般式(1’)で示される基であり、少なくとも1つは下記一般式(1)で示される基であり、1種または複数を組み合せて用いてもよく、Qは置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせを表し、m、nは任意の整数であり、m+n=4、m≧1、n≧2の関係を満たす。)
【化37】
(一般式(1)中、Xは炭素数1~31の2価の有機基であり、Wは下記一般式(W―1)から(W―4)で示される基であり、*はSn原子との結合部を表し、一般式(1’)中、Rは任意の置換基を示し、*はSn原子との結合部を表す。)
【化38】
(一般式(W―1)及び(W―3)中、Rは水素原子またはメチル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、(W―3)及び(W―4)中、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*はカルボニルとの結合部を表す。)
[2]:前記一般式(1)中、Xが炭素数2~20の不飽和炭化水素基であることを特徴とする上記[1]の金属含有膜形成用化合物。
[3]:前記一般式(1)中、Xが下記一般式(2)で示される基であることを特徴とする上記[2]の金属含有膜形成用化合物。
【化39】
(一般式(2)中、R、及びRは水素原子または炭素数1~18の1価の有機基であり、Rは水素原子または炭素数1~17の1価の有機基であり、RとRを合わせた炭素数は0~18であり、RおよびRが結合し、環状置換基を形成していてもよく、*、*はそれぞれカルボニル基との結合部を表し、*、*はそれらが逆でもよい。)
[4]:前記金属含有膜形成用化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率Mw/Mnが、1.00≦Mw/Mn≦1.50であることを特徴とする上記[1]から上記[3]のいずれか1つの金属含有膜形成用化合物。
[5]:半導体製造に用いられる金属含有膜形成用組成物であって、上記[1]から上記[4]のいずれか1つの(A)金属含有膜形成用化合物、及び(B)有機溶剤を含有するものであることを特徴とする金属含有膜形成用組成物。
[6]:前記組成物が、更に(C)架橋剤、(E)界面活性剤、(F)流動性促進剤、及び(G)酸発生剤のうち1種以上を含有するものであることを特徴とする上記[5]の金属含有膜形成用組成物。
[7]:前記(B)有機溶剤が、(B1)高沸点溶剤として沸点が180℃以上の有機溶剤1種以上を含有するものであることを特徴とする上記[5]又は上記[6]の金属含有膜形成用組成物。
[8]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(I-1)被加工基板上に、上記[5]から上記[7]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(I-2)前記金属含有膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(I-3)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(I-4)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(I-5)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[9]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(II-1)被加工基板上に、上記[5]から上記[7]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(II-2)前記金属含有膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜を形成する工程、
(II-3)前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(II-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(II-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写する工程、
(II-6)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(II-7)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[10]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、上記[5]から上記[7]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(III-2)前記レジスト下層膜上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成する工程、
(III-3)前記無機ハードマスク中間膜上に、有機薄膜を形成する工程、
(III-4)前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(III-8)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[11]:前記無機ハードマスク中間膜が、CVD法又はALD法によって形成されること特徴とする上記[10]のパターン形成方法。
[12]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(IV-1)被加工基板上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(IV-2)前記レジスト下層膜上に、上記[5]から上記[7]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(IV-3)前記金属含有膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、または前記金属含有膜上に、有機密着膜をスピンコートで形成して、その上にフォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(IV-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(IV-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機密着膜及び前記金属含有膜、又は前記金属含有膜にパターンを転写する工程、
(IV-6)前記パターンが転写された金属含有膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(IV-7)前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[13]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(V-1)被加工基板上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(V-2)前記レジスト下層膜上に、レジスト中間膜、又はケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(V-3)前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせ上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(V-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(V-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト中間膜、又は前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(V-6)前記パターンが転写されたレジスト中間膜、又は無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、
(V-7)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上に、上記[5]から上記[7]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を被覆し、前記レジスト下層膜パターン間を前記金属含有膜で充填する工程、
(V-8)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上を覆う前記金属含有膜を化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記レジスト下層膜の上面を露出させる工程、
(V-9)前記レジスト下層膜上面に残っている前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜をドライエッチングで除去する工程、
(V-10)表面が露出した前記パターンが形成された前記レジスト下層膜をドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンを前記金属含有膜に形成する工程、
(V-11)前記反転パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板に反転パターンを形成する工程
を有することを特徴とするトーン反転式パターン形成方法。
【0176】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0177】
1…被加工基板、 2…被加工層、
2a…パターン(被加工層に形成されるパターン)、
2b…反転パターン(被加工層に形成される反転パターン)、 3…金属含有膜、
3a…金属含有膜パターン、 4…レジスト中間膜、
4a…レジスト中間膜パターン、 5…レジスト上層膜、
5a…レジスト上層膜パターン、 6…露光部分、 7…レジスト下層膜、
7a…レジスト下層膜パターン、 8…金属含有膜、
8a…反転した金属含有膜パターン、
9…密集ライン&スペースパターンを有する下地基板、 10…金属含有膜、
11…密集ライン&スペースパターンを有する下地基板、 12…充填膜、
Delta 12…ラインパターン密集部分と非ラインパターン形成部分の充填膜の段差。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-12-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属含有膜形成用組成物に用いる金属含有膜形成用化合物であって、前記化合物が下記一般式(M)で示されるものであることを特徴とする金属含有膜形成用化合物。
【化1】
(一般式(M)中、Tは下記一般式(1)で示される基、又は下記一般式(1’)で示される基であり、少なくとも1つは下記一般式(1)で示される基であり、1種または複数を組み合せて用いてもよく、Qは置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせを表し、m、nは任意の整数であり、m+n=4、m≧1、n≧2の関係を満たす。)
【化2】
(一般式(1)中、Xは炭素数1~31の2価の有機基であり、Wは下記一般式(W―1)から(W―4)で示される基であり、*はSn原子との結合部を表し、一般式(1’)中、Rは任意の置換基を示し、*はSn原子との結合部を表す。)
【化3】
(一般式(W―1)及び(W―3)中、Rは水素原子またはメチル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、(W―3)及び(W―4)中、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*はカルボニルとの結合部を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)中、Xが炭素数2~20の不飽和炭化水素基であることを特徴とする請求項1に記載の金属含有膜形成用化合物。
【請求項3】
前記一般式(1)中、Xが下記一般式(2)で示される基であることを特徴とする請求項2に記載の金属含有膜形成用化合物。
【化4】
(一般式(2)中、R、及びRは水素原子または炭素数1~18の1価の有機基であり、Rは水素原子または炭素数1~17の1価の有機基であり、RとRを合わせた炭素数は0~18であり、RおよびRが結合し、環状置換基を形成していてもよく、*、*はそれぞれカルボニル基との結合部を表し、*、*はそれらが逆でもよい。)
【請求項4】
前記金属含有膜形成用化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率Mw/Mnが、1.00≦Mw/Mn≦1.50であることを特徴とする請求項1に記載の金属含有膜形成用化合物。
【請求項5】
半導体製造に用いられる金属含有膜形成用組成物であって、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の(A)金属含有膜形成用化合物、及び(B)有機溶剤を含有するものであることを特徴とする金属含有膜形成用組成物。
【請求項6】
前記組成物が、更に(C)架橋剤、(E)界面活性剤、(F)流動性促進剤、及び(G)酸発生剤のうち1種以上を含有するものであることを特徴とする請求項5に記載の金属含有膜形成用組成物。
【請求項7】
前記(B)有機溶剤が、(B1)高沸点溶剤として沸点が180℃以上の有機溶剤1種以上を含有するものであることを特徴とする請求項5に記載の金属含有膜形成用組成物。
【請求項8】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(I-1)被加工基板上に、請求項5に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(I-2)前記金属含有膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(I-3)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(I-4)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(I-5)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項9】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(II-1)被加工基板上に、請求項5に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(II-2)前記金属含有膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜を形成する工程、
(II-3)前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(II-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(II-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写する工程、
(II-6)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(II-7)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項10】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、請求項5に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(III-2)前記金属含有膜上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成する工程、
(III-3)前記無機ハードマスク中間膜上に、有機薄膜を形成する工程、
(III-4)前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(III-8)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項11】
前記無機ハードマスク中間膜が、CVD法又はALD法によって形成されること特徴とする請求項10に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(IV-1)被加工基板上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(IV-2)前記レジスト下層膜上に、請求項5に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(IV-3)前記金属含有膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、または前記金属含有膜上に、有機密着膜をスピンコートで形成して、その上にフォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(IV-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(IV-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機密着膜及び前記金属含有膜、又は前記金属含有膜にパターンを転写する工程、
(IV-6)前記パターンが転写された金属含有膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(IV-7)前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項13】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(V-1)被加工基板上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(V-2)前記レジスト下層膜上に、レジスト中間膜、又はケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(V-3)前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせ上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(V-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(V-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト中間膜、又は前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(V-6)前記パターンが転写されたレジスト中間膜、又は無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、
(V-7)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上に、請求項5に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を被覆し、前記レジスト下層膜パターン間を前記金属含有膜で充填する工程、
(V-8)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上を覆う前記金属含有膜を化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記レジスト下層膜の上面を露出させる工程、
(V-9)前記レジスト下層膜上面に残っている前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜をドライエッチングで除去する工程、
(V-10)表面が露出した前記パターンが形成された前記レジスト下層膜をドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンを前記金属含有膜に形成する工程、
(V-11)前記反転パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板に反転パターンを形成する工程
を有することを特徴とするトーン反転式パターン形成方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明では、金属含有膜形成用組成物に用いる金属含有膜形成用化合物であって、前記化合物が下記一般式(M)で示されるものである金属含有膜形成用化合物を提供する。
【化1】
(一般式(M)中、Tは下記一般式(1)で示される基、又は下記一般式(1’)で示される基であり、少なくとも1つは下記一般式(1)で示される基であり、1種または複数を組み合せて用いてもよく、Qは置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせを表し、m、nは任意の整数であり、m+n=4、m≧1、n≧2の関係を満たす。)
【化2】
(一般式(1)中、Xは炭素数1~31の2価の有機基であり、Wは下記一般式(W―1)から(W―4)で示される基であり、*はSn原子との結合部を表し、一般式(1’)中、Rは任意の置換基を示し、*はSn原子との結合部を表す。)
【化3】
(一般式(W―1)及び(W―3)中、Rは水素原子またはメチル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、(W―3)及び(W―4)中、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*はカルボニルとの結合部を表す。)
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
また、本発明は、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(III-2)前記金属含有膜上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成する工程、
(III-3)前記無機ハードマスク中間膜上に、有機薄膜を形成する工程、
(III-4)前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(III-8)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
即ち、本発明は、金属含有膜形成用組成物に用いる金属含有膜形成用化合物であって、前記化合物が下記一般式(M)で示されるものである金属含有膜形成用化合物である。
【化5】
(一般式(M)中、Tは下記一般式(1)で示される基、又は下記一般式(1’)で示される基であり、少なくとも1つは下記一般式(1)で示される基であり、1種または複数を組み合せて用いてもよく、Qは置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせを表し、m、nは任意の整数であり、m+n=4、m≧1、n≧2の関係を満たす。)
【化6】
(一般式(1)中、Xは炭素数1~31の2価の有機基であり、Wは下記一般式(W―1)から(W―4)で示される基であり、*はSn原子との結合部を表し、一般式(1’)中、Rは任意の置換基を示し、*はSn原子との結合部を表す。)
【化7】
(一般式(W―1)及び(W―3)中、Rは水素原子またはメチル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、(W―3)及び(W―4)中、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*はカルボニルとの結合部を表す。)
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
<金属含有膜形成用化合物>
本発明の金属含有膜形成用化合物は、下記一般式(M)で示されるものであることを特徴とする金属含有膜形成用化合物である。
【化8】
(一般式(M)中、Tは下記一般式(1)で示される基、又は下記一般式(1’)で示される基であり、少なくとも1つは下記一般式(1)で示される基であり、1種または複数を組み合せて用いてもよく、Qは置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせを表し、m、nは任意の整数であり、m+n=4、m≧1、n≧2の関係を満たす。)
【化9】
(一般式(1)中、Xは炭素数1~31の2価の有機基であり、Wは下記一般式(W―1)から(W―4)で示される基であり、*はSn原子との結合部を表し、一般式(1’)中、Rは任意の置換基を示し、*はSn原子との結合部を表す。)
【化10】
(一般式(W―1)及び(W―3)中、Rは水素原子またはメチル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、(W―3)及び(W―4)中、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*はカルボニルとの結合部を表す。)
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
上記一般式(M)中、Tは上記一般式(1)で示される基、又は上記一般式(1’)で示される基であり、少なくとも1つは記一般式(1)で示される基であり、1種または複数を組み合せて用いることができる。Qは置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせであり、非置換の炭素数1~20のアルキル基がより好ましく、原料入手の容易さからn-ブチル基であることが特に好ましい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
(B)有機溶剤の配合量は、(A)金属含有膜形成用化合物100質量部に対して好ましくは200~10,000質量部、より好ましくは250~5,000質量部の範囲である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
メラミン系架橋剤として、具体的には、ヘキサメトキシメチル化メラミン、ヘキサブトキシメチル化メラミン、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
アクリレート系架橋剤として、具体的には、ジペンタエリトリトールヘキサアクリラートを例示できる。
グリコールウリル系架橋剤として、具体的には、テトラメトキシメチル化グリコールウリル、テトラブトキシメチル化グリコールウリル、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
ベンゾグアナミン系架橋剤として、具体的には、テトラメトキシメチル化ベンゾグアナミン、テトラブトキシメチル化ベンゾグアナミン、これらのアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
ウレア系架橋剤として、具体的には、ジメトキシメチル化ジメトキシエチレンウレア、このアルコキシ及び/又はヒドロキシ置換体、及びこれらの部分自己縮合体を例示できる。
β-ヒドロキシアルキルアミド系架橋剤として具体的には、N,N,N’,N’-テトラ(2-ヒドロキシエチル)アジピン酸アミドを例示できる。
イソシアヌレート系架橋剤として具体的には、トリグリシジルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートを例示できる。
アジリジン系架橋剤として具体的には、4,4’-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオナート]を例示できる。
オキサゾリン系架橋剤として具体的には、2,2’-イソプロピリデンビス(4-ベンジル-2-オキサゾリン)、2,2’-イソプロピリデンビス(4-フェニル-2-オキサゾリン)、2,2’-メチレンビス-4,5-ジフェニル-2-オキサゾリン、2,2’-メチレンビス-4-フェニル-2-オキサゾリン、2,2’-メチレンビス-4-tertブチル-2-オキサゾリン、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、1,3-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、1,4-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2-イソプロペニルオキサゾリン共重合体を例示できる。
エポキシ系架橋剤として具体的には、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリ(メタクリル酸グリシジル)、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルを例示できる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
<(E)界面活性剤>
本発明の金属含有膜形成用組成物には、スピンコーティングにおける塗布性を向上させるために(E)界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、例えば、特開2009-269953号公報中の[0142]~[0147]段落に記載のものを用いることができる。界面活性剤を添加する場合の添加量は、上記(A)金属含有膜形成用化合物100質量部に対して好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.05~5質量部である。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。酸発生剤を添加する場合の添加量は、上記(A)金属含有膜形成用化合物100質量部に対して好ましくは0.05~50質量部、より好ましくは0.1~10質量部である。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
本発明では、このような金属含有膜形成用組成物を用いた4層レジストプロセスによるパターン形成方法として、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、上記に記載の金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(III-2)前記金属含有膜上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成する工程、
(III-3)前記無機ハードマスク中間膜上に、有機薄膜を形成する工程、
(III-4)前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(III-8)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0173
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0173】
表13に示されるように、本発明の金属含有膜形成用組成物(UDL-1~13)を使用した実施例5-1~5-13では、いずれの場合もレジスト上層膜パターンが最終的に基板まで良好に転写されており、本発明の金属含有膜形成用組成物は多層レジスト法による微細加工に好適に用いられることが確認された。一方で、埋め込み特性評価、及び平坦化特性評価において性能の不足が確認された比較例UDL-5を用いた比較例5-1はパターン加工時にパターン倒れが発生し、最終的に良好なパターンを得ることができなかった。また、埋め込み特性は問題ないが、平坦化特性評価、ドライエッチング耐性評価において性能の不足が確認された比較例UDL-6を用いた比較例5-2はパターン加工時にパターン形状のヨレが派生し、最終的に良好なパターンを得ることができなかった。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0174
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0174】
以上のことから、本発明の金属含有膜形成用化合物は熱流動性と熱硬化性を高度に両立した有機スズ化合物であるため、これを用いた金属含有膜形成用組成物は、従来のレジスト下層膜材料に対して優れたドライエッチング耐性を有するとともに、高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つレジスト下層膜材料を提供することができ、多層レジスト法に用いるレジスト下層膜材料およびトーン反転式エッチング方法に用いる反転剤として極めて有用である。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0175
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0175】
本明細書は、以下の態様を包含する。
[1]:金属含有膜形成用組成物に用いる金属含有膜形成用化合物であって、前記化合物が下記一般式(M)で示されるものであることを特徴とする金属含有膜形成用化合物。
【化36】
(一般式(M)中、Tは下記一般式(1)で示される基、又は下記一般式(1’)で示される基であり、少なくとも1つは下記一般式(1)で示される基であり、1種または複数を組み合せて用いてもよく、Qは置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20の脂肪族不飽和有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基、またはこれらの組み合わせを表し、m、nは任意の整数であり、m+n=4、m≧1、n≧2の関係を満たす。)
【化37】
(一般式(1)中、Xは炭素数1~31の2価の有機基であり、Wは下記一般式(W―1)から(W―4)で示される基であり、*はSn原子との結合部を表し、一般式(1’)中、Rは任意の置換基を示し、*はSn原子との結合部を表す。)
【化38】
(一般式(W―1)及び(W―3)中、Rは水素原子またはメチル基であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、(W―3)及び(W―4)中、Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20の飽和または炭素数2~20の不飽和の1価の有機基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、又は置換もしくは非置換の炭素数7~31のアリールアルキル基であり、*はカルボニルとの結合部を表す。)
[2]:前記一般式(1)中、Xが炭素数2~20の不飽和炭化水素基であることを特徴とする上記[1]の金属含有膜形成用化合物。
[3]:前記一般式(1)中、Xが下記一般式(2)で示される基であることを特徴とする上記[2]の金属含有膜形成用化合物。
【化39】
(一般式(2)中、R、及びRは水素原子または炭素数1~18の1価の有機基であり、Rは水素原子または炭素数1~17の1価の有機基であり、RとRを合わせた炭素数は0~18であり、RおよびRが結合し、環状置換基を形成していてもよく、*、*はそれぞれカルボニル基との結合部を表し、*、*はそれらが逆でもよい。)
[4]:前記金属含有膜形成用化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率Mw/Mnが、1.00≦Mw/Mn≦1.50であることを特徴とする上記[1]から上記[3]のいずれか1つの金属含有膜形成用化合物。
[5]:半導体製造に用いられる金属含有膜形成用組成物であって、上記[1]から上記[4]のいずれか1つの(A)金属含有膜形成用化合物、及び(B)有機溶剤を含有するものであることを特徴とする金属含有膜形成用組成物。
[6]:前記組成物が、更に(C)架橋剤、(E)界面活性剤、(F)流動性促進剤、及び(G)酸発生剤のうち1種以上を含有するものであることを特徴とする上記[5]の金属含有膜形成用組成物。
[7]:前記(B)有機溶剤が、(B1)高沸点溶剤として沸点が180℃以上の有機溶剤1種以上を含有するものであることを特徴とする上記[5]又は上記[6]の金属含有膜形成用組成物。
[8]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(I-1)被加工基板上に、上記[5]から上記[7]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(I-2)前記金属含有膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(I-3)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(I-4)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(I-5)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[9]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(II-1)被加工基板上に、上記[5]から上記[7]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(II-2)前記金属含有膜上に、ケイ素含有レジスト中間膜を形成する工程、
(II-3)前記ケイ素含有レジスト中間膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(II-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(II-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有レジスト中間膜にパターンを転写する工程、
(II-6)前記パターンが転写されたケイ素含有レジスト中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(II-7)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[10]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、上記[5]から上記[7]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(III-2)前記金属含有膜上に、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜を形成する工程、
(III-3)前記無機ハードマスク中間膜上に、有機薄膜を形成する工程、
(III-4)前記有機薄膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写された無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記金属含有膜にパターンを転写する工程、及び
(III-8)前記パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[11]:前記無機ハードマスク中間膜が、CVD法又はALD法によって形成されること特徴とする上記[10]のパターン形成方法。
[12]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(IV-1)被加工基板上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(IV-2)前記レジスト下層膜上に、上記[5]から上記[7]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を形成する工程、
(IV-3)前記金属含有膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、または前記金属含有膜上に、有機密着膜をスピンコートで形成して、その上にフォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(IV-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(IV-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記有機密着膜及び前記金属含有膜、又は前記金属含有膜にパターンを転写する工程、
(IV-6)前記パターンが転写された金属含有膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(IV-7)前記パターンが形成されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
[13]:被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(V-1)被加工基板上に、レジスト下層膜を形成する工程、
(V-2)前記レジスト下層膜上に、レジスト中間膜、又はケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜から選ばれる無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせを形成する工程、
(V-3)前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜と有機薄膜の組み合わせ上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(V-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(V-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト中間膜、又は前記有機薄膜及び前記無機ハードマスク中間膜にパターンを転写する工程、
(V-6)前記パターンが転写されたレジスト中間膜、又は無機ハードマスク中間膜をマスクにして、ドライエッチングで前記レジスト下層膜にパターンを転写する工程、
(V-7)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上に、上記[5]から上記[7]のいずれか1つの金属含有膜形成用組成物を塗布後、熱処理することにより金属含有膜を被覆し、前記レジスト下層膜パターン間を前記金属含有膜で充填する工程、
(V-8)前記パターンが形成された前記レジスト下層膜上を覆う前記金属含有膜を化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記レジスト下層膜の上面を露出させる工程、
(V-9)前記レジスト下層膜上面に残っている前記レジスト中間膜、又は前記無機ハードマスク中間膜をドライエッチングで除去する工程、
(V-10)表面が露出した前記パターンが形成された前記レジスト下層膜をドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンを前記金属含有膜に形成する工程、
(V-11)前記反転パターンが形成された金属含有膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板に反転パターンを形成する工程
を有することを特徴とするトーン反転式パターン形成方法。