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特開2024-97401半導体チップのアライメント方法、接合方法、半導体装置、並びに電子部品製造システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024097401
(43)【公開日】2024-07-19
(54)【発明の名称】半導体チップのアライメント方法、接合方法、半導体装置、並びに電子部品製造システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
H01L21/52 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000829
(22)【出願日】2023-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000146722
【氏名又は名称】ヤマハロボティクスホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 隼
(72)【発明者】
【氏名】菊地 広
(72)【発明者】
【氏名】戸張 優太
(72)【発明者】
【氏名】福島 誉史
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047AA17
5F047BA00
5F047BB11
5F047CA00
(57)【要約】
【課題】積層接合する半導体チップのアライメントの精度を向上させる。
【解決手段】
ウェーハに半導体チップを積層接合する接合方法であって、ウェーハの表面と、半導体チップの相対面とに酸化チタンをコーティングして表面薄膜と相対面薄膜とを形成する薄膜形成工程(S101)と、表面薄膜と、相対面薄膜とに光を照射して親水化する親水化工程(S102)と、前記ウェーハの親水化領域に液滴を付着させる液滴付着工程(S103)と、液滴の上に半導体チップを載置し、液滴の表面張力により、半導体チップのチップ親水化領域をウェーハの親水化領域に対してセルフアライメントさせるセルフアライメント工程(S104)と、半導体チップのチップ親水化領域をウェーハの親水化領域に接触させてチップ親水化領域と親水化領域とを親水化接合する接合工程(S105)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の電子部品に第1半導体チップを積層接合する際の前記第1半導体チップのアライメント方法であって、
前記電子部品の表面と、前記表面に相対する前記第1半導体チップの相対面とに光励起親水化反応物質をコーティングして表面薄膜と相対面薄膜とを形成する薄膜形成工程と、
前記表面薄膜の一部である親水化領域と、前記親水化領域に対向する前記相対面薄膜のチップ親水化領域と、に光を照射して前記親水化領域と前記チップ親水化領域とを親水化する親水化工程と、
前記電子部品の親水化した前記親水化領域に液滴を付着させる液滴付着工程と、
前記液滴の上に前記第1半導体チップの親水化した前記チップ親水化領域を載置し、前記液滴の表面張力により、前記第1半導体チップの前記チップ親水化領域を前記電子部品の前記親水化領域に対してセルフアライメントさせるセルフアライメント工程と、を含むこと、
を特徴とするアライメント方法。
【請求項2】
請求項1に記載のアライメント方法であって、
前記親水化領域と前記チップ親水化領域とは、外形形状が同一で、前記第1半導体チップの外形形状よりも小さい領域であること、
を特徴とするアライメント方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアライメント方法であって、
前記光励起親水化反応物質は、酸化チタン、三酸化タングステン、臭化銀、塩化銀、二酸化ケイ素、窒素添加シリコンカーバイト、窒化ケイ素、又は炭素添加一酸化ケイ素のいずれか1つから選択され、
前記液滴は、水素水、オゾン水、炭素水、アルカリ性電解水、又はファインバブル水のいずれか1つから選択された液体で構成され、
前記光は紫外線であること、
を特徴とするアライメント方法。
【請求項4】
請求項3に記載のアライメント方法であって、
前記電子部品は、ウェーハ、前記第1半導体チップと異なる第2半導体チップ、又は基板であること、
を特徴とするアライメント方法。
【請求項5】
平板状の電子部品に第1半導体チップを積層接合する接合方法であって、
前記電子部品の表面と、前記表面に相対する前記第1半導体チップの相対面とに光励起親水化反応物質をコーティングして表面薄膜と相対面薄膜とを形成する薄膜形成工程と、
前記表面薄膜の一部である親水化領域と、前記親水化領域に対向する前記相対面薄膜のチップ親水化領域と、に光を照射して前記親水化領域と前記チップ親水化領域とを親水化する親水化工程と、
前記電子部品の親水化した前記親水化領域に液滴を付着させる液滴付着工程と、
前記液滴の上に前記第1半導体チップの親水化した前記チップ親水化領域を載置し、前記液滴の表面張力により、前記第1半導体チップの前記チップ親水化領域を前記電子部品の前記親水化領域に対してセルフアライメントさせるセルフアライメント工程と、
前記相対面薄膜の親水化した前記チップ親水化領域を前記表面薄膜の親水化した前記親水化領域に接触させて前記表面薄膜の前記親水化領域と前記相対面薄膜の前記チップ親水化領域とを親水化接合する接合工程と、
を備えることを特徴とする接合方法。
【請求項6】
請求項5に記載の接合方法であって、
前記親水化領域と前記チップ親水化領域とは、外形形状が同一で、前記第1半導体チップの外形形状よりも小さい領域であること、
を特徴とする接合方法。
【請求項7】
請求項6に記載の接合方法であって、
熱拡散接合工程を更に含み、
前記電子部品は、前記表面から突出する少なくとも1つの電極を備え、
前記第1半導体チップは、各前記電極に対向する位置で前記相対面から突出する少なくとも1つの対向電極を備え、
前記薄膜形成工程は、前記表面に前記光励起親水化反応物質をコーティングして前記表面の各前記電極を含まない領域に各前記電極の突出高さと同一厚さの前記表面薄膜を形成し、前記相対面に前記光励起親水化反応物質をコーティングして前記相対面の各前記対向電極を含まない領域に各前記対向電極の突出高さと同一厚さの前記相対面薄膜を形成し、
前記親水化工程は、前記表面薄膜の前記親水化領域と前記相対面薄膜の前記チップ親水化領域とを親水化し、
前記接合工程は、前記相対面薄膜の親水化した前記チップ親水化領域を前記表面薄膜の親水化した前記親水化領域に接触させて前記表面薄膜の前記親水化領域と前記相対面薄膜の前記チップ親水化領域とを親水化接合するとともに、各前記電極の各先端面と各前記対向電極の各先端面とが接触する接合体を形成し、
前記熱拡散接合工程は、前記接合体を加熱して、接触している各前記電極の各先端面と各前記対向電極の各先端面とを熱拡散接合すること、
を特徴とする接合方法。
【請求項8】
請求項6に記載の接合方法であって、
前記表面薄膜が形成された前記電子部品に前記電子部品と前記表面薄膜とを前記電子部品の厚さ方向に貫通する少なくとも1つの貫通電極を形成する貫通電極形成工程と、
前記相対面薄膜が形成された前記第1半導体チップに前記第1半導体チップと前記相対面薄膜とを前記第1半導体チップの厚さ方向に貫通し、前記貫通電極と対向する少なくとも1つの対向貫通電極を形成する対向貫通電極形成工程と、
熱拡散接合工程と、を更に含み、
前記接合工程は、前記相対面薄膜の親水化した前記チップ親水化領域を前記表面薄膜の親水化した前記親水化領域に接触させて前記表面薄膜の前記親水化領域と前記相対面薄膜の前記チップ親水化領域とを親水化接合するとともに、各前記貫通電極の各先端面と各前記対向貫通電極の各先端面とが接触する接合体を形成し、
前記熱拡散接合工程は、前記接合体を加熱して、接触している各前記貫通電極の各先端面と各前記対向貫通電極の各先端面とを熱拡散接合すること、
を特徴とする接合方法。
【請求項9】
請求項5から8のいずれか1項に記載の接合方法であって、
前記光励起親水化反応物質は、酸化チタン、三酸化タングステン、臭化銀、塩化銀、二酸化ケイ素、窒素添加シリコンカーバイト、窒化ケイ素、又は炭素添加一酸化ケイ素のいずれか1つから選択され、
前記液滴は、水素水、オゾン水、炭素水、アルカリ性電解水、又はファインバブル水のいずれか1つから選択された液体で構成され、
前記光は紫外線であること、
を特徴とする接合方法。
【請求項10】
請求項5から8のいずれか1項に記載の接合方法であって、
前記電子部品は、ウェーハ、前記第1半導体チップと異なる第2半導体チップ、又は基板であること、
を特徴とする接合方法。
【請求項11】
請求項5から8のいずれか1項に記載の接合方法で前記電子部品と前記第1半導体チップとを接合した半導体装置。
【請求項12】
平板状の電子部品に第1半導体チップを積層接合する電子部品製造システムであって、
薄膜形成装置と、親水化装置と、ボンディング装置とを備え、
前記薄膜形成装置は、
前記電子部品の表面と、前記表面に相対する前記第1半導体チップの相対面とに光励起親水化反応物質をコーティングして表面薄膜と相対面薄膜とを形成し、前記表面薄膜を形成した前記電子部品と前記相対面薄膜を形成した前記第1半導体チップを前記親水化装置に供給し、
前記親水化装置は、
前記表面薄膜の一部である親水化領域と、前記親水化領域に対向する前記相対面薄膜のチップ親水化領域と、に光を照射して前記親水化領域と前記チップ親水化領域とを親水化し、親水化した前記電子部品と前記第1半導体チップとを前記ボンディング装置に供給し、
前記ボンディング装置は、前記親水化装置から供給された前記電子部品に前記第1半導体チップを接合し、
前記電子部品を吸着固定するステージと、
前記第1半導体チップを把持、開放するコレットと、
前記電子部品の前記表面に液滴を付着させるディスペンサと、
前記コレットを前記ステージに沿った方向と前記ステージに接離する方向にそれぞれ移動させるボンディングヘッドと、
前記ディスペンサを前記ステージに沿った方向と前記ステージに接離する方向にそれぞれ移動させるディスペンサヘッドと、
前記第1半導体チップを前記ステージの吸着固定された前記電子部品に押圧する押圧デバイスと、
前記コレットと、前記ディスペンサと、前記ボンディングヘッドと、前記ディスペンサヘッドと、前記押圧デバイスの動作を調整する制御部と、を備え、
前記制御部は、情報処理を行うプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記ディスペンサによって、前記ステージに吸着固定された前記電子部品の親水化された前記親水化領域に前記液滴を付着させ、
前記コレットによって、前記液滴の上に前記第1半導体チップの親水化した前記チップ親水化領域を載置し、前記液滴の表面張力により、前記第1半導体チップの前記チップ親水化領域を前記電子部品の前記親水化領域に対してセルフアライメントさせ、
前記押圧デバイスによって、前記相対面薄膜の親水化した前記チップ親水化領域を前記表面薄膜の親水化した前記親水化領域に押圧して前記表面薄膜の前記親水化領域と前記相対面薄膜の前記チップ親水化領域とを親水化接合させること、
を特徴とする電子部品製造システム。
【請求項13】
請求項12に記載の電子部品製造システムであって、
前記親水化領域と前記チップ親水化領域とは、外形形状が同一で、前記第1半導体チップの外形形状よりも小さい領域であること、
を特徴とする電子部品製造システム。
【請求項14】
請求項13に記載の電子部品製造システムであって、
加熱装置を更に備え、
前記電子部品は、前記表面から突出する少なくとも1つの電極を備え、
前記第1半導体チップは、各前記電極に対向する位置で前記相対面から突出する少なくとも1つの対向電極を備え、
前記薄膜形成装置は、
前記表面に前記光励起親水化反応物質をコーティングして前記表面の各前記電極を含まない領域に各前記電極の突出高さと同一厚さの前記表面薄膜を形成し、前記相対面に前記光励起親水化反応物質をコーティングして前記相対面の各前記対向電極を含まない領域に各前記対向電極の突出高さと同一厚さの前記相対面薄膜を形成し、
前記親水化装置は、前記表面薄膜の前記親水化領域と、前記相対面薄膜の前記チップ親水化領域とを親水化し、
前記プロセッサは、
前記押圧デバイスによって、前記相対面薄膜の親水化した前記チップ親水化領域を前記表面薄膜の親水化した前記親水化領域に押圧して前記表面薄膜の前記親水化領域と前記相対面薄膜の前記チップ親水化領域とを親水化接合するとともに、各前記電極の各先端面と各前記対向電極の各先端面とが接触する接合体を形成し、
前記加熱装置は、前記接合体を加熱し、接触している各前記電極の各先端面と各前記対向電極の各先端面とを熱拡散接合させること、
を特徴とする電子部品製造システム。
【請求項15】
請求項13に記載の電子部品製造システムであって、
電極形成装置と、
加熱装置と、を更に備え、
前記薄膜形成装置は、前記電子部品の前記表面と、前記表面に相対する前記第1半導体チップの前記相対面とに前記光励起親水化反応物質をコーティングして前記表面薄膜と前記相対面薄膜とを形成し、前記表面薄膜を形成した前記電子部品と前記相対面薄膜を形成した前記第1半導体チップを前記電極形成装置に供給し、
前記電極形成装置は、前記表面薄膜が形成された前記電子部品に前記電子部品と前記表面薄膜とを前記電子部品の厚さ方向に貫通する少なくとも1つの貫通電極を形成し、前記相対面薄膜が形成された前記第1半導体チップに前記第1半導体チップと前記相対面薄膜とを前記第1半導体チップの厚さ方向に貫通し、前記貫通電極と対向する少なくとも1つの対向貫通電極を形成し、
前記親水化装置は、前記表面薄膜の前記親水化領域と、前記相対面薄膜の前記チップ親水化領域とを親水化し、
前記プロセッサは、
前記押圧デバイスによって、前記相対面薄膜の親水化した前記チップ親水化領域を前記表面薄膜の親水化した前記親水化領域に押圧して前記表面薄膜の前記親水化領域と前記相対面薄膜の前記チップ親水化領域とを親水化接合するとともに、各前記貫通電極の各先端面と各前記対向貫通電極の各先端面とが接触する接合体を形成し、
前記加熱装置は、前記接合体を加熱し、接触している各前記貫通電極の各先端面と各前記対向貫通電極の各先端面とを熱拡散接合させること、
を特徴とする電子部品製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層される半導体チップのアライメント方法、接合方法、半導体装置、及び電子部品製造システムの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
電極にはんだバンプを形成した半導体チップの上に半導体チップを積層して押圧により仮接合した後、リフロー炉において加熱し、はんだが液状になる際の表面張力と界面張力によりセルフアライメントを行わせ、その後、温度を低下させてはんだを固化させて半導体チップを積層接合する方法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、はんだを固化させた後、半導体チップの隙間に樹脂を充填して封止を行い、積層した半導体装置とする。
【0003】
また、キャリア基板に複数の半導体チップを仮接着し、キャリア基板を支持基板の上に接合されている他の半導体チップに押圧して、半導体チップを他の半導体チップに積層接合する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、キャリア基板の全面に二酸化シリコンの薄膜を形成した後、仮接着領域以外の部分をエッチングで除去することにより、仮接着領域に親水性を持つ二酸化シリコンの薄膜を形成する。そして、この仮接着領域に水を落として水の膜を形成し、この水の膜の上に上記と同様の方法で表面を親水化した半導体チップを載置し、水の表面張力により半導体チップの位置を自動的に整合させ、水の吸着力によって半導体チップをキャリア基板に仮接着する。この方法では、半導体チップと他の半導体チップとの積層接合が終了したら、加熱によりキャリア基板と半導体チップとの間の水を蒸発させた後、キャリア基板を半導体チップから取り外す。
【0004】
特許文献2に記載された方法においては、半導体チップと他の半導体チップとの接合は、半導体チップの電極に形成されたマイクロバンプ同士を圧接させることにより行い、半導体チップと他の半導体チップとの間の隙間には、絶縁性の接着剤が充填される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-110995号公報
【特許文献2】国際公開第2006/077739号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載された従来技術では、溶融したはんだにより積層した半導体チップのセルフアライメントを行うことはできるが、はんだを固化させた後に隙間に樹脂を充填することが必要となるなど、工程が複雑であり、改善の余地があった。
【0007】
また、特許文献2に記載された従来技術では、水の表面張力によってキャリア基板と半導体チップの位置を自動的に整合させる。しかし、実際に積層接合される他の半導体チップと半導体チップとの位置については自動的に整合されず、積層接合する半導体チップと他の半導体チップとの位置がずれてしまう可能性があった。
【0008】
そこで、本発明は、積層接合する半導体チップのアライメントの精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のアライメント方法は、平板状の電子部品に第1半導体チップを積層接合する際の前記第1半導体チップのアライメント方法であって、前記電子部品の表面と、前記表面に相対する前記第1半導体チップの相対面とに光励起親水化反応物質をコーティングして表面薄膜と相対面薄膜とを形成する薄膜形成工程と、前記表面薄膜の一部である親水化領域と、前記親水化領域に対向する前記相対面薄膜のチップ親水化領域と、に光を照射して前記親水化領域と前記チップ親水化領域とを親水化する親水化工程と、前記電子部品の親水化した前記親水化領域に液滴を付着させる液滴付着工程と、前記液滴の上に前記第1半導体チップの親水化した前記チップ親水化領域を載置し、前記液滴の表面張力により、前記第1半導体チップの前記チップ親水化領域を前記電子部品の前記親水化領域に対してセルフアライメントさせるセルフアライメント工程と、を含むこと、を特徴とする。
【0010】
このように、液滴の表面張力により積層接合する電子部品に対して第1半導体チップの位置をセルフアライメントするので、電子部品と第1半導体チップとを高い精度でアライメントすることができる。
【0011】
本発明のアライメント方法において、前記親水化領域と前記チップ親水化領域とは、外形形状が同一で、前記第1半導体チップの外形形状よりも小さい領域でもよい。
【0012】
これにより、電子部品と第1半導体チップとのアライメント精度を向上させることができる。
【0013】
本発明のアライメント方法において、前記光励起親水化反応物質は、酸化チタン、三酸化タングステン、臭化銀、塩化銀、二酸化ケイ素、窒素添加シリコンカーバイト、窒化ケイ素、又は炭素添加一酸化ケイ素のいずれか1つから選択され、前記液滴は、水素水、オゾン水、炭素水、アルカリ性電解水、又はファインバブル水のいずれか1つから選択された液体で構成され、前記光は紫外線でもよい。
【0014】
これにより、簡便な方法で電子部品と第1半導体チップのアライメントを行うことができる。
【0015】
本発明のアライメント方法において、前記電子部品は、ウェーハ、前記第1半導体チップと異なる第2半導体チップ、又は基板でもよい。
【0016】
これにより、簡便な方法でいろいろな種類の電子部品と第1半導体チップとのアライメントを行うことができる。
【0017】
本発明の接合方法は、平板状の電子部品に第1半導体チップを積層接合する接合方法であって、前記電子部品の表面と、前記表面に相対する前記第1半導体チップの相対面とに光励起親水化反応物質をコーティングして表面薄膜と相対面薄膜とを形成する薄膜形成工程と、前記表面薄膜の一部である親水化領域と、前記親水化領域に対向する前記相対面薄膜のチップ親水化領域と、に光を照射して前記親水化領域と前記チップ親水化領域とを親水化する親水化工程と、前記電子部品の親水化した前記親水化領域に液滴を付着させる液滴付着工程と、前記液滴の上に前記第1半導体チップの親水化した前記チップ親水化領域を載置し、前記液滴の表面張力により、前記第1半導体チップの前記チップ親水化領域を前記電子部品の前記親水化領域に対してセルフアライメントさせるセルフアライメント工程と、前記相対面薄膜の親水化した前記チップ親水化領域を前記表面薄膜の親水化した前記親水化領域に接触させて前記表面薄膜の前記親水化領域と前記相対面薄膜の前記チップ親水化領域とを親水化接合する接合工程と、を備えることを特徴とする。
【0018】
このように、液滴の表面張力により積層接合する電子部品に対して第1半導体チップの位置をセルフアライメントし、その状態で電子部品と第1半導体チップとを接合するので、電子部品と第1半導体チップとを高いアライメント精度で接合することができる。
【0019】
本発明の接合方法において、前記親水化領域と前記チップ親水化領域とは、外形形状が同一で、前記第1半導体チップの外形形状よりも小さい領域でもよい。
【0020】
これにより、電子部品と第1半導体チップとのアライメント精度を向上させることができる。
【0021】
本発明の接合方法において、熱拡散接合工程を更に含み、前記電子部品は、前記表面から突出する少なくとも1つの電極を備え、前記第1半導体チップは、各前記電極に対向する位置で前記相対面から突出する少なくとも1つの対向電極を備え、前記薄膜形成工程は、前記表面に前記光励起親水化反応物質をコーティングして前記表面の各前記電極を含まない領域に各前記電極の突出高さと同一厚さの前記表面薄膜を形成し、前記相対面に前記光励起親水化反応物質をコーティングして前記相対面の各前記対向電極を含まない領域に各前記対向電極の突出高さと同一厚さの前記相対面薄膜を形成し、前記親水化工程は、前記表面薄膜の前記親水化領域と前記相対面薄膜の前記チップ親水化領域とを親水化し、前記接合工程は、前記相対面薄膜の親水化した前記チップ親水化領域を前記表面薄膜の親水化した前記親水化領域に接触させて前記表面薄膜の前記親水化領域と前記相対面薄膜の前記チップ親水化領域とを親水化接合するとともに、各前記電極の各先端面と各前記対向電極の各先端面とが接触する接合体を形成し、前記熱拡散接合工程は、前記接合体を加熱して、接触している各前記電極の各先端面と各前記対向電極の各先端面とを熱拡散接合してもよい。
【0022】
この様に、同一高さに形成した電子部品の表面薄膜と電子部品の電極の先端面とをそれぞれ同一高さに形成した第1半導体チップの相対面薄膜と第1半導体チップの対向電極の先端面とに親水化接合と熱拡散接合により接合するので、接合後に電子部品と第1半導体チップとの間に隙間が形成されることが無く、隙間に接着剤等を充填する必要もない。このため、簡便な方法で、接合品質の高い半導体装置を製造することができる。
【0023】
本発明の接合方法において、前記表面薄膜が形成された前記電子部品に前記電子部品と前記表面薄膜とを前記電子部品の厚さ方向に貫通する少なくとも1つの貫通電極を形成する貫通電極形成工程と、前記相対面薄膜が形成された前記第1半導体チップに前記第1半導体チップと前記相対面薄膜とを前記第1半導体チップの厚さ方向に貫通し、前記貫通電極と対向する少なくとも1つの対向貫通電極を形成する対向貫通電極形成工程と、熱拡散接合工程と、を更に含み、前記接合工程は、前記相対面薄膜の親水化した前記チップ親水化領域を前記表面薄膜の親水化した前記親水化領域に接触させて前記表面薄膜の前記親水化領域と前記相対面薄膜の前記チップ親水化領域とを親水化接合するとともに、各前記貫通電極の各先端面と各前記対向貫通電極の各先端面とが接触する接合体を形成し、前記熱拡散接合工程は、前記接合体を加熱して、接触している各前記貫通電極の各先端面と各前記対向貫通電極の各先端面とを熱拡散接合してもよい。
【0024】
このように、電子部品の表面薄膜と貫通電極の先端面とをそれぞれ第1半導体チップの相対面薄膜と対向貫通電極の先端面とに親水化接合と熱拡散接合により接合するので、接合後に電子部品と第1半導体チップとの間に隙間が形成されることが無く、隙間に接着剤等を充填する必要もない。このため、簡便な方法で、接合品質の高い半導体装置を製造することができる。
【0025】
本発明の接合方法において、前記光励起親水化反応物質は、酸化チタン、三酸化タングステン、臭化銀、塩化銀、二酸化ケイ素、窒素添加シリコンカーバイト、窒化ケイ素、又は炭素添加一酸化ケイ素のいずれか1つから選択され、前記液滴は、水素水、オゾン水、炭素水、アルカリ性電解水、又はファインバブル水のいずれか1つから選択された液体で構成され、前記光は紫外線でもよい。
【0026】
これにより、簡便な方法で電子部品と第1半導体チップのアライメントを行うことができる。
【0027】
本発明の接合方法において、前記電子部品は、ウェーハ、前記第1半導体チップと異なる第2半導体チップ、又は基板でもよい。
【0028】
これにより、簡便な方法でいろいろな種類の電子部品と第1半導体チップとの接合を行うことができる。
【0029】
本発明の半導体装置は、上記の接合方法で前記電子部品と前記第1半導体チップとを接合したことを特徴とする。
【0030】
簡便な方法で、接合品質の高い半導体装置を提供することができる。
【0031】
本発明の電子部品製造システムは、平板状の電子部品に第1半導体チップを積層接合する電子部品製造システムであって、薄膜形成装置と、親水化装置と、ボンディング装置とを備え、前記薄膜形成装置は、前記電子部品の表面と、前記表面に相対する前記第1半導体チップの相対面とに光励起親水化反応物質をコーティングして表面薄膜と相対面薄膜とを形成し、前記表面薄膜を形成した前記電子部品と前記相対面薄膜を形成した前記第1半導体チップを前記親水化装置に供給し、前記親水化装置は、前記表面薄膜の一部である親水化領域と、前記親水化領域に対向する前記相対面薄膜のチップ親水化領域と、に光を照射して前記親水化領域と前記チップ親水化領域とを親水化し、親水化した前記電子部品と前記第1半導体チップとを前記ボンディング装置に供給し、前記ボンディング装置は、前記親水化装置から供給された前記電子部品に前記第1半導体チップを接合し、前記電子部品を吸着固定するステージと、前記第1半導体チップを把持、開放するコレットと、前記電子部品の前記表面に液滴を付着させるディスペンサと、前記コレットを前記ステージに沿った方向と前記ステージに接離する方向にそれぞれ移動させるボンディングヘッドと、前記ディスペンサを前記ステージに沿った方向と前記ステージに接離する方向にそれぞれ移動させるディスペンサヘッドと、前記第1半導体チップを前記ステージの吸着固定された前記電子部品に押圧する押圧デバイスと、前記コレットと、前記ディスペンサと、前記ボンディングヘッドと、前記ディスペンサヘッドと、前記押圧デバイスの動作を調整する制御部と、を備え、前記制御部は、情報処理を行うプロセッサを備え、前記プロセッサは、前記ディスペンサによって、前記ステージに吸着固定された前記電子部品の親水化された前記親水化領域に前記液滴を付着させ、前記コレットによって、前記液滴の上に前記第1半導体チップの親水化した前記チップ親水化領域を載置し、前記液滴の表面張力により、前記第1半導体チップの前記チップ親水化領域を前記電子部品の前記親水化領域に対してセルフアライメントさせ、前記押圧デバイスによって、前記相対面薄膜の親水化した前記チップ親水化領域を前記表面薄膜の親水化した前記親水化領域に押圧して前記表面薄膜の前記親水化領域と前記相対面薄膜の前記チップ親水化領域とを親水化接合させること、を特徴とする。
【0032】
このように、液滴の表面張力により積層接合する電子部品に対して第1半導体チップの位置をセルフアライメントし、その状態で電子部品と第1半導体チップとを整合するので、電子部品と第1半導体チップとを高いアライメント精度で接合することができる。
【0033】
本発明の電子部品製造システムにおいて、前記親水化領域と前記チップ親水化領域とは、外形形状が同一で、前記第1半導体チップの外形形状よりも小さい領域でもよい。
【0034】
これにより、電子部品と第1半導体チップとのアライメント精度を向上させることができる。
【0035】
本発明の電子部品製造システムにおいて、加熱装置を更に備え、前記電子部品は、前記表面から突出する少なくとも1つの電極を備え、前記第1半導体チップは、各前記電極に対向する位置で前記相対面から突出する少なくとも1つの対向電極を備え、前記薄膜形成装置は、前記表面に前記光励起親水化反応物質をコーティングして前記表面の各前記電極を含まない領域に各前記電極の突出高さと同一厚さの前記表面薄膜を形成し、前記相対面に前記光励起親水化反応物質をコーティングして前記相対面の各前記対向電極を含まない領域に各前記対向電極の突出高さと同一厚さの前記相対面薄膜を形成し、前記親水化装置は、前記表面薄膜の前記親水化領域と、前記相対面薄膜の前記チップ親水化領域とを親水化し、前記プロセッサは、前記押圧デバイスによって、前記相対面薄膜の親水化した前記チップ親水化領域を前記表面薄膜の親水化した前記親水化領域に押圧して前記表面薄膜の前記親水化領域と前記相対面薄膜の前記チップ親水化領域とを親水化接合するとともに、各前記電極の各先端面と各前記対向電極の各先端面とが接触する接合体を形成し、前記加熱装置は、前記接合体を加熱し、接触している各前記電極の各先端面と各前記対向電極の各先端面とを熱拡散接合してもよい。
【0036】
この様に、同一高さに形成した電子部品の表面薄膜と電子部品の電極の先端面とをそれぞれ同一高さに形成した第1半導体チップの相対面薄膜と第1半導体チップの対向電極の先端面とに親水化接合と熱拡散接合により接合するので、接合後に電子部品と第1半導体チップとの間に隙間が形成されることが無く、隙間に接着剤等を充填する必要もない。このため、簡便な方法で、接合品質の高い半導体装置を製造することができる。
【0037】
本発明の電子部品製造システムにおいて、電極形成装置と、加熱装置と、を更に備え、前記薄膜形成装置は、前記電子部品の前記表面と、前記表面に相対する前記第1半導体チップの前記相対面とに前記光励起親水化反応物質をコーティングして前記表面薄膜と前記相対面薄膜とを形成し、前記表面薄膜を形成した前記電子部品と前記相対面薄膜を形成した前記第1半導体チップを前記電極形成装置に供給し、前記電極形成装置は、前記表面薄膜が形成された前記電子部品に前記電子部品と前記表面薄膜とを前記電子部品の厚さ方向に貫通する少なくとも1つの貫通電極を形成し、前記相対面薄膜が形成された前記第1半導体チップに前記第1半導体チップと前記相対面薄膜とを前記第1半導体チップの厚さ方向に貫通し、前記貫通電極と対向する少なくとも1つの対向貫通電極を形成し、前記親水化装置は、前記表面薄膜の前記親水化領域と、前記相対面薄膜の前記チップ親水化領域とを親水化し、前記プロセッサは、前記押圧デバイスによって、前記相対面薄膜の親水化した前記チップ親水化領域を前記表面薄膜の親水化した前記親水化領域に押圧して前記表面薄膜の前記親水化領域と前記相対面薄膜の前記チップ親水化領域とを親水化接合するとともに、各前記貫通電極の各先端面と各前記対向貫通電極の各先端面とが接触する接合体を形成し、前記加熱装置は、前記接合体を加熱し、接触している各前記貫通電極の各先端面と各前記対向貫通電極の各先端面とを熱拡散接合させてもよい。
【0038】
このように、電子部品の表面薄膜と貫通電極の先端面とをそれぞれ第1半導体チップの相対面薄膜と対向貫通電極の先端面とに親水化接合と熱拡散接合により接合するので、接合後に電子部品と第1半導体チップとの間に隙間が形成されることが無く、隙間に接着剤等を充填する必要もない。このため、簡便な方法で、接合品質の高い半導体装置を製造することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明は、積層接合する半導体チップのアライメントの精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】実施形態のアライメント方法、接合方法を示すフローチャートである。
図2】半導体チップの断面図である。
図3図2に示す半導体チップの相対面に相対薄膜を形成した状態(左図)と、半導体チップの対向電極の先端面に形成された相対薄膜を除去した状態と(右図)を示す半導体チップの断面図である。
図4】半導体チップのチップ親水化領域を親水化する親水化工程を示す説明図である。
図5図4に示す半導体チップの平面図である。
図6図2に示す半導体チップが接合されるウェーハの平面図とA-A断面である。
図7図6示すウェーハの表面に表面薄膜を形成し、親水化領域を親水化した状態を示す平面図である。
図8図7に示すウェーハの断面図であって、図7に示すB-B断面である。
図9図8に示すウェーハの親水化した親水化領域に液滴を付着させた状態を示す断面図である。
図10】ウェーハと半導体チップとの断面図であって、図4に示すチップ親水化領域を親水化した半導体チップを反転させて図9に示す液滴の上に載置した状態を示す図である。
図11】ウェーハと半導体チップとの断面図であって、図10に示す状態から液滴のセルフアライメントにより、半導体チップの各対向電極と、ウェーハの電極との位置が整合された状態を示す図である。
図12】ウェーハと半導体チップとの断面図であって、図10に示す状態から半導体チップをウェーハに向かって押圧している状態を示す図である。
図13】ウェーハと半導体チップとの断面図であって、半導体チップのチップ親水化領域とウェーハの親水化領域とが親水化接合し、ウェーハの電極の先端面と半導体チップの対向電極の先端面とが接触している接合体を示す図である。
図14】半導体チップの相対薄膜の他の形状を示す平面図である。
図15】半導体チップの相対薄膜の他の形状を示す平面図である。
図16】実施形態の電子部品製造システムの構成を示す説明図である。
図17図16に示すボンディング装置の構成を示す系統図である。
図18図16に示すボンディング装置の押圧デバイスの構成を示す系統図である。
図19図16に示すボンディング装置の動作を示す説明図であって、ディスペンサによってウェーハの表面の親水化した親水化領域に液滴を付着する動作を示す図である。
図20図16に示すボンディング装置の動作を示す説明図であって、コレットで半導体チップをウェーハのボンディング位置に移動させた状態を示す図である。
図21図16に示すボンディング装置の動作を示す説明図であって、コレットで液滴の上に半導体チップを載置した状態を示す図である。
図22図16に示すボンディング装置の動作を示す説明図であって、押圧デバイスを半導体チップの上に移動させた状態を示す図である。
図23図16に示すボンディング装置の動作を示す説明図であって、押圧デバイスによって半導体チップをウェーハの表面に押圧している状態を示す図である。
図24図16に示すボンディング装置の動作を示す説明図であって、押圧動作後に押圧デバイスを上昇させた状態を示す図である。
図25】他の実施形態の接合方法を示すフローチャートである。
図26】積層接合される他の半導体チップの断面図であって、相対面に相対面薄膜を形成した状態を示す図である。
図27図26に示す他の半導体チップに対向貫通孔を形成した状態(左図)と、貫通孔に銅を埋め込んで対向貫通電極を形成した状態(右図)を示す断面図である。
図28】他の半導体チップが積層接続されるウェーハの断面図であって、表面薄膜と貫通電極とが形成された状態を示す図である。
図29】他の実施形態の電子部品製造システムの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照しながら実施形態のアライメント方法、接合方法について説明する。以下の説明では、図2に示す半導体チップ32を図6に示す平板状の電子部品であるウェーハ31の上に積層接合する際の、半導体チップ32のウェーハ31に対するアライメント方法と、接合方法について説明する。以下の説明では、ウェーハ31の半導体チップ32が積層される面を表面31a、表面31aに相対して重ね合わされる半導体チップ32の面を相対面32aとして説明する。
【0042】
図6に示す様に、ウェーハ31には表面31aから先端面36aが突出する複数の電極36が形成されている。また、図2に示すように、半導体チップ32には相対面32aから先端面33aが突出し、ウェーハ31の電極36と同一のピッチで配置された複数の対向電極33が形成されている。半導体チップ32をウェーハ31のチップ搭載領域31b(図6参照)の上側となるように位置合わせすると、各対向電極33はウェーハ31の各電極36と対向する。
【0043】
実施形態のアライメント方法は、図1のステップS101に示す薄膜形成工程と、図1のステップS102に示す親水化工程と、図1のステップS103に示す液滴付着工程と、図1のステップS104に示すセルフアライメント工程とを含んでいる。また、実施形態の接合方法は、薄膜形成工程(S101)と、親水化工程(S102)と、液滴付着工程(S103)と、セルフアライメント工程(S104)に加え、図1のステップS105に示す接合工程と、図1のステップS106に示す熱拡散接合工程とを含んでいる。
【0044】
最初に薄膜形成工程について説明する。薄膜形成工程は、半導体チップ32の相対面32aの上に相対面薄膜34を形成すると共に、ウェーハ31の表面31aに表面薄膜37を形成する工程である。
【0045】
図3を参照しながら、半導体チップ32の相対面32aに相対面薄膜34を形成する場合について説明する。図3中の左図に示す様に、半導体チップ32の相対面32aの上に光励起親水化反応物質である酸化チタン(TiO)をコーティングする。酸化チタンのコーティングは、形成される薄膜34aの厚さが、対向電極33の相対面32aからの突出高さと略同一となるように行う。この際、対向電極33の先端面33aにも酸化チタンの薄膜34bが形成される。
【0046】
相対面32aの上に薄膜34a、34bを形成したら、図3中の右図に示す様に、対向電極33の先端面33aを含まない領域をマスキングし、エッチングにより対向電極33の先端面33aの上に形成された薄膜34bを除去する。先に述べたように、相対面32aの上に形成される薄膜34aの厚さは、対向電極33の相対面32aからの突出高さと略同一であるから、エッチングで先端面33aの上に形成された薄膜34bを除去すると、電極36を含まない領域に形成された相対面薄膜34ができる。そして、相対面薄膜34の上面の高さは、対向電極33の先端面33aの高さと同一高さとなる。このように、薄膜形成工程は、半導体チップ32の相対面32aに酸化チタン(TiO)をコーティングして相対面32aの対向電極33を含まない領域に対向電極33の突出高さと同一厚さの相対面薄膜34を形成する。
【0047】
図6に示すウェーハ31の表面31aに表面薄膜37を形成する場合は、上記と同様に、表面31aの上に酸化チタン(TiO)を電極36の表面31aからの突出高さと略同一となるようコーティングし、エッチングにより、電極36の先端面36aの上に形成された酸化チタン(TiO)の薄膜を除去する。このように、薄膜形成工程では、ウェーハ31の表面31aに酸化チタン(TiO)をコーティングして表面31aの各電極36を含まない領域に電極36の突出高さと同一厚さの表面薄膜37を形成する。
【0048】
次に親水化工程について説明する。親水化工程は、図4中の矢印に示す様に、半導体チップ32の相対面32aに形成した相対面薄膜34の表面に紫外線を照射し、光励起親水化反応物質である酸化チタン(TiO)を親水化させる工程である。図5に示す様に、紫外線を照射して親水化する領域は相対面薄膜34の全体ではなく、半導体チップ32の各対向電極33の周囲を含む相対面薄膜34の一部であるチップ親水化領域35である。チップ親水化領域35の外形形状は、半導体チップ32の外形形状よりも小さく、半導体チップ32と相似形となっている。
【0049】
親水化工程では、図8の矢印に示すように、ウェーハ31の表面31aの上に形成した表面薄膜37に紫外線を当てて酸化チタン(TiO)を親水化する。図7に示すように、親水化する領域は、表面薄膜37のチップ搭載領域31bの内側の一部である親水化領域38である。チップ搭載領域31bは、半導体チップ32の外形と同一形状であり、親水化領域38の形状は、チップ搭載領域31bの形状より小さい相似形となっている。本実施形態のアライメント方法、接合方法では、親水化工程において親水化するウェーハ31の親水化領域38と、半導体チップ32のチップ親水化領域35とは外形形状が同一の領域であり、半導体チップ32をウェーハ31のチップ搭載領域31bの上側となるように位置合わせすると、チップ親水化領域35は、ウェーハ31の親水化領域38と対向する。
【0050】
次に、液滴付着工程について説明する。液滴付着工程は、図9に示す様に、ウェーハ31の親水化した親水化領域38の上面に、例えば、水素水を付着させる工程である。水素水とは、水素ガスを溶解した水である。親水化領域38の上に付着した水素水は親水性のある親水化領域38全体に広がるが、親水化されていない親水化領域38の外側の表面薄膜37には広がっていかない。このため、水素水は親水化領域38の外縁から立ち上がって半球状に盛り上がる液滴39となる。液滴付着工程では、図7に示す複数の親水化領域38それぞれの上面に水素水の液滴39を付着させる(図9参照)。
【0051】
次に、セルフアライメント工程について説明する。セルフアライメント工程は、図10に示すように、液滴39の上に半導体チップ32のチップ親水化領域35を載置し、液滴39の表面張力により、半導体チップ32のチップ親水化領域35をウェーハ31の親水化領域38に対してセルフアライメントさせる工程である。
【0052】
図10に示す様に、半導体チップ32のチップ親水化領域35がウェーハ31に対向するように、半導体チップ32を上下反転させる。そして、半導体チップ32をウェーハ31のチップ搭載領域31bに合わせて、液滴39の上に半導体チップ32を載置する。チップ親水化領域35に接触した液滴39は、チップ親水化領域35全体に広がるが、チップ親水化領域35の外側には広がらない。このため、液滴39は、下側が親水化領域38の外縁で区画され、上側がチップ親水化領域35の外縁で区画され、表面張力で親水化領域38の外縁とチップ親水化領域35の外縁とを接続する外側に膨らんだ側面を有する柱条の液柱39aとなる。液柱39aは半導体チップ32を支持する。先に説明したように、ウェーハ31の親水化領域38と、半導体チップ32のチップ親水化領域35とは外形形状が同一の領域であるから、図11に示すように、半導体チップ32は、液柱39aの表面張力によって下側のウェーハ31の親水化領域38の外縁と上側の半導体チップ32のチップ親水化領域35の外縁とが同一位置となるようにセルフアライメントされる。
【0053】
そして、図11に示すように半導体チップ32のチップ親水化領域35がウェーハ31の親水化領域38に対してセルフアライメントされると、ウェーハ31の各電極36と半導体チップ32の各対向電極33の各位置が一致する。
【0054】
次に、図12図13を参照しながら接合工程と熱拡散接合工程について説明する。接合工程は、半導体チップ32の相対面薄膜34のチップ親水化領域35を表面薄膜37の親水化領域38に接触させて表面薄膜37の親水化領域38と相対面薄膜34のチップ親水化領域35と親水化接合する工程である。熱拡散接合工程は、親水化接合工程で接合したウェーハ31と半導体チップ32の接合体28(図13参照)を加熱して、接触している各電極36の各先端面36aと各対向電極33の各先端面33aとを熱拡散接合させる工程である。
【0055】
図12に示す様に、半導体チップ32を下に向かって押圧すると、液柱39aを構成する水素水は、外面から流出し、液柱39aは次第に高さが低くなってくる。そして、半導体チップ32のチップ親水化領域35をウェーハ31の親水化領域38に接触させ、更に、チップ親水化領域35を親水化領域38に押圧すると、チップ親水化領域35と親水化領域38とが親水化接合により接合され、接合体28が形成される。先に説明したように、チップ親水化領域35が形成されている相対面薄膜34の上面と対向電極33の先端面33aとは同一面となっており、親水化領域38が形成されている表面薄膜37の上面と電極36の先端面36aとは同一面となっている。このため、チップ親水化領域35と親水化領域38とが接触すると、対向電極33の先端面33aと電極36の先端面36aも接触する。そして、この接合体28を加熱装置60(図16参照)において加熱すると、接触している各電極36の各先端面36aと各対向電極33の各先端面33aとが熱拡散接合により接合され、半導体装置となる。
【0056】
以上、説明したように、実施形態のアライメント方法は、液柱39aの表面張力によりウェーハ31の親水化領域38に対して半導体チップ32のチップ親水化領域35の位置をセルフアライメントするので、ウェーハ31と半導体チップ32とを高い精度でアライメントすることができる。
【0057】
また、実施形態の接合方法は、液柱39aの表面張力によりウェーハ31の親水化領域38に対して半導体チップ32のチップ親水化領域35の位置をセルフアライメントし、その状態でウェーハ31と半導体チップ32とを接合するので、ウェーハ31と半導体チップ32とを高いアライメント精度で接合することができる。
【0058】
更に、実施形態の接合方法は、同一高さに形成したウェーハ31の表面薄膜37の親水化領域38と電極36の先端面36aとをそれぞれ同一高さに形成した半導体チップ32の相対面薄膜34のチップ親水化領域35と対向電極33の先端面33aとに親水化接合と熱拡散接合により接合するので、接合後にウェーハ31と半導体チップ32との間に隙間が形成されることが無く、隙間に接着剤等を充填する必要もない。このため、簡便な方法で、接合品質の高い半導体装置を製造することができる。
【0059】
以上の説明では、半導体チップ32のチップ親水化領域35は外形形状が半導体チップ32の外形形状と相似形であるとして説明したが、各対向電極33の周囲を含む領域であれば、例えば、図14に示す様に相対面薄膜134の複数個所を親水化して複数のチップ親水化領域135を設けてもよい。また、図15に示す様に、各対向電極33の周囲の相対面薄膜234にそれぞれチップ親水化領域235を設けてもよい。この場合、ウェーハ31の親水化領域38の形状を上記のチップ親水化領域135、235と同一の形状としてもよい。
【0060】
また、以上の説明では、光励起親水化反応物質として酸化チタン(TiO)を用いることとして説明したがこれに限らない。例えば、三酸化タングステン、臭化銀、塩化銀、二酸化ケイ素(SiO)、窒素添加シリコンカーバイト(SiCN)、窒化ケイ素(SiN)、又は炭素添加一酸化ケイ素(SiOC)の内の一つを用いてもよい。
【0061】
また、以上の説明では、液滴39は水素水を用いて形成することとして説明したがこれに限らず、オゾン水、炭素水、アルカリ性電解水、又はファインバブル水の内の一つを用いてもよい。
【0062】
また、以上の説明では、紫外線を用いて相対面薄膜34、表面薄膜37を親水化することとして説明したがこれに限らず、可視光線により親水化を行ってもよい。
【0063】
次に図16から図18を参照して先に説明したアライメント方法、接合方法を実行して半導体装置を製造する電子部品製造システム100について説明する。
【0064】
図16に示すように、電子部品製造システム100は、薄膜形成装置50と、親水化装置52と、ボンディング装置10と、加熱装置60と、第1搬送装置55と、第2搬送装置65とを備えている。
【0065】
薄膜形成装置50は、内部に、酸化チタン(TiO)のコーティングを行うコーティング装置と、エッチング装置と、図示しない搬送装置とを含んでいる。
【0066】
薄膜形成装置50は、図2に示す半導体チップ32の相対面32aに酸化チタン(TiO)をコーティングした後、対向電極33の先端面33aに形成された薄膜34bを除去して相対面薄膜34と形成すると共に、図6に示すウェーハ31の表面31aに酸化チタン(TiO)をコーティングした後、電極36の先端面36aに形成された薄膜を除去して表面薄膜37を形成する。先に図2、3を参照して説明したように、薄膜形成装置50は、相対面32aの対向電極33を含まない領域に対向電極33の突出高さと同一厚さの相対面薄膜34を形成し、表面31aの各電極36を含まない領域に電極36の突出高さと同一厚さの表面薄膜37を形成する。そして、相対面薄膜34が形成された半導体チップ32と表面薄膜37が形成されたウェーハ31とを親水化装置52に供給する。
【0067】
親水化装置52は、内部に紫外線照射装置を含んでいる。親水化装置52は、半導体チップ32の相対面薄膜34に紫外線を照射してチップ親水化領域35を形成する。また、親水化装置52は、ウェーハ31の表面薄膜37に紫外線を照射して親水化領域38を形成する。
【0068】
第1搬送装置55は、図16中の矢印56、57に示す様に、親水化装置52によって親水化された半導体チップ32とウェーハ31とをボンディング装置10に搬送する。
【0069】
ボンディング装置10は、第1搬送装置55によって親水化装置52から供給されたウェーハ31の上面に半導体チップ32を接合して接合体28とする装置である。ボンディング装置10の詳細は、後で図17、18を参照して説明する。
【0070】
第2搬送装置65は、図16中の矢印66に示す様に、ボンディング装置10が接合した接合体28を加熱装置60に搬送する。
【0071】
加熱装置60は、ボンディング装置10から供給された接合体28を加熱して接触している各電極36の各先端面36aと各対向電極33の各先端面33aとを熱拡散接合させる。
【0072】
次に図17図18を参照してボンディング装置10の構成について説明する。ボンディング装置10は、図17に示す、ステージ11と、コレット12と、ボンディングヘッド13と、ガイドレール15と、第1カメラ14と、載置台17と、ディスペンサ22と、ディスペンサヘッド23と、第2カメラ24と、図18に示す押圧デバイス26と、図17、18に示す制御部40とを含んでいる。尚、以下の説明では、ガイドレール15の延びる方向をY方向、水平面でY方向と直角方向をX方向、上下方向をZ方向として説明する。また、載置台17の側をY方向マイナス側、ステージ11の側をY方向プラス側、図1において紙面手前側をX方向プラス側、紙面の向こう側をX方向マイナス側、上方向をZ方向プラス側、下方向をZ方向マイナス側として説明する。
【0073】
ステージ11は、上面にウェーハ31を吸着固定する。コレット12は、ボンディングヘッド13の下端に接続され、先端に半導体チップ32を吸着して半導体チップ32を把持すると共に、半導体チップ32を開放する。
【0074】
ボンディングヘッド13は、内部にY方向駆動モータ13Mを備え、ガイドレール15にガイドされて図17中の矢印91に示す様にY方向に移動する。また、ボンディングヘッド13は、図17中の矢印92に示すようにコレット12をZ方向に移動させるZ方向駆動モータ12Mを内蔵している。また、ガイドレール15は、図示しないX方向駆動装置によりX方向に移動する。従って、ボンディングヘッド13と図示しないX方向駆動装置とは、コレット12をステージ11の吸着面11aに沿った方向であるXY方向と、吸着面11aに接離する方向であるZ方向とに移動させる。
【0075】
第1カメラ14は、ボンディングヘッド13に取り付けられて、ステージ11に吸着されたウェーハ31或いは載置台17の上に載置された半導体チップ32の画像を取得する。
【0076】
載置台17は、親水化装置52によってチップ親水化領域35が親水化された半導体チップ32が一時的に載置される台である。載置台17は、例えば、超音波加振や空気圧等により、上面に半導体チップ32を非接触で載置できるようにしてもよい。
【0077】
ディスペンサ22は、ディスペンサヘッド23の下端に接続され、先端から水素水を滴下させる。
【0078】
ディスペンサヘッド23は、ボンディングヘッド13と同様、内部にY方向駆動モータ23Mを備え、ガイドレール15にガイドされて図17中の矢印93に示す様にY方向に移動する。また、ディスペンサヘッド23は、図17中の矢印94に示すようにディスペンサ22をZ方向に移動させるZ方向駆動モータ22Mを内蔵している。ボンディングヘッド13と同様、ディスペンサヘッド23と図示しないX方向駆動装置とは、ディスペンサ22をステージ11の吸着面11aに沿った方向であるXY方向と、吸着面11aに接離する方向であるZ方向とに移動させる。
【0079】
第2カメラ24は、ディスペンサヘッド23に取り付けられて、ステージ11に吸着されたウェーハ31或いはウェーハ31の上に取付けられた半導体チップ32の画像を取得する。
【0080】
図18に示す様に、押圧デバイス26は、ボンディング装置10の上部フレーム15aに取り付けられた本体26aと、本体26aの下側に取り付けられた押圧板27とで構成される。本体26aは内部に押圧板27を図18中の矢印95に示す様に、Z方向に駆動するZ方向駆動モータ26Mを備えている。
【0081】
制御部40は、情報処理を行うプロセッサであるCPU41と、動作プログラムや制御データを格納するメモリ42とを備えるコンピュータである。第1カメラ14、第2カメラ24が取得した画像データは、制御部40に入力される。制御部40は、入力された画像データの画像分析を行うことにより、ウェーハ31のチップ搭載領域31bの位置、或いは、半導体チップ32の位置を検出する。また、ボンディングヘッド13の内部に取り付けられているZ方向駆動モータ12Mは、コレット12のZ方向の位置を検出して制御部40に出力する。同様に、ディスペンサヘッド23の内部に取り付けられているZ方向駆動モータ22Mは、ディスペンサ22のZ方向の位置を検出して制御部40に出力する。
【0082】
ボンディングヘッド13のY方向駆動モータ13M、Z方向駆動モータ12M、ディスペンサヘッド23のY方向駆動モータ23M、Z方向駆動モータ22M、X方向駆動装置、コレット12、ディスペンサ22、押圧デバイス26のZ方向駆動モータ26Mは、制御部40の指令によって動作する。ボンディングヘッド13のY方向駆動モータ13M、Z方向駆動モータ12M、X方向駆動装置は、制御部40からの指令に基づいて、コレット12のXYZ位置を調整する。また、コレット12は、制御部40からの指令によって半導体チップ32の吸着把持、開放を行う。同様に、ディスペンサヘッド23のY方向駆動モータ23M、Z方向駆動モータ22M、X方向駆動装置は、制御部40からの指令に基づいて、ディスペンサ22のXYZ位置を調整する。また、ディスペンサ22は、制御部40からの指令によって水素水の滴下を行う。そして、押圧デバイス26のZ方向駆動モータ26Mは、制御部40の指令に基づいて、押圧板27のZ方向の位置を調整する。
【0083】
次に、図19から図24を参照しながら電子部品製造システム100によって半導体チップ32をウェーハ31の上に接合する動作について説明する。
【0084】
図19に示すように、載置台17の上には、親水化装置52によってチップ親水化領域35が親水化された半導体チップ32(図4参照)が、チップ親水化領域35が下側となるように載置されている。また、ステージ11の上には、親水化領域38が親水化されたウェーハ31(図7、8参照)が吸着固定されている。制御部40は、ボンディングヘッド13のY方向駆動モータ13Mを駆動してコレット12の位置を載置台17の上に移動させておく。
【0085】
制御部40は、ディスペンサヘッド23のY方向駆動モータ23Mを駆動してディスペンサ22の位置をウェーハ31の親水化領域38の上に移動させた後、先端を所定の高さまで降下させる。そして、制御部40は、図19中の矢印96に示すようにディスペンサ22を駆動して水素水を親水化領域38の上に滴下する。制御部40は、ウェーハ31の各親水化領域38にも同様に水素水を滴下する。滴下された水素水は、ウェーハ31の親水化領域38の上で図9に示すような液滴39となる。制御部40は、各親水化領域38への水素水の滴下が終了したら、図20に示すように、Y方向駆動モータ23Mを駆動してディスペンサヘッド23をステージ11の外に移動させる。
【0086】
制御部40は、図19に示すボンディングヘッド13のZ方向駆動モータ12Mを駆動してコレット12を半導体チップ32の上に降下させ、コレット12によって半導体チップ32を把持し、Z方向駆動モータ12Mによってコレット12を上昇させて、半導体チップ32をピックアップする。そして、Y方向駆動モータ13Mを駆動して、図20に示すように、半導体チップ32をウェーハ31のチップ搭載領域31b(図7、8参照)の上まで移動させる。そして、制御部40は、図20中の矢印98に示すように、Z方向駆動モータ12Mを駆動してコレット12をウェーハ31の親水化領域38の液滴39の上まで降下させ、図21に示す様に半導体チップ32の把持を開放して液滴39の上に半導体チップ32を載置する。すると、図10、11を参照して説明したように、半導体チップ32は、液柱39aの表面張力によって下側のウェーハ31の親水化領域38の外縁と上側の半導体チップ32のチップ親水化領域35の外縁とが同一位置となるようにセルフアライメントされる。
【0087】
次に制御部40は、図22に示すように、押圧デバイス26をステージ11の上に移動させ、Z方向駆動モータ26Mを駆動して図22中の矢印99に示す様に、押圧板27を半導体チップ32の上に向かって降下させ、図23に示す様に、複数の半導体チップ32を同時にウェーハ31に押圧する。これにより、図13を参照して説明したように、チップ親水化領域35と親水化領域38とが接触して親水化接合されると共に、対向電極33の先端面33aと電極36の先端面36aとが接触した接合体28が形成される。形成された接合体28は、図24図16中の矢印66に示すように、第2搬送装置65によって加熱装置60に搬入される。そして、この接合体28を加熱装置60(図16参照)において加熱すると、接触している各電極36の各先端面36aと各対向電極33の各先端面33aとが熱拡散接合により接合され、半導体装置が完成する。
【0088】
以上、説明した実施形態の電子部品製造システム100は、先に説明した接合方法と同様、液柱39aの表面張力によりウェーハ31の親水化領域38に対して半導体チップ32のチップ親水化領域35の位置をセルフアライメントし、その状態でウェーハ31と半導体チップ32とを接合するので、ウェーハ31と半導体チップ32とを高いアライメント精度で接合することができる。
【0089】
また、実施形態の電子部品製造システム100は、先に説明した接合方法と同様、同一高さに形成したウェーハ31の表面薄膜37の親水化領域38と電極36の先端面36aとをそれぞれ同一高さに形成した半導体チップ32の相対面薄膜34のチップ親水化領域35と対向電極33の先端面33aとに親水化接合と熱拡散接合により接合するので、接合後にウェーハ31と半導体チップ32との間に隙間が形成されることが無く、隙間に接着剤等を充填する必要もない。このため、接合品質の高い半導体装置を製造することができる。
【0090】
次に図25から図28を参照しながら、他の構造の半導体チップ332を他の構造のウェーハ331に接合する他の接合方法について説明する。
【0091】
他の接合方法は、図25のステップS201に示す薄膜形成工程と、図25のステップS202に示す対向貫通電極形成工程と、図25のステップS203に示す貫通電極形成工程と、図25のステップS102~S106に示す親水化工程と、液滴付着工程と、セルフアライメント工程と、接合工程と、熱拡散接合工程とを含んでいる。
【0092】
図26に示すように、半導体チップ332は、先に説明した半導体チップ32と異なり、相対面332aから先端面33aが突出する対向電極33を有していない。また、ウェーハ331も表面331aから先端面36aが突出する電極36を有していない。
【0093】
薄膜形成工程は、図26に示す様に、半導体チップ332の相対面332aに光励起親水化反応物質である酸化チタン(TiO)をコーティングし、相対面薄膜334を形成すると共に、ウェーハ331の表面331aに酸化チタン(TiO)をコーティングして表面薄膜335を形成する。
【0094】
対向貫通電極形成工程は、相対面薄膜334が形成された半導体チップ332に半導体チップ332と相対面薄膜334とを半導体チップ332の厚さ方向に貫通する対向貫通電極333を形成する工程である。対向貫通電極形成工程は、図27の左図に示すように、相対面薄膜334が形成された半導体チップ332に半導体チップ332と相対面薄膜334とを半導体チップ332の厚さ方向に貫通する対向貫通孔332hを形成するエッチング工程と、図27の右図に示すように、形成した対向貫通孔332hに銅等の金属を充填する金属充填工程とを含んでいる。対向貫通孔332hに金属を充填すると、図27の右図に示す様な対向貫通電極333が形成される。金属充填工程は、対向貫通電極333の先端面333aが相対面薄膜334の上面334cと同一面となるように金属を充填する。従って、相対面薄膜334の上面334cと対向貫通電極333の先端面333aとは同一面となっている。
【0095】
同様に、貫通電極形成工程は、表面薄膜337が形成されたウェーハ31にウェーハ31と表面薄膜337とをウェーハ331の厚さ方向に貫通する貫通孔(図示せず)を形成するエッチング工程と、形成した貫通孔に金属を充填する金属充填工程とを含んでいる。貫通孔に金属を充填すると、図28に示す様な貫通電極336が形成される。金属充填工程は、貫通電極336の先端面336aが表面薄膜337の上面337cと同一面となるように金属を充填する。従って、表面薄膜337の上面337cと貫通電極336の先端面336aとは同一面となっている。
【0096】
親水化工程と、液滴付着工程と、セルフアライメント工程と、接合工程と、熱拡散接合工程は、先に図1図13を参照して説明した接合方法と同様であるから、説明は省略する。
【0097】
他の接合方法は、先に図1図13を参照して説明した接合方法と同様の作用/効果を奏する。
【0098】
次に上記の他の接合方法を実行して半導体装置を製造する電子部品製造システム200について説明する。先に、図16図24を参照して説明した電子部品製造システム100と同様の部位には同様の符号を付して説明は省略する。
【0099】
電子部品製造システム200は、電極形成装置51を備える点以外は、先に図16図24を参照して説明した電子部品製造システム100と同一構成である。
【0100】
電極形成装置51は、内部にエッチング装置(図示せず)と金属充填装置(図示せず)とを備えている。エッチング装置は、薄膜形成装置50によって相対面薄膜334が形成された半導体チップ332に対向貫通孔332hを形成する。金属充填装置は、対向貫通孔332hに銅等の金属を充填して対向貫通電極333を形成する。また、エッチング装置は、薄膜形成装置50によって表面薄膜337が形成されたウェーハ31に貫通孔(図示せず)を形成し、金属充填装置は、貫通孔に金属を充填して貫通電極336を形成する。
【0101】
ウェーハ331の貫通電極336と半導体チップ332の対向貫通電極333とは、同一のピッチで形成される。このため、半導体チップ332をウェーハ331のチップ搭載領域331bの上側となるように位置合わせすると、半導体チップ332の各対向貫通電極333はウェーハ31の各貫通電極336とが対向する。
【0102】
金属充填装置は、対向貫通電極333の先端面333aが相対面薄膜334の上面334bと同一面となるように金属を充填する。従って、相対面薄膜334の上面334bと対向貫通電極333の先端面333aとは同一面となっている。同様に、金属充填装置は、貫通電極336の先端面336aが表面薄膜337の上面337bと同一面となるように金属を充填する。従って、表面薄膜337の上面337cと貫通電極336の先端面336aとは同一面となる。
【0103】
電子部品製造システム200では、先に説明した電子部品製造システム100と同様、親水化装置52が半導体チップ332にチップ親水化領域35を形成すると共に、ウェーハ31に親水化領域38を形成して、第1搬送装置55によって半導体チップ332とウェーハ331をボンディング装置10に搬送する。ボンディング装置10は、先に図19~24を参照して説明したと同様の動作でウェーハ331の上に半導体チップ332を接合して接合体28とする。接合体28は、第2搬送装置65で加熱装置60に搬送され、加熱装置60によって加熱され、貫通電極336の先端面336aと対向貫通電極333の先端面333aとを熱拡散接合させて、半導体装置とする。
【0104】
電子部品製造システム200は、先に説明した電子部品製造システム100と同様の作用/効果を奏する。
【0105】
以上、説明した接合方法、電子部品製造システム100、200では、ウェーハ31、331の上に半導体チップ32、332を接合するとして説明したがこれに限らず、半導体チップ32、332の上に他の半導体チップを積層接合する場合に適用してもよい。また、ウェーハ31に代えて、基板の上に半導体チップ32、332を積層接合する場合に適用してもよい。
【符号の説明】
【0106】
10 ボンディング装置、11 ステージ、11a 吸着面、12 コレット、12M、22M、26M Z方向駆動モータ、13 ボンディングヘッド、13M、23M Y方向駆動モータ、15 ガイドレール、15a 上部フレーム、17 載置台、22 ディスペンサ、23 ディスペンサヘッド、26 押圧デバイス、26a 本体、27 押圧板、28 接合体、31、331 ウェーハ、31a、331a 表面、31b、331b チップ搭載領域、32、332 半導体チップ、32a、332a 相対面、33 対向電極、33a、333a 先端面、34、134、234、334 相対面薄膜、34a、34b 薄膜、35、135、235 チップ親水化領域、36 電極、36a、336a 先端面、37、337 表面薄膜、38 親水化領域、39 液滴、39a 液柱、40 制御部、41 CPU、42 メモリ、50 薄膜形成装置、51 電極形成装置、52 親水化装置、55 第1搬送装置、60 加熱装置、65 第2搬送装置、100、200 電子部品製造システム、332h 対向貫通孔、333 対向貫通電極、334c、337c 上面、336 貫通電極。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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