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  • 特開-ドラム型濃縮機の制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097394
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ドラム型濃縮機の制御方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/125 20190101AFI20240711BHJP
   C02F 11/147 20190101ALI20240711BHJP
【FI】
C02F11/125 ZAB
C02F11/147
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000810
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000197746
【氏名又は名称】株式会社石垣
(72)【発明者】
【氏名】眞部 雄司
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA01
4D059AA03
4D059BE04
4D059BE13
4D059BE56
4D059BJ03
4D059CB06
4D059CB07
4D059CB27
4D059DB11
4D059EA01
4D059EB11
(57)【要約】
【課題】
濃縮汚泥濃度が低い場合は早急に濃度を高め、濃縮汚泥濃度が高い場合は徐々に濃度を低下させる制御を行うドラム型濃縮機を提供する。
【解決手段】
濃縮室12の汚泥をスクリュー羽根3で移送しながら外筒スクリーン2からろ液を分離し、濃縮室12の排出口11から濃縮汚泥を排出する濃縮機において、予め供給量幅a1を供給量幅a2より大きく設定し、濃縮汚泥濃度の計測値Xが基準濃縮汚泥濃度X0より低いときに凝集剤の供給量Aを段階的に供給量幅a1だけ増加させ、濃縮汚泥濃度の計測値Xが基準濃縮汚泥濃度X0より高いときに凝集剤の供給量Aを段階的に供給量幅a2だけ減少させるもので、濃縮汚泥濃度が低い場合は早期に濃度を高めるとともに、濃縮汚泥濃度が高い場合は徐々に濃度を低下させて濃度の下がりすぎを防止する。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒スクリーン(2)とスクリュー羽根(3)を巻き掛けたスクリュー軸(4)で濃縮室(12)を形成し、濃縮室(12)の汚泥をスクリュー羽根(3)で移送しながら外筒スクリーン(2)からろ液を分離し、濃縮室(12)の排出口(6a)から濃縮汚泥を排出するドラム型濃縮機において、
予め基準濃縮汚泥濃度(X0)と、凝集剤の基準供給量(A0)と、基準供給量の最大値である最大供給量(Amax)と、基準供給量の最小値である最小供給量(Amin)と、凝集剤を段階的に増加させる供給量幅(a1)と、凝集剤を段階的に減少させる供給量幅(a2)とを設定するとともに、供給量幅(a1)を供給量幅(a2)より大きく設定し、
濃縮汚泥濃度の計測値(X)が基準濃縮汚泥濃度(X0)の範囲内の時は、ドラム型濃縮機(1)の運転を継続し、
濃縮汚泥濃度の計測値(X)が基準濃縮汚泥濃度(X0)より低い場合、凝集剤の供給量を供給量幅(a1)だけ段階的に増加させ、濃縮汚泥濃度の計測値(X)が基準濃縮汚泥濃度(X0)の範囲内に上昇するまでこの操作を繰り返すとともに、
濃縮汚泥濃度の計測値(X)が基準濃縮汚泥濃度(X0)より高い場合、凝集剤の供給量を供給量幅(a2)だけ段階的に減少させ、濃縮汚泥濃度の計測値(X)が基準濃縮汚泥濃度(X0)の範囲内に下降するまでこの操作を繰り返し、
濃縮汚泥濃度の計測値(X)を基準濃縮汚泥濃度(X0)の範囲内に制御する
ことを特徴とするドラム型濃縮機の制御方法。
【請求項2】
前記段階的に減少させる供給量幅(a2)を、段階的に増加させる供給量幅(a1)の80%以下とする
ことを特徴とする請求項1に記載のドラム型濃縮機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水、し尿、集落排水、工場等の排水処理施設から発生する汚泥を、スクリュー羽根で移送しながら外筒スクリーンからろ液を分離するドラム型濃縮機の制御方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円筒状のスクリーンにスクリュー軸を回転自在に内挿し、内部に供給された汚泥等をスクリュー軸で汚泥を搬送しつつ、スクリーンにより固液分離を行い、濃縮汚泥を排出口から取り出すドラム型濃縮機が知られている。
【0003】
また、供給汚泥の性状変化や濃縮汚泥の汚泥濃度等に応じて凝集剤の添加率を制御するドラム型濃縮機の制御方法も公知である。
【0004】
特許文献1には、濃縮汚泥の濃度を検知して、スクリュー軸と外筒スクリーンの差速回転数と、凝集剤の薬注率を段階的に切替えて、濃縮する汚泥濃度を一定に保つ差速回転濃縮機における運転制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4427798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
安定的に濃縮機を運転するために、濃縮機から排出する濃縮汚泥の濃度を一定に保つ制御が行われている。濃縮汚泥の濃度が基準濃度から外れた場合、凝集剤の添加率を増減させて濃縮汚泥の基準濃度内に制御するものであるが、高い濃縮汚泥濃度より低い濃縮汚泥濃度の場合の方が後段の搬送・焼却等の工程に悪い影響が出るため、特に、低濃度の濃縮汚泥は早急に高濃度に改質する必要がある。
【0007】
一般的に濃縮汚泥濃度と凝集剤の添加率との関係は、右上がりの非線形の対数関数のような相関となり、凝集剤の薬注率が少ないところでは僅かな添加率によって濃縮汚泥濃度が大きく変動し、凝集剤の薬注率が多いところでは大きな添加率でも濃縮汚泥濃度があまり変動しない。
【0008】
したがって、濃縮汚泥濃度が低く濃度を増加させたい場合、早急に濃度を上昇させる必要があるため、大きい増加幅の添加率を設定する必要がある。一方、濃縮汚泥濃度が高く濃度を減少させたい場合、慎重に濃度を下降させる必要があるため、小さい減少幅の添加率を設定する必要がある。
【0009】
特許文献1の技術は、濃縮汚泥濃度が上昇したときに凝集剤の薬注率を段階的に減少させ、濃縮汚泥濃度が下降したときに凝集剤の薬注率を段階的に増加させるものであるが、段階的に増減させる1回の添加率dについて、それぞれ増減時の添加率を別々に設定する記載や示唆はない。そのため、添加率dの増減幅を同一に設定しているものと認められ、それぞれの濃縮濃度の制御やレスポンス等でリスクが生じる。
【0010】
本発明は、濃縮汚泥濃度に応じて凝集剤の添加量を制御する制御方法において、凝集剤供給量の増加量および減少量をそれぞれ個別に適切に設定するドラム型濃縮機の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、外筒スクリーンとスクリュー羽根を巻き掛けたスクリュー軸で濃縮室を形成し、濃縮室の汚泥をスクリュー羽根で移送しながら外筒スクリーンからろ液を分離し、濃縮室の排出口から濃縮汚泥を排出するドラム型濃縮機において、予め基準濃縮汚泥濃度と、凝集剤の基準供給量と、基準供給量の最大値である最大供給量と、基準供給量の最小値である最小供給量と、凝集剤を段階的に増加させる供給量幅と、凝集剤を段階的に減少させる供給量幅とを設定するとともに、供給量幅を供給量幅より大きく設定し、濃縮汚泥濃度の計測値が基準濃縮汚泥濃度の範囲内の時は、ドラム型濃縮機の運転を継続し、濃縮汚泥濃度の計測値が基準濃縮汚泥濃度より低い場合、凝集剤の供給量を供給量幅だけ段階的に増加させ、濃縮汚泥濃度の計測値が基準濃縮汚泥濃度の範囲内に上昇するまでこの操作を繰り返すとともに、濃縮汚泥濃度の計測値が基準濃縮汚泥濃度より高い場合、凝集剤の供給量を供給量幅)だけ段階的に減少させ、濃縮汚泥濃度の計測値が基準濃縮汚泥濃度の範囲内に下降するまでこの操作を繰り返し、濃縮汚泥濃度の計測値を基準濃縮汚泥濃度の範囲内に制御するもので、濃縮汚泥濃度が低い場合は早期に濃度を高めるとともに、濃縮汚泥濃度が高い場合は徐々に濃度を低下させて濃度の下がりすぎを防止できる。
【0012】
段階的に減少させる供給量幅を、段階的に増加させる供給量幅の80%以下とすると、濃縮汚泥濃度の上昇率および下降率のバランスが良く、安定した制御が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、凝集剤供給量の制御により、濃縮機から一定濃度の濃縮汚泥を安定的に排出するものである。特に、凝集剤供給量の増加量を減少量より大きく設定するため、濃縮汚泥濃度が低い場合は早期に濃度を高めるとともに、濃縮汚泥濃度が高い場合は徐々に濃度を低下させて濃度の下がりすぎを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るドラム型濃縮機の縦断面図である。
図2】同じく、制御装置を配設したドラム型濃縮機の構成図である。
図3】同じく、汚泥受槽に配設した濃縮汚泥濃度測定装置の概念図である。
図4】同じく、ドラム型濃縮機制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るドラム型濃縮機における運転制御方法と運転制御装置を図面に基づき詳述すると、図1はドラム型濃縮機の縦断側面図であって、ドラム型濃縮機1は周部にろ過面を有する外筒スクリーン2の内部に、スクリュー羽根3を巻き掛けたスクリュー軸4を配設し、外筒スクリーン2とスクリュー軸4の間に濃縮室12を形成している。外筒スクリーン2の端部には、それぞれ入口フランジ5と出口フランジ6を嵌着し、入口フランジ5をスクリュー軸4に軸支して、出口フランジ6に連結した外筒駆動軸7をろ液受槽8に支架した軸受9に軸支している。スクリュー軸4に連結したスクリュー駆動軸10を外筒駆動軸7に挿通し、それぞれ独自に回転自在に構成している。
【0016】
外筒スクリーン2の外筒駆動軸7とスクリュー軸4のスクリュー駆動軸10に外筒駆動機13とスクリュー駆動機14が個別に連動連結してあり、外筒スクリーン2とスクリュー軸4を逆方向に差速回転させる。
【0017】
スクリュー軸4の前端部の供給路11から供給口11aを介して濃縮室12に供給した汚泥を、外筒スクリーン2とスクリュー軸4を逆回転させながら、外筒スクリーン2からろ液を分離して、濃縮した汚泥を出口フランジ6の排出口6aから排出する。外筒スクリーン2とスクリュー軸4を差速回転させることにより、相対的にスクリュー羽根3の回転数を高め、外筒スクリーン2のろ過面の摺接回数を増加させる。目詰りせんとする外筒スクリーン2のろ過面を再生してろ液の排出を促進させ、濃度の低い汚泥の大量処理を可能とする。
【0018】
なお、符号15は外筒スクリーン2に沿って配設した洗浄水管であって、目詰まりした外筒スクリーン2のスクリーン面に高圧水を噴射してろ過面の目詰まりを解消させる。
【0019】
図2は制御装置を配設したドラム型濃縮機の構成図であって、汚泥貯留槽20に貯留されている汚泥等の処理原液は、原液供給ポンプ21により原液供給管22を経て凝集混和槽23に供給される。
【0020】
原液供給ポンプ21と凝集混和槽23との間の原液供給管22の途中には、高分子凝集剤が貯留されている高分子溶解槽25から薬液供給ポンプ26によって薬液流量QPで供給される薬液供給管27が接続されている。そして、薬液供給管27の途中には、薬液流量QPを測定するための薬液流量計28が薬液供給ポンプ26と原液供給管22との間に設けられている。
【0021】
原液供給管22の終端は密閉型の凝集混和槽23の下方に連結しており、高分子凝集剤を添加した汚泥を凝集混和槽23の下方から圧入し、撹拌機29で混合撹拌して凝集スラリーを生成する。凝集混和槽23の上部には、スラリー供給管30が連結してあり、このスラリー供給管30の他端をドラム型濃縮機1に接続しており、図1に示すドラム型濃縮機1の供給路11に凝集スラリーを凝集混和槽23のタンク圧で供給する。ドラム型濃縮機1の終端部に汚泥受槽40が配設してあり、ドラム型濃縮機1でろ液を分離した濃縮汚泥を汚泥受槽40に排出する。
【0022】
なお、本実施例では凝集装置として凝集混和槽23を用いているが、ラインミキサー等の他の公知の凝集装置を採用することができる。
【0023】
図3は汚泥受槽に配設した濃縮汚泥濃度測定装置であって、濃縮汚泥を貯留する汚泥受槽40に駆動モーター31を連結した検出体32が垂下してあり、駆動モーター31の出力側の電源ケーブル33に電力検出器34を接続してある。ドラム型濃縮機1で濃縮した汚泥濃度の変動により、検出体32の摺接抵抗が変動し、電源装置35から駆動モーター31に供給する電力値を変化させる。駆動モーター31の電力値を出力側の電源ケーブル33から電力検出器34が電圧値として汚泥濃度を検出する。なお、符号36は汚泥受槽40に配設した水位を維持するための越流堰である。
【0024】
濃縮汚泥濃度測定装置は汚泥性状の変動により増減する濃縮汚泥濃度を計測している。この濃縮汚泥濃度測定装置で計測した濃縮汚泥濃度Xが、予め設定している基準濃縮汚泥濃度X0となるようにドラム型濃縮機1に供給される原液を調整している。
【0025】
具体的には、薬液供給ポンプ26に指令を与え、薬液流量QPを増減して、濃縮汚泥濃度一定制御運転を行うようにしている。実際には、濃縮汚泥濃度測定装置で計測した検知信号を制御装置37に送信し、制御装置37で比較判断し、制御装置37から薬液供給ポンプ26に指令を与えている。
【0026】
薬液供給ポンプ26による薬液流量QPの制御は、主にドラム型濃縮機1に供給する凝集スラリーのフロック強度に影響し、薬液流量QPに比例してフロックの強度が増減し、ドラム型濃縮機1から排出される濃縮汚泥濃度も増減する。
【0027】
本発明に係る運転制御方法は、ドラム型濃縮機1から排出される濃縮汚泥濃度を安定させるために、凝集剤の供給量を調整することを基本としている。このとき、濃縮汚泥濃度が低い場合は早急に濃度を高め、濃縮汚泥濃度が高い場合は徐々に濃度を低下させるように、原液に供給される薬液流量QPを制御するものである。
【0028】
ドラム型濃縮機1の運転が開始されると、濃縮汚泥濃度は、リアルタイムに濃縮汚泥濃度測定装置で計測されて制御装置37に送られる。
【0029】
一般的には、流入汚泥の性状が変動し、処理汚泥の固形物量が増加(減少)すると、ドラム型濃縮機1から排出される濃縮汚泥の濃度が高く(低く)なる。
【0030】
そこで、本発明の制御装置では、濃縮汚泥濃度の計測値Xを予め設定した基準濃縮汚泥濃度X0と比較判断して、計測値Xが基準濃縮汚泥濃度X0から外れていた場合、薬液供給ポンプ26に指令を与えて凝集剤の供給量を制御し、凝集スラリーの固形物量を増減させる。ドラム型濃縮機1への運転負荷を調整することにより、容易にドラム型濃縮機1から排出される濃縮汚泥の濃度を基準濃縮汚泥濃度X0に維持することができる。
【0031】
基準濃縮汚泥濃度X0は、ある程度の幅を持たせて設定することができ、濃縮汚泥濃度の計測値Xがその設定幅内にある時は、現状を維持した状態で通常運転を継続する。
【0032】
より詳しく説明すると、濃縮汚泥濃度の計測値Xが基準濃縮汚泥濃度X0より低い場合には、制御装置37は薬液供給ポンプ26に指令を与え、凝集剤の供給量を増加させる。凝集フロックの強度が強まった調質汚泥をドラム型濃縮機1に供給することにより、ドラム型濃縮機1から排出される濃縮汚泥の濃度を上昇させることができる。
【0033】
一方、濃縮汚泥濃度の計測値Xが基準濃縮汚泥濃度X0より高い場合には、制御装置37は薬液供給ポンプ26に指令を与え、凝集剤の供給量を減少させる。凝集フロックの強度が弱まった調質汚泥をドラム型濃縮機1に供給することにより、ドラム型濃縮機1から排出される濃縮汚泥の濃度を下降させることができる。
【0034】
一旦、薬液供給ポンプ26の供給量を変更すると、一定時間経過後に濃縮汚泥濃度を測定し、計測値Xが基準濃縮汚泥濃度X0内に復帰するまで上記動作を繰り返す。
【0035】
凝集剤の供給量を段階的に増減する供給量幅a1,a2は予め設定しておく。このとき、段階的に増加させる供給量幅a1を段階的に減少させる供給量幅a2より大きく設定するので、低濃度の濃縮汚泥の濃度を早急に高めることができるとともに、高濃度の濃縮汚泥の濃度を慎重に低減させることができる。
【0036】
凝集剤の供給量の上限、下限を設定し、上限あるいは下限に達すると警報を発するか、あるいは運転を自動停止して調査ができるようにしてもよい。
【実施例0037】
図4はドラム型濃縮機の制御方法のフローチャートである。
A.初期設定
ドラム型濃縮機1から排出される濃縮汚泥の基準濃縮汚泥濃度X0を設定する。本実施例では、最大基準濃縮汚泥濃度Xmaxと最小基準濃縮汚泥濃度Xminの間を基準濃縮汚泥濃度X0として幅を持たせている。
凝集剤の基準供給量A0,最大供給量Amax,最小供給量Amin,段階的に増加させる供給量幅a1,段階的に減少させる供給量幅a2を設定する。本実施例では供給量幅a2を供給量幅a1の80%以下としている。
【0038】
B.運転開始
上記基準値X0,A0にて各機器を運転する。本実施例では、濃縮汚泥濃度に応じて凝集剤供給量のみを制御しているが、必要に応じてスクリュー軸4や外筒スクリーン2を制御してもよい。
【0039】
C.濃縮汚泥濃度比較
制御装置37にて計測した濃縮汚泥濃度Xと予め定めた基準濃縮汚泥濃度X0とを比較する。制御装置37で比較した結果、濃縮汚泥濃度Xが基準濃縮汚泥濃度X0より小さい(X<X0)場合は、フローチャートのDへ移行し、原液供給ポンプ21での原液供給を継続する。
濃縮汚泥濃度Xが基準濃縮汚泥濃度X0より大きい(X0<X)場合は、フローチャートのGへ移行する。
【0040】
D.凝集剤の最大供給量比較
上記フローチャートCにおいて、濃縮汚泥濃度Xが基準濃縮汚泥濃度X0より小さい場合は、濃縮汚泥濃度を上昇させるために凝集剤を増加させるべく、段階的に増加させる供給量幅a1を加味した供給量Aと最大供給量Amaxとを比較する。
変更後の凝集剤の供給量Aが最大供給量Amaxより小さい場合は、フローチャートのEへ移行して凝集剤の供給量を段階的に増加させる制御を行う。
変更後の凝集剤の供給量Aが最大供給量Amax以上となる場合は、フローチャートのFへ移行して、警報を発するか、あるいはドラム型濃縮機1の運転を自動停止させる制御を行う。
【0041】
E.凝集剤供給量(増)
上記フローチャートDにおいて、変更後の凝集剤の供給量Aが最大供給量Amaxより小さい場合は、薬液供給ポンプ26を調整し、予め設定した供給量幅a1だけ凝集剤の供給量を増大させる制御を行う。
【0042】
F.警報・運転停止
一定時間経過後に再度濃縮汚泥濃度を測定し、計測値Xが基準濃縮汚泥濃度X0内に復帰するまで上記動作を繰り返す。凝集剤が最大供給量Amaxあるいは後述する最小供給量Aminに達しても濃縮汚泥濃度Xが基準値X0内に復帰しない場合は、警報を発するか、あるいはドラム型濃縮機1の運転を自動停止する。
【0043】
G.凝集剤の最小供給量比較
上記フローチャートCにおいて、濃縮汚泥濃度Xが基準濃縮汚泥濃度X0より大きい場合は、濃縮汚泥濃度を下降させるために凝集剤を減少させるべく、段階的に減少させる供給量幅a2を加味した供給量Aと最小供給量Aminとを比較する。
変更後の凝集剤の供給量Aが最小供給量Aminより大きい場合は、フローチャートのHへ移行して凝集剤の供給量を段階的に減少させる制御を行う。
変更後の凝集剤の供給量Aが最小供給量Amin以下となる場合は、フローチャートのFへ移行して、警報を発するか、あるいはドラム型濃縮機1の運転を自動停止させる制御を行う。
【0044】
H.凝集剤供給量(減)
上記フローチャートGにおいて、変更後の凝集剤の供給量Aが最小供給量Aminより大きい場合は、薬液供給ポンプ26を調整し、予め設定した供給量幅a2だけ凝集剤の供給量を減少させる制御を行う。
【0045】
なお、凝集剤の供給量を変更すると、一定時間経過後に再度濃縮汚泥濃度を測定し、計測値Xが基準濃縮汚泥濃度X0内に復帰するまで上記動作を繰り返す。
【0046】
本実施例では、濃縮汚泥濃度測定装置として検出体の摺接抵抗の変動により汚泥濃度を検出しているが、他の公知の方法を採用することができる。
【0047】
本実施例では、制御因子として凝集剤の供給量および供給量幅と示しているが、凝集剤の添加率および添加率幅でも同様に採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係るドラム型濃縮機は、濃縮汚泥濃度が低い場合は早期に濃度を高めるとともに、濃縮汚泥濃度が高い場合は徐々に濃度を低下させて濃度の下がりすぎを防止するものである。従って、濃度の低い濃縮汚泥の排出量が減少し、後段設備への移送設備および移送方法や、脱水処理、消化処理、乾燥処理等の後工程が安定し、全体の管理性が向上するものである。
【符号の説明】
【0049】
1 ドラム型濃縮機
2 外筒スクリーン
3 スクリュー羽根
4 スクリュー軸
6a 排出口
12 濃縮室
X 濃縮汚泥濃度の計測値
X0 基準濃縮汚泥濃度
A0 基準供給量
Amax 最大供給量
Amin 最小供給量
a1 段階的に増加させる供給量幅
a2 段階的に減少させる供給量幅
図1
図2
図3
図4