(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097393
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】メンテナンス用スタンド
(51)【国際特許分類】
B25H 1/00 20060101AFI20240711BHJP
B62H 3/10 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B25H1/00 A
B62H3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000809
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】399101865
【氏名又は名称】北條 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】北條 謙一
(57)【要約】
【課題】一人の作業者によって作業を行うことを可能とするメンテナンス用スタンドを提供することである。
【解決手段】メンテナンス用スタンド10は、地面又は床面に設置可能な土台部12と、土台部12の上部に設けられて、バイク1の両側面部に設けられる一対のスイングアーム4a,4bを支持し、停車時の一対のスイングアーム4a,4bの傾斜と同じ傾きの傾斜状態となる傾斜モードを有する一対の支持部14a,14bと、土台部12の上部に設けられて、一対の支持部14a,14b同士を連結する連結フレーム部16と、操作部を操作することで、一対の支持部14a,14bの傾きのモードを傾斜モードから地面に対して水平状態となる水平モードへと移行させるために一対の支持部14a,14bの傾きを変えることが可能なモード移行機構と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドスタンドを用いて傾斜状態で地面又は床面に停車可能な二輪車のメンテナンスを行う際に用いるメンテナンス用スタンドであって、
前記地面又は床面に設置可能な土台部と、
前記土台部の上部に設けられて、前記二輪車の両側面部に設けられる一対のスイングアームを支持し、前記停車時の前記一対のスイングアームの傾斜と同じ傾きの傾斜状態となる傾斜モードを有する一対の支持部と、
前記土台部の上部に設けられて、前記一対の支持部同士を連結する連結フレーム部と、
操作部を操作することで、前記一対の支持部の傾きのモードを前記傾斜モードから前記地面に対して水平状態となる水平モードへと移行させるために前記一対の支持部の傾きを変えることが可能なモード移行機構と、
を備えることを特徴とするメンテナンス用スタンド。
【請求項2】
請求項1に記載のメンテナンス用スタンドにおいて、
前記モード移行機構は、
前記一対の支持部のうち一方の支持部の上下方向の移動を案内する案内レール部と、
前記案内レール部によって前記一方の支持部を上下方向に移動させるように回転することができ、前記回転を止めて前記傾斜モードを保持するための傾斜用直線部と前記水平モードを保持するための水平用直線部とを有する回転部と、
前記回転部の回転を止めるために前記傾斜用直線部と前記水平用直線部に当接可能な直線部を有する回転停止部と、
を備えることを特徴とするメンテナンス用スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンテナンス用スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
二輪車は、定期的にメンテナンスを行う必要がある。従来、二輪車をメンテナンスする際に後輪のリフトアップを行うためのスタンドが開発されている。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、一対のL字棒と両L字棒の基端同士をつなぐつなぎ部とを有し、両L字棒の先端に設けた受け具を車体の側に係合し、両L字棒の中間曲り部を支点として上記受け具を上方リフト位置に回動可能にする自動二輪車の後輪用メンテナンススタンドにおいて、スイングアームの左右後端に回動自在に設けられて後輪車軸を偏心支持する左右のチェーンアジャスタの側面に、それらチェーンアジャスタの回動操作用孔を開口してなり、左右のチェーンアジャスタの回動操作用孔に左右のリフト用ロッドの取付部を着脱自在にし、該回動操作用孔に取付けた各リフト用ロッドの係合部に両L字棒の先端の各受け具を係合可能にしたことを特徴とする自動二輪車の後輪用メンテナンススタンドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のメンテナンススタンドを用いて、二輪車の後輪を持ち上げようとすると、傾斜状態で停車しているバイクを起立させながら、メンテナンススタンドを装着してリフトアップする必要があり、二人の作業者によって作業を行う必要がある。
【0006】
本発明の目的は、一人の作業者によって作業を行うことを可能とするメンテナンス用スタンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るメンテナンス用スタンドは、サイドスタンドを用いて傾斜状態で地面又は床面に停車可能な二輪車のメンテナンスを行う際に用いるメンテナンス用スタンドであって、前記地面又は床面に設置可能な土台部と、前記土台部の上部に設けられて、前記二輪車の両側面部に設けられる一対のスイングアームを支持し、前記停車時の前記一対のスイングアームの傾斜と同じ傾きの傾斜状態となる傾斜モードを有する一対の支持部と、前記土台部の上部に設けられて、前記一対の支持部同士を連結する連結フレーム部と、操作部を操作することで、前記一対の支持部の傾きのモードを前記傾斜モードから前記地面に対して水平状態となる水平モードへと移行させるために前記一対の支持部の傾きを変えることが可能なモード移行機構と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るメンテナンス用スタンドにおいて、前記モード移行機構は、前記一対の支持部のうち一方の支持部の上下方向の移動を案内する案内レール部と、前記案内レール部によって前記一方の支持部を上下方向に移動させるように回転することができ、前記回転を止めて前記傾斜モードを保持するための傾斜用直線部と前記水平モードを保持するための水平用直線部とを有する回転部と、前記回転部の回転を止めるために前記傾斜用直線部と前記水平用直線部に当接可能な直線部を有する回転停止部と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一人の作業者によって二輪車の後輪のリフトアップが行える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るメンテナンス用スタンドを示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るメンテナンス用スタンドを示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るメンテナンス用スタンドを用いてバイクのリフトアップを行っている様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るメンテナンス用スタンド10を示す図である。
図1(a)は、メンテナンス用スタンド10の平面図であり、
図1(b)は、メンテナンス用スタンド10の側面図である。
図1(c)は、メンテナンス用スタンド10の正面図である。
【0013】
図2は、本発明の実施形態に係るメンテナンス用スタンド10を示す図である。
図2(a)は、傾斜モードのメンテナンス用スタンド10を背面側から見た際の斜視図であり、
図2(b)は、水平モードのメンテナンス用スタンド10を背面側から見た際の斜視図である。
【0014】
図2(c)は、傾斜モードのメンテナンス用スタンド10を側面側から見た際の斜視図であり、
図2(b)は、水平モードのメンテナンス用スタンド10を側面側から見た際の斜視図である。
【0015】
図3は、本発明の実施形態に係るメンテナンス用スタンド10を用いてバイクのリフトアップを行っている様子を示す図である。
図3(a)は、傾斜状態のバイク1にメンテナンス用スタンド10を装着している様子を示す図であり、
図3(b)は、メンテナンス用スタンド10を用いてバイク1を起立させている様子を示す図である。
【0016】
バイク1は、車体フレームの左右後端にピボット軸を介して一対のスイングアーム4a,4bが設けられている。バイク1は、地面に停車する際にサイドスタンドを立てることで、傾斜状態で停車することが出来る。スイングアーム4a,4bの左右後端にはアクスルホルダ部が設けられ、アクスルホルダ部には円形状をなすチェーンアジャスタが回動自在に支持される。
【0017】
チェーンアジャスタは、後輪のタイヤ2の車軸を支持する車軸支持部を備え、車軸支持部の中心をチェーンアジャスタの中心に対し偏心配置し、車軸をチェーンアジャスタの回動中心に対し偏心支持している。車軸にはドリブンスプロケットが取付けられ、エンジンのドライブスプロケットの間にチェーンを巻掛け、タイヤ2をチェーン駆動可能にする。
【0018】
バイク1は、後輪のタイヤ2の交換、車軸の軸受の点検、チェーン交換、ブレーキキャリパのパッド交換等の車両補修のため、タイヤ2を地面からリフトアップするメンテナンス用スタンド10が用いられる。
【0019】
メンテナンス用スタンド10は、サイドスタンドを用いて傾斜状態で地面又は床面に停車可能なバイク1のメンテナンスを行う際に用いるスタンドである。メンテナンス用スタンド10は、土台部12と、一対の支持部14a,14bと、連結フレーム部16と、操作部17と、回転部18と、案内レール部19と、回転停止部20とを備えている。ここでは、操作部17、回転部18、案内レール部19及び回転停止部20を合わせてモード移行部と呼ぶ。
【0020】
土台部12は、地面又は床面に設置可能な部材である。土台部12は、平面視で略U字形状を有しており、先端の両端部付近において、上方に向かって伸びる延伸部を有している。土台部12の一方側の延伸部の上部には案内レール部19が設けられており、他方側の延伸部の上部には支持部14bが設けられている。
【0021】
一対の支持部14a,14bは、土台部12の上部に設けられて、互いに近づくように内側に向かって伸びる棒部材である。一対の支持部14a,14bは、バイク1の両側面部に設けられる一対のスイングアーム4a,4bを支持し、停車時の一対のスイングアーム4a,4bの傾斜と同じ傾きの傾斜状態となる傾斜モードと、地面に対して水平状態となる水平モードとを有している。
【0022】
連結フレーム部16は、土台部12の上部に設けられて、一対の支持部14a,14b同士を連結する。連結フレーム部16は、平面視で略U字形状を有する。連結フレーム部16は、
図3に示されるように、タイヤ2を避けるように後方に伸び、両端部には一対の支持部14a,14bが設けられている。
【0023】
モード移行部は、操作部17を操作することで、一対の支持部14a,14bの傾きのモードを傾斜モードから地面に対して水平状態となる水平モードへと移行させるために一対の支持部14a,14bの傾きを変えることが可能である。
【0024】
案内レール部19は、土台部12の一方側の延伸部の上方において、支持部14aを挟むように所定の間隔をあけて2つのレールが延伸している。この2つのレールによって、支持部14aの上下方向の移動が案内される。
【0025】
なお、支持部14aの反対側に位置する支持部14bは、土台部12の延伸部と連結ピン15を介して連結され、操作部17が操作された際に、連結ピン15を回動軸として回動する。すなわち、支持部14aは案内レール部19によって上下方向に移動可能であるが、これに対し、支持部14bの高さは変わらず、連結ピン15を中心として回動するだけである。
【0026】
回転部18は、案内レール部19によって一方の支持部14aを上下方向に移動させるように回転することができ、回転を止めて傾斜モードを保持するための傾斜用直線部18bと水平モードを保持するための水平用直線部18aとを有する。
【0027】
具体的には、
図2(c)、(d)に示されるように、回転部18は、側面視で略矩形形状を有している。
図2(c)に示されるように傾斜モードでは、回転部18の傾斜用直線部18bが回転停止部20と接触状態にある。
【0028】
また、回転部18の傾斜用直線部bの端部には駒部が設けられており、操作部17を操作することで、
図2(d)に示されるように、回転部18が90°回転し、水平用直線部18aが回転停止部20と接触する状態となる。
【0029】
ここで、
図2(c)に示されるように、傾斜モードにおいては一対の支持部14a,14bを直線状に結んだ直線について地面に対する傾きは、バイク1がサイドスタンドで傾斜している際の一対のスイングアーム4a,4bの傾きと同じである。
【0030】
図2(c)の傾斜モードにおいて、バイク1の背面側に位置する作業者が操作部17を手前側に引くように操作することで、一対の支持部14aが案内レール部19に沿って上昇し、支持部14aと連結フレーム部16を介して連結された支持部14bの傾きが変わる。これにより、一対の支持部14a,14bが地面に対して水平状態となる。
【0031】
回転停止部20は、回転部18の回転を止めるために傾斜用直線部18bと水平用直線部18aに当接可能な直線部を有する板状の部材である。
【0032】
続いて、上記構成のメンテナンス用スタンド10の作用について説明する。自動二輪車のバイクは、タイヤの交換、チェーンの交換、ブレーキパッドの交換などのメンテナンスを定期的に行う必要がある。
【0033】
このようなメンテナンスは、バイクの後輪を持ち上げる必要があり、このためのスタンドが開発されている。従来のスタンドは、一人で作業することが出来ず、二人の作業者のうち、一方の作業者がバイクを起しつつ、他方の作業者がスタンドを装着して、梃子の原理を使って後輪をリフトアップする。
【0034】
しかしながら、このようにメンテナンスを行う場合、作業者が二人必要であるという課題がある。このような課題に対し、本発明の実施形態のメンテナンス用スタンド10は、顕著な効果を発揮する。
【0035】
一人の作業者は、サイドスタンドをかけて停車しているバイク1のタイヤ2付近までメンテナンス用スタンド10を運んでくる。そして、
図3(a)に示されるように、傾斜モードのメンテナンス用スタンド10の一対の支持部14a,14bによってバイク1の一対のスイングアーム4a,4bを支持するようにセットする。
【0036】
その後、操作部17を手前に引くと、回転部18が略90°回転し、
図3(b)に示されるように、一対の支持部14a,14bが傾斜モードから水平モードへと移行し、これにより一対のスイングアーム4a,4bが傾斜状態から水平状態へと移行して、タイヤ2がリフトアップされる。
【0037】
このとき、回転部18は、水平用直線部18aが回転停止部20に接触した状態となり、水平状態が保持される。これにより、作業者は、メンテナンスを行うことができる。このように、メンテナンス用スタンド10を用いることで、一人の作業者がタイヤ2のリフトアップを行えるため、効率の良いメンテナンスを行うことが出来るという顕著な効果を奏する。
【0038】
なお、上記では、モード移行部は、機械的な機構によって上昇させるものとして説明したが、その他の手段であってもよく、例えば、モータなどの電動機を用いることで一対の支持部14a,14bを傾斜モードから水平モードへと移行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 バイク、2 タイヤ、4a,4b スイングアーム、10 メンテナンス用スタンド、12 土台部、14a,14b 支持部、15 連結ピン、16 連結フレーム部、17 操作部、18 回転部、18a 水平用直線部、18b 傾斜用直線部、19 案内レール部、20 回転停止部。