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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000974
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】無人搬送車両
(51)【国際特許分類】
   D01H 9/18 20060101AFI20231226BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
D01H9/18 G
B61B13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023094059
(22)【出願日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】LU502324
(32)【優先日】2022-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(71)【出願人】
【識別番号】520171778
【氏名又は名称】ザウラー テクノロジーズ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Technologies GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Weeserweg 60, 47804 Krefeld, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルクス シャウエンブアク
(72)【発明者】
【氏名】アルベアト シュティッツ
【テーマコード(参考)】
3D101
4L056
【Fターム(参考)】
3D101BA01
3D101BB16
4L056AA21
4L056BA01
4L056BA12
4L056BF10
4L056BF31
4L056BF32
4L056BF37
4L056BF42
4L056BF64
4L056CA02
4L056DB04
4L056DB12
4L056DB14
4L056DB15
4L056FB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、少なくとも1つの紡績ケンスを自律式に搬送および交換する無人搬送車両に関する。
【解決手段】スライバが供給される繊維機械への自動化された供給を確実な形式で保証する無人搬送車両を提供するために、搬送車両が自律式の走行駆動装置と、少なくとも1つの紡績ケンスを収容するための搬送プラットフォーム6と、少なくとも1つの紡績ケンスを収容し、降ろすためのマニピュレータユニット23aとを有しており、マニピュレータユニットが、紡績ケンスを捕捉するためのグリッパ3と、グリッパを移動させる作動装置5aとを有していることが規定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの紡績ケンス(4)を自律式に搬送および交換する無人搬送車両(1a,1b,1c,1d)であって、
自律式の走行駆動装置(2)と、
前記少なくとも1つの紡績ケンス(4)を収容する搬送プラットフォーム(6,6c,6d)と、
前記少なくとも1つの紡績ケンス(4)を収容し、かつ降ろすための自律式のマニピュレータユニット(23a,23b,23c,23d)であって、前記紡績ケンス(4)を捕捉するグリッパ(3)と、該グリッパ(3)を移動させる作動装置(5a,5b)とを有する、マニピュレータユニット(23a,23b,23c,23d)と、
を備える、無人搬送車両(1a,1b,1c,1d)。
【請求項2】
収容ユニット(8)が設けられており、該収容ユニット(8)が、前記搬送プラットフォーム(6)上に配置されていて、かつ前記マニピュレータユニット(23a,23b,23c,23d)と、少なくとも該マニピュレータユニット(23a,23b,23c,23d)をオペレータにより操作するための、前記マニピュレータユニット(23a,23b,23c,23d)に通信可能に接続された操作ユニット(25)とを、前記搬送プラットフォーム(6)の表面に対して高く支持する、請求項1記載の無人搬送車両(1a,1b,1c,1d)。
【請求項3】
前記マニピュレータユニット(23a,23b)の制御ユニットが、前記収容ユニット(8)内に、前記収容ユニット(8)に接して、または前記収容ユニット(8)上に配置されている、請求項1または2記載の無人搬送車両(1a,1b,1c,1d)。
【請求項4】
前記マニピュレータユニット(23a,23b,23c,23d)が、協働ロボット(コボット)により構成されており、前記作動装置(5a,5b)が、前記コボットのロボットアームにより形成されていて、前記グリッパ(3)が、前記コボットのロボットハンドにより形成されている、請求項1から3までの1項または複数記載の無人搬送車両(1a,1b,1c,1d)。
【請求項5】
前記グリッパ(3)が、2つのグリッパエレメント(12)を含んでおり、両方の前記グリッパエレメント(12)のうち一方のグリッパエレメント(12)が、位置固定的に配置されており、両方の前記グリッパエレメント(12)のうち他方のグリッパエレメント(12)が、移動中に前記紡績ケンス(4)を解放する解放位置と、前記紡績ケンス(4)を拘束する保持位置とを占めることができるように、前記位置固定されたグリッパエレメント(12)の方向に向かって、かつ該グリッパエレメント(12)から離れる方向に線形に移動可能に、前記グリッパ(3)の支持ステー(18)に配置されている、請求項1から4までの1項または複数記載の無人搬送車両(1a,1b,1c,1d)。
【請求項6】
各グリッパエレメント(12)が、前記紡績ケンス(4)に接触するための少なくとも2つの接触面(29)をそれぞれ有しており、1つのグリッパエレメント(12)に設けられた前記接触面(29)は、それぞれのグリッパエレメント(12)において互いに離間して配置されており、グリッパエレメント(12)毎に前記接触面(29)のうちの少なくとも一方の接触面が、前記紡績ケンス(4)に接触する静止摩擦構造を有している、請求項5記載の無人搬送車両(1a,1b,1c,1d)。
【請求項7】
信号発信器が設けられており、該信号発信器が、前記グリッパエレメント(12)のうち一方のグリッパエレメントに配置され、かつ前記グリッパエレメント(12)の接触を知らせるように設計されている、請求項5または6記載の無人搬送車両(1a,1b,1c,1d)。
【請求項8】
前記グリッパ(3)に配置された推進装置(13a,13c)であって、前記少なくとも1つの紡績ケンス(4)に係合可能な、該紡績ケンス(4)を地上で摺動させる推進体(14)を備えた推進装置(13a,13c)が設けられている、請求項5から7までのいずれか1項記載の無人搬送車両(1a,1b,1c,1d)。
【請求項9】
前記推進体(14)が、前記紡績ケンス(4)に着脱可能に、かつ引張り強さをもって結合するための連結ユニットを有しており、該連結ユニットが、負圧ユニットを有しており、該負圧ユニットが、特に前記位置固定されたグリッパエレメント(12)に、前記移動可能なグリッパエレメント(12)とは反対側で配置されている、請求項8記載の無人搬送車両(1a,1b,1c,1d)。
【請求項10】
前記収容ユニット(8)が、前記紡績ケンス(4)および/または前記少なくとも1つの紡績ケンス(4)内に配置されたスライバ端部(17)の位置を検出する検出ユニット(25)を有している、請求項1から9までの1項または複数記載の無人搬送車両(1a,1b,1c,1d)。
【請求項11】
前記検出ユニット(25)が、前記紡績ケンス(4)および/または前記紡績ケンス(4)内の前記スライバ端部(17)の位置をカメラに基づいて、レーザに基づいてかつ/またはセンサに基づいて検出するように構成されている、請求項10記載の無人搬送車両(1a,1b,1c,1d)。
【請求項12】
紡績機械において紡績ケンスを交換する方法であって、
スライバが充填された少なくとも1つの紡績ケンス(4)が積み込まれた、請求項1から11までのいずれか1項記載の無人搬送車両(1a,1b,1c,1d)を前記紡績機械へと走行させるステップ(110)と、
前記無人搬送車両(1a,1b,1c,1d)を前記紡績機械において、交換すべき紡績ケンス(4)の前に位置決めするステップ(120)と、
前記交換すべき紡績ケンス(4)を前記無人搬送車両(1a,1b,1c,1d)により運転位置から、該運転位置から離間した収容位置へともたらすステップ(130)と、
前記スライバが充填された紡績ケンス(4)を、前記マニピュレータユニット(23a,23b,23c,23d)により前記搬送プラットフォーム(6)から収容して、かつ前記スライバが充填された紡績ケンス(4)を前記無人搬送車両(1a,1b,1c,1d)の隣に降ろすステップ(140)と、
降ろされた、前記スライバが充填された紡績ケンス(4)を、前記無人搬送車両(1a,1b,1c,1d)により空いている前記運転位置にもたらすステップ(150)と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの紡績ケンスを自律式に搬送および交換する無人搬送車両に関する。
【0002】
従来技術に基づいて、スライバを引き渡す紡績機械と、スライバが供給される紡績機械との間で少なくとも1つの紡績ケンスを搬送するために搬送車(Transportwagen)を設けることが既に知られている。通常、紡績機械間での搬送車の移動および搬送車への積み降ろしは、オペレータにより行われ、オペレータは、スライバが充填された紡績ケンスを、スライバを引き渡す紡績機械において搬送車両上に位置決めし、スライバが供給される紡績機械において搬送車両から取り出して、適切な箇所に位置決めする。したがって、スライバが供給される紡績機械へのスライバの連続的な提供は、オペレータに依存しており、このことは結果として、スライバが供給される紡績機械への不確実な供給と、場合によっては製造停止とに結び付いてしまうことがある。
【0003】
これを起点として、本発明の根底を成す課題は、スライバが供給される紡績機械への自動化された供給を確実な形式で保証する、無人搬送車両を提供することにある。
【0004】
本発明は、上記課題を請求項1記載の特徴を有する無人搬送車両により解決する。本発明の有利な改良形は、従属請求項に記載されている。
【0005】
本発明によれば、無人搬送車両は、少なくとも1つの紡績ケンスを自律的に搬送および交換するために、
-自律式の走行駆動装置、
-少なくとも1つの紡績ケンスを収容する搬送プラットフォーム、および
-少なくとも1つの紡績ケンスを収容し、かつ降ろすための自律式のマニピュレータユニットであって、紡績ケンスを捕捉するグリッパと、グリッパを位置変動するように移動させる作動装置とを有する、マニピュレータユニット
を含んでいる。
【0006】
本発明による走行駆動装置は、規定された位置へと自律式に走行し、特にさらに好適には、走行駆動装置の目標箇所、つまりどの繰出しボビン(Ablaufspule)に接近すべきかを、自動的に決定するように構成されている。無人搬送車両は広く知られている。無人搬送車両は、定義された位置または箇所に走行するために、集団制御、中央制御、またはそれぞれ個別に制御される。集団制御の場合、少なくとも2つの無人搬送車両は、集団内のそれぞれの目標箇所が協調されて、個別の搬送車両のために決定されるように、互いに通信可能に接続されている。このためには、各無人搬送車両が制御ユニットを有しており、搬送車両の制御ユニットは、上位の制御装置との接続を必要とすることなしに互いに通信可能に、目標箇所およびこの目標箇所への走行を協調させて効率的に決定するための情報を交換するために相互に接続されている。それに対して、無人搬送車両の目標場所および走行経路は、中央制御の場合、この中央制御を介して協調される。これに対して代替的に、各無人搬送車両は、各自の目標箇所および走行経路を自動的に決定するように構成されてもよい。このことは、特に、無人搬送車両がセンサ機構を有していて、このセンサ機構を用いて、繊維機械の、現在空になっている紡績ケンスが検査されることにより達成することができ、センサ機構はさらに好適には、無人搬送車両の制御ユニットに通信可能に接続されていて、制御ユニットは、センサシステムによって検出された情報に基づいて、どの紡績ユニットにおいて、いつどのような動作が適しているか、例えば紡績ケンス交換のような次の動作が適しているかを評価し、かつ決定するように設計されている。代替的または付加的には、別の好適な或る実施形態によれば、これらの情報は、無人搬送車両外に配置された、この無人搬送車両の制御ユニットに通信可能に接続されている制御ユニットによって伝送され得る。
【0007】
搬送車両の走行駆動装置は、この搬送車両を、少なくともスライバを引き渡す紡績機械とスライバが供給される紡績機械との間で自律式に走行させ、特にさらに好適には、その目標箇所、つまりどの紡績機械のどの位置に接近されるべきかが、自動的に決定されるように構成されている。無人搬送車両は広く知られている。無人搬送車両は、通常、定義された位置または箇所に走行するために、集団制御、中央制御、またはそれぞれ個別に制御される。本発明による無人搬送車両の走行ユニットは、対応して構成されてよい。集団制御の場合、例えば少なくとも2つの無人搬送車両は、集団内のそれぞれの目標箇所が協調されて、個別の搬送車両のために決定されるように、互いに通信可能に接続可能である。このためには、本発明による無人搬送車両は、好適には走行駆動装置用の制御ユニットを有しており、この制御ユニットは、上位の制御装置との接続を必要とすることなしに目標箇所およびこの目標箇所への自律的な走行を協調させて効率的に決定するための情報を交換するために別の無人搬送車両の制御ユニットに接続可能である。
【0008】
代替的で好適な或る実施形態では、無人搬送車両の目標箇所および走行経路も、コントロールシステム(Leitsteuerung)を介して中央で協調される。走行駆動装置を制御するために、また好適には、少なくとも1つの紡績ケンスを搬送プラットフォームと紡績機械との間で移動させる自律式のマニピュレータユニットを制御するために、走行駆動装置およびマニピュレータユニットは、この好適な実施形態によれば、コントロールシステムに接続可能である。このコントロールシステムは、搬送車両から離れた制御ユニットであり、さらに好適には、種々異なる製造フローを監視および制御するために使用することができる。コントロールシステムは、さらに好適には、スライバを供給する紡績装置かつ/またはスライバが供給される紡績装置に接続されていてよく、好適な後者の実施形態によれば、スライバを供給する紡績機械において紡績ケンス内に提供されたスライバが、スライバが供給される紡績機械に無人搬送車両を用いて必要に応じて提供可能であるように、無人搬送車両を制御することができ、これによって製造中断を確実に予防することができる。無人搬送車両およびこの無人搬送車両の制御されるべきユニットの、コントロールシステムとの接続は、好適には、無人搬送車両の十分な自律性を保証する無線データ接続を介して行われる。
【0009】
さらに代替的には、好適な或る実施形態によれば、無人搬送車両は、その目標箇所および走行経路を自動的に決定するように構成されていてよい。このことは、特に、無人搬送車両が、センサ機構を有していて、このセンサ機構を用いて、紡績機械の、現在充填された、または空になった紡績ケンスが検査されることによって達成することができ、センサ機構はさらに好適には、無人搬送車両の制御ユニットに通信可能に接続されていて、制御ユニットは、センサシステムによって検出された情報に基づいて、どの紡績機械において、いつどのような動作が適しているか、例えば次の動作として少なくとも1つの充填された紡績ケンスの取出し、または空の紡績ケンスと充填された紡績ケンスとの交換が適しているかを、評価し、かつ決定するように設計されている。代替的または付加的には、別の好適な或る実施形態によれば、これらの情報は、無人搬送車両外に配置され、この無人搬送車両の制御ユニットに通信可能に接続されている制御ユニットによって伝送され得る。
【0010】
好適な或る実施形態によれば、搬送車両は、自律式の走行ユニットを制御する少なくとも1つの制御ユニットと、自律式のマニピュレータユニットを制御する制御ユニットとを含み、これら両制御ユニットは、さらに好適には、ケーブルを介してまたはワイヤレスに互いに通信可能に接続されている。走行ユニットのための制御ユニットおよびマニピュレータユニットのための制御ユニットを搬送車両上に配置することは、必要に応じて行うことができ、さらに搬送車両の完全に自律的な機能を促進する。したがって、搬送車両は、例えば走行ユニットのための制御ユニットを介して、繊維工場内部の定義された位置に、特に紡績機械の定義された作業ユニットまたは位置へと自動的に走行することができ、定義された位置は、搬送車両の外部から、例えばコントロールシステムにより設定可能である。定義された位置への到達後に、好適には、走行ユニットの運転制御装置の、定義された位置への到達の情報を介して、または代替的または付加的に、搬送車両または目標箇所に配置されたセンサ機構によって検出された、定義された位置への到達を確認するデータを介して、マニピュレータユニットの操作を直接に開始することができる。
【0011】
搬送プラットフォームと紡績機械との間で紡績ケンスを移動させるために、つまり特に、スライバが充填された少なくとも1つの紡績ケンスを、スライバを引き渡す紡績機械において収容し、この少なくとも1つの紡績ケンスを、スライバが供給される紡績機械において位置決めするために、本発明に係る無人搬送車両は、マニピュレータユニットを有している。マニピュレータユニットの主要な構成部分は、少なくとも1つの紡績ケンスを捕捉するためのそのグリッパと、その搬送プラットフォームに対してグリッパを位置決めするためのその作動装置である。少なくとも1つの紡績ケンスを収容するために、作動装置によって、グリッパが少なくとも1つの紡績ケンスをグリッパの対応する移動により把持することができる位置へのグリッパの移動が行われる。次いで、紡績ケンスは、作動装置の新たな移動により、無人搬送車両の搬送プラットフォーム上に定義して位置決めされ得る。スライバを引き渡す紡績機械からスライバが供給される紡績機械への搬送車両の移動もしくは走行に続いて、逆の順序で、搬送プラットフォームから、スライバが供給される繊維機械の影響領域への少なくとも1つの紡績ケンスの定義された移動が行われ、その際に、作動装置を用いて、グリッパによって把持された紡績ケンスが対応して位置決めされ、かつグリッパの移動によって解放される。
【0012】
マニピュレータユニットは、好適には、作動装置を形成するロボットアームと、グリッパを形成するロボットハンドとを備えた、コボットとしても知られている協働ロボットにより構成されていてよい。このようなコボットは、このコボットが、そうでなければ通常である防護対策を講じることなしに、繊維工場内においてケージもしくは防護装置のない共通の環境でも容易にオペレータと相互作用することができ、完全に自動化可能ではない複雑なタスクにおいてオペレータを支援することができるという利点を有している。このためには、このようなコボットは、別のロボット装置に対するセンサ機器を備えており、センサユニットは、コボットが定義された障害物と接触するや否やコボットのスイッチオフを引き起こす。これにより、オペレータの負傷を確実に阻止することができる。
【0013】
ロボットアームは、好適にはモジュール状に枢着されて組み立てられていてよい。これにより、ロボットアームは必要に応じて少なくとも1つの別のアーム区分だけ延長または短縮することができ、これによって到達距離を必要に応じて適合させることができる。モジュール状に枢着された組立ては、例えば、ボールジョイント状の連結器を介して行うことができ、ボールジョイント状の連結器は、さらに好適には、情報伝達および/またはエネルギ供給のためのすり接点を有していてよい。また、少なくとも1つのアーム区分は、好適には走入可能な部分区分と走出可能な部分区分とを含んでいてよく、これにより、簡略化された到達距離適合が可能にされる。さらに好適には、グリッパは、交換可能にロボットアームに結合されていてよい。
【0014】
好適な或る実施形態によれば、搬送車両、特にマニピュレータユニットは、少なくとも1つの検出システム、特に画像処理システムを含み、この検出システムにより、搬送車両の定義された周囲領域および/またはマニピュレータユニットの定義された作業領域が、センサシステムにより、特に光学的に監視可能であり、さらに好適には記憶可能に監視可能かつ撮影可能である。特に好適には、検出システムは、作業領域、つまりマニピュレータユニット、特にグリッパの操作領域が監視可能もしくは撮影可能であるように、搬送車両またはマニピュレータユニットに配置されている。好適には、検出システムは、グリッパの近傍にまたはグリッパにおいてこのグリッパの外側に配置されている。さらに好適には、検出システムの受信ユニット、例えば画像処理システムの撮像ユニットが、グリッパを支持するアーム区分に、またはこのアーム区分とグリッパとを互いに結合するジョイントに配置されていてよい。撮像ユニットの配置は、自由に選択されていてよい。撮像ユニットの配置にとって重要であるのは、グリッパの作業領域の監視可能性であり、撮像ユニットは、好適には、撮像中心軸線がグリッパの保持軸線に対して不一致であるように配置されている。グリッパの保持軸線とは、グリッパの把持エレメント間に延びる軸線であって、把持エレメントのうちの少なくとも一方の把持エレメントが、対象もしくは対象物を残りの把持エレメントと一緒に把持するために運動する軸線であると理解される。グリッパの、対象物が捕捉された把持状態において、保持軸線は対象物を通って延びている。グリッパの対象物が捕捉されていない状態において、保持軸線は、把持エレメントにより限定される領域に延びている。
【0015】
さらに好適には、検出システムが、マニピュレータユニットの制御ユニットに通信可能に接続されており、制御ユニットは、マニピュレータユニットを、検出システムの情報に基づいて自律式に制御するように設計されている。好適には、知識メモリが設けられていてよく、知識メモリは、制御ユニットが、検出システムの情報を知識メモリに格納された情報と比較し、この比較に基づきマニピュレータユニットを定義して駆動制御するように、制御ユニットに通信可能に接続されている。
【0016】
さらに好適には、検出システムが単独で、または制御ユニットと組み合わせて、マニピュレータユニットの作業領域内に定義されて位置決めされたマーキングと協働するように設計されている。これにより、マニピュレータユニットは、マーキングにより定義されたマーキング領域内で正確に実施可能な操作のために駆動制御され得る。したがって、エラー運動を大幅に回避することができ、これにより生産性を高めることができる。
【0017】
本発明に係る無人搬送車両は、スライバを供給する紡績機械およびスライバが供給される紡績機械への、必要に応じた自律式の、オペレータに依存しない供給を可能にするので、スライバが供給される繊維機械の空転に基づく停止状態を確実に回避することができる。走行駆動装置およびマニピュレータユニットの自律式の構成は、搬送車両の移動のための、かつ少なくとも1つの紡績ケンスの積み降ろしのためのオペレータを完全に省くことを可能にする。
【0018】
作動装置によってグリッパが紡績ケンスを収容し、かつ降ろすために規定された位置へと移動され得るような作動装置の構成は、基本的に自由に選択可能である。本発明の好適な或る改良形によれば、作動装置は、搬送プラットフォームに対するグリッパの多軸的な走行可能性のためにグリッパを移動させるように構成されており、かつ/または搬送プラットフォームに対して枢着式に移動可能な把持アームを有していることが規定されている。
【0019】
グリッパの多軸的な走行可能性のために作動装置が構成されている場合、作動装置は、好適には、搬送プラットフォームに対する作動装置の個別の構成部材の適切な直線的かつ/または回転式の移動可能性により、グリッパが、搬送プラットフォームの上側および搬送プラットフォームの隣の定義された領域に配置され得るように構成されている。グリッパの多軸的な走行可能性のための作動装置の構成は、グリッパの位置を、リニア駆動装置または回転駆動装置またはこれらの組み合わせを用いて生ぜしめることを可能にし、これにより調節装置は、構造的に簡単かつ廉価に製造することができる。
【0020】
把持アームを好適に使用した場合、把持アームは、搬送プラットフォームに対して枢動式に移動可能であり、これによりグリッパによって紡績ケンスが簡単に把持され、降ろされ得る。さらに把持アームの使用は、紡績ケンスが簡略化されて隣り合う紡績ケンスまたは障害物を越えるように持ち上げられ、確実に位置決めされ得るように、紡績ケンスを搬送プラットフォームに対して垂直方向に移動させることができるように作動装置を簡単な形式で構成することを可能にする。特に把持アームの使用は、紡績ケンスを、搬送プラットフォームを取り囲む大きな周辺領域に位置決めすることを可能にする。
【0021】
本発明の好適な或る改良形によれば、収容ユニットが設けられており、この収容ユニットは、搬送プラットフォーム上に配置されていて、作動装置を、搬送プラットフォームの表面に対して高く支承する。本発明のこの好適な構成によれば、搬送プラットフォームに、例えばフレームまたはハウジングの形態の収容ユニットが配置されており、収容ユニットは、さらに好適には、搬送プラットフォームの平面に対して垂直方向に延びている。収容ユニットの、搬送プラットフォームからの距離がさらに好適には少なくとも1つの紡績ケンスの高さよりも大きい領域において、作動装置が収容ユニットに支承されている。したがって作動装置を、よりコンパクトにすることができる。
【0022】
別の好適な或る実施形態によれば、作動装置が、搬送プラットフォームに対して、特に収容ユニットに対しても一軸的に移動可能な片持ち梁を有しており、この片持ち梁において、グリッパは片持ち梁に対して一軸的に移動可能であるように支承されている。
【0023】
片持ち梁は、好適には、収容ユニット上に配置されていて、さらに好適には収容ユニットを起点として、1つの方向で搬送プラットフォームにわたって延びているので、片持ち梁に沿って移動可能なグリッパは、搬送プラットフォームの全延在長さにわたって片持ち梁の長手方向延在方向に移動可能である。特に片持ち梁の長手方向に対して横方向での収容ユニットに対する片持ち梁の同時的な移動可能性によって、グリッパが、搬送車両の運転にとって必要となる任意の位置に配置され得ることが達成される。この場合、片持ち梁のこの移動可能性は、これによりグリッパが、片持ち梁に対して横方向の搬送プラットフォームの全延在長さにわたって位置決めされ得るだけではなく、紡績ケンスを搬送プラットフォームの隣の領域に降ろすか、もしくは搬送プラットフォームの隣の領域から紡績ケンスを収容することを可能にするためにも位置決めされ得るように設計されている。収容ユニットに対する片持ち梁の特に線形の移動可能性と、片持ち梁に対するグリッパの特に線形の移動可能性との組み合わせは、紡績ケンスを収容し、かつ降ろすために所望される位置におけるグリッパの確実な位置決めを保証し、このためにグリッパは、さらに好適には搬送プラットフォームの平面に対して垂直方向に移動可能に片持ち梁に配置されていてよい。
【0024】
本発明の好適な或る改良形によって規定される把持アームを使用する場合、好適な別の或る改良形によれば、把持アームが、互いに枢着結合されている少なくとも1つの第1の把持アーム本体と第2の把持アーム本体とを有しており、第1の把持アーム本体は、第2の把持アーム本体とは反対側に位置する端部において、搬送プラットフォームまたは収容ユニットに枢着結合されており、第2の把持アーム本体は、第1の把持アーム本体とは反対側に位置する端部において、グリッパに枢着結合されていることが規定されている。
【0025】
本発明のこの好適な構成によれば、把持アームは少なくとも2つのセグメント、すなわち第1の把持アーム本体と第2の把持アーム本体とを有している。両把持アーム本体は、互いに枢着結合されており、特に両把持アーム本体が、第1の把持アーム本体および第2の把持アーム本体の長手方向軸線に対して垂直方向に延びる1つの共通の軸線を中心として旋回可能であるように枢着結合されている。第1の把持アーム本体の、第2の把持アーム本体とは反対側に位置する端部は、搬送プラットフォームに枢着結合されており、好適には搬送プラットフォームに結合され、かつこの搬送プラットフォームに対して垂直方向に延びる収容ユニットに枢着結合されている。第1の把持アーム本体と収容ユニットもしくは搬送プラットフォームとの枢着式の結合は、第1の把持アーム本体が、搬送プラットフォームに対して垂直方向にも平行にも延びる長手方向軸線を中心として旋回可能であるように構成されている。
【0026】
第1の把持アーム本体と収容ユニットもしくは搬送プラットフォームとの枢着結合ならびに第1の把持アーム本体と第2の把持アーム本体との枢着結合は、第2の把持アーム本体の、第1の把持アーム本体とは反対側に位置する端部に配置されたグリッパを、搬送プラットフォームに対する任意の位置に、かつ第1の把持アーム本体および第2の把持アーム本体の長さに依存して搬送プラットフォームの隣に配置することを可能にする。グリッパ自体は、第2の把持アーム本体の、第1の把持アーム本体とは反対側に位置している端部に枢着結合されており、枢着軸線は、搬送プラットフォームに対して平行に延びており、これによってグリッパは、第1の把持アーム本体および第2の把持アーム本体の位置に依存せずに搬送プラットフォームに対して平行に位置調整され得るので、少なくとも1つの紡績ケンスの確実な捕捉および位置決めを行うことができる。
【0027】
グリッパと第2の把持アーム本体との補足的な回転枢着結合であって、グリッパが好適には搬送プラットフォームに対して垂直方向に延びる長手方向軸線を中心として回転可能に第2の把持アーム本体に結合されている、回転枢着結合は、さらに、グリッパのグリッパエレメントが、例えば紡績ケンスから突出するスライバ端部に接触してしまい、この接触によってこのスライバ端部が場合によって損傷されてしまうことがないように、グリッパを位置決めすることを可能にする。本発明のこの構成により、把持された紡績ケンスは簡単にその長手方向軸線を中心として移動されてよく、これにより紡績ケンスを、スライバ端部の位置決めに対応して位置調整することができる。
【0028】
本発明の好適な或る改良形によれば、グリッパは、紡績ケンスを解放する解放位置と紡績ケンスを拘束する保持位置との間で互いに相対的に移動可能な3つのグリッパエレメントを有している。3つのグリッパエレメントの使用は、紡績ケンス、特に円形ケンスとして形成された紡績ケンスの確実な捕捉を可能にし、グリッパエレメントの相互の配置および移動可能なグリッパエレメントの個数は、基本的に自由に選択可能である。本発明の特に好適な或る構成によれば、3つのグリッパエレメントが、全周にわたって均等に分配されていて、かつ複数のグリッパエレメントのうちの少なくとも1つのグリッパエレメントが、半径方向で移動可能にグリッパに配置されていることが規定されている。本発明のこの好適な構成によれば、3つ全てのグリッパエレメントは、半径方向で全周にわたって均等に分配されており、つまり周方向で120°の間隔でグリッパに配置されている。半径方向での少なくとも1つのグリッパエレメントの移動は、特に、円形の横断面を有する円形ケンスが、特に確実にグリッパエレメントによって把持され、保持位置において保持され、かつ解放位置において解放され得ることを可能にし、グリッパエレメントは、保持位置において外側で紡績ケンスの周面に接触し、かつこの紡績ケンスを緊締して保持するように形成されている。さらに好適な或る構成によれば、グリッパエレメントは、長さ調節可能に、つまり周方向に対して直交する方向で可変の長さを備えて構成されている。したがって、グリッパエレメントを需要に応じて長さを適合させることができ、これによって、例えば紡績ケンスを確実に収容するための緊締面積を増大させることもできる。さらに好適には、2つ以上のグリッパエレメント、特に好適には全てのグリッパエレメントが、半径方向で移動可能にグリッパに配置されていて、かつ形成されていてよく、これにより、紡績ケンスの操作を改善することができる。
【0029】
本発明の代替的な好適な或る実施形態によれば、グリッパは、紡績ケンスを解放する解放位置と紡績ケンスをロックする保持位置との間で互いに相対的に移動可能な唯2つのグリッパエレメントを有している。特に一方のグリッパエレメントはグリッパに位置固定的に配置されていて、他方のグリッパエレメントは、グリッパに位置固定的に配置されたグリッパエレメントの方向に向かって、かつ逆方向に線形に移動可能に配置されている。グリッパエレメントは、好適には、紡績ケンス側壁に接触するための少なくとも1つの接触面を有している。接触面の寸法は、紡績ケンスが接触面の緊締作用を介して当付け接触時に確実に支持され得るように、その都度選択されている。接触面は、特に、紡績ケンス表面輪郭に一致する構成を有しており、これにより、紡績ケンス表面に、接触面の定義された面区分を介して面一に接触することができる。さらに好適には、両グリッパエレメントのうちの少なくとも1つのグリッパエレメントが、紡績ケンス側壁との接触のための少なくとも2つの接触面を有しており、両接触面は互いに対して定義された間隔を有している。これによりグリッパエレメントは、廉価に構成され得る。他方のグリッパエレメントは、紡績ケンス側壁に接触するための少なくとも1つの接触面を含んでいてよい。これによってさらに、紡績ケンスを確実に捕捉することができるようにするために、少なくとも紡績ケンスの3点接触が可能である。より多く接触面を設けるほど、グリッパによる紡績エッジ捕捉をより良好に行うことができる。両グリッパエレメントが、互いに離間したそれぞれ2つの接触面を有している実施形態が好適である。このことは、グリッパによる紡績ケンの確実な捕捉および操作を考慮しながら、グリッパの構造的に有利な構成を可能にする。
【0030】
接触面とは、接触すべきエレメント、この場合紡績ケンスとの接触を可能にするために適している、グリッパエレメントの面区分であると理解することができる。接触面の寸法設定は、紡績ケンスが損傷なしにマニピュレータユニットによって操作可能、特に支持可能であるように、紡績ケンスに加えることができる圧着力を考慮しながら自由に選択されていてよい。特に、接触面は、マニピュレータユニットによる確実な操作を保証するために、静止摩擦を有する表面構造を有している。静止摩擦を有する表面構造は、接触面により形成されているか、または接触面上に、特に破壊なしに交換可能に、例えばパッドのような面状構造物の形態で被着されていてよい。
【0031】
特に好適な或る実施形態によれば、線形に移動可能なグリッパエレメントは、スピンドル駆動装置を介して移動可能である。スピンドル駆動装置は、特に位置固定的なグリッパエレメントと線形に移動可能なグリッパエレメントとの間で、グリッパの、間に位置する支持体区分の領域に配置されており、この支持体区分は、両グリッパエレメントのそれぞれの端部側の区分を支持している。支持体区分は、特に切欠きを有していてよく、切欠きを通って、線形に移動可能なグリッパエレメントが貫通し、これによって線形に移動可能にガイドされ得る。
【0032】
好適な或る実施形態によれば、信号発信器が、グリッパエレメントのうち一方のグリッパエレメントに配置され、かつ紡績ケンスとの両グリッパエレメントの接触を知らせるように設計されている。信号発信器は、好適には制御ユニットに、特にマニピュレータユニットを制御する制御ユニットに通信可能に接続されており、これによって可動のグリッパエレメントの把持運動は、このグリッパエレメントが紡績ケンスに接触するや否や停止させられる。例えば、信号発信器は、近接スイッチまたは接触スイッチであってよい。この接触スイッチは、特にグリッパエレメントの接触面に配置されていてよい。
【0033】
本発明の好適な或る改良形によれば、搬送車両、作動装置および/またはグリッパが、紡績ケンスの位置および/または紡績ケンス内に、かつ/または紡績ケンスに配置されたスライバ端部の位置を検出する検出ユニットを有していることがさらに規定されている。検出ユニットの使用は、紡績ケンス内もしくは紡績ケンスにおけるスライバ端部の位置を認識し、グリッパを、スライバ端部がグリッパのグリッパエレメントによって損傷されないように、対応して紡績ケンスに配置することを可能にする。さらに、スライバ端部の位置の知識によって、スライバ端部が、自動化された収容のために規定された位置において紡績機械に位置決めされるように、スライバが供給される紡績機械に紡績ケンスを配置する可能性が生じる。検出ユニットは、例えば上述した検出システムによってカメラに基づいて、レーザに基づいて、かつ/またはセンサに基づいて構成されていてよく、これによって紡績ケンス内のスライバ端部の位置の特に確実な検出を保証することができる。例えば、搬送車両と相互作用する紡績ケンスは、好適な或る実施形態によれば、外周面に色付きのリングまたは区分を有していてよい。これらのリングまたは区分は、紡績ケンス開口もしくは紡績ケンス縁部の下側に配置されている。この場合、リングもしくは区分の色は、好適には、スライバ端部の色が、リングもしくは区分の色に対して強いコントラストを形成するように選択されている。例えば、綿材料からなるスライバは明るい色を有している。このようなスライバのためには、対応して好適には、暗い色のリングもしくは区分が適している。したがって紡績縁部を越えて外側で、色付きのリングもしくは色付きの区分に隣接して垂れ下がっているスライバ端部を、検出ユニットによって簡単に検出することができる。
【0034】
好適な或る実施形態によれば、検出ユニットは送信ユニットおよび受信ユニットを有しており、受信ユニットは、送信ユニットに関して、紡績ケンスの、送信ユニットにより照射される領域が受信ユニットによって監視され、走査され得るように、送信ユニットと相互作用するように配置されている。送信ユニットは、好適には、赤外線送信ユニットまたはレーザユニットのような光送信ユニットであってよい。受信ユニットは、例えば、光送信ユニットによって放射されかつ紡績ケンスによって反射された光を検出するように構成されている受光ユニット、特に画像処理ユニットであってよい。画像処理ユニットは、好適には、特に紡績ケンス開口に隣接した縁領域の近傍で紡績ケンスの定義された表面区分をスライバ端部の存在および/または不在に関して監視するように配置され、かつ構成されている。光送信ユニットは、好適には、画像処理ユニットによって監視すべき、紡糸ケンスの表面区分に、規定された波長の光を照射するように構成され、かつ配置されている。
【0035】
さらに好適には、送信ユニットおよび受信ユニットは、搬送車両の鉛直方向軸線に沿って互いに離間して水平方向のずれを伴って、または鉛直方向の配置軸線に沿ったもしくは互いに対する水平方向のずれを伴わずに配置されている。さらに好適には、送信ユニット、さらに好適には受信ユニットも、収容ユニット内に配置されている。これに対して代替的には、送信ユニットは、搬送車両のケーシング内で収容ユニットの下側に配置されていてよい。
【0036】
特に好適には、送信ユニットは、鉛直方向の軸線に沿って受信ユニットの下側に、水平方向のずれを伴って配置されているか、または受信ユニットに対して相対的に水平方向のずれを伴わずに配置されていて、光送信ユニットとして、定義された長さおよび厚さの水平方向に延びる光線が斜め上方に向かって、つまり受信ユニットの水平方向の配置平面に向かう方向で紡績ケンス上へと放射可能であるように、構成されている。光送信ユニットの水平方向の配置平面に対する放射角度は、好適には15°から85°を含む角度範囲、さらに好適には20°から60°を含む角度範囲から選択されている。受信ユニットに向かって見て光送信ユニットの下側の配置は、紡績ケンス開口の近傍の紡績ケンス表面における光線の放物線状の結像を引き起こす。このことは、円形ケンス、つまり特に水平平面において丸い横断面を有する紡績ケンスにおいて好適である。なぜならば、放物線の最も低い点が、水平方向の軸線に沿った紡績ケンス中心に一致するであるからである。
【0037】
受信ユニットは、結像された放物線状の光線を検出し、特にマニピュレータユニットを制御する制御ユニットに提供するように配置されかつ構成されている。特に、受信ユニットは、画像処理ユニット、すなわちカメラであってよい。検出された光信号は、制御ユニットによって評価され、これによって繊維機械における少なくとも1つの正確な紡績ケンス位置、さらに好適には、紡績ケンス縁部から垂れ下がるスライバ端部の位置を突き止めることができ、これにより紡績ケンスは、スライバ端部を損なうことなしに、マニピュレータユニットによって確実に操作可能である。
【0038】
さらに好適には、第2の光送信ユニットが設けられており、この第2の光送信ユニットは、特に好適には、受信ユニットの配置平面に配置されている。さらに好適には、第2の光送信ユニットは、受信ユニットに直接隣接して、特に好適には光送信ユニットの鉛直方向の配置平面に配置されている。換言すると、光送信ユニットと第2の光送信ユニットとは、鉛直方向の軸線に沿って互いに上下に、互いに対する水平方向でのずれなしに配置されており、光送信ユニットは、第2の光送信ユニットの下側に位置決めされている。受信ユニットは、光送信ユニットに関して、水平方向でのずれを伴って、鉛直方向の軸線に沿って光送信ユニットの上側に配置されている。この特に好適な構成および配置形態は、紡績ケンスの正確な位置検出の他に、少なくともスライバ端部の位置の改善された検出を促進し、かつさらに好適には、紡績ケンス縁部を起点として垂れ下がるスライバ端部の長さの改善された検出を促進する。検出された光信号は、制御ユニットによって評価され、これによって繊維機械における正確な紡績ケンス位置、および紡績ケンスにおけるスライバ端部の正確な位置を突き止めることができ、これにより、紡績ケンスは、スライバ端部を損傷することなしに、マニピュレータユニットによって確実に操作可能である。
【0039】
本発明の別の好適な或る構成によれば、マニピュレータユニットの制御ユニットは、収容ユニット内に、収容ユニットに接して、または収容ユニット上に配置されていることが規定されている。本発明のこの好適な構成によれば、収容ユニットは、作動装置およびグリッパの支承のためだけに役立つのではなく、さらに、マニピュレータユニット、好適には作動装置、特にグリッパの制御ユニットもしくは制御電子機器を収容もしくは支持するように形成されている。さらに、別の構成要素、例えば、無人搬送車両をコントロールシステムとならびに走行駆動装置の制御ユニットに接続するための通信ユニットを配置するために収容ユニットを使用する可能性も生じ、ここでは、技術的な故障時に通信ユニットに良好にアクセス可能である。
【0040】
別の好適な或る実施形態によれば、搬送車両は、操作ユニットを有していて、この操作ユニットにより、オペレータは、マニピュレータユニットの相互作用に対して少なくとも影響を及ぼすことができる。このためには、操作ユニットは、制御ユニットに通信可能に接続されている。さらに好適には、必要に応じた調節を実施することができるようにするために、操作ユニットは検出システムに通信可能に接続されている。好適には、操作ユニットは、収容ユニット内に統合されていて、収容ユニットに、特に収容ユニット上に配置されており、この場合、操作ユニットの配置は、操作ユニットがオペレータにとってアクセス可能であるようになっている。例えば、統合された好適な配置によれば、操作ユニットは、運動可能なカバーユニットを介して覆われていてよいが、アクセス可能に設けられていてよい。したがって、操作ユニットは、特に収容ユニットから、さらに好適には、運動可能な、特に好適には離反旋回されたカバーユニットを越えて走出可能に収容ユニット内に統合されて設けられていてよい。
【0041】
本発明の別の好適な或る構成によれば、搬送車両が、推進装置であって、紡績ケンスに係合可能な、搬送プラットフォームに対して出発位置と端部位置との間で移動可能な、紡績ケンスを地上で摺動させる推進体を備えた推進装置を有していることがさらに規定されている。
【0042】
推進体によって、グリッパにより降ろされた紡績ケンスを正しい位置に摺動させる可能性が生じる。したがって例えば、紡績ケンスを、搬送プラットフォームから取り出し、搬送プラットフォームの隣に位置決めし、次いで推進体を用いて、スライバが供給される紡績機械の運転のために必要となる位置に摺動させる可能性が生じる。推進体の使用は、グリッパが紡績ケンスを、予め規定された位置に降ろすことができない場合にも、紡績ケンの正確な位置決めを保証する。
【0043】
本発明の特に好適な或る構成によれば、推進体は、紡績ケンスに着脱可能に、引張り強さをもって結合するための連結ユニットを有している。本発明のこの構成によれば、推進体によって、推進体を介して紡績ケンスに加えられる圧力による摺動が可能であるだけではなく、連結ユニットによって、推進体が引張り力をも紡績ケンスに伝達することができるように紡績ケンスと推進体とを結合する可能性がさらに生じ、これにより、例えば、スライバが供給される紡績機械において空にされた紡績ケンスを取り出す必要がある場合に、連結ユニットを介して、紡績ケンスを、紡績機械におけるその位置から引き出し、紡績ケンスがグリッパによって捕捉され得る位置に移動させることができる。
【0044】
紡績ケンスに着脱可能に、引張り強さをもって結合するための連結ユニットの構成は、基本的に自由に選択可能である。本発明の特に好適な或る構成によれば、連結ユニットが、負圧ユニット、磁気的、特に電磁的に作用する保持装置および/または係止結合する保持装置を有していることが規定されている。
【0045】
負圧ユニットの好適な使用時に、負圧ユニットは、連結ユニットと紡績ケンスの周面との間の負圧に基づいて、引張り強さを有する、容易に着脱可能な結合を引き起こすので、推進体を用いて紡績ケンスを引っ張ることができる。磁気的、特に電磁的な保持装置の好適な使用時に、磁気的な結合部を介して引張り強さを有する結合が形成され、電磁的に作用する保持装置は、適切な作動および非作動を介して、特に簡単に、紡績ケンスからの連結ユニットの分離を可能にする。紡績ケンスは、磁気的、特に電磁的な結合のために、例えば紡績ケンスの対応する区分に、例えば金属リングの形態の強磁性の材料を有していてよい。金属リングは、さらに好適には、紡績ケンス縁部を越えて垂れ下がるスライバ端部を、紡績ケンスに対して対照的に際立たせるために、上述のような、スライバとは異なる色を有していてよい。
【0046】
搬送車両における推進体の配置は、基本的に自由に選択可能である。好適には、搬送車両における推進体の配置は、紡績ケンスが、推進体により、紡績ケンス底部と紡績ケンス縁部との間の紡績ケンス高さに関して、紡績ケンスの鉛直方向の中心において、またはその鉛直方向の中心の周囲の領域に接触され得るようになっている。さらに好適には、この領域は、紡績ケンス底部を起点とした紡績ケンス高さの1/4~3/4に達する。さらに好適には、この領域は、紡績ケンス底部を起点とした紡績ケンス高さの1/3~2/3に達する。これにより、紡績ケンスの推し引き時に生じ得る傾倒のおそれを十分に回避することができる。紡績ケンスの摺動は、例えば定義された方法により、推進体と紡績ケンスとを同時に接触させながら行うことができる。
【0047】
別の好適な或る実施形態によれば、推進体は、推進体支持体に配置されており、この推進体支持体は、例えば、搬送プラットフォームに結合されており、さらに好適には推進体支持体に対して推進体を線形に移動させるために駆動ユニットを有している。線形の移動は、搬送車両の停止時にも、紡績機械における紡績ケンスの定義された位置決めを可能にする。
【0048】
本発明の別の好適な或る構成によれば、推進体が、グリッパに配置されていることが規定されている。本発明のこの好適な構成は、搬送プラットフォームに配置された場合に、例えば搬送車両および/または別個の駆動装置の走行による推進体の駆動を省くことを可能にする。推進体による紡績ケンスの定義された位置決めのために、この好適な実施形態によれば、作動装置によるグリッパの移動で十分であり、これにより、推進体が紡績ケンスに当て付けられている場合に、紡績ケンスの確実な摺動が可能にされる。
【0049】
特に好適には、推進体は、2つのグリッパエレメントにより形成された、上述の好適な実施形態によるグリッパに配置されている。特に好適には、推進体は、位置固定されたグリッパにおいて、位置固定されたグリッパエレメントの、接触面とは反対側に配置されている。代替的に好適には、推進体は線形に移動可能なグリッパエレメントにおいて、接触面とは反対側に配置されていてよい。この構成は、紡績ケンスが、線形に移動可能なグリッパエレメントの線形の移動を介して極めて正確に位置決め可能である点で有利である。
【0050】
好適な或る実施形態によれば、搬送車両は、紡績ケンスに対する間隔を検出するように配置されかつ設計されている少なくとも1つの間隔センサを有している。これにより、紡績ケンスの操作を、確実かつ改善された形式で搬送車両、特にマニピュレータユニットによって行うことができる。さらに好適には、上記間隔センサまたは1つの間隔センサがグリッパに配置されている。これにより、マニピュレータユニットによる紡績ケンスの操作を改善して実行することができる。特に間隔センサは超音波センサである。
【0051】
搬送プラットフォームの実施形態は、基本的に自由に選択可能である。本発明の特に好適な或る構成によれば、搬送プラットフォームは、偶数個の紡績ケンス、特に少なくとも2個、好適には少なくとも4個、特に好適には少なくとも6個または8個の紡績ケンスを収容するために形成されていることが規定されている。この無人搬送車両のこの構成は、コンパクトな構造形式と同時に良好な搬送容量を保証するので、これにより搬送車両を特に良好に操作して、スライバを供給する繊維機械に対しても、スライバが供給される繊維機械に対しても対応する位置へと操縦することができる。
【0052】
さらに好適には、搬送プラットフォームは、ターンテーブル状に回動可能あるいは回転可能に構成されている。これにより、搬送プラットフォームの置き位置を、マニピュレータユニットにとって有利な操作位置にもたらすことができる。置き位置とは、紡績ケンスを置くことができるか、または紡績ケンスが置かれている搬送プラットフォーム上の位置であると理解される。
【0053】
好適な或る実施形態によれば、搬送プラットフォームは、2つのプラットフォームユニットを有しており、これらのプラットフォームユニットのうちの特に少なくとも1つのプラットフォームユニットは、回転可能に構成されている。プラットフォームユニットは、好ましくは、ターンテーブル状のプラットフォームユニットである。さらに好適には、マニピュレータユニットは、両プラットフォームユニットの間に配置されている。これにより、各プラットフォームユニットの置き位置に、マニピュレータユニットが改善された形式で達成することができる。
【0054】
本発明による無人搬送車両は、スライバが供給される紡績機械におけるケンス交換を実施するために適している。本発明の別の態様によれば、本発明に係る無人搬送車両を用いて紡績機械で紡績ケンスを交換する方法が提案される。方法は、特に、スライバが充填された少なくとも1つの紡績ケンスが積み込まれた無人搬送車両を紡績機械へ走行させるステップを含んでいる。紡績機械において、搬送車両を、交換すべき紡績ケンスの前に位置決めする。次いで、交換すべき紡績ケンスを無人搬送車両により運転位置から、この運転位置から離間した収容位置へともたらす。紡績ケンスの運転位置は、スライバが紡績ケンスから紡績機械による引き続きの加工のために妨げられることなしに引出し可能である、紡績機械における位置である。収容位置とは、交換すべき紡績ケンスを、好適には無人搬送車両または別のユニットにより収容することができる位置である。
【0055】
本発明の好適な或る実施形態によれば、交換すべき紡績ケンスを収容位置にもたらすステップの前に、まず、交換すべき紡績ケンスと搬送車両との間の別の1つの運転位置に配置された別の紡績ケンスを、無人搬送車両によって、この別の運転位置から、この運転位置および収容位置とは異なる待機位置にもたらすことが必要であり得る。このことは、例えば、紡績機械がその長手方向に対して横方向の機械長手方向側面に、紡績機械の互いに隣り合う2つの作業ユニットに供給するための、相前後して配置された2つの紡績ケンスを有しており、かつ搬送車両から離れた後側の紡績ケンスが交換されなければならない場合に必要である。
【0056】
場合によっては別の紡績ケンスが無人搬送車両により待機位置にもたらされ、かつ交換すべき紡績ケンスが無人搬送車両によって収容位置にもたらされた後に、好適には、まず別の紡績ケンスが、無人搬送車両により運転位置に、つまり交換すべき紡績ケンスが以前に紡績機械の運転中に取っていた位置にもたらされる。
【0057】
本発明によれば、マニピュレータユニットは、スライバが充填された紡績ケンスを、搬送プラットフォームから収容し、この紡績ケンスを、搬送車両の隣に降ろす。このステップは、選択的に、収容位置に交換すべき紡績ケンスをもたらす前に、かつ場合によっては別の紡績ケンスを運転位置にもたらす前にも行うことができる。しかしこの場合、充填された紡績ケンスを、交換すべき紡績ケンスおよび別の紡績ケンスを、そのそれぞれの位置にもたらすことを阻止しない位置に降ろし、かつ提供することが重要である。
【0058】
充填された紡績ケンスを収容して降ろす前または後に、交換すべき紡績ケンスを、好適には搬送プラットフォーム上に置くことができる。マニピュレータユニットを用いて搬送プラットフォーム上に交換すべき紡績ケンスを収容され、かつ降ろすことは、好適には、充填された紡績ケンスが空いている運転位置にもたらされる前後に行うことができる。この空いている運転位置は、運動させるべき紡績ケンスの個数に依存して別の運転位置であってもよい。しかし、スペース上の理由から、まず交換すべき紡績ケンスを収容位置にもたらし、次いで搬送車両の隣の充填された紡績ケンスを収容し、降ろすと好適である。さらに生産性の理由から、充填された紡績ケンスを降ろした後に、この充填された紡績ケンスをまず、つまり搬送プラットフォーム上の交換すべき紡績ケンスを収容しかつ降ろす前に、空いている運転位置にもたらし、これによって紡績機械の該当する作業ユニットにおける生産の時間的な中断をできるだけ僅かに保つことができると好適である。
【0059】
充填された紡績ケンスを空いている運転位置にもたらす前、途中または後に、好適には、充填された紡績ケンスの、紡績ケンス縁部を越えて垂れ下がっているスライバ端部を、紡績機械のサービスユニットによって直接的に捕捉し、かつ製造を再開するために該当する作業ユニットに供給することができるように、充填された紡績ケンスの位置調整が行われる。これにより、中断時間をさらに減じることができる。
【0060】
以下に本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】無人搬送車両の第1の実施形態の側面を示す概略的な斜視図である。
図2】グリッパにより保持された紡績ケンスを備えた、図1に示した無人搬送車両を示す概略的な斜視図である。
図3】紡績ケンスグリッパを備えた、図1に示した搬送車両の側面を示す概略的な斜視図である。
図4a】無人搬送車両の第2の実施形態を概略的に示す平面図である。
図4b図4aに示した無人搬送車両の側面を示す概略図である
図5a】無人搬送車両の第3の実施形態を概略的に示す平面図である。
図5b図5aに示した無人搬送車両の側面を示す概略図である。
図6】無人搬送車両の第3の実施形態の側面を示す概略的な斜視図である。
図7】無人搬送車両の第4の実施形態を概略的に示す平面図である。
図8】紡績ケンスを交換する方法を示す概略図である。
【0062】
図1図2および図3に図示された無人搬送車両1aは、走行駆動装置2と、走行駆動装置2上に配置された搬送プラットフォーム6とを有しており、この搬送プラットフォーム6は、円形ケンスとして構成された4つの紡績ケンス4を収容するように形成されている。
【0063】
搬送プラットフォーム6に外側で隣接して、搬送車両1aは、搬送プラットフォーム6の平面に対して垂直方向に延びる収容ユニット8をさらに有しており、この収容ユニット8は、とりわけ、マニピュレータユニット23aの作動装置5aの制御電子機器を収容するために、かつ中央のコントロールシステムに接続可能な車両制御装置を保持するために役立つ。中央のコントロールシステムは、とりわけ、スライバを引き渡す紡績機械およびスライバが供給される紡績機械(図示せず)の製造プロセス全体を監視しかつ制御するコントロールユニットである。
【0064】
搬送プラットフォーム6とは反対側の端部で、収容ユニット8には、作動装置5aの把持アーム7が枢着式に配置されている。把持アーム7は、第1の把持アーム本体10と第2の把持アーム本体11とを有しており、第1の把持アーム本体10は、搬送プラットフォーム6の平面に対して平行に延びる旋回軸線を中心として旋回可能に、収容ユニット8に配置された把持アーム支持体19に結合されており、この把持アーム支持体19自体は、搬送プラットフォーム6の平面に対して垂直方向に延びる長手方向軸線を中心として回動可能である。
【0065】
把持アーム支持体19とは反対側に位置する端部において、第1の把持アーム本体10は、第2の把持アーム本体11の端部に枢着結合されており、第1の把持アーム本体10と第2の把持アーム本体11とは、搬送プラットフォーム6の平面に対して平行に延びる旋回軸線を中心として互いに旋回可能に結合されている。第1の把持アーム本体10とは反対側に位置する端部において、第2の把持アーム本体11は、グリッパ3のグリッパホルダ21を有しており、このグリッパホルダ21と第2の把持アーム本体11とはやはり、搬送プラットフォーム6の平面に対して平行に延びる旋回軸線を中心として旋回可能に結合されており、これにより、この旋回軸線に対して垂直方向に延びるグリッパ基体20は、第2の把持アーム本体11に対する第1の把持アーム本体10の相対的な位置に依存せず、搬送プラットフォーム6の平面に対して垂直方向に位置調整され得る。
【0066】
グリッパ基体20を起点として1つの平面において垂直方向に、3つの支持ステー18が延びており、これらの支持ステー18は、周方向で互いに120°の間隔を空けて配置されている。支持ステー18には、これらの支持ステー18に対して垂直方向に延びるそれぞれ1つのグリッパエレメント12が配置されており、グリッパエレメント12は、半径方向で支持ステー18に沿って、紡績ケンス4を把持する保持位置と紡績ケンスを解放する解放位置との間でそれぞれ移動可能である。
【0067】
紡績ケンス4の捕捉するために、グリッパ3は、把持アーム7を移動させることを介して、グリッパエレメント12の互いに対して相対的な移動によって紡績ケンス4の上端部が外側で把持され得る位置(図2を参照)へと移動させられる。次いで図2に図示されているような別の移動により、紡績ケンス4を搬送プラットフォーム6から持ち上げて、スライバを加工する紡績機械の領域に配置することができる。
【0068】
グリッパホルダ21に対するグリッパ基体20の回動性によって、グリッパエレメント12を周方向で紡績ケンス4に対して位置調整し、捕捉した紡績ケンス4をその長手方向軸線を中心として回動させる可能性が生じる。これによって、紡績ケンス4を、スライバが供給される紡績機械に対するスライバ端部17の位置に対応して位置調整する可能性が生じる。
【0069】
紡績ケンス4の最終的な移動のためには推進装置13aが働く。この推進装置13aは、推進体14を有しており、推進体14は、推進体支持体22aを介してグリッパ基体20に結合されている。搬送プラットフォーム6の隣に紡績ケンス4を降ろした後に、次いで、紡績ケンス4の周面16に当て付けられた推進体14によって、紡績ケンス4を、把持アーム7の移動により、その予め規定された位置へと摺動させることができる。図示しない或る実施形態では、推進体14は電磁的に形成されていてもよく、これにより、電磁的な推進体14の作動時に、電磁的な推進体14は、紡績ケンス4の上端部の領域において周面16に配置された金属リング15と引張り強さを有する結合を形成し、これにより、次いで把持アーム7の移動によって、紡績ケンス4をその位置から引き出すこともできる。
【0070】
図4aおよび図4bには、搬送車両1bの別の実施形態が概略図で図示されている。図1図3に図示された搬送車両1aとは異なり、搬送車両1aは、円形ケンスとして構成された6つの紡績ケンス4を保持するように形成されている。さらに、図4aおよび図4bに図示した搬送車両1bのマニピュレータユニット23bの作動装置5bは、長手方向軸線の方向で搬送プラットフォーム6にわたって延びる片持ち梁9を有している。この片持ち梁9は、片持ち梁9の長手方向軸線の方向に対して横方向に移動可能に収容ユニット8に配置されている。グリッパ3は、同様に片持ち梁9の長手方向軸線の方向に移動可能であるので、収容ユニット8に対する片持ち梁9の線形の移動可能性と、片持ち梁9に対するグリッパ3の線形の移動可能性との組み合わせにより、グリッパ3は、紡績ケンス4を捕捉するために、搬送プラットフォーム6に対して任意の位置に運動され得る。収容ユニット8に対する片持ち梁9の移動可能性は、グリッパ3による紡績ケンス4の把持後に、紡績ケンス4が側方で搬送プラットフォーム6を越えて運動させられ、搬送プラットフォーム6の隣の領域に置かれ得るように構成されている。このためには、グリッパ3は、さらに搬送プラットフォーム6に対して垂直方向に移動可能に、片持ち梁9に結合されている。
【0071】
図5aおよび図5bに図示した搬送車両1bは、図4aおよび図4bに図示した搬送車両に一致するが、搬送プラットフォーム6の領域にさらに、推進装置13bを有している。この推進装置13bでは、推進体14が、搬送プラットフォーム6に結合された推進体支持体22bに対して、推進体支持体22bの長手方向軸線の方向で移動可能であるので、この推進装置13bによって、地上に配置された紡績ケンス4を摺動させることができる。
【0072】
図6は、搬送車両1cの別の実施形態の側面を概略的な斜視図で示している。図1図3に図示した搬送車両1aとは異なり、搬送プラットフォーム6cは、その中心軸線31を中心として回転可能に構成されている。この好適な実施形態では、紡績ケンス4のための4つの置き位置32が、中心軸線31を中心として均等に分配されて設けられている。互いに反対側に配置された2つの紡績ケンス4が置かれていることが図示されている一方で、搬送プラットフォーム6cの回転方向でこれらの紡績ケンス4の間に位置している置き位置は空いている。搬送プラットフォーム6cは、時計回りにも反時計回りにも回転するように設計されている。搬送プラットフォーム6cの回転可能な構成は、取り出すべき紡績ケンス4、もしくは搬送プラットフォーム6c上に紡績ケンス4を置くための置き位置が直接にマニピュレータユニット23cに伝達されることを可能にする。
【0073】
さらに搬送車両1cは、作動装置5cと、この作動装置5cに連結されたグリッパ3とを備えたマニピュレータユニット23cの構成において異なっている。マニピュレータユニット23cは、収容ユニット8の上面に配置されている台座30上に配置されている。これにより、把持アーム支持体19の高さを比較的小さく寸法設定することができる。作動装置5cは、グリッパ3を空間内でより正確に運動させることができるように、4軸に構成されている。グリッパ3は、2つのグリッパエレメント12を備えて構成されており、両グリッパエレメント12のうち一方のグリッパエレメントは位置固定的に配置されていて、他方のグリッパエレメント12は、グリッパエレメント12を支持する支持ステー18に沿って線形に移動可能であるように、この支持ステー18に特に端部側に配置されている。支持ステー18は、グリッパホルダ21により回転可能に支持される。移動可能なグリッパエレメント12は、図6では、グリッパ3が両グリッパエレメント12間での最大開き幅を有している端部位置で示されている。移動可能なグリッパエレメント12は、支持ステー18内に配置された作動駆動装置、特にスピンドル駆動装置により、位置固定されたグリッパ部材12に向かう方向に、かつこれとは反対の方向に、示された端部位置に至るまで線形に移動可能である。
【0074】
両グリッパエレメント12は、互いに面した側に、それぞれ2つの接触面29を有しており、これらの接触面29は、紡績ケンス4の側壁に接触するために形成されかつ配置されている。図6では、線形に移動可能なグリッパエレメント12に配置された接触面29が図示されている。接触面29は、静止摩擦構造を備えた面構造(図示せず)を含んでおり、この面構造は、破壊なしに交換可能であるように、それぞれの接触面29に取り付けられていて、これによって紡績ケンス4は、マニピュレータユニット23cを用いて改善された形式で把持され、かつ静止摩擦作用を介して緊締しながら支持され得る。
【0075】
位置固定されたグリッパエレメント12は、その接触面29とは反対側に、推進体14を備えた推進装置13cを含んでいる。推進体14は、位置固定されたグリッパエレメント12に位置固定的に取り付けられている。推進装置13cは、負圧システムとして構成されており、推進体14は、環状に延びるシールリップを備えた負圧ボックスを成形している。シールリップは、紡績ケンス4の側壁の表面に密閉式に当付け可能である。負圧を加えることにより、紡績ケンス4を推進体14に確実に結合し、正確な位置決めのために改善された確実な形式で定義して摺動させることができる。この好適な実施形態では、負圧源は収容ユニット8内に配置されており、負圧源から推進体14に通じる負圧管路は、この好適な実施形態によれば、作動装置5c、連結されたグリッパ3およびその支持ステー18内に配置されている。同様のことは、作動駆動装置にエネルギおよび制御信号を供給する電気的な線路にも当てはまる。
【0076】
線形に移動可能なグリッパエレメント12は、その両接触面29の間に、紡績ケンス4との接触を知らせるための信号発信器(図示せず)を有している。信号発信器は、好適には近接スイッチまたは接触スイッチであってよい。信号発信器がその信号を発信するや否や、線形に移動可能なグリッパエレメント12の送り運動が停止され、これによって例えば過度に高い圧力による紡績ケンス4の損傷が回避され得る。
【0077】
グリッパ3には、間隔センサ(図示せず)がさらに設けられている。この間隔センサは、この好適な実施形態では、推進体14に隣接して配置されている。間隔センサは、グリッパ3、特に推進体14と、紡績ケンス4との間の間隔を測定するように構成かつ配置されており、これにより、グリッパ3が適切に制御され得る。距離センサは、例えば超速センサであってよい。
【0078】
さらに搬送車両1cには、紡績ケンス4の位置を検出し、かつ紡績ケンス縁部から垂れ下がるスライバ端部17を検出するための検出ユニット25が設けられている。検出ユニット25は、第1の光送信ユニット26、第2の光送信ユニット27および受信ユニット28を含んでいる。第1の光送信ユニット26は、収容ユニット8において下側の区分に配置されており、第2の光送信ユニット27は、収容ユニット8において、この収容ユニット8の鉛直軸線に沿って収容ユニット8の上側の領域において第1の光送信ユニット26の上側に配置されている。受信ユニット28は、収容ユニット8において第2の光送信ユニット27の水平方向の配置平面においてこの第2の光送信ユニット27に隣接して位置決めされている。第1の光送信ユニット26および第2の光送信ユニット27はそれぞれ、定義された水平方向の長さおよび鉛直方向の厚さの水平方向の光線を放射するように構成されており、第1の光送信ユニット26から放射された光線は、第1の光送信ユニット26の水平方向の配置平面に対して45°の放射角度で上方に向かって放射される。これにより、紡績ケンス4の表面上に放物線状の光線が結像され得る。特に、円形ケンスとして形成された紡績ケンス4では、放物線の最も低い点は、紡績ケンス4の水平方向の軸線に沿った紡績ケンス中心に一致するので、紡績ケンス中心を正確に検出することができ、これによって紡績ケンス4前における位置決めを、改善された形式で実施することができる。第2の光送信器27の光線は、ほぼ水平方向の線として紡績ケンス4の表面上に結像され、紡績ケンス縁部から外側に垂れ下がるスライバ端部の検出を可能にする。収容ユニット8における第2の光送信器27の配置高さは、好適には、スライバ端部が紡績エッジ縁部からの垂れ下がり時に達する紡績エッジ縁部領域の、床からの高さに対応するように選択されている。
【0079】
それぞれの光線は、光線が例えば紡績ケンス4の表面に当たり、かつこの表面によって反射されるや否や、受信ユニット28によって検出される。受信ユニット28は、カメラであってよい。対応する光線の検出された信号は、マニピュレータユニットの制御ユニットに提供され、マニピュレータユニットは、検出された信号に基づいて、紡績ケンス4の位置と、照射されかつ監視された領域における、紡績ケンス縁部から垂れ下がったスライバ端部の存在もしくは不在とを評価し、これにより、マニピュレータユニット23cは、紡績ケンス4の定義された操作のために駆動制御され得る。
【0080】
収容ユニット8上には操作ユニット24が配置されており、この操作ユニット24を介して、マニピュレータユニット23cおよび搬送車両1cがオペレータによって操作可能かつ/または調節可能である。
【0081】
図7により、無人搬送車両1dの第4の実施形態を概略的に示す平面図が示されている。上述した搬送車両1a~1cとは異なり、搬送車両1dは、それぞれ3つの紡績ケンス4を支持するための、同軸的に配置された回転可能な2つの搬送プラットフォーム6dを有しており、マニピュレータユニット23dは、回転可能な両搬送プラットフォーム6dの三角隙(Zwickel)内に配置されている。
【0082】
図8は、紡績ケンスを交換する方法100を概略的に示している。まず、スライバが充填された少なくとも1つの紡績ケンス4が積まれた、上述の実施形態のうちの1つの実施形態による無人搬送車両1a,1b,1c,1dを紡績機械へと走行させる(ステップ110)。無人搬送車両1a,1b,1c,1dは、続くステップ120において、この紡績機械において交換すべき紡績ケンス4の前に位置決めされる。この場合、搬送車両1a,1b,1c,1dの正確な位置決めは、少なくとも第1の光送信器26および受信ユニット28を含む上述したような検出ユニット25を用いて行うことができる。交換すべき紡績ケンス4は、続くステップ130において、無人搬送車両1a,1b,1c,1dによって、運転位置から、この運転位置から離間した収容位置にもたらされ、運転位置が充填された紡績ケンス4により占められるまでこの収容位置に位置決めされるか、または代替的には、この収容位置にまでもたらされるのに続いて、マニピュレータユニット23a,23b,23c,23dにより搬送プラットフォーム6,6c,6d上の空いている箇所に配置される。収容位置にもたらすことは、特に上述のような推進体14を用いて行うことができ、この推進体14には、紡績ケンス4を推進体14に位置固定するために、紡績ケンス表面との接触後に負圧が加えられる。作動装置5cおよびグリッパ3を介した推進体14の運動により、紡績ケンス4を正確に収容位置にもたらすことができる。スライバが充填された紡績ケンス4は、ステップ140においてマニピュレータユニット23a,23b,23c,23dにより搬送プラットフォーム6,6c,6dから収容され、無人搬送車両1a,1b,1c,1dの隣に降ろされる。スライバが充填された降ろされた紡績ケンス4は、別のステップ150において空いている運転位置に無人搬送車両1a,1b,1c,1dによりもたらされる。運転位置に紡績ケンス4をもたらすことは、収容位置に紡績ケンスをもたらすことと同等の形式で、推進体14によって行うことができる。
【0083】
「できる、であってよい」という用語により、特に、本発明の選択的な特徴が示されている。したがって、付加的または代替的に各特徴または複数の特徴をそれぞれ有する、本発明の変化形および/または実施例も存在する。
【0084】
本明細書において開示された特徴の組み合わせから、必要に応じて、独立した特徴を選び出し、複数の特徴間で場合によっては存在する構造的かつ/または機能的な関係を分解して、別の複数の特徴と組み合わせて、請求項の対象を限定するために使用することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1a,1b,1c,1d 搬送車両
2 走行駆動装置
3 グリッパ
4 紡績ケンス
5a,5b,5c 作動装置
6,6c,6d 搬送プラットフォーム
7 把持アーム
8 収容ユニット
9 片持ち梁
10 第1の把持アーム本体
11 第2の把持アーム本体
12 グリッパエレメント
13a,13b,13c 推進装置
14 推進体
15 金属リング
16 周面
17 スライバ端部
18 支持ステー
19 把持アーム支持体
20 グリッパ基体
21 グリッパホルダ
22a,22b,22c 推進体支持体
23a,23b,23c,23d マニピュレータユニット
24 操作ユニット
25 検出ユニット
26 第1の光送信ユニット
27 第2の光送信ユニット
28 受信ユニット
29 接触面
30 台座
31 中心軸線
32 置き位置
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7
図8
【外国語明細書】