IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホシザキ電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-冷却貯蔵庫 図1
  • 特開-冷却貯蔵庫 図2
  • 特開-冷却貯蔵庫 図3
  • 特開-冷却貯蔵庫 図4
  • 特開-冷却貯蔵庫 図5
  • 特開-冷却貯蔵庫 図6
  • 特開-冷却貯蔵庫 図7
  • 特開-冷却貯蔵庫 図8
  • 特開-冷却貯蔵庫 図9
  • 特開-冷却貯蔵庫 図10
  • 特開-冷却貯蔵庫 図11
  • 特開-冷却貯蔵庫 図12
  • 特開-冷却貯蔵庫 図13
  • 特開-冷却貯蔵庫 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097391
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20240711BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
F25D23/00 B
F25D11/00 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000805
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春日井 正樹
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA04
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045HA01
3L045PA04
(57)【要約】
【課題】漏洩冷媒の滞留を確実に抑制する。
【解決手段】冷却貯蔵庫10は、前面開口11Sを有する貯蔵庫本体11と、貯蔵庫本体11内を冷却するための冷却装置30であって、空気よりも比重の大きい冷媒が循環する冷凍サイクルを形成する冷却装置30と、貯蔵庫本体11の上方に配され、後面開口15S1を有し、冷却装置30を構成する機器を収容する機械室15と、を備え、貯蔵庫本体11の後面45Aには、後方に突出する突出部47が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面開口を有する貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体内を冷却するための冷却装置であって、空気よりも比重の大きい冷媒が循環する冷凍サイクルを形成する冷却装置と、
前記貯蔵庫本体の上方に配置されており、後面開口を有し、前記冷却装置を構成する機器を収容する機械室と、を備え、
前記貯蔵庫本体の後面には、後方に突出する突出部が設けられている冷却貯蔵庫。
【請求項2】
前記突出部は、平板を折り曲げて重ねた形状をなし、突出端は折り曲げ部分から構成されている請求項1に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項3】
前記突出部は、前記貯蔵庫本体の外装板のうち側面板に一体的に設けられている請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項4】
前記突出部は、前記貯蔵庫本体の外装板のうち後面板に一体的に設けられている請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項5】
前記突出部は、前記貯蔵庫本体の外装板に対して取り付けられる補助部材に設けられている請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項6】
前記補助部材は、断面L字状をなしており、前記突出部は前記L字状の一辺部を構成している請求項5に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項7】
前記突出部は、前記貯蔵庫本体の前記後面の両側部にそれぞれ設けられており、
前記各突出部は、前記後面の前記各側部に沿って延在している請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項8】
前記機械室内には、庫外ファンが設けられている請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項9】
前記庫外ファンは、前記冷却装置を構成する凝縮器を空冷する凝縮器ファンである請求項8に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項10】
前記貯蔵庫本体の底面は、設置面から所定の間隔を空けて配置されており、前記底面と前記設置面との間の空間は、前記貯蔵庫本体の前記後面の後方空間と連通している請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項11】
前記冷却装置の一部は、前記貯蔵庫本体内に配置されており、
前記貯蔵庫本体は、前記前面開口を開閉する扉を備える請求項10に記載の冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却貯蔵庫において冷凍サイクルの冷媒漏れに対処する技術が知られており、その一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の冷蔵庫は、機械室カバー背面部に、機械室内と外部とを連通する開口部が設けられている。また機械室カバー背面部は、冷蔵庫本体の背面より前面側にずらして設けられており、開口部の背面には隙間が生じている。このようにすれば、冷蔵庫外箱背面を設置場所の壁面に押し付けて設置した場合であっても、機械室カバー背面部の開口部は閉塞されず、機械室内に漏洩した可燃性冷媒を外部に放出でき、安全性を向上できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3741140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷凍サイクルに用いられる冷媒は、イソブタン、プロパン等の空気より比重が大きい可燃性冷媒が一般的である。このため特許文献1に記載の技術によれば、開口部の下方が冷蔵庫外箱背面と設置場所の壁面とで塞がっている場合、冷媒は開口部の背面に形成された隙間に滞留しやすい。その結果、漏洩冷媒が容易に拡散されず、冷媒濃度が上昇してしまう課題がある。
【0005】
本技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、漏洩冷媒の滞留を確実に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本技術に関わる冷却貯蔵庫は、前面開口を有する貯蔵庫本体と、前記貯蔵庫本体内を冷却するための冷却装置であって、空気よりも比重の大きい冷媒が循環する冷凍サイクルを形成する冷却装置と、前記貯蔵庫本体の上方に配置されており、後面開口を有し、前記冷却装置を構成する機器を収容する機械室と、を備え、前記貯蔵庫本体の後面には、後方に突出する突出部が設けられている。
【0007】
突出部を設けることで、貯蔵庫本体が後方の設置物(例えば設置場所の壁面)に押し付けられて設置された場合であっても、貯蔵庫本体の後方に所定の隙間が確保されるようになる。冷却装置に用いられる冷媒は空気より比重が大きいため、冷媒が機械室内で漏洩した場合、漏洩冷媒は、機械室の後面開口から当該隙間を通って流下可能となる。漏洩冷媒の排出流路が形成されることで、漏洩冷媒を容易に拡散でき、滞留を確実に抑制できる。
【0008】
また、前記突出部は、平板を折り曲げて重ねた形状をなし、突出端は折り曲げ部分から構成されていてもよい。このようにすれば、突出部の剛性及び強度を容易に向上できると共に、人が突出部に触れても切傷しないように安全性を高められる。
【0009】
また、前記突出部は、前記貯蔵庫本体の外装板のうち側面板に一体的に設けられていてもよい。このようにすれば、側面板の一部として突出部を容易に設けられる。
【0010】
また、前記突出部は、前記貯蔵庫本体の外装板のうち後面板に一体的に設けられていてもよい。このようにすれば、後面板の一部として突出部を容易に設けられる。
【0011】
また、前記突出部は、前記貯蔵庫本体の外装板に対して取り付けられる補助部材に設けられていてもよい。このようにすれば、一般的な外装板を用いつつ、突出部を容易に設けられる。
【0012】
また、前記補助部材は、断面L字状をなしており、前記突出部は前記L字状の一辺部を構成していてもよい。このようにすれば、突出部を補助部材に容易に形成できる。
【0013】
また、前記突出部は、前記貯蔵庫本体の前記後面の両側部にそれぞれ設けられており、前記各突出部は、前記後面の前記各側部に沿って延在していてもよい。このようにすれば、貯蔵庫本体を後方の壁面等に安定的に押し付けて設置できると共に、漏洩冷媒の排出流路を形成しやすくなる。
【0014】
また、前記機械室内には、庫外ファンが設けられていてもよい。このようにすれば、機械室内の漏洩冷媒を機械室の後面開口から容易に排出でき、排出流路を下降する漏洩冷媒の流れを容易に形成できる。
【0015】
また、前記庫外ファンは、前記冷却装置を構成する凝縮器を空冷する凝縮器ファンであってもよい。このようにすれば、上記した作用を奏する庫外ファンを凝縮器ファンによって容易に実現できる。
【0016】
また、前記貯蔵庫本体の底面は、設置面から所定の間隔を空けて配置されており、前記底面と前記設置面との間の空間は、前記貯蔵庫本体の前記後面の後方空間と連通していてもよい。このようにすれば、庫外ファン(凝縮器ファン)を作動すると、機械室内の漏洩冷媒は、機械室の後面開口から、突出部によって形成される隙間(排出流路)を流下した後、設置面(床面等)上を前方に向かって流れるようになる。その結果、空気よりも比重の重い漏洩冷媒が設置面付近に滞留する事態を抑制できる。
【0017】
また、前記冷却装置の一部は、前記貯蔵庫本体内に配置されており、前記貯蔵庫本体は、前記前面開口を開閉する扉を備えてもよい。冷却装置の一部(冷却器等)が貯蔵庫本体内に設けられる場合、冷媒は貯蔵庫本体内で漏洩することがある。空気よりも比重の重い漏洩冷媒は、扉が開けられると前面開口から流出し、冷却貯蔵庫の設置面上において前面開口付近に滞留する懸念がある。本技術によれば、このような庫内からの漏洩冷媒の滞留も抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本技術によれば、漏洩冷媒の滞留を確実に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1に係る冷凍庫の前方斜視図
図2】冷凍庫の後方斜視図
図3図1のI-I線断面図
図4図3をII-II線位置で切断した、後壁部付近の断面図
図5図4の貯蔵庫本体の後壁部を構成する外装板の分解図
図6図5の枠線部の拡大図
図7】左側面板の斜視図
図8図7の突出部付近の拡大図
図9】実施形態2に係る貯蔵庫本体の後壁部を構成する外装板の分解図
図10図9の枠線部の拡大図
図11】後面板の斜視図
図12】実施形態3に係る貯蔵庫本体の後壁部を構成する外装板の分解図
図13図12の枠線部の拡大図
図14】補助部材の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
実施形態1に係る冷凍庫10(冷却貯蔵庫の一例)を図1から図8を参照して説明する。冷凍庫10は、図1から図3に示すように、貯蔵庫本体11と、扉14と、機械室15と、冷却装置30と、脚部19と、をおおまかには備える。扉14は、貯蔵庫本体11の前面開口11Sを開閉可能にヒンジ部材によって取り付けられている。扉14は、観音開き式に左右に対をなす2つずつが上下に2組設けられているが、その数や開閉方式は限定されない。脚部19は、貯蔵庫本体11の底面42Aの角部に4つ設けられている。脚部19によって、貯蔵庫本体11の底面42Aと設置面との間には所定の間隔が確保されている。なお、底面42Aと設置面との間は、冷凍庫10以外の別部材によって所定の間隔が確保されていても構わない。
【0021】
貯蔵庫本体11は、図3に示すように、ステンレス等の金属板が箱状に組み立てられた外箱11Aと内箱11Bとの間に、発泡樹脂製の断熱材11Cが充填された構造を有する。貯蔵庫本体11内(以下、単に庫内と呼ぶことがある)の大部分は、貯蔵室12となっており、貯蔵室12内には、食材等の被貯蔵物が載置される複数の棚13が設けられている。貯蔵庫本体11は、天井壁部41と、底壁部42と、左側壁部43と、右側壁部44と、後壁部45と、を含む断熱壁から構成されている。天井壁部41には、開口が設けられており、この開口に断熱性を有する天井蓋体46が機械室15側から嵌め込まれている。
【0022】
天井蓋体46の下方には、冷却器ダクト23が張設されることによって冷却器室20が形成されている。庫内は、冷却器ダクト23によって貯蔵室12と冷却器室20とに仕切られている。冷却器室20内において、冷却器ダクト23の吸込口23Aの上方には循環用ファン(庫内ファン)24が設けられ、循環用ファン24の後方には冷却器(蒸発器)35が設けられている。循環用ファン24が作動すると、貯蔵室12内の空気は吸込口23Aから冷却器室20内に吸い込まれ、冷却器35を通過することで冷却される。冷却された空気は吹出口23Bから貯蔵室12に吹き出されて循環する。
【0023】
また冷却器ダクト23によって、冷却器35に付着した霜が融解された際に生じる除霜水が受け止められるようになっている。冷却器ダクト23の後端部には、排出管48が接続されており、除霜水は、後壁部45内を下方に延びる排出管48を通って貯蔵庫本体11の外部に排出される。
【0024】
機械室15は、図1及び図2に示すように、貯蔵庫本体11の上方に配されており、前方、左方、及び右方はそれぞれ、フロントパネル15A、左サイドパネル15B、右サイドパネル15Cによって覆われている。機械室15の後面には、左サイドパネル15Bの上端部と、右サイドパネル15Cの上端部とを連結する棒状の連結フレーム15Dが設けられている。機械室15の後面において、連結フレーム15Dより下側部分(連結フレーム15Dと貯蔵庫本体11の後面45Aとの間)は後面開口15S1となっている。後面開口15S1の前後方向における位置は、貯蔵庫本体11の後面45Aと略一致している。機械室15の上方はパネルで覆われておらず、ほぼ全体が開放されている。機械室15の上面は、フロントパネル15A、左サイドパネル15B、右サイドパネル15C、及び連結フレーム15Dの各上端部によって囲まれており、これらを開口縁とする上面開口15S2が形成されている。機械室15には、冷却装置30のうち圧縮機31、凝縮器33、及び凝縮器ファン37、並びに制御基板を含む電装箱60等が収容されている。
【0025】
冷却装置30は、貯蔵庫本体11の内部(貯蔵室12)を冷却するための装置である。冷却装置30は、圧縮機31と、凝縮器33と、膨張弁(キャビラリーチューブ)と、冷却器35と、凝縮器ファン37と、冷媒管38と、を備える。圧縮機31、凝縮器33、冷却器35は、冷媒管38によって連結されており、冷媒を循環させて既知の冷凍サイクル(冷凍回路)を形成している。圧縮機31は、モータを動力源として冷媒ガスを吸引して圧縮し、高温高圧の冷媒ガスを吐出する。凝縮器33は、圧縮機31で圧縮された冷媒ガスを凝縮器ファン37の送風により冷却して液化させる。冷却器35は、凝縮器33からの冷媒液を膨張弁により減圧してから気化させることで、気化熱によって冷却器35を通過する空気を冷却する。冷却器35からの冷媒ガスは、圧縮機31に帰還される。
【0026】
冷媒管38の一部は天井蓋体46を貫通し、機械室15内の圧縮機31及び凝縮器33と、冷却器室20内の冷却器35とを接続している。従って冷媒は、機械室15と冷却器室20との間を循環しており、冷媒漏洩は、機械室15及び冷却器室20のいずれにおいても生じる可能性がある。冷媒漏洩は例えば、冷媒管38に腐食部分や壁厚が小さい部分がある場合に、その部分が圧縮機31の振動や冷媒の流動による応力によって亀裂になると生じることがある。本実施形態に係る冷媒は、冷凍サイクルにおいて一般的に使用されているイソブタン、プロパン等の空気より比重が大きい可燃性冷媒とされる。
【0027】
凝縮器ファン37は、図2及び図3に示すように、凝縮器33の後方に設けられており、凝縮器ファン37が作動すると、外気が凝縮器33内を前から後ろに通過して、凝縮器33内の冷媒が空冷される。より詳しくは、凝縮器33とフロントパネル15Aとの間は、所定の間隔が空けられており、これにより外気は、機械室15の上面開口15S2から凝縮器33の前方に取り付けられたエアフィルタ33Aを通過して、凝縮器33に流入する。凝縮器33を通って凝縮器ファン37に吸い込まれた空気は、凝縮器ファン37の後側に吹き出され、圧縮機31、及び断熱被覆材で覆われた冷媒管38等の周りの空間を通過して、機械室15の後面開口15S1に達する。
【0028】
次に、貯蔵庫本体11の後壁部45の外面である後面(背面)45Aに設けられた突出部47について説明する。突出部47は、図2に示すように、後面45Aから後方に突出しており、後面45Aの左側部45A1、及び右側部45A2に1つずつ設けられている。すなわち突出部47は、左側部45A1に設けられた第1突出部47Aと、右側部45A2に設けられた第2突出部47Bと、からなる。第1突出部47A、第2突出部47Bはそれぞれ、後面45Aの左側部45A1、右側部45A2の上下方向の全長に亘って細長状に延在している。
【0029】
貯蔵庫本体11の後面45Aは、図4から図6に示すように、外箱11Aとして組み立てられる外装板のうち後面板(背面板)50、左側面板51の後部、及び右側面板52の後部によって構成されている。後面板50は、貯蔵庫本体11の後面45Aの大部分を構成する板状部材である。後面板50と左側面板51、及び後面板と右側面板52はそれぞれ、締結部材80(例えばネジ)によって固定される。後面板50の左右方向の長さは、後面45Aに比べて若干小さく形成されており、後面板50の両側縁部(左側縁部50A、右側縁部50B)は前方に向かって僅かに傾斜している。これにより、後面板50の左右両側縁部50A、50Bは、左側面板51、及び右側面板52に対して後方から当て付くように組付けられる。
【0030】
左側面板51は、図7及び図8に示すように、ステンレス鋼板等の金属平板を所定の形状に曲げ加工することにより形成されている。左側面板51は、本体部51Aと、接続部51Bと、既述した第1突出部47Aと、を少なくとも含む。第1突出部47Aは、左側面板51を曲げ加工することで、左側面板51に一体的に設けられている。本体部51Aは、左側壁部43の外面である左面43Aを構成する部分である(図4)。接続部51Bは、後方から当て付く後面板50の左側縁部50Aと締結部材80によって接続される部分である。接続部51Bは、後面板50の左側縁部50Aと重なるように、本体部51Aと交わる左右方向に延在する。
【0031】
第1突出部47Aは、左側面板51において本体部51Aから後方に突出した部分である。第1突出部47Aは、平板を折り曲げて重ねた形状(いわゆるハゼ折形状)をなし、突出端47A1は折り曲げ部分から構成されている。折り返された第1突出部47Aは、接続部51Bと繋がっている。第1突出部47Aをこのように形成することで、第1突出部47Aの剛性及び強度を向上できると共に、人が突出端47A1等に触れても切傷しないように安全性を高められる。
【0032】
右側面板52は、左側面板51と左右対称な形状及び大きさを有する。右側面板52は、本体部52Aと、接続部52Bと、第2突出部47Bと、を少なくとも含む。これら各部の基本構造は、左側面板51の各部と同一であるため説明は省略する。
【0033】
続いて、上記した冷凍庫10の作用効果について説明する。冷却装置30に用いられる冷媒は、空気より比重が大きいため、冷媒が機械室15内で漏洩した場合、漏洩冷媒は機械室15の上部開口15S2からは外部に排出されず、後面開口15S1が排出口となる。本実施形態では、貯蔵庫本体11の後面45Aに突出部47が設けられており、図4に示すように、冷凍庫10を後方の設置物90(例えば設置場所の壁面)に押し付けて設置した場合であっても、後面開口15S1は塞がれず、漏洩冷媒は外部に排出される。そして突出部47によって、貯蔵庫本体11の後面45Aの後方には隙間G1が確保されるため、後面開口15S1から排出された漏洩冷媒は当該隙間G1を通って下降可能となる(図2図3の矢線参照)。従って突出部47を設けることで、漏洩冷媒の排出流路となる隙間G1を形成し、漏洩冷媒の滞留を確実に抑制できる。
【0034】
また、突出部47は、貯蔵庫本体11の後面45Aの左右両側部45A1、45A2にそれぞれ設けられている。第1突出部47Aは左側部45A1に沿って上下方向に延在し、第2突出部47Bは右側部45A2に沿って上下方向に延在している。突出部47は、漏洩冷媒の排出流路となる隙間G1を形成するにあたって、少なくとも第1突出部47Aまたは第2突出部47Bの一方が設けられていればよいが、2つ設けることで、貯蔵庫本体11を後方の壁面等に安定的に押し付けて設置できると共に、後面開口15S1から排出された漏洩冷媒の下方への流れを形成しやすくなる。
【0035】
また、機械室15内の凝縮器ファン37を作動することで、機械室15内の漏洩冷媒は後面開口15S1から効率的に排出されるようになり、隙間G1を下降する流れが容易に形成されるようになる。これにより、貯蔵庫本体11の後面45Aに生じやすい結露を抑制できる。
【0036】
また、貯蔵庫本体11の底面42Aは、設置面から所定の間隔を空けて配置されており、底面42Aと設置面との間の空間は、隙間G1(貯蔵庫本体の後面45Aの後方空間)と連通している。このため凝縮器ファン37を作動すると、機械室15内の漏洩冷媒は、後面開口15S1から貯蔵庫本体11の後面45Aに沿って隙間G1を流下した後、設置面上を前方に向かって流れるようになる(図3の矢線参照)。その結果、空気よりも比重の重い漏洩冷媒が設置面付近に滞留する事態を抑制できる。また、貯蔵庫本体の底面42Aに生じやすい結露を抑制できる。
【0037】
また、冷媒が冷却器室20内で漏洩した場合、漏洩冷媒は冷却器室20から貯蔵室12に流出し、扉14が開けられると、前面開口11Sから冷凍庫10の設置面上に排出されることとなる。本実施形態によれば、上記したように設置面付近を後ろから前に向かって流れる漏洩冷媒の排出流路が形成されるため、前面開口11Sから排出される庫内からの漏洩冷媒が滞留する事態も抑制できる。
【0038】
<実施形態2>
実施形態2に係る突出部147について、図9から図11を参照して説明する。実施形態2では、突出部147が後面板150に設けられている点が実施形態1と異なる。実施形態2において、実施形態1と同様の構成、及び作用効果について重複する説明は省略する。
【0039】
第1突出部147A、及び第2突出部147Bは、図9から図11に示すように、後面板150を曲げ加工することで、後面板150に一体的に設けられている。実施形態1と異なり、左側面板151、右側面板152には突出部は設けられていない。第1突出部147Aは、後面板150の左側縁部50Aから後方に突出した部分であり、第2突出部147Bは、後面板150の右側縁部50Bから後方に突出した部分である。
【0040】
<実施形態3>
実施形態3に係る突出部247について、図12から図14を参照して説明する。実施形態3では、突出部247が外装板とは別部材(補助部材70)に設けられている点が実施形態1と異なる。実施形態3において、実施形態1及び2と同様の構成、及び作用効果について重複する説明は省略する。
【0041】
本実施形態に係る貯蔵庫本体11は、図12から図14に示すように、外装板である後面板50、左側面板151、及び右側面板152に取り付けられる補助部材70を2つ備える。各補助部材70は、断面L字状の棒状部材である。第1突出部247A、及び第2突出部247Bは、各補助部材70に設けられており、後面板50、左側面板151、及び右側面板152には設けられていない。2つの補助部材70は、同一形状及び大きさを有し、左右対称に取り付けられる。
【0042】
一方の補助部材70は、接続部70Aと、第1突出部247Aとを有する。接続部70Aは、断面L字状の一辺部を構成しており、締結部材80によって、後面板50、及び左側面板151と接続される(図13)。他方の補助部材70は、接続部70Bと、第2突出部247Bとを有する。接続部70Bは、断面L字状の一辺部を構成しており、締結部材80によって、後面板50、及び右側面板152と接続される。このようにすれば、外装板である後面板50、左側面板151、及び右側面板152の形状を変更することなく、突出部247を容易に設けられる。
【0043】
<他の実施形態>
本技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本技術の技術的範囲に含まれる。
【0044】
(1)突出部47、147、247の形状や大きさは一例に過ぎず、図示に限定されない。
【0045】
(2)各実施形態に係る構成は、適宜組み合わせることができ、併用も可能である。
【0046】
(3)本技術は、冷凍庫10以外の冷却貯蔵庫(例えばロッカー式冷蔵庫)、さらには冷却貯蔵庫以外の冷却装置30を備える機器(例えば製氷機)に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
10:冷凍庫(冷却貯蔵庫)、11:貯蔵庫本体、11S:前面開口、14:扉、15:機械室、15S1:後面開口、30:冷却装置、33:凝縮器、37:凝縮器ファン(庫外ファン)、42A:底面、45A:後面、45A1:左側部、45A2:右側部、47、47A、47B、147、147A、147B、247、247A、247B:突出部、47A1:突出端、50、150:後面板、51、151:左側面板、52、152:右側面板、70:補助部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14